説明

耐透水性・柔軟性ホース

【課題】この発明は、内管に高い耐透水性を有する管を用い、その外周に柔軟性を有する外管を被覆した二重構造のホースとして、優れた耐透水性と柔軟性を併せ持つホースを得ようとするものである。
【解決手段】高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管2外周に、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)の外管3を被覆した耐透水性・柔軟性ホース1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、耐透水性・柔軟性ホースに関し、例えば塗料の供給配管用として好適に使用されるホースに関する。特に塗料の溶媒である水に対して耐透水性があるとともに、柔軟性も有するホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車塗装に用いられている塗料供給管ホースとしては耐水性と柔軟性の双方が要求される。自動車塗装の塗料は、その多くが水性塗料であるので高圧で供給される塗料の溶媒の水がホースの側壁から滲み出さないような耐透水性が要求される。また、自動車塗装はロボットを用いて行われるのでホースの柔軟性も強く求められるものである。
【0003】
こうした耐透水性と柔軟性を備えた塗料供給管ホースとしては、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)などのホースがこれまで一般的に使用されてきた。しかしながら、この従来のFEPホースは、耐透水性が必ずしも十分でないために、使用中に水性塗料の溶媒である水がホースの側壁から透出し、これが原因となってホース内の塗料濃度が所定値以上に上がって塗装に支障をきたすことが生じていた。
【0004】
そして最悪の場合は塗料が固まって搬送が出来なくなり、ホースを交換しなけばならない事態が生ずるようなことがあった。こうした事態が生ずると生産ラインに大きな影響を与えるのでその改善が望まれていた。しかし、これまではその対策としては格別なものはなかった。考えられるものとして、ホースを多層構造化して耐透水性を上げるなどであったが、この方法ではホースに必要な柔軟性が得られず、ロボットによる自動塗装で満足すべきホースではなかった。
【0005】
また、先行技術としては、エンジンへ燃料を送るフィードラインを構成する内管と、同内管の外周側を囲んだ外管とからなる管状体で、内管の外周面と外管との間に燃料の蒸気を流通させるエバポラインを構成するゴム製または樹脂製の二重管構造の燃料配管用チューブが公知である(例えば、特許文献1。)。
【特許文献1】特開平9−257163(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先行技術の特許文献1は、段落0011および段落0012にあるように、内管は外管と同じ樹脂材料でナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−66共重合体、ナイロン6/ナイロン66/ポリオレフィンのブレンド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などである。従って、この先行技術の内管の耐透水性は十分ではなく、例えば高圧で長期に使用する塗料供給管ホースなどとして用いることは出来なかった。また、この特許文献1では、内管に上記と同じナイロン樹脂、ポリオレフィン樹脂或いはポリエステル樹脂を用い、外管にアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ヒドリンゴム(CHC)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)などを用いることが開示されている。しかし、この場合でも内管の材質はナイロンなどであるから、同様に内管の耐透水性は必ずしも十分ではなかった。
【0007】
この発明は、内管に高い耐透水性を有する管を用い、その外周に柔軟性を有する外管を被覆した二重構造のホースとして、優れた耐透水性と柔軟性を併せ持つホースを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周に、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)の外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース(請求項1)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合した樹脂の内管外周に、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)の外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース(請求項2)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周に、高比重化しない四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース(請求項3)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合した内管外周に、高比重化しない四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース(請求項4)、前記外管が、ジャバラ状管である請求項1ないし4のいずれかである耐透水性・柔軟性ホース(請求項5)、前記外管が、螺旋状管である請求項1ないし4のいずれかである耐透水性・柔軟性ホース(請求項6)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周に、ポリウレタンホースの外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース(請求項7)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合してなる樹脂の内管の外周に、ポリウレタンホースの外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース(請求項8)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周に、ポリオレフィンホースの外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース(請求項9)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合した樹脂の内管外周に、ポリオレフィンホースの外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース(請求項10)前記ポリウレタンホースが、ホースの外側又は内部に繊維のブレードを設けたポリウレタンホースである請求項7または8に記載の耐透水性・柔軟性ホース(請求項11)前記ポリオレフィンホースが、ホースの外側又は内部に繊維のブレードを設けたポリオレフィンホースである請求項9または10に記載の耐透水性・柔軟性ホース(請求項12)、前記外管が、ジャバラ状管である請求項7ないし10のいずれかに記載の耐透水性・柔軟性ホース(請求項13)、前記外管が、螺旋状管である請求項7ないし10のいずれかに記載の耐透水性・柔軟性ホース(請求項14)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合した樹脂の内管外周にリブを設け、これに高比重化しない四フッ化エチレン(PTFE)樹脂の外管を被覆し、内管と外管との間に形成された隙間に液体を加圧注入した耐透水性・柔軟性ホース(請求項15)、高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周にリブを設け、これに高比重化しない四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の外管を被覆し、内管と外管との間に形成された隙間に液体を加圧注入した耐透水性・柔軟性ホース(請求項16)、高比重化した四フッ化エチレン(PTFE)にマイカを均一に混合した樹脂の内管外周にリブを設け、これに四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)の外管を被覆し、内管と外管との間に形成された隙間に液体を加圧注入した耐透水性・柔軟性ホース(請求項17)および高比重化した四フッ化エチレン(PTFE)樹脂の内管外周にリブを設け、これに四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)の外管を被覆し、内管と外管との間に形成された隙間に液体を加圧注入した耐透水性・柔軟性ホース(請求項18)である。
【発明の効果】
【0009】
この発明のホースによれば、内管が高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)或いはこれにマイカを均一に混合したものであるから、このホースの耐透水性は内管によって充分に保障され、これに高圧の液体を連続して供給してもホース側壁から液体が浸出するようなことは防止することができる。また、この発明のホースでは外管に柔軟性のある四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、高比重化しない四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂を用い、或いはそのジャバラ状管またはらせん状管を用いたので、ホース全体としては柔軟性を持ったものとすることが出来る。従って、このホースを例えば自動車塗装に用いられている塗料供給管ホースとして使用した場合でも、使用中に塗料の溶媒である水がホースの側壁から浸み出し、ホース内の塗料濃度が所定値以上に上がって塗装に支障をきたすようなことは回避することができる。また、柔軟性もよくロボットによる作業で好適に使用することが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1はこの発明の実施例になる耐透水性・柔軟性ホース1の断面図を示すものである。図1で2は内管、3は外管で、内管2と外管3とは別体で、融着接合されておらず、内管2の外周に外管3が単に挿入されているだけで互いに自由に動くようになっている。
【0011】
内管2は耐透水性管である。内管2の材質は高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)が好ましいが、このPTFEにマイカを均一に混合したものは耐透水性がさらに向上する。PTFEを高比重化する際の比重の目安は2.15〜2.30の範囲が好ましい。比重が2.15未満では耐透水性が十分でなく2.30を超えると硬く脆くなる。また、マイカを混合するときは、基材PTFEに5〜15重量%の範囲で混合することが好ましい。マイカの混合比が5重量%未満では耐透水性効果の向上が十分でなく、またその混合比が15重量%を超えるとホース硬度が上がってホースの柔軟性を阻害することになる。
【0012】
内管は、通常のダイを用い樹脂を押し出し容易に成形することができる。例えば、ナフサ系の助剤とPTFE粉末を混合し、これを2〜40kg/cm2で圧縮したペースト状原料を、常温〜70℃でダイを用いて押し出し管状体を成形する。これを引き続き400℃の炉内で、従来よりやや遅い速度の1.2m/分で焼成したのち冷却し、高比重化したPTFE管を成形する。マイカを混合した場合についても同様である。即ち、ナフサ系の助剤とPTFE粉末を混合し原料を一旦軽く圧縮し、これを上記と同じ押し出しダイを用いて常温〜70℃で押し出し管状体を成形する。これを引き続き400℃の炉内で速度の1.2m/分で焼成したのち冷却し、高比重化したマイカを含むPTFE管を成形する。
【0013】
また、外管2は内管2に被覆される管で柔軟性の管である。その材質は、例えば四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)または高比重化しない四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の管、或いはこれらのジャバラ状管(図2の4)や螺旋状管(図3の5)が好ましい。螺旋状管は口金が螺旋状のダイを用いて押し出して成形する。ジャバラ状管は一旦押し出した管を内側がジャバラ状の金型に嵌め加熱・加圧或いは外側を吸引するなど公知な方法で成形する。なお、ジャバラ状管は、図2に示すようなものの外、ジャバラ状に突出してい部分の内側は中実となって、厚さがこの部分で厚くなっているような変形ジャバラ状のものでもよい。
【0014】
この他に外管は、ポリウレタンホース、ポリオレフィンホースなどでもよく、さらにブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム−プロピレン共重合体ゴム、スチロール系樹脂などで外管を形成することもできる。また、ポリウレタンホース、ポリオレフィンホースでは外表面または内部に繊維のブレード(図4の6)を設けると強度が向上する。編組繊維の材質としては、有機繊維としてナイロン、ポリエステル、アラミド繊維などがあり、金属繊維としてステンレス鋼などがある。
【0015】
この発明のホースは、上記のような耐透水性の内管を用い、その外側に柔軟性の外管を非溶着・非接着の状態で被覆することで、柔軟性をもったホースでありながら高圧の液体をこの中に通過させたときでもホース壁からの液体の浸出を防ぐようにすることが可能となる。即ち、内管は耐透水性を主目的とし柔軟性を従とした管とし、一方、外管は柔軟性を主目的とし耐透水性を従とした管とし、これらの特性をもった内管と外管を組み合わせて両者で耐透水性と柔軟性の双方の目的を達成したホースとしようとするものである。
【0016】
本発明の外管のみでは耐透水性はもちろん得られないが、耐透水性を主目的とする内管だけの単独であっても十分な耐透水性は得られない。そこで、この発明では耐透水性を補完するために、柔軟性を主目的とし耐透水性を従とした外管をこれに被覆し、これらを併用して耐透水性ホースとし、さらに柔軟性をもったホーすとしたものである。
【0017】
なお、上記の説明では内管に高比重化したPTFEを用いたが、内管に高比重化しないPTFE(比重2.10〜2.15)を用いないで耐透水性・柔軟性ホースを得ることも可能である。その組み合わせは、例えば内管に高比重化しないPTFE管を用い、或いはマイカを均一に混合した高比重化しないPTFE管として、外管に四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)樹脂管を用いること、内管は上記と同じにして、外管をジャバラ状管或いは螺旋状管とすることなどである。さらに、外管をポリウレタン或いはポリオレフィンなど、さらにはそれらのジャバラ状管或いは螺旋状管とすることなどである。
【0018】
請求項15ないし18の発明は、内管と外管の間に隙間を設け、ここに液体を加圧注入したものである。内管と外管の間に予め加圧した液体を注入することによって、内管と外管の隙間の液体と、内管内の塗料の溶媒としての液体の圧力がバランスして、内管の中に送られる塗料の溶媒である水がホース側壁を通って外側に浸出することを回避できるものと考えられる。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
押し出しダイを用い、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)ファインパウダーにナフサ系の助剤を混合したものを押し出し、内径3.0mm、外形3.5mm、長さ3mの管を押し出した。これを400℃の炉内を1.2m/分の速度で通過することによって焼結して高比重化PTFE(比重2.20)の管を得た。一方、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)を溶融押し出し成形して、内径3.6mm、外径4.0mm、長さ3mの外管を押し出した。この外管を上記の内管に挿入して内外2重管とした。
【0020】
この2重管の一端を閉塞し、他端から高圧の液体(1Mpa)を24時間圧入したところ、外管の表面から液体の浸出は認められなかった。比較例1として、内径3.0mm、外径4.0mmの四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)のみの一重管を用いて、上記と同様に一端を閉塞し、他端から高圧の液体(1Mpa)の液体を24時間圧入したところ、外管の表面から液体の浸出が目視ではっきりと認められた。また、これら二種のホースを折り曲げその柔軟性を比較したところ、実施例1のホースの柔軟性は比較例1のホースと同等或いはそれより若干良かった。
【0021】
(実施例2)
四フッ化エチレン樹脂(PTFE)ファインパウダーにナフサ系の助剤を混合し、さらにマイカを5重量%添加して均一に混合したものを実施例1と同様にして押し出し、内径3.0mm、外径3.5mm、長さ3mの管を作成した。これを400℃の炉内を1.2m/分の速度で通過することによって焼結して高比重化PTFE(比重2.20)の管を得た。一方、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)を実施例1と同じように溶融押し出し成形して、内径3.6mm、外形4.0mm、長さ3mの外管を押し出した。この外管を上記の内管に挿入して内外2重管とした。
【0022】
この2重管の一端を閉塞し、他端から高圧の液体(1Mpa)の液体を24時間圧入したところ、外管の表面から液体の浸出は認められなかった。また、この実施例2のホースと上記比較例1のホースとを同じように折り曲げその柔軟性を比較したところ、実施例2のホースの柔軟性は比較例1のホースと同等或いはそれより若干良かった。
【0023】
(実施例3)
押し出しダイを用い、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)ファインパウダーにナフサ系の助剤を混合したものを押し出し、内径3mm、外径3.5mm、長さ3mの管を押し出した。これを400℃の炉内を1.2m/分の速度で通過することによって焼結して高比重化PTFE(比重2.20)の管を得た。一方、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)を溶融押し出し成形して、内径3.6mm、外径4.0mm、長さ3mの外管を押し出した。この外管を再度400℃の炉内を通過させてらせん状の金型を通過させ、その後冷却して外形が螺旋状の外管を得た。この外管を内管に挿入して内外2重管とした。この2重管の一端を閉塞し、他端から高圧の液体(1Mpa)の液体を24時間圧入したところ、外管の表面から液体の浸出は認められなかった。また、この実施例3のホースと上記比較例1のホースとを同じように折り曲げその柔軟性を比較したところ、実施例3のホースの柔軟性は比較例1のホースと同等或いはそれより若干良かった。
【0024】
(実施例4)
押し出しダイを用い、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)ファインパウダーにナフサ系の助剤を混合したものを押し出し、内径3.0mm、外径3.5mm、長さ3mの管を押し出した。これを400℃の炉内を1.2m/分の速度で通過することによって焼結して高比重化PTFE(比重2.20)の管を得た。一方、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)を溶融押し出し成形して、内径3.6mm、外径4.0mm、長さ3mの素材外管を押し出した。
【0025】
この素材外管を内側がジャバラ状で一方の片側を封止した割り金型内にセットし、これを炉内で300℃に加熱し素材外管が軟化したところで他の片端から空気を導入し、1.0Mpaの内圧を加え素材外管を金型に密着させた。その後素材外管を金型にセットした状態で常温の水で30分冷却し、金型を外し外形がジャバラ状の外管を得た。この外管を内管に挿入して内外2重管とした。この2重管の一端を閉塞し、他端から高圧の液体(1Mpa)の液体を24時間圧入したところ、外管の表面から液体の浸出は認められなかった。また、この実施例4のホースと上記比較例1のホースとを同じように折り曲げその柔軟性を比較したところ、実施例4のホースの柔軟性は比較例1のホースと同等或いはそれより若干良かった。
【0026】
(実施例5)
押し出しダイを用い、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)ファインパウダーにナフサ系の助剤を混合したものを押し出し、内径3.0mm、外径3.5mm、長さ3mの管を押し出した。これを400℃の炉内を1.2m/分の速度で通過することによって焼結して高比重化PTFE(比重2.20)の管を得た。一方、ウレタン樹脂を上記の内管と同じように押し出し成形し、その後冷却して内径3.6mm、外形4.0mm、長さ3mの素材外管を押し出した。この素材外管の表面にナイロン繊維のブレードを設けて外管とした。この外管を内管に挿入して内外2重管とした。この2重管の一端を閉塞し、他端から高圧の液体(1Mpa)の液体を24時間圧入したところ、外管の表面から液体の浸出は認められなかった。また、この実施例5のホースと比較例1のホースとを同じように折り曲げその柔軟性を比較したところ、実施例5のホースの柔軟性は比較例1のホースと同等或いはそれより若干良かった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、この発明の一実施例になる耐透水性・柔軟性ホースの断面図。
【図2】図2は、外管の一部をジャバラ状にした耐透水性・柔軟性ホースの一部断面を示す側面図。
【図3】図3は、外管の一部を螺旋状にした耐透水性・柔軟性ホースの一部断面を示す側面図。
【図4】図4は、外管の表面に繊維のブレードを設けた耐透水性・柔軟性ホースの側面図。
【符号の説明】
【0028】
1…耐透水性・柔軟性ホース、2‥内管、3‥外管、4‥ジャバラ状外管、5‥螺旋状外管、6‥表面に繊維のブレードを設けた外管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周に、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)の外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項2】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合した樹脂の内管外周に、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)の外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項3】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周に、高比重化しない四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項4】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合した内管外周に、高比重化しない四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項5】
前記外管が、ジャバラ状管である請求項1ないし4のいずれかである耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項6】
前記外管が、螺旋状管である請求項1ないし4のいずれかである耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項7】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周に、ポリウレタンホースの外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項8】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合してなる樹脂の内管の外周に、ポリウレタンホースの外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項9】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周に、ポリオレフィンホースの外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項10】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合した樹脂の内管外周に、ポリオレフィンホースの外管を被覆した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項11】
前記ポリウレタンホースが、ホースの外側又は内部に繊維のブレードを設けたポリウレタンホースである請求項7または8に記載の耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項12】
前記ポリオレフィンホースが、ホースの外側又は内部に繊維のブレードを設けたポリオレフィンホースである請求項9または10に記載の耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項13】
前記外管が、ジャバラ状管である請求項7ないし10のいずれかに記載の耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項14】
前記外管が、螺旋状管である請求項7ないし10のいずれかに記載の耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項15】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)にマイカを均一に混合した樹脂の内管外周にリブを設け、これに高比重化しない四フッ化エチレン(PTFE)樹脂の外管を被覆し、内管と外管との間に形成された隙間に液体を加圧注入した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項16】
高比重化した四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の内管外周にリブを設け、これに高比重化しない四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の外管を被覆し、内管と外管との間に形成された隙間に液体を加圧注入した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項17】
高比重化した四フッ化エチレン(PTFE)にマイカを均一に混合した樹脂の内管外周にリブを設け、これに四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)の外管を被覆し、内管と外管との間に形成された隙間に液体を加圧注入した耐透水性・柔軟性ホース。
【請求項18】
高比重化した四フッ化エチレン(PTFE)の樹脂管の内管外周にリブを設け、これに四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)の外管を被覆し、内管と外管との間に形成された隙間に液体を加圧注入した耐透水性・柔軟性ホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−977(P2009−977A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166561(P2007−166561)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000211156)中興化成工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】