説明

置換(ヘテロ)アリール化合物、それらの製造方法、それらを含有する薬剤および毒性緩和剤としてのそれらの用途

【課題】作物保護剤、特に有用植物の作物中に共生する雑草に対する使用にきわめて好適な除草剤有効成分/薬害軽減剤(毒性緩和剤)の組み合わせ技術を提供する。
【解決手段】特定構造を有するフェノキシアルカン酸誘導体、ピリジルオキシアルカン酸誘導体およびキノリンオキシアルカン酸誘導体を除草剤の植物に対する毒性副作用に対して栽培植物を保護するための毒性緩和剤として使用する。除草剤と上記毒性緩和剤とを含有する薬剤は、特に禾穀類のための選択的除草剤として好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物保護剤、特に有用植物の作物中に共生する雑草に対する使用に極めて好適な有効成分/解毒剤の組合せの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
作物処理剤の使用、特に除草剤の使用は、処理された栽培植物に対して望ましくない損傷をもたらす。多くの除草剤は、トウモロコシ、イネまたは穀物のような若干の重要な栽培植物と十分には相容性(選択的)ではないので、それらの使用は、非常に限定される。従って、それらは、場合によっては全く使用され得ないかまたは雑草に対する所望の広範な除草活性が保証されないような低い施用割合でしか使用され得ない。かくして、例えば後記の物質群(A)の多くの除草剤は、トウモロコシ、イネまたは穀物において十分には選択的に使用され得ない。特に、除草剤の発芽後使用の場合には、栽培植物に対する植物毒性副作用が生ずるので、この植物に対する毒性を防止するかまたは減少せしめることが望まれる。
【0003】
栽培植物における除草剤の植物に対する毒性を、雑草に対する除草活性をそれ相当に低下させることなく、減少せしめる化合物と組合せて除草剤を使用することがすでに開示されている。そのような組合せ成分は、「毒性緩和剤」または「解毒剤」として知られている。
【0004】
ヨーロッパ特許出願公開第31,938号には、フエノキシフエノキシカルボン酸エステル、クロロアセトアニリドおよびジメドン誘導体よりなる群から選択された除草剤のための毒性緩和剤としてのアリールオキシカルボニトリルおよびアリールオキシカルボキシアミドオキシムの使用が開示されている。ヨーロッパ特許出願公開第170,906号には、なかんずくフエノキシカルボン酸エステルオキシムが記載されており、そしてヨーロッパ特許出願公開第154,153号には、フエノキシフエノキシおよびヘテロアリールオキシフエノキシ系除草剤のための毒性緩和剤としてのアリールオキシ化合物が記載されている。
【0005】
ヨーロッパ特許出願公開第112,799号は、2- 〔4-(3,5- ジクロロピリジル -2- オキシ)フエノキシ〕プロピオン酸プロパルギルのための毒性緩和剤として4- クロロフエノキシ- および4- クロロ -2- メチルフエノキシ酢酸を記載している。
【0006】
ヨーロッパ特許出願公開第293,062号には、シクロヘキサンジオン系除草剤のための毒性緩和剤としてのアリールオキシの使用が記載されており、そしてヨーロッパ特許出願公開第88,066号には、特にアセトアミド、特にトリアレートのための毒性緩和剤としての3,5- ビス(トリフルオロメチル)フエノキシカルボン酸誘導体の使用が記載されている。
【0007】
ヨーロッパ特許出願公開第86,750号には、フエノキシフエノキシアルカンカルボン酸エステルおよびスルホニル尿素のための毒性緩和剤としてのキノリン -8- オキシアルカンカルボニトリルおよびキノリン -8- オキシアルカンカルボキシアミドオキシムが記載されている。ヨーロッパ特許出願公開第94,349号には、各種の構造群よりの除草剤のための毒性緩和剤としての対応するカルボン酸エステルの使用が開示されている。
【0008】
ドイツ特許第2,637,886号は、すでにトリアジン、カーバメートおよびハロアセトアニリドよりなる群から選択された除草剤のための毒性緩和剤としての3- ピリジルオキシアルカンカルボキシアミドの使用を開示している。
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願公開第31,938号
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願公開第170,906号
【特許文献3】ヨーロッパ特許出願公開第154,153号
【特許文献4】ヨーロッパ特許出願公開第112,799号
【特許文献5】ヨーロッパ特許出願公開第293,062号
【特許文献6】ヨーロッパ特許出願公開第86,750号
【特許文献7】ドイツ特許第2,637,886号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、驚くべきことには、下記の式Iで表される一群のアリールおよびヘテロアリール誘導体は、攻撃的な農薬、特に除草剤の有害な作用に対して栽培植物を保護するために極めて好適であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
攻撃的な農薬の有害な作用に対して栽培植物を保護するために適したアリールおよびヘテロアリール誘導体は、式I
【0011】
【化10】

〔上式中、
1 およびR2 は互いに独立的に式
【0012】
【化11】

(上記各式中、R、RT 、R4 、R5 、R6 、Y、T、Z、Q、Ai 、Xi およびqは以下に定義する意味を有する)で表される基であるか、または
1 およびR2 は互いに結合しており、そして一緒で式
-CO- Q1-D- Q2-CO-
{上式中、
1 およびQ2 は互いに独立的にQについて定義された意味を有し、そして
Dは式CR' R" またはC=O(ここにR' およびR" は互いに独立的に水素またはC1-C4-アルキルである)で表される2価の基である}で表される基であり、
3 は水素、ハロゲン、C1-C18- アルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-アルキニル、C1-C18- アルコキシ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C1-C18- アルキルチオ、C2-C8-アルケニルチオ、
2-C8-アルキニルチオ(ここで最後に挙げた9種の基のおのおのは未置換であるかまたはハロゲン、ニトロおよびシアノよりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている)またはC3-C12- シクロアルキル(これは未置換であるかまたはC1-C4-アルキル、ハロゲン、ニトロおよびシアノよりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている)、またはSiRa b c (ここにRa 、Rb およびRc は互いに独立的に
1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニルまたは置換または未置換のフエニルである)、または式Ar' X'-(ここにAr' および X' はArおよびXと同様な意味を有する)であり、
XはO、S、NH- NHまたはNRd (ここにRd はR4 と同様な意味を有する)または -CH2 O- 、 -CH2 S- 、 -CH(Ar)O- または
-CH(Ar)S- であり、
Arは芳香族基、例えば未置換または置換フエニル、ナフチルまたはヘテロアリール基、好ましくは式
【0013】
【化12】

〔〔上式中、
(U)は同一または相異なる基であって、互いに独立的に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノまたはC1-C8-ハロアルキル、C1-C8-ハロアルコキシ、C1-C8-アルキル、C1-C8-アルコキシ、モノ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、C1-C9-アルキルチオまたはC1- C8-アルキルスルホニル{ここで最後に挙げた8種の基は未置換またはハロゲン、C1-C8-ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C1-C8-アルコキシ(ここで1個またはそれ以上の、好ましくは3個までのCH2 基は酸素によって置換されてもよい)、C1-C8-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフイニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C2-C8-アルケニルチオ、C2-C8-アルキニルチオ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C3-C7-シクロアルキル、C3-C7-シクロアルコキシ、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノおよびC1-C8-アルコキシカルボニルよりなる群からの1個またはそれ以上、好ましくは3個までの同一または相異なる置換基によって置換されている}であり、そして好ましくは、水素、ハロゲン、C1-C6-ハロアルキル、例えばトリフルオロメチル、C1-C6-ハロアルコキシ、例えばジフルオロメトキシ、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、(C1-C2-アルキル)アミノ、ジ-(C1-C2-アルキル) アミノまたはシアノであり、
oは1ないし5、好ましくは1ないし3の整数であり、
pは1ないし7、好ましくは1ないし3の整数であるか、または
Arはフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびキノリニルよりなる群からの単環または二環式ヘテロアリール基であり、これらの基のそれぞれは未置換であるかまたは上記の基Uの1種またはそれ以上、好ましくは1種ないし3種によって置換されており、
Rは水素または1ないし30個の炭素原子を有し、そして所望ならば1個またはそれ以上の官能基を有する脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、芳香脂肪族またはヘテロ芳香脂肪族基であり、
例えばRは水素、C1-C18- アルキル、C3-C12- シクロアルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-アルキニル、ヘテロシクリル、フエニルまたはヘテロアリールであり、〔ここで上記のC- 含有基のそれぞれは互いに独立的に未置換であるかまたはハロゲン、シアノ、チオ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C8-アルキル(これは環状基の場合のみ)、C1-C8-ハロアルキル、C1-C8-アルコキシ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C1-C8-ハロアルコキシ、C1-C8-アルキルチオ、C2-C8-アルケニルチオ、
2-C8-アルキニルチオ、C3-C7-シクロアルキル、C3-C7-シクロアルコキシ、式 -NR* **および -CO- NR* **および -O -CO- NR* **(ここで最後に挙げた3種の基におけるR* およびR**は互いに独立的に水素、C1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-アルキニル、ベンジル、フエニルまたは置換フエニルであるかまたは窒素原子と一緒で更にN、OおよびSよりなる群からの2個までのヘテロ原子を含有してもよくそしてC1-C4-アルキルによって置換されていてもよい3- ないし8員の複素環である)、および(C1-C8-アルコキシ)カルボニル、(C1-C8-アルコキシ)チオカルボニル、(C2-C8-アルケニルオキシ)カルボニル、(C1-C8-アルキルチオ)カルボニル、(C2-C8-アルケニルチオ)カルボニル、(C2-C8-アルキニルチオ)カルボニル、(C2-C8-アルキルオキシ)カルボニル、ホルミル、(C1-C8-アルキル)カルボニル、(C2-C8-アルケニル)カルボニル、(C2-C8-アルキニル)カルボニル、C1-C4-アルキルイミノ、C1-C4-アルコキシイミノ、(C1-C8-アルキル)カルボニルアミノ、(C2-C8-アルケニル)カルボニルアミノ、(C2-C8-アルキニル)-カルボニルアミノ、(C1-C8-アルコキシ)カルボニルアミノ、(C2-C8-アルケニルオキシ)カルボニルアミノ、(C2-C8-アルキニルオキシ)カルボニルアミノ、(C1-C8-アルキル)アミノカルボニルアミノ、(C1-C6-アルキル)カルボニルオキシ(これは未置換であるかまたはハロゲン、NO2 、C1-C4-アルコキシまたは置換または未置換のフエニルによって置換されている)、(C2-C6-アルケニル)カルボニルオキシ、(C2-C6-アルキニル)カルボニルオキシ、(C1-C8-アルコキシ)カルボニルオキシ、(C2-C8-アルケニルオキシ)カルボニルオキシ、(C2-C8-アルキニルオキシ)カルボニルオキシ、C1-C8-アルキルスルホニル、フエニル、フエニル -C1-C6-アルコキシ、フエニル-(C1-C6-アルコキシ)カルボニル、フエノキシ、フエノキシ -C1-C6-アルコキシ、フエノキシ-(C1-C6-アルコキシ)-カルボニル、フエノキシカルボニル、フエニルカルボニルオキシ、フエニルカルボニルアミノ、フエニル-(C1-C6-アルキル)-カルボニルアミノおよびフエニル-(C1-C6-アルキル)-カルボニルオキシ(ここで最後に挙げた11種の基は未置換であるかまたはフエニル環上でハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシおよびニトロよりなる群からの1種またはそれ以上の基によって置換されている)、および式 -SiR'3、 -O- SiR'3、(R')3 SiC1-C6-アルコキシ、 -CO -O- NR'2、 -O- N=CR'2、 -N=CR'2、 -O- NR'2、 -CH(OR')2 、および -O-)CH2)m - CH(OR')2 {ここで上記の各式中のR' は互いに独立的に水素、C1-C4-アルキルまたはフエニル(これは未置換であるかまたはハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4- ハロアルコキシおよびニトロよりなる群からの基によってモノ置換またはポリ置換されている)であるかまたは対をなしてC2-C6-アルキレン鎖を形成しそしてmは0ないし6である}、または式R" O- CHR"'CH(OR")- C1-C6-アルキル(ここでR" は互いに独立的にC1-C4-アルキルであるかまたは一緒でC1-C6-アルキレン基であり、そしてR"'は水素またはC1-C4-アルキルである)よりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている〕である〕〕
T は式 -CO- R、 -CS- R、 -NRf g 、 -N=CRh i または
SiRa b c (ここにRは前記の意味を有し、そしてRf 、Rg 、Rh およびRi は互いに独立的に水素、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、ベンジル、フエニルまたは置換フエニルであるか、またはRf およびRg は窒素原子と一緒でN、OおよびSよりなる群からの更に2個までのヘテロ原子を有してもよくそしてC1-C4-アルキルによって置換されてもよい5- または6員の複素環を構成し、そしてRa 、Rb およびRc は互いに独立的にC1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、フエニルまたは置換フエニルであり、
YおよびZは互いに独立的に酸素、種々の酸化状態にある硫黄、好ましくはS、SOまたはSO2 、または -NRe (ここにRe はR4 と同様の意味を有する)であり、
4 およびR5 は同一かまたは相異なるものであり、そして互いに独立的に、水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、(C1-C6-アルキル)-カルボニル(ここに最後に挙げた4種の基のおのおのは未置換であるかまたはハロゲン、C1-C8-ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C1-C8-アルコキシおよび1個またはそれ以上の、好ましくは3個までの、互いに直接に結合されていないCH2 基が酸素によって置換されているC1-C8-アルコキシ、およびC1-C8-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C2-C8-アルケニルチオ、C2-C8-アルキニルチオ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C3-C7-シクロアルキル、C3-C7-シクロアルコキシおよびアミノ、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、またはホルミル、SiRa b c (ここにRa 、Rb およびRc は互いに独立的に、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニルまたは置換または未置換のフエニルであるかまたはC3-C8-シクロアルキル、C3-C8-シクロアルケニル、3ないし7個の環原子を有する複素環、アリール、ヘテロアリールまたはアリールカルボニル(ここで最後に挙げた6種の基のおのおのは未置換であるかまたはC1-C8-アルキル、ハロゲン、C1-C8-ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C1-C8-アルコキシおよび1個またはそれ以上の 好ましくは3個までの互いに直接には結合されていないCH2 基が酸素によって置換されているC1-C8-アルコキシよりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている)、およびC1-C8-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C2-C8-アルケニルチオ、C2-C8-アルキニルチオ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニオキシ、C3-C7-シクロアルキル、C3-C7-シクロアルコキシ、およびアミノ、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノであるか、または
4 およびR5 は一緒で未置換またはメチル、エチル、メトキシ、エトキシおよびハロゲンよりなる群からの1または2個の基によって置換されているC2-C4-アルキレン鎖またはC2-C4-アルケニレン鎖を形成し、
6 は水素、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、C6-C12- アリール、ヘテロアリール、ベンジル、C1-C4-アルコキシ、アシルオキシ、例えば(C1-C4-アルキル)カルボニルオキシ、または未置換または置換フエニルカルボニルオキシまたはヒドロキシ、 -NH- CO -NH2 、 -NH- CS- NH2 、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、 -NH- アシル、 -NHSO2-(C1-C4-アルキル)、C6-C12- アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、NH- SO2-アリール、またはNH- アリール(ここに最後に挙げた4個の基におけるアリールまたはヘテロアリールは未置換である。またはハロゲン、ニトロ、(C1-C4)- アルキル、(C1-C4)- アルコキシ、(C1-C4)- ハロアルキルおよび(C1-C4)- ハロアルコキシよりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている)であり、
TはO、S、NR7 、NOR7 またはNO- アシルであり、
QはOまたはSであり、
qは0ないし4の整数であり、
iはqが零でない場合には、1ないしq(ここに上記の意味を有する)のすべての整数に適合する連続数であり、
i は互いに独立的にO、S、NR7 またはN-(Ai - Xi -)q - Rであり、Ai は互いに独立的に、未置換または置換されたC1-C6-アルキレン、C2-C6-アルケニレン、C2-C6-アルキニレン、C3-C6-シクロアルキレン、C3-C6-シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリレーンまたはヘテロアリーレンであり、そして
7 は互いに独立的に、H、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールである〕
式(I)および以下において、炭素骨格中のアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルアミノおよびアルキルチオ基および対応する不飽和および/または置換された基は、それぞれ直鎖状または分枝鎖状である。特記しない限り、炭素骨格が1ないし4個の炭素原子を有するかまたは不飽和基の場合には2ないし4個の炭素原子を有するこれらの基が好ましい。アルキル基、またはアルコキシ、ハロアルキルその他のような複合的意味を有するアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n- またはi- プロピル、n- 、i- 、t- または2- ブチル、ペンチル、ヘキシル、例えばn- ヘキシル、i- ヘキシルおよび1,3- ジメチルブチル、ヘプチル、例えばn- ヘプチル、1- メチルヘキシルおよび1,4- ジメチルペンチルであり;アルケニルおよびアルキニル基は、アルキル基に対応する可能な不飽和基の意味を有し、アルケニルは、例えば、アリル、1- メチルプロプ -2- エン -1- イル、2- メチルプロプ -2- エン -1- イル、ブト -2- エン -1- イル、ブト -3- エン -1- イル、1- メチル- ブト -3- エン -1- イルおよび1- メチル- ブト -2- エン -1- イルであり;アルキニルは、例えばプロパルギル、ブト -2- イン -1- イル、ブト -3- イン -1- イル、1- メチル- ブト -3- イン -1- イルである。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素または臭素、特にフッ素または塩素である。ハロアルキル、 -アルケニルおよび -アルキニルは、部分的または完全にハロゲン置換されたアルキル、アルケニルおよびアルキニルであり、それぞれ例えばCF3 、CHF2 、CH2 F、CF3 CF2 、CH2 FCHCl、CCl3 、CHCl2 またはCH2 CH2 Clであり;ハロアルコキシは、例えば、OCF3 、OCHF3 、OCH2 F、CF3 CF2 O またはOCH2 CF3 である。同様なことは、ハロアルケニルおよびその他のハロゲン- 置換基に妥当する。
【0014】
アリールは、例えば、フエニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル、ペンタレニル、フルオレニルおよび類似物、好ましくはフエニルであり;アリールオキシは、好ましくは上記のアリール基に対応するオキシ基、特にフエノキシである。
【0015】
ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシ中のヘテロアリールは、例えば、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、フリル、ピロリル、ピラゾリルおよびイミダゾリルであるが、また二環または多環式芳香族または芳香脂肪族化合物、例えばキノリニル、ベンズオキサゾリル等である。
【0016】
置換アリールまたはアリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、フエニル、フエノキシ、ベンジル、ベンジルオキシおよび芳香族部分を有する置換二環式基は、例えば未置換の元の構造から誘導された置換基であり、そこでは置換基は、例えばハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、カルバモイル、モノ- およびジアルキルアミノカルボニル、モノ- およびジアルキルアミノ、アルキルスルフイニルおよびアルキルスルホニルであり、そして炭素原子を有する基の場合には、1ないし4個の炭素原子、特に1または2個の炭素原子を有するものが好ましい。
【0017】
ハロゲン基、例えばフッ素および塩素、C1-C4-アルキル、好ましくはメチルまたはエチル、C1-C4-ハロアルキル、好ましくはトリフルオロメチル、C1-C4-アルコキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、ニトロおよびシアノが一般に好ましい。特に好ましいものは、置換基メチル、メトキシおよび塩素である。
【0018】
置換または未置換のフエニルは、例えば、ハロゲン、(C1-C4)- アルキル、(C1-C4)- アルコキシ、(C1-C4)- ハロアルキル、(C1-C4)- ハロアルコキシおよびニトロよりなる群からの同一または相異なる基によってモノ置換または多置換、好ましくはトリ置換まで置換されたフエニル、例えば、o- 、m- およびp- トリル、ジメチルフエニル、2- 、3- および4- クロロフエニル、2- 、3- および4- トリフルオロ- および -トリクロロフエニル、2,4- 、3,5- 、2,5- および2,3- ジクロロフエニル、およびo- 、m- およびp- メトキシフエニルである。
【0019】
上記の3ないし7員の複素環基は、好ましくはベンゼンから誘導されたものであり、少なくとも1個のCHがNによって置換されておりそして/または少なくとも2個の隣接するCH対がNH、Sおよび/または0によって置換されている。この基は、ベンゾ融合されていてもよい。所望ならば、それは一部または全部水素添加されていてもよく、そしてその時はまたヘテロシクリルとしても知られている。特に好適な基は、オキシラニル、ピロリジル、ピペリジル、ジオキソラニル、ピラゾリル、モルホリル、フリル、テトラヒドロフリル、インドリル、キノリニル、ピリミジル、アゼピニル、トリアゾリル、チエニルおよびオキサゾリルのような基である。
【0020】
アシルは、例えば、ホルミル、(C1-C4-アルキル)カルボニルのようなアルキルカルボニル、フエニル環が、例えばフエニルについて上に示したように置換されていてもよいフエニルカルボニル、またはアルコキシカルボニル、フエノキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アルキルスルホニルおよびその他の有機酸の基である。
【0021】
式Iで表される若干の化合物は、式Iにおいて別個には示されていない1個またはそれ以上の不斉炭素原子または二重結合を有する。しかしながら、それらの特定の空間的形状によって決定される対掌体、ジアステレオマー、E- およびZ- 異性体のような可能な立体異性体もまたすべて式Iによって包含される。
【0022】
カルボン酸から誘導される式Iの化合物は、基Rが農業に適している1当量の陽イオンによって置換されている塩を形成しうる。これらの塩は、例えば、金属塩、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩のみならず、またアンモニウム塩または有機アミンとの塩、および陽イオンとしてスルホニウムまたはホスホニウムイオンを含有する塩である。
【0023】
好適な塩形成剤は、特に金属および有機窒素塩基、特に第四アンモニウム塩基である。この場合、塩形成に適した金属は、マグネシウムまたはカルシウムのようなアルカリ土類金属であるが、特にリチウムのようなアルカリ金属、特にカリウムおよびナトリウムである。
【0024】
塩形成に適している窒素塩基の例は、第一、第二または第三脂肪族および芳香族アミンであり、それらは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種の異性体ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ -N- ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン、イソキノリンおよびメタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールのように、炭化水素基上でヒドロキシル化されてもよい。
【0025】
第四アンモニウム塩基の例は、互いに独立的にアルキル基が直鎖状または分枝鎖状のC1-C6-アルキル基であるテトラアルキルアンモニウム陽イオン、例えばテトラメチルアンモニウム陽イオン、テトラエチルアンモニウム陽イオンまたはトリメチルエチルアンモニウム陽イオン、および更にトリメチルベンジルアンモニウム陽イオン、トリエチルベンジルアンモニウム陽イオンおよびトリメチル -2- ヒドロキシエチルアンモニウム陽イオンである。
【0026】
特に好ましい塩形成剤は、アルキル基が互いに独立的に直鎖状または分枝鎖状の、未置換かまたはヒドロキシル置換(C1-C6)- アルキル、例えばジメチルアンモニウム陽イオン、トリメチルアンモニウム陽イオン、トリエチルアンモニウム陽イオン、ジ-(2- ヒドロキシエチル) アンモニウム陽イオンおよびトリ-(2- ヒドロキシエチル) アンモニウム陽イオンである。
【0027】
特に興味のあるものは、式(I)において、
3 が水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C5-C6-シクロアルキル 、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたは式Ar' X'-(ここにAr' お よびX' はそれぞれArおよびXと同様な意味を有する)で表される基であり 、
XがO、S、NH、NCH3 またはNC2 5 であり、
Arが式
【化13】

【0028】
上式中、
(U)が同一または相異なる基であって、互いに独立的に、水素、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のようなハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノまたはC1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アル コキシ、モノ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、C1-C4-アルキルチオまたはC1-C4-アルキルスルホニルであり、そして
oが1ないし3の整数であり、
pが1ないし3の整数であるかまたは
Arがフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびキノリニルより なる群からの単環または二環式ヘテロアリール基であり、これらの基のそれぞ れは未置換であるかまたは上記の基Uの1種ないし3種によって置換されてい る)で表される基である、
化合物またはそれらの塩である。
【0029】
特に興味のある化合物は、また式(1)において、
Rが水素、C1-C8-アルキル、C4-C7-シクロアルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-アルキニル、ヘテロシクリル、フエニルまたはヘテロアリールであり 、〔ここで最後に挙げた基のそれぞれは互いに独立的に未置換であるかまたはハロゲン、シアノ、チオ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキル(これは環 状基の場合のみ)、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ、C2-C4-アルケニルオキシ、C2-C4-アルキニルオキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C2-C4-アルケニルチオ、C2-C4-アルキニルチオ、C5-C6-シクロアルキル、C5-C6-シクロアルコキシ、アミノ、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、(C1-C6-アルコキシ)カルボニル、
式 -SiR'3、 -O- NR'2、 -O- N=CR'2、 -N=CR'2(上記各式中、R' は互いに独立的に水素、C1-C2-アルキルまたはフエニルであるかまたは対をなしてC2-C5-アルキレン鎖を形成している、
化合物およびそれらの塩であるか、または
T が式 -CO- R、 -NRf g または -N=CRh i (ここにR、Rf 、Rg 、Rh およびRi は前記の意味を有する)で表される基である、
化合物である。
Rは好ましくは水素、C1-C8-アルキル、C5-C6-シクロアルキル、C2-C8-アルケニルまたはC2-C8-アルキニル{ここで最後に挙げた4種の基は互いに独立的に、未置換であるかまたはハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-C4-アルコキシ、C2-C4-アルケニルオキシ、C2-C4-アルキニルオキシ、C5-C6-シクロアルキル、C5-C6-シクロアルコキシ、モノ- およびジ(C1-C4-アルキル)アミノ、式 -SiR'3、 -O- N=CR'3、 -N=CR'2(これらの式においてR' は互いに独立的に水素、C1-C2-アルキルまたはフエニルであるかまたは対をなしてC2-C5-アルキレン鎖である)よりなる群からの1種またはそれ以上の基によって置換されている}である。
T は好ましくは -CO- R(ここにRは前記の意味を有する)または -NRf g または -N=CRh i
{上記各式中、
f およびRg は互いに独立的にH、C1-C2-アルキル、ベンジルまたはフエニルまたは窒素原子と一緒でピロリジン -1- イル、ピペリジン -1- イル、モルホリン -4- イル、ピペラジン -1- イルまたはイミダゾール -1- イルであり、そして
h およびRi は互いに独立的にH、C1-C2-アルキル、ベンジルまたはフエニルである。
【0030】
特に興味のある化合物は、また式(I)において、
4 およびR5 が同一または相異なるものであって、互いに独立的に水素、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、C5-C6-シクロアルキルまたはC5-C6-シクロアルケニルである、
化合物およびそれらの塩であり、そしてまた
6 が水素、C1-C4-アルキル、フエニル、ベンジル、ヒドロキシル、NH- CO- NH2 、 -NH- アリールまたはC1-C4-アルコキシである、
化合物である。
【0031】
特に興味のあるものは、また上記式(I)において、
TがO、SまたはNR7 、好ましくはOまたはNR7 であり、
QがOまたはS、好ましくはOであり、
qが0ないし4の整数であり、
iがqが0でない場合には、1からq(ここにqは前記の意味を有する)までのすべての整数をとる連続数であり、
i が互いに独立的にO、S、NR7 またはN-(Ai - Xi -)q - Rであり、
i が互いに独立的に、未置換または置換されたC1-C4-アルキレン、C2-C4-アルケニレンまたはC5-C6-シクロアルキレン、好ましくはC1-C4-アルキレンであり、
7 が互いに独立的に、H、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4- アルキニルまたはC5-C6-シクロアルキルである、
化合物およびそれらの塩である。
【0032】
好ましくは、式(I)において、
1 およびR2 が互いに独立的に式
【0033】
【化14】

(上記各式中、R、T、Q、Ai 、Xi およびqは前記の意味を有する)で表される基である化合物およびそれらの塩である。
【0034】
本発明は、また式Iで表される少なくとも1種の化合物またはその塩の有効量を植物、植物の種子または栽培地に、前記の除草性有効化合物の前、後またはそれと同時に施用することを特徴とする除草剤の植物に対する毒性副作用に対して栽培植物に保護する方法にも関する。
【0035】
本発明は、更に、除草剤の植物に対する毒性副作用に対して栽培植物を保護するために式Iの化合物またはそれらの塩を使用する方法に関する。
【0036】
例えば、ジエチル2-(キノリン -8- イル- メルカプト)-マロネートおよびエチル2-(キノリン -8- メルカプト)アセトアセテート(G. Buchmann, J. prakt. Chem.1965,141参照);ジエチル4- クロロフエノキシマロネート (J. Izv. Sibirsk. Ord. Akad. Nauk. SSSR 1962(11),145−8,Chem. Abstracts 59:5051g(1963)参照)のような式Iで表される若干の化合物が公知になっている。しかしながら、それらの毒性緩和作用は、従来知られていなかった。
【0037】
本発明は、また従来開示されていなかった式Iで表されるすべての化合物にも関する。
【0038】
式Iで表される化合物は、一般的関係において知られている方法によって製造されうる;例えば、ヨーロッパ特許出願公開第4433号;J. Am. Chem. Soc. 62(1990)1154;J. Org. Chem. 36(1971)3646;Chem. Abstr. 111(1988)133625q;ヨーロッパ特許出願公開第326328号;J. Am. Chem. Soc. 94(1972)712;Ukr. Khim. Zh. (ロシア語版)56(1990)638;Chem. Abstr.114(1991)42155g;Chem. Pharm. Bull. 17(1969)419;Chem. Lett. 1973,287;J. Chem. Soc. Chem. Comm. 1979,50;Bull. Chem. Soc. Jpn. 45(1972)866;J. Org. Chem. 39(1974)1233および上記の刊行物に引用された参考文献参照。
【0039】
すなわち、本発明による式Iで表される化合物は、
a)式Ar- X- H(式中、ArおよびXは式Iにおいて規定された意味を有する)で表される化合物を式II
【化15】

【0040】
(上式中、
Lは例えば塩素、臭素、メタンスルホニルまたはトルエンスルホニルのような離脱性基であり、そして
1,R2 およびR3 は上記の式Iにおいて規定された意味を有する)で表される化合物と反応せしめるか、または
b)式Ar- Wで表される化合物を式III
【化16】

【0041】
(上記各式中、
Wは例えば塩素、臭素、メタンスルホニルまたはトリエンスルホニルのような離脱性基であり、そして
Ar、X、R1,R2 およびR3 は式Iにおいて規定された意味を有する)で表される化合物と反応せしめるか、または
c)式AR -X- Wで表される化合物を式IV
【化17】

【0042】
(上式各式中、
Wは例えば塩素、メタンスルホニル、トリエンスルホニル、ジアルキルアミノ、ジアシルアミノまたはアリールチオのような離脱性基であり、そして
Ar、X、R1,R2 およびR3 は式Iにおいて規定された意味を有する)で表される化合物と反応せしめるか、または
d)式V
【化18】

【0043】
{上式中、
Ar、X、R1 およびR3 は式Iにおいて規定された意味を有し、そしてB' は式
【化19】

【0044】
で表される基であるか、または
1 およびB1 は互いに結合しており、そして一緒で式 -CO- Q1-D- Q2-CO(上記各式中、T、Q、Ai 、Xi 、q、R、RT 、Q1 、Q2 およびDは式Iにおける同名の基と同様の意味を有する)で表される基である}
で表されるアリール- またはヘテロアリールオキシカルボン酸誘導体をアルコールまたはメルカプタンとエステル交換せしめることによって製造されうる。
【0045】
上記の方法a)による反応は、好ましくはジメチルスルホキシド、N,N- ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、ジオキサンまたはアセトンのような双極性の非プロトン溶媒中で、高められた温度、特に40ないし180℃において塩基、特に、例えば炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩の存在下に実施される。
【0046】
上記の方法b)による反応は、好ましくはトルエン、N,N- ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、ジオキサンまたはアセトンのような非プロトン溶媒中で、高められた温度、特に40ないし180℃において、塩基、特に例えば炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩の存在下に実施される。
【0047】
上記の方法c)による反応は、好ましくはジメチルスルホキシド、N,N- ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたは塩化メチレンのような非プロトン溶媒中で、またはメタノール、エタノールのようなアルコール中で、室温ないし高められた温度まで、特に20ないし100℃において、塩基、特に例えばナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドの存在下に実施される。
【0048】
上記の方法d)におけるエステル交換反応またはアミド化は、主として式Vで表される化合物をアルコールまたはアミンと高められた温度、特に上記反応混合物の還流温度において、触媒としてのチタンアルコキシドの存在下に反応せしめることによって実施される。
【0049】
式Iで表される化合物は、除草剤を有用植物の栽培中に使用した場合に発生しうる植物に対する毒性副作用を減少せしめあるいは抑制するので、従ってそれらは通常解毒剤ないしは毒性緩和剤と称されうる。
【0050】
本発明による式Iの化合物は、除草性活性化合物と一緒に、または所望の順序で適用することができ、そして上記の除草剤の栽培植物における有害な毒性副作用をこれらの除草剤の雑草に対する効果を損なうことなく、減少せしめるかあるいは完全に除去しうる。
【0051】
上記のことは、従来の作物保護剤の適用範囲を実質的に著しく拡大せしめる。栽培植物に対する毒性副作用が式Iで表される化合物によって軽減されうる除草剤は、例えば、カーバメート、チオカーバメート、ハロアセトアニリド、置換フエノキシ- 、ナフトキシ- およびフエノキシフエノキシカルボン酸誘導体およびヘテロアリールオキシフエノキシアルカンカルボン酸誘導体、例えば、キノリルオキシ- 、キノキサリルオキシ- 、ピリジルオキシ- 、ベンズオキサゾリルオキシ- およびベンゾチアゾリルオキシフエノキシアルカンカルボン酸エステル、シクロヘキサンジオン誘導体、イミダゾリノン、ピリミジルオキシピリジンカルボン酸誘導体、ピリミジルオキシ安息香酸誘導体、スルホニル尿素、トリアゾールピリミジンスルホンアミド誘導体およびS-(N- アリール -N- アルキルカルバモイルメチル)ジチオホスホン酸エステルである。フエノキシフエノキシ- およびヘテロアリールオキシ- フエノキシカルボン酸エステルおよび塩、スルホニル尿素およびイミダゾリノンが好ましい。
【0052】
本発明による毒性緩和剤と組合わされうる好適な除草剤は、例えば:
A)(C1-C4)- アルキル、(C2-C4)アルケニルおよび(C3-C4)アルキニル フエノキシフエノキシ- およびヘテロアリールオキシフエノキシカルボキシレート系の除草剤、例えば、
A1)フエノキシフエノキシ- およびベンジルオキシフエノキシカルボン酸誘導体、例えば、
メチル2-(4- 2、4- ジクロロフエノキシ)フエノキシ)プロピオネート(ジクロフォップ- メチル)、
メチル2-(4-(4- ブロモ -2- クロロフエノキシ)フエノキシ)プロピオネート(ドイツ特許出願公開第2601548号参照)、
メチル2-(4-(4- ブロモ -2- フルオロフエノキシ)フエノキシ)プロピオネート(アメリカ特許第4808750号参照)、
メチル2-(4-(2- クロロ -4- トリフルオロメチルフエノキシ)-フエノキシ) プロピオネート(ドイツ特許出願公開第2433067号参照)、
メチル2-(4-(2- フルオロ -4- トリフルオロメチルフエノキシ)フエノキシ)プロピオネート(アメリカ特許第4808750号参照)、
メチル2-(4-(2,4- ジクロロベンジル) フエノキシ) プロピオネート(ドイツ特許出願公開第2417487号参照)、
エチル4-(4-(4- トリフルオロメチルフエノキシ) フエノキシ) ペント -2- エノエート、
メチル2-(4- (4- トリフルオロメチルフエノキシ)フエノキシ)プロピオネート(ドイツ特許出願公開第2433067号参照)
A2) "単環式" ヘテロアリールオキシフエノキシアルカンカルボン酸誘導体、例えば、
エチル2-(4- 3,5- ジクロロピリジル -2- オキシ)フエノキシ)プロピオネート(ヨーロッパ特許出願公開第2925号参照)、
プロパルギル2-(4-(3,5- ジクロロピリジル -2- オキシ)フエノキシ)プロピオネート(ヨーロッパ特許出願公開第3114号参照)、
メチル 2-(4-(3 -クロロ-5- トリフルオロメチル-2- ピリジルオキシ)
フエノキシプロピオネート(ヨーロッパ特許出願公開第3890 号参照)、
エチル2-(4- 3- クロロ -5- トリフルオロメチル -2- ピリジルオキシ)フエノキシ)プロピオネート(ヨーロッパ特許出願公開第3890号参照)、プロパルギル2-(4- 5- クロロ -3- フルオロ -2- ピリジルオキシ)フエノキシ)プロピオネート(ヨーロッパ特許出願公開第191736号参照)、ブチル2-(4-(5- トリフルオロメチル -2- ピリジルオキシ) フエノキシ) プロピオネート(フルアジフォップ- ブチル)、
A3) "二環式" ヘテロアリールオキシフエノキシアルカンカルボン酸誘導体、例えば、
メチルおよびエチル2-(4-(6- クロロ -2- キノキサリルオキシ) フエノキシ) プロピオネート(キザロフォップ- メチルおよび -エチル)、
メチル2-(4-(6- フルオロ -2- キノキサリルオキシ)フエノキシ)プロピオネート(J. Pest. Sci. Vol. 10,61(1985)参照)、
2-(4-(6- クロロ -2- キノキサリルオキシ)フエノキシ)プロピオン酸
および、その2- イソプロピリデンアミノオキシエチルエステル(プロパキザフォップおよびエステル)、
エチル2-(4-(6- クロロベンズオキサゾール -2- イル- オキシ) フエノキシ)プロピオネート(フエノキサプロップ- エチル)
および、そのD(+)異性体(フエノキサプロップ -P- エチル)、
エチル2-(4-(6- クロロベンゾチアゾール -2- イルオキシ)フエノキシ)プロピオネート(ドイツ特許出願公開第2640730号参照)、
テトラヒドロフル -2- イル- メチル2-(4-(6- クロロキノキサリルオキシ) フエノキシ) プロピオネート(ヨーロッパ特許出願公開第323727号参照)、
B)スルホニル尿素系の除草剤、例えば、
ピリミジン- またはトリアジニルアミノカルボニル〔ベンゼン、ピリジン、ピラゾール、チオフエン、および(アルキルスルホニル)アルキルアミノ〕スル フアミド。
【0053】
ピリミジン環、トリアジン環上の好ましい置換基は、アルコキシ、アルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲンまたはジメチルアミノであり、ここですべての置換基は互いに独立的に結合されていてもよい。
【0054】
ベンゼン、ピリジン、ピラゾール、チオフエン、または(アルキルスルホニル)アルキルアミノ部分における好ましい置換基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルコキシアミノカルボニル、アルキルアルコキシアミノカルボニルハロアルコキシ、ハロアルキル、アルキルカルボニルアルコキシアルキルおよび(アルカンスルホニル)アルキルアミノである。
【0055】
好適なスルホニル尿素は、例えば、
B1)フエニル、およびベンジルスルホニル尿素および関連する化合物、例えば、
1-(2- クロロフエニルスルホニル)-3-(4- メトキシ -6- メチル -1,3,5- トリアジン -2- イル)尿素(クロルスルフロン)、
1-(2- エトキシカルボニルフエニルスルホニル)-3-(4- クロロ -6- メトキシピリミジン -2- イル) 尿素(クロリムロン- エチル)、
1-(2- メトキシフエニルスルホニル)-3-(4- メトキシ -6- メチル -1,3,5- トリアジン -2- イル)尿素(メトスルフロン- メチル) 、
1-(2- クロロエトキシフエニルスルホニル)-3-(4- メトキシ -6- メチル -1,3,5- トリアジン -2- イル) 尿素(トリアスルフロン)、
1-(2- メトキシカルボニルフエニルスルホニル)-3-(4,6- ジメチルピリミジン -2- イル)尿素(スルフォメチュロン- メチル)、
1-(2- メトキシカルボニルフエニルスルホニル)-3-(4- メトキシ -6- メチル -1,3,5- トリアジン -2- イル)-3- メチル尿素(トリベニュロン- メチル)、
1-(2- メトキシカルボニルベンジルスルホニル)-3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)尿素(ベンスルフロン- メチル)、
1-(2- メトキシカルボニルフエニルスルホニル)-3-(4,6- ビス(ジフルオロメトキシ)ピリミジン -2- イル) 尿素(プリミスルフロン- メチル)、3-(4- エチル -6- メトキシ -1,3,5- トリアジン -2- イル)-1-(2,3- ジヒドロ -1,1- ジオキソ -2- メチルベンゾ〔b〕チオフエン -7- スルホニル) 尿素(ヨーロッパ特許出願公開第79683号参照)、
3-(4- エトキシ -6- エチル -1,3,5- トリアジン -2- イル)-1-(2,3- ジヒドロ -1,1- ジオキソ -2- メチルベンゾ〔b〕チオフエン -7- スルホニル) 尿素(ヨーロッパ特許出願公開第79683号参照)、
B2)チエニルスルホニル尿素、例えば、
1-(2- メトキシカルボニルチオフエン -3- イル)-3-(4- メトキシ -6- メチル -1,3,5- トリアジン -2- イル)尿素(チフエンスルフロン- メチル)、
B3)ピラゾリルスルホニル尿素、例えば
1-(4- エトキシカルボニル -1- メチルピラゾール -5- イルスルホニル)-3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)尿素(ピラゾスルフロン- メチル)、
メチル3- クロロ -5-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イルカルバモイルスルフアモイル)-1- メチルピラゾール -4- カルボキシレート(ヨーロッパ特許第282613号参照)、
メチル5-(4,6- ジメチルピリミジン -2- イルカルバモイルスルフアモイル)-1-(2- ピリジル) ピラゾール -4- カルボキシレート(NC- 330、ブライトン作物保護会議議事録- 雑草編- 1991年第1巻第45頁以下
(Brighton Crop Prot. Confereuce-Weeds-1991、Vol.1,45ff.)参照)、
B4)スルホンジアミド誘導体、例えば、
3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)-1-(N- メチル -N- メチルスルホニルアミノスルホニル)尿素(アミドスルフロン)および構造類似体
(ヨーロッパ特許出願公開第0131258号および Z. Pfl. Krankh. Pfl. Schutz 1990,Special Issue XII、489−497)、
B5)ピリジルスルホニル尿素、例えば、
1-(3- N,N- ジメチルアミノカルボニルピリジン -2- イルスルホニル)-3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル) 尿素(ニコスルフロン)、
1-(3- エチルスルホニルピリジン -2- イルスルホニル)-3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル) 尿素(DPX- E9636,ブライトン作物保護議会議事録- 雑草編- 1989年第23頁以下(Brighton Crop Prot. Conf. -Weeds- 1989,pp.23ff.)参照)、ドイツ特許出願公開第4000503号および同第4030577号に記載されているピリジルスルホニル尿素好ましくは、式
【化20】

【0056】
(式中、
EはCHまたはN、好ましくはCHであり、
11はヨウ素またはNR1617であり、
12はH、ハロゲン、シアノ、C1-C3-アルキル、C1-C3-アルコキシ、C1-C3-ハロアルキル、C1-C3-ハロアルコキシ、C1-C3-アルキルチオ、(C1-C3-アルコキシ)-C1-C3-アルキル、(C1-C3-アルコキシ)カルボニル、モノ- またはジ(C1-C3-アルキル) アミノ、C1-C3-アルキルスルフイニルまたは -スルホニル、SO2-NRa b またはCO- NRa b 、特にHであり、
a およびRb は互いに独立的にH、C1-C3-アルキル、C1-C3-アルケニル、C1-C3-アルキニル、または一緒で-(CH2)4-、-(CH2)5-、または-(CH2)2-O-(CH2)2-であり、
13はHまたはCH3 であり、
14はハロゲン、C1-C2-アルキル、C1-C2-アルコキシ、C1-C2-ハロアルキル、好ましくはCF3 、またはC1-C2-ハロアルコキシ、好ましくはOCHF2 またはOCH2 CF3 であり、
15はC1-C2-アルキル、C1-C2-ハロアルコキシ、好ましくはOCHF2 またはC1-C2-アルコキシであり、
16はC1-C4-アルキルであり、
17はC1-C4-アルキルスルホニルであるかまたは
16およびR17は一緒で式
-(CH2)3 SO2-または-(CH2)4 SO2-、
で表される連鎖である。)
例えば、
3=(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)-1-(3- N- メチルスルホニル -N- メチルアミノピリジン -2- イル) フルホニル尿素、またはそれらの塩、
B6)ヨーロッパ特許出願公開第0342569号に記載されているようなアルコキシフエノキシスルホニル尿素、好ましくは式、
【0057】
【化21】

(式中、
EはCHまたはN、好ましくはCHであり、
18はエトキシ、プロポキシ、またはイソプロポキシであり、
19は水素、ハロゲン、NO2 、CF3 、CN、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオまたは(C1-C3-アルコキシ)カルボニル、好ましくはフエニル環上の6- 位にあるものであり、
nは1,2または3、好ましくは1であり、
20は水素、C1-C4-アルキル、またはC3-C4-アルケニルであり、
21およびR22は互いに独立して、ハロゲン、C1-C2-アルキル、C1-C2-アルコキシ、C1-C2-ハロアルキル、C1-C2-ハロアルコキシまたは(C1-C2-アルコキシ)-C1-C2-アルキル、好ましくはOCH3 またはCH3 である)
例えば、
3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)-1-(2- エトキシフエノキシ)スルホニル尿素またはその塩、
およびその他の関連するスルホニル尿素誘導体
およびそれらの混合物、
C)クロロアセトアニリド系除草剤、例えば、
N- メトキシメチル -2,6- ジエチルクロロアセトアニリド(アラクロール)、
N-(3'-メトキシプロップ -2'-イル)-2- メチル -6- エチルクロロアセトアニリド(メトラクロール)、
2',6'-ジメチル -N-(3- メチル -1,2,4- オキサジアゾール -5- イルメチル)クロロアセトアニリド、
N-(2,6- ジメチルフエニル)-N-(1- ピラゾリルメチル)クロロアセトアミド(メタザクロール)、
D)チオカーバメート、例えば、
S- エチルN,N- ジプロピルチオカーバメート(EPTC)または、
S- エチルN,N- ジイソブチルチオカーバメート(ブチレート)、
E)シクロヘキサンジオン誘導体、例えば、
メチル3-(1- アリルオキシイミノブチル)-4- ヒドロキシ -6,6- ジメチル -2- オキソシクロヘキス -3- エンカルボキシレート(アロキシジム)、2-(1- エトキシイミノブチル)-5-(2- エチルチオプロピル)-3- ヒドロキシシクロヘキス -2- エン -1- オン(セトキシジム)、
2-(1- エトキシイミノブチル)-5-(2- フエニルチオプロピル)-3- ヒドロキシシクロヘキス -2- エン -1- オン(クロプロキシジム)、
2-(1-(3- クロロアリルオキシ)イミノブチル -5- 〔2-(エチルチオ) プロピル〕 -3- ヒドロキシシクロヘキス -2- エン -1- オン、
2-(1-(3- クロロアリルオキシ) イミノプロピル)-5- 〔2-(エチルチオ) プロピル〕 -3- ヒドロキシシクロヘキス -2- エン -1- オン(クレトジム )、
2-(1-(エトキシイミノ) ブチル)-3- ヒドロキシ -5-(チアン -3- イル)シクロヘキス -2- エノン(シクロキシジム)または、
2-(1- エトキシイミノプロピル)-5-(2,4,6- トリメチルフエニル)-3- ヒドロキシシクロヘキス -2- エン -1- オン(トラルコキシジム)
F)2-(4- アルキル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル) 安息香酸誘導体または
2-(4- アルキル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル) ヘテロアリ−ルカルボン酸誘導体、例えば、
メチル2-(4- イソプロピル -4- メチル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル)-5- メチルベンゾエートおよび、
2-(4- イソプロピル -4- メチル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル)-4- メチル安息香酸(イマザメタベンズ)、
5- エチル -2-(4- イソプロピル -4- メチル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル)ピリジン -3- カルボン酸(イマザタピル)、
2-(4- イソプロピル -4- メチル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル)キノリン -3- カルボン酸(イマザキン)、
2-(4- イソプロピル -4- メチル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル)ピリジン -3カルボン酸(イマザピル)、
5- メチル -2-(4- イソプロピル -4- メチル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル)ピリジン -3- カルボン酸(イマゼタメピル)、
G)トリアゾロピリミジンスルホンアミド誘導体、例えば、
N-(2,6- ジフルオロフエニル)-7- メチル -1,2,4- トリアゾロ-(1,5- c)-ピリミジン -2- スルホンアミド(フルメトスラム)、
N-(2,6- ジクロロ -3- メチルフエニル)-5,7- ジメトキシ -1,2,4- トリアゾロ-(1,5- c)-ピリミジン -2- スルホンアミド
N-(2,6- ジフルオロフエニル)-7- フルオロ -5- メトキシ -1,2,4- トリアゾロ-(1,5- c)-ピリミジン -2- スルホンアミド、
N-(2,6- ジクロロ -3- メチルフエニル)-7- クロロ -5- メトキシ -1,2,4- トリアゾロ-(1,5- c)-ピリミジン -2- スルホンアミド、
N-(2- クロロ -6- メトキシカルボニル)-5,7- ジメチル -1,2,4- トリアゾロ-(1,5- c)-ピリミジン -2- スルホンアミド(例えばヨーロッ パ特許出願公開第343752号およびアメリカ特許第4988812号参照)、
H)ベンゾイルシクロヘキサンジオン誘導体、例えば、
2-(2- クロロ -4- メチルスルホニルベンゾイル) シクロヘキサン -1,3- ジオン(SC- 0051、ヨーロッパ特許出願公開第137963号参照) 、
2-(2- ニトロベンゾイル)-4,4- ジメチルシクロヘキサン -1,3- ジオン( ヨーロッパ特許出願公開第274634号参照)、
2-(2- ニトロ -3- メチルスルホニルベンゾイル)-4,4- ジメチルシクロヘキサン -1,3- ジオン(WO- 91/13548参照)、
J)ピリミジルオキシピリミジンカルボン酸誘導体およびピリミジニルオキシ安息香酸誘導体、例えば
ベンジル3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)オキシピリジン -2- カルボキシレート(ヨーロッパ特許出願公開第249707号参照)、
メチル3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)オキシピリジン -2- カルボキシレート(ヨーロッパ特許出願公開第249707号参照)、
2,6- ビス〔(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)オキシ〕安息香酸(ヨーロッパ特許出願公開第321846号参照)、
1- エトキシカルボニルオキシエチル2,6- ビス〔(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)オキシ〕ベンゾエート(ヨーロッパ特許出願公開第472113号参照)、および
K)S-(N- アリール -N- アルキルカルバモイルメチル)ジチオリン酸エステル、例えば、
S- 〔N-(4- クロロフエニル)-N- イソプロピルカルバモイルメチル〕
O,O- ジメチル ジチオホスフエート(アニロフォス)
上記の群AないしKからの除草剤は、当該技術分野における熟練者によく知られており、そして一般的に英国作物保護協議会(British Crop Protection Council)編 "農薬便覧" (The Pesticide Manual)第9版(1991年)または第8版(1987年)に、またはトンプソン(W. T. Thompson)編 "農薬第II巻、除草剤" (Agricultural Chemicals Book II, Herbicides, Thompson Publications, Fresno Ca, USA,1990)に、または "農薬ハンドブック、 '90" (Farm Chemicals Handbook '90, Meister Publishing Company, Willowghby, Oh, USA,1990)に記載されている。イマゼタメタピル(Imazethamethapyr)は、 "雑草技術 (Weed Techn. 1991)第5巻第430−438頁に開示されている。
【0058】
上記の除草性活性化合物および毒性緩和剤は、一緒に(即使用調合物またはタンクミックス法において)または相互に所望の順序で施用されうる。毒性緩和剤:除草剤の重量比は、広い範囲内で変動することができ、そして好ましくは1:10ないし10:1、特に1:10ないし5:1の範囲内である。除草剤および毒性緩和剤の両者の最適の量は、使用された除草剤の型および使用された毒性緩和剤および処理されるべき栽培植物の型に依存し、そして場合により適当な予備実験によって決定されうる。
【0059】
毒性緩和剤の主要な適用範囲は、特に禾穀類の作物(コムギ、ライムギ、オオムギおよびオートムギ)イネ、トウモロコシ、ソルガム、のみならずまたワタおよびダイズ、好ましくは禾穀類、イネおよびトウモロコシである。
【0060】
本発明による式Iで表される毒性緩和剤の特別の利点は、それらがスルホニル尿素および/またはイミダゾリノンよりなる群からの除草剤とフエノキシフエノシキ- およびヘテロアリールオキシフエノキシアルカンカルボン酸誘導体型の除草剤と組合される場合に観察される。
【0061】
これらの構造群からの若干の除草剤は、特に禾穀類の作物および/またはトウモロコシおよびイネにおいては選択的に使用され得ないかまたは十分には選択的には使用されない。本発明による毒性緩和剤との組合せは、卓越した選択性が禾穀類、トウモロコシまたはイネにおいてこれらの除草剤についてさえ達成されることを可能にする。
【0062】
式Iの毒性緩和剤は、それらの性質に依存して栽培植物の種子の前処理(種子処理)または播種の前に種子用小溝内に導入され、または植物の発芽の前またはその後に除草剤と一緒に適用される。発芽前処理は、栽培地域の播種前および播種された栽培地域の、ただし生長が現れる前の処理の両方を包含する。除草剤との組合せ施用が好ましい。この目的でタンクミックスおよびレディーミックスが使用されうる。
【0063】
必要とされる毒性緩和剤の施用量は、症状および使用された除草剤に応じて広い範囲内で変動できそして一般に1ヘクタール当り有効物質0.001ないし5kg、好ましくは0.005ないし0.5kgの範囲内である。
【0064】
従って、本発明は、また式Iで表される化合物の有効量を植物、植物の種子または栽培地域に除草剤の前に、後にまたはそれと同時に施用することを特徴とする除草剤の毒性副作用に対して栽培植物を保護する方法にも関する。
【0065】
本発明は、また式Iの活性化合物および通常の調合助剤を含有する作物保護剤および式Iの活性化合物および作物保護の地域においては通常の調合助剤を含有する除草剤にも関する。
【0066】
式Iで表される化合物およびそれらと前記の除草剤群の1種またはそれ以上との組合せは、生物学的および/または物理化学的パラメーターにより予め規定されたように、各種の方法で調合されうる。従って、以下の調剤形態が調合物にとって好適である:水和剤(WP)、乳化性濃縮物(EC)、水溶性粉末(SP)、水溶性濃縮物(SL)、濃縮乳剤(EW)、例えば、水中油型および油中水型乳剤、噴霧用溶液または乳濁液、カプセル懸濁物(CS)、油または水を基礎とした分散液(SC)、サスポエマルジョン、懸濁濃縮物、粉剤(DP)、油混和性溶液(OL)、種子処理剤、マイクロ粒剤、噴霧粒剤、被覆粒剤および吸着粒剤の形態の粒剤(GR)、土壌施用および撒布用粒剤、水溶性粒剤(SG)、水分散性粒剤(WG)、ULV調合物、マイクロカプセルまたはワックス。
【0067】
これらの個々の調合形態は、原則的に知られており、そして例えば、下記の文献に記載されている:
ウイナッカー- キュヒラー、 "ヘミッシエ・テクノロギー" 第7巻第4版1986年(Winnacker-Kuechler, "Chemische Technologie", C. Hauser Verlag Muenchen) ;ワデ・ヴァン・フアルケンベルグ、 "農薬調合物" (Wade van Falkenberg, "Pesticide Formulations", Mascel Dekker N.Y., 1973);マルテンス、 "噴霧乾燥ハンドブック" 、第3版、1979年(K. Martens, "Spray Drying Handbook", 3rd Ed. 1979,G. Goodwin Ltd. London) 。
【0068】
不活性物質、界面活性剤、溶剤およびその他の添加剤のような、必要な調合助剤もまた知られており、例えば下記のものに記載されている:
ワトキンス編「殺虫剤粉末希釈剤および担体のハンドブック」第2版ダーランドブックス社刊(Watkins, "Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers", 2nd Ed, Darland Books, Caldwell N.J.);オルフエン著「粘土コロイド化学入門」第2版ウイリー社刊(H. v. Olphen, "Introduction to Clay Cslloid Chemistry", 2nd Ed, J Wiley & Sons, N.Y.) ;マースデン著「溶剤ガイド」第2版インターサイエンス社1963年刊(Marsden, "Solvents Guide",2nd Ed, Interscience, N.Y.1963);マククチエオン編「洗剤および乳化剤年鑑、MC出版社刊(Mc Cutcheons "Detergents and Emulsifiers Annual", MC Publ Corp., Ridgewood N.J.);シスレー、ウッド編「界面活性剤百科事典」ケミカル出版社1964年刊(Sisley and Wood, "Encyclopedia of Surface Active Agents", Chem Publ. Co. Inc., N.Y. 1964);シエーンフエルト著「界面活性エチレンオキシドアダクツ」ヴィッセンシャフト出版社1976年刊(Schoenfeldt, "Grenzflaechenaktive Aethylenoxidaddukte", Wiss.Verlagsgesell., Stuttgart 1976);ウイナッカー- キュヒラー編「化学技術」第7巻ハウザー出版社第4版1986年刊(Winnacker-Kuechler, "Chemische Technologie", Vol. 7, C. Hauser Verlag Muenchen, 4th Ed.1986)。
【0069】
これらの調合物に基づいて他の農薬有効物質、肥料および/または生長調整剤との組合せもまた、例えばレディーミックスの形であるいはタンクミックスとして調製されうる。
【0070】
水和剤は、水中に均一に分散されうる調合物であって、有効物質のほかになお湿潤剤、例えば、ポリオキシエチル化アルキルフエノール、ポリオキシエチル化脂肪アルコールまたは脂肪アミン、アルカンスルホネートまたはアルキルアリールスルホネートおよび分散剤、例えば、リグニンスルホン酸ナトリウム、2,2'-ジナフチルメタン -6,6'-ジスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレン- スルホン酸ナトリウムそしてまたオレイルメチルタウリン酸ナトリウムをもまた含有する。
【0071】
乳剤(乳化性濃縮物)は、有効物質を有機溶剤、例えばブタノール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、キシレンまたは高沸点芳香族化合物または炭化水素中に1種またはそれ以上の乳化剤を添加しながら溶解することによって調製される。使用されうる乳化剤の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムのようなアルキルアリールスルホン酸カルシウム、または非イオン乳化剤、例えば、脂肪酸ポリグリコールエステル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、プロプレンオキシド- エチレンオキシド縮合生成物(例えばブロック重合体)、アルキルポリグリコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンソルビトールエステルである。
【0072】
粉剤は、有効物質を微細に分割された固体物質、例えばタルクまたは天然粘土、例えばカオリン、ベントナイトまたは葉ろう石またはケイソウ土と共に粉砕することによって得られる。
【0073】
粒剤は、有効物質を吸着性粒状不活性物質上に噴霧するかまたは有効物質濃縮物を砂、カオリナイトまたは粒状の不活性物質のような担体の表面上に接着剤、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムあるいは鉱油で塗布することによって調製されうる。肥料粒状物の製造にとって通例の方法で、所望ならば肥料との混合物として適当な有効物質を粒状化することもできる。
【0074】
一般に、本発明による農薬製剤は、式Iの有効物質(解毒剤)または解毒剤/除草剤の有効物質混合物を0.1ないし99重量%、特に0.1ないし95重量%、固体または液体の添加剤を1ないし99.9重量%、特に5ないし99.8重量%そして界面活性剤を0ないし25重量%、特に0.1ないし25重量%含有する。
【0075】
水和剤においては、有効物質の濃度は、例えば約10ないし90重量%であり、100%までの残りは通常の調合成分よりなる。乳剤の場合には、有効物質濃度は、約1ないし80重量%である。粉剤の形態の調合物は、約1ないし20重量%の有効物質を含有し、噴霧用溶液は、約0.2ないし20重量%の有効物質を含有する。水分散性粒剤のような粒剤の場合には、有効物質の含量は、ある程度まで有効化合物が液体であるかまたは固体であるかということに左右される。一般に、水分散性粒剤の場合の含量は、10ないし90重量%である。
【0076】
更に、上記の有効物質の調合物は、それぞれの場合に慣用される接着剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、浸透剤、溶剤、充填剤または担体を含有してもよい。
【0077】
使用に際しては、市販の形態で存在する調合物は、場合によっては通常の方法で、例えば、水和剤、乳剤、分散剤および水分散性粒剤の場合には水を使用して希釈される。粉剤、粒剤ならびに噴霧用溶液は、使用前に他の不活性物質で希釈されることはない。必要とされる毒性緩和剤の施用量は、温度、湿度のような外的条件、使用される除草剤の種類その他と共に変動する。
【0078】
以下の例は、本発明をより詳細に説明するためのものである。
【実施例】
【0079】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。
A.調合例
a)一つの粉剤が式Iの化合物または除草剤と式Iの化合物とを含有する有効物質混合物10重量部および不活性物質としてのタルク90重量部を混合しそしてこの混合物をハンマーミルで粉砕することによって得られる。
b)水中に容易に分散されうる一つの水和剤が式Iの化合物または除草剤と式I の毒性緩和剤Iとを含有する有効物質混合物25重量部、不活性物質としてカオリン含有石英64重量部、リグニンスルホン酸カリウム10重量部および湿潤および分散剤としてのオレオイルメチルタウリン酸ナトリウム1重量部を混合し、そしてこの混合物をピンデイスクミルで粉砕することによって得られる。
c)水中に容易に分散されうる一つの分散濃縮物が式Iの化合物または除草剤と式Iの毒性緩和剤とを含有する有効物質混合物20重量部をアルキルフエノールポリグリコールエーテル〔 (R)トリトン( (R) Triton) X207〕6重量部、イソトリデカノールポリグリコールエーテル(EO 8単位)3重量部およびパラフイン系鉱油(沸騰範囲、例えば約255ないし277℃以上まで)71重量部と混合し、そしてこの混合物をボールミルで5ミクロン以下の微細度になるまで粉砕することによって得られる。
d)一つの乳剤が式Iの化合物または除草剤と式Iの毒性緩和剤とを含有する有効物質混合物15重量部、溶剤としてのシクロヘキサノン75重量部および乳化剤としてオキシエチル化ノニルフエノール10重量部から得られる。
e)水分散性粒剤が、
式Iの化合物または除草剤と式Iの毒性緩和剤
とを含有する有効物質混合物 75重量部
リグニンスルホン酸カルシウム 10重量部
硫酸ラウリルナトリウム 5重量部
ポリビニルアルコール 3重量部
およびカオリン 7重量部
を混合し、この混合物をピンミルで粉砕し、そしてこの粉末を流動床で造粒用液体としての水の上に噴霧することによって得られる。
f)水分散性粒剤はまた
式Iの化合物または除草剤と式Iの毒性緩和剤
とを含有する有効物質化合物 25重量部
2,2'-ジナフチルメタン -6,6'- ジスル
ホン酸ナトリウム 5重量部
オレオイルメチルタウリン酸ナトリウム 2重量部
ポリビニルアルコール 1重量部
炭酸カルシウム 17重量部
および水 50重量部
を均質化しそしてプレ粉砕し、次いでビーズミルで粉砕し、そして得られた懸濁物を噴霧塔において単一物質ノズルによって噴霧しそして乾燥することによっても得られる。
B.化合物製造例
1.ジエチル2- フエノキシマロネート(表1の例2):
アセトン30ml中に炭酸カリウム22.1g(160mmol)を懸濁せしめ、アセトン100ml中のフエノール7.5g(80mmol)を添加し、そして混合物を1時間還流せしめた。次にアセトン100ml中のジエチル2- クロロマロネート15.5g(80mmol)を滴加し、この混合物を10時間還流し、そして減圧下に蒸発せしめ、そして残渣を塩化メチレン中に吸収せしめた。有機相を飽和NaHCO3 溶液および飽和NaCl溶液で洗滌し、硫酸マグネシウム上で乾燥しそして蒸発せしめた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン/ジエチルエーテル2:1)にかけ、無色の液体としてジエチル2- フエノキシマロネート15.5g(理論量の77%)を得た。
2.エチル2-(3,4- ジクロロフエノキシ)-3- ケトブタノエート(表1の例 38):
3,4- ジクロロフエノール13.0g(80mmol)および炭酸カリウム12.2g(88mmol)をアセトン400ml中で30分間還流せしめた。次に、エチル2- クロロアセトアセテート15.8g(96mmol)を滴加し、混合物を8時間還流せしめ、そして減圧下に蒸発せしめ、そして水を残渣に添加した。水性相を酢酸エチルで3回抽出し、そして一緒にされた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥しそして蒸発せしめた。残渣をカラムクロマトグラフィーにかけ油状物としてエチル2-(3,4- ジクロロフエノキシ)-3- ケトブタノエート15.8g(理論量の68%)を得た。
【0080】
下記の表1および2に上記の製造例と類似する手法で製造された式Iで表される化合物のその他の例を示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
【表8】

【0089】
【表9】

【0090】
【表10】

【0091】
【表11】

【0092】
【表12】

【0093】
【表13】

【0094】
【表14】

【0095】
【表15】

【0096】
【表16】

【0097】
【表17】

【0098】
【表18】

【0099】
【表19】

【0100】
【表20】

【0101】
【表21】

【0102】
【表22】

【0103】
【表23】

【0104】
【表24】

【0105】
【表25】

C.生物試験例
例1
コムギおよびオオムギの種子をプラスチック製のポット内の砂の多いローム質の土の中に播種し、温室内で3- ないし4- 葉期の段階まで栽培しそして次に本発明による化合物および除草剤を用いて発芽後処理法を用いて連続的に処理した。除草剤および式Iの化合物は、水性懸濁物または乳濁物の形態で300l/ha(換算されたもの)の施用量において施用された。処理の3〜4週間後に、植物を施用された除草剤によって惹起されたいかなる損傷をも、特に成長抑制の持続の程度を考慮に入れて、視覚的に評価した。評価は未処理の対照と比較して百分率で示された。若干の実験結果を表3および4に示す。
表3:コムギおよびオオムギに対する毒性緩和作用
有効物質 施用量 損傷度〔%〕
〔g,a.i./ha〕
除草剤 毒性緩和剤 TA HV TD
H1 400 −− 40 98 98
200 −− 30 90 95
100 −− 10 80 95
H1+ 400 50 10 20 10
例28/表2 200 25 0 0 0
100 12 0 0 0
H6+ 400 50 10 25 15
例31/表2 200 25 0 15 0
100 12 0 0 0
H6+ 400 100 15 25 20
例27/表2 200 50 0 10 5
100 25 0 0 0
H2 1800 −− −− 40 −−
900 −− −− 10 −−
H2+ 1800 225 −− 0 −−
例71/表2 900 112 −− 0 −−
H3 50 −− 70 60 −−
25 −− 80 30 −−
12 −− 15 20 −−
H3+ 50 25 20 10 −−
例28/表2 25 12 10 5 −−
12 6 0 0 −−
H3+ 50 25 15 10 −−
例71/表2 25 12 0 0 −−
12 6 0 0 −−
H3+ 50 25 25 20 −−
例75/表2 25 12 5 5 −−
12 6 0 0 −−
H3+ 50 25 25 20 −−
例31/表2 25 12 15 10 −−
12 6 0 0 −−
表3の凡例:
試験条件:4- 葉期の段階で施用;
4週間後に評価;
レプリカ数4
略語:
H1=フエノキサプロップ -P- エチル
H2=ジクロホップ- メチル
H3=メチル4- ヨード -2- 〔3-(4- メトキシ -6- メチル -1,3,5- トリアジン -2- イル)ウレイドスルホニル〕ベンゾエート(ナトリウム塩)
HV=オオムギ(Hordeum vulgare)
TA=コムギ(Triticum aestivum)
TD=野生コムギ(Triticum durum)
例No./表No.=表No.からの毒性緩和剤No
−−=施用せず(毒性緩和剤の場合)または試験せず(作物の場合)
表4:オオムギに対する毒性緩和作用
有効成分 施用量 損傷度(%〕
〔g,a.i./ha〕
除草剤 毒性緩和剤 HV
H1 200 85
H1+例27/表2 200 1250 50
H1+例30/表2 200 1250 65
H1+例50/表2 200 1250 30
H1+例64/表2 200 1250 35
H1+例70/表2 200 1250 30
H1+例32/表2 200 1250 50
H1+例75/表2 200 1250 33
H1+例39/表2 200 1250 25
H1+例19/表2 200 1250 60
H1+例51/表2 200 1250 50
試験条件:3- 葉期の段階で施用;2〜3週間後に評価;レプリカ数4
略語:表3の略語表参照
除草剤が極めて過剰量で施用された場合においても、栽培植物に対する厳しい損傷は、著しく軽減され、そして僅かな損傷の場合は完全に除かれた。
【0106】
従って、本発明による除草剤および化合物の混合物は、禾穀類の作物における選択的雑草駆除に極めて好適である。
例2
トウモロコシの苗、雑草およびイネ科の雑草類をプラスチック製のポット内で戸外または温室内において5- 葉期の段階まで栽培し、そして発芽後処理法を用いて除草剤および本発明による化合物で連続的に処理した。有効物質は、水性懸濁物または乳濁物の形態で1ha当り水300lの施用量(換算されたもの)において施用された。処理の4週間後に、植物を施用された除草剤によって惹起されたいかなる種類の損傷についても、特に持続する成長抑制の程度を考慮に入れながら、視覚的に評価した。評価は、未処理の対照に比較した百分率で表された。若干の結果を表5ないし7に示す。
表5:トウモロコシ(Zea mays) に対する毒性緩和作用
有効成分 施用量 トウモロコシに対する損傷度〔%〕
〔g,a.i./ha〕 アロイス種 フエリックス種
除草剤 毒性緩和剤 (Alois) (Felix)
H4 300 −− 60 60
150 −− 55 50
75 −− 40 30
38 −− 20 0
H4+ 300 150 30 25
例28/表2 150 75 10 15
75 38 0 0
38 19 0 0
H4+ 300 150 40 30
例31/表2 150 75 15 10
75 38 0 0
38 19 0 0
H5 200 −− 50 45
100 −− 40 35
50 −− 30 25
H5+ 200 100 20 15
例28/表2 100 50 10 5
50 25 0 0
H5+ 200 100 20 20
例71/表2 100 50 5 10
50 25 0 0
試験条件:4- 葉期の段階で施用:4週間後に評価;レプリカ数4
略語:表3参照、および
H4=ベンジル3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イルオキシ)ピリジン -2- カルボキシレート
H5=5- エチル -2-(4- イソプロピル -4- メチル -5- オキソ -2- イミダゾリン -2- イル) ピリジン -3- カルボン酸〔イマゼタピル
(imazethapyr) 〕
表6:トウモロコシ(Zea mays)に対する毒性緩和作用
有効成分 施用量 損傷度〔%〕トウモロコシの変種
〔g,a.i./ha〕 ムチン種 フエリックス種 デア種
除草剤 毒性緩和剤 (Mutin) (Felix) (Dea)
H6 80 −− 40 5 −−
40 −− 20 5 −−
20 −− 5 10 −−
H6+ 80 40 10 5 −−
例71/表2 40 20 0 0 −−
20 10 0 0 −−
H6+ 80 40 20 15 −−
例70/表2 40 20 5 0 −−
20 10 0 0 −−
H7 60 −− 70 75 −−
30 −− 30 40 −−
15 −− 10 15 −−
8 −− 5 0 −−
H7+ 60 30 20 25 −−
例71/表2 30 15 5 10 −−
15 7.5 0 0 −−
8 4 0 0 −−
H7+ 60 30 25 25 −−
例70/表2 30 15 10 5 −−
15 7.5 0 0 −−
8 4 0 0 −−
H8 200 −− 65 70 35
100 −− 60 65 10
50 −− 30 55 0
25 −− 15 25 0
H8+ 200 100 40 25 0
例31/表2 100 50 20 10 0
50 25 0 0 0
25 12 0 0 0
H8+ 200 100 35 30 5
例71/表2 100 50 15 10 0
50 25 0 0 0
25 12 0 0 0
H8+ 200 100 30 30
例75/表2 100 50 20 10 0
50 25 0 0 0
25 12 0 0 0
H8+ 200 100 30 30 0
例28/表2 100 50 20 10 0
50 25 0 0 0
25 12 0 0 0
試験条件:4- 葉期の段階で施用;4週間後に評価;レプリカ数4
略語:表3参照、および次のとおり、
H6=1-(3- エチルスルホニルピリジン -2- イルスルホニル)-3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル) 尿素〔DPX- E9636、リムスルフロン(rimsulfuron) 〕
H7=1-(2- メトキシカルボニルチオフエン -3- イル)-3-(4- メトキシ -6- メチル -1,3,5- トリアジン -2- イル)尿素[ チフエンスルフロン- メチル(thifensulfuron-methyl)]
H8=3-(4,6- ジメトキシピリミジン -2- イル)-1- 〔3-(N- メチル -N- メチルスルホニルアミノ)-2- ピリジルスルホニル〕尿素
表7:トウモロコシ(Zea mays)に対する毒性緩和作用
有効成分 施用量 損傷度〔%〕
〔g,a.i./ha〕 フエリックス種
除草剤 毒性緩和剤 (Felix)
H8 75 −− 75
H8+ 75 1250 55
例50/表2
H8+ 75 1250 20
例68/表2
H8+ 75 1250 55
例70/表2
H8+ 75 1250 30
例19/表2
試験条件:3- 葉期の段階で施用;3週間後に評価;レプリカ数4
略語:表6参照
上記の結果は、使用された本発明による式Iの化合物は、トウモロコシの苗に対する強い除草剤による損傷を効果的に減少せしめうる。除草剤が著しく過剰に施用された場合においても、栽培植物に対する強い損傷は、著しく軽減され、そして弱い損傷は、完全に除かれる。従って、除草剤と式Iの化合物との混合物は、トウモロコシにおける選択的雑草防除に極めて好適である。
例3
イネをプラスチック製のポットに播種し、そして温室内で最適の成育条件下で栽培した。発芽後に、上記のポットに水を頂部から2cmの深さまで水を満たし、そしてこの冠水の深さを実験の間中維持した。3- ないし4- 葉期の段階において、上記の植物を除草剤および式Iの化合物で処理した。処理の3週間後に、植物を除草剤によって惹起されるいかなる種類の損傷についても、特に成長の持続的な抑制および希薄化の程度を考慮しながら評価した。上記の評価の結果は、毒性緩和剤がイネに対する除草剤による損傷度を効果的に軽減することを示している。若干の結果を表8に示す。
表8:イネに対する毒性緩和作用
有効成分 施用量 損傷度〔%〕
〔g,a.i./ha〕
除草剤 毒性緩和剤 ORSA
H1 300 −− 80
H1+例28/表2 300 1250 35
H1+例27/表2 300 1250 70
H1+例30/表2 300 1250 45
H1+例50/表2 300 1250 70
H1+例64/表2 300 1250 70
H1+例70/表2 300 1250 70
H1+例32/表2 300 1250 35
H1+例75/表2 300 1250 30
H1+例31/表2 300 1250 50
H1+例39/表2 300 1250 70
H1+例19/表2 300 1250 45
H1+例51/表2 300 1250 70
H1+例71/表2 300 1250 40
試験条件:3- 葉期の段階で施用;3週間後に評価;レプリカの数4
略語:表3参照、および
ORSA=イネ(Oryza sativa)
すなわち、除草剤と本発明による毒性緩和剤との混合物は、イネの選択的雑草防除に好適である。使用された除草剤の雑草に対する除草作用は、本発明による毒性緩和剤を添加することによって、損なわれない;すなわち、使用された施用量において、除草剤を単独で使用した場合に達成される比較値に対応する。
【0107】
例4
イネを温室内のポットに入れた砂の多い土に播種し、そして24〜25cmの高さに成長するまで栽培した。次にこのイネを冠水した土に移植し、除草剤または除草剤/毒性緩和剤の組合せを用いて、潅漑することによって処理した。施用の4週間後に、植物の損傷度を未処理の対照に比較して視覚的に評価した(結果については表9参照)。
【0108】
表9:移植されたイネに対する毒性緩和作用
有効成分 施用量 損傷度〔%〕
〔g,a.i./ha〕
除草剤 毒性緩和剤 ORSA- T
H9 450 −− 50
H9+ 450 225 33
例28/表2 450 450 33
略語:表3参照、その他の略語については次のとおり:
ORSA- T=イネ(Oryza sotiva) (移植されたもの)
H9=アニロホス(anilofos)
表3の例は、除草剤H1ないしH8とは構造上全く異なる除草剤における式Iの化合物の毒性緩和作用を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

〔上式中、
1 およびR2 は互いに独立的に式
【化2】

(上記各式中、R、RT 、R4,R5,R6,Y, T, Z, Q, Ai ,Xi およびqは以下に定義する意味を有する)で表される基であるか、または
1 およびR2 は互いに結合し一緒で式
-CO -Q1-D- Q2-CO-
{上式中、
1 およびQ2 は互いに独立的にQについて定義された意味を有し、そして
Dは式CR' R" またはC=O(ここにR' およびR" は互いに独立的に 水素またはC1-C4-アルキルである)で表される2価の基である}で表される基であり、
3 は水素、ハロゲン、C1-C18- アルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-アルキニル、C1-C18- アルコキシ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C1-C18- アルキルチオ、C2-C8-アルケニルチオ、
2-C8-アルキニルチオ(ここで最後に挙げた9種の基のおのおのは未置換であるかまたはハロゲン、ニトロおよびシアノよりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている)またはC3-C12- シクロアルキル(これは未置換であるかまたはC1-C4-アルキル、ハロゲン、ニトロおよびシアノよりなる群から選択された1個またはそれ以上の基によって置換されている)、またはSiRa b c (ここにRa ,Rb およびRc は互いに独立的にC1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニルまたは置換または未置換のフエニルである)、または式Ar' X'-(ここにAr' およびX' はArおよびXと同様な意味を有する)であり、
XはO,S,NH- NHまたはNRd (ここにRd はR4 と同様な意味を有する)または -CH2 O- 、-CH2 S- 、-CH(Ar)O- または
-CH(Ar)S- であり、
Arは芳香族基であり、
Rは水素または1ないし30個の炭素原子および所望ならば1個またはそれ以上の官能基を有する脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、芳香脂肪族またはヘテロ芳香脂肪族基であり、
T は式 -CO- R、-CS- R、-NRf g 、-N=CRh i または
SiRa b c (ここにRは前記の意味を有し、そしてRf ,Rg ,Rh およびRi は互いに独立的に水素、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、ベンジル、フエニルまたは置換フエニルであるか、またはRf およびRg は窒素原子と一緒でN、OおよびSよりなる群からの更に2個までのヘテロ原子を有してもよくそしてC1-C4-アルキルによって置換されてもよい5- または6員の複素環を構成し、そしてRa ,Rb およびRc は互いに独立的にC1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、フエニルまたは置換フエニルである)で表される基であり、
YおよびZは互いに独立的に酸素、種々の酸化状態にある硫黄または -NRe (ここにRe はR4 と同様の意味を有する)であり、
4 およびR5 は同一かまたは相異なるものであり、そして互いに独立的に、水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、(C1-C6-アルキル)-カルボニル{ここに最後に挙げた4種のおのおの基は未置換であるかまたはハロゲン、C1-C8-ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C1-C8-アルコキシおよび1個またはそれ以上の、好ましくは3個までの、互いに直接に結合されていないCH2 基が酸素によって置換されているC1-C8-アルコキシ、およびC1-C8-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C2-C8-アルケニルチオ、C2-C8-アルキニルチオ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C3-C7-シクロアルキル、C3-C7-シクロアルコキシおよびアミノ、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、またはホルミル、SiRa b c よりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている}(ここにRa ,Rb およびRc は互いに独立的に、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニルまたは置換または未置換のフエニルである)、またはC3-C8-シクロアルキル、C3-C8-シクロアルケニル、3ないし7個の環原子を有する複素環、アリール、ヘテロアリールまたはアリールカルボニル{ここで最後に挙げた6種の基のおのおのは未置換であるかまたはC1-C8-アルキル、ハロゲン、C1-C8-ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C1-C8-アルコキシおよび1個またはそれ以上の、好ましくは3個までの互いに直接には結合されていないCH2 基が酸素によって置換されているC1-C8-アルコキシ、およびC1-C8-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C2-C8-アルケニルチオ、C2-C8-アルキニルチオ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C3-C7-シクロアルキル、C3-C7-シクロアルキル、およびアミノ、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノよりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている}であるか、または
4 およびR5 は一緒で未置換またはメチル、エチル、メトキシ、エトキシおよびハロゲンよりなる群から選択された1または2個の基によって置換されているC2-C4-アルケン鎖またはC2-C4-アルケニレン鎖を形成し、
6 は水素、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、C6-C12- アリール、ヘテロアリール、ベンジル、C1-C4-アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシ、 -NH- CO- NH2 、 -NH- CS- NH2 、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、 -NH- アシル、 -NHSO2-(C1-C4-アルキル)、C6-C12- アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、NH- SO2-アリール、またはNH- アリール(ここに最後に挙げた4個の基におけるアリールまたはヘテロアリールは未置換であるかまたはハロゲン、ニトロ、(C1-C4)- アルキル、(C1-C4)- アルコキシ、(C1-C4)- ハロアルキルおよび(C1-C4)- ハロアルコキシよりなる群からの
1個またはそれ以上の基によって置換されている)であり、
TはO、S、NR7 、NOR7 またはNO- アシルであり、
QはOまたはSであり、
qは0ないし4の整数であり、
iはqが0でない場合には、1ないしq(ここにqは前記の意味を有する)のすべての整数をとる一連の数であり、
i は互いに独立的にO、S、NR7 またはN-(Ai - Xi -)q - RでありAi は互いに独立的に、未置換または置換されたC1-C6-アルキレン、C2-C6-アルケニレン、C2-C6-アルキニレン、C3-C6-シクロアルキレン、C3-C6-シクロアルケニレン、ヘテロシクリレン、アリレーンまたはヘテロアリレーンであり、そして
7 は互いに独立的に、H、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールである〕
で表される1種またはそれ以上の化合物またはそれらの塩の有効量および通常の調合助剤を含有する作物保護剤。
【請求項2】
式Iにおいて、
Arが式
【化3】

〔〔上式中、
(U)は同一または相異なる基であって、互いに独立的に水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノまたはC1-C8-ハロアルキル、C1-C8-ハロアルコキシ、C1-C8-アルキル、C1-C8-アルコキシ、モノ-(C1-C4-アルキル)アミノ、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノ、C1-C8-アルキルチオまたはC1-C8-アルキルチオまたはC1-C8-アルキルスルホニル{ここで最後に挙げた8種の基は未置換またはハロゲン、C1-C8-ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C1-C8-アルコキシ(ここで1個またはそれ以上のCH2 基は酸素によって置換されてもよい)、C1-C8-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフイニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C2-C8-アルケニルチオ、C2-C8-アルキニルチオ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C3-C7-シクロアルキル、C3-C7-シクロアルコキシ、モノ- およびジ-(C1-C4-アルキル)アミノおよびC1-C8-アルコキシカルボニルよりなる群からの1個またはそれ以上の同一または相異なる置換基によって置換されている}であり、そして
oは1ないし5の整数であり、
pは1ないし7の整数であるかまたは
Arがフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびキノリニルよりなる群からの単環または二環式ヘテロアリール基であり、これらの基のそれぞれは未置換であるかまたは上記の基Uの1種またはそれ以上によって置換されており、
Rが水素、C1-C18- アルキル、C3-C12- シクロアルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-アルキニル、ヘテロシクリル、フエニルまたはヘテロアリールであり、
〔ここで上記のC- 含有基のそれぞれは互いに独立的に未置換であるかまたはハロゲン、シアノ、チオ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C8-アルキル(これは環状基の場合のみ)、C1-C8-ハロアルキル、C1-C8-アルコキシ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C1-C8-ハロアルコキシ、C1-C8-アルキルチオ、C2-C8-アルケニルチオ、C2-C8-アルキニルチオ、C3-C7-シクロアルキル、C3-C7-シクロアルコキシ、式 -NR* **および -CO- NR* **および -O- CO- NR* **(ここで最後に挙げた3種の基におけるR* およびR**は互いに独立的に水素、C1-C8- アルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-アルキニル、ベンジル、フエニルまたは置換フエニルであるかまたは窒素原子と一緒で更にN,OおよびSよりなる群からの更に2個までのヘテロ原子を含有してもよくそしてC1-C4-アルキルによって置換されていてもよい3- ないし8員の複素環である)、および(C1-C8-アルコキシ)カルボニル、(C1-C8-アルコキシ)チオカルボニル、(C2-C8-アルケニルオキシ)カルボニル、(C1-C8-アルキルチオ)カルボニル、(C2-C8-アルケニルチオ)カルボニル、(C2-C8-アルキニルチオ)カルボニル、(C2-C8-アルキニルオキシ)カルボニル、ホルミル、(C1-C8-アルキル)カルボニル、(C2-C8-アルケニル)カルボニル、(C2-C8-アルキニル)カルボニル、C1-C4-アルキルイミノ、C1-C4-アルコキシイミノ、(C1-C8-アルキル)カルボニルアミノ、(C2-C8-アルケニル)カルボニルアミノ、(C2-C8-アルキニル)-カルボニルアミノ、(C1-C8-アルコキシ)カルボニルアミノ、(C2-C8-アルケニルオキシ)カルボニルアミノ、(C2-C8-アルキニルオキシ)カルボニルアミノ、(C1-C8-アルキル)アミノカルボニルアミノ、(C1-C6-アルキル)カルボニルオキシ(これは未置換であるかまたはハロゲン、NO2 、C1-C4-アルコキシまたは置換または未置換のフエニルによって置換されている)、(C2-C6-アルケニル)カルボニルオキシ、(C2-C6-アルキニル)カルボニルオキシ、(C1-C8-アルコキシ)カルボニルオキシ、(C2-C8-アルケニルオキシ)カルボニルオキシ、(C2-C8-アルキニルオキシ)カルボニルオキシ、C1-C8-アルキルスルホニル、フエニル、フエニル -C1-C6-アルコキシ、フエニル-(C1-C6-アルコキシ)カニボニル、フエノキシ、フエノキシ -C1-C6-アルコキシ、フエノキシ-(C1-C6-アルコキシ)-カルボニル、フエノキシカルボニル、フエニルカルボニルオキシ、フエニルカルボニルアミノ、フエニル-(C1-C6-アルキル)-カルボニルアミノおよびフエニル-(C1- C6-アルキル)-カルボニルオキシ(ここで最後に挙げた11種の基は未置換であるかまたはフエニル環上でハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシおよびニトロよりなる群からの1種またはそれ以上の基によって置換されている)、および式 -SiR'3、 -O- SiR'3、(R')3 SiC1-C6-アルコキシ、 -CO -O- NR'2、 -O- N=NR'2、 -N=CR'2、 -O- NR'2、 -CH(OR')2 、および -O-(CH2)m - CH(OR')2 {ここで上記の各式中のR' は互いに独立的に水素、C1-C4-アルキルまたはフエニル(これは未置換であるかまたはハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシおよびニトロよりなる群からの基によってモノ置換またはポリ置換されている)であるかまたは対をなしてC2-C6-アルキレン鎖を形成しそしてmは0ないし6である}、または式R" O- CHR"'CH(OR")- C1-C6-アルキル(ここでR" は互いに独立的にC1-C4-アルキルであるかまたは一緒でC1-C6-アルキレン基であり、そしてR"'は水素またはC1-C4-アルキルである)よりなる群からの1個またはそれ以上の基によって置換されている〕である〕〕
で表される未置換または置換されたフエニルまたはナフチル基である請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
式Iにおいて、
Rが水素、C1-C8-アルキル、C5-C6-シクロアルキル、C2-C8-アルケニルまたはC2-C8-アルキニル{ここで最後に挙げた4種の基は互いに独立的に、未置換であるかまたはハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-C4-アルコキシ、C2-C4-アルケニルオキシ、C2-C4-アルキニルオキシ、C5-C6-シクロアルキル、C5-C6-シクロアルコキシ、モノ- およびジ(C1-C4-アルキル)アミノ、式-SiR'3、 -O- N=CR'2、 -N=CR'2(これらの式においてR' は互いに独立的に水素、C1-C2-アルキルまたはフエニルであるかまたは対をなしてC2-C5-アルキレン鎖である)よりなる群からの1種またはそれ以上の基によって置換されている}であり、
T が -CO- R、 -NRf g または -N=CRh i {上記各式中、
f およびRg が互いに独立的にH、C1-C2-アルキル、ベンジルまたはフエニルまたは窒素原子と一緒でピロリジン -1- イル、ピペリジン -1- イル、モルホリン -4- イル、ピペラジン -1- イルまたはイミダゾール -1- イルであり、そして
h およびRi が互いに独立的にH、C1-C2-アルキル、ベンジルまたはフエニルである}、
4 およびR5 が同一または相異なるものであって、互いに独立的に水素、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、C5-C6-シクロアルキルまたはC5-C6-シクロアルケニルであり、
6 が水素、C1-C6-アルキル、フエニル、ベンジル、ヒドロキシル、NH- CO- NH2 -NH- アリールまたはC1-C4-アルコキシであり、
TがO、SまたはNR7 であり、
Qが0またはSであり、
qが0ないし4の整数であり、
iはqが0でない場合には、1からqまでのすべての整数をとる連続数であり、Xi が互いに独立的にO、S、NR7 またはN-(Ai - Xi -)q - Rであり、
i が互いに独立的に、未置換または置換されたC1-C4-アルキレン、C2-C4-アルケニレンまたはC5-C6-シクロアルキレンであり、
7 が互いに独立的に、H、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニルまたはC5-C6-シクロアルキルである、
請求項1または請求項2に記載の薬剤。
【請求項4】
式Iにおいて、
1 およびR2 が互いに独立的に、式
【化4】

で表される基である請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤。
【請求項5】
式Iで表される化合物またはそれらの塩において、式Iの公知の化合物およびそれらの塩を除く請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物またはそれらの塩。
【請求項6】
請求項5に記載の式Iで表される化合物を製造すべく、
a)式Ar-(X)n - H(式中、ArおよびXは式Iにおいて規定された意味を有しそしてn=1である)で表される化合物を式II
【化5】

(上式中、
Lは離脱性基であり、そして
1,R2 およびR3 は上記の式Iにおいて規定された意味を有する)で表される化合物と反応せしめるか、または
b)式Ar- Wで表される化合物を式III
【化6】

(上記各式中、
Wは離脱性基であり、そして
Ar、X、R1,R2 およびR3 は式Iにおいて規定された意味を有する)で表される化合物と反応せしめるか、または
c)式AR- X- Wで表される化合物を式IV
【化7】

(上式各式中、
Wは離脱性基であり、そして
Ar、X、R1,R2 およびR3 は式Iにおいて規定された意味を有する)で表される化合物と反応せしめるか、または
d)式V
【化8】

{上式中、
Ar、X、R1 およびR3 は式Iにおいて規定された意味を有し、そしてB' は式
【化9】

で表される基であるか、または
1 およびB1 は互いに結合しており、そして一緒で式 -CO- Q1-D- Q2-CO(上記各式中、T、Q、Ai 、Xi 、q、R、RT 、Q1 、Q2 およびDは式Iにおける同名の基と同様の意味を有する)}で表される
アリール- またはヘテロアリールオキシカルボン酸誘導体をアルコールまたはメルカプタンとエステル交換せしめることを特徴とする請求項5に記載の式Iで表される化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし5のうちのいずれかに記載の式Iの化合物またはそれらの塩を除草剤の植物に対する毒性副作用に対して栽培植物を保護するための毒性緩和剤として使用する方法。
【請求項8】
1種またはそれ以上の除草剤および請求項1ないし5のうちのいずれかに記載の式Iの化合物またはそれらの塩である1種またはそれ以上の毒性緩和剤を含有する選択的除草剤組成物。
【請求項9】
カーバメート、チオカーバメート、ハロアセトアニリド、置換フエノキシ- 、ナフトキシ- およびフエノキシフエノキシカルボン酸誘導体およびヘテロアリールオキシフエノキシアルカンカルボン酸誘導体、例えばキノリルオキシ- 、キノキサリルオキシ- 、ピリジルオキシ- 、ベンゾキサリルオキシ- およびベンズチアゾリルオキシ- フエノキシアルカンカルボン酸エステル、シクロヘキサンジオン誘導体、イミダゾリノン、ピリミジルオキシピリジンカルボン酸誘導体、ピリミジンオキシ安息香酸誘導体、スルホニル尿素およびトリアゾロピリミジンスルホンアミド誘導体およびS-(N- アリールアルキルカルバモイルメチル)ジチオリン酸エステルよりなる群からの1種またはそれ以上の除草剤を含有する請求項8に記載の選択的除草剤組成物。
【請求項10】
毒性緩和剤:除草剤の重量比が1:10ないし10:1である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
式Iの化合物またはその塩あるいは毒性緩和剤/除草活性化合物の混合物0.1ないし99重量%および固体または液体の添加剤1ないし99.9重量%および界面活性剤0ないし25重量%を含有する請求項1ないし4および8ないし10のうちのいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
請求項1ないし4のうちのいずれかに記載の式Iの化合物の有効量を植物、植物の部分、植物の種子または栽培地に、除草剤の前、後またはそれと同時に施用することを特徴とする、除草剤の植物に対する毒性副作用に対して栽培植物を保護する方法。
【請求項13】
栽培植物が穀物植物、イネ植物またはトウモロコシ植物である請求項11に記載の方法。
【請求項14】
式Iの化合物またはその塩を有効物質0.001ないし5kg/haの割合でそして1:10ないし10:1の毒性緩和剤:除草剤の重量比において施用する請求項12または13に記載の方法。

【公開番号】特開2007−197451(P2007−197451A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29779(P2007−29779)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【分割の表示】特願平5−190178の分割
【原出願日】平成5年7月30日(1993.7.30)
【出願人】(590000145)ヘキスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (15)
【Fターム(参考)】