説明

肺炎球菌血清型

血清型6Cと命名されたStreptococcus pneumoniaeの新しく新興の血清型、およびそれを同定するのに有用なアッセイ方法およびモノクローナル抗体が開示される。また、反復単位{→2)グルコース1(1→3)グルコース2(1→3)ラムノース(1→3)リビトール(5→リン酸}を持つ新規な肺炎球菌多糖体が開示される。この新しい血清型は肺炎球菌ワクチンに含まれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細菌学、免疫学および疫学に関する。より詳細には、本発明は、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)の新しい新興の血清型、ならびにこれらの血清型を同定するのに有用なアッセイ方法およびモノクローナル抗体に関する。
【0002】
(連邦政府支援研究の記載)
本発明は、部分的に、NIH助成金番号AI 30021下、米国連邦政府によって資金供給された。従って、連邦政府は本発明においてある種の権利を有し得る。
【0003】
(関連出願)
本願は、2005年12月28日付で出願された米国仮特許出願第60/754,354号および2005年4月28日付で出願された米国仮特許出願第60/796,139号に関連し、それらの優先権を主張する。
【背景技術】
【0004】
ストレプトコッカス・ニューモニエは、主として幼児および高齢者間の肺炎、髄膜炎、中耳炎ならびに敗血症についてのよく知られているヒト病原菌および主要な病原体である。ストレプトコッカス・ニューモニエは、血清学的に別個の炭水化物莢膜のその発現に基づいて90種の血清型に分類されている。莢膜多糖体(PS)に対する抗体は、同一莢膜血清型を発現する肺炎球菌に対する防御を提供し得る。現在利用可能な肺炎球菌ワクチンは、複数の血清型の莢膜PSの混合物を含む。例えば、ある肺炎球菌ワクチン(PSワクチンと呼ばれる)は、23種の一般的に見出された血清型からの莢膜PSを含む。最も最近開発されたタイプのワクチン(共役ワクチンと呼ばれる)は、蛋白質分子に結合する7〜13種の血清型からの莢膜PSを含む。7価結合型ワクチンは、米国における臨床使用のために2000年に導入され、小児および成人における侵襲性肺炎球菌疾病の発生率を低下させた。
【0005】
肺炎球菌血清型の分布は、ワクチン効力を見積るのに有用である。理想的には、有効な肺炎球菌ワクチンは、ワクチンに含まれた血清型を発現する肺炎球菌の有病率を低下させ、非ワクチン血清型を発現する肺炎球菌の有病率を同じままとする。実際には、非ワクチンタイプを発現する肺炎球菌の有病率は、ワクチン血清型を発現するものに置き換わるように増加する。さらに、特定の血清型の有病率は、知られていない理由のために経時的に変化し得る。結果的に、肺炎球菌単離物の正確でかつ効率的な血清型別は肺炎球菌ワクチンの効力をモニターするのに重要である。実際には、新興の肺炎球菌血清型の同定は、公衆衛生における非常に重要な目標のままである。
【0006】
そのためには、現在のポリクローナル抗体が肺炎球菌血清型を同定およびモニタリングするのに有用であるが、モノクローナル抗体技術を利用し得る改善された同定アッセイ方法についての必要性、ならびに新しい血清型を同定する必要性が残っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は細菌学、免疫学および疫学に関する。より詳細には、本発明は、ストレプトコッカス・ニューモニエの新しい新興の血清型、ならびにこれらの血清型を同定するのに有用なアッセイ方法およびモノクローナル抗体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に示した具体例は、新しい新興の肺炎球菌血清型の同定およびそれを同定するための手段を提供する。より詳細には、本発明は、血清型6Aβまたは6C(それらは同義である)として本明細書に同定された、血清型6Aと密接に関係する新規な肺炎球菌血清型を提供する。
【0009】
さらなる要旨は、ストレプトコッカス・ニューモニエ6Cと命名された細菌の単離培養物を提供することである。
【0010】
もう一つの具体例は、反復単位{→2)グルコース1(1→3)グルコース2(1→3)ラムノース(1→3)リビトール(5→リン酸}を持つ新規な多糖体を提供する。
【0011】
もう一つの要旨は、新興の肺炎球菌血清型を同定するのに有用なモノクローナル抗体(mAb)を提供することである。かくして、本発明は、本明細書でmAb Hyp6AM3、mAb Hyp6AM6およびmAb Hyp6AGlと同定された血清型6Cを識別するのに有用なモノクローナル抗体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(図面の簡潔な記載)
図1は、阻害ELISAの結果を示す。肺炎球菌の溶解物の希釈(X軸)に対する結合した抗体(Y軸)。溶解物は、2つの6Aβ単離物(連続線の黒記号)、3つの6Aα単離物(点線の白記号)および2つの6B単離物(破線の連絡線)を含む。アッセイに用いた抗体は、Hyp6AGl(パネルA)、Hyp6AM3(パネルB)、ウサギプール血清Q(パネルC)およびウサギ「因子6b」血清(パネルD)であった。
【0013】
図2は、種々の肺炎球菌でのオプソニン化アッセイデータを示す。オプソニン化アッセイ反応の始めに反応ウェルに添加された細菌のパーセンテージとして測定された生存細菌数(Y軸)を、オプソニン化貪食作用死滅アッセイに用いたヒト血清の希釈(X軸)に対してプロットした。そのアッセイは種々の肺炎球菌を用い、6B単離物(白丸)、2つの6Aα単離物(白四角、白三角)、および7つの6Aβ単離物(破線で連結されたデータポイント)を含む。7つの6Aβ単離物は、ブラジル、韓国および米国からのものを含む。
【0014】
図3は、オプソニン化力価比較を示す。6A亜型に対するオプソニン化力価(Y軸)−対−6B血清型に対するオプソニン化力価(X軸)。円および三角形は、各々、6Aαまたは6Aβに対するオプソニン化力価を示す。この試験は、ワクチン接種しなかった20名の成人(左パネル)、あるいは結合型ワクチン(黒記号)または23価多糖体ワクチン(白記号)でワクチン接種した20名の成人(右パネル)からの血清を用いた。各ワクチン群は10名であった。アッセイの検出限界は4であり、検出できないオプソニン化力価を持つ試料を2の力価を有するように割り当てた。1つのスポットに複数データポントが存在した場合に、データポイントは人為的に広げて、データポイント数を示した。
【0015】
図4は、種々の肺炎球菌単離物からの一部のwciP遺伝子のDNA配列を示す。
【0016】
図5は、9つの6Aα単離物(レーン1〜9)および6つの6Aβ単離物(レーン10〜15)で得られたPCR生成物を示すアガロースゲルの写真である。Mとマークされた2つのレーンに、DNAサイズマーカーを負荷した。2つのレーンは、ゲルの右側における分子が左側のものより速く移動したことを示す。肺炎球菌のPCR生成物の上下の2本のマーカーバンドは、各々、2.036kbおよび1.636kb長である。6Aαおよび6Aβは、各々、約2kbおよび1.8kb長であったPCR生成物を生じた。
【0017】
図6は、単離物AAU9(中央バー)およびST745(2つのパーツでの底部バー)の肺炎球菌莢膜遺伝子座のwchA、wciN、wciO領域のダイアグラムを示す。比較のために、上部バーは、CR931638(GenBank受入れ)に基づいた肺炎球菌莢膜遺伝子座のwchA、wciN、wciO領域のダイアグラムを示す。遺伝子wchA、wciNおよびwciOは、それらの長さと共に上部バーの上に標識されている。ヌクレオチド配列の位置は上部バーの下に示され、本明細書に示した配列位置1は、CR931638の4902の配列位置に対応する。ST745株配列は193塩基対短く、その不足は2398および2591位間のギャップとして示された。
【0018】
図7は、過ヨウ素酸塩処理前後の6Aα(上部)および6C(6Aβ、底部)からの莢膜PSの炭水化物組成物(パネルA)を示す。単糖体は上部のクロマトグラムにおいて同定される。このGLC分析において、単糖体は、特有の保持時間および相対的比率を持つ複数のピークを生成できる。例えば、ガラクトースは、3つのピーク:第1のピーク(短い)、第2のピーク(最高)および第3のピーク(中間)を有するであろう。パネルBは、6Aα(灰色バー)および6C(6Aβ、黒色バー)についての各単糖体の標準化されたピーク面積を示す。各PSからのすべての単糖体のピーク面積は、関連するラムノースのピーク面積に標準化されている。6C(6Aβ)はガラクトースピークを示さないが、6Aαが示す2倍のグルコースを有する。
【0019】
図8は、6Aα(パネルA)および6Aβ(パネルB)の反復単位およびそれらの娘イオン(各々、パネルCおよびD)の質量スペクトルを示す。質量電荷比(m/z)は、2つの小数点に丸められた。
【0020】
図9は、酸化および還元(パネルA)後の6AβPSの反復単位およびそれらの娘イオン(パネルBおよびC)の質量スペクトルを示す。パネルBに用いた試料は、NaBHで還元し、パネルCについてのそれはNaBDで還元した。質量電荷比(m/z)は、2つの小数点に丸められた。(パネルBおよびCにおける)RlおよびR2は、ピークが逆断片化によって誘導されたイオンに対応することを示す。デルタ記号に続く数は、ピーク間のm/z単位の差を示し、フラグメントの名称と一体にした。パネルCにおける全ピークは、パネルBにおいて再生されず、汚染物質で有り得る136.98のピークを除いてパネルBにおけるピークに対応する。
【0021】
図10は、6C莢膜多糖体の提唱された化学構造およびその切断生成物の構造を示す。その6Cの反復単位の提唱された構造を、パネルCに示す。パネルAおよびBは、リン酸基がリビトールに結合されている場合およびホスホジエステルがグルコース1の第2の炭素に連結される場合の可能な分子イオンを示す。パネルD、EおよびFは、ホスホジエステルがグルコース1の第2の炭素(パネルD)、第4の炭素(パネルE)または第6の炭素(パネルF)に連結される場合の反復単位の潜在的な切断パターンを示す。水和形態が示され、水和に関与する残基は、括弧内に示される。過ヨウ素酸塩感受性部位は太字で示され、切断生成物はパネルAおよびFに示される。潜在的な分子イオンはそれらの原子質量単位と共に矢印を持つ点線で示される。GxおよびGyは潜在的なグルコース1フラグメントであり、Rxは、酸化および還元反応後に残るリボースフラグメントである。それらの原子質量単位は括弧内に示される。
【0022】
図11.この図はwciN領域交換実験ダイアグラムを示す:工程Aにおいて、TIGR6A4のwchA/wciNα/wciO−P領域はカセット1と置換された。カセット1は3つのパーツ(中核および2つのフランキング領域)を有し、各パーツは約1kb長である。中核は抗生物質感受性遺伝子のkanRおよびrpsL+を有する。2つのフランキング領域はAAU33株からのwchAおよびwciO−P領域で調製された。工程Bにおいて、TIGR6AX中のカセット1は、カセット2と置換された。カセット2は、6C株(CHPA388)からのwciNβ遺伝子、wchAおよびwciO−P領域を有する。TIGR6C4は、カセット2が挿入された後得られる最終産物を示す。遺伝子操作を単純化するために導入したPCRプライマー中のXbalおよびBamHIの部位を示した。
【0023】
図12は、6Aおよび6Cの単離物のwciN領域のPCR生成物の電気泳動パターンを示す。PCRに用いたプライマーは、wchAおよびwciO遺伝子に各々位置する5106および3101であった。Mでマークしたレーンは、DNAラダーを有する。2000および1650bpを持つ標準マーカーを左に示した。レーン1−13は、6C単離物のPCR生成物を含み、それらは、CHPA37(レーン1)、CHPA388(レーン2)、BG2197(レーン3)、BZ17(レーン4)、BZ39(レーン5)、BZ86(レーン6)、BZ650(レーン7)、KK177(レーン8)、CH66(レーン9)、CH158(レーン10)、CH199(レーン11)、MX−67(レーン12)およびACA−C21(レーン13)である。レーン14−18は、6A単離物のPCR生成物を含み、それらは、CHPA67(レーン14)、CHPA78(レーン15)、BZ652(レーン16)、KK58(レーン17)およびAAU33(レーン18)である。
【0024】
図13は、wchAの3’末端およびwciO遺伝子の5’末端のヌクレオチド配列と共にwciNβORFのヌクレオチド配列を示す。wciNβORFの潜在的なアミノ酸配列をヌクレオチド配列下に示す。また、wchAおよびwciNβの推定終止部位ならびにwciNβおよびwciO遺伝子の推定開始部位を示す。wciO遺伝子は、2つの潜在的な開始部位を有する。
【0025】
図14は、6A株(GenBank CR931638)および6B株(CHP A388)のwciNαおよびwciNβ領域のDNA配列を示す。wciN(約900−1110塩基)の非相同性中央領域の配列を示していない。PCRプライマー(5106、3101、5114および3113)の部位を示す。また、wchAおよびwciNβの潜在的な終止部位;およびwciNβおよびwciOの潜在的な開始部位を示す。
【0026】
図15は、6Aおよび6Cの単離物のwciN遺伝子を囲む莢膜遺伝子座の遺伝子地図を示す。地図はwchA(斜線)、wciN(水平バーまたは黒色)、wciO(格子縞模様)およびwciP(波状)遺伝子を示す。6A座は、wciNα遺伝子に上流(95塩基長)および下流(312塩基長)に2つの予期しないDNA断片(矢印で示す)を有する。wciO遺伝子についての代替的な開始部位は、その示された開始部位(6Aにつき2721位)に対して32塩基上流である。6C単離物について、wciNα領域における古いDNA(1222塩基、水平バーの領域)は、新しいDNA(1029塩基、黒色領域)と置換される。置換は、1125塩基を有する新しいORF(wciNβと命名された)を創製する。
【0027】
図16は、6A株(GenBank CR931638)および6C株(CHP A388)の莢膜遺伝子座を示す。莢膜合成に関与するすべてのORFは、水平の矢印として示され、それらの方向は転写の配向を示す。6Aおよび6Cの座の双方について、推定転写開始部位(曲った矢印)および推定終止部位(黒丸を含む縦線)を同定する。「トランスポサーゼ」配列(「tnp」と標識されたブラックボックス)は莢膜遺伝子座の両末端で見出される。
【0028】
図17は、6Cの血清型(単離物CHPA388)莢膜遺伝子座のDNA配列を示す。
【0029】
(発明の詳細な記載)
本発明は、本明細書に記載された特定の方法、プロトコールおよび試薬等に制限されず、それ自体が変化し得ると理解されるべきである。本明細書に用いた用語は、特定の具体例だけを記載するためのもので、特許請求の範囲により単に規定される本発明の範囲を制限するように意図するものではない。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲に用いた単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確に特記しない限りは、複数の参照を含む。かくして、例えば、抗体に対する参照は、当業者に知られていた等価物を含めた1以上のかかる抗体に対する参照である。操作例以外のまたは特記する場合の本明細書に用いた成分または反応条件の量を示す全ての数は、「約」なる用語により全ての例において修飾されると理解されるべきである。パーセンテージと関連して用いたその「約」なる用語は、平均±1%を意味し得る。
【0031】
同定されたすべての特許および他の刊行物は、例えば、本発明と関連して用い得るかかる刊行物に記載された方法を記載および開示する目的で引用により明確に本明細書の一部とみなす。これらの刊行物は、本願の出願日に先立ってそれらの開示のために単に提供される。この点に関して、発明者が、先行発明により、または他の理由のためにかかる開示を事前日時とする権利を与えられないという承認として解釈されるべきではない。日付に関する記載またはこれらの文書の内容に関する表示の全ては、出願人に利用可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関していずれの承認も構成しない。
【0032】
特に定義されない限りは、本明細書に用いた技術的および科学的な用語は、本発明が関係する当業者に一般的に理解されるようなものと同一の意味を有する。いずれの公知の方法、装置および材料も本発明の実施または試験に用い得るが、その方法、装置および材料はこの点に関して本明細書に記載される。
【0033】
ストレプトコッカス・ニューモニエは、グラム陽性の、ランセット形の球菌(わずかに鋭い外部の曲がりを持つ長方形の球菌)である。通常、それらは対の球菌(双球菌)と考えられるが、それらは単独で短連鎖中で生じ得る。血液寒天培地上で培養された場合、それらはアルファ溶血性である。個々の細胞は、直径が0.5〜1.25マイクロメートルである。それらは、胞子を形成せず、それらは非運動性である。他の連鎖球菌のように、それらはカタラーゼを欠き、グルコースを乳酸に発酵させる。他の連鎖球菌と異なり、それらはM蛋白質を示さず、それらはイヌリンを加水分解し、それらの細胞壁組成はそれらのペプチドグリカンおよびそれらのタイコ酸の双方に関して特有である。
【0034】
ストレプトコッカス・ニューモニエは、主として幼児および高齢者間の肺炎、髄膜炎、中耳炎ならびに敗血症についてのよく知られたヒト病原菌および主要な病原体である。Fedson & Musher in VACCINES 2nd ED. (Plotkin & Mortimer eds., W.B. Saunders Co., Philadelphia, PA, 1994). 完全に多糖体からなる莢膜は肺炎球菌細胞を包む。侵襲中に、莢膜は毒性の必須の決定因子である。莢膜は、細菌細胞のC3bオプソニン化を防ぐことにより食作用と干渉する。抗肺炎球菌ワクチンは、高度に流行性の株に由来した種々の莢膜(多糖体)抗原の処方に基づいている。
【0035】
ストレプトコッカス・ニューモニエは、血清学的に区別される炭水化物莢膜のその発現に基づいて90種の血清型に分類されている。Henrichsen, 33 J. Clin. Microbiol. 2759−62(1995). 莢膜多糖体(PS)に対する抗体は、同一莢膜の血清型を発現する肺炎球菌に対する防御を提供し得る。現在利用可能な肺炎球菌ワクチンは、複数の血清型の莢膜PSの混合物を含む。例えば、1つの肺炎球菌ワクチン(PSワクチンと呼ばれる)は、2〜3種の一般的に見出された血清型からの莢膜PSを含む。Robbinsら, 148 J. Infect. Dis. 1136−59(1983). 最も最近開発されたタイプのワクチン(共役ワクチンと呼ばれる)は、蛋白質分子にコンジュゲートする7〜13種の血清型の莢膜PSを含む。Wuorimaa & Kayhty, 56 Scand. J. Immunol. 111−29(2002). 7価結合型ワクチンは、米国における臨床使用のために2000年に導入され、小児における侵襲性の肺炎球菌疾病の発生率を低下させた。Whitney, 348 N. Engl. J. Med. 1737−46(2003).
【0036】
正確で有効な血清型別用の肺炎球菌単離物は、肺炎球菌ワクチンの効力を測定するために重要である。新しい肺炎球菌ワクチンの導入後に、ワクチン誘導抗体は血清型特異的な防御を提供する。従って、ワクチンに含まれた血清型を発現する肺炎球菌は余り多く発生せず、一方、非ワクチンタイプを発現する肺炎球菌の有病率は同一のままで有り得る。いくらかの場合において、非ワクチンタイプを発現する肺炎球菌は、ワクチン血清型を発現するものに置き換わり、非ワクチンタイプの有病率はより高くなり得る。Pelton, 19(1) Vaccine S96−S99(2000). さらに、血清型の有病率は、知られていない理由のために経時的に変化しかねない。Finland & Barnes, 5 J. Clin. Microbiol. 154−66(1977). これらの変化がワクチンの臨床的有効性に影響するために、多数の肺炎球菌単離物の血清型別は、肺炎球菌ワクチンをモニタリングする重要な部分である。
【0037】
さらに、ストレプトコッカス・ニューモニエ血清型6Aに関して、現在のワクチン製剤は6A PSを運ばないが、6Bに対して生起された抗体が6Aに交差反応すると考えられるために、6B PSを運ぶ。しかしながら、この現象は100パーセントではない:6B PSを含むいくつかのワクチンは、6Aに対する抗体を生起しない。Yuら, 180(5) J. Infect. Dis. 1569−76(1999). 事実、6Aのごとき非ワクチン血清型は、依然としてワクチン接種した小児において疾病を引き起しているようである。Clover & Klein, Strategies for Prevention and Treatment of Pneumococcal Disease, 44th Ann. ICAAC Meeting(Washington, DC, 2004). 従って、さらなる6A血清型の新興および重要はさらに重要になり得る。
【0038】
さらに、6Aおよび6Bの血清型は、侵襲性の肺炎球菌疾病の、各々、4.7パーセントおよび7パーセントを占める。Robbinsら, 148 J. Infect. Dis. 1136 59(1983). その医学的重要性のために、血清型6Aおよびその関連する血清型6Bの分子の性質は、広範囲に研究されている。生化学試験は、血清型が6Aおよび6B PSが、4つの単糖体:ラムノース、リビトール、ガラクトースおよびグルコースを含有する反復単位の線状ポリマーを含むことを見出した。Kamerling, in S. PNEUMONIAE:MOLECULAR BIOLOGY & MECHANISMS OF DISEASE 81 114(Tomasz, ed., Mary Ann Liebert, Inc, Larchmont, NY, 2000). 2つのPSはラムノースをリビトールに連結することの差を除いて同一で有り得る。より詳細には、6A PSは、1→3のラムノース−対−リビトール連結を有し、6B PSは、1→4のラムノース−対−リビトール連結を有する。
【0039】
遺伝学研究は、いずれの血清型を発現する肺炎球菌も、サイズが約17.5kbのほとんど同一の莢膜遺伝子座(CGL)を有することを報告する。配列情報は、例えば、Sanger Institute’s Sequencing Genomics Projectsサイトにてオンラインで入手可能である。一貫した相違点は、ラモノシルトランスフェラーゼをコードするwciP遺伝子に存在する。Mavroidiら, 186 J. Bacteriol. 8181−92(2004). 血清型6A wciP遺伝子は、残基195でセリンをコード化するが、血清型6B遺伝子はその残基でアスパラギンをコード化する。同上。セリンを含むラモノシルトランスフェラーゼが1−3の連結を作成し、アスパラギンを含むそれは1−4連結を作成すると考えられる。
【0040】
当該技術分野においてよく知られている他の種々の血清型別方法が存在するが、古典的方法は膨化(Neufeld)方法と呼ばれ;現在使用される方法は大部分はマニュアルで、遅く、遂行するのに単調である。「マルチビーズアッセイ」と命名された改善された血清型別アッセイは、フローサイトメーターで半自動的に行なうことができる多重免疫学的アッセイに基づいている。Parkら, 7 Clin. Diagn. Lab. Immunol. 486−89(2000). マルチビーズアッセイ特異性は、90種のすべての公知の血清型を表わす肺炎球菌株を用いて、十分に確立された。Yuら, 43(1) J. Clin. Microbiol. 156−62(2005). このアッセイが、肺炎球菌莢膜PSに対して特異的な多数のmAbを用いるために、優れた特異性を提供する。加えて、マルチビーズアッセイは、大部分は自動化され、高生産性を提供できる。結果的に、アッセイは多数の疫学的研究に有用で有り得る。
【0041】
モノクローナル抗体がポリクローナル試薬より特異的であるために、マルチビーズアッセイは特に有利である。6A血清型に関して、大部分の「6A」単離物(膨張反応およびポリクローナルの試薬によって規定された)は、6Aに特異的なモノクローナル抗体(Hyp6AGl、Hyp6AM6およびHyp6AM3)と反応し、いくらかの「6A」単離物は、1つのmAb(Hyp6AGl)と反応したが、他のもの(Hyp6AM6またはHyp6AM3)とは反応しなかった。本明細書に記載された他のテストは、Hyp6AM6またはHyp6AM3と反応しなかった6A単離物が従前に未同定の6A亜型であったことを確認した。換言すれば、そのモノクローナル抗体は、6A血清型内の亜型を認識した。Linら, 44(2) J. Clin. Microbiol. 383 88(2006)参照. 発明者らは、6Aαとしての双方のmAbsと反応する単離物、および6AβとしてHyp6AGlだけと反応するもののを従前に標識したが、実質的には本明細書において、6Aαが依然として6Aのままであり、その新しい血清型が、6Aβよりむしろ6Cとして同定されることをここに提唱する。換言すれば、6Aβおよび6Cの双方を本明細書に用いて、新規な肺炎球菌血清型を命名したが、それらは等価物である。そのため、血清型6Cは、91番目の肺炎球菌血清型を表わす。実際に、「6A」は、膨張反応によって「6A」として型別された単離物をいい、6A(6Aα)および6C(6Aβ)の双方を含む。
【0042】
新しい血清型の定義における考察はヒト化抗体とのその結合特性である。ヒト抗血清は、莢膜PS以外の肺炎球菌抗原に結合する非オプソニンの抗体を一般的に有するために、オプソニン化アッセイはELISAより特異的である。また、オプソニン化能力は、より直接的に肺炎球菌感染に対する免疫防御と関係する。従って、種々の6Aα、6Aβおよび6B単離物は、オプソニン化アッセイおよび高レベルの抗6B抗体を持つヒト血清を用いて比較された。ヒト血清は6Bならびに6Aαをオプソニン化したが(図2)、それはブラジル、韓国および米国からの7つの異なった6Aβ単離物をオプソニン化しなかった(図2)。一緒にすると、これらのデータは、6Aβ単離物が区別されるが、均一である血清学的特性を表示することを示す。
【0043】
また、遺伝学研究は、6C単離物が確かに、(密接に関連する6B血清型またはいくかの他の無関係な血清型よりむしろ)6A血清型のメンバーであることを確認した。ブラジル、韓国および米国から集められた10種の単離物の試験において、6Aβとして同定された10種の単離物のすべてが、血清型6AにおけるwciP遺伝子と一致する残基195にてセリンを有した。いくつかの肺炎球菌の単離物のwciP遺伝子のDNA配列を図4に示す。
【0044】
また、トランスフェラーゼ遺伝子wciNおよびwciOの遺伝子配列を比較した。wciN領域が、プライマー5016および3101(5106:5’−TAC CAT GCA GGG TGG AAT GTおよび3101:5’−CCA TCC TTC GAG TAT TGC)を用いてPCRによって検討された場合、検討された9つの6Aαのすべてが、検討された6つの6C単離物のすべてで行ったよりも200塩基対(bp)長い生成物を得た(図5)。6つの単離物は、韓国、米国およびブラジルからの6C単離物を含んだ。かくして、このPCRは、6A亜型に対する遺伝子テストとして用いることができる。
【0045】
次いで、1つの6Aα単離物(AAU9)および1つの6C単離物(ST745)からのPCR生成物のヌクレオチド配列を比較した(図6)。AAU9 PCR生成物における1203〜2959位(1757塩基)間の全塩基を配列決定し、その配列は、GenBankデータベースにおいて報告された6A単離物の莢膜座配列であるCR931638に相同性であることが判明した。対照的に、そのST745配列は、1368位までで、次に、2591位から再び出発する6Aαのものとほとんど同一であることが判明した。介在する1029bp配列(1369〜2397)は、6Aαのものとは全く異なる。介在配列は、Streptococcus thermophilusによる多糖体合成に用いたトランスフェラーゼ(EpsG)に類似する約98bpを含む。
【0046】
かくして、本明細書に示した研究は、新しい肺炎球菌血清型についての遺伝子的基礎を支持する。6Cの莢膜遺伝子座は、wciN遺伝子を除いて6A座に非常に類似し:6A株はwciNα遺伝子を有するが、6C株は、wciNα遺伝子とは(約50%だけの相同性で)劇的に異なるwciNβ遺伝子を有する。2つの遺伝子がサイズにおいて異なるために、6Aおよび6Cの血清型は、容易にPCRによって識別できる。wciNα遺伝子は、314個のアミノ酸を持つWCINαをコード化し、一方、wciNβ遺伝子は1125塩基長のORFを生成し、その生成物のWCINβは374個のアミノ酸を有する。これらの2つの蛋白質は、アミノ酸レベルでほとんど相同性を有さない。
【0047】
推定wciN遺伝子産物の配列は、それらのグリコシルトランスフェラーゼ機能を示唆する。WCINβは、ブドウ球菌のcapH遺伝子産物との類似性を有し、グリコシルトランスフェラーゼグループ1ファミリーに属する160アミノ酸長のトランスフェラーゼドメインを有する。対照的に、WCINαは、多数のガラクトシルトランスフェラーゼを含むグリコシルトランスフェラーゼ・ファミリー8(ex)に属する。Campbellら, 326 Biochem. J. 929−39(1997). これらの観察は、6Aおよび6Cの莢膜PSの化学構造と一致し、wciNが6Aおよび6Cの血清型間の差を担うという主張を支持する。実際に、6A株はwciNα遺伝子をwciNβ遺伝子と置換することにより6C株に変換できる。
【0048】
6Aおよび6Cにつき観察されたガラクトース/グルコース交換は、他の肺炎球菌血清型について見出される。肺炎双球菌の9L血清型PSはガラクトース分子を有するが、9N PSはグルコース分子を有する。その9Lおよび9N血清型の莢膜遺伝子座は相互に似ているが、9Lについてのガラクトシルトランスフェラーゼおよび9Nについてのグルコシルトランスフェラーゼをコード化する1つの遺伝子wcjAにおいて異なる。9Lおよび9N血清型のwcjA遺伝子は非常に類似し;一方は変異により他方から生起したようである。対照的に、wciNαおよびwciNβの遺伝子は非常に異なり、wciNβ遺伝子はデータベース中で利用可能な他の肺炎球菌の遺伝子に相同性ではない。おそらく、wciNβ遺伝子は肺炎球菌以外の生物体が起源で有り得る。この仮説の支持において、wciNβ遺伝子の検討は、相同組換えに関与し、肺炎球菌における相同組換えに非常に重要であることが知られている2つのフランキング領域を示す。Prudhommeら, 99 P.N.A.S. USA 2100 05(2002). 加えて、抗生物質耐性遺伝子の研究は、ストレプトコッカス・ニューモニエおよびもう一つの細菌種間の水平の遺伝子導入を示した。例えば、Feilら, 151(6) Res. Microbiol. 465−69(2000);Muller−Grafら, 145(11) Microbiol. 3283−93(1999);Coffeyら, 5(9) Mol. 2255−60(1991)参照.
【0049】
wciNβ遺伝子源はまだ知られていない。wciNβ遺伝子の一部は、S.thermophilicsによってエキソポリサッカライドの合成に関与する遺伝子のEpsG遺伝子に類似(81%相同性)している。しかしながら、その相同性は、非常に短いピースのDNAだけに見出され、かくして、S. thermophilusはwciNβについての源ではないであろう。WCINβの蛋白質配列は、大腸菌K−12株のwaaG(rfaG)遺伝子産物に似ており、いくらかの肺炎球菌遺伝子はグラム陰性細菌に由来し得る。かくして、wciNβ遺伝子がグラム陰性種から同様に由来できた可能性がある。しかしながら、それらが肺炎球菌と口腔内で共存し、多数の抗生物質耐性遺伝子がS.oralisに連結されたために、S.salivarius、S. mitisおよびS.oralisは主要な候補である。
【0050】
wciNβ領域を複数の6C単離物につき検討した場合、それらの重なるポイントおよびフランキング領域配列は同一であると判明した。また、それらの莢膜遺伝子座プロフィールは6A単離物とは対照的に9−10−1に高度に制限され、多数の異なる莢膜遺伝子座プロフィールを有する。Mavroidiら, 2004. 加えて、9−10−1莢膜遺伝子プロフィールは6Aおよび6B単離物の莢膜遺伝子プロフィール間で独特であり、その莢膜遺伝子プロフィールとは大きく分離している。これらの知見は、wciNβ遺伝子の捕捉が以前に起こったに違いなく、6C単離物のすべてが世界中で、多数のタイプの疾病を引き起して見出され、それは、元来は6Cになった単一細菌からの莢膜遺伝子座を有することを明白に示す。6Cが外来遺伝子捕捉のユニークでかつ明確な例を提供し得るために、それは細菌の遺伝進化を研究するためのよいモデルになるであろう。また、これは、抗生物質耐性遺伝子と異なり、安定した変化を構成し得る。
【0051】
6C血清型はわずか1または2の莢膜遺伝子座プロフィールしか有さないが、6Aおよび6Bの血清型は、種々の莢膜遺伝子座プロフィールを有する。Mavroidiら, 2004. かくして、6C莢膜遺伝子座は、6Aまたは6B莢膜遺伝子座と比較して非常に最近、出現したかもしれない。6Cは27年以上前に出現したかもしれないが、これらの知見は、6C血清型莢膜遺伝子座が、1つの場所で「最近」出現し、世界中に急速に広まったことを示唆する。ある遺伝子が強力な生存優位性を提供する場合、その遺伝子は、世界中に急速に広がりかねない。例えば、抗生物質耐性遺伝子は、たった何年のうちに世界的に広がり得る。おそらく天然のヒト化抗体は、6Aまたは6Bより6Cに対してあまり有効ではない。6C莢膜遺伝子座が6Aまたは6Bより多くの生存優位性を提供するかを調査すべきである。
【0052】
MLST研究は、6Cが複数の独立したSTを発現することを示す。かくして、6C莢膜遺伝子座は、異なる肺炎球菌単離物中で交換されたに違いない。6C莢膜遺伝子座がさらなる生存優位性を提供するSTと結合し得るかが調査され得る。多剤耐性遺伝子を有する国際的な株における6Cの拡散および6C莢膜座の発生がモニターされるべきである。
【0053】
本明細書に供された新規な肺炎球菌単離物は、化学的に区別されるPS構造を有する。より詳細には、単糖体分析は、6Aα莢膜PSで見出されたガラクトースが、グルコースを代わりに含む6AβPSにおいて不存在であることを示した。6AβPSの反復単位は、1つのリビトール、1つのラムノースおよび2つのグルコース部位を明確に含む。従って、本明細書に記載された2の亜型6Aαおよび6Aβは、異なる血清型と認められるべきである。6Aβ亜型は、血清型6Aに命名されたAα亜型を残しつつ、血清型6Cと記載され得る。血清型6Cは、血清型6Aに対するその血清学的および構造的な関係に徴して、血清群6の第3のメンバーとして含まれるべきである。かくして、血清型6Cは、91番目の肺炎球菌血清型を表し、90種の肺炎球菌血清型は、以前に認識されている。Henrichsen, 33 J. Clin. Microbiol. 2759−62(1995).
【0054】
ガラクトースおよびグルコース分子は、それらの第4の炭素に結合した水酸基の配向においてだけ異なり、6Aおよび6CのPSの反復単位は1つの水酸基の配向においてだけ異なる。この小さな構造の差は、6Cが過去においてポリクローナル抗血清で同定されなかった理由を説明する。化学構造の解明で、6Cは、生化学的に炭水化物組成分析またはNMRにより6Aと識別できる。肺炎球菌莢膜PSは、アノマープロトンの単純なプロトンNMRによって同定できる。Abeygunawardanaら, 279 Anal. Biochem. 226−40(2000). 6Aおよび6CのNMRパターンは異なるが、6CのアノマープロトンのNMRパターンは6Aのそれに非常に類似する。化学および遺伝子テストを用いることができるが、血清学的方法は、吸収により特異的になされた発明者らのモノクローナル抗体またはポリクローナル抗血清のいずれを用いても6Cを同定する最も有用な方法で有り得る。
【0055】
血清群6は、3つのエピトープ:6a、6bおよび6cを含むことが知られている。Henrichsen, 1995. エピトープ6aは、血清型6Aおよび6Bの双方に存在することが知られ、一方、エピトープ6bおよび6cは、各々、血清型6Aまたは6Bのいずれかでのみ見出されている。6C血清型の知見は、血清群6内のさらなるエピトープの存在を示す。6Cではなく6Aおよび6Bを認識するmAb Hyp6AM3は、エピトープ6bを認識するであろう。mAb Hyp6AGlが6Aおよび6Cを認識するために、それは新しいエピトープ「6d」を認識すると定義し得る。3種の血清型(6A、6Bおよび6C)および共有されるエピトープのすべてに結合するもう一つのmAbは、「6e」と定義し得る。また、血清型6Aおよび6Bについての立体構造依存性(confirmation−dependent)エピトープが記載されている。Sunら, 69 Infect. Immun. 336−44(2001). 血清群6についての非常に多数のエピトープの観察は、シアル酸の単純な線形ホモポリマーでさえ、少なくとも3つのエピトープを有することができるという従前の観察と一致する。Rubenstein & Stein, 141 J. Immunol. 4357−62(1988). 実際に、肺炎球菌のPSは、従前に定義された(Henrichsen、1995年)よりさらに多数のエピトープを有し、多数のエピトープの存在は、肺炎球菌結合型ワクチンの製造中にエピトープを変更する機会を増加させる。
【0056】
血清型6Cの知見は、血清群6が1929年におけるその知見に続いて広範囲に研究されたために、全く予期されなかった。Heidelberger & Rebers, 1960. 従って、さらなる亜型(または血清型)が良好に確立され広範囲に特徴づけられた血清群中でさえ存在するという可能性を考えるべきである。例えば、19A莢膜PSについての2つの化学構造が報告されたために、血清型19A中の亜型の可能な存在を考えることが必要で有り得る。Kamerling, Pneumococcal polysaccharides:a chemical view, in MOL. BIOL. & MECHANISMS OF DISEASE 81−114(Mary Ann Liebert, Larchmont, 2000). 19A亜型が見出されたならば、それらの存在は発明者らが、肺炎球菌の結合型ワクチンの導入後にみられた血清型「19A」の有病率における急速な増加を説明するのを助け得る。Paiら, 192 J. Infect. Dis. 1988−95(2005). 加えて、6Cが最近発生したかもしれないという可能性を考慮するべきである。この可能性と一致して、遺伝学研究は、6C血清型莢膜遺伝子座が、多様ではなく(Linら, 44 J. Clin. Micro. 383−(1988))、6A座である(Mavroidiら, 2004)ことを示唆する。ずっと以前に(おそらく50−100年前に)得られた肺炎球菌単離物を研究することにより、6C株の起源および拡散を調べることは興味深いであろう。
【0057】
現在入手可能な肺炎球菌ワクチンは、6Aに対する交差防御を誘導すると推定されるために単に6B PSを含む。肺炎球菌ワクチン効力調査の一部として、米国で見出された肺炎球菌単離物のすべてが、今や血清型6Aおよび6Bにつきテストされる。しかしながら、6Cに対する交差防御は、6Aに対するものと異なり得る。6Cおよび6B PSが2つの構造の差を有するが、6Aおよび6BのPSには1つだけの構造の差を有するために、6Cに対する交差防御が不適当で有り得、現在入手可能な肺炎球菌ワクチンは、6Cではなく6Aの有病率を低下し得る。実際、現在の肺炎球菌ワクチンは、血清型19Aについてまさに生じるように、6Cが以前より優勢になるのを助け得る。かくして、すべての肺炎球菌単離物は、血清型6Cならびに血清型6Aおよび6Bにつきテストされるべきである。
【0058】
重要なことには、本明細書に提供された新規な血清型6Cは、ワクチンまたは肺炎球菌ワクチン開発に有用で有り得る。例えば、6C PS、そのPSの一部、PSのミメティックまたはそのPSの一部は、肺炎球菌ワクチンに組み入み得る。連鎖球菌および肺炎球菌のPSを含む結合型ワクチンは、当該技術分野においてよく知られている。米国特許第6,248,570号;第5,866,135号;第5,773,007号参照。また、多糖分子の蛋白質またはペプチドのミメティックのごときPSミモトープは、代替抗原あるいは免疫原として可能である。例えば、Pincusら, 160. J. Immunol. 293−98(1998);Shinら, 168 J. Immunol. 6273−78(2002)参照. 加えて、6Cの蛋白質または核酸は、当該技術分野において公知の多数の技術を用いてワクチンまたはワクチン開発における抗原または免疫原として機能し得る。例えば、米国特許第6,936,252号参照。1以上のアジュバント剤がかかるワクチンに含まれる。非経口、粘膜または他の投与により肺炎球菌ワクチンの送達、ならびにかかるワクチンを設け、モニタリングおよび投与方法は当該技術分野においてよく知られている。
【0059】
加えて、細菌が、テストワクチンによって産生された血清または抗体を用いてオプソニン化またはELISAアッセイにおける標的として用いられるために、6C血清型はワクチン開発に有用で有り得る。また、6C血清型の抗原は、受動的保護に用いられ得る抗体を産生するために用い得る。また、かかる方法は当該技術分野においてよく知られている。
【0060】
また、6C血清型はワクチン効力をモニターするのに有用である:6Aαおよび6C血清型は、肺炎球菌ワクチンに関する疫学的調査、および肺炎球菌ワクチン効力の試験において区別されなければならない。例えば、肺炎球菌ワクチンが6Cではなく6Aαに対して有効ならば、そのワクチンは6Aβ血清型が蔓延している領域に有効ではないかもしれない。これは、肺炎球菌ワクチンが6Aβだけを時々オプソニン化する抗体を導くために、そのケースになるであろう。また、従来の肺炎球菌ワクチンの使用法は、たぶん6Cの有病率を変更するだろう:6Aαの有病率は減少するが、6Cの有病率は増加し得る。後記の予備的データは、6C有病率が不変であるが、6Aα有病率が2000年以来の結合型ワクチン剤の使用で減少したことを示唆する。血清型を区別せずに、ワクチンを開発する、またはその効力を検討するのは難しいかもしれない。現在、新しい血清型は本明細書に開示された抗体によって同定できるが、さらなる遺伝学的および生化学的なテストを発明でき、本発明によって構想される。
【0061】
さらに、6C血清型の有病率は全世界的にモニターされ、肺炎球菌ワクチン分布の有無での領域における新しい肺炎球菌の出現についての価値のある情報を提供するであろう。また、6C血清型は、ブラジル、カナダ、中国、韓国、メキシコおよび米国で同定された。
【0062】
その目的のために、本発明のモノクローナル抗体は6Aβ血清型を同定するのに有用である。すなわち、6A血清型(6Aαおよび6Aβの双方)は、mAb Hyp6AGlによって同定されるが、6C血清系は、mAb Hyp6AM6またはmAb Hyp6Am3と反応しない。従って、Hyp6AM6またはHyp6AM3は、6Aαおよび6Cが同定できる陰性対照として用いられ得る。
【0063】
これらのモノクローナル抗体を用いて、CDCに提出された米国肺炎球菌単離物中の6Aおよび6Aβ(6C) の有病率を分析した。ほぼ、同数の肺炎球菌単離物は1999年から2006年までCDCに提出された。旧方法により「6A」として型別された標本を本明細書に記載されたモノクローナル抗体を用いて再分析した。1999年、2003年および2004年に受け取られた「6A」標本はほとんどすべて再分析した。CDCが2005年および2006年に受け取った試料のわずかだけが再分析された。表に見られるように、6A(6Aα)の有病率は減少したが、6Cの有病率は同じままであった。これは、現在利用可能な肺炎球菌ワクチンが6Cに対して有効ではないかもしれないことを示唆する。
【0064】
【表1】

【0065】
加えて、6Cの同定は、抗6C抗体の産生および単離を提供する。また、その同定は、6A(6Aα)および6C(6Aβ)の双方を認識する通常の「6A」特異的試薬により示されるような6A(6Aα)に特異的な試薬を生成することを可能にする。これらは、本明細書に徴して当該技術分野においてよく知られている通常の手段によって調製できる。これに関して、抗6C抗体は、無傷の免疫グロブリン分子ならびにその部分、フラグメント、ペプチドおよび誘導体、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、CDR領域、あるいは6C抗原、エピトープ、またはミモトープを結合できる抗体のいずれかの部分またはペプチド配列を含み、その全てを「抗原結合蛋白質」という。抗体または抗原結合蛋白質は、その分子と特異的に反応し、それにより、分子が抗体または抗原結合蛋白質に結合できるならば、分子を「結合できる」と言われる、例えば、WO/US2006/014720;WO/US2006/015373参照。
【0066】
血清型6Cはブダペスト条約に合わせて米国微生物系統保存機関に寄託された。
本発明は、今や、さらに非限定の実施例によって記載されるであろう。
【実施例】
【0067】
実施例1.肺炎球菌血清型の同定
肺炎球菌溶解物の収集:肺炎球菌血清型6Aβ(Linら, 44 J. Clin. Micro. 383−88(2006)参照)を495種の臨床分離株を用いる盲検試験において単離し:50の単離物はメキシコから、100はデンマーク、345はブラジルからであった。22の単離物は、鼻咽腔における肺炎球菌の無症状保菌者からのものであり、475の単離物は、髄膜炎および敗血症のごとき侵襲性の肺炎球菌感染の患者からのものであった。加えて、血清型11A、11B、11C、11Dおよび11Fを発現する対照肺炎球菌株をStatens Serum Institut(Copenhagen, Denmark)から購入した。
【0068】
臨床分離株の溶解物は、起源国で調製された。0.5%酵母抽出物(THY培地)を含む300マイクロリットルのトッド・ヒューイット(Todd−Hewitt)培地に単一コロニーの肺炎球菌を接種した。37℃にて一晩培養後、細胞を0μlの溶解用溶液(0.2%デオキシコール酸ナトリウム、0.02%SDS、0.1%アジ化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナトリウム、pH7.8)で溶解した。ブラジルにおいて、400μlのTHY培地を細菌増殖に用い、100μlを取り出して、凍結した細菌を貯蔵した後、残りの300μlを50μlの溶解用溶液と混合した。デンマークにおいて、325μlのTHY培地、および25μlの溶解溶液を用いた。細菌は37℃にて混合物をインキュベートすることにより溶解した。その溶解物をコード化し、周囲温度で普通郵便によって血清型試験のためにアラバマ大学バーミンガム校(UAB)の研究所へ送った。
【0069】
マルチビーズアッセイのための離れた場所からUABまでの細菌溶解物の発送を単純化するために、細菌溶解物の安定性を室温(RT)または37℃で貯蔵後に比較した。その仕事は、マルチビーズアッセイの結果に影響することなく、1か月までのRT、または数日間の37℃にて細菌溶解物を貯蔵できることを明らかにした。かくして、普通郵便システムを用いて、いずれの熱の保護なくして周囲温度にてこの試験における全溶解物をを発送した。
【0070】
血清学試薬:ポリクローナル血清型別用血清を、ウサギにおいて調製し、Statens Serum Institutから得た。それらは、血清グループ化および種々のタイプまたは因子特異的な抗血清のために12の血清プールを含む。Sorensen, 31 J. Clin. Microbiol. 2097−2100(1993). 全てのmAbsは、記載のごとく生成し、ハイブリドーマ培養液上清を用いた。Yuら, 2005.
【0071】
マルチビーズアッセイ:このアッセイ方法は、2つの異なるセットのラテックスビーズを用いて記載されるように行なった。Yuら, 2005。1組のビーズ(セット1)は、14の異なるラテックスビーズの混合物であり、各々は、1つの肺炎球菌PS抗原で被覆した。14の肺炎球菌のPS抗原は、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9N、9V、14、18C、19A、19Fおよび23Fであった。ビーズセット2は、10のビーズタイプの各々を10の異なる肺炎球菌PS(血清型2、8、10A、11A、12F、15B、17F、20、22Fおよび33F)の一つでコーティングすることにより創製した。
【0072】
セット1ビーズは、5×または20×希釈した細菌溶解物、およびビーズ上に含まれた肺炎球菌莢膜PSに特異的なmAbsの混合物と混合した。インキュベーションおよび洗浄後、ビーズ混合物をフルオレセイン結合した抗マウス免疫グロブリン抗体と反応させた。セット2ビーズを、ポリクローナルウサギ抗血清(Statens Serum Institut)およびフルオレセイン結合した抗ウサギ免疫グロブリン抗体の混合物を用いる以外はセット1ビーズと同様に用いた。インキュベーション後、各ビーズタイプの蛍光量をフローサイトメーター(FACSCalibur, Beckton Dickinson, San Jose CA)で決定した。次いで、各ビーズタイプの蛍光を用いて、その血清型を決定した。67%を超える蛍光阻害を陽性として用いた。
【0073】
Neufeldテスト:このアッセイは、標準的血清グループ化(Sorensen, 1993)およびStatens Serum Institutからの血清型別用ウサギ抗血清を用いてデンマーク、ブラジルおよびメキシコにおける参考研究室により記載されたごとく行った(Henrichsen, 33 J. Clin. Microbiol. 2759−62(1995);Konradsen, 23 Vaccine 1368−73(2005);Lund, 23 Bull.Wld Hlth Org. 5−13. (1960))。
【0074】
ドットブロットアッセイ:異なる結果を調査するために、このアッセイを、記載される(Fenollら, 35 J. Clin. Micro. 764−76(1997))ように、以下の血清群あるいは血清型:1、4、5、6、7、8、9、11、12、14、18および23に対するStatens Serum Institutからの肺炎球菌抗血清を用いて行なった。また、6A(Hyp6AM3)および18C(Hypl8CMl)に特異的なモノクローナル抗体をいくらかの場合に用いた。略言すると、THY培地中で増殖した加熱死滅させた肺炎球菌をニトロセルロース膜の条片上でスポットした。乾燥後、条片をブロックし、洗浄した。次いで、条片を希釈した抗血清またはmAb溶液中で1時間インキュベートし、洗浄して、希釈したヤギ抗ウサギまたはマウス免疫グロブリンペルオキシダーゼコンジュゲートに曝露した。室温での1時間のインキュベーション後、条片を洗浄し、3−アミノ−9 エチルカルバゾール溶液に曝露した。スポットが現われた場合、条片を洗浄し、評価した。
【0075】
PCR反応:肺炎球菌を650nmの波長で0.8のODまでTHY培地中で増殖させた。染色体DNAをInvitrogen EASY−DNAキットを用いて所与の説明書に従い調製し、THY肺炎球菌の4mlの試料から開始して、1mlに濃縮した(Invitrogen, Carlsbad, CA)。血清群6決定については、PCRをテンプレートとして染色体DNAおよびプライマーwciP−上方、5’−ATG GTG AGA GAT ATT TGT CAC−3’およびwciP−下方、5’−AGC ATG ATG GTA TAT AAG CC−3を用いて行なった。PCR熱循環条件はMavroidiら, 2004に記載されたごとくであった。Qiagen PCRクリーンアップカラム(Qiagen, Valencia, CA)を用いて、PCR反応から過剰のプライマーを除去し、PCRはwciP−上方プライマーを用いる自動DNA配列決定のためのDNAテンプレートとして提出した。結果をSequencher(GeneCodes, Inc., Ann Arbor, MI)およびMacVector Sequence Analysis(Accelyrs, San Diego, CA))の援助によって分析した。
【0076】
血清型11A決定については、一部分の莢膜遺伝子座についてのPCRは、記載されるように(Mavroidiら, 2004)、テンプレートとして染色体DNA、1μlの順方向プライマー(50 pmol)および1μlの逆方向プライマー(50 pmol)を用いて行なった。プライマーは、11A順方向の5’−GGA CAT GTT CAG GTG ATT TCC CAA TAT、AGT G−3’および11A逆方向の5’−GAT TAT GAG TGT AAT TTA、TTC CAA CTT CTC CC−3’であった。PCRサイクリングは、94℃、5分から開始し、94℃、1分間、50℃、1分間および72℃、2分間の30サイクル、72℃、10分間の最終伸張であった。PCR反応生成物をアンプリコンサイズを決定するためにアガロースゲル電気泳動(トリス緩衝酢酸溶液0.8%アガロース)によって分析した。
【0077】
メキシコからの50の単離物の試験:メキシコからの50の単離物をTHY培地中で増殖し、溶解し、タイピングのためにUABに送った。マルチビーズアッセイ結果をNeufeldのテスト結果と比較し、10の試料からの結果は異なった。異なる試料のうちの8つの新しい溶解物を得て、盲検様式にて再調査した場合、全ての結果が一致し、それは大部分が誤標識によることを示唆した。Neufeldテストにより血清型3および10Aであると型別された2つの単離物(MX24およびMX37)を、マルチビーズアッセイによって型別できない(NT)ものとして本来型別した。2つの血清型がマルチビーズによって同定されるべきだったので、その2つの細菌単離物をさらなる研究のためにUAB研究所へ送った。そこで、THY培地中で良好に成長すると判明し、新しい溶解物は、Neufeldテスト結果と一致する結果を生じた。かくして、2つの単離物は、最もありそうなことには、肺炎球菌の不十分な増殖によりマルチビーズにより最初に誤って陰性として同定した。
【0078】
デンマークからの100の単離物の試験:100のデンマーク単離物のマルチビーズアッセイ結果をNeufeldテスト結果と比較した場合、発明者らは、Neufeldテスト結果の転写における4つの誤りを見出し、1つの株(DK94)をNeufeldテストによる血清型20、およびマルチビーズアッセイによるNTとして型別した(表1)。
【0079】
【表2】

【0080】
DK94単離物をTHY中で再成長させ、再調査した場合、1:5希釈にてほとんど阻害(9%)を生成しなかったが、より高希釈でより大きな阻害を生成した(1:20希釈にて35%および1:320希釈にて50%)。この予期しない挙動は、この特定の単離物の溶解物中の非特異的な結合物質の存在を示唆した。溶解物中のPSが70%エタノールで沈殿し、エタノール沈殿物がマルチビーズアッセイで検討された場合、その沈殿物は、血清型20につき明瞭な阻害を生成した(1:5希釈にて86%および1:20希釈にて81%)。かくして、最初の不一致は、非特異性結合に起因し、それはポリクローナル血清で行なったアッセイで時々観察され、臨床単離物とのアッセイ感度および特異性に固有の問題は存在しない。
【0081】
ブラジルからの345の試料の試験:2つのアッセイ方法で得られた345のブラジル単離物の結果を比較する場合、38の不対合があった。これらの38の試料は、試験記録を調査しブラジルにおけるNeufeldテストによって再テストすることにより再調査した場合、17の不対合は、型別ミス(typing mistake)または試料誤同定として説明できた。17の不対合のうちの1つは株BZ652であった。これは、18Bとして最初に型別されたが、それがNeufeldテストによって弱く6Aとして型別され、ポリクローナル抗血清およびmAb Hyp6AM3を用いる、ドットブロットアッセイにより血清群6として型別されたため、6Aであると決定された。21の残る誤対合の試料をTHY培地中で再増殖し、マルチビーズアッセイによって再テストした場合、13の単離物の新しい結果はNeufeldテスト結果と一致した。その13の単離物の本来のマルチビーズアッセイ結果を再調査した場合、3つの単離物は、本来のマルチビーズにおける適当な血清型につき弱く不完全な阻害(阻害は67%未満であった)を生成した。12の単離物が、最初にNTとして型別されたが、1つの単離物(BZ52)は最初にタイプ3として型別された。それは、第2の試料でNTとして再型別され、その結果は、Neufeldテスト結果(表1)(前記)と一致するようになった。
【0082】
これらの再検討後に、8つの不一致が再現でき、依然として説明されなかった(表2および表3):5つの単離物は、Neufeldテストにより6Aと型別されたが、マルチビーズアッセイによりNTとして型別され、2つの単離物(BZ435およびBZ705)は、Neufeldテストにより11Aと型別されたが、マルチビーズアッセイによりNTとして型別され、また、1つの単離物(BZ438)は、NeufeldテストによりNTと型別され、マルチビーズアッセイによって、18Cと型別された。Neufeldテストによって、BZ438は、いくらかのロットの血清グループ化プール血清AおよびQ(Sorensen, 1993)と反応せず、それは血清群18肺炎球菌と反応するであろう。また、それは、血清群18に特異的な、または因子18c、18d、18eおよび18fに特異的な抗血清のいくつかの異なるロットと反応しなかった。しかしながら、BZ438は、血清群18に特異的なポリクローナル血清またはmAb Hyp18CM1(Yuら、2005)で陽性のドットブロット結果を生成した。かくして、BZ438単離物は、18Cであると考えられた。
【0083】
株BZ435およびBZ705は、Neufeldテストにより11Aであるが、マルチビーズアッセイにより11A、11Dまたは11Fではないと考えられた。標準的なマルチビーズアッセイが、血清群11(Yuら、2005)に対するポリクローナル抗血清を用いるために、発明者らは、血清型11A、11Dおよび11Fに特異的であり、UAB研究所において最近生成された2つのmAb(Hyp11AMlおよびHyp11AM2)で2つの株を検討した(表2)。発明者らは、Hyp11AMlはBZ705ではなくBZ435を認識することを見出した。興味深いことには、Hyp11AM2はどちらの株も認識せず、それは11A血清型を発現する株中の不均一性を示す。PCRテストは、11Bおよび11Cについてではなく、11A、11Dおよび11Fについての株と463の塩基対アンプリマーを生成する(表2)。双方の株がこのPCRによってテストされた場合、BZ435は陽性であったが、BZ705はそうではなかった。Neufeldテストが、双方の株が因子l1Cに特異的な抗血清と反応したことを示したが、Neufeldテストは、さらにそれらの間の差を明らかにした:BZ705ではなくBZ435がプール血清T(Sorensen, 1993)、血清群11抗血清、または11f因子血清と反応した。BZ705は、因子11b発現についてのあいまいな結果を与え、これは、それが血清型11Dであり得ることを示唆した。しかしながら、ウサギタイピング血清を用いる血清群11に対するドットブロットテストにおいて、BZ435は陽性であったが、BZ705は陰性であった。これらの結果のすべてを考慮すると、BZ435が11A株、BZ705は11A、11Dまたは11Fではないようであった。BZ705が、11B株で発現しない11Cエピトープを発現する(そして、11c抗血清と反応する)ので、BZ705は11Cの血清型に属するかもしれない。
【0084】
【表3】

【0085】
6Aであった残る矛盾した株を調査するために、wciP遺伝子のDNA配列を検討した。最近の研究は、6Aおよび6Bの莢膜PSがリビトールに連結したラムノースとの反復単位を有すると報告した。連結は6Aにつき1−3、6Bにつき1−4である。研究により、ラムノシルトランスフェラーゼが莢膜座中のwciP遺伝子によっておそらくコード化され、6AについてのwciPが残基195にてセリンをコード化し、6BについてのwciPが残基195にてアスパラギンをコード化することが判明した(Mavroidiら, 2004)。また、wciP対立遺伝子1、2、1、9および11は、排他的に血清型6Aに関連し、対立遺伝子3、4、5、6、8および12は、血清型6Bに関連する。(Mavroidiら, 2004).
【0086】
細菌DNAを6Aと標識された5つの単離物ならびに、Neufeldテストにより単に弱く6Aであると考えられたBZ652から得た。このDNAは、PCRによりwciP遺伝子の一部を増幅し、アンプリコンを配列決定し、その配列(645塩基対)を検討した。5つの試料をうまく増幅し、6A血清型(表3)と関連した対立遺伝子を発現し、アミノ酸残基195にてセリンを発現したため、それらの配列は6A血清型と一致した。対立遺伝子2 wciPの原型配列と比較して、BZ652のwciP配列は、3つの潜在的なアミノ酸置換を持つ5つの塩基対変更を有する。3つの単離物(BZl7、BZ39およびBZ86)は、対立遺伝子#9についての原型配列から1つの同一ヌクレオチド変化を持つ同一のwciP遺伝子配列を発現し、従って、クローン的に関連付け得る(表3)。
【0087】
【表4】

【0088】
DNA試験がこれらの単離物が6A血清型に属し得ることを示唆したために、これらの単離物をポリクローナル抗血清を用いてマルチビーズアッセイで検討した。6つの単離物のすべては、6Aと型別された(表3)。それらが、Hyp6AM3に加えて19の異なる6A特異的mAbで型別された場合、1つのmAb(Hyp6AGl)は、6つの単離物を6Aと同定した(表3)。Hyp6AGlを用いて、46の6A単離物(この試験からの21およびUAB研究所収集における24)を再テストした場合、このmAbは、それらのすべてを6Aと同定し、6B血清型を発現する43の単離物を含めて89の非6A血清型のいずれも認識しないことが判明した。かくして、これらの6つの単離物のすべてが6Aであり、Hyp6AGlはすべての6A単離物を認識することは明らかであった。また、mAb Hyp6AM3は、そのサブセットが非常に大きいが、6A単離物のサブセットを認識する。
【0089】
実施例2.異なる国からの肺炎球菌血清型6Aβ単離物は、6Aと関係する分子特性を有する
前記のごとく、6A血清型と従前に関連した双方のmAbsと反応しなかったブラジルの単離物は、wciP対立遺伝子の検討により6A血清型に属することが示された。かくして、発明者らは、地理的に多様な位置からの10の6Aβ単離物のwciP遺伝子を検討した。2003年および2004年に集めたブラジルの単離物、米国の単離物および韓国からの1つの単離物を検討した。その配列は、10の単離物のすべてが、6A血清型に関係する遺伝特性を有することを明白に示した。
【0090】
実施例3.異なる領域からの6Aβ単離物は、一定の血清学的特性を有する
定量的方法で6Aβ単離物の血清学的特性を調査するために、単離物を阻害アッセイを用いて検討した。アッセイは、6A PSを被覆したELISAプレートに結合する種々の抗6A抗体の細菌溶解物による阻害を測定した。略言すると、ELISAプレート(Corning Costar Corp., Acton, MA)のウェルを、PBS中で一晩、5μg/mLの6A莢膜PS(G. Schiffman, Brooklyn, NYの贈与)で37℃にてコーティングした。0.05%のツイーン20を含有するPBSでプレートを洗浄した後に、従前に希釈した細菌培養上清(または溶解物)を、抗6A抗体と共にウェルに加えた。肺炎球菌溶解物を、チューブが不明瞭になるまで振盪せずに0.5%酵母抽出物(THY)を補足した10mLのトッド−ヒューレットブロス中で肺炎球菌を増殖させ、次いで、溶解緩衝液(脱イオン水中の0.1%デオキシコール酸ナトリウム、0.01% SDSおよび0.15Mクエン酸ナトリウム)で37℃にて15分間チューブをインキュベートすることにより調製した。Hyp6AGl mAbは1:250希釈で用い、Hyp6AN3 mAbは1:100希釈で用いた。Staten Serum Institute(Copenhagen, DK)からのプールQおよび因子「6b」ウサギ抗血清を、1:500希釈で用いた。37℃の湿性インキュベーター中での30分間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、アルカリホスファターゼを結合したヤギ抗マウスIg(Sigma, St. Louis, MO)またはアルカリホスファターゼを結合したヤギ抗ウサギIg(Biosource, Camarillo, CA)で2時間インキュベートした。そのウェルに固定化した酵素の量をジエタノールアミン緩衝液中のパラニトロフェニルホスフェート基質(Sigma)で決定した。405nmでの光学密度は、マイクロプレートリーダ(BioTek Instruments Inc. Winooski, VT)で読み取った。
【0091】
膨張反応の定性的な性質が6A亜型の検出を防止し得るために、亜型が、膨張反応に用いたウサギ血清を用いる定量的アッセイで同定可能で有り得るかを決定した。これは、肺炎球菌の溶解物が、ELISAプレート上で固定化された6A PSに対するウサギ抗血清の結合を阻害することを可能とする阻害アッセイに対してウサギ血清を適合することにより決定した(図1)。対照として、肺炎球菌溶解物を2つのmAb:Hyp6AGlおよびHyp6AM3の阻害につきテストした(図1Aおよび1B)。3つの6Aα単離物の溶解物(米国からのCHPA378、韓国からのKK58およびブラジルからのST558)は、双方のmAbを阻害し、2つの6B単離物(ブラジルからのST400およびST518)の溶解物は、いずれのmAbも阻害しかかった(図1Aおよび1B)。6Aβ単離物の2つの溶解物(ブラジルからの株BZ17およびBZ650)は、1:1000希釈でさえ、Hyp6AGlの結合を明確に阻害した(図1A)。しかしながら、それらは1:10希釈でさえ、Hyp6AM3に、ほとんど阻害を示さなかった(図1B)。
【0092】
肺炎球菌溶解物が、プールQ(血清型別につきしばしば用いるウサギ抗血清(Sorensen, 31 J. Clin. Microbiol. 2097−2100(1993))の阻害につき検討された場合、6Aαおよび6Aβの双方の溶解物は同様に良好に阻害できたが、6B溶解物は阻害できなっかた(図1C)。「6b」因子特異的ウサギ血清をテストした場合、6Aα、6Aβおよび6B単離物のすべてが、因子血清を同様に良好に阻害できた(図1D)。6b−因子血清が6A特異的に設計されるために、これは予期されなかった。しかしながら、その因子血清は、この阻害アッセイにおいてではなく、膨張反応において特異的であるように設計する。しかしながら、この実験は、肺炎球菌の型別に一般的に用いられるウサギ抗血清が6Aおよび6Cの亜型を同定しないことを示した。
【0093】
また、発明者らは、オプソニン化アッセイおよび高レベルの抗6B抗体を含むヒト血清を用いて、種々の6Aα、6Aβおよび6B単離物を比較した。ヒト血清は6Bならびに6Aαをオプソニン化した(図2)が、それは、ブラジル、韓国および米国からの7つの異なる6Aβ単離物をオプソニン化しなかった(図2)。
【0094】
実施例4.ヒト抗血清は、2つの6A亜型に対して等しく防御的ではない。
ヒト抗血清が6Aβではなく6Aαおよび6Bをオプソニン化しかねないために、発明者らは6Aα、6Bおよび6Aβ血清型をオプソニン化させるために系統的に20名の成人からの血清試料を検討した(図3A)。血清ドナーは少なくとも5年間肺炎球菌ワクチンを予防接種されなかった。大部分の個体は低オプソニン化力価を有したが、4名の個体が血清型6Bにつき100を超えるオプソニン化力価を有した。その4つの個体からの血清は、6Aαに対する有意なオプソニン化力価を有したが、1つだけは6Aβに対する有意な力価を有した。その観察は、成人集団が6Aαより6Aβに対してより少ない自然免疫を有することを示唆する。
【0095】
6Bでの免疫化が6Aβと交差反応する抗体を誘導するかを検討するために、発明者らは、肺炎球菌ワクチンで免疫した20名の成人からの血清を試験した(図3B)。10名は9価の肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)で免疫し、10名は23価のPS結合ワクチン(PPV)で免疫した。PCVで免疫した10名のうちの8名は、6Bにつき高い(>100)オプソニン化力価を有した。これらの8名のうち7名が、6B力価と相応した6Aαに対するオプソニン化力価を有したが、1名だけが6B力価と相応した6Aβ力価を有した。その人の血清がほとんど、6Bと同様に6Aαをオプソニン化したため、6Aβと交差反応する抗6B抗体を誘発したようである。PPVワクチン被接種者を検討した場合、5名が6Bに対する高オプソニン化力価(>100)を有し、2名が6Aαに対する高力価を有したが、6Aβに対する高力価を有したものはなかった(図3B)。総合すれば、これらの知見は、現在、利用可能な肺炎球菌ワクチンが6Aβ感染に対してより、良好に6Aαに対する保護を提供し得ることを示唆する。
【0096】
実施例5.肺炎球菌を同定するのに有用なモノクローナル抗体の開発
従前に記載のごとく、マウスハイブリドーマを生成した。Yuら, 2005(Sunら, 69 Infect. Immun. 336−44(2001)を引用). 略言すると、BALB/cマウスは、PS蛋白質コンジュゲートで2回(第0および21日に)皮下的に、および第59日に1回腹腔内にて免疫した。7つの血清型(4、6B、9V、14および18C、19Fおよび23F)についての免疫原は、Prevnar(Wyeth Lederle Vaccines, Pearl River, NY)であった。血清型5および7Fに用いたコンジュゲートは、米国食品薬品局(Bethesda, MD)で調製され、その6AコンジュゲートはPorter Anderson(Rochester, NY)の贈与であり、卵白アルブミンに対する血清型1、3および9Nのコンジュゲートは以下のように調製した。臭化シアン活性化PSは、一晩培養中に卵白アルブミンにカップリングした。PS蛋白質コンジュゲートは、分子量サイズ分離カラムで反応混合物から精製した。各用量は、血清型4、9V、18C、19Fおよび23Fについて1μgのPS;血清型3および6Bについて2μg;および血清型1、5、6A、7Fおよび9Nについて10μgを含有した。一次および二次の免疫原は、10μgのQuil A(Sigma Chemical, St. Louis, MO)を含有した。
【0097】
最後の免疫化の3日後に、従前に記載されたように、マウスを犠牲にし、脾臓を採取し、脾細胞をSP2/0 Ag−14と融合させた。Nahmら, 129 J. Immunol. 1513−18(1982). 初代培養ウェルを望ましい抗体の産生につきスクリーニングし、かかる抗体を産生するウェルを限界希釈によって2回クローニングした。ヒト−マウスハイブリドーマDob9を、従前に記載のごとく、23−価のPBワクチンで免疫した人からの末梢血リンパ球をハイブリダイズすることにより生成した。Sunら, 67 Infect. Immun. 1172−79(1999).
【0098】
ヒト−マウスハイブリドーマは、肺炎球菌血清型19Aおよび19Fに特異的である。全てのハイブリドーマは、1つの11gA産生株を除いて、IgMまたはIgG抗体のいずれかを生成した。HypβAGlはIgGであり、Hyp6AM6はIgMである。
【0099】
6A血清型に特異的な合計21種のハイブリドーマを単離した。多数が同様の血清学的挙動を有し、いくらかは姉妹クローン(すなわち、いくらかは同一の可変領域構造を有し得る)であり得る。生成された6A特異的ハイブリドーマの名称は、Hyp6Al、HypβAMl、Hyp6AM2、Hyp6AM3、Hyp6AM4、Hyp6AM5、Hyp6AM6、Hyp6AM7、Hyp6AM8、Hyp6AM9、Hyp6AMlO、Hyp6AM11、Hyp6AM12、Hyp6AM13、Hyp6AGl、Hyp6AG2、Hyp6AG3、Hyp6AG4、Hyp6AG5、Hyp6AG6、Hyp6AG7である。
【0100】
実施例6.6Aβの遺伝学的試験
非莢膜の肺炎球菌株を6Aβ単離物からの遺伝子で容易に形質転換できた(未発表データ)。この知見は、6Aβ莢膜合成が1つの(複数ではない)遺伝子断片、おそらく莢膜遺伝子座を必要とすることを示唆する。6Aβ発現を担う遺伝子を同定するために、発明者らは3つのトランスフェラーゼ(wciN、wciOおよびwciP)を検討した。wciP遺伝子は6Aαと6Aβ単離物との間で同一で有り得る(前記のごとく)。wciN領域がプライマー5016および3101(5106:5’−TAC CAT GCA GGG TGG AAT GTおよび3101:5’−CCA TCC TTC GAG TAT TGC)を用いるPCRによって検討された場合、検討した9つの6Aα単離物のすべては、検討した6つの6Aβ単離物のすべてより約200塩基対(bp)長い生成物を与えた(図5)。6つの単離物は、韓国、米国およびブラジルからの6Aβ単離物を含んだ。かくして、このPCRは6A亜型についての遺伝子テストとして用いることができる。
【0101】
次いで、1つの6Aα単離物(AAU9)および1つの6Aβ単離物(ST745)からのPCR生成物のヌクレオチド配列を決定した(図6)。AAU9 PCR生成物における1203〜2959位間の塩基(1757塩基)のすべてを配列決定し、その配列は、GenBankデータベースにおいて報告された6A単離物の莢膜座配列であるCR931638に相同性であることが判明した。対照的に、そのST745配列は、1368位までで、2591位から再び開始する6Aαのそれとほとんど同一であることが判明した。介在する1029bp配列(1369〜2397)は、6Aαのそれとは全く異なる。介在配列は、Streptococcus thermophilusにより多糖体合成に用いられたトランスフェラーゼに類似する約98bpを含む。
【0102】
実施例7.6C単離物は化学的に区別される莢膜を有する
2つの6C単離物(BZ17およびBZ650)、4つの6A株(SP85、ST558およびCHPA378)および2つの6B株(ST400およびST518)を比較した。全ての肺炎球菌単離物は、肺炎球菌の典型的なコロニー形態学を有し、オプトヒン感受性で、かつ胆汁可溶であった。上記実施例3に記載のごとく、サブタイピングアッセイを行った。
【0103】
多糖体単離および精製:肺炎球菌株(SP85またはBZ17)を、塩化コリン、炭酸水素ナトリウムおよびシステイン−HClを補足したJRH Biosciences(Lenexa, KS)からの2リットルの化学的に規定された培地(van de Rijnら, 27 Infect. Immun. 444−49(1980))中で増殖させ、0.05%デオキシコール酸塩で溶解した。遠心によって細胞片を除去後、PSを70%エタノール中で沈殿させ、120mLの0.2M NaClにそれを溶解することにより回収した。10mMトリス−HCl(pH7.4)中でPSを透析後、PSをDEAEセファロース(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)カラム(50ml)に負荷し、NaCl濃度勾配で溶出した。得られた画分を前記のごとき阻害アッセイで6Aαまたは6AβPSにつきテストした。PS含有画分をプールし、エタノール沈澱(70%)により濃縮し、透析し、次いで凍結乾燥した。凍結乾燥したPSを3mlの水に溶解し、120mlのSephacryl S−300 HR(Amersham Biosciences)を含有するゲル濾過カラムに負荷した。PSを水でカラムから溶出し、次いで、全画分を阻害アッセイで6AβPSにつきテストした。第1の6Aαまたは6AβPSピークを含む画分をプールし、凍結乾燥した。
【0104】
単糖体分析:凍結乾燥した莢膜PSを80℃にて16時間1.5M HCl中のメタノリシスに付した。メタノール性HClを蒸発後、残渣を室温で20分間 Tri−Sil試薬(Pierce Biotech. Inc. Rockford, IL)で処理した。反応生成物を、30m(直径0.25mm)のVF−5キャピラリーカラムを取付けたGLC/MS(Varian 4000, Varian Inc. Palo Alto, CA)で分析した。カラム温度は、100℃にて5分間維持し、次いで、20℃/分にて275℃まで増加させ、最終的に275℃に5分間保持した。溶出物は電子衝撃イオン化モードを用いる質量分析法により分析した。
【0105】
酸化、還元および加水分解:莢膜PS(1mg/mL)を、80mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH=4)中の40mM過ヨウ素酸ナトリウムで暗所4℃にて4日間処理した。過剰の過ヨウ素酸塩をエチレングリコールで中和後、試料を透析し、次いで凍結乾燥した。Stroopら, 337 Carbohydr. Res. 335−44(2002). PS(1mg/mL)を、200mg/mLの水素化ホウ素ナトリウム(NaBHまたはそのジューテリウム形態NaBDでRTにて3時間還元し、透析し、次いで凍結乾燥した。酸化/還元した6C PSを0.01M NaOH中で85℃にて30分間加水分解し、0.01M HClを添加することにより中和し、次いで脱塩なくして質量分析法に直接的に用いた。
【0106】
タンデム型質量分析:天然および酸化/還元した6Cのタンデム型質量分析を電子スプレーイオン源を装備したMicromass Q−TOF2質量分析計(Micromass Ltd. Manchester, UK)を用いてアラバマ大学バーミンガム校のMass Spectrometry Shared Facilityにおいて行った。蒸留水に溶解した試料をハーバードシリンジポンプを用いて、1μL/分の速度にて、泳動用緩衝液(0.1%ギ酸を含有する50/50のアセトニトリル/水)と共に質量分析計に注入した。注入した試料は、電子スプレー(ニードル電圧=2.8kV)で負にイオン化され、TOF質量分析計で検出した。注入した試料は、電子スプレー(ニードル電圧=2.8kV)で負にイオン化され、TOF質量分析計で検出した。MS/MSについて、親イオンをアルゴンガスとの衝突前に40eVまでそれを印加することにより、娘イオンに断片化した。娘イオンはTOF質量分析計で分析した。MS/MSスペクトルはMassLynx 3.5のMax−Ent3モジュールを用いて処理した。
【0107】
スミス勾配およびグリセロール検出:過ヨウ素酸塩で処理した6Aαおよび6Aβ PSを1M水酸化アンモニウム中の10mg/mlナトリウムボロジューテリドで16時間還元した。過剰のナトリウムボロジューテリドを氷酢酸の添加により除去し、0.5mlのメタノール:酢酸(9:1)を添加した。試料を窒素流下で乾燥し、0.25mlのメタノールで2回洗浄した。乾燥試料を0.5mlの1.5Mメタノール性HCl中に懸濁し、80℃にて16時間インキュベートした。試料を窒素流下で乾燥し、0.25mlのメタノールで2回洗浄した。乾燥試料を0.1mlのTri−Sil(Pierce)中に懸濁し、80℃にて20分間インキュベートした。1μlの試料を、60mのVF−Iカラムを装備したVarian 4000ガスクロマトグラフ‐質量分析計(Varian 4000, Varian Inc. Palo Alto, CA)に注入した。ヘリウムを1.2ml/分の一定流速にてキャリヤーガスとして用いた。オーブン条件は、2分間保持した50℃の初期温度、15O℃まで30℃/分の温度増加、次いで220℃まで3℃/分にてさらに増加させ、それを2分間保持した。注入温度を250℃に、MSトランスファーラインを280℃に維持した。MSデータ取得パラメーターは、アセトニトリルを用いる電子衝撃(EI)モード、または化学イオン化(CI)モードにおいてm/z 40〜1000を走査することを含んだ。
【0108】
6Aα PSのクロマトグラフィーは、従前の刊行物と一致するリビトール、ラムノース、グルコースおよびガラクトースの特性である全てのピークを示した(図7A)。Kimら, 347 Anal. Biochem. 262−74(2005). 例えば、ガラクトースは、11.2〜11.6分の保持時間に出現する3つの主要なピークを与え、その第2のピークは最も高かった。Kimら(2005). 6AβPSクロマトグラムを検討した場合、リビトール、ラムノースおよびグルコースの特徴的なピークが見出されたが、ガラクトースのピークは不存在であった。各炭水化物ピークの面積をラムノースのピーク面積に標準化し、6Aαおよび6Aβ間で比較した場合(図7B)、6Aαおよび6Aβ PSは、リビトールピークの等価な面積を有する。しかしながら、6Aβのグルコースピーク面積は、6Aαの2倍であった(図7B)。この知見は、6Aβの反復単位は、6Aαとして1つのリビトールおよび1つのラムノースを有するが、1つの各々のグルコースとガラクトースの分子に代わる2つのグルコース分子を有することを示唆した。かくして、6Aβは、ガラクトースに代えてグルコースを用いることによる6Aαにより生成したPSとは化学上異なる莢膜PSを生成する。
【0109】
6Aβ PSに存在すると推定した2つのグルコース分子をさらに調査するために、6Aαおよび6Aβ PSを、隣接するグリコールを選択的に破壊する過ヨウ素酸塩で処理した。
6A PSの公表した構造から期待されるように、6Aα PSのガラクトースおよびリビトールピークを検出できなくなるが、グルコースおよびラムノースのピークは影響を受けなかった。Kamerling, Pneumococcal polysaccharides:a chemical view, in Mol. Biol. & Mechanisms of Disease 81−114(Mary Ann Liebert, Larchmont, 2000);Kimら, 347 Anal. Biochem. 262−74(2005);Rebers & Heidelberger, 83 J. Am. Chem. 3056−59(1961). 6Aβ PSを過ヨウ素酸塩処理した場合、そのリビトールは検出できなくなり、そのグルコースピークは約半分だけ低下し、一方、そのラムノースピークは影響を受けないままであった(図7B)。この知見は、6Aα PS構造がその文献において公表された6A PS構造と同一であることを強く示唆する。また、それは、6Aβ PSが6Aα PSとは化学的に異なり、6Aβ PSが2つのグルコース分子を有し、その一方は過ヨウ素酸塩に感受性であり、他方は感受性ではないことを示す。
【0110】
実施例8.反復単位内の単糖体/リビトール配列の決定
6A PSの穏やかなアルカリ加水分解は、各反復単位におけるホスホジエステル結合を壊し、負電荷を持つ反復単位を生成し、次いで、それをタンデム型質量分析で検討できる。(株SP85からの)6Aα PSの加水分解生成物は、負電荷を持つ3つの十分に規定されたピーク:683.21、701.21および759.19の質量電荷比(m/z)単位を持つピーク(図8A)を示した。683.21m/z単位のピークは、701.21m/z単位のピークの無水形態を表わし、759.19でのピークは、NaCl塩で701.21m/z単位を持つ分子を表わす。これは、反復単位の質量が記載のごとき683.21質量単位であることを示す。Kamerling, 2000;Kim, 2005. 701.21のピークの娘イオン(生成物イオン)を検討し、539.13、377.08および212.99m/z単位の質量を持つ娘イオンを与え、それらは、各々、グルコース−ラムノース−リビトール−P、ラムノース−リビトール−Pおよびリビトール−Pフラグメントの質量に対応する(図8C)。また、701.21、539.14、377.08および212.99m/z単位のそれらの無水相当物。96.94および78.93m/z単位で観察したさらなるピークは、HPOおよびPOイオンを表わす(図8C)。
【0111】
6Aα PSに用いた同一手順を用いる6Aβ PSの分析は、6Aα PSにつき見出された3つの主要なピークに対応する683.24、701.25および759.22m/z単位での3つの主要なピークを示した(図8B)。また、6Aβ切断生成物は、6Aαのものと同一の質量スペクトルを有した(図8D)。この知見は、6Aβ PSの反復単位の質量が683.2m/z単位であり、6Aβ反復単位の炭水化物配列がグルコース1−グルコース2−ラムノース−リビトール−Pであることを示した。(その2つのグルコースを区別するために、それらをグルコース1およびグルコース2と標識する。グルコース1は6Aαのガラクトースに対応する。)かくして、6Aβの単糖体配列は、ガラクトースのグルコース1での置換を除いて、6Aαのそれと同一である。
【0112】
実施例9.6Aβ反復単位の炭水化物およびリビトール間の連結の決定。
過ヨウ素酸塩感受性の6Aβグルコースを同定するために、6Aβ PSを酸化し、穏やかなアルカリ加水分解により反復単位を還元し、その反復単位をタンデム型質量分析で試験した。それらの質量スペクトルを、650および700m/z単位間のいくつかの主要な(および優位な)ピークを示した(図9A)。優位なピークは、655.23、659.73、661.24、664.25、673.25および675.24m/z単位にあった。天然同位元素により、各優位なピークは1または2のさらなる質量単位を持つサテライトピークを有し、これらのサテライトピークを用いて、優位のピークの荷電状態および真の質量を決定できる。Cole、エレクトロスプレーイオン化質量分析:基礎、計測および適用(Wiley, New York, 2000)。例えば、661.24m/z単位の優位なピークは、661.57m/z単位を持つサテライトピークを有する。これらの2つのピークが0.33m/z単位によって分離されるために、661.24のピークは、3つの負電荷を持つ分子イオンおよび1983.72の質量単位(すなわち、1つの水分子を含む3つの反復単位;655.23*2+673.76=1983.72)を表わす。同様に、その664.25および675.24のピークは、2つの負電荷を持つ2つの反復単位を表すが、その675.24のピークは陽子を交換するナトリウムイオンを有する。673.25および655.23のピークは、水分子がある、または水分子のない1つの負電荷を持つ1つの反復単位を表わす。酸化/還元に先立って無水反復単位の質量が683.26であったために、反復単位は酸化および還元により28質量単位を損失した。リビトールおよびグルコースの過ヨウ素酸塩反応生成物を同定するために、リビトールフラグメントをRxフラグメントと命名し、その2つのグルコースフラグメントをGxおよびGyフラグメントと命名した(図10A)。
【0113】
娘イオンは、673.25m/z単位を持つ親イオンを断片化することにより得た(図9B)。断片化中に、1つのフラグメントは1つの原子質量単位(AMU)を他のフラグメントと交換し得る。Grossertら, 20 Rapid Commun. Mass. Spectrom. 1511−16(2006);McLafferty 31 Anal. Chem. 82−87(1959). また、分子イオンは、アルゴン衝突セル内で不定に水和されるようになる。Sunら, 69 Infect. Immun. 336−44(2001). 事実、娘イオンを18m/z単位(図9B)の差に基づいて水和および無水ピークにグループ化できた。673.25、581.16、509.13、347.07および200.99m/z単位で見出されたピークは水和したピークであり、その各々は、18AMU小さい対応する無水ピークを有する。また、200.99、347.07および509.13m/z単位のピークは、切断化中に切断化サイト(図10B)に加えられた1つの水素原子を持つ200、346のおよび508AMUを持つフラグメントに対応する。200.99m/z単位のピークは、リビトールが過ヨウ素酸塩処理中にCHOHを損失したことを確認する。347.07および509.13でのピークは、ラムノースおよびグルコース2が過ヨウ素酸塩抵抗性であることを示す。581.16でのピークの存在は、グルコース1が切断されることを示す。
【0114】
過ヨウ素酸塩切断は、グルコース1を2部(それらを図10A中のGxおよびGyと命名した)に分割した。2部の組み合わせた質量は、グルコース1が炭素を損失しなかったが、酸化還元反応中に切断部位で2つの水素原子を得たために、162(無傷のグルコースの質量)に代わる164である。図9に示した質量スペクトルは、各々、91および74AMUを有するGxおよびGyと一致する。581.16m/z単位のピークは、反復単位がGxおよび1つの余分な陽子を損失したことを示す(図10)。GxおよびGy(74AMU)の双方の中性の損失の結果、Gyが既にGxに対する1つの水素を損失し、グルコース2に1つの水素を残すために、72m/z単位をさらなる損失を生じる。同一パターンが、無水ピーク:すなわち、655.22、563.16および491.12m/z単位につき判明した。さらに、6Aβ PSをNaBDで還元した場合、2つのさらなる質量単位はグルコース1に関係していた:Gxフラグメントの中性の損失は92に代えて93であり、Gyのそれは72に代えて73であった(図4C)。これらの知見は、グルコース1が、図1OAに示すサイズを持つGxおよびGyに切断することを明確に示した。
【0115】
また、娘イオンの質量スペクトルは、6Aβ PSのグリコシド結合についての情報を提供した。グルコースおよびラムノースはそれらの最初の炭素にて先の炭水化物に連結されなければならない。Rebers & Heidelberger, 1961. また、それらは過ヨウ素酸塩に抵抗性であるために第3の炭素もて次の炭水化物に連結されなければならない。Rebers & Heidelberger, 1961. かくして、6Aβ PSは、グルコース1(1→3)グルコース2(1→3)ラムノース(1→)を有しなければならない。娘イオンのさらなる検討は、それらのグルコース1がその第2の炭素にてホスホジエステル結合を有することを示す。過ヨウ素酸塩感受性であるために、グルコース1は、2、4または6位でのみそのホスホジエステルリンクを有しなければならない。ホスホジエステル結合連結は、6での結合がグルコース1中の炭素原子の損失を生じるために6位ではない(図10F)。ホスホジエステル連結が4位ならば、切断は第2および第3の炭素間で生じる。次いで、GxおよびGyは120および42AMUを有し、552m/z単位を持つピークは581m/z単位(図10E)でのピークに代わって検出されるであろう。
【0116】
加水分解はグルコース1とのホスホジエステル結合を切断するが、それは時々代わりにリビトールとのホスホジエステル結合を壊す。この逆切断生成物の検討は、ホスホジエステル結合がグルコース1の第2の炭素になければならないことをさらに確認する。150.95および243.00m/z単位を持つピークは、これらのm/z単位を持つ生成物が、第2の炭素(図10D)でのホスホジエステル結合でグルコース1から生成でき、これらのピークが、還元がNaBHに代えてNaBDで行う(図9C)ならば、1(150.95→151.97)または2(243.00→245.02)を超えるm/z単位を有するので、グルコース1の逆切断生成物である(図9B)。また、120.95m/z単位のイオンは、150m/z単位でのイオンが末端のメタノール基を損失するならば得ることができる。これらのピークは、ホスホジエステル結合が第4または第6の炭素(図10Eおよび10F)にあれば、説明できない。かくして、逆の切断生成物でのデータも、ホスホジエステル結合がグルコース1の第2の炭素に連結することを示す。
【0117】
質量スペクトルのさらなる検討は、ラムノース−リビトール連結が(1→3)でなければならないことを示した。肺炎球菌がそれらの莢膜合成のためのタイコ酸合成のために同様に生成されるCDP−5−リビトールを用いる(Pereira & Brown 43 Biochem. 1180212(2004))ために、リビトールおよびグルコース1間の連結はリビトール(5→P→2)グルコース1でなければならない。78.94および96.94のピークは、POおよびHPOに対応するが、182.98および200.99でのピーク(図9B)は、POおよびHPOに結合したRxフラグメントに対応する(図10A)。かくして、リビトールは、酸化還元反応中にヒドロキシメチル基を失うに違いなく、ラムノースおよびリビトール間の連結はラムノース(1→3)リビトールでなければならない。上記の全てを考慮すると、6Aβ反復単位は、{P→2)グルコース1(1→3)グルコース2(1→3)ラムノース(1→3)リビトール(5→}となるべきである(図10C)。
【0118】
6Aα PSを分析した場合、6Aβ PSピークと同一のピークを見出し、それはガラクトースおよびリビトールが過ヨウ素酸塩によって破壊したが、グルコース2およびラムノースが無傷のままであったことを示す。かくして、6Aα PSの構造は、{→2)ガラクトース(1→3)グルコース2(1→3)ラムノース(1→3)リビトール(5→P)に違いなく、それは文献に公表された6A PS構造と同一である。Kamerling, 2000;Rebers & Heidelberger, 1961. 要約すると、6Aおよび6C PS間の唯一の構造の差は、グルコース1(またはガラクトース)の第4の炭素での水酸基の配向である。
【0119】
古典的に、6A PSのホスホジエステル結合は、酸化および還元した6A PSのスミス分解後にグリセロールが遊離されることを示すことにより、ガラクトースの第2の炭素にあることが決定された。Rebers & Heidelberger, 1961.この古典的アプローチを用いて6Aβホスホジエステル結合の位置を確認するために、前記のごとく、酸化および還元後の6Aαおよび6Aβ PSのスミス分解を行なった。6Aαおよび6Aβ PSの反応生成物は、2つのPSからのグリセロールを示した。かくして、グルコース1は、グルコース1の第2の炭素にてホスホジエステル結合を有する。
【0120】
実施例10.血清型6Cの遺伝子起原
菌株および培養:その試験に用いた肺炎球菌株を表4にリストする:
【0121】
【表5】

【0122】
早期に報告されたブラジルからの6C単離物(Linら, 2006)に加えて、さらなる6C株を「6A」血清型としてその研究所で保管された、前から存在する肺炎球菌単離物を再型別することにより同定した。収集は、Robinsonら, 184 J. Bacteriol. 6367−75(2002);Mavvoidi, 2004;およびPayne(Payne, 2006年提出)による試験に用いた6A単離物を含む。1つの株(BGO−2197)をBirmingham, Alabama, USAにて1979年に単離した。TIGR4JS4株は、TIGR4株(Tettelinら, 293 Science 498−506(2001))の非莢膜の変種であり、ヤーヌスカセット(Janus cassette)(kan−rpsL)でタイプ4莢膜遺伝子座を置換し、野性型TIGR4(Trzcinskiら, 69 Micorbiol. 7364−70(2003);Hollingshead(未発表))に3回戻し交配することにより生成した。TIGR6AX、TIGR6A4およびTIGR6C4は各々、無、6Aまたは6Cの莢膜タイプを発現するTIGR4JS4変種である。これらの変種を、後記に示すように生成した。
【0123】
PCRおよびDNA配列決定:この試験に用いたPCRプライマーのすべてを表5にリストした。多座配列解析(MLST)に用いたプライマーは、Enright & Spratt, 144(11) Microbiol. 3049−60(1998)により記載した通りであり、wciN、wciOおよびwciP遺伝子を増幅するのに用いたプライマーは、Mavroidiら, 2004に記載された。さらなるプライマーは、GenBank中の6Aおよび6B莢膜遺伝子座のDNA配列(各々、受入れ番号CR93163SおよびCR931639)を用いて設計した。
【0124】
【表6】

【0125】
莢膜遺伝子座PCRについて、反応混合物は10〜30ngの染色体DNA、100−pmolストックからの1μlの各プライマー、2μlの10mM dNTP、5μlの10×緩衝液、0.5μl(2.5U)のTaqポリメラーゼ(Takara Biomedical, Shiga, Japan)、および39.5μlの滅菌水(Sigma, Saint Louis, MI)を有した。多座配列解析用の反応混合物は、10〜30ナノグラムの染色体DNA、50−pmolストックからの1μlの各プライマー、2μlのMgCl、5μlのQ溶液(Qiagen, Chatsworth, CA)、12.5μlのMaster Mix(Qiagen)および4μlの滅菌水(Sigma)を有した。染色体DNAは、製造者の説明書に従いWizard Genomic DNA Purification Kit(Promega, Madison, WI)で単離した。熱循環条件は:95℃、3分間での最初の変性、30サイクルの95℃、1分間での変性、52℃〜58℃、1分間でのアニーリング、72℃、2分間での伸張、および72℃、10分間での最後の伸長であった。多座配列解析は30サイクルを用い、莢膜座遺伝子PCRは35サイクルを用いた。PCR生成物のサイズは、1%〜1.5%アガロースゲル中の電気泳動によって決定した。
【0126】
PCR生成物のDNA配列は自動DNAシークエンサーを用いて、アラバマ大学でのゲノミクスコア施設により決定し、PCR生成物をWizard PCR Cleanup Kit(Promega)で精製した。DNA配列はLasergene v. 5.1 ソフトウェア(DNASTAR, Madison, WI)およびNCBI NLM NIHサイトでのオンラインで位置したBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)で分析した。
【0127】
莢膜遺伝子座からの配列を従前に報告された配列と比較した。Mavroidiら, 2004. 各配列タイプの対立遺伝子は、オンライン肺炎球菌多座配列解析(MLST)ウェブサイトを用いて割り当てた。配列が異なっていた場合、新しい対立遺伝子番号を割り当てた。次いで、全てのwciNβ配列を肺炎球菌MLSTに寄託した。次いで、肺炎球菌単離物CHPA388の全莢膜遺伝子座をGenBankに寄託した。
【0128】
世界的規模の出所から収集した6C株の遺伝プロフィールを表6に示す:
【0129】
【表7】

【0130】
6Aおよび6C莢膜遺伝子座を持つT1GR4変種の生成:6C莢膜発現におけるwciN遺伝子の役割を調べるために、所望の遺伝子または遺伝子断片を、TIGR4に由来するが莢膜遺伝子座を欠いているTIGR4JS4株に挿入した(図11)。凍結した形質転換成分TIGR4JS4のアリコートを、600nmでの光電密度が約0.4〜0.5になるまで、37℃でTHYブロス中で増殖させ;0.5%酵母抽出物、0.2%ウシ血清アルブミン、0.01%CaClおよび13%グリセロールを補足したトッド−ヒューウィット(Todd−Hewitt)培地(pH7.2)中でそれを1:100希釈し;次いで、−80℃にて250μlアリコート中で凍結することにより調製した。
【0131】
TIGR4JS4を形質転換するために、冷凍した細菌アリコートを解凍し、50ngのコンピテンス刺激ペプチド変種2と混合した。Trzcinskiら, 2003. 37℃での14分間のインキュベーション後、100μlのTIGR4JS4を、10μlの細菌溶解物(AAU33株)または100ngのDNAカセットと混合した。37℃での2時間のインキュベーション後、細菌を200μg/mlカナマイシンまたは300μg/mlストレプトマイシンを含有するヒツジ血液寒天培地プレートに捲き、ロウソクジャー中で37℃にて培養した。抗生物質培地中で増殖させた形質転換体のコロニーを回収し、DNAレシピエントコンピテント細菌で3回戻し交配させた。
【0132】
形質転換のためのAAU33の細菌溶解物を調製するために、10mlのTHYブロスにAAU33株を接種し、600nmでの光電密度が約0.4〜0.5となるまで37℃にて約5時間培養した。そのTHYブロスを遠心して、細菌ペレットを得、そのペレットを0.1%デオキシコール酸ナトリウムおよび0.01%ナトリウム硫酸ドデシルを含有する0.1mlのクエン酸ナトリウム緩衝液(0.15M、pH7.5)中に再懸濁し、次いで、37℃で10分間インキュベートすることによりそのペレットを溶解させた。次いで、溶解物(0.1ml)を、0.015Mクエン酸ナトリウム(pH7.0)で緩衝した0.9mlの通常のセーラインと混合し、65℃で15分間加熱不活性化した。
【0133】
TIGR6A4のwciNα遺伝子領域をCHPA388からのwciNβ遺伝子領域と置換するために、発明者らは、図11中のカセット1およびカセット2と標識した2つの異なるDNAカセットを調製した。各カセットは3つのパーツ:標的DNAを含有する中核および2つのフランキングDNAを有する。その2つのフランキングDNAは相同性組換え用であり、各々約1kbであり、wchAまたはwciO−P遺伝子のいずれかから得た。カセット1の中核は、カナマイシン抵抗性(kana)およびストレプトマイシン感受性(rpsL)遺伝子を有し、テンプレートとしてTIGR4JS4株DNAを用いるPCRによって得る。フランキングDNA断片を、テンプレートとしてAAU33の染色体DNAを用いてPCRによって得た。図11および表5に示す全てのプライマーペアは制限酵素部位を有し、3つのDNA断片の連結を促す。その3つのDNA断片は、適当な制限酵素での消化、およびT4 DNAリガーゼ(New England BioLabs, Beverly, MA)での連結により一緒に連結した。連結生成物をプライマー5113および3102を用いるPCRによって増幅した。PCR生成物をWizard PCR Cleanup Kit(Promega)により精製し、ヌクレオチド配列決定に付した。次いで、PCR生成物を形質転換においてドナーDNAとして用いた。
【0134】
カセット2を用いて、抗生物質選択遺伝子をwciNβ遺伝子と置換した。その中核はCHP A388からのwciNβ遺伝子を有する。wchAおよびwciO−P DNA断片はカセット1につき記載されたAAU33からPCRによって得た(図11)。
【0135】
「6A」コレクション中のさらなる6C株の同定:種々の位置から6C血清型の代表的なコレクションを得るために、発明者らは、膨張反応(Mavroidiら, 2004;Robinsonら, 2002)により「6A」株の発明者らの先在するコレクションを再テストし、3つの異なる大陸の5か国からのさらなる9つの6C単離物を同定した(表4)。これらの単離物を髄液、血液および鼻咽腔試料から得、これは6Cが侵襲性の肺炎球菌感染ならびに無症候性保因に関与し得ることを示す。1つの単離物(BGO2197)はアラバマのバーミンガムで1979年に得られた。この知見は、本明細書に記載されるように最初に同定および単離した6C血清型が27年間を超えて存在し得、今や世界中で見出されていることを示す。
【0136】
多数の6C株は、異なる配列タイプを除いて同一の莢膜遺伝子座プロフィールを有する:血清型6Cにつき遺伝的基礎を調査するのを始めるために、12の単離物の莢膜遺伝子座プロフィールおよび配列タイプ(ST)を検討した。ブラジル6C単離物(Linら, 2006)につき従前に観察されたものと同様に、すべての6C単離物は、ヌクレオチド差を持たないか、または1つのヌクレオチド差を持つwciP遺伝子の対立遺伝子9を有する。同様に、全ての6C単離物は、ヌクレオチド差を持たないか、または1つのヌクレオチド差を持つwzx遺伝子の対立遺伝子1を有する。全ての6C対立遺伝子は、対立遺伝子1を発現する1つの単離物を除いて、wzy遺伝子につき対立遺伝子10を有する。6C単離物の制限された莢膜遺伝子座プロフィールとは対照的に、多座配列解析は、6C単離物が様々なSTを発現することを示す。6Cが、複数のSTを持つが、1つの単一莢膜遺伝子座プロフィール(1つの単離物を除いて)と関係するという事実は、6C血清型を担う遺伝子がおそらく莢膜遺伝子座にあることを示唆する。
【0137】
6Aおよび6Cの莢膜遺伝子座は、wchAおよびwciO遺伝子間の領域において異なる:血清型6Aおよび6C間の遺伝子差はグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子であり、この同一遺伝子は、血清型6Aおよび6B間の差を担う同じ遺伝子であることを仮定した。PCRを用いて、それらのグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のサイズを比較した場合、それらのwciN遺伝子のサイズが異なることが判明した。全ての6C単離物のwciN PCR生成物は、約1.8kb長であったが、全ての6A単離物のwciN PCR生成物は約2kb長であった(図12)。6Aおよび6C血清型から2つのwciN遺伝子間を区別するために、それらを各々、wciNαおよびwciNβと命名した。
【0138】
wciNβ遺伝子をさらに調査するために、5つの6C株(BZ17、BZ86、CHPA388、KKl 77およびST 260)からのwchAおよびwciO遺伝子を含むwciNβ遺伝子領域のDNA配列を比較した。それらの配列がほとんど同一であったため、実際のDNA配列はCHPA388のみにつき示し(図13)、他の単離物の配列をGenBankに寄託する。次いで、CHPA388からのwciNβ遺伝子の配列をGenBank(第CR931638号)で利用可能な対応する領域の6A配列と比較した(図13)。比較の要約を図14に示す。
【0139】
配列比較は、wciNαおよびwciNβ遺伝子の明確な差を明らかにした:6C血清型は、6A中の1222bp長のDNAに代えて1029bp長のDNAを有する(図14および図15)。2つのwciN遺伝子は完全に異なり、配列相同性はわずか約50パーセントである。DNA差はwchA遺伝子(1368位)の終了直後に始まり、wciO遺伝子の始めの130塩基上流で終了する(6Cにつき2398位、6Aにつき2631位)(図14および図15)。置換した遺伝子に隣接して位置するDNA配列を6Aおよび6C間で比較した場合、かなり多数のDNA多形性が、2つのフランキング領域の外側の領域よりもフランキング領域中で判明した。例えば、置換した遺伝子から300塩基上流は、25の異なるヌクレオチドを有したが、その300塩基から直ちに上流に位置した150塩基はたった1つの異なる塩基を有する(Fisherの正確確率検定によりp<0.001)(図15)。同様に、3’方向において、20塩基が近位の110塩基において異なるが、1塩基だけが次の300塩基において異なる(Fisherの正確確率検定によりp<0.001)(図15)。同様の結果が7つの異なる6A株AAU33、D020−1B、HS3050、CHPA78、KK65、ST19およびST558の配列で得られたために、これらの知見はこの特定の6A配列(CR931638)にユニークではない。これらの知見は、2つのフランキング領域が、6Aに挿入して6Cを創製する新しい遺伝子の一部分であったことを示唆する。
【0140】
フランキング領域は、6A莢膜座へのwciNβ遺伝子の相同組換えに関与していたのかもしれない。さらに、全ての6C単離物は同一のフランキング領域配列を有する。これは、遺伝子置換が1回だけ行なわれ、全ての6C単離物が、この単一の樹立細菌の子孫でなければならないことを示唆する。
【0141】
この遺伝子置換で、wciNβは、1125塩基長であって、新しいオープン・リーディング・フレーム(ORF)を有し、WCINβ蛋白質と命名される374アミノ酸を持つペプチドをコードする(図13)。新しいORFの終止コドンは、6Cの2497および2528位に位置するwciO遺伝子についての2つの潜在的な開始コドン間にある。wciNβ遺伝子の配列をデータベース中の配列と比較した場合、6Cの110塩基(6C中の1627〜1736)は、Streptococcus thermophilus株CNRZ1066のエキソポリサッカライド合成遺伝子の90塩基に81%相同性を示した(Bolotinら, 22 Nat. Biochem. 1554−58(2004)(図13)。また、wciNβ遺伝子の翻訳配列は、Staphylococcus aureusのcapH遺伝子の翻訳した配列に22%のアミノ酸同一性、および44%の類似性を有する。Linら, 176 J. Bacteriol. 7005 16(1994). wciNβ遺伝子産物はwaaGファミリーのメンバーである。付随的に、E. coli K−12のwaaG遺伝子産物はLPS合成に関与するαl,3−グルコシルトランスフェラーゼである。Heinrichsら, 30 Mol. Microbiol. 221−32(1998).
【0142】
6Aおよび6C血清型の莢膜遺伝子座の配列は、wciN遺伝子以外の領域においてわずかだけ異なる:6Aおよび6Cの莢膜遺伝子座がwciN部位においてのみ異なるかどうかを決定するために、6C単離物(CHPA388)の全莢膜座の配列を6つのオーバーラップするDNA断片中のdexBおよびaliA座間の全莢膜遺伝子座を増幅するPCRによって分析した。図16は、莢膜遺伝子座の配列の遺伝子地図を示す。全CHPA388座を図17に示す。6C莢膜遺伝子座は、莢膜PS合成に関与する14のORFを含んでいた。ORFは同一転写配向にあり、6A莢膜遺伝子座につき判明したものに正確に対応する。6CのORFは5’末端でのcpsA遺伝子から始まり、3’末端でのrmlD遺伝子で終了する。図16に示されるように、6C莢膜遺伝子座についての推定プロモーター結合部位および転写開始部位は、5’からcpsA遺伝子までに見出され、推定転写ターミネーター部位は3’からrmlD遺伝子までに見出される。加えて、多数の肺炎球菌莢膜遺伝子座につき一般的に見出された莢膜遺伝子座の両端での挿入配列(または「tnp」または「トランスポサーゼ」)配列がある。Bentleyら, PLoS Genet 2:e31(2006). 全ての座のヌクレオチド配列はGenBankに寄託される。
【0143】
その配列を、前記のwciN領域を除いて、6A株の莢膜遺伝子座(GenBank受入番号CR31638)と比較した場合、6Cの莢膜遺伝子座は、6Aのそれと非常に相同性(約98%)であった。また、相同性は、cpsA ORFの中央での約60bpについてかなり低く(約78%)、莢膜遺伝子座の両末端で見出された「tnp」は、6Aおよび6C莢膜遺伝子座間で異なっていた。6Cの莢膜遺伝子座はいくらかの6Aまたは6B莢膜遺伝子座中のwciO遺伝子の上流に存在するINDELを有しなかった。Mavroidiら, 2004. これらの差にもかかわらず、6Aおよび6C莢膜遺伝子座間の最も顕著な差が、wciN領域において見出される。
【0144】
wciN遺伝子部位は6Aから6C血清型への変換を担う。莢膜遺伝子座の前記の比較は主要な差がwciN領域にあることを示したが、小さな差は、全莢膜遺伝子領域(例えば、cpsA ORF)中に存在する。莢膜座の外側のいくらかの他の小さな遺伝子の差が6C発現に関与できることが可能である。wciN領域だけが関与することを示すために、wciNβ領域でのwciNα領域の交換が6A血清型を6C血清型(図11)に変換できるかを検討した。TIGR6Aは、TIGR4の莢膜座を株AAU33からの6A莢膜遺伝子座に置換することにより生成した。次いで、wciNα遺伝子はカセット1でそれを形質転換することによりTIGR6Aから取り出した。TIGR6AXと命名された得られた株は、非莢膜であり、PCRを介して1325および2518位間のwciNα遺伝子を喪失していることが判明した。次いで、wciNβ領域をCHPA388からのwciNβ遺伝子を含んでいたカセット2を用いてTIGR6AXに挿入した。PCRは、得られた株TIGR6Cが、予期した位置でwciNβを有することを確認した。TIGR6Cは、血清型6Cを発現すると判明し、これはwciNβ遺伝子領域が血清型転換に十分であることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、阻害ELISAの結果を示す。
【図2】図2は、種々の肺炎球菌でのオプソニン化アッセイデータを示す。
【図3】図3は、オプソニン化力価比較を示す。
【図4】図4は、種々の肺炎球菌単離物からの一部のwciP遺伝子のDNA配列を示す。
【図5】図5は、9つの6Aα単離物で得られたPCR生成物を示すアガロースゲルの写真である。
【図6】図6は、単離物AAU9(中央バー)およびST745(2つのパーツでの底部バー)の肺炎球菌の莢膜遺伝子座のwchA、wciN、wciO領域のダイアグラムを示す。
【図7】図7は、過ヨウ素酸塩処理前後の6Aα(上部)および6C(6Aβ、底部)からの莢膜PSの炭水化物組成物(パネルA)を示す。
【図8】図8は、6Aα(パネルA)および6Aβ(パネルB)の反復単位およびそれらの娘イオン(各々、パネルCおよびD)の質量スペクトルを示す。
【図9】図9は、酸化および還元(パネルA)後の6AβPSの反復単位およびそれらの娘イオン(パネルBおよびC)の質量スペクトルを示す。
【図10】図10は、6C莢膜多糖体の提唱された化学構造およびその切断生成物の構造を示す。
【図11】図11は、wciN領域交換実験ダイアグラムを示す
【図12】図12は、6Aおよび6Cの単離物のwciN領域のPCR生成物の電気泳動パターンを示す。
【図13】図13は、wchAの3’末端およびwciO遺伝子の5’末端のヌクレオチド配列と共にwciNβORFのヌクレオチド配列を示す。
【図14】図14は、6A株(GenBank CR931638)および6B株(CHP A388)のwciNαおよびwciNβ領域のDNA配列を示す。
【図15】図15は、6Aおよび6Cの単離物のwciN遺伝子を囲む莢膜遺伝子座の遺伝子地図を示す。
【図16】図16は、6A株(GenBank CR931638)および6C株(CHP A388)の莢膜遺伝子座を示す。
【図17】図17は、6Cの血清型(単離物CHPA388)莢膜遺伝子座のDNA配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)6Cと命名された細菌の単離培養物。
【請求項2】
ストレプトコッカス・ニューモニエ6Cと命名された細菌に由来する多糖体または多糖体の一部分を含むワクチン。
【請求項3】
反復単位{→2)グルコース1(1→3)グルコース2(1→3)ラムノース(1→3)リビトール(5→リン酸}を含む、精製された多糖体。
【請求項4】
反復単位{→2)グルコース1(1→3)グルコース2(1→3)ラムノース(1→3)リビトール(5→リン酸}を有する多糖体を含むワクチン。
【請求項5】
ストレプトコッカス・ニューモニエ6Cに結合する抗原結合分子。
【請求項6】
ストレプトコッカス・ニューモニエ6A(6Aα)およびストレプトコッカス・ニューモニエ6Cに異なって結合する抗原結合分子。
【請求項7】
ストレプトコッカス・ニューモニエ6Cを区別する化学的または遺伝子試験。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A−B】
image rotate

【図8C−D】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10A−C】
image rotate

【図10D−F】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図17A−2】
image rotate

【図17A−3】
image rotate

【図17B−1】
image rotate

【図17B−2】
image rotate

【図17B−3】
image rotate

【図17C−1】
image rotate

【図17C−2】
image rotate

【図17C−3】
image rotate

【図17D】
image rotate


【公表番号】特表2009−527222(P2009−527222A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548711(P2008−548711)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/049391
【国際公開番号】WO2007/087064
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(301044015)ザ ユーエイビー リサーチ ファウンデイション (4)
【Fターム(参考)】