説明

紫外線硬化塗料用平滑剤

【課題】 紫外線硬化塗料に少量配合することにより、良好な平滑性を付与する紫外線硬化塗料用平滑剤を提供する。
【解決手段】 重合性不飽和二重結合を有する二塩基酸エステル(A)とアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル(B)とを共重合することにより得られる共重合体から成り、該共重合体が、全モノマ−中、(A)を2〜80重量%、(B)を20〜98重量%の割合で含有するモノマ−配合を共重合することにより得られ、且つ、1000から60000の数平均分子量を有していることを特徴とする組成物を紫外線硬化塗料用平滑剤として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化塗料に少量添加することにより、塗膜に平滑性を付与することを目的とする、新規な紫外線硬化塗料用平滑剤に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化塗料は硬化時間が非常に短く、室温で硬化するため設備がコンパクトになり省スペース、省エネルギーで生産性が高い。また、無溶剤化が可能な塗料であり、大気汚染がなく環境に対して良好な硬化乾燥システムである。しかし、硬化時間が短いために塗料が十分にフローする前に硬化してしまうことから平滑剤としてアクリルエステル系やビニルエーテル系重合物が提案されている。
【0003】
平滑剤の例として、特許文献1はアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体を製造する方法ならびに該重合体の用途を記載する。特許文献1は二成分系のポリウレタン塗料またはエポキシ塗料の流動性を改善する組成物、及びその重合方法を提供することを目的とし、その組成物はアクリル酸エステルモノマ−またはメタクリル酸エステルモノマ−を重合して得られる。
【0004】
特許文献2はアルキルビニルエーテル重合体を含有するコーティング用およびモールディング用組成物およびレベリング剤または消泡剤としてのそれらの用途を記載する。特許文献2のレベリング剤または消泡剤はアルキルビニルエーテル重合体(パ−フルオロアルキル基を含む重合体も含まれる)として記載される。
【0005】
特許文献3は流動改変剤を有するコーティング組成物および複層コ−ティングを記載する。特許文献3は良好な外観およびコーティング間接着性を維持しつつ、他の類似のコーティング組成物との相溶性を改良したコーティング組成物を提供することを目的とし、流動改変剤は官能性の非ゲル化流動制御コポリマ−であって、該官能性はアミノ基、アミノ基およびヒドロキシル基、カルボキシル基、並びにカルボキシル基およびヒドロキシル基からなる群から選択される。
【特許文献1】特公平04−40391号公報
【特許文献2】特開平02−232271号公報
【特許文献3】特開2002−322429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年環境問題から紫外線硬化塗料の無溶剤化により樹脂組成の極性化が進む中で、従来からの技術では十分な平滑性を得られるとは言い難く、良好な外観が得られない。従って、本発明の目的は、従来からの紫外線硬化用平滑剤では得られなかった、高外観が要求される用途にも利用できる平滑剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、重合性不飽和二重結合を有する二塩基酸エステル(A)と、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル(B)とを共重合することにより得られる共重合体から成り、該共重合体が、全モノマ−中、(A)を2〜80重量%、(B)を20〜98重量%の割合で含有するモノマ−配合を共重合することにより得られ、且つ、1000から60000の数平均分子量を有していることを特徴とする平滑剤が提供され、これを紫外線硬化塗料に配合することにより、上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の平滑剤は、紫外線硬化塗料に添加したときに従来にない良好な平滑性を塗膜に付与する事が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
全モノマ−配合中に占めるモノマ−(A)の割合が2重量%より少ないか、あるいは80重量%より多くなると十分な平滑性が得られない。モノマ−(A)とモノマ−(B)との割合が2〜80重量%対20〜98重量%の範囲にある限りにおいては、モノマ−(A)及びモノマ−(B)以外のモノマ−(C)を全モノマ−配合中に占める割合が50重量%以下で含む場合においても十分な平滑性を得ることができる。
【0010】
共重合体の数平均分子量が、1000より小さい場合、又は60000より大きい場合には十分な平滑性を得ることが出来ない。数平均分子量の好ましい範囲は1500から20000である。更に好ましい範囲は2000から10000である。
【0011】
モノマ−(A)の例としては、マレイン酸ジ(モノ)メチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)エチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ノルマルプロピルエステル、マレイン酸ジ(モノ)イソプロピルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ノルマルブチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)イソブチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ターシャリーブチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ノルマルオクチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)2−エチルヘキシルエステル、マレイン酸ジ(モノ)イソノニルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ラウリルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ステアリルエステル、マレイン酸ジ(モノ)シクロヘキシルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ベンジルエステル、フマル酸ジ(モノ)メチルエステル、フマル酸ジ(モノ)エチルエステル、フマル酸ジ(モノ)ノルマルプロピルエステル、フマル酸ジ(モノ)イソプロピルエステル、フマル酸ジ(モノ)ノルマルブチルエステル、フマル酸ジ(モノ)イソブチルエステル、フマル酸ジ(モノ)ターシャリーブチルエステル、フマル酸ジ(モノ)ノルマルオクチルエステル、フマル酸ジ(モノ)2−エチルヘキシルエステル、フマル酸ジ(モノ)イソノニルエステル、フマル酸ジ(モノ)ラウリルエステル、フマル酸ジ(モノ)ステアリルエステル、フマル酸ジ(モノ)シクロヘキシルエステル、フマル酸ジ(モノ)ベンジルエステル、イタコン酸ジ(モノ)メチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)エチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ノルマルプロピルエステル、イタコン酸ジ(モノ)イソプロピルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ノルマルブチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)イソブチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ターシャリーブチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ノルマルオクチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)2−エチルヘキシルエステル、イタコン酸ジ(モノ)イソノニルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ラウリルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ステアリルエステル、イタコン酸ジ(モノ)シクロヘキシルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ベンジルエステル等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を併せて用いることができる。
【0012】
モノマ−(B)の例としては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ノルマルプロピルエステル、(メタ)アクリル酸イソプロピルエステル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチルエステル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチルエステル、(メタ)アクリル酸ノルマルオクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソノニルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸イソボニルエステル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−オクトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ラウロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル[エチレングリコール単位の数(m)が1〜50のもの]、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールエステル[プロピレングリコール単位の数(m)が1〜50のもの]、(メタ)アクリル酸メトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコールエステル[エチレングリコール単位の数とプロピレングリコール単位の数との合計(m)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸メトキシポリ(エチレン−テトラメチレン)グリコールエステル[エチレングリコール単位の数とテトラメチレングリコール単位の数との合計(m)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸ブトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコールエステル[エチレングリコール単位の数とプロピレングリコール単位の数との合計(m)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸オクトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコールエステル[エチレングリコール単位の数とプロピレングリコール単位の数との合計(m)が2〜50のもの]、(メタ)アクリル酸ラウロキシポリエチレングリコールエステル[エチレングリコール単位の数(m)が1〜50のもの]、(メタ)アクリル酸ラウロキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコールエステル[エチレングリコール単位の数とプロピレングリコール単位の数との合計(m)が2〜50のもの]等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を併せて用いることができる。
【0013】
モノマー(C)に制限はなく、単独で或いは2種以上を併せて用いることができる。モノマー(C)の例としては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクロイルモルフォリンなどのようなアクリルアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのような芳香族炭化水素ビニル系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレート等のようなビニルエステル又はアリル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ノルマルプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ノルマルブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ターシャリーブチルビニルエーテル、ノルマルオクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のようなビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド等のようなその他のビニル系化合物;反応性高分子、いわゆるマクロモノマーで、メタクリロイル基を有する反応性シリコーン(チッソ株式会社から市販されているサイラプレーンFM−シリーズや東亞合成株式会社から市販されているAK−シリーズ等)、メタクリロイル基を有する反応性のビニル系重合物(東亞合成株式会社から市販されているAA−シリーズやAB−シリーズ等)、ヒドロキシル基を有する反応性のビニル系重合物(東亞合成株式会社から市販されているHA−シリーズやHS−シリーズ等)、などが挙げられる。
【0014】
前記説明において、マレイン酸ジ(モノ)メチルエステルはマレイン酸ジメチルエステルとマレイン酸モノメチルエステルを表し(他も同様)、(メタ)アクリル酸メチルエステルはアクリル酸メチルエステルとメタクリル酸メチルエステルを表す(他も同様)。
【0015】
本発明の共重合物を合成する方法としては、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などがあり、また、重合を行う開始剤としては、一般に用いられるアゾ系重合開始剤や、過酸化物が用いられる。本発明は、共重合体の機能に関する発明であるから、共重合体の合成方法によって何ら制限されるものではない。
【0016】
本発明の紫外線硬化塗料用平滑剤が適する塗料はエポキシアクリレ−ト系、ウレタンアクリレ−ト系、ポリエステルアクリレ−ト系といった光ラジカル硬化アクリル系塗料、光カチオン硬化塗料等である。
【0017】
本発明の紫外線硬化塗料用平滑剤を塗料に添加する時期は任意であって、顔料混練時などの塗料を作成する過程や、あるいは、塗料を製造した後に添加することが出来る。
【0018】
本発明の紫外線硬化塗料用平滑剤の添加量は、塗料用樹脂の種類や、顔料の配合組成などにより異なるが、通常固形分換算で塗料ビヒクルに対し0.01から5重量%、好ましくは、0.05から2重量%である。添加量が0.01重量%より少ないと、塗装表面に十分な平滑性を与えることが出来ない。また、5重量%より多いと、塗膜の物性に様々な悪影響を及ぼす可能性が大きくなる。
【実施例】
【0019】
次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下における「部」及び「%」は、それぞれ、「重量部」及び「重量%」を示す。
【0020】
製造実施例1
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン140部を仕込み、窒素ガスを導入しながら還流させた。トルエンが還流する条件で、下に示す滴下溶液(a−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。
滴下溶液(a−1)
フマル酸ジノルマルブチルエステル 117.1部
アクリル酸ノルマルブチルエステル 131.5部
アクリル酸エチルエステル 51.4部
トルエン 60.0部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 25.5部
ドデカンチオール 0.6部
滴下溶液(a−1)の滴下終了1時間後にt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト3部を加え、さらに1時間後にt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト3部を加えた。還流温度を保持しつつさらに1時間30分間反応させた。反応終了後、トルエンをエバポレーターで留去して、添加剤[A−1]を得た。合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2500であった。
【0021】
製造実施例2
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(a−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[A−2]を得た。
滴下溶液(a−2)
フマル酸ジノルマルブチルエステル 141部
アクリル酸イソブチルエステル 159部
トルエン 60部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 25部
ドデカンチオール 0.6部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2700であった。
【0022】
製造実施例3
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(a−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[A−3]を得た。
滴下溶液(a−3)
フマル酸ジイソブチルエステル 145部
アクリル酸イソブチルエステル 82部
アクリル酸ステアリルエステル 73部
トルエン 60部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 25部
ドデカンチオール 0.6部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2650であった。
【0023】
製造実施例4
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(a−4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[A−4]を得た。
滴下溶液(a−4)
マレイン酸ジノルマルブチルエステル 141部
アクリル酸イソブチルエステル 159部
トルエン 60部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 25部
ドデカンチオール 0.6部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、3000であった。
【0024】
製造実施例5
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(a−5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[A−5]を得た。
滴下溶液(a−5)
イタコン酸ジノルマルブチルエステル 146部
アクリル酸ノルマルブチルエステル 154部
トルエン 60部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 25部
ドデカンチオール 0.6部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、3100であった。
【0025】
製造比較例1
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−1)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−1]を得た。
滴下溶液(n−1)
フマル酸ジノルマルブチルエステル 5部
アクリル酸ノルマルブチルエステル 295部
トルエン 60部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 25部
ドデカンチオール 0.6部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2600であった。
【0026】
製造比較例2
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−2]を得た。
滴下溶液(n−2)
フマル酸ジノルマルブチルエステル 250部
アクリル酸ノルマルブチルエステル 50部
トルエン 60部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 25部
ドデカンチオール 0.6部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、3000であった。
【0027】
製造比較例3
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−3]を得た。
滴下溶液(n−3)
フマル酸ジノルマルブチルエステル 141部
アクリル酸ノルマルブチルエステル 159部
トルエン 560部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 60部
ドデカンチオール 6部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、800であった。
【0028】
製造比較例4
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−4]を得た。
滴下溶液(n−4)
フマル酸ジノルマルブチルエステル 141部
アクリル酸ノルマルブチルエステル 159部
トルエン 60部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 2.5部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、62000であった。
【0029】
製造比較例5
市販されているアクリル重合物系の平滑剤として、ディスパロンL−1980(楠本化成(株)製)を用いた。これを添加剤[N−5]とした。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
塗料試験例
表3に示した配合の紫外線硬化塗料組成物について、上記の各種レベリング剤の性能試験を行った。
【0033】
【表3】

【0034】
表3の紫外線硬化塗料に、表1のA−1からA−5、および表2のN−1からN−5の試験サンプルを添加し、ラボディスパーで2000回転で1分間分散した。
【0035】
各平滑剤を添加した紫外線硬化塗料はガラス板にNo.38バーコーターを用いて塗装し、メタルハライドランプ(120W/cm)装着したウシオ電機(株)社製UVC−2533を用いて、塗装板との距離を12cm、コンベア速度1cm/secの速度に設定して紫外線照射を行い試験用試料板を得た。この試料板について次の試験を行い評価した。
【0036】
塗膜の平滑性の目視評価は、「最良」(5)から「最悪」(1)までの5段階の標準板を用意し、塗膜表面の平滑性と鮮映性の状況を評価した。また、wave scan(ビックケミー社製)によるSW値(Short Wave)、LW値(Long Wave)、DOI(写像鮮映性)の数値化も行った。これは、平滑性の善し悪しを示す数値で、SW値とLW値については値が低いほど平滑性が良好なことを示し、DOIは値が大きいほど鏡面に近く平滑性が良好なことを示す。
【0037】
上記試験の結果を表4に示す。
【0038】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性不飽和二重結合を有する二塩基酸エステル(A)と、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル(B)とを共重合することにより得られる共重合体から成り、該共重合体が、全モノマ−中、(A)を2〜80重量%、(B)を20〜98重量%の割合で含有するモノマ−配合を共重合することにより得られ、且つ、1000から60000の数平均分子量を有していることを特徴とする紫外線硬化塗料用平滑剤。
【請求項2】
(A)がマレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、フマル酸ジエステル、フマル酸モノエステル、イタコン酸ジエステルまたはイタコン酸モノエステルである請求項1に記載の紫外線硬化塗料用平滑剤。

【公開番号】特開2006−56952(P2006−56952A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238765(P2004−238765)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000225854)楠本化成株式会社 (12)
【Fターム(参考)】