腸内微生物叢バランス及び健康を促進するための栄養組成物
本開示は、35〜44重量%の量のフラクトオリゴ糖(FOS)と、50%〜38重量%の量の、部分加水分解グアーガムではない多糖、例えばアラビノガラクタンなどと、12〜24重量%の量のイヌリンとを含む、栄養組成物に関する。FOS及び多糖は約1:1の重量比で存在してもよい。より詳細には、FOS及びイヌリンは約7:3の重量比で存在してもよい。腸内微生物叢バランス及び健康を促進する方法も提供される。この方法は、有効量の栄養組成物を、同組成物を必要とする患者に投与することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は2009年11月12日に出願された米国特許出願第61/260,495号の優先権を主張し、その全体の内容は明示的に参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
[背景]
[0002]本開示は、腸内微生物叢バランス及び健康を促進するための食物繊維を含む栄養組成物、並びに腸内微生物叢バランス及び健康を改善する方法に関し、この方法は有効量のそのような組成物を投与することを含む。
【0003】
[0003]病原性細菌による感染が健康に害を及ぼす恐れがあることがよく知られている。これらの細菌の例としては、ウェルシュ菌(Clostridium perfringen)、クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)、サルモネラ菌(Salmonella)、及び他の腸病原体が挙げられる。
【0004】
[0004]従来、これらの有害な細菌による感染は、抗生物質によって治療する必要が生じるまで進行するままにされてきた。抗生物質は有害な細菌に対して優れた効果を有する。しかしそれらは、有害ではなく食物の消化を助け他のさらなる健康上の利益をもたらす腸内細菌の集団も殺すという問題を抱えている。これらの細菌集団は多くの場合「善玉」と呼ばれている。
【0005】
[0005]グラム陽性、非運動性で、多くの場合分岐した嫌気性細菌(ビフィズス菌(Bifidobacteria))は、腸内微生物叢を構成する細菌、結腸に存在する細菌の主要な属の一つである。ビフィズス菌は消化を助け、アレルギーの発生率の低下に関与し、ある種の腫瘍増殖も防ぐ。ビフィズス菌の他の健康上の利益としては、病原性細菌に対する防御の向上、免疫系の刺激、及び短鎖脂肪酸(「SCFA」)の産生に関連する健康上の利益、並びに腹部の過敏性の低下が挙げられる。
【0006】
[0006]プレバイオティクスは、腸内微生物叢の成長を選択的に刺激することによって宿主に有利な影響を与えることができる非消化性物質である。フラクトオリゴ糖(「FOS」)は、ビフィズス菌及び他の有益な腸内微生物叢の成長を促進する化合物であり、プレバイオティクスとして幅広く研究されている。FOSは、体内で単純な糖類(sugar)のようなふるまいをしない単純炭水化物の短鎖ポリマーである。FOSはチコリ、バナナ、ニンニク、及び特定の他の食品中に天然に存在し、技術的には可溶性繊維である。FOSは腸のプロバイオティクス、特にビフィズス菌の増殖を選択的に支援する。
【0007】
[0007]オリゴフルクトース(「OF」)は熱水を用いてチコリから抽出されるイヌリンから得られる。これによって以下を有する生成物を得る:
【0008】
[0008]約92%のイヌリン型フルクタン(β−2,1フルクトシル−フルクトースのグリコシド結合を有する分子);
[0009]2〜60(平均で10〜12)の範囲の重合度(「DP」);及び
[0010]約6〜10%の遊離糖類(フルクトース、グルコース、及びスクロース)。
【0009】
[0011]さらなる加工(部分的酵素加水分解又は分離操作)によってOF生成物を得ることができる。これは遊離糖類を除去することによって純度を上げることもできる。これらの生成物中のすべての結合はβ−2,1立体配置である。
【0010】
[0012]或いは、FOSはスクロース分子から出発して合成的に生成される。菌体酵素であるβ−フルクトシダーゼを使用してトランスフルクトシル化(transfructosylation)と呼ばれるプロセスにおいてβ−2,1結合によってフルクトース単位を加える。限られた数の他の結合もこのプロセスによって形成される。DPの範囲は通常2〜4であり、すべてグルコース残基から始まっている。
【0011】
[0013]イヌリン型フルクタン(「ITF」)という用語はβ−2,1フルクトシル−フルクトースのグリコシド結合を含有するあらゆる直鎖フルクタンを指す。
【0012】
[0014]生成物は様々なDP及びグルコースの比率を有する分子を含有し、一般に平均DP、最大DP、又はDPの範囲によって表される。
【0013】
[0015]一部のITFはグルコースを出発単位として有するが(「GFn型」)、他のものは有していない(「Fn型」)。
【0014】
[0016]ITFは文献において一様には分類されていないが、なぜなら公式の基準がないためである。しかしそれらはDPによって分類できる:
【0015】
[0017]長鎖=≧10DP;及び
[0018]短鎖=<10DP。
【0016】
[0019]ITFの命名は文献において一致していない。一部ではOF及びFOSは同義と考えられており、DPmax<10であるITFとして定義されている。他の文献では、スクロースから合成され、GFn化学構造及び酵素によって結合したフルクトース単位を有する短鎖ITF(DP<10)を表すのにFOSを使用している。OFは、イヌリンの加水分解によって生じ、GFn又はFn構造のいずれかを有していてもよい短鎖分子を表す。
【0017】
[0020]Nestle SAより入手可能なPREBIO1(商標)添加剤は、可溶性繊維FOS及びイヌリンの独自のプレバイオティクスブレンドであり、結腸全体の健康、特に近位及び遠位結腸の健康を支援し、結腸の完全性の維持を助け、健康な腸内微生物叢を促進するように設計されている。PREBIO1(商標)添加剤を含有する処方物は、慢性下痢/栄養不良、初期の経腸栄養、TPNからの移行、短腸症候群、慢性膵炎、癌治療に関連する吸収不良、HIV/AIDS、胃排出遅延、及び嚢胞性線維症などの胃腸(「GI」)不全のある患者に対する栄養支援を実現することもできる。
【0018】
[0021]本開示は、PREBIO1(商標)添加剤と比較して耐容量が改善されプレバイオティクス的有益性が向上した組成物を提供し、その結果組成物が投与される個体の腸内微生物叢バランス及び健康を促進する新しい組成物を提供することによって、栄養支援産業の必要性を満たす。
【0019】
[概要]
[0022]本開示はここで、新規栄養組成物を提供し、これは同組成物を必要とする個体に投与した場合に栄養を供給するのに十分な相対量でFOS、多糖、及びイヌリンの組み合わせを含む。この組成物は個体が必要とする栄養の補給を行い、経口投与されてもよい。経管栄養を必要とする患者における腸内投与も可能である。
【0020】
[0023]組成物は一般にFOSを約38重量%〜約44重量%の量で含む。多糖は典型的にはゴムなどのアラビノガラクタン、一実施形態においてはアカシアゴム(「AG」)であり、約38重量%〜約44重量%の量で存在する。イヌリンは約12重量%〜約24重量%の量で存在する。AGは、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸単位を含む、高度に分岐した高分子量の分子である。これは他の可溶性繊維と比較してゆっくりと発酵し、SCFAの生成を増加させ、したがって遠位結腸に利益をもたらし得る。Cherbutら、「Acacia Gum is a Bifidogenic Dietary Fibre with High Digestive Tolerance in Healthy Humans」、Microbial Ecology in Health and Disease、15(1):43〜50頁(2003年)を参照のこと。AGの胃腸における耐容量は非常に高く、70g/日まで大きな副作用を生じない。Idを参照のこと。低用量のAG(3g/日)は、3g/日のFOSと組み合わせると、プレバイオティクス作用がありビフィズス菌の成長を助けることが分かっている。Rochatら、「Method of Treating Irritable Bowel Syndrome」、米国特許第7,141,554号を参照のこと。動物試験はAGに下痢の症状を改善する能力があることを示唆し、臨床試験は腸機能の正常化に対する効果を示している。Wapnirら、「Gum Arabic Promotes Rat Jejunal Sodium and Water Absorption from Oral Rehydration Solutions in Two Models of Diarrhea」、Gastroenterology、112(6):1979〜1985頁(1997年)を参照のこと。Blissら、「Supplementation with Gum Arabic Fiber Increases Fecal Ntrogen Excretion and Lowers Serum Urea Nitrogen Concentrationin Chronic Renal Failure Patients Consuming a Low−protein Diet」、Am.J.Clin.Nutr.、63(3):392〜398頁(1996年)も参照のこと。Cherbutらの文献も参照のこと。さらに、食事に5gのAGを加えると血糖反応を低下させることが分かっており、25g/日の長期摂取は脂質を低下させる効果がある。Rossら、「A Study of the Effects of Dietary Gum Arabic in Humans」、Am.J.Clin.Nutr.、37(3):368〜375(1983年)を参照のこと。
【0021】
[0024]一実施形態において、本開示の栄養組成物は、それぞれ約40重量%〜約42重量%の量で存在するFOS及びアラビノガラクタン、並びに約16重量%〜約20重量%の量で存在するイヌリンを含む。
【0022】
[0025]一実施形態において、本開示の栄養組成物は、それぞれ約41重量%の量で存在するFOS及びアラビノガラクタン、並びに約18重量%の量で存在するイヌリンを含む。
【0023】
[0026]FOS及びアラビノガラクタンが約44:38〜約35:50、又は約42:40〜約40:42、又は約1:1の重量比で存在するのが有利である。また、FOS及びイヌリンが約38:24〜約44:12、又は約40:20〜約42:16、又は約7:3の重量比で存在するのが有利である。
【0024】
[0027]本開示の栄養組成物の一実施形態において、FOSは1.5〜5.5g/L、又は約4.12g/Lの量で存在し、アラビノガラクタン(例えばAGなど)は1.5〜5.5g/L、又は約4.12g/Lの量で存在し、イヌリンは0.5〜2.5g/L、又は約1.76g/Lの量で存在する。この組成物は部分加水分解グアーガム(「PHGG」)を10g/Lまでの量でさらに含む。例えば、PHGGは約2g/L〜約9g/Lの量で供給されてもよい。一実施形態において、PHGGは7g/Lの量で存在してもよい。別の実施形態において、PHGGは2.6g/Lの量で存在してよい。別の実施形態において、PHGGは5g/Lの量で存在する。
【0025】
[0028]化学的観点から言えばグアーガムは多糖であり、PHGGは少なくとも一部はやはり多糖と言えるであろうが、本発明の特許請求の範囲に記載の栄養組成物に含まれる「多糖」はPHGGを含まないことに注目すべきである。代わりに、PHGGを多糖の他に加えてもよいので、例えば38〜50%の多糖を得るためにはAG及びPHGGは一緒には添加されない。代わりに、PHGGを38〜50%の多糖の他に栄養組成物に加えてもよい。
【0026】
[0029]さらに別の実施形態において、本開示の栄養組成物は、ダイズ繊維、エンドウ外皮繊維(outer pea fiber)、又はその両方などの、少なくとも1つの不溶性繊維をさらに含む。一実施形態において、少なくとも1つの不溶性繊維はダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維の組み合わせである。組成物の可溶性繊維(すなわちFOS、AGなどのアラビノガラクタン、及びイヌリン)と不溶性繊維との比は1.5:1〜1:1.5、又は1.25:1〜1:1.25、又は約1:1である。一実施形態において、FOS及びAGはそれぞれ2.5〜3.5g/Lの量で存在し、イヌリンは1.25〜1.75g/Lの量で存在し、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維はそれぞれ3.25〜4.25g/Lの量で存在する。さらに別の実施形態において、FOS及びAGは約3g/Lの量で存在し、イヌリンは約1.5g/Lの量で存在し、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維はそれぞれ約3.75g/Lの量で存在する。
【0027】
[0030]本開示の別の実施形態は、本明細書に記載の栄養組成物の1つを含む乾燥粉末状処方物に関する。これらの粉末状組成物は、本明細書で開示される栄養組成物の1つを液体として調製すること、及びその後この液体を噴霧乾燥、凍結乾燥、又は他の乾燥法によって乾燥させることを含む方法によって作ることができる。さらなる栄養成分又は組成物を液体に乾燥前に加えて粉末状組成物に栄養面の利点の強化をもたらすことも意図される。
【0028】
[0031]本開示は、様々な個体に栄養を供給するように意図されているいくつかの異なる治療法にも関する。一般にこの治療法は、有効量の本開示の栄養組成物をそのような治療を必要とする個体に投与することによって、腸内微生物叢バランス及び健康を促進する。
【0029】
[0032]別の方法は、胃腸系障害を引き起こす様々な医療に対する患者の耐性の向上に関し、そのような治療としては、放射線治療、化学療法、胃腸手術、麻酔、或いは抗生物質又は鎮痛薬の投与、或いは下痢の治療が挙げられる。この方法は、そのような患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0030】
[0033]別の方法は、より良好な追いつき成長(catch−up growth)など、全身的な利益を入院中の子供にもたらすことに関する。この方法は、そのような子供に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0031】
[0034]さらに別の方法は、患者の入院期間の短縮に関する。この方法は、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを高齢の患者などの入院患者に投与して、そのような処方物のより高い耐容性によってそのような患者が許容可能な栄養レベル及び摂食目標を実現し、そのようにして摂食のコンプライアンスを向上させ、次いでこれにより、患者の病状を改善して入院期間を短縮できるようにすることを含む。
【0032】
[0035]さらなる方法は、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを高齢の個体に投与して、クロストリジウム(Clostridium)を減少させビフィズス菌(Bifidobacteria)を増加させながら、そのような個体が加齢にかかわらず健康的な微生物叢レベルをより長く維持できるようにすることによって、高齢の個体において加齢のために腸内微生物叢が負の進化をするのを最小限にする治療を含む。
【0033】
[0036]本開示はまた、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを患者に投与してAGを含有しない処方物と比較して酪酸塩の産生を増加させることによって、結腸における細胞増殖及び分化をもたらし、結腸のpHを低下させて病原性細菌の成長を阻害して患者の腸バリアの保護を助ける抗炎症性の利点をもたらす、患者の結腸における酪酸塩の産生を増加させる方法も提供する。
【0034】
[0037]さらに別の方法は、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与してクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)を減少させ一方でT細胞機能、腸管関連リンパ組織(「GALT」)、及び分泌型IgA(「sIgA」)を強化して個体が病気に抵抗する能力を高めることによって、個体の免疫機能を強化することに関する。
【0035】
[0038]移植を受けた個体に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与して、独特の免疫反応の下方制御と除脂肪体重の減少を引き起こす炎症性サイトカインの調節とをもたらしGLP−1及びGLP−2がインスリン放出の増加を引き起こすような特定のコロニー形成を与えることによって、臓器移植耐性を改善する方法も提供される。GLP−1はインスリン分泌性であるが、GLP−2は腸における栄養作用を有する。例えば、腸の腺窩細胞増殖及び絨毛高の向上(Martin GRら、「Nutrient−stimulated GLP−2 release and crypt cell proliferation in experimental short bowel syndrome」、Am.J.Physiol.、Gastrointest.、Liver Physiol.、G431〜G438頁(2005年)を参照のこと)、及びヘルパーT細胞(TH)1及びTH2の間の応答の不均衡の減少である(Zhao Yら、「Th1 and Th2 cytokines in organ transplantation:paradigm lost?」、Crit Rev Immunol.、1999年;19(2):155〜72頁を参照のこと)。
【0036】
[0039]さらに別の方法は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び栄養分の吸収を増加させることによって、同組成物を必要とする患者の骨成長を向上させること又は骨分解を防ぐことに関する。この方法は、患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与して、骨の構造、成長、及び機能の改善を助けるためにビタミンD、亜鉛、又はカルシウムなどの栄養分の吸収を増加させることを含む。
【0037】
[0040]本開示の別の方法は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び他の栄養分の吸収を増加させることによって、患者の筋肉量を高めることに関する。この方法は、(限定はされないが)ビタミンD、葉酸塩、B12、マグネシウム、又はカルシウムなどのビタミン及びミネラルの吸収を個体において特に増加させて、全般的な健康、筋骨格の健康、運動性及び認知性の健康の改善を助ける、筋肉量の欠乏を防ぐ、又は筋肉量の回復を改善するために、そのような筋肉量の増強及び吸収の増加を望む個体に、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0038】
[0041]本開示は、個体の代謝を改善する方法にも関する。この方法は、微量栄養素の吸収を高め、そのような微量栄養素のバイオアベイラビリティーを改善するために、そのような代謝の改善を望む個体に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0039】
[0042]本開示はまた、個体がより良い朝の始まりを迎えられる、過食を避けられる、カロリー摂取量を減らすことができる、又は組成物の投与後に持続したエネルギーを提供することができるように、より高い満腹感又は飽満感を提供する方法にも関する。
【0040】
[0043]本開示の別の方法は、糖尿病の治療をそのような治療を必要とする患者に行うことに関する。この方法は、インスリン抵抗性を低下させる、血糖可動域を小さくする、又はCVDのリスクを低くする、及び腎不全を患う患者の高窒素血症を低減するために、そのような患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0041】
[0044]本開示はまた、例えばAGを含めたゴムなどの多糖を、個体に投与して栄養を供給するためのFOS及びイヌリンを含む栄養組成物において使用することにも関する。多糖は、個体に投与された場合にそのような栄養組成物のより高い耐容量を実現するのに有効な量で存在していてもよく、多糖、FOS、及びイヌリンは本明細書で開示される量で存在する。
【0042】
[0045]本開示の別の態様は、例えばアカシアゴムを含めたゴムなどの多糖を、個体の腸内微生物叢バランス及び健康を促進するための栄養組成物の調製に使用することである。栄養組成物はまた、FOS及びイヌリンを本明細書で開示される量で含んでいてもよい。
【0043】
[0046]さらなる特徴及び利点は本明細書に記載され、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】[0047] 機械的人工呼吸、及びブレンド1+(プロバイオティクスNCC2461/NCC3001+プレバイオティクス(PREBIO1(商標)+AG)+DHAを含む)又はブレンド1(プロバイオティクス及びプレバイオティクス又はDHAを添加していない)を含有する経腸栄養を受けている、小児集中治療室(「PICU」)に入院中の子供における、目標カロリー摂取量に達する時間を示す図である。
【図2】[0048] ヒト腸管の様々な領域をシミュレートする5個の連続的な反応器を含む、ヒト腸内微生物生態系のシミュレータ(「SHIME」)の標準的な配置を示す図である。
【図3A】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3B】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3C】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3D】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3E】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3F】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図4A】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4B】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4C】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4D】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4E】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4F】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図5A】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図5B】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図5C】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図5D】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図5E】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図6A】[0052] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のアンモニウム濃度(mg NH4+/L)の棒グラフを示す図である。データは実験期間ごとに示されている。アンモニウム産生の有意差(CTRL(対照)対TREAT(処置))をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*、p<0.01については**で示している。
【図6B】[0052] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のアンモニウム濃度(mg NH4+/L)の棒グラフを示す図である。データは実験期間ごとに示されている。アンモニウム産生の有意差(CTRL(対照)対TREAT(処置))をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*、p<0.01については**で示している。
【図7A】[0053] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の乳酸塩濃度の棒グラフを示す図である。データは実験期間ごとに示されている。乳酸塩産生の有意差(CTRL対TREAT)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図7B】[0053] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の乳酸塩濃度の棒グラフを示す図である。データは実験期間ごとに示されている。乳酸塩産生の有意差(CTRL対TREAT)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図8A】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8B】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8C】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8D】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8E】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8F】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図9】[0055] 胃、小腸、及び上行結腸をシミュレートした条件下における、代表的な用量の選択された化合物の逐次的インキュベーションから成る短期のスクリーニングアッセイを示す図である。
【図10】[0056] pH及びガス測定用のバッチ試験サンプリングのスキームを示す図である。
【図11A】[0057] バッチ試験における全ガス及びCO2産生の変化を示す図である。ブレンド1を「A」として示し、ブレンド1+を「B」として示す。有意差(前のサンプリングの時点と比較した)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図11B】[0057] バッチ試験における全ガス及びCO2産生の変化を示す図である。ブレンド1を「A」として示し、ブレンド1+を「B」として示す。有意差(前のサンプリングの時点と比較した)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図12】[0058] 0時間及び48時間の時点での値を比較した、バッチ試験のpHの変化を示す図である。ブレンド1を「A」として示し、ブレンド1+を「B」として示す。有意差(他の生成物と比較した)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図13A】[0059] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全細菌のqPCRデータを示す図である。図13Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図13Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図13B】[0059] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全細菌のqPCRデータを示す図である。図13Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図13Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図14A】[0060] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全バクテロイデス門(Bacteriodetes)のqPCRデータを示す図である。図14Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図14Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図14B】[0060] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全バクテロイデス門(Bacteriodetes)のqPCRデータを示す図である。図14Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図14Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図15A】[0061] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ファーミキューテス門(Firmicutes)のqPCRデータを示す図である。図15Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図15Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図15B】[0061] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ファーミキューテス門(Firmicutes)のqPCRデータを示す図である。図15Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図15Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図16A】[0062] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ラクトバシラス菌(Lactobacilli)のqPCRデータを示す図である。図16Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図16Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図16B】[0062] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ラクトバシラス菌(Lactobacilli)のqPCRデータを示す図である。図16Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図16Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図17A】[0063] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ビフィズス菌のqPCRデータを示す図である。図17Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図17Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図17B】[0063] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ビフィズス菌のqPCRデータを示す図である。図17Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図17Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図18A】[0064] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。
【図18B】[0064] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。
【図19A】[0065] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。
【図19B】[0065] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。
【図20】[0066] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。[詳細な説明]定義
【0045】
[0067]本開示及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「アミノ酸(単数形)」が指すものには2種又はそれを超えるアミノ酸の混合物などが含まれる。
【0046】
[0068]本明細書で使用する「約」は、様々な数値の数を指すと理解される。さらに、本明細書におけるあらゆる数値範囲は範囲内のあらゆる整数、又は分数を含むと理解するべきである。
【0047】
[0069]本明細書で使用する用語「アミノ酸」は、1つ又は複数のアミノ酸を含むと理解される。アミノ酸は、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0048】
[0070]本明細書で使用する「動物」としては、限定はされないが哺乳類が挙げられ、哺乳類としては、限定はされないが、げっ歯類、水生哺乳類、犬又は猫などの家庭用動物、羊、豚、牛、及び馬などの家畜、並びにヒトが挙げられる。用語「動物」又は「哺乳類」又はそれらの複数形を用いる場合、その一節の文脈によって、効果が現れること又は効果が現れることを意図することが可能である任意の動物にも適用されることを意図する。
【0049】
[0071]本明細書で使用する用語「抗酸化剤」は、酸化を阻害する又は活性酸素種(「ROS」)及び他のラジカル種及び非ラジカル種によって促進される反応を阻害する様々な物質、例えばベータカロテン(ビタミンA前駆体)、ビタミンC、ビタミンE、及びセレン)などのうち任意の1つ又は複数を含むと理解される。さらに、抗酸化剤は、他の分子の酸化を遅くする又は防ぐことができる分子である。抗酸化剤の非限定的な例としては、カロテノイド、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、フラボノイド、グルタチオン・ゴジ(クコ)、ヘスペリジン、ラクトウルフベリー(lactowolfberry)、リグナン、ルテイン、リコピン、ポリフェノール、セレン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ゼアキサンチン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
[0072]本明細書で使用する「完全栄養物」は、それを投与される動物にとって唯一の栄養源であるのに十分であるような、十分な種類及び量の主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)及び微量栄養素を含有する栄養製品を意味する。
【0051】
[0073]本明細書で使用する「有効量」は、欠乏症を防ぐ、個体の病気若しくは病状を治療する、又はより一般的には、症状を軽減する、病気の進行を管理する、又は栄養的、生理的、若しくは医学的な利益を個体にもたらす量である。治療は患者本位又は医者本位であってもよい。
【0052】
[0074]本明細書で使用する「不完全栄養物」は、それを投与される動物にとって唯一の栄養源であるのに十分であるような、十分な量の主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)又は微量栄養素を含有しない栄養製品である。
【0053】
[0075]用語「個体」及び「患者」は、本明細書において多くの場合ヒトを指すのに用いられるが、本発明はそのように限定されない。したがって、用語「個体」及び「患者」は、治療が有益である可能性がある病状を有する、又はそのような病状の危険性がある、任意の動物、哺乳類、又はヒトを指す。
【0054】
[0076]本明細書で使用する、魚油の非限定的な例としては、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)及びエイコサペンタエン酸(「EPA」)が挙げられる。DHA及びEPAは非魚油源(例えば藻類、改質植物など)に由来して存在するものでもよい。
【0055】
[0077]本明細書で使用する「食品グレード微生物」は、食品中で使用され、食品中での使用において安全であると一般に見なされている微生物を意味する。
【0056】
[0078]本明細書で使用する「長期投与」は、6週間を超える継続的な投与である。
【0057】
[0079]本明細書で使用する「哺乳類」としては、限定はされないが、げっ歯類、水生哺乳類、犬又は猫などの家庭用動物、羊、豚、牛、及び馬などの家畜、並びにヒトが挙げられる。用語「哺乳類」を用いる場合、哺乳類によって、効果が現れること又は効果が現れることを意図することが可能である他の動物にも適用されることを意図する。
【0058】
[0080]用語「微生物」は、細菌、酵母、及び/又は菌類、微生物を含む細胞増殖培地、又は微生物が培養された細胞増殖培地を含むことを意味する。
【0059】
[0081]本明細書で使用する用語「ミネラル」は、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、又はそれらの組み合わせを含むと理解される。
【0060】
[0082]本明細書で使用する「栄養組成物」は、従来の食品添加剤、例えば1つ又は複数の、酸味料、さらなる増粘剤、pH調整用の緩衝剤又は試薬、キレート化剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、香味料、ミネラル、浸透圧剤、薬学的に許容可能な担体、保存料、安定化剤、糖、甘味料、テクスチャー付与剤(texturizer)、及び/又はビタミンを含めた、任意選択の追加成分を任意の数だけ含むと理解される。任意選択の成分は、任意の適切な量で加えることができる。
【0061】
[0083]本明細書で使用する用語「患者」は、本明細書で定義される場合、治療を受けている、又は治療を受けようとしている動物、特に哺乳類、とりわけヒトを含むと理解される。
【0062】
[0084]本明細書で使用する「植物化学物質」又は「植物栄養素」は、多くの食品中に見られる非栄養化合物である。植物化学物質は、基礎的な栄養を上回る健康上の利益を有する機能性食品であり、植物源に由来する健康増進化合物である。本明細書で使用する「植物化学物質」及び「植物栄養素」は、1つ又は複数の健康上の利益を使用者に与える植物によって産生される任意の化学物質を指す。植物化学物質は、局所投与、経腸投与、及び/又は非経口投与を含めた任意の手段によって投与できる。本明細書で使用する植物化学物質及び植物栄養素の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。i)フェノール系化合物、これにはモノフェノール(アピオール(Apiole)、カルノソール、カルバクロール、ジラピオール(Dillapiole)、ローズマリノール(Rosemarinol)など);フラボノール(ケルセチン、ジンゲロール(Gingerol)、ケンフェロール、ミリセチン、ルチン、イソラムネチンなど)、フラバノン(ヘスペリジン、ナリンゲニン、シリビン、エリオジクチオールなど)、フラボン(アピゲニン、タンゲリチン(Tangeritin)、ルテオリンなど)、フラバン−3−オール(カテキン、(+)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−エピガロカテキンガラート(EGCG)、(−)−エピカテキン3−ガラート、テアフラビン、テアフラビン−3−ガラート、テアフラビン−3'−ガラート、テアフラビン−3,3'−ジガラート、テアルビジンなど)、アントシアニン(フラボナール(flavonal))及びアントシアニジン(ペラルゴニジン、ペオニジン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペチュニジンなど)、イソフラボン(植物エストロゲン)(ダイゼイン(ホルモノネチン)、ゲニステイン(ビオカニンA)、グリシテインなど)、ジヒドロフラボノール、カルコン、クメスタン(植物エストロゲン)、並びにクメストロールを含めたフラボノイド(ポリフェノール);フェノール酸(エラグ酸、没食子酸、タンニン酸、バニリン、クルクミンなど);ヒドロキシ桂皮酸(コーヒー酸、クロロゲン酸、桂皮酸、フェルラ酸、クマリンなど);リグナン(植物エストロゲン)、シリマリン、アマニリグナン(Secoisolariciresinol)、ピノレジノール、及びラリシレシノール;チロソールエステル(チロソール、ヒドロキシチロソール、オレオカンタール、オレウロペインなど);スチルベノイド(レスベラトロール、プテロスチルベン、ピセタノールなど)、及びプニカラジンが含まれる;ii)テルペン(イソプレノイド)、これにはカロテン(α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、δ−カロテン、リコピン、ノイロスポレン、フィトフルエン、フィトエンなど)、及びキサントフィル(カンタキサンチン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、ルビキサンチンなど)を含めたカロテノイド(テトラテルペノイド);モノテルペン(リモネン、ペリリルアルコールなど);サポニン;植物ステロール(カンペステロール、ベータシトステロール、ガンマシトステロール、スチグマステロールなど)、トコフェロール(ビタミンE)、並びにオメガ−3、6、及び9脂肪酸(ガンマリノレン酸など)を含めた脂質;トリテルペノイド(オレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸、モロン酸など)が含まれる;iii)ベタレイン、これにはベタシアニン(ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、ネオベタニンなど);及びベタキサンチン(非グリコシド型)(インディカキサンチン、及びブルガキサンチンなど)が含まれる;iv)オルガノスルフィド、これにはジチオールチオン(イソチオシアン酸)(スルホラファンなど);及びチオスルホナート(ネギ属化合物)(アリルメチルトリスルフィド、及び硫化ジアリルなど)が含まれる、インドール、グルコシノラート、これにはインドール−3−カルビノール、;スルホラファン;3,3'−ジインドリルメタン;シニグリン;アリシン;アリイン;イソチオシアン酸アリル;ピペリン;Syn−プロパンチアール−S−オキシドが含まれる;v)タンパク質阻害剤、これにはプロテアーゼ阻害剤が含まれる;vi)他の有機酸、これにはシュウ酸、フィチン酸(イノシトール六リン酸);酒石酸;及びアナカルジン酸が含まれる;又はそれらの組み合わせ。
【0063】
[0085]本明細書で使用する「プレバイオティクス」は、有益な細菌の成長を選択的に促進する、又は腸管の病原性細菌の成長若しくは粘膜への接着を阻害する、食品物質である。それらは胃及び/又は上部腸管において不活性化されない、又はそれらを摂取するヒトの胃腸管で吸収されるが、それらは消化管ミクロフローラによって及び/又はプロバイオティクスによって発酵する。プレバイオティクスは、例えばGlenn R.Gibson及びMarcel B.Roberfroid、Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics、J.Nutr.1995年 125:1401〜1412頁によって定義されている。プレバイオティクスの非限定的な例としては、アカシアゴム、アルファグルカン、アラビノガラクタン、ベータグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーガム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトネオテトラオース、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、乳オリゴ糖、部分加水分解グアーガム、ペクチンオリゴ糖、難消化性デンプン、老化デンプン、シアロオリゴ糖、シアリルラクトース、大豆オリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、又はそれらの加水分解物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
[0086]本明細書で使用するプロバイオティクス微生物(以下「プロバイオティクス」とする)は、適切な量で投与されると宿主に健康上の利益を与え得る、より詳細には、宿主の腸の微生物バランスを改善し、宿主の健康又は福祉に効果をもたらすことによって宿主に好影響を与える、食品グレードの微生物(半生存を含めて生存している、又は弱体化させた、及び/又は非複製性の)、代謝物、微生物細胞調製物、又は微生物細胞の成分である。Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.ら「Probiotics:how should they be defined?」、Trends Food Sci.Technol.、1999年:10、107〜10頁を参照のこと。一般に、これらの微生物は、腸管の病原性細菌の成長及び/若しくは代謝を阻害する、又はそれらに影響を与えると考えられている。プロバイオティクスは宿主の免疫機能を活性化させることもできる。この理由のために、プロバイオティクスを食品に取り入れるのに多くの異なる方法がある。プロバイオティクスの非限定的な例としては、アエロコッカス属(Aerococcus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、バシラス属(Bacillus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィズス菌(Bifidobacterium)、カンジダ属(Candida)、クロストリジウム、デバロマイセス属(Debaromyces)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、メリソコッカス属(Melissococcus)、ミクロッコッカス属(Micrococcus)、ケカビ属(Mucor)、オエノコッカス属(Oenococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、アオカビ属(Penicillium)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostrepococcus)、ピキア属(Pichia)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、シュードカテヌラツム属(Pseudocatenulatum)、クモノスカビ属(Rhizopus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、トルロプシス属(Torulopsis)、ワイセラ属(Weissella)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
[0087]本明細書で使用する用語「タンパク質」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、又は「ポリペプチド」は、1つのアミノ酸(モノマー)、ペプチド結合によって互いに結合された2つ若しくはそれを超えるアミノ酸(ジペプチド、トリペプチド、又はポリペプチド)、コラーゲン、それらの前駆体、同族体、類似物、模倣物、塩、プロドラッグ、代謝物、又はフラグメント、又はそれらの組み合わせを含む任意の組成物を指すと理解される。分かりやすくするため、別段の指定がない限り上記のいずれの用語の使用も交換可能である。ポリペプチド(又はペプチド、又はタンパク質、又はオリゴペプチド)は多くの場合、一般に20種の天然のアミノ酸と呼ばれる20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含有し、末端のアミノ酸を含めた多くのアミノ酸は、グリコシル化及び他の翻訳後修飾などの天然のプロセスによって、又は当技術分野で周知である化学修飾法によって、所与のポリペプチドにおいて修飾されてもよいことが理解されるであろう。本発明のポリペプチドにおいて存在してもよい既知の修飾の中で、限定はされないが、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラバノイド又はヘム部分の共有結合、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、糖化、グリコシル化、グリコシルホスファチジルイノシトール(「GPI」)膜アンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、転移RNAにより媒介されるアミノ酸のポリペプチドへの付加、例えばアルギニル化(arginylation)など、及びユビキチン化が挙げられる。用語「タンパク質」は、ペプチドの交互の繰り返しから成る直鎖又は非直鎖ポリペプチドを指す、「人工タンパク質」も含む。
【0066】
[0088]タンパク質の非限定的な例としては、乳製品ベースのタンパク質、植物系タンパク質、動物系タンパク質、及び人工タンパク質が挙げられる。乳製品ベースのタンパク質としては、例えば、カゼイン、カゼイン塩(例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウムカゼイン塩を含めたあらゆる形態)、カゼイン加水分解物、乳清(例えば、濃縮物、単離物、脱塩物を含めたあらゆる形態)、乳清加水分解物、乳タンパク質濃縮物、及び乳タンパク質単離物が挙げられる。植物系タンパク質としては、例えば、大豆タンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含めたあらゆる形態)、エンドウタンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含めたあらゆる形態)、キャノーラタンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含めたあらゆる形態)、他の植物タンパク質で市販のものとしてはコムギ及び分画コムギタンパク質、トウモロコシ及びそのゼインを含む画分、コメ、カラスムギ、ジャガイモ、ピーナッツ、グリーンピース粉末、サヤマメ粉末、並びに豆、レンズマメ、及び豆類に由来の任意のタンパク質が挙げられる。
【0067】
[0089]本明細書で使用する「短期投与」は、6週間未満の継続的な投与である。
【0068】
[0090]本明細書で使用する「シンバイオティクス(synbiotic)」は、腸管のミクロフローラを改善するために共に働くプレバイオティクス及びプロバイオティクスの両方を含有する栄養補助食品である。
【0069】
[0091]本明細書で使用する用語「治療」「治療する」及び「緩和すること」は、予防的又は防止的治療(目的とする病状又は障害の発症を防ぐ及び/又は遅らせる)と、診断された病状若しくは障害の症状を治療する、鈍らせる、軽くする、及び/又は診断された病状若しくは障害の進行を休止させる治療的手段を含む、根治的、治癒的、若しくは疾患修飾性の治療との両方を含み;病気にかかるリスクのある患者又は病気にかかった疑いのある患者、並びに病気であるか又は病気若しくは病状を患っていると診断されている患者の治療を含む。この用語は、必ずしも対象者が完全に回復するまで治療されることを含意するものではない。用語「治療」及び「治療する」はまた、病気を患っていないが、窒素不均衡(nitrogen imbalance)又は筋力低下などの不健康状態が発生しやすいと思われる個体における、健康の維持及び/又は促進のことも指す。用語「治療」、「治療する」、及び「緩和すること」はまた、1つ又は複数の主な予防手段又は治療手段の相乗作用或いは増強を含むことも意図する。用語「治療」、「治療する」、及び「緩和すること」は、疾患若しくは病態の食事管理、又は疾患若しくは病態の予防若しくは防止のための食事管理を含むとことをさらに意図する。
【0070】
[0092]本明細書で使用する「経管栄養」は、動物の胃腸系へ経口投与以外によって投与される完全又は不完全な栄養製品又栄養組成物であり、限定はされないが、経鼻胃管、経口胃管、胃管、空腸瘻管(jejunostomy tube)(「J−tube」)、経皮内視鏡的胃瘻造設術(「PEG」)、ポート、例えば胃、空腸へのアクセスを可能にする胸壁のポートなど、及び他の適切なアクセスポートによる投与が挙げられる。
【0071】
[0093]本明細書で使用する用語「ビタミン」は、体の正常な成長及び活動に微量で必要不可欠であり、植物及び動物性食品から天然に得られるか又は合成によって作られる、様々な脂溶性又は水溶性有機物質(非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン又はナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン、又はピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、及びビタミンB12(様々なコバラミン;一般的にはビタミン栄養補助食品中のシアノコバラミン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、及びビオチンが挙げられる)、プロビタミン、誘導体、類似物のいずれかを含むと理解される。
【0072】
経腸栄養法
[0094]経腸栄養法は、栄養必要量を経口によって満たすことができない個体に栄養分を送達する好ましい方法である。標準処方物は、特定の臨床上の懸念がない個体において最も一般的に使用される。これらの処方物は、健康な集団に対する推奨に合致し一般に耐容性が良好である、主要栄養素含量及び微量栄養素含量を有する。以前には、チューブの詰まりの問題、並びに腸管安静が有益であるという考えにより、繊維を含まない経腸処方物が好まれた。以来、繊維による詰まりの問題はほとんど排除されているので、この集団に望ましい多くの有益な生理的効果を与えるために、繊維をそのような処方物に加えることができることが今では認識されている。
【0073】
繊維の直接的利点
[0095]繊維は食物内容物の水分含量及び嵩を増加させ、腸管を通した便通の進行を正常化させる。このように、食物繊維は便通の規則性の改善、軟らかい形態の便の生成の促進、及び排便の容易さ及び制御の改善に寄与する。さらに、可溶性の粘性繊維は、コレステロールを低下させる効果を含めた多くの代謝上の利益を有する。これらの繊維の存在は腸の内容物の粘度を上昇させ、回腸における胆汁酸の吸収を妨げることができ、糞便の胆汁酸の損失が増加することを引き起こす。その結果として、肝臓によってLDLコレステロールが血液から除去され、この損失を補うために胆汁酸へと転化される。同様に、粘性繊維はまた、栄養分摂取に対するグルコース及びインスリンの応答を弱めることもある。これらの繊維は胃の粘度を上昇させることができ、その結果胃内容物排出を遅らせる。さらに、上昇した糜汁の粘度によって、腸のグルコース吸収の速度が遅くなり、インスリンの必要量が低下する。胃の内容物の粘度を上昇させることによって、これらの繊維は胃食道逆流、逆流、及び嘔吐の発現の回数も減少させ、これは経腸栄養の耐容性を改善する。
【0074】
繊維の非直接的利点
[0096]およそ100兆個の微生物が通常の成人の腸管に存在している。有益な細菌と病原性細菌とのバランスは正常な腸の生理機能を維持するのに極めて重要であり、これはこのバランスが免疫機能並びに栄養分の消化及び吸収に対して直接的な影響を与えるからである。定義によれば、プレバイオティクス物質は「宿主の福祉及び健康に利益を与える胃腸の微生物叢の組成及び/又は活性の両方に特定の変化をもたらす、選択的に発酵した成分」である。これは典型的にはビフィズス菌及び/又はラクトバシラス菌の増加を指す。プレバイオティクス物質(又は略してプレバイオティクス)の利点としては、以下が挙げられる:
【0075】
[0097](1)細菌の血流への移行を防ぐのを助ける粘膜のバリア機能の改善;
[0098](2)有益な細菌集団の増殖促進及び病原性細菌亜集団の減少;
[0099](3)大腸における上皮細胞の主要なエネルギー源である、SCFA(例えば酪酸塩)の産生;SCFAはNa+及び水の吸収の調節も助ける;及び
[00100](4)腸の免疫細胞と病原性細菌との相互作用による、宿主の免疫の改善。
【0076】
臨床栄養における食物繊維の利点
[00101]下痢及び便秘は、繊維を含まない経腸処方物に対して患者の間で共通の不満である。繊維は排便の頻度及び通過時間を正常化することが分かっており、したがって繊維は規則性を促進するために処方物に加えることができる。繊維を添加した経腸処方物についての51の研究を含む最近のメタ分析では、繊維の投与によって下痢の発生が減少し便通の頻度が低い場合には高くなることが分かり、これは腸機能に対する繊維の緩和効果を支援する。同様に、専門家の委員会は、下痢、便秘、及び摂食耐性における利点に基づき、禁忌がなければすべての患者の食事に繊維を加えることを推奨した。ESPEN、Guidelines 2006を参照のこと。繊維のさらなる利点としては、腸バリア機能の改善、結腸上皮の増殖、液体及び電解質の吸収の向上、胃食道逆流、逆流、及び嘔吐の緩和、経腸栄養の耐容性向上、並びに血糖管理及び血清の脂質パラメーターにおける利点が挙げられる。一方で、繊維の添加は場合により膨満感及び鼓腸などの胃腸の副作用を引き起こすことが報告されている。したがって、胃腸の副作用が最小限である繊維の種類及び量を加えることが重要である。
【0077】
[00102]異なる繊維は異なる健康効果を与えることがよく認識されているため、繊維のブレンドの使用がますます一般的になってきている。ブレンドは通常の混合食とさらに良く似ており、様々な生理的効果を得ることを可能にすると考えられる。現在は可溶性繊維対不溶性繊維の比について公式な推奨はされていないが、混合食において摂取される繊維のおよそ30%が可溶性であると見積もられる。
【0078】
[00103]Nestle HealthCare Nutritionの標準経管栄養繊維ブレンドは特に、胃腸の耐容性を最適化し許容可能な粘度及び流速を確保しながら、健康上の利益を最大限にするように設計されている。15g/Lの繊維の処方物並びに可溶性繊維及び不溶性繊維の混合物を提供することによって、ブレンドは現在推奨されるものに合致する。繊維ブレンドの可溶性成分は、Nestle's Branded Active BenefitであるPREBIO1(商標)添加剤の既存の科学的価値及びブランド価値を構築及び改良するために設計され、PREBIO1(商標)添加剤はチコリから得られる低粘度の可溶性繊維であるフラクトオリゴ糖(FOS)及びイヌリンの70:30のブレンドである。これらの分子は、β(2−1)フルクトシル−フルクトースのグリコシド結合を含有する直鎖フルクタンである。イヌリン(1.5g/Lで添加される)は平均DPが≧10である分子を指すが、一方FOS(3g/Lで添加される)はDPがより低く、イヌリンの加水分解生成物として、又はフルクトースから若しくはフルクトース及びグルコースから合成によって得ることができる。
【0079】
[00104]FOS及びイヌリンは共に、わずか4g/dの用量においてビフィズス菌特異的効果(bifidogenic effect)が見られるプレバイオティクスとして広く研究されている。両方とも容易に発酵可能であり、結腸の健康に最も有益と考えられているプロピオン酸塩及び酪酸塩の産生を増加させると思われる。これらの繊維はいくらかの膨化特性を有し、FOSを経腸処方物に添加すると便秘が減少することが分かっている。イヌリン及びFOSは免疫機能に有益であるとも思われる。6g/dのFOS/イヌリンブレンドを摂取する潰瘍性大腸炎患者において、炎症及び炎症誘発性サイトカインの発現が低減し、8g/dのFOSを受ける養護老人ホームの患者は、Tリンパ球の増加によって示される免疫反応の改善が見られた。さらに、これらの繊維(8g/d以上)のブレンドは、主に青年及び閉経後の女性においてミネラルの吸収、例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、又は鉄の吸収を向上させ、これは血圧の低下及びより良好な心血管系の健康、並びにより良好な骨ミネラル化をもたらすことが分かっている。しかし、FOSから最良の結果を得るためには、日々の摂取量が1日に5〜10グラムの範囲であるべきであるが、これは15グラムを超える用量が過剰なビフィズス菌集団によるガス又は腸の筋けいれんを引き起こすことがあるからである。ガス産生に起因するGI耐容量は、FOS/イヌリンブレンドを使用した場合にいずれか1つを単独で使用するのと比較して改善されることが分かっている。
【0080】
[00105]本開示は、腸の不快感を生じさせることが分かっている用量を下回る用量のこれらの繊維を含む栄養組成物を提供し、一方でなおプレバイオティクスの利点をもたらす。下記のセクションで論じられるように、本開示の栄養組成物中にAGを添加すると、全繊維含量を増加させより高い全体としてのプレバイオティクスの利益をもたらしながら、低用量のイヌリン及びFOSの使用が可能になる。
【0081】
標準経管栄養ブレンド
[00106]本開示は、70:30の比であるFOS及びイヌリン(PREBIO1(商標))並びに1:1の比であるFOS及びAGを含む、新しい改良された組成物を提供する。これは異なる速度で発酵する様々な短鎖(FOS)、中鎖(イヌリン)、及び長鎖(AG)繊維を提供し、その結果結腸の全長にわたって利益をもたらす。
【0082】
[00107]AG(アカシアゴムとしても知られる)、アカシアゴム、アラビアゴム、又はカラヤゴム(Indian gum)は、複雑なアラビノガラクタンのグループに属する天然、低粘度の可溶性繊維である。AGは、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸単位を含む、高度に分岐した高分子量の分子である。この天然物質の平均分子量は300〜800kDaである。これは乾燥重量の95%が多糖から成り、1〜2%はタンパク質の種類によって決まる。AGは3つの異なる画分、すなわち1%の糖タンパク質、1〜10%のアラビノガラクタン−タンパク質、及び90〜99%のアラビノガラクタンから成る。AGは他の可溶性繊維と比較してゆっくりと発酵し、SCFAの産生を増加させ、したがって遠位結腸に利益をもたらし得る。低用量のAG(3g/d)は3g/dのFOSと組み合わせるとプレバイオティクス作用があることが分かっている。動物実験は下痢の症状を改善するAGの能力を示唆し、臨床試験は腸機能を正常化する効果を示している。さらに、食事に加えられる5gのAGは血糖反応を低下させることが分かっており、25g/dの長期摂取は脂質を低下させる効果がある。
【0083】
[00108]個体は一般にAGに対して胃腸の耐容性が非常に高く、最大で70g/dの投与は健康な個体において大きな副作用を引き起こさない。本開示の組成物において提供される1:1の比のFOS及びAGの組み合わせは、FOS単独と比較して膨満感及び胃の不快感などのGIの副作用を軽減するが、一方で同時に相乗的なプレバイオティクス的利益をもたらすことが分かっている。したがって、耐容性の問題を伴わずにプレバイオティクス的利益を与えるために、AGによってFOSを部分的に置き換えても良い。さらに、AGはFOSを加水分解から保護し、ダイズ繊維及び他の繊維、例えばエンドウ外皮(outer pea)の繊維などの粘度の低下を助けることもできる。AGは、そのような組成物中のFOSの性能を改善する乳化剤と同様に作用すると考えられる。したがって、非常に複雑な高分子量のAGを添加すると、FOS繊維のプレバイオティクス的利益を増大させながら腸の快適性が改善される。
【0084】
[00109]AGは本開示の処方物において多くの予期しない利益ももたらす。例えば、本明細書に記載の量のAGはFOSを加水分解から保護し、そのためFOSを個体への投与後に活性である形態で維持することが分かっている。AGは、ダイズ繊維又はエンドウ繊維などの他の繊維が存在する場合に、処方物の粘度の維持にも役立つと考えられる。AGのさらなる利点としては、水中でのその比較的低い粘度、室温でのその高い溶解度、無味、無色、無臭であること、及び食感を改善し香りの放出を強化する(香味剤(flavorant)と共に使用した場合)その能力が挙げられる。
【0085】
[00110]従来、イヌリン及びFOSの急速な発酵は過剰ガス及びGIの不快感を伴い、そのため製品に加えることができるプレバイオティクス性繊維の用量が限られていた。好都合なことに、ゆっくり発酵したAGの使用は、GIの不耐性を伴わずに高用量のプレバイオティクス性繊維の送達を可能にする。さらに、AG及びFOSを約1:1の比で使用することにより、胃腸の耐容性の向上だけでなくプレバイオティクス性の相乗効果が促進され、その結果この可溶性繊維の組み合わせが経腸処方物に添加するのに理想的なものとなることが分かっている。
【0086】
[00111]経腸栄養法の主な問題の1つは、栄養摂取中に下痢及び他の胃腸の副作用が起こることである。下痢の割合について経腸栄養法を受ける患者の2%〜67%という報告がある。Patti Eisenberg、「An Overview of Diarrhea in the Patient Receiving Enteral Nutrition」、Gastroenterology Nursing、25(3):95〜104頁(2002年)を参照のこと。
【0087】
[00112]本開示の組成物は、様々な分子量(非常に低分子量から非常に高分子量まで)及び発酵速度(速いものから遅いものまで)を有する強力なプレバイオティクス性繊維を使用しており、これはSCFA産生及びプレバイオティクス的効果が結腸の全長にわたって維持されることを可能にする。
【0088】
[00113]FOS、イヌリン、及びAGの量は、それらが特許請求の範囲に記載の比の範囲内に含まれるならば、変更してもよい。本明細書で述べるように、FOS又はAGの量はそれぞれ1.5〜10g/Lの範囲内であってもよいが、3〜5.5g/Lであってもよい。イヌリンは0.5〜5g/Lの範囲であってもよいが、1〜2.5g/Lであってもよい。特許請求の範囲に記載の比の範囲内で使用されるこれらの量は、組成物を投与される個体が良好な耐容性を示す。
【0089】
[00114]別の実施形態において、本開示の組成物は、不溶性のエンドウ外皮繊維をさらに含む。エンドウ外皮繊維はエンドウの外皮から得られる不溶性繊維であり、5〜10g/L、又は7〜8g/L、又は約7.5g/Lの量で加えることができる。エンドウ外皮繊維は主に、アラビノースに富んだヘミセルロース、セルロース、及びウロン酸などのペクチン質から成る。4g/dのエンドウ外皮の繊維を施設に入居した高齢者の食事に加えると、基準と比較して排便の頻度が大幅に増加し、緩下剤使用(プルーンピューレの投与)の必要が少なくなった。これはヒト及び動物において便通の重量を増加させることも分かっている。エンドウ外皮繊維(10g)を食事に加えると、食後の血清コレステロール値が下がることも分かっている。
【0090】
[00115]エンドウ外皮繊維、大豆タンパク質、セルロース、又はヘミセルロースなどの不溶繊維を加えると、規則性及び糞便の膨化における利益が得られる。有効用量のプレバイオティクス性繊維を提供し、GI耐性及び技術的性能を最適化するように、可溶性/不溶性繊維の比を50:50に設定してもよい。そのような組成物の一実施形態を表1に示す。完全栄養物中のブレンドによって供給される繊維の量は、いくつかの専門家の委員会によって設定される推奨に合致する:
[00116](a)European Society for Parenteral and Enteral Nutrition(「ESPEN」):手術後の患者を含めた正常な腸機能を有する患者には、添加した繊維が有益である場合がある;10〜15g繊維/Lが適切な最小量である;
[00117](b)Institute of Medicine(「IOM」)及びAmerican Dietetic Association(「ADA」):14g繊維/1000kcal;並びに
[00118](c)American Diabetes Association(「ADA」):15〜25g繊維/1000kcal。
【0091】
[00119]
【表1】
【0092】
腎臓の繊維ブレンド
[00120]末期の腎臓病の患者は、消化障害、特に便秘に悩まされる。末期の腎臓病患者のおよそ50%が便秘に悩まされる。Murtagh FEM、Addington−Hall J、Higginson IJ.、The Prevalence of Symptoms in End−Stage Renal Disease:A Systematic Review.Advances in Chronic Kidney Disease 2007年;14(1):82〜89頁を参照のこと。PHGGはグアーガムから抽出される独特な水溶性食物繊維である。グアーガムの元来の高い粘度は加水分解後にほとんど除去され、このことによってグ流動食及び栄養的処方物に加えるのに理想的なものとなる。腸の規則性、特に便秘におけるPHGGの有益性を支持するテータがある。PHGGの有益な効果の多くは、他の可溶性繊維よりもはるかに多くの酪酸塩を産生する、結腸でのその完全な発酵に起因する可能性が高い。Velazquez M、Davies C、Marett R、Slavin J、Feirtag J.、Effect of oligosaccharides and fibre substitutes on short chain fatty acid production by human faeca microflora、Anaerobe 2000年; 6(2):87〜92頁を参照のこと。近位結腸で急速に発酵する他の可溶性繊維と同様に、PHGGは便通の重量を大幅には増加させない。しかしいくつかの研究は、PHGGが、特に経腸栄養を受ける患者及び他のハイリスクの集団における、腸機能の正常化、下痢及び便秘の両方の防止又は軽減に有益であることを示している。Slavin JL、Greenberg NA.2003年、Partially Hydrolyzed Guar Gum:Clinical Nutrition Uses、Nutrition;19:549〜552頁を参照のこと。
【0093】
[00121]無作為二重盲検臨床試験において、内科患者及び手術患者の下痢の割合における可溶性繊維PHGGの影響を評価した。100人の患者のうち30人は上部消化管手術の後に完全経腸栄養(「TEN」)を受け、70人の患者は1000ml/dの補完的経腸栄養を受けた。繊維フリーの栄養補給を受けた患者のうち15人(30%)、繊維を含む栄養補給を受けた患者のうち6人(12%)で下痢が発生した(P<0.05)。繊維フリーの食事のグループでは、患者は40.6日間下痢に悩まされ、繊維を補給したグループでは10.2日間であった(P<0.05、P<0.05)。胃腸の副作用による経腸栄養の排出は、TENを受けた繊維フリーのグループの患者において、繊維を補給したグループよりもはるかに頻繁であった。PHGGの使用は、補完的経腸栄養を受けた患者だけでなく完全経腸栄養を受けた患者においても下痢の発生率を低下させた。さらに、繊維補給経腸栄養を受けた患者において下痢が起きた場合、持続期間はより短かった。
【0094】
[00122]便秘を浣腸で管理している長期のケア施設入居者の研究において、毎日のPHGG(18g)の補給によって、ベースライン時により多く浣腸を使用している入居者において浣腸の必要が大幅に減少する結果となった。Soriano CV、Hibler KD、Maxey KI、Long−term fiber intervention program:reduction in enema use at a developmental care facility、Journal of the American Dietetic Association 2000S;100(9):A82を参照のこと。さらに、PHGG(1日に8〜12g)は、緩下剤を日常的にしていた養護老人ホームの入居者において、便秘の発生を減少させ、緩下剤の使用を大幅に減少させた。Patrick P、Gohman S、Marx S、DeLegge M、Greenberg N、Effect of Supplements of Partially Hydrolyzed Guar Gum on the Occurrence of Constipation and Use of Laxative Agents、Journal of the American Dietetic Association 1998年;98(8):912〜914頁を参照のこと。同様に、11gのPHGGを毎日摂取すると、便秘の女性の便通の頻度が増加した。Takahashi H、Yang S、Hayaski C、Kim M、Yamanaka J、Yamamoto T、Influence of partially hydrolyzed guar gum on constipation in women、Journal of Nutritional Science and Vitaminology 1994年;40:251〜259頁を参照のこと。PHGGは、腸内のビフィズス菌の産生を増加させるだけでなく、過敏性腸症候群の症状も軽減することも分かっている。
【0095】
[00123]さらに、PHGGの使用は、過敏性腸症候群(「IBS」)の成人において腹部の痛みを緩和し、腸の癖を改善することも分かっている。この研究の対象者の大多数は、便秘優位のIBSである。1日に5gのPHGGを摂取した対象者は、コムギふすまを摂取した対象者と比較して、より自覚として大きな改善を報告した。Parisi G、Zilli M、Miani Mら、High−fiber diet supplementation in patients with irritable bowel syndrome (IBS):a multicenter,randomized,open trial comparison between wheat bran diet and partially hydrolyzed guar gum(PHGG)、Dig Dis Sci 2002年;47(8):1697〜704頁を参照のこと。
【0096】
[00124]いくつかの組成物が開発されている。本明細書で使用する「腎臓の繊維ブレンド」と呼ばれる組成物は、腎臓病患者に限定されることを意図しておらず、そのようなブレンドが有益であり得る患者のグループに向けて意図している。例えば、腎臓の繊維ブレンドは血糖管理にも利益をもたらし、したがって一実施形態では、多くの場合ストレス誘発性高血糖又は糖尿病も有する急性又は慢性腎不全の患者に向けて意図している。或いは、腎臓の繊維ブレンドは、血糖への効果をもたらすため、一実施形態では急性又は慢性腎不全を有していない高血糖又は糖尿病の患者に向けても意図している。一実施形態において、本開示の組成物はPHGGをさらに含む腎臓の繊維ブレンドである。一実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは3〜5.5g/LのFOS、1〜2.5g/Lのイヌリン、3〜5.5g/LのAG、及び0〜10g/LのPHGGを含む。
【0097】
[00125]別の実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは4.12g/LのFOS、1.76g/Lのイヌリン、4.12g/LのAG、及び7g/LのPHGGを含む。
【0098】
[00126]さらに別の実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは4.12g/LのFOS、1.76g/Lのイヌリン、4.12g/LのAG、及び5g/LのPHGGを含む。
【0099】
[00127]さらなる実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは4.12g/LのFOS、1.76g/Lのイヌリン、4.12g/LのAG、及び2.6g/LのPHGGを含む。
【0100】
[00128]さらなる実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは4.0g/LのFOS、1.76g/Lのイヌリン、4.0g/LのAGを含む。
【0101】
[00129]本開示の栄養組成物は液体の形態で調製してもよい。水は他の成分に対する最も一般的な担体であるが、そのような組成物を経口投与する場合、組成物を他の液体、例えばミルク、フルーツジュース、コーヒー、紅茶、又は他の飲料などに加えることも想定される。水は他の経腸処方物において典型的に使用される。
【0102】
[00130]本開示は乾燥粉末状処方物も提供する。これらの粉末状処方物は、乾燥粉末状成分を混合することによって作ってもよく、又はそれらは本明細書に記載の液体栄養組成物の1つから作ってもよい。典型的には、粉末状処方物は噴霧乾燥、凍結乾燥、又は他の乾燥法を用いて液体栄養組成物を乾燥させることによって調製される。必要に応じて他の栄養成分又は組成物を乾燥前の液体に加えて、強化した栄養面の利益を粉末状処方物にもたらすことができる。そのような粉末状処方物は保存期間がはるかに長く、後で使用するための保存及び輸送のために包装することができる。そのとき、粉末状処方物を水又は他の液体で戻し、次いで個体に経口投与することができる。粉末状処方物は、ガラス、瓶、又は液体を入れた他の容器中の液体に加えるためのそのような粉末状処方物をバルクで用意しておくための容器を含めた、様々な容器に詰めてもよく、又は水若しくは他の液体を加えて経口投与用の液体を作る容器中に入っている粉末を用いて、一回分を用意してもよい。
【0103】
[00131]様々な従来の添加剤を本開示の液体処方物に加えることができることも意図している。例えば、様々な香味剤、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、保存料、又は健康効果のある添加剤を、従来の量でその従来の目的のために加えることができる。
【0104】
[00132]本開示の組成物は、プロバイオティクスの安定性を向上させるために個体に投与することもできる。個体がプロバイオティクスの安定性の維持を助ける製品を摂取したい場合に、粉末状栄養組成物を戻すことができるように、この利点は粉末状製品において特に有用である。
【0105】
[00133]本開示の栄養組成物は一般に腸内微生物叢の健康を促進するために使用される。実験データは、本開示の栄養組成物が経腸的に供給された場合に良好な耐容性を示すことを示している。特に、本発明の栄養組成物はPREBIO1(商標)と比較して改善された耐容性、並びに向上したプレバイオティクス的利点をもたらす。
【0106】
[00134]本開示の組成物は、HIV、集中治療室(「ICU」)、及び小児科の患者に栄養を供給するため、並びに腸の健康を改善するために投与される経腸処方物において使用するために、部分的又は完全栄養組成物として加えてもよい。そのような患者において体重増加挽回を向上させることが分かっており、これは組成物の改善された耐容性による可能性が最も高い。組成物の投与後に得られる改善された微生物(microbiotic)バランスによって、個体の免疫が強化されるとも考えられる。
【0107】
[00135]本開示の栄養組成物は、胃腸障害を引き起こす様々な治療、例えば放射線治療、化学療法、抗生物質、下痢の治療、胃腸手術、麻酔、及び鎮痛薬などの耐容性を改善するために使用してもよい。栄養組成物は、入院中の子供のより良好な追いつき成長(catch−up growth)などの、全身的な利益ももたらす。
【0108】
[00136]本開示の栄養組成物は、患者の腸管でのNa/H2Oの駆動又はミネラルの吸収において患者を支援するため、並びに通過時間を正常化するために投与することもできる。これらの腸機能の改善は、異なる治療のために投与される様々な薬物の副作用の軽減ももたらすが、これはそのような薬物がより効率的に個体から排出されるためである。これらの改善は、少なくとも部分的には、AGが患者の腸管でより多量の酪酸塩を供給する能力によるものであると考えられる。AGは、ペクチン、コムギふすま、イスパキュラ、又はセルロースと比較してはるかに大量の酪酸塩を供給する。対照的に、FOSは酪酸塩よりもむしろ主に酢酸塩を生成させ、酢酸塩は肝臓によって代謝される。イヌリン及びPHGGも酪酸塩を生成させる。酪酸塩は、細胞増殖させるための結腸細胞の主な燃料であるため望ましい。酪酸塩は結腸のpHも低下させて病原性細菌の成長を阻害する。これは腸バリアの保護を助ける抗炎症性の利点をもたらす。
【0109】
[00137]高齢の患者、例えば65歳を超える患者において、本開示の栄養組成物の投与は、そのような処方物のより高い耐容性によって、そのような患者が許容可能な栄養レベル及び摂食目標を実現することを可能にする。入院患者においては、摂食目標を達成し適切な栄養を供給することによって、典型的には病院滞在の長さが短縮され、摂食要件のコンプライアンスが向上し、下痢又は便秘などの合併症が減少する。病院滞在の短縮は患者並びに保険業者の双方にとってコストの減少につながる。
【0110】
[00138]本開示の栄養組成物の投与はまた、個体の加齢のために腸内微生物叢が負の進化をするのを最小限にする。これは、そのような組成物を摂取する個体が加齢にもかかわらず健康的な微生物叢レベルをより長く維持することを可能にする。さらに、クロストリジウムを減少させ、一方でビフィズス菌を増加させる。
【0111】
[00139]本明細書で開示される本発明の栄養組成物の投与は、個体の免疫系を強化することもできる。特に、クロストリジウム・ディフィシルを減少させ、一方でT細胞機能及びGALTを増強させる。個体が病気に抵抗する能力が高まるように、個体の適応免疫sIgA及び自然免疫を強化する。本発明の組成物によって与えられる特定のコロニー形成は、炎症性サイトカインが除脂肪体重の減少を引き起こし、GLP−1及びGLP−2がインスリン抵抗性の増大を引き起こし、TH1/TH2の不均衡が減少するように、独特の上方制御をもたらす。これらの利点はそのような個体におけるより良好な移植耐性をもたらすことになると考えられる。
【0112】
[00140]さらに別の方法は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び栄養分の吸収を増加させることによって、同組成物を必要とする患者の骨成長を向上させること又は骨分解を防ぐことに関する。この方法は、患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与して、骨の組成及び機能の改善を助けるためにビタミンD、亜鉛、又はカルシウムなどの栄養分の吸収を増加させることを含む。
【0113】
[00141]本開示の別の方法は、個体の腸管及び結腸における栄養分の吸収を増加させることによって、患者の筋肉量を高めることに関する。この方法は、葉酸塩、ビタミンD、マグネシウム、B12などの栄養分の吸収を個体において特に増加させて、筋肉の成長を助ける、筋肉量の欠乏を防ぐ、又は筋肉量の回復を改善するために、そのような筋肉量の増強及び吸収の増加を望む個体に、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0114】
[00142]個体の代謝は、本明細書で開示される栄養組成物有効量の1つを投与することによって改善できる。これによって、個体の微量栄養素の吸収を高め、そのような微量栄養素のバイオアベイラビリティーを改善し、より高いカロリー摂取を実現することが可能となる。これは、個体がそのような吸収の改善によってより良い朝の始まりを迎えることができるという点で、多くの利点をもたらす。さらに、この組成物を摂取する個体がより高い満腹感又は飽満感を得て過食を避けることになるという点で、これは肥満の治療にも使用できる。これはカロリー摂取量の減少をもたらすこともできるが、一方でまた個体が組成物の投与後にカロリーを燃焼させることになる運動又は他の活動に参加できるように、持続したエネルギーも供給する。
【0115】
[00143]この組成物は、糖尿病の治療においても、そのような治療を必要とする患者において有用である。本明細書で開示される栄養組成物の1つを投与すると、インスリン抵抗性を低下させる、血糖可動域を小さくする、又はCVDのリスクを低くすることができる。
【0116】
[例示的実施形態]
[00144]本開示の一実施形態は、35〜44重量%の量のフラクトオリゴ糖(FOS);38重量%〜50重量%の量の多糖;及び12〜24重量%の量のイヌリンを含む、個体へ投与するための栄養組成物である。FOS及び多糖は、62:38〜38:62の重量比で存在してもよく、FOS及びイヌリンは82:18〜58:42の重量比で存在してもよい。さらなる実施形態において、FOSは40〜42重量%である。さらなる実施形態において、FOSは約41重量%である。さらなる実施形態において、多糖はAGである。さらなる実施形態において、多糖は40〜50%である。さらなる実施形態において、多糖は約41重量%である。さらなる実施形態において、AGは40〜42重量%である。さらなる実施形態において、AGは約41重量%である。さらなる実施形態において、イヌリンは15〜21重量%である。さらなる実施形態において、イヌリンは18重量%である。さらなる実施形態において、栄養組成物は40〜42重量%の量の(FOS);40重量%〜42重量%の量のAG;及び15〜21重量%の量のイヌリンを含む。さらなる実施形態において、栄養組成物は41重量%の量の(FOS);41重量%の量のAG;及び18重量%の量のイヌリンを含む。さらなる実施形態において、FOS及び多糖は55:45〜45:55の重量比で存在する。さらなる実施形態において、FOS及び多糖は約1:1の重量比で存在する。さらなる実施形態において、FOS及びイヌリンは76:24〜64:36の重量比で存在する。さらなる実施形態において、FOS及びイヌリンは7:3の重量比で存在する。さらなる実施形態において、多糖はアラビノガラクタンであり、FOSは3〜5.5g/Lの量で存在し、アラビノガラクタンは3〜5.5g/Lの量で存在し、イヌリンは1〜2.5g/Lの量で存在する。さらなる実施形態において、栄養組成物は最大で10g/Lの(PHGG)をさらに含む。さらなる実施形態において、アラビノガラクタンはAGであり、FOS及びAGはそれぞれ4.12g/Lの量で存在し、イヌリンは1.76g/Lの量で存在し、PHGGは7g/Lの量で存在する。さらなる実施形態において、アラビノガラクタンはAGであり、FOS及びAGはそれぞれ4.12g/Lの量で存在し、イヌリンは1.76g/Lの量で存在し、PHGGは5g/Lの量で存在する。さらなる実施形態において、アラビノガラクタンはAGであり、FOS及びAGはそれぞれ4.12g/Lの量で存在し、イヌリンは1.76g/Lの量で存在し、PHGGは2.6g/L量で存在する。さらなる実施形態において、(FOS)は35重量%の量;多糖は50重量%の量;イヌリンは15重量%の量である。さらなる実施形態において、(FOS)は35重量%の量;AGは50重量%の量;イヌリンは15重量%の量である。
【0117】
[00145]さらに、化学的観点から言えばグアーガムは多糖であり、PHGGは少なくとも一部はやはり多糖と言えるであろうが、本発明の特許請求の範囲に記載の栄養組成物に含まれる「多糖」はPHGGを含まないことに注目すべきである。代わりに、PHGGを多糖の他に加えてもよいので、例えば38〜50%の多糖を得るためにはAG及びPHGGは一緒に添加されない。代わりに、PHGGを38〜50%の多糖の他に栄養組成物に加えてもよい。
【0118】
[00146]一実施形態において、栄養組成物は、個体の消化機能を高めるのに有効な量で少なくとも1つの不溶性繊維をさらに含み、少なくとも1つの不溶性繊維はダイズ繊維、エンドウ外皮繊維、又はそれらの組み合わせである。栄養組成物のさらなる実施形態において、可溶性繊維及び不溶性繊維は1.5:1〜1:1.5の比で存在し、FOS及びAGは2.5〜3.5g/Lの総量で存在し、イヌリンは1.25〜1.75g/Lの量で存在し、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維はそれぞれ3.25〜4.25g/Lの量で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、可溶性繊維及び不溶性繊維は1.25:1及び1:1.25の比で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、可溶性繊維及び不溶性繊維は1:1の比で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、FOS及びAGは約3g/Lの総量で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、イヌリンは約1.5g/Lの量で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維はそれぞれ約3.75g/Lの量で存在する。
【0119】
[00147]一実施形態において、栄養組成物は抗酸化剤をさらに含む。
【0120】
[00148]一実施形態において、栄養組成物は魚油、又は藻類などの非海洋性油(nonmarine oil)をさらに含む。
【0121】
[00149]一実施形態において、栄養組成物はDHA、EPA、又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0122】
[00150]一実施形態において、栄養組成物はビタミン、ミネラル、又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0123】
[00151]一実施形態において、栄養組成物は植物栄養素をさらに含む。
【0124】
[00152]一実施形態において、栄養組成物はタンパク質をさらに含む。
【0125】
[00153]一実施形態において、栄養組成物は脂肪をさらに含む。
【0126】
[00154]一実施形態において、栄養組成物はプロバイオティクスをさらに含む。
【0127】
[00155]一実施形態において、栄養組成物は乾燥粉末状処方物である。別の実施形態において、栄養組成物は、組成物の1つを液体として調製し、その液体組成物を噴霧乾燥、凍結乾燥、又は他の乾燥方法を含めた当技術分野において既知の方法の1つによって乾燥させて、乾燥粉末状組成物を生成させることによって作られる。さらなる実施形態において、追加の栄養成分又は組成物を液体に乾燥前に加えて粉末状組成物に栄養面の利点の強化をもたらす。さらなる実施形態において、栄養組成物は、処方物を液体と合わせることにより請求項35〜37に記載の乾燥粉末状処方物の1つを戻すことによって得られる。
【0128】
[00156]一実施形態において、栄養組成物は完全栄養である。一実施形態において、栄養組成物は不完全栄養である。
【0129】
[00157]一実施形態において、栄養組成物は腸内微生物叢バランス及び健康を促進する方法において使用される。この方法は、そのような治療が有効であり得る個体へ有効量の栄養組成物を投与することを含む。
【0130】
[00158]一実施形態において、栄養組成物は、胃腸系障害を引き起こす様々な医療、例えば放射線治療、化学療法、胃腸手術、麻酔を含めた治療、抗生物質、鎮痛薬の投与、又は下痢の治療などに対する患者の耐性を改善する方法において使用される。この方法は、そのような患者に有効量の栄養組成物を投与することを含む。
【0131】
[00159]一実施形態において、栄養組成物は、より良好な追いつき成長などの利益を子供にもたらす方法において使用される。この方法は、そのような子供に有効量の栄養組成物を投与することを含む。
【0132】
[00160]一実施形態において、栄養組成物は患者の入院期間を短縮する方法において使用される。この方法は、有効量の栄養組成物を入院患者に投与して、そのような処方物のより高い耐容性によってそのような患者が許容可能な栄養レベル及び摂食目標を実現し、そのようにして摂食要件のコンプライアンスを向上させ、下痢又は便秘などの合併症を減少させて、次いでこれにより患者の病状を改善して入院期間を短縮させることを可能にすることを含む。さらなる実施形態において、患者は成人及び高齢者である。
【0133】
[00161]一実施形態において、栄養組成物は、有効量の栄養組成物を高齢の個体に投与してそのような個体が加齢にもかかわらず健康的な微生物叢レベルをより長く維持できるようにすることによって、高齢の個体において加齢のために腸内微生物叢が負の発展をするのを最小限にする方法において、使用される。さらなる実施形態において、この方法はクロストリジウムを減少させることを含む。さらなる実施形態において、この方法はビフィズス菌を増加させることを含む。
【0134】
[00162]一実施形態において、栄養組成物は、患者の結腸における酪酸塩の産生を増加させる方法において使用される。この方法は、有効量の栄養組成物を患者に投与してAGを含有しない処方物と比較して酪酸塩の産生を増加させて、結腸において細胞を増殖させて、結腸のpHを低下させて病原性細菌の成長を阻害することを含む。さらなる実施形態において、この方法は患者の腸バリアの保護を助ける抗炎症性の利点をもたらす。さらなる実施形態において、この方法はより良好なミネラルの吸収をもたらす。さらなる実施形態において、この方法は胃腸の通過時間の正常化をもたらす。さらなる実施形態において、この方法は下痢の減少をもたらす。さらなる実施形態において、この方法は便秘の減少をもたらす。
【0135】
[00163]一実施形態において、栄養組成物は個体の免疫系を強化する方法において使用される。この方法は、免疫系を刺激することを望む個体に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、刺激された免疫系はクロストリジウム・ディフィシルなどの病原性微生物を減少させる。さらなる実施形態において、刺激された免疫系はT細胞機能の改善を含む。さらなる実施形態において、刺激された免疫系はGALT機能の改善を含む。さらなる実施形態において、刺激された免疫系はsIgA産生の増進を含む。さらなる実施形態において、刺激された免疫系は個体が病気に抵抗する能力を向上させる。
【0136】
[00164]一実施形態において、栄養組成物は、移植を受けた個体に有効量の栄養組成物を投与して、独特の下方制御をもたらす特定のコロニー形成を与えることによって、臓器移植耐性を改善する方法において使用される。さらなる実施形態において、上方制御は除脂肪体重の増加を引き起こす炎症性サイトカインの減少を引き起こす。さらなる実施形態において、上方制御はGLP−1及びGLP−2を介してインスリン放出の増加を引き起こす。さらなる実施形態において、上方制御はTH1/TH2の不均衡の減少をもたらす。
【0137】
[00165]一実施形態において、栄養組成物は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び栄養分の吸収を増加させることによって、同組成物を必要とする患者の骨成長を改善する又は骨分解を防ぐ方法において使用される。この方法は、患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与して、骨の組成及び機能の改善を助けるためにビタミンD、亜鉛、又はカルシウムなどの栄養分の吸収を増加させることを含む。
【0138】
[00166]本開示の別の方法は、個体の腸管及び結腸における栄養分の吸収を増加させることによって、患者の筋肉量を高めることに関する。この方法は、カルシウム、ビタミンD、葉酸塩、マグネシウム、又はB12などの栄養分の吸収を個体において特に増加させて、筋肉の成長を助ける、筋肉量の欠乏を防ぐ、又は筋肉量の回復を改善するために、そのような筋肉量の増強及び吸収の増加を望む個体に、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0139】
[00167]一実施形態において、栄養組成物は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び栄養分の吸収を増加させる方法において使用される。この方法は、ビタミン又はカルシウム及び他のミネラル又はビタミン及びミネラルの吸収を個体において特に増加させるために、そのような吸収の増加を望む個体に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、ビタミンはビタミンD、葉酸塩、B12などである。さらなる実施形態において、ミネラルは少なくともマグネシウム又はカルシウムである。さらなる実施形態において、この方法は筋肉の成長を助ける。さらなる実施形態において、この方法は筋肉量の欠乏を防ぐ。さらなる実施形態において、この方法は病後又は負傷後の筋肉量回復を改善する。
【0140】
[00168]一実施形態において、栄養組成物は個体の代謝を改善する方法において使用される。この方法は、そのような代謝の改善を望む個体に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、この方法は微量栄養素の吸収を高める。さらなる実施形態において、この方法は微量栄養素のバイオアベイラビリティーを改善する。さらなる実施形態において、この方法はより高いカロリー摂取を実現する。さらなる実施形態において、この方法は個体がより良い朝の始まりを迎えられるようにより高いカロリー摂取を実現する。さらなる実施形態において、この方法は満腹感を与える。さらなる実施形態において、この方法は過食を避けるために満腹感を与える。さらなる実施形態において、この方法はカロリー摂取量を減少させるために満腹感を与える。さらなる実施形態において、この方法は肥満を治療するために満腹感を与える。さらなる実施形態において、この方法は投与後に持続したエネルギーを供給する。
【0141】
[00169]一実施形態において、栄養組成物は、糖尿病を治療する方法において、そのような治療が有効であり得る患者において使用される。この方法はそのような患者に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、この方法はインスリン抵抗性を低下させる。さらなる実施形態において、この方法は血糖可動域を小さくする。さらなる実施形態において、この方法はCVDのリスクを低くする。
【0142】
[00170]本開示の実施形態は、ガムなどの多糖を、個体に投与して栄養を供給するためのFOS及びイヌリンを含む栄養組成物において使用することを含み、多糖は、個体に投与された場合にそのような栄養組成物のより高い耐容量を実現するのに有効な量で存在していてもよく、多糖、FOS、及びイヌリンは本明細書で開示される量で存在する。さらなる実施形態において、多糖はAGである。
【0143】
[00171]本開示の実施形態は、個体の腸内微生物叢バランス及び健康を促進するための栄養組成物の調製においてガムなどの多糖を使用することを含み、栄養組成物は本明細書で開示される量でFOS及びイヌリンも含む。さらなる実施形態において、多糖はAGである。
【0144】
[00172]一実施形態において、栄養組成物は、有効量の栄養組成物を長期投与のために使用する方法において使用される。
【0145】
[00173]一実施形態において、栄養組成物は、有効量の栄養物を短期投与のために使用する方法において使用される。
【0146】
[00174]一実施形態において、栄養組成物は、有効量の栄養組成物を経管栄養投与のために使用する方法において使用される。
【0147】
[00175]一実施形態において、栄養組成物は、同組成物が有効であり得る個体に有効量の栄養組成物を投与することを含む、胃腸管によって生成されるか又は胃腸管によって調整されるホルモンを調節する方法において、使用される。さらなる実施形態において、炎症ホルモンを個体において減少させる。さらなる実施形態において、個体の幸福感を高める。さらなる実施形態において、セロトニンを増加させる。さらなる実施形態において、セロトニンは個体の睡眠パターンの改善をもたらす。さらなる実施形態において、セロトニンは個体の睡眠の質の向上をもたらす。さらなる実施形態において、セロトニンは鬱病の減少をもたらす。さらなる実施形態において、セロトニンは食欲の正常化をもたらす。さらなる実施形態において、認知力を改善する。
【0148】
[00176]一実施形態において、栄養組成物は、同組成物が有効であり得る個体に有効量の栄養組成物を投与することによって、小児科患者の細菌バランスを改善する方法において使用され、TH1/TH2の不均衡が減少し、TH1/TH2の不均衡はTH2サブセットが優勢である。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はアレルギー発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はアトピー性皮膚炎発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はぜんそく発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少は食物アレルギー発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少は中耳炎発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はウイルス感染発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少は自己免疫疾患発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はアレルギー性鼻炎発生の減少をもたらす。
【0149】
[00177]一実施形態において、栄養組成物は、栄養を腎臓障害の患者に供給する方法において使用される。この方法は、そのような患者に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、患者は腎不全である。さらなる実施形態において、患者は透析治療を受けている。
【0150】
[00178]一実施形態において、栄養組成物は、個体の患者に有効量の栄養組成物を投与することによって、少なくとも1つの炎症性疾患を管理する方法において使用される。さらなる実施形態において、炎症性疾患は炎症性疾患の予防である。さらなる実施形態において、炎症性疾患は胃腸炎である。さらなる実施形態において、炎症性疾患は炎症性腸疾患(「IBD」)である。
【0151】
[00179]一実施形態において、栄養組成物は、健康管理にかかる費用の減少をもたらす方法において使用される。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は病院に滞在する長さの減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は介護施設に滞在する長さの減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は合併症の減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は下痢の発生の減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は便秘の発生の減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は憩室炎の発生の減少によるものである。
【0152】
[00180]本開示の様々な態様についての前述の説明は、例証及び説明の目的で提示されている。これは網羅的又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、多くの修正及び変形が可能であることは明らかである。当業者に明らかであると思われるそのような修正及び変形が、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内に含まれることを意図している。
【実施例】
【0153】
[00181]
【0154】
[00182]実施例1:小児集中治療室(PICU)におけるプロバイオティクス及びプレバイオティクスを含有する経腸処方物:耐容量、安全使用、及び腸内生態系
【0155】
背景
[00183]このプロジェクトは、革新的な栄養の考え方によって栄養補助食品を刷新して、成長及び保護(子供の防御力を強化する)に有益な分野における製品価値の提案を強めることを狙いとした。
【0156】
[00184]そのような目的のために、2つのプロバイオティクス性細菌ラクトバシラスパラカゼイ(Lactobacillus paracasei)NCC2467(ST11)及びビフィオバクテリアムロンガム(Bifidobacterium longum)NCC3001(Bb536)のブレンド、PREBIO1(商標)の独自の組み合わせであるAG及びDHAによって、処方物の栄養価を強化した。
【0157】
[00185]健康管理環境を背景とした耐容性/安全性及び有益性の実証のために、臨床試験を開始した:
【0158】
臨床試験
[00186]臨床試験は、機械的人工呼吸及び経腸栄養を必要とする94人の子供が小児集中治療室(「PICU」)に入院しているNakhon Ratchasima(タイ)で行った。研究はほぼ3年間行われた。耐容性/安全性の分析は、カロリー摂取量の総パーセンテージ及び目標カロリー摂取量に到達する時間の両方を考慮に入れており、一方有益性の分析ではNCC2461(ST11)株及びNCC3001(BB536)株の存在を含めて糞便の微生物叢組成を評価する。
【0159】
方法
[00187]これは二重盲検対照無作為臨床試験とした。試験製品及び対照製品の2つの製品を調べた。
【0160】
試験製品(New Nutren Junior)
[00188]プロバイオティクスNCC2461/NCC3001+プレバイオティクス(PREBIOl(商標)+AG)+DHAを含む経腸処方物
【0161】
対照製品(Nutren Junior)
[00189]プロバイオティクス及びプレバイオティクス又はDHAを添加していない、等カロリー、等タンパクの処方物
【0162】
結果
[00190]94人の患者は無作為化され、及び治療することを意図され、すべての人が少なくとも1日はいくらかの試験製品を摂取した。88人の患者は3日を超える経腸栄養を受けた(PPデータセット)。
【0163】
耐容性/安全性の分析
カロリー摂取量の総パーセンテージ
[00191]24時間で投与された総量を利用日数にわたって合計し日数×重量×70kcal/kg/日で割ることによって、入院中のカロリー摂取量の総パーセンテージを計算した。これを各対象者について行った。カロリー摂取量の総パーセンテージをウィルコクソン順位和検定(Wilcoxon rank−sum test)によって分析し、信頼区間をホッジス−レーマン(Hodges−Lehman)に従って計算した。要約統計量及び治療間の差を表2に示す。
【0164】
[00192]
【表2】
【0165】
[00193]両側95%信頼区間は−7.1%から7.9%の総カロリー摂取量にわたっている。信頼区間の下限である−7.1%は有意差と定義された−15%を上回る。したがって、2つの製品の間で非劣性が実証された。
【0166】
目標カロリー摂取量に達する時間
[00194]毎日の目標カロリー摂取量に達する時間は、毎日のエネルギー摂取(「DEI」)が100%を超えた時間である。子供がある日にちにちょうど100%に達することは予期されなかったので、この時間はそれぞれの子供について100%DEIが測定される前の日と100%DEIが測定された後の日との間で線形補間によって計算した。7日間の経管栄養の間に1日のカロリー目標値に達しなかった子供を検閲した。図1に示すカプランマイヤー(Kaplan Meier)プロットで示されるように、試験グループ及び対照グループにおいてそれぞれ36%及び29%の子供が7日間にわたってカロリー目標値に達しなかった。カロリー目標値に達する時間の中央値は試験グループ及び対照グループにおいてそれぞれ5.10日及び5.03日であった。時間の差は1時間で、95%信頼区間は29時間から61時間にわたっている。これは2つの試験製品の間の非劣性をさらに示す。
【0167】
[00195]カロリー目標値に達する時間をログランク検定(log−rank test)によっても分析した。p値は0.67である。治療グループによる、目標値に達する時間の中央値を表3に示す。
【0168】
[00196]
【表3】
【0169】
[00197]裏付けとなる根拠(腹部飽満、嘔吐、便通頻度/下痢など)としての健康状態及び耐容性のパラメーターの全般的な改善を通して、安全性に焦点を当てた。プレバイオティクス及びプロバイオティクスを含有する経腸処方物の使用は、上記に示した4つのパラメーターに関して安全であることが分かった。
【0170】
[00198]診療記録によれば、通常の臨床診療の期間(入院期間後の最大+/−7日)で、両方のグループの患者は危篤状態から回復し、最後にはPICUから退院した。さらに、試験中調査員によって製品関連の副作用は報告されず、試験製品の安全性を裏付けた。
【0171】
プレバイオティクスの有益性の分析
[00199]糞便の微生物叢組成を、非常に重篤な環境(高い感染のリスクを有する抗生物質治療中の患者)における腸バランスを反映する重要なパラメーターとして選択した。以下の細菌群を測定した:ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterum)、ラクトバシラス属、バクテロイデス/ポルフィロモナス(Porphyromonas)/プレボテラ(Prevotella)グループ、腸内細菌科(Enterobactericeae)、ウェルシュ菌種、及びエンテロコッカス属。平均値(log10)を表4に示す。
【0172】
[00200]
【表4】
【0173】
[00201]ビフィドバクテリウム属の中で、ビフィオバクテリアムロンガムNCC3001株を特異的PCRによって同定し、ラクトバシラス属の中で、ラクトバシラスパラカゼイNCC2461も特異的PCRによって同定した。NCC3001及びNCC2461株は、プレバイオティクス及びプロバイオティクスを含む経腸処方物をPICU滞在中に受けた患者の18%、84%で同定された。
【0174】
[00202]対照グループと試験グループとの間の、ビフィズス菌のベースラインからの変化スコア(change score)の差は、7日目及び14日目でそれぞれ0.17 log10 CFU/mg及び1.43 log10 CFU/mgであった。14日目の差は統計的に有意であり、p=0.013であった。ビフィズス菌の増加は単に試験製品に含有されたビフィズス菌株に起因すると考えるべきではなく、製品に添加されたプレバイオティクスブレンド(PREBIO1(商標)+AG)のさらなるビフィズス菌特異的効果も反映すると考えられるであろう。ラクトバシラス菌の差は同じ傾向に従い(有意差なし)、補給期間の最後(14日目)で試験グループが対照と比較して0.75 log高いレベルである。バクテロイデス及び腸球菌(Enterococci)レベルの平均値は、両方の治療グループで変わらず維持された。
【0175】
[00203]両方のグループで、入院期間(PICU)にわたってウェルシュ菌レベルが徐々に減少した。腸内細菌(Enterobacteria)について同じ観察がなされた。統計的に有意ではないが、試験製品を用いた摂食において後者の効果がより顕著であった(7日間でおよそ1logの減少)。
【0176】
結論
[00204]結果は、PREBIO1(商標)及びAGの両方を含む栄養補助食品による経腸栄養が、PREBIO1(商標)のみを含む既に市販されているNutren Jr.よりも耐容性が良好であることを示している。さらに、Nutren Jr.と比較して、New Nutren Jr.は既知の病原体をそのメンバーの中に含む細菌群(腸内細菌、クロストリジウム(Clostridia))の減少の促進だけでなく、有益な効果があると言われる微生物群(ビフィズス菌)の増加の促進にもより効果的であり、したがって病気の子供の微生物叢組成のバランスを良い方向に整える。
【0177】
[00205]実施例2:PICUにおけるプロバイオティクス及びプレバイオティクス含有経腸処方物:耐容性、安全使用、及び腸の生態系
【0178】
背景
[00206]腸の微生物叢の広範囲の乱れを併せ持つ入院中の幼児の栄養不良は、急性の下痢の症状の発現並びに院内感染の腸内病原体源を長期間保有することの両方を促進する状態である。
【0179】
目的
[00207]本発明の研究は、プロバイオティクス及びプレバイオティクスを含有する経腸処方物の耐容性、PICUにおけるその安全使用、及びその腸内細菌の生態系を支える能力を実証することを目的とした。
【0180】
設計/方法
[00208]機械的人工呼吸及び経腸栄養を必要とする1歳〜3歳の94人のPICU患者は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、及びDHAを含有する試験処方物、又は対照の等カロリー及び等タンパクの処方物を受けるように無作為化された。患者は7日間PICUにとどまり、14日目にさらに検査を受けた。第1の目的は、カロリー目標値への前進によって測定される耐容性を評価することであり、第2の目的は、安全な使用及び腸内微生物叢の改善を測定することである。
【0181】
結果
[00209]総カロリー摂取量は2つの処方物の間で差がなかった。カロリー目標値に達する時間の中央値は、試験グループで5.1、対照グループで5.03であった(p=0.67)。安全性に関しては、現在の臨床診療の期間内で、両方のグループの患者は危篤状態から回復しPICUから退院した。経腸処方物の安全な使用の裏付けとなる根拠として、腹部飽満、嘔吐、及び便通頻度/下痢の違いは2つの試験製品の間で見られなかった。さらに、いずれのグループでも副作用は見られなかった。
【0182】
[00210]ビフィズス菌は対照グループで減少したが、一方試験グループでは増加し、14日目で統計的な有意差に達した(P=0.013)。ラクトバシラス菌について同じ傾向が見られ、対照グループに対して試験グループが0.75log高いレベルであった(有意差なし)。この研究で使用したプロバイオティクス性のラクトバシラスパラカゼイNCC2461株は84%のケースで排泄物から回収された。第2のプロバイオティクス性株ビフィオバクテリアムロンガムNCC3001株は18%のケースのみで回収された。バクテロイデス及び腸球菌は変化しないままであった。両方のグループで入院中にウェルシュ菌が徐々に減少するのが見られた。対照グループで腸内細菌レベルは変化しないままであったが、そのレベルは試験グループではPICU滞在中に1log減少した。
【0183】
結論
[00211]プロバイオティクス及びプレバイオティクスを添加した処方物の使用はPICUにおける経腸栄養の耐容性を変化させない。さらに、そのような処方物は安全であり、重篤な病気の子供の微生物叢組成の好ましいバランスを促進する。
【0184】
[00212]実施例3:ヒト腸内微生物生態系のシミュレータ(「SHIME」)を用いたプレバイオティクスブレンドのインビトロ評価
【0185】
[00213]2つのプレバイオティクスブレンドのインビトロ評価を行い、ここではヒト胃腸管のシミュレータ(TWINSHIMEモデル)を使用して、経口栄養補給物(「ONS」)として又は経管栄養処方物(「TF」)中での用途における本発明の栄養組成物(「ブレンド1+」と呼ぶ)のプレバイオティクスブレンドのプレバイオティクス活性を評価した。評価の焦点は、元の繊維ブレンド(「ブレンド1」と呼ぶ)においてFOS及びイヌリンをAGで部分的に置き換えることがONS法における微生物発酵の特徴に対して与える影響を評価することであった。
【0186】
[00214]胃腸管及び腸の微生物プロセスを研究するためのインビトロによる方法は、選択された食品成分の考えられるプレバイオティクス特性を研究するのに優れた実験装備である。適切に設計された連続モデルの適用は、代表的な環境条件下の腸における選択された分子の生物活性を掘り下げて研究することを可能にする。さらに、インビトロによるモデル化の最近の進歩は、粘膜への接着及び免疫系との相互作用などの、細菌−宿主相互作用の研究を連続モデルと組み合わせることも可能にし、それによって科学的成果及び商業上の妥当性の両方をさらに高める。
【0187】
[00215]この研究で使用された2つのプレバイオティクスブレンドは、30%の脂肪、20%のタンパク質、及び50%の炭水化物を含んでいた。ブレンドは炭水化物の組成が異なっている。ブレンド1(「SHIME1」)はFOS及びイヌリンを70%対30%の比で含有していた。ブレンド1+(「SHIME2」)は41%のFOS、41%のアカシアゴム、18%のイヌリンを含有していた。製品は3.3gの繊維を含有する単位で利用可能であった。1日当たり2回分のブレンドに相当する総量をそれぞれのSHIMEモデルに投与した。ブレンドは、胃の区画に1日3回入る液体栄養培地の一部としてモデルに投与され、その結果2.2gの繊維を1日に3回投与することになる。
【0188】
ヒト腸内微生物生態系のシミュレータ
[00216]インビトロの装備を用いて選択された製品の考えられるプレバイオティクス特性を詳細に研究するために、複雑な腸の微生物生態系を長期間にわたって代表的条件下で培養することを可能にする連続モデルを使用した。さらに、従来のインビトロ及びインビボによる研究は、プレバイオティクス特性の評価を化合物の連続投与の2〜3週間後にのみ行うことができることを示しているので、このモデルはプレバイオティクスの繰り返しの摂取をシミュレートすることを可能にするべきである。したがって、ヒト胃腸管の動的SHIMEシミュレータを使用して、プレバイオティクスによる治療の有効性を評価した。
【0189】
[00217]Mollyらによって記載のように、反応器の装備はSHIMEから改造し、成人のヒトの胃腸管(「GIT」)を表す。Mollyら、「Development of a 5−step multichamber reactor as a simulation of the human intestinal microbial ecosystem」、Applied Microbiology and Biotechnology 39:254〜258頁(1993年)を参照のこと。SHIMEは、ヒトの胃腸管の異なる部分をシミュレートする5個の反応器が連続したものから成る。例えば図2を参照のこと。
【0190】
[00218]最初の2個の反応器は、食品の摂取及び消化の異なるステップをシミュレートするための充填及び吸引(fill−and−draw)の原理のものであり、ぜん動ポンプが規定量のSHIME栄養物(140mL 3×/日)並びに膵臓及び胆汁の液体(60mL 3×/日)をそれぞれ胃(V1)及び十二指腸(V2)の区画に加え、指定の期間後にそれぞれの反応器を空にする。最後の3つの区画は、一定の量及びpHに制御されている連続撹拌された反応器。異なる容器の保持時間及びpHは、胃腸管の異なる部分におけるインビボ条件に似たものになるように選択される。大腸をシミュレートする最後の3個の容器の全体の滞留時間は72時間である。糞便の微生物叢によって植菌すると、これらの反応器は上行結腸(V3)、横行結腸(V4)、及び下行結腸(V5)をシミュレートする。種菌の調製、保持時間、pH、温度設定、及び反応器の栄養物組成は、Possemiersらによって以前に記載された。Possemiersら、「PCR−DGGE−based quantification of stability of the microbial community in a simulator of the human intestinal microbial ecosystem」、FAMS Microbiology Ecology 49:495〜507頁(2004年)を参照のこと。
【0191】
[00219]SHIMEは15年を超えて科学的及び工業的プロジェクトの両方において広く用いられており、インビボのパラメーターによって検証されている。結腸の異なる領域で微生物群を安定化させると、異なる結腸領域で組成及び機能性の両方において異なる、代表的な微生物群が3つの結腸の区画に定着する。
【0192】
[00220]これらの実験において、2つのシステム(SHIME1=ブレンド1;SHIME2=ブレンド1+)を並行して同時に操作することによって、TWINSHIME装備を使用した。同一のpH及び温度制御によって、及び反応器間で液体を輸送するための2方向ポンプ(two−headed pump)を用いることによって、両方のシステムで同一の環境条件を得た。
【0193】
[00221]SHIME実験は3つの段階から構成された。第1の段階は開始段階であった。結腸反応器を適切な糞便試料(ビフィズス菌の濃度が低い高齢の提供者)によって植菌した後、2週間の開始期間で異なる反応器中で局所的な環境条件に応じて微生物群を分化させた。第2の段階は実験の実際の開始である対照期間であり、ここで標準SHIME栄養物をモデルに14日間投与した。基礎培地は以下のように構成された:アラビノガラクタン(1g/L)、ペクチン(2g/L)、キシラン(1g/L)、デンプン(3g/L)、グルコース(0.4g/L)、酵母抽出物(3g/L)、ペプトン(1g/L)、ムチン(4g/L)、システイン(0.5g/L)。この期間の試料の分析は、異なる反応器におけるベースラインの微生物群組成及び活性を測定することを可能にし、これはプレバイオティクスによる治療から得られる結果と比較するための対照として使用される。第3の段階で最終段階は治療期間であった。この3週間の期間中、SHIME反応器は公称条件下で操作されたが、基礎的期間のものと比較してより少量のデンプン(1g/L)を培地中に含有する改質した食事を用いた。これは、高齢者に典型的な食事(低い栄養分を含有する食事)を最優先として、2つの製品の効果を正確に狙うことを可能にする。並行して、SHIMEの食事にプレバイオティクスを添加した(1日当たり2回分のブレンドに相当する)。
【0194】
結果
[00222]実験の全体にわたって多くの微生物パラメーターをモニタリングしており、例えば短鎖脂肪酸、アンモニウム、乳酸塩分析、ガス分析、腸のpH、及び試料採取が挙げられる。
【0195】
短鎖脂肪酸(「SCFA」)
[00223]SCFAは、主に腸内細菌による糖分解発酵の典型的な最終生成物であり、SCFAのプロファイルは主に酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩と、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、及びカプロン酸などの少量の他の酸とから成る。酢酸塩は腸から吸収することができ、宿主によってエネルギー基質として利用されるが、一方酪酸塩は腸上皮の主なエネルギー基質として働き、炎症及び結腸癌に対する保護効果が立証されている。プロピオン酸塩は最終的には酪酸塩と比較して同様の局所的活性を腸内で有するが、これは肝臓にも運ばれ、ここではコレステロールを低下させる良い効果及び血糖管理に対する効果を有することが分かった。そのため、酪酸塩及びプロピオン酸塩は酢酸塩と比較して宿主にとってより健康に有益であると考えられ、腸内の微生物発酵のプロファイルを酪酸塩及び/又はプロピオン酸塩産生の増加へ向けて調節することが有益であると考えられる。
【0196】
[00224]SCFAに関して、試料を3×/週ですべての結腸の区画から採取して、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、イソカプロン酸、及びカプロン酸の濃度を分析した。図3A〜Fにおいて、データをSCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の総産生量としてTWINSHIME実験の実験週ごとに示す。上記のように、プレバイオティクス特性を全SCFA産生量におけるプロピオン酸塩及び/又は酪酸塩の相対的な増加によって評価する。またデータを実験期間ごと及び結腸の区画ごとに表5及び6にもまとめる。
【0197】
[00225]酢酸塩(「A」)、プロピオン酸塩(「P」)、及び酪酸塩(「B」)は腸内細菌によって産生される主なSCFAであるので、データをA/P/B比として表してもよい。そのようにするために、各脂肪酸の産生量を3つの脂肪酸の濃度の合計に対するそれぞれの個々の脂肪酸の濃度の比として表す。この実験において、プロピオン酸塩及び/又は酪酸塩産生量の相対的増加によって測定される、治療のプレバイオティクスによる効果を、A/P/B比におけるP及び/又はBの増加並びにAの減少によって評価した。A/P/B比を実験週ごとに図4A〜Fに示す。
【0198】
[00226]上記で行った考察に基づき、両方の産生量はプレバイオティクス活性の明確な指標を与える。両治療はすべての結腸容器中の全SCFA濃度の増加を引き起こした。これは両製品がGIT中で十分に発酵したことを示す。さらに、両製品はより高いプロピオン酸塩及び酪酸塩の濃度を引き起こし、酢酸塩−酪酸塩−プロピオン酸塩の比をより健康的な組成に向けて動かすことができた。対照と治療との間でSCFA産生量の統計的な差を評価すると、明確な差は通常治療の第2週から初めて始まる。これはこの実験でも観察され、細菌が新しい栄養環境に適応する必要がある適応期間に関連する。これは治療(高い標準偏差)の第1週の間はSCFAプロファイルの緩やかな変化をもたらし、多くの場合治療の第1週のSCFA濃度の平均を対照期間のものと比較したときに、統計的な有意性に欠ける結果となる。繊維ブレンドに適応させると(治療期間の第2週から始まる)、明確な有意差がSCFAプロファイルにおいて観察された。
【0199】
[00227]図5A〜Eに、2つのSHIMEシステム間の比較を示し、元の及び適応させた繊維ブレンドのプレバイオティクス的潜在能力を比較することを可能にする。比較は実験の各週について別々に行った。各週の中で、各結腸区画の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度を一方向ANOVAによって比較し、個体の平均はチューキー検定を用いて比較した。
【0200】
[00228]2つのSHIME実施に基づき、結腸区画のいずれにおいても対照期間(「ctr」)中にSCFA産生量の統計的な差は見られず、2つの異なる治療の出発点は類似していることを示すことが分かった。2つの製品の効果について治療期間(「tr」)の第1週の間、統計的な有意差が認められなかったことも分かった。これは、腸内微生物叢がそれらの代謝を投与された試験化合物に適応させるための適応期間に関連すると考えられる。さらに、治療の第2週から始まって、統計的な差が現れた。これは両製品が特有のSCFA産生プロファイルをもたらす独特の発酵プロファイルを有していたことを示す。
【0201】
[00229]この短期間の実験は、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることによって、細菌発酵のプロファイルにおける差が引き起こされたことも実証している。第1に、ブレンド1の酪酸特異的(butyrogenic)効果はブレンド1+よりも高く、一方ブレンド1+は(必ずしも統計によって裏付けられないとしても)より高いプロピオン酸塩濃度を示した。第2に、これらの知見は、両ブレンドがSCFA産生の点で非常に好ましい効果を有していたが、特有の発酵プロファイルはブレンドの特有の組成に依存したことを示す。
【0202】
アンモニウム
[00230]アンモニウムの産生は主にタンパク質分解の結果であり、直接的及び非直接的な健康に有害な影響と関連するので、したがってアンモニウム産生の減少は有益であると考えられることになろう。この実験の間、試料をすべての結腸区画から週に3回採取した。実験の全過程にわたる異なる結腸領域におけるアンモニウム濃度の分析を図6A及び6Bに示す。明確に示されるように、両製品は治療期間中のアンモニウム産生の減少を引き起こした。
【0203】
[00231]さらに、SHIMEにおけるアンモニウム濃度は、治療期間の間、細菌の限られた基質利用性のマーカーとして見ることもできる。特定の細菌がデンプンをエネルギー源として利用できるのと同程度に効率的に投与された製品を利用できない場合、これらの細菌はよりタンパク質分解的な代謝にシフトすることがあり、アンモニウム濃度の増加を引き起こす。したがって観察されるアンモニウム濃度の減少は、両ブレンドの高い発酵性の証拠でもある。
【0204】
[00232]最終的に、2つのSHIMEの実施の間で統計的な差は見られず、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることはアンモニウム産生の減少に影響を与えなかったこと、及びブレンド1+も十分に発酵し、結腸中の糖分解発酵の増加をもたらしたことを示した。
【0205】
乳酸塩の分析
[00233]ヒトの腸管は、乳酸塩を産生する細菌及び乳酸塩を利用する細菌の両方を保有する。乳酸塩は乳酸菌によって産生され、抗菌剤としても作用する環境のpHを低下させる。これは他の微生物によって酢酸塩、酪酸塩、及びプロピオン酸塩へと急速に転化され得る。この短期間の研究のために、試料をすべての結腸区画から週に3回採取した。実験の全過程にわたる異なる結腸領域における乳酸塩濃度の分析を図7A及び7Bに示す。
【0206】
[00234]両ブレンドの投与は、上行結腸に残留する乳酸塩濃度を有意に増加させた。両方のSHIMEの実施の比較は、イヌリン及びFOSを部分的に置き換えると残留する乳酸塩濃度を減少させることを示す。これは上行結腸における、アカシアゴムと比較してより急速でより強いイヌリン及びFOSの発酵に関連すると思われる。SHIME1におけるより高い乳酸塩濃度は、より高い酪酸塩濃度とも一致しており、なぜなら乳酸塩は酪酸塩の重要な前駆体だからである。
【0207】
TWINSHIMEにおけるオンラインpHの違い
[00235]最適な環境条件を維持することを確実にするために、SHIMEシステムにおけるpHをpHコントローラによって以下の範囲で制御する:(i)5.6〜5.8(上行結腸、「AC」)、(ii)6.2〜6.4(横行結腸、「TC」)、及び(iii)6.6〜6.8(下行結腸、「DC」)。しかし、異なる反応器中で微生物群が安定化すると(植菌後2週間より始まる)、微生物群はそれ自身が自動調節し、酸−塩基の消費は通常は低い。しかし、治療の間に細菌が試験製品に適応し、例えば増加した量のSCFAを産生する場合、反応器中の環境は酸性化することがあり、これは塩基をそれぞれの反応器にさらに投与することによるさらなるpH制御をもたらす。これに関連して、実験中の酸性化の度合いを、プレバイオティクスブレンドの細菌代謝の強さの指標として使用できる。
【0208】
[00236]実験の全過程にわたる異なる結腸領域における酸及び塩基消費の分析を図8に示す。図8によって示されるように、両ブレンドの投与はシミュレートされた結腸反応器の酸性化を引き起こし、SCFA産生の増加及びより健康な腸の環境を示唆した。しかし、この酸性化はブレンド1については上行結腸に限られたが、ブレンド1+を投与するとシミュレートされた結腸全体にわたって酸性化が生じた。このことは、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることが、腸の発酵プロファイルを近位結腸での強い発酵から結腸全体でのより緩やかな発酵へと変化させることを示す。
【0209】
[00237]TC1及びDC1におけるpHプロファイルに関して、類似したpHプロファイルが得られることが予想された。観察された違いに対してすぐに思いつく説明はない。しかしこの差は2つの結腸区画の緩衝能の差に関連する可能性があることが考えられる。
【0210】
バッチ試験におけるガス産生及びpHの違い
[00238]全ガス産生量の評価は、この研究の2つのブレンドについての潜在的な耐容性の問題に関連する重要な側面である。しかし、オンラインの全ガス産生量測定は、連続的なガスの流入及び流出のために腸の連続的モデルでは難しい。そのため、全ガス産生量の評価及びCO2濃度変化の測定はバッチ式装備で行った。ガス分析に関して、シミュレートした結腸の条件下でさらなるバッチ試験を行って全ガス産生量及び気相組成の推量を測定した。
【0211】
[00239]典型的な短期のスクリーニングアッセイ(図9)は(i)胃(pH2、ペプシン)、(ii)小腸(膵臓酵素及び胆汁酸塩を添加)、及び(iii)大腸(代表的な細菌の種菌を基礎培地に含む)においてシミュレートした条件下での、代表的な用量の選択された化合物の逐次的インキュベーション(3段階)から成る。この細菌の種菌は、SHIMEシステムの上行結腸区画から得られた既に「インビトロに適応した」微生物群に由来する。
【0212】
[00240]胃腸管で食品の典型的な滞留時間が維持されるように、実験を計画した。サンプリングのスキームを図10に報告する。全ガス産生量及び組成の分析(図10で報告されたスキームに従う)を図11A及び11Bに示す。
【0213】
[00241]ガスの産生は典型的にはガウス分布のパターンに従う。そのようなパターンと矛盾することになる大きな飛躍が6〜24時間の間で起こったと考えられるとしても、これは単に6〜24時間の間に試料を採取できなかったという事実によるものである。投与した繊維の主な画分を6〜24時間発酵させると、ガス産生の大きいはっきりしたピークが24時間で観察された。両方のSHIMEモデルの比較は、2つの製品間の差が24時間後に統計的に有意でないとしても、ブレンド1+の発酵が元のブレンド1と比較してより少ないガス産生をもたらしたことを示す。
【0214】
[00242]CO2の産生(Babb,RR、「Intestinal Gas(Medical Information)」、West J.Med.127:362〜363頁(1977年)によれば、通常は腸内の全ガスの5〜30%)は、ブレンド1+がゆっくりと発酵することを裏付けた(発酵はやはり24〜48時間で起きる)。これは、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることが腸の発酵プロファイルをより緩やかな発酵へと変化させるという先の知見をさらに裏付ける。
【0215】
[00243]既に上述したように、実験の最後での酸性化の度合いは、潜在的可能性があるプレバイオティクスの細菌代謝の強さの指標である。したがってバッチインキュベーションにおける培地のpHを実験の最初及び最後で測定して、オンライン測定で得られたデータ(図12)を裏付けた。バッチ試験のΔpΗは、ブレンド1がブレンド1+よりも速く発酵することを再度裏付ける。
【0216】
微生物群組成の分析
[00244]試料を週に1回TWINSHIMEの各結腸区画から採取して、定量ポリメラーゼ連鎖反応(「qPCR」)によって管腔の微生物群組成における治療の効果を評価し、プレートカウントによって粘膜関連微生物群(mucosa−associated microbial community)を分析した。
【0217】
管腔の微生物群組成
[00245]qPCRを用いて全細菌、ビフィズス菌、ラクトバシラス菌、ファーミキューテス門、及びバクテロイデス門をモニタリングした。qPCRは、特定の細菌の配列(165 rRNA 遺伝子)を増幅させることに基づく分子技術であり、微生物の生態系におけるこれらの特定の配列の数を様々な時点で定量化することと組み合わせされている。この方法は細菌の培養能(の欠如)に依存しないので、この方法によって生じるデータは、プレバイオティクス的治療による微生物群における定量的な効果について、より信頼性のある概観を提供する。
【0218】
[00246]両ブレンドの投与は、すべての結腸区画におけるラクトバシラス菌の明らかな増加、並びに上行結腸及び横行結腸におけるビフィズス菌の有意な増加をもたらした。ブレンド1+は、下行結腸において小さいが有意であるビフィズス菌の増加も引き起こした。これに加えて、両ブレンドの投与は優性の細菌集団(全細菌及びファーミキューテス門)の数を増加させた。ブレンド1+は下行結腸におけるバクテロイデス門の増加も引き起こした。
【0219】
[00247]ファーミキューテス門及びバクテロイデス門は、腸内の2つの最も優性の細菌門である。バクテロイデス門は非常に重要な糖分解発酵性の細菌と考えられるが、なぜならバクテロイデス門によって成分化されるタンパク質の大部分は、多糖を分解しそれらの糖を代謝するところまで進むからである。このグループに属するいくつかの種もプロピオン酸塩の産生と関係している。したがってブレンド1+の投与による下行結腸でのバクテロイデス門の濃度増加はアカシアゴムのより緩やかな発酵をさらに裏付けるものであり、遠位結腸における糖分解発酵の増加をもたらす。
【0220】
[00248]ファーミキューテス門は、バクテロイデス門の代謝によって生成する代謝中間体を使用する。それらはラクトバシラス菌及びクロストリジウムを含む。特定のクロストリジウムは良く知られた病原体であるので、後者は多くの場合健康に好ましくないと考えられている。しかし、クロストリジウムの中には最も重要な酪酸塩の産生者のいくつかがあり、これは重要な健康のためになる化合物と考えられる細菌代謝産物である。
【0221】
[00249]図13A〜Bから図17A〜Bは、実験週ごとに各結腸区画で示される各細菌グループからのqPCRデータを示す。図Aはすべてブレンド1に関し、一方図Bはすべてブレンド1+に関する。
【0222】
[00250]異なる細菌グループに対する2つの製品の効果を比較するために、発明者らは治療によって引き起こされる異なる傾向を評価することを可能にする、長期的な統計手法を適用した。第2週又は第3週で節の位置が変わる(治療効果の遅れの程度によって決まる−図18A、18B、19A、19B及び20で赤い矢印によって示す)線形スプラインモデルを使用してデータをフィッティングさせ対照期間対治療期間について分析した。この手法は、段階的に様々な予測因子の複雑なモデルを構築しその後削除することに基づいている。それぞれのカイ二乗と比較した2つの式の最大尤度の値の差は、削除された予測因子が統計的有意性を有していたか否かに関する情報を提供する。図18〜20に、2つの製品の各結腸容器からのデータの比較を散布図で示す。AC1、TC1、及びDC1は常にブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照期間を表し、一方第3〜5週は治療期間を表す。各図の下で傾向の統計的解釈を論じる。
【0223】
[00251]図18A及び18Bによって示すように、両ブレンドはビフィズス菌特異性を示した。図18Aは、ブレンド1によって引き起こされたビフィズス菌の増加が統計的にブレンド1+よりも統計的に高いことを実証している。文献からFOS及びイヌリンの両方はヒト腸内のビフィズス菌濃度を高めることができることが知られているが、アカシアゴムによって部分的に置き換えるとやはりビフィズス菌を増加させ、この置き換えがそのプレバイオティクス活性に好ましくない影響を与えないことを裏付けた。さらに、図18Bに示すように、ブレンド1+はブレンド1と比較して上行結腸におけるより高いラクトバシラス菌の増加を引き起こした。
【0224】
[00252]図19A及び19Bは、全細菌のプロファイルに基づき、165rRNA遺伝子のコピー数の減少がブレンド1+について上行結腸で治療の第1週の間に観察できたことを例証する。この減少は主に同じ結腸区画における優性のファーミキューテス門及びバクテロイデス門の減少と相関する。これは、アカシアゴムがFOS及びイヌリンと比較してより選択的及び特異的に発酵すること、及び細菌がブレンド1+に適応するのにより長い時間を要するという事実によって説明できるであろう。統計的に、ブレンド1は横行結腸でのより高いファーミキューテス門濃度も引き起こした。
【0225】
[00253]図20に示すように、ブレンド1+で処理したSHIMEの上行結腸におけるバクテロイデス門の量は、既に上記で説明したように治療の第1週の間ブレンド1よりも統計的に低い。結腸の残りの部分では2つの製品によって生じる効果に差がない。
【0226】
粘膜関連微生物群
[00254]特異的な細菌−宿主の相互作用、及び所与の治療によるこのプロセスの修正は、今やプレバイオティクス繊維の健康効果を決定する最も重要な要因の1つと考えられている。ヒトの腸管は、例えば病原体の定着を防ぐことによって及び重要な栄養分を産生することによってヒトの健康維持に関与している、大きく複雑な微生物群を保有する。微生物は腸管全体に無作為に分布しておらず、腸壁に接着する微生物は、それらが粘膜の免疫反応を指示し、潜在的に有害な生着菌(病原体)を犠牲にして生態学的適所(niche)を占めるので、重要な役割を果たす。この相互作用は、影響の受けやすさ及び複雑さによる問題のためにインビボで研究するのが非常に難しいので、プレバイオティクスが健康を促進する細菌の腸壁への接着を強化する能力を有するかどうかを評価するために、ProDigest及びLabMET(UGent)は近年革新的なインビトロのツールボックスを開発した。このアッセイは、SHIME反応器から異なる時点で採取される試料を用いて特定の結腸領域から得られる腸の微生物群の付着を調査すること、及び付着した細菌群内の様々な細菌グループ(全嫌気性菌、クロストリジウム、ビフィズス菌、ラクトバシラス菌、及び糞便の腸菌群)を定量化することを含む。次いでデータを処理していわゆる接着関連プレバイオティクス指数(Adhesion Related Prebiotic Index(AR−PI))を次式:
【数1】
に従って計算する(Van den Abbeeleら、「In vitro model to study the modulation of the mucin−adhered bacterial community」、Appl.Microbiol.Biotechnol.(2009年)を参照のこと)。
【0227】
[00255]表7は、対照及び治療期間からの平均値を考慮に入れて計算したAR−PIを示す。
【表5】
【0228】
[00256]この特定の場合では、測定は1回の測定でありこれらの値は同じ式の中で比較したので、特定の統計を適用することはできない。指数の違い±1は生物学的に有意でないと考えられる。表7を考慮すると、ブレンド1(急速に発酵する)ではACでAR−PIにおける即時の効果があったが、最後の2つの結腸区画では効果がなかった。反対に、ブレンド1+はすべての結腸にわたって効果をもたらした。
【0229】
[00257]表8において、1週間の治療期間を対照期間の平均と比較することによって、治療の各週について別々にAR−PIを示す。それぞれの値において、調査された細菌グループで観察された差に関してAR−PIの変化を説明するためにさらなる情報も示す。
【表6】
【0230】
[00258]全般的な考察:式の中ではクロストリジウム菌種は陰性菌と考えられる。しかし上記で論じたように、クロストリジウムの中にはSCFA代謝に関与するいくつかの細菌がある。したがって、値が正であるか又は負であるかだけでなくどの細菌グループが強化されるかという点においてもAR−PIの値を解釈することが勧められる。
【0231】
[00259]表8に表される情報からいくつかの結論を引き出すことができる。第1に、ブレンド1は主に近位結腸で発酵し、上行結腸でAR−PIに対する効果を与えることが明らかである。第2週及び第3週の間、細菌は製品に適応し始める。また、横行結腸では細菌はブレンド1によって好ましい影響を受けるが、この効果を観察するには全治療期間を要する。ブレンド1は遠位結腸においていかなる変化も引き起こさなかった。ブレンド1+は恐らくよりバランスがとれておりより発酵性の低い処方物である。そのため、これはすべての結腸にわたって効果を与える。数値は常に負であり、これは主にクロストリジウムの増加及びそれと並行したビフィズス菌の減少と相関する。
【0232】
[00260]これらのすべての分析はプレートカウントを用いて特定のグループについて行った。発明者らは接着性試験の一部として管腔の内容物もプレートカウントによって分析したので、これらのデータも利用できる。したがって、分析の第2の成果は管腔のクロストリジウム及び大腸菌群の含量を定量化することでもある。これらのデータを表9に報告する。
【0233】
【表7】
【0234】
[00261]全体として、ブレンド1は治療の第1週の間にクロストリジウム及び大腸菌群の両方が近位結腸で増加することを引き起こした(ACでの大腸菌群を除く)が、治療期間の最後には値は対照期間のものと同等か又はそれよりも低い。下行結腸は影響を受けなかった(これはブレンド1が主に結腸の第1の部分で発酵するという事実に従う)。ブレンド1+は治療の最後で上行結腸におけるクロストリジウムを除いてクロストリジウム及び大腸菌群の全般的な減少を引き起こした。
【0235】
結論
[00262]両ブレンドは十分に発酵し、毒性のアンモニウム産生の減少をもたらした。すべての結腸の部分の酸性化及びより緩やかなガス産生によって示されるように、FOS及びイヌリンをAGによって部分的に置き換える(ブレンド1+)ことが、近位結腸での強い発酵から結腸全体での緩やかな発酵へと腸の発酵を変化させる。FOS及びイヌリンをAGによって置き換えることは、SCFA産生量の差を引き起こした。ブレンド1の酪酸特異的効果がより高かった。ブレンド1+はより高いプロピオン酸塩濃度を引き起こした。両ブレンドはビフィズス菌特異性を示した。FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることは、そのプレバイオティクス活性に好ましくない影響を与えない。さらに、ブレンド1+はブレンド1と比較して上行結腸でのより大きなラクトバシラス菌の増加を引き起こした。AGはFOS及びイヌリンと比較してより選択的及びより特異的に発酵する。
【0236】
[00263]科学文献によれば、FOS、OF、及びイヌリンを含むイヌリン型プレバイオティクスは上部消化管で酵素消化に耐え、その結果それらは結腸へ実質的に無傷で到達し細菌発酵を受ける。これらの製品はいくつかの報告によれば主にビフィズス菌特異的であるが、ラクトバシラス菌の成長も刺激され得る。それらが他の腸の生物に与える影響はより一貫性が低い。生理的な観点から、これらの食物繊維は広範囲の嫌気性細菌(主にビフィズス菌及びバクテロイデス門)によって近位結腸でかなりの程度まで発酵し、これは細菌バイオマスの増加、糞便の質量の増加、結腸内pHの変化、及びSCFAの産生(主に酢酸塩、酪酸塩、及びプロピオン酸塩)の産生をもたらす。一方でAGも、結腸の無傷で到達し、ビフィズス菌及びラクトバシラス菌の数の増加並びにより高いプロピオン酸塩産生量と主に相関する。
【0237】
微生物群活性
[00264]微生物群活性に関してこの短期間の研究のいくつかの結論を下記にまとめる。
【0238】
[00265]両製品は十分に発酵し、プレバイオティクス活性の明らかな指標となる。
【0239】
[00266]両ブレンドの投与はシミュレートした結腸反応器の酸性化を引き起こし、これはSCFA産生量の増加及びより健康な腸の環境を示唆する。
【0240】
[00267](i)ブレンド1+を投与した場合にすべての結腸区画で酸性化すること、これはバッチ試験でも裏付けられた、(ii)ブレンド1+を投与した場合(バッチ試験)にガス産生がより低くより緩やかであること、及び(iii)ブレンド1を投与すると上行結腸での乳酸塩濃度がより高いことから示されるように、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることが、腸の発酵プロファイルを近位結腸での強い発酵から結腸全体でのより緩やかな発酵へと変化させる。
【0241】
[00268]FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることが、細菌のSCFA産生量の差を引き起こした。ブレンド1の酪酸特異的効果はブレンド1+よりも高かったが、一方ブレンド1+はより高いプロピオン酸塩濃度を示した(必ずしも統計によって裏付けられていないが)。これは、両ブレンドはSCFA産生の点で非常に好ましい効果を有していたが(酪酸塩及びプロピオン酸塩は健康に有益と考えられる)、特異的な発酵プロファイルは特定のブレンドの組成に依存していたことを示す。
【0242】
[00269]2つの製品の良好な発酵並びにより高い糖分解代謝も、治療期間中のアンモニウム産生量の減少によって裏付けられ、製品間で統計的な差はない。
【0243】
微生物群組成
[00270]微生物群組成に関するこの短期間の研究のいくつかの結論を下記にまとめる。全細菌、ビフィズス菌、ラクトバシラス菌、ファーミキューテス門、及びバクテロイデス門をモニタリングするために、qPCRを培養に依存しない方法として使用した。
【0244】
[00271]両ブレンドはビフィズス菌特異性を示した。ブレンド1によって引き起こされるビフィズス菌の増加はブレンド1+よりも統計的に高いが、アカシアゴムによって部分的に置き換えるとやはりビフィズス菌を増加させ、この置き換えがそのプレバイオティクス活性に好ましくない影響を与えないことを裏付けた。さらに、ブレンド1+はブレンド1と比較して上行結腸でのラクトバシラス菌のより大きな増加を引き起こした。
【0245】
[00272]治療の第1週の間にブレンド1+について上行結腸での全細菌の減少が観察できた。この減少は主に、同じ結腸区画における優性のファーミキューテス門及びバクテロイデス門の減少と相関がある。これはアカシアゴムがFOS及びイヌリンと比較してより選択的及びより特異的に発酵すること、及び細菌がブレンド1+に適応するのにより長い時間を要するという事実によって説明することができた。
【0246】
[00273]さらに、両ブレンドによる長期の治療は、治療の最後にクロストリジウム及び大腸菌群の減少を引き起こした(ブレンド1+>ブレンド1)。
【0247】
粘膜関連微生物群
[00274]ブレンド1は主に近位結腸で発酵し、上行結腸でAR−PIにおける即時の効果を与える。第2週及び第3週の間、細菌は製品に適応し始める。横行結腸においても細菌は影響を受けたが、この効果を観察するのに全治療期間を要する。下行結腸では効果が見られなかった。したがって、ブレンド1+は恐らくよりバランスがとれておりより発酵が難しい処方物である。そのため、これはすべての結腸にわたって影響を与える。
【0248】
[00275]一般に、両ブレンドはプレバイオティクス活性を示すことが理解できる。健康に有益なSCFA、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の産生量の増加、腸の酸性化、並びにラクトバシラス菌及びビフィズス菌の両方の刺激によって示されるように、FOS及びイヌリンをAGによって部分的に置き換えることは、ブレンド1+の潜在能力を低下させなかった。対照的に、ブレンド1+はより緩やかに、シミュレートされた結腸の全体にわたって酸性化させた。
【0249】
[00276]本明細書に記載の本発明の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正は当業者に明らかであろうことが理解されるべきである。そのような変更及び修正は、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱せずに、かつその意図する利点を損なわずに行うことができる。したがってそのような変更及び修正が添付の特許請求の範囲によって網羅されることを意図する。
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は2009年11月12日に出願された米国特許出願第61/260,495号の優先権を主張し、その全体の内容は明示的に参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
[背景]
[0002]本開示は、腸内微生物叢バランス及び健康を促進するための食物繊維を含む栄養組成物、並びに腸内微生物叢バランス及び健康を改善する方法に関し、この方法は有効量のそのような組成物を投与することを含む。
【0003】
[0003]病原性細菌による感染が健康に害を及ぼす恐れがあることがよく知られている。これらの細菌の例としては、ウェルシュ菌(Clostridium perfringen)、クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)、サルモネラ菌(Salmonella)、及び他の腸病原体が挙げられる。
【0004】
[0004]従来、これらの有害な細菌による感染は、抗生物質によって治療する必要が生じるまで進行するままにされてきた。抗生物質は有害な細菌に対して優れた効果を有する。しかしそれらは、有害ではなく食物の消化を助け他のさらなる健康上の利益をもたらす腸内細菌の集団も殺すという問題を抱えている。これらの細菌集団は多くの場合「善玉」と呼ばれている。
【0005】
[0005]グラム陽性、非運動性で、多くの場合分岐した嫌気性細菌(ビフィズス菌(Bifidobacteria))は、腸内微生物叢を構成する細菌、結腸に存在する細菌の主要な属の一つである。ビフィズス菌は消化を助け、アレルギーの発生率の低下に関与し、ある種の腫瘍増殖も防ぐ。ビフィズス菌の他の健康上の利益としては、病原性細菌に対する防御の向上、免疫系の刺激、及び短鎖脂肪酸(「SCFA」)の産生に関連する健康上の利益、並びに腹部の過敏性の低下が挙げられる。
【0006】
[0006]プレバイオティクスは、腸内微生物叢の成長を選択的に刺激することによって宿主に有利な影響を与えることができる非消化性物質である。フラクトオリゴ糖(「FOS」)は、ビフィズス菌及び他の有益な腸内微生物叢の成長を促進する化合物であり、プレバイオティクスとして幅広く研究されている。FOSは、体内で単純な糖類(sugar)のようなふるまいをしない単純炭水化物の短鎖ポリマーである。FOSはチコリ、バナナ、ニンニク、及び特定の他の食品中に天然に存在し、技術的には可溶性繊維である。FOSは腸のプロバイオティクス、特にビフィズス菌の増殖を選択的に支援する。
【0007】
[0007]オリゴフルクトース(「OF」)は熱水を用いてチコリから抽出されるイヌリンから得られる。これによって以下を有する生成物を得る:
【0008】
[0008]約92%のイヌリン型フルクタン(β−2,1フルクトシル−フルクトースのグリコシド結合を有する分子);
[0009]2〜60(平均で10〜12)の範囲の重合度(「DP」);及び
[0010]約6〜10%の遊離糖類(フルクトース、グルコース、及びスクロース)。
【0009】
[0011]さらなる加工(部分的酵素加水分解又は分離操作)によってOF生成物を得ることができる。これは遊離糖類を除去することによって純度を上げることもできる。これらの生成物中のすべての結合はβ−2,1立体配置である。
【0010】
[0012]或いは、FOSはスクロース分子から出発して合成的に生成される。菌体酵素であるβ−フルクトシダーゼを使用してトランスフルクトシル化(transfructosylation)と呼ばれるプロセスにおいてβ−2,1結合によってフルクトース単位を加える。限られた数の他の結合もこのプロセスによって形成される。DPの範囲は通常2〜4であり、すべてグルコース残基から始まっている。
【0011】
[0013]イヌリン型フルクタン(「ITF」)という用語はβ−2,1フルクトシル−フルクトースのグリコシド結合を含有するあらゆる直鎖フルクタンを指す。
【0012】
[0014]生成物は様々なDP及びグルコースの比率を有する分子を含有し、一般に平均DP、最大DP、又はDPの範囲によって表される。
【0013】
[0015]一部のITFはグルコースを出発単位として有するが(「GFn型」)、他のものは有していない(「Fn型」)。
【0014】
[0016]ITFは文献において一様には分類されていないが、なぜなら公式の基準がないためである。しかしそれらはDPによって分類できる:
【0015】
[0017]長鎖=≧10DP;及び
[0018]短鎖=<10DP。
【0016】
[0019]ITFの命名は文献において一致していない。一部ではOF及びFOSは同義と考えられており、DPmax<10であるITFとして定義されている。他の文献では、スクロースから合成され、GFn化学構造及び酵素によって結合したフルクトース単位を有する短鎖ITF(DP<10)を表すのにFOSを使用している。OFは、イヌリンの加水分解によって生じ、GFn又はFn構造のいずれかを有していてもよい短鎖分子を表す。
【0017】
[0020]Nestle SAより入手可能なPREBIO1(商標)添加剤は、可溶性繊維FOS及びイヌリンの独自のプレバイオティクスブレンドであり、結腸全体の健康、特に近位及び遠位結腸の健康を支援し、結腸の完全性の維持を助け、健康な腸内微生物叢を促進するように設計されている。PREBIO1(商標)添加剤を含有する処方物は、慢性下痢/栄養不良、初期の経腸栄養、TPNからの移行、短腸症候群、慢性膵炎、癌治療に関連する吸収不良、HIV/AIDS、胃排出遅延、及び嚢胞性線維症などの胃腸(「GI」)不全のある患者に対する栄養支援を実現することもできる。
【0018】
[0021]本開示は、PREBIO1(商標)添加剤と比較して耐容量が改善されプレバイオティクス的有益性が向上した組成物を提供し、その結果組成物が投与される個体の腸内微生物叢バランス及び健康を促進する新しい組成物を提供することによって、栄養支援産業の必要性を満たす。
【0019】
[概要]
[0022]本開示はここで、新規栄養組成物を提供し、これは同組成物を必要とする個体に投与した場合に栄養を供給するのに十分な相対量でFOS、多糖、及びイヌリンの組み合わせを含む。この組成物は個体が必要とする栄養の補給を行い、経口投与されてもよい。経管栄養を必要とする患者における腸内投与も可能である。
【0020】
[0023]組成物は一般にFOSを約38重量%〜約44重量%の量で含む。多糖は典型的にはゴムなどのアラビノガラクタン、一実施形態においてはアカシアゴム(「AG」)であり、約38重量%〜約44重量%の量で存在する。イヌリンは約12重量%〜約24重量%の量で存在する。AGは、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸単位を含む、高度に分岐した高分子量の分子である。これは他の可溶性繊維と比較してゆっくりと発酵し、SCFAの生成を増加させ、したがって遠位結腸に利益をもたらし得る。Cherbutら、「Acacia Gum is a Bifidogenic Dietary Fibre with High Digestive Tolerance in Healthy Humans」、Microbial Ecology in Health and Disease、15(1):43〜50頁(2003年)を参照のこと。AGの胃腸における耐容量は非常に高く、70g/日まで大きな副作用を生じない。Idを参照のこと。低用量のAG(3g/日)は、3g/日のFOSと組み合わせると、プレバイオティクス作用がありビフィズス菌の成長を助けることが分かっている。Rochatら、「Method of Treating Irritable Bowel Syndrome」、米国特許第7,141,554号を参照のこと。動物試験はAGに下痢の症状を改善する能力があることを示唆し、臨床試験は腸機能の正常化に対する効果を示している。Wapnirら、「Gum Arabic Promotes Rat Jejunal Sodium and Water Absorption from Oral Rehydration Solutions in Two Models of Diarrhea」、Gastroenterology、112(6):1979〜1985頁(1997年)を参照のこと。Blissら、「Supplementation with Gum Arabic Fiber Increases Fecal Ntrogen Excretion and Lowers Serum Urea Nitrogen Concentrationin Chronic Renal Failure Patients Consuming a Low−protein Diet」、Am.J.Clin.Nutr.、63(3):392〜398頁(1996年)も参照のこと。Cherbutらの文献も参照のこと。さらに、食事に5gのAGを加えると血糖反応を低下させることが分かっており、25g/日の長期摂取は脂質を低下させる効果がある。Rossら、「A Study of the Effects of Dietary Gum Arabic in Humans」、Am.J.Clin.Nutr.、37(3):368〜375(1983年)を参照のこと。
【0021】
[0024]一実施形態において、本開示の栄養組成物は、それぞれ約40重量%〜約42重量%の量で存在するFOS及びアラビノガラクタン、並びに約16重量%〜約20重量%の量で存在するイヌリンを含む。
【0022】
[0025]一実施形態において、本開示の栄養組成物は、それぞれ約41重量%の量で存在するFOS及びアラビノガラクタン、並びに約18重量%の量で存在するイヌリンを含む。
【0023】
[0026]FOS及びアラビノガラクタンが約44:38〜約35:50、又は約42:40〜約40:42、又は約1:1の重量比で存在するのが有利である。また、FOS及びイヌリンが約38:24〜約44:12、又は約40:20〜約42:16、又は約7:3の重量比で存在するのが有利である。
【0024】
[0027]本開示の栄養組成物の一実施形態において、FOSは1.5〜5.5g/L、又は約4.12g/Lの量で存在し、アラビノガラクタン(例えばAGなど)は1.5〜5.5g/L、又は約4.12g/Lの量で存在し、イヌリンは0.5〜2.5g/L、又は約1.76g/Lの量で存在する。この組成物は部分加水分解グアーガム(「PHGG」)を10g/Lまでの量でさらに含む。例えば、PHGGは約2g/L〜約9g/Lの量で供給されてもよい。一実施形態において、PHGGは7g/Lの量で存在してもよい。別の実施形態において、PHGGは2.6g/Lの量で存在してよい。別の実施形態において、PHGGは5g/Lの量で存在する。
【0025】
[0028]化学的観点から言えばグアーガムは多糖であり、PHGGは少なくとも一部はやはり多糖と言えるであろうが、本発明の特許請求の範囲に記載の栄養組成物に含まれる「多糖」はPHGGを含まないことに注目すべきである。代わりに、PHGGを多糖の他に加えてもよいので、例えば38〜50%の多糖を得るためにはAG及びPHGGは一緒には添加されない。代わりに、PHGGを38〜50%の多糖の他に栄養組成物に加えてもよい。
【0026】
[0029]さらに別の実施形態において、本開示の栄養組成物は、ダイズ繊維、エンドウ外皮繊維(outer pea fiber)、又はその両方などの、少なくとも1つの不溶性繊維をさらに含む。一実施形態において、少なくとも1つの不溶性繊維はダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維の組み合わせである。組成物の可溶性繊維(すなわちFOS、AGなどのアラビノガラクタン、及びイヌリン)と不溶性繊維との比は1.5:1〜1:1.5、又は1.25:1〜1:1.25、又は約1:1である。一実施形態において、FOS及びAGはそれぞれ2.5〜3.5g/Lの量で存在し、イヌリンは1.25〜1.75g/Lの量で存在し、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維はそれぞれ3.25〜4.25g/Lの量で存在する。さらに別の実施形態において、FOS及びAGは約3g/Lの量で存在し、イヌリンは約1.5g/Lの量で存在し、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維はそれぞれ約3.75g/Lの量で存在する。
【0027】
[0030]本開示の別の実施形態は、本明細書に記載の栄養組成物の1つを含む乾燥粉末状処方物に関する。これらの粉末状組成物は、本明細書で開示される栄養組成物の1つを液体として調製すること、及びその後この液体を噴霧乾燥、凍結乾燥、又は他の乾燥法によって乾燥させることを含む方法によって作ることができる。さらなる栄養成分又は組成物を液体に乾燥前に加えて粉末状組成物に栄養面の利点の強化をもたらすことも意図される。
【0028】
[0031]本開示は、様々な個体に栄養を供給するように意図されているいくつかの異なる治療法にも関する。一般にこの治療法は、有効量の本開示の栄養組成物をそのような治療を必要とする個体に投与することによって、腸内微生物叢バランス及び健康を促進する。
【0029】
[0032]別の方法は、胃腸系障害を引き起こす様々な医療に対する患者の耐性の向上に関し、そのような治療としては、放射線治療、化学療法、胃腸手術、麻酔、或いは抗生物質又は鎮痛薬の投与、或いは下痢の治療が挙げられる。この方法は、そのような患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0030】
[0033]別の方法は、より良好な追いつき成長(catch−up growth)など、全身的な利益を入院中の子供にもたらすことに関する。この方法は、そのような子供に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0031】
[0034]さらに別の方法は、患者の入院期間の短縮に関する。この方法は、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを高齢の患者などの入院患者に投与して、そのような処方物のより高い耐容性によってそのような患者が許容可能な栄養レベル及び摂食目標を実現し、そのようにして摂食のコンプライアンスを向上させ、次いでこれにより、患者の病状を改善して入院期間を短縮できるようにすることを含む。
【0032】
[0035]さらなる方法は、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを高齢の個体に投与して、クロストリジウム(Clostridium)を減少させビフィズス菌(Bifidobacteria)を増加させながら、そのような個体が加齢にかかわらず健康的な微生物叢レベルをより長く維持できるようにすることによって、高齢の個体において加齢のために腸内微生物叢が負の進化をするのを最小限にする治療を含む。
【0033】
[0036]本開示はまた、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを患者に投与してAGを含有しない処方物と比較して酪酸塩の産生を増加させることによって、結腸における細胞増殖及び分化をもたらし、結腸のpHを低下させて病原性細菌の成長を阻害して患者の腸バリアの保護を助ける抗炎症性の利点をもたらす、患者の結腸における酪酸塩の産生を増加させる方法も提供する。
【0034】
[0037]さらに別の方法は、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与してクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)を減少させ一方でT細胞機能、腸管関連リンパ組織(「GALT」)、及び分泌型IgA(「sIgA」)を強化して個体が病気に抵抗する能力を高めることによって、個体の免疫機能を強化することに関する。
【0035】
[0038]移植を受けた個体に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与して、独特の免疫反応の下方制御と除脂肪体重の減少を引き起こす炎症性サイトカインの調節とをもたらしGLP−1及びGLP−2がインスリン放出の増加を引き起こすような特定のコロニー形成を与えることによって、臓器移植耐性を改善する方法も提供される。GLP−1はインスリン分泌性であるが、GLP−2は腸における栄養作用を有する。例えば、腸の腺窩細胞増殖及び絨毛高の向上(Martin GRら、「Nutrient−stimulated GLP−2 release and crypt cell proliferation in experimental short bowel syndrome」、Am.J.Physiol.、Gastrointest.、Liver Physiol.、G431〜G438頁(2005年)を参照のこと)、及びヘルパーT細胞(TH)1及びTH2の間の応答の不均衡の減少である(Zhao Yら、「Th1 and Th2 cytokines in organ transplantation:paradigm lost?」、Crit Rev Immunol.、1999年;19(2):155〜72頁を参照のこと)。
【0036】
[0039]さらに別の方法は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び栄養分の吸収を増加させることによって、同組成物を必要とする患者の骨成長を向上させること又は骨分解を防ぐことに関する。この方法は、患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与して、骨の構造、成長、及び機能の改善を助けるためにビタミンD、亜鉛、又はカルシウムなどの栄養分の吸収を増加させることを含む。
【0037】
[0040]本開示の別の方法は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び他の栄養分の吸収を増加させることによって、患者の筋肉量を高めることに関する。この方法は、(限定はされないが)ビタミンD、葉酸塩、B12、マグネシウム、又はカルシウムなどのビタミン及びミネラルの吸収を個体において特に増加させて、全般的な健康、筋骨格の健康、運動性及び認知性の健康の改善を助ける、筋肉量の欠乏を防ぐ、又は筋肉量の回復を改善するために、そのような筋肉量の増強及び吸収の増加を望む個体に、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0038】
[0041]本開示は、個体の代謝を改善する方法にも関する。この方法は、微量栄養素の吸収を高め、そのような微量栄養素のバイオアベイラビリティーを改善するために、そのような代謝の改善を望む個体に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0039】
[0042]本開示はまた、個体がより良い朝の始まりを迎えられる、過食を避けられる、カロリー摂取量を減らすことができる、又は組成物の投与後に持続したエネルギーを提供することができるように、より高い満腹感又は飽満感を提供する方法にも関する。
【0040】
[0043]本開示の別の方法は、糖尿病の治療をそのような治療を必要とする患者に行うことに関する。この方法は、インスリン抵抗性を低下させる、血糖可動域を小さくする、又はCVDのリスクを低くする、及び腎不全を患う患者の高窒素血症を低減するために、そのような患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0041】
[0044]本開示はまた、例えばAGを含めたゴムなどの多糖を、個体に投与して栄養を供給するためのFOS及びイヌリンを含む栄養組成物において使用することにも関する。多糖は、個体に投与された場合にそのような栄養組成物のより高い耐容量を実現するのに有効な量で存在していてもよく、多糖、FOS、及びイヌリンは本明細書で開示される量で存在する。
【0042】
[0045]本開示の別の態様は、例えばアカシアゴムを含めたゴムなどの多糖を、個体の腸内微生物叢バランス及び健康を促進するための栄養組成物の調製に使用することである。栄養組成物はまた、FOS及びイヌリンを本明細書で開示される量で含んでいてもよい。
【0043】
[0046]さらなる特徴及び利点は本明細書に記載され、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】[0047] 機械的人工呼吸、及びブレンド1+(プロバイオティクスNCC2461/NCC3001+プレバイオティクス(PREBIO1(商標)+AG)+DHAを含む)又はブレンド1(プロバイオティクス及びプレバイオティクス又はDHAを添加していない)を含有する経腸栄養を受けている、小児集中治療室(「PICU」)に入院中の子供における、目標カロリー摂取量に達する時間を示す図である。
【図2】[0048] ヒト腸管の様々な領域をシミュレートする5個の連続的な反応器を含む、ヒト腸内微生物生態系のシミュレータ(「SHIME」)の標準的な配置を示す図である。
【図3A】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3B】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3C】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3D】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3E】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図3F】[0049] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度のグラフを示す図である。
【図4A】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4B】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4C】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4D】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4E】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図4F】[0050] ブレンド1(数字「1」で示される)及びブレンド1+(数字「2」で示される)を用いて行った実験から得られる、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のA/P/B比の棒グラフを示す図である。
【図5A】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図5B】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図5C】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図5D】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図5E】[0051] SHIME実験の様々な結腸の容器中の産生に対する、ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)の効果のデータを示す図である。データは実験週ごとに示されている。結腸の区画間のACFA濃度の差を一方向分散分析(ANOVA)によって評価し、チューキー検定(Tukey's Test)を用いて個体の平均を比較した。
【図6A】[0052] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のアンモニウム濃度(mg NH4+/L)の棒グラフを示す図である。データは実験期間ごとに示されている。アンモニウム産生の有意差(CTRL(対照)対TREAT(処置))をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*、p<0.01については**で示している。
【図6B】[0052] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中のアンモニウム濃度(mg NH4+/L)の棒グラフを示す図である。データは実験期間ごとに示されている。アンモニウム産生の有意差(CTRL(対照)対TREAT(処置))をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*、p<0.01については**で示している。
【図7A】[0053] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の乳酸塩濃度の棒グラフを示す図である。データは実験期間ごとに示されている。乳酸塩産生の有意差(CTRL対TREAT)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図7B】[0053] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の乳酸塩濃度の棒グラフを示す図である。データは実験期間ごとに示されている。乳酸塩産生の有意差(CTRL対TREAT)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図8A】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8B】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8C】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8D】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8E】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図8F】[0054] ブレンド1(「SHIME1」と表す)及びブレンド1+(「SHIME2」と表す)を用いて行った実験における、上行結腸、横行結腸、及び下行結腸中の酸−塩基の消費を示す図である。データは実験期間ごとに示されている。
【図9】[0055] 胃、小腸、及び上行結腸をシミュレートした条件下における、代表的な用量の選択された化合物の逐次的インキュベーションから成る短期のスクリーニングアッセイを示す図である。
【図10】[0056] pH及びガス測定用のバッチ試験サンプリングのスキームを示す図である。
【図11A】[0057] バッチ試験における全ガス及びCO2産生の変化を示す図である。ブレンド1を「A」として示し、ブレンド1+を「B」として示す。有意差(前のサンプリングの時点と比較した)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図11B】[0057] バッチ試験における全ガス及びCO2産生の変化を示す図である。ブレンド1を「A」として示し、ブレンド1+を「B」として示す。有意差(前のサンプリングの時点と比較した)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図12】[0058] 0時間及び48時間の時点での値を比較した、バッチ試験のpHの変化を示す図である。ブレンド1を「A」として示し、ブレンド1+を「B」として示す。有意差(他の生成物と比較した)をスチューデントの両側T検定によって評価しており、p<0.05については*で示している。
【図13A】[0059] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全細菌のqPCRデータを示す図である。図13Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図13Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図13B】[0059] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全細菌のqPCRデータを示す図である。図13Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図13Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図14A】[0060] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全バクテロイデス門(Bacteriodetes)のqPCRデータを示す図である。図14Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図14Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図14B】[0060] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全バクテロイデス門(Bacteriodetes)のqPCRデータを示す図である。図14Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図14Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図15A】[0061] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ファーミキューテス門(Firmicutes)のqPCRデータを示す図である。図15Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図15Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図15B】[0061] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ファーミキューテス門(Firmicutes)のqPCRデータを示す図である。図15Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図15Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図16A】[0062] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ラクトバシラス菌(Lactobacilli)のqPCRデータを示す図である。図16Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図16Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図16B】[0062] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ラクトバシラス菌(Lactobacilli)のqPCRデータを示す図である。図16Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図16Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図17A】[0063] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ビフィズス菌のqPCRデータを示す図である。図17Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図17Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図17B】[0063] それぞれの結腸の区画において実験週ごとに示した全ビフィズス菌のqPCRデータを示す図である。図17Aはブレンド1を用いた実験からのデータを表し、図17Bはブレンド1+を用いた実験からのデータを表す。*によって示しているところは、T検定による対照の平均との差が統計的に有意である(p<0.05)。
【図18A】[0064] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。
【図18B】[0064] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。
【図19A】[0065] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。
【図19B】[0065] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。
【図20】[0066] 2つの製品についてそれぞれの結腸の容器のデータを比較したものを散布図で示す図である。AC1、TC1、及びDC1はブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照の期間であり、第3〜5週は治療の期間であった。赤い矢印は各グループについてスプラインモデルの節の位置を示す。[詳細な説明]定義
【0045】
[0067]本開示及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「アミノ酸(単数形)」が指すものには2種又はそれを超えるアミノ酸の混合物などが含まれる。
【0046】
[0068]本明細書で使用する「約」は、様々な数値の数を指すと理解される。さらに、本明細書におけるあらゆる数値範囲は範囲内のあらゆる整数、又は分数を含むと理解するべきである。
【0047】
[0069]本明細書で使用する用語「アミノ酸」は、1つ又は複数のアミノ酸を含むと理解される。アミノ酸は、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0048】
[0070]本明細書で使用する「動物」としては、限定はされないが哺乳類が挙げられ、哺乳類としては、限定はされないが、げっ歯類、水生哺乳類、犬又は猫などの家庭用動物、羊、豚、牛、及び馬などの家畜、並びにヒトが挙げられる。用語「動物」又は「哺乳類」又はそれらの複数形を用いる場合、その一節の文脈によって、効果が現れること又は効果が現れることを意図することが可能である任意の動物にも適用されることを意図する。
【0049】
[0071]本明細書で使用する用語「抗酸化剤」は、酸化を阻害する又は活性酸素種(「ROS」)及び他のラジカル種及び非ラジカル種によって促進される反応を阻害する様々な物質、例えばベータカロテン(ビタミンA前駆体)、ビタミンC、ビタミンE、及びセレン)などのうち任意の1つ又は複数を含むと理解される。さらに、抗酸化剤は、他の分子の酸化を遅くする又は防ぐことができる分子である。抗酸化剤の非限定的な例としては、カロテノイド、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、フラボノイド、グルタチオン・ゴジ(クコ)、ヘスペリジン、ラクトウルフベリー(lactowolfberry)、リグナン、ルテイン、リコピン、ポリフェノール、セレン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ゼアキサンチン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
[0072]本明細書で使用する「完全栄養物」は、それを投与される動物にとって唯一の栄養源であるのに十分であるような、十分な種類及び量の主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)及び微量栄養素を含有する栄養製品を意味する。
【0051】
[0073]本明細書で使用する「有効量」は、欠乏症を防ぐ、個体の病気若しくは病状を治療する、又はより一般的には、症状を軽減する、病気の進行を管理する、又は栄養的、生理的、若しくは医学的な利益を個体にもたらす量である。治療は患者本位又は医者本位であってもよい。
【0052】
[0074]本明細書で使用する「不完全栄養物」は、それを投与される動物にとって唯一の栄養源であるのに十分であるような、十分な量の主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)又は微量栄養素を含有しない栄養製品である。
【0053】
[0075]用語「個体」及び「患者」は、本明細書において多くの場合ヒトを指すのに用いられるが、本発明はそのように限定されない。したがって、用語「個体」及び「患者」は、治療が有益である可能性がある病状を有する、又はそのような病状の危険性がある、任意の動物、哺乳類、又はヒトを指す。
【0054】
[0076]本明細書で使用する、魚油の非限定的な例としては、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)及びエイコサペンタエン酸(「EPA」)が挙げられる。DHA及びEPAは非魚油源(例えば藻類、改質植物など)に由来して存在するものでもよい。
【0055】
[0077]本明細書で使用する「食品グレード微生物」は、食品中で使用され、食品中での使用において安全であると一般に見なされている微生物を意味する。
【0056】
[0078]本明細書で使用する「長期投与」は、6週間を超える継続的な投与である。
【0057】
[0079]本明細書で使用する「哺乳類」としては、限定はされないが、げっ歯類、水生哺乳類、犬又は猫などの家庭用動物、羊、豚、牛、及び馬などの家畜、並びにヒトが挙げられる。用語「哺乳類」を用いる場合、哺乳類によって、効果が現れること又は効果が現れることを意図することが可能である他の動物にも適用されることを意図する。
【0058】
[0080]用語「微生物」は、細菌、酵母、及び/又は菌類、微生物を含む細胞増殖培地、又は微生物が培養された細胞増殖培地を含むことを意味する。
【0059】
[0081]本明細書で使用する用語「ミネラル」は、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、又はそれらの組み合わせを含むと理解される。
【0060】
[0082]本明細書で使用する「栄養組成物」は、従来の食品添加剤、例えば1つ又は複数の、酸味料、さらなる増粘剤、pH調整用の緩衝剤又は試薬、キレート化剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、香味料、ミネラル、浸透圧剤、薬学的に許容可能な担体、保存料、安定化剤、糖、甘味料、テクスチャー付与剤(texturizer)、及び/又はビタミンを含めた、任意選択の追加成分を任意の数だけ含むと理解される。任意選択の成分は、任意の適切な量で加えることができる。
【0061】
[0083]本明細書で使用する用語「患者」は、本明細書で定義される場合、治療を受けている、又は治療を受けようとしている動物、特に哺乳類、とりわけヒトを含むと理解される。
【0062】
[0084]本明細書で使用する「植物化学物質」又は「植物栄養素」は、多くの食品中に見られる非栄養化合物である。植物化学物質は、基礎的な栄養を上回る健康上の利益を有する機能性食品であり、植物源に由来する健康増進化合物である。本明細書で使用する「植物化学物質」及び「植物栄養素」は、1つ又は複数の健康上の利益を使用者に与える植物によって産生される任意の化学物質を指す。植物化学物質は、局所投与、経腸投与、及び/又は非経口投与を含めた任意の手段によって投与できる。本明細書で使用する植物化学物質及び植物栄養素の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。i)フェノール系化合物、これにはモノフェノール(アピオール(Apiole)、カルノソール、カルバクロール、ジラピオール(Dillapiole)、ローズマリノール(Rosemarinol)など);フラボノール(ケルセチン、ジンゲロール(Gingerol)、ケンフェロール、ミリセチン、ルチン、イソラムネチンなど)、フラバノン(ヘスペリジン、ナリンゲニン、シリビン、エリオジクチオールなど)、フラボン(アピゲニン、タンゲリチン(Tangeritin)、ルテオリンなど)、フラバン−3−オール(カテキン、(+)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−エピガロカテキンガラート(EGCG)、(−)−エピカテキン3−ガラート、テアフラビン、テアフラビン−3−ガラート、テアフラビン−3'−ガラート、テアフラビン−3,3'−ジガラート、テアルビジンなど)、アントシアニン(フラボナール(flavonal))及びアントシアニジン(ペラルゴニジン、ペオニジン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペチュニジンなど)、イソフラボン(植物エストロゲン)(ダイゼイン(ホルモノネチン)、ゲニステイン(ビオカニンA)、グリシテインなど)、ジヒドロフラボノール、カルコン、クメスタン(植物エストロゲン)、並びにクメストロールを含めたフラボノイド(ポリフェノール);フェノール酸(エラグ酸、没食子酸、タンニン酸、バニリン、クルクミンなど);ヒドロキシ桂皮酸(コーヒー酸、クロロゲン酸、桂皮酸、フェルラ酸、クマリンなど);リグナン(植物エストロゲン)、シリマリン、アマニリグナン(Secoisolariciresinol)、ピノレジノール、及びラリシレシノール;チロソールエステル(チロソール、ヒドロキシチロソール、オレオカンタール、オレウロペインなど);スチルベノイド(レスベラトロール、プテロスチルベン、ピセタノールなど)、及びプニカラジンが含まれる;ii)テルペン(イソプレノイド)、これにはカロテン(α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、δ−カロテン、リコピン、ノイロスポレン、フィトフルエン、フィトエンなど)、及びキサントフィル(カンタキサンチン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、ルビキサンチンなど)を含めたカロテノイド(テトラテルペノイド);モノテルペン(リモネン、ペリリルアルコールなど);サポニン;植物ステロール(カンペステロール、ベータシトステロール、ガンマシトステロール、スチグマステロールなど)、トコフェロール(ビタミンE)、並びにオメガ−3、6、及び9脂肪酸(ガンマリノレン酸など)を含めた脂質;トリテルペノイド(オレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸、モロン酸など)が含まれる;iii)ベタレイン、これにはベタシアニン(ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、ネオベタニンなど);及びベタキサンチン(非グリコシド型)(インディカキサンチン、及びブルガキサンチンなど)が含まれる;iv)オルガノスルフィド、これにはジチオールチオン(イソチオシアン酸)(スルホラファンなど);及びチオスルホナート(ネギ属化合物)(アリルメチルトリスルフィド、及び硫化ジアリルなど)が含まれる、インドール、グルコシノラート、これにはインドール−3−カルビノール、;スルホラファン;3,3'−ジインドリルメタン;シニグリン;アリシン;アリイン;イソチオシアン酸アリル;ピペリン;Syn−プロパンチアール−S−オキシドが含まれる;v)タンパク質阻害剤、これにはプロテアーゼ阻害剤が含まれる;vi)他の有機酸、これにはシュウ酸、フィチン酸(イノシトール六リン酸);酒石酸;及びアナカルジン酸が含まれる;又はそれらの組み合わせ。
【0063】
[0085]本明細書で使用する「プレバイオティクス」は、有益な細菌の成長を選択的に促進する、又は腸管の病原性細菌の成長若しくは粘膜への接着を阻害する、食品物質である。それらは胃及び/又は上部腸管において不活性化されない、又はそれらを摂取するヒトの胃腸管で吸収されるが、それらは消化管ミクロフローラによって及び/又はプロバイオティクスによって発酵する。プレバイオティクスは、例えばGlenn R.Gibson及びMarcel B.Roberfroid、Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics、J.Nutr.1995年 125:1401〜1412頁によって定義されている。プレバイオティクスの非限定的な例としては、アカシアゴム、アルファグルカン、アラビノガラクタン、ベータグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーガム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトネオテトラオース、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、乳オリゴ糖、部分加水分解グアーガム、ペクチンオリゴ糖、難消化性デンプン、老化デンプン、シアロオリゴ糖、シアリルラクトース、大豆オリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、又はそれらの加水分解物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
[0086]本明細書で使用するプロバイオティクス微生物(以下「プロバイオティクス」とする)は、適切な量で投与されると宿主に健康上の利益を与え得る、より詳細には、宿主の腸の微生物バランスを改善し、宿主の健康又は福祉に効果をもたらすことによって宿主に好影響を与える、食品グレードの微生物(半生存を含めて生存している、又は弱体化させた、及び/又は非複製性の)、代謝物、微生物細胞調製物、又は微生物細胞の成分である。Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.ら「Probiotics:how should they be defined?」、Trends Food Sci.Technol.、1999年:10、107〜10頁を参照のこと。一般に、これらの微生物は、腸管の病原性細菌の成長及び/若しくは代謝を阻害する、又はそれらに影響を与えると考えられている。プロバイオティクスは宿主の免疫機能を活性化させることもできる。この理由のために、プロバイオティクスを食品に取り入れるのに多くの異なる方法がある。プロバイオティクスの非限定的な例としては、アエロコッカス属(Aerococcus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、バシラス属(Bacillus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィズス菌(Bifidobacterium)、カンジダ属(Candida)、クロストリジウム、デバロマイセス属(Debaromyces)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、メリソコッカス属(Melissococcus)、ミクロッコッカス属(Micrococcus)、ケカビ属(Mucor)、オエノコッカス属(Oenococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、アオカビ属(Penicillium)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostrepococcus)、ピキア属(Pichia)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、シュードカテヌラツム属(Pseudocatenulatum)、クモノスカビ属(Rhizopus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、トルロプシス属(Torulopsis)、ワイセラ属(Weissella)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
[0087]本明細書で使用する用語「タンパク質」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、又は「ポリペプチド」は、1つのアミノ酸(モノマー)、ペプチド結合によって互いに結合された2つ若しくはそれを超えるアミノ酸(ジペプチド、トリペプチド、又はポリペプチド)、コラーゲン、それらの前駆体、同族体、類似物、模倣物、塩、プロドラッグ、代謝物、又はフラグメント、又はそれらの組み合わせを含む任意の組成物を指すと理解される。分かりやすくするため、別段の指定がない限り上記のいずれの用語の使用も交換可能である。ポリペプチド(又はペプチド、又はタンパク質、又はオリゴペプチド)は多くの場合、一般に20種の天然のアミノ酸と呼ばれる20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含有し、末端のアミノ酸を含めた多くのアミノ酸は、グリコシル化及び他の翻訳後修飾などの天然のプロセスによって、又は当技術分野で周知である化学修飾法によって、所与のポリペプチドにおいて修飾されてもよいことが理解されるであろう。本発明のポリペプチドにおいて存在してもよい既知の修飾の中で、限定はされないが、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラバノイド又はヘム部分の共有結合、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、糖化、グリコシル化、グリコシルホスファチジルイノシトール(「GPI」)膜アンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、転移RNAにより媒介されるアミノ酸のポリペプチドへの付加、例えばアルギニル化(arginylation)など、及びユビキチン化が挙げられる。用語「タンパク質」は、ペプチドの交互の繰り返しから成る直鎖又は非直鎖ポリペプチドを指す、「人工タンパク質」も含む。
【0066】
[0088]タンパク質の非限定的な例としては、乳製品ベースのタンパク質、植物系タンパク質、動物系タンパク質、及び人工タンパク質が挙げられる。乳製品ベースのタンパク質としては、例えば、カゼイン、カゼイン塩(例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウムカゼイン塩を含めたあらゆる形態)、カゼイン加水分解物、乳清(例えば、濃縮物、単離物、脱塩物を含めたあらゆる形態)、乳清加水分解物、乳タンパク質濃縮物、及び乳タンパク質単離物が挙げられる。植物系タンパク質としては、例えば、大豆タンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含めたあらゆる形態)、エンドウタンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含めたあらゆる形態)、キャノーラタンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含めたあらゆる形態)、他の植物タンパク質で市販のものとしてはコムギ及び分画コムギタンパク質、トウモロコシ及びそのゼインを含む画分、コメ、カラスムギ、ジャガイモ、ピーナッツ、グリーンピース粉末、サヤマメ粉末、並びに豆、レンズマメ、及び豆類に由来の任意のタンパク質が挙げられる。
【0067】
[0089]本明細書で使用する「短期投与」は、6週間未満の継続的な投与である。
【0068】
[0090]本明細書で使用する「シンバイオティクス(synbiotic)」は、腸管のミクロフローラを改善するために共に働くプレバイオティクス及びプロバイオティクスの両方を含有する栄養補助食品である。
【0069】
[0091]本明細書で使用する用語「治療」「治療する」及び「緩和すること」は、予防的又は防止的治療(目的とする病状又は障害の発症を防ぐ及び/又は遅らせる)と、診断された病状若しくは障害の症状を治療する、鈍らせる、軽くする、及び/又は診断された病状若しくは障害の進行を休止させる治療的手段を含む、根治的、治癒的、若しくは疾患修飾性の治療との両方を含み;病気にかかるリスクのある患者又は病気にかかった疑いのある患者、並びに病気であるか又は病気若しくは病状を患っていると診断されている患者の治療を含む。この用語は、必ずしも対象者が完全に回復するまで治療されることを含意するものではない。用語「治療」及び「治療する」はまた、病気を患っていないが、窒素不均衡(nitrogen imbalance)又は筋力低下などの不健康状態が発生しやすいと思われる個体における、健康の維持及び/又は促進のことも指す。用語「治療」、「治療する」、及び「緩和すること」はまた、1つ又は複数の主な予防手段又は治療手段の相乗作用或いは増強を含むことも意図する。用語「治療」、「治療する」、及び「緩和すること」は、疾患若しくは病態の食事管理、又は疾患若しくは病態の予防若しくは防止のための食事管理を含むとことをさらに意図する。
【0070】
[0092]本明細書で使用する「経管栄養」は、動物の胃腸系へ経口投与以外によって投与される完全又は不完全な栄養製品又栄養組成物であり、限定はされないが、経鼻胃管、経口胃管、胃管、空腸瘻管(jejunostomy tube)(「J−tube」)、経皮内視鏡的胃瘻造設術(「PEG」)、ポート、例えば胃、空腸へのアクセスを可能にする胸壁のポートなど、及び他の適切なアクセスポートによる投与が挙げられる。
【0071】
[0093]本明細書で使用する用語「ビタミン」は、体の正常な成長及び活動に微量で必要不可欠であり、植物及び動物性食品から天然に得られるか又は合成によって作られる、様々な脂溶性又は水溶性有機物質(非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン又はナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン、又はピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、及びビタミンB12(様々なコバラミン;一般的にはビタミン栄養補助食品中のシアノコバラミン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、及びビオチンが挙げられる)、プロビタミン、誘導体、類似物のいずれかを含むと理解される。
【0072】
経腸栄養法
[0094]経腸栄養法は、栄養必要量を経口によって満たすことができない個体に栄養分を送達する好ましい方法である。標準処方物は、特定の臨床上の懸念がない個体において最も一般的に使用される。これらの処方物は、健康な集団に対する推奨に合致し一般に耐容性が良好である、主要栄養素含量及び微量栄養素含量を有する。以前には、チューブの詰まりの問題、並びに腸管安静が有益であるという考えにより、繊維を含まない経腸処方物が好まれた。以来、繊維による詰まりの問題はほとんど排除されているので、この集団に望ましい多くの有益な生理的効果を与えるために、繊維をそのような処方物に加えることができることが今では認識されている。
【0073】
繊維の直接的利点
[0095]繊維は食物内容物の水分含量及び嵩を増加させ、腸管を通した便通の進行を正常化させる。このように、食物繊維は便通の規則性の改善、軟らかい形態の便の生成の促進、及び排便の容易さ及び制御の改善に寄与する。さらに、可溶性の粘性繊維は、コレステロールを低下させる効果を含めた多くの代謝上の利益を有する。これらの繊維の存在は腸の内容物の粘度を上昇させ、回腸における胆汁酸の吸収を妨げることができ、糞便の胆汁酸の損失が増加することを引き起こす。その結果として、肝臓によってLDLコレステロールが血液から除去され、この損失を補うために胆汁酸へと転化される。同様に、粘性繊維はまた、栄養分摂取に対するグルコース及びインスリンの応答を弱めることもある。これらの繊維は胃の粘度を上昇させることができ、その結果胃内容物排出を遅らせる。さらに、上昇した糜汁の粘度によって、腸のグルコース吸収の速度が遅くなり、インスリンの必要量が低下する。胃の内容物の粘度を上昇させることによって、これらの繊維は胃食道逆流、逆流、及び嘔吐の発現の回数も減少させ、これは経腸栄養の耐容性を改善する。
【0074】
繊維の非直接的利点
[0096]およそ100兆個の微生物が通常の成人の腸管に存在している。有益な細菌と病原性細菌とのバランスは正常な腸の生理機能を維持するのに極めて重要であり、これはこのバランスが免疫機能並びに栄養分の消化及び吸収に対して直接的な影響を与えるからである。定義によれば、プレバイオティクス物質は「宿主の福祉及び健康に利益を与える胃腸の微生物叢の組成及び/又は活性の両方に特定の変化をもたらす、選択的に発酵した成分」である。これは典型的にはビフィズス菌及び/又はラクトバシラス菌の増加を指す。プレバイオティクス物質(又は略してプレバイオティクス)の利点としては、以下が挙げられる:
【0075】
[0097](1)細菌の血流への移行を防ぐのを助ける粘膜のバリア機能の改善;
[0098](2)有益な細菌集団の増殖促進及び病原性細菌亜集団の減少;
[0099](3)大腸における上皮細胞の主要なエネルギー源である、SCFA(例えば酪酸塩)の産生;SCFAはNa+及び水の吸収の調節も助ける;及び
[00100](4)腸の免疫細胞と病原性細菌との相互作用による、宿主の免疫の改善。
【0076】
臨床栄養における食物繊維の利点
[00101]下痢及び便秘は、繊維を含まない経腸処方物に対して患者の間で共通の不満である。繊維は排便の頻度及び通過時間を正常化することが分かっており、したがって繊維は規則性を促進するために処方物に加えることができる。繊維を添加した経腸処方物についての51の研究を含む最近のメタ分析では、繊維の投与によって下痢の発生が減少し便通の頻度が低い場合には高くなることが分かり、これは腸機能に対する繊維の緩和効果を支援する。同様に、専門家の委員会は、下痢、便秘、及び摂食耐性における利点に基づき、禁忌がなければすべての患者の食事に繊維を加えることを推奨した。ESPEN、Guidelines 2006を参照のこと。繊維のさらなる利点としては、腸バリア機能の改善、結腸上皮の増殖、液体及び電解質の吸収の向上、胃食道逆流、逆流、及び嘔吐の緩和、経腸栄養の耐容性向上、並びに血糖管理及び血清の脂質パラメーターにおける利点が挙げられる。一方で、繊維の添加は場合により膨満感及び鼓腸などの胃腸の副作用を引き起こすことが報告されている。したがって、胃腸の副作用が最小限である繊維の種類及び量を加えることが重要である。
【0077】
[00102]異なる繊維は異なる健康効果を与えることがよく認識されているため、繊維のブレンドの使用がますます一般的になってきている。ブレンドは通常の混合食とさらに良く似ており、様々な生理的効果を得ることを可能にすると考えられる。現在は可溶性繊維対不溶性繊維の比について公式な推奨はされていないが、混合食において摂取される繊維のおよそ30%が可溶性であると見積もられる。
【0078】
[00103]Nestle HealthCare Nutritionの標準経管栄養繊維ブレンドは特に、胃腸の耐容性を最適化し許容可能な粘度及び流速を確保しながら、健康上の利益を最大限にするように設計されている。15g/Lの繊維の処方物並びに可溶性繊維及び不溶性繊維の混合物を提供することによって、ブレンドは現在推奨されるものに合致する。繊維ブレンドの可溶性成分は、Nestle's Branded Active BenefitであるPREBIO1(商標)添加剤の既存の科学的価値及びブランド価値を構築及び改良するために設計され、PREBIO1(商標)添加剤はチコリから得られる低粘度の可溶性繊維であるフラクトオリゴ糖(FOS)及びイヌリンの70:30のブレンドである。これらの分子は、β(2−1)フルクトシル−フルクトースのグリコシド結合を含有する直鎖フルクタンである。イヌリン(1.5g/Lで添加される)は平均DPが≧10である分子を指すが、一方FOS(3g/Lで添加される)はDPがより低く、イヌリンの加水分解生成物として、又はフルクトースから若しくはフルクトース及びグルコースから合成によって得ることができる。
【0079】
[00104]FOS及びイヌリンは共に、わずか4g/dの用量においてビフィズス菌特異的効果(bifidogenic effect)が見られるプレバイオティクスとして広く研究されている。両方とも容易に発酵可能であり、結腸の健康に最も有益と考えられているプロピオン酸塩及び酪酸塩の産生を増加させると思われる。これらの繊維はいくらかの膨化特性を有し、FOSを経腸処方物に添加すると便秘が減少することが分かっている。イヌリン及びFOSは免疫機能に有益であるとも思われる。6g/dのFOS/イヌリンブレンドを摂取する潰瘍性大腸炎患者において、炎症及び炎症誘発性サイトカインの発現が低減し、8g/dのFOSを受ける養護老人ホームの患者は、Tリンパ球の増加によって示される免疫反応の改善が見られた。さらに、これらの繊維(8g/d以上)のブレンドは、主に青年及び閉経後の女性においてミネラルの吸収、例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、又は鉄の吸収を向上させ、これは血圧の低下及びより良好な心血管系の健康、並びにより良好な骨ミネラル化をもたらすことが分かっている。しかし、FOSから最良の結果を得るためには、日々の摂取量が1日に5〜10グラムの範囲であるべきであるが、これは15グラムを超える用量が過剰なビフィズス菌集団によるガス又は腸の筋けいれんを引き起こすことがあるからである。ガス産生に起因するGI耐容量は、FOS/イヌリンブレンドを使用した場合にいずれか1つを単独で使用するのと比較して改善されることが分かっている。
【0080】
[00105]本開示は、腸の不快感を生じさせることが分かっている用量を下回る用量のこれらの繊維を含む栄養組成物を提供し、一方でなおプレバイオティクスの利点をもたらす。下記のセクションで論じられるように、本開示の栄養組成物中にAGを添加すると、全繊維含量を増加させより高い全体としてのプレバイオティクスの利益をもたらしながら、低用量のイヌリン及びFOSの使用が可能になる。
【0081】
標準経管栄養ブレンド
[00106]本開示は、70:30の比であるFOS及びイヌリン(PREBIO1(商標))並びに1:1の比であるFOS及びAGを含む、新しい改良された組成物を提供する。これは異なる速度で発酵する様々な短鎖(FOS)、中鎖(イヌリン)、及び長鎖(AG)繊維を提供し、その結果結腸の全長にわたって利益をもたらす。
【0082】
[00107]AG(アカシアゴムとしても知られる)、アカシアゴム、アラビアゴム、又はカラヤゴム(Indian gum)は、複雑なアラビノガラクタンのグループに属する天然、低粘度の可溶性繊維である。AGは、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸単位を含む、高度に分岐した高分子量の分子である。この天然物質の平均分子量は300〜800kDaである。これは乾燥重量の95%が多糖から成り、1〜2%はタンパク質の種類によって決まる。AGは3つの異なる画分、すなわち1%の糖タンパク質、1〜10%のアラビノガラクタン−タンパク質、及び90〜99%のアラビノガラクタンから成る。AGは他の可溶性繊維と比較してゆっくりと発酵し、SCFAの産生を増加させ、したがって遠位結腸に利益をもたらし得る。低用量のAG(3g/d)は3g/dのFOSと組み合わせるとプレバイオティクス作用があることが分かっている。動物実験は下痢の症状を改善するAGの能力を示唆し、臨床試験は腸機能を正常化する効果を示している。さらに、食事に加えられる5gのAGは血糖反応を低下させることが分かっており、25g/dの長期摂取は脂質を低下させる効果がある。
【0083】
[00108]個体は一般にAGに対して胃腸の耐容性が非常に高く、最大で70g/dの投与は健康な個体において大きな副作用を引き起こさない。本開示の組成物において提供される1:1の比のFOS及びAGの組み合わせは、FOS単独と比較して膨満感及び胃の不快感などのGIの副作用を軽減するが、一方で同時に相乗的なプレバイオティクス的利益をもたらすことが分かっている。したがって、耐容性の問題を伴わずにプレバイオティクス的利益を与えるために、AGによってFOSを部分的に置き換えても良い。さらに、AGはFOSを加水分解から保護し、ダイズ繊維及び他の繊維、例えばエンドウ外皮(outer pea)の繊維などの粘度の低下を助けることもできる。AGは、そのような組成物中のFOSの性能を改善する乳化剤と同様に作用すると考えられる。したがって、非常に複雑な高分子量のAGを添加すると、FOS繊維のプレバイオティクス的利益を増大させながら腸の快適性が改善される。
【0084】
[00109]AGは本開示の処方物において多くの予期しない利益ももたらす。例えば、本明細書に記載の量のAGはFOSを加水分解から保護し、そのためFOSを個体への投与後に活性である形態で維持することが分かっている。AGは、ダイズ繊維又はエンドウ繊維などの他の繊維が存在する場合に、処方物の粘度の維持にも役立つと考えられる。AGのさらなる利点としては、水中でのその比較的低い粘度、室温でのその高い溶解度、無味、無色、無臭であること、及び食感を改善し香りの放出を強化する(香味剤(flavorant)と共に使用した場合)その能力が挙げられる。
【0085】
[00110]従来、イヌリン及びFOSの急速な発酵は過剰ガス及びGIの不快感を伴い、そのため製品に加えることができるプレバイオティクス性繊維の用量が限られていた。好都合なことに、ゆっくり発酵したAGの使用は、GIの不耐性を伴わずに高用量のプレバイオティクス性繊維の送達を可能にする。さらに、AG及びFOSを約1:1の比で使用することにより、胃腸の耐容性の向上だけでなくプレバイオティクス性の相乗効果が促進され、その結果この可溶性繊維の組み合わせが経腸処方物に添加するのに理想的なものとなることが分かっている。
【0086】
[00111]経腸栄養法の主な問題の1つは、栄養摂取中に下痢及び他の胃腸の副作用が起こることである。下痢の割合について経腸栄養法を受ける患者の2%〜67%という報告がある。Patti Eisenberg、「An Overview of Diarrhea in the Patient Receiving Enteral Nutrition」、Gastroenterology Nursing、25(3):95〜104頁(2002年)を参照のこと。
【0087】
[00112]本開示の組成物は、様々な分子量(非常に低分子量から非常に高分子量まで)及び発酵速度(速いものから遅いものまで)を有する強力なプレバイオティクス性繊維を使用しており、これはSCFA産生及びプレバイオティクス的効果が結腸の全長にわたって維持されることを可能にする。
【0088】
[00113]FOS、イヌリン、及びAGの量は、それらが特許請求の範囲に記載の比の範囲内に含まれるならば、変更してもよい。本明細書で述べるように、FOS又はAGの量はそれぞれ1.5〜10g/Lの範囲内であってもよいが、3〜5.5g/Lであってもよい。イヌリンは0.5〜5g/Lの範囲であってもよいが、1〜2.5g/Lであってもよい。特許請求の範囲に記載の比の範囲内で使用されるこれらの量は、組成物を投与される個体が良好な耐容性を示す。
【0089】
[00114]別の実施形態において、本開示の組成物は、不溶性のエンドウ外皮繊維をさらに含む。エンドウ外皮繊維はエンドウの外皮から得られる不溶性繊維であり、5〜10g/L、又は7〜8g/L、又は約7.5g/Lの量で加えることができる。エンドウ外皮繊維は主に、アラビノースに富んだヘミセルロース、セルロース、及びウロン酸などのペクチン質から成る。4g/dのエンドウ外皮の繊維を施設に入居した高齢者の食事に加えると、基準と比較して排便の頻度が大幅に増加し、緩下剤使用(プルーンピューレの投与)の必要が少なくなった。これはヒト及び動物において便通の重量を増加させることも分かっている。エンドウ外皮繊維(10g)を食事に加えると、食後の血清コレステロール値が下がることも分かっている。
【0090】
[00115]エンドウ外皮繊維、大豆タンパク質、セルロース、又はヘミセルロースなどの不溶繊維を加えると、規則性及び糞便の膨化における利益が得られる。有効用量のプレバイオティクス性繊維を提供し、GI耐性及び技術的性能を最適化するように、可溶性/不溶性繊維の比を50:50に設定してもよい。そのような組成物の一実施形態を表1に示す。完全栄養物中のブレンドによって供給される繊維の量は、いくつかの専門家の委員会によって設定される推奨に合致する:
[00116](a)European Society for Parenteral and Enteral Nutrition(「ESPEN」):手術後の患者を含めた正常な腸機能を有する患者には、添加した繊維が有益である場合がある;10〜15g繊維/Lが適切な最小量である;
[00117](b)Institute of Medicine(「IOM」)及びAmerican Dietetic Association(「ADA」):14g繊維/1000kcal;並びに
[00118](c)American Diabetes Association(「ADA」):15〜25g繊維/1000kcal。
【0091】
[00119]
【表1】
【0092】
腎臓の繊維ブレンド
[00120]末期の腎臓病の患者は、消化障害、特に便秘に悩まされる。末期の腎臓病患者のおよそ50%が便秘に悩まされる。Murtagh FEM、Addington−Hall J、Higginson IJ.、The Prevalence of Symptoms in End−Stage Renal Disease:A Systematic Review.Advances in Chronic Kidney Disease 2007年;14(1):82〜89頁を参照のこと。PHGGはグアーガムから抽出される独特な水溶性食物繊維である。グアーガムの元来の高い粘度は加水分解後にほとんど除去され、このことによってグ流動食及び栄養的処方物に加えるのに理想的なものとなる。腸の規則性、特に便秘におけるPHGGの有益性を支持するテータがある。PHGGの有益な効果の多くは、他の可溶性繊維よりもはるかに多くの酪酸塩を産生する、結腸でのその完全な発酵に起因する可能性が高い。Velazquez M、Davies C、Marett R、Slavin J、Feirtag J.、Effect of oligosaccharides and fibre substitutes on short chain fatty acid production by human faeca microflora、Anaerobe 2000年; 6(2):87〜92頁を参照のこと。近位結腸で急速に発酵する他の可溶性繊維と同様に、PHGGは便通の重量を大幅には増加させない。しかしいくつかの研究は、PHGGが、特に経腸栄養を受ける患者及び他のハイリスクの集団における、腸機能の正常化、下痢及び便秘の両方の防止又は軽減に有益であることを示している。Slavin JL、Greenberg NA.2003年、Partially Hydrolyzed Guar Gum:Clinical Nutrition Uses、Nutrition;19:549〜552頁を参照のこと。
【0093】
[00121]無作為二重盲検臨床試験において、内科患者及び手術患者の下痢の割合における可溶性繊維PHGGの影響を評価した。100人の患者のうち30人は上部消化管手術の後に完全経腸栄養(「TEN」)を受け、70人の患者は1000ml/dの補完的経腸栄養を受けた。繊維フリーの栄養補給を受けた患者のうち15人(30%)、繊維を含む栄養補給を受けた患者のうち6人(12%)で下痢が発生した(P<0.05)。繊維フリーの食事のグループでは、患者は40.6日間下痢に悩まされ、繊維を補給したグループでは10.2日間であった(P<0.05、P<0.05)。胃腸の副作用による経腸栄養の排出は、TENを受けた繊維フリーのグループの患者において、繊維を補給したグループよりもはるかに頻繁であった。PHGGの使用は、補完的経腸栄養を受けた患者だけでなく完全経腸栄養を受けた患者においても下痢の発生率を低下させた。さらに、繊維補給経腸栄養を受けた患者において下痢が起きた場合、持続期間はより短かった。
【0094】
[00122]便秘を浣腸で管理している長期のケア施設入居者の研究において、毎日のPHGG(18g)の補給によって、ベースライン時により多く浣腸を使用している入居者において浣腸の必要が大幅に減少する結果となった。Soriano CV、Hibler KD、Maxey KI、Long−term fiber intervention program:reduction in enema use at a developmental care facility、Journal of the American Dietetic Association 2000S;100(9):A82を参照のこと。さらに、PHGG(1日に8〜12g)は、緩下剤を日常的にしていた養護老人ホームの入居者において、便秘の発生を減少させ、緩下剤の使用を大幅に減少させた。Patrick P、Gohman S、Marx S、DeLegge M、Greenberg N、Effect of Supplements of Partially Hydrolyzed Guar Gum on the Occurrence of Constipation and Use of Laxative Agents、Journal of the American Dietetic Association 1998年;98(8):912〜914頁を参照のこと。同様に、11gのPHGGを毎日摂取すると、便秘の女性の便通の頻度が増加した。Takahashi H、Yang S、Hayaski C、Kim M、Yamanaka J、Yamamoto T、Influence of partially hydrolyzed guar gum on constipation in women、Journal of Nutritional Science and Vitaminology 1994年;40:251〜259頁を参照のこと。PHGGは、腸内のビフィズス菌の産生を増加させるだけでなく、過敏性腸症候群の症状も軽減することも分かっている。
【0095】
[00123]さらに、PHGGの使用は、過敏性腸症候群(「IBS」)の成人において腹部の痛みを緩和し、腸の癖を改善することも分かっている。この研究の対象者の大多数は、便秘優位のIBSである。1日に5gのPHGGを摂取した対象者は、コムギふすまを摂取した対象者と比較して、より自覚として大きな改善を報告した。Parisi G、Zilli M、Miani Mら、High−fiber diet supplementation in patients with irritable bowel syndrome (IBS):a multicenter,randomized,open trial comparison between wheat bran diet and partially hydrolyzed guar gum(PHGG)、Dig Dis Sci 2002年;47(8):1697〜704頁を参照のこと。
【0096】
[00124]いくつかの組成物が開発されている。本明細書で使用する「腎臓の繊維ブレンド」と呼ばれる組成物は、腎臓病患者に限定されることを意図しておらず、そのようなブレンドが有益であり得る患者のグループに向けて意図している。例えば、腎臓の繊維ブレンドは血糖管理にも利益をもたらし、したがって一実施形態では、多くの場合ストレス誘発性高血糖又は糖尿病も有する急性又は慢性腎不全の患者に向けて意図している。或いは、腎臓の繊維ブレンドは、血糖への効果をもたらすため、一実施形態では急性又は慢性腎不全を有していない高血糖又は糖尿病の患者に向けても意図している。一実施形態において、本開示の組成物はPHGGをさらに含む腎臓の繊維ブレンドである。一実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは3〜5.5g/LのFOS、1〜2.5g/Lのイヌリン、3〜5.5g/LのAG、及び0〜10g/LのPHGGを含む。
【0097】
[00125]別の実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは4.12g/LのFOS、1.76g/Lのイヌリン、4.12g/LのAG、及び7g/LのPHGGを含む。
【0098】
[00126]さらに別の実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは4.12g/LのFOS、1.76g/Lのイヌリン、4.12g/LのAG、及び5g/LのPHGGを含む。
【0099】
[00127]さらなる実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは4.12g/LのFOS、1.76g/Lのイヌリン、4.12g/LのAG、及び2.6g/LのPHGGを含む。
【0100】
[00128]さらなる実施形態において、本開示の腎臓の繊維ブレンドは4.0g/LのFOS、1.76g/Lのイヌリン、4.0g/LのAGを含む。
【0101】
[00129]本開示の栄養組成物は液体の形態で調製してもよい。水は他の成分に対する最も一般的な担体であるが、そのような組成物を経口投与する場合、組成物を他の液体、例えばミルク、フルーツジュース、コーヒー、紅茶、又は他の飲料などに加えることも想定される。水は他の経腸処方物において典型的に使用される。
【0102】
[00130]本開示は乾燥粉末状処方物も提供する。これらの粉末状処方物は、乾燥粉末状成分を混合することによって作ってもよく、又はそれらは本明細書に記載の液体栄養組成物の1つから作ってもよい。典型的には、粉末状処方物は噴霧乾燥、凍結乾燥、又は他の乾燥法を用いて液体栄養組成物を乾燥させることによって調製される。必要に応じて他の栄養成分又は組成物を乾燥前の液体に加えて、強化した栄養面の利益を粉末状処方物にもたらすことができる。そのような粉末状処方物は保存期間がはるかに長く、後で使用するための保存及び輸送のために包装することができる。そのとき、粉末状処方物を水又は他の液体で戻し、次いで個体に経口投与することができる。粉末状処方物は、ガラス、瓶、又は液体を入れた他の容器中の液体に加えるためのそのような粉末状処方物をバルクで用意しておくための容器を含めた、様々な容器に詰めてもよく、又は水若しくは他の液体を加えて経口投与用の液体を作る容器中に入っている粉末を用いて、一回分を用意してもよい。
【0103】
[00131]様々な従来の添加剤を本開示の液体処方物に加えることができることも意図している。例えば、様々な香味剤、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、保存料、又は健康効果のある添加剤を、従来の量でその従来の目的のために加えることができる。
【0104】
[00132]本開示の組成物は、プロバイオティクスの安定性を向上させるために個体に投与することもできる。個体がプロバイオティクスの安定性の維持を助ける製品を摂取したい場合に、粉末状栄養組成物を戻すことができるように、この利点は粉末状製品において特に有用である。
【0105】
[00133]本開示の栄養組成物は一般に腸内微生物叢の健康を促進するために使用される。実験データは、本開示の栄養組成物が経腸的に供給された場合に良好な耐容性を示すことを示している。特に、本発明の栄養組成物はPREBIO1(商標)と比較して改善された耐容性、並びに向上したプレバイオティクス的利点をもたらす。
【0106】
[00134]本開示の組成物は、HIV、集中治療室(「ICU」)、及び小児科の患者に栄養を供給するため、並びに腸の健康を改善するために投与される経腸処方物において使用するために、部分的又は完全栄養組成物として加えてもよい。そのような患者において体重増加挽回を向上させることが分かっており、これは組成物の改善された耐容性による可能性が最も高い。組成物の投与後に得られる改善された微生物(microbiotic)バランスによって、個体の免疫が強化されるとも考えられる。
【0107】
[00135]本開示の栄養組成物は、胃腸障害を引き起こす様々な治療、例えば放射線治療、化学療法、抗生物質、下痢の治療、胃腸手術、麻酔、及び鎮痛薬などの耐容性を改善するために使用してもよい。栄養組成物は、入院中の子供のより良好な追いつき成長(catch−up growth)などの、全身的な利益ももたらす。
【0108】
[00136]本開示の栄養組成物は、患者の腸管でのNa/H2Oの駆動又はミネラルの吸収において患者を支援するため、並びに通過時間を正常化するために投与することもできる。これらの腸機能の改善は、異なる治療のために投与される様々な薬物の副作用の軽減ももたらすが、これはそのような薬物がより効率的に個体から排出されるためである。これらの改善は、少なくとも部分的には、AGが患者の腸管でより多量の酪酸塩を供給する能力によるものであると考えられる。AGは、ペクチン、コムギふすま、イスパキュラ、又はセルロースと比較してはるかに大量の酪酸塩を供給する。対照的に、FOSは酪酸塩よりもむしろ主に酢酸塩を生成させ、酢酸塩は肝臓によって代謝される。イヌリン及びPHGGも酪酸塩を生成させる。酪酸塩は、細胞増殖させるための結腸細胞の主な燃料であるため望ましい。酪酸塩は結腸のpHも低下させて病原性細菌の成長を阻害する。これは腸バリアの保護を助ける抗炎症性の利点をもたらす。
【0109】
[00137]高齢の患者、例えば65歳を超える患者において、本開示の栄養組成物の投与は、そのような処方物のより高い耐容性によって、そのような患者が許容可能な栄養レベル及び摂食目標を実現することを可能にする。入院患者においては、摂食目標を達成し適切な栄養を供給することによって、典型的には病院滞在の長さが短縮され、摂食要件のコンプライアンスが向上し、下痢又は便秘などの合併症が減少する。病院滞在の短縮は患者並びに保険業者の双方にとってコストの減少につながる。
【0110】
[00138]本開示の栄養組成物の投与はまた、個体の加齢のために腸内微生物叢が負の進化をするのを最小限にする。これは、そのような組成物を摂取する個体が加齢にもかかわらず健康的な微生物叢レベルをより長く維持することを可能にする。さらに、クロストリジウムを減少させ、一方でビフィズス菌を増加させる。
【0111】
[00139]本明細書で開示される本発明の栄養組成物の投与は、個体の免疫系を強化することもできる。特に、クロストリジウム・ディフィシルを減少させ、一方でT細胞機能及びGALTを増強させる。個体が病気に抵抗する能力が高まるように、個体の適応免疫sIgA及び自然免疫を強化する。本発明の組成物によって与えられる特定のコロニー形成は、炎症性サイトカインが除脂肪体重の減少を引き起こし、GLP−1及びGLP−2がインスリン抵抗性の増大を引き起こし、TH1/TH2の不均衡が減少するように、独特の上方制御をもたらす。これらの利点はそのような個体におけるより良好な移植耐性をもたらすことになると考えられる。
【0112】
[00140]さらに別の方法は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び栄養分の吸収を増加させることによって、同組成物を必要とする患者の骨成長を向上させること又は骨分解を防ぐことに関する。この方法は、患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与して、骨の組成及び機能の改善を助けるためにビタミンD、亜鉛、又はカルシウムなどの栄養分の吸収を増加させることを含む。
【0113】
[00141]本開示の別の方法は、個体の腸管及び結腸における栄養分の吸収を増加させることによって、患者の筋肉量を高めることに関する。この方法は、葉酸塩、ビタミンD、マグネシウム、B12などの栄養分の吸収を個体において特に増加させて、筋肉の成長を助ける、筋肉量の欠乏を防ぐ、又は筋肉量の回復を改善するために、そのような筋肉量の増強及び吸収の増加を望む個体に、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0114】
[00142]個体の代謝は、本明細書で開示される栄養組成物有効量の1つを投与することによって改善できる。これによって、個体の微量栄養素の吸収を高め、そのような微量栄養素のバイオアベイラビリティーを改善し、より高いカロリー摂取を実現することが可能となる。これは、個体がそのような吸収の改善によってより良い朝の始まりを迎えることができるという点で、多くの利点をもたらす。さらに、この組成物を摂取する個体がより高い満腹感又は飽満感を得て過食を避けることになるという点で、これは肥満の治療にも使用できる。これはカロリー摂取量の減少をもたらすこともできるが、一方でまた個体が組成物の投与後にカロリーを燃焼させることになる運動又は他の活動に参加できるように、持続したエネルギーも供給する。
【0115】
[00143]この組成物は、糖尿病の治療においても、そのような治療を必要とする患者において有用である。本明細書で開示される栄養組成物の1つを投与すると、インスリン抵抗性を低下させる、血糖可動域を小さくする、又はCVDのリスクを低くすることができる。
【0116】
[例示的実施形態]
[00144]本開示の一実施形態は、35〜44重量%の量のフラクトオリゴ糖(FOS);38重量%〜50重量%の量の多糖;及び12〜24重量%の量のイヌリンを含む、個体へ投与するための栄養組成物である。FOS及び多糖は、62:38〜38:62の重量比で存在してもよく、FOS及びイヌリンは82:18〜58:42の重量比で存在してもよい。さらなる実施形態において、FOSは40〜42重量%である。さらなる実施形態において、FOSは約41重量%である。さらなる実施形態において、多糖はAGである。さらなる実施形態において、多糖は40〜50%である。さらなる実施形態において、多糖は約41重量%である。さらなる実施形態において、AGは40〜42重量%である。さらなる実施形態において、AGは約41重量%である。さらなる実施形態において、イヌリンは15〜21重量%である。さらなる実施形態において、イヌリンは18重量%である。さらなる実施形態において、栄養組成物は40〜42重量%の量の(FOS);40重量%〜42重量%の量のAG;及び15〜21重量%の量のイヌリンを含む。さらなる実施形態において、栄養組成物は41重量%の量の(FOS);41重量%の量のAG;及び18重量%の量のイヌリンを含む。さらなる実施形態において、FOS及び多糖は55:45〜45:55の重量比で存在する。さらなる実施形態において、FOS及び多糖は約1:1の重量比で存在する。さらなる実施形態において、FOS及びイヌリンは76:24〜64:36の重量比で存在する。さらなる実施形態において、FOS及びイヌリンは7:3の重量比で存在する。さらなる実施形態において、多糖はアラビノガラクタンであり、FOSは3〜5.5g/Lの量で存在し、アラビノガラクタンは3〜5.5g/Lの量で存在し、イヌリンは1〜2.5g/Lの量で存在する。さらなる実施形態において、栄養組成物は最大で10g/Lの(PHGG)をさらに含む。さらなる実施形態において、アラビノガラクタンはAGであり、FOS及びAGはそれぞれ4.12g/Lの量で存在し、イヌリンは1.76g/Lの量で存在し、PHGGは7g/Lの量で存在する。さらなる実施形態において、アラビノガラクタンはAGであり、FOS及びAGはそれぞれ4.12g/Lの量で存在し、イヌリンは1.76g/Lの量で存在し、PHGGは5g/Lの量で存在する。さらなる実施形態において、アラビノガラクタンはAGであり、FOS及びAGはそれぞれ4.12g/Lの量で存在し、イヌリンは1.76g/Lの量で存在し、PHGGは2.6g/L量で存在する。さらなる実施形態において、(FOS)は35重量%の量;多糖は50重量%の量;イヌリンは15重量%の量である。さらなる実施形態において、(FOS)は35重量%の量;AGは50重量%の量;イヌリンは15重量%の量である。
【0117】
[00145]さらに、化学的観点から言えばグアーガムは多糖であり、PHGGは少なくとも一部はやはり多糖と言えるであろうが、本発明の特許請求の範囲に記載の栄養組成物に含まれる「多糖」はPHGGを含まないことに注目すべきである。代わりに、PHGGを多糖の他に加えてもよいので、例えば38〜50%の多糖を得るためにはAG及びPHGGは一緒に添加されない。代わりに、PHGGを38〜50%の多糖の他に栄養組成物に加えてもよい。
【0118】
[00146]一実施形態において、栄養組成物は、個体の消化機能を高めるのに有効な量で少なくとも1つの不溶性繊維をさらに含み、少なくとも1つの不溶性繊維はダイズ繊維、エンドウ外皮繊維、又はそれらの組み合わせである。栄養組成物のさらなる実施形態において、可溶性繊維及び不溶性繊維は1.5:1〜1:1.5の比で存在し、FOS及びAGは2.5〜3.5g/Lの総量で存在し、イヌリンは1.25〜1.75g/Lの量で存在し、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維はそれぞれ3.25〜4.25g/Lの量で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、可溶性繊維及び不溶性繊維は1.25:1及び1:1.25の比で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、可溶性繊維及び不溶性繊維は1:1の比で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、FOS及びAGは約3g/Lの総量で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、イヌリンは約1.5g/Lの量で存在する。栄養組成物のさらなる実施形態において、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維はそれぞれ約3.75g/Lの量で存在する。
【0119】
[00147]一実施形態において、栄養組成物は抗酸化剤をさらに含む。
【0120】
[00148]一実施形態において、栄養組成物は魚油、又は藻類などの非海洋性油(nonmarine oil)をさらに含む。
【0121】
[00149]一実施形態において、栄養組成物はDHA、EPA、又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0122】
[00150]一実施形態において、栄養組成物はビタミン、ミネラル、又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0123】
[00151]一実施形態において、栄養組成物は植物栄養素をさらに含む。
【0124】
[00152]一実施形態において、栄養組成物はタンパク質をさらに含む。
【0125】
[00153]一実施形態において、栄養組成物は脂肪をさらに含む。
【0126】
[00154]一実施形態において、栄養組成物はプロバイオティクスをさらに含む。
【0127】
[00155]一実施形態において、栄養組成物は乾燥粉末状処方物である。別の実施形態において、栄養組成物は、組成物の1つを液体として調製し、その液体組成物を噴霧乾燥、凍結乾燥、又は他の乾燥方法を含めた当技術分野において既知の方法の1つによって乾燥させて、乾燥粉末状組成物を生成させることによって作られる。さらなる実施形態において、追加の栄養成分又は組成物を液体に乾燥前に加えて粉末状組成物に栄養面の利点の強化をもたらす。さらなる実施形態において、栄養組成物は、処方物を液体と合わせることにより請求項35〜37に記載の乾燥粉末状処方物の1つを戻すことによって得られる。
【0128】
[00156]一実施形態において、栄養組成物は完全栄養である。一実施形態において、栄養組成物は不完全栄養である。
【0129】
[00157]一実施形態において、栄養組成物は腸内微生物叢バランス及び健康を促進する方法において使用される。この方法は、そのような治療が有効であり得る個体へ有効量の栄養組成物を投与することを含む。
【0130】
[00158]一実施形態において、栄養組成物は、胃腸系障害を引き起こす様々な医療、例えば放射線治療、化学療法、胃腸手術、麻酔を含めた治療、抗生物質、鎮痛薬の投与、又は下痢の治療などに対する患者の耐性を改善する方法において使用される。この方法は、そのような患者に有効量の栄養組成物を投与することを含む。
【0131】
[00159]一実施形態において、栄養組成物は、より良好な追いつき成長などの利益を子供にもたらす方法において使用される。この方法は、そのような子供に有効量の栄養組成物を投与することを含む。
【0132】
[00160]一実施形態において、栄養組成物は患者の入院期間を短縮する方法において使用される。この方法は、有効量の栄養組成物を入院患者に投与して、そのような処方物のより高い耐容性によってそのような患者が許容可能な栄養レベル及び摂食目標を実現し、そのようにして摂食要件のコンプライアンスを向上させ、下痢又は便秘などの合併症を減少させて、次いでこれにより患者の病状を改善して入院期間を短縮させることを可能にすることを含む。さらなる実施形態において、患者は成人及び高齢者である。
【0133】
[00161]一実施形態において、栄養組成物は、有効量の栄養組成物を高齢の個体に投与してそのような個体が加齢にもかかわらず健康的な微生物叢レベルをより長く維持できるようにすることによって、高齢の個体において加齢のために腸内微生物叢が負の発展をするのを最小限にする方法において、使用される。さらなる実施形態において、この方法はクロストリジウムを減少させることを含む。さらなる実施形態において、この方法はビフィズス菌を増加させることを含む。
【0134】
[00162]一実施形態において、栄養組成物は、患者の結腸における酪酸塩の産生を増加させる方法において使用される。この方法は、有効量の栄養組成物を患者に投与してAGを含有しない処方物と比較して酪酸塩の産生を増加させて、結腸において細胞を増殖させて、結腸のpHを低下させて病原性細菌の成長を阻害することを含む。さらなる実施形態において、この方法は患者の腸バリアの保護を助ける抗炎症性の利点をもたらす。さらなる実施形態において、この方法はより良好なミネラルの吸収をもたらす。さらなる実施形態において、この方法は胃腸の通過時間の正常化をもたらす。さらなる実施形態において、この方法は下痢の減少をもたらす。さらなる実施形態において、この方法は便秘の減少をもたらす。
【0135】
[00163]一実施形態において、栄養組成物は個体の免疫系を強化する方法において使用される。この方法は、免疫系を刺激することを望む個体に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、刺激された免疫系はクロストリジウム・ディフィシルなどの病原性微生物を減少させる。さらなる実施形態において、刺激された免疫系はT細胞機能の改善を含む。さらなる実施形態において、刺激された免疫系はGALT機能の改善を含む。さらなる実施形態において、刺激された免疫系はsIgA産生の増進を含む。さらなる実施形態において、刺激された免疫系は個体が病気に抵抗する能力を向上させる。
【0136】
[00164]一実施形態において、栄養組成物は、移植を受けた個体に有効量の栄養組成物を投与して、独特の下方制御をもたらす特定のコロニー形成を与えることによって、臓器移植耐性を改善する方法において使用される。さらなる実施形態において、上方制御は除脂肪体重の増加を引き起こす炎症性サイトカインの減少を引き起こす。さらなる実施形態において、上方制御はGLP−1及びGLP−2を介してインスリン放出の増加を引き起こす。さらなる実施形態において、上方制御はTH1/TH2の不均衡の減少をもたらす。
【0137】
[00165]一実施形態において、栄養組成物は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び栄養分の吸収を増加させることによって、同組成物を必要とする患者の骨成長を改善する又は骨分解を防ぐ方法において使用される。この方法は、患者に本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与して、骨の組成及び機能の改善を助けるためにビタミンD、亜鉛、又はカルシウムなどの栄養分の吸収を増加させることを含む。
【0138】
[00166]本開示の別の方法は、個体の腸管及び結腸における栄養分の吸収を増加させることによって、患者の筋肉量を高めることに関する。この方法は、カルシウム、ビタミンD、葉酸塩、マグネシウム、又はB12などの栄養分の吸収を個体において特に増加させて、筋肉の成長を助ける、筋肉量の欠乏を防ぐ、又は筋肉量の回復を改善するために、そのような筋肉量の増強及び吸収の増加を望む個体に、本明細書で開示される有効量の栄養組成物の1つを投与することを含む。
【0139】
[00167]一実施形態において、栄養組成物は、個体の腸管及び結腸におけるビタミン及び栄養分の吸収を増加させる方法において使用される。この方法は、ビタミン又はカルシウム及び他のミネラル又はビタミン及びミネラルの吸収を個体において特に増加させるために、そのような吸収の増加を望む個体に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、ビタミンはビタミンD、葉酸塩、B12などである。さらなる実施形態において、ミネラルは少なくともマグネシウム又はカルシウムである。さらなる実施形態において、この方法は筋肉の成長を助ける。さらなる実施形態において、この方法は筋肉量の欠乏を防ぐ。さらなる実施形態において、この方法は病後又は負傷後の筋肉量回復を改善する。
【0140】
[00168]一実施形態において、栄養組成物は個体の代謝を改善する方法において使用される。この方法は、そのような代謝の改善を望む個体に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、この方法は微量栄養素の吸収を高める。さらなる実施形態において、この方法は微量栄養素のバイオアベイラビリティーを改善する。さらなる実施形態において、この方法はより高いカロリー摂取を実現する。さらなる実施形態において、この方法は個体がより良い朝の始まりを迎えられるようにより高いカロリー摂取を実現する。さらなる実施形態において、この方法は満腹感を与える。さらなる実施形態において、この方法は過食を避けるために満腹感を与える。さらなる実施形態において、この方法はカロリー摂取量を減少させるために満腹感を与える。さらなる実施形態において、この方法は肥満を治療するために満腹感を与える。さらなる実施形態において、この方法は投与後に持続したエネルギーを供給する。
【0141】
[00169]一実施形態において、栄養組成物は、糖尿病を治療する方法において、そのような治療が有効であり得る患者において使用される。この方法はそのような患者に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、この方法はインスリン抵抗性を低下させる。さらなる実施形態において、この方法は血糖可動域を小さくする。さらなる実施形態において、この方法はCVDのリスクを低くする。
【0142】
[00170]本開示の実施形態は、ガムなどの多糖を、個体に投与して栄養を供給するためのFOS及びイヌリンを含む栄養組成物において使用することを含み、多糖は、個体に投与された場合にそのような栄養組成物のより高い耐容量を実現するのに有効な量で存在していてもよく、多糖、FOS、及びイヌリンは本明細書で開示される量で存在する。さらなる実施形態において、多糖はAGである。
【0143】
[00171]本開示の実施形態は、個体の腸内微生物叢バランス及び健康を促進するための栄養組成物の調製においてガムなどの多糖を使用することを含み、栄養組成物は本明細書で開示される量でFOS及びイヌリンも含む。さらなる実施形態において、多糖はAGである。
【0144】
[00172]一実施形態において、栄養組成物は、有効量の栄養組成物を長期投与のために使用する方法において使用される。
【0145】
[00173]一実施形態において、栄養組成物は、有効量の栄養物を短期投与のために使用する方法において使用される。
【0146】
[00174]一実施形態において、栄養組成物は、有効量の栄養組成物を経管栄養投与のために使用する方法において使用される。
【0147】
[00175]一実施形態において、栄養組成物は、同組成物が有効であり得る個体に有効量の栄養組成物を投与することを含む、胃腸管によって生成されるか又は胃腸管によって調整されるホルモンを調節する方法において、使用される。さらなる実施形態において、炎症ホルモンを個体において減少させる。さらなる実施形態において、個体の幸福感を高める。さらなる実施形態において、セロトニンを増加させる。さらなる実施形態において、セロトニンは個体の睡眠パターンの改善をもたらす。さらなる実施形態において、セロトニンは個体の睡眠の質の向上をもたらす。さらなる実施形態において、セロトニンは鬱病の減少をもたらす。さらなる実施形態において、セロトニンは食欲の正常化をもたらす。さらなる実施形態において、認知力を改善する。
【0148】
[00176]一実施形態において、栄養組成物は、同組成物が有効であり得る個体に有効量の栄養組成物を投与することによって、小児科患者の細菌バランスを改善する方法において使用され、TH1/TH2の不均衡が減少し、TH1/TH2の不均衡はTH2サブセットが優勢である。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はアレルギー発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はアトピー性皮膚炎発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はぜんそく発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少は食物アレルギー発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少は中耳炎発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はウイルス感染発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少は自己免疫疾患発生の減少をもたらす。さらなる実施形態において、TH1/TH2の不均衡の減少はアレルギー性鼻炎発生の減少をもたらす。
【0149】
[00177]一実施形態において、栄養組成物は、栄養を腎臓障害の患者に供給する方法において使用される。この方法は、そのような患者に有効量の栄養組成物を投与することを含む。さらなる実施形態において、患者は腎不全である。さらなる実施形態において、患者は透析治療を受けている。
【0150】
[00178]一実施形態において、栄養組成物は、個体の患者に有効量の栄養組成物を投与することによって、少なくとも1つの炎症性疾患を管理する方法において使用される。さらなる実施形態において、炎症性疾患は炎症性疾患の予防である。さらなる実施形態において、炎症性疾患は胃腸炎である。さらなる実施形態において、炎症性疾患は炎症性腸疾患(「IBD」)である。
【0151】
[00179]一実施形態において、栄養組成物は、健康管理にかかる費用の減少をもたらす方法において使用される。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は病院に滞在する長さの減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は介護施設に滞在する長さの減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は合併症の減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は下痢の発生の減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は便秘の発生の減少によるものである。さらなる実施形態において、健康管理にかかる費用の減少は憩室炎の発生の減少によるものである。
【0152】
[00180]本開示の様々な態様についての前述の説明は、例証及び説明の目的で提示されている。これは網羅的又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、多くの修正及び変形が可能であることは明らかである。当業者に明らかであると思われるそのような修正及び変形が、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内に含まれることを意図している。
【実施例】
【0153】
[00181]
【0154】
[00182]実施例1:小児集中治療室(PICU)におけるプロバイオティクス及びプレバイオティクスを含有する経腸処方物:耐容量、安全使用、及び腸内生態系
【0155】
背景
[00183]このプロジェクトは、革新的な栄養の考え方によって栄養補助食品を刷新して、成長及び保護(子供の防御力を強化する)に有益な分野における製品価値の提案を強めることを狙いとした。
【0156】
[00184]そのような目的のために、2つのプロバイオティクス性細菌ラクトバシラスパラカゼイ(Lactobacillus paracasei)NCC2467(ST11)及びビフィオバクテリアムロンガム(Bifidobacterium longum)NCC3001(Bb536)のブレンド、PREBIO1(商標)の独自の組み合わせであるAG及びDHAによって、処方物の栄養価を強化した。
【0157】
[00185]健康管理環境を背景とした耐容性/安全性及び有益性の実証のために、臨床試験を開始した:
【0158】
臨床試験
[00186]臨床試験は、機械的人工呼吸及び経腸栄養を必要とする94人の子供が小児集中治療室(「PICU」)に入院しているNakhon Ratchasima(タイ)で行った。研究はほぼ3年間行われた。耐容性/安全性の分析は、カロリー摂取量の総パーセンテージ及び目標カロリー摂取量に到達する時間の両方を考慮に入れており、一方有益性の分析ではNCC2461(ST11)株及びNCC3001(BB536)株の存在を含めて糞便の微生物叢組成を評価する。
【0159】
方法
[00187]これは二重盲検対照無作為臨床試験とした。試験製品及び対照製品の2つの製品を調べた。
【0160】
試験製品(New Nutren Junior)
[00188]プロバイオティクスNCC2461/NCC3001+プレバイオティクス(PREBIOl(商標)+AG)+DHAを含む経腸処方物
【0161】
対照製品(Nutren Junior)
[00189]プロバイオティクス及びプレバイオティクス又はDHAを添加していない、等カロリー、等タンパクの処方物
【0162】
結果
[00190]94人の患者は無作為化され、及び治療することを意図され、すべての人が少なくとも1日はいくらかの試験製品を摂取した。88人の患者は3日を超える経腸栄養を受けた(PPデータセット)。
【0163】
耐容性/安全性の分析
カロリー摂取量の総パーセンテージ
[00191]24時間で投与された総量を利用日数にわたって合計し日数×重量×70kcal/kg/日で割ることによって、入院中のカロリー摂取量の総パーセンテージを計算した。これを各対象者について行った。カロリー摂取量の総パーセンテージをウィルコクソン順位和検定(Wilcoxon rank−sum test)によって分析し、信頼区間をホッジス−レーマン(Hodges−Lehman)に従って計算した。要約統計量及び治療間の差を表2に示す。
【0164】
[00192]
【表2】
【0165】
[00193]両側95%信頼区間は−7.1%から7.9%の総カロリー摂取量にわたっている。信頼区間の下限である−7.1%は有意差と定義された−15%を上回る。したがって、2つの製品の間で非劣性が実証された。
【0166】
目標カロリー摂取量に達する時間
[00194]毎日の目標カロリー摂取量に達する時間は、毎日のエネルギー摂取(「DEI」)が100%を超えた時間である。子供がある日にちにちょうど100%に達することは予期されなかったので、この時間はそれぞれの子供について100%DEIが測定される前の日と100%DEIが測定された後の日との間で線形補間によって計算した。7日間の経管栄養の間に1日のカロリー目標値に達しなかった子供を検閲した。図1に示すカプランマイヤー(Kaplan Meier)プロットで示されるように、試験グループ及び対照グループにおいてそれぞれ36%及び29%の子供が7日間にわたってカロリー目標値に達しなかった。カロリー目標値に達する時間の中央値は試験グループ及び対照グループにおいてそれぞれ5.10日及び5.03日であった。時間の差は1時間で、95%信頼区間は29時間から61時間にわたっている。これは2つの試験製品の間の非劣性をさらに示す。
【0167】
[00195]カロリー目標値に達する時間をログランク検定(log−rank test)によっても分析した。p値は0.67である。治療グループによる、目標値に達する時間の中央値を表3に示す。
【0168】
[00196]
【表3】
【0169】
[00197]裏付けとなる根拠(腹部飽満、嘔吐、便通頻度/下痢など)としての健康状態及び耐容性のパラメーターの全般的な改善を通して、安全性に焦点を当てた。プレバイオティクス及びプロバイオティクスを含有する経腸処方物の使用は、上記に示した4つのパラメーターに関して安全であることが分かった。
【0170】
[00198]診療記録によれば、通常の臨床診療の期間(入院期間後の最大+/−7日)で、両方のグループの患者は危篤状態から回復し、最後にはPICUから退院した。さらに、試験中調査員によって製品関連の副作用は報告されず、試験製品の安全性を裏付けた。
【0171】
プレバイオティクスの有益性の分析
[00199]糞便の微生物叢組成を、非常に重篤な環境(高い感染のリスクを有する抗生物質治療中の患者)における腸バランスを反映する重要なパラメーターとして選択した。以下の細菌群を測定した:ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterum)、ラクトバシラス属、バクテロイデス/ポルフィロモナス(Porphyromonas)/プレボテラ(Prevotella)グループ、腸内細菌科(Enterobactericeae)、ウェルシュ菌種、及びエンテロコッカス属。平均値(log10)を表4に示す。
【0172】
[00200]
【表4】
【0173】
[00201]ビフィドバクテリウム属の中で、ビフィオバクテリアムロンガムNCC3001株を特異的PCRによって同定し、ラクトバシラス属の中で、ラクトバシラスパラカゼイNCC2461も特異的PCRによって同定した。NCC3001及びNCC2461株は、プレバイオティクス及びプロバイオティクスを含む経腸処方物をPICU滞在中に受けた患者の18%、84%で同定された。
【0174】
[00202]対照グループと試験グループとの間の、ビフィズス菌のベースラインからの変化スコア(change score)の差は、7日目及び14日目でそれぞれ0.17 log10 CFU/mg及び1.43 log10 CFU/mgであった。14日目の差は統計的に有意であり、p=0.013であった。ビフィズス菌の増加は単に試験製品に含有されたビフィズス菌株に起因すると考えるべきではなく、製品に添加されたプレバイオティクスブレンド(PREBIO1(商標)+AG)のさらなるビフィズス菌特異的効果も反映すると考えられるであろう。ラクトバシラス菌の差は同じ傾向に従い(有意差なし)、補給期間の最後(14日目)で試験グループが対照と比較して0.75 log高いレベルである。バクテロイデス及び腸球菌(Enterococci)レベルの平均値は、両方の治療グループで変わらず維持された。
【0175】
[00203]両方のグループで、入院期間(PICU)にわたってウェルシュ菌レベルが徐々に減少した。腸内細菌(Enterobacteria)について同じ観察がなされた。統計的に有意ではないが、試験製品を用いた摂食において後者の効果がより顕著であった(7日間でおよそ1logの減少)。
【0176】
結論
[00204]結果は、PREBIO1(商標)及びAGの両方を含む栄養補助食品による経腸栄養が、PREBIO1(商標)のみを含む既に市販されているNutren Jr.よりも耐容性が良好であることを示している。さらに、Nutren Jr.と比較して、New Nutren Jr.は既知の病原体をそのメンバーの中に含む細菌群(腸内細菌、クロストリジウム(Clostridia))の減少の促進だけでなく、有益な効果があると言われる微生物群(ビフィズス菌)の増加の促進にもより効果的であり、したがって病気の子供の微生物叢組成のバランスを良い方向に整える。
【0177】
[00205]実施例2:PICUにおけるプロバイオティクス及びプレバイオティクス含有経腸処方物:耐容性、安全使用、及び腸の生態系
【0178】
背景
[00206]腸の微生物叢の広範囲の乱れを併せ持つ入院中の幼児の栄養不良は、急性の下痢の症状の発現並びに院内感染の腸内病原体源を長期間保有することの両方を促進する状態である。
【0179】
目的
[00207]本発明の研究は、プロバイオティクス及びプレバイオティクスを含有する経腸処方物の耐容性、PICUにおけるその安全使用、及びその腸内細菌の生態系を支える能力を実証することを目的とした。
【0180】
設計/方法
[00208]機械的人工呼吸及び経腸栄養を必要とする1歳〜3歳の94人のPICU患者は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、及びDHAを含有する試験処方物、又は対照の等カロリー及び等タンパクの処方物を受けるように無作為化された。患者は7日間PICUにとどまり、14日目にさらに検査を受けた。第1の目的は、カロリー目標値への前進によって測定される耐容性を評価することであり、第2の目的は、安全な使用及び腸内微生物叢の改善を測定することである。
【0181】
結果
[00209]総カロリー摂取量は2つの処方物の間で差がなかった。カロリー目標値に達する時間の中央値は、試験グループで5.1、対照グループで5.03であった(p=0.67)。安全性に関しては、現在の臨床診療の期間内で、両方のグループの患者は危篤状態から回復しPICUから退院した。経腸処方物の安全な使用の裏付けとなる根拠として、腹部飽満、嘔吐、及び便通頻度/下痢の違いは2つの試験製品の間で見られなかった。さらに、いずれのグループでも副作用は見られなかった。
【0182】
[00210]ビフィズス菌は対照グループで減少したが、一方試験グループでは増加し、14日目で統計的な有意差に達した(P=0.013)。ラクトバシラス菌について同じ傾向が見られ、対照グループに対して試験グループが0.75log高いレベルであった(有意差なし)。この研究で使用したプロバイオティクス性のラクトバシラスパラカゼイNCC2461株は84%のケースで排泄物から回収された。第2のプロバイオティクス性株ビフィオバクテリアムロンガムNCC3001株は18%のケースのみで回収された。バクテロイデス及び腸球菌は変化しないままであった。両方のグループで入院中にウェルシュ菌が徐々に減少するのが見られた。対照グループで腸内細菌レベルは変化しないままであったが、そのレベルは試験グループではPICU滞在中に1log減少した。
【0183】
結論
[00211]プロバイオティクス及びプレバイオティクスを添加した処方物の使用はPICUにおける経腸栄養の耐容性を変化させない。さらに、そのような処方物は安全であり、重篤な病気の子供の微生物叢組成の好ましいバランスを促進する。
【0184】
[00212]実施例3:ヒト腸内微生物生態系のシミュレータ(「SHIME」)を用いたプレバイオティクスブレンドのインビトロ評価
【0185】
[00213]2つのプレバイオティクスブレンドのインビトロ評価を行い、ここではヒト胃腸管のシミュレータ(TWINSHIMEモデル)を使用して、経口栄養補給物(「ONS」)として又は経管栄養処方物(「TF」)中での用途における本発明の栄養組成物(「ブレンド1+」と呼ぶ)のプレバイオティクスブレンドのプレバイオティクス活性を評価した。評価の焦点は、元の繊維ブレンド(「ブレンド1」と呼ぶ)においてFOS及びイヌリンをAGで部分的に置き換えることがONS法における微生物発酵の特徴に対して与える影響を評価することであった。
【0186】
[00214]胃腸管及び腸の微生物プロセスを研究するためのインビトロによる方法は、選択された食品成分の考えられるプレバイオティクス特性を研究するのに優れた実験装備である。適切に設計された連続モデルの適用は、代表的な環境条件下の腸における選択された分子の生物活性を掘り下げて研究することを可能にする。さらに、インビトロによるモデル化の最近の進歩は、粘膜への接着及び免疫系との相互作用などの、細菌−宿主相互作用の研究を連続モデルと組み合わせることも可能にし、それによって科学的成果及び商業上の妥当性の両方をさらに高める。
【0187】
[00215]この研究で使用された2つのプレバイオティクスブレンドは、30%の脂肪、20%のタンパク質、及び50%の炭水化物を含んでいた。ブレンドは炭水化物の組成が異なっている。ブレンド1(「SHIME1」)はFOS及びイヌリンを70%対30%の比で含有していた。ブレンド1+(「SHIME2」)は41%のFOS、41%のアカシアゴム、18%のイヌリンを含有していた。製品は3.3gの繊維を含有する単位で利用可能であった。1日当たり2回分のブレンドに相当する総量をそれぞれのSHIMEモデルに投与した。ブレンドは、胃の区画に1日3回入る液体栄養培地の一部としてモデルに投与され、その結果2.2gの繊維を1日に3回投与することになる。
【0188】
ヒト腸内微生物生態系のシミュレータ
[00216]インビトロの装備を用いて選択された製品の考えられるプレバイオティクス特性を詳細に研究するために、複雑な腸の微生物生態系を長期間にわたって代表的条件下で培養することを可能にする連続モデルを使用した。さらに、従来のインビトロ及びインビボによる研究は、プレバイオティクス特性の評価を化合物の連続投与の2〜3週間後にのみ行うことができることを示しているので、このモデルはプレバイオティクスの繰り返しの摂取をシミュレートすることを可能にするべきである。したがって、ヒト胃腸管の動的SHIMEシミュレータを使用して、プレバイオティクスによる治療の有効性を評価した。
【0189】
[00217]Mollyらによって記載のように、反応器の装備はSHIMEから改造し、成人のヒトの胃腸管(「GIT」)を表す。Mollyら、「Development of a 5−step multichamber reactor as a simulation of the human intestinal microbial ecosystem」、Applied Microbiology and Biotechnology 39:254〜258頁(1993年)を参照のこと。SHIMEは、ヒトの胃腸管の異なる部分をシミュレートする5個の反応器が連続したものから成る。例えば図2を参照のこと。
【0190】
[00218]最初の2個の反応器は、食品の摂取及び消化の異なるステップをシミュレートするための充填及び吸引(fill−and−draw)の原理のものであり、ぜん動ポンプが規定量のSHIME栄養物(140mL 3×/日)並びに膵臓及び胆汁の液体(60mL 3×/日)をそれぞれ胃(V1)及び十二指腸(V2)の区画に加え、指定の期間後にそれぞれの反応器を空にする。最後の3つの区画は、一定の量及びpHに制御されている連続撹拌された反応器。異なる容器の保持時間及びpHは、胃腸管の異なる部分におけるインビボ条件に似たものになるように選択される。大腸をシミュレートする最後の3個の容器の全体の滞留時間は72時間である。糞便の微生物叢によって植菌すると、これらの反応器は上行結腸(V3)、横行結腸(V4)、及び下行結腸(V5)をシミュレートする。種菌の調製、保持時間、pH、温度設定、及び反応器の栄養物組成は、Possemiersらによって以前に記載された。Possemiersら、「PCR−DGGE−based quantification of stability of the microbial community in a simulator of the human intestinal microbial ecosystem」、FAMS Microbiology Ecology 49:495〜507頁(2004年)を参照のこと。
【0191】
[00219]SHIMEは15年を超えて科学的及び工業的プロジェクトの両方において広く用いられており、インビボのパラメーターによって検証されている。結腸の異なる領域で微生物群を安定化させると、異なる結腸領域で組成及び機能性の両方において異なる、代表的な微生物群が3つの結腸の区画に定着する。
【0192】
[00220]これらの実験において、2つのシステム(SHIME1=ブレンド1;SHIME2=ブレンド1+)を並行して同時に操作することによって、TWINSHIME装備を使用した。同一のpH及び温度制御によって、及び反応器間で液体を輸送するための2方向ポンプ(two−headed pump)を用いることによって、両方のシステムで同一の環境条件を得た。
【0193】
[00221]SHIME実験は3つの段階から構成された。第1の段階は開始段階であった。結腸反応器を適切な糞便試料(ビフィズス菌の濃度が低い高齢の提供者)によって植菌した後、2週間の開始期間で異なる反応器中で局所的な環境条件に応じて微生物群を分化させた。第2の段階は実験の実際の開始である対照期間であり、ここで標準SHIME栄養物をモデルに14日間投与した。基礎培地は以下のように構成された:アラビノガラクタン(1g/L)、ペクチン(2g/L)、キシラン(1g/L)、デンプン(3g/L)、グルコース(0.4g/L)、酵母抽出物(3g/L)、ペプトン(1g/L)、ムチン(4g/L)、システイン(0.5g/L)。この期間の試料の分析は、異なる反応器におけるベースラインの微生物群組成及び活性を測定することを可能にし、これはプレバイオティクスによる治療から得られる結果と比較するための対照として使用される。第3の段階で最終段階は治療期間であった。この3週間の期間中、SHIME反応器は公称条件下で操作されたが、基礎的期間のものと比較してより少量のデンプン(1g/L)を培地中に含有する改質した食事を用いた。これは、高齢者に典型的な食事(低い栄養分を含有する食事)を最優先として、2つの製品の効果を正確に狙うことを可能にする。並行して、SHIMEの食事にプレバイオティクスを添加した(1日当たり2回分のブレンドに相当する)。
【0194】
結果
[00222]実験の全体にわたって多くの微生物パラメーターをモニタリングしており、例えば短鎖脂肪酸、アンモニウム、乳酸塩分析、ガス分析、腸のpH、及び試料採取が挙げられる。
【0195】
短鎖脂肪酸(「SCFA」)
[00223]SCFAは、主に腸内細菌による糖分解発酵の典型的な最終生成物であり、SCFAのプロファイルは主に酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩と、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、及びカプロン酸などの少量の他の酸とから成る。酢酸塩は腸から吸収することができ、宿主によってエネルギー基質として利用されるが、一方酪酸塩は腸上皮の主なエネルギー基質として働き、炎症及び結腸癌に対する保護効果が立証されている。プロピオン酸塩は最終的には酪酸塩と比較して同様の局所的活性を腸内で有するが、これは肝臓にも運ばれ、ここではコレステロールを低下させる良い効果及び血糖管理に対する効果を有することが分かった。そのため、酪酸塩及びプロピオン酸塩は酢酸塩と比較して宿主にとってより健康に有益であると考えられ、腸内の微生物発酵のプロファイルを酪酸塩及び/又はプロピオン酸塩産生の増加へ向けて調節することが有益であると考えられる。
【0196】
[00224]SCFAに関して、試料を3×/週ですべての結腸の区画から採取して、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、イソカプロン酸、及びカプロン酸の濃度を分析した。図3A〜Fにおいて、データをSCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の総産生量としてTWINSHIME実験の実験週ごとに示す。上記のように、プレバイオティクス特性を全SCFA産生量におけるプロピオン酸塩及び/又は酪酸塩の相対的な増加によって評価する。またデータを実験期間ごと及び結腸の区画ごとに表5及び6にもまとめる。
【0197】
[00225]酢酸塩(「A」)、プロピオン酸塩(「P」)、及び酪酸塩(「B」)は腸内細菌によって産生される主なSCFAであるので、データをA/P/B比として表してもよい。そのようにするために、各脂肪酸の産生量を3つの脂肪酸の濃度の合計に対するそれぞれの個々の脂肪酸の濃度の比として表す。この実験において、プロピオン酸塩及び/又は酪酸塩産生量の相対的増加によって測定される、治療のプレバイオティクスによる効果を、A/P/B比におけるP及び/又はBの増加並びにAの減少によって評価した。A/P/B比を実験週ごとに図4A〜Fに示す。
【0198】
[00226]上記で行った考察に基づき、両方の産生量はプレバイオティクス活性の明確な指標を与える。両治療はすべての結腸容器中の全SCFA濃度の増加を引き起こした。これは両製品がGIT中で十分に発酵したことを示す。さらに、両製品はより高いプロピオン酸塩及び酪酸塩の濃度を引き起こし、酢酸塩−酪酸塩−プロピオン酸塩の比をより健康的な組成に向けて動かすことができた。対照と治療との間でSCFA産生量の統計的な差を評価すると、明確な差は通常治療の第2週から初めて始まる。これはこの実験でも観察され、細菌が新しい栄養環境に適応する必要がある適応期間に関連する。これは治療(高い標準偏差)の第1週の間はSCFAプロファイルの緩やかな変化をもたらし、多くの場合治療の第1週のSCFA濃度の平均を対照期間のものと比較したときに、統計的な有意性に欠ける結果となる。繊維ブレンドに適応させると(治療期間の第2週から始まる)、明確な有意差がSCFAプロファイルにおいて観察された。
【0199】
[00227]図5A〜Eに、2つのSHIMEシステム間の比較を示し、元の及び適応させた繊維ブレンドのプレバイオティクス的潜在能力を比較することを可能にする。比較は実験の各週について別々に行った。各週の中で、各結腸区画の全SCFA、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の濃度を一方向ANOVAによって比較し、個体の平均はチューキー検定を用いて比較した。
【0200】
[00228]2つのSHIME実施に基づき、結腸区画のいずれにおいても対照期間(「ctr」)中にSCFA産生量の統計的な差は見られず、2つの異なる治療の出発点は類似していることを示すことが分かった。2つの製品の効果について治療期間(「tr」)の第1週の間、統計的な有意差が認められなかったことも分かった。これは、腸内微生物叢がそれらの代謝を投与された試験化合物に適応させるための適応期間に関連すると考えられる。さらに、治療の第2週から始まって、統計的な差が現れた。これは両製品が特有のSCFA産生プロファイルをもたらす独特の発酵プロファイルを有していたことを示す。
【0201】
[00229]この短期間の実験は、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることによって、細菌発酵のプロファイルにおける差が引き起こされたことも実証している。第1に、ブレンド1の酪酸特異的(butyrogenic)効果はブレンド1+よりも高く、一方ブレンド1+は(必ずしも統計によって裏付けられないとしても)より高いプロピオン酸塩濃度を示した。第2に、これらの知見は、両ブレンドがSCFA産生の点で非常に好ましい効果を有していたが、特有の発酵プロファイルはブレンドの特有の組成に依存したことを示す。
【0202】
アンモニウム
[00230]アンモニウムの産生は主にタンパク質分解の結果であり、直接的及び非直接的な健康に有害な影響と関連するので、したがってアンモニウム産生の減少は有益であると考えられることになろう。この実験の間、試料をすべての結腸区画から週に3回採取した。実験の全過程にわたる異なる結腸領域におけるアンモニウム濃度の分析を図6A及び6Bに示す。明確に示されるように、両製品は治療期間中のアンモニウム産生の減少を引き起こした。
【0203】
[00231]さらに、SHIMEにおけるアンモニウム濃度は、治療期間の間、細菌の限られた基質利用性のマーカーとして見ることもできる。特定の細菌がデンプンをエネルギー源として利用できるのと同程度に効率的に投与された製品を利用できない場合、これらの細菌はよりタンパク質分解的な代謝にシフトすることがあり、アンモニウム濃度の増加を引き起こす。したがって観察されるアンモニウム濃度の減少は、両ブレンドの高い発酵性の証拠でもある。
【0204】
[00232]最終的に、2つのSHIMEの実施の間で統計的な差は見られず、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることはアンモニウム産生の減少に影響を与えなかったこと、及びブレンド1+も十分に発酵し、結腸中の糖分解発酵の増加をもたらしたことを示した。
【0205】
乳酸塩の分析
[00233]ヒトの腸管は、乳酸塩を産生する細菌及び乳酸塩を利用する細菌の両方を保有する。乳酸塩は乳酸菌によって産生され、抗菌剤としても作用する環境のpHを低下させる。これは他の微生物によって酢酸塩、酪酸塩、及びプロピオン酸塩へと急速に転化され得る。この短期間の研究のために、試料をすべての結腸区画から週に3回採取した。実験の全過程にわたる異なる結腸領域における乳酸塩濃度の分析を図7A及び7Bに示す。
【0206】
[00234]両ブレンドの投与は、上行結腸に残留する乳酸塩濃度を有意に増加させた。両方のSHIMEの実施の比較は、イヌリン及びFOSを部分的に置き換えると残留する乳酸塩濃度を減少させることを示す。これは上行結腸における、アカシアゴムと比較してより急速でより強いイヌリン及びFOSの発酵に関連すると思われる。SHIME1におけるより高い乳酸塩濃度は、より高い酪酸塩濃度とも一致しており、なぜなら乳酸塩は酪酸塩の重要な前駆体だからである。
【0207】
TWINSHIMEにおけるオンラインpHの違い
[00235]最適な環境条件を維持することを確実にするために、SHIMEシステムにおけるpHをpHコントローラによって以下の範囲で制御する:(i)5.6〜5.8(上行結腸、「AC」)、(ii)6.2〜6.4(横行結腸、「TC」)、及び(iii)6.6〜6.8(下行結腸、「DC」)。しかし、異なる反応器中で微生物群が安定化すると(植菌後2週間より始まる)、微生物群はそれ自身が自動調節し、酸−塩基の消費は通常は低い。しかし、治療の間に細菌が試験製品に適応し、例えば増加した量のSCFAを産生する場合、反応器中の環境は酸性化することがあり、これは塩基をそれぞれの反応器にさらに投与することによるさらなるpH制御をもたらす。これに関連して、実験中の酸性化の度合いを、プレバイオティクスブレンドの細菌代謝の強さの指標として使用できる。
【0208】
[00236]実験の全過程にわたる異なる結腸領域における酸及び塩基消費の分析を図8に示す。図8によって示されるように、両ブレンドの投与はシミュレートされた結腸反応器の酸性化を引き起こし、SCFA産生の増加及びより健康な腸の環境を示唆した。しかし、この酸性化はブレンド1については上行結腸に限られたが、ブレンド1+を投与するとシミュレートされた結腸全体にわたって酸性化が生じた。このことは、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることが、腸の発酵プロファイルを近位結腸での強い発酵から結腸全体でのより緩やかな発酵へと変化させることを示す。
【0209】
[00237]TC1及びDC1におけるpHプロファイルに関して、類似したpHプロファイルが得られることが予想された。観察された違いに対してすぐに思いつく説明はない。しかしこの差は2つの結腸区画の緩衝能の差に関連する可能性があることが考えられる。
【0210】
バッチ試験におけるガス産生及びpHの違い
[00238]全ガス産生量の評価は、この研究の2つのブレンドについての潜在的な耐容性の問題に関連する重要な側面である。しかし、オンラインの全ガス産生量測定は、連続的なガスの流入及び流出のために腸の連続的モデルでは難しい。そのため、全ガス産生量の評価及びCO2濃度変化の測定はバッチ式装備で行った。ガス分析に関して、シミュレートした結腸の条件下でさらなるバッチ試験を行って全ガス産生量及び気相組成の推量を測定した。
【0211】
[00239]典型的な短期のスクリーニングアッセイ(図9)は(i)胃(pH2、ペプシン)、(ii)小腸(膵臓酵素及び胆汁酸塩を添加)、及び(iii)大腸(代表的な細菌の種菌を基礎培地に含む)においてシミュレートした条件下での、代表的な用量の選択された化合物の逐次的インキュベーション(3段階)から成る。この細菌の種菌は、SHIMEシステムの上行結腸区画から得られた既に「インビトロに適応した」微生物群に由来する。
【0212】
[00240]胃腸管で食品の典型的な滞留時間が維持されるように、実験を計画した。サンプリングのスキームを図10に報告する。全ガス産生量及び組成の分析(図10で報告されたスキームに従う)を図11A及び11Bに示す。
【0213】
[00241]ガスの産生は典型的にはガウス分布のパターンに従う。そのようなパターンと矛盾することになる大きな飛躍が6〜24時間の間で起こったと考えられるとしても、これは単に6〜24時間の間に試料を採取できなかったという事実によるものである。投与した繊維の主な画分を6〜24時間発酵させると、ガス産生の大きいはっきりしたピークが24時間で観察された。両方のSHIMEモデルの比較は、2つの製品間の差が24時間後に統計的に有意でないとしても、ブレンド1+の発酵が元のブレンド1と比較してより少ないガス産生をもたらしたことを示す。
【0214】
[00242]CO2の産生(Babb,RR、「Intestinal Gas(Medical Information)」、West J.Med.127:362〜363頁(1977年)によれば、通常は腸内の全ガスの5〜30%)は、ブレンド1+がゆっくりと発酵することを裏付けた(発酵はやはり24〜48時間で起きる)。これは、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることが腸の発酵プロファイルをより緩やかな発酵へと変化させるという先の知見をさらに裏付ける。
【0215】
[00243]既に上述したように、実験の最後での酸性化の度合いは、潜在的可能性があるプレバイオティクスの細菌代謝の強さの指標である。したがってバッチインキュベーションにおける培地のpHを実験の最初及び最後で測定して、オンライン測定で得られたデータ(図12)を裏付けた。バッチ試験のΔpΗは、ブレンド1がブレンド1+よりも速く発酵することを再度裏付ける。
【0216】
微生物群組成の分析
[00244]試料を週に1回TWINSHIMEの各結腸区画から採取して、定量ポリメラーゼ連鎖反応(「qPCR」)によって管腔の微生物群組成における治療の効果を評価し、プレートカウントによって粘膜関連微生物群(mucosa−associated microbial community)を分析した。
【0217】
管腔の微生物群組成
[00245]qPCRを用いて全細菌、ビフィズス菌、ラクトバシラス菌、ファーミキューテス門、及びバクテロイデス門をモニタリングした。qPCRは、特定の細菌の配列(165 rRNA 遺伝子)を増幅させることに基づく分子技術であり、微生物の生態系におけるこれらの特定の配列の数を様々な時点で定量化することと組み合わせされている。この方法は細菌の培養能(の欠如)に依存しないので、この方法によって生じるデータは、プレバイオティクス的治療による微生物群における定量的な効果について、より信頼性のある概観を提供する。
【0218】
[00246]両ブレンドの投与は、すべての結腸区画におけるラクトバシラス菌の明らかな増加、並びに上行結腸及び横行結腸におけるビフィズス菌の有意な増加をもたらした。ブレンド1+は、下行結腸において小さいが有意であるビフィズス菌の増加も引き起こした。これに加えて、両ブレンドの投与は優性の細菌集団(全細菌及びファーミキューテス門)の数を増加させた。ブレンド1+は下行結腸におけるバクテロイデス門の増加も引き起こした。
【0219】
[00247]ファーミキューテス門及びバクテロイデス門は、腸内の2つの最も優性の細菌門である。バクテロイデス門は非常に重要な糖分解発酵性の細菌と考えられるが、なぜならバクテロイデス門によって成分化されるタンパク質の大部分は、多糖を分解しそれらの糖を代謝するところまで進むからである。このグループに属するいくつかの種もプロピオン酸塩の産生と関係している。したがってブレンド1+の投与による下行結腸でのバクテロイデス門の濃度増加はアカシアゴムのより緩やかな発酵をさらに裏付けるものであり、遠位結腸における糖分解発酵の増加をもたらす。
【0220】
[00248]ファーミキューテス門は、バクテロイデス門の代謝によって生成する代謝中間体を使用する。それらはラクトバシラス菌及びクロストリジウムを含む。特定のクロストリジウムは良く知られた病原体であるので、後者は多くの場合健康に好ましくないと考えられている。しかし、クロストリジウムの中には最も重要な酪酸塩の産生者のいくつかがあり、これは重要な健康のためになる化合物と考えられる細菌代謝産物である。
【0221】
[00249]図13A〜Bから図17A〜Bは、実験週ごとに各結腸区画で示される各細菌グループからのqPCRデータを示す。図Aはすべてブレンド1に関し、一方図Bはすべてブレンド1+に関する。
【0222】
[00250]異なる細菌グループに対する2つの製品の効果を比較するために、発明者らは治療によって引き起こされる異なる傾向を評価することを可能にする、長期的な統計手法を適用した。第2週又は第3週で節の位置が変わる(治療効果の遅れの程度によって決まる−図18A、18B、19A、19B及び20で赤い矢印によって示す)線形スプラインモデルを使用してデータをフィッティングさせ対照期間対治療期間について分析した。この手法は、段階的に様々な予測因子の複雑なモデルを構築しその後削除することに基づいている。それぞれのカイ二乗と比較した2つの式の最大尤度の値の差は、削除された予測因子が統計的有意性を有していたか否かに関する情報を提供する。図18〜20に、2つの製品の各結腸容器からのデータの比較を散布図で示す。AC1、TC1、及びDC1は常にブレンド1を指し;AC2、TC2、及びDC2はブレンド1+を指す。第1〜2週は対照期間を表し、一方第3〜5週は治療期間を表す。各図の下で傾向の統計的解釈を論じる。
【0223】
[00251]図18A及び18Bによって示すように、両ブレンドはビフィズス菌特異性を示した。図18Aは、ブレンド1によって引き起こされたビフィズス菌の増加が統計的にブレンド1+よりも統計的に高いことを実証している。文献からFOS及びイヌリンの両方はヒト腸内のビフィズス菌濃度を高めることができることが知られているが、アカシアゴムによって部分的に置き換えるとやはりビフィズス菌を増加させ、この置き換えがそのプレバイオティクス活性に好ましくない影響を与えないことを裏付けた。さらに、図18Bに示すように、ブレンド1+はブレンド1と比較して上行結腸におけるより高いラクトバシラス菌の増加を引き起こした。
【0224】
[00252]図19A及び19Bは、全細菌のプロファイルに基づき、165rRNA遺伝子のコピー数の減少がブレンド1+について上行結腸で治療の第1週の間に観察できたことを例証する。この減少は主に同じ結腸区画における優性のファーミキューテス門及びバクテロイデス門の減少と相関する。これは、アカシアゴムがFOS及びイヌリンと比較してより選択的及び特異的に発酵すること、及び細菌がブレンド1+に適応するのにより長い時間を要するという事実によって説明できるであろう。統計的に、ブレンド1は横行結腸でのより高いファーミキューテス門濃度も引き起こした。
【0225】
[00253]図20に示すように、ブレンド1+で処理したSHIMEの上行結腸におけるバクテロイデス門の量は、既に上記で説明したように治療の第1週の間ブレンド1よりも統計的に低い。結腸の残りの部分では2つの製品によって生じる効果に差がない。
【0226】
粘膜関連微生物群
[00254]特異的な細菌−宿主の相互作用、及び所与の治療によるこのプロセスの修正は、今やプレバイオティクス繊維の健康効果を決定する最も重要な要因の1つと考えられている。ヒトの腸管は、例えば病原体の定着を防ぐことによって及び重要な栄養分を産生することによってヒトの健康維持に関与している、大きく複雑な微生物群を保有する。微生物は腸管全体に無作為に分布しておらず、腸壁に接着する微生物は、それらが粘膜の免疫反応を指示し、潜在的に有害な生着菌(病原体)を犠牲にして生態学的適所(niche)を占めるので、重要な役割を果たす。この相互作用は、影響の受けやすさ及び複雑さによる問題のためにインビボで研究するのが非常に難しいので、プレバイオティクスが健康を促進する細菌の腸壁への接着を強化する能力を有するかどうかを評価するために、ProDigest及びLabMET(UGent)は近年革新的なインビトロのツールボックスを開発した。このアッセイは、SHIME反応器から異なる時点で採取される試料を用いて特定の結腸領域から得られる腸の微生物群の付着を調査すること、及び付着した細菌群内の様々な細菌グループ(全嫌気性菌、クロストリジウム、ビフィズス菌、ラクトバシラス菌、及び糞便の腸菌群)を定量化することを含む。次いでデータを処理していわゆる接着関連プレバイオティクス指数(Adhesion Related Prebiotic Index(AR−PI))を次式:
【数1】
に従って計算する(Van den Abbeeleら、「In vitro model to study the modulation of the mucin−adhered bacterial community」、Appl.Microbiol.Biotechnol.(2009年)を参照のこと)。
【0227】
[00255]表7は、対照及び治療期間からの平均値を考慮に入れて計算したAR−PIを示す。
【表5】
【0228】
[00256]この特定の場合では、測定は1回の測定でありこれらの値は同じ式の中で比較したので、特定の統計を適用することはできない。指数の違い±1は生物学的に有意でないと考えられる。表7を考慮すると、ブレンド1(急速に発酵する)ではACでAR−PIにおける即時の効果があったが、最後の2つの結腸区画では効果がなかった。反対に、ブレンド1+はすべての結腸にわたって効果をもたらした。
【0229】
[00257]表8において、1週間の治療期間を対照期間の平均と比較することによって、治療の各週について別々にAR−PIを示す。それぞれの値において、調査された細菌グループで観察された差に関してAR−PIの変化を説明するためにさらなる情報も示す。
【表6】
【0230】
[00258]全般的な考察:式の中ではクロストリジウム菌種は陰性菌と考えられる。しかし上記で論じたように、クロストリジウムの中にはSCFA代謝に関与するいくつかの細菌がある。したがって、値が正であるか又は負であるかだけでなくどの細菌グループが強化されるかという点においてもAR−PIの値を解釈することが勧められる。
【0231】
[00259]表8に表される情報からいくつかの結論を引き出すことができる。第1に、ブレンド1は主に近位結腸で発酵し、上行結腸でAR−PIに対する効果を与えることが明らかである。第2週及び第3週の間、細菌は製品に適応し始める。また、横行結腸では細菌はブレンド1によって好ましい影響を受けるが、この効果を観察するには全治療期間を要する。ブレンド1は遠位結腸においていかなる変化も引き起こさなかった。ブレンド1+は恐らくよりバランスがとれておりより発酵性の低い処方物である。そのため、これはすべての結腸にわたって効果を与える。数値は常に負であり、これは主にクロストリジウムの増加及びそれと並行したビフィズス菌の減少と相関する。
【0232】
[00260]これらのすべての分析はプレートカウントを用いて特定のグループについて行った。発明者らは接着性試験の一部として管腔の内容物もプレートカウントによって分析したので、これらのデータも利用できる。したがって、分析の第2の成果は管腔のクロストリジウム及び大腸菌群の含量を定量化することでもある。これらのデータを表9に報告する。
【0233】
【表7】
【0234】
[00261]全体として、ブレンド1は治療の第1週の間にクロストリジウム及び大腸菌群の両方が近位結腸で増加することを引き起こした(ACでの大腸菌群を除く)が、治療期間の最後には値は対照期間のものと同等か又はそれよりも低い。下行結腸は影響を受けなかった(これはブレンド1が主に結腸の第1の部分で発酵するという事実に従う)。ブレンド1+は治療の最後で上行結腸におけるクロストリジウムを除いてクロストリジウム及び大腸菌群の全般的な減少を引き起こした。
【0235】
結論
[00262]両ブレンドは十分に発酵し、毒性のアンモニウム産生の減少をもたらした。すべての結腸の部分の酸性化及びより緩やかなガス産生によって示されるように、FOS及びイヌリンをAGによって部分的に置き換える(ブレンド1+)ことが、近位結腸での強い発酵から結腸全体での緩やかな発酵へと腸の発酵を変化させる。FOS及びイヌリンをAGによって置き換えることは、SCFA産生量の差を引き起こした。ブレンド1の酪酸特異的効果がより高かった。ブレンド1+はより高いプロピオン酸塩濃度を引き起こした。両ブレンドはビフィズス菌特異性を示した。FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることは、そのプレバイオティクス活性に好ましくない影響を与えない。さらに、ブレンド1+はブレンド1と比較して上行結腸でのより大きなラクトバシラス菌の増加を引き起こした。AGはFOS及びイヌリンと比較してより選択的及びより特異的に発酵する。
【0236】
[00263]科学文献によれば、FOS、OF、及びイヌリンを含むイヌリン型プレバイオティクスは上部消化管で酵素消化に耐え、その結果それらは結腸へ実質的に無傷で到達し細菌発酵を受ける。これらの製品はいくつかの報告によれば主にビフィズス菌特異的であるが、ラクトバシラス菌の成長も刺激され得る。それらが他の腸の生物に与える影響はより一貫性が低い。生理的な観点から、これらの食物繊維は広範囲の嫌気性細菌(主にビフィズス菌及びバクテロイデス門)によって近位結腸でかなりの程度まで発酵し、これは細菌バイオマスの増加、糞便の質量の増加、結腸内pHの変化、及びSCFAの産生(主に酢酸塩、酪酸塩、及びプロピオン酸塩)の産生をもたらす。一方でAGも、結腸の無傷で到達し、ビフィズス菌及びラクトバシラス菌の数の増加並びにより高いプロピオン酸塩産生量と主に相関する。
【0237】
微生物群活性
[00264]微生物群活性に関してこの短期間の研究のいくつかの結論を下記にまとめる。
【0238】
[00265]両製品は十分に発酵し、プレバイオティクス活性の明らかな指標となる。
【0239】
[00266]両ブレンドの投与はシミュレートした結腸反応器の酸性化を引き起こし、これはSCFA産生量の増加及びより健康な腸の環境を示唆する。
【0240】
[00267](i)ブレンド1+を投与した場合にすべての結腸区画で酸性化すること、これはバッチ試験でも裏付けられた、(ii)ブレンド1+を投与した場合(バッチ試験)にガス産生がより低くより緩やかであること、及び(iii)ブレンド1を投与すると上行結腸での乳酸塩濃度がより高いことから示されるように、FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることが、腸の発酵プロファイルを近位結腸での強い発酵から結腸全体でのより緩やかな発酵へと変化させる。
【0241】
[00268]FOS及びイヌリンをアカシアゴムによって部分的に置き換えることが、細菌のSCFA産生量の差を引き起こした。ブレンド1の酪酸特異的効果はブレンド1+よりも高かったが、一方ブレンド1+はより高いプロピオン酸塩濃度を示した(必ずしも統計によって裏付けられていないが)。これは、両ブレンドはSCFA産生の点で非常に好ましい効果を有していたが(酪酸塩及びプロピオン酸塩は健康に有益と考えられる)、特異的な発酵プロファイルは特定のブレンドの組成に依存していたことを示す。
【0242】
[00269]2つの製品の良好な発酵並びにより高い糖分解代謝も、治療期間中のアンモニウム産生量の減少によって裏付けられ、製品間で統計的な差はない。
【0243】
微生物群組成
[00270]微生物群組成に関するこの短期間の研究のいくつかの結論を下記にまとめる。全細菌、ビフィズス菌、ラクトバシラス菌、ファーミキューテス門、及びバクテロイデス門をモニタリングするために、qPCRを培養に依存しない方法として使用した。
【0244】
[00271]両ブレンドはビフィズス菌特異性を示した。ブレンド1によって引き起こされるビフィズス菌の増加はブレンド1+よりも統計的に高いが、アカシアゴムによって部分的に置き換えるとやはりビフィズス菌を増加させ、この置き換えがそのプレバイオティクス活性に好ましくない影響を与えないことを裏付けた。さらに、ブレンド1+はブレンド1と比較して上行結腸でのラクトバシラス菌のより大きな増加を引き起こした。
【0245】
[00272]治療の第1週の間にブレンド1+について上行結腸での全細菌の減少が観察できた。この減少は主に、同じ結腸区画における優性のファーミキューテス門及びバクテロイデス門の減少と相関がある。これはアカシアゴムがFOS及びイヌリンと比較してより選択的及びより特異的に発酵すること、及び細菌がブレンド1+に適応するのにより長い時間を要するという事実によって説明することができた。
【0246】
[00273]さらに、両ブレンドによる長期の治療は、治療の最後にクロストリジウム及び大腸菌群の減少を引き起こした(ブレンド1+>ブレンド1)。
【0247】
粘膜関連微生物群
[00274]ブレンド1は主に近位結腸で発酵し、上行結腸でAR−PIにおける即時の効果を与える。第2週及び第3週の間、細菌は製品に適応し始める。横行結腸においても細菌は影響を受けたが、この効果を観察するのに全治療期間を要する。下行結腸では効果が見られなかった。したがって、ブレンド1+は恐らくよりバランスがとれておりより発酵が難しい処方物である。そのため、これはすべての結腸にわたって影響を与える。
【0248】
[00275]一般に、両ブレンドはプレバイオティクス活性を示すことが理解できる。健康に有益なSCFA、プロピオン酸塩、及び酪酸塩の産生量の増加、腸の酸性化、並びにラクトバシラス菌及びビフィズス菌の両方の刺激によって示されるように、FOS及びイヌリンをAGによって部分的に置き換えることは、ブレンド1+の潜在能力を低下させなかった。対照的に、ブレンド1+はより緩やかに、シミュレートされた結腸の全体にわたって酸性化させた。
【0249】
[00276]本明細書に記載の本発明の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正は当業者に明らかであろうことが理解されるべきである。そのような変更及び修正は、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱せずに、かつその意図する利点を損なわずに行うことができる。したがってそのような変更及び修正が添付の特許請求の範囲によって網羅されることを意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約35〜約44重量%の量のフラクトオリゴ糖(FOS)と、部分加水分解グアーガム(PHGG)ではない約38重量%〜約50重量%の量で存在する多糖と、12〜24重量%の量のイヌリンとを含み、FOS及び多糖が62:38〜38:62の重量比で存在し、FOS及びイヌリンが82:18〜58:42の重量比で存在する、個体に投与するための栄養組成物。
【請求項2】
多糖がアカシアゴム(「AG」)である、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項3】
FOS及び多糖が約55:45〜約45:55の重量比で存在する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項4】
FOS及びイヌリンが約76:24〜約64:36の重量比で存在する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項5】
多糖がアラビノガラクタンであり、FOSが1.5〜5.5g/Lの量で存在し、アラビノガラクタンが約2.5〜5.5g/Lの量で存在し、イヌリンが約0.5〜2.5g/Lの量で存在する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項6】
10g/LまでのPHGGをさらに含む、請求項5に記載の栄養組成物。
【請求項7】
個体の消化機能を高めるのに有効な量で少なくとも1つの不溶性繊維をさらに含み、少なくとも1つの不溶性繊維がダイズ繊維、エンドウ外皮繊維、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項8】
可溶性繊維及び不溶性繊維が約1.5:1〜約1:1.5の比で存在し、FOS及びAGが約2.5〜3.5g/Lの総量で存在し、イヌリンが約1.25〜1.75g/Lの量で存在し、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維がそれぞれ約3.25〜4.25g/Lの量で存在する、請求項7に記載の栄養組成物。
【請求項9】
可溶性繊維及び不溶性繊維がそれぞれ約1.25:1及び約1:1.25の比で存在する、請求項8に記載の栄養組成物。
【請求項10】
抗酸化剤、魚油、DHA、EPA、ビタミン、ミネラル、植物栄養素、タンパク質、脂肪、プロバイオティクス、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項11】
腸内微生物叢バランス及び健康を促進する方法であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の栄養組成物の有効量を、そのような治療を必要とする個体に投与するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、胃腸系障害を引き起こす様々な医療に対する患者の耐性の改善であり、そのような治療が、放射線治療、化学療法、胃腸手術、麻酔、抗生物質、鎮痛薬の投与、又は下痢の治療を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、より良好な追いつき成長など、全身的な利益を子供にもたらすことである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記全身的な利益をもたらすことが、子供における追いつき成長である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、そのような処方物のより高い耐容性によって患者が許容可能な栄養レベル及び摂食目標を実現し、そのようにして摂食要件のコンプライアンスを向上させ、合併症を減少させることを可能にしながら、そのような患者の入院期間を短縮することである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記減少させる合併症が、下痢、便秘、胃食道逆流、逆流、嘔吐、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、個体の免疫系を刺激することである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記刺激された免疫系がGALT機能の改善を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記刺激された免疫系がsIgAレベルの増加を含み、Th1/Th2の均衡をもたらす、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記刺激された免疫系が、個体が病気に抵抗する能力を高める、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、臓器移植耐性を改善することであり、前記栄養組成物が、独特の上方制御をもたらす特定のコロニー形成を与える、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記上方制御が、除脂肪体重の減少を引き起こす炎症性サイトカインの減少を引き起こす、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記上方制御が、GLP−1及びGLP−2を介して、インスリン放出の減少を引き起こす、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記上方制御がTH1/TH2の不均衡の減少をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、骨の運動性並び骨成長を改善する又は骨分解を防ぐ機能を強化するように、それを必要とする患者の骨成長を改善する又は骨分解を防ぐことである、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、個体の腸管及び結腸におけるビタミン、ミネラル、栄養分、及びそれらの組み合わせの吸収を増加させることである、請求項11に記載の方法。
【請求項27】
筋肉の成長を助ける、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
筋肉量の欠乏を防ぐ、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
病後又は負傷後の筋肉量の回復を改善する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、胃腸管によって生成されるか又は胃腸管によって調整されるホルモンを調節することであり、ホルモンを調節することが、炎症ホルモンを個体において減少させること、個体の幸福感を高めること、セロトニンを増加させること、セロトニンが個体の睡眠パターンの改善をもたらすこと、セロトニンが個体の睡眠の質の向上をもたらすこと、セロトニンが食欲の正常化をもたらすこと、セロトニンが鬱病の減少をもたらすこと、認知力を改善すること、TH1/TH2の不均衡の減少、TH1/TH2の不均衡の減少がぜんそく発生の減少をもたらすこと、TH1/TH2の不均衡の減少が中耳炎の減少をもたらすことのうちの少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項31】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、患者の結腸における酪酸塩の産生を増加させることであり、請求項1〜10のいずれか一項に記載の栄養組成物の有効量を患者に投与して、AGを含有しない処方物と比較して酪酸塩の産生を増加させて、結腸における細胞増殖を生じさせて、結腸のpHを低下させて、病原性細菌の成長を阻害するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項32】
前記酪酸塩の産生が、患者の腸バリアの保護を助ける抗炎症性の利点、より良好なミネラルの吸収、胃腸の通過時間の正常化、下痢の減少のうち少なくとも1つをもたらす、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、健康管理にかかる費用の減少をもたらし、前記健康管理にかかる費用の減少が、病院に滞在する長さの減少、介護施設に滞在する長さの減少、合併症の減少、下痢の発生の減少、便秘の発生の減少、憩室炎の発生の減少、又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つによるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項34】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、有益な細菌が優勢である微生物叢バランスの経時的に持続した移行である、請求項11に記載の方法。
【請求項35】
前記有益な細菌がビフィズス菌、ラクトバシラス菌、又はビフィズス菌及びラクトバシラス菌である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
病原体を減少させる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
病原体がクロストリジウム(Clostridia)である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
遠位結腸においてクロストリジウムを減少させる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、結腸全体にわたった、発酵の持続、短鎖脂肪酸の産生、下行結腸における炭水化物発酵の持続及びタンパク質発酵の減少をもたらす上行結腸から下行結腸への糖分解発酵の移行、又はそれらの組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【請求項40】
より良好な栄養分の再吸収、水分の再吸収、又は電解質の再吸収、又はそれらの組み合わせがある、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
腸の規則性の改善、便秘の改善、下痢の改善、過敏性腸症候群の改善、クローン病の改善、潰瘍性大腸炎の改善、又はそれらの組み合わせがある、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
重要な短鎖脂肪酸、酪酸塩、プロピオン酸塩、又はそれらの組み合わせの産生がある、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
結腸の全長にわたって、pHの低下、結腸細胞に好ましい基質、結腸細胞へのより良好な栄養分の提供がある、請求項39に記載の方法。
【請求項1】
約35〜約44重量%の量のフラクトオリゴ糖(FOS)と、部分加水分解グアーガム(PHGG)ではない約38重量%〜約50重量%の量で存在する多糖と、12〜24重量%の量のイヌリンとを含み、FOS及び多糖が62:38〜38:62の重量比で存在し、FOS及びイヌリンが82:18〜58:42の重量比で存在する、個体に投与するための栄養組成物。
【請求項2】
多糖がアカシアゴム(「AG」)である、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項3】
FOS及び多糖が約55:45〜約45:55の重量比で存在する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項4】
FOS及びイヌリンが約76:24〜約64:36の重量比で存在する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項5】
多糖がアラビノガラクタンであり、FOSが1.5〜5.5g/Lの量で存在し、アラビノガラクタンが約2.5〜5.5g/Lの量で存在し、イヌリンが約0.5〜2.5g/Lの量で存在する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項6】
10g/LまでのPHGGをさらに含む、請求項5に記載の栄養組成物。
【請求項7】
個体の消化機能を高めるのに有効な量で少なくとも1つの不溶性繊維をさらに含み、少なくとも1つの不溶性繊維がダイズ繊維、エンドウ外皮繊維、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項8】
可溶性繊維及び不溶性繊維が約1.5:1〜約1:1.5の比で存在し、FOS及びAGが約2.5〜3.5g/Lの総量で存在し、イヌリンが約1.25〜1.75g/Lの量で存在し、ダイズ繊維及びエンドウ外皮繊維がそれぞれ約3.25〜4.25g/Lの量で存在する、請求項7に記載の栄養組成物。
【請求項9】
可溶性繊維及び不溶性繊維がそれぞれ約1.25:1及び約1:1.25の比で存在する、請求項8に記載の栄養組成物。
【請求項10】
抗酸化剤、魚油、DHA、EPA、ビタミン、ミネラル、植物栄養素、タンパク質、脂肪、プロバイオティクス、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項11】
腸内微生物叢バランス及び健康を促進する方法であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の栄養組成物の有効量を、そのような治療を必要とする個体に投与するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、胃腸系障害を引き起こす様々な医療に対する患者の耐性の改善であり、そのような治療が、放射線治療、化学療法、胃腸手術、麻酔、抗生物質、鎮痛薬の投与、又は下痢の治療を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、より良好な追いつき成長など、全身的な利益を子供にもたらすことである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記全身的な利益をもたらすことが、子供における追いつき成長である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、そのような処方物のより高い耐容性によって患者が許容可能な栄養レベル及び摂食目標を実現し、そのようにして摂食要件のコンプライアンスを向上させ、合併症を減少させることを可能にしながら、そのような患者の入院期間を短縮することである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記減少させる合併症が、下痢、便秘、胃食道逆流、逆流、嘔吐、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、個体の免疫系を刺激することである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記刺激された免疫系がGALT機能の改善を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記刺激された免疫系がsIgAレベルの増加を含み、Th1/Th2の均衡をもたらす、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記刺激された免疫系が、個体が病気に抵抗する能力を高める、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、臓器移植耐性を改善することであり、前記栄養組成物が、独特の上方制御をもたらす特定のコロニー形成を与える、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記上方制御が、除脂肪体重の減少を引き起こす炎症性サイトカインの減少を引き起こす、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記上方制御が、GLP−1及びGLP−2を介して、インスリン放出の減少を引き起こす、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記上方制御がTH1/TH2の不均衡の減少をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、骨の運動性並び骨成長を改善する又は骨分解を防ぐ機能を強化するように、それを必要とする患者の骨成長を改善する又は骨分解を防ぐことである、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、個体の腸管及び結腸におけるビタミン、ミネラル、栄養分、及びそれらの組み合わせの吸収を増加させることである、請求項11に記載の方法。
【請求項27】
筋肉の成長を助ける、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
筋肉量の欠乏を防ぐ、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
病後又は負傷後の筋肉量の回復を改善する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、胃腸管によって生成されるか又は胃腸管によって調整されるホルモンを調節することであり、ホルモンを調節することが、炎症ホルモンを個体において減少させること、個体の幸福感を高めること、セロトニンを増加させること、セロトニンが個体の睡眠パターンの改善をもたらすこと、セロトニンが個体の睡眠の質の向上をもたらすこと、セロトニンが食欲の正常化をもたらすこと、セロトニンが鬱病の減少をもたらすこと、認知力を改善すること、TH1/TH2の不均衡の減少、TH1/TH2の不均衡の減少がぜんそく発生の減少をもたらすこと、TH1/TH2の不均衡の減少が中耳炎の減少をもたらすことのうちの少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項31】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、患者の結腸における酪酸塩の産生を増加させることであり、請求項1〜10のいずれか一項に記載の栄養組成物の有効量を患者に投与して、AGを含有しない処方物と比較して酪酸塩の産生を増加させて、結腸における細胞増殖を生じさせて、結腸のpHを低下させて、病原性細菌の成長を阻害するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項32】
前記酪酸塩の産生が、患者の腸バリアの保護を助ける抗炎症性の利点、より良好なミネラルの吸収、胃腸の通過時間の正常化、下痢の減少のうち少なくとも1つをもたらす、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、健康管理にかかる費用の減少をもたらし、前記健康管理にかかる費用の減少が、病院に滞在する長さの減少、介護施設に滞在する長さの減少、合併症の減少、下痢の発生の減少、便秘の発生の減少、憩室炎の発生の減少、又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つによるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項34】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、有益な細菌が優勢である微生物叢バランスの経時的に持続した移行である、請求項11に記載の方法。
【請求項35】
前記有益な細菌がビフィズス菌、ラクトバシラス菌、又はビフィズス菌及びラクトバシラス菌である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
病原体を減少させる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
病原体がクロストリジウム(Clostridia)である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
遠位結腸においてクロストリジウムを減少させる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記腸内微生物叢バランス及び健康の促進が、結腸全体にわたった、発酵の持続、短鎖脂肪酸の産生、下行結腸における炭水化物発酵の持続及びタンパク質発酵の減少をもたらす上行結腸から下行結腸への糖分解発酵の移行、又はそれらの組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【請求項40】
より良好な栄養分の再吸収、水分の再吸収、又は電解質の再吸収、又はそれらの組み合わせがある、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
腸の規則性の改善、便秘の改善、下痢の改善、過敏性腸症候群の改善、クローン病の改善、潰瘍性大腸炎の改善、又はそれらの組み合わせがある、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
重要な短鎖脂肪酸、酪酸塩、プロピオン酸塩、又はそれらの組み合わせの産生がある、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
結腸の全長にわたって、pHの低下、結腸細胞に好ましい基質、結腸細胞へのより良好な栄養分の提供がある、請求項39に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【公表番号】特表2013−510865(P2013−510865A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538966(P2012−538966)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/056321
【国際公開番号】WO2011/060123
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/056321
【国際公開番号】WO2011/060123
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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