説明

経路探索装置、経路探索方法および経路探索プログラム

【課題】無駄な経路を設定することなく、視聴している番組の終了時刻を考慮した経路設定を行うことのできる経路探索装置、経路探索方法および経路探索プログラムを提供する。
【解決手段】出発地と目的地とを結ぶ経路を探索する手段(11)と、放送電波の時間帯ごとの電界強度分布データを取得する手段(10)と、指定された番組を番組の開始時刻から終了時刻まで探索する手段(11)の探索した経路で視聴できるかどうか、時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断する手段(12)とを有し、探索する手段(11)は、判断する手段(12)が指定された番組を視聴できないと判断した場合には、新たな経路を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置、経路探索方法および経路探索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
視聴している番組の終了時刻を考慮した経路設定や、視聴困難地域を回避するように考慮し、ラジオやテレビ放送を視聴し続けられる経路を設定する技術が、特許文献1および特許文献2に記載されている。特許文献1に記載の技術では、ナビゲーション装置において、放送電波の電界強度データベースを用い、受信に適した経路を探索することができる。特許文献2に記載の技術では、現在の電界強度に合わせて、データベースに登録してある電界強度値にオフセットをかけ、視聴可能レベルに到達する地点で、チューナーの受信周波数を切り換えることができる。
【0003】
特許文献1、2で用いられるような電界強度分布を得るための技術としては、特許文献3に記載のものがある。特許文献3に記載の技術では、電界強度と位置情報と地図情報とから、測定対象地域内の電界強度分布を得ることができる。
【0004】
また、特許文献4には、天候に応じて地点間の所要時間に相当するデータ(リンクコスト)の値を変化させ、悪天候であっても的確な経路を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−180577号公報
【特許文献2】特開2002−141819号公報
【特許文献3】特開平7−253446号公報
【特許文献4】特開2002−206936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の技術では、放送電波の電界強度のみを記録して利用している。一方、放送電波の電界強度は、時刻や天候に左右されてしまう。このため、機器で測定した電界強度値をもとに放送の視聴可否を判断して経路を設定しても、実際に該当箇所を通過する際には、放送を視聴できない可能性がある。
【0007】
また、昼間と夜間とでは、電離層の影響で、特にラジオ放送電波の届く範囲が変化する。このため、電界強度データを測定した時間と、実際の放送視聴時間とが異なる場合には、視聴可能な範囲が異なるまま経路を設定してしまうことになる。この場合、無駄な経路をたどってしまい、目的地への到着時間が遅くなってしまう可能性がある。また、電界強度データ上は視聴できる場所であるはずなのに、実際は視聴できない可能性も生じてしまう。
【0008】
本発明は、このような課題を解決し、無駄な経路を設定することなく、視聴している番組の終了時刻を考慮した経路設定を行うことのできる経路探索装置、経路探索方法および経路探索プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点によると、出発地と目的地とを結ぶ経路を探索する手段と、放送電波の時間帯ごとの電界強度分布データを取得する手段と、指定された番組をその開始時刻から終了時刻まで探索する手段の探索した経路で視聴できるかどうか、時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断する手段とを有し、探索する手段は、判断する手段が指定された番組を視聴できないと判断した場合には、新たな経路を探索することを特徴とする経路探索装置が提供される。
【0010】
本発明の第2の観点によると、放送電波の時間帯ごとの電界強度分布データを取得し、出発地と目的地とを結ぶ経路を探索し、指定された番組を番組の開始時刻から終了時刻までその経路で視聴できるかどうか、時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断し、指定された番組を視聴できないと判断した場合には、新たな経路を探索することを特徴とする経路探索方法が提供される。
【0011】
本発明の第3の観点によると、コンピュータにインストールすることにより、そのコンピュータに、放送電波の時間帯ごとの電界強度分布データを取得し、出発地と目的地とを結ぶ経路を探索し、指定された番組を番組の開始時刻から終了時刻までその経路で視聴できるかどうか、時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断し、指定された番組を視聴できないと判断した場合には、新たな経路を探索する動作を実行させることを特徴とする経路探索プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、指定された番組をその番組の開始時刻から終了時刻まで視聴できるかどうか、時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断し、視聴できないと判断した場合には、新たな経路を探索することができる。これにより、無駄な経路を設定することなく、視聴している番組の終了時刻を考慮した経路設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る経路探索装置のブロック構成図である。
【図2】時間による電界強度分布の変化例を説明する図である。
【図3】図1に示す経路探索装置内の処理部による経路設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3に示すフローチャート中の視聴開始位置地点の設定処理の詳細例を示すフローチャートである。
【図5】図3に示すフローチャート中の視聴時間帯と電界強度分布データを考慮した経路の探索処理の詳細例を示すフローチャートである。
【図6】図3に示すフローチャート中の視聴可能エリア内での電波の遮蔽物を考慮した経路の探索処理の詳細例を示すフローチャートである。
【図7】時間帯を考慮した電界強度分布図の一例を示す図である。
【図8】図7に示す電界強度分布図上での出発地および目的地の設定および仮経路の探索例を説明する図である。
【図9】図7に示す電界強度分布図上での視聴開始点の設定例を説明する図である。
【図10】図7に示す電界強度分布図上での目的地と基点との経路の設定例を説明する図である。
【図11】図7に示す電界強度分布図上での基点間の経路の設定例を説明する図である。
【図12】図7に示す電界強度分布図上での基点と視聴開始点と間の経路の設定例を説明する図である。
【図13】電界強度分布の測定データの一例を説明する図である。
【図14】図3のフローチート中でステップS5として示す視聴開始位置地点の設定処理の図4とは別の例を示すフローチャートである。
【図15】図3のフローチャート中でステップS6として示す視聴時間帯と電界強度分布データを考慮した経路の探索処理の図5とは別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
[経路探索装置の構成例]
図1は、本発明の実施の形態に係る経路探索装置1のブロック構成図である。この経路探索装置1は、受信部2、通信部3、処理部4、記憶装置5、入力部6および経路案内部7を有する。受信部2は、電界強度測定部8およびGPS(Global Positioning System)受信部9を有する。処理部4は、電界強度分布図作成部10、経路探索処理部11および視聴可否判断部12を有する。記憶装置5には、地図データベースが蓄えられる。通信部3は、インターネット13を介して、配信サーバ14に接続される。
【0016】
受信部2内の電界強度測定部8は、放送電波の電界強度を測定する。受信部2内のGPS受信部9は、GPS情報を受信して位置情報を取得する。通信部3は、インターネット13に接続し、インターネット13上の配信サーバ14から環境を特定するデータを取得する。処理部4は、取得したデータの処理や、各装置、センサー等の制御を行う。記憶装置5は、ROMおよびRAMを有し、地図データベースや処理部4での処理に必要な各種データを保持する。地図データベースは、インターネット上に配置されていてもよい。入力部6は、タッチパネル、ボタンなどを有し、ユーザからの情報を受け取る。経路案内部7は、処理部4内の経路探索処理部11により得られた経路にしたがって、経路案内(ナビゲーション)を行う。配信サーバ14は、気象データや環境データなどを配信する。
【0017】
受信部2内の電界強度測定部8と、処理部4内の電界強度分布図作成部10とは、放送電波の時間帯ごとの電界強度分布データを取得する手段として動作する。すなわち、電界強度測定部8の測定した放送電波の電界強度に対して、電界強度分布図作成部10は、測定値、位置情報、日時、天候情報を取得し、取得したデータを位置情報における日時ごとに整理し、それらのデータの分布から、日時を考慮した電界強度分布図を作成する。この電界強度分布図は、記憶装置5内に、地図データベースに関連付けて蓄積される。また、データ測定時に雷や雪、曇天など、放送電波に影響を及ぼす特殊な天候環境にあった場合は、それらの天候情報も記録しておく。
【0018】
電界強度分布データは、経路探索装置1が単独で構築してもよいが、通信部3からインターネット13に接続し、専用の配信サーバ14にユーザがプローブ情報として蓄積して構築することもできる。このようにすると、単独の経路探索装置1では蓄積できないほどの電界強度分布データを、複数のユーザからのプローブ情報により蓄積することができ、より精度の高いデータを得ることができる。
【0019】
処理部4内の経路探索処理部11は、出発地と目的地とを結ぶ経路を探索する手段として動作する。すなわち、入力部6により出発地と目的地とが設定されると、記憶装置5内の地図データベースを参照して、その出発地と目的地との間の経路を探索する。
【0020】
処理部4内の視聴可否判断部12は、指定された番組をその番組の開始時刻から終了時刻まで探索された経路で視聴できるかどうか、時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断する手段を構成する。番組の開始時刻および終了時刻は、入力部6からユーザが入力するか、あるいは、通信部3からインターネット13に接続して取得することもできる。現在視聴中の番組であれば、終了時刻だけを取得すればよく、インターネット13経由で自動的に取得することもできる。視聴可否判断部12が、指定された番組を視聴できないと判断した場合には、経路探索処理部11は、新たな経路を探索する。
【0021】
[電界強度分布の変化]
図2は、時間による電界強度分布図の変化例を説明する図である。電界強度分布は、1日のうちでも時間により変化し、季節や天気によっても変化する。図2の例では、16時と18時のそれぞれの時間における電界レベルが5、4、3、2の各領域を示す。電界強度分布が時間により変化するため、ある番組について、ある時間帯には視聴不可能でも、別な時間帯には視聴可能となる場合がある。これらの電界強度分布の変化は、日時を考慮した電界強度分布図として、記憶装置5内、あるいは配信サーバ14に蓄積される。
【0022】
[動作フロー]
図3は、図1に示す経路探索装置1内の処理部4による経路設定の処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、処理部4内の経路探索処理部11および視聴可否判断部12により行われる。
【0023】
入力部6から出発地(または現在地)、目的地が入力されると(ステップS1)、経路探索処理部11は、その間を接続する仮経路を探索する(ステップS2)。ここで、ユーザが何かの番組の視聴を希望している場合には、放送優先経路設定モードを設定するものとする。ここで、このモード名の「放送」とは、ラジオ番組、テレビ番組の音声、あるいは運転席以外でのテレビ番組を含むものとする。放送優先経路設定モードに設定されている場合(ステップS3でYES)に、経路探索処理部11は、入力部6から、あるいはインターネット13経由で、視聴しようとする番組の視聴開始時刻および終了時刻を取得する(ステップS4)。現在視聴中の番組であれば、視聴開始時刻について取得しなくてもよい。
【0024】
この後、経路探索処理部11は、視聴開始点の設定を行う(ステップS5)。現在地あるいは出発地がその時間帯での視聴可能エリア内であれば、それが視聴開始点となり、そこから経路を探索すればよい。しかし、現在地あるいは出発地が、その時間帯には視聴可能エリア外である場合もある。このような場合、視聴可能エリアまでの経路、および視聴可能エリア内の地点を視聴開始点とする経路の探索が必要となる。この詳細については後述する。
【0025】
この後、経路探索処理部11は、視聴可否判断部12の判断に基づいて、視聴時間帯と電界強度分布データとを考慮した経路の探索を行い(ステップS6)、視聴可能エリア内での電波の遮蔽物を考慮した経路の探索を行う(ステップS7)。
【0026】
この後、経路探索処理部11は、ステップS7により探索された経路、あるいはステップS3でNOの場合にはステップS2で探索した仮経路で、出発地から目的地までの経路を確定する(ステップS8)。
【0027】
図4は、図3のフローチート中でステップS5として示す視聴開始位置地点の設定処理の詳細例を示すフローチャートである。
【0028】
視聴可否判断部12は、経路探索処理部11が図3のステップS2において探索した仮経路、すなわち電界強度分布データを考慮することなく探索された出発地と目的地とを結ぶ経路上で、視聴開始時刻の地点が視聴可能エリア内かどうかを判断する(ステップS11)。視聴可能エリア内であれば(ステップS11でYES)、経路探索処理部11は、その地点を視聴開始地点と確定する(ステップS12)。視聴可能エリア外であれば(ステップS11でNO)経路探索処理部11は、視聴可能エリアと仮経路との交点を探索し(ステップS13)、その交点を視聴開始地点に設定する(ステップS14)。
【0029】
図5は、図3に示すフローチャート中でステップS6として示す視聴時間帯と電界強度分布データを考慮した経路の探索処理の詳細例を示すフローチャートである。
【0030】
視聴可否判断部12は、図3のステップS4で取得した視聴終了時刻をもとに、電界強度分布図から、視聴終了時刻の時点で視聴が可能な最大のエリアを特定する(ステップS21)。そして、視聴可否判断部12は、視聴可能エリア内の仮経路上で、最も目的地側の視聴可能な地点を基点Aとして取得する(ステップS22)。目的地がその視聴可能エリアの範囲内であれば、目的地が基点Aとなる。目的地が視聴可能エリアの範囲外であれば、基点Aは、その視聴可能エリアの外側境界と、仮経路との交点となる。ステップS22において、基点Aと目的地との経路が、仮経路の通りに確定する。
【0031】
ステップS21で特定した視聴可能エリアが視聴開始時のエリアでないかぎり(ステップS23でNO)、視聴可否判定部12は、一定時間前の時点、たとえば2時間前の時刻をもとに、電界強度分布図からその時点で視聴が可能な最大のエリアを特定する(ステップS24)。そして、視聴可否判断部12は、特定された視聴可能エリア内の仮経路上で、最も目的地側の地点を基点Bとする(ステップS24)。経路探索処理部11は、基点Aに到着すると予想される時刻に基点Aが視聴可能エリアの範囲内であるように、基点Aと基点Bとの間の経路を探索する(ステップS26)。この後、基点Bを新たに基点Aとし、ステップS23からステップ27を繰り返す。
【0032】
ステップS21で特定した視聴可能エリアが視聴開始時点のエリアである場合(ステップS23でYES)には、それ以上前の時点のエリアを特定する必要はなく、経路探索処理部11は、そのエリア内の仮経路上で最も目的地に近い視聴可能な地点(基点A)と、視聴開始点との間の経路を探索する(ステップS28)。これにより、視聴開始点と目的地との経路が得られる。
【0033】
ステップS24における次のエリアを特定する時間の刻みは、ユーザが設定してもよいし、電界強度が十分なレベルにあるので刻む時間の間隔を大きくとるなど、電界強度状況から自動的に間隔を判断させることもできる。
【0034】
図6は、図3に示すフローチャート中でステップS7とし示す視聴可能エリア内での電波の遮蔽物を考慮した経路の探索処理の詳細例を示すフローチャートである。
【0035】
経路探索処理部11は、図5に示す処理によって、一定時刻ごとに分割された経路を探索する(ステップS31)。このとき、視聴可否判断部12は、経路上に視聴不可能箇所があるかどうかを判断する(ステップS32)。視聴不可能箇所がなければ(ステップS32でNO)、この処理を終了する。視聴不可能箇所があれば(ステップS32でYES)、経路探索処理部11は、視聴不可が解消すまで(ステップS34でYESとなるまで)、迂回路を探索する(ステップS33)。この処理を、視聴開始点に達するまで繰り返す。
【0036】
以上の処理において、電界強度測定が詳細でなく、細かなエリア判断が不可能である場合には、電界強度分布の視聴可能エリアが最大に達する時刻を境に、視聴可能エリアの拡大率、縮小率を算出し、細かい視聴可能エリアとして経路探索に反映しても良い。また、通過時に、雷や雪、曇天など、放送電波に影響を及ぼす特殊な天候環境にあった場合は、天候条件に該当するデータを適用する。
【0037】
[経路設定例]
図7は、時間帯を考慮した電界強度分布図の一例を示す図である。この例では、24時間視聴可能なエリア100に対して、16時から翌朝7時までの間のみ視聴可能なエリア101はより広く、また、18時から翌朝5時までの間のみ視聴可能なエリア102はさらに広くなっている。エリア102の外側は視聴不可能である。
【0038】
図8から図12は、図7に示す電界強度分布図を用いる経路設定例を説明する図である。図8は、電界強度分布図上での目的地の設定および仮経路の探索例を示す。図9は、視聴開始点の設定例を示す。図10は、目的地と基点との経路の設定例を示す。図11は、基点間の仮経路の設定例を示す。図12は、基点と視聴開始点と間の経路の設定例を示す。ここで、視聴する番組の開始時刻が15時30分、終了時刻が18時00分であるとする。また、説明のため、極端な例として、出発地Sおよび目的地Gがいずれも視聴不可能であるとする。
【0039】
出発地Sと目的地Gが設定されると(図3のステップS1)、図1に示す経路探索処理部11は、これらの間の仮経路110を設定する(図8参照)(図3のステップS2)。視聴可否判断部12は、15時30分における仮経路上の予想位置と、電界強度分布データから、視聴開始時刻における視聴可否を判断する(図4のステップS11)。視聴が可能である場合には、視聴可否判断部12は、その地点を視聴開始点S’とする(ステップS12)。視聴開始時刻における視聴が困難である場合、視聴可否判断部12は、視聴開始が可能になる地点を特定し(ステップS13)、それを視聴開始点S’とする(図9参照)(ステップS14)。このとき、出発地Sと視聴開始点S’との間の経路111が確定する。なお、視聴開始時刻における視聴が困難であることを、音声、文字または記号、あるいはそれらを組み合わせて、ユーザに通知することもできる。
【0040】
次に、視聴可否判断部12は、電界強度分布データから、番組視聴終了時刻の18時において番組の視聴が可能な最大のエリア101を特定する(図5のステップS21)。そして、視聴可否判断部12は、エリア101内の仮経路110上で最も目的地G側の視聴可能な地点として、仮経路110とエリア101の境界線が交差する箇所を探索し、それを基点Aとする(図10参照)(ステップS22)。このとき、基点Aと目的地Gとの間の経路112が確定する。
【0041】
続いて、視聴可否判断部12は、エリア101が視聴開始時のエリア(この場合、エリア100)ではないので(ステップS23でNO)、電界強度分布データから、16時以前に番組の視聴が可能なエリア100を特定する(ステップS24)。そして、視聴可否判断部12は、エリア100内の仮経路110上で最も目的地G側の視聴可能な地点として、仮経路110とエリア100の境界線が交差する箇所を探索し、それを基点Bとする(図11参照)(ステップS25)。経路探索処理部11は、基点Aに到着すると予想される時刻が18時またはそれ以降となるように、基点Bと基点Aとを結ぶ経路を探索する(ステップS26)。経路中に、建物などの影響により視聴が困難な箇所がある場合は、その箇所を迂回する経路を再探索する(図3のステップS7)。これにより、基点Bから基点Aの経路が確定する。
【0042】
続いて、視聴可否判断部12は、基点Bを新たに基点Aとする(図12参照)(ステップS27)。ここで、エリア100は視聴開始時点のエリア、すなわち視聴開始点S’を包含する最小のエリアであるので(ステップS23でYES)、それ以上前の時点のエリアを特定する必要はなく、経路探索処理部11は、新たな基点Aと視聴開始点S’との経路114を探索する(ステップS28)。これにより、視聴開始点S’と目的地Gとの経路が確定する。
【0043】
[電界強度分布の測定データ]
図13は、電界強度分布の測定データの一例を説明する図である。測定データは、地点ごとに、放送局、季節、時間帯、天気のそれぞれにおける電界強度の値として蓄積される。
【0044】
[効果]
以上説明した実施の形態によれば、時間によって変化する電離層の影響を考慮し、より実際の視聴可能エリアに近い電界強度分布にて、ナビゲーション経路を探索することが可能である。これにより、従来は視聴が困難とされたエリアとであっても、時間帯によっては視聴が可能である場合に、ユーザの希望する視聴終了時間における視聴がより細かく経路検索に反映され、経路上で最も目的地に近い視聴終了ポイントを探すことができるため、視聴終了後の経路に無駄が少ない。また、従来は視聴可能とされたエリアであっても、時間帯によっては視聴が困難である場合には、実際の通過時に視聴が可能なエリア内で経路を探索するので、希望した視聴終了時刻まで視聴を続けることができる。
【0045】
[変形例]
以上の実施の形態では、現在地あるいは出発地と目的地と間で探索された仮経路に基づいて、時間帯ごとの視聴可能エリア内の経路を設定している。すなわち、各エリアの境界における経路設定の基点A、Bは、最初に探索された仮経路上の地点である。このような経路探索は、演算量が少なくてよい。しかし、経路設定によっては、各エリアの境界で、最初に探索された仮経路上の地点以外を基点とすることも可能である。そのような例を以下に説明する。
【0046】
図14は、図3のフローチート中でステップS5として示す視聴開始位置地点の設定処理の図4とは別の例を示すフローチャートである。
【0047】
視聴可否判断部12は、経路探索処理部11が図3のステップS3において探索した仮経路上で、視聴開始時刻の地点が視聴可能エリア内かどうかを判断する(ステップS41)。視聴可能エリア内であれば(ステップS41でYES)、経路探索処理部11は、その地点を視聴開始地点と確定する(ステップS42)。視聴可能エリア外であれば(ステップS41でNO)、経路探索処理部11は、視聴可能エリア内に最短時間で到達できる経路を探索し(ステップS43)、その経路と視聴可能エリアとの交点を視聴開始地点に設定する(ステップS44)。これにより、最初に探索された目的地への仮経路に影響されず、できるだけ速やかに、視聴可能な地点に達することができる。
【0048】
図15は、図3に示すフローチャート中でステップS6として示す視聴時間帯と電界強度分布データを考慮した経路の探索処理の図5とは別の例を示すフローチャートである。
【0049】
視聴可否判断部12は、図3のステップS4で取得した視聴終了時刻をもとに、電界強度分布図から、視聴終了時刻の時点で視聴が可能な最大のエリアを特定する(ステップS51)。そして、視聴可否判断部12は、目的地と視聴可能エリアとの最短経路を探索し、視聴可能エリア内の経路上で最も目的地側の視聴可能な地点を基点A’とする(ステップS52)。ここで「最短経路」とは、距離が最短の経路と、時間が最短の経路とを含む。実際にいずれの経路を探索するかは、ユーザの設定に従う。目的地がその視聴可能エリアの範囲内であれば、目的地が基点A’となる。
【0050】
ステップS51で特定した視聴可能エリアが視聴開始時のエリアでないかぎり(ステップS53でNO)、視聴可否判定部12は、一定時間前の時点、たとえば2時間前の時刻をもとに、電界強度分布図からその時点で視聴が可能な最大のエリアを特定する(ステップS54)。そして、視聴可否判断部12は、特定された視聴可能エリア内で最も目的地側の地点を基点B’とする(ステップS55)。経路探索処理部11は、基点A’に到着すると予想される時刻に基点A’が視聴可能エリアの範囲内であるように、基点A’と基点B’との間の経路を探索する(ステップS56)。この後、基点B’を新たに基点A’とし(ステップS57)、ステップS53からステップ57を繰り返す。
【0051】
ステップS51で特定した視聴可能エリアが視聴開始時点のエリアである場合(ステップS53でYES)には、それ以上前の時点のエリアを特定する必要はなく、経路探索処理部11は、基点A’と視聴開始点との間の経路を探索する(ステップS58)。
【0052】
以上の説明において、処理部4をマイクロプロセッサにより実現し、電界強度分布図作成部10(取得する手段の一部)、経路探索処理部11(探索する手段)および視聴可否判断部12(判断する手段)をコンピュータプログラムとして実施することができる。また、個別の回路により実現することもできる。本願は、車載用機器でも実施でき、携帯用機器でも実施できる。
【符号の説明】
【0053】
1 経路探索装置
2 受信部
3 通信部(取得する手段の一部)
4 処理部
5 記憶装置
6 入力部
7 経路案内部
8 電界強度測定部(取得する手段の一部)
9 GPS受信部
10 電界強度分布図作成部(取得する手段の一部)
11 経路探索処理部(探索する手段)
12 視聴可否判断部(判断する手段)
13 インターネット
14 配信サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地と目的地とを結ぶ経路を探索する手段と、
放送電波の時間帯ごとの電界強度分布データを取得する手段と、
指定された番組を番組の開始時刻から終了時刻まで上記探索する手段の探索した経路で視聴できるかどうか、上記時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断する手段と
を有し、
上記探索する手段は、上記判断する手段が上記指定された番組を視聴できないと判断した場合には、新たな経路を探索する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
請求項1記載の経路探索装置において、
前記判断する手段は、前記終了時刻から一定時間ずつ遡る時刻ごとに、前記時間帯ごとの電界強度分布データのうち当該時刻を含む時間帯の電界強度分布データから、当該時刻における視聴可能エリアを判定し、
前記探索する手段は、前記電界強度分布データを考慮することなく前記出発地と前記目的地とを結ぶ経路を仮経路として探索し、上記仮経路のうち、上記一定時間ずつ遡る時刻ごとの視聴可能エリア内の経路上でそれぞれ最も目的地側の視聴可能な地点を基点とし、それぞれの基点に到着すると予想される時刻が当該視聴可能エリアが視聴可能である時間内であるように、基点間の経路を探索する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項3】
請求項1記載の経路探索装置において、
前記判断する手段は、前記終了時刻から一定時間ずつ遡る時刻ごとに、前記時間帯ごとの電界強度分布データのうち当該時刻を含む時間帯の電界強度分布データから、当該時刻における視聴可能エリアを判定し、
前記探索する手段は、前記目的地と前記終了時刻における視聴可能エリアとの最短経路を検索し、この最短経路に接続する経路を、上記一定時間ずつ遡る時刻ごとに、当該時刻における視聴可能エリア内で検索する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の経路探索装置において、
前記探索する手段は、前記電界強度分布データを考慮することなく探索された前記出発地と前記目的地とを結ぶ仮経路上での前記指定された番組の開始時刻における予想到達地点が当該時刻における視聴可能エリア内であれば、上記予想到達地点を視聴開始地点とし、上記視聴可能エリア外であれば、上記視聴可能エリアと上記視聴できないと判断された経路との交点を視聴開始地点とし、視聴開始地点まで遡る経路を探索する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項5】
請求項2または3記載の経路探索装置において、
前記探索する手段は、前記電界強度分布データを考慮することなく探索された前記出発地と前記目的地とを結ぶ仮経路上での前記指定された番組の開始時刻における予想到達地点が当該時刻における視聴可能エリア内であれば、上記予想到達地点を視聴開始地点とし、上記視聴可能エリア外であれば、上記視聴可能エリア内に最も短時間で到達できる経路を新たに探索するとともに当該経路を視聴開始地点とし、視聴開始地点まで遡る経路を探索する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項6】
請求項1から5記載の経路探索装置において、
前記探索する手段は、検索された経路中に電界強度不足の箇所がある場合には、当該箇所を迂回する経路を再探索する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の経路探索装置において、
前記取得する手段は、放送電波の電界強度分布データを、時間帯だけでなく、日、月または季節ごと、あるいは天候情報を含むデータとして取得し、
前記判断する手段は、時間帯に加え、日、月または季節ごと、あるいは天候情報を含むデータに基づいて、前記指定された番組を視聴できるかどうかを判断する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項8】
放送電波の時間帯ごとの電界強度分布データを取得し、
出発地と目的地とを結ぶ経路を探索し、
指定された番組を番組の開始時刻から終了時刻まで上記経路で視聴できるかどうか、上記時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断し、
上記指定された番組を視聴できないと判断した場合には、新たな経路を探索する
ことを特徴とする経路探索方法。
【請求項9】
コンピュータにインストールすることにより、そのコンピュータに、
放送電波の時間帯ごとの電界強度分布データを取得し、
出発地と目的地とを結ぶ経路を探索し、
指定された番組を番組の開始時刻から終了時刻まで上記経路で視聴できるかどうか、上記時間帯ごとの電界強度分布データに基づいて判断し、
上記指定された番組を視聴できないと判断した場合には、新たな経路を探索する
動作を実行させる
ことを特徴とする経路探索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−80821(P2011−80821A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232229(P2009−232229)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】