説明

給湯装置

【課題】複数世帯が共用するのに適し、かつ、少なくとも2つの世帯間で安否確認または緊急連絡を行うことのできる給湯装置を提供する。
【解決手段】第1世帯と第2世帯とを少なくとも含む複数世帯用の給湯装置100は、貯湯タンク20と、加熱体としてヒートポンプユニット1を有する湯生成手段15と、第1世帯用の第1給湯路3Aおよび第2世帯用の第2給湯路3Bと、第1給湯路3Aに配設された第1混合弁71,72および第2給湯路3Bに配設された第2混合弁73,74と、第1世帯用の第1操作端末6Aおよび第2世帯用の第2操作端末6Bと、制御手段8と、を備えている。第1操作端末6Aと第2操作端末6Bとは、制御手段8を介して相互に通話可能に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクから給湯を行う給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯タンクを備えた給湯装置が知られている。例えば特許文献1には、図4に示すような給湯装置200が開示されている。この給湯装置200は、給水管109から下部に水が供給される貯湯タンク102を有する貯湯タンクユニット101と、貯湯タンク102内の水を加熱する加熱体としてのヒートポンプユニット103とを備えている。ヒートポンプユニット103は、圧縮機131、高圧側熱交換器132、膨張弁133、および低圧側熱交換器134が順に接続された冷媒回路130を有している。貯湯タンク102とヒートポンプユニット103の高圧側熱交換器132とは、送水管110および送湯管111でループ状に接続されている。また、送水管110の途中には、ポンプ135が設けられている。そして、ポンプ135の稼働によって、貯湯タンク102内の水は、送水管110を介して下部から抜き出されて高圧側熱交換器132に送られ、ここで加熱されて高温の湯となる。生成された高温の湯は、送湯管111を介して貯湯タンク102の上部に戻される。このようにして、貯湯タンク102内には、上側から高温の湯が貯えられる。
【0003】
貯湯タンク102は、配管により、蛇口やシャワーなどの給湯端末104および浴槽106と接続される。貯湯タンク102内に貯えられた高温の湯を給湯端末104で利用する場合、その湯は、出湯管108、中間混合弁114、中継管115、端末混合弁116、および第1給湯管117を経由して、貯湯タンク102の上部から給湯端末104に供給される。給湯端末104に供給される湯は、端末混合弁116で所定の端末給湯温度となるように給水管109からの水と混合される。端末給湯温度は、台所もしくは洗面所などに設置される台所リモコン105または浴室内に設置される風呂リモコン107で、ユーザーが所望の温度に設定することができる。
【0004】
一方、貯湯タンク102内に貯えられた高温の湯を浴槽106への湯張りに利用する場合、その湯は、出湯管108、中間混合弁114、中継管115、風呂混合弁118、第2給湯管119を経由して、貯湯タンク102の上部から浴槽106に供給される。浴槽106に供給される湯は、風呂混合弁118で所定の風呂給湯温度となるように給水管109からの水と混合される。風呂給湯温度は、風呂リモコン107で、ユーザーが所望の温度に設定することができる。
【0005】
さらに、給湯装置200では、貯湯タンク102内の湯を用いて、浴槽106内の湯水を再び加熱する追い焚き運転が可能となっている。すなわち、給湯装置200は、貯湯タンク102内の上側に貯えられた高温の湯と浴槽106内の湯水とで熱交換を行う風呂熱交換器120を備えている。
【特許文献1】特開2005−274132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4に示すような給湯装置200を、二世帯住宅または集合住宅などに居住する複数世帯で共用できれば、設備コストを大幅に削減することが可能である。しかしながら、従来の給湯装置は、複数世帯での共用を想定したものではない。
【0007】
そこで、本発明者らは、複数世帯が共用するのに適した複数世帯用の給湯装置を考え出した。この給湯装置では、貯湯タンク内に貯えられた湯を各世帯に導くための複数の給湯路が設けられ、各給湯路には、貯湯タンクからの湯を所定の給湯温度となるように水と混合する混合弁が配設されている。そして、世帯ごとに操作端末が設けられ、各々の操作端末では、対応する世帯における給湯温度を独立して設定可能となっている。
【0008】
ところで、二世帯住宅または集合住宅などにおいて例えば高齢者世帯とその親族世帯とが独立した住居で生活する場合、親族世帯は高齢者世帯に事故があってもそれをすぐには確認できない。特に高齢者の場合は浴室内での事故が多い。あるいは台所から出火することもある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、複数世帯が共用するのに適した給湯装置を用いて、少なくとも2つの世帯間で安否確認または緊急連絡ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、複数世帯用の給湯装置では操作端末が世帯ごとに設けられていることに着目し、この給湯装置を利用すれば特定の世帯間での安否確認または緊急連絡を安価に可能にできるのではないかと考え、本発明をするに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、第1世帯と第2世帯とを少なくとも含む複数世帯用の給湯装置であって、下部に水が供給される貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部から抜き出した水を加熱して湯とし、その湯を前記貯湯タンクの上部に戻す湯生成手段と、前記貯湯タンク内に貯えられた湯を前記第1世帯および前記第2世帯にそれぞれ導くための第1給湯路および第2給湯路と、前記第1給湯路および前記第2給湯路のそれぞれに配設され、前記貯湯タンクからの湯を所定の給湯温度となるように水と混合する第1混合弁および第2混合弁と、前記第1世帯における前記給湯温度を設定可能な第1操作端末および前記第2世帯における前記給湯温度を設定可能な第2操作端末と、前記湯生成手段ならびに前記第1混合弁および前記第2混合弁を制御する制御手段と、を備え、前記第1操作端末と前記第2操作端末とは、前記制御手段を介して相互に通話可能に接続されている、給湯装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成によれば、第1操作端末と第2操作端末とを用いて給湯温度を設定することにより第1世帯と第2世帯とにそれぞれ所望の温度の湯を導くことができるので、複数世帯が共用するのに適した給湯装置となっている。
【0013】
さらに、本発明の構成では、第1操作端末と第2操作端末とが通話可能に接続されているので、給湯装置を利用して第1世帯と第2世帯との間で安否確認または緊急連絡を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に、本発明の一実施形態に係る給湯装置100を示す。本実施形態では、二世帯住宅向けの二世帯用の給湯装置100について説明するが、本発明は、例えば集合住宅向けの三世帯以上の複数世帯用の給湯装置にも適用可能である。図1では、左側の世帯が気配りの必要な第1世帯(例えば高齢者世帯)、右側の世帯が第1世帯に気配りをする第2世帯(例えば親族世帯)となっている。
【0016】
給湯装置100は、貯湯タンク20を有する貯湯タンクユニット2と、加熱体としてのヒートポンプユニット1と、ヒートポンプユニット1などを制御する制御手段8と、第1世帯用の第1操作端末6Aと、第2世帯用の第2操作端末6Bとを備えている。
【0017】
貯湯タンク20は、下部に供給される水によって湯を上部から押し出し可能に貯えるものであり、貯湯タンク20内では、比重差によって高温の湯が上側に低温の水が下側に片寄って温度分布が形成される。具体的には、貯湯タンク20の下部には、水道管などの水源(図示せず)から延びる給水管10が接続されている。給水管10には、上流側から順に、給水加圧ポンプ11、減圧弁12が設けられていて、貯湯タンク20の下部には、貯湯タンク20内の圧力が減圧弁12で設定された圧力に保たれるように水源からの水が供給されるようになっている。貯湯タンク20の容量は、例えば二世帯用であれば450〜600Lである。なお、水源から送られる水の圧力が十分に高い場合には給水加圧ポンプ11を省略してもよい。
【0018】
ヒートポンプユニット1は、図2に示すように、冷媒回路1aを有している。この冷媒回路1aは、冷媒を圧縮する圧縮機1bと、圧縮された冷媒を貯湯タンク20内の水と熱交換させて放熱させる高圧側熱交換器1cと、放熱した冷媒を膨張させる膨張手段1dと、膨張した冷媒をファン1fによって送風される空気と熱交換させて蒸発させる低圧側熱交換器1eとが順に接続されて構成されている。冷媒としては、代替フロンまたはアンモニアなどを用いることも可能であるが、二酸化炭素を用いることが好ましい。二酸化炭素を用いれば、圧縮された冷媒が超臨界状態となるため、高いエネルギー効率で高温(例えば90℃)の湯を生成できるからである。なお、膨張手段1dとしては、単なる膨張弁であってもよいし、膨張する冷媒から動力を回収するための膨張機であってもよい。
【0019】
貯湯タンク20とヒートポンプユニット1の高圧側熱交換器1cとは、送水管21および送湯管22でループ状に接続されている。具体的には、貯湯タンク20の下部と高圧側熱交換器1cの被加熱流体流入口とが送水管21で接続され、貯湯タンク20の上部と高圧側熱交換器1cの被加熱流体流出口とが送湯管22で接続されている。また、送水管21の途中には、沸き上げポンプ23が貯湯タンクユニット2内に位置するように設けられている。そして、沸き上げポンプ23の稼働によって、貯湯タンク20内の水は、送水管21を介して下部から抜き出されて高圧側熱交換器1cに送られ、ここで加熱されて高温の湯となる。生成された高温の湯は、送湯管22を介して貯湯タンク20の上部に戻される。このようにして、貯湯タンク20内には、上側から高温の湯が貯えられる。すなわち、送水管21、ヒートポンプユニット1、送湯管22、および沸き上げポンプ23は、貯湯タンク20の下部から抜き出した水を加熱して湯とし、その湯を貯湯タンク20の上部に戻す湯生成手段15を構成する。なお、沸き上げポンプ23は、ヒートポンプユニット1内に位置するように設けられていてもよいし、送湯管22の途中に設けられていてもよい。
【0020】
さらに、送湯管22の高圧側熱交換器1cの近傍には、生成された湯の温度を検出する沸き上げ温度センサ97が設けられている。また、貯湯タンク20には、図1に示すように、当該貯湯タンク20の表面温度を検出する複数の貯湯温度センサ90が上下方向に並んで配設されている。貯湯タンク20内では上述したような温度分布が形成されるので、貯湯温度センサ90で検出された温度から貯湯タンク20内にどれだけの量の湯が貯えられているかを把握することができる。
【0021】
貯湯タンクユニット2は、貯湯タンク20の他に、貯湯タンク20内に貯えられた湯を第1世帯および第2世帯にそれぞれ導くための第1給湯路3Aおよび第2給湯路3Bを有している。第1世帯用の第1給湯路3Aは、貯湯タンク20内に貯えられた湯を、第1世帯の蛇口、シャワーなどの給湯端末4Aに供給する第1端末給湯路3aと、貯湯タンク20内に貯えられた湯を第1世帯の浴槽5Aに供給する第1風呂給湯路3bとを含んでいる。第2世帯用の第2給湯路3Bは、貯湯タンク20内に貯えられた湯を、第2世帯の蛇口、シャワーなどの給湯端末4Bに供給する第2端末給湯路3cと、貯湯タンク20内に貯えられた湯を第2世帯の浴槽5Bに供給する第2風呂給湯路3dとを含んでいる。また、第1端末給湯路3aおよび第1風呂給湯路3bの途中には、第1世帯用の第1混合弁として端末混合弁71および風呂混合弁72がそれぞれ配設されており、第2端末給湯路3cおよび第2風呂給湯路3dの途中には、第2世帯用の第2混合弁として端末混合弁73および風呂混合弁74がそれぞれ配設されている。各混合弁71〜74には、給水管10の減圧弁12より下流側の位置から分岐した分岐管13が接続されている。そして、端末混合弁71,73によって貯湯タンク20からの湯が給湯端末4A,4B用の所定の端末給湯温度となるように水源からの水と混合され、風呂混合弁72,74によって貯湯タンク20からの湯が浴槽5A,5B用の所定の風呂給湯温度となるように水源からの水と混合されるようになっている。
【0022】
具体的には、第1端末給湯路3aおよび第2端末給湯路3cは、貯湯タンク20と端末混合弁71,73とをつなぐ第1出湯管31,35と、端末混合弁71,73と給湯端末4A,4Bとをつなぐ第1給湯管32,36とを有している。第1給湯管32,36には、当該第1給湯管32,36内を流れる湯の温度を検出する端末温度センサ91,93が設けられている。
【0023】
一方、第1風呂給湯路3bおよび第2風呂給湯路3dは、貯湯タンク20と風呂混合弁72,74とをつなぐ第2出湯管33,37と、風呂混合弁72,74と浴槽5A,5Bとを後述する二次流通路51,53を介してつなぐ第2給湯管34,38とを有している。第2給湯管34,38には、当該第2給湯管34,38内を流れる湯の温度を検出する風呂温度センサ92,94が設けられている。また、第2給湯管34,38には、風呂温度センサ92,94より下流側に電磁弁75,76が設けられている。
【0024】
なお、図1に示す例では、貯湯タンク20の近傍では、第1世帯側の第1出湯管31と第2出湯管33とが合流して一本の管となり、第2世帯側の第1出湯管35と第2出湯管37とが合流して一本の管となっているが、第1出湯管31,35同士が合流して一本の管となり、第2出湯管33,37同士が合流して一本の管となっていてもよい。あるいは、全ての出湯管31,33,35,37が合流して一本の管となっていてもよい。また、図1に示す例では、第1世帯側の第2出湯管33から分岐する枝管28に、圧力逃がし弁29が設けられているが、圧力逃がし弁29を設ける位置は適宜変更可能である。
【0025】
さらに、貯湯タンクユニット2は、浴槽5A,5B内の湯水を循環させながら再び加熱する追い焚き運転を行うための構成を有している。具体的には、貯湯タンクユニット2は、貯湯タンク20内の高温の湯を流通させる一次流通路24,26と、浴槽5A,5B内の湯水を流通させる二次流通路51,53と、一次流通路24,26を流れる高温の湯と二次流通路51,53を流れる湯水とで熱交換させる風呂熱交換器55,56とを備えている。
【0026】
一次流通路24,26の一端は第1給湯路3Aまたは第2給湯路3Bを介して貯湯タンク20の上部に接続され、他端は貯湯タンク20の下部に直接接続されており、一次流通路24,26の途中には、追い焚きポンプ25,27が設けられている。一方、二次流通路51,53の両端は、浴槽5A,5Bに接続されており、二次流通路51,53の途中には、風呂ポンプ52,54が設けられている。また、二次流通路51,53には、風呂ポンプ52,54より上流側に当該二次流通路51,53を流れる湯水の温度を検出する追い焚き温度センサ95,96が設けられているとともに、風呂ポンプ52,54より下流側に前述した第2給湯管34,38が接続されている。
【0027】
制御手段8は、マイクロコンピュータまたはDSP(digital signal processor)などで構成されている。そして、制御手段8は、予め記憶されたプログラムに従って、上述した各種の温度センサ90〜97で検出された温度などに基づいて、ヒートポンプユニット1、混合弁71〜74、および上述した各種のポンプ11,23,25,27,52,54の制御を行う。制御手段8には、第1操作端末6Aおよび第2操作端末6Bが有線または無線で通信可能に接続されている。
【0028】
第1操作端末6Aおよび第2操作端末6Bは、対応する世帯における端末給湯温度および風呂給湯温度を各々で独立して設定可能なものである。すなわち、第1操作端末6Aでは、第1世帯における端末給湯温度および風呂給湯温度が設定可能となっており、第2操作端末6Bでは、第2世帯における端末給湯温度および風呂給湯温度が設定可能となっている。第1操作端末6Aおよび第2操作端末6Bのそれぞれは、浴室外である台所もしくは洗面所などに設置される台所リモコン(第1リモコン)6aと、浴室内に設置される風呂リモコン(第2リモコン)6bとで構成されている。そして、端末給湯温度は、台所リモコン6aと風呂リモコン6bのどちらでも設定可能となっており、風呂給湯温度は、風呂リモコン6bで設定可能となっている。なお、風呂給湯温度を台所リモコン6aでも設定できるようにすることも可能である。
【0029】
具体的には、台所リモコン6aは、図3(a)に示すように、表示部61と、メニューボタン62a、変更ボタン62b、および確定ボタン62cからなる入力部62とを有している。また、台所リモコン6aには、浴槽5A,5Bへの湯張りを開始する風呂自動スイッチ63aと、通話を開始する通話スイッチ63bとが設けられている。さらに、台所リモコン6aには、マイクが内蔵されているとともに、スピーカ64が設けられている。
【0030】
ユーザーは、メニューボタン62aを押すことにより、台所リモコン6aを、端末給湯温度を設定可能な状態にすることができ、この状態で変更ボタン62bを操作することにより、端末給湯温度を所望の温度(通常は、最高60℃)に設定することができる。設定された端末給湯温度は、表示部61および後述する風呂リモコン6bの表示部65に表示される。
【0031】
さらに、表示部61には、制御手段8が貯湯温度センサ90で検出された温度から把握した貯湯タンク20内の残湯量も表示されるようになっている。
【0032】
一方、風呂リモコン6bは、図3(b)に示すように、台所リモコン6aと同様に、表示部65と、メニューボタン66a、変更ボタン66b、および確定ボタン66cからなる入力部66とを有している。また、風呂リモコン6bには、浴槽5A,5Bへの湯張りを開始する風呂自動スイッチ67aと、追い焚きを開始する追い焚きスイッチ67bと、通話を開始する通話スイッチ67cとが設けられている。さらに、風呂リモコン6bには、マイクが内蔵されているとともに、スピーカ68が設けられている。
【0033】
ユーザーは、メニューボタン66aを押すことにより、風呂リモコン6bを、端末給湯温度を設定可能な状態にすることができ、この状態で変更ボタン66bを操作することにより、台所リモコン6aと同様に端末給湯温度を所望の温度に設定することができる。設定された端末給湯温度は、表示部65および前述した台所リモコン6aの表示部61に表示される。
【0034】
また、ユーザーは、メニューボタン66aを押すことにより、風呂リモコン6bを、風呂給湯温度を設定可能な状態にすることができ、この状態で変更ボタン66bを操作することにより、風呂給湯温度を所望の温度(通常は、32〜48℃程度)に設定することができる。設定された風呂給湯温度は、表示部65に表示される。
【0035】
さらに、ユーザーは、メニューボタン66aを押すことにより、風呂リモコン6bを、追い焚き温度を設定可能な状態にすることができ、この状態で変更ボタン66bを操作することにより、それぞれの風呂リモコン6bで個別に追い焚き温度を所望の温度(通常は、32〜48℃程度)に設定することができる。設定された追い焚き温度は、表示部65に表示される。
【0036】
次に、制御手段8が行う主な制御について詳しく説明する。
【0037】
<沸き上げ運転>
制御手段8は、貯湯温度センサ90で検出された温度から貯湯タンク20内の残湯量を把握し、貯湯タンク20内に必要な量の湯が残っていないと判定した場合には、適切なタイミング(例えば、使用湯量が多くなる前の夕方、電気料金の安い深夜のうち明け方近くなど)で、ヒートポンプユニット1および沸き上げポンプ23を稼働させる。沸き上げポンプ23については、沸き上げ温度センサ97で検出される温度が所定の沸き上げ温度となるように回転数を調整する。これにより、貯湯タンク20内には、所定の沸き上げ温度の湯が上側から貯えられる。そして、制御手段8は、貯湯タンク20内に必要な量の湯が貯えられたと判定したときに、ヒートポンプユニット1および沸き上げポンプ23を停止させて湯生成手段15による湯の生成(沸き上げ)を終了する。
【0038】
<端末給湯運転>
給湯端末4A,4Bの給湯栓が開かれると、制御手段8は、端末温度センサ91,93で検出される温度が台所リモコン6aまたは風呂リモコン6bで設定された端末給湯温度となるように端末混合弁71,73を制御して、貯湯タンク20からの湯と水源からの水との混合比率を調整する。これにより、第1世帯の給湯端末4Aには、貯湯タンク20からの湯が第1操作端末6Aで設定された端末給湯温度に調節されて供給され、第2世帯の給湯端末4Bには、貯湯タンク20からの湯が第2操作端末6Bで設定された端末給湯温度に調節されて供給される。給湯栓が閉じられると、給湯端末4A,4Bへの給湯が終了する。
【0039】
<湯張り運転>
台所リモコン6aまたは風呂リモコン6bの風呂自動スイッチ63a,67aが押されると、制御手段8は、電磁弁75,76を開くとともに、風呂温度センサ92,94で検出される温度が風呂リモコン6bで設定された風呂給湯温度となるように風呂混合弁72,74を制御して、貯湯タンク20からの湯と水源からの水との混合比率を調整する。これにより、第1世帯の浴槽5Aには、貯湯タンク20からの湯が第1操作端末6Aで設定された風呂給湯温度に調節されて供給され、第2世帯の浴槽5Bには、貯湯タンク20からの湯が第2操作端末6Bで設定された風呂給湯温度に調節されて供給される。その後、制御手段8は、二次流通路51,53に設けられた図略の水位センサで検出される水位が所定の浴槽水位となったときに、電磁弁75,76を閉じて浴槽5A,5Bへの湯張りを終了する。
【0040】
<追い焚き運転>
風呂リモコン6bの追い焚きスイッチ67bが押されると、制御手段8は、追い焚きポンプ25,27および風呂ポンプ52,54を稼働させる。その後、制御手段8は、追い焚き温度センサ95,96で検出される温度が風呂リモコン6bで設定された追い焚き温度となったときに、追い焚きポンプ25,27および風呂ポンプ52,54を停止させて追い焚きを終了する。
【0041】
次に、第1操作端末6Aの台所リモコン6aおよび風呂リモコン6bならびに第2操作端末6Bの台所リモコン6aおよび風呂リモコン6bの通話機能についてより詳しく説明する。
【0042】
第1操作端末6Aおよび第2操作端末6Bのそれぞれでは、台所リモコン6aと風呂リモコン6bとが制御手段8を介して相互に通話可能に接続されている。すなわち、台所リモコン6aおよび風呂リモコン6bの一方から他方へは、マイクで音から変換された電気音声信号が制御手段8を介して送信され、他方で受信された電気音声信号はスピーカ64(または68)で再度音に変換されるようになっている。ユーザーによって台所リモコン6aの通話スイッチ63bまたは風呂リモコン6bの通話スイッチ67cが押されると、同一世帯内での台所リモコン6aと風呂リモコン6bとの間の電気音声信号の送受信が可能な状態になる。これにより、第1世帯の浴室の内外でまたは第2世帯の浴室の内外での通話が可能になる。
【0043】
さらに、本実施形態では、第1操作端末6Aの風呂リモコン6bと第2操作端末6Bの台所リモコン6aとが制御手段8を介して相互に通話可能に接続されている。第2操作端末6Bの台所リモコン6aでは、メニューボタン62aを押すことにより、通話先として第1操作端末6Aの風呂リモコン6bを選択できるようになっている。また、第1操作端末6Aの風呂リモコン6bでは、メニューボタン66aを押すことにより、通話先として第2操作端末6Bの台所リモコン6aを選択できるようになっている。そして、前記のどちらかの選択が行われた上で、通話スイッチ63b(または67c)が押されると、第2世帯の台所リモコン設置場所と第1世帯の浴室内とで通話ができるようになる。
【0044】
すなわち、本実施形態では、第2世帯の台所リモコン設置場所から第1世帯の浴室内に呼びかけて入浴中の状況の確認などの安否確認を行うことができるとともに、第1世帯の浴室内で何かあったときは第2世帯に緊急連絡を行うことができる。このため、第1世帯で事故があったときはそれを早期に認識することができ、第2世帯が迅速に対応することができる。
【0045】
ここで、第2操作端末6Bの台所リモコン6aは、受信した電気音声信号を記憶する録音部(図示せず)を有しており、当該台所リモコン6aが電気音声信号を受信してから所定時間内に操作された場合は録音部が記憶した電気音声信号を削除し、当該台所リモコン6aが電気音声信号を受信してから所定時間内に操作されなかった場合は録音部が記憶した電気音声信号を残すように構成されていることが好ましい。そして、表示部61には、録音部に電気音声信号が残されていることが表示されるようにする。このようにすれば、第2世帯の留守中に第1世帯から緊急連絡があった場合には、第2世帯が帰宅したときに表示部61を見ることによって第1世帯に何かあったことが瞬時に分かるようになる。また、録音部に電気音声信号が残されていれば、緊急連絡の内容も把握することができる。
【0046】
なお、本発明は、以上説明した前記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0047】
例えば、第2操作端末6Bの台所リモコン6aは、第1操作端末6Aの台所リモコン6aとも制御手段8を介して相互に通話可能に接続されていてもよい。この場合、第1操作端末6Aの台所リモコン6aでは、メニューボタン62aを押すことにより、通話先として第1操作端末6Bの台所リモコン6aを選択できるようにし、第2操作端末6Bの台所リモコン6aでは、メニューボタン62aを押すことにより、通話先として第1操作端末6Aの風呂リモコン6bまたは台所リモコン6aを選択することができるようにする。このようにすれば、第1世帯の台所リモコン設置場所と第2世帯の台所リモコン設置場所とで通話ができるようになり、第1世帯で急病や異変などが発生したときに第2世帯にすぐに連絡できるようになる。また、緊急連絡以外でも用事があるときに第1世帯と第2世帯とで容易に連絡が取り合えるようになる。この場合、前述した録音部があれば、この録音部を単なる伝言手段として使用することもできる。
【0048】
また、第2操作端末6Bの風呂リモコン6bと第1操作端末6Bの台所リモコン6aとが制御手段8を介して相互に通話可能に接続されていてもよいし、第2操作端末6Bの風呂リモコン6bと第1操作端末6Aの風呂リモコン6bとが制御手段8を介して相互に通話可能に接続されていてもよい。
【0049】
あるいは、第1操作端末6Aの台所リモコン6aと第2操作端末6Bの台所リモコン6aとだけが制御手段8を介して相互に通話可能に接続されていてもよい。
【0050】
さらに、第1操作端末6Aの風呂リモコン6bに、浴室内の情報を出力する情報出力手段を設け、第2操作端末6Bの台所リモコン6aに、情報出力手段から出力された情報を表示する情報表示手段を設けるようにしてもよい。例えば、情報出力手段として浴室内に人がいることを検出するための赤外線センサを用い、情報表示手段として浴室内に人がいるときに点灯するランプを用いることが考えられる。このようにすれば、第1世帯の浴室内に人がいること、すなわち第1世帯の誰かが入浴中であることが第2世帯に分かるようになり、第2世帯に特に注意すべきタイミングを知らせることができる。
【0051】
ところで、情報出力手段として赤外線センサ場合には、浴室内で人が静止していると、その人を検出できないおそれがある。そこで、情報出力手段としては、浴室内を撮影するビデオカメラを用いることが好ましい。この場合、情報表示手段としては、例えば液晶モニタを用いることができる。なお、台所リモコン6aの表示部61が情報表示手段を兼ねることも可能である。このようにすれば、前記の効果に加えて、浴室内の状況を目視で瞬時に把握できるようになる。
【0052】
さらに、情報出力手段を設けた場合には、プライバシーの保護のために、第1操作端末6Aの風呂リモコン6bに、情報出力手段からの情報の出力を停止する情報停止手段を設けることが好ましい。このような情報停止手段としては、風呂リモコン6bに情報停止スイッチを別途設けてもよいし、あるいはメニューボタン66aを押すことにより情報出力手段からの情報の出力を停止できるようにして入力部66で情報停止手段を構成することも可能である。
【0053】
また、第2操作端末6Bの台所リモコン6aまたは風呂リモコン6bに、第1操作端末6Aの台所リモコン6aおよび風呂リモコン6bを操作不能にする操作不能切替手段を設けるようにしてもよい。この操作不能切替手段は、別途設ける切替スイッチで構成してもよいし、入力部62(または66)で構成してもよい。このようにすれば、第1世帯が高齢者世帯の場合に高齢者世帯による誤操作を防止することができ、安全性を向上させることができる。
【0054】
さらには、第2操作端末6Bの台所リモコン6aまたは風呂リモコン6bで、第1操作端末6Aの台所リモコン6aおよび風呂リモコン6bを遠隔操作できるようにしてもよい。このようにすれば、例えば親世帯と子世帯とで給湯装置100を共有する場合に、操作の確実な子世帯が設定状況を管理することができ、安全性および利便性が向上する。
【0055】
さらに、前記実施形態では、二世帯住宅向けの二世帯用の給湯装置100を示したが、集合住宅向けの三世帯以上の複数世帯用の給湯装置とするには、給湯路3A,3Bおよび操作端末6A,6Bの数を世帯数に合わせて増やせばよい。この場合、少なくとも特定の二世帯間で操作端末同士が通話可能に接続されていればよく、3つ以上の操作端末が制御手段8を介して相互に通話可能に接続されていてもよい。
【0056】
また、貯湯タンク20内の水を加熱する加熱体としては、ヒートポンプユニット1以外にも、電気ヒータ、ガス燃焼機器などを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る給湯装置の概略構成図である。
【図2】図1の給湯装置におけるヒートポンプユニットの概略構成図である。
【図3】(a)は台所リモコンの正面図、(b)は風呂リモコンの正面図である。
【図4】従来の給湯装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ヒートポンプユニット
1a 冷媒回路
1b 圧縮機
1c 高圧側熱交換器
1d 膨張手段
1e 低圧側熱交換器
15 湯生成手段
2 貯湯タンクユニット
20 貯湯タンク
21 送水管
22 送湯管
23 沸き上げポンプ
3A 第1給湯路
3B 第2給湯路
3a 第1端末給湯路
3b 第1風呂給湯路
3c 第2端末給湯路
3d 第2風呂給湯路
4A,4B 給湯端末
5A,5B 浴槽
6A 第1操作端末
6B 第2操作端末
6a 台所リモコン(第1リモコン)
6b 風呂リモコン(第2リモコン)
61,65 表示部
62,66 入力部
71 端末混合弁(第1混合弁)
72 風呂混合弁(第1混合弁)
73 端末混合弁(第2混合弁)
74 風呂混合弁(第2混合弁)
8 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1世帯と第2世帯とを少なくとも含む複数世帯用の給湯装置であって、
下部に水が供給される貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの下部から抜き出した水を加熱して湯とし、その湯を前記貯湯タンクの上部に戻す湯生成手段と、
前記貯湯タンク内に貯えられた湯を前記第1世帯および前記第2世帯にそれぞれ導くための第1給湯路および第2給湯路と、
前記第1給湯路および前記第2給湯路のそれぞれに配設され、前記貯湯タンクからの湯を所定の給湯温度となるように水と混合する第1混合弁および第2混合弁と、
前記第1世帯における前記給湯温度を設定可能な第1操作端末および前記第2世帯における前記給湯温度を設定可能な第2操作端末と、
前記湯生成手段ならびに前記第1混合弁および前記第2混合弁を制御する制御手段と、を備え、
前記第1操作端末と前記第2操作端末とは、前記制御手段を介して相互に通話可能に接続されている、給湯装置。
【請求項2】
前記第1操作端末および前記第2操作端末のそれぞれは、浴室外に設置される第1リモコンと浴室内に設置される第2リモコンとで構成されており、前記第1操作端末の前記第2リモコンと前記第2操作端末の前記第1リモコンとが前記制御手段を介して相互に通話可能に接続されている、請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記第2操作端末の前記第1リモコンは、前記第1操作端末の前記第1リモコンとも前記制御手段を介して相互に通話可能に接続されている、請求項2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記第2操作端末の前記第1リモコンは、受信した音声信号を記憶する録音部を有している、請求項2または3に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記第2操作端末の前記第1リモコンは、当該第1リモコンが音声信号を受信してから所定時間内に操作された場合は前記録音部が記憶した音声信号を削除し、当該第1リモコンが音声信号を受信してから所定時間内に操作されなかった場合は前記録音部が記憶した音声信号を残すように構成されている、請求項4に記載の給湯装置。
【請求項6】
前記第2操作端末の前記第1リモコンは、表示部を有し、この表示部には前記録音部に音声信号が残されていることが表示される、請求項5に記載の給湯装置。
【請求項7】
前記第1操作端末の前記第2リモコンには、浴室内の情報を出力する情報出力手段が設けられており、前記第2操作端末の前記第1リモコンには、前記情報出力手段から出力された情報を表示する情報表示手段が設けられている、請求項2〜6のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項8】
前記第1操作端末の前記第2リモコンには、前記情報出力手段からの情報の出力を停止
する情報停止手段が設けられている、請求項7に記載の給湯装置。
【請求項9】
前記情報出力手段は、浴室内に人がいることを検出するための赤外線センサである、請求項7または8に記載の給湯装置。
【請求項10】
前記情報出力手段は、浴室内を撮影するビデオカメラである、請求項7または8に記載の給湯装置。
【請求項11】
前記第2操作端末の前記第1リモコンまたは前記第2リモコンには、前記第1操作端末の前記第1リモコンおよび前記第2リモコンを操作不能にする操作不能切替手段が設けられている、請求項2〜10のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項12】
前記第2操作端末の前記第1リモコンまたは前記第2リモコンは、前記第1操作端末の前記第1リモコンおよび前記第2リモコンを遠隔操作できるものである、請求項2〜10のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項13】
前記第1給湯路および前記第2給湯路のそれぞれは、前記貯湯タンク内に貯えられた湯を給湯端末に供給する端末給湯路と、前記貯湯タンク内に貯えられた湯を浴槽に供給する風呂給湯路とを含み、
前記第1混合弁および前記第2混合弁のそれぞれは、前記端末給湯路に配設され、前記貯湯タンクからの湯を前記給湯端末用の所定の端末給湯温度となるように水と混合する端末混合弁と、前記風呂給湯路に配設され、前記貯湯タンクからの湯を前記浴槽用の所定の風呂給湯温度となるように水と混合する風呂混合弁とで構成されており、
前記第1操作端末は、前記第1世帯における前記端末給湯温度および前記風呂給湯温度を設定可能なものであり、前記第2操作端末は、前記第2世帯における前記端末給湯温度および前記風呂給湯温度を設定可能なものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項14】
前記湯生成手段は、圧縮機、高圧側熱交換器、膨張手段、および低圧側熱交換器が順に接続された冷媒回路を有するヒートポンプユニットと、前記高圧側熱交換器と前記貯湯タンクの下部とを接続する送水管と、前記高圧側熱交換器と前記貯湯タンクの上部とを接続する送湯管と、前記送水管または前記送湯管に設けられたポンプと、を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項15】
前記ヒートポンプユニットは、冷媒として二酸化炭素が用いられたものである、請求項14に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−168388(P2009−168388A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8757(P2008−8757)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】