説明

耐熱ボトルの射出延伸ブロー成形方法

【課題】射出延伸ブロー成形による耐熱ボトルの成形を予備ブロー手段の採用によりプリフォームの胴部表面からの放熱を一時的に抑制して内部の蓄熱量の低減を阻止し、本ブロー成形までの胴部温度を高めて可能となす。
【解決手段】射出成形したPETのプリフォームの胴部肉厚を3.0〜4.5mmとする。プリフォームを射出金型と射出コアから高温離型する。プリフォームの予備ブローを離型後5±0.5秒、予備ブロー型の温度112〜117℃、予備ブロー時間0.5〜1.0秒に制限する。エアブローによりプリフォーム胴部のみ膨張する。本ブロー成形を予備ブロー型からの離型後3〜4秒、本ブロー型の温度103〜107℃、エアブロー時間6〜9秒に制限して行い、プリフォームをボトルに延伸ブロー成形すると同時にヒートセットして耐熱性を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、射出成形したポリエチレンテレフタレート(PET)のプリフォームを予備ブローした後に本ブロー成形し、その本ブロー成形でボトルに耐熱性を付与する射出延伸ブロー成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PETボトルの成形方法に、プリフォームを射出成形時にガラス転移点以下に急冷して、プリフォームの胴部内外の表層が冷却温度と時間との関連から半硬化状態で内部が高温であるうちに射出金型と射出コアから離型し、そのプリフォームを表面温度がピーク温度に達するまでの間に延伸ブロー成形して胴部が薄肉のボトルに成形する、所謂、ホットパリソン方式と称されている射出延伸ブロー成形法がある。
【0003】
またホットパリソン方式における耐熱ボトルの成形手段として、射出ステーションにて高温離型したプリフォームを温調ステーションに移し、プリフォームを温度調整を行ったのち延伸吹込成形ステーションに移して、中空成形品(ボトル)に延伸吹込成形し、そのボトルを2次加工ステーションに移して、熱処理用金型で高温の空気をボトル内に吹き込んで熱処理するのがある。
【0004】
また温調手段として、冷却した温調型に高温離型したプリフォームを収容し、そのプリフォームを予備ブローにより胴部のみを膨張して、胴部肉厚と温度を均一化する方法かあり、さらに温調型と吹込型を並設し、その両型をプリフォームに対し交互に移動して、予備ブローして温調してから本ブロー成形により延伸吹込成形を行うものもある。
【特許文献1】特開平07−505742号公報
【特許文献2】特開昭60−247541号公報
【特許文献3】特開昭58−208020号公報
【特許文献4】特開昭58−194521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記射出延伸ブロー成形におけるプリフォームでは、胴部内外の表層が半硬化状態で内部が高温であるうちに射出金型と射出コアから離型されていることから、図9にグラフ示すように、プリフォームの胴部の内部中央と表面の温度に著しい高低差がある。また胴部断面の温度分布でも図10に示すように中央部が高温の山形を呈している。この図9、図10は実測表面温度と、その実測表面温度からシュミレイションした中央部温度を示すものである。このような胴部温度は、時間の経過にともなう表面からの放熱により内部の熱エネルギーが減少して中央部の温度が降下し、また反対に表層は内部から加熱された状態となるので表面温度は上昇する。この相対的な温度変化により温度差は減少して、温度分布も高い山形t1 から低い山形t2 に、さらにはなだらかな丘形t3 に変化して均一化してゆく。しかし、温度が均衡するまでの時間は長く、表面温度がピーク温度に達した後でもある程度の温度差を保っている。
【0006】
プリフォームの外表面温度がピーク温度に達する前の延伸ブロー成形では、胴部内外の温度が不均一で、その温度差から成形されたボトルの胴部横断面における結晶密度に差が生ずるが、内部中央よりも温度が低く結晶温度領域にある表層の方が結晶密度が高密度であることによって、表面光沢及び落下強度が良好な良質のボトルが得られる。このボトルの落下強度は表層の領域(厚さ)を増すほど向上するが、表層領域の増加は内部中央の高温領域の縮小となり、蓄熱量の低減ともなるので、冷却による表層の形成には制限がある。また結晶密度の分布状態から表層が剥離し易くなることもある。そこで温調手段の採用によりプリフォームの胴部温度を内外均一に調整することが行われている。
【0007】
またホットパリソン方式により延伸ブロー成形したボトルは、コールドパリソン方式によるものと比べて結晶密度が低密度とされ、密度の分布状態が不均一であることから耐熱処理に難点があるとされている。このため高温離型したプリフォームの温度を均一に調整してからボトルに延伸ブロー成形し、そのボトルを熱処理して耐熱性を有するボトルとしている。したがって、ホットパリソン方式による耐熱ボトルの成形は時間を要し、成形したボトルを2次加工により耐熱処理するので歩留りが悪くコスト高となる課題を有する。
【0008】
この発明は、上記射出延伸ブロー成形における耐熱ボトルの成形の課題を解決するために考えられたものであって、その目的は、予備ブロー手段の採用によりプリフォームの胴部表面からの放熱を一時的に抑制して内部の蓄熱量の減少を阻止し、本ブロー成形に至までの胴部温度を高く維持してボトルの延伸ブローとヒートセットの両方を本ブロー成形により可能とする新たな耐熱ボトルの射出延伸ブロー成形方法を提供することにある。
【0009】
上記目的によるこの発明は、 ポリエチレンテレフタレートのプリフォームを射出成形時にガラス転移点以下の温度に急冷して、胴部内外の表層が冷却温度と時間との関連から半硬化状態で内部が高温であるうちに射出金型と射出コアから離型し、そのプリフォームを予備ブローしたのち、本ブロー成形により胴部が薄肉で耐熱性を有するボトルに延伸ブロー成形するにあたり、上記プリフォームの胴部肉厚を3.0〜4.5mmとし、そのプリフォームの予備ブローを、離型後5±0.5秒、予備ブロー型の温度110〜117℃、予備ブロー時間0.5〜1.0秒に制限して、エアブローによりプリフォーム胴部のみ膨張して行い、上記本ブロー成形を、離型後3〜4秒、本ブロー型の温度103〜107℃、エアブロー時間6〜9秒に制限して行い、予備ブロー後のプリフォームを上記ボトルに延伸ブロー成形すると同時にヒートセットして耐熱性を付与してなる、というものである。
【0010】
また上記予備ブロー型は割型で上記プリフォームの胴部外径よりも直径が0.5〜2.75mm大きい予備ブローキャビティを備え、その予備ブローキャビティ内のプリフォームをエアブローにより直径差分だけ膨張して胴部肉厚の偏肉を低減するともに、ブローキャビティ面との圧接により胴部外表面からの放熱を0.5〜1.0秒抑制してなる、というものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明では、予備ブローによるプリフォームの放熱が一時的に抑制されて、本ブロー成形までの胴部温度を高く維持できるので、ホットパリソン方式による延伸ブロー成形でも、ボトルの延伸ブロー成形とヒートセットの両方を同時に効率よく行え、成形したボトルを他に移してヒートセットを二次加工として行う場合よりも短い時間で耐熱性を有するボトルの成形が可能となる。またボトルの移し替が不要となることから、ヒートセットに移行する間に生じがちな不良品の発生もなく、成形効率の向上と相俟って製造コストの低減ともなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図5は、この発明に係わる耐熱性ボトルの延伸ブロー成形方法に採用される金型装置の1例を示すものである。
【0013】
図1は、射出成形操作部に設置した有底のプリフォーム10(図2参照)の射出キャビティ型1で、キャビティ11の周囲に冷却水路11aを有し、底部に射出ノズル12を有する。この射出キャビティ型1の上端部は、プリフォーム10のネック部を成形するネック型13の嵌合凹部に形成してある。またネック型13は移送板14の下側に取付けた左右一対の支持枠部材15に開閉自在に設けてあり、その移送板14は昇降盤17の下側面に間欠回転自在に設けてある。
【0014】
16はプリフォーム10の内側を成形する射出コアで、昇降盤上に上下動自在に設けた型締ブロック18の下面に下向きに取付けてあり、その内部には冷却水路16aが設けてある。この射出コア16は、昇降盤17と共に移送板14が降下して射出キャビティ型1とネック型13とがほぼ同時又は型閉してから、型締ブロック18と共に降下して、移送盤14に穿設した穴部からネック型13を通して射出キャビティ型内に挿入され、キャビティ面との間に有底のプリフォーム10を射出成形するキャビティ11を形成する。
【0015】
図3は、延伸ブロー成形操作部に設置したプリフォーム10の予備ブロー型2と、ボトル成形用の本ブロー型3とを示すもので、その両方は基盤4上に往復動自在に設置した座体41の上に開閉自在に設けた一対の型締板40に取付けて並設してあり、その型締板40の開閉動作により両型は同時に型開閉するようにしてある。また座体41の内部には移動装置42が水平に設けてある。この移動装置42は両型の移動方向に長く基盤4に固定した油圧シリンダ42aと、座体41の側壁に先端を止着したピストン42bとからなり、該ピストン42bの伸縮により座体41と共に両型をプリフォーム10に対し交互に移動する周知のものからなる。
【0016】
上記金型装置では、予備ブロー型2と本ブロー型3とを同一座体41上に並設しことによって、座体41の横移動により予備ブロー型2の位置に本ブロー型3を移すことができる。こりによりネック型13に保持されたプリフォーム10を移動せずに型交換ができることから、予備ブローから本ブロー成形への移行が短時間で行えるようになる。
【0017】
図4は上記予備ブロー型2の1例を示すもので、上記一対の型締板40の対向面に取付けて左右に開閉自在に設けた一対の割型20,20からなり、中央上端には上記ネック型13が嵌合する凹所が形成してある。この割型20,20の型閉によりプリフォーム10の胴部を収容する予備ブローキャビティ21が形成される。この予備ブローキャビティ21は高さがプリフォーム10の胴部高さと同一で、直径がプリフォーム胴部直径よりも0.5〜2.75mm大きく、胴外面とキャビティ面との間に0.25〜1.375mmのブロー間隙が生ずるキャビティからなり、割型内にヒートパイプ20aを有する。
【0018】
図5は、上記本ブロー型3の1例を示すように、上記一対の型締板40の対向面に取付けて左右に開閉自在に設けた一対の割型30,30と底部中央の底型32とからなり、中央上端には上記ネック型13が嵌合する凹所が形成してある。この本ブロー型3には図では省略するが加熱手段が設けてあり、割型30,30の型閉により図6に示す形態のパネル付きボトル6のブローキャビティ33が形成される。
【0019】
図中5は予備ブロー型2と本ブロー型3の両方に共用される延伸ブロー手段で、上記昇降盤17の上に昇降自在に設けた型締ブロック51の下面に下向きに取付けたブローコア52と、その内部中央にエアの流通間隙53を周囲に設けて上下動自在に挿通した伸長ロッド54とからなり、そのブローコア52は型締ブロック51と共に降下して上記ネック型13と嵌合する。また伸長ロッド54はブローコア52がネック型13と嵌合したのち伸長し、予備ブロー型内ではプリフォーム10の固定ロッドとして機能する。また本ブロー型3ではブローキャビティ内のプリフォーム10を上記底型32の型面まで伸長する延伸ロッドとして機能する。
【0020】
次に上記金型装置による、ポリエチレンテレフタレート(PET)の耐熱ボトルの成形方法について説明する。
先ずプリフォーム10を射出成形する。射出キャビティ型1と射出コア16の温度はガラス転移点以下の14〜16℃に設定するが、上記ネック型13については、型締により射出キャビティ型1と接触している間に冷却されるので特に温度設定はされていない。
【0021】
上記金型装置の温度が設定温度に達したら、ネック型13を降下して射出キャビティ型1と型閉し、その型閉とほぼ同時又は型閉してから、射出コア16をキャビティに挿入して型締し、プリフォーム成形用のキャビティ11を形成する。型締終了後に、射出ノズル12から設定温度260°〜270℃で溶融したポリエチレンテレフタレートの樹脂をキャビティ11に射出充填する。
【0022】
キャビティ11に充填された溶融樹脂は、上記温度に設定されたキャビティ型1とネック型13及び射出コア16とにより急冷されて、首部と胴部及び底部が一体の上記プリフォーム10(図2参照)となる。この冷却時間(保圧終了後の設定時間)はプリフォーム胴部の肉厚により異なるが、何れの場合でも胴部内の冷却が未完で高温状態にあり、内外表面に半硬化状態に生じた表層(スキン層)によりプリフォーム形態が保たれて離型が可能となる時間(3〜7秒)に制限される。
【0023】
冷却時間が肉厚に対応した時間よりも短いと、表層の半硬化が不十分で射出コアからの抜取りが行えず、離型によりプリフォーム10の形態が損なわれる。また反対に長くなると過冷却となって、内外の表層領域の厚さが増して胴内部の高温領域が狭くなり、それに伴う内部の熱エネルギーの不足から、離型後の外表層の加熱軟化が不十分となって、離型後にプリフォーム胴部(以下胴部と略称する)を予備ブローにより調整(肉厚及び温度)してボトルの本ブロー成形を行う場合でも、偏肉が生じて耐熱性のあるボトルを成形することが困難となる。
【0024】
上記射出冷却時間の経過後、ネック型13と射出コア16とを上昇して、ネック型13によりプリフォーム10をキャビティ11から離型する。これによりプリフォーム10は、図2に示すように、中空状態でネック型13に保持され、移送板14による上記予備ブロー型2への移送が可能となる。
【0025】
離型後のプリフォーム10をネック型13により保持して中空状態で放置すると、胴部壁における内外の温度差が図9及び図10に示すように著しいことから、外表面が内部熱により加熱されて外表面温度がピークに達するまで急上昇してゆく。胴部肉厚3.0〜4.5mmのプリフォームでは離型直後からピーク温度に達するまでの時間は16秒以内で、ピークを過ぎると外表面温度は徐々に降下してゆく。
【0026】
次に離型したプリフォーム10を、ネック型13と共に移送板4により直ちに上記予備ブロー型2の上に移し、射出キャビティ型1とネック型13の型閉後に予備ブローする。この際、プリフォーム10を予備ブローするまでの時間は離型後5±0.5秒に制限し、予備ブロー型2の温度を110〜117℃の範囲に設定しておく。
【0027】
予備ブローは、上記割型20.20の型閉前にブローコア52を上方からネック型13に嵌合し、伸長ロッド54をブローコア52内からプリフォーム底面まで挿入して、型閉後にプリフォーム10を予備ブローキャビティ内に固定する。その後にブローコア52からプリフォーム胴部内に予め設定した低圧エア(例えば1.4〜1.7MPa)のエアブローを短時間(0.5〜1.0秒)を行う。
【0028】
このエアブローにより胴部は、予め設定した胴部外径とキャビティ内径の差分だけ膨張により伸びて薄減するので、成形時に生じた偏肉がなくなる。また上記温度に加熱されているキャビティ面との接触により外表面からの放熱が抑制されて内部熱量が蓄積され、胴部肉厚の薄肉化に伴い内部温度にもある程度の移動が生じて、プリフォーム成形時に生じた温度むらも解消されるようになる。
【0029】
図7,図8は、胴部肉厚3.5mm、4.2mmの2種のプリフォームについて、予備ブローをしない通常成形の場合の外表面温度aの経時変化と、予備ブローした後の外表面温度b〜fの経時変化を示すものである。この温度グラフから明らかなように、延伸ブロー成形の目安となる外表面温度は、射出キャビティ型1から抜き出された時から内部熱により加熱されて急上昇する。しかし、予備ブローをしない場合にみられるように、外表面温度は離型後8〜9秒辺りから上昇は緩やかとなってピーク温度に達する。これは外表面からの放熱により内部熱量が減少することによるもので、胴部肉厚3.0〜4.5mmでは、外部から加熱を行わない限りピーク温度を高くすることはできない。
【0030】
上記予備ブロー型2における設定温度105〜117℃は、温度グラフからみると、離型後5±0.5秒の外表面温度(3.5mm:114〜117℃、4.2mm:114〜116℃)と同じ又は以下ではあるが、予備ブローされている0.5〜1.0秒の間、その設定温度により保温された状態にあって外表面からの放熱が抑制され、放熱による内部熱量の損失が減少して放熱分が蓄熱される。これにより予備ブロー後の外表面温度は予備ブローを行わない通常成形の場合よりも上昇し、ピーク温度も高くなる。
【0031】
また設定温度100℃でも予備ブロー後の温度は予備ブローしない通常成形のときよりも上昇するが、その後の本ブロー成形でヒートセットしても耐熱性については通常成形の場合とあまり変わらない。設定温度120℃では予備ブロー後の温度が著しく上昇し、本ブロー成形した際に胴部がブローキャビティ面に貼り付いて成形不良となる。また予備ブローの開始時間を離型後4秒以前に設定することは、機械の作動速度による制約から難しく、外表面温度も低く内部との温度差も大きいことから予備ブローによる上記効果を期待することができない。離型後6秒以後では外表面と内部との温度差が小さく、予備ブローによる放熱抑制の効果は期待できない。
【0032】
なお、温度グラフにおいて予備ブロー型2から離型した後の外表面温度が、胴部肉厚4.2mmでは胴部肉厚3.5mmとの比較において低くいが、これはプリフォームの離型が可能となるまでの冷却時間が、肉厚3.5mmの場合よりも長く設定され、表層領域が厚く形成されることによるものである。
【0033】
上記予備ブローが終了したら割型20,20を型開してプリフォーム10を離型し、型開した割型20,20の間にプリフォーム10をネック型13に保持して残す。次に台座41を横移動して割型20,20と本ブロー型3の割型30,30との位置替えを行う。これによりプリフォーム10はネック型13と共に割型30,30の中央に位置するので、プリフォーム10はその後の型閉により形成されたブローキャビティ33に収まる。
【0034】
本ブロー型3の型閉前に、上記ブローコア52を上方からネック型13に嵌合し、伸長ロッド54をプリフォーム10の内底面まで挿入して、型締後にキャビティ底面まで伸長して延伸を行う一方、ブローコア52から高圧エア(例えば2.5〜3.5MPa)をプリフォーム内にブローして、プリフォーム10をキャビティ一杯に膨張してボトル6を形成する。このブロー時間は予め設定された時間(例えば6〜9秒)行い、ボトル胴部及び底部をヒートセットする。このヒートセットによりボトル6の胴部及び底部は90℃辺りの充填温度でも変形せずに耐えるようになる。
【実施例】
【0035】
使用成形機の機種 SBIII −250LS−50S(株)青木固研究所製
材料樹脂 ポリエチレンテレフタレート(PET)
温度測定機器 TVS−200 赤外線熱画像 日本アビオニクス製
成形品 耐熱ボトル(丸胴パネル付き500ml)
全高 207mm
首下長さ 186mm 胴部横幅 68mm
胴部肉厚(2例、胴部中央平均値)
(1) 0.35mm
(2) 0.40mm
【0036】
プリフォーム
全高 98mm
首下長さ 77mm
胴部外径(中央) 23.9mm
胴部肉厚(2例、平均値)
(1) 3.5mm
(2) 4.2mm
以下、胴部肉厚3.5mmを(1)、胴部肉厚4.2mmを(2)とする。
【0037】
成形条件(室温19℃) 但し温度、時間、圧力は設定値
プリフォーム成形条件
射出温度 260〜270℃
金型温度(キャビティ型・コア型) 16℃
充填保圧時間 (1) 7.2秒, (2) 9.5秒
冷却時間 (1) 3.5秒, (2) 5.0秒
【0038】
予備ブロー条件
予備ブロー開始時間(射出金型離型後) 5.0秒
キャビティ内径(中央部) 24.9mm
金型温度(℃) 105,110,115
ブローエア圧 1.6MPa
ブロー時間 (1) 0.7秒, (2) 0.8秒
【0039】
本ブロー成形条件
本ブロー開始時間(予備ブロー型離型後) 3.2秒
金型温度(℃) 103〜107
延伸倍率 縦(軸方向) 2.4倍
横(半径方向) 2.85倍
ブローエア圧 3MPa
ブロー時間 (1) 7.0秒 (2) 8.0秒
【0040】
予備ブロー後の外表面温度(A)と本ブロー成形時の外表面温度(B)
予備ブロー型温度 (A) (B)
105℃ (1) 118.8 122.3
110℃ (1) 119.6 123.9
115℃ (1) 125.2 128.4
予備ブロー型温度 (A) (B)
105℃ (2) 112.5 120.1
110℃ (2) 115.4 124.1
115℃ (2) 118.7 125.9
但し、(A)予備ブロー後1.2秒の温度、
(B)予備ブロー後3.2秒の温度
【0041】
[結果]
実施例.1 (充填温度90℃)
予備ブロー型 設定温度 115℃
本ブロー型 設定温度 103℃
容積変化(ml) 但し、形状安定後(14日間放置)のボトル
充填前内容量 充填後内容量 容量差
胴部肉厚(1) 546.9 543.5 −3.4
胴部肉厚(2) 548.3 545.8 −2.5
【0042】
実施例.2 (充填温度87℃)
容量変化(ml) 同上
充填前内容量 充填後内容量 容量差
胴部肉厚(1) 548.3 546.4 −1.9
胴部肉厚(2) 547.3 546.4 −0.9
【0043】
比較例.1 (充填温度90℃)
通常成形(予備ブローなし)
ブロー型 設定温度 103℃
容量変化(ml) 同上
充填前内容量 充填後内容量 容量差
胴部肉厚(1) 537.6 526.5 −11.1
胴部肉厚(2) 537.9 521.3 −16.6
【0044】
比較例.2 (充填温度87℃)
通常成形(予備ブローなし)
ブロー型 設定温度 103℃
容積変化(ml) 同上
充填前内容量 充填後内容量 容量差
胴部肉厚(1) 533.7 527.0 −6.7
胴部肉厚(2) 535.8 528.0 −7.8
【0045】
上記実施例1,2と比較例1,2との対比から明らかなように、この発明による実施例の方が、予備ブローを行わない比較例よりも容量差が小さい。容量減少は主に加熱によるボトル胴部の熱収縮によるものであるから、加熱充填後の容量減少が小さいこの発明によるPETボトルは、従来の通常成形(比較例)によるボトルよりも熱収縮し難く、また予備ブローによる肉厚分布の均一化及び胴壁内中央と表層側との温度差の低減と相俟って熱変形も生じにくい耐熱性を有するボトルとなる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】射出キャビティと射出コアの型締時における縦断面図である。
【図2】ネック型とプリフォームの離型状態を示す縦断面図である。
【図3】予備ブロー型と本ブロー型を並設した座体の縦断面図である。
【図4】予備ブロー型とネック型及びプリフォームの型締状態を示す縦断面図である。
【図5】本ブロー型とネック型及びプリフォームの型締状態を示す縦断面図である。
【図6】ボトルの正面図である。
【図7】プリフォームの肉厚3.5mmの外表面温度の経時変化を示すグラフである。
【図8】プリフォームの肉厚4.2mmの外表面温度の経時変化を示すグラフである。
【図9】プリフォーム離型後の胴部の外表面温度と内部温度の経時変化を示すグラフである。
【図10】同じくプリフォームの胴部断面の温度分布図である。
【符号の説明】
【0047】
1 射出キャビティ型
2 予備ブロー型
3 本ブロー型
5 延伸ブロー手段
6 ボトル
10 プリフォーム
11 射出キャビティ
13 ネック型
14 移送板
16 射出コア
21 予備ブローキャビティ
33 ブローキャビティ
40 型締板
41 座体
42 移動装置
52 ブローコア
54 伸長ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレートのプリフォームを射出成形時にガラス転移点以下の温度に急冷して、胴部内外の表層が冷却温度と時間との関連から半硬化状態で内部が高温であるうちに射出金型と射出コアから離型し、そのプリフォームを予備ブローしたのち、本ブロー成形により胴部が薄肉で耐熱性を有するボトルに延伸ブロー成形するにあたり、
上記プリフォームの胴部肉厚を3.0〜4.5mmとし、そのプリフォームの予備ブローを、離型後5±0.5秒、予備ブロー型の温度110〜117℃、予備ブロー時間0.5〜1.0秒に制限して、エアブローによりプリフォーム胴部のみ膨張して行い、
上記本ブロー成形を、離型後3〜4秒、本ブロー型の温度103〜107℃、エアブロー時間6〜9秒に制限して行い、予備ブロー後のプリフォームを上記ボトルに延伸ブロー成形すると同時にヒートセットして耐熱性を付与してなることを特徴とする耐熱ボトルの射出延伸ブロー成形方法。
【請求項2】
上記予備ブロー型は割型で上記プリフォームの胴部外径よりも直径が0.5〜2.75mm大きい予備ブローキャビティを備え、その予備ブローキャビティ内のプリフォームをエアブローにより直径差分だけ膨張して胴部肉厚の偏肉を低減するともに、ブローキャビティ面との圧接により胴部外表面からの放熱を0.5〜1.0秒抑制してなることを特徴とする請求項1記載の耐熱ボトルの射出延伸ブロー成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−279611(P2008−279611A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123485(P2007−123485)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(390007179)株式会社青木固研究所 (19)
【Fターム(参考)】