説明

緑化ユニットおよび緑化システムならびに植栽ホルダーおよび収納コンテナ

【課題】壁面などの緑化を簡単に行うことができるとともに、植栽物を必要に応じて簡単に交換する。
【解決手段】正面を開口した箱状に形成された収納コンテナ5に、略トレー状のホルダー本体2を有し、植栽物Pの葉茎部fがホルダー本体2外に露出されるとともに、ホルダー本体2に植栽物Pの根部rが代替土壌に包まれて地面に対して略水平状態に寝かされて収容されてなる植栽ホルダー1を、葉茎部fが開口側、根部rが背壁側54に位置して収納されることにより、緑化ユニットが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、緑化ユニットおよび複数個の緑化ユニットからなる緑化システムならびに緑化ユニットを構成する花卉などを収容可能な植栽ホルダーおよび植栽ホルダーを収納可能な収納コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、蔓性植物を躯体の壁面に植生させて緑化することが知られているが、蔓性植物の成長は緩やかであり、しかも、壁面を満遍なく緑化するためには、長時間を必要とすることから、工業的には採用することは難しい。
【0003】
このため、特許文献1に示すように、コンテナに培土を収容するとともに、植栽物を植え込んだ緑化コンテナを壁面に取り付けることにより、壁面を緑化することが提案されている。
【特許文献1】特開2004−173564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した緑化コンテナは、壁面に取り付けるに際して、壁面にコンテナを固定するための設備が必要となり、簡単に取り付けることが困難である。しかも、上下のコンテナが切り離されて取り付けられることから、灌水を各コンテナに各別に行う必要があり、十分な水の供給が難しい他、季節など必要に応じて苗を交換しようとしても、壁面からコンテナを取り外して行わなければならず、作業が煩雑になるばかりでなく、多くの時間が必要になる。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、壁面などの緑化を簡単に行うことができるとともに、植栽物を必要に応じて簡単に交換することのできる緑化ユニットおよび緑化システムならびに植栽物を収容可能な植栽ホルダーおよび植栽ホルダーを収納可能な収納コンテナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の緑化ユニットは、正面を開口した箱状に形成された収納コンテナに、略トレー状のホルダー本体を有し、植栽物の葉茎部がホルダー本体外に露出されるとともに、ホルダー本体に植栽物の根部が代替土壌に包まれて地面に対して略水平状態に寝かされて収容されてなる植栽ホルダーを、葉茎部が開口側、根部が背壁側に位置して収納されることを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、植栽物の葉茎部がホルダー本体外に露出されるとともに、植栽物の根部が代替土壌に包まれて地面に対して略水平状態に寝かされてホルダー本体に収容される。そして、植栽物が収容されたホルダー本体からなる植栽ホルダーが正面を開口した箱状に形成された収納コンテナに葉茎部が開口側、根部が背壁側に位置して収納されることにより、収納コンテナの正面開口が、該収納コンテナに収納された植栽ホルダーの植栽物の葉茎部によって覆われることから、収納コンテナの正面開口、すなわち、垂直面を植栽物の葉茎部によって緑化することができるととともに、収納コンテナに対して植栽物を収容した植栽ホルダーを交換することにより、簡単に植栽物を変更することができる。
【0008】
本発明の緑化システムは、請求項1記載の複数個の緑化ユニットが、開口側を前面として左右方向および/または上下方向に連続して、もしくは、不連続に配置されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、複数個の緑化ユニットを開口側を前面とし左右方向に連続して、もしくは、不連続に配置して、または、上下方向に連続して、もしくは、不連続に配置して、さらには、左右方向および上下方向に連続して、もしくは、不連続に配置することにより、植栽物の葉茎部による垂直面の緑化を左右方向、または、上下方向、もしくは、上下左右方向に簡単に延長することができる。
【0010】
本発明の植栽ホルダーは、請求項1記載の緑化ユニットを構成する植栽ホルダーであって、正面部、底面部、左右の側面部および背面部からなる上面を開口した略トレー状のホルダー本体を有し、正面部に切欠部が形成され、切欠部を通して植栽物の葉茎部がホルダー本体外に露出されるとともに、ホルダー本体に植栽物の根部が代替土壌に包まれて地面に対して略水平状態に寝かされて収容されることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、植栽物の根部を代替土壌に包むとともに、植栽物の葉茎部をホルダー本体外に露出させて、ホルダー本体に植栽物を略水平状態に寝かして収容することができることから、土壌に植栽物を植え込む作業が不要となり、作業が容易となる。
【0012】
本発明の植栽ホルダーは、請求項1記載の緑化ユニットを構成する植栽ホルダーであって、正面部、底面部、左右の側面部および背面部からなる上面を開口した略トレー状のホルダー本体を有し、正面部に複数個の切欠部が幅方向に間隔をおいて形成され、各切欠部を通して各植栽物の葉茎部がそれぞれホルダー本体外に露出されるとともに、ホルダー本体に複数個の植栽物の各根部がそれぞれ代替土壌に包まれて地面に対して略水平状態に寝かされて収容されることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、各植栽物の根部をそれぞれ代替土壌に包むとともに、各植栽物の葉茎部をそれぞれホルダー本体外に露出させて、ホルダー本体に複数個の植栽物をそれぞれ略水平状態に寝かして収容することができることから、土壌に複数個の植栽物を順次植え込む作業が不要となり、作業が容易となる。
【0014】
本発明において、前記左右の側面部のいずれか一方に近接する底面部に灌水を貯留する堰が形成されるとともに、堰に過剰の水を外部に排水する流出口が形成されることが好ましい。これにより、ホルダー本体に一定量の水を貯えることができることから、代替土壌を通して植栽物の根部に水を供給することができ、水不足による植栽物の枯死を防止することができるとともに、必要以上の水を排水することができる。
【0015】
本発明において、前記隣接する切欠部の間を臨む底面部に灌水を貯留する堰が形成されるとともに、各堰に過剰の水を外部に排水する流出口が形成されることが好ましい。これにより、ホルダー本体に収容された各植栽部に対応してそれぞれ一定量の水を貯えることができることから、代替土壌を通して各植栽物の根部に水を供給することができ、水不足による植栽物の枯死を各別に防止することができるとともに、必要以上の水を排水することができる。
【0016】
本発明において、前記切欠部に臨んで底面部に植栽物の根部を包む代替土壌を底面部から離隔して支持する支持リブが立設されることが好ましい。これにより、代替土壌が底面部に接触しないように支持することができ、貯えられた水に根部が常時浸漬して根腐れを生じることを防止できる。
【0017】
本発明において、前記左右の側面部に外方に延出するフランジが形成されるとともに、その背面部側に係止片が垂設されることが好ましい。これにより、植栽ホルダーをフランジを利用して収納コンテナに懸吊することができ、収納コンテナに上下方向に複数個の植栽ホルダーを収容することが可能となる。また、係止片を利用して懸吊された植栽ホルダーの収納コンテナからの脱落を防止することができる。
【0018】
本発明において、前記ホルダー本体に、正面部、上面部、左右の側面部および背面部からなる下面を開口した略逆トレー状の蓋体がヒンジを介して開閉自在に連結される一方、蓋体の正面部に、ホルダー本体の正面部に形成された切欠部に対応して上下略対称な切欠部が形成されることが好ましい。これにより、植栽ホルダーをホルダー本体および蓋体からなる略密閉空間に形成することができ、灌水の蒸発を抑えることができる。
【0019】
本発明において、前記蓋体の上面部に植栽物の根部に臨んで下り勾配の傾斜面による谷が形成されるとともに、谷に灌水を内部に導く導入口が形成されることが好ましい。これにより、植栽ホルダーの上方から散水すれば、水は蓋体の傾斜面に沿って流下し、導入口を通して植栽物の根部に滴下することから、植栽物の根部に確実に給水することができるとともに、灌水作業が容易となる。
【0020】
本発明の収納コンテナは、請求項1記載の緑化ユニットを構成する収納コンテナであって、底壁部、左右の側壁部、上壁部および背壁部からなる正面を開口した箱状に形成され、その収容空間に請求項3乃至10のいずれか一つに記載の植栽ホルダーが収納されることを特徴とするものである。
【0021】
本発明によれば、収納コンテナの収容空間に請求項3乃至10のいずれか一つに記載の1個または複数個の植栽ホルダーを収容することができる。
【0022】
本発明の収納コンテナは、請求項1記載の緑化ユニットを構成する収納コンテナであって、底壁部、左右の側壁部、上壁部および背壁部からなる正面を開口した横長の箱状に形成されるとともに、幅方向に間隔をおいて1個または複数個の隔壁が立設されて内部が複数個の収容空間に区画され、隔壁によって区画された各収容空間に請求項3乃至10のいずれか一つに記載の植栽ホルダーがそれぞれ収納されることを特徴とするものである。
【0023】
本発明によれば、収納コンテナの内部に隔壁によって複数個の収容空間を形成することが可能となり、各収容空間に請求項3乃至10のいずれか一つに記載の1個または複数個の植栽ホルダーを収容することができる。
【0024】
本発明の収納コンテナは、請求項1記載の緑化ユニットを構成する収納コンテナであって、底壁部、左右の側壁部、上壁部および背壁部からなる正面を開口した箱状に形成されるとともに、左右の側壁部の内面に、前記植栽ホルダーに形成されたフランジに対応して1個または上下方向に間隔をおいて複数個のガイドレールが背壁部側に係止片に相当する長さを除いて前後方向にほぼ水平に形成された収容空間に請求項8記載の1個の植栽ホルダーまたは上下方向に間隔をおいて複数個の植栽ホルダーがそれぞれ左右対向するガイドレールに左右のフランジが支持されて収納されることを特徴とするものである。
【0025】
本発明によれば、収納コンテナの収容空間に請求項8記載の1個の植栽ホルダーをその係止片によって脱落を防止して、または、複数個の植栽ホルダーを上下方向に重ねて、かつ、各係止片によって各別に脱落を防止して収容することができる。
【0026】
本発明の収納コンテナは、請求項1記載の緑化ユニットを構成する収納コンテナであって、底壁部、左右の側壁部、上壁部および背壁部からなる正面を開口した横長の箱状に形成されるとともに、幅方向に間隔をおいて1個または複数個の隔壁が立設されて内部が複数個の収容空間に区画され、また、左右の側壁部の内面に、前記植栽ホルダーに形成されたフランジに対応して1個または上下方向に間隔をおいて複数個のガイドレールが背壁部側に係止片に相当する長さを除いて前後方向にほぼ水平に形成されるとともに、各隔壁の左右外面に、左右の側壁部にそれぞれ形成された1個または複数個のガイドレールに対応してそれぞれ左右対称な1個または複数個のガイドレールが形成され、隔壁によって区画された各収容空間に請求項8記載の1個の植栽ホルダーまたは上下方向に間隔をおいて複数個の植栽ホルダーがそれぞれ左右対向するガイドレールに左右のフランジが支持されて収納されることを特徴とするものである。
【0027】
本発明によれば、収納コンテナの内部に隔壁によって複数個の収容空間を形成することが可能となり、各収容空間に請求項8記載の1個の植栽ホルダーをその係止片によって脱落を防止して、または、複数個の植栽ホルダーを上下方向に重ねて、かつ、各係止片によって各別に脱落を防止してそれぞれ収容することができる。
【0028】
本発明において、請求項11乃至14のいずれか一つに記載の収納コンテナにおいて、収納された植栽ホルダーに収容された植栽物の根部または植栽ホルダーの上面部に形成された谷に臨んで上壁部に下り勾配の傾斜面による谷が形成されるとともに、谷に灌水を内部に流入させる流入口が形成されることが好ましい。これにより、収納コンテナの上方から散水すれば、水は上壁部の傾斜面に沿って流下し、流入口を通して植栽物の根部に直接滴下し、または、植栽ホルダーの上面部に形成された谷に向けて滴下するとともに、その導入口を通して植栽物の根部に滴下することから、植栽物の根部に確実に給水することができるとともに、灌水作業が容易となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の緑化ユニットによれば、植栽物を収容した植栽ホルダーを収納コンテナに収納することにより、その正面開口を植栽ホルダーから外方に露出された植栽物の葉茎部で覆って簡単に緑化することができるとともに、必要に応じて植栽物を収容した植栽ホルダーを交換して、植栽物を簡単に変更することができる。また、このような緑化ユニットを左右方向および/または上下方向に複数個配置することにより、それらの正面側開口群を一定長さにわたって、または、一定高さにわたって、もしくは、一定長さと高さにわたって緑化することができる。
【0030】
また、本発明の植栽ホルダーによれば、植栽物を簡単に収容してその正面側を葉茎部で覆うことができるとともに、必要に応じて植栽物を交換して変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1には、本発明の緑化システム1が示されている。
【0033】
この緑化システム100は、複数個の緑化ユニット10を上下方向に積み重ねるとともに、左右方向に延設して形成されている。そして、各緑化ユニット10は、複数個の植栽ホルダー1を収納コンテナ5に収納して形成されている。
【0034】
まず、植栽ホルダー1は、図2に示すように、プラスチックによって成形されたホルダー本体2および該ホルダー本体2とほぼ上下対称な蓋体3を開閉自在に連結して構成され、内部に複数個(図においては2個)の植栽物Pの各根部rをそれぞれ代替土壌Sで包んで幅方向に間隔をおいて収容されるように設定されている。
【0035】
ここで、代替土壌Sとしては、吸水性、保水性を有し、かつ、非流出性を有する培土であって、例えば、水苔、ヤシ殻繊維、ロックウール、連続気泡の発泡体などをこのままで、あるいは、不織布などのシート状物として、または、植栽物Pの根部rを収容可能にブロック状に成形したものなどを挙げることができる。
【0036】
ホルダー本体2は、正面部21、底面部22、左右の側面部23および背面部24によって上面を開口した略トレー状に形成されている。そして、ホルダー本体2の正面部21には、代替土壌に包まれた植栽物Pの根部rをコンテ本体2に残してその葉茎部fを外方に露出させる複数個の半円状の切欠部21aが幅方向に間隔をおいて形成されている。
【0037】
一方、ホルダー本体2の底面部22には、隣接する切欠部21a間となる幅方向の中央部において、前後方向にわたって上方に立ち上げられた堰221が形成されており、この堰221には、流出口22aが前後方向に間隔をおいて形成されている。これにより、ホルダー本体2の底面部22には、堰221を越えて流出口22aより流出するまでの高さの水を貯留することができる。また、ホルダー本体2の底面部22には、堰221によって区画された左右各半部において、つまり、各切欠部21aに臨んでそれぞれ代替土壌Sによって包まれた植栽物Pの根部rをそれぞれ支持する支持リブ222が前後方向に間隔をおいて立設されており、代替土壌Sが底面部22に直接接触することが防止されている。
【0038】
なお、支持リブ222には、底面部22に貯留された水が前後流通するように、それぞれ切欠部22bが形成されている。
【0039】
ホルダー本体2の左右の側面部23は、上方に向かって若干外方に傾斜しており、その上端縁に外方に延出するフランジ231が形成されるとともに、その背面部側端部には、係止片232が垂設されている。これにより、後述する収納コンテナ5のガイドレール521,551に係止片232を沿わせて植栽ホルダー1を摺動させることができ、収納コンテナ5に植栽ホルダー1を収容し、あるいは、収納コンテナ5から収容された植栽ホルダー1を引き出すことができる。
【0040】
なお、植栽ホルダー1におけるホルダー本体2の係止片232は、後述するように、収納コンテナ5のガイドレール521,551に形成された切欠部52a,55aに落ち込むことにより、植栽ホルダー1が収納コンテナ5から不用意に脱落することが防止されている。
【0041】
蓋体3は、正面部31、上面部32、左右の側面部33および背面部34によって下面を開口した略逆トレー状に形成され、その背面部34がホルダー本体2の背面部24にPPヒンジを介して連結されている。そして、ホルダー本体2に対して蓋体3をヒンジ回りに回動させてホルダー本体2の上面開口を閉鎖した際、ホルダー本体2の正面部21、左右の側面部23および背面部24の面一な上端面に蓋体3の正面部31、左右の側面部33および背面部34の面一な下端面が接合し、略直方体状の箱を形成するように設定されている。
【0042】
蓋体3の正面部31には、ホルダー本体2の正面部21に形成された複数個の半円状の切欠部21aにそれぞれ対応して上下対称な複数個の半円状の切欠部31aが形成されており、蓋体3によってホルダー本体2の上面開口を閉鎖した際、それらの正面部21,31の外面および内面がそれぞれ面一に連続し、複数個の円形状穴が形成されるようになっている。これにより、代替土壌Sによって包まれた植栽物Pの根部rを植栽ホルダー1の内部に残して、その正面に形成された円形状穴を通して植栽物Pの葉茎部fを外方に露出させることができる(図3参照)。
【0043】
また、蓋体3の上面部32は、その左右各半部において、その幅方向の中央部に向けて下り勾配の一対の傾斜面321に形成されるとともに、一対の傾斜面321が交差する谷には、導入口32aが形成されている。したがって、植栽ホルダー1における蓋体3の上面部32に散水した際、水を下り勾配の傾斜面321に沿ってそれぞれ左右各半部の谷に集めて導入口32aから内部に滴下させることができる。これにより、植栽ホルダー1に収容された複数個の植栽物Pの各根部rにそれぞれ代替土壌Sを通して水を供給することができるとともに、代替土壌Sを通過した水は、ホルダー本体2の底面部22に滴下して貯留され、過剰の水は、堰221を溢れて流出口22aから外部に流出する。
【0044】
なお、上面部32は、正面部31、左右の側面部33および背面部34の各上端面よりも低い位置に形成されている。したがって、植栽ホルダー1を上下に積み重ねた際、下方の植栽ホルダー1における蓋体3の周縁上端面に、上方の植栽ホルダー1におけるホルダー本体2の底面部22が載置され、上方の植栽ホルダー1におけるホルダー本体2の底面部22と下方の植栽ホルダー1における蓋体3の上面部32との間には一定の空間が確保されるようになっている。
【0045】
蓋体3の左右の側面部33は、下方に向かって若干外方に傾斜しており、その下端縁に前述したホルダー本体2の左右の側面部23に形成されたフランジ231に対応して外方に延出するフランジ331が形成されている。そして、蓋体3によってホルダー本体2の上面開口を閉鎖した際、ホルダー本体2の左右の側面部23の上端面に蓋体3の左右の側面部33の下端面が接合し、それらの内端縁が略面一に連続するように設定されている。
【0046】
なお、植栽ホルダー1を成形するプラスチックとしては、ポリプロピレンなどの汎用のプラスチックでもよいが、生分解性プラスチックを採用することが好ましい。これにより、代替土壌Sによって根部rが包まれた植栽物Pを植栽ホルダー1に収容した状態で廃棄しても、土に還ることになり、植栽物Pを季節などによって交換する場合に、分別作業が不要となり、容易に交換することができるとともに、廃棄物処理コストを低減させることが可能となる。
【0047】
一方、収納コンテナ5は、底壁部51、左右の側壁部52、上壁部53および背壁部54によって正面を開口した横長の箱状に形成され、その内部が複数個の隔壁55によって複数個に区画されている。具体的には、収納コンテナ5は、2枚の隔壁55によって幅方向に3分割され、区画された各収容空間にそれぞれ上下2段の植栽ホルダー1が収容可能となっている。つまり、1個の収納コンテナ5は、6個の植栽ホルダー1を収容することができ、1個の収納コンテナ5に6個の植栽ホルダー1を収容して緑化ユニット10が形成される。
【0048】
なお、収納コンテナ5の正面側開口端には、背壁部54の外形寸法に一致する外形寸法の補強フランジ5aが外方に延出されている。
【0049】
収納コンテナ5の底壁部51には、区画された各収容空間の幅方向の中央部において、排水口51aが形成されている他、その外面の隔壁55が対応する位置において、前後方向の中間部に下方より見て十字状の溝からなる複数個の嵌合凹部(図示せず)が形成されており、後述する上壁部53に形成された嵌合凸部531と互いに嵌合可能となっている。
【0050】
また、収納コンテナ5の左右の側壁部52には、その内面に植栽ホルダー1のホルダ本体2の側面部23に形成された係止片232を案内する2条のガイドレール521が上下方向に間隔をおいて形成されている。同様に、各隔壁55の左右外面にも、側壁部52の2条のガイドレール521にそれぞれ対応して左右対称な2条のガイドレール551が形成されている。これらのガイドレール521,551は、背壁部端部が植栽ホルダー1におけるホルダー本体2に形成された係止片232の長さに相当する長さにわたって切り欠かれており、これにより、前述した植栽ホルダー1の係止片232を切欠部52a,55aに落とし込むことができる。すなわち、収納コンテナ5の区画された各収容空間において、ガイドレール521,551に沿って植栽ホルダー1の左右の係止片232を摺動させて押し込むことにより、植栽ホルダー1の左右の係止片232がガイドレール521,551の切欠部52a,55aに落ち込むことになる。この結果、係止片232がガイドレール521,551の先端と係合し、植栽ホルダー1が収納コンテナ5から脱落することを防止できる。
【0051】
ここで、下方のガイドレール521,551は、その切欠部52a,55aに植栽ホルダー1の係止片232が落ち込んだ際、植栽ホルダー1の底面部22が収納コンテナ5の底壁部51に載置されるとともに、そのホルダー本体2の側面部23の各フランジ231がガイドレール521,551に載置されるように、高さ位置が設定されている。また、上方のガイドレール521,551は、その切欠部52a,55aに植栽ホルダー1の係止片232が落ち込んだ際、上方の植栽ホルダー1の底面部22が下方の植栽ホルダー1の蓋体3の上端面に載置されるとともに、そのホルダー本体2の側面部23の各フランジ231がガイドレール521,551に載置されるように、高さ位置が設定されている。
【0052】
また、収納コンテナ5の左右の側壁部52の下端縁部内面には、その前後方向中間部において、下方より見てT字状の溝からなる嵌合凹部(図示せず)が底壁部51の外面にわたって形成され、また、上端縁部内面には、その前後方向中間部において、上方より見てT字状のリブからなる嵌合凸部522が上端縁から突出しつつ上壁部53の外面にわたって形成されている。したがって、収納コンテナ5の上面に収納コンテナ5を積み重ねた際、下方の収納コンテナ5の左右の側壁部52の上端縁に突出して形成された嵌合凸部522に、上方の収納コンテナ5の左右の側壁部52の下端縁部に形成された嵌合凹部がそれぞれ嵌合し、下方の収納コンテナ5に対して上方の収納コンテナ5の移動を防止することができる。
【0053】
なお、左右の側壁部52には、灌水ホースHを配置するための切欠部52bが左右方向に連続するように形成されている。
【0054】
一方、収納コンテナ5の上壁部53には、前後方向中間部において、その外面の隔壁55が対応する位置に上方より見て十字状のリブからなる複数個の嵌合凸部531が形成されており、前述した底壁部51に形成された嵌合凹部にそれぞれ嵌合可能となっている。すなわち、収納コンテナ5の上面に収納コンテナ5を積み重ねた際、下方の収納コンテナ5の上壁部53に形成された嵌合凸部531に、上方の収納コンテナ5の底壁部51に形成された嵌合凹部がそれぞれ嵌合し、下方の収納コンテナ5に対して上方の収納コンテナ5の移動を防止することができる。
【0055】
なお、これらの嵌合凸部531は、各隔壁55に対応して前後方向に延びる補強リブ533によって補強されている他、これらの補強リブ533には、灌水ホースHを配置するための切欠部53bが、前述した左右の側壁部52の上端縁部にそれぞれ形成された切欠部52bと左右方向にほぼ一線に連続するように形成されている。
【0056】
また、収納コンテナ5の上壁部53には、隔壁55によって区画された各収容空間において、その幅方向の中央部を基準として、それらの左右各半部の中間部に向けて一対の下り勾配の傾斜面532に形成されるとともに、一対の下り勾配の傾斜面532が交差する谷には、流入口53aが形成されている。つまり、収納コンテナ5の上壁部53には、隔壁55によって区画された各収容空間にそれぞれ植栽ホルダー1を収納した際、その蓋体3の上面部32に形成された2本の谷にそれぞれ対応する直上位置に2本の谷が形成されるものである。
【0057】
したがって、収納コンテナ5の上壁部53に散水した際、隔壁55によって区画された各収容空間において、水を上壁部53の各傾斜面532に沿って左右各半部の中央部となる2本の谷に導くとともに、流入口53aを通して植栽ホルダー1における蓋体3の上面部32に形成された谷を経て導入口32aから滴下させることができる。
【0058】
次に、このように構成された植栽ホルダー1を収納コンテナ5に収納して緑化ユニット10を形成するとともに、複数個の緑化ユニット10によって緑化システム100を形成する要領について説明する。
【0059】
まず、多数の植栽物Pの各根部rをそれぞれ代替土壌Sで包んで用意するとともに、多数の植栽ホルダー1のホルダー本体2に対して各蓋体3をヒンジ回りに回動し、ホルダー本体2の上面を開口しておく。
【0060】
次いで、代替土壌Sによって包まれた植栽物Pの根部rを、植栽ホルダー1におけるホルダー本体2の底面部22に立設された左右の支持リブ222上に略水平状態に寝かせて配置し、支持させる。この際、各植栽物Pの葉茎部fを植栽ホルダー1におけるホルダー本体2の正面部21の切欠部21aを通してそれぞれ外方に露出させる。植栽ホルダー1のホルダー本体2に2個の植栽物Pを収容したならば、その蓋体3をヒンジ回りに回動させ、ホルダー本体2の上面開口を蓋体3によって閉鎖する。この際、詳細には図示しないが、蓋体3に設けた係止爪がホルダー本体2に係合し、ホルダー本体2に対して蓋体3が閉鎖状態に保持される。以下、同様に、植栽ホルダー1に植栽物Pを収容する。
【0061】
このようにして、植栽物Pが収容された植栽ホルダー1は、収納コンテナ5における隔壁55によって区画された各収容空間に収納される。すなわち、植栽物Pが収容された植栽ホルダー1を葉茎部fが手前に位置するように把持した後、各収容空間における下方のガイドレール521,551に植栽ホルダー1におけるホルダー本体2の係止片232を載せて、背壁部54に向けて押し込む。これにより、植栽ホルダー1は、下方のガイドレール521,551に沿って係止片232が摺動する。そして、係止片232がガイドレール521,551の切欠部52a,55aに達すれば、係止片232がガイドレール521,551の切欠部52a,55aに落ち込むことから、植栽ホルダー1の底面部22が収納コンテナ5の底壁部51に載置されるともに、植栽ホルダー1におけるホルダー本体2の左右のフランジ231が下方のガイドレール521,551に載置される。この際、植栽ホルダー1の係止片232がガイドレール521,551の切欠部52a,55aに落ち込んで、係止片232がガイドレール521,551の先端に係合することから、係止片232、すなわち、植栽ホルダー1の移動が阻止され、収納コンテナ5からの植栽ホルダー1の脱落が防止される。
【0062】
隔壁55によって区画された各収容空間における下方のガイドレール521,551に植栽ホルダー1を収納し、支持したならば、同様にして、隔壁55によって区画された各収容空間における上方のガイドレール521,551に植栽ホルダー1におけるホルダー本体2の係止片232を載せ、背壁部54に向けて押し込む。これにより、植栽ホルダー1は、上方のガイドレール521,551に沿って係止片232が摺動する。そして、係止片232がガイドレール521,551の切欠部52a,55aに達すれば、係止片232がガイドレール521,551の切欠部52a,55aに落ち込むことから、植栽ホルダー1の底面部22が先に収納された植栽ホルダー1の上端面に載置されるともに、植栽ホルダー1の左右のフランジ231が上方のガイドレール521,551に載置されて支持される。この際、植栽ホルダー1の係止片232がガイドレール521,551の先端に係合し、植栽ホルダー1の移動が阻止される結果、収納コンテナ5からの植栽ホルダー1の脱落が防止される。
【0063】
隔壁55によって区画された各収容空間における上方のガイドレール521,551に植栽ホルダー1を収納し、支持すれば、植栽物Pをそれぞれ収容した合計6個の植栽ホルダー1を収納コンテナ5に収納して緑化ユニット10が形成される。これにより、収納コンテナ5の正面開口は、植栽ホルダー1の外方に露出された植栽物Pの葉茎部fが覆うことになり、その正面開口である垂直面を緑化することができる。
【0064】
多数の緑化ユニット10が形成されたならば、緑化ユニット10を上下方向に積み重ねるとともに、左右方向に延設して、複数列、複数段の緑化ユニット10からなる壁状の緑化システム100が形成される。
【0065】
この場合、緑化ユニット10を複数段に積み重ねるにあたって、下方の緑化ユニット10を構成する収納コンテナ5の上壁部53に形成された嵌合凸部531および側壁部52の上端部に形成された嵌合凸部522に、上方の緑化ユニット10を構成する収納コンテナ5の底壁部51に形成された嵌合凹部および左右の側壁部52の下端縁部に形成された嵌合凹部を嵌合させ、下方の緑化ユニット10に対する上方の緑化ユニット10の移動を防止し、容易に脱落しないように規制する。
【0066】
また、下方の緑化ユニット10を構成する収納コンテナ5の上壁部53に、設定間隔で注水口が形成された灌水ホースHを配置し、左右方向に緑化ユニット10を延設する際に、連続する緑化ユニット10を構成する収納コンテナ5の上壁部53に配置される灌水ホースHと接続できるようにしておく。そして、複数列、複数段の緑化ユニット10からなる壁状の緑化システム100が形成されたならば、左右方向に接続された灌水ホースHの一端部同士を図示しない上下方向に延びる灌水パイプに接続するとともに、他端部を閉鎖し、灌水パイプを図示しない給水源、例えば、水栓金具に接続すればよい。
【0067】
したがって、給水源を作動させて水を灌水パイプに供給すれば、灌水パイプから各灌水ホースHに水が供給され、各灌水ホースHの注水口から水が流出し、各緑化ユニット10を構成する収納コンテナ5の上壁部53に散水する。
【0068】
この場合、任意の収納コンテナ5の上壁部53に供給された水は、隔壁55によって区画された各収容空間に対応する部分毎に傾斜面532に沿って流下し、それぞれ一対の傾斜面532によって形成された各谷に集められた後、各谷において流入口53aを通して内部に流入する。そして、収納コンテナ5の上壁部53に形成された各流入口53aは、該流入口53aが上方の植栽ホルダ1における蓋体3の上面部32に一対の傾斜面321によって形成された各谷と対向することにより、各流入口53aから滴下した水は、直接各谷に形成された導入口32aから滴下する。あるいは、各流入口53aから流出した水は、上方の植栽ホルダ1における蓋体3の上面部32に形成された傾斜面321を流下して各谷に集められ、その導入口32aから滴下する。
【0069】
次いで、上方の植栽ホルダ1の上面部32に形成された導入口32aを通して内部に流入した水は、上方の植栽ホルダー1に収容された植栽物Pの根部rに代替土壌Sを通して供給される。一方、上方の植栽ホルダー1に収容された植栽物Pの根部rに供給された水は、代替土壌Sを通して滴下し、底面部22に貯留される。上方の植栽ホルダー1の底面部22に水が順次滴下し、水位が上昇して堰221を越えると、堰221に形成された流出口22aから流出する。そして、上方の植栽ホルダ1の底面部22に形成された流出口22aから流出した水は、収納コンテナ5の下方に収納された植栽ホルダ1における蓋体3の上面部32に滴下し、上面部32の傾斜面321に沿って流下するとともに、一対の傾斜面321によって形成された各谷に集められ、その導入口32aから内部に流入する。下方の植栽ホルダ1の内部に導入口32aから滴下した水は、その内部に収容された植栽物Pの根部rに代替土壌Sを通して供給された後、代替土壌Sを通して流下し、底面部22に貯留される。下方の植栽ホルダー1の底面部22に水が順次滴下し、水位が上昇して堰221を越えると、堰221に形成された流出口22aから流出する。
【0070】
この場合、下方の植栽ホルダー1の底面部22に形成された流出口22aは、収納コンテナ5の底壁部51に形成された排水口51aと対向していることにより、下方の植栽ホルダー1の底面部22に形成された流出口22aから滴下する水は、収納コンテナ5の底壁部51に形成された排水口51aを通して下方の収納コンテナ5の上壁部53に流下し、下方の収納コンテナ5の上壁部53に供給された水と合流して、以下前述したように、下方の収納コンテナ5に収納された上方の植栽ホルダ1の植栽物Pに水を供給した後、その下方の植栽ホルダ1の植栽物Pに水を供給するものである。
【0071】
なお、最下段の収納コンテナ5においては、その下端面に接合可能な受け皿6が配設されており、上方から順に流下し、最下段の収納コンテナ5の排水口51aから水が流出すると、地面などへの流出を防止して、最終的に受け皿6に回収される。したがって、受け皿6に水が一定量貯留されたならば、この水を再び灌水に利用することも可能となる。
【0072】
このように、複数列および複数段の緑化ユニット10によって簡単に緑化システム100を形成することができる。例えば、壁面に沿って緑化ユニット10を積み重ねることにより、壁面を緑化したり、公園や学校などの公共施設の周囲に緑化ユニット10を複数段にわたって積み重ねて、生垣や外構を形成することもできる。しかも、収納する植栽ホルダー1を簡単に交換することができることから、季節によって植栽物Pを変更することも可能となる。例えば、植栽物Pを変更する場合は、植栽ホルダー1の後端部を持ち上げてその係止片232をガイドレール521,551に載せた後、植栽ホルダー1を引き出し、新たな植栽物Pを収納した植栽ホルダー1を空いた収容空間に押し込めばよい。
【0073】
なお、前述した実施形態においては、植栽ホルダー1をホルダー本体2と、該ホルダー本体2に回動自在に連結された蓋体3とから構成した場合を例示したが、必ずしも蓋体3を設ける必要はなく、ホルダー本体2によって植栽ホルダー1を構成するようにしてもよい。
【0074】
また、植栽ホルダー1に収容する植栽物Pの数としては、2個に限定するものではなく、3個以上であってもよく、図6に示すように、1個の植栽物Pを収容可能な植栽ホルダー1であってもよい。図6の植栽ホルダーも、先に説明した植栽ホルダーと同一の構造を有しており、同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0075】
さらに、収納コンテナ5としては、2個の植栽物Pを収容した植栽ホルダー1を幅方向に3個、上下方向2個、合計6個の植栽ホルダー1を収納する場合を説明したが、植栽ホルダー1の大きさに合わせて、隔壁55の立設位置および数を変更することにより、幅方向に任意の数の植栽ホルダー1、すなわち、植栽物Pの個数を変えるようにしてもよい。同様に、上下方向に3個以上の植栽ホルダー1を収納するようにしてもよい。この場合、積み重ねられる複数個の植栽ホルダー1の各フランジ231の高さに合わせて、例えば、蓋体3を有する植栽ホルダー1のフランジ231に合わせて、あるいは、蓋体3のない植栽ホルダー1のフランジ231に合わせて、ガイドレール521,551を設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の緑化システムの一実施形態を基本ユニットとともに示す概略斜視図である。
【図2】本発明の植栽ホルダーの一実施形態を植栽物およびその根部を包む代替土壌とともに示す斜視図である。
【図3】本発明の収納コンテナの一実施形態を植栽物を収容した植栽ホルダーとともに示す斜視図である。
【図4】収納コンテナに植栽物を収容した植栽ホルダーを収納した状態を一部省略して示す断面図である。
【図5】植栽ホルダーのフランジと収納コンテナのガイドレールおよびその切欠部の関係を説明する説明図である。
【図6】植栽ホルダーの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1 植栽ホルダー
2 ホルダー本体
21 正面部
21a 切欠部
22 底面部
22a 流出口
221 堰
222 支持リブ
23 側面部
231 フランジ
232 係止片
3 蓋体
31 正面部
31a 切欠部
32 上面部
32a 導入口
321 傾斜面
33 側面部
5 収納コンテナ
51 底壁部
51a 排水口
52 側壁部
52a 切欠部
521 ガイドレール
53 上壁部
53a 流入口
532 傾斜面
55 隔壁
55a 切欠部
551 ガイドレール
10 緑化ユニット
100 緑化システム
P 植栽物
f 葉茎部
r 根部
S 代替土壌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面を開口した箱状に形成された収納コンテナに、略トレー状のホルダー本体を有し、植栽物の葉茎部がホルダー本体外に露出されるとともに、ホルダー本体に植栽物の根部が代替土壌に包まれて地面に対して略水平状態に寝かされて収容されてなる植栽ホルダーを、葉茎部が開口側、根部が背壁側に位置して収納されることを特徴とする緑化ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の複数個の緑化ユニットが、開口側を前面として左右方向および/または上下方向に連続して、もしくは不連続に配置されることを特徴とする緑化システム。
【請求項3】
請求項1記載の緑化ユニットを構成する植栽ホルダーであって、正面部、底面部、左右の側面部および背面部からなる上面を開口した略トレー状のホルダー本体を有し、正面部に切欠部が形成され、切欠部を通して植栽物の葉茎部がホルダー本体外に露出されるとともに、ホルダー本体に植栽物の根部が代替土壌に包まれて地面に対して略水平状態に寝かされて収容されることを特徴とする植栽ホルダー。
【請求項4】
請求項1記載の緑化ユニットを構成する植栽ホルダーであって、正面部、底面部、左右の側面部および背面部からなる上面を開口した略トレー状のホルダー本体を有し、正面部に複数個の切欠部が幅方向に間隔をおいて形成され、各切欠部を通して各植栽物の葉茎部がそれぞれホルダー本体外に露出されるとともに、ホルダー本体に複数個の植栽物の各根部がそれぞれ代替土壌に包まれて地面に対して略水平状態に寝かされて収容されることを特徴とする植栽ホルダー。
【請求項5】
請求項3記載の植栽ホルダーにおいて、前記左右の側面部のいずれか一方に近接する底面部に灌水を貯留する堰が形成されるとともに、堰に過剰の水を外部に排水する流出口が形成されることを特徴とする植栽ホルダー。
【請求項6】
請求項4記載の植栽ホルダーにおいて、前記隣接する切欠部の間を臨む底面部に灌水を貯留する堰が形成されるとともに、各堰に過剰の水を外部に排水する流出口が形成されることを特徴とする植栽ホルダー。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか一つに記載の植栽ホルダーにおいて、前記切欠部に臨んで底面部に植栽物の根部を包む代替土壌を底面部から離隔して支持する支持リブが立設されることを特徴とする植栽ホルダー。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか一つに記載の植栽ホルダーにおいて、前記左右の側面部に外方に延出するフランジが形成されるとともに、その背面部側に係止片が垂設されることを特徴とする植栽ホルダー。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれか一つに記載の植栽ホルダーにおいて、前記ホルダー本体に、正面部、上面部、左右の側面部および背面部からなる下面を開口した略逆トレー状の蓋体がヒンジを介して開閉自在に連結される一方、蓋体の正面部に、ホルダー本体の正面部に形成された切欠部に対応して上下略対称な切欠部が形成されることを特徴とする植栽ホルダー。
【請求項10】
請求項9記載の植栽ホルダーにおいて、前記蓋体の上面部に植栽物の根部に臨んで下り勾配の傾斜面による谷が形成されるとともに、谷に灌水を内部に導く導入口が形成されることを特徴とする植栽ホルダー。
【請求項11】
請求項1記載の緑化ユニットを構成する収納コンテナであって、底壁部、左右の側壁部、上壁部および背壁部からなる正面を開口した箱状に形成され、その収容空間に請求項3乃至10のいずれか一つに記載の植栽ホルダーが収納されることを特徴とする収納コンテナ。
【請求項12】
請求項1記載の緑化ユニットを構成する収納コンテナであって、底壁部、左右の側壁部、上壁部および背壁部からなる正面を開口した横長の箱状に形成されるとともに、幅方向に間隔をおいて1個または複数個の隔壁が立設されて内部が複数個の収容空間に区画され、隔壁によって区画された各収容空間に請求項3乃至10のいずれか一つに記載の植栽ホルダーがそれぞれ収納されることを特徴とする収納コンテナ。
【請求項13】
請求項1記載の緑化ユニットを構成する収納コンテナであって、底壁部、左右の側壁部、上壁部および背壁部からなる正面を開口した箱状に形成されるとともに、左右の側壁部の内面に、前記植栽ホルダーに形成されたフランジに対応して1個または上下方向に間隔をおいて複数個のガイドレールが背壁部側に係止片に相当する長さを除いて前後方向にほぼ水平に形成された収容空間に請求項8記載の1個の植栽ホルダーまたは上下方向に間隔をおいて複数個の植栽ホルダーがそれぞれ左右対向するガイドレールに左右のフランジが支持されて収納されることを特徴とする収納コンテナ。
【請求項14】
請求項1記載の緑化ユニットを構成する収納コンテナであって、底壁部、左右の側壁部、上壁部および背壁部からなる正面を開口した横長の箱状に形成されるとともに、幅方向に間隔をおいて1個または複数個の隔壁が立設されて内部が複数個の収容空間に区画され、また、左右の側壁部の内面に、前記植栽ホルダーに形成されたフランジに対応して1個または上下方向に間隔をおいて複数個のガイドレールが背壁部側に係止片に相当する長さを除いて前後方向にほぼ水平に形成されるとともに、各隔壁の左右外面に、左右の側壁部にそれぞれ形成された1個または複数個のガイドレールに対応してそれぞれ左右対称な1個または複数個のガイドレールが形成され、隔壁によって区画された各収容空間に請求項8記載の1個の植栽ホルダーまたは上下方向に間隔をおいて複数個の植栽ホルダーがそれぞれ左右対向するガイドレールに左右のフランジが支持されて収納されることを特徴とする収納コンテナ。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか一つに記載の収納コンテナにおいて、収納された植栽ホルダーに収容された植栽物の根部または植栽ホルダーの上面部に形成された谷に臨んで上壁部に下り勾配の傾斜面による谷が形成されるとともに、谷に灌水を内部に流入させる流入口が形成されることを特徴とする収納コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−82102(P2009−82102A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258684(P2007−258684)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(390033112)積水テクノ成型株式会社 (48)
【Fターム(参考)】