説明

締結具およびその製造方法

【課題】防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結において、所定の締め付けトルクで締め付けた際に要求される軸力を得ることが可能な締結具の提供。
【解決手段】防錆用溶射皮膜101b,102b,103bが形成された被締結体100の締結に使用される締結具であって、頭部1aおよびねじ部1cを含む全面に防錆用溶射皮膜10が形成されたボルト1と、被締結体100を挟んでボルト1のねじ部1cに締め付けられるナットであり、ねじ部1cと被締結体100側の接触面(座面2b)とを除く全面に防錆用溶射皮膜20が形成されたナット2と、ボルト1の頭部1aまたはナット2と被締結体100との間に配置されるワッシャであり、被締結体100側の接触面3a,4aを除く全面に防錆用溶射皮膜30,40が形成されたワッシャ3,4とを含む締結具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば日本工業規格であるJIS H 8300:2005「亜鉛・アルミニウム及びそれらの合金の溶射」にて規定されている鉄鋼の防食目的で施される亜鉛・アルミニウム及びそれらの合金の溶射被膜に準ずるアルミニウム、亜鉛アルミニウム合金やアルミニウムマグネシウム合金などの防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に使用される締結具およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路橋の鋼桁などの鋼構造物の腐食対策として、工場において鋼構造物の表面に高耐食性合金を溶射することにより高耐食性皮膜を形成することが行われている。そして、この種の鋼構造物はその構造上、現場接続が必要であり、現場において添接板を用いて高力ボルト(HTB)およびナットにより接続されることが多い。ところが、この高力ボルトおよびナット自体には鋼構造物本体のような高耐食性皮膜が形成されていないので、鋼構造物本体よりも高力ボルトおよびナットの耐用年数の方が短く、高力ボルトおよびナットの耐用年数に合わせてメンテナンスを行う必要がある。
【0003】
そこで、鋼構造物の表面と同様に、高力ボルトおよびナットにも高耐食性皮膜を形成することが望まれている。例えば、特許文献1には、ボルト本体のねじ部あるいは全体にモリブデン、クロム、タングステン等の金属または合金からなる10〜150μmの厚さの溶射層を設けたボルトが開示されている。また、特許文献2には、受圧ねじ面に粒径が10μm以下の硬質粒子を高速火炎溶射方法で付着させたボルトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−41207号公報
【特許文献2】特開2004−176901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、高耐食性皮膜が形成された鋼構造物本体と同じ耐用年数で高力ボルトおよびナットを使用するためには、特許文献1,2に記載のように高力ボルトのねじ部だけでなく、高力ボルトおよびナットの全体に高耐食性溶射皮膜を形成する必要があると考えられる。ところが、実際に高耐食性皮膜を溶射により全体に形成した高力ボルトおよびナットを用いて鋼構造物を締め付けてみると、所定の締め付けトルクで締め付けても要求される軸力が得られないことが分かった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結において、所定の締め付けトルクで締め付けた際に要求される軸力を得ることが可能な締結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、防錆用溶射皮膜が形成された被締結体を、防錆用溶射皮膜が形成されたボルトおよびナットにより締め付けることについて鋭意研究を重ねた結果、被締結体の防錆用溶射皮膜面とボルトおよびナットの防錆用溶射皮膜面同士を合わせて締め付けた際に、その摺動面において焼き付きにより、柔らかい防錆用溶射皮膜同士が一体化してしまい、それ以上締め付けることができなくなってしまうことを見いだし、本発明をなすに至った。
【0008】
本発明の締結具は、防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に使用される締結具であって、頭部およびねじ部を含む全面に防錆用溶射皮膜が形成されたボルトと、被締結体を挟んでボルトのねじ部に締め付けられるナットであり、内ねじ部と被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたナットとを含む締結具である。
【0009】
また、本発明の締結具は、防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に、頭部およびねじ部を含む全面に防錆用溶射皮膜が形成されたボルトとともに使用される締結具であって、被締結体を挟んでボルトのねじ部に締め付けられるナットであり、内ねじ部と被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたナットを含む締結具である。
【0010】
これらの本発明の締結具では、ナットの内ねじ部および被締結体側の接触面には防錆用溶射皮膜が形成されていないので、ナットの締め付けの際のナットと被締結体との摺動面およびナットの内ねじ部とボルトのねじ部との摺動面では、一方の面にしか防錆用溶射皮膜が存在しない。そのため、ナットの締め付けの際に前述のように摺動面で防錆用溶射皮膜が一体化することがなく、所定の締め付けトルクで最後まで締め付けることができる。
【0011】
また、本発明の締結具による締め付け後、ナットの防錆用溶射皮膜が形成されていない内ネジ部と被締結体側の接触面には、それぞれの対面側の防錆用溶射皮膜が密着して一体化するので、この防錆用溶射皮膜により保護される。
【0012】
また、本発明の締結具は、防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に、頭部およびねじ部を含む全面に防錆用溶射皮膜が形成されたボルトとともに使用される締結具であって、被締結体を挟んでボルトのねじ部に締め付けられるナットであり、内ねじ部と被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたナットとの間に配置されるワッシャであり、被締結体側の接触面を除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたワッシャを含む締結具である。
【0013】
本発明の締結具では、ナットと被締結体との間に配置されるワッシャが、被締結体側の接触面を除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたものであり、ワッシャの被締結体側の接触面には防錆用溶射皮膜が形成されていないので、ナットの締め付けの際のワッシャと被締結体との摺動面では、一方の面にしか防錆用溶射皮膜が存在しない。また、ナットの内ねじ部および被締結体側の接触面には防錆用溶射皮膜が形成されていないので、ナットの締め付けの際のナットとワッシャとの摺動面およびナットの内ねじ部とボルトのねじ部との摺動では、一方の面にしか防錆用溶射皮膜が存在しない。そのため、ナットの締め付けの際に前述のように摺動面で防錆用溶射皮膜が一体化することがなく、所定の締め付けトルクで最後まで締め付けることができる。
【0014】
また、本発明の締結具による締め付け後、ワッシャの防錆用溶射皮膜が形成されていない被締結体側の接触面、およびナットの防錆用溶射皮膜が形成されていない内ネジ部と被締結体側の接触面には、対面側の防錆用溶射皮膜が密着して一体化するので、この防錆用溶射皮膜により保護される。
【0015】
ここで、ナットの防錆用溶射皮膜は、アーク溶射法により形成されたものであり、ボルトの防錆用溶射皮膜は、ガス溶射法またはプラズマ溶射法により形成されたものであることが望ましい。アーク溶射法により形成される防錆用溶射皮膜は、ガス溶射法またはプラズマ溶射法により形成される防錆用溶射皮膜と比較して、表面粗さが粗く、密着力が高いので、インパクトレンチなどにより回転させるナットに適用することで防錆用溶射皮膜の剥離を防止することができる。一方、ガス溶射法またはプラズマ溶射法により形成される防錆用溶射皮膜は、表面粗さが細かいので、ボルトに適用することでボルトのねじ部に形成される防錆用溶射皮膜の表面が滑らかとなり、ナットを締め付けやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
(1)被締結体を挟んでボルトのねじ部に締め付けられるナットであり、内ねじ部と被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたナットを含む締結具によれば、ナットの締め付けの際に摺動面で防錆用溶射皮膜が一体化することがなく、所定の締め付けトルクで最後まで締め付けることができるので、所定の締め付けトルクで締め付けた際に要求される軸力を得ることが可能となる。
【0017】
(2)被締結体側の接触面を除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたワッシャを含む締結具によれば、ナットの締め付けの際に摺動面で防錆用溶射皮膜が一体化することがなく、所定の締め付けトルクで最後まで締め付けることができるので、所定の締め付けトルクで締め付けた際に要求される軸力を得ることが可能となる。
【0018】
(3)ナットの防錆用溶射皮膜がアーク溶射法により形成されたものであり、ボルトの防錆用溶射皮膜がガス溶射法またはプラズマ溶射法により形成されたものであることにより、インパクトレンチなどによりナットを回転させた際の防錆用溶射皮膜の剥離を防止することができるとともに、ボルトのねじ部に形成される防錆用溶射皮膜の表面が滑らかとなり、ナットを締め付けやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態における締結具を示す側面図である。
【図2】図1の締結具を分解した状態を示す側面図である。
【図3】図1の結合具の防錆用溶射皮膜形成面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の実施の形態における締結具を示す側面図、図2は図1の締結具を分解した状態を示す側面図、図3は図1の結合具を分解して防錆用溶射皮膜形成面を示す説明図である。
【0021】
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態における締結具は、被締結体100としての鋼構造物101を添接板102,103により接続するためのものであって、鋼構造物101,添接板102,103を共締めするためのボルト1と、ナット2と、ワッシャ3,4とから構成される。鋼構造物101および添接板102,103の表面、および、ボルト1を挿入するためのそれぞれのボルト孔101a,102a,103aには、図3に示すように、Al−Mg合金の防錆用溶射皮膜101b,102b,103bが全面に形成されている。
【0022】
ボルト1は、鋼構造物101および添接板102,103のボルト孔101a,102a,103aに挿入される六角ボルトである。ボルト1は、図3に示すように、頭部1a、胴部1bおよびねじ部1cを含む全面にAl−Mg合金の防錆用溶射皮膜10が形成されている。このボルト1の防錆用溶射皮膜10は、ガス溶射法またはプラズマ溶射法により形成される。
【0023】
ナット2は、鋼構造物101および添接板102,103を挟んでボルト1のねじ部1cに締め付けられる座付き六角ナットである。ナット2は、六角二面幅より小径の座面2bを有する。ナット2は、図3に示すように、内ねじ部2aと鋼構造物101側の接触面である座面2bとを除く全面にAl−Mg合金の防錆用溶射皮膜20が形成されている。このナット2の防錆用溶射皮膜20は、アーク溶射法により形成される。
【0024】
ワッシャ3は、ボルト1の頭部1aと被締結体100との間に配置されるものであり、ワッシャ4は、ナット2と被締結体100との間に配置されるものである。ワッシャ3は、図3に示すように、被締結体100側の接触面3aおよびボルト孔3bの内面を含む全面にAl−Mg合金の防錆用溶射皮膜30が形成されている。ワッシャ4は、ボルト孔4bの内面を含み、被締結体100側の接触面4aを除く全面にAl−Mg合金の防錆用溶射皮膜40が形成されている。ワッシャ3,4の防錆用溶射皮膜30,40は、アーク溶射法により形成される。
【0025】
上記構成の締結具では、ナット2の内ねじ部2aおよび被締結体100側の接触面である座面2bには防錆用溶射皮膜20が形成されていないので、ナット2の締め付けの際のナット2とワッシャ4との摺動面およびナット2の内ねじ部2aとボルト1のねじ部1cとの摺動面では、防錆用溶射皮膜10,40が一方の面にしか存在しない。そのため、ナット2の締め付けの際に、この摺動面でナット2の防錆用溶射皮膜20とボルト1およびワッシャ4の防錆用溶射皮膜10,40とが一体化することがない。
【0026】
また、本実施形態における締結具では、ナット2と被締結体100との間に配置されるワッシャ4は、ナット2の締め付けの際のワッシャ4と被締結体100との摺動面となる被締結体100側の接触面4aに防錆用溶射皮膜40が形成されておらず、この摺動面には一方の面にしか防錆用溶射皮膜103bが存在しない。そのため、ナット2の締め付けの際に、この摺動面でワッシャ4の防錆用溶射皮膜40と被締結体100の防錆用溶射皮膜103bが一体化することがない。
【0027】
すなわち、この締結具では、ナット2の締め付けの際の摺動面で、ナット2の防錆用溶射皮膜20とボルト1およびワッシャ4の防錆用溶射皮膜10,40とが一体化することがなく、ワッシャ4の防錆用溶射皮膜40と被締結体100の防錆用溶射皮膜103bが一体化することがないため、所定の締め付けトルクで最後まで締め付けることができる。したがって、この締結具では、所定の締め付けトルクで締め付けた際に要求される軸力を得ることが可能である。
【0028】
なお、本実施形態における締結具では、ボルト1の頭部1aと被締結体100との間に配置されるワッシャ3は、被締結体100側の接触面3aにも防錆用溶射皮膜30が形成されているが、通常の被締結体100の締め付けの際にはボルト1の頭部1aを固定して、ナット2側を回転させて締め付けるため、この接触面3aは摺動面とならないため、問題はない。なお、ワッシャ3は、ワッシャ4と同様、接触面3aを除いて防錆用溶射皮膜30を形成する構成とすることも可能である。
【0029】
なお、この締結具による締め付け後、表に露出している面はすべて防錆用溶射皮膜10,20,30,40,101b,102b,103bにより保護されている。また、ナット2の防錆用溶射皮膜20が形成されていない内ねじ部2aと座面2bには、それぞれの対面側の防錆用溶射皮膜40が密着して一体化するので、この防錆用溶射皮膜40により保護される。さらに、ワッシャ4の防錆用溶射皮膜40が形成されていない被締結体100側の接触面4aには、対面側の防錆用溶射皮膜103bが密着して一体化するので、これらの防錆用溶射皮膜103bにより保護される。
【0030】
また、本実施形態における締結具では、ナット2に対しては、表面粗さが粗く、密着力が高い皮膜が形成されるアーク溶射法により防錆用溶射皮膜20が形成され、ボルト1に対しては、表面粗さが細かい皮膜が形成されるガス溶射法またはプラズマ溶射法により防錆用溶射皮膜10が形成されているため、インパクトレンチなどによりナット2を回転させても、ナット2の六角の角部の防錆用溶射皮膜20の剥離が防止される。一方、ボルト1のねじ部1cにガス溶射法またはプラズマ溶射法により形成された防錆用溶射皮膜10は表面が滑らかとなるので、ナット2が締め付けやすくなっている。
【0031】
なお、本実施形態における締結具は、ボルト1、ナット2およびワッシャ3,4により構成されたものであるが、ワッシャ3,4のいずれか一方または両方を省略することも可能である。この場合も同様に、ナット2の締め付けの際のナット2と被締結体100との摺動面およびナット2の内ねじ部2aとボルト1のねじ部1cとの摺動面では、防錆用溶射皮膜10,40が一方の面にしか存在しない。したがって、ナット2の締め付けの際に、この摺動面でナット2の防錆用溶射皮膜20とボルト1の防錆用溶射皮膜10とが一体化することがなく、前述と同様に所定の締め付けトルクで最後まで締め付けることができ、所定の締め付けトルクで締め付けた際に要求される軸力を得ることが可能である。
【0032】
また、本実施形態における締結具は、被締結体100と同じAl−Mg合金により防錆用溶射皮膜10,20,30,40を形成しているが、被締結体100の防錆用溶射皮膜材料に応じて亜鉛、アルミニウムまたはこれらの合金により形成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の締結具は、防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に使用される締結具として有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 ボルト
1a 頭部
1b 胴部
1c ねじ部
2 ナット
2a 内ねじ部
2b 座面
3,4 ワッシャ
3a,4a 接触面
3b,4b ボルト孔
10,20,30,40 防錆用溶射皮膜
100 被締結体
101 鋼構造物
102,103 添接板
101a,102a,103a ボルト孔
101b,102b,103b 防錆用溶射皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に使用される締結具であって、
頭部およびねじ部を含む全面に防錆用溶射皮膜が形成されたボルトと、
前記被締結体を挟んで前記ボルトのねじ部に締め付けられるナットであり、内ねじ部と前記被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたナットと
を含む締結具。
【請求項2】
防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に、頭部およびねじ部を含む全面に防錆用溶射皮膜が形成されたボルトとともに使用される締結具であって、
前記被締結体を挟んで前記ボルトのねじ部に締め付けられるナットであり、内ねじ部と前記被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたナットを含む締結具。
【請求項3】
前記ナットと前記被締結体との間に配置されるワッシャであり、前記被締結体側の接触面を除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたワッシャを含む請求項1または2記載の締結具。
【請求項4】
防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に、頭部およびねじ部を含む全面に防錆用溶射皮膜が形成されたボルトとともに使用される締結具であって、
前記被締結体を挟んで前記ボルトのねじ部に締め付けられるナットであり、内ねじ部と前記被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたナットとの間に配置されるワッシャであり、前記被締結体側の接触面を除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたワッシャを含む締結具。
【請求項5】
前記ナットの防錆用溶射皮膜は、アーク溶射法により形成されたものであり、
前記ボルトの防錆用溶射皮膜は、ガス溶射法またはプラズマ溶射法により形成されたものである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の締結具。
【請求項6】
防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に、頭部およびねじ部を含む全面に防錆用溶射皮膜が形成されたボルトとともに使用される締結具の製造方法であって、
前記被締結体を挟んで前記ボルトのねじ部に締め付けられるナットの内ねじ部と前記被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜を形成することを特徴とする締結具の製造方法。
【請求項7】
防錆用溶射皮膜が形成された被締結体の締結に、頭部およびねじ部を含む全面に防錆用溶射皮膜が形成されたボルトとともに使用される締結具であって、
前記被締結体を挟んで前記ボルトのねじ部に締め付けられるナットであり、内ねじ部と前記被締結体側の接触面とを除く全面に防錆用溶射皮膜が形成されたナットとの間に配置されるワッシャの前記被締結体側の接触面を除く全面に防錆用溶射皮膜を形成することを特徴とする締結具の製造方法。
【請求項8】
前記ナットの防錆用溶射皮膜は、アーク溶射法により形成し、
前記ボルトの防錆用溶射皮膜は、ガス溶射法またはプラズマ溶射法により形成する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の締結具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−276124(P2010−276124A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129663(P2009−129663)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(509147444)株式会社フジエンジニアリング (7)
【出願人】(592030850)山田金属防蝕株式会社 (7)
【Fターム(参考)】