説明

経路探索システム、経路探索方法、経路探索プログラム、及び自律移動体

【課題】探索空間が広く経路長が長くなる場合においても、少ない記憶容量で最適な経路探索を実行可能な経路探索システム、経路探索方法、経路探索プログラム、及び自律移動体を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる経路探索システムは、移動領域内の移動始点から移動終点に到達する経路を探索する経路探索システムであって、移動領域を複数の領域に分割する領域分割部と、予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、領域分割部により分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出部と、評価値算出部により算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定部とを備え、評価値算出部は、複数の領域のそれぞれに対して、符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経路探索システム、経路探索方法、経路探索プログラム、及び自律移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、経路長をその経路のコスト評価値として算出し、算出された評価値に基づいて最短経路を探索する技術が提案されている(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開昭62−32517号公報
【特許文献2】特開昭62−32516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術では、経路長に応じてコスト評価値が単調増加する場合には、コスト評価値の大きさに応じた記憶容量が必要となる。このため、探索空間が広く経路長が長くなる場合には、ロボットが有する記憶容量内で経路探索を実行することができないという問題がある。
また、コスト評価値が大きくなる場合に、浮動小数点表現を利用することで大きなコスト評価値を表現することができるものの、このような大きなコスト評価値を用いては、経路上のノード間の移動に要するコストがノードのコスト評価値に比べて相対的に小さくなるため、正確にコスト評価を行うことができない。
【0004】
このように、従来の移動経路探索方法によれば、探索空間が広く経路長が長くなる場合には、少ない記憶容量で最適な経路探索を実行することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、探索空間が広く経路長が長くなる場合においても、少ない記憶容量で最適な経路探索を実行することができる経路探索システム、経路探索方法、経路探索プログラム、及び自律移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる第一の経路探索システムは、移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、前記移動領域内に存在する移動終点に到達する経路を探索する経路探索システムであって、前記移動領域を複数の領域に分割する領域分割部と、予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、前記領域分割部により分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出部と、前記評価値算出部により算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定部とを備え、前記評価値算出部は、前記複数の領域のそれぞれに対して、前記符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いるものである。
【0007】
これにより、予め順序が決められた複数の符号を用いて評価値を算出することで、従来手法では異なる値によって表現していた複数の評価値を同じ符号を用いて算出することができる。このため、評価値を少数の符号のみを用いて繰り返して表現することで、評価値を保持する記憶容量はこれらの符号を保持するために必要な容量で済む。従って、経路長が大きくなる場合であっても、少ない記憶容量によって経路探索を行うことができる。
【0008】
また、前記評価値算出部が、近傍に存在する領域の評価値と、当該近傍領域から自領域までのコストとに基づいて、自領域の評価値を算出するようにしてもよい。このように、近傍領域における評価値と、その近傍領域から自領域までの移動に要するコストとに基づいて、自領域の評価値を算出することで、容易に評価値を算出することができる。
【0009】
さらにまた、前記評価値算出部が、前記近傍領域の評価値のうちで前記符号セットの順方向に最初の評価値と、当該近傍領域から自領域までの幾何学的な距離に応じたコストとに基づいて、自領域の評価値を算出するようにしてもよい。このように、近傍領域における符号セットの順方向に最初に存在する評価値と、その近傍領域から自領域までの幾何学的な距離に応じた移動に要するコストとに基づいて、自領域の評価値を算出することで、容易に評価値を算出することができる。
【0010】
また、前記評価値算出部が、ダイクストラ法に基づいて前記領域の評価値を算出するようにしてもよい。これにより、経路探索手法としてダイクストラ法を用いることで、少ない時間で簡便に最適経路を探索することができる。
【0011】
さらにまた、前記経路決定部は、前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向へ最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆくようにしてもよい。このように、移動始点に対応する領域から移動終点に対応する領域に向けて、算出された評価値のうち、注目する領域の評価値に対して、前記符号セットの順方向とは逆方向へ最も離れた評価値を有する近傍領域を順次選択してゆくことで、簡単に経路を決定することができる。
【0012】
また、前記経路決定部は、前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、所定の符号までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆくようにしてもよい。このように、移動始点に対応する領域から移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、注目する領域の評価値に対して、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、所定の符号までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を順次選択してゆく。
【0013】
さらにまた、前記経路決定部は、前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、前記符号セット数の半数分までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆくようにしてもよい。このように、移動始点に対応する領域から移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、注目する領域の評価値に対して、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、符号セット数の半数分までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を順次選択してゆく。
【0014】
また、前記符号セットが予め順序が決められた3つの符号からなるようにしてもよい。これにより、自領域の評価値とは異なる符号が2つ存在するため、近傍領域の評価値に基づいて移動終点へと向かう領域を選択する場合に、自領域の評価値に基づいて次にどの評価値を有する近傍領域を選択すればよいのかを適切に判断することができる。即ち、移動終点へと向かって、評価値が小さくなってゆくように領域を順次選択してゆくことができる。
【0015】
本発明にかかる第二の経路探索方法は、移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、前記移動領域内に存在する移動終点に到達する経路を探索する経路探索方法であって、前記移動領域を複数の領域に分割する領域分割ステップと、予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、前記領域分割ステップにより分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出ステップと、前記評価値算出ステップにより算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定ステップとを備え、前記評価値算出ステップは、前記複数の領域のそれぞれに対して、前記符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いるものである。
【0016】
これにより、評価値を少数の符号のみを用いて繰り返して表現することで、評価値を保持する記憶容量はこれらの符号を保持するために必要な容量で済む。従って、経路長が大きくなる場合であっても、少ない記憶容量によって経路探索を行うことができる。
【0017】
また、前記評価値算出ステップが、近傍に存在する領域の評価値と、当該近傍領域から自領域までのコストとに基づいて、自領域の評価値を算出するようにしてもよい。このように、近傍領域における評価値と、その近傍領域から自領域までの移動に要するコストとに基づいて、自領域の評価値を算出することで、容易に評価値を算出することができる。
【0018】
さらにまた、前記評価値算出ステップが、前記近傍領域の評価値のうちで前記符号セットの順方向に最初の評価値と、当該近傍領域から自領域までの幾何学的な距離に応じたコストとに基づいて、自領域の評価値を算出するようにしてもよい。このように、近傍領域における符号セットの順方向に最初に存在する評価値と、その近傍領域から自領域までの幾何学的な距離に応じた移動に要するコストとに基づいて自領域の評価値を算出することで、容易に評価値を算出することができる。
【0019】
また、前記評価値算出ステップが、ダイクストラ法に基づいて前記領域の評価値を算出するようにしてもよい。これにより、経路探索手法としてダイクストラ法を用いることで、少ない時間で簡便に最適経路を探索することができる。
【0020】
さらにまた、前記経路決定ステップは、前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向へ最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆくようにしてもよい。このように、移動始点に対応する領域から移動終点に対応する領域に向けて、算出された評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向へ最も離れた評価値を有する近傍領域を順次選択してゆくことで、簡単に経路を決定することができる。
【0021】
また、前記経路決定ステップは、前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、所定の符号までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆくようにしてもよい。このように、移動始点に対応する領域から移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、注目する領域の評価値に対して、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、所定の符号までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を順次選択してゆく。
【0022】
さらにまた、前記経路決定ステップは、前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、前記符号セット数の半数分までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆくようにしてもよい。このように、移動始点に対応する領域から移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、注目する領域の評価値に対して、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、符号セット数の半数分までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を順次選択してゆく。
【0023】
また、前記符号セットが予め順序が決められた3つの符号からなるようにしてもよい。これにより、自領域の評価値とは異なる符号が2つ存在するため、近傍領域の評価値に基づいて移動終点へと向かう領域を選択する場合に、自領域の評価値に基づいて次にどの評価値を有する近傍領域を選択すればよいのかを適切に判断することができる。即ち、移動終点へと向かって、評価値が小さくなってゆくように領域を順次選択してゆくことができる。
【0024】
本発明にかかる第三の経路探索プログラムは、移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、前記移動領域内に存在する移動終点に到達する経路を探索する経路探索プログラムであって、コンピュータに対して、前記移動領域を複数の領域に分割する領域分割ステップと、予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、前記領域分割ステップにより分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出ステップと、前記評価値算出ステップにより算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定ステップとを実行させ、前記評価値算出ステップは、前記複数の領域のそれぞれに対して、前記符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いるものである。
【0025】
これにより、評価値を少数の符号のみを用いて繰り返して表現することで、評価値を保持する記憶容量はこれらの符号を保持するために必要な容量で済む。従って、経路長が大きくなる場合であっても、少ない記憶容量によって経路探索を行うことができる。
【0026】
本発明にかかる第四の自律移動体は、移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、前記移動領域内に存在する移動終点に到達する移動経路を探索する自律移動体であって、前記移動領域を複数の領域に分割する領域分割部と、予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、前記領域分割部により分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出部と、前記評価値算出ステップにより算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定部とを備え、前記評価値算出部は、前記複数の領域のそれぞれに対して、前記符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いるものである。
【0027】
これにより、評価値を少数の符号のみを用いて繰り返して表現することで、評価値を保持する記憶容量はこれらの符号を保持するために必要な容量で済む。従って、経路長が大きくなる場合であっても、少ない記憶容量によって経路探索を行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、探索空間が広く経路長が長くなる場合においても、少ない記憶容量で最適な経路探索を実行することができる経路探索システム、経路探索方法、経路探索プログラム、及び自律移動体を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、各図面において、同一要素には同一の符号を付しており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0030】
発明の実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかる経路探索システムでは、自律移動体としてロボットを用いている。ロボットは、例えば、それぞれ独立して回転制御される二つの車輪を備えたものでもよく、2輪よりも多い、例えば4輪走行のロボットや、1輪走行のロボット、2足歩行・4足歩行のロボットであってもよい。また、ロボットに限らず、2輪走行や4輪走行の車両にも適用できる。本例におけるロボットは、障害物を検出するセンサやカメラを備え、検出された障害物に応じて、これを避けるように経路探索を行なう。
【0031】
当該経路探索システムは、移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、移動領域内に存在する移動終点に到達する経路を探索する。経路探索システムは、移動領域を複数の領域に分割し、予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する。評価値算出処理では、複数の領域のそれぞれに対して、符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いる。そして、算出された評価値に基づいて経路を決定する。
【0032】
評価値は予め順序が定められた複数の符号からなり、これらの符号は連続性及び周期性を有する。評価値算出処理においては、近傍領域の評価値と、当該近傍領域から自領域までのコストとに基づいて、符号セットの順方向に従って評価値を算出する。経路決定処理においては、近傍領域の評価値について、符号セットの順方向とは逆方向に、自領域の評価値と最も離れた評価値を探索することで、次に進むべき領域の評価値を探索する。また、経路探索システムは、評価値を、予め順序が決められた符号の範囲内において、波のように振動しながら伝播する拡張三角波として表現し、その連続性及び周期性から、経路長の評価を行うものである。
【0033】
本実施の形態1にかかる経路探索システムは、例えば、ロボットに搭載されたコンピュータやロボットとは別に設けられたコンピュータにより実現される。このコンピュータは、例えば、中央処理装置(CPU)、ROM、RAM、ハードディスク等の補助記憶装置、CD−ROM等の可搬型記憶媒体が挿入される記憶媒体駆動装置、入力手段や出力手段を備えている。ROM、補助記憶装置、可搬型記憶媒体等の記憶媒体には、オペレーティングシステムと協働してCPU等に命令を与え、アプリケーションプログラムを記録することができる。アプリケーションプログラムはRAMにロードされることによって実行される。このアプリケーションプログラムは、本発明にかかる経路探索システムを実現する特有の経路探索プログラムを含む。経路探索システムによる経路探索は、中央処理装置がアプリケーションプログラムをRAM上に展開した上で当該アプリケーションプログラムに従った処理を補助記憶装置に格納されたデータを読み出し、また格納を行なうことにより、実行される。
【0034】
図1は、本実施の形態1にかかる経路探索システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示されるように、経路探索システム1は、経路探索処理部11と経路探索記憶部12により構成されている。経路探索処理部11は、領域分割部111、評価値算出部112、及び経路決定部113を備えている。
【0035】
経路探索記憶部12には、ロボットが移動する移動領域全体の形状に、略一定間隔L(例えば10cm)に配置された格子点を結ぶグリッド線を仮想的に描写することで得られるグリッドマップが記憶されている。ロボットは、GPS等から得られた位置情報を、このグリッドマップ上における自己の位置に置き換えて、グリッドマップ上における自己位置を認識する。グリッドマップ上において、ロボットの自己位置に相当する場所、および目的地である移動終点、および移動終点におけるロボットの移動方向が特定される。ロボットは、グリッドマップ上において特定された自己位置を移動始点から、目的地である移動終点までの移動経路を作成し、作成された移動経路に従って移動を行う。
【0036】
領域分割部111は、ロボットが移動する移動領域を格子状の領域に分割する。ここでは、上述の略一定間隔L(例えば10cm)に配置された格子点を囲む複数の領域に分割する。尚、領域分割部111による分割方法はこれに限定されない。例えば、上述の分割後の領域よりも大きな領域へと分割することで、経路探索に要する時間をより短縮することができる。また、グリッドマップが格子状に並んだノードと、各ノードを接続するリンクを備える場合には、分割された領域は、グリッドマップ上に配置されたノードに対応するものとして扱ってもよい(この場合には、近傍領域はリンクによって規定される)。即ち、各領域は各ノードを示し、各ノードに対する評価値を算出し、それらノードに付与された評価値に基づいて、経路を選択するようにしてもよい。
【0037】
領域分割部111により分割された領域間の接続関係が定められ、注目する領域に接続する領域を近傍領域とする。例えば、注目する領域Cに対して、領域Cに直接隣接する領域C乃至Cを近傍領域として定める。注目する領域Cに対して、隣接領域C乃至Cに加えて、領域Cに直接隣接しておらず、領域Cから複数の領域を越えて存在する領域C乃至C16をさらに近傍領域に含めてもよい。このように、自領域に対して隣接した領域を越えた領域を近傍領域として設定可能とすることで、自領域及びそれら近傍領域間を通過する経路を作成することができる。このようにすれば、移動始点から移動終点へと至る経路の角度分解能を柔軟に設定することができ、より滑らかな経路を作成することができる。
【0038】
評価値算出部112は、領域分割部111により分割された領域に対し、予め順序が決められた複数の符号からなる符号セットを用いて、それぞれの領域の評価値を算出する。より詳細には、近傍領域の評価値のうちで符号セットの順方向に最初に位置する評価値と、当該近傍領域から自領域までの幾何学的な距離に応じた移動に要するコストとに基づいて、自領域の評価値を算出する。評価値算出処理においては、複数の領域のそれぞれに対して、後述する符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いる
【0039】
図2は、予め順序が決められた複数の符号からなる符号セットの一例を示す図である。図2においては、6つの符号a、b、c、d、e、fを用いた場合を示している。6つの符号に対して予め順序が決められ、例えば、a→b→c→d→e→f→a→b→・・・という順序が決められている。ここで、符号の順序には連続性及び周期性が備わっている。即ち、aの次はb(a→b)、bの次はc(b→c)、cの次はd(c→d)というように連続した符号から構成されること、及び、aからfまで進んだ後は、その次は再びaから開始してfへと進みこれを繰り返すという周期を有していることを示す。以下では、例えばaから始める場合に、a→b→c→…へと符号を順序規則に従って進む方向を順方向(図において矢印F)、順方向とは反対方向であるa→f→e→…を逆方向(図において矢印B)とする。また、ここでは、6つの符号を1周期単位として扱う。例えば、aから始めて、a→b→c→d→e→fまで進んだ場合を1周期進んだものとし、a→b→cまで進んだ場合には、半周期進んだものとする。尚、符号はアルファベットに限定されず、例えば数字を用いてもよい。例えば1→2→3→−3→−2→−1→1→2→・・・からなる符号セットを用いることで、評価値算出処理をより簡便に実行することができる。また、本実施の形態においては、1つの符号を、次の符号へと移動する際に要するコストの最小単位コストとして、評価を行うものとする。
【0040】
図2(a)では、予め順序が決められた複数の符号を、直線上に配列した方法により表現するものである。図2(a)で示す表現を、予め順序が決められた6つの符号a、b、c、d、e、fからなる符号の符号セットと呼ぶ。図2(b)及び(c)では、予め順序が決められた複数の符号を、円周上に配列した方法により表現するものである。図2(b)及び(c)で示す表現を、予め順序が決められた6つの符号a、b、c、d、e、fからなる符号の符号テーブルと呼ぶ。図2(d)では、予め順序が決められた複数の符号を、三角波として表現するものである。尚、符号セットの表現は図に示した例に限定されず、数式により表現してもよい。
【0041】
図2(d)に示すように、従来手法では経路長の増大に伴って単調増加してゆく経路コスト評価値Vを、本実施の形態1にかかる経路探索システム1によれば、一定の範囲内において振動を繰り返す三角波Vとして表現する。このように、経路探索システム1によれば、従来手法では異なる値によって表現していた複数の評価値を同じ符号を繰り返し用いて表現する。これにより、記憶容量はこれらの符号を保持するために必要な容量で済む。従って、経路長が大きくなる場合であっても、少ない記憶容量によって経路探索を行うことができる。
【0042】
尚、符号セットに含まれる符号の個数は6つに限定されず、少なくとも3つの符号を用いることが好ましい。これにより、自領域の符号とは異なる符号が少なくとも2つ存在するため、連続した符号において順序を決定することができる。このため、後述する経路決定処理において、自領域の評価値に基づいて次にどの評価値を有する近傍領域を選択すればよいのかを適切に判断することができる。即ち、移動終点へと向かって、評価値が小さくなってゆくように領域を順次選択してゆくことができる。また、符号の個数は環境に応じて変更してもよい。例えば、符号の個数を大きくすることで、より詳細なコストに基づいて評価値を表現することができる。このため、評価値が粗い場合には区別しにくかった複数の経路が存在する場合であっても、評価値をより精度良く算出することで容易に区別することができる。例えばロボットの移動方向前方に2本の候補経路がある場合には、左側の候補経路上の領域への移動に要するコストに比べて、右側の候補経路上の領域へのコストを若干少ないものとすることで、右側の経路を選択しやすくさせることができる。
【0043】
また、評価値算出処理を実行せずに所定の期間待ち状態とする領域が存在する場合には、当該待ち状態の長さに応じて符号の個数を定めてもよい。例えば、コストを1として、他の領域における評価値算出処理が4回実行されるまでは自領域の評価値を算出させない領域が存在する場合には、少なくとも4個以上の符号を用いることが好ましい。これにより、他の領域の符号と自領域の符号との差を1周期以内とすることができ、適切に経路探索を行うことができる。
【0044】
経路決定部113は、評価値算出部112によって算出された評価値に基づいて採用する経路を決定する。より詳細には、移動始点に対応する領域から移動終点に対応する領域に向けて、算出された評価値のうち、符号セットの順方向とは逆方向であって、符号セット数の半数分までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆく。選択された領域を通過する経路が、移動始点から移動終点へと至る最短経路となる。
【0045】
続いて、本実施の形態1にかかる経路探索システム1による評価値算出処理の具体的な処理について、図3に示すフローチャート、及び図4に示すグリッドマップを用いて説明する。ここで、図4に示すグリッドマップは、ロボットの目標軌道となる目標経路を、グリッド状に離散化された領域の集合として表現するものである。グリッド座標を利用するメリットは、最短経路探索を容易に実行できる点や、確実に目的地に到達できる経路を得ることができる点にある。グリッドマップに関する情報は、経路探索システム1を構成するコンピュータの経路探索記憶部12に格納される。ここで、グリッドマップに関する情報には、各領域の座標情報、各領域の近傍領域を示す領域間の接続情報、及び各領域に関連付けられた評価値情報が含まれる。
【0046】
まず、領域分割部111により、移動領域が複数の領域に分割される(S101)。ここでは、移動領域は、グリッド数と等しい数の領域に分割される。例えば、移動領域が2次元平面である場合には、それぞれ10cm×10cmの広さを持つ離散的な複数の領域が分割生成される。
【0047】
次に、全ての探索領域に対して初期値を代入する(S102)。各領域は、進入が禁止される禁止領域、評価値が未計算である未計算領域、及び評価値を計算済みである計算済み領域として扱う。それぞれの領域に対応する初期値を代入する。ここでは、後述する評価値算出処理によって用いる符号を、例えば符号a乃至xまでの24符号として初期値を採用する。評価値算出処理の開始段階であるS102においては、経路探索対象となる領域のうち、進入禁止領域以外の領域には、初期値として例えば符号yを代入する。進入禁止領域には、初期値として例えば符号zを代入する。尚、初期値としては、評価値算出処理に用いる符号以外の符号を採用して代入することができる。また、領域の状態をこのような初期値を設定することで判断してもよいし、各領域は自領域の状態を示す状態情報を備え、当該状態情報に基づいて各領域の評価値算出処理を実行させるか否かを判定させるようにしてもよい。
【0048】
次に、移動始点を指定して、その移動始点を含む領域に評価値の開始値(例えば符号a)を代入する(S103)。次いで、自領域の評価値及び近傍領域の評価値に基づいて、以下のようにして自領域の評価値を更新してゆく。まず、自領域の評価値である自己評価値が、初期値から更新されているか否かを判定する(S104)。
【0049】
ステップS104における判定の結果、自己評価値が初期値のままである場合(自領域の評価値が未計算である場合)には、近傍領域において、初期値ではない評価値が存在しているか否かを判定する(S105)。
【0050】
ステップS105における判定の結果、近傍領域に初期値以外の値が存在する場合(近傍領域の評価値が計算済みである場合)には、評価値算出部112は、近傍領域の評価値のうちで符号セットの順方向に最初に位置する評価値と、その評価値を持つ近傍領域から自領域までの幾何学的な距離に応じたコストとに基づいて自己の領域の評価値を算出し、その結果を自己の領域の評価値として更新する(S106)。
【0051】
例えば、図2(b)に示した評価値テーブルを用いることで、自領域の評価値を容易に算出することができる。自領域に隣接した4つの領域を近傍領域として想定し、それぞれの領域の評価値をa、b、c、dとして、自領域から近傍領域へのコストを1とする場合には、近傍領域の評価値のうちで符号セットの順方向Fにおいて最初に位置する評価値はaとなる。そして、評価値テーブル上で符号セットの順方向Fにおいて、aから1マス分(コスト1分)移動したbが自領域の評価値となる。
【0052】
一方、ステップS104又はS105における判定の結果、自己評価値が初期値から更新されている場合、又は近傍領域に初期値以外の値が存在しない場合には、現在の自己評価値を更新せずにそのまま維持する(S107)。
【0053】
全ての探索領域に初期値ではない評価値が存在しているか否かを判定する(S108)。ステップS108における判定の結果、評価値が存在していない場合には、全ての探索領域の評価値は未だに算出されていない未計算状態であるため、ステップS104へと戻り再び領域の評価値算出処理を実行する。一方、ステップS108における判定の結果、全ての探索領域に評価値が存在している場合には、評価値算出処理を終了して、経路決定処理へと進む。
【0054】
尚、ステップS108における評価値算出処理を終了させる条件としては、全ての領域に対応する評価値が変化しなくなった場合に処理を終了させるようにしてもよい。即ち、全ての領域において、評価値が同じ値のまま変化しなくなった場合に処理を終了させることができる。また、このような終了条件をステップS108における終了条件に加えて判定させるように構成することで、移動始点から移動終点までの経路が存在しない場合であっても評価値算出処理を終了させることができる。
【0055】
図6は、評価値算出処理を説明するための一例を示す図である。図6では、移動領域を横16個、縦13個の領域に分割し、各領域の近傍領域を各領域に隣接した前後左右4方向に隣接する領域とした。図において斜線領域は進入禁止領域を示し、外周上の領域は経路探索対象外である領域を示す。図に示す領域Sを移動始点とし、領域Sの初期値をaに設定した場合に、評価値算出結果を各領域に示す。尚、ここでは、近傍領域から自領域までのコストの値を1とした。また、図2において示した符号と同じ符号セットを用いる。即ち、6つの符号に対して予め順序が決められ、例えば、a→b→c→d→e→f→a→b→・・・という順序が決められている。分割された208個の領域のうち、51個の領域が進入禁止領域であり、157個の領域が経路探索対象領域である。図に示すように、全ての探索領域の評価値を6つの符号を用いて表現することができる。
【0056】
続いて、本実施の形態1にかかる経路探索システム1による経路決定処理の具体的な処理について、図5に示すフローチャート、及び図6に示すグリッドマップを用いて説明する。ここで、図6に示すグリッドマップ上の各領域には、上述の評価値算出処理において算出した評価値が代入されているものとする。
【0057】
まず、経路決定部113は、分割された各領域の評価値に基づいて、移動終点を含む領域を指定する(S201)。次に、移動終点を含む領域から開始して、その近傍領域の評価値のうち、符号セットの順方向とは逆方向であって、符号セット数の半数分までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を経路として選択する(S202)。
【0058】
例えば、図2(c)に示した評価値テーブルを用いることで、次に選択すべき領域を容易に探索することができる。自領域に隣接した4つの領域を近傍領域として想定し、それぞれの領域の評価値をa、b、c、dとする。自領域の評価値がdである場合には、それら近傍領域の評価値のうちで、符号セットの順方向とは逆方向Bにおいて、符号dから符号セット数の半数分までの間(即ち符号aまでの間)で最も離れた評価値はaとなる。従って、評価値aを有する近傍領域を経路として選択する(S202)。
【0059】
次に、ステップS202において選択した領域が、移動始点を含む領域であるか否かを判定する(S203)。ステップS203における判定の結果、選択された領域が移動始点を含む領域に到達していない場合には、ステップS202へと戻り、次の経路として選択した領域の近傍領域を選択する。一方、ステップS203における判定の結果、選択された領域が移動始点を含む領域に到達した場合には、ステップS202において選択された領域の系列を経路として出力し、経路決定処理を終了する。このように、任意の移動終点に対応する領域から移動始点に対応する領域に向けて、領域の評価値のうち自領域の評価と最も離れた評価値を有する近傍領域を順次選択してゆくことで、選択された領域を通過する経路を最短経路として決定することができる。尚、選択された領域を通過する経路は、移動終点から移動始点へと至る経路であるが、移動始点から移動終点へと至る経路と等価なものである。
【0060】
図6は、経路決定処理を説明するための一例を示す図である。図6では、図4に示した評価値算出後の領域について、図に示す領域Gを移動終点とし、移動終点Gから移動始点Sまでの経路決定処理の結果を示している。移動終点Gから移動始点Sへと向かって選択された領域の系列について、それら領域を通過する白抜き矢印が移動終点Gから移動始点Sまでの最短経路を示している(同時に、移動始点Sから移動終点Gまでの最短経路を意味する)。
【0061】
以上に説明したように、本実施の形態1にかかる経路探索システム1は、予め順序が決められた複数の符号からなる符号セットを用いて評価値を算出することで、従来手法では異なる値によって表現していた複数の評価値を同じ符号を用いて表現することができる。これにより、評価値を少数の符号のみを用いて繰り返して表現することで、評価値を保持する記憶容量はこれらの符号を保持するために必要な容量で済む。従って、経路長が大きくなる場合であっても、少ない記憶容量によって経路探索を行うことができる。さらには、経路探索に要する記憶容量を削減可能であることから、経路探索に要する処理時間をも短縮することができる。
【0062】
図7は、本実施の形態1にかかる経路探索システム1による記憶容量の削減効果を説明するためのグラフを示す図である。図では、二次元平面をロボットの移動領域とし、横軸に一辺のグリッド数「grid」、縦軸にメモリ使用量「MB(MegaByte)」を示す。従来手法及び経路探索システム1(発明手法)によるメモリ使用量の概算は、以下の式に基づいて算出される。ここで、探索空間面積=グリッド数^2とする。
従来手法:log(探索空間面積/2)×探索空間面積
発明手法:8×探索空間面積
従来手法では、探索空間が広がるにつれて経路のコスト評価値が増加するため、評価値を保持するために必要なメモリサイズも急激に増加する。一方、発明手法によれば、探索空間が広がった場合でも、経路のコスト評価値を表現するための符号数が制限されているため、評価値を保持するために必要なメモリサイズは増加しない。このため、従来手法と比較して、探索空間の広がりに対して、発明手法はメモリ使用量の増加幅が少ない。このように、少ないメモリ使用量により経路探索が可能となるため、ロボットへ容易に実装することができる。
【0063】
その他の実施の形態.
上述の実施の形態においては、近傍領域の評価値と、当該近傍領域から自領域までのコストとに基づいて、自領域の評価値を算出することとしたが本発明はこれに限定されない。例えば、評価値算出部が、ダイクストラ法に基づいて領域の評価値を算出するようにしてもよい。ダイクストラ法とは、ノード間を結ぶエッジに対して重みをつけ、その重みに基づく演算により、最小となる経路を探索する手法である。ダイクストラ法を用いる場合には、領域をノードとし、領域間の移動に要するコストを重みとして扱う。これにより、経路探索手法としてダイクストラ法を用いることで、少ない時間で簡便に最適経路を探索することができる。
【0064】
また、ダイクストラ法に限定されず、評価値算出部が、A*(エースター)法に基づいて領域の評価値を算出するようにしてもよい。A*アルゴリズムは、ノード及びノード間のパスを設定し、さらに各パスのコスト(ダイクストラ法における重みに相当する)を設定する。そして、スタートノードからゴールノードに到るまでの最短パスを探索するものである。これにより、経路探索手法としてA*(エースター)法を用いることで、少ない時間で簡便に最適経路を探索することができる。
【0065】
尚、上述の実施の形態においては、評価値算出処理に用いる評価値については、例えば図2(b)で示した評価値テーブルとして経路探索記憶部12に格納し、経路探索処理の実行に際して参照するようにしてもよいし、経路探索プログラムの一部としてもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態では、指定された移動始点から評価値算出処理を開始して、経路決定処理においては任意の移動終点から経路を決定するものとして説明したが本発明はこれに限定されない。即ち、指定された移動終点から評価値算出処理を開始して、経路決定処理においては任意の移動始点から経路を決定するものとしてもよい。
【0067】
また、上述した実施の形態では、移動領域が2次元である場合の例を説明したが、移動領域が例えばx、y、z軸によって規定される3次元空間の場合でもよく、さらに、ロボットの姿勢(1次元)を併せて4次元の探索空間とした場合であっても本発明を適用することができる。
【0068】
発明の実施の形態1は、移動手段として車輪などを有するロボットに本発明を適用した一例を示したが、これに限定されず、ロボットは足を有し、自律歩行可能な移動ロボットであってもよい。
【0069】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態にかかる経路探索システムの構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる評価値を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる経路探索システムによる評価値算出処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態にかかる経路探索システムによる評価値算出処理結果の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる経路探索システムによる経路決定処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態にかかる経路探索システムによる経路決定処理結果の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる経路探索システムによる記憶容量削減効果を説明するためのグラフを示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 経路探索システム、
11 経路探索処理部、12 経路探索記憶部、
111 領域分割部、112 評価値算出部、113 経路決定部、
G 移動終点、S 移動始点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、前記移動領域内に存在する移動終点に到達する経路を探索する経路探索システムであって、
前記移動領域を複数の領域に分割する領域分割部と、
予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、前記領域分割部により分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部により算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定部とを備え、
前記評価値算出部は、
前記複数の領域のそれぞれに対して、前記符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いる
ことを特徴とする経路探索システム。
【請求項2】
前記評価値算出部が、
近傍に存在する領域の評価値と、当該近傍領域から自領域までのコストとに基づいて、自領域の評価値を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の経路探索システム。
【請求項3】
前記評価値算出部が、
前記近傍領域の評価値のうちで前記符号セットの順方向に最初の評価値と、当該近傍領域から自領域までの幾何学的な距離に応じたコストとに基づいて、自領域の評価値を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の経路探索システム。
【請求項4】
前記評価値算出部が、
ダイクストラ法に基づいて前記領域の評価値を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の経路探索システム。
【請求項5】
前記経路決定部は、
前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向へ最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆく
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の経路探索システム。
【請求項6】
前記経路決定部は、
前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、所定の符号までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆく
ことを特徴とする請求項5記載の経路探索システム。
【請求項7】
前記経路決定部は、
前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、前記符号セット数の半数分までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆく
ことを特徴とする請求項6記載の経路探索システム。
【請求項8】
前記符号セットが予め順序が決められた3つの符号からなる
ことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の経路探索システム。
【請求項9】
移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、前記移動領域内に存在する移動終点に到達する経路を探索する経路探索方法であって、
前記移動領域を複数の領域に分割する領域分割ステップと、
予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、前記領域分割ステップにより分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出ステップと、
前記評価値算出ステップにより算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定ステップとを備え、
前記評価値算出ステップは、
前記複数の領域のそれぞれに対して、前記符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いる
ことを特徴とする経路探索方法。
【請求項10】
前記評価値算出ステップが、
近傍に存在する領域の評価値と、当該近傍領域から自領域までのコストとに基づいて、自領域の評価値を算出する
ことを特徴とする請求項9記載の経路探索方法。
【請求項11】
前記評価値算出ステップが、
前記近傍領域の評価値のうちで前記符号セットの順方向に最初の評価値と、当該近傍領域から自領域までの幾何学的な距離に応じたコストとに基づいて、自領域の評価値を算出する
ことを特徴とする請求項10記載の経路探索方法。
【請求項12】
前記評価値算出ステップが、
ダイクストラ法に基づいて前記領域の評価値を算出する
ことを特徴とする請求項9記載の経路探索方法。
【請求項13】
前記経路決定ステップは、
前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向へ最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆく
ことを特徴とする請求項9乃至12いずれか1項記載の経路探索方法。
【請求項14】
前記経路決定ステップは、
前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、所定の符号までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆく
ことを特徴とする請求項13記載の経路探索方法。
【請求項15】
前記経路決定ステップは、
前記移動始点に対応する領域から前記移動終点に対応する領域に向けて、算出された前記評価値のうち、前記符号セットの順方向とは逆方向であって、前記符号セット数の半数分までの間で最も離れた評価値を有する近傍領域を選択してゆく
ことを特徴とする請求項14記載の経路探索方法。
【請求項16】
前記符号セットが予め順序が決められた3つの符号からなる
ことを特徴とする請求項9乃至15いずれか1項記載の経路探索方法。
【請求項17】
移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、前記移動領域内に存在する移動終点に到達する経路を探索する経路探索プログラムであって、
コンピュータに対して、
前記移動領域を複数の領域に分割する領域分割ステップと、
予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、前記領域分割ステップにより分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出ステップと、
前記評価値算出ステップにより算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定ステップとを実行させ、
前記評価値算出ステップは、
前記複数の領域のそれぞれに対して、前記符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いる
ことを特徴とする経路探索プログラム。
【請求項18】
移動領域内に存在する移動始点より移動を開始し、前記移動領域内に存在する移動終点に到達する移動経路を探索する自律移動体であって、
前記移動領域を複数の領域に分割する領域分割部と、
予め順序が決められた、評価値を表現する複数の符号からなる符号セットを用いて、前記領域分割部により分割された複数の領域のそれぞれの評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出ステップにより算出された評価値に基づいて経路を決定する経路決定部とを備え、
前記評価値算出部は、
前記複数の領域のそれぞれに対して、前記符号セットに含まれる各符号を、予め決められた規則に従って割り当てると共に、当該符号セットを繰り返して用いる
ことを特徴とする自律移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−31054(P2009−31054A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193542(P2007−193542)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】