説明

組電池

【課題】端子の装着が簡単で、収納ケースの薄型化が可能な組電池を提供する。
【解決手段】組電池100は、複数のフィルム外装電池1と、複数のフィルム外装電池1を収納する収納ケース10とを有する。複数のフィルム外装電池1のそれぞれは、フィルム外装電池1から延出される電極3,4を有する。収納ケース10は、並列に配置された複数の収納部11と、複数の収納部11のうちの隣り合う収納部11同士を連接する連接部12とを有する。複数のフィルム外装電池1のそれぞれは、複数の収納部11のそれぞれに収納されている。複数のフィルム外装電池1のうちの隣り合うフィルム外装電池1が有する電極3,4同士は接続されて連接部12に収納されている。連接部12には、フィルム外装電池1の電極3,4と電気的に接続する端子20を差し込むための開口14が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム外装電池と、フィルム外装電池を収納する収納ケースと、を有する組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組電池を構成する各電池の電圧管理が行われている。各電池の電圧を検出することで劣化した電池を特定することが可能となり、劣化した電池が他の電池に影響を及ぼし組電池全体が劣化してしまうのを防止することができる。
【0003】
電池電圧の検出方法としては、電極と端子とをネジ留めすることで電気的に接続させ、この端子により検出した電圧を測定する方法が一般的である。特許文献1では、積層されたセルから延出したタブにバスバーを接続し、このバスバーをロッドで積層方向に接続しており、ロッドに圧着端子を接続して電圧を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−185809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電圧取出用端子の固定にネジ留め方式を採用した場合、組電池の場合、電池を積層することでネジ同士が干渉しあうおそれがある。また、これを避けるために、ネジ同士間に十分な間隔を空けようとすると電池を収納したケースの厚みが増し、薄型化を図ることが困難となる。ネジ同士の干渉を避けつつ薄型化を図るため、ネジを千鳥配列とすることも考えられるが、この場合、ネジを互い違いに配列させる作業が発生し、煩雑となる。もとより、ネジ留め方式の場合、ネジ留め作業が煩雑である。積層方向の寸法の大型化や作業の煩雑さなどの課題は、ロッドに圧着端子を接続して電圧を検出する方法も同様である。
【0006】
そこで、本発明は、端子の装着が簡単で、収納ケースの薄型化が可能な組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態の組電池は、複数のフィルム外装電池と、複数のフィルム外装電池を収納する収納ケースと、を有する。複数のフィルム外装電池のそれぞれは、フィルム外装電池から延出される電極を有する。収納ケースは、並列に配置された複数の収納部と、複数の収納部のうちの隣り合う収納部同士を連接する連接部と、を有する。複数のフィルム外装電池のそれぞれは、複数の収納部それぞれに収納されている。複数のフィルム外装電池のうちの隣り合うフィルム外装電池が有する電極同士は接続されて連接部に収納されている。連接部には、フィルム外装電池の電極と電気的に接続する端子を差し込むための開口が設けられている。
【0008】
また、別の実施形態の組電池は、フィルム外装電池と、フィルム外装電池を収納する収納ケースとを有する。フィルム外装電池はフィルム外装電池から延出される電極を有する。収納ケースは電極を外部に延出させるための取出部を有する。外部に延出される電極は取出部に収納されている。取出部には、フィルム外装電池の電極と電気的に接続する端子を差し込むための開口が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端子の装着が簡単で、収納ケースの薄型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のフィルム外装電池の一例の外観斜視図である。
【図2】本発明の組電池の斜視図の一例の外観斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の連接部の拡大斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の電圧取出端子の拡大斜視図である。
【図5】電圧取出端子を電圧取出口に装着する方法を説明するための斜視図である。
【図6】電圧取出端子が電圧取出口に挿入される際の撓んだ状態を示す図である。
【図7】電圧取出端子が電圧取出口に挿入された状態の収納ケースの一部断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の収納ケースの電圧取出口部分の一部拡大図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の収納ケースの電圧取出口部分の一部拡大図である。
【図10】本発明の第3の実施形態のコネクタの斜視図である。
【図11】図10に示すコネクタを取り付け可能な収納ケースの平面図である。
【図12】収納ケースのコネクタ結合部にコネクタを結合させた部分の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1に本実施形態のフィルム外装電池の外観斜視図を示す。
【0012】
本実施形態のフィルム外装電池1は、正極側活電極、負極側活電極、および電解液を有する発電要素2と、アルミニウムなどの金属フィルムと熱融着性の樹脂フィルムとを重ね合わせて形成したラミネートフィルム7とを有する。フィルム外装電池1は、2枚のラミネートフィルム7によって発電要素2を密封した構造を有している。すなわち、本実施形態のフィルム外装電池1は、ラミネートフィルム7の4辺である熱融着部7aのうち、まず3辺を熱融着して袋状としておき、開放している残りの1辺から内部の空気を排気して真空引きし、その後、残りの1辺を熱融着部7aを熱融着することで、2枚のラミネートフィルム7によって発電要素2を密封封止してなるものである。
【0013】
フィルム外装電池1の発電要素2は、セパレータを介して積層された正極側活電極と負極側活電極とからなる積層型であってもよいし、あるいは、帯状の正極側活電極と負極側活電極とをセパレータを介して重ねこれを捲回した後、扁平状に圧縮することによって正極側活電極と負極側活電極とが交互に積層された構造の捲回型であってもよい。
【0014】
また、発電要素2としては、正極、負極および電解質を含むものであれば、通常の電池に用いられる任意の発電要素が適用可能である。一般的なリチウムイオン二次電池における発電要素は、リチウム・マンガン複合酸化物、コバルト酸リチウム等の正極活物質をアルミニウム箔などの両面に塗布した正極板と、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を銅箔などの両面に塗布した負極板とを、セパレータを介して対向させ、それにリチウム塩を含む電解液を含浸させて形成される。発電要素2としては、この他に、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムメタル一次電池あるいは二次電池、リチウムポリマー電池等、他の種類の化学電池の発電要素が挙げられる。さらに、本発明は、電気二重層キャパシタなどのキャパシタや電解コンデンサなどに例示されるキャパシタ要素のような、電気エネルギを内部に蓄積し化学反応または物理反応でガスが発生しうる電気デバイス要素を外装フィルムで封止した電気デバイスにも適用可能である。
【0015】
フィルム外装電池1の短手方向の熱融着部7aからは、正極用電極端子3および負極側活電極に接続された負極用電極端子4がそれぞれ対向して延出している。正極用電極端子3としてはアルミニウムが多く用いられ、また、負極用電極端子4としては銅またはニッケルがその電気的特性により多く用いられている。以下、正極用電極端子3と負極用電極端子4とをまとめて単に電極、あるいは電極3、4と称する場合もある。
【0016】
図2に複数のフィルム外装電池を電気的に接続して形成された組電池の斜視図を示す。
【0017】
図2に示す収納ケース10は、絶縁性の樹脂等の材質からなり、平置きにした3つのフィルム外装電池1を収納することができる。なお、本発明におけるフィルム外装電池1を平置きにするとは、フィルム外装電池1を電極端子の主面に平行な方向に配列した状態をいうものとする。図2に示す組電池100は、3つのフィルム外装電池1が平置きした収納ケース10を6段に積み重ね、直列に接続した例である。
【0018】
収納ケース10は、3つの収納部11、2つの連接部12および2つの取出部13とを有する。収納部11はフィルム外装電池1の本体部分を収納し、各収納部11はフィルム外装電池1の電極端子が延在する方向に並列に配置されている。本実施形態の場合、収納部11はフィルム外装電池1の長手方向に並列配置されていることになる。連接部12は電気的に接続された正極用電極端子3と負極用電極端子4とを収納し、各連接部12は並列配置された3つの収納部11を繋ぐようにして形成されている。
【0019】
連接部12の幅は電極3、4に対応しており、収納部11の幅よりも狭く形成されている。
【0020】
取出部13は電極端子3、4を外部に延出させるための開口であり、並列配置された3つの収納部11の両端側に形成されている。連接部12は電極3、4を覆うように形成されているが、取出部13は電極、3、4の一部が延出している。これは、取出部13から電極の一部を延出させて積層された他の電池の電極との接続を行うため、また、外部の回路と接続するためである。
【0021】
連接部12には、電圧を検出するための電圧取出端子20を差し込むための電圧取出口14が形成されている。図3は連接部12の拡大斜視図であり、図4は電圧取出端子の拡大斜視図である。また、図5は電圧取出端子を電圧取出口に装着する方法を説明するための斜視図であり、図6は電圧取出端子が電圧取出口に挿入される際の撓んだ状態を示す図である。
【0022】
電圧取出端子20は、アルミニウム等の導電性の金属薄板をプレス加工して形成したものである。電圧取出端子20は概ね平板形状の本体部25と、導線40を圧着して取り付ける圧着部26とを有する。この電圧取出端子20は、電圧取出口14に対して先端部27側から図中矢印A方向(図4、5参照)に差し込んで当接部21を電極端子3、4に当接させて電圧を取り出す。
【0023】
本体部25は、z方向に隆起して形成された当接部21と、y方向に突出した爪22を有する。
【0024】
当接部21は、本体部25の一部を残して打ち抜きによって形成されている。すなわち、当接部21は、当接部21の先端部27側を折り目とし、先端部27から圧着部26に向けて除々にz方向に隆起させるように折り曲げて形成されている。当接部21はこのような構成であるため、電圧取出端子20を電圧取出口14に差し込む際の邪魔にならない。また、当接部21はz方向に弾性を有するので、図7に示すように、電極3、4に対して押し付けられた状態で当接させることができ、電気的な接続を確実なものとすることができる。当接部21の圧着部26側の端部は、下方に折り曲げ加工されている。端部をこのように折り曲げ加工しているので、一旦、電圧取出口14に差し込んだ電圧取出端子20を取り外す必要が生じた場合であっても、電圧取出口14に当接部21が引っかかってしまうことなく取り外すことができる。
【0025】
爪22は先端部27から圧着部26に向けて除々に拡がるくさび部22aと、連接部12の壁に係合する係合端22bとを有する。
【0026】
本体部25の幅は電圧取出口14に差込み可能なように電圧取出口14の幅よりも狭く形成されている。これに対して、爪22が形成された本体部25部分の幅は、電圧取出口14の開口部側壁14aに係合させるため、電圧取出口14の幅よりも広く形成されている。一方、電圧取出端子20の高さ方向の寸法は、圧着部26を含む高さが電圧取出口14の高さよりも低くなるようにしている。
【0027】
次に、電圧取出口14への電圧取出端子20の取り付け方法について図5および図6を用いて説明する。
【0028】
まず、電圧取出口14に対して先端部27側から図中矢印A方向に差し込む。電圧取出端子20は、爪22まで差し込まれると、爪22のくさび部22aが開口部側壁14aに沿って押し込まれることで図6(a)に示すようにz方向にたわみながら差し込まれることとなる。くさび部22aが開口部側壁14aを通過した後、たわんでいた電圧取出端子20はその弾性により元の平らな形状に戻り、係合端22bが開口部側壁14aに係合することとなる(図3および図6(b)参照)。係合端22bが開口部側壁14aに引っ掛かることで電圧取出口14からの電圧取出端子20の抜け落ちが防止される。
【0029】
図2を参照すると、電圧取出端子20は連接部12および取出部13において積層方向に一列に配置されている。本実施形態の電圧取出端子20は上述したように圧着部26を含む高さが電圧取出口14の高さよりも低くなるようにしている。このため、積層方向一列に電圧取出端子20が配置されても互いの電気的な接触を避けることができる。また、当接部21の付勢力により電極3、4に電気的に接触するとともに爪22により収納ケース210に係合している。このため、本発明は、従来のように端子を電極にネジ留めすることなく電極と端子とを確実に接続させることができ、また、ネジ留めによる問題も生じない。すなわち、本発明は、電圧取出端子20を電圧取出口14に差し込むだけで電圧を取り出すことができ、ネジで固定するといった煩雑な作業が生じない。また、本発明は、高さ方向にかさばるネジがないため、組電池をより薄型化することができる。さらに、電圧の取り出し部分を千鳥配列させることもないため、収納ケースを積層する際のケースの積層順への留意が不要となる。
【0030】
(第2の実施形態)
図8に本実施形態の収納ケースの電圧取出口部分の一部拡大図を示す。なお、本実施形態の電圧取出端子は第1の実施形態で説明したものと同じであるため、詳細の説明は省略する。図8(a)は電圧取出口に電圧取出端子が装着された状態を説明するための、電圧取出口部分の一部拡大図である。また、図8(b)は図8(a)のA−A線での断面図であり、図8(c)はB−B線での断面図である。
【0031】
本実施形態の収納ケース210には、電圧取出口214から電圧取出端子20の挿抜方向に延在する絶縁部220が設けられている。絶縁部220は2つの対向する側壁部220aと底壁220bとからなる。絶縁部220の長さは、電圧取出端子20が取り付けられた状態で圧着部26が収納ケース210の外部にはみ出さない長さとしている。収納ケース210を積層することで、積み重ねた他の収納ケース210の底壁220bを天井とすることができ、これにより電圧取出端子20を絶縁壁で囲うことができる。
【0032】
組電池においては、本発明の電圧取出端子20は上下方向に一列に配列することが可能である。しかし、電圧取出端子20の圧着部26がケースの外部に露出させた構成であり、かつケースの厚みが薄い場合には、圧着部26に外部から力がかかることで、隣接する他の電圧取出端子20に接触してしまう場合がある。これに対して本実施形態の場合、電圧取出端子20が絶縁部220によって囲われているので隣接する他の電圧取出端子20と接触することはない。
【0033】
また、本実施形態の収納ケース210は、電圧取出口214の両側の開口部側壁214bにそれぞれ係合穴16が形成されている。この係合穴16には、収納ケース210内に収めたフィルム外装電池1を封じる蓋15に設けられたケース係合爪215aが嵌り込む。ケース係合爪215aはフィルム外装電池1の電極3、4に対応する部分に設けられている。このため、収納ケース210に蓋15をする際、ケース係合爪215aを係合穴16に嵌め込むことで電圧取出端子20の当接部21からの付勢力で電極3、4がたわんでしまうのを防止することができる。すなわち、本実施形態は、電極3、4のたわみを蓋215で抑制しつつ当接部21で付勢することで電圧取出端子20と電極3、4との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図9に本実施形態の収納ケースの電圧取出口部分の一部拡大図を示す。図9(a)は電圧取出口に電圧取出端子が装着された状態を説明するための、電圧取出口部分の一部拡大図である。また、図9(b)は図9(a)のC−C線での断面図である。
【0035】
本実施形態の電圧取出端子320は、爪322が本体部325に設けられている。爪322の隆起方向は当接部321と反対方向である。爪322は収納ケース310の底面に形成された穴310aに係合する。第1の実施形態では爪22が開口部側壁314aを通過するまでは本体部25がたわむことで爪22を電圧取出口314内に進入させていた。一方、本実施形態では、電圧取出口314内に電圧取出端子320を挿入する際に本体部325はたわまず、爪322が押し縮められる。穴310aまで到達すると、押し縮められた状態の爪322は解放される。これにより爪322が穴310aに係合し、電圧取出端子320が電圧取出口314から抜け落ちるのを防止することができる。
【0036】
(第4の実施形態)
本実施形態では、電圧取出端子にヒューズを接続し、これをコネクタとして一体化した例について説明する。
【0037】
図10(a)、図10(b)に本実施形態のコネクタの斜視図を、また、図10(c)に透過側面図を示す。図11にコネクタを取り付け可能な収納ケースの平面図を示す。図12(a)に収納ケースのコネクタ結合部にコネクタを結合させた部分の一部拡大図を、また、図12(b)に図12(a)のD−D線における断面図を示す。
【0038】
コネクタ400は、ヒューズ部材442と、電圧取出端子420と、コネクタ本体401とを有する。このコネクタ400は、収納ケース410に形成されたコネクタ結合部411に差し込まれて電圧取出端子420が電極3、4に電気的に接続されることで電圧を検出する。
【0039】
ヒューズ部材442は、平板形状の保持部材441と、保持部材441の上面に取り付けられたヒューズ440とを有する。
【0040】
電圧取出端子420は、弾性を有する金属薄板であり、先端部分420aが電極3、4に電気的に接続され、後端部分420bがヒューズ440に電気的に接続される。
【0041】
コネクタ本体401は、樹脂等の絶縁性の材質からなり、端子ガイド402とヒューズ部材ガイド403とが一体的に形成されてなるものである。
【0042】
端子ガイド402には電圧取出端子420を嵌め込んで保持する溝402bが形成されている。電圧取出端子420が溝402b内に嵌め込まれることで端子ガイド402の先端部分402aと電圧取出端子420の先端部分420aとが電極挟持部460を構成する。すなわち、電極挟持部460は、端子ガイド402と弾性を有する電圧取出端子420とで構成したクリップであり、これらの間に電極3、4を挟み込むようにしたものである。
【0043】
ヒューズ部材ガイド403には、ヒューズ部材442を保持するヒューズ部材保持開口部406が形成されている。ヒューズ部材保持開口部406には、ヒューズ部材442を挿抜可能なように開口405が形成されており、また、開口405から差し込まれたヒューズ部材442を保持する保持溝404が形成されている。端子ガイド402の後端部分はヒューズ部材ガイド403に繋がっており、端子ガイド402の溝402bとヒューズ部材保持開口部406内とは連通している(図10(c)参照)。端子ガイド402の溝402bに嵌め込まれた電圧取出端子420の後端部分420bは、当該連通した部分を通り、ヒューズ部材保持開口部406内に延出している。この電圧取出端子420の後端部分420bは、ヒューズ部材442の上面に取り付けられたヒューズ440に電気的に接続されている。
【0044】
また、ヒューズ部材ガイド403の下面には、爪422が設けられている。この爪422はコネクタ結合部411の底面に形成された穴410aに係合する。また、ヒューズ部材ガイド403の下面には、後方に延びる把持部450が設けられている。把持部450はコネクタ400をコネクタ結合部411に対して挿抜する際にユーザが指で把持するために用いられる。
【0045】
ヒューズ部材ガイド403の幅は、端子ガイド402の幅よりも幅広に形成されており、ヒューズ部材ガイド403の前面には円弧形状の突当面3aが形成されている。一方、収納ケース410のコネクタ結合部411の幅はヒューズ部材ガイド403の幅に対応しており、電圧取出口414の幅は端子ガイド402の幅に対応している。また、コネクタ結合部411と電圧取出口414との間を繋ぐ位置決め面410bが突当面3aに対応して円弧形状に形成されている。コネクタ400の厚さは収納ケース410の厚さよりも薄い。
【0046】
次に、コネクタ400の、コネクタ結合部411への取り付けについて説明する。
【0047】
把持部450を摘み、端子ガイド402をコネクタ結合部411の開口部分から入れて電圧取出口414へと差し込む。コネクタ400はコネクタ結合部411の壁面に沿ってコネクタ結合部411内へと進入させることで電極挟持部460が電極3、4を挟持する。すなわち、端子ガイド402と電圧取出端子420との間に電極3、4が滑り込み、電圧取出端子420の弾性により電極3、4を端子ガイド402と電圧取出端子420との間に挟み込む。これにより電圧取出端子420と電極3、4との電気的接続がなされ、電圧を検出することができる。コネクタ400をさらに進入させることで爪422が穴410aに係合する。爪422と穴410aとの係合により、コネクタ400がコネクタ結合部411から不用意に脱落するのが防止される。さらに、突当面3aが位置決め面410bに突き当たることでコネクタ結合部411に対するコネクタ400の位置決めがなされる。コネクタ400の位置決めがなされることで端子ガイド402が進入しすぎて電極3、4が破損してしまうのを防止することができる。
【0048】
コネクタ400のヒューズ部材442はヒューズ部材保持開口部406に差し込まれているだけであるので、ヒューズ440が切れた場合、容易に交換することができる。
【0049】
以上のように本実施形態のコネクタ400は、コネクタ400をコネクタ結合部411に差し込むだけで電圧取出端子420と電極3、4とを電気的に接続させることができる。また、本実施形態のコネクタ400は、ヒューズ部材442を内蔵した構成であるため、別体のヒューズを内蔵したフレキシブルプリントサーキットを廃止することができる。また、本実施形態のコネクタ400は収納ケース410の厚みよりも薄く形成されているので、収納ケース400を積層して組電池化しても積層方向の厚みが増すことはない。また、電圧取出端子420は、絶縁性のコネクタ本体401および収納ケース400で覆われているため、積層方向に配置された他の電圧取出端子420と接触してしまうこともない。
【0050】
なお、上述した各実施形態はどのように組合わせるものであってもよい。
【0051】
また、装着が簡単で、かつ収納ケースの薄型化が可能な端子接続構造を提供するという目的を達成するため、一実施形態における端子接続構造は、ケース内に収納された電気デバイス要素の電極に、取出端子が電気的に接続される端子接続構造において、取出端子が、平板状の本体部と、該本体部に形成された爪と、該爪よりも先端側にて前記本体部から隆起して形成された当接部とを有し、ケースが、電極の少なくとも一部を囲い、かつ開口が形成された包囲部を有し、取出端子を先端側から開口に差し込むことにより、爪がケースに係合して電圧取出端子が包囲部内に固定されるとともに、当接部が電極に当接して電極と当接部との電気的な接続がなされることを特徴とする。
【0052】
別の実施形態の端子接続構造は、取出端子をケースに差し込むだけでケースへの固定と電極との電気的接続とを行うことができる。このため、固定用ネジが不要となり、組電池化する場合、小型化を図ることができるとともに、電極の取り付け作業が容易となる。
【0053】
また、さらに別の実施形態の端子接続構造は、取出端子が、爪が形成された部分を含む取出端子の幅が開口の幅よりも広く、弾性変形しながら前記開口に差し込まれるものであってもよい。この場合、取出端子を開口に差し込む際に取出端子を変形させながら差し込むこととなるが、爪が開口部分を通過した後は、取出端子自体の弾性により元通りの形状になって爪がケースと係合する。すなわち、爪をケースに係合させるために、可動部等を設ける必要がなく取出端子の構造を単純化することができる。
【0054】
また、さらに別の実施形態の端子接続構造は、爪が、弾性を有し、当接部が隆起している方向と逆方向に隆起して形成されており、電極を支持する底部は弾性を有する爪が係合する係合用穴が形成されているものであってもよい。また、本発明の端子接続構造は、包囲部が、係合爪を有する蓋部と、電極を支持する底部と、開口および蓋部の係合爪が係合する穴が形成された側部とを有するものであってもよい。包囲部の蓋部が側部に係合することで電極を変形させようとする取出端子の付勢力を受け止めて電極の変形を防止するとともに、電極を蓋部と取出端子とで挟み込むことができ、確実な電気的接続を達成することが可能となる。
【0055】
また、さらに別の実施形態の端子接続構造は、ケースが、爪がケースに係合した状態の取出端子のうち、開口から延出した部分を覆う絶縁部を有するものであってもよい。このような構成とすることで組電池化して電池が積層された場合、積層方向に隣接する他の取出端子との接触を防止することができる。このため、接触を回避するため端子間に空間を設ける必要がないので組電池のさらなる小型化を図ることができる。
【0056】
他の実施形態の電圧検出構造は、ケース内に収納された充放電可能な電気デバイス要素の電極に、電気デバイス要素の電圧を検出するための電圧取出端子が電気的に接続される電圧検出構造において、弾性を有する電圧取出端子を保持する端子ガイドと、端子ガイドと一体的に形成された、電圧取出端子の一端に電気的に接続されるヒューズを着脱可能に保持するヒューズガイドと、爪とを有し、電極を挟持する挟持部を、電圧取出端子の他端と端子ガイドとにより形成しているコネクタを有し、ケースが、電極の少なくとも一部を囲い、開口が形成された包囲部と、開口に連通する、コネクタを差し込み可能なコネクタ結合部とを有し、コネクタをコネクタ結合部に差し込むことにより、端子ガイドが開口を挿通し、挟持部が電極を挟持して電極と電圧取出端子との電気的な接続がなされるとともに、爪がケースに係合して電圧取出端子が包囲部に固定されることを特徴とする。
【0057】
別の実施形態では、コネクタに電圧取出端子ととともにヒューズが設けられている。このため、外部にヒューズを別途設ける必要がなく、簡単な構成とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 フィルム外装電池
2 発電要素
3 正極用電極端子
4 負極用電極端子
7 ラミネートフィルム
7a 熱融着部
10、210、310、410 収納ケース
11 収納部
11 爪
12 連接部
13 取出部
14、214、314、414 電圧取出口
14a、214b、314a 開口部側壁
15、215 蓋
16 係合穴
20、320、420 電圧取出端子
21、321 当接部
22b 係合端
22、322、422 爪
22a くさび部
25、325 本体部
26 圧着部
27 先端部
40 導線
100 組電池
215a ケース係合爪
220b 底壁
220 絶縁部
310a、410a 穴
400 コネクタ
401 コネクタ本体
402a、420a 先端部分
402b 溝
402 端子ガイド
403 ヒューズ部材ガイド
404 保持溝
405 開口
406 ヒューズ部材保持開口部
410b 位置決め面
411 コネクタ結合部
420b 後端部分
440 ヒューズ
441 保持部材
442 ヒューズ部材
450 把持部
460 電極挟持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィルム外装電池と、前記複数のフィルム外装電池を収納する収納ケースとを有し、
前記複数のフィルム外装電池のそれぞれは、前記フィルム外装電池から延出される電極を有し、
前記収納ケースは、並列に配置された複数の収納部と、前記複数の収納部のうちの隣り合う収納部同士を連接する連接部とを有し、
前記複数のフィルム外装電池のそれぞれは、前記複数の収納部それぞれに収納され、
前記複数のフィルム外装電池のうちの隣り合うフィルム外装電池が有する電極同士は接続されて前記連接部に収納され、
前記連接部には、前記フィルム外装電池の電極と電気的に接続する端子を差し込むための開口が設けられている組電池。
【請求項2】
フィルム外装電池と、前記フィルム外装電池を収納する収納ケースとを有し、
前記フィルム外装電池は前記フィルム外装電池から延出される電極を有し、
前記収納ケースは前記電極を外部に延出させるための取出部を有し、
外部に延出される前記電極は前記取出部に収納され、
前記取出部には、前記フィルム外装電池の電極と電気的に接続する端子を差し込むための開口が設けられている組電池。
【請求項3】
前記収納ケースが複数積み重ねられている請求項1または2に記載の組電池。
【請求項4】
前記開口は、前記収納ケースが複数積み重ねられている方向に一列に配置されている請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記端子の高さは、前記開口の高さよりも低い請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項6】
前記端子は、前記フィルム外装電池の電圧を検出するための端子である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−195305(P2012−195305A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−153470(P2012−153470)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【分割の表示】特願2006−50440(P2006−50440)の分割
【原出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】