説明

給湯装置

【課題】給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器の組み合わせで給湯と暖房と風呂を単一の熱源とし、器具の小型化・軽量化・高効率化を図る。
【解決手段】給湯用熱交換器15と潜熱回収用熱交換器16を介して出湯路に供給するとともに、給湯循環ポンプ17を介して再度前記給湯用熱交換器15に戻して給湯循環回路19を形成し、前記給湯循環回路19には利用側熱交換器として暖房装置に熱量を供給する暖房回路20を形成し、前記暖房回路20に設けた暖房循環水の膨張を吸収する暖房タンク38と前記給湯循環回路の圧力を前記暖房タンクへ逃がす過圧逃がし電磁弁35を設け、前記利用側熱交換器を使用しているとき、前記過圧逃がし電磁弁35を開弁する制御手段を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナの燃焼熱により加熱する給湯用熱交換器を介して供給される湯水を循環させて複数の負荷側に熱量を供給する1缶多水路の給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の燃焼装置としては、特許文献1のように、給水路を通して供給される水をバーナの燃焼により加熱して給湯路に給湯する給湯用熱交換器と、入路を通して供給される加熱対象流体を前記バーナの燃焼により加熱して出路に流出する流体用熱交換器とが設けられている給湯装置であって、前記給湯用熱交換器が前記バーナの燃焼排ガスの顕熱を回収する給湯用顕熱熱交換部と、その給湯用顕熱熱交換部よりも前記バーナの燃焼排ガスの流動方向の下流側に配置され、前記バーナの燃焼排ガスの潜熱を回収する給湯用潜熱熱交換部とを備えて構成され、前記流体用熱交換器が、前記バーナの燃焼排ガスの顕熱を回収する流体用顕熱熱交換部と、その流体用顕熱熱交換部よりも前記バーナの燃焼排ガスの流動方向の下流側に配置され、前記バーナの燃焼排ガスの潜熱を回収する流体用潜熱熱交換部とを備えて構成され、前記給湯用顕熱熱交換部と流体用顕熱熱交換部とが、互いに熱伝導する状態で一体的に形成され、かつ、前記給湯用潜熱熱交換部と流体用潜熱熱交換部とが、互いに熱伝導する状態で一体的に形成された給湯装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−267262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の給湯装置は、バーナで加熱される経路として、給湯用と流体用の2つの経路を形成しているため、配管構成が複雑になるとともに、単独運転時に運転停止側の熱交換器内の残水の沸騰が発生するという課題を有するものであった。
【0004】
また、バーナの燃焼ガスの流出経路中に給湯用熱交換器と流体用熱交換器をそれぞれ配置し、前記給湯用熱交換器に給湯用顕熱熱交換部と給湯用潜熱熱交換部を設け、前記流体用熱交換器に流体用顕熱熱交換部と流体用潜熱熱交換部を設けた構成としているため、顕熱熱交換部と潜熱熱交換部にそれぞれ給湯用熱交換器と流体用熱交換器を一体的に形成する必要があり、給湯用熱交換器及び流体用熱交換器として極めて複雑な構成を強いられるものであった。特に、潜熱熱交換部の構成として、耐食性を高めるためにステンレスパイプと銅管を用いた2重管構造とする場合などはその加工性に課題を有するものであった。
【0005】
さらに、上記従来例には開示されていないが、バーナで加熱された湯水を循環し、その循環水を利用して複数の利用回路に熱量を供給するような構成において、利用側熱交換器から運転要求があった場合、バーナの燃焼が開始し給湯用熱交換器が加熱されるため、給湯循環回路が高圧になるとともに、給湯接続口に設けた第1の過圧逃がし弁から膨張水が常時滴下してしまうという課題を有するものであった。
【0006】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供する。また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成における機器内圧上昇の低減による安全性、耐久性の向上と機器外部への膨張水の滴下防止
を図った給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯装置は、給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し潜熱回収用熱交換器および給湯用熱交換器を介して出湯路に供給するとともに、給湯循環ポンプを介して再度前記給湯用熱交換器に戻して給湯循環回路を形成し、前記給湯循環回路には利用側熱交換器を配設して負荷側に熱量を供給する回路を形成するとともに、前記利用側熱交換器を経由した給湯循環回路から分岐してカランまたは風呂回路に給湯する風呂注湯用の給湯回路を形成した1缶多水路の給湯装置であって、前記利用側熱交換器として暖房装置に熱量を供給する暖房回路を形成し、前記暖房回路に設けた暖房循環水の膨張を吸収する暖房タンクと前記給湯循環回路の圧力を前記暖房タンクへ逃がす過圧逃がし電磁弁を設け、前記利用側熱交換器を使用しているとき、前記過圧逃がし電磁弁を開弁する制御手段を設けたものである。
【0008】
これによって、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成としているため、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成における機器内圧上昇の低減による安全性、耐久性の向上と機器外部への膨張水の滴下防止を図った給湯装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給湯装置は、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、利用側熱交換器を使用しているとき、過圧逃がし電磁弁を開弁する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、かつ、機器内圧上昇の低減による安全性、耐久性の向上と機器外部への膨張水の滴下防止を図った給湯装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し潜熱回収用熱交換器および給湯用熱交換器を介して出湯路に供給するとともに、給湯循環ポンプを介して再度前記給湯用熱交換器に戻して給湯循環回路を形成し、前記給湯循環回路には利用側熱交換器を配設して負荷側に熱量を供給する回路を形成するとともに、前記利用側熱交換器を経由した給湯循環回路から分岐してカランまたは風呂回路に給湯する風呂注湯用の給湯回路を形成した1缶多水路の給湯装置であって、前記利用側熱交換器として暖房装置に熱量を供給する暖房回路を形成し、前記暖房回路に設けた暖房循環水の膨張を吸収する暖房タンクと前記給湯循環回路の圧力を前記暖房タンクへ逃がす過圧逃がし電磁弁を設け、前記利用側熱交換器を使用しているとき、前記過圧逃がし電磁弁を開弁する制御手段を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
そして、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成としているため、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成における機器内圧上昇の
低減による安全性、耐久性の向上と機器外部への膨張水の滴下防止を図った給湯装置を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、過圧逃がし電磁弁の下流側に所定の圧力で開弁する第2の過圧逃がし弁を設けたことを特徴とするもので、膨張水の排水の無駄を防止できまた、給湯接続口に設けた第1の過圧逃がし弁の開弁圧より低く設定することで、第1の過圧逃がし弁からの機器外部への膨張水の滴下防止を図った給湯装置を提供することができる。
【0013】
第3の発明は、他の利用側熱交換器として、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器を設け、給湯または暖房または風呂追い焚きの単独利用、あるいは給湯と暖房と風呂追い焚きのうち少なくとも2つの同時利用、を選択できるようにしたことを特徴とするもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で構成する給湯循環回路を用いて給湯と暖房と風呂追い焚きを行うように構成した給湯装置に限定したものであり、給湯と暖房と風呂追い焚きを1つの加熱経路で構成することで、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、潜熱回収により効率アップを図ることで給湯性能と暖房性能と風呂追い焚き性能を同時に確保することができる。
【0014】
第4の発明は、利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各熱交換器を並列に接続し、給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一となるようにしたことを特徴とするもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で構成する給湯循環回路に複数の利用側熱交換器を並列に接続して使用することで、給湯循環回路の通路抵抗を小さくすることができ、循環ポンプの小型化・軽量化が可能になる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における給湯装置の構造図を示すものである。
【0017】
図1において、まず給水路1より供給される水をバーナ2の燃焼により加熱し所定の温度に上昇した後、出湯路に供給し、利用側熱交換器である暖房用熱交換器18の一次側経路を経由した後、循環ポンプ17を介して再度給水路1に合流させて給湯循環回路19を形成している。そして、暖房用熱交換器18を経由した後の給湯循環回路19から分岐させて給湯路3を形成し、この給湯路3と給水路1を連通して形成したバイパス通路4から給水路1より供給される水の一部をバイパス制御弁5を介して供給することで所望の湯水に調整し、給湯栓6より出湯する給湯回路を構成している。
また、浴槽31へ湯張りを行う注湯回路32として、バイパス通路4の下流側の給湯路3から風呂回路28に連通する経路を形成している。
【0018】
ここで、バーナ2はガス元電磁弁7、ガス比例弁8、ガス切替弁9が配設されたガス供給路10より燃料が供給され、燃焼用ファン11より燃焼用空気が供給されて、予め定められたシーケンスに従い燃焼動作が行われる。そして、バーナ2の燃焼により発生する燃焼ガスは燃焼室12を通って排気通路13を経由し排気口14から器具外に排出される。
【0019】
この燃焼ガスの排気経路に燃焼ガスの顕熱を回収する給湯用熱交換器15と燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16を配設している。具体的には、バーナ2の下流側燃焼室12に給湯用熱交換器15を設け、その下流側排気通路13に潜熱回収用熱交換器16を設け、前記給水路1より供給される水を、まず潜熱回収用熱交換器16に供給し燃焼排ガス中の潜熱を回収したのち、給湯用熱交換器15に供給しバーナ2の燃焼により所定の高温水に上昇させて出湯路3に供給する。このように従来の給湯用熱交換器15に
よる熱回収に加え、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16を設けることで、総合的な熱効率を高め省エネを図るものである。
【0020】
暖房回路20は、暖房用熱交換器18の2次側に放熱機21等の負荷を接続して閉回路を形成し、暖房用循環ポンプ22で循環させることにより、前記暖房用熱交換器18で給湯循環回路19より供給される高温水と熱交換して暖房熱量を確保するようにしている。
【0021】
以上のように構成された燃焼装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0022】
まず、給湯運転時には、給湯栓6を開くと給水路1に配設した給水側流量センサー23が通水を検知し、この通水信号で燃焼用ファン11が動作し同時にガス元電磁弁7、ガス比例弁8が開き、バーナ2に燃料と燃焼用空気が供給されて着火動作により燃焼が開始する。このバーナ2の燃焼開始により発生した燃焼ガスは燃焼室12から排気通路13を経由して排気口14より排出される。この燃焼ガスの排気動作の過程において燃焼室12に配設した給湯用熱交換器15と排気通路13に配設した潜熱回収用熱交換器16で給水路1より供給される水が加熱される。
【0023】
給湯用熱交換器15で加熱された湯水は、前記給湯用熱交換器15と潜熱回収用熱交換器16を迂回するように給水路1と給湯路3を連通して設けたバイパス通路4に配設したバイパス制御弁5により入水側の水と混合される。混合された湯は遠隔操作用リモコン24で設定した給湯設定温度になるよう出湯サーミスター25の信号によりバイパス制御弁5の開度を調整し、給湯接続口26を経て給湯栓6より給湯される。
【0024】
このように、給湯単独運転を選択する場合は、遠隔操作用リモコン24で所望の温度を設定し給湯栓6を開くことで自動的に設定された湯温の湯水を確保することができる。
【0025】
次に自動お湯張り運転時には、遠隔操作用リモコン24で所望の流量を設定し、注湯回路32に設けられた注湯電磁弁33が開弁し風呂回路28から浴槽31へ注湯される。
【0026】
次に暖房運転時には、放熱機21等の暖房端末装置に内蔵した制御器(図示せず)の運転指令で、暖房回路20に設けた暖房用循環ポンプ22が駆動し、この運転指令に連動して給湯循環回路19の湯水を循環させる循環ポンプ17が駆動し、同時にバーナ2の着火動作により燃焼が開始する。このバーナ2の燃焼開始により発生した燃焼ガスは燃焼室12から排気通路13を経由して排気口14より排出される。この燃焼ガスの排気動作の過程において燃焼室12に配設した給湯用熱交換器15と排気通路13に配設した潜熱回収用熱交換器16で給水路1より供給される水が加熱される。
【0027】
給湯用熱交換器15で加熱された湯水は循環ポンプ17により暖房用熱交換器18の1次側経路を経由しながら給湯循環回路19を循環し、水−水熱交換構成により熱交換され暖房回路20へ伝熱される。暖房用熱交換器18で受熱した暖房回路20の熱は、放熱機21で温風として放熱される。そして、暖房用熱交換器18で熱交換された高温水は潜熱回収用熱交換器16の上流側給水路1に戻し、給湯循環回路19を形成し、放熱機21からの暖房運転指令が発せられている間、所定の湯温に維持して循環を継続する。
【0028】
このように、利用側熱交換器である暖房用熱交換器18を経由した後の給湯循環回路19から給湯路3を分岐した構成とすることで、暖房運転に必要な高温水を確保しつつ、給湯回路に対して高温水から低温水まで幅広い範囲の湯水を調節して供給することが可能な給湯優先動作を確保することができる。
【0029】
また、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16は、排ガス経路に対して給
湯用熱交換器15の下流側に位置させ、給水経路に対して給湯用熱交換器15の上流側に位置させて設けており、潜熱回収熱交換器16で余熱された湯水を給湯用熱交換器15で加熱するようにしている。これによりバーナ2の燃焼で発生した熱量を効率よく熱交換することができ省エネにつながる。
【0030】
ここで、従来暖房運転時には、バーナ2で給湯用熱交換器15が加熱されるため、給湯循環回路19全体が高圧になるとともに、給湯接続口26に設けた第1の過圧逃がし弁34から膨張水が常時滴下してしまうという課題があったが、本発明では暖房回路20に設けた暖房循環水の膨張を吸収する暖房タンク38と暖房タンク38からのオーバーフロー水を機外の排水口へ接続するオーバーフロー回路39と給湯循環回路19の圧力を暖房タンク38へ逃がす過圧逃がし電磁弁35を設け、前記利用側熱交換器を使用しているとき、過圧逃がし電磁弁35を開弁する制御手段36を有するため、機器内圧上昇の低減による安全性、耐久性の向上と機器外部への膨張水の滴下防止を図った給湯装置を提供することが可能となる。
【0031】
つまり、1缶多水路の構成に起因する特有の課題を解決したもので、給湯回路と利用側回路を共通の湯水供給路を利用して運転を行う構成としたものにおいて、利用側熱交換器を使用しているとき、過圧逃がし電磁弁を開弁する制御手段を設けているため機器内圧上昇を低減し、機器外部への膨張水の滴下防止を図ることができる。
【0032】
また、潜熱回収用熱交換器16の構成としては図2に示すように、ステンレス鋼製の側板16a、16bと、前記側板16a、16bの間に配列したステンレス鋼製のプレートフィン16cと、前記側板16a、16bとプレートフィン16cに設けた開口部に貫通させて並設したステンレス鋼製の鞘管16dと、前記鞘管16dに内通させ入水口16eと出水口16fを設けた複数の銅製通水管16gと、前記通水管16gの入水口16eを集合させて1つの入水経路を形成する入水ヘッダー16hと、前記通水管16gの出水口16fを集合させて1つの入水経路を形成する出水ヘッダー16iとを備え、前記通水管16gを排ガス経路内において2重管構造とし、前記入水ヘッダー16h、出水ヘッダー16iを介して並列の熱交換経路を形成するようにしている。
【0033】
この構成により、給水路1より供給される水は入水ヘッダー16hより複数の通水管16gを並列に流れて出水ヘッダー16iで集合され、給湯用熱交換器15に供給される。そして、排ガス経路内はステンレス鋼製の鞘管16dで通水管16gを覆っているため、結露水による腐食の問題も抑制され、燃焼排ガス中の潜熱を回収することで熱効率のアップを図ることができる。
【0034】
また、通水管16gの入水口16eと出水口16fを入水ヘッダー16hと出水ヘッダー16iで集合させることにより潜熱回収用熱交換器16内を複数の通水経路を介して通水することができ、給湯循環回路19の通路抵抗を小さくすることができ、循環ポンプ17の小型化・軽量化が可能になる。さらに、通水管16gの一方側で集合して入水経路と出水経路を形成する構成とすることで、通水管16gの配設構成を簡素化し加工性の向上を図ることができる。
【0035】
以上のように本実施の形態においては、給湯用熱交換器15と潜熱回収用熱交換器16で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して利用側負荷回路である暖房回路20に熱量を供給する構成としているため、前記給湯用熱交換器15や潜熱回収用熱交換器16に関連しない利用側熱交換器である暖房用熱交換器18の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運
転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、断水等により給湯循環回路19内の水落ち現象が発生した場合における空焼き運転を防止することができ、安全性の向上を図った給湯装置を提供することができ、さらに、潜熱回収用熱交換器16の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することができる。
【0036】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における給湯装置の構造図を示すものである。
【0037】
本実施の形態は、第1の実施の形態における給湯装置の過圧逃がし電磁弁の下流側に所定の圧力で開弁する第2の過圧逃がし弁を設けたものである。なお、第1の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0038】
過圧逃がし電磁弁35の下流側に所定の圧力で開弁する第2の過圧逃がし弁37を設けており、過圧逃がし電磁弁35が開弁しても常時膨張水を暖房タンク38からオーバーフロー回路39を経て機外の排水口へ排水するのではなく、所定の圧力で開弁するため排水の無駄を防止できる。
【0039】
また、給湯接続口26に設けた第1の過圧逃がし弁34の開弁圧より低く設定することで、第1の過圧逃がし弁からの機器外部への膨張水の滴下防止を図ることができる。
【0040】
(実施の形態3)
図4は、本発明の第4の実施の形態における給湯装置の構造図を示すものである。
【0041】
本実施の形態は、第1の実施の形態における給湯装置の利用側熱交換器として、暖房や浴室乾燥等を行う放熱機21を有する暖房回路に熱量を供給する暖房用熱交換器と、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器を用いた給湯装置に関するものである。なお、第1の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0042】
暖房用熱交換器18と風呂用熱交換器27は給湯循環回路19に並列に接続され、潜熱回収用熱交換器16と給湯用熱交換器15で加熱された高温水を循環ポンプ17で循環させながら熱交換し、暖房回路20または風呂回路28に熱量を供給する。
【0043】
次にその動作、作用を説明すると、暖房運転時には、放熱機21の運転指令で、暖房回路20に設けた暖房ポンプ22が駆動し、連動して給湯循環回路19の温水を循環させるポンプ17が駆動することによりバーナ2に着火し、燃焼された熱を回収する給湯用熱交換器15で加熱された温水は暖房用熱交換器18で熱交換され暖房回路20へ伝熱される。暖房用熱交換器18で受熱した暖房回路20の熱は、放熱機21で温風として放熱される。
【0044】
また、風呂運転時には、遠隔操作用リモコン24の運転指令で、風呂回路28に設けた風呂用循環ポンプ29が駆動し水流検知部30にて循環が検知されると、連動して給湯循環回路19の温水を循環させるポンプ17が駆動することによりバーナ2に着火し、燃焼された熱を回収する給湯用熱交換器15で加熱された温水は風呂用熱交換器27で熱交換され風呂回路28へ伝熱される。風呂用熱交換器27で受熱した風呂回路28の熱は、浴槽31へ循環し追い焚き加熱される。
【0045】
また、暖房と風呂同時運転時には、放熱機21と遠隔操作用リモコン24からの運転指令により、暖房回路20と風呂回路28のポンプ22、29が駆動しバーナ2の着火動作
により燃焼が開始する。この燃焼により給湯循環回路19の循環水は潜熱回収用熱交換器16と給湯用熱交換器15で加熱され所定の高温水の状態を維持しながら循環する。この高温の循環水は暖房用熱交換器18と風呂用熱交換器27に略同一の温度で供給され、暖房回路20と風呂回路28に伝熱される。
【0046】
また、上記以外の組み合わせによる同時運転も可能であり、暖房用熱交換器18と風呂用熱交換器27とを給湯循環回路19に並列に構成しているため、循環回路の通路抵抗を小さくすることができ、循環ポンプ17の小型化・軽量化が可能となる。
【0047】
このように、利用側熱交換器である暖房用熱交換器18および風呂用熱交換器27を経由した後の給湯循環回路19から給湯路3を分岐した構成とすることで、利用側負荷の運転に必要な高温水を確保しつつ、給湯回路に対して高温水から低温水まで幅広い範囲の湯水を調節して供給することが可能な給湯優先動作を確保することができる。
【0048】
また、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16は、排ガス経路に対して給湯用熱交換器15の下流側に位置させ、給水経路に対して給湯用熱交換器15の上流側に位置させて設けており、潜熱回収熱交換器16で予熱された湯水を給湯用熱交換器15で加熱するようにしている。これにより、複数の利用側負荷の運転時においてもバーナ2の燃焼で発生した熱量を効率よく熱交換することができ省エネにつながる。
【0049】
ここで、従来暖房運転時または風呂運転時には、バーナ2で給湯用熱交換器15が加熱されるため、給湯循環回路19全体が高圧になるとともに、給湯接続口26に設けた第1の過圧逃がし弁34から膨張水が常時滴下してしまうという課題があったが、本発明では暖房回路20に設けた暖房循環水の膨張を吸収する暖房タンク38と暖房タンク38からのオーバーフロー水を機外の排水口へ接続するオーバーフロー回路39と給湯循環回路19の圧力を暖房タンク38へ逃がす過圧逃がし電磁弁35を設け、前記利用側熱交換器を使用しているとき、過圧逃がし電磁弁35を開弁する制御手段36を有するため、機器内圧上昇の低減による安全性、耐久性の向上と機器外部への膨張水の滴下防止を図った給湯装置を提供することが可能となる。
【0050】
つまり、1缶多水路の構成に起因する特有の課題を解決したもので、給湯回路と利用側回路を共通の湯水供給路を利用して運転を行う構成としたものにおいて、利用側熱交換器を使用しているとき、過圧逃がし電磁弁を開弁する制御手段を設けているため機器内圧上昇を低減し、機器外部への膨張水の滴下防止を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる給湯装置は、給湯循環回路を主回路として給湯と暖房、または給湯と風呂、または給湯と暖房と風呂を単一の循環路を熱源とし、利用側熱交換器を使用しているとき、過圧逃がし電磁弁を開弁する制御手段を設けているため機器内圧上昇を低減し、機器外部への膨張水の滴下防止を図るとともに、器具の小型化・軽量化ができ、設置スペースの余裕確保、施工性の向上と、潜熱回収熱交換器を備えることにより、高効率化を実現しランニングコストの低減による省エネルギー化を図ることが可能となるため、ガス、石油の給湯風呂装置、給湯暖房機等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1における給湯装置の構造図
【図2】同給湯装置の潜熱回収熱交換器の構造図
【図3】本発明の実施の形態2における給湯装置の構造図
【図4】本発明の実施の形態3における給湯装置の構造図
【符号の説明】
【0053】
1 給水路
2 バーナ(加熱手段)
3 給湯路
13 排気通路(排熱経路)
15 給湯用熱交換器
16 潜熱回収用熱交換器
17 給湯用循環ポンプ
18 暖房用熱交換器(利用側熱交換器)
19 給湯循環回路
20 暖房回路
21 放熱機
22 暖房用循環ポンプ
23 水側流量センサ
27 風呂用熱交換器(利用側熱交換器)
28 風呂回路
29 風呂用循環ポンプ
31 浴槽
33 注湯電磁弁
34 第1の過圧逃がし弁
35 過圧逃がし電磁弁
36 制御手段
37 第2の過圧逃がし弁
38 暖房タンク
39 オーバーフロー回路





【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し潜熱回収用熱交換器および給湯用熱交換器を介して出湯路に供給するとともに、給湯循環ポンプを介して再度前記給湯用熱交換器に戻して給湯循環回路を形成し、前記給湯循環回路には利用側熱交換器を配設して負荷側に熱量を供給する回路を形成するとともに、前記利用側熱交換器を経由した給湯循環回路から分岐してカランまたは風呂回路に給湯する風呂注湯用の給湯回路を形成した1缶多水路の給湯装置であって、前記利用側熱交換器として暖房装置に熱量を供給する暖房回路を形成し、前記暖房回路に設けた暖房循環水の膨張を吸収する暖房タンクと前記給湯循環回路の圧力を前記暖房タンクへ逃がす過圧逃がし電磁弁を設け、前記利用側熱交換器を使用しているとき、前記過圧逃がし電磁弁を開弁する制御手段を設けた給湯装置。
【請求項2】
過圧逃がし電磁弁の下流側に所定の圧力で開弁する第2の過圧逃がし弁を設けた請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
他の利用側熱交換器として、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器を設け、給湯または暖房または風呂追い焚きの単独利用、あるいは給湯と暖房と風呂追い焚きのうち少なくとも2つの同時利用、を選択できるようにした請求項1記載の給湯装置。
【請求項4】
利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各熱交換器を並列に接続し、給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一となるようにした請求項1または3記載の給湯装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−278534(P2007−278534A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101761(P2006−101761)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】