説明

置換インドール類およびそれらの使用方法

本発明は概して式(1)(2)(3)の置換インドール類およびそれらの使用方法に関する。本発明の一態様では、例えば対象におけるPAI−1活性を阻害することによってPAI−1関連障害を処置するために、治療有効量の一つ以上の置換インドールを、その対象に投与する。別の実施形態では、血栓症、例えば静脈血栓症、動脈血栓症、脳血栓症、および深部静脈血栓症、心房細動、肺線維症、外科手術の血栓塞栓性合併症、心血管疾患、例えば心筋虚血、アテローム斑形成、慢性閉塞性肺疾患、腎線維症、多嚢胞性卵巣症候群、アルツハイマー病、または癌を処置するために、本発明の一つ以上の置換インドール類を対象に投与する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年8月17日に出願された米国特許出願第60/708,834号の優先権の利益を主張する。米国特許出願第60/708,834号の全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は概して置換インドール類およびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
セリンプロテアーゼ阻害剤PAI−1は、線維素溶解系の主な阻害剤の一つである。線維素溶解系にはプロ酵素プラスミノゲンが含まれ、これは二つの組織型プラスミノゲン活性化因子t−PAまたはu−PAの一つによって活性酵素プラスミンに変換される。PAI−1は、t−PAおよびu−PAの最も重要な生理的阻害剤である。線維素溶解系におけるプラスミンの主要責務の一つは、血管傷害部位でフィブリンを消化することである。しかし線維素溶解系は、循環からのフィブリンの除去を担うだけでなく、排卵、胚発生、内膜増殖、血管新生、腫瘍形成、およびアテローム性動脈硬化を含む他のいくつかの生物学的過程にも関与する。
【0004】
上昇したPAI−1レベルは、線維素溶解系の機能障害に関連するものを含むさまざまな疾患および状態と関連づけられている。例えば、上昇したPAI−1レベルは、血栓性疾患、例えば血管内の血流を局所的に妨げ、または剥離し塞栓を形成して下流の血流を閉塞する、血栓の形成を特徴とする疾患などに結びつけられている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。PAI−1活性の抗体中和は、内因性血栓溶解および再灌流の促進をもたらした(非特許文献4)。上昇したPAI−1レベルは、多嚢胞性卵巣症候群(Nordt、Journal of clinical Endocrinology and Metabolism、85、4、1563(2000))、エストロゲン欠乏による骨減少(Daci、Journal of Bone and Mineral Research、15、8、1510(2000))、嚢胞性線維症、糖尿病、慢性歯周炎、リンパ腫、細胞外マトリックス蓄積に関連する疾患、悪性疾患および新血管形成に関連する疾患、炎症性疾患、感染症に関連する血管損傷、ならびに増加したuPAレベルに関連する疾患、例えば乳癌および卵巣癌などの疾患にも結びつけられている。
【非特許文献1】Krishnamurti、Blood、69、798(1987);Reilly、Arteriosclerosis and Thrombosis、11、1276(1991)
【非特許文献2】Carmeliet、Journal of Clinical Investigation、92、2756(1993)、Rocha、Fibrinolysis、8、294、1994
【非特許文献3】Aznar、Haemostasis 24、243(1994)
【非特許文献4】Biemond、Circulation、91、1175(1995);Levi、Circulation 85、305、(1992)
【非特許文献5】Nordt、Journal of clinical Endocrinology and Metabolism、85、4、1563(2000))
【非特許文献6】Daci、Journal of Bone and Mineral Research、15、8、1510(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、PAI−1活性の阻害剤の同定、および上昇したPAI−1レベルに関連する障害を処置するために、同定された阻害剤を使って対象におけるPAI−1の発現または活性を調整する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、置換インドール類およびそれらの使用方法を提供する。一定の実施形態では、式1:
【0007】
【化4】

式1
[式中、
はC1−6アルキルである;
はNRSOまたはNHC(=O)NHRである;
は水素、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
はC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
ただし、RまたはRの少なくとも一方はCOORで置換されるものとする;
は、フェニル(COH)または−C1−6アルキル(COH)[式中、アルキル基は、適宜、フェニルまたはベンジルで置換されている]である;
は水素またはC1−6アルキルである;そして
nは1〜4である]
の置換インドール類、または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型を含む置換インドール類が提供される。
【0008】
本発明の置換インドール類には、式2:
【0009】
【化5】

式2
[式中、
は水素、COH、またはCONHNHである;
pは0〜4である;
は水素、−C1−6アルコキシ(COH)、C(=O)NR1011またはC(=O)アミノ酸である;
10およびR11は、それらが結合している窒素と共に一緒になって、2〜8個の炭素環原子を含む3〜9員飽和環を形成する;
ただし、Rが水素である場合、RはCOHまたはCONHNHであるものとする;
はNR12SO13である;
12はHであるか、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
13は、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである]
の置換インドール類、または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型も包含される。
【0010】
本発明には、式3:
【0011】
【化6】

式3
[式中、
14は−OH、C1−6アルコキシ、またはアミノ酸である;
15はNR16SO17である;
16はHであるか、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
17は、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;そして
sは1〜4である]
の置換インドール類、または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型も包含される。
【0012】
さらに本発明は、とりわけ、置換インドール類を使用する方法も提供する。本発明の一態様では、例えば対象におけるPAI−1活性を阻害することによってPAI−1関連障害を処置するために、治療有効量の一つ以上の置換インドールを、その対象に投与する。例えば、本発明の一実施形態では、線維素溶解系の機能障害を処置するために、本発明の一つ以上の置換インドール類を対象に投与する。別の実施形態では、血栓症、例えば静脈血栓症、動脈血栓症、脳血栓症、および深部静脈血栓症、心房細動、肺線維症、外科手術の血栓塞栓性合併症、心血管疾患、例えば心筋虚血、アテローム斑形成、慢性閉塞性肺疾患、腎線維症、多嚢胞性卵巣症候群、アルツハイマー病、または癌を処置するために、本発明の一つ以上の置換インドール類を対象に投与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
概観
本発明は、例えばPAI−1活性を阻害する化合物、そのような化合物を製造するための方法、そのような化合物を含有する医薬組成物、および薬物療法においてそのような化合物を使用するための方法を提供する。これらの化合物は、PAI−1の産生および/または作用が関わる多種多様な疾患および障害の処置(予防および抑制を含む)に有用な性質を持つ。それらの障害には、線維素溶解系の機能障害に起因する障害、例えば、限定されないが、血栓症、冠動脈心疾患、腎線維症、アテローム斑形成、肺疾患、心筋虚血、心房細動、凝固症候群、外科手術の血栓塞栓性合併症、末梢動脈閉塞および肺線維症などが含まれる。他の障害には、多嚢胞性卵巣症候群、アルツハイマー病、および癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書における官能基部分が本明細書において適宜置換される場合、その置換は、利用可能な位置に応じて一つ以上(例えば置換フェニルまたは置換ベンジル基の場合のように、1〜2、1〜3、1〜4、または1〜5個)の置換基によって行われうる。
【0015】
本明細書で使用する用語「アルキル」および「アルケニル」は、単独で使用されるか、別の基の一部として使用されるかを問わず、置換または非置換脂肪族炭化水素鎖を指し、その違いは、アルキル基が本質的に一価(すなわち末端)であるのに対して、アルキレン基は二価であり、典型的にはリンカーとして役立つことである。どちらも、別途明示的指定がない限り、例えば1〜約12個の炭素原子、好ましくは1〜約6個の炭素原子を含有する直鎖および分岐鎖を包含するが、これらに限定されない。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルは、用語「アルキル」に包含される。別途表示がない限り、「アルキル」の定義には、特に、例えば一つ以上の置換基(1〜3個の置換基など)によって適宜置換された、脂肪族炭化水素鎖が包含される。随意の置換基として、例えばOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、ヘテロシクリル、およびCOHが挙げられる。
【0016】
本明細書において定義に使用される炭素数は、炭素主鎖および炭素分枝を指すが、例えばアルコキシ置換などの置換基の炭素原子は含まない。
【0017】
本明細書に記載する「フェニル」基および「ベンジル」基の環は、適宜、置換することができる。ベンジル基のメチレン結合を適宜置換することもできる。随意の置換基として、例えばOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、ヘテロシクリル、およびCOHが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用する用語「アルコキシ」は、基−O−R[式中、Rは上に定義したアルキル基である]を指す。特に、「アルコキシ」の定義には、適宜置換されたアルコキシ基が包含される。随意の置換基として、例えばOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、ヘテロシクリル、およびCOHが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」は、その構造中に一つ以上の環を持ち、約3〜約20個の炭素原子(ならびに炭素原子の範囲とその中の具体的炭素原子数との全ての組み合わせおよび副組み合わせ)を持つ、適宜置換されたアルキル基を指し、約3〜約10個の炭素原子が好ましい。多環構造は架橋環構造であっても縮合環構造であってもよい。シクロアルキル基として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、2−[4−イソプロピル−1−メチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル]、2−[1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレニル]、およびアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用する用語「アリール」は、約5〜約50個の炭素原子(ならびに炭素原子の範囲とその中の具体的炭素原子数との全ての組み合わせおよび副組み合わせ)を持つ、適宜置換された単環式、二環式、三環式、または他の多環式芳香環系を指し、約6〜約10個の炭素が好ましい。限定でない例として、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントレニルが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用する用語「アルキルアリール」は、アルキル置換基を持つアリール基から構成される適宜置換された環系を指し、この場合、アルキルおよびアリールは先に定義したとおりである。例示的なアルキルアリール基として、メチルフェニル(トルリル)、ジメチルフェニル(キシリル)、エチルフェニルおよびメチルナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、適宜置換されたアリール環系であって、その環の少なくとも一つにおいて、炭素原子環メンバーの一つ以上が、S、O、N、およびNHからなる群より選択されるヘテロ原子によって、独立して置き換えられているものを指し、この場合、アリールは先に定義したとおりである。全部で約5〜約14個の炭素原子環メンバーおよびヘテロ原子環メンバー(ならびに炭素およびヘテロ原子環メンバーの範囲とその中の具体的炭素およびヘテロ原子環メンバー数との全ての組み合わせおよび副組み合わせ)を持つヘテロアリール基が好ましい。例示的なヘテロアリール基として、ピリル(pyrryl)、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、およびイソオキサゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、分子の残りの部分に、炭素またはヘテロ原子を介して結合することができる。
【0023】
本明細書で使用する用語「アルキルヘテロアリール」は、アルキル置換基を持つヘテロアリール基から構成される適宜置換された環系を指し、この場合、アルキルおよびヘテロアリールは先に定義したとおりである。例示的なアルキルヘテロアリール基として、アルキル置換されたピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、およびイソオキサゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用する用語「ヘテロシクリル」または「Het」は、単独で使用されるか、別の基の一部として使用されるかを問わず、炭素原子ならびに窒素、酸素、および硫黄からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する安定な3〜約10員環、好ましくは5〜10員環を指す。本発明のヘテロシクリルは、単環式環系または二環式環系のいずれであってもよく、飽和、不飽和、または部分不飽和のいずれであってもよい。ヘテロシクリルは適宜、フェニル環に縮合していてよい。ヘテロシクリル基として、アジリジニル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロ−1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロキノリニル、およびテトラヒドロイソキノリニルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいヘテロシクリル部分として、(a)1〜2個の窒素を含有し、適宜、フェニル環に縮合した、6員の飽和、部分不飽和、または不飽和複素環;(b)1〜3個の窒素、酸素、または硫黄原子を含有し、適宜、フェニル環に縮合した、5員の飽和、部分飽和、または不飽和複素環;(c)1〜4個の窒素、酸素、または硫黄原子を含有する飽和、部分不飽和、または不飽和二環式複素環;(d)カルバゾール、ジベンゾフラン、およびジベンゾチオフェンが挙げられる。別途表示がない限り、「ヘテロシクリル」の定義には、特に、適宜置換された複素環が包含される。随意の置換基として、例えばOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、ヘテロシクリルおよびCOHが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用する用語「ペルフルオロアルキル」は、単独で使用されるか、別の基の一部として使用されるかを問わず、1〜6個の炭素原子および2個以上のフッ素原子を持つ飽和脂肪族炭化水素を指し、−CF、−CHCF、−CFCFおよび−CH(CFなどの直鎖または分岐鎖を包含するが、これらに限定されない。随意の置換基として、例えばOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、ヘテロシクリル、およびCOHが挙げられる。
【0026】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を指す。
【0027】
用語「アミノ酸」は、アミノ官能基およびカルボン酸官能基をどちらも含有する任意の分子を指し、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の両方を包含し、アルファアミノ酸、ベータアミノ酸、およびアミノ酸誘導体をいずれも包含する。好ましくは、アミノ酸は50〜400ダルトンの分子量を持つ。好ましくは、アミノ酸は、式2および式3の化合物において、分子の残りの部分に、窒素原子を介して連結される。用語「アルファアミノ酸」は、アミノ官能基とカルボン酸官能基とが同じ炭素に結合しているアミノ酸を指し、一般式:
【0028】
【化7】

[式中、RはHであるか、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミド、アミジノ、チオ、アルキルチオ、複素環、アリール、またはヘテロアリールで適宜置換されたC1−6アルキル;適宜置換された複素環、適宜置換されたアリール;および適宜置換されたヘテロアリールであり、または、式中、Rとアミノ基の窒素とが環を形成する]
の天然アルファアミノ酸および非天然アルファアミノ酸をどちらも包含する。
【0029】
適切な天然アルファアミノ酸として、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、グリシン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸が挙げられる。適切な非天然アルファアミノ酸として、D−アラニンおよびD−グルタミン酸、L−ホモセリンおよびL−オルニチン、L−チロキシン、Fmoc−(Boc−4−アミノメチル)−L−フェニルアラニン、Boc−(Fmoc−4−アミノメチル)−L−フェニルアラニン、Fmoc−(Boc−4−アミノメチル)−D−フェニルアラニン、Boc−(Fmoc−4−アミノメチル)−D−フェニルアラニン、Fmoc−4−アミノ−L−フェニルアラニン、Boc−4−アミノ−L−フェニルアラニン、Fmoc−4−アミノ−D−フェニルアラニン、Boc−4−アミノ−D−フェニルアラニン、Fmoc−(Boc−4−アミノ)−L−フェニルアラニン、Fmoc−(Boc−4−アミノ)−D−フェニルアラニン、Fmoc−4−ブロモ−L−フェニルアラニン、Boc−4−ブロモ−L−フェニルアラニン、Fmoc−4−ブロモ−D−フェニルアラニン、Boc−4−ブロモ−D−フェニルアラニン、Fmoc−4−ビス(2−クロロエチル)アミノ−L−フェニルアラニン、Boc−4−ビス(2−クロロエチル)アミノ−L−フェニルアラニン、Fmoc−2−クロロ−L−フェニルアラニン、Boc−2−クロロ−L−フェニルアラニン、Fmoc−4,5−デヒドロ−L−ロイシンおよびBoc−4,5−デヒドロ−L−ロイシン;Fmoc−L−アリルグリシン、Boc−L−アリルグリシンジシクロヘキシルアンモニウム塩、Fmoc−D−アリルグリシン、Boc−D−アリルグリシンジシクロヘキシルアンモニウム塩、Fmoc−DL−メチオニンメチルスルホニウムクロリド、Boc−DL−メチオニンメチルスルホニウムクロリド、Fmoc−a−メチル−DL−メチオニン、Boc−a−メチル−DL−メチオニン、Fmoc−L−セレノメチオニン、Boc−L−セレノメチオニン、Fmoc−DL−セレノメチオニンおよびBoc−DL−セレノメチオニン)が挙げられる。当技術分野では他にも適切な非天然アミノ酸が知られている。上記の例示的な非天然アミノ酸は保護基を持つが、保護基なしでも存在し、本明細書では特に包含される。例示的なアミノ酸誘導体として、4−ヒドロキシプロリンおよび5−ヒドロキシリジンが挙げられる。好ましいアミノ酸として、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、β−アラニンおよびそのエステルが挙げられる。好ましいアミノ酸として、式−NR1819で表されるもの[式中、R18およびR19は、それらが結合している窒素と共に一緒になって、COHまたはC(O)C1−6アルコキシで置換された2〜8個の炭素環原子を含む3〜9員の飽和環を形成する]、例えばシクロプロパンアミノ酸類(1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸、アロコロナミン酸および2,3−メタノホモセリンなど)、1−アミノシクロヘキサン−1−カルボン酸、イソニペコチン酸、2−アゼチジンカルボン酸、およびそのエステルなども挙げられる。好ましいアミノ酸として、アルファアミノ酸、および式C(=O)NH(CHCOHで表されるアミノ酸[式中、mは1〜4である]も挙げられる。
【0030】
「処置する」または「処置」という用語は、傷害、病態、または状態の改善の成功を示す任意の徴候、例えば、症状の軽減、寛解、減少などといった任意の客観的もしくは主観的パラメータ、または傷害、病態もしくは状態を患者にとってより認容できるものにすること、変性もしくは衰弱の速度を遅くすること、変性の最終点をより消耗度の低いものにすること、または対象の肉体的もしくは精神的快適さを改善することを指す。症状の処置または改善は、身体検査、神経学的検査、および/または精神鑑定の結果を含む客観的または主観的パラメータに基づくことができる。「処置する」または「PAI−1関連障害の処置」には、PAI−1関連障害の素因を持ちうるが、その障害の症状をまだ経験または呈示していない対象における症状の発生を防止すること(予防的処置)、その障害の症状を抑制すること(その発達を減速または停止させること)、その障害の症状または副作用の軽減をもたらすこと(姑息的処置を含む)、および/またはその障害の症状を軽減すること(後退を引き起こすこと)が含まれる。したがって「処置する」という用語には、PAI−1関連障害に関連する症状または状態(例えば癌に関連する腫瘍成長)の発達を防止しもしくは遅延させ、軽減し、または停止もしくは抑制するために、本発明の化合物または薬剤を対象に投与することが包含される。標準的な方法を使って、ある患者が、強化されたPAI−1レベルおよび/または活性に関連する疾患を患っているかどうかを、例えば、その患者を検査して、その患者が上昇したPAI−1レベルもしくは活性に関連することが知られている疾患を患っているかどうかを決定することによって、またはPAI−1関連疾患を患っていると疑われる個体の血漿中もしくは組織中のPAI−1レベルをアッセイし、PAI−1関連疾患を患っていると疑われる個体の血漿中もしくは組織中のPAI−1レベルを健常個体の血漿中もしくは組織中のPAI−1レベルと比較することによって決定する方法は、熟練した医師であればわかるだろう。増加したPAI−1レベルは疾患を示す。したがって本発明は、とりわけ、対象に本発明の化合物を投与し、その対象におけるPAI−1のレベルを決定する方法を提供する。対象におけるPAI−1のレベルは、本化合物の投与前および/または投与後に決定することができる。
【0031】
PAI−1は、健常個体では、血漿中に低レベルに見出されるが(約5〜26ng/mL)、例えばアテローム性動脈硬化(Schneiderman J.ら、Proc Natl Acad Sci 89:6998−7002、1992)深部静脈血栓症(Juhan−Vague Iら、Thromb Haemost 57:67−72、1987)、およびインスリン非依存性糖尿病(Juhan−Vague Iら、Thromb Haemost 78:565−660、1997)を含む多くのPAI−1関連障害では上昇する。PAI−1は動脈血栓および静脈血栓をどちらも安定化して、それぞれ心筋梗塞後の冠動脈閉塞(Hamsten Aら、Lancet 2:3−9、1987)、および整形外科からの術後回復に続いて起こる静脈血栓症(Siemens HJら、J Clin Anesthesia 11:622−629、1999)の一因となる。血漿PAI−1は、例えば閉経後女性でも上昇し、この集団において心血管疾患の発生率が増加する一因であると提唱されている(Koh Kら、N Engl J Med 336:683−690、1997)。
【0032】
「PAI−1関連障害または疾患」という用語は、PAI−1の増加もしくは強化された発現もしくは活性またはPAI−1をコードする遺伝子の増加もしくは強化された発現もしくは活性に関連する任意の疾患または状態を指す。そのような増加された活性または発現の例として、以下の一つ以上を挙げることができる:タンパク質の活性またはタンパク質をコードする遺伝子の発現が、正常対象におけるレベルを上回って増加する;タンパク質の活性またはタンパク質をコードする遺伝子の発現が、正常対象ではそれが通常は検出されない器官、組織または細胞で起こる(すなわち、タンパク質またはタンパク質をコードする遺伝子の発現の空間的分布が変化する);タンパク質の活性またはタンパク質をコードする遺伝子の発現が、正常対象の場合よりも長い期間にわたって器官、組織または細胞中に存在する場合(すなわち、タンパク質の活性またはタンパク質をコードする遺伝子の発現の持続時間が増加した場合)に、タンパク質の活性またはタンパク質をコードする遺伝子の発現が増加する。正常または健常対象は、PAI−1関連疾患または状態を患っていない対象である。
【0033】
「薬学的に許容できる賦形剤」という用語は、一般に安全で、無毒性で、望ましい医薬組成物の製造に有用な賦形剤を意味し、獣医学用途およびヒト医薬用途にとって許容できる賦形剤を包含する。そのような賦形剤は、固体、液体、半固体であるか、エアゾル組成物の場合には、気体であることができる。
【0034】
「薬学的に許容できる塩およびエステル」とは、薬学的に許容することができ、望ましい薬理学的性質を持つ塩およびエステルを指す。そのような塩として、例えば、化合物中に存在する酸性プロトンが無機塩基または有機塩基と反応する能力を持つ場合に形成させることができる塩が挙げられる。適切な無機塩として、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウムおよびカリウム、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムによって形成されるものが挙げられる。適切な有機塩として、例えば、アミン塩基などの有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、Nメチルグルカミンなどによって形成されるものが挙げられる。薬学的に許容できる塩として、親化合物中のアミンなどの塩基性部分と無機酸(例えば塩酸および臭化水素酸)および有機酸(例えば酢酸、クエン酸、マレイン酸、ならびにアルカンスルホン酸およびアレーンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸)との反応によって形成される酸付加塩を挙げることもできる。薬学的に許容できるエステルとしては、化合物中に存在するカルボキシ、スルホニルオキシ、およびホスホノキシ基から形成されるエステル、例えばC1−6アルキルエステルが挙げられる。二つの酸性基が存在する場合、薬学的に許容できる塩またはエステルは、モノ酸モノ塩もしくはエステルまたはジ塩もしくはエステルであることができ、同様に、三つ以上の酸性基が存在する場合、そのような基の一部または全部を塩化またはエステル化することができる。本発明で指名する化合物は、非塩化または非エステル化型で存在するか、塩化および/またはエステル化型で存在することができ、そのような化合物の指名は、元の(非塩化および非エステル化)化合物とその薬学的に許容できる塩およびエステルとの両方を包含することを意図する。また、本発明で指名する一定の化合物は、二つ以上の立体異性体型として存在することができ、そのような化合物の指名は全ての単一立体異性体およびそのような立体異性体のあらゆる混合物(ラセミ混合物であるか他の混合物であるかを問わない)を包含することを意図する。
【0035】
発現または活性の「阻害剤」「活性化剤」および「調整剤」という用語は、発現または活性に関するインビトロおよびインビボアッセイを使って同定される、それぞれ阻害分子、活性化分子、または調整分子を指すために用いられる。本発明の阻害剤は、PAI−1の発現を阻害し、またはPAI−1に結合し、刺激を部分的にもしくは完全に遮断し、PAI−1の活性化を減少させ、防止し、もしくは遅延させ、PAI−1を失活させ、脱感作し、またはPAI−1の活性をダウンレギュレートする組成物である。PAI−1を含む試料またはアッセイを本発明の組成物で処置し、本発明の組成物を含まない対照試料と比較することができる。対照試料(本発明の組成物で処置されていないもの)には、100%という相対活性値を割り当てることができる。一定の実施形態では、対照と比較した活性値が約80%以下、適宜、50%または25%、10%、5%もしくは1%である場合に、PAI−1の阻害が達成される。
【0036】
「薬学的に許容できる」「生理学的に認容できる」という用語およびその文法上の異形は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬を指す場合には可変的に使用され、その材料が、化合物の投与を不可能にするほどの悪心、めまい、胃部不快感などの望ましくない生理学的作用をもたらさずに、ヒトに投与できることを表す。
【0037】
「治療有効量」または「薬学的有効量」とは、対象に投与した時に効果をもたらす量を意味する。例えば、PAI−1活性を阻害するために対象に投与する場合、「治療有効量」はPAI−1活性を阻害するのに十分な量である。ある疾患を処置するために対象に投与する場合、「治療有効量」は、その疾患の処置を達成するのに十分な量である。
【0038】
注記する場合を除き、用語「対象」または「患者」は可変的に使用され、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラットおよびマウスなどの実験動物、および他の動物を指す。したがって本明細書で使用する用語「対象」または「患者」は、本発明の化合物を投与することができる任意の哺乳動物患者または対象を意味する。本発明の例示的な実施形態では、本発明の方法による処置の対象患者を同定するために、容認されるスクリーニング方法を使って、標的とするまたは疑われる疾患または状態に関連する危険因子を決定するか、対象における既存の疾患または状態の状況を決定する。これらのスクリーニング方法には、例えば、標的とするまたは疑われる疾患または状態に関連しうる危険因子を決定するための常套の精密検査が含まれる。これらのおよび他の日常的方法により、臨床家は、本発明の方法および製剤を使った治療を必要とする患者を選択することができる。
【0039】
任意の構成要素または任意の式において任意の可変部が2回以上現われる場合、各出現位置におけるその定義は、他のどの出現位置におけるその定義にも依存しない。置換基および/または可変部の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許される。
置換インドール類
本発明は置換インドール類を提供する。本置換インドール類を、好ましくは、対象におけるPAI−1の発現または活性を阻害し、そして最終的には、対象における増加したPAI−1活性に関連する疾患または状態、例えばPAI−1関連障害を処置するために投与する。
【0040】
置換インドール類には、式1:
【0041】
【化8】

式1
[式中、
はC1−6アルキルである;
はNRSOまたはNHC(=O)NHRである;
は水素、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
はC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
ただし、RまたはRのどちらか一方はCOORで置換されるものとする;
は、フェニル(COH)または−C1−6アルキル(COH)[式中、アルキル基は、適宜、フェニルまたはベンジルで置換される]である;
は水素またはC1−6アルキルである;そして
nは1〜4である]
の置換インドール類、または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型が包含される。
【0042】
典型的な式1の化合物として、Rが分岐ブチル(例えばイソブチルおよびtert−ブチル)であるものが挙げられる。Rの例はCHCOH、水素、またはベンジル基の環がCOHで置換されるベンジルである。Rの例はCOORで置換されたフェニルである。Rは、例えば、アルキル基がフェニルまたはベンジルで置換される−C1−6アルキル(COH)であってよい。nの例は1である。
【0043】
例示的な化合物として、RおよびRのアルキル基およびペルフルオロアルキル基が非置換であるか、COORで置換され、RおよびRのフェニル、ベンジルまたはヘテロシクリル基の環が非置換であるか、COORで置換される化合物が挙げられる。
【0044】
置換インドール類には、式2:
【0045】
【化9】

式2
[式中、
は水素、COH、またはCONHNHである;
pは0〜4である;
は水素、−C1−6アルコキシ(COH)、C(=O)NR1011またはC(=O)アミノ酸である;
10およびR11は、それらが結合している窒素と共に一緒になって、2〜8個の炭素環原子を含む3〜9員飽和環を形成する;
ただし、Rが水素である場合、RはCOHまたはCONHNHであるものとする;
はNR12SO13である;
12はHであるか、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
13は、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである]
の置換インドール類、または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型が包含される。
【0046】
例示的な式2の化合物として、pが1〜4であるものが挙げられる。Rの例は水素、OCHCOH、−C(=O)−フェニルアラニン、−C(=O)−β−アラニン、またはカルボン酸で置換された−C(=O)−ピペリジニルである。R12の例はHである。R13の例は非置換フェニル、およびOCF、フェニル、C1−6アルキルまたはハロゲンで置換されたフェニルである。
【0047】
例示的な化合物として、R12およびR13のアルキル基およびペルフルオロアルキル基が非置換であるか、OCF、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルで置換され、R12およびR13のフェニル、ベンジルまたはヘテロシクリル基の環の環が非置換であるか、OCF、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、またはフェニルで置換されるものが挙げられる。
【0048】
置換インドール類には、式3:
【0049】
【化10】

式3
[式中、
14は−OH、C1−6アルコキシ、またはアミノ酸である;
15はNR16SO17である;
16はHであるか、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
17は、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;そして
sは1〜4である]
の置換インドール類、または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型が包含される。
【0050】
一部の実施形態では、R14が−OHまたはC1−6アルコキシである場合に、R16またはR17が、OCF、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルで置換される。
【0051】
好ましい式3の化合物として、R14が−OH、フェニルアラニンまたはロイシンであるものが挙げられる。好ましくは、R16は水素である。好ましくは、R17は、非置換フェニル;OCF、ハロゲン、C1−6アルキル、もしくはフェニルで置換されたフェニル;またはヘテロシクリルである。好ましくは、sは1である。
【0052】
限定されないが、例示的な本発明の置換インドール類として、以下の化合物が挙げられる:
3−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}スルホニル)安息香酸;
{ベンゼンスルホニル−[1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1Η−インドール−5−イル]−アミノ}−酢酸;
4−{[[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル](フェニルスルホニル)アミノ]メチル}安息香酸;4−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}スルホニル)安息香酸;
N−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}カルボニル)−L−フェニルアラニン;
3−[({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}カルボニル)アミノ]安息香酸;
[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)フェノキシ]酢酸;
3−[({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}カルボニル)アミノ]安息香酸;
{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]フェノキシ}酢酸;3−フェニル−2−[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸;
1−{4−[(5−{[(3,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−1Η−インドール−1イル)メチル]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボン酸;
1−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1Η−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]ピペリジン−4−カルボン酸;
1−{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボン酸;
N−(4−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]メチル}ベンゾイル)−β−アラニン;
N−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−β−アラニン;
N−{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}−β−アラニン;
N−[4−({5−[(フェニルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−L−フェニルアラニン;
N−(4−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]メチル}ベンゾイル)−L−フェニルアラニン;
N−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−L−フェニルアラニン;
N−{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}−L−フェニルアラニン;
N−[1−(1−ベンジル−2−ヒドラジノ−2−オキソエチル)−1H−インドール−5−イル]−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド;
{5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}酢酸;
N−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−フェニルアラニン;
N−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−フェニルアラニン;
N−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−ロイシン;
N−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−ロイシン;
N−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1Η−インドール−1−イル]アセチル}−L−フェニルアラニン;
N−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−フェニルアラニン;
N−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]アセチル}−L−ロイシン;
1−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]アセチル}ピペリジン−4−カルボン酸;
1−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)ピペリジン−4−カルボン酸;
1−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)ピペリジン−4−カルボン酸;
1−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)アセチル]ピペリジン−4−カルボン酸;
N−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−ロイシン;
または薬学的に許容できるそれらの塩もしくはエステル型。
【0053】
本発明は、置換インドール類(式1〜3の化合物またはその立体異性体もしくは薬学的に許容できる塩を含む)と一つ以上の薬学的に許容できる担体、賦形剤、または希釈剤とを含む組成物も提供する。そのような組成物には、増加したPAI−1活性に関連する疾患状態または状態を処置または制御するための医薬組成物が含まれる。一定の実施形態において、本組成物は、一つ以上の置換インドール類の混合物を含む。
【0054】
式1〜3の化合物のいくつかは、不斉(stereogenic)炭素原子または他のキラル原子を含有し、それゆえにエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む立体異性体を生じる。本発明は、式1〜3の立体異性体およびその立体異性体の混合物を全て包含する。本願の全体を通して、生成物の名称は、不斉(asymmetric)中心の絶対配置が示されていない場合には、個々の立体異性体および立体異性体の混合物を包含することを意図する。
【0055】
エナンチオマーが好ましい場合、それは、一部の実施形態では、対応するエナンチオマーを実質的に含まない状態で提供することができる。したがって、対応するエナンチオマーを実質的に含まないエナンチオマーとは、対応するエナンチオマーを含まないように、分離技法によって単離もしくは分離された、または製造された化合物を指す。本明細書にいう「実質的に含まない」とは、その化合物が、著しく高い割合の一方のエナンチオマーから構成されることを意味する。好ましい実施形態では、化合物が、少なくとも約90重量%の好ましいエナンチオマーから構成される。本発明の別の実施形態では、化合物が、少なくとも約99重量%の好ましいエナンチオマーから構成される。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む当業者に知られる任意の方法によって、好ましいエナンチオマーをラセミ混合物から単離するか、本明細書に記載する方法によって、好ましいエナンチオマーを製造することができる。好ましいエナンチオマーを製造するための方法は、例えばJacquesら、Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、ニューヨーク、1981);Wilen,S.H.ら、Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.、Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill、NY、1962);およびWilen,S.H.、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions 268頁(E.L.Eliel編、Univ.of Notre Dame Press、インディアナ州ノートルダム 1972)。
【0056】
本明細書に記載する化合物の例示的な塩型として、限定されないが、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。これらの化合物の他の例示的な塩型として、限定されないが、当技術分野で知られる薬学的に許容できる無機および有機の塩基または酸によって形成されるものが挙げられる。本発明の化合物が塩基性部分を含有する場合、酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、および同様に公知の許容できる助剤が挙げられる。無機塩基を使って製造される塩型は、治療的に許容できるアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウムカリウム、マグネシウム、カルシウムなどの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩を含む。許容できる有機塩基としては、アミン類、例えばベンジルアミン、モノ−、ジ−およびトリ−アルキルアミン類、好ましくは炭素原子数1〜6、より好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基を持つもの、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ジ−、およびトリ−エタノールアミンが挙げられる。例示的な塩として、6個までの炭素原子を含有するアルキレンジアミン類、例えばヘキサメチレンジアミン;6個までの炭素原子を含有する環状飽和または不飽和塩基(ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジンならびにそれらのN−アルキルおよびN−ヒドロキシアルキル誘導体、例えばN−メチル−モルホリンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジン、またはピリジンを含む)も挙げられる。テトラアルキル型、例えばテトラメチル型、アルキル−アルカノール型、例えばメチル−トリエタノールまたはトリメチル−モノエタノール型、および環状アンモニウム塩型、例えばN−メチルピリジニウム、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリニウム、N,N−ジ−メチルモルホリニウム、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリニウム、またはN,N−ジメチル−ピペリジニウム塩型などの4級塩を形成することもできる。これらの塩型は、式1〜3の酸性化合物と、当技術分野で知られる手法とを使って製造することができる。
【0057】
本発明化合物の例示的なエステル型として、限定されないが、1〜6個の炭素原子を持つ直鎖アルキルエステルまたは1〜6個の炭素原子を含有する分岐鎖アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメチルエチルエステルなど)、シクロアルキルエステル(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、2−[4−イソプロピル−1−メチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル]、2−[1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレニル]、およびアダマンチルエステルなど)、アルキルアリールエステル(メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、およびメチルナフチルエステルなど)、ベンジルエステルなどが挙げられる。他の例示的なエステルとして、限定されないが、式−COOR20のエステル[式中、R20は式:
【0058】
【化11】

(式中、R21、R22、R23、およびR24は、水素、炭素原子数1〜10のアルキル(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルなど)、炭素原子数6〜12のアリール(フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントレニルなど)、炭素原子数6〜12のアリールアルキル(フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントレニルなど);ヘテロアリール(ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、およびイソオキサゾリルなど)またはヘテロアリール環が炭素原子数1〜6のアルキル鎖によって結合されるアルキルヘテロアリール(アルキル置換されたピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、およびイソオキサゾリルなど)から独立して選択される)
から選択される]が挙げられる。
【0059】
本発明の好ましい化合物はPAI−1活性を阻害する。したがって本化合物は、例えばインスリン非依存性糖尿病の処置、心血管疾患の処置、ならびに冠動脈および脳血管疾患に関連する血栓イベントの処置などを含む、対象におけるPAI−1関連障害の処置(予防、抑制、および/または改善を含む)に使用することができる。増加したPAI−1の活性または発現に関連する疾患のいずれか(例えば糖尿病または心血管疾患)を患っている対象に、その疾患の処置を達成するために、本発明の方法を使って、置換インドール類(式1〜3によって表されるものを含む)を投与する方法は、熟練した医師であればわかるだろう。
【0060】
一例示的実施形態では、血栓状態および血栓促進状態が関わる疾患過程(例えば、限定されないが、アテローム斑の形成、静脈および動脈血栓症、心筋虚血、心房細動、深部静脈血栓症、凝固症候群、肺血栓症、脳血栓症、外科手術(関節置換術または股関節置換術など)の血栓塞栓性合併症、ならびに末梢動脈閉塞が挙げられる)を処置するために、置換インドール類を対象に投与する。
【0061】
対象におけるPAI−1の増加した活性または発現に関連する任意の疾患または状態を、置換インドール類を使って処置することができる。例示的な疾患および状態として、脳卒中、例えば心房細動に関連するまたは心房細動に起因する脳卒中;細胞外マトリックス蓄積に関連する疾患、例えば、限定されないが、腎線維症、慢性閉塞性肺疾患、多嚢胞性卵巣症候群、再狭窄、腎血管疾患、および臓器移植拒絶;新血管形成に関連する疾患、例えば、限定されないが、糖尿病性網膜症;アルツハイマー病、例えば対象におけるプラスミン濃度のレベルを増加させるまたは正常化することによる;骨髄化生を伴う骨髄線維症、例えばストローマ細胞過形成および細胞外マトリックスタンパク質の増加を調節することによる;糖尿病性腎症およびネフロパシーに関連する腎透析;悪性疾患または癌、例えば、限定されないが、白血病、乳癌および卵巣癌;腫瘍、例えば、限定されないが、脂肪肉腫および上皮性腫瘍;敗血症;肥満;インスリン抵抗性;増殖性疾患、例えば、限定されないが、乾癬;凝固ホメオスタシス異常に関連する状態;低グレード血管炎症;脳血管疾患;高血圧;痴呆;骨粗鬆症;関節炎;呼吸器疾患、例えば喘息;心不全;不整脈;アンギナ、例えば、限定されないが、狭心症;アテローム性動脈硬化および続発症;腎不全;多発性硬化症;骨粗鬆症;骨減少症;痴呆;末梢血管疾患;末梢動脈疾患;急性血管症候群;微小血管疾患、例えば、限定されないが、ネフロパシー、ニューロパシー、網膜症およびネフローゼ症候群;高血圧;I型およびII型糖尿病ならびに関連疾患;高血糖;高インスリン血症;悪性病変;前癌性病変;胃腸悪性疾患;冠動脈心疾患、例えば、限定されないが、心筋梗塞、安定および不安定狭心症の一次予防および二次予防、冠血管イベントの一次予防、ならびに心血管イベントの二次予防;ならびに炎症性疾患、例えば、限定されないが、敗血症性ショックおよび感染症に関連する血管損傷が挙げられる。
【0062】
本発明の化合物は、第2の治療剤、例えば、限定されないが、血栓溶解促進剤、線維素溶解剤、および抗凝血剤などと組み合わせて、または他の治療法、例えばHIV−1感染患者の線維素溶解機能障害および凝固性亢進に由来する疾患を処置するためのプロテアーゼ阻害剤含有高活性抗レトロウイルス療法(HAART)などと一緒に、対象に投与することもできる。一定の実施形態では、血管開存性の維持が関わる過程もしくは手法、例えば、限定されないが、血管外科、血管移植片およびステント開存性、臓器、組織および細胞の植込みおよび移植などと一緒に、かつ/またはそのような過程もしくは手法後に、本発明の化合物を投与することができる。本発明の化合物は、透析、液相での血液貯蔵、特にエクスビボ血小板凝集に使用される血液および血液製剤の処理に使用することもできる。本発明の化合物は、ホルモン補充剤として、または炎症マーカーもしくはC反応性タンパク質を減少させるために、対象に投与することもできる。本化合物は、凝固ホメオスタシスを改善するために、内皮機能を改善するために、または創傷治癒(例えば瘢痕化防止)のための局所外用剤として投与することができる。本発明の化合物は、心筋血行再建術を受ける危険を低下させるために対象に投与することができる。本化合物は、病院における血液化学検査時に、その線維素溶解能を決定するためにヒト血漿に加えることもできる。一定の実施形態では、本発明の化合物を、転移性癌を同定するための造影剤として使用することができる。
【0063】
置換インドール類の合成
有機合成分野の当業者は、容易に入手することができる試薬類および出発物質を利用する従来の方法を使って、本発明の化合物を製造することができる。本発明の代表的化合物は、以下の合成スキームを使って製造することができる。これらのプロセス工程の変形であってそれ自体は当技術分野において周知である工程を使用する方法は、熟練した専門家であればわかるだろう。以下の反応スキームにおいて、R〜R17は、上に定義した基から選択される。
【0064】
1H−インドール1は、−40〜100℃の不活性溶媒(THF、ジオキサン、ピリジン、DMF、NMP、またはDMSOなど)中、塩基(KCO、CSCO、KOΗまたはNaHなど)の存在下に、置換ベンジルハライドでアルキル化することができる。その結果得られるニトロ中間体2は、ヒドラジンとエタノールとの混合物中、0〜40℃の温度において、Raney(登録商標)ニッケルで処置すれば、アニリン3に還元することができる。化合物3の遊離NHを式R−NCOのイソシアネートで処置してウレア4を与える。化合物3は、無水溶媒(ジクロロメタンなど)中、0〜40℃の温度で、0.5〜24時間にわたって、ハロゲン化スルホニル(好ましくはハロゲン化アルキル、アリール、またはHetスルホニルクロリド)および塩基(N,N−ジイソプロピルエチルアミンなど)で処置して、スルホンアミド5[式中、Rはアルキル、フェニル、またはHetである]に変換することもできる。水素化ナトリウムを塩基として使用し、アルキル化剤R−ハロでスルホンアミド4のN−Hをアルキル化して、アルキル化された化合物6を与える。式(I)の化合物のR、R、およびR基のカルボン酸エステル部分は、適切な有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、ジオキサンなど)中、水性水酸化リチウム、ナトリウムまたはカリウムで処置して、カルボン酸に変換することができる。最終生成物は、再結晶、トリチュレーション、分取用薄層クロマトグラフィー、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー、または高速液体クロマトグラフィーによって精製することができる。中間体の精製は同じ方法で達成することができる。酸または塩基、例えば塩化水素ガスまたは塩酸を添加することにより、適宜、塩を製造することができる。
【0065】
スキーム1
【0066】
【化12】

N−プロパン酸インドール誘導体12も、文献記載の方法または当業者に知られている方法によって容易に製造される。エステル7は標準的な文献法を使ってトリフラート8に変換される。8を不活性溶媒(DMFなど)中、塩基(CsCOなど)の存在下に、インドール1と反応させ、アルキル化されたインドール9を与える。得られたニトロ中間体9は、ヒドラジンとエタノールの混合物中、0〜40℃の温度において、Raney(登録商標)ニッケルで処置して、所望のアニリン10に還元することができる。アニリン10は、スキーム1で述べたように、インドールスルホンアミド誘導体12に変換することができる。
【0067】
スキーム2
【0068】
【化13】

酸14ならびにアミノ酸およびそのエステルから誘導されるモノペプチドは、例えば以下の合成スキーム(スキーム3)によって製造することができる。1からアルキル化および塩基性加水分解によって製造されるカルボン酸14を、アミノ酸(エステル)のアミン窒素にカップリングする(この場合、アミノ酸(エステル)とは、アミノ酸のカルボン酸官能基がエステルとして保護されたことを意味する)。このアミド結合形成プロセスでは、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾール、6−クロロ−2,4−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンなどをカップリング剤として使用することができ、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなどを塩基として使用することができる。この場合、溶媒としては、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが使用される。上記スキーム1で説明したニトロ還元、スルホニル化、およびエステル加水分解により、所望の最終生成物17[式中、R13は上に定義したとおりであり、AAはアミノ酸である]が得られる。
【0069】
スキーム3
【0070】
【化14】

スキーム4によれば、式(III)の一定のN−酢酸インドール化合物は、容易に製造することができる。塩基として炭酸セシウムを使ってブロモ酢酸エチルでインドール1をN−アルキル化することにより、アルキル化された化合物18を与える。アルキル化インドール18は、スキーム1〜3で述べたように、カルボン酸誘導体20またはアミノ酸誘導体24に変換することができる。
【0071】
スキーム4
【0072】
【化15】

医薬組成物
本発明は、医薬品としての置換インドール類を提供する。好ましい実施形態では、増加したPAI−1活性に関連する疾患を、例えば対象におけるPAI−1活性を阻害することなどによって処置するための医薬品として、置換インドール類を製剤化する。
【0073】
一般に、置換インドール類は、当技術分野で知られている任意の治療薬投与方法、例えば経口投与、口腔内投与、全身投与(例えば経皮投与、鼻腔内投与、または坐剤による)、または非経口投与(例えば筋肉内、皮下、または静脈内注射)などによって、医薬組成物として投与することができる。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固体、粉末剤、徐放性製剤、溶液剤、懸濁剤、エマルション、シロップ剤、エリキシル剤、エアロゾル剤、または他の任意の適当な組成物の形態をとることができ、少なくとも一つの本発明化合物を、少なくとも一つの薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせて含むことができる。適切な賦形剤は当業者にはよく知られており、それらの賦形剤と、組成物を製剤化する方法とは、Alfonso AR:Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストン、1985などの標準的参考文献に見出すことができる。適切な液体担体、特に注射用溶液剤用の液体担体としては、水、食塩水溶液、デキストロース水溶液、およびグリコール類が挙げられる。本発明の一部の実施形態において、本発明の実施における使用に適した置換インドール類は、単独で投与するか、本発明の他の少なくとも一つの化合物と組み合わせて投与することができる。本発明の実施における使用に適した置換インドール類は、処置される疾患のための少なくとも一つの他の常套型治療剤と共に投与することもできる。
【0074】
本発明の水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合された置換インドールを含有することができる。そのような賦形剤としては、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム、ならびに分散剤または湿潤剤、例えば天然ホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)を挙げることができる。水性懸濁剤は、一つ以上の保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル、一つ以上の着色剤、一つ以上の着香剤、および一つ以上の甘味剤、例えばスクロース、アスパルテームまたはサッカリンも含有することができる。製剤はオスモル濃度を調節することができる。
【0075】
油性懸濁剤は、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油、または鉱油、例えば流動パラフィン、またはそれらの混合物に置換インドールを懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁剤は増粘剤、例えばミツロウ、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有することができる。口当りのよい経口調製物が得られるように、甘味剤、例えばグリセロール、ソルビトールまたはスクロースを加えることができる。これらの製剤は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることによって、保存することができる。注射用油性ビヒクルの一例として、Minto、J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102、1997を参照されたい。本発明の医薬製剤は、水中油型エマルションの形態をとることもできる。油相は上述の植物油もしくは鉱油またはそれらの混合物であることができる。適切な乳化剤として、天然ゴム、例えばアラビアゴムおよびトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えば大豆レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレート、およびこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレートが挙げられる。エマルションは、シロップ剤およびエリキシル剤の製剤と同様に、甘味剤および着香剤も含有することができる。そのような製剤は、粘滑剤、保存剤、または着色剤も含有することができる。
【0076】
選ばれた化合物は、単独で、または他の適切な構成要素と組み合わせて、吸入によって投与されるエアロゾル製剤にすることができる(すなわちそれらは「噴霧」することができる)。エアロゾル製剤は加圧された許容できる噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などに入れることができる。
【0077】
非経口投与、例えば関節内(関節中)経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、腹腔内経路、および皮下経路などによる投与に適した製剤として、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、およびその製剤を意図する受容者の血液と等張にする溶質を含有することができる水性および非水性等張注射溶液剤、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁剤が挙げられる。使用することができる許容できるビヒクルおよび溶媒には、水およびリンゲル液、等張塩化ナトリウムがある。また、滅菌固定油も、溶媒または懸濁媒として、常套的に使用することができる。この目的には、合成モノ−またはジ−グリセリドを含む任意の無刺激固定油を使用することができる。また、オレイン酸などの脂肪酸も、同様に、注射剤の製造に使用することができる。これらの溶液は滅菌状態であり、望ましくない物質を概して含まない。化合物が十分に可溶性である場合は、適切な有機溶媒、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどを使用してまたは使用せずに、それらの化合物を通常生理食塩水に直接溶解することができる。微細な化合物の分散系は、デンプン水溶液もしくはカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液中、または適切な油、例えば落花生油中に形成させることができる。これらの製剤は、常套の周知の滅菌技法によって滅菌することができる。本製剤は、生理的条件に近づけるために必要な薬学的に許容できる補助物質、例えばpH調節剤および緩衝剤、毒性調節剤、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含有することができる。これらの製剤における置換インドール類の濃度は広範囲にわたって変動することができ、選択した特定投与様式および患者の必要に応じて、主として液量、粘度、体重などに基づいて選択されるだろう。IV投与の場合、製剤は滅菌注射用調製物、例えば滅菌注射用水性または油性懸濁液であってよい。この懸濁剤は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用し、公知技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物は、無毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオールの溶液であってもよい。推奨される製剤は、1回量型または多用量型密封容器、例えばアンプルおよびバイアルに入れて提示することができる。
【0078】
注射溶液剤および注射懸濁剤は、上述した種類の滅菌粉末、滅菌顆粒、および滅菌錠剤から製造することができる。
【0079】
本発明の実施における使用に適した置換インドール類は経口投与することができる。組成物中の本発明化合物の量は、組成物のタイプ、投薬単位のサイズ、賦形剤の種類、および当業者に周知の他の因子に依存して、広範にわたって変動しうる。一般に、最終組成物は、例えば0.000001重量パーセント(%w)〜10%wの置換インドール、好ましくは0.00001%w〜1%wの置換インドールを含み、残りは一つまたは複数の賦形剤であることができる。
【0080】
経口投与用の医薬製剤は、当技術分野で周知の薬学的に許容できる担体を使って、経口投与に適した投薬量で製剤化することができる。そのような担体は、医薬製剤を、患者による摂取に適した錠剤、丸剤、粉末剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、口中剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などの単位剤形に製剤化することを可能にする。経口投与に適した製剤は、(a)溶液、例えば水、食塩水またはPEG400などの希釈剤中に懸濁されたパッケージ核酸(packaged nucleic acid);(b)それぞれが所定量の活性成分を液体、固体、顆粒またはゼラチンとして含有するカプセル剤、分包または錠剤;(c)適当な液体中の懸濁剤;および(d)適切なエマルションからなることができる。
【0081】
経口用医薬調製物は、例えば、本発明の化合物を固形賦形剤と組み合わせ、適宜、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工して、適切な追加化合物の添加後に、所望であれば錠剤または糖衣錠の核錠を得ることができる。適切な固形賦形剤は糖質またはタンパク質充填剤であり、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖類;トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ、または他の植物由来のデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントゴムを含むゴム;ならびにゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を加えることができる。錠剤形は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム類、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などの賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、着香剤、色素、崩壊剤、および薬学的に適合する担体の一つ以上を含むことができる。口中剤形は、着香剤、例えばスクロース中の活性成分を含むことができ、同様にトローチ剤は、活性成分の他に当技術分野で知られる担体を含有するゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムエマルション、ゲルなどの不活性基剤中の活性成分を含むことができる。
【0082】
本発明の置換インドール類は、薬物を直腸投与するための坐剤の形態で投与することもできる。これらの製剤は、薬物を、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、それゆえに直腸内では融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって製造することができる。そのような材料はカカオ脂およびポリエチレングリコールである。
【0083】
本発明の化合物は、坐剤、吹送、粉末およびエアロゾル製剤を含む鼻腔内、眼内、腟内、および直腸内経路によって投与することもできる。(ステロイド吸入剤の例については、Rohatagi、J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193、1995;Tjwa、Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111、1995を参照されたい)。
【0084】
本発明の置換インドール類は、アプリケータースティック、溶液剤、懸濁剤、エマルション、ゲル剤、クリーム剤、軟膏、ペースト剤、ゼリー剤、塗布剤、粉末剤、およびエアロゾル剤として製剤化して、局所外用経路によって経皮送達することができる。
【0085】
封入材も本発明の化合物と共に使用することができ、「組成物」という用語は、他の担体と共にまたは他の担体を伴わずに製剤として封入材と組み合わされた活性成分を包含することもできる。例えば、本発明の化合物は、体内で徐放させるためにミクロスフェアとして送達することもできる。一実施形態として、ミクロスフェアは、皮下で徐放する薬物含有ミクロスフェアの皮内注射によって(Rao、J.Biomater.Sci.Polym.Ed.7:623−645、1995参照、または生分解性かつ注射可能なゲル製剤として(例えばGao、Pharm.Res.12:857−863、1995参照)、または経口投与用のミクロスフェアとして(例えばEyles、J.Pharm.Pharmacol.49:669−674、1997参照)、投与することができる。経皮経路および皮内経路はどちらも、数週間または数ヶ月にわたる均一な送達をもたらす。本発明の化合物、例えば抗アテローム性動脈硬化薬の送達には、分包を使用することもできる。
【0086】
別の実施形態では、細胞膜と融合するリポソームを使って、またはエンドサイトーシスされるリポソームを使って(すなわち細胞の表面膜タンパク質受容体に結合してエンドサイトーシスをもたらすリガンドをリポソームに結合したもの、またはオリゴヌクレオチドに直接結合したものを使って)、本発明の化合物を送達することができる。リポソームを使用することにより、リポソーム表面が標的細胞に特異的なリガンドを持つ場合または他の方法で特異的臓器に優先的に誘導される場合は特に、インビボの標的細胞中に、本化合物の送達を集中させることができる(例えばAl−Muhammed、J.Microencapsul.13:293−306、1996;Chonn、Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708、1995;Ostro、Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587、1989)。
【0087】
他の例では、好ましい調製物は、例えば以下のいずれかまたは全てを含有しうる凍結乾燥粉末であってよい:1mM〜50mMヒスチジン、0.1%〜2%スクロース、2%〜7%マンニトール、pH範囲4.5〜5.5、使用前に緩衝剤と混和。
【0088】
本発明の医薬組成物は、置換インドールの他に、増加したPAI−1活性に関連する疾患または状態の処置に有用な少なくとも一つの他の治療剤を、適宜含有することができる。
【0089】
医薬組成物は、一般に、滅菌された、実質的に等張性の、米国食品医薬品局の全てのGMP(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)に完全に適合した組成物として、製剤化される。
【0090】
投薬レジメン
本発明は、増加したPAI−1活性に関連する疾患および状態を処置するために、置換インドール類を使って、対象におけるPAI−1活性を阻害する方法を提供する。本発明の例示的実施形態では、熟練した専門家が、上昇したPAI−1レベルおよび/または活性に関連する疾患を持つ対象を、本発明の化合物で処置する。
【0091】
処置を目的として、本明細書に開示する組成物または化合物を、単回ボーラス送達で投与するか、長時間にわたって持続的送達(例えば持続的経皮、粘膜、または静脈内送達)によって投与するか、反復投与プロトコール(例えば1時間単位、1日単位または1週間単位での反復投与プロトコール)で送達することができる。本発明の医薬製剤は、例えば1日1回以上、週3回、または毎週、投与することができる。本発明の例示的な実施形態では、本発明の医薬組成物を1日1回または1日2回、経口投与する。
【0092】
この文脈において、生物学的活性剤の治療有効投薬量には、臨床的に有意な結果をもたらして、増加したPAI−1活性に関連する一つ以上の症状または検出可能な状態を軽減するであろう、長期処置レジメン内の反復用量が含まれうる。この文脈において、有効投薬量の決定は、典型的には、動物モデル試験と、それに続くヒト臨床試験に基づき、被験体における標的曝露症状または状態の発生または重症度を有意に減少させる有効投薬量および投与プロトコールを決定することによって導かれる。これに関して適切なモデルとしては、例えばマウス、ラット、ブタ、ネコ、非ヒト霊長類、および当技術分野で知られる他の許容される動物モデル対象が挙げられる。あるいは、インビトロモデル(例えば免疫学的および病理組織学的アッセイ)を使って有効量を決定することもできる。そのようなモデルを使用することにより、典型的には、通常の計算および調節だけで、治療有効量(例えば所望の応答を引き起こすのに鼻腔内的に、経皮的に、静脈内的に、または筋肉内的に有効な量)の生物学的活性剤を投与するのに適当な濃度および用量を決定することができる。別の実施形態において、「有効量」または「治療有効量」の生物学的活性剤は、治療目的または診断目的で、上述のように疾患または状態と相関する一つ以上の選択された生物学的活性を、単に阻害または強化するだろう。
【0093】
生物学的活性剤の実際の投薬量は、もちろん、曝露の程度および対象に特有の状態(例えば対象の年齢、サイズ、健康状態、症状の程度、感受性因子など)、投与時間および投与経路、ならびに同時に投与される他の薬物または処置に依存して、変動するだろう。投薬レジメンは、最適な予防応答または治療応答が得られるように、調節することができる。本明細書にいう「治療有効量」とは、投与されたときに効果をもたらす用量を意味する。より具体的には、治療有効量の本発明化合物は、好ましくは、増加したPAI−1活性に関連する疾患の症状、合併症、または生化学的指標を軽減する。正確な用量は処置の目的に依存し、当業者は既知の技法を使ってそれを確認することができるだろう(例えばLieberman、Pharmaceutical Dosage Forms(Vols.1〜3、1992);Lloyd、1999、The Art,Science,and Technology of Pharmaceutical Compounding;およびPickar、1999、Dosage Calculationsを参照されたい)。治療有効量は、治療的に有益な効果による臨床的観点において活性剤の任意の毒性副作用または有害副作用を上回る用量でもある。特定の対象のそれぞれについて、具体的な投薬レジメンを評価し、その個体の必要と、化合物を投与している人または化合物の投与を監督している人の専門的判断とに応じて、時間の経過と共に調節すべきであることも、注意すべきである。
【0094】
本発明の例示的実施形態では、標準的投与レジメンのために、本化合物の単位剤形を製造する。そうすることで、本組成物を医師の指示でより低用量へと容易に細分することができる。例えば投薬単位を、小分けした粉末剤、バイアルまたはアンプル、好ましくはカプセル剤または錠剤型に構成させることができる。これらの本組成物の単位剤形中に存在する活性化合物は、例えば、患者の特定の必要に応じて、1日1回投与または1日複数回投与用に、約1グラム〜約15グラム以上の量で存在することができる。処置レジメンを約1グラムという最小1日量から開始することにより、PAI−1の血中レベルおよび患者の症状緩和分析を使って、より高用量が適応であるか、より低用量が適応であるかを決定することができる。本発明化合物の有効な投与は、例えば約0.1mg/kg/日〜約1,000mg/kg/日の経口用量で与えることができる。好ましくは、投与は約10/mg/kg/日〜約600mg/kg/日、より好ましくは約25〜約200mg/kg/日、さらに好ましくは約50mg/kg/日〜約100mg/kg/日になるだろう。
【0095】
一定の実施形態において、本発明は、式1〜3の化合物のプロドラッグを対象とする。本明細書で使用する用語「プロドラッグ」は、代謝的手段(例えば加水分解)によって式1〜3の化合物にインビボで変換されうる化合物を意味する。例えばBundgaard編、Design of Prodrugs、Elsevier(1985);Widderら編、Methods in Enzymology、vol.4、Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsenら編「Design and Application of Prodrug,Textbook of Drug Design and Development、第5章、113−191(1991)、Bundgaardら、Journal of Drug Delivery Reviews、8:1−38(1992)、Bundgaard、J.of Pharmaceutical Sciences、77:285以下(1988);ならびにHiguchiおよびStella編 Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975)などで論じられているような、さまざまな形態のプロドラッグが、当技術分野では知られている。
キット
置換インドールを含む医薬品を適切な担体中で製剤化した後、それを適当な容器に入れて、PAI−1関連障害、例えば白血病の処置に関するラベル表示を行うことができる。さらに、PAI−1関連障害の処置に有用な少なくとも一つの他の治療剤を含む別の医薬品を同様に容器に入れ、適応疾患の処置に関するラベル表示を行うことができる。あるいは、置換インドールと、PAI−1関連障害の処置に有用な少なくとも一つの他の治療剤とを含む単一の医薬品を適当な容器に入れて、処置に関するラベル表示を行うこともできる。置換インドール類を含む医薬品の投与、および置換インドール類とPAI−1関連障害の処置に有用な少なくとも一つの他の治療剤とを単一の医薬品中に含む医薬品の投与に関して、そのようなラベル表示には、例えば投与量、投与頻度、および投与方法に関する指示が含まれるだろう。同様に、容器に入れて提供される複数の医薬品の投与に関して、そのようなラベル表示には、例えば、各医薬品の投与量、投与頻度および投与方法に関する指示が含まれるだろう。
【実施例】
【0096】
(実施例1)
3−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}スルホニル)安息香酸
工程1:DMF(15ml)中の5−ニトロ−1H−インドール(1.50g、9.26mmol)に、窒素雰囲気下、0℃で、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、0.43g、10.3mmol)を、4回に等分して10分かけて加えた。
【0097】
得られた暗赤色混合物を0℃で20分間撹拌してから、4−tert−ブチルベンジルブロミド(2.55g、13.88mmol)を一度に加えた。得られた黄色混合物を室温まで温め、総反応時間が90分になるまで撹拌した。反応をHO(5ml)でクエンチし、次いでブライン(50ml)とEtOAc(50ml)とに分配した。層を分離した。有機層をブライン(15ml×4)で抽出し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、1−(4−tert−ブチルベンジル)−5−ニトロ−1H−インドールを黄色粉末として得た(2.59g、収率91%):MS(ESI)m/z309。
【0098】
工程2:EtOH(35ml)中の1−(4−tert−ブチルベンジル)−5−ニトロ−1H−インドール(1.00g、3.24mmol)に、窒素下、周囲温度で、ヒドラジン(2.0g、62.5mmol)およびラネーNi(HO中の50%スラリー0.20g)を加えた。その黄色混合物を45℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、セライトのパッド(1×4.25cm)で濾過した。パッドをEtOH(10ml)で洗浄し、減圧下で濃縮することにより、暗黄色粉末を得た。勾配SiOクロマトグラフィー(Hex:EtOAc)により、1−(4−tert−ブチルベンジル)−5−アミノ−1H−インドールを黄色粉末として得た(0.87g、収率96%):MS(ESI)m/z279。
【0099】
工程3:3−クロロスルホニル−安息香酸(0.80g、0.36mmol)を、アセトン(25ml)中の1−(4−tert−ブチルベンジル)−5−アミノ−1H−インドール(0.30g、1.08mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.25g、0.90mmol)に、窒素下、0℃で、一度に加えた。得られた黄色溶液を0℃で5分間撹拌し、次いで室温で3時間撹拌した。反応を水(2ml)でクエンチし、減圧下で濃縮して褐色粉末にした。その粉末をEtOAc(15ml)と飽和NaΗCO(10ml)とに分配した。全ての有機分を合わせ、水(10ml)およびブライン(10ml)で抽出し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、褐色粉末を得た。この褐色粉末を勾配RP−HPLC(HO:CHCN)に付して、標題の化合物を褐色粉末として単離した(0.36g、収率8.6%):MS(ESI)m/z463、MS(ESI)m/z461。
【0100】
(実施例2)
{ベンゼンスルホニル−[1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1H−インドール−5−イル]−アミノ}−酢酸メチルエステル
工程1:ベンゼンスルホニルクロリド(0.56g、3.12mmol)を、CHCl(20ml)中の1−(4−tert−ブチルベンジル)−5−アミノ−1H−インドール(0.84g、3.02mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.43g、3.17mmol)に、窒素雰囲気下、0℃で、一度に加えた。得られた黄色溶液を0℃で5分間撹拌し、次いで室温で2時間撹拌した。反応を水(2ml)でクエンチした後、減圧下で濃縮して褐色粉末にした。その粉末をEtOAc(15ml)と飽和NaHCO(10ml)とに分配した。全ての有機分を合わせ、水(10ml)およびブライン(10ml)で抽出し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して褐色粉末にした。勾配SiOクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により、N−[1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1H−インドール−5−イル]−ベンゼンスルホンアミドを褐色粉末として得た(1.18g、収率94%):MS(ESI)m/z419、MS(ESI)m/z417。
【0101】
工程2:DMF(5ml)中のN−[1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1H−インドール−5−イル]−ベンゼンスルホンアミド(0.20g、0.48mmol)に、窒素雰囲気下、室温で、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、0.03g、0.72mmol)を一度に加えた。得られた褐色混合物を10分間撹拌し、次いでブロモ−酢酸メチルエステルを加えた(0.19g、0.96mmol)。90分の総反応時間後に、反応を水(2ml)でクエンチした。その褐色溶液をEtOAc(15ml)とHO(10ml)とに分配し、層を分離した。水層をEtOAc(5ml)で抽出した。全ての有機分を合わせ、ブライン(10ml×3)で抽出し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、褐色粉末を得た。勾配SiOクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により、{ベンゼンスルホニル−[1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1H−インドール−5−イル]−アミノ}−酢酸メチルエステルを淡赤色粉末として得た(0.18g、収率72%):MS(ESI)m/z533。
【0102】
工程3:THF(5ml)、HO(2.5ml)、MeOH(2.5ml)中の{ベンゼンスルホニル−[1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1H−インドール−5−イル]−アミノ}−酢酸メチルエステル(0.68g、1.39mmol)に、実験室雰囲気下、室温で、水酸化リチウム(0.3g、7.14mmol、HO(1ml)に溶解したもの)を加えた。得られた赤色溶液を45℃で3時間撹拌した後、減圧下で濃縮することによって有機溶媒を除去したところ、桃色の沈殿が生じた。この桃色混合物を酢酸(1ml、pH>2)で処理し、10分間放置し、濾過したところ、標題の化合物が桃色粉末として得られた(0.62g、収率94%)。MS(ESI)m/z477、MS(ESI)m/z475。
【0103】
(実施例3)
4−{[[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル](フェニルスルホニル)アミノ]メチル}安息香酸
標題の化合物を、4−({ベンゼンスルホニル−[1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1H−インドール−5−イル]−アミノ}−メチル)−安息香酸メチルエステルから、実施例2工程3の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z553、MS(ESI)m/z551。
【0104】
(実施例4)
4−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}スルホニル)安息香酸
標題の化合物を、1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1H−インドール−5−イルアミンから、実施例1工程3の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z463、MS(ESI)m/z461。
【0105】
(実施例5)
N−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}カルボニル)−L−フェニルアラニン
ジクロロメタン10mL中の1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−アミン(0.233g、0.84mmol)と2−イソシアナト−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(0.10g、0.8mmol)との混合物を、室温で終夜撹拌した。反応混合物を濃縮し、2:1:1のTΗF/MeOΗ/水(10ml)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(0.30g、7.1mmol)を加え、その混合物を室温で終夜撹拌した。有機溶媒の大半を除去し、反応混合物を氷酢酸で酸性(pH6)にした。固形物を集め、セミ分取ΗPLC(カラム:Phenomenex C18 Luna 21.6mm×60mm、5μM;溶媒A:水(0.1%TFA緩衝液);溶媒B:アセトニトリル(0.1%TFA緩衝液);溶媒勾配:時刻0:0%B;10分:100%B;100%Bを5分間維持。流量:22.5ml/分)で精製した。UV吸収に基づいて生成物を集め、濃縮することにより、標題の化合物を灰白色固体として得た(0.15g、40%):MS(ESI)m/z470;MS(ESI)m/z468。
【0106】
(実施例6)
3−[({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}カルボニル)アミノ]安息香酸
標題の化合物を、1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−アミンおよび3−イソシアナト−安息香酸エチルエステルから、実施例5の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z442。
【0107】
(実施例7)
[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)フェノキシ]酢酸
工程1:{4−[5−(ビフェニル−4−スルホニルアミノ)−インドール−1−イルメチル]−フェノキシ}−酢酸メチルエステルを、[4−(5−アミノ−インドール−1−イルメチル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルから、実施例2工程1の手法に従って製造した。標題の化合物を、{4−[5−(ビフェニル−4−スルホニルアミノ)−インドール−1−イルメチル]−フェノキシ}−酢酸メチルエステルから、実施例2工程3の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z513、MS(ESI)m/z511。
【0108】
(実施例8)
{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]フェノキシ}酢酸
{4−[5−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−インドール−1−イルメチル]−フェノキシ}−酢酸メチルエステルを、[4−(5−アミノ−インドール−1−イルメチル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルから、実施例2工程1の手法に従って製造した。標題の化合物を、{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]フェノキシ}酢酸メチルエステルから、実施例2工程3の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z493、MS(ESI)m/z491。
【0109】
(実施例9)
3−フェニル−2−[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸
工程1:2−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオン酸(6.0g、36.10mmol)のMeOH(250ml)溶液に、CaSO管下、室温で、塩酸ガスを20分間バブリングした。得られた無色の溶液を7時間撹拌し、減圧下で濃縮することにより、2−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオン酸メチルエステルを褐色シロップとして得た(6.36g、収率98%):MS(ESI)m/z181。
【0110】
工程2:無水CHCl(75ml)中の2−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオン酸メチルエステル(6.36g、35.32mmol)に、窒素雰囲気下、−78℃で、トリエチルアミン(4.29g、42.38mmol)およびトリフルオロメタンスルホニル無水物(10.96g、38.85mmol)を加えた。得られた黄色溶液を−78℃で5分間撹拌してから、冷却槽を取り除き、室温まで温まらせた。2.5時間の総反応時間後に、反応を、まずHO(50ml)で、次に1N HCl(150ml)でクエンチした。有機層の抽出、分離、およびさらなる抽出を、飽和NaHCO(100ml)、HO(75ml)、ブライン(50ml)で行った。抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮することにより、3−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−プロピオン酸メチルエステルを褐色シロップとして得た(10.96g、収率98%):MS(ESI)m/z313。
【0111】
工程3:アセトン(200ml)中の5−ニトロ−1H−インドール(5.18g、31.93mmol)に、窒素雰囲気下、周囲温度で、炭酸セシウム(21.80g、67.06mmol)を加え、次に3−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−プロピオン酸メチルエステル(10.96g、35.13mmol)を加えた。得られた暗赤色混合物を5時間撹拌し、減圧下で濃縮して褐色粉末にし、次にそれをHO(100ml)とEtOAc(300ml)とに分配した。全ての有機分を合わせ、ブライン(250ml)で抽出し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。勾配SiOクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により、2−(5−ニトロ−インドール−1−イル)−3−フェニル−プロピオン酸メチルエステルを不透明なシロップとして得た(5.91g、収率57%):MS(ESI)m/z325、MS(ESI)m/z323。
【0112】
工程4:2−(5−アミノ−インドール−1−イル)−3−フェニル−プロピオン酸ヒドラジドを、2−(5−ニトロ−インドール−1−イル)−3−フェニル−プロピオン酸メチルエステルから、実施例1工程2の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z295、MS(ESI)m/z293。
【0113】
工程5:N−[1−(1−ヒドラジノカルボニル−2−フェニル−エチル)−1H−インドール−5−イル]−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミドを、2−(5−アミノ−インドール−1−イル)−3−フェニル−プロピオン酸ヒドラジドから、実施例2工程1の手法に従い、ベンゼンスルホニルクロリドの代りに4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルクロリドを使うことによって製造した:MS(ESI)m/z519、MS(ESI)m/z517。
【0114】
工程6:酢酸中のN−[1−(1−ヒドラジノカルボニル−2−フェニル−エチル)−1H−インドール−5−イル]−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド(0.07g、0.13mmol)に、実験室雰囲気下、周囲温度で、濃HCl(1ml)を加えてから、反応容器に蓋をした。その暗赤色混合物を80℃で15時間加熱した(容器内の圧力蓄積を逃すために、容器の蓋を開けてから再び蓋をするという操作を定期的に行った)。反応を周囲温度まで冷却し、減圧下で濃縮して暗赤色粉末にした。その粗生成物を勾配RP−HPLC(HO:CHCN)に付し、標題の化合物を赤色粉末として単離した(0.06g、収率91%):MS(ESI)m/z505、MS(ESI)m/z503。
【0115】
(実施例10)
N−[4−({5−[(フェニルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−L−フェニルアラニン
工程1:4−(5−ニトロ−インドール−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステルを、メチル4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾエートから製造した後、実施例1工程1を行った。ただし、水酸化ナトリウムの代りに炭酸セシウムを使用し、4−tert−ブチルベンジルブロミドの代りに4−ブロモメチル−安息香酸メチルエステルを使用した。MS(ESI)m/z311。
【0116】
工程2:4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]安息香酸を、メチル4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾエートのNaOH加水分解によって製造した:MS(ESI)m/z295。
【0117】
工程3:4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]安息香酸(1.78g、6.0mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.15g、6.0mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.81g、6.0mmol)、およびL−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(1.38g、6.0mmol)の混合物を、CHCl(150ml)中で撹拌した。N−メチルモルホリン(3.03g、30mmol)を加え、その混合物を室温で15時間撹拌した。次に、その混合物を0.05N HClおよび水で洗浄した。得られた溶液をMgSOで乾燥し、濃縮することにより、エチルN−{4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}−L−フェニルアラニナートを灰白色固体として得た(2.55g、90%):MS(ESI)m/z472;MS(ESI)m/z470。
【0118】
工程4:エタノール100mLおよびTHF15mL中のエチルN−{4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}−L−フェニルアラニナート(2.36g、5mmol)およびヒドラジン(1.2ml、38mmol)の撹拌溶液に、大過剰のRaney(登録商標)ニッケルを少しずつ加えた。室温で2時間撹拌した後、Celite(登録商標)521の短いパッドで濾過することによって、触媒を除去した。濾液を濃縮することにより、エチルN−{4−[(5−アミノ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}フェニルアラニナートを灰白色固体として得た:MS(ESI)m/z442。
【0119】
工程5:エチルN−{4−[(5−アミノ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}フェニルアラニナートを、実施例1の手法で説明したように、ベンゼンスルホニルクロリドで処理した後、LiOH加水分解を行うことにより、標題の化合物を得た:MS(ESI)m/z554;MS(ESI)m/z552。
【0120】
(実施例11)
N−(4−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]メチル}ベンゾイル)−L−フェニルアラニン
標題の化合物を、エチルN−{4−[(5−アミノ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}フェニルアラニナートおよび4−トリフルオロメトキシフェニルスルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z638;MS(ESI)m/z636。
【0121】
(実施例12)
N−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−L−フェニルアラニン
標題の化合物を、エチルN−{4−[(5−アミノ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}フェニルアラニナートおよびビフェニル4−スルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z630;MS(ESI)m/z628。
【0122】
(実施例13)
N−{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}−L−フェニルアラニン
標題の化合物を、エチルN−{4−[(5−アミノ−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}フェニルアラニナートおよび4−tert−ブチルフェニルスルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z610;MS(ESI)m/z608。
【0123】
(実施例14)
N−(4−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]メチル}ベンゾイル)−β−アラニン
標題の化合物を、4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]安息香酸、β−アラニンエチルエステル塩酸塩、および4−トリフルオロメトキシフェニルスルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z562;MS(ESI)m/z560。
【0124】
(実施例15)
N−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−β−アラニン
標題の化合物を、4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]安息香酸、β−アラニンエチルエステル塩酸塩、およびビフェニル4−スルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z554;MS(ESI)m/z552。
【0125】
(実施例16)
N−{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}−β−アラニン
標題の化合物を、4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]安息香酸、β−アラニンエチルエステル塩酸塩、および4−tert−ブチルフェニルスルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z534;MS(ESI)m/z532。
【0126】
(実施例17)
1−{4−[(5−{[(3,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−イル)メチル]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボン酸
標題の化合物を、4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]安息香酸、ニペコ酸エチル、および3,4−ジクロロフェニルスルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z586;MS(ESI)m/z584。
【0127】
(実施例18)
1−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]ピペリジン−4−カルボン酸
標題の化合物を、4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]安息香酸、ニペコ酸エチル、およびビフェニル4−スルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z594;MS(ESI)m/z592。
【0128】
(実施例19)
1−{4−[(5−{[(4−terr−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボン酸
標題の化合物を、4−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)メチル]安息香酸、ニペコ酸エチル、および4−tert−ブチルフェニルスルホニルクロリドから、実施例10の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z574;MS(ESI)m/z572。
【0129】
(実施例20)
{5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}酢酸
MS(ESI)m/z407;MS(ESI)m/z405
工程1:DMF150ml中の5−ニトロインドール(3.24g、20mmol)、ブロモ酢酸メチル(3.36g、22mmol)、炭酸セシウム(32.58g、100mmol)の混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ込み、固形物を集め、乾燥することにより、メチル(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセテートを淡黄色固体として得た:MS(ESI)m/z235。
【0130】
工程2:標題の化合物を、メチル(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセテートから、実施例1および実施例3に記載の手法によって製造した:MS(ESI)m/z407;MS(ESI)m/z405。
【0131】
(実施例21)
N−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−フェニルアラニン
工程1:(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)酢酸を、メチル(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセテートから、KOH加水分解によって製造した:MS(ESI)m/z219。
【0132】
工程2:エチルN−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−フェニルアラニナートを、(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)酢酸およびL−フェニルアラニンエチルエステルから、実施例10工程3の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z396;MS(ESI)m/z394。
【0133】
工程3:標題の化合物を、エチルN−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−フェニルアラニナートおよびビフェニル−4−スルホニルクロリドから、実施例10工程4および工程5の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z554;MS(ESI)m/z552。
【0134】
(実施例22)
N−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−フェニルアラニン
標題の化合物を、エチルN−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−フェニルアラニナートおよび4−tert−ブチルフェニルスルホニルクロリドから、実施例10工程4および工程5の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z534;MS(ESI)m/z532。
【0135】
(実施例23)
N−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−ロイシン
工程1:メチルN−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−ロイシナートを、5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)酢酸およびL−ロイシンエチルエステルから、実施例10工程3の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z348;MS(ESI)m/z346。
【0136】
工程2:標題の化合物を、メチルN−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−ロイシナートおよびビフェニル−4−スルホニルクロリドから、実施例10工程4および工程5の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z520;MS(ESI)m/z518。
【0137】
(実施例24)
N−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1Η−インドール−1−イル)アセチル]−L−ロイシン
標題の化合物を、メチルN−[(5−ニトロ−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−ロイシナートおよび4−tert−ブチルフェニルスルホニルクロリドから、実施例10工程4および工程5の手法に従って製造した:MS(ESI)m/z500;MS(ESI)m/z498。
【0138】
(実施例25)
N−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1Η−インドール−1−イル]アセチル}−L−フェニルアラニン
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z562。
【0139】
(実施例26)
N−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−フェニルアラニン
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z529。
【0140】
(実施例27)
N−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]アセチル}−L−ロイシン
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z528。
【0141】
(実施例28)
1−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]アセチル}ピペリジン−4−カルボン酸
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z526。
【0142】
(実施例29)
1−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)ピペリジン−4−カルボン酸
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z493。
【0143】
(実施例30)
1−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)ピペリジン−4−カルボン酸
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z518。
【0144】
(実施例31)
1−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)アセチル]ピペリジン−4−カルボン酸
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z498。
【0145】
(実施例32)
N−[1−(1−ベンジル−2−ヒドラジノ−2−オキソエチル)−1H−インドール−5−イル]−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z519。
【0146】
(実施例33)
N−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−ロイシン
標題の化合物を実施例10の手法に従って製造した。MS(ESI)m/z495。
【0147】
(実施例34)
PAI−1阻害に関する一次スクリーニング
プラスミノゲン活性化因子阻害剤−1を阻害する本発明化合物の能力は、以下の実験手法によって立証された。
【0148】
試験化合物を10mMの最終濃度でDMSOに溶解し、次いで生理緩衝液にて100倍希釈した。140nM組換えヒトプラスミノゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1;Molecular Innovations、ミシガン州ロイヤルオーク)を含有するpH6.6緩衝液に試験化合物(最終濃度1〜100μM、最大DMSO濃度0.2%)を加えることによって阻害アッセイを開始した。室温で1時間のインキュベーション後に、70nMの組換えヒト組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)を加え、その試験化合物、PAI−1およびtPAの組み合わせを、さらに30分間インキュベートした。第2のインキュベーション後に、tPAの発色性基質であるSpectrozyme−tPA(American Diagnostica、コネチカット州グリニッジ)を加え、405nmでの吸光度を0分および60分時点で読み取った。相対的PAI−1阻害は、試験化合物およびPAI−1の存在下での残存tPA活性に等しい。対照処置は、使用したモル比(2:1)におけるPAI−1によるtPAの完全な阻害、および試験化合物がtPAのみに及ぼす作用は存在しないことを含む。
【0149】
実施例1〜24の化合物によるプラスミノゲン活性化因子阻害剤−1の阻害は、25μMで6%〜78%阻害の範囲にあった。残りの化合物の一部を試験したところ、25μMでは阻害活性を示さないものも、いくつかあった。しかし、実施例25〜33は、さらに高いレベル(例えば100μM)で使用した場合には、阻害活性を示すと予想される。
【0150】
明解に理解することができるように例を挙げて上記の発明を詳細に説明したが、一定の改変および変更がこの開示に包含され、それらが、限定ではなく例示を目的として提示される添付の請求項の範囲内で甚だしい実験を行わなくても実施できることは、当業者には明白だろう。
【0151】
上で引用した刊行物および特許文書は全て、あらゆる面で、それらが参照によりそのまま本明細書に組み込まれることを個別に示したかのように、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

[式中、
はC1−6アルキルである;
はNRSOまたはNHC(=O)NHRである;
は水素、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
はC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
ただし、RまたはRのどちらか一方はCOORで置換されるものとする;
は、フェニル(COH)または−C1−6アルキル(COH)[式中、アルキル基は、適宜、フェニルまたはベンジルで置換される]である;
は水素またはC1−6アルキルである;そして
nは1〜4である]
を持つ化合物または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型。
【請求項2】
が−C1−6アルキル(COH)[式中、アルキル基はフェニルまたはベンジルで置換される]である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素であるか、非置換の、またはCOORで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、非置換の、またはCOORで置換された、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである、請求項1〜3いずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
nが1である、請求項1〜4いずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下の化合物:
3−[({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}カルボニル)アミノ]安息香酸;
3−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}スルホニル)安息香酸;
{ベンゼンスルホニル−[1−(4−tert−ブチル−ベンジル)−1Η−インドール−5−イル]−アミノ}−酢酸;
4−{[[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル](フェニルスルホニル)アミノ]メチル}安息香酸;
4−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}スルホニル)安息香酸;
N−({[1−(4−tert−ブチルベンジル)−1H−インドール−5−イル]アミノ}カルボニル)−L−フェニルアラニン;
の一つである、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型。
【請求項7】
式2:
【化2】

[式中、
は水素、COH、またはCONHNHである;
pは0〜4である;
は水素、−C1−6アルコキシ(COH)、C(=O)NR1011またはC(=O)アミノ酸である;
10およびR11は、それらが結合している窒素と共に一緒になって、2〜8個の炭素環原子を含む3〜9員飽和環を形成する;
ただし、Rが水素である場合、RはCOHまたはCONHNHであるものとする;
はNR12SO13である;
12はHであるか、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
13は、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである]
を持つ化合物または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型。
【請求項8】
前記アルキル、ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、およびヘテロシクリル基が非置換であるか、OCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルで置換される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
アミノ酸がβ−アラニン、フェニルアラニン、または−NR1819[式中、R18およびR19は、それらが結合している窒素と共に一緒になって、COHまたはC(O)C1−6アルコキシで置換された、2〜8個の炭素環原子を含む3〜9員飽和環を形成する]である、請求項7または請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
以下の化合物:
[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)フェノキシ]酢酸;
{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]フェノキシ}酢酸;
3−フェニル−2−[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸;
1−{4−[(5−{[(3,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−1Η−インドール−1イル)メチル]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボン酸;
1−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1Η−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]ピペリジン−4−カルボン酸;
1−{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボン酸;
N−(4−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]メチル}ベンゾイル)−β−アラニン;
N−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−β−アラニン;
N−{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}−β−アラニン;
N−[4−({5−[(フェニルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−L−フェニルアラニン;
N−(4−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]メチル}ベンゾイル)−L−フェニルアラニン;
N−[4−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}メチル)ベンゾイル]−L−フェニルアラニン;
N−{4−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)メチル]ベンゾイル}−L−フェニルアラニン;
N−[1−(1−ベンジル−2−ヒドラジノ−2−オキソエチル)−1H−インドール−5−イル]−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド;
の一つである、請求項7に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型。
【請求項11】
式3:
【化3】

[式中、
14は−OH、C1−6アルコキシ、またはアミノ酸である;
15はNR16SO17である;
16はHであるか、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;
17は、非置換の、またはOCF、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、もしくはヘテロシクリルで置換されたC1−6アルキル、C1−6ペルフルオロアルキル、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルである;そして
sは1〜4である]
を持つ化合物または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型。
【請求項12】
14が−OHまたはC1−6アルコキシである場合に、R16またはR17がOCF、ベンジル、フェニル、またはヘテロシクリルで置換される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
14がアルファアミノ酸またはNR1819[式中、R18およびR19は、それらが結合している窒素と共に一緒になって、COHまたはC(O)C1−6アルコキシで置換された、2〜8個の炭素環原子を含む3〜9員飽和環を形成する]である、請求項11または請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
以下の化合物:
{5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}酢酸;
N−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−フェニルアラニン;
N−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−フェニルアラニン;
N−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−ロイシン;
N−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)アセチル]−L−ロイシン;
N−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1Η−インドール−1−イル]アセチル}−L−フェニルアラニン;
N−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1Η−インドール−1−イル}アセチル)−L−フェニルアラニン;
N−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]アセチル}−L−ロイシン;
1−{[5−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)−1H−インドール−1−イル]アセチル}ピペリジン−4−カルボン酸;
1−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)ピペリジン−4−カルボン酸;
1−({5−[(1,1’−ビフェニル−4−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)ピペリジン−4−カルボン酸;
1−[(5−{[(4−tert−ブチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1H−インドール−1−イル)アセチル]ピペリジン−4−カルボン酸;
N−({5−[(キノリン−8−イルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−1−イル}アセチル)−L−ロイシン;
の一つである、請求項11に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくはエステル型。
【請求項15】
PAI−1活性を阻害する方法であって、その必要がある対象に薬学的有効量の請求項1〜14いずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項16】
PAI−1関連障害を処置するための方法であって、その必要がある対象に薬学的有効量の請求項1〜14いずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項17】
前記PAI−1関連障害が線維素溶解系の機能障害である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記PAI−1関連障害が血栓症、心房細動、肺線維症、心筋虚血、脳卒中、外科手術の血栓塞栓性合併症、心血管疾患、アテローム斑形成、慢性閉塞性肺疾患、腎線維症、多嚢胞性卵巣症候群、糖尿病、アルツハイマー病、または癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記血栓症が、静脈血栓症、動脈血栓症、脳血栓症、および深部静脈血栓症からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記PAI−1関連障害が、対象におけるインスリン依存性糖尿病によって引き起こされる心血管疾患である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記薬学的有効量が25mg/kg/日〜200mg/kg/日である、請求項15〜20いずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
細胞を請求項1〜14いずれか一項に記載の化合物と接触させる工程を含む方法。

【公表番号】特表2009−504762(P2009−504762A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527122(P2008−527122)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/032066
【国際公開番号】WO2007/022321
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】