説明

給湯装置

【課題】大型化することがなく、流路切替を確実に行える流路切替手段を備えた給湯装置を提供することができる。
【解決手段】湯水を貯える貯湯槽1と、前記貯湯槽1内の湯水を加熱する加熱手段2と、前記加熱手段2により加熱された湯水を前記貯湯槽1の上部または下部のいずれかへ送る流路切替手段100とを備え、前記流路切替手段100は、前記流路切替手段100の内面上を複数の部位で摺動する略円柱状の開閉弁29と、前記開閉弁29の一端を支持する形状記憶バネ30と、前記開閉弁29の他端を支持する戻しバネ31とから構成したことにより、流路切替手段100が大型化することなく、加熱手段2で加熱された湯水の温度に応じた流路の切替動作が確実に長期間行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式の給湯装置に関し、流路を切替るための流路切替手段を有した給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯装置は、湯水を貯える貯湯槽と、貯湯槽内の湯水を加熱する加熱手段と、加熱手段により加熱された湯水を貯湯槽の上部または下部へ送る流路切替手段とを備え、流路切替手段として形状記憶バネと閉止弁を用いている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は、特許文献1に記載された従来の給湯装置の流路切替手段の断面図である。この流路切替手段は、左ボディ26と右ボディ27で構成され、接合部分にはOリング28でシールされている。
【0004】
そして、ヒートポンプ戻り管(図示せず)が接続されるヒートポンプ戻り口18、タンク下戻り配管(図示せず)が接続されるタンク下戻り口20、タンク上戻り配管(図示せず)が接続されるタンク上戻り口21の3つの開放口を有して流路を形成している。
【0005】
右ボディ27には、軸受け29が設けられており、軸受け29の中に作動軸30が内挿され、図11の紙面に向かって左右方向にスライドするように取り付けられている。作動軸30は、閉止弁としてパッキンA31およびパッキンB32を有しており、作動軸30が左右にスライドして動くことで、パッキンA31でタンク上戻り口21に連通する流路を塞ぎ、パッキンB32でタンク下戻り口20に連通する流路を塞ぐ構成となっている。
【0006】
作動軸30には支持具40を備えており、支持具40と左ボディ26、支持具40と右ボディ27とをバネ34で連結する構成となっている。
【0007】
そして支持具40と左ボディ26とは形状記憶バネ33で連結されており、支持具40と右ボディ27とはバネ34で連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−25363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の構成では、切換動作の動きは、切換弁40の作動軸30の外径と、蓋部27の軸受け29の内面を軸方向に摺動する一箇所だけで動作を安定させる構成としているので、切換弁40の作動軸30の外径と、蓋部27の軸受け29の内面を軸方向の摺動により磨耗が集中し、長期使用時によりガタツキが生じると、方持ち構成による不安定感から、切換弁40のパッキンA、Bが傾き閉止できないので、スムーズな切替動作ができないという課題を有していた。
【0010】
また、前記従来の給湯装置の流路切替手段においては、支持具40と左ボディ26の内壁との間に水が流れる流路を設ける必要であるため、左ボディ26および右ボディ27の外径が大きくなり、流路切替手段が大型化するという課題を有していた。
【0011】
本発明は、従来の課題を解決するもので、大型化することがなく、流路切替を確実に行える流路切替手段を備えた給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯装置は、湯水を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽内の湯水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段により加熱された湯水を前記貯湯槽の上部または下部のいずれかへ送る流路切替手段とを備え、前記流路切替手段は、前記流路切替手段の内面上を複数の摺動面で摺動する略円柱状の開閉弁と、前記開閉弁の一端を支持する形状記憶バネと、前記開閉弁の他端を支持する戻しバネとから構成されるものである。
【0013】
これによって、大型化することがなく、流路切替を確実に長時間行えると共に、流路切替時に電力を消費することがない流路切替手段を備えた給湯装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大型化することがなく、流路切替を確実に行える流路切替手段を備えた給湯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における給湯装置の概略構成図
【図2】同実施の形態における流路切替手段の断面図
【図3】同実施の形態における流路切替手段の断面図
【図4】同実施の形態における開閉弁の側面図
【図5】同実施の形態における開閉弁の正面図
【図6】同実施の形態における流路切替手段の横断面図
【図7】同実施の形態における流路切替手段の断面図
【図8】同実施の形態における開閉弁の側面図
【図9】同実施の形態における開閉弁の正面図
【図10】同実施の形態における流路切替手段の横断面図
【図11】従来の給湯装置における流路切替手段の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明の給湯装置は、湯水を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽内の湯水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段により加熱された湯水を前記貯湯槽の上部または下部のいずれかへ送る流路切替手段とを備え、前記流路切替手段は、前記流路切替手段の内面上を複数の摺動面で摺動する略円柱状の開閉弁と、前記開閉弁の一端を支持する形状記憶バネと、前記開閉弁の他端を支持する戻しバネとから構成されたことにより、加熱手段により加熱された温水の温度に応じて流路を切り替えることが可能となるため、流路切替時に電力を消費することがなく、省電力化できるとともに、形状記憶バネと戻しバネにより支持された開閉弁が、流路切替手段の内面上を複数の箇所で摺動することにより、開閉弁の支持を安定して行え、水の流れを遮断すべき流路側へ水漏れが生じることがなく、確実に流路を切替ることができる。
【0017】
第2の発明の給湯装置は、特に、第1の発明において、開閉弁には、先端部と中央部より後方に配置された摺動方向に対し、同軸の円柱部が設けられたことにより、開閉弁の支持が複数となり、安定して開閉弁を動作が行え、片持ちから両持ち構造にすることにより、摺動部の摩擦も軽減でき、長期信頼性も向上することができる。
【0018】
第3の発明の給湯装置は、特に、第1または第2の発明において、開閉弁の中央部より
後方に配置された摺動方向に対し、同軸の円柱部の外形には、複数の突起部が設けられたことにより、摺動部の駆動機械損失を軽減することが可能になり、形状記憶バネと戻しバネの荷重も軽減でき、流路の切替動作を安定させ、長期信頼性も得られる。
【0019】
第4の発明の給湯装置は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、開閉弁には、加熱手段により加熱された湯水を流通するための流路開口部を設けたことにより、流路切替手段の内面と開閉弁の外周面との間に流路を設けることなく流路面積を確保できるので、流路切替手段の全体構造を小型化できる。また、開閉弁に流路開口部を設けたことにより、開閉弁を軽量化できるので、弾性力の小さい形状記憶バネや戻しバネが使用できるため、形状記憶バネや戻しバネを小型化でき、ひいては流路切替手段の全体構造を小型化できる。
【0020】
第5の発明の給湯装置は、特に、第3の発明において、開閉弁の摺動方向に対する両端には、湯水を閉止するための弁部が設けられたことにより、一部品で複数の流路の切り替えが可能となり、流路切替手段の部品点数を削減できるので、小型化できるとともに、軽量化や低コスト化も実現できる。さらに、摺動面となる開閉弁の外周部や、本体部の内面に、シール部を設ける必要がなくなり、開閉弁29を移動させる力を小さくできるので、形状記憶バネや戻しバネを小型化でき、ひいては流路切替手段の全体構造を小型化できる。
【0021】
第6の発明の給湯装置は、特に、第1の発明において、流路切替手段には、加熱手段により加熱された湯水を貯湯槽の上部に送る配管内の湯水を抜くための水抜き栓が設けられたことにより、給湯装置の使用者が、冬場の長期不滞在時に配管に溜まった水を抜くことができるので、凍結による流路切替手段の破壊を防止することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における給湯装置の構成図である。
【0024】
図1の給湯装置は、湯水を貯える貯湯槽1と、加熱手段であるヒートポンプ熱源2とを備えており、貯湯槽1の底部には、給水源からの水を供給する給水管3が接続されている。給水源から供給された水は給水管3を通って、貯湯槽1に貯まる。あるいは、給水管3から分岐され、給湯混合弁4の水側に供給される。
【0025】
そして給湯混合弁4の下流側にある給湯温度センサー15で検知する温度が、使用者が設定した給湯温度となるように、給湯混合弁4がフィードバック制御され、タンク上部の高温水と給水管3からの低温水とを混合し、蛇口16から出湯する。
【0026】
また、貯湯槽1の下部とヒートポンプ熱源2とは、沸き上げポンプ5を介してヒートポンプ往き配管6で接続されており、沸き上げポンプ5を駆動することで、ヒートポンプ熱源2に貯湯槽1の底部にある低温水を送っている。
【0027】
ヒートポンプ熱源2は、水と冷媒とが熱交換を行う水冷媒熱交換器、冷媒を減圧する減圧装置、冷媒が大気から熱を吸熱する蒸発器、冷媒を圧縮するコンプレッサー7を有し、順次冷媒配管で環状に接続されてヒートポンプ回路を備えている。そして冷媒水熱交換器で、コンプレッサー7で圧縮されて高温高圧となった冷媒と、貯湯槽1の底部から送られてくる低温水との間で熱交換を行い、高温水を生成する。
【0028】
ヒートポンプ熱源2の入口には、水冷媒熱交換器に入る水の温度である入水温度を測定するための入水温度センサー12が、ヒートポンプ熱源2の出口には、水冷媒熱交換器から流出する湯の温度である出湯温度を測定するための出湯温度センサー13が設けられており、測定された温度データは、制御基板14に送られ、コンプレッサー7や沸き上げポンプ5の回転数の制御に用いられる。
【0029】
また、本実施の形態の給湯装置は、ヒートポンプ熱源2から貯湯槽1に戻ってくるヒートポンプ戻り配管8と、ヒートポンプ熱源2により生成された高温水を貯湯槽1の上部に戻すためのタンク上戻り配管11と、ヒートポンプ熱源2の起動時などにヒートポンプ熱源2から戻ってくる比較的低温の水を貯湯槽1の下部に戻すためのタンク下戻り配管9を備えている。
【0030】
さらに、ヒートポンプ戻り配管8と、タンク下戻り配管9およびタンク上戻り配管11とを接続している箇所に流路切替手段100が設けられており、流路切替手段100が切り替わることによってタンク上戻り配管11もしくはタンク下戻り配管9のいずれかの流路を選択できるように構成されている。
【0031】
次に、流路切替手段100の構成について説明する。
【0032】
図2、図3は、本発明の実施の形態1における流路切替手段100の断面図である。流路切替手段100は、本体部26と蓋部27で構成され、それらの接合部分はOリング28でシールされている。そして、ヒートポンプ戻り配管8が接続されるヒートポンプ戻り口18、タンク下戻り配管9が接続されるタンク下戻り口20、タンク上戻り配管11が接続されるタンク上戻り口21の3つの開放口を有し、それぞれ3つの配管に接続されて流路を形成している。
【0033】
また、蓋部27には、タンク上戻り配管11に溜まった水を抜くための水抜き栓32が設けられている。図3に示すように、水抜き栓32は、水抜き栓本体32aと水抜き栓Oリング32bで構成されている。
【0034】
本体部26と蓋部27の内部には、略円筒状の内部空間40が形成されている。内部空間40の一方の端面(本体部26側)には、タンク下戻り口20と連通する本体穴部26aが設けれ、他方の端面(蓋部27側)には、タンク上戻り口21と連通する蓋穴部27aが設けられている。
【0035】
内部空間40の内部には、略円筒状の開閉弁29が設けられている。開閉弁29は、フランジ部29aを有し、開閉弁29の両端には、弁部A29bと弁部B29cを有している。弁部A29bと弁部B29cの材質は、それ以外の部分とは異なる材質で形成されている。例えば、開閉弁29は樹脂材質で形成し、弁部A29bと弁部B29cはゴム材質で形成されている。
【0036】
開閉弁29は、軸部29eとフランジ部29aの外周部が内部空間40の側面上と軸受け部26bを同時に複数の支持で摺動し、図2の紙面に向かって左右方向にスライドするように取り付けられている。開閉弁29が左右にスライドして動き、弁部B29cが本体穴部26aを塞ぐことで、タンク上戻り口21に連通する流路を塞ぐ、あるいは、弁部A29bが蓋穴部27aを塞ぐことで、タンク下戻り口20に連通する流路を塞ぐ構成となっている。
【0037】
フランジ部29aと内部空間40の一方の端面(本体部26側)との間には、コイル状の戻しバネ31が設けられており、フランジ部29aと内部空間40の他方の端面(蓋部
27側)との間には、コイル状の形状記憶バネ30が設けられている。すなわち、開閉弁29は形状記憶バネ30と戻しバネ31により支持されている。
【0038】
形状記憶バネ30は、例えば周囲の温度が約30度より低い場合には縮んでおり、約32度を超えると伸び始め、約35度になるまでに戻しバネ31の荷重を超えるように材質や形状が設計されている。
【0039】
次に、開閉弁29について詳細を説明する。図4は開閉弁29の側面図、図5は正面図、図6は流路切替手段100の横断面図である。図4に示すように、開閉弁29は、略円筒状であり、円筒の軸部29eとフランジ部29aと弁部A29bと弁部B29cで構成され、フランジ部29aの外周には、複数の突起部29fを形成している。
【0040】
また図4〜図6に示すように、フランジ部29aには、ヒートポンプ戻り口18からの湯水が流れる複数の貫通孔から構成された流路開口部29dが形成されている。この流路開口部29dの流路面積、すなわち、複数の貫通孔の合計面積は、本体部26と蓋部27に形成されている本体穴部26aや蓋穴部27aの流路面積よりも大きいことが望ましい。
【0041】
以上のように構成された流路切替手段100を用いた本実施の形態の給湯装置について、以下その動作および作用を説明する。
【0042】
図2には、ヒートポンプ熱源2の立ち上がり時などの流路切替手段100の状態を示し、図7には、ヒートポンプ熱源2が立ち上がって所定時間経過後の流路切替手段100の状態を示している。
【0043】
ヒートポンプ熱源2の立ち上がり時には、ヒートポンプ戻り口18から流路切替手段100に入る温水の温度は、十分上昇していない。
【0044】
図2に示すように、この場合には、例えば湯水沸き上げ設定温度が約35度の場合、ヒートポンプ熱源2からの出湯された湯水の温度が約35度より低いため、形状記憶バネ30は、形状記憶バネ戻しバネの荷重差により縮まっており、フランジ部29aにも荷重差で力が加わりことにより、戻しバネ31がフランジ部29aを右方向の力で常に押しているため、弁部B29cが蓋部27に空いている蓋穴部27aを塞ぐように押さえつけられ、水の流れを遮断している。
【0045】
したがって、ヒートポンプ熱源2から戻ってくる湯水は、弁部A29bと本体部26に空いている本体穴部26aを通り、タンク下戻り口20を出て貯湯槽1の下部に戻る。
【0046】
また、ヒートポンプ熱源2が立ち上がってから所定時間経過後には、生成される温水が高温となっているため、ヒートポンプ戻り口18から流路切替手段100に入る温水の温度は高温となる。
【0047】
図7に示すように、この場合には、例えば湯水沸き上げ設定温度が約35度の場合、ヒートポンプ熱源2からの出湯された湯水の温度が約32度に到達すると形状記憶バネ30は緩やかに伸び始め、湯水の温度が約35度になるまでに戻しバネ31の荷重を超えて、弁部A29bを本体部26に空いている本体穴部26aを塞ぐように軸方向に押さえつける。形状記憶バネ30の動きを熱と荷重による特性や、バネ定数により、熱と荷重の関係を緩やかにすることや、ヒステリシスを設けることで開閉弁29のハンチング現象を防止している。
【0048】
したがって、タンク下戻り口20は確実に閉止され、反対側の弁部B29cと蓋部27に空いている蓋穴部27aが確実に開くためヒートポンプ熱源2から戻ってきた湯はタンク上戻り口21から貯湯槽1の上部に戻る。
【0049】
以上のように、本発明の給湯装置は、温度センサーなどで湯水の温度を計測しながら、流路を切り換える必要がないため、複雑な制御を必要とすることなく、開閉弁29は、軸部29eとフランジ部29aの外周部が内部空間40の側面上と軸受け部26bを同時に複数の支持で摺動面とするように動作するので、水の流れを遮断すべき流路側へ水漏れを生じさせることがなく、確実に流路を切り替えることができ、貯湯槽1の上部に高温水を貯えることができる。
【0050】
また、開閉弁29のフランジ部29aは、開閉弁29の中心より後方に設けることにより、開閉弁29のフランジ部29aは、開閉時に移動しても、ヒートポンプ戻り口18に引っ掛からなくすることで安定して動作できる。
【0051】
また、フランジ部29aの外周に複数の突起部29fを設けることで、内部空間40の側面上を摺動面とするに点接触となり、摺動抵抗を軽減するができるのでスムーズに動作できる。
【0052】
また、フランジ部29a湯水を流すための流路開口部29dを設けたので、内部空間40の内面と開閉弁29の外周面との間に流路を設けることなく、湯水を流通させるのに十分な流路が確保できるので、流路切替手段100を小型化することができる。さらに、フランジ部29aに流路開口部29dを設けたことにより、開閉弁29を軽量化できるので、弾性力の小さい形状記憶バネや戻しバネが使用できるため、形状記憶バネ30や戻しバネ31を小型化でき、ひいては流路切替手段100の全体構造を小型化できる。
【0053】
また、開閉弁29の両端には弁部A29bと弁部B29cとを設けたことにより、一部品で複数の流路の切替が可能となり、流路切替手段100の部品点数を削減できるので、流路切替手段100を小型化するとともに、軽量化や低コスト化も実現できる。
【0054】
さらに、開閉弁29の両端に弁部A29bと弁部B29cとを設けることで、摺動面となる開閉弁29の外周部や、本体部26の内部空間40の側面に、Oリングなどのシール部を設ける必要がなくなる。
【0055】
このため、比較的小さい力で開閉弁29を移動させることができるので、弾性力の小さい形状記憶バネや戻しバネが使用できる。これにより、形状記憶バネ30や戻しバネ31を小型化でき、ひいては流路切替手段100の全体構造を小型化できる。
【0056】
また、開閉弁29には、弁部A29bと弁部B29cを設けることで、例えば、弁部A29bと弁部B29cを高価なゴム材質に、それ以外の本体部は安価な樹脂材質とすることができるので、低コスト化することができる。
【0057】
また、形状記憶バネ30と戻しバネ31の材質が異なることで、戻しバネ31は、高価な形状記憶バネ30の材質ではなく、普通のバネを用いて開閉動作を実現するので、安価に流路切替手段100および給湯装置を生産できる。
【0058】
また、形状記憶バネ30と戻しバネ31の形状が異なることで、例えば、バネの巻き数や外径、自由長や色違いなど目で見て瞬時に判断できる形状にすることで、生産組み立て時に組み間違えがなく生産性を向上できる。
【0059】
さらに、蓋部27には、水抜き構造を形成しているので、冬場に使用者が長期不在時になった時には、水抜き栓本体32aを手で捻ることにより水抜き栓32のシール性を弛めることで、タンク上戻り配管11に溜まった水を外部へ排水することができるので、凍結による流路切替手段100の破壊を防止することができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、形状記憶バネ30は、加熱すると膨張するものとしているが、戻しバネ31と設置位置を逆転すれば、加熱により収縮する形状記憶バネを用いることもできる。また、形状記憶バネ30および戻しバネ31はコイル形状であるとしているが、例えば、板状であってもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、フランジ部29aには、複数の貫通孔により流路開口部29dを形成するものとしているが、図8〜図10に示すように、フランジ部29aに突起部29fと、切り欠き部を設けることで、流路開口部29dを形成してもよい。
【0062】
このようにすれば、フランジ部29aの外周に複数の突起部29fを設けることで、内部空間40の側面上を摺動面とするに点接触となり、摺動抵抗を軽減するができ、流路開口部29dの面積も大きく形成できので、本体部26の外形を更に小さく設計することが可能となる。
【0063】
さらに、フランジ部29aに切り欠き部を設けたことにより、開閉弁29を軽量化できるので、形状記憶バネ30や戻しバネ31を小型化でき、ひいては流路切替手段100の全体構造を小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係る給湯装置は、ヒートポンプサイクルと給湯サイクルが一体に構成された一体型ヒートポンプ式給湯機、別体に構成された分離型ヒートポンプ式給湯機、給湯用熱交換器で加熱したお湯をそのまま出湯できる直接出湯型ヒートポンプ式給湯機などの各種ヒートポンプ給湯機や貯湯式ヒートポンプ温水暖房機に適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 貯湯槽
2 ヒートポンプ熱源(加熱手段)
3 給水管
29 開閉弁
29a フランジ部
29b 弁部A
29c 弁部B
29d 流路開口部
29e 軸部
30 形状記憶バネ
31 戻しバネ
100 流路切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽内の湯水を加熱する加熱手段2と、前記加熱手段により加熱された湯水を前記貯湯槽の上部または下部のいずれかへ送る流路切替手段とを備え、前記流路切替手段は、前記流路切替手段の内面上を複数の摺動面で摺動する略円柱状の開閉弁と、前記開閉弁の一端を支持する形状記憶バネと、前記開閉弁の他端を支持する戻しバネとから構成されることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記開閉弁には、先端部と中央部より後方に配置された摺動方向に対し、同軸の円柱部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記開閉弁の中央部より後方に配置された摺動方向に対し、同軸の円柱部の外形には、複数の突起部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記開閉弁の中央部より後方に配置された摺動方向に対し、同軸の円柱部には、前記加熱手段により加熱された湯水を流通するための流路開口部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記開閉弁の摺動方向に対する両端には、湯水を閉止するための弁部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項6】
前記流路切替手段には、前記加熱手段により加熱された湯水を前記貯湯槽の上部に送る配管内の湯水を抜くための水抜き栓が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−68384(P2013−68384A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208584(P2011−208584)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】