説明

耐化学薬品性が改善された画像形成性部材

単層及び多層画像形成性要素の両方が、基板及び少なくとも1層の画像形成性層を有する。両者の要素をネガ型又はポジ型の画像形成された要素、例えば平版印刷版を調製するために用いることができる。また、両者の画像形成性要素は、輻射線吸収化合物、及びペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又はその両方を含む耐溶剤性ポリマーを含む。当該ポリマーがペンダントアダマンチル基を含む場合は、それらの基は尿素基又はウレタン基を介して前記ポリマー主鎖に結合されている。当該画像形成性要素は改良された耐化学薬品性及び独特の耐溶剤性ポリマーの存在に由来する熱ベーカビリティを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の耐溶剤性ポリマーの存在により、耐化学薬品性及び熱ベーカビリティ(bakeability)が改善された画像形成層を有するネガ型及びポジ型双方の画像形成性要素に関する。本発明はまた、ネガ型及びポジ型の画像形成された要素を提供するための画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベンショナルな印刷又は「湿式」平版印刷の場合、画像領域として知られるインク受容領域を親水性表面上に生成させる。表面が水で湿潤され、そしてインクが着けられると、親水性領域は水を保持してインクを弾き、そしてインク受容領域はインクを受容して水を弾く。インクは画像が再現されるべき材料の表面に転写される。例えば、インクは中間ブランケットに先ず転写され、ブランケットは、画像が再現されるべき材料の表面にインクを転写するために使用される。
【0003】
印刷版前駆体の分野における最近の開発は、画像形成のためのレーザー又はレーザーダイオードの使用と関係がある。レーザーはコンピュータにより直接的に制御することができるので、レーザー露光は、中間情報キャリヤ(又は「マスク」)としてコンベンショナルなハロゲン化銀グラフィック・アーツ・フィルムを必要としない。商業的に入手可能な画像セッターにおいて使用される高性能レーザー又はレーザーダイオードは一般に、少なくとも700 nmの波長を有する輻射線を放射し、従って、輻射線感光性組成物は、電磁スペクトルの近赤外領域又は赤外領域において感受性を有することが必要とされる。しかしながら、他の有用な輻射線感光性組成物は、紫外線又は可視線で画像形成するように構成されている。
【0004】
平版印刷版前駆体を調製するのに有用な画像形成性要素は、典型的には、基板の親水性表面上に適用された画像形成性層を含む。画像形成性層は、好適なバインダー中に分散することができる1種又は2種以上の輻射線感光性成分を含む。或いは、輻射線感光性成分はバインダー材料であってもよい。画像形成に続いて、画像形成性層の画像形成された領域又は非画像形成領域が、好適な現像剤によって除去され、下側に位置する親水性の基板表面を露出する。画像形成された領域が除去される場合には、要素はポジ型と考えられる。非画像形成領域が除去される場合には、要素はネガ型と考えられる。それぞれの事例において、残される画像形成性層領域(すなわち画像領域)はインク受容性であり、そして、現像プロセスによって露出された親水性表面領域は、水及び水溶液(典型的にはファウンテン(fountain)溶液)を受容し、そしてインクを弾く。
【0005】
紫外線及び/又は可視線を用いた画像形成性要素の画像形成は、典型的には、透明領域と不透明領域とを有するマスクを通して行われる。画像形成は、透明マスク領域の下側に位置する領域内で行われるが、しかし不透明マスク領域の下側に位置する領域内では行われない。マスクの使用は多くの時間がかかり、数多くの重大な欠点を有する。
【0006】
ダイレクトデジタル画像形成が、マスクを通した画像形成の必要性を取り除き、印刷産業分野においてますます重要になってきている。平版印刷版を調製するための画像形成性要素が、赤外線レーザーとともに使用するために開発されている。熱画像形成性多層要素は、例えば米国特許第6,294,311号明細書(Shimazu他)明細書、同第6,352,812号明細書(Shimazu他)、同第6,593,055号(Shimazu他)、同第6,352,811号明細書(Patel他)、同第6,358,669号明細書(Savariar-Hauck他)、及び同第6,528,228号明細書(Savariar-Hauck他)、及び米国特許出願公開第2004/0067432号明細書(Kitson他)に開示されている。
【0007】
米国特許出願公開第2005/0037280号明細書(Loccufier他)には、フェノール系現像剤可溶性のポリマーと、赤外線吸収剤とを同じ層内に含む感熱性印刷版前駆体が記載されている。
【0008】
輻射線感受性組成物及び画像形成性要素はまた、米国特許第6,582,882号明細書(Pappas他)、及び同第6,899,994号明細書(Huang他)、米国特許出願公開第2004/0260050号明細書(Munnelly他)、及び国際公開第2004/101280号パンフレット(Munnelly他)に記載されているように、ファウンテン溶液及び/又は印刷インクを使用して、印刷機上にある間に、像様露光及び/又は現像を施すように構成されている。これらの画像形成性要素は典型的には、基板上の単一の画像形成性層を含む。
【0009】
米国特許第6,200,725号明細書(Takechi他)、及び米国特許出願公開2004/0018445号明細書(Akita他)には、化学増幅されたレジスト組成物、及びペンダントアダマンチル基を含有するポリマーを使用してレジスト・パターンを形成する方法が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
使用中、平版印刷版(ネガ型及びポジ型の両方)は、ファウンテン溶液及びインクと接触する。加えて、要素は、インクを除去するためのブランケット洗剤、並びにブランケット及び印刷機ロールのための種々のクリーニング溶液に曝されることがある。平版印刷の文献には、有利な特性を有する種々の画像形成性要素が記載されているが、このような要素の種々の特性を改善すること、そして特に、現像及び印刷に使用される種々の化学薬品及び溶剤に対する耐性を高めることが依然として必要である。画像形成された要素の現像後の熱ベーキング特性を改善することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、画像形成性層を有して成る基板を含む画像形成性要素であって、前記要素が、輻射線吸収化合物、並びにポリマー主鎖及びペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又はその両方を含む耐溶剤性ポリマーをさらに含むが、但し前記アダマンチル基が尿素連結基又はウレタン連結基を介して前記ポリマー主鎖に結合されている画像形成性要素を提供する。
【0012】
いくつかの態様の場合、画像形成性層は、耐溶剤性ポリマーと輻射線吸収化合物とを含む唯一の画像形成性層であり、そしてこの画像形成層は要素内の基板上に配置されている。
【0013】
画像形成性要素はネガ型又はポジ型の要素であることが可能である。このようなネガ型の画像形成性要素は一般に、耐溶剤性ポリマー及びIR吸収化合物を有する画像形成層内に、ラジカル重合性化合物とラジカル生成組成物とを含む。
【0014】
他の態様の場合、画像形成性要素はポジ型であり、そして基板上に順番に:
本明細書中に記載されているような、輻射線吸収化合物と、ペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又はその両方を含む耐溶剤性ポリマーとを含む内層、及び
画像形成用輻射線に暴露前には、アルカリ性現像剤を使用して除去することができないインク受容性外層
を含む。
【0015】
本発明はまた、
A) 本発明の画像形成性要素を熱画像形成し、これにより、画像形成された領域と非画像形成領域とを有する画像形成された要素を形成し、そして
B) 画像形成された領域だけ、又は非画像形成領域だけを除去するために、画像形成された層をアルカリ性現像剤と接触させ、そして
C) 任意選択的に、前記画像形成され、現像された要素をベーキングする
ことを含む画像形成方法を提供する。
【0016】
画像形成された領域だけが除去される場合には、本発明は、ポジ型の画像形成された要素(例えば平版印刷版前駆体)を提供し、そして非画像形成領域だけが除去される場合には、本発明は、ネガ型の画像形成された要素を提供する。
【0017】
画像形成性要素は、高められた「耐化学薬品性」、すなわち、現像及び印刷に際して使用される化学薬品及び溶剤から生じる種々の層の破壊に対する耐性を有する。この特性は、基板上の層のうちの1つに、ペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又はその両方を含有する特定の耐溶剤性ポリマーが存在することにより達成される。これらの耐溶剤性ポリマーの使用が、高められた熱ベーカビリティ、すなわち、貯蔵寿命を改善するために現像後に要素が加熱されるときの耐破壊性を提供することも観察されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
定義
特に断らない限り、本明細書中に使用する「画像形成性要素」及び「印刷版前駆体」という用語は、本発明の態様を意味するものとする。
【0019】
「単層」画像形成性要素とは、我々は、ポジ又はネガ画像を提供するために必要とされるただ1つの層だけを有する本発明の画像形成性要素を意味する。「耐溶剤性ポリマー」(下に定義)は、最外層となることができるこの単一の画像形成層内に配置されることになる。しかしながら、このような要素は、基板のどちらの側にも追加の非画像形成層[例えば下塗り層、又はポリ(ビニルアルコール)のような酸素不透過性の水溶性ポリマーを含む上塗り層]を含むことができる。
【0020】
「多層」画像形成性要素とは、我々は、画像を提供するために必要とされる少なくとも2つの層、例えば下記のような「内層」及び「外層」を有する本発明の画像形成性要素を意味する。「耐溶剤性ポリマー」(下で定義)は通常は、内層内に配置されることになる。しかしこのような要素は、基板のどちらの側にも、一例として上塗り層、下塗り層、及び付着層を含む追加の非画像形成層を含むことができる。
【0021】
「耐溶剤性ポリマー」は、ペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又は両タイプのペンダント基を含む、本明細書中に定義されたポリマーを意味する。これらの耐溶剤性ポリマーについては、後により詳細に説明する。
【0022】
加えて、特に断らない限り、本明細書中に記載された種々の成分、例えば、「耐溶剤性ポリマー」、「高分子材料」、「フェノール樹脂バインダー」、「溶解抑制剤」、「付加されたコポリマー」、「塗布用溶剤」、「輻射線吸収化合物」、「アルカリ性現像剤」、及び同様の用語はまた、このような成分の混合物も意味する。従って、単数を表す冠詞の使用は、単一の成分だけを必ずしも意味するものではない。
特に断りのない限り、全てのパーセンテージは乾燥重量パーセントである。
【0023】
ポリマーに関連するあらゆる用語の定義を明らかにするために、International Union of Pure and Applied Chemistry(「IUPAC」)によって発行された「Glossary of Basic Terms in Polymer Science(ポリマー科学における基礎用語の解説)」Pure Appl. Chem. 68, 2287-2311(1996)を参照されたい。しかし、本明細書中のあらゆる定義が支配的なものと見なされるべきである。
【0024】
特に示されない限り、「ポリマー」という用語は、オリゴマーを含む高分子量及び低分子量ポリマーを意味し、ホモポリマー及びコポリマーを含む。
【0025】
「コポリマー」という用語は、2種又は3種以上の異なるモノマーから誘導されたポリマーを意味する。すなわちこれらは、少なくとも2種の異なる化学構造を有する反復単位を含む。
【0026】
「主鎖」という用語は、複数のペンダント基を結合することができるポリマー中の原子鎖を意味する。このような主鎖の例は、1種又は2種以上のエチレン系不飽和型重合性モノマーの重合から得られた「全炭素」主鎖である。しかしながら、他の主鎖がヘテロ原子を含むこともでき、この場合、ポリマーは、縮合反応又は何らかの他の手段によって形成される。
【0027】
用途
本発明の画像形成性要素は多くの目的ための画像形成された要素を提供するのに使用することができる。好ましい用途は、下でより詳しく説明するような平版印刷版の前駆体としての使用である。しかし、これが、本発明のただ1つの用途であるわけではない。例えば、当該画像形成性要素は、マスキング要素及びプリント基板を形成するための熱パターン形成系として使用することもできる。
【0028】
耐溶剤性ポリマー
本発明の利点を提供する耐溶剤性ポリマーは、ペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又は両タイプのペンダント基が結合されたポリマー主鎖を有する付加又は縮合ポリマーである。ペンダントアダマンチル基は、少なくとも尿素連結基又はウレタン連結基を介してポリマー主鎖に結合されているが、しかし他の連結基が存在することも可能である。
【0029】
好ましい耐溶剤性ポリマーは、構造(I)によって表すことができる:
【0030】
【化1】

【0031】
(上記式中、AとBとは一緒にポリマー主鎖を表し、ここでAはペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又はその両方を含む反復単位をさらに含み、Bは異なる反復単位をさらに表し、xは5〜100重量%を表し、そしてyは0〜95重量%を表すが、但しAがペンダントアダマンチル基を含む場合には、これらの基は、尿素連結基又はウレタン連結基(しかし他の連結基が存在することも可能である)を介して前記ポリマー主鎖に結合されている)。
【0032】
さらに好ましくは、耐溶剤性ポリマーは、下記構造(II)によって表すことができる。
【0033】
【化2】

【0034】
上記式中、Rは水素、炭素原子数1〜4の置換型又は無置換型の低級アルキル基(例えばメチル、エチル、n-プロピル、又はt-ブチル)、又はハロ基(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード)である。
【0035】
Lは直接結合、又は結合鎖内に炭素原子1又は2個以上を含み、任意選択的にヘテロ原子1又は2個以上含む連結基である。有用な連結基の一例としては、炭素原子数1〜10の置換型又は無置換型の線状又は分枝状アルキレン基(例えばメチレン、メトキシメチレン、エチレン、イソ-プロピレン、n-ブチレン、t-ブチレン、及びn-へキシレン)、環式基内炭素原子数5〜10の置換型又は無置換型のシクロアルキレン基(例えば1,3-シクロペンチレン及び1,4-シクロへキシレン)、環式基内炭素原子数6〜10の置換型又は無置換型のアリーレン基(例えば1,4-フェニレン、3-メチル-1,4-フェニレン、又はナフチレン)、又はこれらの組み合わせ、例えばアリーレンアルキレン、アルキレンアリーレン(例えばエチレン-1,4-フェニレン)、及びアルキレンアリーレンアルキレン基を含むことができる。L連結基は、上記アルキレン、シクロアルキレン、及びアリーレン基のうちのいずれかの有無にかかわらず、結合鎖内部に1つ又は2つ以上のオキシ、チオ、アミド、カルボニル、オキシカルボニル、カルボニルオキシ、カルボンアミド、スルホンアミド、尿素、ウレタン、及び炭酸塩[-O-C(O)-O-]基を含むこともできる。Lは、これらの基のうちの2種又は3種以上の組み合わせを含むことができる。
【0036】
好ましくは、Lは、直接結合、又は、結合鎖内に炭素原子1〜4個を有するアルキレン基、カルボニルオキシ、尿素、ウレタン、アルキレンオキシ、アルキレンカルボニルオキシ、及びカルボキシアルキレン基のうちの1つ又は2つ以上である。
【0037】
好ましくは、Lは少なくとも1つの-C(O)O-(カルボニルオキシ)、-NH-CO-NH-(尿素)、-C(O)-O-(CH2)2-、又は-NH-CO-O-(ウレタン)基を含む連結基を表す。
【0038】
構造(II)において、R'はペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又は両タイプの基を表す。耐溶剤性ポリマーは、リン酸基を有する1種又は2種以上の異なる反復単位、又はアダマンチル基を有する1種又は2種以上の異なる反復単位を含むことができる。或いは、ポリマーは、リン酸基を有する1種又は2種以上の異なる反復単位と、アダマンチル基を有する1種又は2種以上の異なる反復単位との混合物を含むことができる。R'がペンダントアダマンチル基を表すときには、Lは結合鎖内部に尿素連結基又はウレタン連結基を含む。
【0039】
「リン酸」基に言及するときには、これは、一例としてアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を含む、対応するリン酸塩をも含むものとする。その対イオンが、結果として生じたポリマーの性能又はその他の所期画像形成特性に不都合な影響を及ぼさない限り、任意の好適な正の対イオンをペンダントリン酸基と一緒に使用することができる。
【0040】
構造I及びIIのより好ましい態様の場合、Aがペンダントリン酸基を含む反復単位を表すときには、xは5〜20重量%であって、且つyは80〜95重量%であり、或いは、Aがペンダントアダマンチル基を含む反復単位を表すときには、xは5〜40重量%であって、且つyは60〜95重量%である。
【0041】
上記「A」反復単位を提供するために使用することができる特に有用なエチレン系不飽和型重合性モノマーの一例としては、下記構造A1〜A5によって表される下記化合物が挙げられる。
【0042】
【化3】

【0043】
(上記式中Xは、オキシ、チオ、又は-NH-(好ましくはオキシ)であり、X'は-NH-又はオキシであり、X''はオキシ又は-NH-であり、そしてnは1〜6(好ましくは2〜4)である)。
【0044】
【化4】

【0045】
【化5】

【0046】
構造(I)及び(II)において、Bは、ペンダントリン酸基又はペンダントアダマンチル基を有さない1種又は2種以上のエチレン系不飽和型重合性モノマーから誘導される反復単位を表す。B反復単位を提供するために、スチレンモノマー、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸又はそのエステル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアセテート、無水マレイン酸、N置換型マレイミド、又はこれらの混合物を含む種々のモノマーを使用することができる。しかしながら、下記構造(III)〜(VII) によって、より具体的に有用なモノマーが表される。
【0047】
【化6】

【0048】
上記式中、R1及びR2は独立して水素、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルキル基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルケニル基、置換型又は無置換型フェニル基、ハロ基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルコキシ基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アシル基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アシルオキシ基であり、或いは、R1及びR2は結合して、環式基、例えばシクロペンチル又はシクロヘキシル基を形成するか、又は下記二価基:-NHC(O)CH2CH2CH2-、-NHC(O)CH2CH2-、-CH2C(O)OC(O)-、(CH2)2C(O)OC(O)-、及び-CH2C(O)OC(O)CH2-のうちの1つの形成することができる。R1及びR2は好ましくは水素又はメチルである。
【0049】
R3は水素、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルキル基、置換型又は無置換型フェニル基、又はハロ基である。R3は好ましくは水素又はメチルである。
【0050】
R4は水素、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルキル基、置換型又は無置換型フェニル基、又はハロ基である。R4は好ましくは置換型又は無置換型フェニル基(すなわち、スチレンモノマーを提供するため)である。
【0051】
R5は水素、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルキル基、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルケニル基、置換型又は無置換型シクロアルキル基、置換型又は無置換型シクロアルケニル基、置換型又は無置換型フェニル基、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルコキシアルキレン基である。R5は好ましくはメチル又はエチルである。
【0052】
R6及びR7は独立して水素、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルキル基、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルケニル基、置換型又は無置換型シクロアルキル基、置換型又は無置換型シクロアルケニル基、置換型又は無置換型フェニル基、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルコキシアルキレン基である。R6及びR7は好ましくは独立して水素又はエチルである。
【0053】
R8及びR9は独立して水素、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルキル基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルケニル基、置換型又は無置換型フェニル基、ハロ基、シアノ基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルコキシ基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アシル基、又は炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アシルオキシ基である。R8及びR9は独立して、好ましくは水素、メチル、又はフェニルである。
【0054】
R10は水素、炭素原子数1〜7の置換型又は無置換型アルキル基(ベンジル基を含む)、置換型又は無置換型フェニル基、又はヒドロキシ基である。R10は一般に、水素、メチル、又は置換型又は無置換型フェニル基である。
【0055】
好ましくは、Bによって表される反復単位は、スチレン、N-フェニルマレイミド、メタクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、又はメチルメタクリレート、又はこれらのモノマーのうちの2種又は3種以上の混合物である。
【0056】
多層画像形成性要素(下記)のためのいくつかの好ましい態様の場合、耐溶剤性ポリマーは、上記構造(II)によって表され、ここでxは5〜30重量%(より好ましくは5〜20重量%)であり、そしてBは:
a) スチレン、N-フェニルマレイミド、メタクリル酸、及びメチルメタクリレートのうちの1種又は2種以上{これらの反復単位は、耐溶剤性ポリマー中の全ての反復ユニットの0〜70重量%(より好ましくは10〜50重量%)を占める}、及び
b) アクリロニトリル又はメタクリロニトリルのうちの1種又は2種以上、又はこれらの混合物{これらの反復単位は、耐溶剤性ポリマー中の全ての反復ユニットの20〜95重量%(より好ましくは20〜60重量%)を占める}
から誘導される反復単位を表す。
【0057】
本発明において有用な耐溶剤性ポリマーは、出発材料に応じた既知の重合技術を用いて調製することができる。縮合ポリマーが調製され使用される場合、出発材料は一般に、二塩基性カルボン酸、及び二塩基性アルコールであり、これらのうちのどちらも、所期のペンダントリン酸基又はペンダントアダマンチル基を含むことができる。
【0058】
より好ましくは、耐溶剤性ポリマーは、当業者によく知られており、そしてMacromolecules(マクロ分子)第2巻、第2版、H.G. Elias編、Plenum, New York, 1984の第20章及び21章に記載されているラジカル(又は「付加」)重合に適した条件、反応物質、及び触媒を使用して、エチレン系不飽和型重合性モノマーから調製される。有用なラジカル開始剤は、過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド、例えばクミルヒドロペルオキシド、及びアゾ化合物、例えば2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)である。好適な反応溶剤は、反応物質に対して不活性であり、且つ他の点で反応に不都合な影響を与えることのない液体を含む。
【0059】
単層画像形成性要素
単層画像形成性要素は、使用される画像形成用化学薬品に応じてネガ型又はポジ型の画像形成性要素であることが可能である。本明細書中に記載された耐溶剤性ポリマーは、一般に、これらの要素の画像形成層内のバインダーとして存在する。
【0060】
一般に、単層画像形成性要素は、画像形成性層を形成するために、1種又は2種以上の耐溶剤性ポリマーを含有する画像形成用配合物を好適な基板に好適に適用することによって形成される。この基板は通常、配合物の適用の前に、下記のような種々の方法で処理又は塗布される。基板は、改善された付着性又は親水性のために「中間層」を提供するように処理することができ、そして単一の画像形成層は中間層上に適用される。
【0061】
基板は一般に、親水性表面、又は少なくとも、画像形成側上に適用された画像形成用配合物よりも高親水性である表面を有している。基板は、画像形成性要素、例えば平版印刷版を調製するために従来より使用されている任意の材料から構成され得る支持体を含む。基板は通常、シート、フィルム、又はフォイルの形態を成しており、そして強固であり、安定であり、そして可撓性であり、また色記録がフルカラー画像を見当合わせするような使用条件下では耐寸法変化性である。典型的には、支持体は、高分子フィルム(例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースエステルポリマー、及びポリスチレンフィルム)、ガラス、セラミック、金属シート又はフォイル、又は剛性紙(樹脂塗布紙及び金属化紙を含む)、又はこれらの材料のうちのいずれかのラミネーション(例えばポリエステルフィルム上へのアルミニウムフォイルのラミネーション)を含むいかなる自立型材料であってもよい。金属支持体は、アルミニウム、銅、亜鉛、チタン及びこれらの合金のシート又はフォイルを含む。
【0062】
高分子フィルム支持体の一方又は両方の表面を、親水性を高めるために「下塗り」層で改質することができ、或いは、平坦性を高めるために、紙支持体を同様に塗布することができる。下塗り層材料の一例としては、アルコキシシラン、アミノ-プロピルトリエトキシシラン、グリシジオキシプロピル-トリエトキシシラン、及びエポキシ官能性ポリマー、並びに、ハロゲン化銀写真フィルム内に使用されるコンベンショナルな親水性下塗り材料(例えばゼラチン、及びその他の自然発生型及び合成型の親水性コロイド、並びに塩化ビニリデンコポリマーを含むビニルポリマー)が挙げられる。
【0063】
好ましい基板は、物理的研磨、電気化学的研磨、化学的研磨、及び陽極酸化を含む、当業者に知られた技術によって処理することができるアルミニウム支持体から構成される。好ましくは、アルミニウム・シートは、リン酸又は硫酸、及びコンベンショナルな手順を用いて陽極酸化される。
【0064】
例えばケイ酸塩、デキストリン、フッ化カルシウムジルコニウム、ヘキサフルオロケイ酸、リン酸塩/フッ化物、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ビニルホスホン酸コポリマー、ポリ(アクリル酸)、又はアクリル酸コポリマーでアルミニウム支持体を処理することにより、任意選択の中間層を形成することができる。好ましくは、研磨及び陽極酸化が施されたアルミニウム支持体は、表面親水性を改善するために周知の手順を用いてポリ(アクリル酸)で処理される。
【0065】
基板の厚さは多様であることが可能であるが、しかし、印刷から生じる摩耗に耐えるのに十分な厚さを有し、しかも印刷版の周りに巻き付けるのに十分に薄くあるべきである。好ましい態様は、厚さ100 μm〜600 μmの処理されたアルミホイルを含む。
【0066】
基板の裏側(非画像形成側)には、画像形成性要素の取り扱い及び「感触」を改善するために、静電防止剤及び/又はスリップ層又は艶消し層を被覆することができる。
【0067】
基板は、種々の層組成物が塗布された円筒形表面であってもよく、ひいては印刷機の一体部分であってもよい。このような画像形成されたシリンダの使用は、例えば米国特許第5,713,287号明細書(Gelbart)に記載されている。
【0068】
ポジ型画像形成性要素:
ポジ型画像形成性要素の場合、画像形成性層は、耐溶剤性ポリマー(上記)のうちの1種又は2種以上、及び好ましくは1種又は2種以上の輻射線吸収化合物を含む。これらの化合物は、任意の好適なエネルギー形態(例えばUV線)に対して感受性を有することができるが、これらは好ましくは赤外線に対して感受性を有し、このように、輻射線吸収化合物は、600〜1200 nm、好ましくは700〜1200 nmの輻射線を吸収する赤外線吸収化合物(「IR吸収化合物」)として知られる。
【0069】
耐溶剤性ポリマーは一般に、(総乾燥層重量を基準として)1〜30重量%、及び好ましくは0.5〜20重量%の量で画像形成性層内に存在する。画像形成性層は一般に、単層画像形成性要素内の最外層である。
【0070】
好適なIR色素の一例としては、アゾ色素、スクアリリウム色素、クロコネート色素、トリアリールアミン色素、チアゾリウム色素、インドリウム色素、オキソノール色素、オキサゾリウム色素、シアニン色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、インドシアニン色素、インドトリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、オキサトリカルボシアニン色素、チオシアニン色素、チアトリカルボシアニン色素、メロシアニン色素、クロプトシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポリアニリン色素、ポリピロール色素、ポリチオフェン色素、カルコゲノピリロアリーリデン及びビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン色素、オキシインドリジン色素、ピリリウム色素、ピラゾリンアゾ色素、及びオキサジン色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、キノンイミン色素、メチン色素、アリールメチン色素、ポリメチン色素、スクアリン色素、オキサゾール色素、クロコニン色素、ポルフィリン色素、及び前記色素クラスの任意の置換形態又はイオン形態が挙げられる。好適な色素は、例えば米国特許第4,973,572号明細書(DeBoer)、及び同第5,208,135号明細書(Patel他)、同第5,244,771号明細書(Jandrue Sr.他)、及び同第5,401,618号明細書(Chapman他)、及び欧州特許出願公開第0 823 327号明細書(Nagasaka他)に開示されている。
【0071】
アニオン性発色団を有するシアニン色素も有用である。例えば、シアニン色素は、2つの複素環式基を有する発色団を有することができる。別の態様の場合、シアニン色素は、少なくとも2つのスルホン酸基、より具体的には2つのスルホン酸基と2つのインドレニン基とを有することができる。このタイプの有用なIR感光性シアニン色素が、米国特許出願公開第2005-0130059号(Tao)に記載されている。これを参考のため本明細書中に引用する。
【0072】
好適なシアニン色素の1クラスに関する全般的な説明が、国際公開第2004/101280号パンフレット(Munnelly他)の段落0026における式によって示されている。
【0073】
低分子量IR吸収色素に加えて、ポリマーに結合されたIR色素部分を使用することもできる。さらに、IR色素カチオンを使用することができ、すなわち、このカチオンは、カルボキシ、スルホ、ホスホ、又はホスホノ基を側鎖内に含むポリマーとイオン相互作用する色素塩のIR吸収部分である。
【0074】
近赤外線吸収シアニン色素も有用であり、そして例えば米国特許第6,309,792号明細書(Hauck他)、同第6,264,920号明細書(Achilefu他)、同第6,153,356号明細書(Urano他)、同第5,496,903号明細書(Watanate他)に記載されている。好適な色素は、コンベンショナルな方法及び出発材料を用いて形成することができ、或いは、American Dye Source(カナダ国ケベック州、Baie D'Urfe)及びFEW Chemicals(独国)を含む種々の商業的供給元から得ることができる。近赤外線ダイオード・レーザービームのための他の有用な色素が、例えば米国特許第4,973,572号明細書(DeBoer)に記載されている。
【0075】
有用なIR吸収化合物はまた、カーボンブラック、例えば当業者によく知られているように可溶化基で表面官能化されたカーボンブラックを含む種々の顔料を含む。親水性、非イオン性ポリマーにグラフトされるカーボンブラック、例えばFX-GE-003(Nippon Shokubai製)、又はアニオン基で表面官能化されたカーボンブラック、例えばCAB-O-JET(登録商標)200又はCAB-O-JET(登録商標)300(Cabot Corporation製)も有用である。他の有用な顔料としては、ヘリオゲン・グリーン、ニグロシン・ベース、酸化鉄(III)、酸化マンガン、プリシアン・ブルー、及びパリス・ブルーが挙げられる。顔料粒子のサイズは、画像形成性層の厚さを上回るべきではなく、好ましくは、粒子のサイズは、画像形成性層の厚さの半分未満になる。
【0076】
輻射線吸収化合物は、適切な輻射線に暴露後に、画像形成性層を水性現像剤に対して不溶性にするのに十分な量で画像形成性要素内に存在することができる。この量は一般に、(総乾燥層重量を基準として)少なくとも0.5重量%であって、且つ最大20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。或いは、量は、反射UV-可視分光光度分析により測定して、乾燥フィルム内で0.05〜3、好ましくは0.1〜1.5の範囲内の吸光度によって定義することができる。この目的に必要な特定の量は、使用される特定の化合物、及び使用されるべきアルカリ性現像剤の特性に応じて、当業者には容易に明らかである。
【0077】
或いは、輻射線吸収化合物は、画像形成性層と熱接触する分離層内に含まれてもよい。従って画像形成中に、輻射線吸収化合物の作用は、化合物が当初は内蔵されていない画像形成性層に移される。
【0078】
好ましくは、画像形成性層は、アルカリ可溶性ポリマーのための溶解抑制成分として機能する溶解抑制剤として作用する1種又は2種以上の追加の化合物を含む。溶解抑制剤は典型的には、高分子バインダー中の種々の基との水素結合のための受容体部位として作用すると考えられる極性官能基を有している。受容体部位は、好ましくは電気陰性第1列元素、例えば炭素、窒素、及び酸素から選択された、高電子密度を有する原子を含む。アルカリ現像剤中に可溶性の溶解抑制剤が好ましい。溶解抑制剤のための有用な極性基の一例としては、エーテル基、アミン基、アゾ基、ニトロ基、フェロセニウム基、スルホキシド基、スルホン基、ジアゾ基、ジアゾニウム基、ケト基、スルホン酸エステル基、ホスフェートエステル基、トリアリールメタン基、オニウム基(例えばスルホニウム、インドニウム、及びホスホニウム基)、窒素原子が複素環内に内蔵されている基、及び正電荷原子を含有する基(例えば四級化アンモニウム基)が挙げられる。溶解抑制剤として有用な正電荷窒素原子を含有する化合物は、例えばテトラルキルアンモニウム化合物、及び四級化複素環化合物、例えばキノリニウム化合物、ベンゾチアゾリウム化合物、ピリジニウム化合物、及びイミダゾリウム化合物を含む。更なる詳細、及び溶解抑制剤として有用な代表的な化合物は、例えば米国特許第6,294,311号明細書(上記)に記載されている。特に有用な溶解抑制剤は、トリアリールメタン色素、例えばエチルバイオレット、クリスタル・バイオレット、マラカイト・グリーン、ブリリアント・グリーン、ビクトリア・ブルーB、ビクトリア・ブルーR、及びビクトリア・ピュアブルーBO、BASONYL(登録商標)バイオレット610及びD11(仏国Longjumeau在、PCAS)を含む。これらの化合物は、現像された画像形成性要素内の非画像形成領域を画像形成された領域から区別するコントラスト色素として作用することもできる。
【0079】
溶解抑制剤が画像形成性層内に存在する場合には、その量は極めて多様であり得るが、しかし一般には、(総乾燥層重量を基準として)少なくとも0.5重量%であって、且つ最大30重量%、そして好ましくは1〜15重量%の量で存在する。
【0080】
画像形成性層はまた好ましくは、極性基の有無とはかかわりなしに1種又は2種以上のバインダー樹脂を含み、或いは、或るものは極性基を有し、また他のものは極性基を有さないバインダー樹脂の混合物を含む。最も好適なバインダー樹脂は、フェノール樹脂、例えばノボラック樹脂、及びレゾール樹脂を含み、そしてこのような樹脂は、1種又は2種以上のペンダントジアゾ、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、スルフィン酸エステル、又はエーテル基を含むこともできる。フェノール樹脂のヒドロキシ基は、-T-Z基に変換することができ、ここでTは極性基を表し、そしてZは、米国特許第6,218,083号明細書(McCullough他)及び国際公開第99/001795号明細書(McCullough他)に記載されているような非ジアジド官能基を表す。ヒドロキシ基は、例えば米国特許第5,705,308号明細書(West他)及び同第5,705,322号明細書(West他)に記載されているようなo-ナフトキノンジアジド部分を含有するジアゾ基で誘導体化することもできる。
【0081】
これらのバインダー樹脂は、しかし一般には、(総乾燥層重量を基準として)40〜90重量%、そして好ましくは55〜75重量%の量で、画像形成性層内に存在することができる。
【0082】
画像形成性層はさらに、分散剤、保湿剤、殺生物剤、可塑剤、塗布性又はその他の特性のための界面活性剤、粘度形成剤、書き込まれた画像の視覚化を可能にするための色素又は着色剤、pH調整剤、乾燥剤、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、現像助剤、レオロジー調整剤、又はこれらの組み合わせ、又は平版印刷分野において共通に使用される任意のその他の添加物を、コンベンショナルな量で含む種々の添加剤を含む。
【0083】
ポジ型単層画像形成性要素は、コンベンショナルな塗布法又はラミネーション法を用いて、基板の表面(及び表面上に設けられた任意選択のその他の親水性層)の上方に層配合物を適用することにより調製することができる。こうして、好適な塗布用溶剤中に所望成分を分散又は溶解させることにより適用することができ、そしてその結果生じた配合物は、好適な装置及び手順、例えばスピン塗布、ナイフ塗布、グラビア塗布、ダイ塗布、スロット塗布、バー塗布、ワイヤロッド塗布、ローラ塗布、又は押し出しホッパー塗布を用いて、基板に順次又は同時に適用される。配合物は、好適な支持体(例えば機上印刷シリンダ)上に噴霧することにより適用することができる。
【0084】
前記単一の画像形成性層の塗布重量は、0.5〜2.5 g/m2、好ましくは1〜2 g/m2である。
【0085】
層配合物を塗布するために使用される溶剤は、配合物中の高分子材料及びその他の成分の性質に応じて選択される。一般に、画像形成性層配合物は、当業者によく知られている条件及び技術を用いて、アセトン又は別のケトン、テトラヒドロフラン、1-メトキシプロパン-2-オール、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、及びこれらの混合物から塗布される。
【0086】
或いは、それぞれの層組成物の溶融混合物からコンベンショナルな押し出し塗布法によって層(複数)を適用することもできる。典型的には、このような溶融混合物は、揮発性有機溶剤を含有しない。
【0087】
他の配合物の塗布前に溶剤(複数)を除去するために、種々の層配合物の適用間に、中間乾燥工程を用いることができる。乾燥工程は、種々の層の混和を防止するのを助けることもできる。
【0088】
ネガ型画像形成性要素:
ネガ型画像形成性要素は一般に、順番に基板、特定のネガ型化学薬品を含む画像形成性層、及び任意選択的に上塗り層を含む。
【0089】
有用な基板が上述されている。ネガ型画像形成性要素のための特に有用な基板は、a)ブラシ研磨、リン酸陽極酸化、及びポリ(アクリル酸)処理を施された基板、又はb)電気化学的研磨、リン酸陽極酸化、及びポリ(アクリル酸)処理を施された基板である。
【0090】
ネガ型画像形成性組成物を含む画像形成性層は、一般に、少なくとも1種のラジカル重合性化合物、少なくとも1種の輻射線吸収化合物、上述の(上述の量の)少なくとも1種の耐溶剤性ポリマー、及びラジカル生成組成物を含む。
【0091】
有用なラジカル重合性化合物は、ラジカル重合を用いて重合することができる任意の重合性基を含有する任意の化合物を含む。例えば、重合性化合物は、付加重合性エチレン系不飽和基、架橋性エチレン系不飽和基、開環重合性基、アジド基、アリールジアゾニウム塩基、アリールジアゾスルホネート基、又はこれらの組み合わせを含有することができる。好ましくは、ラジカル重合性化合物は、エチレン系不飽和型ラジカル重合性モノマー、プレポリマー、及びオリゴマー、及びラジカル架橋性ポリマーを含有することができる。このような化合物の混合物を使用することもできる。これらの化合物は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、そして好ましくは多官能性であり、すなわち、2つ又は3つ以上の不飽和二重結合(より好ましくは末端不飽和二重結合)を有する。
【0092】
典型的な多官能性の不飽和型ラジカル重合性モノマー及びオリゴマーが、例えば米国特許第6,893,797号明細書(Munnelly他)の第5欄及び第6欄に記載されている。上記の明細書全体を参考のため本明細書中に引用する。特に有用な多官能性モノマー及びオリゴマーは、好ましくはアルコールの不飽和型エステル、例えばポリオールのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、アクリル酸又はメタクリル酸の多官能性エステル、例えばジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、及びペンタ(メタ)アクリレートを含む。
【0093】
他の好適なラジカル重合性化合物は、ウレタンアクリレート及びメタクリレート、エポキシドアクリレート及びメタクリレート、ポリエステルアクリレート及びメタクリレート、ポリエーテルアクリレート及びメタクリレート、不飽和型ポリエステル樹脂、不飽和型アミド、ビニルエステル、ジビニルベンゼン、コハク酸ジビニル、フタル酸ジビニル、及びスチレンモノマーを含む。
【0094】
ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート及びペンタメタクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート及びテトラメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、オリゴマーウレタンアクリレート及びメタクリレートが、本発明のために使用される好ましいラジカル重合性化合物である。
【0095】
画像形成性層は一般に、総乾燥層重量を基準として、35〜60重量%、好ましくは45〜55重量%のラジカル重合性化合物を含む。
【0096】
画像形成性層はまた、1種又は2種以上の輻射線吸収化合物、例えば上記IR吸収化合物を含む。これらの化合物は一般に、750 nm〜1200 nm、好ましくは800 nm〜1100 nmの最大吸収波長を有し、そして好ましくは、シアニン色素、トリアリールアミン色素、チアゾリウム色素、ポリアニリン色素、インドリウム色素、オキサゾリウム色素、ポリピロール色素、ポリチオフェン色素、及びフタロシアニン色素を含む。米国特許第6,893,797号明細書(上記)の第6〜8欄、並びに、米国特許第6,309,792号明細書(Hauck他)の第5-8欄(本明細書中に引用する)に記載されたシアニン色素は、ネガ型画像形成性要素内で特に有用である。
【0097】
ラジカル生成組成物は、画像形成性層の露光時にラジカルを発生させる任意の組成物であってよい。例えば、この組成物の一例としては: (a)米国特許第4,997,745号明細書(Kawamura他)に記載されているようなポリハロアルキル置換型トリアジン、例えばトリハロメチルトリアジンを含むトリアジン、(b)アジニウム化合物、(c)ポリハロゲン化ラジカル生成化合物、(d)米国特許第6,893,797号明細書(上記)に記載されているようなポリハロアルキル置換型ラジカル生成化合物とカルボキシ置換型炭素芳香族化合物との組み合わせ、(e)米国特許第6,309,792号明細書(上記)に記載されているようなアジニウム化合物とカルボキシ置換型炭素芳香族化合物との組み合わせ、(f)米国特許第4,565,769号明細書(Dueber他)に記載されているような、過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド、例えばクミルヒドロペルオキシド、アゾ化合物、例えばアゾビス-イソブチロニトリル、2,4,5-トリアリールイミダゾリル二量体(ヘキサアリールビスイミダゾール)、(g)ジアリールヨードニウム塩及び増感剤、(h)米国特許第6,562,543号明細書(Ogata他)に記載されているような、ホウ酸塩、及び有機ホウ酸塩、及び(i)オニウム塩を挙げることができる。他の既知の開始剤組成物成分が、米国特許出願公開第2003/0064318号明細書(上記)に記載されている。
【0098】
オニウム塩の一例としては、スルホニウム、オキシスルホキソニウム、オキシスルホニウム、スルホキソニウム、アンモニウム、セレノニウム、アルソニウム、ホスホニウム、ジアゾニウム、又はハロニウム塩が挙げられる。代表例を含む有用なオニウム塩の更なる詳細が、米国特許出願公開第2002/0068241号明細書(Oohashi他)、国際公開第2004/101280号パンフレット(Munnelly他)、及び米国特許第5,086,086号明細書(Brown-Wensley他)、同第5,965,319号明細書(Kobayashi)、及び同第6,051,366号明細書(Baumann他)において提供されている。例えば、好適なホスホニウム塩は、4つの有機置換基を有する正電荷超原子価リン原子を含む。好適なスルホニウム塩、例えばトリフェニルスルホニウム塩は、3つの有機置換基を有する正電荷超原子価硫黄を含む。好適なジアゾニウム塩は、正電荷アゾ基(すなわち-N=N+)を有する。好適なアンモニウム塩は、正電荷窒素原子、例えば4つの有機置換基を有する置換型第四アンモニウム塩、及び第四窒素複素環、例えばN-アルコキシピリジニウム塩を含む。好適なハロニウム塩は、2つの有機置換基を有する正電荷超原子価ハロゲン原子を含む。オニウム塩は一般に、好適な数の負電荷対イオン、例えばハロゲン化物、ヘキサフルオロホスフェート、チオスルフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロボレート、及び当業者に容易に明らかな他のものを含む。
【0099】
1つの態様の場合、オニウム塩は、正電荷インドニウム、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-部分と、好適な負電荷対イオンとを有する。このようなインドニウム塩の代表例は、インドニウム、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]、ヘキサフルオロホスフェートである、Ciba Specialty Chemicals(ニューヨーク州Tarrytown)から、Irgacure 250(登録商標)として入手可能であり、75 %プロピレンカーボネート溶液中で供給される。
【0100】
特に有用なトリアジンは、ポリハロアルキル置換型トリアジン、例えば米国特許第6,893,797号明細書(上記)の第9欄、第15〜22行に挙げられた化合物である。この文献には、他の有用なハロゲン化化合物、例えばトリブロモメチルフェニルスルホン、及び1,2,3,4-テトラブロモ-n-ブタンについても述べられている。
【0101】
アジニウム化合物は、米国特許第6,309,792号明細書(上記)に記載されており、そしてアジニウム核、例えばピリジニウム、ジアジニウム、又はトリアジニウム核を含む。アジニウム核は、アジニウム環、例えばキノリニウム、イソキノリニウム、ベンゾジアジニウム、又はナフトジアゾニウム核と縮合された1つ又は2つ以上の芳香族環、典型的には炭素環式芳香族環を含むこともできる。アジニウム環内の窒素環の四級化置換基は、ラジカルとして放出することができる。
【0102】
特に有用なラジカル生成化合物は、トリアジン、例えばトリアジンA、及びオニウム塩、例えばインドニウム塩を含む。
【0103】
ラジカル生成組成物は一般に、使用される化学試薬の組み合わせに応じて変化する量で画像形成性層内に存在する。例えば、上記組み合わせ(d)が用いられる場合には、総乾燥層重量を基準として、ポリハロアルキル置換型ラジカル生成化合物は概ね2〜15重量%(好ましくは4〜7重量%)の量で存在し、そしてカルボキシ置換型炭素芳香族化合物は概ね1〜10重量%(好ましくは1.5〜3重量%)の量で存在する。上記組み合わせ(e)が用いられる場合には、総乾燥層重量を基準として、アジニウム化合物は概ね2〜15重量%(好ましくは4〜7重量%)の量で存在し、そしてカルボキシ置換型炭素芳香族化合物は概ね1〜10重量%(好ましくは1.5〜3重量%)の量で存在する。他のラジカル生成化合物は、1〜20重量%のコンベンショナルな量で存在することができる。
【0104】
画像形成性層は、例えば分散助剤、保湿剤、殺生物剤、可塑剤、粘度形成剤、プリントアウト色素、pH調整剤、乾燥剤、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、現像助剤、レオロジー調整剤、コントラスト色素、塗膜界面活性剤、又はこれらの組み合わせをコンベンショナルな量で含む、種々の任意の成分を含むこともできる。
【0105】
ネガ型画像形成性要素の画像形成性層の乾燥塗布重量は、0.5〜2 g/m2、好ましくは1〜2 g/m2である。
【0106】
ネガ型画像形成性要素は、事実上酸素不透過性であり、アルカリ性現像剤中に可溶性であり、そして画像形成用輻射線に対して透明である上塗り層を含むことができる。この上塗り層は、画像形成中のアブレーションから要素を保護し、また耐引掻き性を提供することもできる。上塗り層は、例えば米国特許第6,893,797号明細書(上記)に記載されており、そしてポリ(ビニルアルコール)、ビニルアルコール/ビニルアセテートコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、ビニルアセテート/ビニルピロリドンコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルのようなコモノマーとの開環型コポリマー、ポリアクリル酸、ゼラチン及びゼラチン誘導体、セルロースエーテル、及びこれらの混合物を一例として含む水溶性ポリマーを含む。ポリビニルアルコールが好ましい。
【0107】
上塗り層は、電磁スペクトルの画像形成領域内では吸収せず、可視光を効率的に吸収する着色剤(例えば水溶性色素)、及び付着促進剤、例えば国際公開第99/06890号パンフレット(Pappas他)に記載されているようなポリ(ビニルイミダゾール)を含むこともできる。
上塗り層の塗布重量は一般に、0.1〜6 g/m2、好ましくは0.5〜4 g/m2である。
ネガ型要素の代表的な調製方法が、例4〜6に記載されている。
【0108】
多層画像形成性要素
一般に、画像形成性要素は、基板と、内層(「下層」としても知られる)と、内層上に配置された外層(「トップ層」又は「トップ塗膜」としても知られる)とを含む。熱画像形成前には、外層はアルカリ性現像剤によって除去することはできないが、しかし、熱画像形成後には、外層の画像形成された領域は、アルカリ性現像剤によって除去することができる。内層もアルカリ性現像剤によって除去することができる。内層内には一般に、1種又は2種以上の耐溶剤性ポリマー(上記の通り)が存在する。赤外線吸収化合物(下記に定義する)が好ましくは内層内に存在し、そして任意選択的に付加的に内層と外層との間の分離層内にも存在する。
【0109】
多層画像形成性要素は、本発明の単層画像形成性要素に関して詳細に上述した好適な基板に、内層組成物を好適に適用することにより形成される。この基板は、未処理又は未塗布の支持体であることが可能であるが、しかし通常は、内層組成物の適用前に下記のような種々の方法で処理又は塗布される。基板は一般に、親水性表面、又は少なくとも外層組成物よりも高親水性の表面を有している。研磨及び陽極酸化を施されたシートが好ましい基板である。
【0110】
例えばケイ酸塩、デキストリン、フッ化カルシウムジルコニウム、ヘキサフルオロケイ酸、リン酸塩/フッ化物、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ビニルホスホン酸コポリマー、ポリ(アクリル酸)、又はアクリル酸コポリマーでアルミニウム支持体を処理することにより、支持体と内層との間の中間層を形成することができる。好ましくは、研磨及び陽極酸化が施されたアルミニウム支持体は、表面親水性を改善するために周知の手順を用いてPVPAで処理される。
【0111】
内層は、外層と基板との間に配置される。内層は、基板上に配置され、そしてより典型的には基板上に直接的に配置される。内層は、上記耐溶剤性ポリマーのうちの1種又は2種以上を含む。これらのポリマーは好ましくは、外層を塗布するために使用される溶剤中には不溶性なので、外層は、内層を溶解させることなしに、内層上に塗布することができる。
【0112】
内層は、1種又は2種以上の一次的な付加的高分子材料を含むこともできる。ただし、これらの一次的な付加的高分子材料が、内層の耐薬品性及び溶解特性に不都合な影響を与えないことを条件とする。好ましい一次的な付加的高分子材料は、存在する場合、現像後のベーキング・プロセスが用いられる時に印刷部材の連続運転時間を改善するために添加することができるノボラック樹脂である。
【0113】
内層のための有用な高分子材料は、ポリビニルアセタール、カルボキシ基を含む(メタ)アクリル樹脂、ビニルアセテートクロトネート-ビニルネオデカノエート・コポリマーフェノール樹脂、マレイン酸処理ウッド・ロジン、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、(メタ)アクリルアミドポリマー、N置換型環状イミドから誘導されるポリマー、又はこれらの組み合わせを含む。ファウンテン溶液及び攻撃的な洗剤の両方に対する耐性を提供する高分子材料が、米国特許第6,294,311号明細書(上記)に開示されている。
【0114】
特に有用な一次的な付加的高分子材料は、ポリビニルアセタール、及び、N置換型環状イミド(特にN-フェニルマレイミド)と、(メタ)アクリルアミド(特にメタクリルアミド)と、(メタ)アクリル酸(特にメタクリル酸)とから誘導されるコポリマーを含む。このタイプの好ましい高分子材料は、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-(4-カルボキシフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、又はこれらの混合物から誘導される20〜75モル%、好ましくは35〜60モル%の反復単位、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はこれらの混合物から誘導される10〜50モル%、好ましくは15〜40モル%の反復単位、及びメタクリル酸から誘導される5〜30モル%、好ましくは10〜30モル%の反復単位を含むコポリマーである。メタクリルアミドのうちのいくらか又は全ての代わりに、他の親水性モノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレートを使用することができる。メタクリルアミドのうちのいくらか又は全ての代わりに、他のアルカリ可溶性モノマー、例えばアクリル酸を使用することもできる。任意選択的に、これらのポリマーは、(メタ)アクリロニトリル又はN-[2-(2-オキソ-1-イミダゾリジニル)エチル]メタクリルアミドから誘導される反復単位を含むこともできる。これらの高分子材料は、内層のための塗布用溶剤として使用することができる乳酸メチル/メタノール/ジオキソラン(15:42.5:42.5重量%比)混合物中に可溶性である。しかし、これらの高分子材料は、アセトン及びトルエンのような溶剤中には溶けにくい。アセトン及びトルエンは、内層を溶解させることなしに内層上に外層を塗布するための溶剤として使用することができる。
【0115】
内層は、活性化メチロール及び/又は活性化アルキル化メチロール基を有する樹脂である1種又は2種以上の二次的な付加的高分子材料を含んでもよい。このような樹脂は、例えば、レゾール樹脂及びこれらのアルキル化類似体、メチロールメラミン樹脂及びこれらのアルキル化類似体(例えばメラミン-ホルムアルデヒド樹脂)、メチロールグリコールウリル樹脂及びアルキル化類似体(例えばグリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂)、チオ尿素-ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン-ホルムアルデヒド樹脂、及びベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド樹脂を含む。商業的に入手可能なメラミン-ホルムアルデヒド樹脂及びグリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂は、例えばCYMEL(登録商標)樹脂(Dyno Cyanamid)及びNIKALAC(登録商標)樹脂(Sanwa Chemical)を含む。
【0116】
活性化メチロール及び/又は活性化アルキル化メチロール基を有する樹脂は、好ましくはレゾール樹脂又はレゾール樹脂の混合物である。レゾール樹脂は当業者によく知られている。これらは、過剰のフェノールを使用して塩基性条件下で、フェノールとアルデヒドとを反応させることにより調製される。商業的に入手可能なレゾール樹脂は、例えばGP649D99レゾール(Georgia Pacific)を含む。
【0117】
他の有用な一次的な付加的高分子材料は、N-フェニルマレイミドから誘導される1〜30モル%、好ましくは3〜20モル%の反復単位、メタクリルアミドから誘導される1〜30モル%、好ましくは5〜20モル%の反復単位、アクリロニトリルから誘導される20〜75モル%、好ましくは35〜60モル%の反復単位、及び下記構造(VIII):
【0118】
CH2=C(R3)-CO2-CH2CH2-NH-CO-NH-p-C6H4-R2
(VIII)
【0119】
(上記式中、R2はOH、COOH、又はSO2NH2であり、そしてR3はH、又はメチルである)の1種又は2種以上のモノマーから誘導される20〜75モル%、好ましくは35〜60モル%の反復単位)、及び任意選択的に、構造(IX):
【0120】
CH2=C(R5)-CO-NH-p-C6H4-R4
(IX)
【0121】
(上記式中、R4はOH、COOH、又はSO2NH2であり、そしてR5はH、又はメチルである)
の1種又は2種以上のモノマーから誘導される1〜30モル%、好ましくは、存在する場合3〜20モル%の反復単位を含むコポリマーを含む。
【0122】
有用な二次的な付加的高分子材料は、N-フェニルマレイミドから誘導される25〜75モル%、好ましくは35〜60モル%の反復単位、メタクリルアミドから誘導される10〜50モル%、好ましくは15〜40モル%の反復単位、メタクリル酸から誘導される5〜30モル%、好ましくは10〜30モル%の反復単位を含むコポリマーを含むことができる。これらの二次的な付加的高分子材料は、米国特許第6,294,311号明細書及び同第6,528,228号明細書(両方とも上記)に開示されている。
【0123】
当業者によく知られており、Macromolecules(マクロ分子)第2巻、第2版、H.G. Elias編、Plenum, New York, 1984の第20章及び21章に記載されている方法、例えばラジカル重合によって、内層内において有用な一次的及び二次的な付加的高分子材料を調製することができる。有用なラジカル開始剤は、過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド、例えばクミルヒドロペルオキシド、及びアゾ化合物、例えば2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)である。好適な反応溶剤は、反応物質に対して不活性であり、且つ他の点で反応に不都合な影響を与えることのない液体を含む。
【0124】
好ましい態様の場合、内層はさらに、600〜1200 nm、そして好ましくは700〜1200 nmの輻射線を吸収し、300〜600 nmで最小吸収を示す赤外線吸収化合物(「IR吸収化合物」)を含む。この化合物(「光熱変換材料」として知られることがある)は輻射線を吸収し、そしてこれを熱に変換する。高分子材料のうちの1種自体が、IR吸収部分を含んでもよいが、典型的には、赤外線吸収化合物は、別個の化合物である。この化合物は色素又は顔料(カーボンブラックを含む)であってよい。有用なカーボンブラックの例は、ProJet 900、ProJet 860、及びProJet 830(全てZeneca Corporationから入手可能)である。有用な顔料(カーボンブラックを含む)及び特に有用なIR吸収色素(「IR色素」)に関しては、単層画像形成性要素の説明において上述されている。
【0125】
輻射線吸収化合物は、内層総乾燥重量を基準として、一般に少なくとも8 %であって、且つ最大30 %の量で、そして好ましくは8〜25 %の量で多層画像形成性要素中に存在することができる。使用されるべき所与のIR吸収化合物の具体的な量は、当業者によって容易に決定することができる。
【0126】
内層は、他の成分、例えば界面活性剤、分散助剤、保湿剤、殺生物剤、粘度形成剤、乾燥剤、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、及び着色剤を含むことができる。
【0127】
内層の乾燥被覆率は一般に、0.5〜2.5 g/m2、そして好ましくは1〜2 g/m2である。上記高分子材料は一般に、総乾燥層重量を基準として、少なくとも50重量%、そして好ましくは60〜90重量%を占め、そしてこの量は、どのような他のポリマー及び化学成分が存在するかに応じて変化することができる。いかなる一次的及び二次的な付加的高分子材料(例えばノボラック、レゾール、又は上記コポリマー)も、内層の総乾燥重量を基準として、5〜45重量%、そしてより好ましくは5〜25重量%の量で存在することができる。
【0128】
画像形成性要素の外層は、内層上に配置されており、そして好ましい態様の場合、内層と外層との間には中間層はない。外層は、光安定性、水不溶性、アルカリ性現像剤可溶性の皮膜形成バインダー材料である高分子材料、例えばフェノール樹脂、ウレタン樹脂、及びポリアクリレートを含む。外層は一般に、赤外線吸収化合物を実質的には含まず、このことは、これらの化合物のいずれも外層内に意図的に内蔵されることはなく、そして他の層から外層内に拡散する量は実体のないものであることを意味する。特に有用なバインダー材料は、例えば米国特許第6,352,812号明細書(上記)、同第6,358,669号明細書(上記)、同第6,352,811号明細書(上記)、同第6,294,311号明細書(上記)、同第6,893,783号明細書(Kitson他)、同第6,645,689号明細書(Jarek)、米国特許出願公開第2003/0108817号明細書(Patel他)、及び同第2003/0162,126号明細書(Kitson他)、及び国際公開第2005/018934号パンフレット(Kitson他)に記載されている。
【0129】
外層のための特に有用な皮膜形成バインダー材料は、異なるモノマーのランダム、交互、ブロック又はグラフト・コポリマーであることが可能であるフェノールモノマー単位を含有するフェノール樹脂又はヒドロキシ含有ポリマーであり、そして、ビニルフェノール、ノボラック樹脂、又はレゾール樹脂のポリマーから選択することができる。ノボラック樹脂が好ましい。ノボラック又はレゾール樹脂は、コンベンショナルな出発材料(ヒドロキシ芳香族炭化水素及びアルデヒド又はケトン)、及び反応条件を用いて調製することができる。標準的な較正及びポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィによって測定した、ノボラック樹脂の重量平均分子量(Mw)は、500〜150,000 g/molであり、より好ましくは1,500〜150,000 g/molである。
【0130】
有用なポリ(ビニルフェノール)樹脂は、1種又は2種以上のヒドロキシフェニル含有モノマー、例えばヒドロキシスチレン及びヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートのポリマーであることが可能である。ヒドロキシ基を含有しない他のモノマーを、ヒドロキシ含有モノマーと共重合することができる。これらの樹脂は、周知の反応条件を用いて、ラジカル開始剤又はカチオン性重合開始剤の存在において、モノマーのうちの1種又は2種以上を重合することにより調製することができる。ノボラック樹脂に関して上述したように測定して、これらのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1000〜200,000 g/molであり、より好ましくは1,500〜50,000 g/molである。
【0131】
有用なヒドロキシ含有ポリマーの例は、ALNOVOL SPN452、SPN400、HPN100(Clariant GmbH)、DURITE PD443、SD423A、SD126A(Borden Chemical, Inc.)、BAKELITE 6866LB02、AG、6866LB03(Bakelite AG)、KR 400/8(Koyo Chemicals Inc.)、HRJ 1085、及び2606(Schenectady International, Inc.)、及びLyncur CMM(Siber Hegner)を含み、これら全ては米国特許出願公開第2005/0037280号(上記)に記載されている。上記のように改質することができる特に有用なポリマーは、下記例に関して記載されたPD-140である。
【0132】
以下に示す構造(Q)によって表される基によって置換されたフェノール反復単位を含む1種又は2種以上の「改質」フェノール樹脂バインダーを、外層内に含むことも可能である。
【0133】
【化7】

【0134】
(上記式中、L1、L2、及びL3は独立して連結基を表し、T1、T2、及びT3は独立して末端基を表し、そしてa、b、及びcは独立して0又は1である)。
【0135】
より具体的には、L1、L2、及びL3のそれぞれは独立して、炭素原子数1〜4の置換型又は無置換型アルキレン(例えばメチレン、1,2-エチレン、1,1-エチレン、n-プロピレン、イソ-プロピレン、t-ブチレン、及びn-ブチレン基)、環内炭素原子5〜7個の置換型シクロアルキレン(例えばシクロペンチレン及び1,4-シクロヘキシレン)、芳香族環内炭素原子6〜10個の置換型又は無置換型アリーレン(例えば1,4-フェニレン、ナフチレン、2-メチル-1,4-フェニレン、及び4-クロロ-1,3-フェニレン基)、又は環内の炭素原子数5〜10及びヘテロ原子(窒素、酸素、又は硫黄原子)数1又は2以上の置換型又は無置換型の芳香族又は非芳香族二価複素環式基(例えばピリジレン、ピラジレン、ピリミジレン、又はチアゾリレン基)、又はこれらの二価連結基のうちの2つ又は3つ以上の基の任意の組み合わせである。或いは、L2及びL3は一緒に、炭素環又は複素環構造を形成するために必要な原子を表すこともできる。好ましくはL1は、炭素-水素単結合、又はメチレン、エチレン、又はフェニレン基であり、そしてL2及びL3は独立して、水素、メチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、又は環式-(CH2)2O(CH2CH2)-基である。
【0136】
T1、T2、及びT3は独立して末端基、例えば炭素原子数1〜10の置換型又は無置換型アルキル基(例えばメチル、エチル、イソ-プロピル、t-ブチル、メトキシメチル、フェニルメチル、ヒドロキシエチル、及びクロロエチル基)、炭素原子数2〜10の置換型又は無置換型アルケニル基(例えばエテニル及びヘキセニル基)、置換型又は無置換型アルキニル基(例えばエチニル及びオクチニル基)、環内炭素原子5〜7個の置換型又は無置換型シクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル基)、環内に炭素原子及び1つ又は2つ以上のヘテロ原子を有する置換型又は無置換型の複素環式基(芳香族及び非芳香族の両方)(例えばピリジル、ピラジル、ピリミジル、チアゾリル、及びインドリル基)、及び芳香族環内炭素原子6〜10個の置換型又は無置換型アリール基(例えばフェニル、ナフチル、3-メトキシフェニル、ベンジル、及び4-ブロモフェニル基)である。或いは、T2及びT3は一緒に、縮合環を含有することもできる環構造を形成するのに必要な原子を表す。
【0137】
加えて、aが0のときには、T3は水素ではない。
【0138】
上で定義したL1、L2、L3、T1、T2、及びT3基は、1つ又は2つ以上の置換基、例えば-OR11、-SR11、-CO-OR11、-OCOR11、-COR11、-SO2R11、-SO2R11、シアノ、ニトロ、ハロ、ホスフェート、ホスホネート、アミノ、アミド、イミド、スルホンアミド基で置換することができ、R11は、上記T1〜T3と同様に定義される。
【0139】
好ましくは、aは0であり、そしてb及びcはそれぞれ1である。より好ましくは、aは0であり、そしてT1は水素である。別のより好ましい態様の場合、T2及び/又はT3は、5又は6員複素環式基を含む。
【0140】
この改質フェノール樹脂バインダーは、フェノールモノマー単位を、アルデヒド基を含む第1化合物、及びアミン基を含む第2化合物と反応させることにより、調製することができる。有用な第1化合物は、米国特許出願公開第2005/0037280号明細書(上記)における化合物AL-01〜AL-20として挙げられている。好ましい態様の場合、第1化合物は、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はベンズアルデヒドである。
【0141】
有用なアミン化合物は、線状又は環状の第一又は第二アミン、例えば米国特許出願公開第2005/0037280号明細書(上記)における化合物AL-01〜AL-27として記載されたアミンである。好ましいアミン化合物は、モルホリン、エタノールアミン、及びベンジルアミンを含む。
【0142】
改質フェノール樹脂バインダーは、2つ以上のタイプの置換型構造(Q)基を含有することができる。異なる構造(Q)基は、ヒドロキシ含有ポリマーとの反応に際して、連続して、又は異なる第1化合物と第2化合物との混合物として内蔵することができる。構造(Q)基の量及びタイプは、結果として得られる改質フェノール樹脂バインダーのアルカリ性現像剤中の溶解度によってのみ制限される。外層内に存在する場合、改質フェノール樹脂バインダー反復単位の概ね少なくとも0.5モル%であって、且つ最大50モル%が、同じか又は異なる構造(Q)基を含む。好ましくは、構造(Q)基は、1〜40モル%で存在する。
【0143】
上記構造(Q)基は、改質フェノール樹脂バインダー中の支配的な置換基である。しかし、ポリマー鎖内の構造(Q)基のうちのいくつかが、例えば強酸(例えば硫酸又は塩酸)との反応、又はハロゲン化アルキルとの反応の結果として、四級化された形態で存在してもよい。
【0144】
改質フェノール樹脂バインダーは、外層内の唯一のバインダー材料であることが可能であるが、構造(Q)基を含まない1種又は2種以上の(無改質)フェノール樹脂バインダーと、構造(Q)基を含む上記1種又は2種以上の改質フェノール樹脂バインダーとの混合物を外層内に含むことも好ましい。種々のバインダー材料の量は、結果として得られる画像形成性要素内の所期特性を提供するように、容易に最適化することができる。
【0145】
外層は、上記フェノール樹脂に加えて、又はこの樹脂の代わりに、皮膜形成バインダー材料として非フェノール高分子材料を含むこともできる。このような非フェノール高分子材料は、無水マレイン酸と1種又は2種以上のスチレンモノマー(すなわち、スチレン、及びベンゼン環上に種々の置換基を有するスチレン誘導体)とから形成されたポリマー、メチルメタクリレートと1種又は2種以上のカルボキシ含有モノマーとから形成されたポリマー、及びこれらの混合物を含む。これらのポリマーは、上記モノマーから誘導される反復単位、並びに、追加の、しかし任意のモノマー[例えば(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、及び(メタ)アクリルアミド]から誘導される反復単位を含むことができる。
【0146】
無水マレイン酸から誘導されるポリマーは一般に、無水マレイン酸から誘導される1〜50モル%の反復単位と、その残余の、スチレンモノマーと任意選択的に追加の重合性モノマーとから誘導される反復単位とを含む。
【0147】
メチルメタクリレートとカルボキシ含有モノマーとから形成されたポリマーは一般に、メチルメタクリレートから誘導される80〜98モル%の反復単位を含む。カルボキシ含有反復単位は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、及び当業者に知られている同様のモノマーから誘導することができる。
【0148】
いくつかの、しかし全てではない態様において、外層はさらに、ベンゾキノンジアジド及び/又はナフトキノンジアジド部分を含むモノマー又はポリマー化合物を含む。ポリマー化合物は、例えば米国特許第5,705,308号明細書(West他)及び同第5,705,322号明細書(West他)に記載されているようなベンゾキノンジアジド及び/又はナフトキノンジアジド部分で誘導体化されたフェノール樹脂であることが可能である。このような化合物の混合物を使用することもできる。このタイプの有用な高分子化合物の例は、P-3000、ピロガロール/アセトン樹脂のナフトキノンジアジド(仏国、PCASから入手可能)である。ジアジド部分を含有するその他の有用な化合物が、例えば米国特許第6,294,311号明細書(上記)及び同第5,143,816号明細書(Mizutani他)に記載されている。
【0149】
ベンゾキノンジアジド及び/又はナフトキノンジアジド部分を有するモノマー又はポリマー化合物は、外層の総乾燥重量を基準として、概ね少なくとも5 %、好ましくは10〜50 %の量で外層内に存在することができる。
【0150】
外層は、アルカリ可溶性ポリマーのための溶解抑制成分として機能し得る着色剤である追加の化合物を含む。これらの着色剤は典型的には、高分子バインダー中の種々の基との水素結合のための受容体部位として作用すると考えられる極性官能基を有している。アルカリ現像剤中に可溶性の溶解抑制剤が好ましい。有用な極性基の一例としては、ジアゾ基、ジアゾニウム基、ケト基、スルホン酸エステル基、ホスフェートエステル基、トリアリールメタン基、オニウム基(例えばスルホニウム、インドニウム、及びホスホニウム基)、窒素原子が複素環内に内蔵されている基、及び正電荷原子を含有する基(例えば四級化アンモニウム基)が挙げられる。更なる詳細、及び代表的な着色剤は、例えば米国特許第6,294,311号明細書(上記)に記載されている。特に有用な着色剤は、トリアリールメタン色素、例えばエチルバイオレット、クリスタル・バイオレット、マラカイト・グリーン、ブリリアント・グリーン、ビクトリア・ブルーB、ビクトリア・ブルーR、及びビクトリア・ピュアブルーBOを含む。これらの化合物は、現像された画像形成性要素内の非画像形成領域を画像形成された領域から区別するコントラスト色素として作用することができる。
【0151】
着色剤が外層内に存在する場合には、その量は極めて多様であり得るが、しかし一般には、外層の総乾燥重量を基準として、少なくとも0.1重量%であって、且つ最大30重量%であり、そして好ましくは0.5〜15重量%の量で存在する。
【0152】
外層は任意選択的に、プリントアウト色素、界面活性剤、分散助剤、保湿剤、殺生物剤、粘度形成剤、乾燥剤、消泡剤、保存剤、及び抗酸化剤を含むこともできる。
【0153】
外層の乾燥塗布被覆率は一般に、0.2〜1 g/m2であり、そして好ましくは0.4〜0.7 g/m2である。
【0154】
好ましいものではないが、内層と外層との間に存在し、しかも内層及び外層と接触している分離層が設けられていてよい。この分離層は、内層から外層への輻射線吸収化合物の移動を最小化するためのバリヤとして作用することができる。この分離「バリヤ」層は一般に、アルカリ性現像剤中に可溶性の高分子材料を含む。この高分子材料が、内層内の高分子材料とは異なる場合、これは好ましくは、内層高分子材料が不溶性である少なくとも1種の有機溶剤中に可溶性である。このタイプの好ましい高分子材料は、ポリ(ビニルアルコール)である。一般に、このバリヤ層は内層の5分の1未満の厚さであるべきであり、そして好ましくは内層の10分の1未満の厚さであるべきである。
【0155】
画像形成性要素は、基板の表面(及びその上に設けられた任意のその他の親水性層)上に内層配合物を順次適用し、次いでコンベンショナルな塗布法又はラミネーション法を用いて、内層上に外層配合物を適用することによって調製することができる。内層配合物と外層配合物との混和を回避することが重要である。
【0156】
内層及び外層は、好適な塗布用溶剤中に所期成分を分散又は溶解させることにより適用することができ、そしてその結果生じた配合物は、好適な装置及び手順、例えばスピン塗布、ナイフ塗布、グラビア塗布、ダイ塗布、スロット塗布、バー塗布、ワイヤロッド塗布、ローラ塗布、又は押し出しホッパー塗布を用いて、基板に順次又は同時に適用される。配合物は、好適な支持体(例えば機上印刷シリンダ)上に噴霧することにより適用することもできる。
【0157】
内層及び外層の両方を塗布するために使用される溶剤は、配合物中の高分子材料及びその他の成分の性質に応じて選択される。外層配合物を適用するときに、内層配合物と外層配合物とが混ざり合うこと、又は内層が溶解することを防止するために、外層配合物は、内層の高分子材料が不溶性である溶剤から塗布されるべきである。一般に、内層配合物は、メチルエチルケトン(MEK)と、1-メトキシプロパン-2-オールと、γ〜ブチロラクトンと、水との溶剤混合物、ジエチルケトン(DEK)と、水と、乳酸メチルと、γ〜ブチロラクトンとの混合物、DEKと、水と、乳酸メチルとの混合物、又は乳酸メチルと、メタノールと、ジオキソランとの混合物から塗布される。外層配合物は一般に、DEK、又はDEKと1-メトキシ-2-プロピルアセテートとの混合物から塗布される。
【0158】
或いは、それぞれの層組成物の溶融混合物からコンベンショナルな押し出し塗布法によって内層及び外層を適用することもできる。典型的には、このような溶融混合物は、揮発性有機溶剤を含有しない。
【0159】
他の配合物の塗布前に溶剤を除去するために、種々の層配合物の適用間に、中間乾燥工程を用いることができる。乾燥工程は、種々の層の混和を防止するのを助けることもできる。
【0160】
本発明の多層画像形成性要素を調製する代表的な方法を下記例2及び3において示す。
【0161】
画像形成条件
本発明の単層及び多層画像形成性要素は、例えば印刷版前駆体、印刷シリンダ、印刷スリーブ、及び印刷テープ(可撓性印刷ウェブを含む)を含むいかなる有用な形態をも有することができる。好ましくは、画像形成性部材は、印刷版前駆体である。
【0162】
印刷版前駆体は、好適な基板上に配置された必要な画像形成層を有する、任意の有用なサイズ及び形状(例えば正方形又は長方形)から成ることができる。印刷シリンダ及びスリーブは、円筒形態の基板と画像形成層とを有する回転印刷部材として知られる。印刷スリーブのための基板として、中空又は中実の金属コアを使用することができる。
【0163】
使用中、単層及び多層画像形成性要素は、輻射線感光性組成物中に存在する輻射線吸収化合物に応じて、波長300〜1400 nmの輻射線、例えばUV、可視線、又は赤外線の好適な源に暴露される。好ましくは、画像形成は、波長700〜1200 nmの赤外線レーザーを使用して行われる。本発明の画像形成部材に露光を施すために使用されるレーザーは、ダイオード・レーザー・システムの信頼性及びメンテナンスの手間の少なさにより、好ましくはダイオード・レーザーであるが、しかし他のレーザー、例えば気体又は固体レーザーを使用することもできる。レーザー画像形成のための出力、強度、及び露光時間の組み合わせは、当業者には容易に明らかである。目下、商業的に入手可能な画像セッターにおいて使用される高性能レーザー又はレーザーダイオードは、波長800〜850 nm又は1060〜1120 nmの赤外線を放射する。
【0164】
画像形成装置は、プレートセッターとしてだけ機能することができ、或いは、平版印刷機内にこれを直接的に内蔵することもできる。後者の場合、印刷は画像形成直後に開始することができ、これにより印刷機設定時間をかなり軽減することができる。画像形成装置は、画像形成性部材をドラムの内側又は外側の円筒面に装着した状態で、平床型記録器として、又はドラム型記録器として構成することができる。有用な画像形成装置は、波長約830 nmの近赤外線を発光するレーザーダイオードを含有する、Eastman Kodak Company (カナダ国ブリティッシュコロンビア州Burnaby)から入手可能なCreo Trendsetter(登録商標)画像セッターのモデルとして入手することができる。他の好適な輻射線源は、波長1064 nmで作動するCrescent 42T プレートセッター(イリノイ州Chicago在、Gerber Scientificから入手可能)、及びScreen PlateRite 4300シリーズ又は8600シリーズのプレートセッター(イリノイ州Chicago在、Screenから入手可能)を含む。追加の有用な輻射線源は、要素が印刷版シリンダに取り付けられている間に要素に画像を形成するために使用することができるダイレクト画像形成印刷機を含む。好適なダイレクト画像形成印刷機の例は、Heidelberg SM74-DIプレス(オハイオ州Dayton在、Heidelbergから入手可能)を含む。
【0165】
画像形成スピードは、50〜1500 mJ/cm2の範囲、そしてより具体的には75〜400 mJ/cm2の範囲内にあってよい。
【0166】
本発明の実施においてはレーザー画像形成が好ましいが、熱エネルギーを像様に提供する任意の他の手段によって画像形成を行うこともできる。例えば米国特許第5,488,025号明細書(Martin他)に記載された「サーマル印刷」として知られているものにおいて熱抵抗ヘッド(サーマル印刷ヘッド)を使用して画像形成を達成することができる。サーマル印刷ヘッドは商業的に利用可能である(例えばFujitsu Thermal Head FTP-040 MCS001、及びTDK Thermal Head F415 HH7-1089)。
【0167】
画像形成は一般に、ダイレクトデジタル画像形成によって実施される。画像信号は、コンピュータ上のビットマップ・データ・ファイルとして記憶される。このようなファイルは、ラスター画像プロセッサー(RIP)、又はその他の好適な手段によって生成することができる。ビットマップは、カラーの色相、並びにスクリーンの頻度及び角度を定義するために構成される。
【0168】
画像形成性要素に画像を形成することにより、画像形成された(露光された)領域と非画像形成(非露光)領域とから成る潜像を含む画像形成された要素を生成する。好適なアルカリ性現像剤を用いて画像形成された要素を現像することによって、最外層及びその下側の層(内層を含む)の露光された領域を除去し、そして基板の親水性表面を露出させる。従って、このような画像形成性要素は「ポジ型」(例えば「ポジ型」平版印刷版前駆体)である。親水性表面の露光された(又は画像形成された)領域はインクを弾くのに対して、外層の非露光(又は非画像形成)領域はインクを受容する。
【0169】
非露光(又は非画像形成)領域が除去され、そして画像形成された(露光された)領域が残される場合、その画像形成性要素は「ネガ型」である。
【0170】
ポジ型要素に関してより具体的には、現像は、外層及び下側の層の画像形成された(露光された)領域を除去するのに十分な時間にわたって、しかし外層の非画像形成(非露光)領域を除去するほどには長くない時間にわたって実施される。従って、外層の画像形成された(露光された)領域は、アルカリ性現像剤中で「可溶性」又は「除去可能」と記述される。なぜならば、これらの領域は、外層の非画像形成(非露光)領域よりも容易に、アルカリ性現像剤中で除去、溶解又は分散されるからである。従って「可溶性」という用語は、「分散性」であることをも意味する。
【0171】
画像形成された要素は、一般に、コンベンショナルな処理条件を用いて現像される。水性アルカリ性現像剤及び溶剤系アルカリ性現像剤の両方を使用することができ、後者のタイプのアルカリ性現像剤が好ましい。
【0172】
水性アルカリ性現像剤は一般に、少なくとも7のpH、そして好ましくは少なくとも11のpHを有する。現像剤のpHは高いほど、単層要素を処理するのに概ね最善である。有用なアルカリ性現像剤は、3000 Developer、9000 Developer、GOLDSTAR Developer、GREENSTAR Developer、ThermalPro Developer、PROTHERM Developer、MX1813 Developer、及びMX1710 Developer(全てEastman Kodak Companyの子会社であるKodak Polychrome Graphicsから入手可能)を含む。これらの組成物はまた一般に、界面活性剤、キレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸の塩)、及びアルカリ成分(例えば無機メタケイ酸塩、有機メタケイ酸塩、水酸化物、及び重炭酸塩)を含む。
【0173】
溶剤系アルカリ性現像剤は一般に、水と混和可能な1種又は2種以上の有機溶剤の単一相溶液である。有用な有機溶剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとのフェノールの反応生成物[例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)]、ベンジルアルコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールの炭素原子数6以下の酸とのエステル、及び炭素原子数6以下のアルキル基を有する、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びプロピレングリコールのエーテル、例えば2-エチルエタノール、及び2-ブトキシエタノールを含む。有機溶剤は一般に、現像剤総重量を基準として0.5〜15 %の量で存在する。
【0174】
代表的な溶剤系アルカリ性現像剤は、ND-1 Developer、955 Developer、及び956 Developer(Eastman Kodak Companyの子会社であるKodak Polychrome Graphicsから入手可能)を含む。
【0175】
一般に、アルカリ性現像剤は、現像剤を含有するアプリケーターで外層を擦るか又は拭うことにより、画像形成された要素に適用される。或いは、画像形成された要素は、現像剤をブラシ塗布することもでき、又は露光された領域を除去するのに十分な力で外層に噴霧することにより、現像剤を適用することができる。この場合もやはり、現像剤中に画像形成された要素を浸漬することができる。全ての事例において、印刷室化学薬品に対して優れた耐性を有する現像された画像が、特に平版印刷版において生成される。
【0176】
現像に続いて、画像形成された要素は水で濯ぎ、そして好適な様式で乾燥させることができる。乾燥させた要素は、コンベンショナルなガミング溶液(好ましくはアラビアゴム)で処理することもできる。
【0177】
画像形成され、現像された要素は、結果として得られる画像形成された要素の連続運転時間を長くするために実施することができるポストベーキング作業において、ベーキングすることもできる。ベーキングは、例えば7〜10分間にわたって220℃〜240℃、又は30分間にわたって120℃で実施することができる。
【0178】
画像形成された要素の印刷面に平版・インク及びファウンテン溶液を適用することにより、印刷を実施することができる。インクは、外層の非画像形成(非露光又は非除去)領域によって取り込まれ、そしてファウンテン溶液は、画像形成・現像プロセスによって露出された基板の親水性表面によって取り込まれる。インクは次いで、その上に画像の所望の刷りを提供するために、好適な受容材料(例えば布地、紙、金属、ガラス、又はプラスチック)に転写される。所望の場合、画像形成された部材から受容材料へインクを転写するために、中間「ブランケット」ローラを使用することができる。画像形成された部材は、所望の場合には、コンベンショナルなクリーニング手段及び化学薬品を使用して、刷りの間にクリーニングすることができる。
【実施例】
【0179】
下記例は、本発明の実施を例示するために提供されるものであって、本発明を限定しようと意図するものでは決してない。
【0180】
例及び分析法において使用された成分及び材料は下記の通りであった:
MEKは、メチルエチルケトンである。
DEKは、ジエチルケトンである。
DAAは、ジアセトンアルコールである。
【0181】
BLOは、γ-ブチロラクトンである。
BCは、2-ブトキシエタノール(Butyl CELLOSOLVE(登録商標))である。
PGMEは、1-メトキシプロパ-2-オールである(Dowanol PM)である。
956 Developerは、有機溶剤系(フェノキシエタノール)アルカリ性現像剤(米国コネチカット州Norwalk在Kodak Polychrome Graphics、Eastman Kodak Companyの子会社)
Goldstar Plus Developerは、Kodak Polychrome Graphicsから入手可能なメタシリケート含有現像剤である。
【0182】
IR色素Aは、Eastman Kodak Companyから得られ、そして下記式によって表される。
【0183】
【化8】

【0184】
IR色素Bは、下記式によって表される。
【0185】
【化9】

【0186】
エチルバイオレットは、式(p-(CH3CH2)2NC6H4)3C+Cl-を有するC.I.42600(CAS 2390-59-2、λmax=596 nm)である(米国ウィスコンシン州Milwaukee在、Aldrich Chemical Company)。
【0187】
BASONYLバイオレットは、588 nmにおいてλmaxを有するベーシック・バイオレット3である(Aldrich Chemical Co.)。
P3000は、1,2-ナフタキノン-5-スルホニルクロリドとピロガロールアセトン凝縮物との反応生成物である(仏国Longjumeau、PCAS)。
【0188】
PD-140は、クレゾール/ホルムアルデヒド・ノボラック樹脂(75:25 m-クレゾール/p-クレゾール)である(米国オハイオ州Borden Chemical)。
LB 6564は、フェノール/クレゾール・ノボラック樹脂である(ウィスコンシン州Sheboygan在Rutgers-Plenco LLCから入手)。
【0189】
PD 494は、m/p-クレゾール・ノボラック樹脂である(Borden Chemicalから入手)。
Durez 33816は、クレゾール系ノボラック樹脂である(ニューヨーク州Grand Island在Durez-Sumitomoから入手)。
Byk(登録商標)307は、25重量%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液中の、Byk Chemie(コネチカット州Wallingford)から入手可能なポリエトキシル化ジメチルポリシロキサン・コポリマーである。
XDSAは、4,6-ジメチル-N,N'-ジフェニル-1,3-ベンゼンジスルホンアミドである。
【0190】
KP654bは、2-[2-[2-クロロ-3-[(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドル-2-イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムブロミドである(ニュージャージー州Morristown在Honeywell Specialty Chemicalsから入手)。
Silikophen P50Xは、フェニルメチルポリシロキサンである(独国Essen在Tego Chemie Serviceから入手)。
【0191】
下記ポリマーを調製し、そして下記例において使用した:
ポリマーAの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、0.2 g)、N-フェニルマレイミド(PMI、6g)、アクリロニトリル(8 g)、メタクリルアミド(3 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(3 g)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、80 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で6時間にわたって撹拌した。室温で72時間にわたって静置させたあと、AIBN(0.1 g)を添加し、そして反応混合物を加熱して60℃まで戻し、そしてさらに5時間にわたって撹拌した。反応溶液をn-プロパノール(400 ml)中にゆっくりと滴下し、そして沈殿物を形成した。濾過及び洗浄を、さらに200 mlのn-プロパノールで実施した。濾過及び50℃未満における乾燥の後、18.0 gの粘着性固形(ポリマーA)を得、この固形物を更なる使用のために、82 gのDMAC中に溶解した。
【0192】
ポリマーBの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.4 g)、PMI(16 g)、アクリロニトリル(20 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(4 g)、及びDMAC(80 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で6時間にわたって撹拌し、その後、AIBN(0.1 g)を添加し、そして反応を一晩続けた。反応混合物は27 %のポリマーBを含有し、このポリマーBを、塗布用配合物中に直接的に使用した。
【0193】
ポリマーC-1(非粉末)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.25 g)、PMI(6 g)、アクリロニトリル(9.6 g)、メタクリル酸(2.4 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(2 g)、及びDMAC(80 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で6時間にわたって撹拌し、その後、AIBN(0.1 g)を添加し、そして反応を一晩続けた。反応混合物は18 %のポリマーC-1を含有し、このポリマーC-1を、塗布用配合物中に直接的に使用した。
【0194】
ポリマーC-2(粉末)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた500-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.75 g)、PMI(18 g)、アクリロニトリル(28.8 g)、メタクリル酸(7.2 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(6 g)、及びDMAC(240 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で6時間にわたって撹拌し、その後、AIBN(0.2 g)を添加し、そして反応を一晩続けた。反応混合物は20 %のポリマーCを含有し、これを2000 mのn-プロパノール中にゆっくりと滴下し、そして沈殿物を形成した。濾過及び洗浄を、さらに400 mlのn-プロパノールで実施した。濾過及び50℃未満における乾燥の後、31 gの固形ポリマーC-2を得た。
【0195】
ポリマーDの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.4 g)、PMI(12 g)、アクリロニトリル(24 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(4 g)、及びDMAC(80 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で6時間にわたって撹拌し、その後、AIBN(0.1 g)を添加し、そして反応を一晩続けた。反応混合物は26 %のポリマーDを含有し、このポリマーDを、塗布用配合物中に直接的に使用した。
【0196】
ポリマーEの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.5 g)、PMI(22.5 g)、メタクリルアミド(3 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(4.5 g)、及びDMAC(70 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で6時間にわたって撹拌した。反応混合物は30 %のポリマーEを含有し、このポリマーEを、塗布用配合物中に直接的に使用した。
【0197】
ポリマーFの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.4 g)、PMI(10.5 g)、アクリロニトリル(15 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(4.5 g)、及びDMAC(70 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で6時間にわたって撹拌し、その後、AIBN(0.1 g)を添加し、そして反応を一晩続けた。反応混合物は30 %のポリマーFを含有し、このポリマーFを、塗布用配合物中に直接的に使用した。
【0198】
ポリマーGの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.25 g)、PMI(6 g)、アクリロニトリル(9.6 g)、メタクリルアミド(1.4 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(3 g)、及びDMAC(80 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で6時間にわたって撹拌し、その後、AIBN(0.1 g)を添加し、そして反応を一晩続けた。反応混合物は19 %のポリマーGを含有し、このポリマーGを、塗布用配合物中に直接的に使用した。
【0199】
ポリマーHの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.25 g)、PMI(7 g)、メタクリル酸(2.4 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(1 g)、及びDMAC(80 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてアクリロニトリル(9.6 g)を4部分に分けて3時間にわたってフラスコに添加し、その後AIBN(0.1 g)を添加し、そして混合物をN2保護下で一晩にわたって撹拌した。反応混合物は18 %のポリマーHを含有し、このポリマーHを、塗布用配合物中に直接的に使用した。
【0200】
ポリマーIの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.25 g)、PMI(7 g)、アクリロニトリル(10 g)、メタクリル酸(3 g)、及びDMAC(80 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で撹拌した。19.1 %の固形分を測定した。溶液を1リットルの水中に沈殿させ、そして固形分を濾過し、5時間にわたって50℃で乾燥させた。ポリマーI(17 g)を得た。
【0201】
ポリマーJの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.4 g)、PMI(14 g)、メタクリル酸(3 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(3 g)、及びDMAC(60 g)を入れた。この混合物を80℃まで加熱し、そしてN2保護下で撹拌した。20.1 %の固形分を測定した。溶液を1リットルの水中に沈殿させ、そして固形分を濾過し、5時間にわたって50℃で乾燥させた。ポリマーJ(18 g)を得た。
【0202】
ポリマーKの合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2インレットを備えた250-mlの3口フラスコ内に、AIBN(0.4 g)、アクリロニトリル(18 g)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート(2 g)、及びDMAC(80 g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で一晩にわたって撹拌した。反応混合物は20 %のポリマーKを含有し、このポリマーKを、塗布用配合物中に直接的に使用した。
【0203】
中間体Iの合成:
加熱マントル、温度調節器、磁気撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた500 mlの2口ガラス・フラスコに、DMAC(115.7 g)及び1-アダマンタンアミン(25 g、0.1653当量)を添加した。溶液が透明になるまで、反応混合物を90℃まで加熱した。次いでこれを室温まで冷却し、そして24.36 gのイソシアナトエチルメタクリレート(IEM、0.1570当量)を、30分間にわたって液滴状に添加した。反応物を46℃まで発熱させ、そして10分後にこれを35℃まで冷却した。次いで反応混合物をさらに1時間にわたって撹拌した。2275cm-1におけるIR分光分析を用いて、イソシアネート基の消失によって、反応の完了を見極めた(UR4446)。プロトンNMR(DMSO-d6中):δ(ppm) 1.50-2.00(18H, m), 3.19(2H,四重), 3.98(2H, t), 5.60(1H, s), 5.65(1H, s), 5.77(1H, t)、及び6.02(1H, s)。NMRスペクトルはまた、1.92、2.74、及び2.90 ppmで溶剤ジメチルアセトアミドからのピークを示した。
【0204】
ポリマーLの合成:
加熱マントル、温度調節器、機械的撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた500 mlの4口磨りガラス・フラスコに、DMAC(172.66 g)、中間体I(11 g、30% NV)、アクリロニトリル(6 g)、PMI(1.5 g)、メタクリル酸(1.2 g)、及びAIBN(0.125 g、Dupont de Nemours Coから入手したVazo-64)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いで、中間体I(34 g、30% NV)、アクリロニトリル(18 g)、N-PMI(6 g)、メタクリル酸(3.8 g)、及びAIBN(0.25 g、Vazo-64)を含有する予混合物を、80℃で2時間にわたって添加した。添加後、0.4 gのAIBNを添加した。反応をさらに14時間、80℃で続け、そして処理中にさらに0.4 gのAIBNを添加した。ポリマー変換率は、不揮発分パーセントの測定に基づいて>98 %であった。20.1 %の不揮発分における溶液粘度は、「A」(G.H'33)、ほぼ50 cpsであった。Silverston(Model # L4RT-A)から入手した6000RPMの多目的高剪断実験室用混合装置によって、4500 gの水及び1500 gの氷を使用して、樹脂溶液を粉末形態で沈殿させた。溶液を次いで濾過し、そして生成物ポリマーLを、40℃の乾燥炉(ペンシルヴェニア州在InterMetro Industries Corporationから入手)を使用して乾燥させた。最終ポリマー酸価は、65.0 mg/KOHであった。モノマーの中間体I/アクリロニトリル/N-フェニルマレイミド/メタクリル酸の重量比は、27/48/15/10であった。ポリマーLの構造を下に概略的に示す。
【0205】
【化10】

【0206】
ポリマーMの合成:
加熱マントル、温度調節器、機械的撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた500 mlの4口磨りガラス・フラスコに、DMAC(170.5 g)、中間体I(5.5 g、30% NV)、アクリロニトリル(5.25 g)、PMI(2.5 g)、メタクリル酸(1.25 g)、及びAIBN(0.125 g、Vazo-64)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いで、中間体I(34 g、30% NV)、アクリロニトリル(15 g)、PMI(7.5 g)、メタクリル酸(5 g)、及びAIBN(0.25 g、Vazo-64)を含有する予混合物を、80℃で2時間にわたって添加した。添加が終わった後、0.4 gのAIBNを添加し、そして反応をさらに14時間、80℃で続けた。反応時間中、AIBN(0.4 g)をさらに2回添加した。ポリマー変換率は、不揮発分パーセントの測定に基づいて>98 %であった。20.0 %の不揮発分における溶液粘度は、「A」(G.H'33)、ほぼ50 cpsであった。Silverstonから入手した6000RPMの多目的高剪断実験室用混合装置(Model # L4RT-A)によって、4500 gの水及び1500 gの氷を使用して、樹脂溶液を粉末形態で沈殿させた。溶液を次いで濾過し、そして固形生成物を、40℃の乾燥炉を使用して乾燥させた。ポリマー生成物の最終酸価は、80.70 mg/KOHであった。中間体I/アクリロニトリル/N-フェニルマレイミド/メタクリル酸の重量比は、27/40.5/20/12.5であった。
【0207】
ポリマーNの合成:
加熱マントル、温度調節器、機械的撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた500 mlの4口磨りガラス・フラスコに、DMAC(170.5 g)、中間体I(5.5 g、30% NV)、アクリロニトリル(6.0 g)、PMI(3.25 g)、メタクリル酸(1.25 g)、及びAIBN(0.125 g、Vazo-64)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いで、中間体I(34.0 g、30% NV)、アクリロニトリル(18 g)、PMI(9.75 g)、メタクリル酸(5.0 g)、及びAIBN(0.25 g、Vazo-64)を含有する予混合物を、80℃で2時間にわたって添加した。添加が終わった後、0.4 gのAIBNを添加した。反応をさらに14時間、80℃で続け、反応時間中、AIBN(0.5 g)を添加した。ポリマー変換率は、不揮発分パーセントの測定に基づいて>98 %であった。20.0 %の不揮発分における溶液粘度は、「A」(G.H'33)、ほぼ50 cpsであった。Silverstonから入手した6000RPMの多目的高剪断実験室用混合装置(Model # L4RT-A)によって、4500 gの水及び1500 gの氷を使用して、樹脂溶液を粉末形態で沈殿させた。溶液を次いで濾過し、そして固形生成物を、40℃の乾燥炉を使用して乾燥させた。最終ポリマー酸価は、80.70 mg/KOHであった。中間体I/アクリロニトリル/N-フェニルマレイミド/メタクリル酸の重量比は、13.5/48/26/12.5であった。
【0208】
中間体IIの合成:
加熱マントル、温度調節器、機械的撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた250 mlの3口磨りガラス・フラスコに、DMAC(115.4 g)、1-アダマンタノール(25 g、0.1642当量)、ジブチル錫ジラウレート(0.25 g)、及びメトキシフェノール(0.10 g)を添加した。反応混合物を60℃まで加熱した。その結果生じた溶液は透明であった。次いで、イソシアナトエチルメタクリレート(24.20 g、0.1560当量)を、60分間にわたって液滴状に添加した。反応混合物をさらに8時間にわたって65℃で撹拌した。2275cm-1におけるIR分光分析を用いて、イソシアネート基の消失によって、反応の完了を見極めた。プロトンNMR(DMSO-d6中):δ(ppm) 1.40-2.10(18H, m), 3.16(2H,四重), 4.01(2H, t), 5.63(1H, s), 6.02(1H, s)、及び6.98(1H, t)。NMRスペクトルはまた、1.92、2.74、及び2.90 ppmで溶剤DMACからのピークを示した。
【0209】
ポリマーOの合成:
加熱マントル、温度調節器、機械的撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた500 mlの4口磨りガラス・フラスコに、DMAC(170.5 g)、中間体II(11.0 g、30% NV)、アクリロニトリル(5.25 g)、PMI(2.5 g)、メタクリル酸(1.25 g)、及びAIBN(0.125 g、Vazo-64)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いで、中間体II(34.0 g、30% NV)、アクリロニトリル(15.0 g)、PMI(7.5 g)、メタクリル酸(5.0 g)、及びAIBN(0.25 g、Vazo-64)の予混合物を、80℃で2時間にわたって添加し、添加後、AIBN(0.4 g)を添加した。反応をさらに14時間、80℃で続け、そして処理中にAIBN(0.70 g)を添加した。ポリマー変換率は、不揮発分パーセントの測定に基づいて>98 %であった。20.0 %の不揮発分における溶液粘度は、「A」(G.H'33)、ほぼ50 cpsであった。Silverston(Model # L4RT-A)から入手した6000RPMの多目的高剪断実験室用混合装置によって、4500 gの水及び1500 gの氷を使用して、樹脂溶液を粉末形態で沈殿させた。溶液を次いで濾過し、そして生成物を、40℃の乾燥炉を使用して乾燥させた。最終ポリマー酸価は、80.7 mg/KOHであった。中間体II/アクリロニトリル/N-フェニルマレイミド/メタクリル酸の重量比は、27/40.5/20/12.5であった。ポリマーを下に概略的に示す。
【0210】
【化11】

【0211】
ポリマーPの合成:
加熱マントル、温度調節器、機械的撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた500 mlの4口磨りガラス・フラスコに、DMAC(170.5 g)、中間体II(5.5 g、30% NV)、アクリロニトリル(6.0 g)、PMI(3.25 g)、メタクリル酸(1.25 g)、及びAIBN(0.125 g、Vazo-64)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いで、中間体II(17.0 g、30% NV)、アクリロニトリル(18.0 g)、PMI(9.75 g)、メタクリル酸(5.0 g)、及びAIBN(0.25 g、Vazo-64)の予混合物を、80℃で2時間にわたって添加し、添加後、AIBN(0.4 g)を添加した。反応をさらに14時間、80℃で続け、そして処理中にAIBN(0.35 g)を添加した。ポリマー変換率は、不揮発分パーセントの測定に基づいて>98 %であった。20.0 %の不揮発分における溶液粘度は、「A」(G.H'33)、ほぼ50 cpsであった。Silverston(Model # L4RT-A)から入手した6000RPMの多目的高剪断実験室用混合装置によって、4500 gの水及び1500 gの氷を使用して、樹脂溶液を粉末形態で沈殿させた。溶液を次いで濾過し、そして生成物を、40℃の乾燥炉を使用して乾燥させた。最終ポリマー酸価は、80.7 mg/KOHであった。中間体II/アクリロニトリル/N-フェニルマレイミド/メタクリル酸の重量比は、13.5/48/26/12.5であった。
【0212】
中間体IIIの合成:
加熱マントル、温度調節器、機械的撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた250 mlの3口磨りガラス・フラスコに、DMAC(103.4 g)、及びt-ブチルアミン(14.83 g、0.2当量)を装入した。イソシアナトエチルメタクリレート(29.5 g、0.19当量)を、30分間にわたって室温で液滴状に添加した。反応物を37℃まで発熱させ、そして10分後にこれを40℃まで冷却した。反応混合物をさらに1時間にわたって撹拌した。2275cm-1におけるIR分光分析を用いて、イソシアネート基の消失によって、反応の完了を見極めた。
【0213】
ポリマーQの合成:
加熱マントル、温度調節器、機械的撹拌器、凝縮器、均圧添加漏斗、及び窒素インレットを備えた500 mlの4口磨りガラス・フラスコに、DMAC(170.5 g)、中間体III(11.0 g、30% NV)、アクリロニトリル(5.25 g)、PMI(2.5 g)、メタクリル酸(1.25 g)、及びAIBN(0.125 g、Vazo-64)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いで、中間体III(34.0 g、30% NV)、アクリロニトリル(15.0 g)、PMI(7.5 g)、メタクリル酸(5.0 g)、及びAIBN(0.25 g、Vazo-64)の予混合物を、80℃で2時間にわたって添加し、添加が終わった後、AIBN(0.4 g)を再び添加した。反応をさらに14時間、80℃で続け、そして処理中にAIBN(1.2 g)を再び添加した。ポリマー変換率は、不揮発分パーセントの測定に基づいて98 %であった。20.0 %の不揮発分における溶液粘度は、「A」(G.H'33)、ほぼ50 cpsであった。Silverston(Model # L4RT-A)から入手した4000RPMの多目的高剪断実験室用混合装置によって、4500 gの水及び1500 gの氷を使用して、樹脂溶液を粉末形態で沈殿させた。溶液を次いで濾過し、そして生成物を、40℃の乾燥炉を使用して乾燥させた。最終ポリマー酸価は、80.7 mg/KOHであった。中間体III/アクリロニトリル/N-フェニルマレイミド/メタクリル酸の重量比は、27/40.5/20/12.5であった。ポリマーを下に概略的に示す。
【0214】
【化12】

【0215】
例1: ポジ型単層画像形成性要素
下記表Iに示す配合物1、2、3、4、5a及び5bの成分を溶剤中に溶解することにより、単層画像形成性要素を調製した。比較のために、配合物1、2及び3は10 %耐溶剤性バインダー(ポリマーA-C)を含有するのに対して、配合物4、5a及び5bはこれらのバインダーを含まなかった。
【0216】
【表1】

【0217】
Meyerバーによって、全ての要素上に乾燥塗布重量1.50 g/m2を得るように、研磨及び陽極酸化を施された同じバッチのアルミニウム上に全ての配合物を塗布した。50秒間にわたって123℃の温度で乾燥させることにより、溶剤を除去した。画像形成要素を塗布して乾燥させた後、温度55℃及び相対湿度80 %RHで72時間にわたってこれらを状態制御した。
【0218】
条件調節後、CREO Trendsetter 3244(カナダ国ブリティッシュコロンビア州Burnaby在、Creo Inc.)を使用して、画像形成性要素に画像を形成し、これに続いて、商業的に入手可能なGoldstar Plus現像剤を含有するMercury of the Americas処理装置(Kodak Polychrome Graphics)内で、750 mm/分の処理速度において23℃で現像を施した。
【0219】
画像形成性要素のデジタル画像形成スピード及び耐溶剤性を、以下の方法を用いて測定した。結果を下記表IIに要約する。
【0220】
版のデジタル画像形成スピードは、D196濃度計(スイス国Regensdorf在Gretag MacBeth)を使用して測定して、50%格子縞パターンの領域をクリーンアウトするのに必要とされる露光レベル(mJ/cm2で測定)として定義された。
【0221】
濃縮ファウンテン溶液中に8時間浸す前及び後の、ベタ領域のΔOD(Δ光学濃度)を読み取ることにより、耐溶剤性を測定した。濃縮ファウンテン溶液は、6 %のAstro Mark 3ファウンテン添加剤(日本国東京在Nikken Chemical Ltd.)、10 %のイソ-プロピルアルコール(ミズーリ州、St Louis在Sigma-Aldrich)、及び逆浸透によって精製された84 %の水から成った。
【0222】
【表2】

【0223】
その結果は、配合物1〜3中にポリマーA、B、及びCの3種全てを使用することにより、結果として得られた塗膜の耐化学薬品性が改善された(すなわち、ファウンテン溶液中に浸す前及び後のODの変化が僅かであった)ことを示す。
【0224】
例2: ポジ型多層画像形成性要素
多層画像形成性要素を下記のように調製した:
下(内)層:BLO(9.27 g)、PGME(13.9 g)、MEK(60.26 g)、及び水(9.27 g)の溶剤混合物中に本発明のポリマー(6.0137 g、表III)を溶解することにより、塗布用配合物を調製した。この溶液にIR色素A(1.06 g)を添加し、続いてBYK(登録商標)307(0.211 g)を添加した。その結果生じた溶液を、1.5 g/m2乾燥塗布重量を達成するようにアルミニウム基板上に塗布した。
【0225】
上(外)層:P-3000(1.5025 g)、PD-140(3.4685 g)、エチルバイオレット(0.014 g)、DEK(85.38 g)中のBYK(登録商標)307(0.149 g)、及びアセトン(9.48 g)から成る塗布用配合物を、乾燥塗布重量0.5 g/m2を提供するように、下(内)層上に塗布した。
【0226】
種々の露光エネルギー80〜140 mJ/cm2を用いて830 nmで発光するレーザーダイオード・アレイを有するコンベンショナルなCREO Trendsetter 3244(カナダ国ブリティッシュコロンビア州Burnaby在Creo Products)上で、画像形成性要素に熱画像形成を施した。露光された要素を、956 Developer(米国コネチカット州Norwalk在Kodak Polychrome Graphics)を使用して現像した。露光された領域を、親水性基板を露出するように除去した。
【0227】
ポリマーA、C-1、C-2、及びHを含有する要素は、現像後に<120 mJ/cm2の露光で良好な画像を示した。「現像剤クリーン時間」(すなわち、現像剤が適用されたときに、存在する外層を有さない内層を完全又は十分に除去するための時間)も観察した。
【0228】
内層内に種々のポリマーを含有する要素の耐溶剤性及び熱ベーカビリティを、下記方法によって測定し、そしてこれらの結果を表IIIに要約した。
【0229】
(a) BC滴下試験:ブチロセロソルブ(水中80 %)溶液を、最大15分間の規則的なインターバルを置いて、内層表面上に滴下した。使用される格付けは:優(15分まで明らかな塗膜損傷なし)、良(10分まで明らかな塗膜損傷なし)、及び不良(5分で明らかな塗膜損傷有り)、であった。
【0230】
(b) DAA滴下試験:ジアセトンアルコール(水中80 %)溶液を、最大15分間の規則的なインターバルを置いて、内層表面上に滴下した。使用される格付けは:優(15分まで明らかな塗膜損傷なし)、良(10分まで明らかな塗膜損傷なし)、及び不良(5分で明らかな塗膜損傷有り)、であった。
【0231】
(c) 熱ベーカビリティ試験:230℃で8分間にわたってベーキングされた内層表面上に、PS版画像リムーバーPE-35(日本国在DICから入手)を、最大5分間の規則的なインターバルを置いて適用した。使用される格付けは:優(5分まで明らかな塗膜損傷なし)、良(1分まで明らかな塗膜損傷なし)、及び不良(1分で明らかな塗膜損傷有り)、であった。
【0232】
【表3】

【0233】
これらの結果は、エチレングリコールメタクリレートホスフェートとアクリロニトリルとから誘導される反復単位を含有するポリマーが、改善された耐溶剤性及び熱ベーカビリティを提供したことを示す。3つの特性、現像性、耐化学薬品性、及び熱ベーカビリティの全てを一緒にして考えると、ポリマーC-1及びC-2は、内層内に使用するための最善のポリマーであった。
【0234】
例3: ポジ型多層画像形成性要素
多層画像形成性要素を下記のように調製した:
下(内)層:BLO(9.27 g)、PGME(13.9 g)、MEK(60.26 g)、及び水(9.27 g)の溶剤混合物中に本発明のポリマー(6.0137 g、表IV)を溶解することにより、塗布用配合物を調製した。この溶液にIR色素A(1.06 g)を添加し、続いてBYK(登録商標)307(0.211 g)を添加した。その結果生じた溶液を、1.5 g/m2乾燥塗布重量を達成するようにアルミニウム・平版基板上に塗布した。
【0235】
上(外)層:P-3000(1.5025 g)、PD-140(3.4685 g)、エチルバイオレット(0.014 g)、DEK(85.38 g)中のBYK(登録商標)307(0.149 g)、及びアセトン(9.48 g)から成る塗布用配合物を、乾燥塗布重量0.5 g/m2を提供するように、上記の下(内)層上に塗布した。
【0236】
種々の露光エネルギー100〜200 mJ/cm2を用いて830 nmで発光するレーザーダイオード・アレイを有するCREO Trendsetter 3244(カナダ国ブリティッシュコロンビア州Burnaby在Creo Products)上で、結果として生じた画像形成性要素に熱画像形成を施した。露光された要素を、956 Developer(米国コネチカット州Norwalk在Kodak Polychrome Graphics)を使用して現像した。露光された領域を、親水性基板を露出するように除去した。
【0237】
ポリマーL、M、N、O、P、及びQを含有する要素は、現像後に140〜180 mJ/cm2の露光で良好な画像を提供した。「現像剤クリーン時間」(すなわち、現像剤が適用されたときに、存在する外層を有さない内層を完全又は十分に除去するための時間)も観察した。
【0238】
ポリマーL-Qを含有する要素の耐溶剤性及び熱ベーカビリティの特性を、下記方法によって測定し、そしてこれらの結果を下記表IVに要約した。上記例2に記載したように、試験を実施した。
【0239】
【表4】

【0240】
これらの結果は、ペンダントアダマンチル基を含有するポリマーを使用することにより、所期熱ベーカビリティを維持しつつ、改善された耐化学薬品性を提供したことを示す。
【0241】
例4: ネガ型多層画像形成性要素
0.58 gのポリマーN、0.69gのウレタンアクリレート(UR 3447、Desmodur 100を、ヒドロキシエチルアクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレートと反応させることにより調製)、0.12 gのSartomer 355(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、Sartomer Co., Inc.)、0.068 gの2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-2-トリアジン、0.036 gのN-フェニルイミノ二酢酸、0.023 gのIR色素B、0.017 gのクリスタル・バイオレット(仏国Longjumeau在、PCAS)、及び0.03 gの10 % Byk(登録商標)307を、8.16 gのPGME、8.21 gのMEK、及び1.85 gのBLO中に溶解することにより、塗布用配合物を調製した。
【0242】
フッ化リンで後処理された、電気化学的研磨及び陽極酸化を施されたアルミニウム基板に、乾燥塗布重量約1.2 g/m2の内層を提供するように、上記配合物を塗布した。塗布用配合物を、巻線ロッドを使用することにより適用し、次いで、約90℃に設定されたRanarコンベヤ炉内にほぼ30秒間の滞留時間にわたって乾燥させた。
【0243】
水中9.7 %のAirvol 203(プロピルアルコール)16.3 g、ポリ(ビニルイミダゾール)の20%水溶液1.39 g、2-プロパノール1.18 g、及び水11.1 gを混合することにより、外層配合物を調製した。内層配合物と同様にこの配合物を適用することにより、乾燥外層塗布重量約0.8 g/m2の二層要素が提供された。
【0244】
結果として得られた画像形成性要素(すなわち印刷版前駆体)を、CREO Trendsetter 3244x画像セッター(Eastman Kodak Companyの子会社であるカナダ国ブリティッシュコロンビア州Burnaby在Creo)上に置き、そして、画像形成エネルギー80〜420 mJ/cm2の830 nm IRレーザーに暴露した。結果として生じた印刷版を、956 Developer(コネチカット州Norwalk在Kodak Polychrome Graphics製)中で25℃で現像した。強いベタ画像が、画像形成エネルギー約250 mJ/cm2で露光された領域内で得られた。
【0245】
例5: ネガ型多層画像形成性要素
0.58 gのポリマーP、0.69gのUR 3447、0.12 gのSartomer 355、0.068 gの2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-2-トリアジン、0.036 gのN-フェニルイミノ二酢酸、0.023 gのIR色素B、0.017 gのクリスタル・バイオレット(仏国Longjumeau在、PCAS)、及び0.03 gの10 % Byk(登録商標)307を、8.16 gのPGME、8.21 gのMEK、及び1.85 gのBLO中に溶解することにより、塗布用配合物を調製した。フッ化リンで後処理された、電気化学的研磨及び陽極酸化を施されたアルミニウム基板に、乾燥塗布重量約1.2 g/m2の内層を提供するために、例4に記載されているようにこの配合物を塗布した。
【0246】
水中9.7 %のAirvol 203 16.3 g、ポリ(ビニルイミダゾール)の20%水溶液1.39 g、2-プロパノール1.18 g、及び水11.1 gを混合することにより、外層配合物を調製した。外層を同様に適用することにより、乾燥外層塗布重量約0.8 g/m2の二層画像形成性要素が提供された。
【0247】
結果として得られた画像形成性要素に、例4において記載されたように、画像形成及び現像を施した。強いベタ画像が、画像形成エネルギー約250 mJ/cm2で露光された領域内で得られた。
【0248】
例6: ネガ型多層画像形成性要素
0.58 gのポリマーC-2、0.69gのUR 3447、0.12 gのSartomer 355、0.068 gの2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-2-トリアジン、0.036 gのN-フェニルイミノ二酢酸、0.023 gのIR色素B、0.017 gのクリスタル・バイオレット(仏国Longjumeau在、PCAS)、及び0.03 gの10 % Byk(登録商標)307を、8.16 gのPGME、8.21 gのMEK、及び1.85 gのBLO中に溶解することにより、塗布用配合物を調製した。フッ化リンで後処理された、電気化学的研磨及び陽極酸化を施されたアルミニウム基板に、例4に記載されているようにこの配合物を塗布し、その結果、乾燥塗布重量約1.2 g/m2の内層を提供した。
【0249】
水中9.7 %のAirvol 203 16.3 g、ポリ(ビニルイミダゾール)の20%水溶液1.39 g、2-プロパノール1.18 g、及び水11.1 gを混合することにより、外層配合物を調製した。外層配合物を同様に適用することにより、乾燥外層塗布重量約0.8 g/m2の二層画像形成性要素が提供された。
【0250】
結果として得られた画像形成性要素に、例4において記載されたように、画像形成及び現像を施した。強いベタ画像が、画像形成エネルギー約400 mJ/cm2で露光された領域内で得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成性層を有して成る基板を含む画像形成性要素であって、前記要素が、輻射線吸収化合物、並びにポリマー主鎖及びペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又はその両方を含む耐溶剤性ポリマーをさらに含むが、但し前記アダマンチル基が尿素連結基又はウレタン連結基を介して前記ポリマー主鎖に結合されている画像形成性要素。
【請求項2】
前記耐溶剤性ポリマーが、下記構造(I)によって表される請求項1に記載の要素:
【化1】

(上記式中、AとBとは一緒に前記ポリマー主鎖を表し、ここでAはペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又はその両方を含む反復単位をさらに含み、Bは異なる反復単位をさらに表し、xは5〜100重量%を表し、そしてyは0〜95重量%を表すが、但しAがペンダントアダマンチル基を含む場合には、これらの基は、尿素連結基又はウレタン連結基を介して前記ポリマー主鎖に結合されている)。
【請求項3】
Bが、スチレンモノマー、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸又はそのエステル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアセテート、無水マレイン酸、N置換型マレイミド、又はこれらの混合物から誘導される反復単位を表す請求項2に記載の要素。
【請求項4】
Aがペンダントリン酸基を含む反復単位を表すときには、xは5〜20重量%であり、そしてAがペンダントアダマンチル基を含む反復単位を表すときには、xは5〜40重量%である請求項2に記載の要素。
【請求項5】
前記輻射線吸収化合物が、波長700〜1200 nmの輻射線を吸収する赤外線吸収色素である請求項1に記載の要素。
【請求項6】
前記輻射線吸収化合物が、当該化合物が配置されている層の総乾燥重量を基準として0.5〜20重量%の量で存在する請求項1に記載の要素。
【請求項7】
前記基板が、処理又は塗布が施されたアルミニウム基板である請求項1に記載の要素。
【請求項8】
ポジ型の平版印刷版前駆体である請求項1に記載の要素。
【請求項9】
前記画像形成性層が、前記耐溶剤性ポリマー、IR吸収化合物である前記輻射線吸収化合物、ラジカル重合性化合物、及びラジカル生成組成物を含んで成るネガ型画像形成性要素である請求項1に記載の要素。
【請求項10】
前記ラジカル重合性化合物が、不飽和型のラジカル重合性モノマー若しくはオリゴマー又はラジカル架橋性ポリマーであり、前記ラジカル生成組成物が:(a)トリアジン、(b)アジニウム化合物、(c)ポリハロゲン化ラジカル生成化合物、(d)ポリハロアルキル置換型ラジカル生成化合物とカルボキシ置換型炭素芳香族化合物との組み合わせ、(e)アジニウム化合物とカルボキシ置換型炭素芳香族化合物との組み合わせ、(f)過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド、又はアゾ化合物、(g)ジアリールヨードニウム塩及び増感剤、(h)ホウ酸塩又は有機ホウ酸塩、(i)オニウム塩、又はこれらの組み合わせを含む請求項9に記載の要素。
【請求項11】
前記耐溶剤性ポリマーが、下記構造A1〜A5によって表される下記化合物のうちの1種又は2種以上から誘導される反復単位を有する請求項1に記載の要素。
【化2】

(上記式中、Xは、オキシ、チオ、又は-NH-であり、X'は-NH-又はオキシであり、X''はオキシ又は-NH-であり、そしてnは1〜6である)
【化3】

【請求項12】
前記画像形成性層が、前記基板上に配置された唯一の画像形成性層であり、且つ前記輻射線吸収化合物と前記耐溶剤性ポリマーとを含む請求項1に記載の要素。
【請求項13】
前記耐溶剤性ポリマーが、下記構造(II)によって表される請求項12に記載の要素。
【化4】

(上記式中、Rは水素、低級アルキル基、又はハロ基を表し、
Lは直接結合又は連結基を表し、
R'はペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又は両タイプの基を表すが、但しR'がペンダントアダマンチル基を表すときには、Lは尿素連結基又はウレタン連結基を含み、
Bは異なる反復単位を表し、
R'がペンダントリン酸基を表すときには、xは5〜20重量%を表し且つyは80〜95重量%を表し、
R'がペンダントアダマンチル基を表すときには、xは5〜40重量%を表し且つyは60〜95重量%を表す。)
【請求項14】
Lが、少なくとも1つの、-C(O)O-、-NH-CO-NH-、-C(O)-O-(CH2)2-、又は-NH-CO-O-基を含む連結基を表す請求項13に記載の要素。
【請求項15】
Bが、スチレンモノマー、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸又はそのエステル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアセテート、無水マレイン酸、N置換型マレイミド、又はこれらの混合物から誘導される反復単位を表す請求項13に記載の要素。
【請求項16】
前記単一の画像形成性層の塗布重量が、0.5〜2.5 g/m2である請求項9に記載の要素。
【請求項17】
前記画像形成性層が、溶解抑制剤及びフェノール系バインダー樹脂をさらに含む請求項11に記載の要素。
【請求項18】
ポジ型であり、そして前記基板上に順番に:
前記輻射線吸収化合物、及びペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又はその両方を含む前記耐溶剤性ポリマーを含む内層、並びに
画像形成用輻射線に暴露前には、アルカリ性現像剤を使用して除去することができないインク受容性外層
を含む請求項1に記載の要素。
【請求項19】
前記耐溶剤性ポリマーが、下記構造(II)によって表され請求項18に記載の要素。
【化5】

(上記式中、Rは水素、低級アルキル基、又はハロ基を表し、
Lは直接結合又は連結基を表し、
R'はペンダントリン酸基、ペンダントアダマンチル基、又は両タイプの基を表すが、但しR'がペンダントアダマンチル基を表すときには、Lは尿素連結基又はウレタン連結基を含み、
Bは異なる反復単位を表し、
R'がペンダントリン酸基を表すときには、xは5〜20重量%を表し且つyは80〜95重量%を表し、
R'がペンダントアダマンチル基を表すときには、xは5〜40重量%を表し且つyは60〜95重量%を表す。)
【請求項20】
Bが、スチレンモノマー、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸又はそのエステル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアセテート、N置換型マレイミド、無水マレイン酸、又はこれらの混合物から誘導される反復単位を表す請求項19に記載の要素。
【請求項21】
xが5〜30重量%であり、そしてBが:
a) スチレン、N-フェニルマレイミド、メタクリル酸、及びメチルメタクリレートのうちの1種又は2種以上、これらの反復単位は、前記耐溶剤性ポリマー中の全ての反復ユニットの0〜70重量%を占める、及び
b) アクリロニトリル若しくはメタクリロニトリル、又はこれらの混合物のうちの1種又は2種以上、これらの反復単位は、前記耐溶剤性ポリマー中の全ての反復ユニットの20〜95重量%を占める、
から誘導される反復単位を表す、
請求項19に記載の要素。
【請求項22】
R'がペンダントリン酸基を表すときには、xは5〜20重量%であり、そしてR'がペンダントアダマンチル基を表す場合には、xは5〜40重量%である請求項19に記載の要素。
【請求項23】
前記外層がフェノール樹脂バインダーを含み、そして前記輻射線吸収化合物が、前記内層の総乾燥重量を基準として8〜25重量%の量で存在する赤外線吸収化合物である請求項18に記載の要素。
【請求項24】
A) 請求項1に記載の画像形成性要素を熱画像形成し、これにより、画像形成された領域と非画像形成領域とを有する画像形成された要素を形成し、そして
B) 前記画像形成された領域だけ、又は前記非画像形成領域だけを除去するために、前記画像形成された層をアルカリ性現像剤と接触させ、そして
C) 任意選択的に、前記画像形成され、現像された要素をベーキングする
ことを含む画像形成方法。
【請求項25】
前記画像形成された領域だけが除去され、ポジ型の画像形成された要素を提供する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記非画像形成領域だけが除去され、ネガ型の画像形成された要素を提供する請求項24に記載の方法。
【請求項27】
画像形成が、700〜1200 nmの最大吸収を有する輻射線を使用して実施される請求項24に記載の方法。
【請求項28】
請求項24の方法によって得られる画像形成された要素。

【公表番号】特表2009−517720(P2009−517720A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543345(P2008−543345)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/045012
【国際公開番号】WO2007/064527
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】