説明

細菌感染の治療

本発明は、以下の中での新規に単離した抗体およびそれらの使用と合わせた、クロストリジウム・ディフィシル感染のための化合物、薬剤および治療に関する。本発明はまた、E.フェシウムおよびE.フェカリス感染の治療および予防に関し、これらのための薬剤および治療剤を提供する。
【その他】国際段階において住所を誤記したにもかかわらず、訂正の手続がされない状態で、国内書面上は訂正後の住所となっている出願人の識別番号を記載するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の中での新規に単離した抗体およびそれらの使用と合わせた、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染のための化合物、薬剤および治療に関する。本発明はまた、E.フェシウム(faecium)およびE.フェカリス(faecalis)感染の治療および予防に関し、これらのための薬剤および治療剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
C.ディフィシルは、グラム陽性嫌気性細菌であり、軽度の下痢から劇症の偽膜性大腸炎(PMC)までの範囲の一連の疾患−集合的に、C.ディフィシル抗生物質関連下痢症(CDAD)と呼ばれる−を引き起こす重要なヒト病原体と見なされている。CDADは、とりわけ高齢者において、実質的な罹患率および死亡率と関係する、一般的な医原性の院内疾患である。2つの要因−抗生物質の投与による常在性腸内フローラの抑制、ならびに細菌による2つの高分子量毒素、外毒素Aおよび外毒素Bの産生−がCDADの病理における主要な役割に割り当てられてきた。
【0003】
細菌は病院中では固有であり、研究は、救急医療病棟において抗生物質治療を受ける患者のほぼ3分の1が、病院内にいながらC.ディフィシルにより細菌感染されたことを示している(Kyne,L.ら、2002,Clin.Infect.Dis.34(3),pp346−53,PMID:11774082)。これらの患者のうち、過半数がCDADを発症したのに対して、残りは無症候性キャリアであった。CDADは、患者の入院時間を延長させる主要な要因であり、見積もりにより、米国におけるこの疾患のコストは年間11億ドルを超えると示唆されている(Kyne,L.ら、上記参照)。CDADを罹患している患者は、誘発する抗生物質の中断ならびに抗生物質メトロニダゾールおよびバンコマイシンのいずれかを用いる治療を含む治療に対して良好に応答する。初期の抗生物質療法に対する応答速度は高い可能性があるが(95%まで)、しかし20%までの患者が、各々の再発の発症と複合する発症のリスクを伴って、最初の治療の1週間または2週間以内に再発し得る。再発は、通常は抗生物質を用いて治療可能であり、このことは、異なるC.ディフィシル株との感染に起因することを示す。さらに、C.ディフィシルが、メトロニダゾールに対する耐性を持ちつつあり、また、部分的にバンコマイシンに対する耐性を持ちつつあるという証拠が存在し、これにより、CDADの治療において新規な代替物が必要であることが実証される。
【0004】
病原性株の細菌によって産生される外毒素AおよびBは、細胞毒性、腸毒性、および炎症誘発性であり、この非侵襲性微生物の主要な病原性因子であると見なされている。しかし、毒素産生性株でのすべての感染が疾患を生じるわけではなく、さらなる病原性因子の探索を促している。細菌の表面で発現される抗原は、候補である病原性因子を表し、重要であると見なされている。なぜなら、このようなタンパク質は、細菌感染の最初の段階における腸の上皮層への付着、または局所免疫のメディエーターとの相互作用などの必須の機能を媒介すると見られるためである。多くの他の細菌と共通して、C.ディフィシルは、外側の細胞表面上に、結晶性または準結晶性の表面層(S層)を発現する。このようなS層は、細菌の外部表面上に規則的に配列された格子を形成するタンパク質または糖タンパク質を含み、アエロモナス・サルモニシダ(Aeromanas salmonicida)およびカンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)のような病原体の病原性に必須であることが以前に示されていた。1つのS層を含む大部分の細菌とは対照的に、C.ディフィシルは、2つの重ね合わされた準結晶性S層を含むことが知られており、各々が、異なるC.ディフィシル株間で見かけの分子量がわずかに異なる糖タンパク質サブユニットから構成される。C.ディフィシルの多くの株は、2つの主要なS層タンパク質(SLP)、1つは32〜38kDa(低分子量SLP)および2番目は42〜48kDa(高分子量SLP)を発現する。低分子量SLPは免疫優勢であるようであり、CDADに罹患している患者によって最も一般的に認識される抗原であり、そして全体のC.ディフィシル細胞に対してウサギにおいて惹起された抗血清によって、細菌のEDTA抽出物中で認識される唯一の抗原である(Calabi,E.ら、2001,MoI.Microbiol.,40(5) p187−99,PMID:11401722)。
【0005】
微生物感染の過程において、種々の適応性ストラテジーが免疫系によって利用される。1つのこのようなストラテジー、および議論の余地はあるが、最も重要なものは、抗体応答の産生である。感染性因子によって提示される抗原を結合可能である抗体が産生され、そして補体の活性化、マクロファージの補充、および微生物自体との直接的相互作用を通して、微生物に結合しかつその微生物を殺傷することを可能にする。所定の抗原を結合可能である抗体の治療効力は変化し、これは、免疫系による抗体産生が感染の過程において成熟し、患者の症例に集中するようになり、感染を首尾よく撃退するという事実に反映される。
【0006】
抗体応答は、個々のB細胞が構造的に多様な抗体分子を各々産生する場合に、B細胞レパートリーによって誘発される。このB細胞/抗体レパートリーの実際のサイズは未知であるが、所定の抗原についての反応性のランダムクローン頻度は、培養されたB細胞中で100,000中で1つの高さであり得ると推定される(Nobrega,A.ら、Eur J Immunol.1998 Apr;28(4):1204−15;PMID:9565360)。感染の経過中、病原体を結合することが可能な抗体は、B細胞集団の変化によって選択され、大量に産生される鍵となる抗体を生じる。これらの変化のためのメカニズムには、クローンの増大、イソタイプスイッチ、および免疫グロブリン可変領域の体細胞変異が含まれる。病原体を結合可能である抗体の生成に関与するB細胞は増殖し、従って、B細胞レパートリーをゆがめ、B細胞の割合を変化させる。
【0007】
C.ディフィシル外毒素Aの細胞結合ドメインに対して特異的な抗体は、マウスモデルにおいて防御的であることが見い出され、C.ディフィシルに細菌感染したがそれには無症候性(asymptotic)である患者は、上昇した抗外毒素A IgG力価を有することが見い出されている。細菌感染に応答してこのような上昇した血清抗外毒素A IgG力価を発生する感染患者は、このような上昇した力価を発生しなかった患者よりも、CDADに罹患する可能性が48倍少ない。それゆえ、C.ディフィシル外毒素Aを用いるワクチン接種は、抗C.ディフィシル外毒素A抗体の使用と同様に、治療方針として示唆されている(Giannasca PJおよびWarny M.、Vaccine,2004 Feb 17;22(7):848−56;PMID:15040937)。
【0008】
C.ディフィシル感染の治療/予防のための抗生物質に基づかない治療レジメは、ワクチン接種および受動免疫に基づく。ワクチン接種治療は、C.ディフィシル表面層タンパク質の免疫原性フラグメントまたはそのバリアントもしくはホモログ、または等価なポリペプチドフラグメントをコードする核酸配列のいずれかを患者に投与することを包含する(特許文献1に開示されるように)。受動免疫療法は、通常は、病原体によって産生される免疫原に特異的なモノクローナル抗体を患者に投与することによって達成される。一般的に、受動免疫療法は、ワクチン接種に対して応答できない免疫無防備状態の患者を治療する際に、および即時の治療を必要とし、かつワクチン投与が効果が出るのを待っていられない患者に対して特に有効である。C.ディフィシル感染の場合、受動免疫は、毒素を中和するポリクローナル免疫グロブリン(特許文献2に開示されるようなもの)または全細菌および毒素に対して惹起される抗体(特許文献3に開示されるようなもの)の患者への投与に依存する。
【0009】
それゆえ、C.ディフィシル感染の有効な治療は極めて重要であり、先行技術は、このような治療のための標的が、C.ディフィシル外毒素Aに対して、もしくは表面層タンパク質に対して標的化されるワクチン接種もしくは受動免疫療法であるべきであり、または未同定の細菌毒素に対して特異的であるポリクローナル血清としてであるべきであることを教示する。
【0010】
【特許文献1】WO 02/062379
【特許文献2】WO 99/20304
【特許文献3】WO 96/07430
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、本発明者は、治療のための特異的標的を同定した。以下の実験は、C.ディフィシルに感染した患者がアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(チオラーゼ)に対して特異的な抗体の力価の上昇を生じること、および抗アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(チオラーゼ)抗体がそれ自体有用であり、C.ディフィシル感染を治療する際に有効であることを示す。さらに、抗アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ抗体、特に、C.ディフィシル感染患者からの大部分のドミナントCDR配列から構築された合成抗体は、抗生物質バンコマイシンまたはゲンタマイシンとともに使用されたときに、C.ディフィシル感染の相乗的な療法を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明の第1の態様に従って、クロストリジウム・ディフィシルによる感染の治療または予防のための薬剤の製造におけるアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤の使用が提供される。
【0013】
本明細書において使用されるように、「治療」という用語は、他に明確に言及されない限り、広い意味を有することが意図される。従って、「治療」または「療法」は、ヒトもしくは動物の身体の障害もしくは機能不全の徴候を治癒、軽減、除去もしくは軽減し、またはこれらの障害もしくは機能不全にかかる可能性を妨害もしくは減少するように設計されている任意の治療を意味する。従って、「治療」という用語によって、疾患状態の治療、ならびにそれらの予防の両方が意味される。
【0014】
特に、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼはクロストリジウム・ディフィシル由来であってもよく、また、配列番号43の配列を有してもよい。
【0015】
アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼに対して特異的である広い範囲の阻害剤が使用されてもよい。特に、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼは、阻害剤と特異的結合対(sbp)を形成してもよく、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼは、対の第1のメンバーであり、阻害剤は第2のメンバーである。
【0016】
本明細書において、「特異的結合対のメンバー」とは、特異的に結合し、かつそれによって、他の分子の特定の空間的および極性の機構と相補的であると定義される、表面上または腔における領域を有する2つの異なる分子のうちの1つである。特異的結合対のメンバーは、リガンドおよび受容体(アンチリガンド)、sbpメンバーおよびsbpパートナー、sbpメンバーなどと呼ばれる。これらは、通常、抗原−抗体のような免疫対のメンバーであるが、この用語は、RNA−タンパク質、DNA−タンパク質などの他の特異的結合対を含むより広い意味を有する。
【0017】
従って、阻害剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントであってもよく、また、配列番号47のペプチドによって提示されるエピトープに対して特異的であってもよい。
【0018】
実験のセクションにおいて以下に詳述されるように、配列番号47の配列を有するペプチドによって提示されるエピトープは、種々の抗原の間で保存されていると同定され、それゆえに、これらの抗原によって共有される保存エピトープを提示するペプチドであると同定される。
【0019】
「抗体」という用語は、その種々の文法的な形において、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗体結合部位つまりパラトープを含む分子をいうために本明細書で使用される。このような分子はまた、免疫グロブリン分子の「抗原結合フラグメント」と呼ばれる。
【0020】
例示的な抗体分子は、インタクトな免疫グロブリン分子、実質的にインタクトな免疫グロブリン分子、およびパラトープを含む免疫グロブリン分子の部分であり、これらには、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFvおよびF(v)のような当分野において公知である部分が含まれる。抗体、それらの産生および使用は当分野において周知である(例えば、Harlow,E.およびLane,D.,「Using Antibodies:A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,1998)。
【0021】
以下の実験において詳述されるように、C.ディフィシルに感染した患者によって産生された抗体の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)はクローニングおよび配列決定され、それらの相補性決定領域(CDR)が同定された。これは、高度に免疫優勢のVH鎖CDR1〜3(CDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3)、および高度に免疫優勢のVL鎖CDR1〜3(CDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3)が存在することを示した。
【0022】
従って、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号2〜4の配列をそれぞれ有するVH鎖相補性決定領域(CDR)1〜3を有してもよい。特に、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の配列を有するVH鎖を有してもよい。
【0023】
同様に、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号17〜19の配列を有するVL鎖相補性決定領域(CDR)1〜3を有してもよい。特に、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号16の配列を有するVL鎖を有してもよい。
【0024】
上記の配列を有する合成抗体が作製および使用され、従って、この抗体は、配列番号41の配列を有してもよい。配列番号41を有する以下に詳述される抗体はまた、N末端SタグおよびC末端Hisタグを含む。これらのタグ(または他のタグ)は有用であると見なされる可能性があるが、これらは実験目的のために有用であるが、しかし治療用抗体には必要ではない。従って抗体は、例えば、さらにHisタグ、例えば、C末端Hisタグを含んでもよい。
【0025】
以下の実験は、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤が、クロストリジウム・ディフィシル感染の治療をもたらす際にそれ自体に対して有効であるのみならず、既存の抗生物質、特に、ゲンタマイシンおよびバンコマイシンと組み合わせて使用する際にもまた有用であること、およびこのような使用が相乗効果を提供することができることを示した。予備的な実験結果はまた、相乗効果がメトロニダゾールを用いて達成されることを示す。
【0026】
従って、本薬剤は、ゲンタマイシン、バンコマイシンおよびメトロニダゾールからなる抗生物質の群の少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0027】
必然的に、本発明の医薬製剤は、薬学的に許容しうるキャリア、希釈剤または賦形剤を含んでもよい(Remington’s Pharmaceutical Sciences and US Pharmacopoeia,1984,Mack Publishing Company,Easton,PA,USA;United States Pharmacopoeia,ISBN:1889788031)。
【0028】
上記に詳述されるように、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤は、クロストリジウム・ディフィシル感染の治療をもたらす際にそれ自体に対して有効である。従って、
(i)配列番号2〜4の配列をそれぞれ有するVH鎖相補性決定領域(CDR)1〜3;および
(ii)配列番号17〜19の配列を有するVL鎖相補性決定領域(CDR)1〜3、
からなる群の少なくとも1つを含む、単離および/または精製された抗体もまた、本発明に従って提供される。
【0029】
上記のように、VH鎖は配列番号1の配列を有してもよい。VL鎖は、配列番号16の配列を有してもよい。抗体は、配列番号41の配列を有してもよい。
【0030】
このような抗体をコードする核酸分子もまた提供される。この核酸分子は、単離および/または精製されてもよい。特に、核酸分子は、配列番号46の配列を有してもよい。
【0031】
本発明に従って、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)またはエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、特に、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウムによる感染の予防または治療のための薬剤の製造におけるアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤およびバンコマイシンの使用もまた提供される。
【0032】
以下の実験は、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤およびバンコマイシンの使用が、C.ディフィシル感染の相乗的な療法を生じるのみならず、E.フェシウム感染、特にバンコマイシン耐性E.フェシウム感染の相乗的な療法もまた生じることを示す。予備的な実験はまた、相乗効果がまた、E.フェカリス感染の治療においても観察されることを示した。
【0033】
アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム・ディフィシル由来であってもよい。
【0034】
阻害剤が抗体またはその抗原結合フラグメントであってもよく、また、配列番号47の配列を有するペプチドによって提示されるエピトープに対して特異的であってもよい。
【0035】
本発明の他の態様と同様に、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号2〜4の配列をそれぞれ有するVH鎖相補性決定領域(CDR)1〜3を有してもよい。このVH鎖の抗体またはその抗原結合フラグメントは配列番号1の配列を有してもよい。
【0036】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号17〜19の配列を有するVL鎖相補性決定領域(CDR)1〜3を有してもよい。このVL鎖の抗体またはその抗原結合フラグメントは配列番号16の配列を有してもよい。
【0037】
抗体またはその抗原結合フラグメントは配列番号41の配列を有してもよい。
【0038】
本発明が、2種以上の活性成分(例えば、抗体および抗生物質)を含む薬剤の供給に関する場合、本発明はまた、このような活性成分を含む組み合わせ製剤を提供する。例えば、2パック製剤が提供されてもよい。
【0039】
従って、本発明に従って、
(i)アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤;および
(ii)ゲンタマイシン、バンコマイシンおよびメトロニダゾールからなる抗生物質の群の少なくとも1つ
を含む、クロストリジウム・ディフィシルによる感染の治療のための組み合わせ製剤もまた提供される。
【0040】
(i)アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤;および
(ii)バンコマイシン
を含む、エンテロコッカス・フェシウムまたはエンテロコッカス・フェカリスによる感染の治療のための組み合わせ製剤もまた提供される。
【0041】
エンテロコッカス・フェシウムまたはエンテロコッカス・フェカリスは、バンコマイシン耐性であってよい。
【0042】
本発明はまた、患者の治療方法に拡張される。従って、本発明に従って、その必要がある患者に治療有効量のアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤を投与する工程を包含する、クロストリジウム・ディフィシルによる感染の治療方法もまた提供される。この方法は、治療有効量の、ゲンタマイシン、バンコマイシンおよびメトロニダゾールからなる抗生物質の群の少なくとも1つを投与する工程をさらに包含してもよい。
【0043】
本発明に従って、治療有効量の、
(i)アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤;および
(ii)バンコマイシン
を、その必要がある患者に投与する工程を包含する、エンテロコッカス・フェシウムまたはエンテロコッカス・フェカリスによる感染の治療方法もまた提供される。
【0044】
エンテロコッカス・フェシウムはバンコマイシン耐性であってよい。
【0045】
本発明は、C.ディフィシルおよびE.フェシウム感染の治療の型を例示としてのみ示す、以下の説明からさらに明らかである。
【0046】
実験
以下の実験において、合成抗体は、C.ディフィシルに感染した患者からの大部分の優勢なVH抗体配列およびVL抗体配列を使用して構築した。この合成抗体を用いて、抗原を単離および精製し、そしてエレクトロスプレー質量分析を使用して、単離したタンパク質についての推定の部分配列を決定した。マッチについてC.ディフィシルのゲノム配列を検索することによって、可能性のある候補マッチング配列を同定した。候補C.ディフィシル配列の比較によって、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(チオラーゼ)酵素として分類され、この配列をこのファミリーのメンバーとして確認する多数の相同タンパク質を同定した。最も密接したマッチは、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)からのNP_349376であり、これは、391個のアミノ酸にわたって68%の相同性を示した。候補タンパク質のクローニング、発現、および精製により、合成抗体と強く結合するタンパク質を得た。さらなる実験により、C.ディフィシルのアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(チオラーゼ)に対して特異的な抗体が、C.ディフィシル感染を治療する際に、バンコマイシンおよびゲンタマイシンと相乗効果を示すことが示された。予備的な実験はまた、相乗効果がメトロニダゾールを用いてもまた達成可能であることを示す。
【0047】
実験はまた、バンコマイシン耐性E.フェシウムの治療における、合成抗体とバンコマイシンの間の相乗効果を示す。予備的な実験(示さず)はまた、E.フェカリス感染の治療における合成抗体とバンコマイシンの間の相乗効果を示す。
【0048】
他に言及されない限り、すべての手順は、標準的なプロトコルを使用して、および適用可能な場合、メーカーの使用説明書に従って実行した。PCR、分子クローニング、操作および配列決定、抗体の製造、エピトープマッピングおよびミモトープ設計、細胞培養ならびにファージディスプレイを含む種々の技術についての標準的なプロトコルは、McPherson,M.J.ら(1991,PCR:A practical approach,Oxford University Press,Oxford)、Sambrook,J.ら(1989,Molecular cloning:a laboratory manual,Cold Spring Harbour Laboratory,New York)、HuynhおよびDavies(1985,「DNA Cloning VoI I − A Practical Approach」,IRL Press,Oxford,D.M.Glover編)、Sanger,F.ら(1977,PNAS USA 74(12):5463−5467)、Harlow,E.およびLane,D.(「Using Antibodies:A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,1998)、Jung,G.およびBeck−Sickinger,A.G.(1992,Angew.Chem.Int.Ed.Eng.,31:367−486)、Harris,M.A.およびRae,I.F.(「General Techniques of Cell Culture」,1997,Cambridge University Press,ISBN 0521 573645)、「Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual」(Kay,B.K.,Winter,J.,およびMcCafferty,J.編、Academic Press Inc.,1996,ISBN 0−12−402380−0)などのテキストに記載されている。
【0049】
とりわけ、本明細書に詳述される方法において有用である試薬および装置は、Amersham(www.amersham.co.uk)、Boehringer Mannheim(www.boehringer−ingeltheim.com)、Clontech(www.clontech.com)、Genosys(www.genosys.com)、Millipore(www.millipore.com)、Novagen (www.novagen.com)、Perkin Elmer(www.perkinelmer.com)、Pharmacia(www.pharmacia.com)、Promega(www.promega.com)、Qiagen(www.qiagen.com)、Sigma(www.sigma−aldrich.com)およびStratagene(www.stratagene.com)等の業者から入手可能である。
【0050】
ここに引用される参考文献を含む、本明細書において議論される各々の参考文献の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
「PMID」参照番号が文献に与えられる場合、これらは、国立医学図書館(the US National Library of Medicine)によって文献に割り当てられたPubMed識別番号であり、そこから、各刊行物についての書誌情報および要約が、www.ncbi.nlm.nih.govにおいて利用可能である。またこれによって、特に、例えば、PNAS、JBCおよびMBCの刊行物の場合、完全な刊行物の電子コピーへ直接アクセスすることが可能となる。配列相同性は、全米バイオテクノロジー情報センター(the National Center for Biotechnology Information,USA)(www.ncbi.nlm.nih.gov)におけるBLAST2プログラム(Tatusova TAら、FEMS Microbiol Lett.1999 May 15;174(2):247−50;PMID:10339815)を、デフォルトパラメータと共に使用して決定される。
【0052】
C.ディフィシルに感染した患者からの優性VHおよびVL抗体配列の同定
C.ディフィシルに感染した患者からの抗体配列を同定するため、および優性抗体配列、特にCDR配列を決定するために、WO 03/052416に詳述されている方法を使用した。以下の基本工程を使用して、抗体を産生するB細胞を同定し、配列決定し、そして分析した(WO 03/052416を参照のこと):
(1)ヒト患者の循環B細胞からのVHおよび/またはVLコード領域の単離。
【0053】
(2)VHおよび/またはVLレパートリーのヌクレオチド配列の決定。
【0054】
(3)VHおよび/またはVL一次アミノ酸配列の決定。
【0055】
(4)インシリコでのCDR領域の抽出−データベースへの取り込み。
【0056】
(5)VHおよび/またはVLレパートリーにおける優性CDRおよびフレームワーク領域の検出。
【0057】
(6)優性抗体配列からの治療組換え抗体の構築および産生。
【0058】
抗体のフラグメントを、4例の感染患者(D01、D02、D03およびD04)から配列決定した。
【0059】
重鎖(CDH1)
CDH1は、C.ディフィシル感染患者からの最も共通して存在するVH鎖であった。これは、患者の抗体VH鎖からのCDR3配列の分析から同定された。C.ディフィシル感染患者からクローニングされた抗体の226/1011(22.4%)が、同じCDR3配列(CDR−H3、下記)を有した。CDH1は、患者の4分の3において存在することが見い出された。そのCDR3配列は、患者D01からのクローンの184/318(57.9%)において出現し;D03においてクローンの40/291(13.7%)において出現し;D04においてクローンの2/252(0.8%)において出現した。最も一般的な全長VH配列は配列番号1である。
【0060】
このVH鎖配列中で、CDR(相補性決定領域)配列は以下の通りである:
CDR−H1 配列番号2
CDR−H2 配列番号3
CDR−H3 配列番号4。
【0061】
相同性検索により、CDR−H3配列(配列番号4)に対する70%より高い相同性を有するいくつかの他のCDR3配列を同定し、これらはすべてC.ディフィシル患者からであった。CDR3配列は配列番号5〜15である。
【0062】
軽鎖(CDL1)
H1L1についての軽鎖は、C.ディフィシル感染患者からの最も共通するCDR3配列を有するクローンに由来した。CDL1は、84/251(33.5%)の頻度で、患者D01において存在した。このCDR3配列を含む最も共通するVL配列は配列番号16であった。
【0063】
このVL鎖配列中で、CDR(相補性決定領域)配列は以下の通りである:
CDR−L1 配列番号17
CDR−L2 配列番号18
CDR−L3 配列番号19。
【0064】
相同性検索により、CDR−L3配列に対する70%より高い相同性を有するいくつかの他のCDR3配列を同定し、これらはすべてC.ディフィシル患者からであった。CDR3配列は配列番号20〜40である。
【0065】
抗体H1L1の構築およびクローニング
合成抗体H1L1を以下のようにして構築した:CDH1およびCDL1を配列決定ベクターから別々にPCR増幅し、DNA配列決定を容易にするためにクローニングベクターpGEM−T easy(Promega Corporation)にクローニングした。このために、3μgのPCR産物を、メーカーの使用説明書に従って、QIAquick PCR精製スピンカラム(Qiagen,UK)を使用して制限のために調製した。DNAを40μL緩衝液EB中でスピンカラムから溶出した。精製したPCR産物(2μl)を1μLのpGEM−T easyベクター、6μLの水および1μLのDNAリガーゼと混合し、この混合物を1時間室温でライゲーションした。次いで、ライゲーションをエレクトロコンピテントな大腸菌(E.coli)TG1細胞(Stratagene)に、エレクトロポレーションによって形質転換し、アンピシリン100μg ml−1、IPTG(100μM)およびX−gal(0.006% w/v)を含む寒天プレート上にプレートした。コロニーを37℃で一晩成長させ、次いで、4℃で保存した。組換えコロニーを、この培地上の白色コロニーとして同定する。
【0066】
これにより、N末端SタグおよびC末端Hisタグを有する、配列番号41のアミノ酸配列を有する一般的構造:
Sタグ−CDH1−リンカー−CDL1−Hisタグ
を有する抗体を得た。
【0067】
抗体H1L1についての標的−アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(チオラーゼ)の同定
材料および方法
サンプル調製
血液寒天プレート上で成長させたクロストリジウム・ディフィシル細胞(NCTC 11204)を、10mMのPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)中に懸濁し、5×1分間、氷上で超音波処理した。細胞溶解物を13000rpmで5分間遠心分離し、300μlの上清を、20mLの冷アセトン中10%トリクロロ酢酸および20mM DTT(ジチオスレイトール)中で45分間沈殿させた。タンパク質を遠心分離によって回収し、ペレットを、20mM DTTを含む冷アセトンで3回洗浄した。
【0068】
2D−ゲル電気泳動
タンパク質ペレットを、サンプル再水和溶液(水中の7M尿素、2Mチオウレア、3%(w/v)CHAPS、0.002%ブロモフェノールブルー)に溶解し、同じ溶液で希釈して等電点電気泳動にかけた。等電点電気泳動は、3〜10の非線形pH範囲(7cm)にわたって、Zoom IPGRunner(RTM)システム(Invitrogen Ltd(米国、カリフォルニア州、カールズバッド(Charlsbad,CA,USA))を使用して、全体で1700Vhで、各ストリップ上に約15μgのタンパク質をロードして実行した。二次元目の分離の前に、ストリップを、65mM DTTを含む平衡化緩衝液(水中の50mM Tris−HCl(pH8.8)、6M尿素、30%グリセロール、2%(w/v)SDS、0.002%ブロモフェノールブルー)中で、15分間平衡化し、次いで、125mMヨードアセトアミドを含む同じ緩衝液中で、さらに15分間平衡化した。
【0069】
二次元目の分離を、NuPage 4〜12% Bis−TrisZoomゲルおよびMOPS緩衝液(Invitrogen Ltd(米国、カリフォルニア州、カールズバッド))を使用して実行した。タンパク質を、Invitrolon PVDF膜(Invitrogen Ltd(米国、カリフォルニア州、カールズバッド))に転写ブロッティングし、10mM PBS中の0.1%Tween20中の5%スキムミルク中で1時間ブロックした。
【0070】
イムノブロッティング
抗体H1L1の標的を同定するために、膜を、10mM PBS中の0.1%Tween20中の5%スキムミルク中の精製H1L1抗体とともに1時間インキュベートした。洗浄後、10mM PBS中の0.1%Tween20で1:500の比率で希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ(Santa Cruz Biotechnologies)と結合体化した抗His抗体を使用して、結合したH1L1を検出した。10mM PBS中の0.1%Tween20での洗浄後、ブロットをECL(Amersham biosciences,(英国、リトル・チャルフォント(Little Chalfont,UK))を使用して発色させた。
【0071】
クロストリジウム・ディフィシルに感染した患者におけるIgG抗体についての標的を可視化するために、膜を、10mM PBS中の0.1%Tween20で1:20〜1:50に希釈した血清とともに1時間インキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ(ECL用)、または膜がSigmaFast(RTM)5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウムタブレット(Sigma)を使用して発色される、アルカリホスファターゼ(Sigma)を使用した。
【0072】
エレクトロスプレー質量分析
ゲルから切り出されたタンパク質のバンドまたはスポットを、25mM炭酸水素アンモニウム中で10分間洗浄し、25mM炭酸水素アンモニウムとアセトニトリル(1:2)を使用して15分間脱水した。炭酸水素アンモニウムを用いる洗浄および脱水の工程を繰り返した後、ゲルの小片をSpeedVac(RTM)中で乾燥させた。少量のトリプシン(25mM炭酸アンモニウム中10μg/ml)を、ゲルの小片がそれらのもともとのサイズに戻るまで加え、少量の25mM炭酸アンモニウムを加えて、消化の間にゲル小片が濡れた状態を保持した。サンプルを37℃で4.5時間消化し、ペプチドを、80μlアセトニトリルを加えることによって15分間抽出した。上清を、すべてのアセトニトリルが蒸発するまで、SpeedVac中で乾燥させた。サンプルを、C−18 Zip−Tips(Millipore)を使用して脱塩し、ナノスプレー飛行時間(nano−spray time−of−flight)質量分析(Q−TOF,Micromass(英国、マンチェスター(Manchester,UK))を使用して分析した。
【0073】
結果:
2Dゲルおよびイムノブロッティングを使用する抗体H1L1についての標的の単離
イムノブロッティングと組み合わせた2Dゲルを使用して、2Dゲル上の抗原を特定した。2つのブロットは、比較する場合、1つは、最も豊富な抗体がH1L1の鋳型であった患者からの血清を使用し、1つは発現および精製されたH1L1を使用する。両方が同じタンパク質スポットと反応した。同じタンパク質は、C.ディフィシルに起因する下痢から回復した4例の患者において抗原性であった。
【0074】
カラム法を使用する標的タンパク質の単離
C.ディフィシルの臨床分離株(本明細書では、C.ディフィシル感染患者から単離した、株CD 14000287と呼ぶ)を、チオグリコール酸およびL−システイン−HClを補充したブレインハートインフュージョンブロス中で、37℃で48時間、嫌気的に成長させた。この細胞懸濁液をSorval RC−3B遠心分離機で、5000rpmで20分間遠心分離して細胞をペレット化し、この細胞ペレットをPBSで1回洗浄し、上記のように再遠心分離した。洗浄した細胞ペレットをPBS中に再懸濁し、さらなる使用まで−20℃で保存した。凍結細胞懸濁液の2mlアリコートを融解し、卓上微量遠心分離機で、14000rpmで5分間遠心分離して細胞をペレット化し、このペレット化した細胞を4mlの6Mグアニジン−HCl(pH8.0)中に再懸濁した。グアニジン抽出したタンパク質を、Beckman L8−70M遠心分離機で、20℃で1時間、45000rpmで遠心分離して清澄化した。上清を、2リットルの20mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)に対して3回、室温で透析し、抽出タンパク質をAminoLink(Perbioにより供給される)カラムに対して適合する緩衝液に交換した。20mM炭酸ナトリウム(pH9.5)中の2mlのH1L1抗体溶液(〜2mg/ml)を、メーカーの使用説明書(Perbio)に従って、プレパック2mlカラム中で、20mM炭酸ナトリウム(pH9.5)で平衡化したAminoLink樹脂に、共有結合した。次いで、C.ディフィシル抗原含有抽出物(1.5ml)を、共有結合したH1L1カラムに塗布し、室温で1時間、樹脂とともにインキュベートした。未結合物質を、12mlの20mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)でカラムから洗浄し、結合した抗原を、8mlの0.1Mグリシン緩衝液(pH2.5〜3.0)を適用することによって溶出した。溶出したタンパク質を、1M Tris(pH9.0)で中和し、その後Amicon 15ml濃縮器アダプター上で〜200μlまで濃縮を行った。次いで、この濃縮したタンパク質材料を10%(w/v)SDS−PAGEによって分析し、Coomassie Blue染色によって可視化した。次いで、H1L1相互作用タンパク質バンドを、質量分析によって同定した。
【0075】
質量分析を使用する単離したタンパク質の同定
タンパク質のバンドまたはスポットをゲルから切り出し、トリプシンを用いて37℃で消化した。サンプルを、ナノエレクトロスプレー飛行時間質量分析を使用して分析し、これにより配列番号42の配列を得た。
【0076】
カラムベースの方法を使用して単離したタンパク質と同じペプチドを、2Dゲル実験からのサンプルにおいて見い出した。
【0077】
Sanger Institute(www.sanger.ac.uk/projects/C_difficile/)でBLST検索を使用してクロストリジウム・ディフィシルゲノムを検索することにより、マッチとして配列番号43が得られる。
【0078】
理論的pI:5.74、分子量:43430.30 Daは、分子量が約44kDでありpIが5.5〜6であった2Dゲル上のタンパク質の位置とよく相関する。
【0079】
デフォルト設定を使用する、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/におけるタンパク質−タンパク質NCBI BLAST検索において配列番号43のタンパク質配列を使用すると、アセチル−CoA−アセチルトランスフェラーゼ(チオラーゼ)アクセッション番号NP_349376と、391個のアミノ酸にわたって68%の同一性で高い類似性が示される。
【0080】
アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼのクローニング
クローニングおよび大腸菌中での発現のために、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼをコードする配列を、C.ディフィシルゲノムDNAから直接的にPCR増幅し、メーカーの使用説明書に従って、DNeasyスピンカラム(Qiagen)を使用して調製した。
【0081】
使用したPCRプライマーを、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼに対して候補マッチをコードするC.ディフィシルのゲノムDNA配列と直接比較することによって同定および設計し、これらはSIGMA Genosysによって合成された配列番号44および45である。Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を使用して増幅を実行し、発現ベクターpBAD−TA(Invitrogen)への直接的ライゲーション非依存的クローニングが可能となり、アラビノース誘導性プロモーターaraBADの制御下で、発現されたアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼにC末端融合したHis−tagを付加した。クローニング混合物を、発現株TOPlO(Invitrogen)に形質転換し、組換え体を、SDS−PAGEおよびモノクローナル抗Hisタグペルオキシダーゼ共役抗体(SIGMA)を使用するイムノブロッティングを使用して同定した。得られたプラスミドをpThiollと称する。
【0082】
アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの発現および精製
6Hisタグチオラーゼ融合タンパク質の過剰発現のために、大腸菌株TOPlO(pThioll)を、対数増殖後期まで成長させ(200rpmで振盪しながら37℃でOD600 1.0)、タンパク質発現を、アラビノースの添加によって、0.2%の最終濃度まで誘導した。さらに240分間成長させた後、細菌を遠心分離(500g、10分間、4℃)によって収集し、ペレットを溶解緩衝液(6M塩酸グアニジン、50mM Tris−HCl(pH8))中に、開始体積の1/20で再懸濁し、室温で1時間混合して可溶化した。不溶性物質を、さらなる遠心分離工程(10000g、室温にて10分間)によって除去し、上清を、メーカーの使用説明書に従って、Qiagen spin−prep Ni−NTAカラムに塗布した。このカラムを600μlの溶解緩衝液で3回洗浄し、続いて600μlの洗浄緩衝液1(8M尿素、50mM Tris/HCl(pH8))で3回、および600μlの洗浄緩衝液2(8M尿素、50mM TrisHCl(pH8)、25mMイミダゾール)で3回洗浄を行った。Hisタグタンパク質を、100μlの溶出緩衝液(8M尿素、50mM Tris/HCl(pH8)、250mMイミダゾール)を用いてカラムから溶出し、この溶出工程を繰り返し、両方の画分をプールした。サンプルをSDS−PAGEによって分析した。
【0083】
クローニングしたアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼに対する抗体H1L1の試験
クローニングしかつ精製したアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼを、ローディング緩衝液およびDTTと1:1に混合し、90℃で5分間加熱ブロック上に置いた。5〜15μlを、NuPAGE−MES SDS泳動緩衝液(Invitrogen)を使用して、10% BisTrisゲル(Invitrogen)上で35分間分離した。
【0084】
タンパク質を、Invitrolon PVDF膜(Invitrogen Ltd(米国、カリフォルニア州、カールズバッド))上に転写ブロッティングし、10mM PBS中の0.1%Tween20の5%スキムミルクに1時間ブロットした。この膜を、10mM PBS中の0.1%Tween20中で、H1L1とともに1:10で(約400μg/mlの濃度)でインキュベートした。10mM PBS中の0.1%Tween20を用いて5分間、3回洗浄し、次いで、Sタンパク質HRP複合体(Novagen)とともに、1:1000で、1時間インキュベートした。ブロットを、Sigma−Fast DABステインを使用して発色させ、50kDaマーカーのすぐ下にあるチオラーゼバンドに対して強力な応答を示す。
【0085】
それゆえ、C.ディフィシル感染した患者からの抗体は、C.ディフィシルアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼに対して集中されており、これらの患者の優性な軽鎖および重鎖CDRから構築された合成抗体は、C.ディフィシルアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼに対して特異的である。従って、C.ディフィシルアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼは強力な抗原であり、抗体H1L1はそれを結合する際に有用である。
【0086】
保存エピトープ
クロストリジウム アセトブチリカムのブタノール/酪酸産生経路において3つの連続した酵素が存在しており、これはまた、クロストリジウム・ディフィシル染色体上にも存在する。これらは、クロストリジウム・ディフィシルからの上清タンパク質に対して惹起されたウサギ抗血清と反応することが分かっている(Mullany Pら、FEMS Microbiol Lett.,1994 Nov 15;124(1):61−7;PMID:8001771)。
【0087】
酵素が保存エピトープを共有すると仮定すると、唯一の相同領域はチオラーゼ(アクセッション番号P45362)における残基9〜12において見い出すことができ、これはクロトナーゼ(アクセッション番号P45361)残基5〜8に存在し、そしてこの保存配列は配列番号47である。
【0088】
エンテロコッカス・フェシウムおよびクロストリジウム・ディフィシル組み合わせ薬物MIC
アッセイ前製剤
生物をColumbia Blood Agarプレート(CBA)上で培養し、単一コロニーを得て、37℃で24時間(E.フェシウム)または嫌気的に48時間(C.ディフィシル)インキュベートした。
【0089】
抗微生物剤を、NCCLS方法論(M7−6A)に従って調製し、バンコマイシンおよびゲンタマイシンについては全体で14通りの濃度、ならびにH1L1については11通りの濃度を得た。バンコマイシンおよびゲンタマイシンの初期の希釈は、dHO中で作製し、H1L1は初期には製剤緩衝液(100ml中:3.484gアルギニン(200mM)、3.006g尿素(0.5M)、pH9.5)中で希釈した。引き続く希釈を、使用する生物にとって適切な成長培地中で作製した。この薬剤を−20℃でアリコートに保存し、使用する日に融解した。
【0090】
濃度は、必要とされる最終濃度の2倍であった。
【0091】
1.培地の調製
E.フェシウム培地−カチオン調整ミュラーヒントン(Mueller Hinton)ブロス(NCCLS M7−6A):1リットルのミュラーヒントンブロス(OXOID,MHB)、2mlの10mg/ml CaClおよび500μlの10mg/ml MgClを加えた。
【0092】
C.ディフィシル培地−
(1)補充ブルセラ(Brucella)ブロス(NCCLS M11−A5):900mlのブルセラブロス粉末(SIGMA)に、1mlのヘミン(5mg/ml)および1mlのビタミンK(1mg/ml)を加えた。オートクレーブ後、100mlの溶解ウシ血液(5%)を加えた。
【0093】
(2)強化クロストリジウム培地(RCM)を、メーカーの使用説明書に従って、1リットルのdHO中38gで調製した。
【0094】
2.MICプレート調製−表1。
【0095】
薬物1−バンコマイシンまたはゲンタマイシン(0.0625μg/ml〜512μg/mlの範囲の最終濃度)
U型96ウェルマイクロタイタープレートに、必要とされる濃度の2倍のバンコマイシンまたはゲンタマイシン(50μl)をマイクロタイタープレートの最初の行に沿って、左から右に加え、最後のウェルをブランクのままにする。これを、2倍の減少濃度のバンコマイシンを使用して、他の行で繰り返した。
【0096】
薬物2−H1L1抗体(0.25μg/ml〜256μg/mlの範囲の最終濃度)
H1L1(50ml)を列に加える。必要とされる濃度の2倍を第1の列に加えた。2倍の減少濃度のH1L1でプレートに沿って移動して(左から右に)、他の列についてこれを繰り返した。最後の列はブランクのままである。
【0097】
最後の列は100μlの成長培地のみを含む。
【0098】
バンコマイシンおよびゲンタマイシンの連続濃度を、上記と同じ様式であるが第2のマイクロタイタープレートで実施した。H1L1濃度は上記と全く同じであり、培地のみのコントロールは列12であった。
【0099】
接種材料の調製−直接コロニー懸濁液
−接種材料を、細菌の使用の直前に調製した。
【0100】
−18〜24時間(E.フェシウム)または48時間(C.ディフィシル)寒天プレートからのコロニーを、適切な成長培地または滅菌生理食塩水に再懸濁することによって、直接コロニー懸濁液を作製した。
【0101】
−次いで、これを0.5 MacFarlands標準に調整し、NCCLS M7−6A(E.フェシウム)およびNCCLS M11−A5(C.ディフィシル)に従って、成長培地中で1:10に希釈した(およそ1×10cfu/ml)。
【0102】
プレート接種
−上記のように調製した1:10接種懸濁液を5μl使用して各ウェルに接種した(最終接種材料5×10cfu/ml)。
【0103】
−プレートはウェル12〜ウェル1まで接種した。
【0104】
インキュベーション
−プレートを、37℃で24時間(E.フェシウム)または嫌気的に48時間(C.ディフィシル)インキュベートした。
【0105】
−接種をチェックするために、成長コントロールから10μlを10ml滅菌生理食塩水中で希釈し(1:1000)、100μlをCBAプレート上に配置し、37℃で24時間(E.フェシウム)または嫌気的に48時間(C.ディフィシル)インキュベートした。50個のコロニーが、5×10cfu/mlと等価であった。
【0106】
読み取りの結果
MICを、生物の成長を実質的に阻害する薬物の最低濃度として取った。
【0107】
第2の薬物の存在下でのMICを、その薬物の非存在下でのIMCによって除算することによって、各薬物についてFIC(フラクション阻害濃度)を計算した。各組合わせについて、これは、2つのフラクションを生じ、これを合計してFICI(フラクション阻害濃度指数)を生じた:相乗効果を、≦0.5の値によって定義し、無差別を>0.5から<4の値によって定義し、そして拮抗作用を≧4.0の値によって定義した。
【0108】
結果
これらの結果は、H1L1とバンコマイシンおよびゲンタマイシンとの間の相乗効果を実証する。
【0109】
結論
これらの結果は、(i)H1L1とバンコマイシンとの間、および(ii)H1L1とゲンタマイシンとの間の両方で、C.ディフィシル14000287およびC.ディフィシルNCTC 11204に対して相乗効果を実証した。これは、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウムにおけるバンコマイシンとH1L1の間の相乗効果を示した。
【0110】
可変単鎖脂肪酸(SCFA)およびH1L1抗体濃度の存在下におけるクロストリジウム・ディフィシルの成長
SCFAの調製
使用した3つのSCFAは酢酸塩、プロピオン酸塩および酪酸塩であった。
【0111】
各々を以下のようにして1Mの濃度で調製した:
酢酸ナトリウムFW82.03−1リットルdHO中82.03g
酪酸ナトリウムFW110.09−1リットルdHO中110.09g
プロピオン酸ナトリウムFW96.06−1リットルdHO中96.06g。
【0112】
これらの3つの溶液を、それぞれ70:20:10の比率で一緒にした。従って、最終溶液中では、濃度は、酢酸ナトリウム0.7M、酪酸ナトリウム0.2M、およびプロピオン酸ナトリウム0.1Mであった。全体のSCFAの最終濃度は1Mであった。
【0113】
このストック溶液から、強化クロストリジウム用培地(RCM,DIFCO)を使用して、5、10、20、30、40および50mMの濃度の全体のSCFAを調製した。
【0114】
培地の調製
強化クロストリジウム用培地(RCM)をメーカーの使用説明書に従って調製した:1リットルのdHO中に38g。
【0115】
成長曲線
アッセイ前日
培養物を、使用直前に嫌気的条件からのみ取り出した。好気的条件への曝露は30分間以内とした。
【0116】
C.ディフィシルの一晩培養を、48時間齢のColumbia Blood Agarプレートの生物からのコロニーを用いる10mlのRCM培地への接種により作製した。この懸濁液を嫌気的条件下で、37℃で24時間インキュベートした。
【0117】
アッセイ当日
コントロールプレート
平底96ウェルマイクロタイタープレート中で、表4において以下に概説されるように、コントロール溶液(200μl)をウェル中に配置した。各コントロールは3ウェルを使用した。
【0118】
試験プレート
平底96ウェルマイクロタイタープレート中で(行をA〜Hとラベルし、列を1〜12とラベルする)、試験溶液(100μl)を、以下に詳述するようにウェル中に配置した。2つの試験溶液、SCFAプラスH1L1、を合わせた体積は200μlである。各試験は2ウェルを使用した。ウェルは、行Aに50mM SCFAを含み;行Bに40mM SCFAを含み;行Cに30mM SCFAを含み;行Dにおいて20mM SCFAを含み;行Eに10mM SCFAを含み;行Fに0.5mM SCFAを含んだ。ウェルは、列1および2に16μg/ml H1L1を含み;列3および4に8μg/ml H1L1を含み;列5および6に4μg/ml H1L1を含み;列7および8に2μg/ml H1L1を含み;列9および10に1μg/ml H1L1を含み;列11および12に0.5μg/ml H1L1を含んだ。行Gは空である。200μlRCMは、プレートについての成長コントロールとして、行Hにおけるすべてのウェルに配置した。
【0119】
接種材料の調製
培養物を、使用直前に嫌気的条件からのみ取り出した。好気的条件への曝露は30分間以内とした。
【0120】
対数増殖後期の一晩懸濁培養物を使用して、マイクロタイタープレートを接種した。コントロールプレート上の培地/ネガティブコントロールを除いて、20μl(約10%接種材料)をすべてのウェルに加えた。
【0121】
プレートを、嫌気的条件下で24時間、37℃にてインキュベートした。
【0122】
光学密度の読み取り(OD600nm)を0時間および24時間の時点で行った。平均OD600nmの読み取りを決定した。
【0123】
結果
コントロール−表5を参照のこと。
【0124】
結論−
1.10、20、30、および40mMのSCFAはそれ自体効果がなかったが、50mM SCFAを用いるとある程度の減少が見られた。
【0125】
2.0.5、1、2、4、および8μg/mlのH1L1を用いても効果がなかったが、16μg/mlのH1L1を用いると阻害が見られた。
【0126】
試験−表6を参照のこと。
【0127】
結論−
1、2、および4μg/mlのH1L1ならびに5mMのSCFA(データ示さず)を用いても違いが見られなかった。8μg/mlのH1L1および10〜50mMのSCFAを用いて相乗効果が見られ、24時間での光学密度は0.296〜0.330の範囲にあった。この効果は、16μg/mlのH1L1および50mMのSCFAを用いた場合最も明白であった。
【0128】
【表1】

【0129】
【表2】

【0130】
【表3】

【0131】
【表4】

【0132】
【表5】

【0133】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロストリジウム・ディフィシルによる感染の治療または予防のための薬剤の製造におけるアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤の使用。
【請求項2】
前記アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼがクロストリジウム・ディフィシル由来である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記阻害剤が抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項1または2のいずれか1項記載の使用。
【請求項4】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号47の配列を有するペプチドによって提示されるエピトープに対して特異的である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号2〜4の配列をそれぞれ有するVH鎖相補性決定領域(CDR)1〜3を有する、請求項3または4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが配列番号1の配列を有するVH鎖である、請求項5記載の使用。
【請求項7】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号17〜19の配列を有するVL鎖相補性決定領域(CDR)1〜3を有する、請求項3〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが配列番号16の配列を有するVL鎖である、請求項7記載の使用。
【請求項9】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが配列番号41の配列を有する、請求項3記載の使用。
【請求項10】
前記薬剤が、ゲンタマイシン、バンコマイシンおよびメトロニダゾールからなる抗生物質の群の少なくとも1つをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
(i)アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤;および
(ii)ゲンタマイシン、バンコマイシンおよびメトロニダゾールからなる抗生物質の群の少なくとも1つ
を含む、クロストリジウム・ディフィシルによる感染の治療のための組み合わせ製剤。
【請求項12】
(i)配列番号2〜4の配列をそれぞれ有するVH鎖相補性決定領域(CDR)1〜3;および
(ii)配列番号19の配列を有するVL鎖相補性決定領域(CDR)3
からなる群の少なくとも1つを含む、単離および/または精製された抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項13】
前記VH鎖が配列番号1の配列を有する、請求項12記載の単離および/または精製された抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項14】
前記VL鎖が配列番号16の配列を有する、請求項12または13のいずれかに記載の単離および/または精製された抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項15】
前記抗体が配列番号41の配列を有する、請求項12に記載の単離および/または精製された抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項16】
請求項15に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸分子。
【請求項17】
配列番号46の配列を有する、請求項16記載の核酸分子。
【請求項18】
エンテロコッカス・フェシウムおよびエンテロコッカス・フェカリスによる感染の予防または治療のための薬剤の製造におけるアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤およびバンコマイシンの使用。
【請求項19】
前記エンテロコッカス・フェシウムまたはエンテロコッカス・フェカリスがバンコマイシン耐性である、請求項8記載の使用。
【請求項20】
前記アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼがクロストリジウム・ディフィシル由来である、請求項18または19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
前記阻害剤が抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項18〜20のいずれか1項記載の使用。
【請求項22】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号47の配列を有するペプチドによって提示されるエピトープに対して特異的である、請求項21記載の使用。
【請求項23】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号2〜4の配列をそれぞれ有するVH鎖相補性決定領域(CDR)1〜3を有する、請求項21または22のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
前記VH鎖の抗体またはその抗原結合フラグメントが配列番号1の配列を有する、請求項23記載の使用。
【請求項25】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号19の配列を有するVL鎖相補性決定領域(CDR)3を有する、請求項21〜24のいずれか1項記載の使用。
【請求項26】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号16の配列を有するVL鎖である、請求項25記載の使用。
【請求項27】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが配列番号41の配列を有する、請求項21記載の使用。
【請求項28】
(i)アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤;および
(ii)バンコマイシン
を含む、エンテロコッカス・フェシウムまたはエンテロコッカス・フェカリスによる感染の治療のための組み合わせ製剤。
【請求項29】
クロストリジウム・ディフィシルによる感染の治療方法であって、その必要がある患者に治療有効量のアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤を投与することを包含する方法。
【請求項30】
治療有効量の、ゲンタマイシン、バンコマイシンおよびメトロニダゾールからなる抗生物質の群の少なくとも1つを投与することをさらに包含する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
エンテロコッカス・フェシウムまたはエンテロコッカス・フェカリスによる感染の治療方法であって、
治療有効量の、
(i)アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの阻害剤;および
(ii)バンコマイシン
を、その必要がある患者に投与する工程を包含する方法。
【請求項32】
エンテロコッカス・フェシウムまたはエンテロコッカス・フェカリスがバンコマイシン耐性である、請求項31記載の方法。

【公表番号】特表2008−505621(P2008−505621A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518708(P2007−518708)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002607
【国際公開番号】WO2006/003426
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(500030172)ニュウテック ファーマ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】