組織分離カテーテル組立体及び方法
組織分離カテーテル組立体であって、先端シャフト部分を有する回動可能なシャフト、及びそのシャフトに沿って延在する組織分離装置を含む。組織分離装置は、先端シャフト部分を向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。ピボット接合部を用いて、先端分離端部を先端シャフト部分に回動可能に連結することができる。先端シャフト部分は、先端シャフト部分の基端部に先端側を向いた移行面を含むことができる。第1及び第2のエネルギー供給組織分離要素を、装置の移行面及び先端部のそれぞれに用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本願は、2001年11月7日出願の米国特許出願第10/045,657号(名称:「組織分離組立体及び方法(Tissue Separator Assembly And Method)」)のに関連する。本願はまた、同日出願の米国特許出願第__/___,___号(代理人整理番号1019‐1、名称:組織を配置及び分離するための組立体「Tissue Localizing And Separating Assembly」)及び米国特許出願第__/___,___号(代理人整理番号ARTM1018‐1、名称:「組織を分離及び配置するためのカテーテル組立体(Tissue Separating And Localizing Catheter Assembly)」)に関連する。また、(1)2001年1月30日に付与された米国特許第6,179,860号(名称:「標的組織配置装置及び方法(Target Tissue Localization Device And Method)」)、(2)2000年3月2日出願の国際特許出願第00/10471号(名称:「標的組織配置装置及び方法(Target Tissue Localization Device And Method)」)、(3)2001年4月24日に付与された米国特許第6,221,006号(名称:「取込み装置及びその使用方法(Entrapping Apparatus And Method For Use)」)、(4)1999年8月12日出願の国際特許出願第99/39648号(名称:「取込み装置及びその使用方法(Entrapping Apparatus And Method For Use)」)、(5)2000年6月5日出願の米国特許出願第09/588,278号(名称:「組織の除去方法及び装置(Tissue Removal Methods And Apparatus)」)、(6)2000年12月14日出願の国際特許出願第00/74561号(名称:「組織の除去方法及び装置(Tissue Removal Methods And Apparatus)」)、及び(7)2001年4月27日出願の米国特許出願第09/844,661号(名称:「手術中の組織治療方法(Intraoperative Tissue Treatment Methods」」)を参照されたい。
【0002】
発明の背景
現在、米国では1日に1500人以上の人が癌で亡くなっている(1年にすると約550,000人)。癌の治療方法は多数あり、現在も研究が続けられている。今なお、好ましい治療は、癌を物理的に除去することである。可能であれば、外科的な除去が好ましい(乳房、結腸、脳、肺、及び腎臓など)。開放して外科的に切除するのは侵襲性が高い場合が多いため、低侵襲性の方法で癌組織を除去する試みがなされているが、まだ完全ではない。
【0003】
癌治癒の唯一の方法は、現在も早期診断・早期治療である。癌治療が診断の早期に行われれば行われるほど、手術する癌組織の大きさも小さくなる。初期に小さい癌を除去するには、侵襲性が低い癌の除去及び切除のための新規の技術が必要である。
【0004】
低侵襲性のがん治療を行うための方法は多数あるが、十分には改善されていない。例えば、USサージカル社(U.S. Surgical Corporation)のABBIシステム及びイマジン社(ImaGyn Corporation)のSite Selectシステムが低侵襲性の癌治療のために開発された。しかしながら、低侵襲性外科手術(Minimally Invasive Surgery (MIS))法に比べて従来の方法は大きな中心切開部(直径が約15mm超)を必要とする。さらに、ジョンソン・アンド・ジョンソン社のMammotomeシステム及びUSサージカル社(U.S. Surgical Corporation)のMIBBシステムでも、生検のために大きな中心切開部(直径が約4mm超)を必要とする。
【0005】
米国外科癌専門医会(American Society of Surgical Oncologists)によって200年3月13日に開催された代表者会議で、従来の定位針生検(SCB)法は、特に非浸潤性乳管癌(DCIS)では、真空を利用したこのSCBの後の正確な外科的処置に十分に対応できないと報告された。このような経皮的なシステムは、明らかに正常な組織細胞を傷つけるため、細胞が傷ついた正常な細胞なのか或いは初期の前癌(例えば、異型乳管上皮過形成(Atypical Ductal Hyerplasia:ADH))細胞なのかを決定するのが困難である。
【0006】
チャペル・ヒル(Chapel Hill)のノースカロライナ大学のオリラ(Ollila)博士らの研究によって、このような従来の方法を用いると採取された組織標本が傷つけられるため、組織学及び病理学の面で妥協しなければならないことが実証された。従って、米国ではDCISがより検出し易くなって乳癌の診断が一般的になってきたことを含め、様々な理由から、従来の真空を利用した針生検システムの改善の要求が強まってきている。
【0007】
発明の要約
本発明の第1の態様は、組織分離カテーテル組立体についてである。この組織分離カテーテル組立体は、先端部及び先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、シャフトに沿って延在する組織分離装置を含む。この組織分離装置は、先端シャフト部分に向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。先端シャフト部分は、その基端部に先端側を向いた移行面を含む。移行面は、先端部から離れて径方向外側に長手方向に延在する。第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が移行面に設けられている。第2のエネルギー供給可能な組織分離要素が先端部またはその近傍に設けられている。第1及び第2の組織分離要素は、先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるように適合されている。
【0008】
本発明の第2の態様は、先端シャフト部分を有するシャフト、及びそのシャフトに沿って延在する組織分離装置を含む組織分離カテーテル組立体についてである。この組織分離装置は、先端シャフト部分に向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。この組立体はまた、先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるための第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離手段を含む。これらの第1及び第2の移動を助ける手段はそれぞれ、組織分離装置の先端分離部分の概ね基端側及び先端側に配置されている。
【0009】
本発明の第3の態様は、患者の体内の標的部位にアクセスするための方法についてである。組織分離カテーテル組立体を選択する。この組織分離カテーテル組立体は、先端シャフト部分を有するシャフト、及びそのシャフトに沿って延在する組織分離装置を含む。この組織分離装置は、先端シャフト部分に向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。この組立体はまた、先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるための第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離手段を含む。これらの第1及び第2の移動を助ける手段はそれぞれ、組織分離装置の先端分離部分の基端側及び先端側に配置されている。先端シャフト部分を、第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離要素及び先端分離部分と共に、組織を通過させて標的部位に送る。先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるべく、先端シャフト部分を送るステップの少なくともある部分で、第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離要素にエネルギーを供給する。
【0010】
本発明の第4の態様は、先端シャフト部分を有する回動可能なシャフト、及びそのシャフトに沿って延在する組織分離装置を含む組織分離カテーテル組立体についてである。この組織分離装置は、先端シャフト部分に向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。先端分離部分は先端分離端部を含む。ピボット接合部が、先端分離部分が収納状態と作動状態との間で移動する時に先端分離端部がそのピボット接合部で自由に有効に回動できるように先端分離端部を先端シャフト部分に回動可能に連結している。ピボット接合部は、先端シャフト部分によって画定されたキャビティ内に受容される先端分離端部にボール状部材を含むことができる。
【0011】
本発明の第5の態様は、患者から分離する組織部分の量を増大させる方法についてである。本発明の第4の態様に従って概ね形成された組織分離カテーテル組立体を選択する。先端シャフト部分を、先端分離部分及びピボット接合部と共に、組織を通過させて標的部位に送る。先端分離部分を、組織を通過させて収納状態から、先端分離部分がピボット接合部で回動した作動状態に移動させる。シャフトを回動させ、これにより作動状態の先端分離部分を組織を通過させて組織分離部分を形成する。分離した組織部分を患者から取り出す。
【0012】
本発明の第6の態様は、患者の体内の標的部位にアクセスする方法である。組織分離カテーテル組立体を選択する。この組織分離カテーテル組立体は、先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、シャフトに沿って延在し、先端シャフト部分に複数の先端分離部分を有する組織分離装置とを含み、各先端分離部分が、先端シャフト部分に向いた露出された収納状態に配置可能であり、少なくとも1つの先端分離部分が、先端シャフト部分から離間して外側に延出した作動状態に移動可能であり、少なくとも幾つかの先端分離部分が、露出した収納状態でエネルギー供給が可能である。先端シャフト部分を先端分離分と共に、この先端分離部分が露出した収納状態で、組織を通過させて標的部位に送る。先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるべく、送るステップの少なくともある部分で、少なくとも幾つかの先端分離部分にエネルギーを供給する。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を用いて好適な実施形態を詳述する以降の説明から明らかになるであろう。
【0014】
特定の実施形態の説明
図1及び図2に、通常は患者の乳房内の標的組織を周囲組織から分離するために用いられる組織分離組立体10が例示されている。標的組織の分離は、診断または治療のために行われる。組立体10は、ハンドル14から延出したカテーテル組立体12を含む。通常は組織を通過させるカテーテル組立体12の患者への挿入は、例えばトロカールやRF先端を用いて組織を通過する好適な通路を提供するなどして補助するのが好ましい。ステッパーモータ16が、ハンドルハウジング22に取り付けられた駆動ケーブルコネクタ20及び駆動ケーブル18によってハンドル14に接続されている。図面にはハンドルハウジング22の半分しか示されていないが、他方の半分のハウジングも同様である。RFエネルギーが、RF源24から駆動ケーブル18及びハンドル14の内部を介してカテーテル組立体12に供給される。制御装置26が、動作速度やエネルギーレベルなどのステッパーモータ16やRF源24の動作を制御する。制御装置26はまた、ハンドル14及びカテーテル組立体12から組織の温度、抵抗力の信号、組織のインピーダンス、及び回転角度などの適切なフィードバック信号を受信する。
【0015】
駆動ケーブル18は、駆動ねじ28に取り付けられ、この駆動ネジ28を回動させる。この駆動ねじ28は、駆動ねじ支持体30、32によって軸方向の固定された位置でハンドル14内に回動可能に取り付けられている。駆動ナット34が、駆動ねじ28に螺合している。L型アクチュエータ36が駆動ナット34に固定されている。図4に示されているように、アクチュエータ36は、駆動ねじ28の軸に平行にハンドル14内を移動できる大きさ及び構造を有する概ね水平方向のベース部分38及び概ね垂直方向の直立部分40を含む。従って、ステッパーモータ16による駆動ねじ28の回動により、アクチュエータ36がハウジング22内を図1の位置から図10の位置までスライドする。逆方向の往復運動も可能である。
【0016】
カテーテル組立体12は、ハウジング22に取り付けられ、そこから延出した導入シース42を含む。カテーテル組立体12は、図14‐図17を参照して後述するようにシース42内を通るアクチュエータチューブ43、及びそのチューブ43内を通るシャフト44を含む。ここで、図3を参照されたい。シャフト44は、シース42の先端部48から先端側に延出した先端部分46及びハンドル14の内部に延びた基端部分50を有する。基端部分50は、リードねじ52に固定されており、このリードねじ52と共に回動する。従って、シャフト44がリードねじ52と共に回動する。リードねじ52は、ハウジング22内を軸方向に移動しないが回動できるようにハウジング22内に取り付けられている。組織分離装置54が、シャフト44に沿って延在し、そのシャフト44の先端部58に取り付けられた分離ワイヤ部分56を有する。分離ワイヤ56は、先端部分46の外側に配置されている。組織分離装置54の大部分が、シャフト44内に形成された軸孔60内に延在するワイヤの形態である。分離装置54は、その基端部に径方向に延びたプッシャーねじ62を有する。シャフト44の基端部は、プッシャーねじ62が延在する軸方向に延びたスロット64を有する(図2を参照)。従って、プッシャーねじ62を先端側(図面の左側)に押すと、組織分離ワイヤ56が外側に拡張して、図1の径方向に収縮した状態から図5及び図6の径方向に拡張した状態に移動する。このような径方向外側への移動は通常、通常は患者の乳房である患者の標的部位で行われる。組織を通過する分離ワイヤの移動を補助するべく、ワイヤ56にRF源24からRFエネルギーを供給する。機械的な往復運動または機械的な振動などの他の方式でエネルギーを供給することもできる。
【0017】
プッシャーねじ62の軸方向の移動は、アクチュエータ36の軸方向の移動によってなされる。アクチュエータ36は、直立部分40から先端側に延出した延長部66を有する。延長部66は、プッシャーねじ62に整合した、下方に延びた先端部68を有する。ステッパーモータ16による駆動ねじ28の回動によってアクチュエータ40がまず軸方向に移動し、先端部68とプッシャーねじ62との間の小さなギャップ70(図2を参照)が閉じる。この小さなギャップにより、分離ワイヤ56が径方向外側に拡張する前に電磁外科アークを開始することができる。アクチュエータ36のさらなる先端側への移動によりプッシャーねじ62が先端側に移動し、分離ワイヤ56が図5及び図6の位置まで外側に曲がる。図5及び図6(図1には不図示)に示されているように、ハウジング22の一部である支持ブロック72を用いてリードねじ52の先端部及びシャフト44の基端部を支持している。支持ブロック72は、当初はプッシャーねじ62を受容する軸方向に延在するスロット74を有する(図5及び図7を参照)。分離ワイヤ56が完全に拡張すると、プッシャーねじ62が、面取りされた面を有する延長部66の先端部68及びスロット74から出て、プッシャーねじ62が位置にシャフト44と共に図7の垂直からずれた位置に回動し始める。これと同時に、アクチュエータ36の直立部分40が図2のギャップ73を閉じて、リードねじ52に螺合したリードナット75に接触する。回転防止ピン76が、アクチュエータ36の直立部分40から延出してリードナット75に形成されたU型スロット78内に受容されているため(図1Aを参照)、リードナット75がアクチュエータ36によって軸方向に移動する時にリードねじ52に対して回動しない。その代わり、アクチュエータ36の軸方向の移動によりリードねじ52が回動してシャフト44が回動する。組立体10は、シャフト44の約540度の回動により、分離ワイヤ56が組織内を通過して組織部分80を周囲組織から完全に分離できるように構成されている。分離ワイヤ56の径方向の位置は、ハウジング22から露出したリードねじ52の基端部82を見て容易に確認することができる。図8を参照されたい。基端部82は、分離ワイヤ56の回動位置に一致する回動位置表示装置84を有する。
【0018】
この開示した実施形態に従った上記した一連の事象は、使用者が開始すると自動的に行われる。分離ワイヤ56の拡張、シャフト44の回動、及びワイヤ56へのエネルギーの供給の内の1または複数を含め、装置の動作は当然、例えばシャフト44の回動に対する異常な抵抗などに基づいて手動または自動で停止することができる。
【0019】
組立体10はまた、ハウジング22に形成されたスロットから横方向外側に延出した一対のプッシャータブ88を有するT型プッシャー装置86を含む(図11‐図13を参照)。シャフト44が回動を終了したら、使用者がタブ88を先端側に押し出す。これにより、装置86の延長部90がフリッパーカム92をピボットピン94を中心に回動させる。フリッパーカム92は、一対の組織部分保持要素96の基端部に連結されている。保持要素96は、図3に示されているようにシャフト44に形成された軸孔98を通るワイヤの形態である。保持要素96の先端部は、ニチノールなどの形状記憶合金からフックワイヤ100に形成されるのが好ましい。フックワイヤ100は、シャフト44の先端部分46に形成された開口を通過して分離された組織部分80に係合し、その組織部分80をシャフト44の先端部分46に固定するのを助ける。
【0020】
プッシャー装置86は、アクチュエータチューブ43の基端部に連結された先端部102を含む。従って、プッシャー装置86の移動により、チューブ43が導入シース42内を先端側に移動する。この時点で、フックワイヤ100が図11‐図13に示されているように配置されているが、アクチュエータチューブ43の先端部に固定された管状編組み部材104(図14‐図17を参照)がシース42内に完全には受容されている。プッシャー装置86がさらに先端側に移動すると、管状編組み部材104がシース42の先端部48を超えて図15‐図17の位置まで延出する。管状編組み部材104の目的は、分離された組織部分と周囲組織との間の切断面に沿って通過して分離された組織部分80を取り囲むことである。管状編組み部材104の開口した外側端部106は、組織を通過して軸方向に押されるため自然と径方向に拡張する。管状編組み部材104の初めの径方向の適切な拡張を助けるために、シャフト44がテーパガイド面108を有する。このテーパガイド面108は、導入シャフト42の先端部48に近接したガイド要素110に形成され外側に広がっている。部材104の適切な径方向の拡張は、部材104が弛緩した状態の時にとる形状によって補助することができる。例えば、管状編組み部材104は、図40‐図45を用いた詳細な説明を参照されたい。ガイド要素110は、その基端面にスロットを有し、図9の径方向に拡張した状態の時に分離ワイヤ56の基端部がこのスロット内に受容される。これにより、分離ワイヤ56が、回動の際も折り曲がらずに維持される。所望に応じて、管状編組み部材104の外側端部106に、引張り紐または他のタイプの閉止要素を設けることができる。分離された組織部分80は、管状編組み部材104内に実質的に覆われ、フックワイヤ100によってシャフト44の先端部分46に固定されているため、患者から除去することができる。
【0021】
本発明では、分離された組織部分80は患者から除去しても、全部ではないにしてもその殆どが物理的な完全性を維持する。また、管状編組み部材104が用いられ、特に通路の材料に対してシールする或いは他の方法で材料を透過できないようにした場合、分離した組織部分80を除去する際に組織の経路に沿って病変組織を散乱させる可能性が小さくなる。
【0022】
図18‐図29Bに、本発明の実施形態がさらに例示されている。全ての図面において、同じ参照符号は同じ構成要素を指している。図18は、図1のカテーテル組立体12の代替の実施形態の先端部120の拡大側面図である。ここで、図21、図22、及び図27を参照すると、分離ワイヤ部分56が先端部122を備えているのが示されている。先端部122は、ボール型部材124まで延びている(図22を参照)。ボール型部材124は、先端部分の先端部136でシャフト44の先端部分46内に画定されたキャビティ126内に受容され、これによりピボット接合部128が形成されている。ピボット接合部128を形成することにより、先端部122が、分離ワイヤ部分56が動作状態と収納状態との間で移動する時に自由に回動することができる。分離ワイヤ部分56の先端部122の疲労特性を改善し応力を減少させるのに加えて、ピボット接合部128の使用により、組織分離装置54の移動距離が同じ場合、患者から除去する分離組織部分の量を容易に増大することができる。この量の増大は、図18と図19の実施形態を比較すると理解できるであろう。図19の実施形態では、分離ワイヤ部分56の先端部122が、シャフト44の先端部分46に固着または他の方法で回動しないように固定されている。図20に、図19の実施形態での量が減じられた分離組織部分80Bに対する図18の実施形態での量が増大された分離組織部分80Aが例示されている。この例では、組織分離装置54の移動距離が同じ場合、分離組織部分80Aの量は、計算では分離組織部分80Bの量よりも約50%多い。
【0023】
シャフト44の先端部分46は、移行面110として機能するガイド要素110を含む。移行面110は、径方向外側及び基端側に延在する先端側を向いた表面であって、先端部分46の先端部136から長手方向に離間している。離間した一連の第1の基端側のエネルギー供給可能な組織分離要素130が移行面110に沿って配置されている。図23は、図18の線23‐23に沿って見た断面図であって、金属チューブ132に対する要素130の電気的な接続を例示している。
【0024】
図24A‐図24Hは、第1の要素130の代替の実施形態を例示している。要素130Aは、図18及び図23の実質的に円形の要素130と比較して長手方向に延長された長さを有する。要素130Aの延長された長さは、標的部位に配置するために必要な刺入の力を減らすのに有用であると考えられる。図24Aの実施形態は、現在好適な実施形態である。要素130Bは、周方向に連続した要素または周方向に実質的に連続した要素を含む。周方向に延在する要素130Bもまた、必要な刺入の力を減らすのに有用であろう。要素130Cは要素130に類似しているが、移行面110の周辺部140に位置している。図24D及び図24Eに示されている要素130D及び130Eはそれぞれ、概ねV型及び蛇行型の変更形態である。図24F及び図24Gに示されている要素130F及び130Gはそれぞれ、先端部分46の実質的に長さ全体に沿った直線状及び螺旋状に延在する。図24Hは、要素130Hが先端部分46から径方向外側に延在する要素のさらに別の実施形態である。要素130Hは、収納可能にし、例示されている先が尖った三角形以外の形状にすることもできる。要素130は、通常は金属ワイヤまたは類似の構造物から形成するが、塗装、めっき、または他の方法で先端部分46の表面に堆積させることができる。場合によっては、要素130の2つ以上の構成の組合せが有用であろう。通常は、要素130の全てに同一レベルのエネルギーを供給するが、異なったレベルのエネルギーを供給することもできる。また、供給するエネルギーのレベルは、時間経過によって、または組織を通過する分離ワイヤ部分56の通過に対する抵抗によって変更することができる。また、要素130に対するエネルギーは、使用者の判断で必要に応じて供給することができる。
【0025】
先端部分46は、中空であって、その先端部136に開口134を画定する導電性の金属チューブ132を含む。チューブ132の環状縁が、第2の先端側のエネルギー供給可能な組織分離要素138として機能する。第1の要素130及び第2の要素138の両方を1または複数の好適なエネルギー源に選択的に結合して、先端部分46を、組織を介して標的部分に送るのを助けることができる。
【0026】
図25及び図26に、シャフト44の先端部分46内に形成された開口142から延出した組織保持要素として機能するフックワイヤ100が例示されている。フックワイヤ100は、分離組織部分80にそのほぼ質量中心で係合する大きさ、配置、及び形状を有するのが好ましい。この実施形態では2つのフックワイヤ100が示されているが、これよりも少ない数または多い数のフックワイヤを用いることもできる。また、異なった大きさ及び形状のフックワイヤ100を用いることもできる。フックワイヤ100はまた、軸方向の異なった位置に配置してエネルギーを供給し、組織の通過を助けることができる。
【0027】
図25、図27、及び図27Aに、先端側シャフト部分46に形成された基端側通路146及び先端側通路148を通る分離ワイヤ部分56の通路が例示されている。先端部分46は、通路146及び148の底面及びこれらの通路の間に延在する基準面150を有する。分離ワイヤ部分56は、収納状態では基準面150上に延在する。図27及び図27Aに最も良く示されているように、基準面150の中心部分152は凸状であるため、分離ワイヤ部分56が収納状態では、ワイヤ部分56の中心部分が、やや外側に膨らんだ凸状の線に沿って延在する。従って、組織分離装置54が先端側に移動したら、分離ワイヤ部分56が所望の要領で径方向外側に拡張するように形成されている。凸状の中心部分152を用いることにより、組織分離装置54に加えるべき力を小さくすることができる。
【0028】
図28に、図18の実施形態のように1つの分離ワイヤ部分56ではなく3つの分離ワイヤ56を含む図18の実施形態のさらに代替の実施形態が例示されている。図29Bに示されているように、1つのワイヤ部分56は作動状態であり、他の2つのワイヤ部分56は収納されて基準面150に近接している。図18の実施形態とのもう1つの違いは、基端側のエネルギー供給可能な第1の組織分離要素130の機能が、ワイヤ部分56が収納状態で装置が組織を介して標的部位に送られる時に3つの分離ワイヤ部分56にエネルギーを供給することで置換されている。これは、図29Aに示されている。標的部位に達したら、外科医が、組織の性質や組織部分80を幾つの片に分割するかなどの様々な因子によって、1つ、2つ、または3つ全ての分離ワイヤ部分56を収納状態から作動状態にするかを決定することができる。
【0029】
図18‐図29Bの実施形態では、先端部分46は、基端要素154、本体部分156、及びエンドキャップとして機能する先端部136を含む。図27に、要素154、156、及び136の相互の結合が例示されている。要素154、156、及び136は、組立てが単純となるように構成されている。組立ては、中心チューブ132の上に順に各要素を単純に重ねると、これらの部品がチューブの拡張端部138によって先端側の所定の位置に維持される。要素154、156、及び136は非導電性であるのが好ましい。要素154及び156は通常、AL2O3またはジルコニアなどの医療グレードのセラミック材料から形成され、先端部136は通常、PEEKまたはポリイミドなどの医療グレードのポリマーから形成される。
【0030】
刺入点の組織と標的部位の組織では組織の性質が異なる場合が多いため、針またはシャフト44の先端部分46など他の組織刺入部材の組織の通過に必要な力の大きさが変化する。組織刺入部材を、硬い組織部分または他の刺入が困難な組織部分を通過させなければならない場合、硬い組織部分を刺入するために必要な力の大きさは、例えば組織刺入部材が曲がるのに十分な程、大きいことがある。組織刺入部材が曲がらないように十分に大きな円柱強度を有するとしても、必要な力の大きさが、組織を変形させるのに十分な大きさの場合があり、組織刺入部材の先端部を標的部位に配置するのが困難となる。また、先端部が一旦、刺入が困難な組織部位を通過すると、通過に必要な力の大きさにより組織刺入部材の先端部が所望の部位よりも先まで進み、不所望の組織の外傷が起こり、近接した器官を傷つける恐れもある。
【0031】
図30を参照すると、大まかに言って、組織にエネルギーを供給する回路164に接続された組織刺入部分組立体162、及びその組織刺入部分組立体に機能的に接続された感圧スイッチ166を含む組織刺入組立体160が模式的に例示されている。部分組立体162は、ハンドル170、そのハンドル170から延出したハンドル延長部172、及びピボット176でハンドル170に取り付けられた針クランプ174を含むハンドル組立体168または他の支持組立体を含む。部分組立体162はまた、針クランプ174に固定されそのクランプから延出した針178、または他の組織刺入装置も含む。針178は、長さの殆どに沿って電気絶縁部材182によって覆われた針シャフト180を含む。電気絶縁部材182は、針178の組織刺入面185を有する先端部184に組織刺入エネルギーを集中させるのに役立つ。
【0032】
感圧スイッチ166は、針クランプ174とハンドル延長部172との間に保持された圧縮ばね186を含む。組立体160はまた、ハンドル170に取り付けられた安全スイッチ188も含む。安全スイッチ188は、ピボット192でハンドル170に取り付けられたアーム190を含む。スイッチ188もまた、アーム190とハンドル延長部172との間に保持された安全圧縮ばね194を含む。安全スイッチ188を使用することにより、針178とRF発生器200との誤った接続が防止され、組立体160の安全性を高めることができる。回路164は、ピボット176及び192のそれぞれを介して、針クランプ174、従って針先端部184及びアーム190に電気的に接続された一対のリード線196、198を含む。回路164はまた、リード線196、198が延び出たRF発生器200、及び発生器200を戻りパッド204に接続する戻りケーブル202を含む。導電体206が、ハンドル延長部172に取り付けられている。導電体206は、針シャフト180及びアーム190の対応する面に対向した電気接触面208、210を有する。安全解除ボタン212がアーム190に取り付けられている。使用者は、安全解除ボタン212を押してアーム190を電気接触面210に接触させて、アーム組立体116を安全解除することができる。装置が安全解除された状態で、軟組織層214、218及び硬いまたは刺入が困難な組織層216の3層の組織によって例示されている組織内に針178を刺入する。硬い組織層216に突き当たると、組織層216を刺入するのに必要な力がばね186を圧縮するのに十分となり、針シャフト180が電気接触面208に接触してRF発生器200に対する回路が完成する。この時点で、RF発生器200が先端部184の表面185にエネルギーを供給し、針178が、過度の力を必要とすることなく硬い組織216を通過することができる。先端部184が硬い組織層216を通過したら、針178に加える力を小さくしてばね186を戻し、針シャフト180と接触面208を分離して組織分離面185へのRFエネルギーの供給を停止することができる。
【0033】
組織刺入組立体160を用いて、単純な針の組織への刺入を助けることができる。しかしながら、組織刺入の発明は、米国特許第6,179,860号に開示されている標的組織配置装置及びシャフト44を含む上記した実施形態などの組織刺入部材を含む他の装置にも利用することができる。
【0034】
図31‐図39に本発明の別の態様が例示されている。この態様では、組織分離組立体10が細長いカップラー220及び組織配置組立体222に結合されて組織配置/分離組立体224が形成されている。組織配置組立体222は、米国特許第6,179,860号に開示されているタイプとすることができる。組立体222は、図示されているように、患者226の組織内に径方向に拡張された配置状態の配置装置112によって配置されている。組立体222は、プルワイヤ230がスライド可能に受容されているシース228(図32を参照)を含む。シース228とプルワイヤ230との軸方向の相対運動により、配置装置112が径方向に拡張及び収縮する。プルワイヤ230の基端部232は、後述するようにカップラー220に係合するように湾曲している(図32及び図34を参照)。
【0035】
カップラー220は、可撓性ワイヤであって、その先端部のカップラーループ234、及び拡大基端部236を有する。カップラー220は、カテーテル組立体12のシャフト44の中を通っている(図31及び図32を参照)。カップラーループ234を用いて、カップラー220とプルワイヤ230の湾曲端部232を結合することができる(図31‐図34を参照)。結合した後、組織配置組立体222に対する張力を維持するために使用者が端部236を保持したまま、組織分離組立体10をカップラー220に沿って先端側に移動させ、連結した端部232、234をシャフト44内に導入して組織配置組立体222を組織分離組立体10にドッキングさせる。さらに組立体10を先端側に移動させて、カテーテル組立体12を、患者226の体内に挿入し、シャフト44の先端部分46の先端部136が配置装置112に対して適切な位置に来るまで、組織配置組立体222によって形成された組織の経路に沿って進める。適切な配置は、図35A‐図35Cに示されているように、ハンドル14の基端開口235を出て露出する、カップラー220に取り付けられ通常は赤く着色されたチューブ233の部分によって使用者が視認することができる。適切に配置される場合(図35Cを参照)、基端開口235に近接してハンドル14に配置された固定ばねクリップ237が、図35Bの付勢された位置から図35A及び図35Cの付勢されていない位置に跳ね戻り、チューブ233が誤ってハンドル14内に再進入するのが防止される。このように配置されると、組織配置組立体222が組織分離組立体10に少なくとも一次的にロックまたは固定され、配置装置112と組立体10との間の誤った軸方向の相対運動が防止される。もちろん、組立体220によって保持され、ハンドル14に係合可能なばねフィンガーなどの他のロック機構を用いても組立体10と222を互いにロックすることができる。
【0036】
図36は、分離ワイヤ部分56が径方向に拡張して回動し、分離された組織部分80が形成され、フックワイヤ100が配置されて分離された組織部分80に係合している、図35の組立体224の先端部分の拡大図である。配置装置112と分離組織部分80の間に、距離238として示されている空間が残るのが望ましいことが分かっている。図37は、図36の組立体を例示しており、導入シース42が僅かに基端側に移動して、管状編組み部材104の外側端部106が露出している。図38は、管状編組み要素104が初めは概ね分離組織部分80のアウトラインに沿って移動し、外側端部106が配置装置112に概ね軸方向に整合した、管状編組み部材104の患者226の体内の先端方向への移動をほぼ全体的に例示する図である。管状編組み部材104の外側端部106の移動が位置240に達するまで図示されている経路に従うことを理解されたい。位置240の後は、外側端部106が通る経路は、主に通る組織の物理特性に依存する。しかしながら、例示されている経路は一般的な経路である。次いで、管状編組み部材104によって保持された組織分離部分80及びカップラー220によって固定された配置装置112を含む図38の全組立体を組織の経路に沿って同時に引き戻して、分離組織部分80を患者226から除去する。この移動の際に、管状編組み部材104は、軸方向に伸びて直径が小さくなってより柱状になる傾向にあるため、組織の経路に沿ってその最初のアクセス開口までの組織が外傷を受ける可能性が小さくなる。
【0037】
図39は、患者226から除去された後の図38の組立体を例示する図であって、管状編組み部材104の外側端部106が弛緩した状態に戻り、組織標本80が管状編組み部材104及び配置装置112によって保持されている。図39に示されているように、管状編組み部材104は、弛緩した状態では、外側端部106が外側に開き、概ねトランペット型である。このトランペット型が、特に導入シース42からの初めの移動の際に分離組織部分80の周りに管状編組み部材104を案内するのを助けることが分かった。
【0038】
図40‐図45は、管状編組み部材104を形成するための好適な方法を例示している。管状編組み部材104は、採取する組織標本の大きさによって決まり、管状編組み部材の数、大きさ、及びその他の仕様は特定の状況によって様々にすることができる。図40は、この実施形態の大きな中心部分(直径が20.5mm、長さが50mm)を有する円柱マンドレル(不図示)に対して引き伸ばされた後の所定長さの管状編組み材料244の形状を例示している。円柱マンドレルに対して引き伸ばす前に、材料244は、連続した長さで供給され、マンドレルの大きさに切断され、初めの直径は5/16インチすなわち約8mmである。材料244は、直径が2.54mm(0.1インチ)の単繊維ポリエステルファイバーから形成されている。編組みは56の単繊維からなり、56のキャリヤブレーダ(carrier braider)から形成される。編組みは、連続した長さで形成される場合、約7.9mm(5/16インチ)の内径に維持される。編み角は、軸方向の長さを僅かに短くしても直径が急に変化するため、編組み中は固定され、この用途に対して選択された角度である。マンドレルの大きな中心部分は、管状編組み材料244の形状に一致し、概ね半球状の端部を備えた円柱状である。図41は、マンドレル及び管状編組み材料244の一端がシリコーン化合物内に浸漬された後の図40の構造を例示している。次いで、浸漬された構造を、通常はオーブンで硬化させ、管状編組み材料244の一端を覆うシリコーンフィルムまたはウエブ246を形成する。硬化後、浸漬され硬化された構造248をマンドレルに対して図41の左から右に引っ張ってマンドレルから取り外す。図42は、図43に示されている二重壁管状編組み部材104を形成するために浸漬された端部内に引き戻された、浸漬され硬化された構造248の開口したメッシュ端部250を例示している。図43は、アクチュエータチューブ43の先端部に取り付けられた管状編組み部材104を例示している。図44及び図45は、組織受容組立体254が形成するべく所定長さの熱収縮チューブ252及び接着剤によってアクチュエータチューブ43の先端部に固定された管状編組み部材104の基端部を例示している。二重壁管状編組み部材104は、シリコーンウエブ246によって実質的に完全に覆われた外壁256、シリコーンウエブ材料を少なくとも実質的に含まない内壁258、及びシリコーンウエブ246で覆われた開口した外側端部106を有する。
【0039】
シリコーンウエブ246は、少なくとも2つの機能を果たす。シリコーンウエブ246は、管状編組み部材104のトランペット形状を弛緩した状態に維持するのを助け、その一方、この管状編組み部材がトランペット形状から径方向に拡張及び収縮することができる。シリコーンウエブ246はまた、分離組織部分80を除去する際に組織が管状編組み部材104を通過するのを防止するのを助ける。これにより、組織を除去する際の組織の経路に沿った汚染の防止が助けられる。管状編組み部材104は、開口したメッシュ端部250を構造内に引き戻さない単一層として形成することができ、こうすることにより、管状編組み部材104の外側端部106の先端縁を柔軟に維持するのを助けることができることが分かった。図43‐図45に示されている概ねトランペット型の形状は、例示及び上記した形成工程の結果として自然に得られる。
【0040】
この編組み部材104の実施形態の開発についての後述する説明は、その様々な特徴及び利点を理解するのに有用であろう。編組み部材104の現在好適な実施形態は、平滑な端部を形成するべく折り返された網状ポリエステル(PET:ポリエチレンテレフタレート)単繊維のチューブ状スリーブを含む。目の粗い構造により、編組み部材は元の直径の数倍に拡張することが可能である。外側編組み層はシリコーンでコーティングする。
【0041】
初期の編組み部材のプロトタイプはニチノール編組みチューブからなっていた。編組みを構成するワイヤの直径、編組み角、及びワイヤの数を研究した。このような特性が、編組み部材の強度に影響を与える。編組み部材は、組織内に配置された時にこの部材に対してかかる力に打ち勝つように十分な剛性及び円柱強度を有する必要がある。しかしながら、編組み部材の剛性が高すぎると、編組み部材が分離組織部分をカットされたキャビティ内に押圧する可能性がある。コーティングまたは他の剛性部材によって支持され軸の長さに沿って軸方向に配置されたニチノールワイヤなどの非編組みの形態も考えられる。ワイヤの直径、編組み角度、及びワイヤの本数の組合せも、編組み部材の収納特性に影響を与える。配置されていない状態で、編組み部材は6mmのシース内に適合するようにデザインされている。製造された一部のニチノールのプロトタイプは、十分な強度及び剛性を有し、6mmのシース内に適合するようである。しかしながら、現在は、PET編組み部材の方が、後述する他の因子からニチノール編組み部材よりも好ましい。
【0042】
円柱強度に影響を与える相互に作用する複数の因子がある。編組み角度、繊維の数、及び繊維材料の剛性及び直径が主な決定因子である。軸方向の向き、繊維の本数の多さ、及びより強い繊維は全てより大きな円柱強度に寄与する。編組み部材104の現在好適な材料は、0.254mm(0.010インチ)の直径の単繊維である。編組み部材の単繊維の数は、編組み部材104の機械特性を最適にするように選択した。繊維の数を増やすと、逆効果で円柱強度が低下して座屈する可能性が高くなる。繊維の数を減らすと、編組み部材が収納位置から配置位置に拡張される時に繊維間の間隔が大きくなる。この間隔が開き過ぎると、コーティングが裂ける恐れがある。また、編組み角度がより軸方向を向くように形成された編組み部材は、収納位置でより長い距離を占め、配置のためにより長い距離が必要となる。繊維の数は、編組み部材の強度、繊維間の間隔、及び配置の距離を最適にするように選択した。
【0043】
組織と最初に接触する編組み部材の先端部が平滑であるのが現在は好ましい。ギザギザの縁または鋭利な縁を有する編組み部材は、組織に引掛かり、分離組織部分の周りの切断された組織の境界面内をスライドできないことが分かった。ニチノール編組み部材に対して、ワイヤ端部のはんだ付け、ろう付け、またはボールの接着、または一本のワイヤの折り重ねなどの弛みワイヤ末端処理の様々な方法が研究されてきた。このような方法は、あまり成功しなかった。非外傷性のボールにするには、ボールをかなりの大きさにする必要がある。ボール端部または折り重ね端部では収納位置の編組み部材の直径が大きくなるため、シース内に適合させるのが困難である。これにより、「ロールオーバー(反転)」や「二層」の編組み部材の考えが生まれた。何れの考えの場合も、管状編組み部材は、それ自体を折り曲げて、折り曲げられた平滑な端部を備えた二層編組み部材を形成する。「二層」編組み部材の場合は、2つの層が基端部で互いに結合される。プロトタイプの二層ニチノール編組み部材は有望な特性を示した。しかしながら、折り曲げられた端部が膨らみすぎて、直径6mmのシース内に引き込むのが困難または不可能になる。一方、PET編組み部材は、折り曲げられた時に良好な折り目ができ、シース内に引き込むのが容易である。配置する場合、外層が前方に押されて内層に対してスライドすることができる。この実施形態は可能性であるが、現在は好適な実施形態ではない。
【0044】
編組み部材の形状は、その機能にも影響を与える。「弾丸」、「円錐」、及び「ベル」、または直径が変化する「トランペット」の断面などの様々な異なった形状のプロトタイプの編組み部材を試験した。編組み部材104の所望の特性は、初めに配置する時に編組み部材が広がって開き、生検サンプルをキャビティの中に押し込むのではなく生検サンプルの周りに拡張する傾向を有する。編組み部材104の形状は、配置の際に最大限に広がって開くように最適にした。
【0045】
この編組み部材は、現在は2成分シリコーンエラストマーでコーティングされている。一部のポリウレタンコーティングも調査したが、予備試験でシリコーンコーティングほどは上手く機能しなかった。シリコーンコーティングは、その高い引裂き強度及び弾性によって選択した。収納状態から完全に配置された状態までで、編組み部材104の直径を300%も拡張させることができる。編組み部材は、サンプルを捕捉するのを助けるために先端部にスネアを有することができる。
【0046】
添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく開示した実施形態に対して様々な改良及び変更をすることができる。例えば、リードねじ52を中空にして、アクチュエータシャフト114または他の医療装置がそのリードねじ52を介してシャフト44の内腔内に至るようにすることができる。基準面150は図示されているように平滑な曲面形状を有するが、この基準面150は、不連続的な表面形状、分離ワイヤ部分56に所望の曲がり具合を提供する1または複数の突出部を備えた平坦な表面形状、またはこれらの組合せなどの他の形状とすることもできる。編組み部材104は、他の材料から形成したり、上記した以外の製造方法で製造することができる。
【0047】
上記したあらゆる特許、特許出願、及び印刷物は、言及することを以って本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】見易くするためにハンドルの一部が取り外された、本発明に従って形成された組織分離組立体の部分的に模式的な全体図である。
【図1A】リードねじに取り付けられた親ナットのスロット内にピンが係合しているのを示す、図1の線1A‐1Aに沿って見た簡易断面図である。
【図2】図1の組立体の駆動要素の一部の模式図である。
【図3】図1の線3‐3に沿って見たカテーテル組立体の簡易断面図である。
【図4】駆動ねじ、駆動ナット、及びその駆動ナットに連結されて共に移動可能なL型アクチュエータが取り付けられた図1の半分のハウジングの斜視図である。
【図5】アクチュエータが図1の位置から移動してアクチュエータ延長部が分離ワイヤプッシャーねじを先端方向に押し、これにより分離ワイヤが径方向外側に移動した、図1のハンドル及びカテーテル組立体を示す図である。
【図6】アクチュエータが図1の位置から移動してアクチュエータ延長部が分離ワイヤプッシャーねじを先端方向に押し、これにより分離ワイヤが径方向外側に移動した、図1のハンドル及びカテーテル組立体を示す図である
【図7】プッシャーネジの垂直からずれた向きを示す、プッシャーねじがブロックのスロットから出た直後のブロック及びプッシャーねじの簡易端面図である。
【図8】ハウジングの外部から視認できるリードねじ、及び図10の分離ワイヤの位置に一致するリードねじにマークされた回転位置表示を基端側から見た端面図である。
【図9】駆動ねじがアクチュエータを先端側に移動させて、親ナットがリードねじ、カテーテルシャフト、及び分離ワイヤと共に約540度回動して組織部分を分離した後の図5の構造を示す図である。
【図10】駆動ねじがアクチュエータを先端側に移動させて、親ナットがリードねじ、カテーテルシャフト、及び分離ワイヤと共に約540度回動して組織部分を分離した後の図6の構造を示す図である。
【図11】組織部分保持部材の手動の作動を例示する図である。
【図12】組織部分保持部材の手動の作動を例示する図である。
【図13】図12の一部の構成要素の簡易図である。
【図14】図13の線14‐14に沿って見たカテーテルの断面図である。
【図15】分離された組織部分を取り囲む管状編組み部材の手動の作動を例示する図である。
【図16】分離された組織部分を取り囲む管状編組み部材の手動の作動を例示する図である。
【図17】図16の一部の構成要素の簡易図である。
【図18】図1のカテーテル組立体の代替の実施形態の先端部の拡大側面図である。
【図19】図18のカテーテル組立体の先端部の変更された実施形態の側面図である。
【図20】図18の実施形態の分離された組織部分と図19の実施形態の分離された組織部分の大きさの違いを示す例示的な模式図である。
【図21】図18の線21‐21に沿って見た拡大平面図である。
【図22】図21の線22‐22に沿って見た拡大断面図である。
【図23】図18の線23‐23に沿って見た断面図である。
【図24A】図18のガイド部材/移行面の別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24B】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24C】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24D】図18のガイド部材/移行面の実施形態をさらに別の示す簡易側面図である。
【図24E】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24F】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24G】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24H】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図25】配置された状態のフックワイヤ/組織保持部材を例示する図18のカテーテル組立体の先端部の全体図である。
【図26】図25のシャフトの一部の断面図である。
【図27】分離ワイヤ部分が径方向に収納された状態の図25の構造のやや簡易化した断面図である。
【図27A】分離ワイヤ部分が径方向に拡張した状態の図25の構造のやや簡易化した断面図である。
【図28】3つの分離ワイヤ部分を含み、その内の1つが作動状態で示されている図18の本発明のさらなる実施形態を例示する図である。
【図29A】それぞれが収納状態にある等間隔に配置された3つの分離ワイヤ部分を示す図28の構造の簡易端面図である。
【図29B】1つの分離ワイヤ部分が作動状態である図29Aに類似した図である。
【図30】組織刺入組立体を例示する簡易模式図である。
【図31】組織分離組立体、カップラー、及び組織配置組立体を含む本発明に従って形成された、組織配置組立体の配置装置が患者の体内の標的部位で拡張した状態である、組織配置/分離組立体の全体図である。
【図32】組織配置組立体の基端部に係合しているカップラーの先端部のループを例示する、図31の組立体の部分拡大図である。
【図33】互いに連結された図31の組織配置組立体の基端部及びカップラーの先端部を例示する図である。
【図34】互いに連結された図31の組織配置組立体の基端部及びカップラーの先端部を例示する図である。
【図35】組織分離組立体の先端側への移動により図33及び図34の各端部の接合部がカテーテル組立体の中に移動した、組織配置組立体と組織分離組立体のドッキングを例示する図である。
【図35A】ハンドルの基端部の開口を通過する、細長いカップラーに固定された表示チューブの移動を示す簡易図である。
【図35B】ハンドルの基端部の開口を通過する、細長いカップラーに固定された表示チューブの移動を示す簡易図である。
【図35C】ハンドルの基端部の開口を通過する、細長いカップラーに固定された表示チューブの移動を示す簡易図である。
【図36】分離ワイヤ部分が径方向に拡張して回動し、フックワイヤが分離された組織部分に係合した、図35の組立体の先端部分の拡大図である。
【図37】カテーテル組立体スリーブが基端側に僅かに移動して管状編組み部材の先端部が露出された、図36の組立体を例示する図である。
【図38】管状編組み部材が初めは分離された組織部分の外側に概ね沿って移動し、管状編組み部材の外側端部が配置装置に軸方向に概ね整合した、患者の体内への先端方向への管状編組み部材の移動を例示するやや理想化した図である。
【図39】患者から抜き取られ、管状編組み部材の外側端部が弛緩した状態に戻った、図38の組立体を例示する図である。
【図40】大きな中心部分を有する柱状マンドレルに対して引き伸ばされた、管状編組み部材の形状を例示する図である。
【図41】マンドレル及び管状編組み材料の一端がシリコーン化合物内に浸漬された後の図40の構造を例示する図である。
【図42】管状編組み部材を形成するべく浸漬された端部内に引き戻された、シリコーンが硬化しマンドレルから取り外された後の浸漬された管状編組み材料の開口したメッシュ端部を例示する図である。
【図43】アクチュエータチューブの先端部に取り付けられる、得られた管状編組み部材を例示する図である。
【図44】熱収縮チューブの長さに亘ってアクチュエータチューブの先端部に固定された管状編組み部材の基端部を示す図である。
【図45】アクチュエータチューブに固定された管状編組み部材を例示する図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本願は、2001年11月7日出願の米国特許出願第10/045,657号(名称:「組織分離組立体及び方法(Tissue Separator Assembly And Method)」)のに関連する。本願はまた、同日出願の米国特許出願第__/___,___号(代理人整理番号1019‐1、名称:組織を配置及び分離するための組立体「Tissue Localizing And Separating Assembly」)及び米国特許出願第__/___,___号(代理人整理番号ARTM1018‐1、名称:「組織を分離及び配置するためのカテーテル組立体(Tissue Separating And Localizing Catheter Assembly)」)に関連する。また、(1)2001年1月30日に付与された米国特許第6,179,860号(名称:「標的組織配置装置及び方法(Target Tissue Localization Device And Method)」)、(2)2000年3月2日出願の国際特許出願第00/10471号(名称:「標的組織配置装置及び方法(Target Tissue Localization Device And Method)」)、(3)2001年4月24日に付与された米国特許第6,221,006号(名称:「取込み装置及びその使用方法(Entrapping Apparatus And Method For Use)」)、(4)1999年8月12日出願の国際特許出願第99/39648号(名称:「取込み装置及びその使用方法(Entrapping Apparatus And Method For Use)」)、(5)2000年6月5日出願の米国特許出願第09/588,278号(名称:「組織の除去方法及び装置(Tissue Removal Methods And Apparatus)」)、(6)2000年12月14日出願の国際特許出願第00/74561号(名称:「組織の除去方法及び装置(Tissue Removal Methods And Apparatus)」)、及び(7)2001年4月27日出願の米国特許出願第09/844,661号(名称:「手術中の組織治療方法(Intraoperative Tissue Treatment Methods」」)を参照されたい。
【0002】
発明の背景
現在、米国では1日に1500人以上の人が癌で亡くなっている(1年にすると約550,000人)。癌の治療方法は多数あり、現在も研究が続けられている。今なお、好ましい治療は、癌を物理的に除去することである。可能であれば、外科的な除去が好ましい(乳房、結腸、脳、肺、及び腎臓など)。開放して外科的に切除するのは侵襲性が高い場合が多いため、低侵襲性の方法で癌組織を除去する試みがなされているが、まだ完全ではない。
【0003】
癌治癒の唯一の方法は、現在も早期診断・早期治療である。癌治療が診断の早期に行われれば行われるほど、手術する癌組織の大きさも小さくなる。初期に小さい癌を除去するには、侵襲性が低い癌の除去及び切除のための新規の技術が必要である。
【0004】
低侵襲性のがん治療を行うための方法は多数あるが、十分には改善されていない。例えば、USサージカル社(U.S. Surgical Corporation)のABBIシステム及びイマジン社(ImaGyn Corporation)のSite Selectシステムが低侵襲性の癌治療のために開発された。しかしながら、低侵襲性外科手術(Minimally Invasive Surgery (MIS))法に比べて従来の方法は大きな中心切開部(直径が約15mm超)を必要とする。さらに、ジョンソン・アンド・ジョンソン社のMammotomeシステム及びUSサージカル社(U.S. Surgical Corporation)のMIBBシステムでも、生検のために大きな中心切開部(直径が約4mm超)を必要とする。
【0005】
米国外科癌専門医会(American Society of Surgical Oncologists)によって200年3月13日に開催された代表者会議で、従来の定位針生検(SCB)法は、特に非浸潤性乳管癌(DCIS)では、真空を利用したこのSCBの後の正確な外科的処置に十分に対応できないと報告された。このような経皮的なシステムは、明らかに正常な組織細胞を傷つけるため、細胞が傷ついた正常な細胞なのか或いは初期の前癌(例えば、異型乳管上皮過形成(Atypical Ductal Hyerplasia:ADH))細胞なのかを決定するのが困難である。
【0006】
チャペル・ヒル(Chapel Hill)のノースカロライナ大学のオリラ(Ollila)博士らの研究によって、このような従来の方法を用いると採取された組織標本が傷つけられるため、組織学及び病理学の面で妥協しなければならないことが実証された。従って、米国ではDCISがより検出し易くなって乳癌の診断が一般的になってきたことを含め、様々な理由から、従来の真空を利用した針生検システムの改善の要求が強まってきている。
【0007】
発明の要約
本発明の第1の態様は、組織分離カテーテル組立体についてである。この組織分離カテーテル組立体は、先端部及び先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、シャフトに沿って延在する組織分離装置を含む。この組織分離装置は、先端シャフト部分に向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。先端シャフト部分は、その基端部に先端側を向いた移行面を含む。移行面は、先端部から離れて径方向外側に長手方向に延在する。第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が移行面に設けられている。第2のエネルギー供給可能な組織分離要素が先端部またはその近傍に設けられている。第1及び第2の組織分離要素は、先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるように適合されている。
【0008】
本発明の第2の態様は、先端シャフト部分を有するシャフト、及びそのシャフトに沿って延在する組織分離装置を含む組織分離カテーテル組立体についてである。この組織分離装置は、先端シャフト部分に向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。この組立体はまた、先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるための第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離手段を含む。これらの第1及び第2の移動を助ける手段はそれぞれ、組織分離装置の先端分離部分の概ね基端側及び先端側に配置されている。
【0009】
本発明の第3の態様は、患者の体内の標的部位にアクセスするための方法についてである。組織分離カテーテル組立体を選択する。この組織分離カテーテル組立体は、先端シャフト部分を有するシャフト、及びそのシャフトに沿って延在する組織分離装置を含む。この組織分離装置は、先端シャフト部分に向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。この組立体はまた、先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるための第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離手段を含む。これらの第1及び第2の移動を助ける手段はそれぞれ、組織分離装置の先端分離部分の基端側及び先端側に配置されている。先端シャフト部分を、第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離要素及び先端分離部分と共に、組織を通過させて標的部位に送る。先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるべく、先端シャフト部分を送るステップの少なくともある部分で、第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離要素にエネルギーを供給する。
【0010】
本発明の第4の態様は、先端シャフト部分を有する回動可能なシャフト、及びそのシャフトに沿って延在する組織分離装置を含む組織分離カテーテル組立体についてである。この組織分離装置は、先端シャフト部分に向いた収納状態と先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な先端分離部分を先端シャフト部分に有する。先端分離部分は先端分離端部を含む。ピボット接合部が、先端分離部分が収納状態と作動状態との間で移動する時に先端分離端部がそのピボット接合部で自由に有効に回動できるように先端分離端部を先端シャフト部分に回動可能に連結している。ピボット接合部は、先端シャフト部分によって画定されたキャビティ内に受容される先端分離端部にボール状部材を含むことができる。
【0011】
本発明の第5の態様は、患者から分離する組織部分の量を増大させる方法についてである。本発明の第4の態様に従って概ね形成された組織分離カテーテル組立体を選択する。先端シャフト部分を、先端分離部分及びピボット接合部と共に、組織を通過させて標的部位に送る。先端分離部分を、組織を通過させて収納状態から、先端分離部分がピボット接合部で回動した作動状態に移動させる。シャフトを回動させ、これにより作動状態の先端分離部分を組織を通過させて組織分離部分を形成する。分離した組織部分を患者から取り出す。
【0012】
本発明の第6の態様は、患者の体内の標的部位にアクセスする方法である。組織分離カテーテル組立体を選択する。この組織分離カテーテル組立体は、先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、シャフトに沿って延在し、先端シャフト部分に複数の先端分離部分を有する組織分離装置とを含み、各先端分離部分が、先端シャフト部分に向いた露出された収納状態に配置可能であり、少なくとも1つの先端分離部分が、先端シャフト部分から離間して外側に延出した作動状態に移動可能であり、少なくとも幾つかの先端分離部分が、露出した収納状態でエネルギー供給が可能である。先端シャフト部分を先端分離分と共に、この先端分離部分が露出した収納状態で、組織を通過させて標的部位に送る。先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるべく、送るステップの少なくともある部分で、少なくとも幾つかの先端分離部分にエネルギーを供給する。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を用いて好適な実施形態を詳述する以降の説明から明らかになるであろう。
【0014】
特定の実施形態の説明
図1及び図2に、通常は患者の乳房内の標的組織を周囲組織から分離するために用いられる組織分離組立体10が例示されている。標的組織の分離は、診断または治療のために行われる。組立体10は、ハンドル14から延出したカテーテル組立体12を含む。通常は組織を通過させるカテーテル組立体12の患者への挿入は、例えばトロカールやRF先端を用いて組織を通過する好適な通路を提供するなどして補助するのが好ましい。ステッパーモータ16が、ハンドルハウジング22に取り付けられた駆動ケーブルコネクタ20及び駆動ケーブル18によってハンドル14に接続されている。図面にはハンドルハウジング22の半分しか示されていないが、他方の半分のハウジングも同様である。RFエネルギーが、RF源24から駆動ケーブル18及びハンドル14の内部を介してカテーテル組立体12に供給される。制御装置26が、動作速度やエネルギーレベルなどのステッパーモータ16やRF源24の動作を制御する。制御装置26はまた、ハンドル14及びカテーテル組立体12から組織の温度、抵抗力の信号、組織のインピーダンス、及び回転角度などの適切なフィードバック信号を受信する。
【0015】
駆動ケーブル18は、駆動ねじ28に取り付けられ、この駆動ネジ28を回動させる。この駆動ねじ28は、駆動ねじ支持体30、32によって軸方向の固定された位置でハンドル14内に回動可能に取り付けられている。駆動ナット34が、駆動ねじ28に螺合している。L型アクチュエータ36が駆動ナット34に固定されている。図4に示されているように、アクチュエータ36は、駆動ねじ28の軸に平行にハンドル14内を移動できる大きさ及び構造を有する概ね水平方向のベース部分38及び概ね垂直方向の直立部分40を含む。従って、ステッパーモータ16による駆動ねじ28の回動により、アクチュエータ36がハウジング22内を図1の位置から図10の位置までスライドする。逆方向の往復運動も可能である。
【0016】
カテーテル組立体12は、ハウジング22に取り付けられ、そこから延出した導入シース42を含む。カテーテル組立体12は、図14‐図17を参照して後述するようにシース42内を通るアクチュエータチューブ43、及びそのチューブ43内を通るシャフト44を含む。ここで、図3を参照されたい。シャフト44は、シース42の先端部48から先端側に延出した先端部分46及びハンドル14の内部に延びた基端部分50を有する。基端部分50は、リードねじ52に固定されており、このリードねじ52と共に回動する。従って、シャフト44がリードねじ52と共に回動する。リードねじ52は、ハウジング22内を軸方向に移動しないが回動できるようにハウジング22内に取り付けられている。組織分離装置54が、シャフト44に沿って延在し、そのシャフト44の先端部58に取り付けられた分離ワイヤ部分56を有する。分離ワイヤ56は、先端部分46の外側に配置されている。組織分離装置54の大部分が、シャフト44内に形成された軸孔60内に延在するワイヤの形態である。分離装置54は、その基端部に径方向に延びたプッシャーねじ62を有する。シャフト44の基端部は、プッシャーねじ62が延在する軸方向に延びたスロット64を有する(図2を参照)。従って、プッシャーねじ62を先端側(図面の左側)に押すと、組織分離ワイヤ56が外側に拡張して、図1の径方向に収縮した状態から図5及び図6の径方向に拡張した状態に移動する。このような径方向外側への移動は通常、通常は患者の乳房である患者の標的部位で行われる。組織を通過する分離ワイヤの移動を補助するべく、ワイヤ56にRF源24からRFエネルギーを供給する。機械的な往復運動または機械的な振動などの他の方式でエネルギーを供給することもできる。
【0017】
プッシャーねじ62の軸方向の移動は、アクチュエータ36の軸方向の移動によってなされる。アクチュエータ36は、直立部分40から先端側に延出した延長部66を有する。延長部66は、プッシャーねじ62に整合した、下方に延びた先端部68を有する。ステッパーモータ16による駆動ねじ28の回動によってアクチュエータ40がまず軸方向に移動し、先端部68とプッシャーねじ62との間の小さなギャップ70(図2を参照)が閉じる。この小さなギャップにより、分離ワイヤ56が径方向外側に拡張する前に電磁外科アークを開始することができる。アクチュエータ36のさらなる先端側への移動によりプッシャーねじ62が先端側に移動し、分離ワイヤ56が図5及び図6の位置まで外側に曲がる。図5及び図6(図1には不図示)に示されているように、ハウジング22の一部である支持ブロック72を用いてリードねじ52の先端部及びシャフト44の基端部を支持している。支持ブロック72は、当初はプッシャーねじ62を受容する軸方向に延在するスロット74を有する(図5及び図7を参照)。分離ワイヤ56が完全に拡張すると、プッシャーねじ62が、面取りされた面を有する延長部66の先端部68及びスロット74から出て、プッシャーねじ62が位置にシャフト44と共に図7の垂直からずれた位置に回動し始める。これと同時に、アクチュエータ36の直立部分40が図2のギャップ73を閉じて、リードねじ52に螺合したリードナット75に接触する。回転防止ピン76が、アクチュエータ36の直立部分40から延出してリードナット75に形成されたU型スロット78内に受容されているため(図1Aを参照)、リードナット75がアクチュエータ36によって軸方向に移動する時にリードねじ52に対して回動しない。その代わり、アクチュエータ36の軸方向の移動によりリードねじ52が回動してシャフト44が回動する。組立体10は、シャフト44の約540度の回動により、分離ワイヤ56が組織内を通過して組織部分80を周囲組織から完全に分離できるように構成されている。分離ワイヤ56の径方向の位置は、ハウジング22から露出したリードねじ52の基端部82を見て容易に確認することができる。図8を参照されたい。基端部82は、分離ワイヤ56の回動位置に一致する回動位置表示装置84を有する。
【0018】
この開示した実施形態に従った上記した一連の事象は、使用者が開始すると自動的に行われる。分離ワイヤ56の拡張、シャフト44の回動、及びワイヤ56へのエネルギーの供給の内の1または複数を含め、装置の動作は当然、例えばシャフト44の回動に対する異常な抵抗などに基づいて手動または自動で停止することができる。
【0019】
組立体10はまた、ハウジング22に形成されたスロットから横方向外側に延出した一対のプッシャータブ88を有するT型プッシャー装置86を含む(図11‐図13を参照)。シャフト44が回動を終了したら、使用者がタブ88を先端側に押し出す。これにより、装置86の延長部90がフリッパーカム92をピボットピン94を中心に回動させる。フリッパーカム92は、一対の組織部分保持要素96の基端部に連結されている。保持要素96は、図3に示されているようにシャフト44に形成された軸孔98を通るワイヤの形態である。保持要素96の先端部は、ニチノールなどの形状記憶合金からフックワイヤ100に形成されるのが好ましい。フックワイヤ100は、シャフト44の先端部分46に形成された開口を通過して分離された組織部分80に係合し、その組織部分80をシャフト44の先端部分46に固定するのを助ける。
【0020】
プッシャー装置86は、アクチュエータチューブ43の基端部に連結された先端部102を含む。従って、プッシャー装置86の移動により、チューブ43が導入シース42内を先端側に移動する。この時点で、フックワイヤ100が図11‐図13に示されているように配置されているが、アクチュエータチューブ43の先端部に固定された管状編組み部材104(図14‐図17を参照)がシース42内に完全には受容されている。プッシャー装置86がさらに先端側に移動すると、管状編組み部材104がシース42の先端部48を超えて図15‐図17の位置まで延出する。管状編組み部材104の目的は、分離された組織部分と周囲組織との間の切断面に沿って通過して分離された組織部分80を取り囲むことである。管状編組み部材104の開口した外側端部106は、組織を通過して軸方向に押されるため自然と径方向に拡張する。管状編組み部材104の初めの径方向の適切な拡張を助けるために、シャフト44がテーパガイド面108を有する。このテーパガイド面108は、導入シャフト42の先端部48に近接したガイド要素110に形成され外側に広がっている。部材104の適切な径方向の拡張は、部材104が弛緩した状態の時にとる形状によって補助することができる。例えば、管状編組み部材104は、図40‐図45を用いた詳細な説明を参照されたい。ガイド要素110は、その基端面にスロットを有し、図9の径方向に拡張した状態の時に分離ワイヤ56の基端部がこのスロット内に受容される。これにより、分離ワイヤ56が、回動の際も折り曲がらずに維持される。所望に応じて、管状編組み部材104の外側端部106に、引張り紐または他のタイプの閉止要素を設けることができる。分離された組織部分80は、管状編組み部材104内に実質的に覆われ、フックワイヤ100によってシャフト44の先端部分46に固定されているため、患者から除去することができる。
【0021】
本発明では、分離された組織部分80は患者から除去しても、全部ではないにしてもその殆どが物理的な完全性を維持する。また、管状編組み部材104が用いられ、特に通路の材料に対してシールする或いは他の方法で材料を透過できないようにした場合、分離した組織部分80を除去する際に組織の経路に沿って病変組織を散乱させる可能性が小さくなる。
【0022】
図18‐図29Bに、本発明の実施形態がさらに例示されている。全ての図面において、同じ参照符号は同じ構成要素を指している。図18は、図1のカテーテル組立体12の代替の実施形態の先端部120の拡大側面図である。ここで、図21、図22、及び図27を参照すると、分離ワイヤ部分56が先端部122を備えているのが示されている。先端部122は、ボール型部材124まで延びている(図22を参照)。ボール型部材124は、先端部分の先端部136でシャフト44の先端部分46内に画定されたキャビティ126内に受容され、これによりピボット接合部128が形成されている。ピボット接合部128を形成することにより、先端部122が、分離ワイヤ部分56が動作状態と収納状態との間で移動する時に自由に回動することができる。分離ワイヤ部分56の先端部122の疲労特性を改善し応力を減少させるのに加えて、ピボット接合部128の使用により、組織分離装置54の移動距離が同じ場合、患者から除去する分離組織部分の量を容易に増大することができる。この量の増大は、図18と図19の実施形態を比較すると理解できるであろう。図19の実施形態では、分離ワイヤ部分56の先端部122が、シャフト44の先端部分46に固着または他の方法で回動しないように固定されている。図20に、図19の実施形態での量が減じられた分離組織部分80Bに対する図18の実施形態での量が増大された分離組織部分80Aが例示されている。この例では、組織分離装置54の移動距離が同じ場合、分離組織部分80Aの量は、計算では分離組織部分80Bの量よりも約50%多い。
【0023】
シャフト44の先端部分46は、移行面110として機能するガイド要素110を含む。移行面110は、径方向外側及び基端側に延在する先端側を向いた表面であって、先端部分46の先端部136から長手方向に離間している。離間した一連の第1の基端側のエネルギー供給可能な組織分離要素130が移行面110に沿って配置されている。図23は、図18の線23‐23に沿って見た断面図であって、金属チューブ132に対する要素130の電気的な接続を例示している。
【0024】
図24A‐図24Hは、第1の要素130の代替の実施形態を例示している。要素130Aは、図18及び図23の実質的に円形の要素130と比較して長手方向に延長された長さを有する。要素130Aの延長された長さは、標的部位に配置するために必要な刺入の力を減らすのに有用であると考えられる。図24Aの実施形態は、現在好適な実施形態である。要素130Bは、周方向に連続した要素または周方向に実質的に連続した要素を含む。周方向に延在する要素130Bもまた、必要な刺入の力を減らすのに有用であろう。要素130Cは要素130に類似しているが、移行面110の周辺部140に位置している。図24D及び図24Eに示されている要素130D及び130Eはそれぞれ、概ねV型及び蛇行型の変更形態である。図24F及び図24Gに示されている要素130F及び130Gはそれぞれ、先端部分46の実質的に長さ全体に沿った直線状及び螺旋状に延在する。図24Hは、要素130Hが先端部分46から径方向外側に延在する要素のさらに別の実施形態である。要素130Hは、収納可能にし、例示されている先が尖った三角形以外の形状にすることもできる。要素130は、通常は金属ワイヤまたは類似の構造物から形成するが、塗装、めっき、または他の方法で先端部分46の表面に堆積させることができる。場合によっては、要素130の2つ以上の構成の組合せが有用であろう。通常は、要素130の全てに同一レベルのエネルギーを供給するが、異なったレベルのエネルギーを供給することもできる。また、供給するエネルギーのレベルは、時間経過によって、または組織を通過する分離ワイヤ部分56の通過に対する抵抗によって変更することができる。また、要素130に対するエネルギーは、使用者の判断で必要に応じて供給することができる。
【0025】
先端部分46は、中空であって、その先端部136に開口134を画定する導電性の金属チューブ132を含む。チューブ132の環状縁が、第2の先端側のエネルギー供給可能な組織分離要素138として機能する。第1の要素130及び第2の要素138の両方を1または複数の好適なエネルギー源に選択的に結合して、先端部分46を、組織を介して標的部分に送るのを助けることができる。
【0026】
図25及び図26に、シャフト44の先端部分46内に形成された開口142から延出した組織保持要素として機能するフックワイヤ100が例示されている。フックワイヤ100は、分離組織部分80にそのほぼ質量中心で係合する大きさ、配置、及び形状を有するのが好ましい。この実施形態では2つのフックワイヤ100が示されているが、これよりも少ない数または多い数のフックワイヤを用いることもできる。また、異なった大きさ及び形状のフックワイヤ100を用いることもできる。フックワイヤ100はまた、軸方向の異なった位置に配置してエネルギーを供給し、組織の通過を助けることができる。
【0027】
図25、図27、及び図27Aに、先端側シャフト部分46に形成された基端側通路146及び先端側通路148を通る分離ワイヤ部分56の通路が例示されている。先端部分46は、通路146及び148の底面及びこれらの通路の間に延在する基準面150を有する。分離ワイヤ部分56は、収納状態では基準面150上に延在する。図27及び図27Aに最も良く示されているように、基準面150の中心部分152は凸状であるため、分離ワイヤ部分56が収納状態では、ワイヤ部分56の中心部分が、やや外側に膨らんだ凸状の線に沿って延在する。従って、組織分離装置54が先端側に移動したら、分離ワイヤ部分56が所望の要領で径方向外側に拡張するように形成されている。凸状の中心部分152を用いることにより、組織分離装置54に加えるべき力を小さくすることができる。
【0028】
図28に、図18の実施形態のように1つの分離ワイヤ部分56ではなく3つの分離ワイヤ56を含む図18の実施形態のさらに代替の実施形態が例示されている。図29Bに示されているように、1つのワイヤ部分56は作動状態であり、他の2つのワイヤ部分56は収納されて基準面150に近接している。図18の実施形態とのもう1つの違いは、基端側のエネルギー供給可能な第1の組織分離要素130の機能が、ワイヤ部分56が収納状態で装置が組織を介して標的部位に送られる時に3つの分離ワイヤ部分56にエネルギーを供給することで置換されている。これは、図29Aに示されている。標的部位に達したら、外科医が、組織の性質や組織部分80を幾つの片に分割するかなどの様々な因子によって、1つ、2つ、または3つ全ての分離ワイヤ部分56を収納状態から作動状態にするかを決定することができる。
【0029】
図18‐図29Bの実施形態では、先端部分46は、基端要素154、本体部分156、及びエンドキャップとして機能する先端部136を含む。図27に、要素154、156、及び136の相互の結合が例示されている。要素154、156、及び136は、組立てが単純となるように構成されている。組立ては、中心チューブ132の上に順に各要素を単純に重ねると、これらの部品がチューブの拡張端部138によって先端側の所定の位置に維持される。要素154、156、及び136は非導電性であるのが好ましい。要素154及び156は通常、AL2O3またはジルコニアなどの医療グレードのセラミック材料から形成され、先端部136は通常、PEEKまたはポリイミドなどの医療グレードのポリマーから形成される。
【0030】
刺入点の組織と標的部位の組織では組織の性質が異なる場合が多いため、針またはシャフト44の先端部分46など他の組織刺入部材の組織の通過に必要な力の大きさが変化する。組織刺入部材を、硬い組織部分または他の刺入が困難な組織部分を通過させなければならない場合、硬い組織部分を刺入するために必要な力の大きさは、例えば組織刺入部材が曲がるのに十分な程、大きいことがある。組織刺入部材が曲がらないように十分に大きな円柱強度を有するとしても、必要な力の大きさが、組織を変形させるのに十分な大きさの場合があり、組織刺入部材の先端部を標的部位に配置するのが困難となる。また、先端部が一旦、刺入が困難な組織部位を通過すると、通過に必要な力の大きさにより組織刺入部材の先端部が所望の部位よりも先まで進み、不所望の組織の外傷が起こり、近接した器官を傷つける恐れもある。
【0031】
図30を参照すると、大まかに言って、組織にエネルギーを供給する回路164に接続された組織刺入部分組立体162、及びその組織刺入部分組立体に機能的に接続された感圧スイッチ166を含む組織刺入組立体160が模式的に例示されている。部分組立体162は、ハンドル170、そのハンドル170から延出したハンドル延長部172、及びピボット176でハンドル170に取り付けられた針クランプ174を含むハンドル組立体168または他の支持組立体を含む。部分組立体162はまた、針クランプ174に固定されそのクランプから延出した針178、または他の組織刺入装置も含む。針178は、長さの殆どに沿って電気絶縁部材182によって覆われた針シャフト180を含む。電気絶縁部材182は、針178の組織刺入面185を有する先端部184に組織刺入エネルギーを集中させるのに役立つ。
【0032】
感圧スイッチ166は、針クランプ174とハンドル延長部172との間に保持された圧縮ばね186を含む。組立体160はまた、ハンドル170に取り付けられた安全スイッチ188も含む。安全スイッチ188は、ピボット192でハンドル170に取り付けられたアーム190を含む。スイッチ188もまた、アーム190とハンドル延長部172との間に保持された安全圧縮ばね194を含む。安全スイッチ188を使用することにより、針178とRF発生器200との誤った接続が防止され、組立体160の安全性を高めることができる。回路164は、ピボット176及び192のそれぞれを介して、針クランプ174、従って針先端部184及びアーム190に電気的に接続された一対のリード線196、198を含む。回路164はまた、リード線196、198が延び出たRF発生器200、及び発生器200を戻りパッド204に接続する戻りケーブル202を含む。導電体206が、ハンドル延長部172に取り付けられている。導電体206は、針シャフト180及びアーム190の対応する面に対向した電気接触面208、210を有する。安全解除ボタン212がアーム190に取り付けられている。使用者は、安全解除ボタン212を押してアーム190を電気接触面210に接触させて、アーム組立体116を安全解除することができる。装置が安全解除された状態で、軟組織層214、218及び硬いまたは刺入が困難な組織層216の3層の組織によって例示されている組織内に針178を刺入する。硬い組織層216に突き当たると、組織層216を刺入するのに必要な力がばね186を圧縮するのに十分となり、針シャフト180が電気接触面208に接触してRF発生器200に対する回路が完成する。この時点で、RF発生器200が先端部184の表面185にエネルギーを供給し、針178が、過度の力を必要とすることなく硬い組織216を通過することができる。先端部184が硬い組織層216を通過したら、針178に加える力を小さくしてばね186を戻し、針シャフト180と接触面208を分離して組織分離面185へのRFエネルギーの供給を停止することができる。
【0033】
組織刺入組立体160を用いて、単純な針の組織への刺入を助けることができる。しかしながら、組織刺入の発明は、米国特許第6,179,860号に開示されている標的組織配置装置及びシャフト44を含む上記した実施形態などの組織刺入部材を含む他の装置にも利用することができる。
【0034】
図31‐図39に本発明の別の態様が例示されている。この態様では、組織分離組立体10が細長いカップラー220及び組織配置組立体222に結合されて組織配置/分離組立体224が形成されている。組織配置組立体222は、米国特許第6,179,860号に開示されているタイプとすることができる。組立体222は、図示されているように、患者226の組織内に径方向に拡張された配置状態の配置装置112によって配置されている。組立体222は、プルワイヤ230がスライド可能に受容されているシース228(図32を参照)を含む。シース228とプルワイヤ230との軸方向の相対運動により、配置装置112が径方向に拡張及び収縮する。プルワイヤ230の基端部232は、後述するようにカップラー220に係合するように湾曲している(図32及び図34を参照)。
【0035】
カップラー220は、可撓性ワイヤであって、その先端部のカップラーループ234、及び拡大基端部236を有する。カップラー220は、カテーテル組立体12のシャフト44の中を通っている(図31及び図32を参照)。カップラーループ234を用いて、カップラー220とプルワイヤ230の湾曲端部232を結合することができる(図31‐図34を参照)。結合した後、組織配置組立体222に対する張力を維持するために使用者が端部236を保持したまま、組織分離組立体10をカップラー220に沿って先端側に移動させ、連結した端部232、234をシャフト44内に導入して組織配置組立体222を組織分離組立体10にドッキングさせる。さらに組立体10を先端側に移動させて、カテーテル組立体12を、患者226の体内に挿入し、シャフト44の先端部分46の先端部136が配置装置112に対して適切な位置に来るまで、組織配置組立体222によって形成された組織の経路に沿って進める。適切な配置は、図35A‐図35Cに示されているように、ハンドル14の基端開口235を出て露出する、カップラー220に取り付けられ通常は赤く着色されたチューブ233の部分によって使用者が視認することができる。適切に配置される場合(図35Cを参照)、基端開口235に近接してハンドル14に配置された固定ばねクリップ237が、図35Bの付勢された位置から図35A及び図35Cの付勢されていない位置に跳ね戻り、チューブ233が誤ってハンドル14内に再進入するのが防止される。このように配置されると、組織配置組立体222が組織分離組立体10に少なくとも一次的にロックまたは固定され、配置装置112と組立体10との間の誤った軸方向の相対運動が防止される。もちろん、組立体220によって保持され、ハンドル14に係合可能なばねフィンガーなどの他のロック機構を用いても組立体10と222を互いにロックすることができる。
【0036】
図36は、分離ワイヤ部分56が径方向に拡張して回動し、分離された組織部分80が形成され、フックワイヤ100が配置されて分離された組織部分80に係合している、図35の組立体224の先端部分の拡大図である。配置装置112と分離組織部分80の間に、距離238として示されている空間が残るのが望ましいことが分かっている。図37は、図36の組立体を例示しており、導入シース42が僅かに基端側に移動して、管状編組み部材104の外側端部106が露出している。図38は、管状編組み要素104が初めは概ね分離組織部分80のアウトラインに沿って移動し、外側端部106が配置装置112に概ね軸方向に整合した、管状編組み部材104の患者226の体内の先端方向への移動をほぼ全体的に例示する図である。管状編組み部材104の外側端部106の移動が位置240に達するまで図示されている経路に従うことを理解されたい。位置240の後は、外側端部106が通る経路は、主に通る組織の物理特性に依存する。しかしながら、例示されている経路は一般的な経路である。次いで、管状編組み部材104によって保持された組織分離部分80及びカップラー220によって固定された配置装置112を含む図38の全組立体を組織の経路に沿って同時に引き戻して、分離組織部分80を患者226から除去する。この移動の際に、管状編組み部材104は、軸方向に伸びて直径が小さくなってより柱状になる傾向にあるため、組織の経路に沿ってその最初のアクセス開口までの組織が外傷を受ける可能性が小さくなる。
【0037】
図39は、患者226から除去された後の図38の組立体を例示する図であって、管状編組み部材104の外側端部106が弛緩した状態に戻り、組織標本80が管状編組み部材104及び配置装置112によって保持されている。図39に示されているように、管状編組み部材104は、弛緩した状態では、外側端部106が外側に開き、概ねトランペット型である。このトランペット型が、特に導入シース42からの初めの移動の際に分離組織部分80の周りに管状編組み部材104を案内するのを助けることが分かった。
【0038】
図40‐図45は、管状編組み部材104を形成するための好適な方法を例示している。管状編組み部材104は、採取する組織標本の大きさによって決まり、管状編組み部材の数、大きさ、及びその他の仕様は特定の状況によって様々にすることができる。図40は、この実施形態の大きな中心部分(直径が20.5mm、長さが50mm)を有する円柱マンドレル(不図示)に対して引き伸ばされた後の所定長さの管状編組み材料244の形状を例示している。円柱マンドレルに対して引き伸ばす前に、材料244は、連続した長さで供給され、マンドレルの大きさに切断され、初めの直径は5/16インチすなわち約8mmである。材料244は、直径が2.54mm(0.1インチ)の単繊維ポリエステルファイバーから形成されている。編組みは56の単繊維からなり、56のキャリヤブレーダ(carrier braider)から形成される。編組みは、連続した長さで形成される場合、約7.9mm(5/16インチ)の内径に維持される。編み角は、軸方向の長さを僅かに短くしても直径が急に変化するため、編組み中は固定され、この用途に対して選択された角度である。マンドレルの大きな中心部分は、管状編組み材料244の形状に一致し、概ね半球状の端部を備えた円柱状である。図41は、マンドレル及び管状編組み材料244の一端がシリコーン化合物内に浸漬された後の図40の構造を例示している。次いで、浸漬された構造を、通常はオーブンで硬化させ、管状編組み材料244の一端を覆うシリコーンフィルムまたはウエブ246を形成する。硬化後、浸漬され硬化された構造248をマンドレルに対して図41の左から右に引っ張ってマンドレルから取り外す。図42は、図43に示されている二重壁管状編組み部材104を形成するために浸漬された端部内に引き戻された、浸漬され硬化された構造248の開口したメッシュ端部250を例示している。図43は、アクチュエータチューブ43の先端部に取り付けられた管状編組み部材104を例示している。図44及び図45は、組織受容組立体254が形成するべく所定長さの熱収縮チューブ252及び接着剤によってアクチュエータチューブ43の先端部に固定された管状編組み部材104の基端部を例示している。二重壁管状編組み部材104は、シリコーンウエブ246によって実質的に完全に覆われた外壁256、シリコーンウエブ材料を少なくとも実質的に含まない内壁258、及びシリコーンウエブ246で覆われた開口した外側端部106を有する。
【0039】
シリコーンウエブ246は、少なくとも2つの機能を果たす。シリコーンウエブ246は、管状編組み部材104のトランペット形状を弛緩した状態に維持するのを助け、その一方、この管状編組み部材がトランペット形状から径方向に拡張及び収縮することができる。シリコーンウエブ246はまた、分離組織部分80を除去する際に組織が管状編組み部材104を通過するのを防止するのを助ける。これにより、組織を除去する際の組織の経路に沿った汚染の防止が助けられる。管状編組み部材104は、開口したメッシュ端部250を構造内に引き戻さない単一層として形成することができ、こうすることにより、管状編組み部材104の外側端部106の先端縁を柔軟に維持するのを助けることができることが分かった。図43‐図45に示されている概ねトランペット型の形状は、例示及び上記した形成工程の結果として自然に得られる。
【0040】
この編組み部材104の実施形態の開発についての後述する説明は、その様々な特徴及び利点を理解するのに有用であろう。編組み部材104の現在好適な実施形態は、平滑な端部を形成するべく折り返された網状ポリエステル(PET:ポリエチレンテレフタレート)単繊維のチューブ状スリーブを含む。目の粗い構造により、編組み部材は元の直径の数倍に拡張することが可能である。外側編組み層はシリコーンでコーティングする。
【0041】
初期の編組み部材のプロトタイプはニチノール編組みチューブからなっていた。編組みを構成するワイヤの直径、編組み角、及びワイヤの数を研究した。このような特性が、編組み部材の強度に影響を与える。編組み部材は、組織内に配置された時にこの部材に対してかかる力に打ち勝つように十分な剛性及び円柱強度を有する必要がある。しかしながら、編組み部材の剛性が高すぎると、編組み部材が分離組織部分をカットされたキャビティ内に押圧する可能性がある。コーティングまたは他の剛性部材によって支持され軸の長さに沿って軸方向に配置されたニチノールワイヤなどの非編組みの形態も考えられる。ワイヤの直径、編組み角度、及びワイヤの本数の組合せも、編組み部材の収納特性に影響を与える。配置されていない状態で、編組み部材は6mmのシース内に適合するようにデザインされている。製造された一部のニチノールのプロトタイプは、十分な強度及び剛性を有し、6mmのシース内に適合するようである。しかしながら、現在は、PET編組み部材の方が、後述する他の因子からニチノール編組み部材よりも好ましい。
【0042】
円柱強度に影響を与える相互に作用する複数の因子がある。編組み角度、繊維の数、及び繊維材料の剛性及び直径が主な決定因子である。軸方向の向き、繊維の本数の多さ、及びより強い繊維は全てより大きな円柱強度に寄与する。編組み部材104の現在好適な材料は、0.254mm(0.010インチ)の直径の単繊維である。編組み部材の単繊維の数は、編組み部材104の機械特性を最適にするように選択した。繊維の数を増やすと、逆効果で円柱強度が低下して座屈する可能性が高くなる。繊維の数を減らすと、編組み部材が収納位置から配置位置に拡張される時に繊維間の間隔が大きくなる。この間隔が開き過ぎると、コーティングが裂ける恐れがある。また、編組み角度がより軸方向を向くように形成された編組み部材は、収納位置でより長い距離を占め、配置のためにより長い距離が必要となる。繊維の数は、編組み部材の強度、繊維間の間隔、及び配置の距離を最適にするように選択した。
【0043】
組織と最初に接触する編組み部材の先端部が平滑であるのが現在は好ましい。ギザギザの縁または鋭利な縁を有する編組み部材は、組織に引掛かり、分離組織部分の周りの切断された組織の境界面内をスライドできないことが分かった。ニチノール編組み部材に対して、ワイヤ端部のはんだ付け、ろう付け、またはボールの接着、または一本のワイヤの折り重ねなどの弛みワイヤ末端処理の様々な方法が研究されてきた。このような方法は、あまり成功しなかった。非外傷性のボールにするには、ボールをかなりの大きさにする必要がある。ボール端部または折り重ね端部では収納位置の編組み部材の直径が大きくなるため、シース内に適合させるのが困難である。これにより、「ロールオーバー(反転)」や「二層」の編組み部材の考えが生まれた。何れの考えの場合も、管状編組み部材は、それ自体を折り曲げて、折り曲げられた平滑な端部を備えた二層編組み部材を形成する。「二層」編組み部材の場合は、2つの層が基端部で互いに結合される。プロトタイプの二層ニチノール編組み部材は有望な特性を示した。しかしながら、折り曲げられた端部が膨らみすぎて、直径6mmのシース内に引き込むのが困難または不可能になる。一方、PET編組み部材は、折り曲げられた時に良好な折り目ができ、シース内に引き込むのが容易である。配置する場合、外層が前方に押されて内層に対してスライドすることができる。この実施形態は可能性であるが、現在は好適な実施形態ではない。
【0044】
編組み部材の形状は、その機能にも影響を与える。「弾丸」、「円錐」、及び「ベル」、または直径が変化する「トランペット」の断面などの様々な異なった形状のプロトタイプの編組み部材を試験した。編組み部材104の所望の特性は、初めに配置する時に編組み部材が広がって開き、生検サンプルをキャビティの中に押し込むのではなく生検サンプルの周りに拡張する傾向を有する。編組み部材104の形状は、配置の際に最大限に広がって開くように最適にした。
【0045】
この編組み部材は、現在は2成分シリコーンエラストマーでコーティングされている。一部のポリウレタンコーティングも調査したが、予備試験でシリコーンコーティングほどは上手く機能しなかった。シリコーンコーティングは、その高い引裂き強度及び弾性によって選択した。収納状態から完全に配置された状態までで、編組み部材104の直径を300%も拡張させることができる。編組み部材は、サンプルを捕捉するのを助けるために先端部にスネアを有することができる。
【0046】
添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく開示した実施形態に対して様々な改良及び変更をすることができる。例えば、リードねじ52を中空にして、アクチュエータシャフト114または他の医療装置がそのリードねじ52を介してシャフト44の内腔内に至るようにすることができる。基準面150は図示されているように平滑な曲面形状を有するが、この基準面150は、不連続的な表面形状、分離ワイヤ部分56に所望の曲がり具合を提供する1または複数の突出部を備えた平坦な表面形状、またはこれらの組合せなどの他の形状とすることもできる。編組み部材104は、他の材料から形成したり、上記した以外の製造方法で製造することができる。
【0047】
上記したあらゆる特許、特許出願、及び印刷物は、言及することを以って本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】見易くするためにハンドルの一部が取り外された、本発明に従って形成された組織分離組立体の部分的に模式的な全体図である。
【図1A】リードねじに取り付けられた親ナットのスロット内にピンが係合しているのを示す、図1の線1A‐1Aに沿って見た簡易断面図である。
【図2】図1の組立体の駆動要素の一部の模式図である。
【図3】図1の線3‐3に沿って見たカテーテル組立体の簡易断面図である。
【図4】駆動ねじ、駆動ナット、及びその駆動ナットに連結されて共に移動可能なL型アクチュエータが取り付けられた図1の半分のハウジングの斜視図である。
【図5】アクチュエータが図1の位置から移動してアクチュエータ延長部が分離ワイヤプッシャーねじを先端方向に押し、これにより分離ワイヤが径方向外側に移動した、図1のハンドル及びカテーテル組立体を示す図である。
【図6】アクチュエータが図1の位置から移動してアクチュエータ延長部が分離ワイヤプッシャーねじを先端方向に押し、これにより分離ワイヤが径方向外側に移動した、図1のハンドル及びカテーテル組立体を示す図である
【図7】プッシャーネジの垂直からずれた向きを示す、プッシャーねじがブロックのスロットから出た直後のブロック及びプッシャーねじの簡易端面図である。
【図8】ハウジングの外部から視認できるリードねじ、及び図10の分離ワイヤの位置に一致するリードねじにマークされた回転位置表示を基端側から見た端面図である。
【図9】駆動ねじがアクチュエータを先端側に移動させて、親ナットがリードねじ、カテーテルシャフト、及び分離ワイヤと共に約540度回動して組織部分を分離した後の図5の構造を示す図である。
【図10】駆動ねじがアクチュエータを先端側に移動させて、親ナットがリードねじ、カテーテルシャフト、及び分離ワイヤと共に約540度回動して組織部分を分離した後の図6の構造を示す図である。
【図11】組織部分保持部材の手動の作動を例示する図である。
【図12】組織部分保持部材の手動の作動を例示する図である。
【図13】図12の一部の構成要素の簡易図である。
【図14】図13の線14‐14に沿って見たカテーテルの断面図である。
【図15】分離された組織部分を取り囲む管状編組み部材の手動の作動を例示する図である。
【図16】分離された組織部分を取り囲む管状編組み部材の手動の作動を例示する図である。
【図17】図16の一部の構成要素の簡易図である。
【図18】図1のカテーテル組立体の代替の実施形態の先端部の拡大側面図である。
【図19】図18のカテーテル組立体の先端部の変更された実施形態の側面図である。
【図20】図18の実施形態の分離された組織部分と図19の実施形態の分離された組織部分の大きさの違いを示す例示的な模式図である。
【図21】図18の線21‐21に沿って見た拡大平面図である。
【図22】図21の線22‐22に沿って見た拡大断面図である。
【図23】図18の線23‐23に沿って見た断面図である。
【図24A】図18のガイド部材/移行面の別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24B】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24C】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24D】図18のガイド部材/移行面の実施形態をさらに別の示す簡易側面図である。
【図24E】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24F】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24G】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図24H】図18のガイド部材/移行面のさらに別の実施形態を示す簡易側面図である。
【図25】配置された状態のフックワイヤ/組織保持部材を例示する図18のカテーテル組立体の先端部の全体図である。
【図26】図25のシャフトの一部の断面図である。
【図27】分離ワイヤ部分が径方向に収納された状態の図25の構造のやや簡易化した断面図である。
【図27A】分離ワイヤ部分が径方向に拡張した状態の図25の構造のやや簡易化した断面図である。
【図28】3つの分離ワイヤ部分を含み、その内の1つが作動状態で示されている図18の本発明のさらなる実施形態を例示する図である。
【図29A】それぞれが収納状態にある等間隔に配置された3つの分離ワイヤ部分を示す図28の構造の簡易端面図である。
【図29B】1つの分離ワイヤ部分が作動状態である図29Aに類似した図である。
【図30】組織刺入組立体を例示する簡易模式図である。
【図31】組織分離組立体、カップラー、及び組織配置組立体を含む本発明に従って形成された、組織配置組立体の配置装置が患者の体内の標的部位で拡張した状態である、組織配置/分離組立体の全体図である。
【図32】組織配置組立体の基端部に係合しているカップラーの先端部のループを例示する、図31の組立体の部分拡大図である。
【図33】互いに連結された図31の組織配置組立体の基端部及びカップラーの先端部を例示する図である。
【図34】互いに連結された図31の組織配置組立体の基端部及びカップラーの先端部を例示する図である。
【図35】組織分離組立体の先端側への移動により図33及び図34の各端部の接合部がカテーテル組立体の中に移動した、組織配置組立体と組織分離組立体のドッキングを例示する図である。
【図35A】ハンドルの基端部の開口を通過する、細長いカップラーに固定された表示チューブの移動を示す簡易図である。
【図35B】ハンドルの基端部の開口を通過する、細長いカップラーに固定された表示チューブの移動を示す簡易図である。
【図35C】ハンドルの基端部の開口を通過する、細長いカップラーに固定された表示チューブの移動を示す簡易図である。
【図36】分離ワイヤ部分が径方向に拡張して回動し、フックワイヤが分離された組織部分に係合した、図35の組立体の先端部分の拡大図である。
【図37】カテーテル組立体スリーブが基端側に僅かに移動して管状編組み部材の先端部が露出された、図36の組立体を例示する図である。
【図38】管状編組み部材が初めは分離された組織部分の外側に概ね沿って移動し、管状編組み部材の外側端部が配置装置に軸方向に概ね整合した、患者の体内への先端方向への管状編組み部材の移動を例示するやや理想化した図である。
【図39】患者から抜き取られ、管状編組み部材の外側端部が弛緩した状態に戻った、図38の組立体を例示する図である。
【図40】大きな中心部分を有する柱状マンドレルに対して引き伸ばされた、管状編組み部材の形状を例示する図である。
【図41】マンドレル及び管状編組み材料の一端がシリコーン化合物内に浸漬された後の図40の構造を例示する図である。
【図42】管状編組み部材を形成するべく浸漬された端部内に引き戻された、シリコーンが硬化しマンドレルから取り外された後の浸漬された管状編組み材料の開口したメッシュ端部を例示する図である。
【図43】アクチュエータチューブの先端部に取り付けられる、得られた管状編組み部材を例示する図である。
【図44】熱収縮チューブの長さに亘ってアクチュエータチューブの先端部に固定された管状編組み部材の基端部を示す図である。
【図45】アクチュエータチューブに固定された管状編組み部材を例示する図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織分離カテーテル組立体であって、
先端部及び先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトであって、前記先端シャフト部分が、その基端部に先端側を向いた移行面を含み、前記移行面が、前記先端部から離れて径方向外側に長手方向に延在する、前記シャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、前記先端シャフト部分に先端分離部分を有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記移行面における第1のエネルギー供給可能な組織分離要素と、
前記先端部またはその近傍における第2のエネルギー供給可能な組織分離要素と、を含み、
前記第1の組織分離要素及び前記第2の組織分離要素が、前記先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるように適合されている、組織分離カテーテル組立体。
【請求項2】
前記移行面が周辺部を含み、前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が前記周辺部の近傍に位置する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項3】
前記移行面が周辺部を含み、前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が前記周辺部に位置する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項4】
前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が少なくとも1つの露出したエネルギー供給可能な表面を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項5】
前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が複数のエネルギー供給可能な表面を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項6】
前記エネルギー供給可能な表面が前記移行面に沿って周方向に離間した位置に配置されている、請求項5に記載のカテーテル組立体。
【請求項7】
前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が周方向に延在する連続的なエネルギー供給面を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項8】
前記第2のエネルギー供給可能な組織分離要素が環状のエネルギー供給面を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項9】
前記先端分離部分がエネルギー供給可能である、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項10】
前記先端シャフト部分が基準面を含み、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記基準面に接触する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項11】
前記基準面の少なくとも一部分が凸状である、請求項10に記載のカテーテル組立体。
【請求項12】
前記先端シャフト部分が前記先端分離部分の少なくとも一部を受容する通路を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項13】
前記先端シャフト部分が、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記先端分離部分の基端部分及び先端部分をそれぞれ受容する基端通路及び先端通路を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項14】
前記先端シャフト部分が、前記収納状態の時に前記先端分離部分が接触する基準面を有し、
前記基準面が凸状の中心部分を有する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項15】
前記先端シャフト部分が、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記先端分離部分の基端部分及び先端部分をそれぞれ受容する基端通路及び先端通路を含み、
前記先端シャフト部分が、前記収納状態の時に前記先端分離部分が接触する基準面を有し、
前記基準面の少なくとも一部分が、前記基端通路と前記先端通路との間に位置し凸状である、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項16】
前記先端分離部分が可撓性の導電ワイヤを含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項17】
前記先端シャフト部分における組織部分保持部材をさらに含み、この保持部材が、分離された組織部分を前記カテーテル組立体に固定するのを助けるべく、収納状態から延出した組織係合状態に移動可能である、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項18】
前記組織部分保持部材が、湾曲するように形成された先端部を有するワイヤを含む、請求項17に記載のカテーテル組立体。
【請求項19】
組織分離カテーテル組立体であって、
先端シャフト部分を有するシャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、前記先端シャフト部分に先端分離部分を有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるための第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離手段と、を含み、
前記第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離手段がそれぞれ、前記組織分離装置の前記先端分離部分の概ね基端側及び先端側に位置する、組織分離カテーテル組立体。
【請求項20】
患者の体内の標的部位にアクセスする方法であって、
組織分離カテーテル組立体を選択するステップであって、前記組織分離カテーテル組立体が、
先端部及び先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトであって、前記先端シャフト部分が、その基端部に先端側を向いた移行面を含み、前記移行面が、前記先端部から離れて径方向外側に長手方向に延在する、前記シャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、前記先端シャフト部分に先端分離部分を有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記移行面における第1のエネルギー供給可能な組織分離要素と、
前記先端部における第2のエネルギー供給可能な組織分離要素と、を含む、前記ステップと、
前記先端シャフト部分を、前記第1及び前記第2のエネルギー供給可能な組織分離要素及び前記先端部分離部分と共に、組織部分を通過して標的部位まで送るステップと、
前記先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるべく、前記送るステップの少なくともある部分で、前記第1及び前記第2の第2のエネルギー供給可能な組織分離要素にエネルギーを供給するステップと、を含む、患者の体内の標的部位にアクセスする方法。
【請求項21】
前記選択するステップを、周辺部を含む前記移行面、及びその周辺部の近傍に位置する前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記選択するステップを、周辺部を含む前記移行面、及びその周辺部に位置する前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記選択するステップを、複数の露出したエネルギー供給可能な表面を含む前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記選択するステップを、前記移行面に沿って周方向に離間した位置に配置された前記露出したエネルギー供給可能な表面を用いて行う、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記選択するステップを、周方向に延在する露出した連続的なエネルギー供給可能な表面を含む前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記選択するステップを、露出した環状のエネルギー供給可能な表面を含む前記第2のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記エネルギーを供給するステップが、前記送るステップの少なくともある部分で前記先端分離部分にエネルギーを供給するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記エネルギーを供給するステップをRFエネルギーを用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
組織分離カテーテル組立体であって、
先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、先端分離端部を含む先端分離部分を前記先端シャフト部分に有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記先端分離部分が前記収納状態と前記作動状態との間で移動する時に前記先端分離端部がピボット接合部で自由に有効に回動するように前記先端分離端部を前記先端シャフト部分に回動可能に連結する前記ピボット接合部と、を含む、組織分離カテーテル組立体。
【請求項30】
前記ピボット接合部が、前記先端シャフト部分によって画定されたキャビティ内に受容される、前記先端分離端部におけるボール状部材を含む、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項31】
前記先端シャフト部分が、前記収納状態の時に前記先端分離部分が接触する基準面を含む、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項32】
前記基準面の少なくとも一部が凸状である、請求項31に記載のカテーテル組立体。
【請求項33】
前記先端シャフト部分が前記先端分離部分の少なくとも一部を受容する通路を画定している、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項34】
前記先端シャフト部分が、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記先端分離部分の基端部分及び先端部分をそれぞれ受容する基端通路及び先端通路を含む、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項35】
前記先端シャフト部分が、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記先端分離部分の基端部分及び先端部分をそれぞれ受容する基端通路及び先端通路を含み、
前記先端シャフト部分が、前記収納状態の時に前記先端分離部分が接触する基準面を有し、
前記基準面の少なくとも一部分が、前記基端通路と前記先端通路との間に位置し凸状である、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項36】
前記先端分離部分が可撓性の導電ワイヤを含む、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項37】
前記先端シャフト部分における組織部分保持部材をさらに含み、この保持部材が、分離された組織部分を前記カテーテル組立体に固定するのを助けるべく、収納状態から延出した組織係合状態に移動可能である、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項38】
前記組織部分保持部材が、湾曲するように形成された先端部を有するワイヤを含む、請求項37に記載のカテーテル組立体。
【請求項39】
前記組織部分保持部材がエネルギー供給可能な組織保持部材である、請求項37に記載のカテーテル組立体。
【請求項40】
患者から分離する組織部分の量を増大させる方法であって、
組織分離カテーテル組立体を選択するステップであって、前記組織分離カテーテル組立体が、
先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、先端分離端部を含む先端分離部分を前記先端シャフト部分に有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記先端分離端部が前記収納状態と前記作動状態との間で移動する時に前記先端分離端部がピボット接合部で自由に有効に回動するように前記先端分離端部を前記先端シャフト部分に回動可能に連結する前記ピボット接合部と、を含む、前記ステップと、
前記先端シャフト部分を、前記先端分離部分及び前記ピボット接合部と共に、組織を通過させて標的部位に送るステップと、
前記先端分離部分を、組織を通過させて前記収納状態から、前記先端分離部分が前記ピボット接合部で回動した作動状態に移動させるステップと、
前記シャフトを回動させ、これにより前記作動状態の前記先端分離部分を組織を通過させて組織分離部分を形成するステップと、を含む、患者から分離する組織部分の量を増大させる方法。
【請求項41】
前記移動させるステップ及び前記回動させるステップの際に前記先端分離部分にエネルギーを供給するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
患者の体内の標的部位にアクセスする方法であって、
組織分離カテーテル組立体を選択するステップであって、前記組織分離カテーテル組立体が、
先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、
前記シャフトに沿って延在し、前記先端シャフト部分に複数の先端分離部分を有する組織分離装置であって、前記各先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた露出した収納状態に配置可能であり、少なくとも1つの前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分から離間して外側に延出した作動状態に移動可能であり、少なくとも幾つかの前記先端分離部分が、前記露出した収納状態でエネルギー供給が可能である、前記組織分離装置と、を含む、前記ステップと、
前記先端シャフト部分を前記先端分離部分と共に、前記先端分離部分が前記露出した収納状態で、組織を通過して標的部位に送るステップと、
前記先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるべく、前記送るステップの少なくともある部分で、前記少なくとも幾つかの前記先端分離部分にエネルギーを供給するステップと、を含む、患者の体内の標的部位にアクセスする方法。
【請求項43】
前記選択するステップを、少なくとも3つの先端分離部分を含むカテーテル組立体を用いて行う、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記エネルギーを供給するステップが、少なくとも3つの先端分離部分にエネルギーを供給するステップを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記選択するステップを、周方向に等間隔に離間した前記少なくとも3つの先端分離部分を用いて行う、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記エネルギーを供給するステップをRFエネルギーを用いて行う、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記選択するステップを、長手方向に延在するワイヤを含む前記先端分離部分を用いて行う、請求項42に記載の方法。
【請求項1】
組織分離カテーテル組立体であって、
先端部及び先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトであって、前記先端シャフト部分が、その基端部に先端側を向いた移行面を含み、前記移行面が、前記先端部から離れて径方向外側に長手方向に延在する、前記シャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、前記先端シャフト部分に先端分離部分を有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記移行面における第1のエネルギー供給可能な組織分離要素と、
前記先端部またはその近傍における第2のエネルギー供給可能な組織分離要素と、を含み、
前記第1の組織分離要素及び前記第2の組織分離要素が、前記先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるように適合されている、組織分離カテーテル組立体。
【請求項2】
前記移行面が周辺部を含み、前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が前記周辺部の近傍に位置する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項3】
前記移行面が周辺部を含み、前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が前記周辺部に位置する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項4】
前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が少なくとも1つの露出したエネルギー供給可能な表面を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項5】
前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が複数のエネルギー供給可能な表面を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項6】
前記エネルギー供給可能な表面が前記移行面に沿って周方向に離間した位置に配置されている、請求項5に記載のカテーテル組立体。
【請求項7】
前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素が周方向に延在する連続的なエネルギー供給面を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項8】
前記第2のエネルギー供給可能な組織分離要素が環状のエネルギー供給面を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項9】
前記先端分離部分がエネルギー供給可能である、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項10】
前記先端シャフト部分が基準面を含み、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記基準面に接触する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項11】
前記基準面の少なくとも一部分が凸状である、請求項10に記載のカテーテル組立体。
【請求項12】
前記先端シャフト部分が前記先端分離部分の少なくとも一部を受容する通路を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項13】
前記先端シャフト部分が、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記先端分離部分の基端部分及び先端部分をそれぞれ受容する基端通路及び先端通路を含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項14】
前記先端シャフト部分が、前記収納状態の時に前記先端分離部分が接触する基準面を有し、
前記基準面が凸状の中心部分を有する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項15】
前記先端シャフト部分が、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記先端分離部分の基端部分及び先端部分をそれぞれ受容する基端通路及び先端通路を含み、
前記先端シャフト部分が、前記収納状態の時に前記先端分離部分が接触する基準面を有し、
前記基準面の少なくとも一部分が、前記基端通路と前記先端通路との間に位置し凸状である、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項16】
前記先端分離部分が可撓性の導電ワイヤを含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項17】
前記先端シャフト部分における組織部分保持部材をさらに含み、この保持部材が、分離された組織部分を前記カテーテル組立体に固定するのを助けるべく、収納状態から延出した組織係合状態に移動可能である、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項18】
前記組織部分保持部材が、湾曲するように形成された先端部を有するワイヤを含む、請求項17に記載のカテーテル組立体。
【請求項19】
組織分離カテーテル組立体であって、
先端シャフト部分を有するシャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、前記先端シャフト部分に先端分離部分を有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるための第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離手段と、を含み、
前記第1及び第2のエネルギー供給可能な組織分離手段がそれぞれ、前記組織分離装置の前記先端分離部分の概ね基端側及び先端側に位置する、組織分離カテーテル組立体。
【請求項20】
患者の体内の標的部位にアクセスする方法であって、
組織分離カテーテル組立体を選択するステップであって、前記組織分離カテーテル組立体が、
先端部及び先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトであって、前記先端シャフト部分が、その基端部に先端側を向いた移行面を含み、前記移行面が、前記先端部から離れて径方向外側に長手方向に延在する、前記シャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、前記先端シャフト部分に先端分離部分を有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記移行面における第1のエネルギー供給可能な組織分離要素と、
前記先端部における第2のエネルギー供給可能な組織分離要素と、を含む、前記ステップと、
前記先端シャフト部分を、前記第1及び前記第2のエネルギー供給可能な組織分離要素及び前記先端部分離部分と共に、組織部分を通過して標的部位まで送るステップと、
前記先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるべく、前記送るステップの少なくともある部分で、前記第1及び前記第2の第2のエネルギー供給可能な組織分離要素にエネルギーを供給するステップと、を含む、患者の体内の標的部位にアクセスする方法。
【請求項21】
前記選択するステップを、周辺部を含む前記移行面、及びその周辺部の近傍に位置する前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記選択するステップを、周辺部を含む前記移行面、及びその周辺部に位置する前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記選択するステップを、複数の露出したエネルギー供給可能な表面を含む前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記選択するステップを、前記移行面に沿って周方向に離間した位置に配置された前記露出したエネルギー供給可能な表面を用いて行う、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記選択するステップを、周方向に延在する露出した連続的なエネルギー供給可能な表面を含む前記第1のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記選択するステップを、露出した環状のエネルギー供給可能な表面を含む前記第2のエネルギー供給可能な組織分離要素を用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記エネルギーを供給するステップが、前記送るステップの少なくともある部分で前記先端分離部分にエネルギーを供給するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記エネルギーを供給するステップをRFエネルギーを用いて行う、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
組織分離カテーテル組立体であって、
先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、先端分離端部を含む先端分離部分を前記先端シャフト部分に有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記先端分離部分が前記収納状態と前記作動状態との間で移動する時に前記先端分離端部がピボット接合部で自由に有効に回動するように前記先端分離端部を前記先端シャフト部分に回動可能に連結する前記ピボット接合部と、を含む、組織分離カテーテル組立体。
【請求項30】
前記ピボット接合部が、前記先端シャフト部分によって画定されたキャビティ内に受容される、前記先端分離端部におけるボール状部材を含む、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項31】
前記先端シャフト部分が、前記収納状態の時に前記先端分離部分が接触する基準面を含む、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項32】
前記基準面の少なくとも一部が凸状である、請求項31に記載のカテーテル組立体。
【請求項33】
前記先端シャフト部分が前記先端分離部分の少なくとも一部を受容する通路を画定している、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項34】
前記先端シャフト部分が、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記先端分離部分の基端部分及び先端部分をそれぞれ受容する基端通路及び先端通路を含む、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項35】
前記先端シャフト部分が、前記先端分離部分が前記収納状態の時に前記先端分離部分の基端部分及び先端部分をそれぞれ受容する基端通路及び先端通路を含み、
前記先端シャフト部分が、前記収納状態の時に前記先端分離部分が接触する基準面を有し、
前記基準面の少なくとも一部分が、前記基端通路と前記先端通路との間に位置し凸状である、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項36】
前記先端分離部分が可撓性の導電ワイヤを含む、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項37】
前記先端シャフト部分における組織部分保持部材をさらに含み、この保持部材が、分離された組織部分を前記カテーテル組立体に固定するのを助けるべく、収納状態から延出した組織係合状態に移動可能である、請求項29に記載のカテーテル組立体。
【請求項38】
前記組織部分保持部材が、湾曲するように形成された先端部を有するワイヤを含む、請求項37に記載のカテーテル組立体。
【請求項39】
前記組織部分保持部材がエネルギー供給可能な組織保持部材である、請求項37に記載のカテーテル組立体。
【請求項40】
患者から分離する組織部分の量を増大させる方法であって、
組織分離カテーテル組立体を選択するステップであって、前記組織分離カテーテル組立体が、
先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、
前記シャフトに沿って延在する組織分離装置であって、先端分離端部を含む先端分離部分を前記先端シャフト部分に有し、前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた収納状態と前記先端シャフト部分から離れて外側に延出した作動状態との間で移動可能な、前記組織分離装置と、
前記先端分離端部が前記収納状態と前記作動状態との間で移動する時に前記先端分離端部がピボット接合部で自由に有効に回動するように前記先端分離端部を前記先端シャフト部分に回動可能に連結する前記ピボット接合部と、を含む、前記ステップと、
前記先端シャフト部分を、前記先端分離部分及び前記ピボット接合部と共に、組織を通過させて標的部位に送るステップと、
前記先端分離部分を、組織を通過させて前記収納状態から、前記先端分離部分が前記ピボット接合部で回動した作動状態に移動させるステップと、
前記シャフトを回動させ、これにより前記作動状態の前記先端分離部分を組織を通過させて組織分離部分を形成するステップと、を含む、患者から分離する組織部分の量を増大させる方法。
【請求項41】
前記移動させるステップ及び前記回動させるステップの際に前記先端分離部分にエネルギーを供給するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
患者の体内の標的部位にアクセスする方法であって、
組織分離カテーテル組立体を選択するステップであって、前記組織分離カテーテル組立体が、
先端シャフト部分を有する回動可能なシャフトと、
前記シャフトに沿って延在し、前記先端シャフト部分に複数の先端分離部分を有する組織分離装置であって、前記各先端分離部分が、前記先端シャフト部分に向いた露出した収納状態に配置可能であり、少なくとも1つの前記先端分離部分が、前記先端シャフト部分から離間して外側に延出した作動状態に移動可能であり、少なくとも幾つかの前記先端分離部分が、前記露出した収納状態でエネルギー供給が可能である、前記組織分離装置と、を含む、前記ステップと、
前記先端シャフト部分を前記先端分離部分と共に、前記先端分離部分が前記露出した収納状態で、組織を通過して標的部位に送るステップと、
前記先端シャフト部分の組織を通過する標的部位への移動を助けるべく、前記送るステップの少なくともある部分で、前記少なくとも幾つかの前記先端分離部分にエネルギーを供給するステップと、を含む、患者の体内の標的部位にアクセスする方法。
【請求項43】
前記選択するステップを、少なくとも3つの先端分離部分を含むカテーテル組立体を用いて行う、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記エネルギーを供給するステップが、少なくとも3つの先端分離部分にエネルギーを供給するステップを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記選択するステップを、周方向に等間隔に離間した前記少なくとも3つの先端分離部分を用いて行う、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記エネルギーを供給するステップをRFエネルギーを用いて行う、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記選択するステップを、長手方向に延在するワイヤを含む前記先端分離部分を用いて行う、請求項42に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【公表番号】特表2006−518645(P2006−518645A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503766(P2006−503766)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005167
【国際公開番号】WO2004/075947
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(505175102)アーテミス・メディカル・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Artemis Medical,Inc.
【住所又は居所原語表記】21021 Corsair Boulevard,Hayward,CA 94545,U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005167
【国際公開番号】WO2004/075947
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(505175102)アーテミス・メディカル・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Artemis Medical,Inc.
【住所又は居所原語表記】21021 Corsair Boulevard,Hayward,CA 94545,U.S.A.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]