説明

脂肪アルコールおよびアルキルポリグリコシドに基づく乳化用組成物

【課題】従来のエマルジョンの触感よりも優れた化粧品の触感を示すが、急速な浸透、軽質で脂ぎっていない触感および爽快感のある刺激感を組み合わせをもたらす乳化剤を提供すること。
【解決手段】10〜90重量%のアラキジルアルコールおよび/またはベヘニルアルコール、90〜10重量%のアラキジルアルコールのリン酸エステルおよび/またはベヘニルアルコールのリン酸エステル、1〜20重量%のアルキルポリグリコシドを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、特に化粧品の分野に用途が見られる特定の乳化用組成物である。
【背景技術】
【0002】
脂肪アルコールのリン酸エステル、特に14個〜18個の炭素原子を有する脂肪アルコールから調製されるリン酸アルキルエステルは、乳化剤として知られる。化粧品中の乳化剤としてのリン酸セチルの使用が非特許文献1により報告されている。
【0003】
化粧品の製造者は、含有量が多いことの不利益を示さない新規なエマルジョンの触感を継続して探索している。特許文献1は、特に、あまり脂ぎってもいないし、消失しにくいが、ある種の皮膚のタイプにとってはひどく脂ぎっているとみなされるエマルジョンをもたらすC20-22 アルキルポリグリコシド+C20-22 アルコールの組み合わせを開示する。
【非特許文献1】ポロらによる、DCI(1999年9月号)26〜34ページおよび82〜84ページ中
【特許文献1】FR−A−2762317
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、解決されるべき問題の1つは、従来のエマルジョンの触感よりも優れた化粧品の触感を示すが、急速な浸透、軽質で脂ぎっていない触感および爽快感のある刺激感を組み合わせている入手可能なエマルジョンを得ることからなる。
【0005】
水性連続相を有するエマルジョンは、水に対する抵抗の低さが知られており、製造者は、この欠点を、乳化系と疎水性ポリマー(アンタロン、ガネックス、ダーマクリル LT79、グロッサマー)および/または特にアンフィゾルの範囲の補助乳化剤のようなリン酸セチルのような補助乳化剤のような添加剤を組み合わせることにより克服するように試みている。それらの添加剤は、皮膚上に有意な残留膜を残す。もう1つの問題は、残留感なく、合せて水に対してより優れた耐性を示す入手可能なエマルジョンを得ることからなる。
【0006】
水性連続相を有する化粧品エマルジョン(ファンデーション、マスカラ、クリームアイシャドウ)は、主に、ステアリン酸またはステアリン酸誘導体(PEGステアレート、グリセリルステアレート)に基づいて配合される。それらのエマルジョンの中の無機フィラーの安定は重要な点である:その傾向は時間経過後に顔料の再凝集が起こることであり、そのことは、平滑で均質な質感を減衰させる(使用時の汚点または着色された筋の出現が起こる製品の中の顔料の移行)。それゆえ、乳化系と組み合わせられる水相の安定化系は洗練され、ほとんどの時間少なくとも2種のポリマー(合成または天然起源の)の存在を含有する。さらに、水性の連続相を有するそれらのエマルジョンは、皮膚上で、日中顕著な移行現象を示す不利益も有する。最終的には、用いられる乳化剤の性質と性能のために、水性連続相を有するそれらの乳化剤は一般的に、7の領域のpH、すなわち、平均の皮膚のpH(5.5)より顕著に高いpHで配合されることが見出される。
【0007】
もう1つの問題は、よりよい化粧品ののりを示す入手可能なエマルジョンを得ることからなる。
【0008】
もう1つの問題は、多分存在するフィラーおよび/または顔料が、水相中の最少量の安定化剤により容易で持続的な手法で安定化されるエマルジョンを製造することからなる。
【0009】
もう1つの問題は、平均皮膚pHの領域の、特に5〜6のpHで顔料、特に二酸化チタンを含む化粧品エマルジョンを配合することからなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
予想外にも、そしてこのことが本発明の基本であるのだが、20個または22個の炭素原子を有するアルコールおよび20個または22個の炭素原子を有するリン酸化アルコールの組み合わせは、(i)改善された触感を有するエマルジョンを得ること、(ii)水に対するエマルジョンの耐性を改善すること、および(iii)化粧品エマルジョンを改善することを可能とすることがこのたび発見された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
したがって、第1の形態によれば、本発明の主題は、
10〜90重量%、好ましくは、15〜90重量%およびより好ましくは、30〜70重量%のアラキジルアルコールおよび/またはベヘニルアルコール;および
90〜10重量%、好ましくは85〜10重量%およびより好ましくは70〜30重量%のアラキジルアルコールのリン酸エステルおよび/またはベヘニルアルコールのリン酸エステル(それらはまた本明細書で以後、「リン酸化アルコール」として表される)を含む乳化用組成物である。
【0012】
「アラキジルおよび/またはベヘニルアルコールのリン酸エステル」と言う用語は、関係するアルコールのモノエステル、ジエステル、トリエステルまたは全ての比率のモノ−、ジ−およびトリエステルの混合物と理解される。
【0013】
特定の態様によれば、アルコールおよびリン酸化アルコールの混合物は、加えて、1〜20重量%まで、好ましくは、1〜10重量%の式R−O−(Y)p (式中、Rは、14〜22個の炭素原子、好ましくは20〜22個の炭素原子を有するアルキルラジカルを表し、Yは、C5 またはC6 単糖、好ましくはグルコースまたはキシロースの残基を表し、pは、1〜5、好ましくは1〜2.5の範囲の、特に好ましくは1〜2の範囲の十進法数を表す)の1以上のアルキルポリグリコシドを含む。
【0014】
式R−O−(Y)p において、R−O−基は、アセタール官能基を形成するように、グルコースまたはキシロース残基のアノマー炭素を介してYに結合する。
【0015】
本発明による乳化用組成物が1以上のアルキルポリグリコシドを含むとき、従来とおりでは様々の成分を混合することによるか、またはより新規な方法では、ワンポット(one−pot)反応を備える方法によるかのいずれかにより調製され得る。
【0016】
したがって、第2の形態によれば、本発明の主題は、
(i)アルコールのリン酸化;および
(ii)未反応のアルコールとグルコースまたはキシロースのような還元糖(C5 またはC6 単糖)との反応
を含むそのような乳化用組成物を調製するための方法である。
【0017】
その方法の第2段階は、一般的に、例えば硫酸のような強酸触媒の存在下で実施される。
【0018】
その方法は実施するのがきわめて容易である。というのは、上記2段階は、同じ工業的ユニットで実施されるからである。
【0019】
本発明による組成物は、エマルジョン、特に化粧品エマルジョンおよび日焼け止めエマルジョンをきわめて容易に製剤することを可能とする。
【0020】
したがって、第3の形態によれば、本発明の主題は、エマルジョンの調製用乳化剤としての上記組成物の使用である。
【0021】
第4の形態によれば、本発明のもう1つの主題は、上記乳化用組成物を含むエマルジョンである。この組成物は、一般的に、エマルジョンの0.2〜10重量%を占める。
【0022】
エマルジョンはまた、1〜50重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは5〜25重量%の、1以上の油分および/または1以上のワックスで構成される脂肪相も含む。
【0023】
油分は、有利には、以下の油から選択される。
【0024】
スイートアーモンドオイル、ココナッツ油、ひまし油、ジョジョバオイル、オリーブ油、菜種油、グラウンドナッツオイル、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ポピーオイル、パンプキンシードオイル、イブニングプリムローズオイル、ミレット油、大麦油、ライ麦油、サフラワーオイル、キャンドルナッツオイル、パッションフラワーオイル、へーゼルナッツオイル、ヤシ油、カリテバター、アプリコットカーネルオイル、カロフィラムオイル、シシンブリウムオイル、アボカド油、またはカレンデュラオイルのような植物起源の油;
エトキシル化されている植物油およびそのメチルエステル;
スクアレンまたはスクアランのような動物起源の油;
液体パラフィン、液体ペトロラタムおよびイソパラフィンのような鉱油;
合成油、特に、ブチルミリステート、プロピルミリステート、セチルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、ヘキサデシルステアレート、イソプロピルステアレート、オクチルステアレート、イソセチルステアレート、ドデシルオレエート、ヘキシルラウレート、プロピレングリコールジカプリレートのような脂肪酸エステル、イソピロピルラノレートまたはイソセチルラノレートのようなラノリン酸から誘導されたエステル、または、グリセリルトリヘプタノエートのような脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、アルキルベンゾエート、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブテンのようなポリオレフィン、イソヘキサデカンまたはイソドデカンのような合成イソアルカン、ペルフルオロ化油およびシリコーン油。
【0025】
この油は、脂肪酸、脂肪アルコール、天然または合成起源のワックスおよびより一般的には、植物、動物または合成起源のいずれかの脂肪性物体からもまた選ばれ得る。
【0026】
ワックスは、有利には、例えば、ビーズワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ウーリキュリーワックス、木蝋、コルク繊維またはサトウキビワックス、パラフィンワックス、リグナイトワックス、微小結晶性ワックス、ラノリンワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、水素化油、シリコーンワックス、植物ワックス、周囲温度で固体である脂肪アルコールおよび脂肪酸、または周囲温度で固体であるグリセリドのような周囲温度で固体である脂肪性物体から選択される。
【0027】
本発明によるエマルジョンは、例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、キサンタンガム、アカシアガム、ローカストビーンガム、スクレログルカンガム、ゲランガム、アルギネート、セルロースおよびセルロース誘導体、クレー、デンプンおよびデンプン誘導体、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、アクリロイルジメチルタウレートポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドポリマーおよびコポリマー、またはポリウレタンのような10重量%までの安定化剤もまた含み得る。
【0028】
一般的に、本発明によるエマルジョンはまた、一般的に化粧品で用いられる10重量%までの1以上の添加剤も含み得るものであり、以下から選ばれる。
【0029】
例えば、脂肪酸、エトキシル化脂肪酸、脂肪酸とソルビトールのエステル、エトキシル化脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセロールエステル、エトキシル化脂肪アルコール、ショ糖エステル、アルキルポリグリコシド、または、硫酸化およびリン酸化脂肪アルコールのような補助乳化剤;
化粧品で通常用いられる分散剤、特に、硫酸ラウリル、硫酸ラウリルエーテル、オクテニルスルホスクシネート、ラウリルサルコシネート、例えば、Pecosil PS100のの商標名で販売されている製品のようなリン酸ジメチコーンコポリオール、例えば、Avalureの商標名で販売されるもののようなアクリルポリマーおよびコポリマー、または例えば、Proteol OATの商標名で販売される製品のようなラウロイルアミノ酸。
【0030】
化粧品で一般的に用いられる保存料;
香料または芳香付与機能を有する他の添加剤(特に精油およびエッセンシャルワックスのような);
DHA、しわ防止剤、保湿剤、鎮静剤、フリーラジカル発生抑制剤、抗酸化剤または脂肪調節剤、無機塩、ビタミン、植物ステロール、ポリフェノール、またはスフィンゴリピッド。
【0031】
有利な態様によれば、本発明によるエマルジョンは、化粧品エマルジョンである。この特定の筋書では、エマルジョンは、0.5〜50重量%、好ましくは、2〜35重量%の有機または無機顔料および/またはフィラーを含む。
【0032】
それらの顔料および/またはフィラーは、薄層状または球状であり得、その粒子サイズについては特別の限定はない。例として、特に、ポリ(メチルメタクリレート)、架橋されたメタクリル酸コポリマー、ナイロン、ポリ(β−アラニン)、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、ラウロイルリシン、アルキルアミノ酸、デンプン、またはPTFE粉末、例えば、ExpancelまたはPolytrapの商標名で販売される製品のような中空ミクロスフェア、シリコーン樹脂マイクロビーズ、二酸化チタン、酸化亜鉛、(黒色、赤色または黄色)酸化鉄、チタン酸鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、チタン酸コバルト、ウルトラマリン、プルシアンブルー、酸化チタンで被覆されたマイカ、オキシ塩化ビスマス、パールエッセンス、タルク、アルミニウム粉末、銅粉、金粉、マイカ、セリサイト、カオリン、フロゴパイト、合成マイカ、レピドライト、バイオタイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびヒドロキシ炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、シリカおよびシリカミクロスフェア、セラミックミクロスフェアおよびガラスミクロスフェア、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、タングステン酸の金属塩、硫酸バリウム、石膏、リン酸カルシウム、脂肪酸の金属石鹸、窒化ホウ素、ホトクロミック顔料、または干渉性顔料に言及がなされ得る。それらのフィラーは、表面処理に供され得る。
【0033】
本発明による化粧品エマルジョンは、20重量%まで、好ましくは、10重量%までの例えば、グリセロール、ソルビトール、PEG、モノプロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、エタノール、またはヘキシレングリコールのような1以上の助溶剤もまた含み得る。
【0034】
別の有利な態様によれば、本発明によるエマルジョンは、日焼け止めエマルジョンである。この特定の筋書では、エマルジョンは、1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の1以上の有機または無機日焼け止め剤、および30重量%まで、好ましくは10重量%までの耐水剤を含む。
【0035】
本発明によるエマルジョンはまた、3〜10にエマルジョンの最終pHを調節するために、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、トリスヒドロキシアミノメタンまたはアミノメチルプロパノールのような十分量の塩基も含み得る。
【0036】
非常に明らかなことに、本発明によるエマルジョンの様々の構成成分の合計は、100%に等しい。
【0037】
本発明によるエマルジョンは、下記手順により調製され得る。
【0038】
任意に助溶剤と塩基を含む水相は、70〜85℃の温度に加熱される。適切であれば、この水相は、予め粉砕されていてもよいフィラーおよび/または顔料、安定化剤、分散剤、および保存料、香料および他の活性化剤を含む。
【0039】
同時に、乳化用組成物、油分および/またはワックスを含む脂肪相は、70〜85℃の同一温度に加熱される。
【0040】
その2相は、続いて、回転子−固定子タイプの装置(シルバーソン実験室用ミキサーまたは、オルザ、レイネリまたはベコミックス工業用装置)を用いて混合され、乳化された。数分間の乳化後、エマルジョンは穏やかな攪拌とともに冷却される。
【0041】
本発明は、以下の例を用いて例示される。
【実施例】
【0042】
例1:本発明による乳化剤の合成
50kgのアルコール(70/30の比のC20およびC22アルコールの混合物)を、穏やかな窒素噴射の下で70℃に予備加熱された反応器に導入する。一旦アルコールの混合物が溶融すると、3.88kgの五酸化リンを徐々に加える。反応媒体を85℃で4時間30分間維持し、次いで放出する。
【0043】
得られた生成物は、以下の特性を有する。
【0044】
−外観 白色固体
−酸価 90.4mg KOH/g
−C20〜C22アルコール 46.0%
−リン酸化C20〜C22アルコール 54.0%。
【0045】
例2:本発明による乳化剤の合成
例1により得られた24.3kgの生成物を8時間硫酸の触媒的存在下で1.13kgの無水グルコースとともに110℃で反応させる。ろ過後得られた生成物は以下の特性を示す。
【0046】
−外観 白色固体
−C20〜C22アルコール 43%
−リン酸化C20〜C22アルコール 54%
−C20〜C22アルキルポリグルコシド 3%。
【0047】
本発明を例示するために、試験される乳化剤は表1に示される。乳化剤CおよびGは、本発明による乳化剤である。他は比較として存在する。
【表1】

【0048】
リン酸化C16アルコールは、ジボーダンルール(Givaudan−Roure)からAmphisolの商標名で販売されている。
【0049】
20-22 アルコールおよびC16-18 アルコールは、それぞれ70/30および50/50混合物である。
【0050】
リン酸化C20-22 アルコールを、0.75kgのC20-22 アルコールと0.22kgの五酸化リンを用いて例1の条件の下で調製する。
【0051】
例3
触感の向上の例示
以下の組成を有するエマルジョンを調製する。
【0052】
脂肪相
乳化剤 5%
セテアリールオクタノエート 15%
水相
水 100%に十分量
トロメタミン pH=5.5に十分量
保存料 十分量
調製されたエマルジョンを感覚による評価によりモニターする。快適さの基準を顔への適用後の専門家の審査(a jury of experts)により0〜5に評点する。以下が評価される。油のある感じ(0=あぶらっけなしで5=きわめて脂ぎっている)および残留感の存在(0=残留感なしで5=顕著な残留感)。
【0053】
結果を表2に示す。
【表2】

【0054】
本発明による乳化剤は、その脂肪分のない触感と皮膚上の残留感がないことにより区別される。エマルジョンEが安定でないことは注意すべきである。
【0055】
例4:水への耐性における改善の例示
以下の組成を有するエマルジョンを調製する。
【0056】
A 乳化剤 3%
アジピン酸ジイソプロピル 10%
グリセロール 7%
エチルヘキシルメトキシシンナメート 7.50%
オクトクリレン 10%
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 2%
B アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウレートコポリマー
およびイソヘキサデカン
およびポリソルベート80 1.20%
シクロメチコーン 5%
C EDTA 四ナトリウム 0.20%
キサンタンガム 0.15%
ケイ酸マグネシウムアルミニウム 0.15%
水 100%に十分量
D 保存料 十分量
トロメタミン 十分量
pH=5。
【0057】
水への耐性は、以下のプロトコールにしたがって、任意行為者のパネルで生体内にて測定する。
【0058】
フェーズ1
背中の皮膚領域の測定:試験されるエマルジョンについての1領域+エマルジョンが適用されない1対照領域。
【0059】
2mg/cm2 の速度でのエマルジョンの付与。
【0060】
エマルジョンの付与15分後の全ての領域に渡るUV照射(キセノンランプ)。
【0061】
照射後16〜24時間後の全ての領域に渡る最小紅斑線量(MED)の視覚的読み取り。
【0062】
試験される生成物の太陽光保護率の計算:
PF生成=(MED生成物領域)/(MED対照領域)
フェーズ2
背中の新たな皮膚領域の測定:試験されるエマルジョンについての1領域および1対照領域。
【0063】
2mg/cm2 の速度でのエマルジョンの付与。
【0064】
10分間隔でそれぞれ20分間2回入浴する。
【0065】
入浴15分後全ての領域に渡ってUV照射(キセノンランプ)。
【0066】
入浴後全ての領域に渡って最小紅斑線量の視覚的な読み取り。
【0067】
入浴後の太陽光保護率の計算
PF生成=(入浴後のMED生成物領域)/(入浴後のMED対照領域)
水に対する耐性=
入浴後の太陽光保護率(フェーズ2)/太陽光保護率(フェーズ1)
調製されたエマルジョンを感覚による評価によりモニターする。
【0068】
結果を表3に示す。
【表3】

【0069】
本発明によるエマルジョンは、水に対する顕著に優れた耐性を示す。しかしながら、脂ぎった感触または皮膚上への残留感を残すこと無しにである。
【0070】
例5:ファンデーションエマルジョンの改善の例示
以下の組成を有するエマルジョンを調製する。
【0071】
脂肪相
乳化剤 3%
イソノニルイソノナノエート 10%
トリイソステアリルシトレート 10%
水相
水 100%に十分量
酸化鉄 1.2%
ジメチコーンPEG7ホスフェート 0.8%
酸化チタン 12%
タルク 4%
ブチレングリコール 4%
PEG400 4%
トリスヒドロキシアミノメタン pH7まで十分量
ポリアクリルアミドおよび
C13〜C14イソパラフィン
およびラウレス−7 1.5%
エマルジョンをモニターする。
【0072】
*フラスコ内のエマルジョンの外観の3ヵ月後の確認を行うエマルジョンの安定性の視覚による(巨視的な)モニタリングによる。平滑または粒状の外観、光沢があるかつやのない外観、相分離の現象の、エマルジョンの表面での顔料の放出の、または不均質な視覚的効果を有する顔料の層形成のモニタリング。最適の基準は、顔料およびフィラーの相分離または放出または層形成のない光沢のある完全に平滑で均質なエマルジョンである。評点は以下のとおりである。+(全ての基準が満足である場合)、+/−(基準の少なくとも1つが満足でない場合)、0(すべての基準が不満足である場合)。
【0073】
*プレクシグラスシート上の120μmに較正されたフィルムの調製についての質感のモニタリングおよびフィラーおよび顔料の凝集物のないことの確認による。評点は以下のとおりである。+(エマルジョンの製造3ヵ月後に汚点が存在しない)、+/−(いくつかの汚点の存在)、0(多数の汚点の存在)。
【0074】
*付与4時間後の専門家のメークアップアーティストによる顔面上のエマルジョンの保持の評価による。評点は、以下のとおりである。+(しわおよび細かすじへの顔料およびフィラーの移行がない)、+/−(ある程度の移行の存在)、0(顕著な移行の存在)。
【0075】
*感覚による評価による。快適さの基準は、顔への付与後の熟練者の判断により0〜5まで評点をつけられる。以下が評価される。脂ぎった感じ(0=脂ぎっていないおよび5=きわめて脂ぎっている)、爽快感(0=爽快感なしおよび5=顕著な爽快感)、および引き伸ばしの容易さ(0=引き伸ばすのが困難および5=引き伸ばすのが容易)。
【0076】
結果を表4に示す。
【表4】

【0077】
試験された乳化剤の中で、本発明によるものが同時に最大限の所望の基準に達する。
【0078】
例6:酸性pHでのファンデーションエマルジョンについての改善の例示
例5で示された組成物を有するエマルジョンを、乳化剤A、GおよびHについてpH5で調製する。
【0079】
結果を、表5に示す。
【表5】

【0080】
試験された乳化剤の中で、本発明の乳化剤は、酸性媒体中でのpHの調節について最も大きな柔軟性を提供する。他の乳化剤については、pHの酸性化は、顔料とフィラーの全体的に許容不可能な不安定さをもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜90重量%の範囲内のアラキジルアルコールおよび/またはベヘニルアルコール、
90〜10重量%の範囲内のアラキジルアルコールのリン酸エステルおよび/またはベヘニルアルコールのリン酸エステル、および
1〜20重量%の範囲内の、式R−O−(Y)p
(ここで、
Rは、14〜22個の炭素原子を有するアルキルラジカルを表し、
Yは、C5 またはC6 単糖の残基を表し、且つ
pは、1〜5の範囲の十進法数を表す)で示される1以上のアルキルポリグリコシド
を含むことを特徴とする乳化用組成物。
【請求項2】
15〜90重量%の範囲内のアラキジルアルコールおよび/またはベヘニルアルコール、並びに85〜10重量%の範囲内のアラキジルアルコールのリン酸エステルおよび/またはベヘニルアルコールのリン酸エステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の乳化用組成物。
【請求項3】
30〜70重量%の範囲内のアラキジルアルコールおよび/またはベヘニルアルコール、並びに70〜30重量%の範囲内のアラキジルアルコールのリン酸エステルおよび/またはベヘニルアルコールのリン酸エステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の乳化用組成物。
【請求項4】
1〜10重量%の範囲内のアルキルポリグリコシドを含むことを特徴とする請求項1に記載の乳化用組成物。
【請求項5】
アラキジルアルコールおよび/またはベヘニルアルコールをリン酸化し、
ついで、未反応のアルコールをC5 またはC6 単糖と反応させる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳化用組成物の調製方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物または請求項5の方法により得られる組成物を含むことを特徴とするエマルジョン。
【請求項7】
0.2〜10重量%の請求項1〜4に記載の組成物;
10重量%以下の補助乳化剤;
1〜50重量%の1以上の油分および/または1以上のワックスで構成される脂肪相;および
10重量%以下の安定化剤;
を含むことを特徴とする請求項6に記載のエマルジョン。
【請求項8】
化粧品エマルジョンである請求項5または6記載のエマルジョン。
【請求項9】
20重量%以下の1以上の助溶剤;および
0.5〜50重量%の有機または無機顔料および/またはフィラー
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のエマルジョン。
【請求項10】
日焼け止めエマルジョンである請求項6または7に記載のエマルジョン。
【請求項11】
1〜40重量%の1以上の有機または無機日焼け止め剤、および
30重量%以下の耐水剤
を含むことを特徴とする請求項9に記載のエマルジョン。

【公開番号】特開2007−302700(P2007−302700A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213987(P2007−213987)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【分割の表示】特願2003−533872(P2003−533872)の分割
【原出願日】平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願人】(398057293)ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック (27)
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
【Fターム(参考)】