説明

置き忘れ対策システムの警告動作装置

【課題】携帯電子機器と副電子機器との間で通信不能な状況が続いた場合の無駄な電力消費を抑える。
【解決手段】置き忘れ防止システムは、携帯電話機12とエントリー装置14とをセットで使用する。エントリー装置14は、通信ユニット142からIDコードを含むエントリー信号を送信し、携帯電話機12側では、通信ユニット122でこれを受信すると、CPU120でIDコードを復号する。通常の受信感度でIDコードを復号できない場合、CPU120は通信ユニット122の受信感度を最大化して受信を試みる。それでもIDコードを復号できない場合、通信ユニット122の受信感度を最低に切り換えて電力消費を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外出先等に携帯して使用される携帯電子機器の置き忘れ対策システムに係り、特に置き忘れ対策としての警告動作を実行することができる置き忘れ対策システムの警告動作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電子機器の紛失や盗難を防止する先行技術として、携帯電子機器に専用通信機器を組み合わせた紛失・盗難防止システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この紛失・盗難防止システムは、携帯端末と専用通信機器とをセットで構成しておき、携帯端末と専用通信機器との間で互いのIDを双方向の無線通信によって確認し合うものである。
【0003】
先行技術において、携帯端末及び専用通信機器は、それぞれ無線信号による通信可能距離が限定されている。このため、紛失や盗難等で携帯端末が所有者から離れ、通信可能距離の圏外に出た場合、両者間で交信する無線信号が途絶えることになる。この場合、携帯端末及び専用通信機器は、各通信ユニットで相手方のIDを受信できなったことを判断し、それぞれ警告を発することで携帯端末の紛失・盗難を所有者に知らせることができる。
【特許文献1】特開2002−159056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術では、通信可能距離よりも離れた場合は相互に通信不能となり、相手方のIDを受信できなくなるので、それによって警告を発することができる。
【0005】
しかしながら、双方で受信できない状態が続く場合、それぞれが通信可能距離から僅かに離れているだけであるのか、それとも全くの通信圏外にあるのかが不明であるため、双方で常に一定の受信動作を行っていると、両方とも電力を無駄に消費するおそれがある。
【0006】
例えば、携帯端末の紛失や盗難、あるいは置き忘れ等で双方が完全に通信圏外にあるにもかかわらず、それぞれが一定の受信動作を常に行っていると、それだけ無駄な電力を消費してしまう。そうかといって、通信不能になった途端に全く受信動作を停止してしまうと、所有者が少しの間だけ携帯端末から僅かに離れただけで通信が中断されてしまうため、その後にシステムとして機能しなくなってしまうという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、通信不能な状況が続いた場合の無駄な電力消費を抑えるとともに、通信可能距離から僅かに離れただけの状況から速やかに復帰できる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、固有の識別情報を有し、使用者が携帯して主に使用する携帯電子機器と、携帯電子機器と対になって同一の使用者に携帯され、携帯電子機器に対してコード化された識別情報を含む固有信号を送信する送信回路を有した副電子機器とを備え、副電子機器からの固有信号に基づき、使用者による携帯電子機器の置き忘れ対策として所定の警告動作を実行する置き忘れ対策システムの警告動作装置である。なお本発明は、携帯電子機器の置き忘れを未然に防止するだけでなく、置き忘れが発生した後でも有効に機能する。
【0009】
そして上記の課題を解決するため、本発明に係る携帯電子機器は、副電子機器からの固有信号を受信するためのアンテナと、このアンテナを通じて受信した固有信号を復調する受信回路と、受信回路で復調された固有信号に含まれる識別情報を復号するデコーダと、受信回路の受信感度を調整する受信感度制御回路と、経過時間を計測するためのタイマ回路と、システムとしての警告動作を実行するための警告動作手段とを備えている。
【0010】
上記の受信感度制御回路は、受信回路を標準的な受信感度に調整している標準感度状態においてデコーダにより識別情報を復号できない状態が所定時間継続した場合、受信回路の受信感度を標準感度状態よりも高く調整した高感度状態に切り換える。そして受信感度制御手段は、高感度状態においてデコーダにより識別情報を復号できない状態が規定時間継続した場合、受信回路の受信感度を標準感度状態よりも低く調整した低感度状態に切り換えるものである。
【0011】
さらに、受信感度制御回路は、高感度状態又は低感度状態のいずれかでデコーダにより識別情報を復号できた場合、受信回路の受信感度を標準感度状態に復帰させる。
【0012】
本発明は、以下のように複数の状況を通じて多様に機能する。
(1)通常は受信回路の感度を標準的な状態に調整し、識別情報を含む固有信号を携帯電子機器で受信する。このとき、標準の受信感度を最低限度の通信状態を確立できる程度に設定することで、通常時の消費電力を極小化することができる。
【0013】
(2)標準の感度で識別情報を復号できなければ、受信回路の感度を標準より高くし、必要な受信感度を確保することができる。この段階で識別情報を復号することができれば、後述の(4)で通信状態を回復することができる。
【0014】
(3)受信回路の感度を高くしてもなお識別情報を復号できないときは、携帯電子機器と副電子機器とが完全に通信可能範囲の外にある可能性が高い。この場合、受信回路の感度を標準よりも低くすることで、標準的な感度のまま延々と受信動作が継続するのを防止し、その分の無駄な消費電力を抑えることができる。
【0015】
(4)上記(2)の受信回路の感度を高くした状態で識別信号を復号できた場合、もしくは、上記(3)の受信回路の感度を低くした後に識別情報を復号できた場合、いずれも受信回路を標準の感度に復帰させて通信を実行する。
【0016】
例えば、それまで携帯電子機器と副電子機器とが標準の感度で受信できる範囲から僅かに外れていたものの、両者の距離が近接して互いに通信可能な範囲内に入れば、あとは標準の感度でも通常の通信が可能になる。あるいは、使用者が携帯電子機器を置き忘れていたが、その後に気付いて携帯電子機器を取りに戻った場合も、携帯電子機器と副電子機器との距離が近接するので、低感度状態でも通信可能となる。これらの場合、標準の感度に復帰させることで、速やかに通常の通信状態を取り戻すことができる。また、たとえ識別情報を復号できなくても、完全に受信動作を停止しないため、置き忘れに気付いた使用者が携帯電子機器を取りに戻ってきたときの受信がスムーズに行われる。
【0017】
なお、第1の発明に係る携帯電子機器は警告動作手段を備えており、警告動作手段は、最終的にデコーダが識別情報を復号できなくなると、所定の警告動作を実行する。警告動作としては、例えば警告信号を出力し、それによって音や光を発して周囲に注意を喚起するものの他に、携帯電子機器に対する操作を無効化するもの等がある。
【0018】
また本発明において、携帯電子機器と副電子機器との間で双方向通信を行う場合は以下の構成を有する。
【0019】
すなわち、上記の携帯電子機器は、デコーダにより識別情報を復号できた場合、その旨を表す確認信号を副電子機器に対して送信する確認送信回路をさらに備えている。また副電子機器は、固有信号を変調して前記送信回路から送信するアンテナと、送信回路の送信出力を調整する送信出力制御回路と、確認送信回路からの確認信号を受信する副受信回路とをさらに備えている。
【0020】
この場合、上記の送信出力制御回路は、送信回路を標準的な送信出力に調整している標準出力状態において副受信回路により確認信号を受信できない状態が所定時間継続した場合、送信回路の送信出力を標準出力状態よりも高く調整した高出力状態に切り換え、高出力状態において副受信回路により確認信号を受信できない状態が規定時間継続した場合、送信回路の送信出力を標準出力状態よりも低く調整した低出力状態に切り換える。
【0021】
さらに副電子機器の送信出力制御回路は、高出力状態又は低出力状態のいずれかで副受信回路により確認信号を受信できた場合、送信回路の送信出力を標準出力状態に復帰させる。
【0022】
本発明では双方向通信を行う構成を有する場合、以下のように複数の状況を通じて多様に機能する。
【0023】
〔1〕通常は副電子機器において送信回路の出力を標準的な状態に調整し、そこから識別情報を含む固有信号を携帯電子機器に送信する。携帯電子機器で識別情報を復号できた場合、その旨を表す確認信号を副電子機器に送信する。このとき、少なくとも副電子機器では、標準の送信出力を最低限度の通信状態を確立できる程度に設定することで、通常時の消費電力を極小化することができる。
【0024】
〔2〕標準の出力で送信した識別情報を携帯電子機器では復号できなくなり、それゆえ副電子機器において確認信号を受信できなくなれば、送信回路の出力を標準より高くし、必要な送信出力を確保することができる。この段階で携帯電子機器が識別情報を復号することができ、その結果、副電子機器において確認信号を受信できれば、後述の〔4〕で通信状態を回復することができる。
【0025】
〔3〕送信回路の出力を高くしてもなお、携帯電子機器で識別情報を復号できず、それゆえ副電子機器において確認信号を受信できないときは、携帯電子機器と副電子機器とが完全に通信可能範囲の外にある可能性が高い。この場合、送信回路の出力を標準よりも低くすることで、標準的な送信出力のまま延々と送信動作が継続するのを防止し、その分の無駄な消費電力を抑えることができる。
【0026】
〔4〕上記〔2〕の送信出力を高くした状態で確認信号を受信できた場合、もしくは、上記〔3〕の送信出力を低くした後に確認信号を受信できた場合、いずれも送信回路を標準の出力に復帰させて通信を実行する。
【0027】
本発明において、副電子機器は、送信回路から送信するべき固有信号を生成する信号生成手段をさらに備えていてもよい。この場合、信号生成手段は、副受信回路により確認信号が受信されている場合、識別情報とともに所定のオプション情報を含む態様で固有信号を生成し、副受信回路により確認信号を受信できない状態が所定時間継続した場合、オプション情報を含まない態様で固有信号を生成することができる。
【0028】
上記の構成によれば、送信するべき固有信号にオプション情報を含める場合と、これを含めない場合とで情報量が異なることから、いずれの態様で固有信号を送信するかによって通信仕様が異なったものとなる。この場合、送信するべき固有信号の情報量を少なくすることで通常よりも帯域幅を狭くし、信号の電界強度を相対的に高めることができるので、電力によって受信回路の感度を高めなくとも、見かけ上の感度を向上することができる。
【0029】
さらに信号生成手段は、オプション情報を含まない態様により固有信号を生成している状態で副受信回路により確認信号を受信できた場合、識別情報とともにオプション情報を含む態様で固有信号を生成する状態に復帰するものとする。
【0030】
これにより、本発明は以下のように複数の状況を通じて多様に機能することになる。
【0031】
[1]通常は、副電子機器から識別情報とオプション情報とを含む固有信号を送信する。このときの固有信号は、情報量に応じた通常の通信帯域幅で送信される。
【0032】
[2]識別情報を携帯電子機器では復号できなくなり、それゆえ副電子機器において確認信号を受信できなくなれば、オプション情報を除いた固有情報を送信する。これにより、情報量を削減した分だけ通信帯域幅を狭くすることで、携帯電子機器では見かけ上の感度を向上することができる。
[3]上記[2]の段階で携帯電子機器が識別情報を復号することができ、その結果、副電子機器において確認信号を受信できれば、情報量を標準に復帰させて通信を実行する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、通常の通信状態で必要な電力を最低限に抑えつつ、通信が不能になった場合、先ずはシステムとしての通信能力(受信感度又は送信出力)を向上することで、一時的な距離の開きによる通信不良を早期に回復させることができる。その上で、最終的に通信が確立されなかった場合は通信能力を通常よりも引き下げることで、延々と通信動作に電力が消費される事態を回避し、電力消費量を最少に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の置き忘れ対策システムの警告動作装置は、例えば一般に広く普及した携帯電子機器である携帯電話機の置き忘れ対策として好適に警告動作を行うことができる。ただし、携帯電子機器は携帯電話機に限らず、携帯型情報端末、ノート型パソコン、携帯型電子ゲーム機等であってもよい。
【0035】
〔システムの概要〕
図1は、置き忘れ対策システムを構成する機器の組み合わせ例を示す外観図である。図1では便宜上、置き忘れ対策システム全体に参照符号10を付して示している。本実施形態の置き忘れ対策システム10には、携帯電話機12及びエントリー装置14が含まれる。携帯電話機12は、例えばキー操作によって音声通話や情報通信等が可能な携帯電子機器であり、ユーザが携帯して主に使用するものである。
【0036】
このうち携帯電話機12には、固有の識別情報としてのID(Identification)コードが割り当てられている。IDコードは、例えば携帯電話機12に内蔵された不揮発性メモリや専用IC等の記憶装置に記憶されている。あるいは、セキュリティチップのような個別にIDコードを有した中央演算処理装置(CPU)を携帯電話機12に用いれば、そのIDコードによって携帯電話機12に固有の識別情報が割り当てられる。
【0037】
一方のエントリー装置14は、携帯電話機12と対(ペア)になる副電子機器であり、携帯電話機12は、これと対になるエントリー装置14とセットでユーザに使用されることを前提としている。具体的には、エントリー装置14は携帯電話機12に対して固有のエントリー信号(固有信号)を送信する機能を有しており、このエントリー信号には対応する携帯電話機12のIDコードが含まれている。
【0038】
置き忘れ対策システム10は、携帯電話機12の正規所有者であるユーザがエントリー装置14をセットで所持し、両者を互いに近接させて使用することを基本的な使用形態としている。図1に示されるように、エントリー装置14を例えばキーホルダ型の形態として、ユーザの持ち歩きの利便性を向上することが好ましい。あるいは、エントリー装置14をカード型や首下げ型の形態にしてもよい。なおエントリー装置14は、常に携帯電話機12の近くに置いておく必要はなく、例えばユーザが着衣とともに身につけていたり、手持ちのバッグに入れて身近に置いていたりすればよい。
【0039】
〔通常時の動作〕
通常、ユーザが携帯電話機12とエントリー装置14とをセットで持ち歩いている場合、携帯電話機12とエントリー装置14とがユーザの身近に存在するため、両者間で良好に無線通信を行うことができる。この状態で、エントリー装置14から送信されるエントリー信号を携帯電話機12が受信し、そこから抽出(デコード)したIDコードが自己のIDコードと一致した場合、携帯電話機12はユーザのキー操作に応じた通常動作を可能とする。なお、ここでいう通常動作には、音声通話や情報通信の他に、その表示画面12aを通じてアドレス帳や通信履歴、電子メール文書、画像等を表示することも含まれる。
【0040】
〔警告動作装置の機能〕
本実施形態の置き忘れ対策システム10では、携帯電話機12に警告動作装置が組み込まれている。警告動作装置は、ユーザが携帯電話機12を置き忘れそうになったり、あるいは、完全に携帯電話機12を置き忘れて物理的に離れた場所に移動してしまったりした場合に、例えば自動的にキー操作をロックしたり(キーロック)、警報音を出力したり、バイブレータを作動させたり、LED(発光ダイオード)を点灯・点滅させたりする機能を有している。これらの機能は、携帯電話機12の置き忘れ対策として実行される。
【0041】
一般的に、ユーザが携帯電話機12を完全に置き忘れたときの対策としては、上記のキーロック機能が有効である。すなわち、携帯電話機12は、エントリー装置14からのエントリー信号を受信できない場合や、エントリー信号を受信できたものの、このエントリー信号に含まれるIDコードが自己のIDコードと一致しない場合、キーロック機能を働かせる。このようなキーロック機能によれば、携帯電話機12は、本来のユーザでない者によってキー操作がなされることを阻止することができる。これにより、携帯電話機12のメモリ内にあるアドレス帳や通信履歴、メール文書、画像等が他人に覗き見されたり、他人によって通話発信やメール送信がされたりすることがなくなる。
【0042】
なお、携帯電話機12が受信したエントリー信号に含まれるIDコードが自己のIDコードと一致しない場合とは、携帯電話機12の近くに他人の携帯電話機(IDコードが異なるもの)と対になる他のエントリー装置が存在しており、そのエントリー装置からエントリー信号を受信した場合のことである。この場合、携帯電話機12においてIDコードが一致しないことから、他人のエントリー装置によって携帯電話機12のキー操作ロックが解除されてしまうことはない。
【0043】
加えて本実施形態では、ユーザが携帯電話機12を置き忘れそうになった場合の対策として、上記のように警告音を出力したり、バイブレータを作動させたりする機能を有している。ユーザが携帯電話機12を置き忘れそうになった場合とは、例えば携帯電話機12だけを置いたままにして、その場所を立ち去ろうとした場合が該当する。このような状況で、携帯電話機12から警告音を出力したり、バイブレータを作動させたり、LEDを点灯・点滅させたりすることにより、ユーザに注意を喚起することができる。この場合、警告音やバイブレータによる振動、LEDの発光・点滅にユーザが気づくことで、「置き忘れの未然防止」という対策になる。
【0044】
図2は、携帯電話機12及びエントリー装置14の各構成例を示すブロック図である。以下、それぞれの構成例について説明する。
【0045】
エントリー装置14は、CPU140、通信ユニット142、タイマ回路144及びバッテリ148を内蔵している。また通信ユニット142には、例えば内蔵型のアンテナ150が付属している。
【0046】
CPU140は、例えば図示しないCPUコアとともにROM140a、RAM140b、EEPROM140c等の半導体メモリを内蔵している。EEPROM140cは書き換え可能な不揮発性メモリであり、このEEPROM140cは、対になるべき携帯電話機12のIDコード及びオプションコードに関する情報を記憶している。
【0047】
携帯電話機12には、その製造時に個体別でユニークなIDコードが割り当てられており、これと対になるエントリー装置14には、携帯電話機12のIDコードがEEPROM140cに書き込まれている。なおEEPROM140cに代えて、IDコードを記憶した専用ICを用いてもよい。また、ここでは識別情報としてIDコードを付与しているが、IDコードに代えていわゆるMACアドレスを用いてもよい。
【0048】
オプションコードは、IDコードとは別に携帯電話機12に通知するべき追加の情報を表しており、例えばバッテリ148の残量や、CPU140の処理エラーに対応するコードである。
【0049】
ROM140aは、エントリー信号の送信を制御する通信プログラムを格納している。CPU140は、ROM140aに格納されている通信プログラムを読み出してこれを実行する。またCPU140は、通信プログラムを実行する際にEEPROM140cからIDコード及びオプションコードを読み出し、これらを含めた送信フレームを生成する。
【0050】
またタイマ回路144は、CPU140の制御によって起動時からの経過時間を計測する機能を有する。なおタイマ回路144は、CPU140に内蔵されるタイマで代用されるものであってもよい。
【0051】
携帯電話機12には、システムモジュール12bが内蔵されている。このシステムモジュール12bは、置き忘れ対策システム10において携帯電話機12を警告動作装置として機能させるための組み込みモジュールである。システムモジュール12bは、例えば携帯電話機12の一部分となる基板モジュールとして内蔵されている態様でもよいし、あるいは独立した1つの装置として内蔵されている態様であってもよい。
【0052】
システムモジュール12bもまた、CPU120、通信ユニット122及びタイマ回路124が内蔵されており、通信ユニット122には内蔵型のアンテナ126が付属している。同様にCPU120は、図示しないCPUコアとともにROM120a、RAM120b、EEPROM120c等の半導体メモリを内蔵している。
【0053】
ROM120aには通信プログラムが格納されており、CPU120は、ROM120aに格納されている通信プログラムを読み出してこれを実行する。また通信ユニット122はCPU120の制御に基づいて動作し、ここで受信したエントリー信号を復調する。CPU120は通信プログラムの実行に伴い、復調したエントリー信号からIDコード及びオプションコードを復号するデコーダとしても機能する。
【0054】
EEPROM120cには、携帯電話機12に固有のIDコード(自己の識別情報)や警告ファンクションに関する情報が登録されている。CPU120は通信プログラムの実行に伴い、復号したIDコードが携帯電話機12に固有のIDコードに一致するか否かを判断し、その結果に基づいて登録された警告ファンクションに応じた処理を実行する。この警告ファンクションは、上記のキーロック機能や警告音の出力、バイブレータの作動、LEDの点灯・点滅等による警告動作を実行する旨の指示や、警告動作を解除する旨の指示である。
【0055】
システムモジュール12bにはインタフェース128が装備されており、CPU120による警告動作の実行又は解除の指示は、インタフェース128を通じて携帯電話機12の本体部130に転送される。携帯電話機12の本体部130は、携帯電話機12の動作を統括的に制御する本体CPU132を有するほか、基本的な機能要素としての通信機能部134、ディスプレイ駆動部136、キー操作受付部138、スピーカ駆動部190、LED駆動部192、バイブレータ駆動部194及び電源部196を有している。CPU120からの指示を本体部130の本体CPU132が受け取ると、これに基づいて本体CPU132がキー操作受付部138、スピーカ駆動部190、LED駆動部192又はバイブレータ駆動部194の機能を制御して警告動作を実行させる。
【0056】
なお、本体部130の構成は公知のものを適用できるため、ここでは概要のみを説明する。すなわち、通信機能部134は、携帯電話機12において音声通話やパケット通信を行う機能を実現するものである。またディスプレイ駆動部136は、上記の表示画面12aにて各種の文字情報や画像を表示する機能を実現するものである。
【0057】
キー操作受付部138は、図示しないユーザインタフェースを通じてキー操作を受け付け、キー操作による割込信号を本体CPU132に認識させる機能を実現するものである。スピーカ駆動部190は、図示しないスピーカを駆動して通話音声を出力させたり、あるいは着信音を出力させたりする機能を実現するものである。
【0058】
またLED駆動部192は、例えば図示しない着信通知用LEDを点灯又は点滅させる機能を実現するものである。そしてバイブレータ駆動部194は、図示しない振動モータを駆動して、携帯電話機12を振動させる機能を実現するものである。なお電源部196は、図示しないバッテリから本体部130及びシステムモジュール12bに必要な電力を供給するほか、バッテリの充電状態を監視している。
【0059】
また本体CPU132は、上記の警告ファンクションに関する制御プログラムを実行する。この制御プログラムでは、システムモジュール12bのCPU120から警告動作を解除する旨の通知(指示)があった場合、キー操作受付部138を通常に機能させることで、携帯電話機12においてユーザによるキー操作を有効化する処理が行われる。これに対し、警告動作を実行する旨の通知(指示)があると、キー操作受付部138の機能を停止させ、キー操作をロック(無効化)する処理が行われる。
【0060】
図3は、通信ユニット122,142の構成を示すブロック図である。ここではエントリー装置14と携帯電話機12とで共通構成の通信ユニット122,142を用いているが、両者を別々の構成としてもよい。
【0061】
本実施形態では、エントリー装置14から携帯電話機12へエントリー信号を送信するだけの片方向通信だけでなく、携帯電話機12からエントリー装置14へ確認信号を送信する双方通信を行う。このため各通信ユニット122,142は、受信アンプ160(ローノイズアンプ)及び送信アンプ162(パワーアンプ)を備えており、これらとアンテナ126,150との接続がアンテナスイッチ164によって選択的に切り換え可能となっている。
【0062】
通信ユニット122,142において受信回路は、例えば上記の受信アンプ160をはじめとして、ミキサ168及びIFバンドパスフィルタ170から構成されている。アンテナ126,150で受信された高周波信号は、RFバンドパスフィルタ166でフィルタリングされた後、受信アンプ160で増幅されると、ミキサ168で局部発振器174からの出力とミキシングされ、さらにIFバンドパスフィルタ170でフィルタリングされる。通信ユニット122,142は復調回路172を備えており、受信回路で受信された信号は、最終的に復調回路172で復調される。また復調された信号は、通信ユニット122,142から各CPU120,140に出力される。
【0063】
また、通信ユニット122,142は変調回路180及び制御IC182を備えており、この変調回路180は、制御IC182から出力される送信フレームを変調する。なお送信フレームは、CPU120,140で生成されて制御IC182に転送される。通信ユニット122,142において送信回路は、ミキサ176及び送信アンプ162から構成されている。変調回路180によりベースバンドで変調された送信フレームは、ミキサ176で高周波バンドに引き上げられる。そして、高周波信号が送信アンプ162で増幅されると、RFバンドパスフィルタ166を介してアンテナ126,150から送信される。
【0064】
制御IC182には、CPU140で生成された送信フレームの他、通信ユニット122,142に対する各種の制御信号が各CPU120,140から入力される。制御IC182は、入力された制御信号に基づいて受信アンプ160や送信アンプ162の基準電圧を調整し、通信ユニット122,142として受信回路の感度を調整したり、送信回路の出力を調整したりすることができる。
【0065】
図4は、エントリー信号の送信フレーム20を概念的に示す図である。この送信フレーム20は、先頭のスタートビット20aと末尾のストップビット20dとの間に、IDコード20b及びオプションコード20cが挟み込まれたフレーム構成となっている。エントリー装置14の通信ユニット142は、CPU140で生成された送信フレーム20を上記の変調回路180で変調し、この変調した送信フレーム20で構成されたエントリー信号をアンテナ126から送信する。
【0066】
次に、実際の置き忘れ対策システム10及びその警告動作装置の動作について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0067】
<第1動作例>
第1動作例では、エントリー装置14の通信ユニット142から通常の通信帯域幅で上記の送信フレーム20を変調して送信し、これを携帯電話機12側の通信ユニット122が受信し、変調する態様である。このような片方向通信の態様では、エントリー信号を受信する携帯電話機12側でIDコードを復号できない場合、警告動作装置としての機能を動作させる必要が生じる。
【0068】
図5は、携帯電話機12側のCPU120が実行する通信制御処理(1)のフローチャートである。この通信制御処理(1)は、CPU120が実行する通信プログラムの一部(サブルーチン)として実行されており、CPU120は通信プログラムの中で図5の通信制御処理(1)を実行する。以下、各手順に沿って説明する。
【0069】
ステップS10:先ずCPU140は、通信ユニット122において現在の受信感度を標準(以下、「標準感度状態」と称する。)に調整しているか否かを確認する。置き忘れ対策システム10において、携帯電話機12とエントリー装置14との間で定常的に安定した通信状態が確立されている場合、CPU120は通信ユニット122において受信回路を標準感度状態に調整している(ステップS10:Yes)。したがってCPU120は、次にステップS12を実行する。
【0070】
ステップS12:CPU120は、通信ユニット122の復調回路172で復調されたエントリー信号からIDコードを復号できたか否かを判断する。正常にIDコードの復号に成功した場合(Yes)、CPU120はひとまず通信制御処理(1)を終了して通信プログラムのメインルーチンに復帰する(リターン)。
【0071】
以上の手順は、ユーザが携帯電話機12とエントリー装置14とを互いに近接させた状態で使用している場合の例である。これに対し、ユーザが携帯電話機12を置き忘れ、エントリー信号の受信圏外となった場合は以下の手順が実行される。
【0072】
ステップS12:携帯電話機12側では通信ユニット122でエントリー信号を正常に受信できないため、CPU120はIDコードを正常に復号することができなくなる(No)。したがって、CPU120は次にステップS14を実行する。
【0073】
ステップS14:CPU120は、既にタイマ回路144で「タイマA」をカウント中であるか否かを判断する。この時点では未だ「タイマA」が起動していないので(No)、CPU120はさらにステップS16に進む。なお「タイマA」は、起動してから所定時間A(例えば数秒〜数十秒)の経過を計測するタイマ機能の呼称である。
【0074】
ステップS16:CPU120は、上記の「タイマA」を起動する。具体的には、CPU120はタイマ回路144において所定時間Aに対応する読み書き用レジスタの値をタイマカウンタにロードし、その後、タイマ回路144のクロック信号に応じてタイマカウンタをデクリメントする。
【0075】
ステップS18:次にCPU120は、先のステップS16で起動した「タイマA」がカウントアップしたか否かを確認する。現時点で未だ起動から所定時間Aが経過しておらず、タイマカウンタの値が0になっていなければ(No)、CPU120はステップS12に戻る。
【0076】
なお、CPU120がステップS12に戻り、そこでIDコードの復号に成功したと判断した場合(Yes)、上記のようにCPU120は通信制御処理(1)を終了して通信プログラムのメインルーチンに復帰する。これに対し、依然としてIDコードを復号できなかった場合(ステップS12:No)、CPU120はステップS14を実行する。この場合、ステップS14では既に「タイマA」がカウント中であるので(Yes)、CPU120はステップS16を迂回してステップS18に進む。
【0077】
「タイマA」の起動後、IDコードを復号できないまま所定時間Aが経過すると、CPU120はステップS18で「タイマA」がカウントアップしたと判断する(Yes)。この場合、次にCPU120はステップS20を実行する。
【0078】
ステップS20:CPU120は、通信ユニット122の制御IC182に対して制御信号を出力し、受信回路の感度を標準よりも高くする処理を行う。これに伴い、通信ユニット122の制御IC182は、例えば受信アンプ160の基準電圧を高くして電流閾値を最低まで引き下げ、微弱な電波でも受信可能な最高感度(以下、「高感度状態」と称する。)に調整する。なお、ここでは高感度状態で受信回路が最高感度に調整されるものとしているが、常に最高感度まで引き上げる必要はない。
【0079】
CPU120は受信回路を高感度状態に調整すると、ひとまず通信制御処理(1)を終了してメインルーチンに復帰する。そして、再度、CPU120は最初から通信制御処理(1)を繰り返して実行し、引き続きエントリー信号の受信動作を継続してIDコードの復号を試みる。この過程で、CPU120はステップS10での判断(No)を経てステップS22に進む。
【0080】
ステップS22:CPU120は、通信ユニット122において現在の受信感度を最大に調整しているか否かを確認する。この時点で既に受信回路を高感度状態に調整しているため(Yes)、次にCPU120はステップS24を実行する。
【0081】
ステップS24:CPU120は、通信ユニット122の復調回路172で復調されたエントリー信号からIDコードを復号できたか否かを判断する。この場合、受信回路を高感度状態に調整しているため、標準感度状態では受信できない程度の微弱な電波でも受信できる可能性が高い。それでもなお、IDコードを復号できなかった場合(No)、CPU120は次にステップS26を実行する。
【0082】
ステップS26:CPU120は、既にタイマ回路144で「タイマB」をカウント中であるか否かを判断する。この時点では未だ「タイマB」が起動していないので(No)、CPU120はさらにステップS28に進む。なお「タイマB」は、起動してから規定時間B(例えば数秒〜数十秒)の経過を計測するタイマ機能の呼称である。
【0083】
ステップS28:CPU120は、上記の「タイマB」を起動する。この場合、CPU120はタイマ回路144において規定時間B(所定時間Aとは別のもの)に対応するレジスタの値をタイマカウンタにロードし、その後、タイマ回路144のクロック信号に応じてタイマカウンタをデクリメントする。
【0084】
ステップS30:次にCPU120は、先のステップS28で起動した「タイマB」がカウントアップしたか否かを確認する。現時点で未だ起動から規定時間Bが経過しておらず、タイマカウンタの値が0になっていなければ(No)、CPU120はステップS24に戻る。
【0085】
「タイマB」の起動後、IDコードを復号できないまま規定時間Bが経過すると、CPU120はステップS30で「タイマB」がカウントアップしたと判断する(Yes)。この場合、次にCPU120はステップS32を実行する。
【0086】
ステップS32:CPU120は、通信ユニット122の制御IC182に対して制御信号を出力し、受信回路の感度を標準よりも低くする処理を行う。これに伴い、通信ユニット122の制御IC182は、例えば受信アンプ160の基準電圧を低くして電流閾値を最大まで引き上げ、よほどの強い電波以外は受信しない最低感度(以下、「低感度状態」と称する。)に調整する。なお、ここでは低感度状態で受信回路が最低感度に調整されるものとしているが、常に最低感度まで引き下げる必要はない。
【0087】
CPU120は受信回路を低感度状態に調整すると、ここで通信制御処理(1)を終了してメインルーチンに復帰するが、この場合もCPU120は、最初から通信制御処理(1)を繰り返して実行し、引き続きエントリー信号の受信動作を継続してIDコードの復号を試みる。この過程で、CPU120はステップS10及びステップS22での判断(いずれもNo)を経てステップS34に進む。
【0088】
ステップS34:CPU120は、低感度状態でIDコードの復号に成功したか否かを判断する。実際に、ユーザが携帯電話機12を置き忘れてしまった後であれば、低感度状態でエントリー信号を受信することは殆どなく、CPU120はIDコードを復号できなかったと判断する(No)。この場合、CPU120はここで通信制御処理(1)を抜け、通信プログラムのメインルーチンに復帰する。
【0089】
図6は、上記の第1動作例を通じて行われる受信感度の調整パターンを示したタイミングチャートである。図6中、縦軸は例えば送信アンプ162の電流閾値を示し、横軸は時間の経過を示している。
【0090】
図6中、ある時刻t0の時点では、携帯電話機12側で正常にエントリー信号を受信しており、CPU120がIDコードを復号可能な状態である。この場合、上記のようにCPU120は受信回路を標準感度状態に調整している。
【0091】
次に、CPU120が時刻t1でIDコードを復号できなかったと判断すると、ここからCPU120は所定時間Aの計測を開始する。なお、受信回路は引き続き標準感度のまま維持されている。
【0092】
この後、時刻t2までIDコードを復号できない状態が所定時間Aにわたり継続したと判断すると、CPU120は時刻t2で受信回路を標準感度状態から高感度状態に切り換える。また、合わせてCPU120は規定時間Bの計測を開始する。
【0093】
さらに、時刻t3までIDコードを復号できない状態が規定時間Bにわたり継続したと判断すると、CPU120は時刻t3で受信回路を高感度状態から低感度状態に切り換える。この場合、時刻t3以降は低感度状態に維持されるので、それだけ通信ユニット122での消費電力が抑えられることになる。
【0094】
次に図7は、携帯電話機12側のCPU120が実行する警告動作制御処理のフローチャートである。CPU120は、図5の通信制御処理(1)に続いて図7の警告動作制御処理を実行する。以下、各手順に沿って説明する。
【0095】
ステップS40:先ずCPU120は、EEPROM120cに自己のIDコードが登録されているか否かをチェックする。CPU120は、自己のIDコードが登録されていないか、もしくは消去されている場合(No)には警告動作制御処理を終了する。通常、出荷後はIDコードが設定されているため(Yes)、CPU120はステップS42に進む。
【0096】
ステップS42:次にCPU120は、警告動作機能の設定が有効(ON)であるか否かを確認し、設定が無効である場合(No)には警告動作制御処理を終了する。一方、設定が有効である場合(Yes)には、次にステップS44を実行する。
【0097】
ステップS44:CPU120は、エントリー信号に含まれているIDコードを既に復号済みであるか否かを確認する。置き忘れ対策システム10において、携帯電話機12とエントリー装置14との間で定常的に安定した通信状態が確立されており、CPU120が正常にIDコードの復号に成功していた場合(Yes)、次にステップS46に進む。
【0098】
ステップS46:CPU120は、復号したIDコードが自己のIDコードと一致するか否かを確認する。両IDコードの一致を確認した場合(Yes)、CPU120は続いてステップS48を実行する。
【0099】
ステップS48:CPU120は、警告動作を解除する旨の通知(指示)を行う。この解除通知は、上記のようにシステムモジュール12bのインタフェース128を通じて本体CPU132に転送される。この場合、上述したように本体CPU132はキー操作受付部138を通常に機能させることで、携帯電話機12においてユーザによるキー操作を有効化する処理を行う。
【0100】
以上は、携帯電話機12側でエントリー信号を正常に受信できており、CPU120がIDコードの復号に成功していた場合の手順例である。これに対し、先のステップS44でCPU120がIDコードを復号済みでない(No)と判断した場合、CPU120は次にステップS50を実行する。
【0101】
ステップS50:CPU120は、ここで受信回路が最低感度(低感度状態)であるか否かを確認する。この確認を行うのは、図5の通信制御処理(1)で低感度状態に切り換えられた場合に警告動作を実行するためである。すなわち、IDコードを復号できない場合であっても、標準感度状態では直ちに警告動作を実行せず、図5の通信制御処理(1)で示したように、所定時間Aが経過するまで待機する必要があるからである。同様に、高感度状態でIDコードを復号できなくても、規定時間Bが経過するまで通信を試みる必要があることから、受信回路を標準感度状態又は高感度状態に調整していた場合(No)、CPU120はひとまず警告動作制御処理を終了する。
【0102】
これに対し、既に図5の通信制御処理(1)で低感度状態に切り換えられた後であれば(ステップS50:Yes)、CPU120は携帯電話機12の置き忘れ対策として警告動作を実行するため、次にステップS52に進む。
【0103】
ステップS52:CPU120は、警告動作の実行を通知(指示)する。この通知は、警告信号としてシステムモジュール12cから出力される。本体CPU132が警告信号を受け取ると、上述のようにキー操作受付部138の機能を停止させ、キー操作をロック(無効化)する処理を行う。
【0104】
また、キー操作のロックと合わせて、本体CPU132は以下の警告動作を実行する処理を行ってもよい。上述のように、本体CPU132はスピーカ駆動部190を動作させ、警告音を携帯電話機12から出力させる処理を行う。あるいは、本体CPU132はバイブレータ駆動部194を動作させ、携帯電話機12を振動させる処理を行う。また本体CPU132はLED駆動部192を動作させ、LEDを点灯・点滅させる処理を行う。
【0105】
以上の処理を通じて、携帯電話機12の警告動作によってユーザ(周囲の人物でもよい)に注意を喚起することができる。その結果、危うく携帯電話機12を置き忘れかけたところで、ユーザ(又は周囲の人物)がこれに気付けば、携帯電話機12の置き忘れを未然に防止することができる。
【0106】
それでもユーザが携帯電話機12を置き忘れてしまった場合、既に警告動作によってキー操作のロック(無効化)が行われているため、携帯電話機12が他人によって操作されてしまうことはない。
【0107】
また、ユーザが携帯電話機12を置き忘れた後は、第1動作例で述べたように所定時間A及び規定時間Bの経過後に受信回路の受信感度を低くし、消費電力を抑えることができる。これにより、長期間にわたりバッテリの消耗を抑え続けることができる。
【0108】
〔通信回復処理〕
ここで、図5の通信制御処理(1)で実行される通信回復処理(ステップS36)について説明する。携帯電話機12においてIDコードを復号できない状況は、ユーザが携帯電話機12を置き忘れてしまった場合だけでなく、携帯電話機12とエントリー装置14との距離が通常時よりも離れた場合にも起こり得る。この場合、ユーザが携帯電話機12のある場所から一時的に離れているだけであり、短時間内に近接位置へ戻り、エントリー装置14との間で正常に通信が回復することがある。そこで本実施形態では、以下の2つの場合に通信回復処理(ステップS36)を実行する。
【0109】
(1)先ず、標準感度状態でIDコードを復号できない状態が所定時間Aだけ継続した場合を考える。この場合、CPU120はステップS20で受信回路を高感度状態に切り換えるので、規定時間Bで受信回路は可能な限りエントリー信号をキャッチしようと試みることになる。この間にユーザが携帯電話機12の位置へ近づいてくると、受信回路が微弱な電波でも受信できることから、これを復調するとCPU120がIDコードを復号することができる。
【0110】
(2)次に、標準感度状態でIDコードを復号できない状態が所定時間Aだけ継続し、受信回路を高感度状態に切り換えても、IDコードを復号できない状態が規定時間Bだけ継続し、最終的に受信回路が低感度状態に切り換えられた場合を想定する。この状況下で、ユーザが携帯電話機12を置き忘れたことに気付き、携帯電話機12を取りに戻ってくると、エントリー装置14との距離が極めて近接するので、受信回路が低感度状態であってもエントリー信号を受信する。この場合もCPU120はIDコードを復号することができる。
【0111】
上記(1),(2)の状況では、それぞれステップS24,ステップS34でCPU120はIDコードの復号に成功したことを確認する(Yes)。そしてCPU120は、次にステップS36の通信回復処理を実行する。
【0112】
ステップS36:この通信回復処理では、例えばCPU120はエントリー信号の信号強度(RSSI)を取得し、この信号強度が所定の閾値(標準感度状態でIDコードを復号できるレベル)を上回っていることを確認すると、受信回路を標準感度状態に復帰させる処理を行う。なお信号強度(RSSI)の取得は、通信ユニット122内に図示しないRSSI監視部を設置することで行う。
【0113】
この後、CPU120が通信制御処理(1)を繰り返し実行すると、ステップS10で標準感度状態であることを確認し(Yes)、ステップS12以降の手順に復帰することができる。この場合、CPU120はIDコードの復号に成功したことを確認できるので(ステップS12:Yes)、ここでCPU120は通信制御処理(1)を終了する。そしてCPU120は、上述した図7の警告動作制御処理において、復号したIDコードと自己のIDコードが一致することを確認すると(ステップS46:Yes)、次のステップS48で警告動作を解除する通知(指示)を行う。これにより、携帯電話機12のキー操作ロックが解除され、ユーザによる通常のキー操作が可能となる。
【0114】
<第2動作例>
次に、第2動作例について説明する。先の第1動作例では、エントリー装置14からエントリー信号を送信し、これを携帯電話機12側の通信ユニット122で受信する片方向通信を対象としているが、加えて第2動作例では、携帯電話機12からエントリー装置14へ確認信号を送信する双方向通信を対象としている。また第1動作例では、携帯電話機12側でCPU120が受信回路の感度を調整していたが、第2動作例では、エントリー装置14側でCPU140が通信仕様そのものを変更するものである。以下、具体的に説明する。
【0115】
図8は、第2動作例で用いられる送信フレームの構造と通信帯域幅との関係を概念的に示した図である。
【0116】
図8中(A):置き忘れ対策システム10において、携帯電話機12とエントリー装置14との間で定常的に安定した通信状態が確立されている場合、上述のように、エントリー装置14のCPU140はフルスペック(IDコード20b及びオプションコード20cを含む態様)の送信フレーム20を生成する。
【0117】
図8中(B):フルスペックの送信フレーム20で通信を行う場合、最大データ量を確保するため、キャリアには広い帯域幅を使用する。この場合の通信仕様は、図8中(B)に示される通常帯域幅となる。
【0118】
図8中(C):携帯電話機12とエントリー装置14との間で通常の通信状態が確立できなくなり、エントリー装置14が携帯電話機12からの確認信号を受信できなくなった場合、エントリー装置14のCPU140は送信フレーム20をスペックダウンし、オプションコード20cを含めない態様で送信フレーム20’を生成する。この場合、通常時よりもデータの通信速度を落とすことができる。
【0119】
図8中(D):スペックダウンした送信フレーム20’を用いて通信を行う場合、データ量を最大に確保する必要がないため、キャリアは狭い帯域幅でよい。このため送信フレーム20’を送信する場合の通信仕様は、図8中(D)に示されるように通常よりも狭い帯域幅となる。この場合、実際には同じ標準感度状態で通信を行っていても、通信信号の電界強度が相対的に高まることから、置き忘れ対策システム10全体として見かけ上の受信感度を向上することができる。
【0120】
なお、実際の通信では、エントリー装置14と携帯電話機12の双方が同調して通信仕様を変更する必要がある。このため携帯電話機12のCPU120と、エントリー装置14のCPU140とは、それぞれ以下の手順で通信制御を実行する。
【0121】
(1)エントリー装置14からIDコードを含むエントリー信号を送信する。携帯電話機12では、エントリー信号を受信してIDコードを復号できた場合、その旨を表す確認信号を送信する。置き忘れ対策システム10において正常な通信状態が確立されていれば、携帯電話機12側のCPU120ではIDコードを復号できたことを確認しており、一方、エントリー装置14側のCPU140では確認信号を受信したことを確認している。
【0122】
(2)エントリー装置14と携帯電話機12との距離が大きくなり、互いに通信不能になると、携帯電話機12側のCPU120はIDコードを復号できないと判断し、上述した「タイマA」を起動する。また、IDコードを復号できない場合、携帯電話機12側のCPU120は確認信号の送信を停止させる処理を実行する。
【0123】
(3)一方、エントリー装置14側で携帯電話機12からの確認信号が受信できなくなると、CPU140は「タイマA」を起動し、所定時間Aの経過をカウントする。このためエントリー装置14側のCPU140と携帯電話機12側のCPU120とは、略同時に「タイマA」を起動することになる。なお、この間もエントリー装置14は、引き続き通常の通信帯域幅でエントリー信号を送信している。
【0124】
(4)確認信号を受信できない状態で所定時間Aが経過すると、エントリー装置14側のCPU140は、通常よりもスペックダウンさせた送信フレーム20’を生成し、通信帯域幅を通常よりも狭くする。一方、携帯電話機12側のCPU120でも、所定時間Aの経過後に通信帯域幅を通常よりも狭くする。この結果、置き忘れ対策システム10全体として見かけ上の受信感度が向上する。
【0125】
(5)以上のようにCPU120,140がそれぞれ通信帯域幅を狭めると、両者は略同時に「タイマB」を起動する。なお、この間に通信状態が回復すると、両CPU120,140は上述した通信回復処理を実行する。
【0126】
(6)これに対し、確認信号を受信できない状態で規定時間Bが経過すると、エントリー装置14側のCPU140は、通信帯域幅を通常に戻す処理を行う。一方、携帯電話機12側のCPU120でも、規定時間Bの経過後に通信帯域幅を通常に戻す処理を行う。この結果、置き忘れ対策システム10全体として見かけ上の受信感度が低下することになる。なお、このとき双方で通信そのものを停止させる処理を行ってもよい。
【0127】
以上の第2動作例によれば、エントリー装置14と携帯電話機12との双方向通信が正常に行われなくなると、互いの通信仕様を変えることにより、受信回路を調整することなく見かけ上の受信感度を向上することができる。このため、規定時間B内はエントリー装置14と携帯電話機12の双方で受信回路での消費電力を抑えることができる。また、最終的に双方向の通信が正常に回復しない場合、互いの通信動作そのものを停止することで、それ以上の電力消費を回避することができる。
【0128】
<第3動作例>
さらに、第3動作例について説明する。最初に挙げた第1動作例では、携帯電話機12側でエントリー信号を受信(IDコードを復号)できなくなると、携帯電話機12側の受信感度を向上して通信を試みている。また第2動作例では、双方向通信を前提としつつ、携帯電話機12側で見かけ上の受信感度を向上している。以下の第3動作例では、エントリー装置14と携帯電話機12の双方向通信が正常に行われなくなると、エントリー装置14側の送信出力を向上することで通信を試みるものである。以下、具体的に説明する。
【0129】
図9は、エントリー装置14側のCPU140が実行する通信制御処理(2)のフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0130】
ステップS60:先ずCPU140は、通信ユニット142において現在の送信出力を標準(以下、「標準出力状態」と称する。)に調整しているか否かを確認する。置き忘れ対策システム10において、携帯電話機12とエントリー装置14との間で定常的に安定した双方向の通信状態が確立されており、エントリー装置14で携帯電話機12からの確認信号を受信できている場合、CPU140は通信ユニット142において送信回路を標準出力状態に調整している(ステップS60:Yes)。したがってCPU140は、次にステップS62を実行する。
【0131】
ステップS62:CPU140は、通信ユニット142の受信回路で確認信号を受信できたか否かを判断する。正常に確認信号を受信できた場合(Yes)、CPU140はひとまず通信制御処理(2)を終了して通信プログラムのメインルーチンに復帰する。
【0132】
以上の手順は、ユーザが携帯電話機12とエントリー装置14とを互いに近接させた状態で使用している場合の例である。これに対し、ユーザが携帯電話機12を置き忘れ、双方がエントリー信号又は確認信号の受信圏外となった場合は以下の手順が実行される。
【0133】
ステップS62:携帯電話機12側では通信ユニット122でエントリー信号を正常に受信できないため、CPU120はIDコードを正常に復号することができなくなる。その結果、携帯電話機12からは確認信号が送信されなくなるので、エントリー装置14では確認信号を受信することができない(No)。したがって、CPU140は次にステップS64を実行する。
【0134】
ステップS64:CPU140は、既にタイマ回路144で「タイマA」をカウント中であるか否かを判断する。この時点では未だ「タイマA」が起動していないので(No)、CPU140はさらにステップS66に進む。なお「タイマA」は、第1動作例で挙げたものと同様である。
【0135】
ステップS66:CPU140は、上記の「タイマA」を起動する。
ステップS68:次にCPU140は、先のステップS66で起動した「タイマA」がカウントアップしたか否かを確認する。現時点で未だ起動から所定時間Aが経過しておらず、タイマカウンタの値が0になっていなければ(No)、CPU140はステップS62に戻る。
【0136】
なお、CPU140がステップS62に戻り、そこで確認信号を受信できたと判断した場合(Yes)、上記のようにCPU140は通信制御処理(2)を終了して通信プログラムのメインルーチンに復帰する。これに対し、依然として確認信号を受信できないと判断した場合(ステップS62:No)、CPU140はステップS64を実行する。この場合、ステップS64では既に「タイマA」がカウント中であるので(Yes)、CPU140はステップS66を迂回してステップS68に進む。
【0137】
「タイマA」の起動後、エントリー装置14で確認信号を受信できないまま所定時間Aが経過すると、CPU140はステップS68で「タイマA」がカウントアップしたと判断する(Yes)。この場合、次にCPU140はステップS70を実行する。
【0138】
ステップS70:CPU140は、通信ユニット142の制御IC182に対し、送信出力を標準よりも高く(最大化)する制御信号を出力する。これを受けて制御IC182は、送信回路の出力を最大(以下、「高出力状態」と称する。)に調整する。なお、ここでは出力を最大としているが、常に最大まで引き上げる必要はない。
【0139】
CPU140は送信回路を高出力状態に調整すると、ひとまず通信制御処理(2)を終了する。そしてCPU140は、最初から通信制御処理(2)を繰り返して実行し、引き続き最大出力でエントリー信号の送信動作を継続し、携帯電話機12からの確認信号の受信を試みる。この過程で、CPU140はステップS60での判断(No)を経てステップS72に進む。
【0140】
ステップS72:CPU140は、通信ユニット142において現在の送信出力を最大に調整しているか否かを確認する。この時点で既に送信回路を高出力状態に調整しているため(Yes)、次にCPU140はステップS74を実行する。
【0141】
ステップS74:CPU140は、あらためて確認信号を受信できたか否かを判断する。この場合、送信回路を高出力状態に調整しているため、携帯電話機12側でエントリー信号を受信できていれば、確認信号を受信できる可能性が高い。それでもなお、確認信号を受信できなかった場合(No)、CPU140は次にステップS76を実行する。
【0142】
ステップS76:CPU140は、既にタイマ回路144で「タイマB」をカウント中であるか否かを判断する。この時点では未だ「タイマB」が起動していないので(No)、CPU140はさらにステップS78に進む。なお「タイマB」は、第1動作例で挙げたものと同じである。
【0143】
ステップS78:CPU140は、上記の「タイマB」を起動する。
ステップS80:次にCPU140は、先のステップS78で起動した「タイマB」がカウントアップしたか否かを確認する。現時点で未だ起動から規定時間Bが経過しておらず、タイマカウンタの値が0になっていなければ(No)、CPU140はステップS74に戻る。
【0144】
「タイマB」の起動後、確認信号を受信できないまま規定時間Bが経過すると、CPU140はステップS80で「タイマB」がカウントアップしたと判断する(Yes)。この場合、次にCPU140はステップS82を実行する。
【0145】
ステップS82:CPU140は、通信ユニット142の制御IC182に対して制御信号を出力し、送信回路の出力を標準よりも低くする処理を行う。これを受けて、制御IC182は送信回路の出力を最低(以下、「低出力状態」と称する。)に調整する。なお、ここでも常に最低出力まで引き下げる必要はない。
【0146】
CPU140は送信回路を低出力状態に調整すると、ここで通信制御処理(2)を終了してメインルーチンに復帰するが、この場合もCPU140は、最初から通信制御処理(2)を繰り返して実行し、引き続き確認信号の受信動作を継続する。この過程で、CPU140はステップS60及びステップS72での判断(いずれもNo)を経てステップS84に進む。
【0147】
ステップS84:CPU140は、低出力状態で確認信号を受信できたか否かを判断する。実際に、ユーザが携帯電話機12を置き忘れてしまった後であれば、低出力状態で携帯電話機12がエントリー信号を受信することは殆どないので、携帯電話機12からの確認信号の送信も行われない。したがって、CPU140は確認信号を受信できなかったと判断し(No)、ここで通信制御処理(2)を終了する。
【0148】
なお第3動作例においても、ユーザが置き忘れた(あるいは置き忘れかけた)携帯電話機12に近づくと、CPU140は通信回復処理(ステップS86)を実行する。通信回復処理では、例えばCPU140は確認信号の信号強度(RSSI)を取得し、この信号強度が所定の閾値(標準的な感度で受信できるレベル)を上回っていることを確認すると、送信回路を標準出力状態に復帰させる処理を行う。
【0149】
この後、CPU140が通信制御処理(2)を繰り返し実行すると、ステップS60で標準出力状態であることを確認し(Yes)、ステップS62以降の手順に復帰することができる。この場合、CPU140は確認信号の受信に成功したことを確認できるので(ステップS62:Yes)、ここでCPU140は通信制御処理(2)を終了する。
【0150】
上述した第3動作例によれば、エントリー装置14と携帯電話機12との双方向通信が正常に行われなくなると、先ずエントリー信号の送信出力を最大化し、携帯電話機12側でエントリー信号を受信可能な状態に近付けようとする。それでもなお、携帯電話機12からの確認信号を受信できなかった場合、送信出力を最低にして待機する。したがって、最終的にユーザが携帯電話機12を置き忘れた場合、エントリー装置14から延々と通常の出力でエントリー信号を送信し続けることがなく、それだけ消費電力を抑えることができる。
【0151】
〔履歴記録機能〕
上述した第2,第3動作例(双方向通信の場合)において、例えばエントリー装置14に通信不能となった日付及び時刻を記録しておき、これを後から参照できる機能を設けることができる。例えば、エントリー装置14は図示しない時計機能部及び日付時刻表示部(例えば液晶表示部等)、表示操作ボタン等を内蔵しており、そこからCPU140が現在の日付及び時刻(いわゆるタイムスタンプ)を適宜読み出し可能である。第2,第3動作例において、それぞれ最終的に通信不能になったとCPU140が判断すると、その時点で時計機能部から日付及び時刻の情報を取得し、これをRAM140bに記憶しておく。そして、後からユーザが適宜表示操作ボタンを操作すると、CPU140がRAM140bに記憶した日付及び時刻を呼び出し、これを日付時刻表示部に表示させることができる。
【0152】
上記の履歴記録機能を備えていれば、ユーザがエントリー装置14の日付時刻表示部を参照することで、後から携帯電話機12を置き忘れた日時を特定することができる。これにより、自己の行動履歴から携帯電話機12の置き忘れ場所を推測して、その後の対処(取りに戻る、あるいは忘れ物の届出をする等)をとることができる。なお、通信不能になっていた状態から通信を再開することができた場合、最後(直近)で通信不能となった日付及び時刻の履歴は不要となるため、CPU140はRAM140bからその履歴を消去してもよい。
【0153】
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。例えば一実施形態の各構成は、その一部を省略したり、別の構成を任意に組み合わせたりすることができる。
【0154】
また、エントリー装置14と携帯電話機12との通信は、一定の時間間隔をおいて間欠的に行ってもよい。この場合、通信制御処理(1),(2)や警告動作制御処理は、時間の経過に伴って間欠的に到来する通信可能な時間帯に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】置き忘れ対策システムを構成する機器の組み合わせ例を示す外観図である。
【図2】携帯電話機及びエントリー装置の各構成例を示すブロック図である。
【図3】通信ユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】エントリー信号の送信フレーム20を概念的に示す図である。
【図5】携帯電話機側のCPUが実行する通信制御処理(1)のフローチャートである。
【図6】第1動作例を通じて行われる受信感度の調整パターンを示したタイミングチャートである。
【図7】携帯電話機側のCPUが実行する警告動作制御処理のフローチャートである。
【図8】第2動作例で用いられる送信フレームの構造と通信帯域幅との関係を概念的に示した図である。
【図9】エントリー装置側のCPUが実行する通信制御処理(2)のフローチャートである。
【符号の説明】
【0156】
10 置き忘れ対策システム
12 携帯電話機
14 エントリー装置
120,140 CPU
122,142 通信ユニット
124,144 タイマ回路
126,150 アンテナ
138 キー操作受付部
172 復調回路
182 変調回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の識別情報を有し、使用者が携帯して主に使用する携帯電子機器と、前記携帯電子機器と対になって同一の使用者に携帯され、前記携帯電子機器に対してコード化された前記識別情報を含む固有信号を送信する送信回路を有した副電子機器とを備え、前記副電子機器からの固有信号に基づき、使用者による前記携帯電子機器の置き忘れ対策として所定の警告動作を実行する置き忘れ対策システムの警告動作装置において、
前記携帯電子機器は、
前記副電子機器からの固有信号を受信するためのアンテナと、
前記アンテナを通じて受信した前記固有信号を復調する受信回路と、
前記受信回路で復調された固有信号に含まれる前記識別情報を復号するデコーダと、
前記受信回路の受信感度を調整する受信感度制御回路と、
経過時間を計測するためのタイマ回路と、
前記警告動作を実行するための警告動作手段とを備えており、
前記受信感度制御回路は、
前記受信回路を標準的な受信感度に調整している標準感度状態において前記デコーダにより前記識別情報を復号できない状態が所定時間継続した場合、前記受信回路の受信感度を前記標準感度状態よりも高く調整した高感度状態に切り換え、
前記高感度状態において前記デコーダにより前記識別情報を復号できない状態が規定時間継続した場合、前記受信回路の受信感度を前記標準感度状態よりも低く調整した低感度状態に切り換えることを特徴とする置き忘れ対策システムの警告動作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の置き忘れ対策システムの警告動作装置において、
前記受信感度制御回路は、
前記高感度状態又は前記低感度状態のいずれかで前記デコーダにより前記識別情報を復号できた場合、前記受信回路の受信感度を前記標準感度状態に復帰させることを特徴とする置き忘れ対策システムの警告動作装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の置き忘れ対策システムの警告動作装置において、
前記携帯電子機器は、
前記デコーダにより前記識別情報を復号できた場合、その旨を表す確認信号を前記副電子機器に対して送信する確認送信回路をさらに備えており、
前記副電子機器は、
前記固有信号を変調して前記送信回路から送信するアンテナと、
前記送信回路の送信出力を調整する送信出力制御回路と、
前記確認送信回路からの確認信号を受信する副受信回路とをさらに備えており、
前記送信出力制御回路は、
前記送信回路を標準的な送信出力に調整している標準出力状態において前記副受信回路により前記確認信号を受信できない状態が所定時間継続した場合、前記送信回路の送信出力を前記標準出力状態よりも高く調整した高出力状態に切り換え、
前記高出力状態において前記副受信回路により前記確認信号を受信できない状態が規定時間継続した場合、前記送信回路の送信出力を前記標準出力状態よりも低く調整した低出力状態に切り換えることを特徴とする置き忘れ対策システムの警告動作装置。
【請求項4】
請求項3に記載の置き忘れ対策システムの警告動作装置において、
前記副電子機器の前記送信出力制御回路は、
前記高出力状態又は前記低出力状態のいずれかで前記副受信回路により前記確認信号を受信できた場合、前記送信回路の送信出力を前記標準出力状態に復帰させることを特徴とする置き忘れ対策システムの警告動作装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の置き忘れ対策システムの警告動作装置において、
前記副電子機器は、
前記送信回路から送信するべき前記固有信号を生成する信号生成手段をさらに備えており、
前記信号生成手段は、
前記副受信回路により前記確認信号が受信されている場合、前記識別情報とともに所定のオプション情報を含む態様で前記固有信号を生成し、
前記副受信回路により前記確認信号を受信できない状態が所定時間継続した場合、前記オプション情報を含まない態様で前記固有信号を生成することを特徴とする置き忘れ対策システムの警告動作装置。
【請求項6】
請求項5に記載の置き忘れ対策システムの警告動作装置において、
前記信号生成手段は、
前記オプション情報を含まない態様により前記固有信号を生成している状態で前記副受信回路により前記確認信号を受信できた場合、前記識別情報とともに前記オプション情報を含む態様で前記固有信号を生成する状態に復帰することを特徴とする置き忘れ対策システムの警告動作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−9197(P2009−9197A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167403(P2007−167403)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】