説明

組立体の製造方法

【課題】部品同士が緩みの抑制された状態で組み付けられる組立体を製造する方法の提供。
【解決手段】
非締結部材20に設けられる係止穴21に、締結部材40に設けられる係止爪41を挿入し、係止穴21に係止させることにより、締結部材40を非締結部材20に組み付けて組立体100を製造する方法であって、係止穴21の内周壁面24a及び係止爪41の外周壁面44aを荷重たわみ温度の異なる材料によって形成し、荷重たわみ温度が高いPC樹脂によって形成される内周壁面24aに、荷重たわみ温度が低いABS樹脂によって形成される外周壁面44aに向かって突出する突起部25を設け、係止爪41を係止穴21に係止させて突起部25を外周壁面44aに接触させた状態で、外周壁面44aを昇温させることにより外周壁面44aに突起部25を補完する形状の補完凹部45を形成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係止爪を有する部材が、係止穴を有する部材に係止されてなる組立体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の部材よりなる組立体において、複数の部材のうちの一つに係止穴を設け、他の一つの部材に設けた係止爪を当該係止穴に係止させることにより、これらの部材同士を互いに組み付ける構造が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。これらの構造では、係止爪及び係止穴を弾性変形させた状態で、係止爪を係止穴に挿入及び係止する。故に、係止穴に係止爪が確実に挿入され得るよう、係止爪と係止穴との間には隙間が確保されている。このため、組立体は、各部材同士が緩みを伴った状態で組み付けられる。
【0003】
この係止爪と係止穴との間の隙間を解消するため、特許文献1に開示のスナップフィット取り付け構造は、寸法維持部材をさらに備える。具体的には、係止爪において係止穴への挿入方向先端側となる端部に、当該挿入方向に沿って凹む凹部が設けられている。この凹部に寸法維持部材を押し込むことにより、係止爪は、係止穴の軸方向と交差する方向に押し広げられ、係止穴に押し付けられる。これにより、係止穴の軸方向と交差する方向において係止爪と係止穴との間に生じていた隙間は解消される。
【0004】
また、特許文献2に開示のスロットル制御装置に係わる組立体では、係止爪を備える部材と係止穴を備える部材との間に、シール部材が挟まれている。このシール部材は、各部材間に挟まれることにより、係止爪を備える部材を、係止穴を備える部材から離間させる方向に付勢する。これにより係止爪は、係止穴の軸方向に沿って当該係止穴から抜ける方向に引っ張られるので、この軸方向において係止爪と係止穴との間に生じていた隙間は解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−332762号公報
【特許文献2】特開2004−132232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、特許文献1及び特許文献2に開示の構成では、係止爪と係止穴との間に生じる隙間を解消するためには、寸法維持部材及びシール部材等の構成を追加せざるを得ない。故に、これらの構成を適用すると、組立体の部品点数が増加する。加えて、特許文献1に開示の構成では、寸法維持部材を追加することにより、係止穴の軸方向と交差する方向における隙間を解消することはできても、係止穴の軸方向における隙間の解消には至らない。故に、この軸方向においては、係止爪及び係止穴は、互いに相対変位し得る。
【0007】
一方、特許文献2に開示の構成では、シール部材を追加することにより、係止穴の軸方向における隙間を解消することはできても、当該軸方向と交差する方向における隙間の解消には至らない。故に、この軸方向の交差方向において、係止爪及び係止穴は互いに相対変位し得る。以上により、特許文献1及び特許文献2に記載の構造を用いて組み立てられた組立体は、各部材同士の緩みが確実に解消されるには至っていなかった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、部品点数の増加を抑制したうえで、部品同士が緩みの抑制された状態で組み付けられる組立体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、第一部材に設けられる係止穴に、第二部材に設けられる係止爪を挿入し、係止穴に係止させることにより、第二部材を第一部材に組み付けて組立体を製造する方法であって、係止穴の内周壁面及び係止爪において内周壁面と対向する外周壁面を、互いに荷重たわみ温度の異なる樹脂材料によって形成し、内周壁面及び外周壁面のうち荷重たわみ温度が高い樹脂材料によって形成される高耐熱壁面に、内周壁面及び外周壁面のうち荷重たわみ温度が低い樹脂材料によって形成される低耐熱壁面に向かって突出する突起部を設け、係止爪を係止穴に係止させることにより突起部を低耐熱壁面に接触させた状態で、低耐熱壁面を昇温させることにより当該低耐熱壁面に突起部の補完する形状の補完凹部を形成することを特徴とする組立体の製造方法とする。
【0010】
この発明によれば、係止穴の内周壁面及び係止爪において当該内周壁面と対向する外周壁面は、互いに荷重たわみ温度の異なる樹脂材料によって形成されている。故に、これらの壁面のうち、当該荷重たわみ温度の低い低耐熱壁面を昇温させることにより、この低耐熱壁面のみが塑性変形可能な状態とし得る。係止爪を係止穴に係止させた状態では、内周壁面及び外周壁面のうち、荷重たわみ温度の高い高耐熱壁面の有する突起部が、低耐熱壁面に向かって突出し、当該低耐熱壁面に接触している。故に、昇温された低耐熱壁面には、突起部によって押されて塑性変形することにより、突起部の形状を補完する補完凹部が形成される。
【0011】
以上によって形成される補完凹部は、突起部の形状を正確に補完した形状となり、当該突起部と密着する。故に、係止穴の内周壁面と係止爪の外周壁面とは、係止穴の軸方向においても、当該軸方向と交差する方向においても、互いに相対変位し難くなる。したがって、部品点数の増加を抑制したうえで、緩みの抑制された状態で第二部材が第一部材に組み付けられた組立体を製造することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、低耐熱壁面は、係止爪の外周壁面であり、高耐熱壁面は、係止穴の内周壁面であり、外周壁面を昇温させることにより外周壁面に突起部の補完する形状の補完凹部を形成することを特徴とする。
【0013】
係止爪の挿入が円滑になされるよう、係止穴の内周壁面は、係止爪の挿入に伴って押し広げられ易く形成されているのが一般的である。故に、係止穴の内周壁面を荷重たわみ温度の低い低耐熱壁面とした場合、突起部から押されることにより、内周壁面全体が押し広げられた状態に塑性変形してしまうおそれがある。
【0014】
そこでこの発明のように、係止穴の内周壁面を、荷重たわみ温度の高い樹脂材料で形成することにより、補完凹部を形成するための昇温に起因した内周壁面全体の塑性変形は未然に防がれ得る。故に、突起部で押圧することによって低耐熱壁面である係止爪の外周壁面に補完凹部は確実に形成される。したがって、補完凹部の確実な形成のためには、係止穴の内周壁面を荷重たわみ温度の高い樹脂材料によって形成するのが好適なのである。
【0015】
請求項3に記載の発明では、係止爪に、外周壁面から突出し、第一部材を貫通する係止穴の一対の開口のうち係止爪が挿入される側とは反対側の開口の周縁部に当接可能な係止凸部と、係止凸部において係止穴の軸方向に沿って延びる逃げ溝と、を形成し、係止穴に係止爪を挿入することにより、突起部が逃げ溝内を通過することを特徴とする。
【0016】
係止穴の内周壁面に突起部が突出する形態では、係止穴に係止爪が挿入されるに際して、係止穴の一対の開口のうち係止爪が挿入される側とは反対側の開口の周縁部に当接可能な係止凸部が、突起部と接触し、この突起部を損傷させてしまうおそれがある。そこでこの発明のように係止穴の内周壁面に突起部を設ける形態では、係止穴に係止爪が挿入されるに際して、突起部を通過させるための逃げ溝を、係止爪の外周壁面から突出する係止凸部に設けるのがよい。このように、突起部が逃げ溝内を通過する構成とすることにより、逃げ溝周囲の係止凸部と突起部との接触を回避できるので、係止凸部によって突起部は損傷し難くなる。故に、突起部は、係止爪の外周壁面と確実に接触し、昇温された外周壁面に補完凹部を形成することができる。したがって、緩みの抑制された状態で第二部材が第一部材に組み付けられた組立体を確実に製造することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、高耐熱壁面から突出する一つの突起部を低耐熱壁面に接触させた状態とし、低耐熱壁面を昇温させることにより当該低耐熱壁面に補完凹部を一つ形成することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、高耐熱壁面から突出する突起部が一つであることによれば、当該突起部が低耐熱壁面を押す力は分散しない。故に、突起部は、低耐熱壁面の接触部分に高い応力を作用させることができる。以上により、低耐熱壁面に形成される補完凹部の形状は、突起部の形状を正確に補完した形状となる。これにより、外周壁面と内周壁面との互いの相対変位は、確実に抑制される。したがって、緩みの抑制された状態で第二部材が第一部材に組み付けられた組立体を製造することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、高耐熱壁面において係止穴の軸方向と交差する方向に並んで複数設けられた突起部を、低耐熱壁面に接触させた状態とし、低耐熱壁面を昇温させることにより当該低耐熱壁面に複数の補完凹部を形成することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、係止穴の軸方向と交差する方向に複数の突起部を並べることにより、これらの並んで設けられた突起部は、当該軸方向まわりにおける係止爪の回転を抑制する。故に、互いに密着する突起部及び補完凹部は、係止穴の軸方向及び当該軸方向と交差する方向に加えて、当該軸方向まわりの回転方向において係止穴の内周壁面と係止爪の外周壁面との相対変位を抑制できる。したがって、確実に緩みの抑制された状態で第二部材が第一部材に組み付けられた組立体を製造することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、突起部を、突出方向の先端に向うにしたがい断面積が減少する先細り形状に形成することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、突起部の形状を、その突出方向の先端に向かうにしたがい断面積の減少する先細り形状とすることにより、補完凹部を形成する前の状態での、突起部と低耐熱壁面との接触面積を低減することができる。このため、突起部と低耐熱壁面との接触部分に高い応力を作用させた状態で、低耐熱壁面を昇温し、補完凹部を形成できる。故に、補完凹部を低耐熱壁面に確実に形成し、補完凹部及び突起部を互いに確実に密着させられる。以上により、互いの密着がさらに確実なものとされた突起部及び補完凹部は、係止爪の外周壁面と係止穴の内周壁面との相対変位を確実に抑制できる。したがって、確実に緩みの抑制された状態で第二部材が第一部材に組み付けられた組立体を製造することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明では、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂によって形成した第二部材の係止爪を、ポリカーボネート樹脂によって形成した第一部材の係止穴に係止させることを特徴とする。
【0024】
この発明のように、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂とポリカーボネート樹脂とは、互いに荷重たわみ温度が異なる。故に、これらの樹脂のうち、荷重たわみ温度の低い樹脂であるアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂で係止爪が設けられる第二部材を、荷重たわみ温度の高い樹脂であるポリカーボネート樹脂で係止穴が設けられる第一部材を、それぞれ形成するとよい。アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂の荷重たわみ温度近傍まで第二部材を昇温することによれば、当該温度近傍にて軟化しないポリカーボネート樹脂よりなる突起部は、軟化した係止爪の外周壁面に補完凹部を確実に形成できる。したがって、緩みの抑制された状態で第二部材が第一部材に組み付けられた組立体を確実に製造するためには、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂によって第二部材を、ポリカーボネート樹脂によって第一部材を形成するのが好適なのである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一実施形態による組立体の全体像を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態による非締結部材の平面図である。
【図3】本発明の第一実施形態による非締結部材の構成を示す図であって、図2のIII−III線断面図である。
【図4】非締結部材の特徴部分を説明するための図であって、図3の矢印IVで示した部分を拡大した図である。
【図5】本発明の第一実施形態による締結部材の構成を示す図であって、(a)正面図、(b)側面図、(c)背面図、(d)底面図、(e)斜視図である。
【図6】本発明の第一実施形態による組立体を製造する工程を説明するための図である。
【図7】本発明の特徴部分を説明するための図であって、図6(c)の矢印VIIで示した部分を拡大した図である。
【図8】本発明の特徴部分を説明するための図であって、図6(d)の矢印VIIIで示した部分を拡大した図である。
【図9】本発明の第二実施形態による非締結部材の平面図である。
【図10】本発明の第三実施形態による組立体を説明するための図であって、(a)締結部材の正面図、(b)締結部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。また、各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。さらに、各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していない部分同士の組み合わせも可能である。
【0027】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態によって製造される組立体100を図1に示す。この組立体100は、非締結部材20に設けられる係止穴21に、締結部材40に設けられる係止爪41を挿入し、当該係止穴21に係止させることにより、締結部材40を非締結部材20に組み付けて製造される。まず、これら非締結部材20及び締結部材40の構成について以下説明する。
【0028】
まず、図2〜図4に基づいて、非締結部材20の構成について説明する。
【0029】
非締結部材20は、例えばポリカーボネート(PC)樹脂等の熱可塑性樹脂によって形成されており、上述した係止穴21に加えて、内周壁面24a,24b及び突起部25を有している。係止穴21は、軸方向と直交する方向の断面が長手形状の矩形断面となる穴であって、非締結部材20を貫通している。この係止穴21により形成される一対の開口22,23の周縁部22a,23には、非締結部材20への締結部材40(図1参照)の係止によって、当該締結部材40の一部が当接可能である。この係止穴21は、当該係止穴21の軸方向に沿って、一方の開口22から他方の開口23まで延びる四つの内周壁面によって形成されている。
【0030】
これら係止穴21を形成する四つの内周壁面のうちの一つが、突起部25の形成される内周壁面24aである。この内周壁面24aは、開口22の長手方向(図2参照)に沿って延びる一対の外周壁面44a,44bのうちの一方である。また、これら外周壁面44a,44bが互いに離間する方向において、係止穴21は、外力によって広げられ易い構造とされている。この係止穴21の変形は、非締結部材20の弾性によるものである。このような構造とされているのは、係止穴21に係止爪41を挿入する際に、当該係止爪41の挿入を円滑に実施し得るようにするためである。
【0031】
突起部25は、内周壁面24aから、当該内周壁面24aの面方向と直交する方向に沿い、対向する他方の外周壁面44bに向かって一つ突出している(例えば、0.2ミリメートル程度)。この突起部25は、係止穴21の軸方向に沿い且つ内周壁面24aと直交する断面における形状が三角形となるよう形成されており、突出方向の先端に向うにしたがい断面積が減少する先細り形状となっている。また、突起部25の根元の部分は、開口22の長手方向に沿った長さ(図2参照)よりも、係止穴21の軸方向に沿った長さ(図3参照)が大きくなるよう形成されている。
【0032】
次に、図5に基づき、図2及び図3を参照しつつ、締結部材40の構成について説明する。
【0033】
締結部材40は、非締結部材20とは異なる樹脂材料であるアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)樹脂によって形成されている。このABS樹脂は、樹脂材料の耐熱性を示す指標の一つである荷重たわみ温度(JIS K 6300 等参照)がPC樹脂よりも低い樹脂材料であって、PC樹脂よりも低い温度で、荷重を受けることによる塑性変形が可能な状態となる。具体的には、ABS樹脂の荷重たわみ温度は約90℃、PC樹脂の荷重たわみ温度は約130℃である。
【0034】
この締結部材40は、上述した係止爪41に加えて頭部42を有している。係止爪41は、頭部42から延伸しており、延伸方向の基端で頭部42によって支持されている。係止爪41は、この延伸方向を係止穴21の軸方向に沿わせた向きで、当該係止穴21に挿入可能である。また、延伸方向と直交する方向における係止爪41の断面形状は、軸方向と直交する方向における係止穴21の形状に対応しており、矩形形状とされている。加えて、係止爪41の延伸方向の先端は、係止穴21の開口22への挿入が容易となるよう、当該先端の端面に向かうにしたがい断面積の漸減するテーパー状に形成されている。
【0035】
加えて係止爪41は、挿入本体部43、外周壁面44a、係止凸部47、及び逃げ溝48等によって構成されている。挿入本体部43は、係止爪41の係止穴21への挿入により、当該係止穴21の内部に位置することとなる四角柱状の部分であり、四つの外周壁面を有している。この四つの外周壁面のうち、係止穴21への係止爪41の挿入によって、係止穴21の内周壁面24aと対向するものを外周壁面44a、内周壁面24bと対向するものを外周壁面44bとする。
【0036】
これら外周壁面44a,44bのうち、外周壁面44aには、係止爪41の係止穴21への挿入により、内周壁面24aから突出している突起部25の突出方向の先端が接触する。尚、係止爪41の延伸方向と直交する方向であって、外周壁面44aに沿う方向を、係止爪41の長手方向とする(図5(a)及び(c)参照)。また、外周壁面44a直交する方向を、係止爪41の厚さ方向とする(図5(b)参照)。
【0037】
係止凸部47は、係止爪41の延伸方向の先端に一対設けられている。一対の係止凸部47は、外周壁面44a及び外周壁面44bのそれぞれから、係止爪41の厚さ方向に沿って、互いに相反する方向に突出している。係止爪41の厚さ方向において、各係止凸部47の突出方向の先端面間の長さは、係止穴21の開口22の幅方向における長さよりも大きくされている。また、各係止凸部47には、頭部42に対向し、開口23の周縁部22aに当接可能な端面47aが形成されている。各係止凸部47は、それぞれの端面47aを、係止爪41が挿入される側とは反対側の開口23の周縁部23aに当接させることにより、係止穴21からの離脱する方向への係止爪41の移動を規制することができる。
【0038】
逃げ溝48は、一対の係止凸部47のうち、内周壁面24aと対向する外周壁面44aから突出している係止凸部47に形成されている。この逃げ溝48は、係止爪41の長手方向において外周壁面44aの中央に位置しており、内周壁面24aにおいて突起部25の設けられる位置に対応した位置に設けられている(図5(a)及び(d)参照)。この逃げ溝48は、係止爪41の延伸方向に沿って形成されており、挿入に際して係止爪41の延伸方向を係止穴21の軸方向に沿わせることによって、係止穴21の軸方向に沿って延びる溝となる。また、係止爪41の延伸方向と直交する方向における逃げ溝48の断面の内法は、軸方向に沿って突起部25を投影した場合の当該突起部25の外法よりも大きくされている。故に、逃げ溝48の深さ方向の寸法(例えば、0.25ミリメートル程度)よりも、突起部25の高さ方向の寸法は小さい。これにより、係止爪41を係止穴21に挿入することにより、突起部25は逃げ溝48内を通過することができる。
【0039】
頭部42は、係止穴21の内部に入り込まないよう、係止穴21の開口22よりも大きく形成されている。この頭部42には、係止凸部47の端面47aと係止爪41の延伸方向において対向する端面42aが形成されている。この端面42aは、係止穴21の開口22の周縁部22aと当接することにより、挿入方向における係止爪41の移動を規制することができる。
【0040】
ここまで説明した非締結部材20に、締結部材40を組み付ける作業、及びこれら非締結部材20及び締結部材40のさらに詳細な構成について、以下図6〜図8を用いて説明する。
【0041】
非締結部材20の係止穴21に、締結部材40の係止爪41の挿入を開始すると、テーパー状に形成された係止爪41の延伸方向の先端と、開口22の周縁部22aとが接触する(図6(a))。そして、係止穴21への係止爪41の挿入を継続すると、開口22の幅方向の寸法D1(図4参照)よりも係止凸部47の厚さ方向の寸法d1(図5(b)参照)が大きいことに起因して、当該開口22は、係止爪41先端のテーパー形状に沿って幅方向に押し広げられる(図6(b))。係止爪41は、内周壁面24bを対向する内周壁面24aから離間する方向に押し広げながら、係止穴21に嵌合する。
【0042】
さらに係止穴21への係止爪41の挿入を継続すると、係止凸部47に形成された逃げ溝48内を、突起部25は通過する。逃げ溝48の深さ方向の寸法が、突起部25の高さ方向の寸法よりも大きくされていることによれば、突起部25は、係止凸部47に接触することなく逃げ溝48を通過することができる。そして係止凸部47は、係止穴21の開口23から係止穴21の外部に出る(図6(c))。係止穴21を幅方向に押し広げていた係止凸部47の係止穴21からの離脱によれば、係止穴21は、幅方向の寸法を、係止爪41の挿入が開始されるよりも前の寸法D1に戻そうとする。
【0043】
ここで、各内周壁面24a,24bに応力が作用していない状態での突起部25の突出方向の先端と内周壁面24bとの間の寸法D2は、外周壁面44a及び外周壁面44b間の厚さ方向の寸法d2(図5(b)参照)よりも小さい。故に、係止穴21の形状が復元することにより、突起部25の突出方向の先端は、係止爪41の外周壁面44aに接触し、当該外周壁面44aの接触部分に応力を作用させた状態となる(図7)。
【0044】
一方、係止穴21を通過した係止凸部47は、開口23の周縁部23bに端面47a当接させ、係止爪41の係止穴21からの抜けを規制する。また、係止凸部47の端面47aと係止爪41の延伸方向において対向する頭部42の端面42aも、開口22の周縁部22aに当接することによって、挿入方向における係止爪41の移動を規制する。
【0045】
以上の工程によって係止爪41を係止穴21に係止させることで、突起部25を外周壁面44aに接触させた状態とする。このように突起部25と外周壁面44aとを接触させた状態で、締結部材40を加熱することにより、外周壁面44aを昇温させる。具体的には、ABS樹脂の荷重たわみ温度である90℃近傍の例えば70℃以上であって、PC樹脂の荷重たわみ温度よりも低い組立体100℃以下の雰囲気温度に設定された加熱炉内に非締結部材20及び締結部材40を入れる。これにより、外周壁面44aの温度が、締結部材40を形成するABS樹脂の荷重たわみ温度である90℃に近づくにつれて、外周壁面44aは、塑性変形可能な状態となる。このとき、突起部25の形成されている内周壁面24aは、外周壁面44aとは異なる樹脂材料であって、荷重たわみ温度が約130℃であるPC樹脂によって形成されているので、塑性変形可能な状態とはならない。このように、内周壁面24a及び外周壁面44aを互いに荷重たわみ温度の異なる樹脂材料によって形成していることにより、外周壁面44aのみを塑性変形可能な状態とし得る。
【0046】
外周壁面44aが昇温されると、突起部25は次第に外周壁面44aに埋没していく(図6(d)及び図8)。そして、突起部25を補完する形状の窪みである補完凹部45が、外周壁面44aの突起部25と接触していた部分に形成される。この補完凹部45は、突起部25によって押された外周壁面44aが塑性変形することによって形成されるので、当該突起部25の形状を正確に補完する。故に、突起部25と補完凹部45とは、互いに密着した状態となる。以上により、非締結部材20への締結部材40の組み付けは終了し、組立体100が製造される。
【0047】
ここまで説明した第一実施形態によれば、突起部25の形状を正確に補完した形状の補完凹部45が外周壁面44aに形成され当該突起部25と密着する。故に、係止穴21の内周壁面24aと係止爪41の外周壁面44aとは、係止穴21の軸方向においても、当該軸方向と交差する方向においても、互いに相対変位し難くなる。
【0048】
加えて第一実施形態では、突起部25が逃げ溝48内を通過するので、逃げ溝48周囲の係止凸部47と突起部25との接触を回避でき、係止凸部47によって突起部25は損傷し難くなる。故に、突起部25は、係止爪41の外周壁面44aと確実に接触し、昇温された外周壁面44aに補完凹部45を形成することができる。これにより、外周壁面44aと内周壁面24aとの互いの相対変位は、確実に抑制される。
【0049】
また第一実施形態によれば、係止穴21の内周壁面24aから突出する突起部25が一つであることにより、突起部25が係止爪41の外周壁面44aを押す力は分散しない。故に、突起部25は、外周壁面44aの接触部分に高い応力を作用させることができる。以上により、外周壁面44aに形成される補完凹部45の形状は、突起部25の形状を正確に補完した形状となる。これにより、外周壁面44aと内周壁面24aとの互いの相対変位は、確実に抑制される。
【0050】
さらに第一実施形態によれば、突起部25の形状を、その突出方向の先端に向かうにしたがい断面積の減少する先細り形状とすることにより、補完凹部45を形成する前の状態で、突起部25と外周壁面44aとの接触面積を低減することができる。このため、突起部25と外周壁面44aとの接触部分に高い応力を作用させた状態で、外周壁面44aを昇温し、補完凹部45を形成できる。故に、補完凹部45を外周壁面44aに確実に形成し、補完凹部45及び突起部25を互いに確実に密着させられる。以上のように、互いの密着がさらに確実なものとされた突起部25及び補完凹部45は、係止爪41の外周壁面44aと係止穴21の内周壁面24aとの相対変位を確実に抑制できる。
【0051】
したがって、締結のために部品点数を増加させることなく、緩みの抑制された状態で締結部材40が非締結部材20に組み付けられた組立体100を製造することができる。
【0052】
また加えて第一実施形態によれば、外周壁面44aを昇温させるため、締結部材40を加熱しているので、当該締結部材40は、アニール処理と同様の効果を得られる。詳しく説明すると、樹脂材料によって形成される締結部材40には、成形時における内部ひずみが蓄積されている。このような状態の締結部材40を、一旦塑性変形可能な荷重たわみ温度付近まで加熱することによって、内部の組織を均質化し、内部ひずみを緩和することによって残留応力を除去することができる。この残留応力は、経年による締結部材40の変形の原因となり得るものである。故に、締結部材40の残留応力を除去することによれば、締結部材40の経年による変形を抑制できる。したがって、締結部材40が非締結部材20に組み付けられた組立体100は、これら部材40,20が互いに緩みなく組み付けられた状態を、長期に亘って維持することができる。
【0053】
さらに加えて第一実施形態によれば、係止穴21の内周壁面24a,24bは、係止爪41の挿入に伴って押し広げられ易く形成されている。故に、係止穴21の内周壁面24aを荷重たわみ温度の低い樹脂材料で形成した場合、突起部25によって応力の作用する内周壁面24a全体が押し広げられた状態に塑性変形してしまい、補完凹部45が形成されなくなるおそれがある。
【0054】
そこで、係止穴21の内周壁面24aを、荷重たわみ温度の高い樹脂材料で形成することにより、補完凹部45を形成するための昇温に起因した内周壁面24a全体の塑性変形は未然に防がれ得る。故に、突起部25で押圧させることによって、係止爪41の外周壁面44aに補完凹部45を確実に形成できる。以上により、補完凹部45の確実な形成のためには、係止穴21の内周壁面24aを荷重たわみ温度の高い樹脂材料によって形成するのが好適なのである。
【0055】
そして、非締結部材20及び締結部材40を形成する樹脂材料の組み合わせとしては、第一実施形態のようなABS樹脂とPC樹脂との組み合わせがよい。ABS樹脂の荷重たわみ温度である90℃近傍まで締結部材40を昇温することによれば、当該温度近傍にて軟化しないPC樹脂よりなる突起部25は、軟化した係止爪41の外周壁面44aに補完凹部45を確実に形成できる。したがって、緩みの抑制された状態で締結部材40が非締結部材20に組み付けられた組立体100を確実に製造するためには、ABS樹脂によって締結部材40を、PC樹脂によって非締結部材20を形成するのが好適なのである。
【0056】
さらにまた第一実施形態では、補完凹部45を形成した後、締結部材40を非締結部材20から取り外した場合でも、再び締結部材40を非締結部材20に係止させることで、突起部25と補完凹部45は、互いに密着した状態となり得る。故に、締結部材40の非締結部材20への着脱を繰り返した場合であっても、緩みの抑制された状態で締結部材40が非締結部材20に組み付けられた状態の組立体100に戻すことができる。
【0057】
尚、第一実施形態では、非締結部材20が請求項に記載の「第一部材」に、内周壁面24aが請求項に記載の「高耐熱壁面」に、締結部材40が請求項に記載の「第二部材」に、外周壁面44aが請求項に記載の「低耐熱壁面」に、それぞれ相当する。
【0058】
(第二実施形態)
図9に示す本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態による非締結部材220の内周壁面224aには、第一実施形態の突起部25と実質的に同一の突起部225が二つ形成されている。これら二つの突起部225は、係止穴221の内周壁面224aにおいて当該係止穴221の軸方向と交差する方向であって、この係止穴221の開口222の長手方向に並んで設けられている。
【0059】
この非締結部材220に締結部材40を挿入すると、二つの突起部225は締結部材40の外周壁面44aに接触した状態となる。この状態下、第一実施形態と同様に非締結部材220及び締結部材40を加熱し外周壁面44aを昇温させることによれば、当該外周壁面44aに二つの補完凹部245が形成される。
【0060】
ここまで説明した第二実施形態のように、二つの突起部225を並べて設けることにより、これらの並んで設けられた突起部225は、係止穴221の軸方向まわりにおける係止爪41の回転を抑制する。故に、互いに密着する突起部225及び補完凹部245は、係止穴221の軸方向及び当該軸方向と交差する方向に加えて、当該軸方向まわりの回転方向における内周壁面224aと外周壁面44aとの相対変位を抑制できる。したがって、確実に緩みの抑制された状態で締結部材40が非締結部材220に組み付けられた組立体200を製造することができる。
【0061】
尚、第二実施形態では、非締結部材220が請求項に記載の「第一部材」に、内周壁面224aが請求項に記載の「高耐熱壁面」に、それぞれ相当する。
【0062】
(第三実施形態)
図10に示す本発明の第三実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第三実施形態では、非締結部材320は、荷重たわみ温度の低い樹脂材料であるABS樹脂によって形成さている。また、締結部材340は、荷重たわみ温度の高い樹脂材料であるPC樹脂によって形成されている。以下、第三実施形態による非締結部材320及び締結部材340の構成について詳細に説明する。
【0063】
非締結部材320の係止穴321の内周壁面324aには、第一実施形態の突起部25に相当する構成が設けられていない。一方、締結部材340の係止爪341の外周壁面344aには、第一実施形態の突起部25に相当する突起部345が設けられている。この突起部345は、係止爪341の長手方向の中央に位置しており(図10(a))、その形状は、第一実施形態の突起部25と実質的に同一である。この突起部345は、係止爪341が係止穴321に係止されると、外周壁面344aと対向する内周壁面324aに向かって突出する形状とされており、当該内周壁面324aに接触する。尚、係止爪341に突起部345が設けられることに対応して、第一実施形態の係止凸部47に設けられていた逃げ溝48に相当する構成は、第三実施形態の係止爪341には形成されていない。
【0064】
以上の構成による締結部材340の係止爪341を非締結部材320の係止穴321に係止することで、突起部345は内周壁面324aに接触した状態となる。このように突起部345と内周壁面324aとを接触させた状態で、非締結部材320を加熱することにより、内周壁面324aは昇温する。この内周壁面324aの温度が非締結部材320を形成するABS樹脂の荷重たわみ温度である90℃に近づくにつれて、内周壁面324aは、塑性変形可能な状態となる。このとき、突起部345の設けられる外周壁面344aは、PC樹脂によって形成されているので、塑性変形可能な状態とはならない。このように、内周壁面324a及び外周壁面344aを互いに荷重たわみ温度の異なる樹脂材料によって形成することにより、内周壁面324aのみを塑性変形可能な状態とし得る。
【0065】
突起部345を接触させた状態で内周壁面324aを昇温すると、突起部345は次第に内周壁面324aに埋没していく(図10(b))。そして、突起部345を補完する形状の窪みである補完凹部325が、外周壁面344aの突起部345と接触していた部分に形成される。この補完凹部325は、突起部345によって押された内周壁面324aが塑性変形することによって形成されるので、当該突起部345の形状を正確に補完する。故に、突起部345と補完凹部325とは、互いに密着した状態となる。以上により、非締結部材320への締結部材340の組み付けは終了し、組立体300が製造される。
【0066】
ここまで説明した第三実施形態のように、締結部材340に突起部345を設け、非締結部材320の内周壁面324aに補完凹部325を形成する形態であってもよい。このような形態であっても、突起部345は、その形状を正確に補完した形状の補完凹部325を形成し、当該補完凹部325と密着できる。故に、係止穴321の内周壁面324aと係止爪341の外周壁面344aとは、係止穴321の軸方向においても、当該軸方向と交差する方向においても、互いに相対変位し難くなる。したがって、締結のために部品点数を増加させることなく、緩みの抑制された状態で締結部材340が非締結部材320に組み付けられた組立体300を製造することができる。
【0067】
尚、第三実施形態では、非締結部材320が請求項に記載の「第一部材」に、内周壁面324aが請求項に記載の「低耐熱壁面」に、締結部材340が請求項に記載の「第二部材」に、外周壁面344aが請求項に記載の「高耐熱壁面」に、それぞれ相当する。
【0068】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は本実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0069】
上記第一及び第二実施形態では、非締結部材を荷重たわみ温度の高いPC樹脂で、締結部材を荷重たわみ温度の低いABS樹脂で、それぞれ形成していた。また、上記第三実施形態では、非締結部材を荷重たわみ温度の低いABS樹脂で、締結部材を荷重たわみ温度の高いPC樹脂で、それぞれ形成していた。これらのように、非締結部材及び締結部材を形成する材料の荷重たわみ温度が互いに異なっていれば、非締結部材及び締結部材のどちらの荷重たわみ温度が高くてもよい。
【0070】
また上記実施形態では、荷重たわみ温度が高い樹脂材料としてPC樹脂を、荷重たわみ温度の低い樹脂材料としてABS樹脂を、それぞれ使用した例に基づいて説明したが、非締結部材及び締結部材の材料は、これらの樹脂に何ら限定されない。さらに、荷重たわみ温度の高い樹脂材料として、熱による軟化の生じ難い熱可塑性樹脂等を用いる形態であってもよい。
【0071】
上記第一及び第三実施形態では、突起部は、耐熱温度の高い側の壁面に一つだけ形成されていた。一方、上記第二実施形態では、突起部は、耐熱温度の高い側の壁面に二つ形成されていた。しかし、係止穴の内周壁面又は係止爪の外周壁面に形成される突起部の数及び配置は、上記実施形態のものに何ら限定されない。例えば、突起部は、三つ以上形成されていてもよく、係止穴の開口又は係止爪の長手方向の中央に位置していなくてもよい。
【0072】
上記実施形態では、突起部は、突出方向の先端に向かうにしたがい断面積の減少する先細り形状とされていた。しかし、突起部の形状は、上記実施形態の形状に何ら限定されるものではなく、例えば半球状の突起部や四角柱状の突起部であってもよい。
【0073】
以上、非締結部材に締結部材を組み付ける汎用的な構造の組立体を製造する方法に、本発明を適用した例を説明した。しかし、本発明は、上記実施形態のような組立体に限らず、種々の締結構造を備える構造体に適用されてもよい。例えば、小型でネジによる締結固定が難しい装飾部品、具体的には、車両において当該車両の製造したメーカーを示すオーナメント等に用いられるのがよい。振動の多い車両では、部材間に生じる緩みは、騒音の発生の要因となり得る。故に、本発明は、車両に用いられる組立体の製造に用いられることによって、部材同士を緩み無く組み付けられる効果を、いっそう発揮することができるのである。
【符号の説明】
【0074】
20,220,320 非締結部材(第一部材)、21,221,321 係止穴、22,23,222 開口、22a,23a 周縁部、24a,224a 内周壁面(高耐熱壁面)、24b 内周壁面、324a 内周壁面(低耐熱壁面)、25,225 突起部、325 補完凹部、40,340 締結部材(第二部材)、41,341 係止爪、42 頭部、42a 端面、43 挿入本体部、44a 外周壁面(低耐熱壁面)、44b 外周壁面、344a 外周壁面(高耐熱壁面)、45,245,345 補完凹部、47 係止凸部、47a 端面、48 逃げ溝、100,200,300 組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材に設けられる係止穴に、第二部材に設けられる係止爪を挿入し、前記係止穴に係止させることにより、前記第二部材を前記第一部材に組み付けて組立体を製造する方法であって、
前記係止穴の内周壁面及び前記係止爪において前記内周壁面と対向する外周壁面を、互いに荷重たわみ温度の異なる樹脂材料によって形成し、
前記内周壁面及び前記外周壁面のうち前記荷重たわみ温度が高い樹脂材料によって形成される高耐熱壁面に、前記内周壁面及び前記外周壁面のうち前記荷重たわみ温度が低い樹脂材料によって形成される低耐熱壁面に向かって突出する突起部を設け、
前記係止爪を前記係止穴に係止させることにより前記突起部を前記低耐熱壁面に接触させた状態で、前記低耐熱壁面を昇温させることにより当該低耐熱壁面に前記突起部を補完する形状の補完凹部を形成することを特徴とする組立体の製造方法。
【請求項2】
前記低耐熱壁面は、前記係止爪の前記外周壁面であり、
前記高耐熱壁面は、前記係止穴の前記内周壁面であり、
前記外周壁面を昇温させることにより前記外周壁面に前記突起部の補完する形状の前記補完凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の組立体の製造方法。
【請求項3】
前記係止爪に、
前記外周壁面から突出し、前記第一部材を貫通する前記係止穴の一対の開口のうち前記係止爪が挿入される側とは反対側の開口の周縁部に当接可能な係止凸部と、
前記係止凸部において前記係止穴の軸方向に沿って延びる逃げ溝と、を形成し、
前記係止穴に前記係止爪を挿入することにより、前記突起部が前記逃げ溝内を通過することを特徴とする請求項2に記載の組立体の製造方法。
【請求項4】
前記高耐熱壁面から突出する一つの前記突起部を前記低耐熱壁面に接触させた状態とし、前記低耐熱壁面を昇温させることにより当該低耐熱壁面に前記補完凹部を一つ形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組立体の製造方法。
【請求項5】
前記高耐熱壁面において前記係止穴の軸方向と交差する方向に並んで複数設けられた前記突起部を、前記低耐熱壁面に接触させた状態とし、前記低耐熱壁面を昇温させることにより当該低耐熱壁面に複数の前記補完凹部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組立体の製造方法。
【請求項6】
前記突起部を、突出方向の先端に向うにしたがい断面積が減少する先細り形状に形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の組立体の製造方法。
【請求項7】
アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂によって形成した前記第二部材の前記係止爪を、ポリカーボネート樹脂によって形成した前記第一部材の前記係止穴に係止させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組立体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−220376(P2011−220376A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87113(P2010−87113)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】