説明

耐火パネル及びこれを用いた界壁構造

【課題】パネルとしての十分な強度と曲げ剛性を有し、自立することができて、スタッド等の下地材を使用することなく取付けできる耐火パネルを提供する。
【解決手段】2枚の鋼板2,2間に複数枚の石膏ボード3を挟むように配置して、石膏ボード3どうし及び石膏ボード3と鋼板2とを互いに接着して一体化して形成される耐火パネル1であり、特に、石膏ボード3の厚さが9.5mmである耐火パネル1の一方側の鋼板2及びこれに接する側の石膏ボード3と、他方側の鋼板2及びこれに接する石膏ボード3とをパネル幅方向に所定寸法だけずらして、パネル幅方向両側端部に夫々係合段部5を形成してなる耐火パネル1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板と石膏ボードとの複合パネルからなる耐火パネル及びこの耐火パネルを用いた建物の界壁構造に関する。尚、界壁とは、例えば集合住宅において隣り合う二つの家の境界壁を言うものとする。また、本発明の耐火パネルは、耐火性のみならず、遮音性をも有するパネルである。
【背景技術】
【0002】
従来の耐火パネルとして、特許公報等の公知文献を具体的に挙げることはできないが、例えば、比較的厚い高価な繊維強化石膏ボードを2枚貼り合わせて形成した耐火パネルが知られている。しかし、この耐火パネル1は、自立できるだけの剛性及び靱性を有しないため、取付けにあたっては、上下のランナー及びその間に立設されるスタッドからなるパネル下地を必要とし、それがために現場施工に手間がかかって、施工費が高くつく上に、火災時には石膏ボードが短時間で脱落するという問題があり、また石膏ボードが無機繊維を混入した強化ボートであることから、ボードコストが非常に高く、施工費の更なる高騰を来していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、パネルとしての十分な強度と曲げ剛性を有して自立することができ、スタッド等にて形成されるパネル下地を使用することなく取付けできて、施工費の低廉化を図ることができると共に、遮音性に優れ、しかも火災時には石膏ボードが脱落し難く、この石膏ボードが有する結晶水を長時間封じ込めることができて、耐火性能の高い耐火パネルを提供することを目的とする。更に本発明は、この耐火パネルを用いて、遮音性及び耐火性の向上を図ることができる界壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の耐火パネル1は、2枚の鋼板2,2間に複数枚の石膏ボード3を挟むように配置して、石膏ボード3どうし及び石膏ボード3と鋼板2とを互いに接着剤により接着して一体化してなることを特徴とする。
【0005】
請求項2は、請求項1に記載の耐火パネルにおいて、2枚の鋼板2,2間には少なくとも1枚の石膏ボード3の厚さが9.5mmである2枚の石膏ボード3を配置してなることを特徴とする。
【0006】
請求項3は、請求項1に記載耐火パネルにおいて、2枚の鋼板2,2間には厚さが9.5mmの2枚の石膏ボード3,3を配置してなることを特徴とする。
【0007】
請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載の耐火パネルにおいて、一方側の鋼板2及びこれに接する側の1枚又は複数枚の石膏ボード3と、他方側の鋼板2及びこれに接する側の1枚又は複数枚の石膏ボード3とをパネル幅方向に所定寸法nだけ互いにずらして、パネル幅方向両側端部に夫々係合段部5を形成してなることを特徴とする。
【0008】
請求項5は、請求項1〜4の何れかに記載の耐火パネルにおいて、両鋼板2,2に挟まれる複数枚の石膏ボード3は夫々パネル長手方向及び又は幅方向に継ぎ足して形成すると共に、複数枚の石膏ボード3のうちの少なくとも1枚は、継ぎ足しボード3aどうしの接合部27を、これに接する他の石膏ボード3の継ぎ足しボード3aどうしの接合部27に対しパネル長手方向及び又は幅方向に所定寸法mだけずらして形成してなることを特徴とする。
【0009】
請求項6は、請求項1〜5の何れかに記載の耐火パネルにおいて、パネル長手方向両端部に夫々複数個のボルト取付孔6を設けてなることを特徴としている。
【0010】
請求項7は、請求項6に記載の耐火パネルにおいて、各ボルト取付孔6は、例えば図5に示すように、石膏ボード3に貫通孔30を設けると共に、両側の鋼板2,2に下孔31,32を設け、一方の下孔31周辺部31aを絞り加工して他方の下孔32周縁部32aに接合することにより形成される、ボルト頭部没入部33とボルト挿通孔34とからなるとからなることを特徴とする。
【0011】
請求項8は、請求項6に記載の耐火パネルにおいて、各ボルト取付孔6は、図6に示すように、石膏ボード3に設けた貫通孔36に、一端側に内向き幅狭フランジ部37を有し且つ他端側に内向き幅広フランジ部38を有する鞘管39を挿嵌すると共に、両側の鋼板2,2に夫々下孔40,41を同心状に設け、両鋼板2,2の夫々の下孔周縁部40a,41aを、鞘管39の内向き幅狭フランジ部37及び内向き幅広フランジ部38に接合することにより形成される、ボルト頭部没入部42とボルト挿通孔43とからなることを特徴とする。
【0012】
請求項9に係る発明は、請求項1〜8の何れかに記載の耐火パネル1を用いた界壁構造であって、2枚の耐火パネル1,1を一定の空間部Sを隔てて並立させてなることを特徴とする。
【0013】
請求項10は、請求項9に記載の界壁構造において、耐火パネル1の上下両端部をそのボルト取付孔6を利用して、H形鋼からなる土台8等の下部横架材に取り付けた取付金物10にボルト11止めしてなることを特徴とする。
【0014】
請求項11は、請求項9又は10に記載の界壁構造において、耐火パネル1をパネル幅方向に複数枚接続するにあたって、各耐火パネル1の両側端部に形成された係合段部5を互いに係合させて耐火パネル1どうしを接合してなることを特徴とする。
【0015】
請求項12は、請求項9〜11の何れかに記載の界壁構造において、前記空間部Sに吸音材及び又は断熱材を挿入してなることを特徴とする。
【0016】
請求項13は、請求項9〜12の何れかに記載の界壁構造において、各耐火パネル1の壁外側面に石膏ボード13をタッピングビス26により又はタッピングビス26及び接着剤の併用により貼り付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の耐火パネルは、複数枚の石膏ボード3を挟むように2枚の鋼板2を両側に配置して、石膏ボード3どうし及び石膏ボード3と鋼板2とを互いに接着剤により接着して一体化してなるもので、両側2枚の鋼板2とこれらの間に介在する複数枚の石膏ボード3が互いに一体となった合成パネルとなるため、建築用パネルとしての十分な強度及び曲げ剛性が確保されて、パネル自体で自立できる構造となり、従ってこの耐火パネル1を壁として使用するときには、スタッド等からなるパネル下地が不要となり、現場作業を簡素化できて、施工性が良くなる。また、複数枚の石膏ボード3を2枚の鋼板2間に挟み込むことで、火災時の石膏ボード3の崩落や脱落を防止でき、また火災時には石膏ボード3が有する結晶水を長時間封じ込め、その結晶水が長時間にわたり温度上昇を抑えて、優れた耐火性能を発揮することができる。特に、この発明の耐火パネル1に使用する石膏ボード3は、強化石膏ボードや繊維混入珪酸カルシウム板などではなく、硫酸カルシウムからなるきわめて普通の石膏ボードであるから、強化石膏ボードなどに比べて安価でなるため、パネルの製造コストが安くなる。
【0018】
請求項2に係る発明の耐火パネルによれば、2枚の鋼板2,2間には2枚の石膏ボード3,3を配置し、そのうちの少なくとも1枚は厚さが9.5mmであるため、板厚の厚い、例えば15mmの石膏ボードを1枚使用して同じパネル厚さの耐火パネル1を形成する場合よりも遮音性能を有効に高めることができる。即ち、板厚が15mm以上の厚い石膏ボード3は、コインシデンス周波数が生活騒音の対象域(例えば250Hz〜2KHz)に来るため、高い遮音性能を有する壁を形成することが困難であるが、2枚の石膏ボード3,3のうち少なくとも1枚が厚さ9.5mmである石膏ボード3を使用することによって、コインシデンス周波数が生活騒音の対象域から外れ、遮音性能の高い壁を形成することが可能となる。また板厚が9.5mmの石膏ボード3はきわめて安価であるため、耐火パネル1の製造コストが一層安くなる。
【0019】
請求項3に係る発明の耐火パネルは、2枚の鋼板2,2間に、板厚が9.5mmという比較的薄い石膏ボード3を2枚重ね合わせて配置しているため、板厚の厚い、例えば15mmの石膏ボードを1枚使用して同じパネル厚さの耐火パネル1を形成する場合よりも遮音性能を有効に高めることができる。即ち、板厚が15mm以上の厚い石膏ボード3は、コインシデンス周波数が生活騒音の対象域(例えば250Hz〜2KHz)に来るため、高い遮音性能を有する壁を形成することが困難であるが、板厚の比較的薄い石膏ボード3を複数枚重ね合わせて使用することによって、コインシデンス周波数が生活騒音の対象域から外れるようになるため、遮音性能の高い壁を形成することが可能となる。しかして、2枚の石膏ボード3がいずれも板厚9.5mmの石膏ボードであるため、耐火パネル1の遮音性能を一層高めることができると共に、その製造コストをより一層安くできる。
【0020】
請求項4に係る発明の耐火パネルによれば、一方側の鋼板2及びこれに接する側の1枚又は複数枚の石膏ボード3と、他方側の鋼板2及びこれに接する側の1枚又は複数枚の石膏ボード3とをパネル幅方向に所定寸法nだけ互いにずらして、パネル幅方向両側端部に夫々係合段部5を形成しているから、耐火パネル1をその幅方向に複数枚接続するに際に、各耐火パネル1の係合段部5を互いに係合させることによって、パネル1,1どうしの接続部である目地部14でのパネル強度が低下することがなく、しかも目地部14の隙間を有効に塞ぐことができて、耐火性能及び遮音性能を高めることができる。
【0021】
請求項5に係る発明の耐火パネルによれば、両鋼板2,2に挟まれる複数枚の石膏ボード3は夫々パネル長手方向及び又は幅方向に継ぎ足して形成すると共に、複数枚の石膏ボード3のうちの少なくとも1枚は、継ぎ足しボード3aどうしの接合部27を、これに接する他の石膏ボード3の継ぎ足しボード3aどうしの接合部27に対しパネル長手方向及び又は幅方向に所定寸法mだけずらして形成しているから、耐火パネル1の剛性と耐火性能及び遮音性能が接合部27によって損なわれることがなく、それらの性能が有効に維持される。
【0022】
請求項6に係る発明の耐火パネルによれば、パネル長手方向両端部に夫々複数個のボルト取付孔6を設けているから、耐火パネル1の取付けにあたって、この耐火パネル1の上下両端部をそのボルト取付孔6を利用して、例えば、H形鋼からなる土台等の下部横架材に取り付けた取付金物10に簡単にボルト11止めすることができるし、またこのボルト取付孔6を、パネル取付施工時にクレーン等によるパネル吊り下げ用の吊り孔として使用することができる。
【0023】
請求項6に記載のボルト取付孔6としては、請求項7及び請求項8に記載のような構成とすれば、ボルト取付孔6の形成が容易となり、従って耐火パネル1の製造が容易となって、コストの低廉化を図ることができる。
【0024】
請求項9に係る発明の界壁構造によれば、一定の空間部Sを隔てて並立する2枚の耐火パネル1,1が夫々自立可能なパネルであって、両耐火パネル1,1の間には上下両端部を除き、一方の耐火パネル1から他方の耐火パネル1へ音を伝える所謂サウンドブリッジとなる連結部分が無いため、遮音性が向上する。因みに、パネルの取付けにあたってスタッドや木桟等のパネル下地を必要とする従来の耐火パネルでは、スタッドや木桟等が上記サウンドブリッジを構成するために、遮音性が低下する。
【0025】
また、この界壁構造によれば、2枚の耐火パネル1,1による二重壁の間に空間部Sが形成されることによって、遮音性と共に耐火性が向上する。また、各耐火パネル1が自立構造のパネルで、二重壁の間に空間部Sにスタッド等のパネル下地が介在しないために、土台に立設された柱やその柱間に張架されるブレース等の構造材と干渉することがなく、納まりが良くなり、そしてまた上記空間部Sの温度が所定温度以下になるため、空間部S内に位置する支柱等の鋼材の耐火被覆を省略することができる。
【0026】
請求項10に係る発明の界壁構造によれば、耐火パネル1の上下両端部をそのボルト取付孔6を利用して、H形鋼からなる土台8等の下部横架材に取り付けた取付金物10にボルト11止めするようにしたから、両耐火パネル1,1を一定の間隔に精度良く簡単容易に取り付けることができ、施工能率の向上を図ることができる。
【0027】
請求項11に係る発明の界壁構造によれば、耐火パネル1をパネル幅方向に複数枚接続するにあたって、各耐火パネル1の両側端部に形成された係合段部5を互いに係合させて耐火パネル1どうしを接合するようにしたから、耐火パネル1,1どうしの接続部である目地部14でのパネル強度が低下することがなく、しかも目地部14の隙間を有効に塞いで、耐火性能及び遮音性能を高めることができる。
【0028】
請求項12に係る発明の界壁構造によれば、前記空間部Sに吸音材及び又は断熱材を挿入することによって、界壁における耐火性能及び又は遮音性能の大幅な改善を図ることができる。
【0029】
請求項13に係る発明の界壁構造によれば、各耐火パネル1の壁外側面に石膏ボード13をタッピングビスにより又はタッピングビス及び接着剤の併用により貼り付けることによって、遮音性及び耐火性を一層向上させることができる。また、この場合、耐火パネル1の目地部14を塞ぐように石膏ボード13を貼り付けることによって、耐火パネル1の壁外側面における不陸の発生を無くし、平滑な壁面を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) は本発明に係る耐火パネル1を用いて構成される界壁構造の縦断面図であり、図1の(b) は左側半分が(a) のX−X線断面図であり、右側半分は(a) のY−Y線断面図で、耐火ボード16,17を取り外した状態の断面図である。図2の(a) は図1の(a) のイ−イ線断面図、(b) は(a) の矢印ロで示される部分の拡大図であり、図3は耐火パネル1の拡大斜視図である。また図4は石膏ボード3がパネル長手方向及び幅方向に継ぎ足して形成された耐火パネル1の拡大斜視図、図5は図1の(a) の矢印ハで示される部分の拡大図である。この界壁構造は、基本的には耐火パネル1を一定の空間部を隔てて並立させてなるものである。
【0031】
先ず耐火パネル1の構造について説明すれば、各耐火パネル1は、図1、図4及び図5から分かるように、それ上下方向に長い2枚の鋼板2,2間に2枚の石膏ボード3,3を挟むように配置して、石膏ボード3,3どうし及び石膏ボード3と鋼板2とを互いに接着して一体化してなるものである。
【0032】
この耐火パネル1を形成する鋼板2としては、亜鉛メッキ鋼板、塗装鋼板あるいは亜鉛メッキ鋼板に塗装を施した鋼板を使用し、鋼板2の板厚は0.5〜1.2mm程度とし、また鋼板2の幅は450mm〜1500mm程度とし、その長さは2000mm〜3500mm程度とする。尚、鋼板2の板厚に関して、石膏ボード3,3を挟む2枚の鋼板2,2は、両方とも同じ板厚でもよいし、また界壁構造に使用する耐火パネル1の場合には、2枚の鋼板2,2のうち界壁の外側に配置する鋼板2は、界壁の内側に配置する鋼板2よりも若干厚いものを使用するとよい。界壁の外側に配置する鋼板2の板厚を界壁の内側に配置する鋼板2よりも厚くするのは、外側に配置する鋼板2には後述するように耐火パネル1の壁外側面に貼り付けられる石膏ボード13がタッピングビスで取り付けられたり、間仕切りパネルの端部が取付金具を介してビスで取り付けられることから、そのビスを保持し得るだけの板厚を必要とするためである。また、この実施形態の耐火パネル1の石膏ボード3としては、板厚が9.5mmと比較的薄く、普通一般に使用される安価な石膏ボードを使用している。尚、外側の鋼板2と石膏ボード3とは、その長さ及び幅が同じで、重ね合わせた時に周縁がぴったり合致するものとする。
【0033】
この耐火パネル1の形成にあたっては、図3に示すように、一方側の鋼板2及びこれに接する側の1枚の石膏ボード3と、他方側の鋼板2及びこれに接する側の1枚の石膏ボード3とを互いにパネル幅方向に所定寸法n(例えば10〜15mm)だけずらすことによって、パネル幅方向両側端部にパネル接合用の係合段部5,5を形成している。尚、2枚の鋼板2,2間に3枚の石膏ボード3を配置して形成される耐火パネル1の場合には、何れか一方側の鋼板2及びこれに接する側の1枚の石膏ボード3と、他方側の鋼板2及びこれに接する側の2枚の石膏ボード3とを互いにパネル幅方向に所定寸法だけずらすようにすればよい。
【0034】
また、この耐火パネル1の形成にあたり、パネル長手方向両端部に夫々複数個のボルト取付孔6を設ける。各ボルト取付孔6は、図5に示すように、石膏ボードに貫通孔30を設けると共に、両側の鋼板2,2に夫々下孔31,32を同心状に設け、一方の下孔31の周辺部31aを絞り加工して他方の下孔32の周縁部32aに接合することにより形成される、ボルト頭部没入部33とボルト挿通孔34とからなるもので、ボルト頭部没入部33は、取付用ボルト11の頭部11aが没入し得る内径と深さを有するように形成され、またボルト挿通孔34は、ボルト11の軸部が挿通し得るように形成される。尚、石膏ボード3の貫通孔30は、石膏ボード3に鋼板2を貼り付ける前に予め形成しておく。
【0035】
上記のような構造のボルト取付孔6によれば、加工が容易で、ボルト取付孔6の形成作業が簡単容易となる。このボルト取付孔6を形成するときは、図5に示すように、絞り加工した一方の鋼板2側の下孔周辺部31aに、他方の鋼板2の下孔32の周縁部32aを巻き付けるようにカシメ加工するとよい。
【0036】
また、上記耐火パネル1の形成にあたり、石膏ボード3どうし及び鋼板2と石膏ボード3とを互いに接着するには、鋼板2の内面及び又は石膏ボード3の対向面に全面的又は部分的に接着剤を塗布して、石膏ボード3どうしを接着すると共に、鋼板2と石膏ボード3とを互いに接着する。
【0037】
上記のように形成される耐火パネル1は、両側の鋼板2,2とこれらの間に挟まれて介在する2枚の石膏ボード3,3が互いに一体となった所定厚さの合成パネルとなるため、建築用パネルとしての十分な強度及び曲げ剛性が確保され、従ってこの耐火パネル1を壁として使用するときには、スタッドや木桟等のパネル下地が不要となり、現場作業を簡素化できて、施工性が頗る良くなる。また、2枚の石膏ボード3を両側2枚の鋼板2間に挟み込むことによって、火災時の石膏ボード3の崩落や脱落を防止でき、また火災時には石膏ボード3が有する結晶水を長時間封じ込め、その結晶水が長時間にわたり温度上昇を抑えて、優れた耐火性能を発揮することができる。
【0038】
特にこの耐火パネル1は、石膏ボード3として、板厚が9.5mmと比較的薄いものを使用し、2枚の鋼板2,2間に、この板厚9.5mmの石膏ボード3を2枚重ね合わせて配置しているため、板厚の比較的厚い例えば12.5mmの石膏ボードを2枚重ね合わせて形成した耐火パネルよりも遮音性能を有効に高めることができる。この場合の両者の遮音性能の違いを図8に示す。即ち、図8は、板厚9.5mmの石膏ボードを2枚重ね合わせたものと、厚さ12.5mmの石膏ボードを2枚重ね合わせたものとの比較性能試験結果を示したもので、薄い9.5mm石膏ボードの方は、生活騒音対象域内にある500Hzでの落ち込みが少ないが、厚い12.5mm石膏ボードは、500Hzでの落ち込みが大きくなっている。これは、コインシデンス効果によるもので、薄い9.5mm石膏ボードの方が、厚い12.5mm石膏ボードよりも遮音性能が高いことを証明している。尚、図8において、Rrは遮音性能を示す値である。
【0039】
また、この薄い9.5mm石膏ボードは、広く一般に使用されているもので、頗る低価格で販売されている。下記の表−Aは板厚9.5mmの普通石膏ボードの価格、表−Bは板厚12.5mm及び板厚15mmの普通石膏ボードの価格を夫々示したもので、表−Aを表−Bと比較すれば、9.5mm石膏ボードが安価であることが分かる。また、表−Cは無機質繊維等を混入した強化石膏ボード、表−Dは繊維強化石膏板・パーライト板の価格を夫々示したもので、この表−C及び表−Dから、普通の石膏ボードが強化石膏ボード等より遥かに安価であることが分かる。尚、普通石膏ボードは硫酸カルシウムからなり、強化石膏ボードは、この硫酸カルシウムに無機質繊維等を適宜に混入したものである。
【0040】













【0041】

【0042】
また、本発明に係る耐火パネル1の効果としては、比較的薄い石膏ボード3を複数枚重ね合わせて接着剤により相互に接着して一体化するから、その接着剤の粘弾性により減衰効果、制振効果が有効に発揮されて、遮音効果が一層向上する。
【0043】
図4はパネルの石膏ボード3がパネル長手方向及び幅方向に継ぎ足して形成された耐火パネル1を示したもので、各石膏ボード3は4つの継ぎ足しボード3aからなる。即ち、この耐火パネル1は、両鋼板2,2間の2枚の石膏ボード3の夫々をパネル長手方向及び幅方向に継ぎ足して形成すると共に、1枚の石膏ボード3の継ぎ足しボード3aどうしの接合部27をもう1枚の石膏ボード3の継ぎ足しボード3aどうしの接合部27に対し、パネル長手方向及び幅方向に夫々所定寸法m(石膏ボード3の厚さの10〜15倍程度)ずらして形成したものである。
【0044】
この図4に示す耐火パネル1のように、両鋼板2,2間に2枚の石膏ボード3,3を介在させると共に、各石膏ボード3をパネル長手方向及び幅方向に夫々複数に継ぎ足して形成する場合に、一方側の石膏ボード3の継ぎ足しボード3aどうしの接合部27と、他方側の石膏ボード3の継ぎ足しボード3aどうしの接合部27とを、パネル長手方向及び幅方向に夫々所定寸法mずらすようにすることによって、一方側の石膏ボード3の接合部27と他方側の石膏ボード3の接合部27とがパネル厚み方向に重なるようなことがなく、これにより耐火パネル1の剛性と耐火性能及び遮音性能が損なわれることがなく、それらの性能が有効に維持される。
【0045】
これは、各石膏ボード3の継ぎ足しボード3aどうしの接合部27では、隣り合う継ぎ足しボード3a,3aの端面どうしが接触した状態にあるか、その端面間に僅かに隙間を形成した状態にあることから、一方側の石膏ボード3の接合部27と他方側の石膏ボード3の接合部27とがパネル厚み方向に重なってしまうと、その接合部27では耐火パネル1の曲げ剛性が低下すると共に、その耐火性能及び遮音性能が低下することになる。
【0046】
尚、この実施形態の耐火パネル1では、各石膏ボード3をパネル長手方向及び幅方向に夫々継ぎ足して、各石膏ボード3を4つの継ぎ足しボード3aにより形成したものであるが、各石膏ボード3をパネル長手方向にのみ継ぎ足したり、また幅方向にのみ継ぎ足すようにしてもよい。
【0047】
また、図4に示す耐火パネル1も、図3に示す耐火パネル1と同様に、一方側の鋼板2及びこれに接する側の石膏ボード3と、他方側の鋼板2及びこれに接する側の石膏ボード3とを互いにパネル幅方向に所定寸法nだけずらすことによって、パネル幅方向両側端部にパネル接合用の係合段部5,5を形成している。
【0048】
図6の(a) は耐火パネル1の長手方向両端部に設けるボルト取付孔6の他の実施形態を示す。このボルト取付孔6は、石膏ボード3に設けた貫通孔36に、一端側に内向き幅狭フランジ部37を有し且つ他端側に内向き幅広フランジ部38を有する同図の(b) に示すような鞘管39を挿嵌すると共に、両側の鋼板2,2には夫々下孔40,41を同心状に設け、両鋼板2,2の夫々の下孔40,41の周縁部40a,41aを、鞘管39の内向き幅狭フランジ部37及び内向き幅広フランジ部38に接合することにより形成される、ボルト頭部没入部42とボルト挿通孔43とからなるもので、ボルト頭部没入部42は、取付用ボルト11の頭部11aが没入し得る内径と深さを有するように形成され、またボルト挿通孔43は、ボルト11の軸部が挿通し得るように形成される。
【0049】
このようなボルト取付孔6によれば、ボルト取付孔6の形成作業が簡単、容易となる。このボルト取付孔6の形成にあたっては、図6に示されるように、両鋼板2,2の下孔周縁部40a,41aを、鞘管39の内向き幅狭フランジ部37及び内向き幅広フランジ部38に夫々巻き付けるようにカシメ加工するとよい。
【0050】
図7は図5に示されるボルト取付孔6の変形例を示す。即ち、このボルト取付孔6は、石膏ボード3の端部に貫通孔44を設けると共に、両側の鋼板2,2に夫々下孔45,46を設け、一方側の鋼板2の下孔45の周辺部45aを絞り加工して他方側の鋼板2の下孔46の周縁部46aに接合することにより形成される、ボルト頭部没入部47とボルト挿通孔48とからなるもので、ボルト頭部没入部47は、取付用ボルト11の頭部11aが没入し得る内径と深さを有するように形成され、ボルト挿通孔48は、ボルト11の軸部が挿通し得るように形成される。
【0051】
次に、本発明に係る界壁構造の一実施形態について詳細に説明すると、この界壁構造を示す図1の(a) 及び(b) において、7は建物の布基礎、8は布基礎7の上に載設された横向きH形鋼からなる土台(下部横架材)で、このH形鋼8の下部フランジ8bがアンカーボルト21及びナット22によって布基礎7上に緊締されている。また、9は建物の1階と2階との境界に横架された横向きH形鋼からなる胴差し(上部横架材)である。なお、この実施形態の建物は2階建てで、2階の天井側には横向きH形鋼からなる軒桁(上部横架材)が横架されているが、この軒桁については省略する。
【0052】
界壁を施工するにあたって、土台(下部横架材)としてのH形鋼8の上部フランジ8a上面側にはその両側に夫々L字状の取付金物10をボルト23及びナット24で取付け固定し、また胴差し(上部横架材)としてのH形鋼9には上部フランジ9aの上面側及び下部フランジ9bの上面側に夫々L字状の取付金物10を、土台のH形鋼8と同様にボルト23及びナット24で取付け固定する。取付金物10は、比較的長さの短い金物であり、水平片10bの2〜3箇所をボルト23・ナット24でH形鋼8,9に固定する。この場合、ナット24は、取付金物10の水平片10bに予め溶接により固定しておくとよい。なお、図1の(b) の左側半分は(a) のX−X線断面図であり、また右側半分は(a) のY−Y線断面図であって、耐火ボード16,17を取り外した状態の図面である。また、この図1の(a) ,(b) には、L字状取付金物10を水平方向に連続した物のように図示しているが、実際には水平方向の長さが10cm程度の短い金物である。
【0053】
しかして、左右両側一対の耐火パネル1,1を一定空間部Sを隔てて並立させるには、一方側の耐火パネル1の上端部を、H形鋼(胴差し)9の下部フランジ9bの一方側に取り付けてある取付金物10の垂直片10aにボルト11・ナット12で取付け固定すると共に、この耐火パネル1の下端部を、H形鋼(土台)8の上部フランジ8aの一方側に取り付けてある取付金物10の垂直片10aにボルト11・ナット12で取付け固定する。他方側の耐火パネル1も、その上端部を、H形鋼9の下部フランジ9bの他方側に取り付けてある取付金物10の垂直片10aにボルト11・ナット12で取付け固定すると共に、その下端部を、H形鋼8の上部フランジ8aの一方側に取り付けてある取付金物10の垂直片10aにボルト11・ナット12で取付け固定する。尚、ナット12は取付金物10の垂直片10aに予め溶接によって固定しておくとよい。
【0054】
各耐火パネル1の上下端部を取付金物10の垂直片10aに取り付ける際は、図5に示すように、耐火パネル1の上下各端部に設けてあるボルト取付孔6を介して取り付ける。即ち、耐火パネル1の上下各端部に設けてある各ボルト取付孔6のボルト挿通孔34からそのボルト挿通孔34及び取付金物10の垂直片10aのボルト挿通孔25へとボルト11を挿通させて、ナット12を締め付ければよい。この時、ボルト11の頭11aは、図示のようにボルト頭部没入部33内に没入することになる。
【0055】
各耐火パネル1は、前記のように建築用パネルとして十分な強度と曲げ剛性を有して、パネル自体で自立できる構造となっているから、上下両端部を胴差し9等の上部横架材と土台8等の下部横架材に取り付ければよく、スタッドや木桟等の下地材が不要となって、施工現場での取付施工が容易となる。
【0056】
上記ように左右両側一対の耐火パネル1,1を一定空間部Sを隔てて並立させ、各耐火パネル1の上下両端部をH形鋼(胴差し)9及びH形鋼(土台)8に取付け固定した後、図1の(a) 及び図2の(a) ,(b) に示すように、各耐火パネル1の壁外側面の鋼板2には石膏ボード13を、その鋼板2を覆うように貼り付ける。この石膏ボード13は、通常はタッピングビス26によって鋼板2にビス止めするが、このタッピングビス26によるビス止めと接着剤による接着との併用によって貼り付ける。こうすることによって、火災時に石膏ボード13が瞬時に脱落せず、耐火力をもたせることができる。
【0057】
また、耐火パネル1は、パネル幅方向に複数枚接続するわけであるが、この接続に際しては、図2の(a) 及び(b) に示すように、各耐火パネル1の幅方向両側端部に形成されたパネル接合用の係合段部5,5を互いに係合させた状態で耐火パネル1,1どうしを接合する。これによって、耐火パネル1,1どうしの接続部である目地部14の隙間を有効に塞ぐことができて、耐火性能及び遮音性能を高めることができる。因みに、耐火パネル1の左右両端部に係合段部5が形成されていなければ、耐火パネル1を接続する時にパネル1,1の端面どうしが平面状に突き合わさるために、その目地部はパネル1の幅方向に貫通する隙間を生じることになり、耐火性能が低下する。
【0058】
また、各耐火パネル1の壁外側面に貼り付ける石膏ボード13を幅方向に接続する際には、図2の(a) に示すように、石膏ボード13,13の目地部15が、耐火パネル1,1どうしの接続部である目地部14と重なり合わないようにし、それによってパネル相互の一体化を図ると共に、耐火パネル1の壁外側面における不陸の発生を無くし、平滑な壁面を形成することができる。
【0059】
図1の(a) に示すように、H形鋼からなる胴差し9を挟んでその上側の耐火パネル1と下側の耐火パネル1との間には、この胴差し9を覆うように耐火ボード16を取り付け、そしてH形鋼からなる土台8の両側にもこれを覆うように耐火ボード17を取り付ける。耐火ボード16,17は、各耐火パネル1の壁外側面に沿って貼着される石膏ボード13によって覆われることになる。この耐火ボード16,17としては、普通の石膏ボード、ガラス繊維混入石膏ボード、珪酸カルシウム板等を使用することができる。この耐火ボード16,17は、耐火性のみならず、遮音性をも有する。また、この実施形態では、耐火ボード16,17を石膏ボード13で覆うようにしているが、この耐火ボード16,17は、石膏ボード13(普通の石膏ボードからなる)以外の、例えばガラス繊維混入石膏ボードや珪酸カルシウム板等によって覆ってもよい。
【0060】
図2の(a) において、18は土台8上に立設されて胴差し9(上部横架材)支える角形鋼管製の柱、19は隣り合う柱18,18間に張架された鋼材製のブレースである。
【0061】
以上、図1に示す2階建て建物の1階部分の界壁構造について説明したが、2階部分の界壁構造は、耐火パネル1の下端部をH形鋼からなる胴差し9に取付け、上端部を図示しないH形鋼からなる軒桁(上部横架材)に取付けるようにしたもので、上述した1階部分の界壁構造と同様であるため、その説明は省略する。
【0062】
以上説明した実施形態の界壁構造は、一定の空間部Sを隔てて並立する2枚の耐火パネル1,1が夫々自立可能なパネルであって、両耐火パネル1,1の間には上下両端部を除き、一方の耐火パネル1から他方の耐火パネル1へ音を伝える所謂サウンドブリッジとなる連結部分が無いため、遮音性が向上する。因みに、パネルの取付けにあたってスタッドや木桟等の下地材を必要とする従来の耐火パネルでは、スタッドや木桟等が上記サウンドブリッジを構成するために、遮音性が悪くなる。
【0063】
また、この界壁構造によれば、2枚の耐火パネル1,1による二重壁の間に空間部Sが形成されることによって、遮音性と共に耐火性が向上する。また、各耐火パネル1が自立構造のパネルで、二重壁の間に空間部Sにスタッド等のパネル下地が介在しないために、土台に立設された柱やその柱間に張架されるブレース等の構造材と干渉することがなく、納まりが良くなり、また上記空間部Sの温度が所定温度以下になるため、空間部S内に位置する支柱等の鋼材の耐火被覆を省略することができる。また、空間部Sに所要の断熱材及び又は所要の遮音材を挿入することによって、界壁における耐火性能及び又は遮音性能の大幅な改善を図ることができる。また、各耐火パネル1の壁外側面に石膏ボード13を貼り付けることによって、遮音性及び耐火性を一層向上させることができる。
【0064】
この界壁構造では、耐火パネル1をその幅方向に複数枚接続するにあたって、各耐火パネル1の左右両端部に形成されたパネル接合用の係合段部5,5を互いに係合させて耐火パネル1,1どうしを接合することによって、パネル1,1どうしの接続部である目地部14の隙間を有効に塞いで、耐火性能及び遮音性能を高めることができる。
【0065】
またこの界壁構造では、一定の空間部Sを隔てて並立する両側の耐火パネル1,1は、耐火パネル1の上下両端部をそのボルト取付孔6を利用して、H形鋼からなる土台8等の下部横架材に取り付けた取付金物10にボルト11止めするようにしたから、両耐火パネル1,1を一定の間隔に精度良く簡単容易に取り付けることができ、施工能率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(a) は本発明に係る耐火パネルを用いた界壁構造の縦断面図、(b) は左側半分が(a) のX−X線断面図であり、右側半分は(a) のY−Y線断面図で、耐火ボード16,17を取り外した状態の断面図である。
【図2】(a) は図1の(a) のイ−イ線断面図、(b) は(a) の矢印ロで示される部分の拡大図であり、
【図3】耐火パネルの拡大斜視図である。
【図4】石膏ボードがパネル長手方向及び幅方向に継ぎ足して形成された耐火パネルの拡大斜視図である。
【図5】図1の(a) の矢印ハで示される部分の拡大断面図で、ボルト取付孔の詳細な構造を示す。
【図6】(a) はボルト取付孔の他の実施形態を示す図5と同様な断面図、(b) は鞘管を示す斜視図である。
【図7】(a) はボルト取付孔の更に他の実施形態を示す斜視図、(b) はその断面図である。
【図8】板厚9.5mmの石膏ボードと板厚12.5mmの石膏ボード比較性能試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
1 耐火パネル
2 鋼板
3 石膏ボード
5 係合段部
6 ボルト取付孔
8 土台
9 胴差し
10 取付金物
13 石膏ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の鋼板間に複数枚の石膏ボードを挟むように配置して、石膏ボードどうし及び石膏ボードと鋼板とを互いに接着剤により接着して一体化してなる耐火パネル。
【請求項2】
2枚の鋼板間には少なくとも1枚の石膏ボードの厚さが9.5mmの石膏ボードを2枚配置してなる請求項1に記載の耐火パネル。
【請求項3】
2枚の鋼板間には厚さが9.5mmの2枚の石膏ボードを配置してなる請求項1に記載耐火パネル。
【請求項4】
一方側の鋼板及びこれに接する側の1枚又は複数枚の石膏ボードと、他方側の鋼板及びこれに接する側の1枚又は複数枚の石膏ボードとをパネル幅方向に所定寸法だけ互いにずらして、パネル幅方向両側端部に夫々係合段部を形成してなる請求項1〜3の何れかに記載の耐火パネル。
【請求項5】
両鋼板に挟まれる複数枚の石膏ボードは夫々パネル長手方向及び又は幅方向に継ぎ足して形成すると共に、複数枚の石膏ボードのうちの少なくとも1枚は、継ぎ足しボードどうしの接合部を、これに接する他の石膏ボードの継ぎ足しボードどうしの接合部に対しパネル長手方向及び又は幅方向に所定寸法だけずらして形成してなる請求項1〜4の何れかに記載の耐火パネル。
【請求項6】
パネル長手方向両端部に夫々複数個のボルト取付孔を設けてなる請求項1〜5の何れかに記載の耐火パネル。
【請求項7】
各ボルト取付孔は、石膏ボードに貫通孔を設けると共に、両側の鋼板に下孔を設け、一方の下孔周辺部を絞り加工して他方の下孔周縁部に接合することにより形成される、ボルト頭部没入部とボルト挿通孔とからなる請求項6に記載の耐火パネル。
【請求項8】
各ボルト取付孔は、石膏ボードに設けた貫通孔に、一端側に内向き幅狭フランジ部を有し且つ他端側に内向き幅広フランジ部を有する鞘管を挿嵌すると共に、両側の鋼板に夫々下孔を同心状に設け、両鋼板の夫々の下孔周縁部を、鞘管の内向き幅狭フランジ部及び内向き幅広フランジ部に接合することにより形成される、ボルト頭部没入部とボルト挿通孔とからなる請求項6に記載の耐火パネル。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の耐火パネルを用いた界壁構造であって、2枚の耐火パネルを一定の空間部を隔てて並立させてなる界壁構造。
【請求項10】
耐火パネルの上下両端部をそのボルト取付孔を利用して、H形鋼からなる土台等の下部横架材に取り付けた取付金物にボルト止めしてなる請求項9に記載の界壁構造。
【請求項11】
耐火パネルをパネル幅方向に複数枚接続するにあたって、各耐火パネルの両側端部に形成された係合段部を互いに係合させて耐火パネルどうしを接合してなる請求項9又は10に記載の界壁構造。
【請求項12】
前記空間部に吸音材及び又は断熱材を挿入してなる請求項9〜11の何れかに記載の界壁構造。
【請求項13】
各耐火パネルの壁外側面に石膏ボードをタッピングビスにより又はタッピングビス及び接着剤の併用により貼り付けてなる請求項9〜12の何れかに記載の界壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−224508(P2007−224508A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43646(P2006−43646)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(592050283)住金物産株式会社 (10)
【Fターム(参考)】