説明

経路探索装置及び経路探索用プログラム

【課題】移動体の移動前の計画段階において、移動を開始してしまってからでは採り得ない移動諸元をも幅広く考慮して効率的な移動計画の作成に資することが可能な経路探索装置等を提供する。
【解決手段】目的地点への移動体の移動の計画作成に用いられるルートを探索する場合に、目的地点への移動体の出発予定時刻を入力し(ステップS1)、入力された出発予定時刻に出発するとした場合のルートの諸元を算出し(ステップS2)、入力された出発予定時刻以外の時刻に出発するとした場合のルートの諸元を算出し(ステップS10、S11)、夫々算出された諸元を比較し(ステップS12)、比較結果として元の出発時刻以外の時刻に出発された方が効率的である場合、その比較結果を表示する(ステップS16、S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、経路探索装置及び経路探索用プログラムの技術分野に属し、より詳細には、車両や人等の移動体の移動計画の作成に用いられる経路を探索する経路探索装置及び経路探索用プログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両や人等である移動体の移動を、地図等を表示しつつ補助するナビゲーション装置が広く一般化している。
【0003】
ここで、当該ナビゲーション装置に係る技術を示す従来例として、下記特許文献1に記載された技術がある。この特許文献1には、目的地点に至る経路上の位置(例えばサービスエリア等)において、その位置より先の区間で通行料が割引になる時間帯に当該区間を通過するようになる出発時刻(その位置からの出発時刻)まで待機する旨を、運転者に報知する旨が開示されている。
【特許文献1】特開2001−41760号公報(第4図、第7図及び段落番号[0030]、[0031]及び[0043]等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、当該特許文献1に記載されている技術は、あくまで目的地点に向かって出発した後の経由地点等において、そこから先の移動について調整をするためのものであり、当該出発前における移動計画の作成に用いられる経路探索のための情報提供等については、何ら開示も示唆もされていない。
【0005】
従って、特許文献1に記載されている技術では、既に移動が開始されてしまっていることが前提となっていることから、移動前に認識していればそちらを移動したであろう他の効率的な移動経路については、もはやこれを選択することはできないという問題点がある。
【0006】
一方、近年では、例えばETC(Electric Tool Control)システムにおける時間帯割引等、同じ目的地点へ向かう場合でも移動時間帯に依存して通行料が複雑に変わる傾向にある。そして、これらの変動に対応して費用等の点で効率的な移動を行うためには、その移動自体の開始前(出発前)において、移動経路と時間帯とを広く比較して最適な移動経路を選択する必要がある。
【0007】
そこで、本願は、上記の問題点や要請等に対応すべく為されたものであり、その目的の一例は、移動体の移動前の計画段階において、移動を開始してしまってからでは採り得ない移動諸元をも幅広く考慮して効率的な移動計画の作成に資することが可能な経路探索装置及び経路探索用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、目的地点への移動体の移動の計画作成に用いられる経路を探索する経路探索装置において、前記目的地点への前記移動体の出発予定時刻を入力するために用いられる操作部等の入力手段と、前記入力された出発予定時刻に出発するとした場合の移動諸元である予定諸元を算出する処理部等の予定諸元算出手段と、前記入力された出発予定時刻以外の時刻である予定外出発時刻に出発するとした場合の移動諸元である予定外諸元を算出する処理部等の予定外諸元算出手段と、前記算出された予定諸元と、前記算出された予定外諸元と、を比較する処理部等の比較手段と、前記比較された予定外諸元が前記予定諸元よりも効率的である場合、前記予定外出発時刻と、前記予定外諸元自体又は前記比較手段による比較結果の少なくともいずれか一方と、を告知するディスプレイ等の告知手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から7のいずれか一項に記載の経路探索装置として機能させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本願を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、車両や人等である移動体がこれから移動を開始しようとする目的地点までの経路を探索して当該移動体の移動計画等の作成に供させる経路探索装置に対して本願を適用した場合の実施の形態である。
(I)第1実施形態
初めに、本願に係る第1実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。なお、図1は第1実施形態に係る経路探索装置の概要構成を示すブロック図であり、図2は当該経路探索装置における処理を示すフローチャートであり、図3は当該経路探索装置における処理の際に表示される画面例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係る経路探索装置Sは、パーソナルコンピュータ等により実現されるものであり、具体的には、CPU等からなり且つ予定諸元算出手段、予定外諸元算出手段及び比較手段としての処理部1と、キーボード及びマウス等からなり且つ入力手段、選択手段及び設定手段としての操作部2と、CRT(Cathode Ray Tube)又は液晶ディスプレイ等からなり且つ告知手段としてのディスプレイ3と、揮発性及び不揮発性領域を有するメモリ部4と、不揮発性の磁気記録方式にデータを記録/再生するハードディスクを備えるHDD(Hard Disc Drive)部5と、インターネット等のネットワーク20を介して外部のサーバ10と接続されているインターフェース部6と、により構成されている。
【0012】
この構成において、インターフェース部6は、ネットワーク20を介して、外部のサーバ10との間で地図データ又は経路探索用データ等の授受を行う。
【0013】
これにより、処理部1は、操作部2において実行された操作に基づき、サーバ10から取得した或いはHDD部5に予め蓄積されている上記地図データ又は経路探索用データ等を用いて、第1実施形態に係る後述の経路探索処理及びこれに伴う表示処理等を統括制御する。
【0014】
なお、当該処理部1による統括制御処理において一時的に記憶すべきデータ等は、メモリ部4内に一時的に記憶され、必要に応じて読み出されて当該統括制御に供される。
【0015】
また、処理部1による処理の結果としての探索結果や費用の比較結果等は、ディスプレイ3により使用者に表示(告知)される。
【0016】
次に、処理部1を中心として実行される、第1実施形態に係る経路探索処理について、具体的に図1乃至図3を用いて説明する。なお、以下に説明する第1実施形態は、上記移動体が実際に移動を開始する前の移動計画の作成段階において、当該移動の目的地点及び出発地点等に対応する移動経路を作成してその費用等を算出する場合における経路探索処理を示す実施形態である。
【0017】
第1実施形態に係る経路探索処理においては、図2(a)に示すように、先ず操作部2において、その後に移動が予定されている移動経路(以下、当該移動経路を単に予定経路と称する)に対応する出発地点を示す情報及び目的地点を示す情報と共に、その時点で予定されている出発時刻(出発地点からの出発予定時刻)が入力される(ステップS1)。このとき、当該出発地点を示す情報としては、例えば当該出発地点の位置を示す緯度/経度情報の他に、出発地点の名称等が入力される構成でも良い。また同様に、当該目的地点を示す情報としては、例えば当該目的地点の位置を示す緯度/経度情報の他に、目的地点の名称等が入力される構成でも良い。
【0018】
ステップS1の処理において予定経路に係る出発地点及び目的地点を示す情報と出発時刻が入力されると、次に、当該各入力された情報を用いて、入力された出発時刻に出発地点を出発したときの当該目的地点への予定経路(ルート)が探索される(ステップS2)。このステップS2における予定経路の探索処理は、具体的には従来の探索アルゴリズムに沿ったもので構わない。
【0019】
また、ステップS2における探索処理には、入力された(ステップS1)出発時刻に出発地点を出発して目的地点に至るまでに必要な有料道路における通常の(換言すれば割引がない状態での)通行料等の費用の算出処理と、当該有料道路に対応する料金所夫々の通過予定日時の探索処理が含まれている。但し、当該費用の算出処理及び通過予定日時の探索処理は、探索された予定経路内に有料道路が含まれている場合にのみ、必要となる処理である。
【0020】
予定経路が探索されると(ステップS2)、次に、当該探索された予定経路中に高速道路等の上記有料道路が含まれているか否かが確認される(ステップS3)。そして、探索された予定経路中に有料道路が含まれていないときは(ステップS3;NO。この場合、上記費用は言うまでもなく無料となる)、従来の方法に則ってディスプレイ3上に当該予定経路の詳細等を表示して(ステップS4)、第1実施形態に係る経路探索処理を完了する。
【0021】
一方、ステップS3の確認において、予定経路中に有料道路が含まれているときは(ステップS3;YES)、ステップS2の処理において算出された通常の費用及び料金所の通過予定日時を夫々メモリ部4に一時的に記憶する(ステップS5)。
【0022】
次に、各料金所の通過予定日時に基づく割引料金の計算処理を、通過予定の各有料道路毎(各料金所毎)に実行する(ステップS6)。
【0023】
ここで、当該ステップS6の処理として具体的には、図2(b)に示すように、初めに、対象となっている料金所の通過予定日時と、対応する各有料道路における通行料の割引条件と、を照合し、当該通過予定日時に料金所を通過した場合に適用される割引条件を判断する(ステップS30)。このとき、ステップS30における照合の対象となる割引条件は、予めHDD部5内に記憶されているものであっても良いし、当該照合の際に外部のサーバ10から取得されるものであってもよい。
【0024】
そして、ステップS30において判断された割引条件を用いて、各有料道路毎且つ各料金所毎に、割引後の通行料を含む割引後の費用を算出し(ステップS31)、図2(a)に示すメインルーチンに戻る。
【0025】
ステップS6の処理において割引後の費用が算出されると、次に、上記ステップS1において入力された出発予定時刻を前又は後にずらした(変更した)場合の新たな予定経路及び費用等を使用者に対して提示する旨の指示操作が、操作部2を用いて予め為されているか否かを確認する(ステップS7)。そして、当該確認処理において当該提示を行う旨の指示操作が為されていないときは(ステップS7;NO)、上記ステップS2の処理において算出されている費用(通常の通行料を含む費用)及び上記ステップS6の処理において算出されている割引後の費用を、従来と同様の方法によりディスプレイ3上に表示して(ステップS8)、第1実施形態に係る経路探索処理を完了する。
【0026】
一方、ステップS7の確認において、当該提示を行う旨の指示操作が為されているときは(ステップS7;YES)、当該出発時刻を前又は後にずらす時間幅として予め指定されている時間幅を取得する(ステップS9)。
【0027】
ここで、ステップS9の処理における指定時間幅の取得方法としては、例えば以下に例示する二つの方法が好適である。
(A)使用者が例えば分単位で予め操作部2を用いて入力してメモリ部4に記憶されておいた任意の時間幅(例えば、ステップS1において入力された出発時刻±n分(nは自然数))を、当該メモリ部4から読み出して取得する構成。この場合、ステップS1において入力された出発時刻の前後において同じ時間幅としてもよいし、或いは異なる時間幅を指定可能としてもよい。
(B)予め初期状態において設定されてメモリ部4に記憶されている複数の時間幅(例えば、±30分、±90分、±120分)を、使用者が操作部2を用いて選択可能とする構成。この場合でも、上記(A)と同様にステップS1において入力された出発時刻の前後で同じ時間幅を選択可能としてもよいし、異なる時間幅を選択可能としてもよい。
【0028】
ステップS9において時間幅(以下の説明では、説明の簡略化のため、元の出発時刻の前後で同じ時間幅n分であるとする)が取得されると、次に、上記ステップS5においてメモリ部4に記憶した各料金所の通過予定日時をn分だけ前にずらした通過予定日時に基づく割引料金の計算処理を、通過予定の各有料道路毎に実行する(ステップS10)。また同様に、ステップS5においてメモリ部4に記憶した各料金所の通過予定日時をn分だけ後にずらした通過予定日時に基づく割引料金の計算処理を、通過予定の各有料道路毎に実行する(ステップS11)。
【0029】
ここで、上記ステップS10及びS11において実行される割引料金の計算処理は、夫々、n分だけ前にずらした場合(ステップS10の場合)又は後にずらした場合(ステップS11)の各料金所の通過予定時刻を用いて、図2(b)に示すステップS30及びS31の処理を実行する。また、当該割引料金としては、例えば、ETCシステムに基づく利用料金の変動に応じた割引料金が該当する。
【0030】
そして、上記ステップS6の割引料金算出処理の結果としての割引料金、上記ステップS10の割引料金算出処理の結果としての割引料金、及び上記ステップS11の割引料金算出処理の結果としての割引料金、の三者を比較し(ステップS12)、その比較結果として元のステップS1において入力された出発時刻に対応する割引料金(上記ステップS6において算出された割引料金)が最も安い料金であるか否かを確認する(ステップS13)。
【0031】
ステップS13の確認の結果、元の出発時刻に対応する割引料金が最も安い場合は(ステップS13;YES)、当該元の出発時刻に対応する割引料金及び出発時刻の変更提案がない(すなわち、元の出発時刻が、最も安い費用で目的地点まで到達できる出発時刻であること)旨をディスプレイ3上に表示して(ステップS14)、第1実施形態に係る経路探索処理を完了する。
【0032】
一方、ステップS13の確認において、元の出発時刻に対応する割引料金が最も安い料金でない場合は(ステップS13;NO)、次に、ステップS1において入力された出発時刻をn分だけ前にずらした出発時刻に対応する割引料金(上記ステップS10において算出された割引料金)が最も安い料金であるか否かを確認する(ステップS15)。
【0033】
ステップS15の確認の結果、n分だけ前にずらした出発時刻に対応する割引料金が最も安い場合は(ステップS15;YES)、当該前にずらした出発時刻に対応する割引料金と、それに対応する料金所等の通過予定時刻を含む予定経路と、出発時刻を前にずらす旨の提案がある旨の表示と、をディスプレイ3上に表示する(ステップS16)。
【0034】
他方、ステップS15の確認の結果、n分だけ前にずらした出発時刻に対応する割引料金が最も安い料金でない場合は(ステップS15;NO)、ステップS1において入力された出発時刻をn分だけ後にずらした出発時刻に対応する割引料金(上記ステップS11において算出された割引料金)と、それに対応する料金所等の通過予定時刻を含む予定経路と、出発時刻を後にずらす旨の提案がある旨の表示と、をディスプレイ3上に表示する(ステップS17)。
【0035】
ここで、上記ステップS16又はS17のいずれかにおける表示例としては、例えば図3に例示するように、出発地点マーク101、目的地点マーク102、予定経路表示103、予定経路説明欄104及び出発時刻変更提案表示105を含む表示画面100が好適である。このとき、当該出発時刻変更提案表示105としては、n分前に出発する旨及びn分前に出発したときの割引料金(ステップS15;YESの場合)、又はn分後に出発する旨及びn分後に出発したときの割引料金(ステップS15;NOの場合)、のいずれかを含む出発時刻変更提案表示105が表示されることとなる。
【0036】
また、予定経路表示103としては、n分前(又はn分後)に出発地点を出発したときの予定経路を改めて再探索した結果ではなく、上記ステップS2の処理において探索された予定経路が、暫定的に表示される。
【0037】
そして、出発時刻を変更した場合の割引料金等の表示が完了したときは(ステップS16又はS17)、当該表示されている(変更後の)出発時刻を採用して改めて目的地点までの予定経路を探索するか否かが確認され(ステップS18)、当該再探索を行わない場合は(ステップS18;NO)、そのまま第1実施形態に係る経路探索処理を完了する。
【0038】
一方、ステップS18の確認において、当該再探索を行う旨の指示操作が操作部2において実行されたときは(ステップS18;YES)、出発時刻をn分だけ前にずらして(ステップS15;YESの場合)、又はn分だけ後にずらして(ステップS15;NOの場合)、上記ステップS1において入力されている出発地点から目的地点までの予定経路を改めて探索する(ステップS19)。そして、当該探索結果を各割引料金と共にディスプレイ3上に表示して(ステップS20)、第1実施形態に係る経路探索処理を完了する。
【0039】
以上説明したように、第1実施形態の経路探索装置Sの処理によれば、目的地点への出発前において、出発時刻を出発予定時刻から前又は後ろにずらした場合における予定経路の諸元(費用等)を、出発予定時刻通りに出発した場合の当該諸元との比較において前もって認識することができるので、効率的な目的地点への予定経路の探索を出発前において簡易に作成することができる。
【0040】
よって、移動を開始してしまってからでは採り得ない予定経路の諸元をも幅広く考慮して効率的な移動計画の作成に資することができる。
【0041】
また、出発時刻を後にずらした場合の諸元も算出されるので、より効率的な目的地点への移動計画の作成に資することができる。
【0042】
更に、予定経路を再探索(図2ステップS19)を実際に実行する前に、既に探索されている(図2ステップS2参照)予定経路で複数の出発時刻を用いた割引料金の算出を行うので、実際に再探索してから改めて割引料金の算出を行う場合に比して、処理部1における処理負担を軽減することができる。
【0043】
更にまた、元の出発予定時刻以外の出発時刻を使用者が設定可能とされているので、使用者の意図により沿った形で移動を計画することができる。
【0044】
また、予定経路の諸元に割引料金等の費用が含まれているので、元の出発予定時刻に出発して移動する場合と、当該移動よりも費用が安い他の移動形態とを比較して移動計画を作成することができる。
【0045】
更に、移動費用が有料道路の利用料金であるので、例えばETCシステムに基づく利用料金の変動に応じた最適な予定経路及び出発時刻を認識して移動計画を作成することができる。
(II)第2実施形態
次に、本願に係る他の実施形態である第2実施形態について、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は第2実施形態に係る経路探索装置の処理を示すフローチャートであり、図5は当該経路探索装置における処理の際に表示される画面例を示す図である。
【0046】
また、第2実施形態に係る経路探索装置のハードウエアとしての構成は、基本的には第1実施形態に係る経路探索装置Sと同一である。よって以下の説明では、第2実施形態に係る経路探索装置の構成を、図1を代用しつつ同一の部材番号を用いて説明する。更に図4に示すフローチャートにおいて、図2に示すフローチャートと同様の処理については、同様のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0047】
上述した第1実施形態では、出発時刻の変更を試みた場合において最も割引料金が安くなる場合の出発時刻(変更前の出発時刻を含む)のみを表示する(図3参照)構成について説明したが、以下に説明する第2実施形態では、出発時刻の変更を試みた場合における割引料金等と、元の(変更前の)出発時刻の場合における割引料金等と、を共に表示し、使用者にいずれの出発時刻を採用するかを選択させる構成とする。
【0048】
すなわち、図4に示すように、第2実施形態に係る経路探索処理においては、初めに第1実施形態に係る経路探索処理と同様のステップS1乃至S14の処理が実行される。
【0049】
そして、ステップS13の確認において、元の出発時刻に対応する割引料金が最も安い料金でない場合は(ステップS13;NO)、次に、ステップS1において入力された出発時刻をn分だけ前にずらした出発時刻に対応する割引料金(上記ステップS10において算出された割引料金)と、ステップS1において入力された出発時刻をn分だけ後にずらした出発時刻に対応する割引料金(上記ステップS11において算出された割引料金)と、それに対応する料金所等の通過予定時刻を含む予定経路と、出発時刻を前にずらす又は後にずらす提案がある旨の表示と、をディスプレイ3上に表示する(ステップS21)。
【0050】
ここで、上記ステップS21における表示例としては、例えば図5(a)に例示するように、出発地点マーク201、目的地点マーク202、予定経路表示203、予定経路説明欄204、費用表示欄205、比較表示指示ボタン206及び探索条件変更指示ボタン207を含む表示画面200が好適である。このとき、当該費用表示欄205としては、元の出発時刻に出発した場合の通常料金(ステップS2参照)と、割引料金(ステップS6参照)と、の双方を含む費用表示欄205が表示されることとなる。
【0051】
そして、図5(a)に示す比較表示指示ボタン206が操作部2を構成するマウス等により操作されると、次に、例えば図5(b)に例示するような比較表示画面210が表示される。この比較表示画面210には、元の出発時刻に出発する場合の当該出発予定時刻及び割引料金、元の出発時刻からn分(図5(b)に例示する場合は120分(二時間))前に出発時刻をずらして出発する場合の当該出発予定時刻及び割引料金、及び、元の出発時刻からn分後に出発時刻をずらして出発する場合の当該出発予定時刻及び割引料金、の三者の表示を含む比較表示欄211と、出発時刻を変更した時の予定経路を改めて探索する際(図4ステップS19参照)に上記マウス等により操作される変更ボタン212と、図5(a)に例示する表示画面200に戻る際に上記マウス等により選択される戻るボタン213と、が含まれている。
【0052】
なお、図5(a)に示す比較表示指示ボタン206が操作部2を構成するマウス等により操作されたときに表示される比較表示画面としては、図5(b)に示したものの他、図5(c)に例示する比較表示画面220でもよい。この比較表示画面220には、元の出発時刻に出発する場合の当該出発予定時刻及び割引料金、元の出発時刻からn分(図5(c)に例示する場合は120分(二時間))前に出発時刻をずらして出発する場合の当該出発予定時刻及び割引料金、並びに、元の出発時刻からn分後に出発時刻をずらして出発する場合の当該出発予定時刻及び割引料金、の三者の表示を含む比較表示欄221と、出発時刻を変更した時の予定経路を改めて探索する際(図4ステップS19参照)に上記マウス等により操作される変更ボタン222と、予定経路を変更せずに以降の処理に移行する際に操作される変更なしボタン223と、が含まれている。また、上記比較表示欄221には、夫々の出発時刻毎に、当該各出発時刻に夫々対応する予定経路を使用した場合の移動時間及び当該予定経路上のある使用料金所の概要等の経路詳細表示224が含まれている。
【0053】
そして、上述したステップS21の処理が実行された後は、第1実施形態に係る経路探索処理におけるステップS18乃至S20の処理が実行され、第2実施形態に係る経路探索処理を完了する。
【0054】
以上説明したように、第2実施形態の経路探索装置の処理によれば、第1実施形態に係る経路探索装置Sの処理による作用効果に加えて、元の出発予定時刻通りに出発した場合の予定経路の諸元及び出発時刻を変更した場合の予定経路の諸元と、当該出発予定時刻及び予定外出発時刻が夫々表示されると共に、元の出発時刻に出発した場合の予定経路と出発時刻を変更した場合の予定経路とのいずれかが選択可能とされるので、使用者の意思に応じていずれかの諸元に対応する予定経路を選択して移動計画の用いることができる。
【0055】
また、予定経路の諸元に移動時間が含まれているので、元の出発予定時刻に出発して移動する場合と、当該移動よりも移動時間が短いである他の出発時刻とを比較して移動計画を作成することができる。
(III)変形形態
次に、本願に係る変形形態について、夫々説明する。
【0056】
先ず、第一の変形形態として、上述した各実施形態において、出発時刻に対応する予定経路を探索する際、例えばサーバ10から取得した渋滞情報を反映させて最短時間で目的地点まで到達できる予定経路を探索するように構成することもできる。
【0057】
次に、第二の変形形態として、例えば割引率等に関するデータが取得できない場合等の考慮として、図2又は図4ステップS1の処理において入力された出発時刻と、図2又は図4ステップS9の処理において取得した出発時刻との間の一以上の時刻を細分化した出発時刻として割引料金の算出を行ってもよい。このとき、図2又は図4ステップS1の処理において入力された出発時刻の更に前後の時刻と、図2又は図4ステップS9の処理において取得した出発時刻の更に前後の時刻と、を、細分化した出発時刻に加えてもよい。更に、出発地点(具体的には、自宅又は自宅以外の現在地点)における滞在時間を現在の設定時間よりも更に確保することを考慮して、後にずらす出発時刻の細分化(ずらす時間の細分化)を行って割引料金の算出を行うように構成することもできる。
【0058】
更に、第三の変形形態として、図2又は図4ステップS9の処理において取得した出発時刻のうち前にずらした出発時刻(n分前にずらした出発時刻)が処理部1内の図示しない計時部において取得した現在時刻よりも前の時刻となる場合は、例えば、当該現在時刻自体又は現在時刻より予め設定された所定時間だけ後の時刻を図2又は図4ステップS10の処理において取得した出発時刻に置換して割引料金を算出(図2又は図4ステップS10参照)するように構成することもできる。
【0059】
更に、第四の変形形態として、例えばある催し物の開始時刻に間に合うように出発することを考慮すべく、図2又は図4ステップS9の処理において取得した出発時刻のうち後にずらした出発時刻(n分後にずらした出発時刻)が当該催し物の開始時刻後とならないように、当該ステップS9において取得する、後にずらす出発時刻を変更するように構成することも可能である。
【0060】
また、第五の変形形態として、初めに設定した(図2又は図4ステップS1参照)出発予定時刻の前後の出発時刻ではなく、例えば、使用者が指定したある時刻から他のある時刻までの間、又は上記各実施形態におけるn分前の出発時刻の更にm分前(mは自然数)からn分後の出発時刻の更にm分後のまでの間、で最も割引料金が安くなる予定経路と出発時刻を提示するように構成することも可能である。
【0061】
更に、第六の変形形態として、割引料金の算出につき、出発時刻変更における時間間隔は、処理部1の処理負荷の多少、或いは出発時刻の変更操作に係る使用者の操作や思考負担を軽減する等の観点から設定するのが好適である。更に、一の予定経路における通行料が変化する地点(料金所がある地点を除く)を考慮して割引料金を算出してもよい。
【0062】
更にまた、第七の変形形態として、図2又は図4に夫々示す各フローチャートに夫々対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを各実施形態に係る処理部1として夫々活用することも可能である。
【0063】
また、第八の変形形態として、上述した各実施形態では、経路探索装置Sをパーソナルコンピュータにより実現する場合について説明したが、これ以外に、移動の開始前(出発前)に例えば車載済みのナビゲーション装置を用いて移動計画を作成する際の経路探索処理を行う場合に本願を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施形態に係る経路探索装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る経路探索装置の処理を示すフローチャートであり、(a)は当該処理の全体を示すフローチャートであり、(b)は当該処理の一部である割引料金計算処理の細部を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る経路探索装置の処理における表示画面例を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る経路探索装置の処理の全体を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る経路探索装置の処理における表示画面例を示す図であり(a)は当該表示画面の第一例を示す図であり、(b)は当該表示画面の第二例を示す図であり、(c)は当該表示画面の第三例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 処理部
2 操作部
3 ディスプレイ
4 メモリ部
5 HDD部
6 インターフェース部
10 サーバ
20 ネットワーク
100、200 表示画面
101、201 出発地点マーク
102、202 目的地点マーク
103、203 予定経路表示
104、204 予定経路説明欄
105 出発時刻変更提案表示
205 費用表示欄
206 比較表示指示ボタン
207 探索条件変更指示ボタン
210、220 比較表示画面
211、221 比較表示欄
212、222 変更ボタン
213 戻るボタン
223 変更なしボタン
224 経路詳細表示
S 経路探索装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地点への移動体の移動の計画作成に用いられる経路を探索する経路探索装置において、
前記目的地点への前記移動体の出発予定時刻を入力するために用いられる入力手段と、
前記入力された出発予定時刻に出発するとした場合の移動諸元である予定諸元を算出する予定諸元算出手段と、
前記入力された出発予定時刻以外の時刻である予定外出発時刻に出発するとした場合の移動諸元である予定外諸元を算出する予定外諸元算出手段と、
前記算出された予定諸元と、前記算出された予定外諸元と、を比較する比較手段と、
前記比較された予定外諸元が前記予定諸元よりも効率的である場合、前記予定外出発時刻と、前記予定外諸元自体又は前記比較手段による比較結果の少なくともいずれか一方と、を告知する告知手段と、
を備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路探索装置において、
前記告知手段は、前記比較された予定外諸元が前記予定諸元よりも効率的である場合、前記少なくともいずれか一方に代えて、前記算出された予定外諸元と、前記算出された予定諸元と、前記出発予定時刻と、を更に告知すると共に、
前記予定諸元に対応する前記移動及び前記出発予定時刻と、前記予定外諸元に対応する前記移動及び前記予定外出発時刻と、のいずれかを選択するために用いられる選択手段を更に備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の経路探索装置において、
前記予定外諸元算出手段は、前記予定前出発時刻に出発するとした場合における前記移動諸元と、前記入力された出発予定時刻よりも後の時刻である予定後出発時刻に出発するとした場合における前記移動諸元と、を前記予定外諸元として共に算出することを特徴とする経路探索装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の経路探索装置において、
前記予定外出発時刻を設定するために用いられる設定手段を更に備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の経路探索装置において、
前記移動諸元はいずれかの前記移動に必要な費用であることを特徴とする経路探索装置。
【請求項6】
請求項5に記載の経路探索装置において、
前記費用は有料道路の利用料金であることを特徴とする経路探索装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の経路探索装置において、
前記移動諸元はいずれかの前記移動に必要は時間であることを特徴とする経路探索装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から7のいずれか一項に記載の経路探索装置として機能させることを特徴とする経路探索用プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−53115(P2009−53115A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221692(P2007−221692)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】