腸管免疫賦活化剤及び抗アレルギー剤

【課題】新規な腸管免疫賦活化剤並びに腸管免疫賦活作用に基づく抗アレルギー剤を提供する。
【解決手段】白甘藷、好ましくは白甘藷の皮及び/又は塊根を有効成分として、あるいは白甘藷又はその皮部若しくはその塊根の抽出物、具体的にはβ1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量10万〜20万、好ましくは13〜15万程度のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6であるアラビノガラクタンを有効成分とする。
【解決手段】白甘藷、好ましくは白甘藷の皮及び/又は塊根を有効成分として、あるいは白甘藷又はその皮部若しくはその塊根の抽出物、具体的にはβ1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量10万〜20万、好ましくは13〜15万程度のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6であるアラビノガラクタンを有効成分とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は腸管免疫賦活化剤、さらには、IgAの産生促進やIL−6の分泌促進に影響を与える腸管免疫系を賦活する新規な医薬組成物、食品組成物及び腸管免疫賦活作用に基づく抗アレルギー用の医薬組成物、食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人間を含め動物には、体内への病原菌やウイルス等の侵入、若しくはガンの発生に対しそれらを認識、排除しようとする防衛システムが備わっている。しかしながら、加齢やストレス、偏食等によってこの防衛システム(免疫)は次第に低下してくる。その結果、種々の疾病に罹病しやすくなる。事実、インフルエンザ、肺炎をはじめとする感染症だけでなく、ガンの罹病率についても、免疫力の低下した高齢者に多く認められる。
【0003】
免疫に関わる組織には、骨髄、胸腺、脾臓、扁桃等が挙げられるが、近年最も注目されているのが小腸(腸管)である。腸管は、これまで消化吸収器官と考えられてきたが、免疫系に関して言えば、全身のリンパ球の60%以上、更に抗体全体の60%がこの腸管にて作られていることなどが明らかになっている。これらの事実からも、腸管における免疫系の重要性が伺える。
【0004】
常に大量の異物(抗原)と直接接触する腸管の粘膜には、局所粘膜免疫系が存在しており、分泌型IgAにより抗原の侵入を阻止する。この局所粘膜免疫系は腸管腔と接している小腸上皮細胞とその細胞層に存在する小腸上皮内リンパ球(IEL)及び小腸上皮細胞層下にある粘膜固有層とその層に存在する粘膜固有リンパ球(LPL)並びにパイエル板とから構成されている。この中での重要な役割を担うのが、パイエル板、腸管膜リンパ腺などの腸管関連リンパ組織(gut-associated lymphoid tissue;GALT)である。パイエル板は小腸上皮細胞層下に存在する。小腸上皮細胞は、微絨毛が発達して膜消化が行われる円柱上皮細胞と、微絨毛がほとんどなく消化吸収には関与しないM細胞とからなるが、M細胞はパイエル板を覆う上皮細胞層中に存在する。M細胞は可溶性抗原、バクテリア、ウイルス様々な物質を腸管腔から取り込み、これらを分解せずに下層のリンパ性細胞へ輸送することが知られている。詳しくは、このM細胞が抗原をパイエル板に取り込み、その取り込まれた抗原がマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞によってB細胞、T細胞に提示される。そして、活性化されたB細胞及びT細胞が腸管、上気道などの粘膜固有層、あるいは唾液腺などの粘膜関連リンパ組織に到達し、サイトカイン(IL-5、IL-10など)類の誘導を通じてIgAが産生される。そして、この産生されたIgAが各粘膜組織から再度侵入してきた抗原やバクテリア、ウイルスなどの生体異物を排除する。また、局所粘膜免疫を突破して体内に侵入した異物は、M細胞に取り込まれた後下層のリンパ性組織に輸送され、脾臓を中心とした全身性免疫組織において産生される抗体により排除されることになる。
【0005】
こうしたことから、種々の疾病予防をするには、まず粘膜免疫を突破させない様に腸管免疫系を正常な状態に保つこと、あるいは活性化させることが重要ではないかと考えられる。しかしながら、加齢をはじめとし生活環境など日常生活を送る中で日々自覚しがたい変化により影響を受けることから免疫調節や免疫能力の管理は非常に困難であるのも事実である。そこで、容易に摂取可能である食品を通し日常の食生活の中で、これら免疫系を上手く調節しうる、更には副作用の心配のない安全性の高い素材の開発が望まれる。
【0006】
このような状況下、市場には多くの免疫賦活作用を謳った健康食品が展開されている。これらの中で多糖類を含む糖質を主成分としたものとして、例えば特開2006−137719号公報(特許文献1)には、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物が産生するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む腸管免疫活性化剤が、また、特開2005−239571号公報(特許文献2)には、茶多糖類を有効成分とする抗体(IgA)産生誘導剤が開示されている。
【0007】
一方、本願出願人らは、抗糖尿病に有効とされてきた白甘藷(カイアポイモ)に着目してきたところ、新規な構造を有するアラビノガラクタンがその活性本体であることを突き止め、特許出願している(特許文献3)。これまでに、カラマツ由来のアラビノガラクタンが免疫賦活作用を有することが報告されているが(非特許文献1)、腸管免疫作用についての報告はない。
【特許文献1】特開2006−137719号公報
【特許文献2】特開2005−239571号公報
【特許文献3】WO2005/105852号公報
【非特許文献1】Linda S. Kim et al., Altern Med Rev., 7(2)138-149, 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は新規な腸管免疫賦活化剤並びに腸管免疫賦活作用に基づく抗アレルギー剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者らは、鋭意研究を進めたところ、白甘藷由来のアラビノガラクタンが腸管免疫賦活作用を示すことを突き止め、本発明を完成するに至った。つまり、本発明は白甘藷、好ましくは皮又は塊根から抽出されるアラビノガラクタンを有効成分として腸管免疫賦活化剤又は抗アレルギー剤として使用するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると新規な腸管免疫賦活化を有する医薬組成物や食品組成物が提供され、腸管免疫作用の低下による各種疾患、例えばアレルギーの治療や予防に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の腸管免疫賦活化剤及び抗アレルギー剤は、白甘藷、好ましくは白甘藷の皮、塊根、好ましくはアラビノガラクタンを含む白甘藷、白甘藷の皮、塊根から得られる抽出物、さらには抽出されたアラビノガラクタンを有効成分とするものである。
【0012】
白甘藷は、その学名をIpomoea Batatas spといい、さつま芋(ヒルガオ科の草本Ipomoea Batatas Poiret)の一種であり、別名「シモン芋」「カイアポ芋」「白サツマイモ」などと称される場合もある。本発明においては、白甘藷全体、好ましくは皮若しくは塊根をそのままあるいは乾燥させ、さらに粉末にしたものを用いてもよいが、好ましくは水等の各種抽出溶媒を用いた抽出物として用いられる。本発明における腸管免疫賦活作用を示す物質はアラビノガラクタンと考えられるので、アラビノガラクタンが含まれるように適宜抽出溶媒が選択される。アラビノガラクタンは水溶性多糖の一種であるので、他の水溶性多糖類の抽出と同様に水系の抽出溶媒が主として用いられる。抽出溶媒には水が最も好ましく、エタノールなどの低級アルコール(C1〜C4)、アセトンなどの親水性溶媒を用いてもよく、また水にこのような親水性溶媒を加えた混合物でもよい。抽出時には適宜、加温加熱してもよい。抽出方法も特に限定されるものではない。例えば、ジューサーやミキサ等にかけて破砕・搾汁し、その後遠心分離法やろ過等により不溶物を除去する。また、一度抽出した残渣に再度抽出溶媒を加えて、先の抽出液に加えてもよい。これらは、多糖類の一般的な抽出方法であって、多糖類の抽出に用いられる公知の方法が用いられる。また、抽出物は、白甘藷の全体の抽出物であっても、白甘藷の葉や地上茎、塊根などその一部分を用いた抽出物でもよいが、抽出効率の観点からは皮部のみ又は塊根のみを抽出の対象とするのが好ましい。抽出物は前記抽出溶媒で抽出した抽出物をそのまま有効成分として用いても差し支えないが、さらに液液抽出、液固抽出やイオン交換クロマトグラフィやゲルろ過クロマトグラフィなど、例えば図1に示した精製方法などにより精製が加えられた粗精製物として用いてもよいのは言うまでもない。また、本発明における白甘藷は、天然(自然)で採取されあるいは栽培された白甘藷を意味するが、本発明におけるアラビノガラクタンは、こうした天然で採取等された白甘藷から抽出されたアラビノガラクタンのみならず、本発明の作用効果を発揮する限りにおいて培養細胞由来のアラビノガラクタンも含まれることを意味する。
【0013】
アラビノガラクタンは種々の構造のものが知られているが、白甘藷由来のアラビノガラクタンは図2の基本骨格を有している。なお、本発明で用いられるアラビノガラクタンは、特許文献3に開示されたアラビノガラクタンと同一の化学構造を有するものである。このアラビノガラクタンは、ガラクトースがβ1,6結合した糖鎖からなり、β1,3結合によって高度に枝分かれした基本骨格を有する。すなわち、ガラクトースがβ1,6結合した主鎖に対して、ガラクトースがβ1,6結合したオリゴ糖若しくはガラクタンがβ1,3結合した側鎖を多数有し、またこの側鎖に対してガラクトースがβ1,6結合したオリゴ糖若しくはガラクタンがβ1,3結合した側鎖を有するというように、ガラクトースがβ1,6結合した糖鎖がβ1,3結合によって複雑に分岐した骨格を有している。その結果、比較的かさ高な構造を有するものとなり、この点においてガラクトースよりなる直線状の糖鎖を主鎖とする従来のアラビノガラクタンとは著しく異なる特徴を有している。
【0014】
もう少し具体的に説明すると、本発明の有効成分であるとされるアラビノガラクタンは、図2に示すような基本骨格に対して、図3(A)(B)に示すように3種の側鎖(1)(2)(3)が結合している。側鎖(1)は末端αAraf、側鎖(2)は2個のアラビノフラノースがα1,5結合したオリゴ糖(αAraf(1→5)αAra(1→)、側鎖(3)はラムノースがグルクロン酸にα1,4結合したオリゴ糖(αRha(1→4)βGlcUA(1→)であって、側鎖(1)(2)はそれぞれ上記骨格を構成するガラクトースに対してβ1,3結合し、側鎖(3)はグルクロン酸が上記骨格を構成するガラクトースに対してβ1,6結合している。
【0015】
側鎖(1)(2)(3)の結合位置やガラクトース糖鎖の分岐位置は不詳であるが、上記骨格を構成するGalの約65〜75%に側鎖(1)または側鎖(2)が結合し、上記骨格を構成するガラクトースの5〜10%に側鎖(3)が結合していると考えられる。なお、側鎖(1)(2)(3)のGalへの結合比率はこの範囲から外れるものも考えられる。つまり、その結合比率は目安であって、得られたアラビノガラクタンの結合比率がこの範囲を外れたとしても、上記基本骨格及び上記側鎖(1)(2)(3)並びに下記に示す平均分子量を有してさえいれば、本発明のアラビノガラクタンと同一の物質であると考えてよい。
【0016】
このアラビノガラクタンの構成糖比は、実測によるとラムノース:アラビノース:ガラクトース:グルクロン酸=1.2:6.7:14.1:1.0であって、おおよそラムノース:グルクロン酸=1:1、アラビノース:ガラクトース=1:2、ラムノース:アラビノース=1:5〜6である。その測定方法等については、特許文献3が参照される。
【0017】
これらのことから本発明では、β1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量10万〜20万、好ましくは13万〜20万、さらに好ましくは13万から15万のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6のアラビノガラクタンが好適に用いられる。もっとも、このような構造を有するものであれば、白甘藷及びその近縁植物から得られたものに限られるものではない。なお、培養細胞で得られたアラビノガラクタンは、天然由来のアラビノガラクタンに比べて、アラビノース側鎖(前記(1)又は(2)の結合様式)が短いか若しくは結合量が少なく、分子量が小さい。そのために腸管免疫賦活作用が弱くなることもある。また、1H−NMRにおいて、培養細胞由来のアラビノガラクタンでは、5ppmピークと4.8ppmピークの積分比が天然由来のアラビノガラクタンに比べて小さくなり、その積分比が3:0.3以下のものは活性が弱く、好ましくはその強度比が3:2.0〜3:0.5さらに好ましくは3:2.0〜3:1.0程度のものが用いられる。
【0018】
本発明における腸管免疫賦活化剤は、腸管における免疫系の活性化を図るために用いられることを意図するものであって、特に腸管免疫賦活が低下しているヒトに好適に用いられるが、病的なまでに低下しているヒトはもちろんのこと、健常状態にあるヒトを適用対象から排除されるものではない。すなわち、腸管免疫の低下による病的な状態を改善するのみならず、健常状態を維持する目的でも使用されうるものである。
【0019】
また、腸管免疫系は、上記のごとく、パイエル板などの腸管関連リンパ組織を通じて、リンパ球の産生やサイトカイン(IL-5、IL-10など)類の誘導、IgAの産生を促進する機能を有する。そして、この産生されたIgAが各粘膜組織から再度侵入してきた抗原を排除し、局所粘膜免疫を突破して体内に侵入した異物が産生される抗体により排除されることを促進する。特に本発明のアラビノガラクタンは、IL−6の産生促進が遺伝子の発現レベルにおいて確認されており、IL−6の産生促進剤やIgAの産生促進剤として利用することができる。
【0020】
本発明の抗アレルギー剤は、このような腸管免疫賦活作用を通じた全身性の免疫系の賦活化を図るために用いられることを意図する。例えば、腸管免疫賦活作用によりIgAの産生が促進されることより、腸管から吸収される抗原の排除が促進される。従って、腸管から吸収される抗原により引き起こされる各種のアレルギー症状、例えば鼻水、目のかゆみ、湿疹、肌あれなどの症状の緩和効果が期待される。このようなアレルギーとして食物アレルギーが代表例とされるが、食物アレルギーに限らず、鼻粘膜から吸収される抗原、例えば各種の花粉などのアレルギーにも効果が期待される。もちろん、各種のアレルゲンに起因するアレルギーのみならず、原因不明のアレルギー症状や免疫系の低下による各種疾病にも適用が想定される。また、免疫が病的な状態にまで低下してアレルギー症状を呈する前に、本発明のアラビノガラクタンを摂取しておくことにより、腸管免疫系の活性を維持し、こうしたアレルギー症状を未然に防止することにも貢献できるものと考えられる。
【0021】
本発明の腸管免疫活性剤及び抗アレルギー剤は、白甘藷、その皮部、塊根、抽出物あるいは化合物としてのアラビノガラクタンとしてそのまま提供されるが、通常は実質的に無毒である製剤学的又は衛生上許容される各種の担体や添加剤と共に医薬組成物、食品組成物として提供される。なお、ここにおいて、実質的に無毒とはヒト(その他の動物等摂取が想定される動物等を含む)が摂取しても好ましくない作用が発揮されず、腸管免疫賦活作用を低減するおそれのないことを意味する。
【0022】
本発明の医薬組成物には、例えば錠剤や散剤、カプセル剤、内服液剤、注射剤、軟膏、クリーム剤など適宜ヒトをはじめとする動物に提供可能な剤型が例示される。このような組成物に利用できる担体としては、例えば、コーンスターチなどの各種デンプン、ラクトース、結晶セルロース、デキストロース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、ゼラチン、アラビアゴム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの賦形剤、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、スクロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、安息香酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リン酸、塩酸などの適当な有機酸・無機酸又はそのアルカリ金属(例えばナトリウム又はカリウム)塩などのpH調整剤、着香剤、矯臭剤、着色剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などが例示される。また、さらに適当なビタミン、ミネラル、糖類、他の薬効成分など他の主薬、佐薬となる成分を添加してもよい。
【0023】
本発明の食品組成物は、一般的に食品として観念される組成物だけでなく、いわゆる健康食品と称させるように医薬品に類似させた組成物を含む意味で用いられる。例えば、液状、ペースト状、固形、粉末等の形態を問わず、各種既存の食品(加工乳、乳飲料、清涼飲料、ヨーグルト、チーズ、パン、ビスケット、クラッカー、アイスクリーム、キャンディ、ガム、流動食、病者用食品、幼児用粉乳等食品、冷凍食品、加工食品その他の市販食品等)に有効成分を添加したものの他、経腸栄養剤などのように各種タンパク質(カゼイン、ホエイタンパク質、ラクトグロブリン、大豆タンパク質、鶏卵タンパク質、肉タンパク質等の動植物性タンパク質やレシチン、大豆タンパクなど植物性タンパク質など)、各種糖質(グルコースやフラクトース等の単糖類、ショ糖などの二糖類、キシリトースやグリセリンなどの多価アルコール、デキストリン、加工澱粉(デキストリンのほか、可溶性澱粉)、食物繊維などの多糖類など)、各種脂質(ラード、魚油等、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の動物性油脂や、大豆油、ヤシ油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の植物性油脂など)、各種ビタミン(ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸など)や各種ミネラル(カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレンなど)の各種栄養素や、有機酸(酸味付与剤:リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸など)その他の矯臭剤等を任意の割合で混合したものも含まれる。
【0024】
また、食品組成物は、腸管免疫活性を高め、あるいは腸管免疫作用の維持、アレルギーの症状緩和を図ることを目的とし、その旨を標榜、表示したいわゆる健康食品や特定保健用食品(機能性食品とも称される)としても提供されうる。なお、特定保健用食品とは、特定の機能や効能を標榜可能にまで本発明の有効成分が配合若しくは含有されている食品、または健康への効用をしめす表現を具体的に表示することが公に許可された食品を意味する。
【0025】
本発明の有効成分であるアラビノガラクタンの1回摂取量は、その症状、体重、用途などによっても異なるが、概ね成人ヒトの場合、0.1μg〜100mgが目安である。また、医薬組成物、食品組成物への配合量も、剤型や形態、投与対象の症状、体重などによっても異なり特定されるものではないが、概ね、0.001〜100w/w%であり、好ましくは0.01〜50w/w%、より好ましくは0.01〜10w/w%程度である。
【0026】
次に下記実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
〔白甘藷皮由来アラビノガラクタンの調製方法〕
白甘藷皮由来アラビノガラクタンは、図4に示す精製工程を経ることにより得られた。その詳細は次の通りである。まず、白甘藷の皮乾燥粉末(皮破砕物)1kgに対し水10Lを加え、室温/4時間にて攪拌抽出した。得られた混合液を遠心分離(7,500rpm/30分間)により残渣を濾別した。次に、得られた抽出液を脱イオン水を用いて4℃/3日間透析を行った。透析は、商品名ダイアライシスメンブランSize36(ポアサイズ24Å、限界分子量12000〜14000Da、和光純薬工業株式会社製)の透析用チューブに前記抽出液を入れ、抽出液1Lに対し脱イオン水5〜6Lを用い、1日3回脱イオン水を交換することにより行った。そして、透析内液に生じた不溶部分は遠心分離(7,500rpm/30分間)により除去した。
【0028】
上記沈殿除去した透析内液は、エバポレータにて40℃程度で加温濃縮し、次いで約20v/v%の濃度となるようにエタノールを適量加え、4℃にて一晩静置した。生じた沈殿を遠心分離(7,500rpm/30分間)により除去した。更に、その上清にエタノールを加えてアルコール濃度を約40v/v%とし上記と同様に静置して生じた沈殿を除去した。そして、再びエタノールを加えてアルコール濃度を約60v/v%にした上で1昼夜静置後(4℃下)、その上清液を分取して濃縮後凍結乾燥して粗多糖抽出物(3.8g)を得た。
【0029】
この粗多糖抽出物についてゲルろ過クロマトグラフィ及びイオン交換クロマトグラフィを繰り返すことにより精製を行った。上記粗多糖抽出物の1w/v%水溶液(1g/100mL)を調整し、遠心分離(15,000rpm/20分間)を行い、水溶性部分を分取した。これをゲルろ過クロマトグラフィに供して、4つのフラクション(以下F1〜F4と称す)に分画した。分離は、担体にTOYOPEARL HW−65S(東ソー株式会社製:880mLを4.5×700mmカラムに充填)を、溶出液に水を用いて、流速は0.5mL/min、分取は15mL/チューブで行った。各チューブ毎にフェノール硫酸法(波長490nm)及びUV吸収(280nm)による検出を実施し、F1〜F4の4つのフラクションに分離した。その結果を図5に示す。得られたF1〜F4フラクションはそれぞれ、F1フラクション:チューブNo.19−24/濃縮質量936.7mg、F2フラクション:チューブNo.25−30/濃縮質量636.5mg、F3フラクション:チューブNo31−36/濃縮質量571.9mg、F4フラクション:チューブNo37−43/濃縮質量556.7mgであった。
【0030】
次に上記F1フラクションの抽出物について、イオン交換クロマトグラフィによる精製操作を加えた。イオン交換樹脂SuperQ−650M(東ソー株式会社製)に前記抽出物を負荷した後、リニアグラジエント溶出により分離を行った。溶出は、溶離液A:10mMリン酸緩衝液(pH7.8)、溶離液B:10mMリン酸緩衝液(1MNaCl、pH7.8)、流速は1.0mL/min、分取は15mL/チューブで行った。グラジエント溶出は、0→90分(溶離液B濃度0v/v%)、90→390分(溶離液B濃度0→50v/v%)、390→410分(溶離液B濃度50→100v/v%)にて行った。
【0031】
回収された各チューブ毎に、フェノール硫酸法(波長490nm)、及びUV吸収(280nm)による検出を実施した。その結果を図6に示す。このうち、280nm吸収が殆どない多糖溶出画分において、白甘藷皮由来のアラビノガラクタンを得た(収量900mg)。なお、この精製方法は特許文献3で開示されたアラビノガラクタンの精製方法と同一の方法である。
【0032】
〔腸管免疫活性評価〕
次に上記で得られたアラビノガラクタンについて、パイエル板細胞を介した腸管免疫刺激によってその活性を測定した。具体的には次のとおりである。
【0033】
(培養培地調製)
RPMI1640培地(L-Gln、フェノールレッド、25mMHEPES含有)(500mLボトル:GIBCO,Invitrogen社製)から25mLを抜き、非動化したFBS(大日本住友製薬社製)を終濃度5%となるように添加する(RPMI1640-FBS培養基本培地という)。次に、抗生物質(penicillin、streptomycin、amphotericinB、ナカライテスク:×100)5mL及び2-メルカプトエタノール2μLを添加し、これをパイエル板細胞及び骨髄細胞培養培地とした。
【0034】
(パイエル板細胞の採取)
C3H/HeJマウス(SPF、雌性、8週齢、日本クレア株式会社)をジエチルエーテル下において安楽死させ、クリーンベンチ内で開腹し、小腸を注意深く取り出す。その後、小腸表面に局在するパイエル板組織をPBSで洗浄し、解剖用ハサミで切り取る。小腸上皮は免疫刺激抑制的な働きを示すため、混入しないように注意する。採取したパイエル板組織を15mLチューブに分注した培養培地10mLに懸濁する。
【0035】
これとは別に予め、10cmの滅菌細胞培養用ディッシュ(FALCON社製)に70μm孔の滅菌セルストレイナー(FALCON社製)、40μm孔の滅菌セルストレイナーを入れたものを準備する。前記懸濁したパイエル組織を準備しておいたディッシュ上の70μm孔のセルストレイナーに移し、セルスクレーパー(IWAKI社製)でパイエル板細胞をこしとる。得られた細胞懸濁液をパイエル板細胞懸濁液とした。
【0036】
(骨髄細胞の採取)
C3H/HeJマウスをジエチルエーテル麻酔下で安楽死させる。次いで大腿骨を切り出し、PBSで洗浄しながら更に筋肉を切り取る。大腿骨の両端をハサミで切り落とし、23Gの針をつけたシリンジ内のRPMI1640-FBS培養基本培地で骨髄細胞を流しだす。その後、パイエル板細胞懸濁液作成法と同様の操作を行い、骨髄細胞懸濁液を得る。
【0037】
(パイエル板細胞を介した腸管免疫刺激活性測定)
被験物質として、上記で得られた白甘藷表皮及び比較対象として白甘藷培養細胞から精製したアラビノガラクタン(抽出物)並びにカラマツ由来アラビノガラクタン(以下、それぞれ皮由来AG、培養細胞由来AG、カラマツ由来AGと記す)を用いた。超純水を用いて、各被験物質を溶解し3mg/mL濃度の水溶液を作成した。これは使用直前まで−20℃にて保存し、試験時には、0.22μmの滅菌フィルターで処理したものを用いた。なお、培養細胞からのアラビノガラクタンは下記の方法にて得られたものを、またカラマツ由来のアラビノガラクタンは、市販品(Wright社製)を用いた。
【0038】
パイエル板細胞懸濁液を遠心分離(1100rpm/5分間)し、細胞沈殿が拡散しないように上清をアスピレーターで吸い取る。その後、沈殿させた細胞に氷冷下でPBS10mLを加え、細胞を再び懸濁する。同様の操作を行った後、基本培養培地5mLに細胞沈殿を再懸濁する。得られた懸濁液20〜30μLにトリパンブルーを添加して希釈液を作成し、セルカウントによりパイエル板細胞濃度を2.0×106cells/mLに調製する。
【0039】
これを60mm細胞培養用ディッシュに2.7mLずつ播種し、細胞が均一になるようにする。播種した各ディッシュに以下の表1に示す通り、滅菌水、若しくは被験物質保存溶液を添加し、全量が3mLになるように調製する。
【0040】
【表1】

【0041】
これら各ディッシュを37℃、5%CO2インキュベーターで5日間培養する。培養5日目のパイエル板細胞を15mLチューブにとり、遠心分離(2000rpm/5分間)を行い、上清を回収する。この上清を、試験サンプルの濃度ごとに96穴のマイクロプレートに50μLずつアプライする。これに非動化済みの正常ウマ血清を50μLずつ各ウェルにアプライする。一方、骨髄細胞についてはパイエル板細胞培養5日目に細胞採取を行い、1.3〜3.0×106cells/mL濃度の骨髄細胞懸濁液を調製する。これを先の各ウェルに100μlずつアプライし混合した後、更に37℃、5%CO2インキュベーターで6日間培養する。
【0042】
培養6日目に各ウェルに対し、10v/v% Alamar Blue(20μL)を添加し、37℃、5%CO2インキュベーターで5時間反応させる。反応後、蛍光プレートリーダーにより励起光544nm、検出光590nmで測定を行い、蛍光強度と検量線をもとに、骨髄細胞数を算出する。各試験物質添加群の骨髄細胞数を用い、非添加群を対照に算出した骨髄細胞増殖度を指標として腸管免疫活性作用を評価した。その結果を図7に示す。
【0043】
〔白甘藷培養細胞由来アラビノガラクタン調製方法〕
ここでは、植物体から直接カルス誘導を行い、更にカルスを液体培養物へと移行させ、得られた液体培地より目的物質であるアラビノガラクタンを回収する方法をとった。
【0044】
(カルス誘導及び培養細胞作製)
香川県仁尾産の白甘藷をプランターに移植した後、屋外にて生育させ、このツルの一部を使用しカルス誘導を行った。甘藷は、一般的に糸状菌と共生していることから、まず植物体の殺菌を以下の方法により実施した。尚、各操作は全てクリーンベンチ内にて行い、使用器具並びに培地等は全て滅菌処理したものを使用する。
【0045】
白甘藷の茎を70%エタノールに軽く浸した後に一回水でゆすいだ。次いで1%次亜塩素酸にこれを浸し、25分間スターラーで攪拌した。茎表面に気泡が見えるようであれば界面活性剤Tween20を1〜2滴加えた。その後、茎に70%エタノールを吹きつけ、クリーンベンチ内に入れた。滅菌水で数回洗った後、ろ紙に乗せ、メスで適した大きさに切り、カルス誘導培地に挿した。アルミホイル・パラフィルムで試験管にふたをし、暗所/25℃で誘導を行った。培地は、ムラシゲ・スクーグ培地用混合塩類(日本製薬製)1袋、スクロース30g、myo−イノシトール100mg、塩酸チアミン0.4mg、寒天0.8gを混合し、純水で1Lに調整した。更に水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH5.8に調整し、ABAの終濃度が2μM、Picloramの終濃度が5μMとなるように添加したものを使用した。
【0046】
カルス形成が認められるまで観察を行い、形成が認められてからは、同様の培地にて継代培養を行い(但し、シャーレ内に移行)増殖させた。更に、増殖の効率化を図るために液体培地内への移行を行った。液体培地は、これまで使用してきた培地から寒天を除いたものを用い、120rpmで振とう培養を行った。液体培地に移行してからは、1週間毎に継代培養を行った。移行開始時は、細胞サイズにバラつきも多いが継代培養を継続していき馴化完了時にはサイズは小さく揃い、安定したものになってくる。これを、培養細胞として用いることとした。
【0047】
(培養細胞由来アラビノガラクタンの調製方法)
培養細胞由来アラビノガラクタンは図8に示す精製工程を経ることにより得た。詳細は、以下の通りである。
前記の方法により得られた培養細胞を遠心回収し(1,000rpm/3分間)、100mL程度を使用した。これを液体培地1200mLと混合した後、1週間振とう培養(125rpm)を行った。その後、遠心分離により培養細胞を分離し、更に20,000×g/15分間/4℃にて不溶物を除去し、培養液を回収した。これを300mLまで濃縮を行い、透析チューブ(三光純薬製)を用いて、4℃/3日間透析を行った。透析内液は、更に30,000×g/1時間/4℃にて不溶物を除去し、得られた上清部分(400mg)を分離精製用の出発原料とした。
【0048】
回収した上清部に終濃度5%となるようにトリクロロ酢酸を添加し、攪拌後4℃/12時間静置した。その後、遠心分離(7,500rpm/30分間/4℃)により沈殿を除去し、水酸化ナトリウム水溶液にて中和した。これを透析チューブ(三光純薬製)を用いて、4℃/2日間透析を行い、培養液中に含まれる低分子成分を除去した。透析内液については、更に30,000×g/1時間/4℃処理を行い不溶部除去後、得られた上清部をイオン交換カラムに供した。イオン交換樹脂にはSuper Q−650M(東ソー株式会社製)を用いた。25mMリン酸緩衝液(pH8.0)にて平衡化後、同一緩衝液にて洗浄を行い素通りした溶出部分を除去した。その後、250mMリン酸緩衝液(pH8.0)にて目的成分を溶出させた。溶出は流速1.0mL/minで行い、15mL/チューブで溶出液を分取した。各溶出液は各チューブ毎にフェノール硫酸法(波長490nm)及びUV吸収(280nm)による検出を行った。
【0049】
250mMリン酸緩衝液溶出画分は、4℃/2日間透析による脱塩を行った後、濃縮、凍結乾燥により目的とする培養細胞由来アラビノガラクタン(200mg)を得た。
【0050】
〔試験物質の構造比較〕
白甘藷皮由来のアラビノガラクタンは、図2に示すように、その基本骨格は、β−(1→6)−ガラクタンを主鎖とする糖鎖がβ−1,3結合により高度に分岐した多糖である。側鎖として、αAraf(1→5)αAraf(1→、及びαAraf(1→が3位に結合し、末端Galの一部、若しくは全ての6位にαRha(1→4)βGlcA(1→が結合している。培養細胞由来のアラビノガラクタンもほぼ同様な構造を有すると考えられたが、図7に示すように皮由来のアラビノガラクタンとは異なる結果が得られた。そこでそれぞれのNMR分析結果(1H−NMR)を比較したところ、図9に示すように培養細胞由来アラビノガラクタンのアラビノビオースαAraf(1→5)αAraf(1→の5位に結合しているαAraf(1→のアノメリック水素に帰属されるピークが皮由来のものと比較して非常に検出レベルが小さくなっていることから、培養細胞由来アラビノガラクタンは側鎖長が短くなっており、より低分子量になっているものと考えられる。つまり、1H−NMRのスペクトルにおいて、白甘藷由来のものでは、4.8ppmにおけるピーク(積分値)が大きく、培養細胞のものでは、4.8ppmにおけるピークが小さくなっている。また、白甘藷由来のものでは4.8ppmにおけるピークが、5ppmのピークに対して1/3以上あるのに対し(実測では5ppm:4.8ppm=3:1.3)、培養細胞のものでは4.8ppmにおけるピークが5ppmのピークに対してそれよりも小さく、1/10程度(実測では5ppm:4.8ppm=3:0.3)であった。
【0051】
また、より詳細な比較を行うために、多角度光散乱検出器(MALLS)及びサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を用いて、培養細胞由来の分子量及び分子サイズを明らかにした。測定条件は以下の通りである。使用カラムはOH-pak SB-806MHQ(Shodex製)、検出器は多角度光散乱検出器MALLS HELEOS Viscostar、及び示差屈折率検出器RI-101(Shodex製)、カラム温度は室温(25℃)、移動相は100mM硝酸ナトリウム、サンプル濃度は1mg/mL(移動相で溶解)、流速は1.0mL/min、注入量は30μLで行った。なお、サンプル注入時は、シリンジにシリンジフィルター(pore size 0.2μm)を装着し、ろ過しながら注入した。その結果を図10に示す。
【0052】
図10に示す結果の通り、白甘藷皮由来アラビノガラクタンは分子量137,500、培養細胞由来アラビノガラクタンは分子量126,200という結果が得られた。共に分子量分布が狭く、高純度で均一なアラビノガラクタンであることが分かる。また、培養細胞由来アラビノガラクタンはより低い数値が検出されたことから、前述の通り白甘藷皮由来アラビノガラクタンと酷似した構造を有するもののアラビノース側鎖が短いと考えられる。
【0053】
一方、カラマツ由来アラビノガラクタンは、白甘藷皮由来及び培養細胞由来アラビノガラクタンとは構造のタイプが異なり、β−(1→3)−ガラクタンが主鎖となっており、側鎖はガラクトースの6位にβArap(1→3)Araf(1→、αAraf(1→3)Gal(1→及びβGal(1→6)Gal(1→、4位にβGal(1→6)Gal(1→などが結合した鎖状構造を有し、分子量は1〜12万である(G.R. Ponder and G.N. Richards、Carbohydrate Polymers、34、251-261、1998)。
【実施例2】
【0054】
〔多糖刺激後のパイエル板細胞におけるmRNA発現量の変化〕
白甘藷由来のF1を添加したパイエル板細胞培養上清を添加し骨髄細胞を培養したところ、骨髄細胞の増殖活性化作用が見られた。これは、F1を添加されたパイエル板細胞が培養培地中に細胞増殖活性を持つサイトカイン類を産生した結果と考えられ、F1がパイエル板中のリンパ球のアポトーシス抑制、増殖促進作用を有することが推測される。更に、その過程で産生されるサイトカイン類が骨髄細胞の増殖に関与していることが示唆され、F1刺激により産生されるサイトカインの変化を明らかにするため、パイエル板細胞におけるmRNAの発現について半定量的RT-PCRを行った。
【0055】
(パイエル板細胞からのtotalRNAの抽出)
パイエル板細胞培養液にF1を添加した際、炎症に関与する各種サイトカインmRNAの発現量の変化を探るためにRT-PCRを行うべくF1刺激を行ったパイエル板細胞を採取、totalRNAを抽出した。また、同時に得られるパイエル板細胞上清を用い、骨髄細胞の増殖活性も測定した。totalRNAの抽出にはGEヘルスケアのQuickPrep Total RNA Extraction Kitを用いた。抽出したtotalRNAの吸収スペクトルを測定した際、230nmでの吸収は多糖を示し、多糖の混入が多いと、OD260からtotalRNA量を計算する際の誤差が大きくなったり、PCRの結果に影響を与えたりするため、除去を行った。
【0056】
更に、生成されるPCR産物がmRNA由来であることを証明するため、逆転写を行わないネガティブコントロールを用いる必要があり、逆転写酵素を添加しないネガティブコントロール用のtotalRNAも用意した。
【0057】
一般的にはハウスキーピング遺伝子としてβアクチンやGAPDHを利用するが、これらの遺伝子は細胞によっては発現量が異なっているという問題点を持つことから、本検討では、多種細胞において一定に発現し、ペプチド鎖溶解に関与するEF-1の構成成分である、核結合タンパクEF-1αをハウスキーピング遺伝子として用いた。
【0058】
PCRに用いた各種サイトカインのプライマー配列及び産物断片長等、PCR反応系は表2に従い、各プライマーに関してのPCR温度条件は図11に示した条件で行った。PCR産物は6×Loading bufferで全量6μLとし、2%アガロースゲル(TAE)にアプライし、100Vで約30分間電気泳動した。ゲルはエチジウムブロマイド(0.2μg/mL inTAE)で30分染色し、MilliQで数分間脱色し、320nmにおいて可視化した。各バンドはAlphaDigDog(商標名)を用いてピーク検出を行った。また、F1(200μg/mL)存在下で培養したパイエル板細胞におけるmRNA発現を、半定量的RT-PCRによって検出した。それらの結果を図12に示した。
【0059】
【表2】

【0060】
IL−6は多能性幹細胞や骨髄中未熟細胞に対して作用し、増殖効果をもたらすことが知られており、F1刺激パイエル板細胞上清による骨髄細胞増殖効果にはIL−6が大きく貢献していることが考えられる。また、IL−6はT細胞増殖作用を持つことから、増産を通じてリンパ球の増殖を促していると考えられ、更にIL−6増加が、B細胞における分泌型IgA産生過程において寄与することから、F1刺激パイエル板細胞におけるIL−6mRNA発現の増加はこのことにも関与していると考えられる。
【0061】
以上の結果から、白甘藷皮由来アラビノガラクタンがパイエル板細胞の活性化、それに伴うIL−6分泌促進により、腸管免疫活性化を示していることが明らかとなった。また、これによりIgAの産生を促進することが言える。したがって、白甘藷皮由来アラビノガラクタンは、腸管免疫活性化を通じてIL−6の分泌やIgAの産生を促し、腸管から侵入してきた異物を排除促進にして食物アレルギー等に対して抗アレルギー作用を示すものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、新たな腸管免疫活性化剤が提供され、IL−6分泌促進、IgA産生促進作用によってアレルギー症状の緩和等に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】白甘藷皮由来のアラビノガラクタンの一般的な精製方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の有効成分であるアラビノガラクタンの基本骨格を示す図である。
【図3】本発明の有効成分であるアラビノガラクタンの基本骨格への側鎖の結合様式を例示する図である。
【図4】白甘藷皮由来のアラビノガラクタンの具体的な精製方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】粗多糖抽出物のゲルろ過クロマトグラフィによるクロマトグラフである。
【図6】図5のF1フラクションのイオン交換クロマトグラフィによるクロマトグラフである。
【図7】パイエル板細胞を介した腸管免疫刺激活性の結果を示す図である。
【図8】培養細胞由来のアラビノガラクタンの具体的な精製方法の一例を示すフローチャートである。
【図9】白甘藷皮由来のアラビノガラクタンと培養細胞由来のアラビノガラクタンの1H−NMR比較チャートである。
【図10】白甘藷皮及び培養細胞由来アラビノガラクタンのSEC-MALLSスペクトルの比較図である。
【図11】IL−6発現量の測定におけるPCR条件を示す図である。
【図12】F1のパイエル板細胞におけるIL−6mRNA発現量を示す図であって、(a)は半定量による結果を、(b)は電気泳動による結果を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は腸管免疫賦活化剤、さらには、IgAの産生促進やIL−6の分泌促進に影響を与える腸管免疫系を賦活する新規な医薬組成物、食品組成物及び腸管免疫賦活作用に基づく抗アレルギー用の医薬組成物、食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人間を含め動物には、体内への病原菌やウイルス等の侵入、若しくはガンの発生に対しそれらを認識、排除しようとする防衛システムが備わっている。しかしながら、加齢やストレス、偏食等によってこの防衛システム(免疫)は次第に低下してくる。その結果、種々の疾病に罹病しやすくなる。事実、インフルエンザ、肺炎をはじめとする感染症だけでなく、ガンの罹病率についても、免疫力の低下した高齢者に多く認められる。
【0003】
免疫に関わる組織には、骨髄、胸腺、脾臓、扁桃等が挙げられるが、近年最も注目されているのが小腸(腸管)である。腸管は、これまで消化吸収器官と考えられてきたが、免疫系に関して言えば、全身のリンパ球の60%以上、更に抗体全体の60%がこの腸管にて作られていることなどが明らかになっている。これらの事実からも、腸管における免疫系の重要性が伺える。
【0004】
常に大量の異物(抗原)と直接接触する腸管の粘膜には、局所粘膜免疫系が存在しており、分泌型IgAにより抗原の侵入を阻止する。この局所粘膜免疫系は腸管腔と接している小腸上皮細胞とその細胞層に存在する小腸上皮内リンパ球(IEL)及び小腸上皮細胞層下にある粘膜固有層とその層に存在する粘膜固有リンパ球(LPL)並びにパイエル板とから構成されている。この中での重要な役割を担うのが、パイエル板、腸管膜リンパ腺などの腸管関連リンパ組織(gut-associated lymphoid tissue;GALT)である。パイエル板は小腸上皮細胞層下に存在する。小腸上皮細胞は、微絨毛が発達して膜消化が行われる円柱上皮細胞と、微絨毛がほとんどなく消化吸収には関与しないM細胞とからなるが、M細胞はパイエル板を覆う上皮細胞層中に存在する。M細胞は可溶性抗原、バクテリア、ウイルス様々な物質を腸管腔から取り込み、これらを分解せずに下層のリンパ性細胞へ輸送することが知られている。詳しくは、このM細胞が抗原をパイエル板に取り込み、その取り込まれた抗原がマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞によってB細胞、T細胞に提示される。そして、活性化されたB細胞及びT細胞が腸管、上気道などの粘膜固有層、あるいは唾液腺などの粘膜関連リンパ組織に到達し、サイトカイン(IL-5、IL-10など)類の誘導を通じてIgAが産生される。そして、この産生されたIgAが各粘膜組織から再度侵入してきた抗原やバクテリア、ウイルスなどの生体異物を排除する。また、局所粘膜免疫を突破して体内に侵入した異物は、M細胞に取り込まれた後下層のリンパ性組織に輸送され、脾臓を中心とした全身性免疫組織において産生される抗体により排除されることになる。
【0005】
こうしたことから、種々の疾病予防をするには、まず粘膜免疫を突破させない様に腸管免疫系を正常な状態に保つこと、あるいは活性化させることが重要ではないかと考えられる。しかしながら、加齢をはじめとし生活環境など日常生活を送る中で日々自覚しがたい変化により影響を受けることから免疫調節や免疫能力の管理は非常に困難であるのも事実である。そこで、容易に摂取可能である食品を通し日常の食生活の中で、これら免疫系を上手く調節しうる、更には副作用の心配のない安全性の高い素材の開発が望まれる。
【0006】
このような状況下、市場には多くの免疫賦活作用を謳った健康食品が展開されている。これらの中で多糖類を含む糖質を主成分としたものとして、例えば特開2006−137719号公報(特許文献1)には、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物が産生するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む腸管免疫活性化剤が、また、特開2005−239571号公報(特許文献2)には、茶多糖類を有効成分とする抗体(IgA)産生誘導剤が開示されている。
【0007】
一方、本願出願人らは、抗糖尿病に有効とされてきた白甘藷(カイアポイモ)に着目してきたところ、新規な構造を有するアラビノガラクタンがその活性本体であることを突き止め、特許出願している(特許文献3)。これまでに、カラマツ由来のアラビノガラクタンが免疫賦活作用を有することが報告されているが(非特許文献1)、腸管免疫作用についての報告はない。
【特許文献1】特開2006−137719号公報
【特許文献2】特開2005−239571号公報
【特許文献3】WO2005/105852号公報
【非特許文献1】Linda S. Kim et al., Altern Med Rev., 7(2)138-149, 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は新規な腸管免疫賦活化剤並びに腸管免疫賦活作用に基づく抗アレルギー剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者らは、鋭意研究を進めたところ、白甘藷由来のアラビノガラクタンが腸管免疫賦活作用を示すことを突き止め、本発明を完成するに至った。つまり、本発明は白甘藷、好ましくは皮又は塊根から抽出されるアラビノガラクタンを有効成分として腸管免疫賦活化剤又は抗アレルギー剤として使用するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると新規な腸管免疫賦活化を有する医薬組成物や食品組成物が提供され、腸管免疫作用の低下による各種疾患、例えばアレルギーの治療や予防に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の腸管免疫賦活化剤及び抗アレルギー剤は、白甘藷、好ましくは白甘藷の皮、塊根、好ましくはアラビノガラクタンを含む白甘藷、白甘藷の皮、塊根から得られる抽出物、さらには抽出されたアラビノガラクタンを有効成分とするものである。
【0012】
白甘藷は、その学名をIpomoea Batatas spといい、さつま芋(ヒルガオ科の草本Ipomoea Batatas Poiret)の一種であり、別名「シモン芋」「カイアポ芋」「白サツマイモ」などと称される場合もある。本発明においては、白甘藷全体、好ましくは皮若しくは塊根をそのままあるいは乾燥させ、さらに粉末にしたものを用いてもよいが、好ましくは水等の各種抽出溶媒を用いた抽出物として用いられる。本発明における腸管免疫賦活作用を示す物質はアラビノガラクタンと考えられるので、アラビノガラクタンが含まれるように適宜抽出溶媒が選択される。アラビノガラクタンは水溶性多糖の一種であるので、他の水溶性多糖類の抽出と同様に水系の抽出溶媒が主として用いられる。抽出溶媒には水が最も好ましく、エタノールなどの低級アルコール(C1〜C4)、アセトンなどの親水性溶媒を用いてもよく、また水にこのような親水性溶媒を加えた混合物でもよい。抽出時には適宜、加温加熱してもよい。抽出方法も特に限定されるものではない。例えば、ジューサーやミキサ等にかけて破砕・搾汁し、その後遠心分離法やろ過等により不溶物を除去する。また、一度抽出した残渣に再度抽出溶媒を加えて、先の抽出液に加えてもよい。これらは、多糖類の一般的な抽出方法であって、多糖類の抽出に用いられる公知の方法が用いられる。また、抽出物は、白甘藷の全体の抽出物であっても、白甘藷の葉や地上茎、塊根などその一部分を用いた抽出物でもよいが、抽出効率の観点からは皮部のみ又は塊根のみを抽出の対象とするのが好ましい。抽出物は前記抽出溶媒で抽出した抽出物をそのまま有効成分として用いても差し支えないが、さらに液液抽出、液固抽出やイオン交換クロマトグラフィやゲルろ過クロマトグラフィなど、例えば図1に示した精製方法などにより精製が加えられた粗精製物として用いてもよいのは言うまでもない。また、本発明における白甘藷は、天然(自然)で採取されあるいは栽培された白甘藷を意味するが、本発明におけるアラビノガラクタンは、こうした天然で採取等された白甘藷から抽出されたアラビノガラクタンのみならず、本発明の作用効果を発揮する限りにおいて培養細胞由来のアラビノガラクタンも含まれることを意味する。
【0013】
アラビノガラクタンは種々の構造のものが知られているが、白甘藷由来のアラビノガラクタンは図2の基本骨格を有している。なお、本発明で用いられるアラビノガラクタンは、特許文献3に開示されたアラビノガラクタンと同一の化学構造を有するものである。このアラビノガラクタンは、ガラクトースがβ1,6結合した糖鎖からなり、β1,3結合によって高度に枝分かれした基本骨格を有する。すなわち、ガラクトースがβ1,6結合した主鎖に対して、ガラクトースがβ1,6結合したオリゴ糖若しくはガラクタンがβ1,3結合した側鎖を多数有し、またこの側鎖に対してガラクトースがβ1,6結合したオリゴ糖若しくはガラクタンがβ1,3結合した側鎖を有するというように、ガラクトースがβ1,6結合した糖鎖がβ1,3結合によって複雑に分岐した骨格を有している。その結果、比較的かさ高な構造を有するものとなり、この点においてガラクトースよりなる直線状の糖鎖を主鎖とする従来のアラビノガラクタンとは著しく異なる特徴を有している。
【0014】
もう少し具体的に説明すると、本発明の有効成分であるとされるアラビノガラクタンは、図2に示すような基本骨格に対して、図3(A)(B)に示すように3種の側鎖(1)(2)(3)が結合している。側鎖(1)は末端αAraf、側鎖(2)は2個のアラビノフラノースがα1,5結合したオリゴ糖(αAraf(1→5)αAra(1→)、側鎖(3)はラムノースがグルクロン酸にα1,4結合したオリゴ糖(αRha(1→4)βGlcUA(1→)であって、側鎖(1)(2)はそれぞれ上記骨格を構成するガラクトースに対してβ1,3結合し、側鎖(3)はグルクロン酸が上記骨格を構成するガラクトースに対してβ1,6結合している。
【0015】
側鎖(1)(2)(3)の結合位置やガラクトース糖鎖の分岐位置は不詳であるが、上記骨格を構成するGalの約65〜75%に側鎖(1)または側鎖(2)が結合し、上記骨格を構成するガラクトースの5〜10%に側鎖(3)が結合していると考えられる。なお、側鎖(1)(2)(3)のGalへの結合比率はこの範囲から外れるものも考えられる。つまり、その結合比率は目安であって、得られたアラビノガラクタンの結合比率がこの範囲を外れたとしても、上記基本骨格及び上記側鎖(1)(2)(3)並びに下記に示す平均分子量を有してさえいれば、本発明のアラビノガラクタンと同一の物質であると考えてよい。
【0016】
このアラビノガラクタンの構成糖比は、実測によるとラムノース:アラビノース:ガラクトース:グルクロン酸=1.2:6.7:14.1:1.0であって、おおよそラムノース:グルクロン酸=1:1、アラビノース:ガラクトース=1:2、ラムノース:アラビノース=1:5〜6である。その測定方法等については、特許文献3が参照される。
【0017】
これらのことから本発明では、β1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量10万〜20万、好ましくは13万〜20万、さらに好ましくは13万から15万のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6のアラビノガラクタンが好適に用いられる。もっとも、このような構造を有するものであれば、白甘藷及びその近縁植物から得られたものに限られるものではない。なお、培養細胞で得られたアラビノガラクタンは、天然由来のアラビノガラクタンに比べて、アラビノース側鎖(前記(1)又は(2)の結合様式)が短いか若しくは結合量が少なく、分子量が小さい。そのために腸管免疫賦活作用が弱くなることもある。また、1H−NMRにおいて、培養細胞由来のアラビノガラクタンでは、5ppmピークと4.8ppmピークの積分比が天然由来のアラビノガラクタンに比べて小さくなり、その積分比が3:0.3以下のものは活性が弱く、好ましくはその強度比が3:2.0〜3:0.5さらに好ましくは3:2.0〜3:1.0程度のものが用いられる。
【0018】
本発明における腸管免疫賦活化剤は、腸管における免疫系の活性化を図るために用いられることを意図するものであって、特に腸管免疫賦活が低下しているヒトに好適に用いられるが、病的なまでに低下しているヒトはもちろんのこと、健常状態にあるヒトを適用対象から排除されるものではない。すなわち、腸管免疫の低下による病的な状態を改善するのみならず、健常状態を維持する目的でも使用されうるものである。
【0019】
また、腸管免疫系は、上記のごとく、パイエル板などの腸管関連リンパ組織を通じて、リンパ球の産生やサイトカイン(IL-5、IL-10など)類の誘導、IgAの産生を促進する機能を有する。そして、この産生されたIgAが各粘膜組織から再度侵入してきた抗原を排除し、局所粘膜免疫を突破して体内に侵入した異物が産生される抗体により排除されることを促進する。特に本発明のアラビノガラクタンは、IL−6の産生促進が遺伝子の発現レベルにおいて確認されており、IL−6の産生促進剤やIgAの産生促進剤として利用することができる。
【0020】
本発明の抗アレルギー剤は、このような腸管免疫賦活作用を通じた全身性の免疫系の賦活化を図るために用いられることを意図する。例えば、腸管免疫賦活作用によりIgAの産生が促進されることより、腸管から吸収される抗原の排除が促進される。従って、腸管から吸収される抗原により引き起こされる各種のアレルギー症状、例えば鼻水、目のかゆみ、湿疹、肌あれなどの症状の緩和効果が期待される。このようなアレルギーとして食物アレルギーが代表例とされるが、食物アレルギーに限らず、鼻粘膜から吸収される抗原、例えば各種の花粉などのアレルギーにも効果が期待される。もちろん、各種のアレルゲンに起因するアレルギーのみならず、原因不明のアレルギー症状や免疫系の低下による各種疾病にも適用が想定される。また、免疫が病的な状態にまで低下してアレルギー症状を呈する前に、本発明のアラビノガラクタンを摂取しておくことにより、腸管免疫系の活性を維持し、こうしたアレルギー症状を未然に防止することにも貢献できるものと考えられる。
【0021】
本発明の腸管免疫活性剤及び抗アレルギー剤は、白甘藷、その皮部、塊根、抽出物あるいは化合物としてのアラビノガラクタンとしてそのまま提供されるが、通常は実質的に無毒である製剤学的又は衛生上許容される各種の担体や添加剤と共に医薬組成物、食品組成物として提供される。なお、ここにおいて、実質的に無毒とはヒト(その他の動物等摂取が想定される動物等を含む)が摂取しても好ましくない作用が発揮されず、腸管免疫賦活作用を低減するおそれのないことを意味する。
【0022】
本発明の医薬組成物には、例えば錠剤や散剤、カプセル剤、内服液剤、注射剤、軟膏、クリーム剤など適宜ヒトをはじめとする動物に提供可能な剤型が例示される。このような組成物に利用できる担体としては、例えば、コーンスターチなどの各種デンプン、ラクトース、結晶セルロース、デキストロース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、ゼラチン、アラビアゴム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの賦形剤、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、スクロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、安息香酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リン酸、塩酸などの適当な有機酸・無機酸又はそのアルカリ金属(例えばナトリウム又はカリウム)塩などのpH調整剤、着香剤、矯臭剤、着色剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などが例示される。また、さらに適当なビタミン、ミネラル、糖類、他の薬効成分など他の主薬、佐薬となる成分を添加してもよい。
【0023】
本発明の食品組成物は、一般的に食品として観念される組成物だけでなく、いわゆる健康食品と称させるように医薬品に類似させた組成物を含む意味で用いられる。例えば、液状、ペースト状、固形、粉末等の形態を問わず、各種既存の食品(加工乳、乳飲料、清涼飲料、ヨーグルト、チーズ、パン、ビスケット、クラッカー、アイスクリーム、キャンディ、ガム、流動食、病者用食品、幼児用粉乳等食品、冷凍食品、加工食品その他の市販食品等)に有効成分を添加したものの他、経腸栄養剤などのように各種タンパク質(カゼイン、ホエイタンパク質、ラクトグロブリン、大豆タンパク質、鶏卵タンパク質、肉タンパク質等の動植物性タンパク質やレシチン、大豆タンパクなど植物性タンパク質など)、各種糖質(グルコースやフラクトース等の単糖類、ショ糖などの二糖類、キシリトースやグリセリンなどの多価アルコール、デキストリン、加工澱粉(デキストリンのほか、可溶性澱粉)、食物繊維などの多糖類など)、各種脂質(ラード、魚油等、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の動物性油脂や、大豆油、ヤシ油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の植物性油脂など)、各種ビタミン(ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸など)や各種ミネラル(カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレンなど)の各種栄養素や、有機酸(酸味付与剤:リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸など)その他の矯臭剤等を任意の割合で混合したものも含まれる。
【0024】
また、食品組成物は、腸管免疫活性を高め、あるいは腸管免疫作用の維持、アレルギーの症状緩和を図ることを目的とし、その旨を標榜、表示したいわゆる健康食品や特定保健用食品(機能性食品とも称される)としても提供されうる。なお、特定保健用食品とは、特定の機能や効能を標榜可能にまで本発明の有効成分が配合若しくは含有されている食品、または健康への効用をしめす表現を具体的に表示することが公に許可された食品を意味する。
【0025】
本発明の有効成分であるアラビノガラクタンの1回摂取量は、その症状、体重、用途などによっても異なるが、概ね成人ヒトの場合、0.1μg〜100mgが目安である。また、医薬組成物、食品組成物への配合量も、剤型や形態、投与対象の症状、体重などによっても異なり特定されるものではないが、概ね、0.001〜100w/w%であり、好ましくは0.01〜50w/w%、より好ましくは0.01〜10w/w%程度である。
【0026】
次に下記実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
〔白甘藷皮由来アラビノガラクタンの調製方法〕
白甘藷皮由来アラビノガラクタンは、図4に示す精製工程を経ることにより得られた。その詳細は次の通りである。まず、白甘藷の皮乾燥粉末(皮破砕物)1kgに対し水10Lを加え、室温/4時間にて攪拌抽出した。得られた混合液を遠心分離(7,500rpm/30分間)により残渣を濾別した。次に、得られた抽出液を脱イオン水を用いて4℃/3日間透析を行った。透析は、商品名ダイアライシスメンブランSize36(ポアサイズ24Å、限界分子量12000〜14000Da、和光純薬工業株式会社製)の透析用チューブに前記抽出液を入れ、抽出液1Lに対し脱イオン水5〜6Lを用い、1日3回脱イオン水を交換することにより行った。そして、透析内液に生じた不溶部分は遠心分離(7,500rpm/30分間)により除去した。
【0028】
上記沈殿除去した透析内液は、エバポレータにて40℃程度で加温濃縮し、次いで約20v/v%の濃度となるようにエタノールを適量加え、4℃にて一晩静置した。生じた沈殿を遠心分離(7,500rpm/30分間)により除去した。更に、その上清にエタノールを加えてアルコール濃度を約40v/v%とし上記と同様に静置して生じた沈殿を除去した。そして、再びエタノールを加えてアルコール濃度を約60v/v%にした上で1昼夜静置後(4℃下)、その上清液を分取して濃縮後凍結乾燥して粗多糖抽出物(3.8g)を得た。
【0029】
この粗多糖抽出物についてゲルろ過クロマトグラフィ及びイオン交換クロマトグラフィを繰り返すことにより精製を行った。上記粗多糖抽出物の1w/v%水溶液(1g/100mL)を調整し、遠心分離(15,000rpm/20分間)を行い、水溶性部分を分取した。これをゲルろ過クロマトグラフィに供して、4つのフラクション(以下F1〜F4と称す)に分画した。分離は、担体にTOYOPEARL HW−65S(東ソー株式会社製:880mLを4.5×700mmカラムに充填)を、溶出液に水を用いて、流速は0.5mL/min、分取は15mL/チューブで行った。各チューブ毎にフェノール硫酸法(波長490nm)及びUV吸収(280nm)による検出を実施し、F1〜F4の4つのフラクションに分離した。その結果を図5に示す。得られたF1〜F4フラクションはそれぞれ、F1フラクション:チューブNo.19−24/濃縮質量936.7mg、F2フラクション:チューブNo.25−30/濃縮質量636.5mg、F3フラクション:チューブNo31−36/濃縮質量571.9mg、F4フラクション:チューブNo37−43/濃縮質量556.7mgであった。
【0030】
次に上記F1フラクションの抽出物について、イオン交換クロマトグラフィによる精製操作を加えた。イオン交換樹脂SuperQ−650M(東ソー株式会社製)に前記抽出物を負荷した後、リニアグラジエント溶出により分離を行った。溶出は、溶離液A:10mMリン酸緩衝液(pH7.8)、溶離液B:10mMリン酸緩衝液(1MNaCl、pH7.8)、流速は1.0mL/min、分取は15mL/チューブで行った。グラジエント溶出は、0→90分(溶離液B濃度0v/v%)、90→390分(溶離液B濃度0→50v/v%)、390→410分(溶離液B濃度50→100v/v%)にて行った。
【0031】
回収された各チューブ毎に、フェノール硫酸法(波長490nm)、及びUV吸収(280nm)による検出を実施した。その結果を図6に示す。このうち、280nm吸収が殆どない多糖溶出画分において、白甘藷皮由来のアラビノガラクタンを得た(収量900mg)。なお、この精製方法は特許文献3で開示されたアラビノガラクタンの精製方法と同一の方法である。
【0032】
〔腸管免疫活性評価〕
次に上記で得られたアラビノガラクタンについて、パイエル板細胞を介した腸管免疫刺激によってその活性を測定した。具体的には次のとおりである。
【0033】
(培養培地調製)
RPMI1640培地(L-Gln、フェノールレッド、25mMHEPES含有)(500mLボトル:GIBCO,Invitrogen社製)から25mLを抜き、非動化したFBS(大日本住友製薬社製)を終濃度5%となるように添加する(RPMI1640-FBS培養基本培地という)。次に、抗生物質(penicillin、streptomycin、amphotericinB、ナカライテスク:×100)5mL及び2-メルカプトエタノール2μLを添加し、これをパイエル板細胞及び骨髄細胞培養培地とした。
【0034】
(パイエル板細胞の採取)
C3H/HeJマウス(SPF、雌性、8週齢、日本クレア株式会社)をジエチルエーテル下において安楽死させ、クリーンベンチ内で開腹し、小腸を注意深く取り出す。その後、小腸表面に局在するパイエル板組織をPBSで洗浄し、解剖用ハサミで切り取る。小腸上皮は免疫刺激抑制的な働きを示すため、混入しないように注意する。採取したパイエル板組織を15mLチューブに分注した培養培地10mLに懸濁する。
【0035】
これとは別に予め、10cmの滅菌細胞培養用ディッシュ(FALCON社製)に70μm孔の滅菌セルストレイナー(FALCON社製)、40μm孔の滅菌セルストレイナーを入れたものを準備する。前記懸濁したパイエル組織を準備しておいたディッシュ上の70μm孔のセルストレイナーに移し、セルスクレーパー(IWAKI社製)でパイエル板細胞をこしとる。得られた細胞懸濁液をパイエル板細胞懸濁液とした。
【0036】
(骨髄細胞の採取)
C3H/HeJマウスをジエチルエーテル麻酔下で安楽死させる。次いで大腿骨を切り出し、PBSで洗浄しながら更に筋肉を切り取る。大腿骨の両端をハサミで切り落とし、23Gの針をつけたシリンジ内のRPMI1640-FBS培養基本培地で骨髄細胞を流しだす。その後、パイエル板細胞懸濁液作成法と同様の操作を行い、骨髄細胞懸濁液を得る。
【0037】
(パイエル板細胞を介した腸管免疫刺激活性測定)
被験物質として、上記で得られた白甘藷表皮及び比較対象として白甘藷培養細胞から精製したアラビノガラクタン(抽出物)並びにカラマツ由来アラビノガラクタン(以下、それぞれ皮由来AG、培養細胞由来AG、カラマツ由来AGと記す)を用いた。超純水を用いて、各被験物質を溶解し3mg/mL濃度の水溶液を作成した。これは使用直前まで−20℃にて保存し、試験時には、0.22μmの滅菌フィルターで処理したものを用いた。なお、培養細胞からのアラビノガラクタンは下記の方法にて得られたものを、またカラマツ由来のアラビノガラクタンは、市販品(Wright社製)を用いた。
【0038】
パイエル板細胞懸濁液を遠心分離(1100rpm/5分間)し、細胞沈殿が拡散しないように上清をアスピレーターで吸い取る。その後、沈殿させた細胞に氷冷下でPBS10mLを加え、細胞を再び懸濁する。同様の操作を行った後、基本培養培地5mLに細胞沈殿を再懸濁する。得られた懸濁液20〜30μLにトリパンブルーを添加して希釈液を作成し、セルカウントによりパイエル板細胞濃度を2.0×106cells/mLに調製する。
【0039】
これを60mm細胞培養用ディッシュに2.7mLずつ播種し、細胞が均一になるようにする。播種した各ディッシュに以下の表1に示す通り、滅菌水、若しくは被験物質保存溶液を添加し、全量が3mLになるように調製する。
【0040】
【表1】

【0041】
これら各ディッシュを37℃、5%CO2インキュベーターで5日間培養する。培養5日目のパイエル板細胞を15mLチューブにとり、遠心分離(2000rpm/5分間)を行い、上清を回収する。この上清を、試験サンプルの濃度ごとに96穴のマイクロプレートに50μLずつアプライする。これに非動化済みの正常ウマ血清を50μLずつ各ウェルにアプライする。一方、骨髄細胞についてはパイエル板細胞培養5日目に細胞採取を行い、1.3〜3.0×106cells/mL濃度の骨髄細胞懸濁液を調製する。これを先の各ウェルに100μlずつアプライし混合した後、更に37℃、5%CO2インキュベーターで6日間培養する。
【0042】
培養6日目に各ウェルに対し、10v/v% Alamar Blue(20μL)を添加し、37℃、5%CO2インキュベーターで5時間反応させる。反応後、蛍光プレートリーダーにより励起光544nm、検出光590nmで測定を行い、蛍光強度と検量線をもとに、骨髄細胞数を算出する。各試験物質添加群の骨髄細胞数を用い、非添加群を対照に算出した骨髄細胞増殖度を指標として腸管免疫活性作用を評価した。その結果を図7に示す。
【0043】
〔白甘藷培養細胞由来アラビノガラクタン調製方法〕
ここでは、植物体から直接カルス誘導を行い、更にカルスを液体培養物へと移行させ、得られた液体培地より目的物質であるアラビノガラクタンを回収する方法をとった。
【0044】
(カルス誘導及び培養細胞作製)
香川県仁尾産の白甘藷をプランターに移植した後、屋外にて生育させ、このツルの一部を使用しカルス誘導を行った。甘藷は、一般的に糸状菌と共生していることから、まず植物体の殺菌を以下の方法により実施した。尚、各操作は全てクリーンベンチ内にて行い、使用器具並びに培地等は全て滅菌処理したものを使用する。
【0045】
白甘藷の茎を70%エタノールに軽く浸した後に一回水でゆすいだ。次いで1%次亜塩素酸にこれを浸し、25分間スターラーで攪拌した。茎表面に気泡が見えるようであれば界面活性剤Tween20を1〜2滴加えた。その後、茎に70%エタノールを吹きつけ、クリーンベンチ内に入れた。滅菌水で数回洗った後、ろ紙に乗せ、メスで適した大きさに切り、カルス誘導培地に挿した。アルミホイル・パラフィルムで試験管にふたをし、暗所/25℃で誘導を行った。培地は、ムラシゲ・スクーグ培地用混合塩類(日本製薬製)1袋、スクロース30g、myo−イノシトール100mg、塩酸チアミン0.4mg、寒天0.8gを混合し、純水で1Lに調整した。更に水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH5.8に調整し、ABAの終濃度が2μM、Picloramの終濃度が5μMとなるように添加したものを使用した。
【0046】
カルス形成が認められるまで観察を行い、形成が認められてからは、同様の培地にて継代培養を行い(但し、シャーレ内に移行)増殖させた。更に、増殖の効率化を図るために液体培地内への移行を行った。液体培地は、これまで使用してきた培地から寒天を除いたものを用い、120rpmで振とう培養を行った。液体培地に移行してからは、1週間毎に継代培養を行った。移行開始時は、細胞サイズにバラつきも多いが継代培養を継続していき馴化完了時にはサイズは小さく揃い、安定したものになってくる。これを、培養細胞として用いることとした。
【0047】
(培養細胞由来アラビノガラクタンの調製方法)
培養細胞由来アラビノガラクタンは図8に示す精製工程を経ることにより得た。詳細は、以下の通りである。
前記の方法により得られた培養細胞を遠心回収し(1,000rpm/3分間)、100mL程度を使用した。これを液体培地1200mLと混合した後、1週間振とう培養(125rpm)を行った。その後、遠心分離により培養細胞を分離し、更に20,000×g/15分間/4℃にて不溶物を除去し、培養液を回収した。これを300mLまで濃縮を行い、透析チューブ(三光純薬製)を用いて、4℃/3日間透析を行った。透析内液は、更に30,000×g/1時間/4℃にて不溶物を除去し、得られた上清部分(400mg)を分離精製用の出発原料とした。
【0048】
回収した上清部に終濃度5%となるようにトリクロロ酢酸を添加し、攪拌後4℃/12時間静置した。その後、遠心分離(7,500rpm/30分間/4℃)により沈殿を除去し、水酸化ナトリウム水溶液にて中和した。これを透析チューブ(三光純薬製)を用いて、4℃/2日間透析を行い、培養液中に含まれる低分子成分を除去した。透析内液については、更に30,000×g/1時間/4℃処理を行い不溶部除去後、得られた上清部をイオン交換カラムに供した。イオン交換樹脂にはSuper Q−650M(東ソー株式会社製)を用いた。25mMリン酸緩衝液(pH8.0)にて平衡化後、同一緩衝液にて洗浄を行い素通りした溶出部分を除去した。その後、250mMリン酸緩衝液(pH8.0)にて目的成分を溶出させた。溶出は流速1.0mL/minで行い、15mL/チューブで溶出液を分取した。各溶出液は各チューブ毎にフェノール硫酸法(波長490nm)及びUV吸収(280nm)による検出を行った。
【0049】
250mMリン酸緩衝液溶出画分は、4℃/2日間透析による脱塩を行った後、濃縮、凍結乾燥により目的とする培養細胞由来アラビノガラクタン(200mg)を得た。
【0050】
〔試験物質の構造比較〕
白甘藷皮由来のアラビノガラクタンは、図2に示すように、その基本骨格は、β−(1→6)−ガラクタンを主鎖とする糖鎖がβ−1,3結合により高度に分岐した多糖である。側鎖として、αAraf(1→5)αAraf(1→、及びαAraf(1→が3位に結合し、末端Galの一部、若しくは全ての6位にαRha(1→4)βGlcA(1→が結合している。培養細胞由来のアラビノガラクタンもほぼ同様な構造を有すると考えられたが、図7に示すように皮由来のアラビノガラクタンとは異なる結果が得られた。そこでそれぞれのNMR分析結果(1H−NMR)を比較したところ、図9に示すように培養細胞由来アラビノガラクタンのアラビノビオースαAraf(1→5)αAraf(1→の5位に結合しているαAraf(1→のアノメリック水素に帰属されるピークが皮由来のものと比較して非常に検出レベルが小さくなっていることから、培養細胞由来アラビノガラクタンは側鎖長が短くなっており、より低分子量になっているものと考えられる。つまり、1H−NMRのスペクトルにおいて、白甘藷由来のものでは、4.8ppmにおけるピーク(積分値)が大きく、培養細胞のものでは、4.8ppmにおけるピークが小さくなっている。また、白甘藷由来のものでは4.8ppmにおけるピークが、5ppmのピークに対して1/3以上あるのに対し(実測では5ppm:4.8ppm=3:1.3)、培養細胞のものでは4.8ppmにおけるピークが5ppmのピークに対してそれよりも小さく、1/10程度(実測では5ppm:4.8ppm=3:0.3)であった。
【0051】
また、より詳細な比較を行うために、多角度光散乱検出器(MALLS)及びサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を用いて、培養細胞由来の分子量及び分子サイズを明らかにした。測定条件は以下の通りである。使用カラムはOH-pak SB-806MHQ(Shodex製)、検出器は多角度光散乱検出器MALLS HELEOS Viscostar、及び示差屈折率検出器RI-101(Shodex製)、カラム温度は室温(25℃)、移動相は100mM硝酸ナトリウム、サンプル濃度は1mg/mL(移動相で溶解)、流速は1.0mL/min、注入量は30μLで行った。なお、サンプル注入時は、シリンジにシリンジフィルター(pore size 0.2μm)を装着し、ろ過しながら注入した。その結果を図10に示す。
【0052】
図10に示す結果の通り、白甘藷皮由来アラビノガラクタンは分子量137,500、培養細胞由来アラビノガラクタンは分子量126,200という結果が得られた。共に分子量分布が狭く、高純度で均一なアラビノガラクタンであることが分かる。また、培養細胞由来アラビノガラクタンはより低い数値が検出されたことから、前述の通り白甘藷皮由来アラビノガラクタンと酷似した構造を有するもののアラビノース側鎖が短いと考えられる。
【0053】
一方、カラマツ由来アラビノガラクタンは、白甘藷皮由来及び培養細胞由来アラビノガラクタンとは構造のタイプが異なり、β−(1→3)−ガラクタンが主鎖となっており、側鎖はガラクトースの6位にβArap(1→3)Araf(1→、αAraf(1→3)Gal(1→及びβGal(1→6)Gal(1→、4位にβGal(1→6)Gal(1→などが結合した鎖状構造を有し、分子量は1〜12万である(G.R. Ponder and G.N. Richards、Carbohydrate Polymers、34、251-261、1998)。
【実施例2】
【0054】
〔多糖刺激後のパイエル板細胞におけるmRNA発現量の変化〕
白甘藷由来のF1を添加したパイエル板細胞培養上清を添加し骨髄細胞を培養したところ、骨髄細胞の増殖活性化作用が見られた。これは、F1を添加されたパイエル板細胞が培養培地中に細胞増殖活性を持つサイトカイン類を産生した結果と考えられ、F1がパイエル板中のリンパ球のアポトーシス抑制、増殖促進作用を有することが推測される。更に、その過程で産生されるサイトカイン類が骨髄細胞の増殖に関与していることが示唆され、F1刺激により産生されるサイトカインの変化を明らかにするため、パイエル板細胞におけるmRNAの発現について半定量的RT-PCRを行った。
【0055】
(パイエル板細胞からのtotalRNAの抽出)
パイエル板細胞培養液にF1を添加した際、炎症に関与する各種サイトカインmRNAの発現量の変化を探るためにRT-PCRを行うべくF1刺激を行ったパイエル板細胞を採取、totalRNAを抽出した。また、同時に得られるパイエル板細胞上清を用い、骨髄細胞の増殖活性も測定した。totalRNAの抽出にはGEヘルスケアのQuickPrep Total RNA Extraction Kitを用いた。抽出したtotalRNAの吸収スペクトルを測定した際、230nmでの吸収は多糖を示し、多糖の混入が多いと、OD260からtotalRNA量を計算する際の誤差が大きくなったり、PCRの結果に影響を与えたりするため、除去を行った。
【0056】
更に、生成されるPCR産物がmRNA由来であることを証明するため、逆転写を行わないネガティブコントロールを用いる必要があり、逆転写酵素を添加しないネガティブコントロール用のtotalRNAも用意した。
【0057】
一般的にはハウスキーピング遺伝子としてβアクチンやGAPDHを利用するが、これらの遺伝子は細胞によっては発現量が異なっているという問題点を持つことから、本検討では、多種細胞において一定に発現し、ペプチド鎖溶解に関与するEF-1の構成成分である、核結合タンパクEF-1αをハウスキーピング遺伝子として用いた。
【0058】
PCRに用いた各種サイトカインのプライマー配列及び産物断片長等、PCR反応系は表2に従い、各プライマーに関してのPCR温度条件は図11に示した条件で行った。PCR産物は6×Loading bufferで全量6μLとし、2%アガロースゲル(TAE)にアプライし、100Vで約30分間電気泳動した。ゲルはエチジウムブロマイド(0.2μg/mL inTAE)で30分染色し、MilliQで数分間脱色し、320nmにおいて可視化した。各バンドはAlphaDigDog(商標名)を用いてピーク検出を行った。また、F1(200μg/mL)存在下で培養したパイエル板細胞におけるmRNA発現を、半定量的RT-PCRによって検出した。それらの結果を図12に示した。
【0059】
【表2】

【0060】
IL−6は多能性幹細胞や骨髄中未熟細胞に対して作用し、増殖効果をもたらすことが知られており、F1刺激パイエル板細胞上清による骨髄細胞増殖効果にはIL−6が大きく貢献していることが考えられる。また、IL−6はT細胞増殖作用を持つことから、増産を通じてリンパ球の増殖を促していると考えられ、更にIL−6増加が、B細胞における分泌型IgA産生過程において寄与することから、F1刺激パイエル板細胞におけるIL−6mRNA発現の増加はこのことにも関与していると考えられる。
【0061】
以上の結果から、白甘藷皮由来アラビノガラクタンがパイエル板細胞の活性化、それに伴うIL−6分泌促進により、腸管免疫活性化を示していることが明らかとなった。また、これによりIgAの産生を促進することが言える。したがって、白甘藷皮由来アラビノガラクタンは、腸管免疫活性化を通じてIL−6の分泌やIgAの産生を促し、腸管から侵入してきた異物を排除促進にして食物アレルギー等に対して抗アレルギー作用を示すものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、新たな腸管免疫活性化剤が提供され、IL−6分泌促進、IgA産生促進作用によってアレルギー症状の緩和等に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】白甘藷皮由来のアラビノガラクタンの一般的な精製方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の有効成分であるアラビノガラクタンの基本骨格を示す図である。
【図3】本発明の有効成分であるアラビノガラクタンの基本骨格への側鎖の結合様式を例示する図である。
【図4】白甘藷皮由来のアラビノガラクタンの具体的な精製方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】粗多糖抽出物のゲルろ過クロマトグラフィによるクロマトグラフである。
【図6】図5のF1フラクションのイオン交換クロマトグラフィによるクロマトグラフである。
【図7】パイエル板細胞を介した腸管免疫刺激活性の結果を示す図である。
【図8】培養細胞由来のアラビノガラクタンの具体的な精製方法の一例を示すフローチャートである。
【図9】白甘藷皮由来のアラビノガラクタンと培養細胞由来のアラビノガラクタンの1H−NMR比較チャートである。
【図10】白甘藷皮及び培養細胞由来アラビノガラクタンのSEC-MALLSスペクトルの比較図である。
【図11】IL−6発現量の測定におけるPCR条件を示す図である。
【図12】F1のパイエル板細胞におけるIL−6mRNA発現量を示す図であって、(a)は半定量による結果を、(b)は電気泳動による結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白甘藷又はその皮部若しくはその塊根、あるいはアラビノガラクタンを含む白甘藷又はその皮部若しくはその塊根の抽出物を有効成分とする腸管免疫賦活化剤。
【請求項2】
白甘藷より又はその皮部若しくはその塊根から抽出されるアラビノガラクタンを有効成分とする腸管免疫賦活化剤。
【請求項3】
β1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量13万〜20万のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6であるアラビノガラクタンを有効成分とする腸管免疫賦活化剤。
【請求項4】
1H−NMRによる5ppmピークと4.8ppmピークの積分比が、3:2.0〜3:0.5である請求項3に記載の腸管免疫賦活化剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の腸管免疫賦活化組成剤を含む腸管免疫賦活化用の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の腸管免疫賦活化組成剤を含む腸管免疫賦活化用の食品組成物。
【請求項7】
白甘藷又はその皮部若しくはその塊根、あるいは白甘藷又はその皮部若しくはその塊根の抽出物を有効成分とする抗アレルギー剤。
【請求項8】
白甘藷又はその皮部若しくはその塊根より抽出されるアラビノガラクタンを有効成分とする抗アレルギー剤。
【請求項9】
前記抗アレルギー剤は、IgAの産生促進作用による請求項7又は8のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
【請求項10】
前記抗アレルギー剤は、IL−6分泌促進作用による請求項7又は8のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
【請求項11】
β1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量13万〜20万のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6であるアラビノガラクタンを有効成分とする抗アレルギー剤。
【請求項12】
1H−NMRによる5ppmピークと4.8ppmピークの積分比が、3:2.0〜3:0.5である請求項11に記載の抗アレルギー剤。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤を含む食品組成物。
【請求項15】
腸管免疫の低下に基づく疾患の治療または予防のための食品組成物または医薬組成物の製造のための白甘藷又はその皮部若しくはその塊根、あるいはアラビノガラクタンを含む白甘藷又はその皮部若しくはその塊根の抽出物の使用。
【請求項16】
腸管免疫の低下に基づく疾患の治療または予防のための食品組成物または医薬組成物の製造のための白甘藷又はその皮部若しくはその塊根から抽出されるアラビノガラクタンの使用。
【請求項17】
腸管免疫の低下に基づく疾患の治療または予防のための食品組成物または医薬組成物の製造のためのβ1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量13万〜20万のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6であるアラビノガラクタンの使用。
【請求項18】
1H−NMRによる5ppmピークと4.8ppmピークの積分比が、3:2.0〜3:0.5である請求項17に記載のアラビノガラクタンの使用。
【請求項1】
白甘藷又はその皮部若しくはその塊根、あるいはアラビノガラクタンを含む白甘藷又はその皮部若しくはその塊根の抽出物を有効成分とする腸管免疫賦活化剤。
【請求項2】
白甘藷より又はその皮部若しくはその塊根から抽出されるアラビノガラクタンを有効成分とする腸管免疫賦活化剤。
【請求項3】
β1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量13万〜20万のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6であるアラビノガラクタンを有効成分とする腸管免疫賦活化剤。
【請求項4】
1H−NMRによる5ppmピークと4.8ppmピークの積分比が、3:2.0〜3:0.5である請求項3に記載の腸管免疫賦活化剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の腸管免疫賦活化組成剤を含む腸管免疫賦活化用の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の腸管免疫賦活化組成剤を含む腸管免疫賦活化用の食品組成物。
【請求項7】
白甘藷又はその皮部若しくはその塊根、あるいは白甘藷又はその皮部若しくはその塊根の抽出物を有効成分とする抗アレルギー剤。
【請求項8】
白甘藷又はその皮部若しくはその塊根より抽出されるアラビノガラクタンを有効成分とする抗アレルギー剤。
【請求項9】
前記抗アレルギー剤は、IgAの産生促進作用による請求項7又は8のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
【請求項10】
前記抗アレルギー剤は、IL−6分泌促進作用による請求項7又は8のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
【請求項11】
β1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量13万〜20万のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6であるアラビノガラクタンを有効成分とする抗アレルギー剤。
【請求項12】
1H−NMRによる5ppmピークと4.8ppmピークの積分比が、3:2.0〜3:0.5である請求項11に記載の抗アレルギー剤。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤を含む食品組成物。
【請求項15】
腸管免疫の低下に基づく疾患の治療または予防のための食品組成物または医薬組成物の製造のための白甘藷又はその皮部若しくはその塊根、あるいはアラビノガラクタンを含む白甘藷又はその皮部若しくはその塊根の抽出物の使用。
【請求項16】
腸管免疫の低下に基づく疾患の治療または予防のための食品組成物または医薬組成物の製造のための白甘藷又はその皮部若しくはその塊根から抽出されるアラビノガラクタンの使用。
【請求項17】
腸管免疫の低下に基づく疾患の治療または予防のための食品組成物または医薬組成物の製造のためのβ1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有し、さらに当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量13万〜20万のアラビノガラクタンであって、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6であるアラビノガラクタンの使用。
【請求項18】
1H−NMRによる5ppmピークと4.8ppmピークの積分比が、3:2.0〜3:0.5である請求項17に記載のアラビノガラクタンの使用。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図7】


【図8】


【図9】


【図11】


【図5】


【図6】


【図10】


【図12】




【図2】


【図3】


【図4】


【図7】


【図8】


【図9】


【図11】


【図5】


【図6】


【図10】


【図12】


【公開番号】特開2008−208102(P2008−208102A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48536(P2007−48536)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り A.刊行物1.(1)刊行物の名称:日本応用糖質科学会平成18年度大会(第55回) 第14回糖質関連酵素化学シンポジウム 講演要旨集 (2)発行日: 平成19年8月30日 (3)発表者名: 木原 千賀、鈴木 潔、小崎 誠、長沢麻衣子、北村進一 (4)該当頁: 23頁、演題番号 Aa−1 B.研究集会における発表 (1)研究集会: 日本応用糖質科学会平成18年度大会(第55回) 第14回糖質関連酵素化学シンポジウム (2)主催者: 日本応用糖質科学会 (3)発表日: 平成18年9月27日 (4)発表場所: 大阪府立大学 (5)文書の種類: スライド (6)発表者: 木原 千賀、鈴木 潔、小崎 誠、長沢麻衣子、北村進一
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(591046892)富士産業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り A.刊行物1.(1)刊行物の名称:日本応用糖質科学会平成18年度大会(第55回) 第14回糖質関連酵素化学シンポジウム 講演要旨集 (2)発行日: 平成19年8月30日 (3)発表者名: 木原 千賀、鈴木 潔、小崎 誠、長沢麻衣子、北村進一 (4)該当頁: 23頁、演題番号 Aa−1 B.研究集会における発表 (1)研究集会: 日本応用糖質科学会平成18年度大会(第55回) 第14回糖質関連酵素化学シンポジウム (2)主催者: 日本応用糖質科学会 (3)発表日: 平成18年9月27日 (4)発表場所: 大阪府立大学 (5)文書の種類: スライド (6)発表者: 木原 千賀、鈴木 潔、小崎 誠、長沢麻衣子、北村進一
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(591046892)富士産業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]