説明

組成物

(a)界面活性剤材料;(c)一般式−(CHCHNH)−のポリエチレンイミン;および(d)式(I)で表されるエチレン1個分不飽和な芳香族カルボン酸エステル(式中、Rは、水素、C−C16アルキル、C−C16アルコキシ、アリールおよび置換アリールからなる群から選択され、Rは、アリール、置換アリールおよびC−C16アルキルからなる群から選択される)を含む界面活性剤組成物であって、材料(b)〜(d)がそれぞれ最大10,000の臭値を有する、前記界面活性剤組成物。通常、低品質の界面活性剤材料が用いられる場合に直面する悪臭の問題は、有意に低減される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤組成物、とくに基質を洗浄および処理するためのものに関し、およびそれらの使用した結果としての、望ましくない匂いを防ぐ方法に関する。
【発明の開示】
【0002】
本明細書において、“界面活性剤組成物”との用語の使用は、基質の洗浄とコンディショニングを含むクリーニングアプリケーションにおいて水とともに用いられる場合に水相と非水相の両方に親和性を有する材料を含む任意の組成物を意味する。この材料は、広範囲にわたって使用される合成界面活性剤(陰イオン性、陽イオン性および非イオン性)であり得、および鹸化された動物性脂肪と植物性脂肪などのより伝統的な材料でもあり得る。例として、洗剤、柔軟剤、ならびに様々な石鹸がある。
本明細書において、“基質(substrates)”との用語の使用は、洗浄またはコンディショニングを必要とすることがある任意の表面であることを意味し、および繊維、織物、皮膚、髪、ガラス、陶磁器などを含んでいる。
【0003】
世界の多くの地域では、界面活性剤組成物に、低品質の原材料を用いており、不快な匂いを有し、処理される基質にこの不快な匂いが移ることがある。特に、衣類、織物、皮膚、髪、調理器具および皿を洗浄するために使用される棒状石鹸は、多くの場合、比較的安価な材料から作られ、この材料は、典型的には動物性脂肪と植物性脂肪に由来する。このような製品に例外なく直面する問題は、悪臭である。この問題は、熱、湿気および他の添加物の存在などの様々な要因によって引き起こされ、悪臭は、時間とともに現れ、悪化していくことがある。この問題を、悪臭を中和する香料を添加することによって克服することができるが、この解決法は、不経済だけでなく常に有効であるとは限らない。
【0004】
この問題が、香料の添加を必要とすることなく、悪臭を中和でき、心地よい匂いを移すことさえできるという点において、特定の処方を用いることにより実質的に、またはすっかり完全に克服できることが今や見出された。したがって、本発明は、
(a)界面活性剤材料;
(b)一般式−(CHCHNH)−のポリエチレンイミン;および
(c)次式:
【化1】

式中、Rは、水素、C1−16アルキル、C1−16アルコキシ、アリールおよび置換アリールからなる群から選択され、Rは、アリール、置換アリールおよびC−C16アルキルからなる群から選択される、
で表されるエチレン1個分不飽和な芳香族カルボン酸エステル
を含む界面活性剤組成物であって、材料(b)および(c)は、最大10,000の臭値(odour value)をそれぞれ有する、を提供する
上記定義において、単数形の語の使用も、複数形の語の使用に含まれる。
【0005】
臭値(Odour Value)(以下“OV”)のパラメーターは、当業者に周知である。このOVのパラメーターは、NeunerとEtzweilerの方法によって決定され、そして標準的な参考文献である“Perfumes: Art, Science and Technology”(Elsevier, 1991)の153頁に記載されている。好ましくは、上記材料(b)と(c)が、5,000以下のOVを、さらに好ましくは2,000以下のOVを、そして最も好ましくは1000以下のOVを有する。
【0006】
ポリエチレンイミンは、構成単位であるエチレンイミン−CHCHNH−から構成される材料である。この鎖は、窒素上の水素が、構成単位であるエチレンイミンのもう一つの鎖によって置換される場合、分岐することがある。ポリエチレンイミンは、水溶性なので、様々な商業上の応用品に使用される。本発明において有用である市販のポリエチレンイミンの例として、LUPASOL(例えばBASF)の商標名で販売された取り揃え商品がある。ポリエチレンイミンは、様々な品質等級で市販され、800Daから2,000,000Daまでの分子量を有する。アルデヒドに関して等しいOVは、市販のポリエチレンイミンに適合する。
上記の式のエステルは、かかる任意のエステルであり得る。好ましくは、Rが、水素、C1−8アルキル、C1−8アルコキシもしくはアリールであり、およびRと独立して、Rは、好ましくはC6−12アルキルもしくはアリールである。
【0007】
“界面活性剤組成物”とは、水とともに使用される場合、基質を洗浄およびコンディショニングするために有用である任意の物質もしくはそれらの物質の組み合わせを意味する。この定義は、洗濯用洗剤および食器用洗剤および柔軟剤および品質改良剤に使用される界面活性剤の混合物のみならず、鹸化された天然油などのより伝統的な石鹸の未加工な材料をも包含する。本発明は、これらの材料のうちのいずれかとともに用いられることがあるが、アジアおよびラテンアメリカの地域において洗濯用棒状石鹸に頻繁に用いられるタイプの低品質石鹸の材料は特に有用である。このような材料は、特に時間とともに悪臭になりやすく、そこで本発明の使用により、この悪臭がかなり低減する;およびこの悪臭が完全にすっかり除去され得る。
【0008】
本発明の界面活性剤組成物は、本技術分野において認識されている分量において、組成物を洗浄および処理する際、当業者に使用されるいかなる既知の材料をも用いることがある。一つの好ましいそのような材料は、溶媒である;界面活性剤材料に上記材料(b)と(c)を添加する前に、まず材料(b)と(c)を溶媒中に溶解させることが好まれる。それは、この手順によって材料(b)と(c)の溶媒への混和がより容易だからである。代表的な溶媒は、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピルならびに安息香酸ベンジルがある。
【0009】
本発明の特に好まれる実施態様において、上記組成物は、さらに芳香性の(fragrant)アルデヒドを含み、そのOVは、最大10,000の値を有し、好ましくは5,000以下、さらに好ましくは2,000以下、および最も好ましくは1000以下の値を有する。
【0010】
本発明において使用に適しているアルデヒドの一覧表を、以下に示す;この一覧表は、典型的なアルデヒドのみであって、ここに示していない他のアルデヒドも、本発明において使用に適している。
【化2】

【0011】
使用され得るもう一つの既知の材料は、香料である。たとえ本発明が、完全に悪臭を除去できるとしても、そして仮にそれ自体が心地よい匂いを移すとしても、際立った芳香を上記組成物に移すことが望ましいといえる。このことは、本技術分野において認識されている分量において、当業者に既知の多くの香料のうち1または2以上を使用することによってなされ得る。本発明の利点の一つは、悪臭の低減または除去とともに、より少ない香料(高価な成分)によって、望ましい効果を実現することが必要とされる。この香料は、一般的に有機溶媒中に溶解された溶液であって、そしてこの香料は、上で言及した材料(b)と(c)ならびに溶媒の混合物に添加され得る。
【0012】
洗浄力強化剤、緩衝液、充填剤、帯電防止剤、防かび剤、酸化防止剤、染料、顔料、蛍光物質、殺菌剤および皮膚軟化薬などの本技術分野において認識されている他の含有物も、本技術分野において認識されている分量において使用され得る。
【0013】
本発明の組成物は、既知の方法においてそれら含有物を混合することによって調製される。上記のように、まず材料(b)と(c)を混合し、必要な場合アルデヒドとともに、好ましくは溶媒とともに混合し、そして次にこの混合物を材料(a)と混合し、本発明に記載の組成物が与えられる。この比率は、以下のようにあるべきで、
(i)芳香性のアルデヒドが存在しない場合、上記組成物は、(b)と(c)をそれぞれ重量で0.005%〜0.5%の最低限の濃度で含む。
(ii)少なくとも一種の芳香性のアルデヒドが存在する場合、(b)と(c)は、個々に0.005%〜10%の程度まで組成物中に存在する。
好ましくは、
(iii)香料が存在する場合、材料(b)+(c)(アルデヒドが存在する場合、+アルデヒド)は、材料(a)+(b)+(c)+アルデヒドの重量に対し個々に0.001〜5.0%の程度まで存在する;そして
(iv)香料が存在しない場合、材料(b)+(c)(アルデヒドが存在する場合、+アルデヒド)は、材料(a)+(b)+(c)+アルデヒドの重量に対し個々に0.01〜2.0%の程度まで存在する。
【0014】
低品質の洗濯用材料が頻繁に直面する悪臭の問題を実質的にまたはすっかり完全に克服することによって、本発明は、より広い範囲のアプリケーションにおいてその材料の使用を認める。したがって、本発明は、洗濯用材料に起こりやすい悪臭の低減のための組成物を提供し、その組成物は、以下を含む:
(a)一般式−(CHCHNH)−のポリエチレンイミン;および
(b)次式:
【化3】

式中、Rは、水素、C1−16アルキル、C1−16アルコキシ、アリールおよび置換アリールからなる群から選択され、およびRは、アリール、置換アリールおよびC6−16アルキルからなる群から選択される、
で表されるエチレン1個分不飽和な芳香族カルボン酸エステル
を含み、材料(b)および(c)は、最大10,000の臭値(odour value)をそれぞれ有する。
好ましくは、上記組成物は、上記のように、芳香性のアルデヒドをさらに含む。
【0015】
本発明は、洗濯用材料に起こりやすい悪臭を低減する方法をさらに提供し、この方法は、本質的に以下からなる組成物への添加を含む
(a)一般式−(CHCHNH)−のポリエチレンイミン;および
(b)次式:
【化4】

式中、Rは、水素、C1−16アルキル、C1−16アルコキシ、アリールおよび置換アリールからなる群から選択され、およびRは、アリール、置換アリールおよびC6−16アルキルからなる群から選択される、
で表されるエチレン1個分不飽和な芳香族カルボン酸エステル
を含み、材料(b)〜(d)は、最大10,000の臭値(odour value)をそれぞれ有する。
好ましくは、上記のように、芳香性のアルデヒドも添加される。
【0016】
本発明は、以下の限定されない例に関して、ここにさらに記載される。これらの例において、材料(b)と(c)の組み合わせ、および芳香性のアルデヒドを、香料非存在下(例1〜3)および香料存在下(例4〜6)、異なる石鹸基剤において試験した。
【実施例】
【0017】
例1
5%(wt)のジヒドロファルネサール(dihydrofarnesal)(3,7,11−トリメチル−ドデカ−6,10−ジエナール)(成分(b))、20%のLUPASOL(商品名)G100(50%活性レベル、粘度1200mPa−s、分子量(重量平均)5000(成分(c)))、15%のメトキシ桂皮酸オクチル(octyl methoxy cinnamate)(成分(d))、および60%のミリスチン酸イソプロピル(60%)の混合物を調製し、そして重量で0.2%の用量になるようにその混合物を下記のとおりに石鹸基剤に添加した。この基剤を完全に挽き、そして石鹸ケーキを作製した。このケーキを一日の間ふやけさせ、そして嗅覚によって評価した。石鹸ケーキを上記混合物なしに作製し、対照として用いた。
【0018】
評価は、その香料のノートを基にし、そしてその香料のノートがどの程度基剤のノートを覆ったかによって行った。基剤に固有の強い匂いから穏やかな匂いまでを有する様々な石鹸基剤をパネルによって評価し、以下のように格付けを与えた:
【表1】

【表2】

【0019】
石鹸基剤1は、植物由来(通常は80/20と記載され、80%のパーム油と20%のココナッツ油とから作られたことを意味する)の100%の石鹸基剤(通常は約15〜20%の水を含む)であった。
石鹸基剤2は、石鹸基剤(90%の石鹸基剤1)+10%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常高級な化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤3は、石鹸基剤(80%の石鹸基剤1)+20%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常中価格帯の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤4は、石鹸基剤(60%の石鹸基剤1)+40%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常低価格の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
【0020】
例2
10%のジヒドロファルネサール(dihydrofarnesal)、10%のLUPASOL SK(25%活性含有量、粘度500〜1000mPa−sおよび分子量2,000,000)、5%のゲラニルクロタネート(geranyl crotanate)および75%のジプロピレングリコールの混合物を調製し、そして0.3%の用量になるようにこの混合物を以下に示すタイプの石鹸基剤に添加した。この基剤を完全に挽き、そして石鹸ケーキを作製した。この混合物なしの石鹸ケーキも作製した。このケーキを一日の間ふやけさせ、そして例1に記載のように嗅覚によって評価した。
【表3】

【0021】
石鹸基剤5は、未精製のパーム油とパーム脂肪酸蒸留液との混合物から調製された植物由来の100%の石鹸基剤(通常は約15〜20%の水を含む)であった。
石鹸基剤6は、石鹸基剤(90%の石鹸基剤5)+10%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常高級な化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤7は、石鹸基剤(80%の石鹸基剤5)+20%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常中価格帯の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤8は、石鹸基剤(60%の石鹸基剤5)+40%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常低価格の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
【0022】
例3
10%のジヒドロファルネサール(dihydrofarnesal)、20%のLUPASOL(商品名)G35(50%活性レベル、粘度=450mPa−s、平均分子量2000)、20%のフマル酸ジヘキシルおよび50%のフタル酸ジエチルの混合物を調製し、そして0.1%の用量になるようにこの混合物を下記のように石鹸基剤に添加し、そして石鹸ケーキを作製した。上記混合物なしの石鹸基剤も作製した。このケーキを一日の間ふやけさせ、そして嗅覚によって評価した。
【表4】

【0023】
石鹸基剤9は、獣脂由来の100%の石鹸基剤(通常は約15〜20%の水を含む)であった。
石鹸基剤10は、石鹸基剤(90%の石鹸基剤9)+10%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常高級な化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤11は、石鹸基剤(80%の石鹸基剤9)+20%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常中価格帯の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤12は、石鹸基剤(60%の石鹸基剤9)+40%のタルクの混合物であった(このタイプの組み合わせは、通常低価格の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
【0024】
例4
5%のジヒドロファルネサール(dihydrofarnesal)、10%のLUPASOL(商品名)HF(50%活性含有量、粘度14,000mPa−sおよび分子量50,000)、5%のゲラニルクロタネート(geranyl crotanate)および80%のジプロピレングリコールの混合物を調製し、香料(香料80%+混合物20%)とともに混和した。この混合物を1.5%の用量になるように下記のとおりに石鹸基剤に添加した。この基剤を完全に挽き、そして石鹸ケーキを作製した。このケーキを一日の間ふやけさせ、そして嗅覚によって評価した。実験対照となる石鹸基剤(上記混合物はなく、この香料のみを1.5%の用量で含む)も作製し、そして試験した。
【表5】

【0025】
その石鹸基剤中の香料の用量は1.5%であり、この香料は溶媒を30%含んでいた。この混合物を添加した石鹸の場合、溶媒の比率は、混合物の分量の存在により縮小した。
【0026】
石鹸基剤Aを、植物由来(通常は80/20と記載され、80%のパーム油と20%のココナッツ油とから作られたことを意味する)の100%の石鹸基剤(通常は約15〜20%の水を含む)から作製した。
石鹸基剤Bを、石鹸基剤(90%の石鹸基剤1)+10%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常高級な化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤Cを、石鹸基剤(80%の石鹸基剤1)+20%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常中価格帯の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤Dを、石鹸基剤(60%の石鹸基剤1)+40%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常低価格の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
【0027】
例5
15%のジヒドロファルネサール(dihydrofarnesal)、5%のLUPASOL(商品名)PS(33%活性含有量、粘度1400mPa−sおよび分子量750,000)、5%のLUPASOL(商品名)G 100(50%活性レベル、粘度1200mPa−s、および平均分子量5000)、5%のメトキシ桂皮酸オクチル(octyl methoxy cinnamate)、および70%のミリスチン酸イソプロピルの混合物を調製し、そして香料(香料90%+混合物10%)とともに混和した。この混合物を1.2%の用量になるように下記のとおりに石鹸基剤に添加した。この基剤を完全に挽き、そして石鹸ケーキを作製した。このケーキを一日の間ふやけさせ、そして嗅覚によって評価した。実験対照となる石鹸基剤(上記混合物はなく、この香料のみを1.2%の用量で含む)も作製し、そして試験した。
【表6】

【0028】
石鹸基剤Eを、未精製のパーム油とパーム脂肪酸蒸留液との混合物から調製された植物由来の100%の石鹸基剤(通常は約15〜20%の水を含む)から作製した。
石鹸基剤Fを、石鹸基剤(90%の石鹸基剤5)+10%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常高級な化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤Gを、石鹸基剤(80%の石鹸基剤5)+20%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常中価格帯の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤Hを、石鹸基剤(60%の石鹸基剤5)+40%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常低価格の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
【0029】
例6
5%のジヒドロファルネサール(dihydrofarnesal)、10%のLUPASOL(商品名)G 100(50%活性レベル、粘度1200mPa−s、平均分子量5000)、25%のメトキシ桂皮酸オクチル(octyl methoxy cinnamate)および60%の安息香酸ベンゾイルの混合物を調製し、香料(香料85%+混合物15%)とともに混和した。この混合物を1.6%の用量になるように下記のとおりに石鹸基剤に添加した。この基剤を完全に挽き、そして石鹸ケーキを作製した。このケーキを一日の間ふやけさせ、そして嗅覚によって評価した。実験対照となる石鹸基剤(上記混合物はなく、この香料のみを1.6%の用量で含む)も作製し、そして試験した。
【表7】

【0030】
石鹸基剤Jは、獣脂由来の100%の石鹸基剤(通常は約15〜20%の水を含む)であった。
石鹸基剤Kを、石鹸基剤(90%の石鹸基剤9)+10%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常高級な化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤Lを、石鹸基剤(80%の石鹸基剤9)+20%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常中価格帯の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
石鹸基剤Mを、石鹸基剤(60%の石鹸基剤9)+40%のタルクの混合物から作製した(このタイプの組み合わせは、通常低価格の化粧石鹸を作る際に用いられる)。
【0031】
例7
脂肪の悪臭のする半透明の個人用の洗浄用石鹸基剤は、下表中に示すそれぞれの含有物の中に混和され、そしてその塊を挽き、棒状の型から成形し、打ち抜いた。この棒の1リットルの先頭部空間を1分間当たり100mlの速度で10分間採取し、そしてガスクロマトグラフィーおよび質量分析によって解析した。
【0032】
この悪臭成分を同定し、そして悪臭レベルを数値化した。その棒の色を5点等級で1=着色なし5=濃い茶色として評価した。その結果を下表に示した:
【表8】

【0033】
ここで、DHF=フマル酸ジヘキシルおよびGC=ゲラニルクロトネート(geranyl crotanate)である。
LUPASOL(商品名)FGのみが、この石鹸基剤の悪臭を顕著に低減する。しかし、この石鹸は、容認できない黄茶色である。フマル酸ジヘキシルもしくはフマル酸ジヘキシルとゲラニルクロトネート(geranyl crotanate)との混合物をLUPASOLと一緒に用いることによって、LUPASOLの利点を向上でき、そして石鹸の色を容認できるレベルの最小限まで抑えることができる。
【0034】
例8
例7の石鹸基剤を、1%の市販の石鹸香料のみに添加、もしくは1%の市販の石鹸香料を下記の材料と一緒に加えられた中に添加した。試料を調製し、上記のように解析した。
【表9】

【0035】
LUPASOLのみが、香料存在下この悪臭を顕著に低減させる;しかし、その色は容認できない。フマル酸ジヘキシルを組み合わせると、容認できる色が達成でき、そして悪臭に対する素晴らしい低減が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤材料;
(b)一般式−(CHCHNH)−のポリエチレンイミン;および
(c)次式:
【化1】

式中、Rは、水素、C−C16アルキル、C−C16アルコキシ、アリールおよび置換アリールからなる群から選択され、Rは、アリール、置換アリールおよびC−C16アルキルからなる群から選択される、
で表されるエチレン1個分不飽和な芳香族カルボン酸エステル
を含む界面活性剤組成物であって、
材料(b)および(c)がそれぞれ最大10,000の臭値を有する、前記界面活性剤組成物。
【請求項2】
が、水素、C1−8アルキル、C1−8アルコキシおよびアリールから選択される、請求項1に記載の界面活性剤組成物。
【請求項3】
が、C6−12アルキルおよびアリールから選択される、請求項1に記載の界面活性剤組成物。
【請求項4】
最大10,000、好ましくは5,000以下、さらに好ましくは2,000以下および最も好ましくは1000以下の臭値を有する芳香性のアルデヒドをさらに含む、請求項1に記載の界面活性剤組成物。
【請求項5】
(i)少なくとも一つの芳香性のアルデヒドが存在する場合、(b)および(c)は、それぞれ0.005%〜10%の範囲で界面活性剤組成物中に存在する;および
(ii)芳香性のアルデヒドが存在しない場合、界面活性剤組成物は、(b)と(c)とのそれぞれを0.005%〜0.5%で含む、請求項1または4に記載の界面活性剤組成物。
【請求項6】
芳香性のアルデヒドが、下記化合物:
【化2】

からなる群から選択される、請求項4に記載の界面活性剤組成物。
【請求項7】
(a)一般式−(CHCHNH)−のポリエチレンイミン;
(b)次式:
【化3】

式中、Rは、水素、C−C16アルキル、C−C16アルコキシ、アリールおよび置換アリールからなる群から選択され、Rは、アリール、置換アリールおよびC−C16アルキルからなる群から選択される、
で表されるエチレン1個分不飽和な芳香族カルボン酸エステル;
および、任意に芳香性のアルデヒド
を含む、洗濯用材料に起こりやすい悪臭の低減のための界面活性剤組成物であって、
材料(b)と(c)と、芳香性のアルデヒドが存在する場合、前記芳香性のアルデヒドとがそれぞれ最大10,000の臭値を有する、前記界面活性剤組成物。
【請求項8】
(a)一般式−(CHCHNH)−のポリエチレンイミン;および
(b)次式:
【化4】

式中、Rは、水素、C−C16アルキル、C−C16アルコキシ、アリールおよび置換アリールからなる群から選択され、Rは、アリール、置換アリールおよびC−C16アルキルからなる群から選択される、
で表されるエチレン1個分不飽和な芳香族カルボン酸エステル;
および、任意に芳香性のアルデヒド
から実質的になる界面活性剤組成物への添加を含む、界面活性剤材料に起こりやすい悪臭の低減のための方法であって、
材料(b)と(c)と、芳香性のアルデヒドが存在する場合、前記アルデヒドとがそれぞれ最大10,000の臭値を有する、前記方法。

【公表番号】特表2008−511694(P2008−511694A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528551(P2007−528551)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000437
【国際公開番号】WO2006/024180
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】