説明

膜分離装置

【課題】自然排出経路によるろ過液の排出を安定して行うことができ、自然排出経路から強制排出経路への切換を円滑に行うことができる膜分離装置を提供する。
【解決手段】膜分離装置6は、被処理液が供給される膜分離槽4と、膜分離槽4内に浸漬配置されたろ過膜6aと、ろ過膜6aで固液分離したろ過液を槽外に設置した貯水槽12へ排出する排出機構20を備え、排出機構20は、膜分離槽4の内外の水頭差によりろ過液を排出する自然排出管21と、ろ過液を吸引するポンプ24を備えた強制排出管23と、自然排出管21と強制排出管23の何れかからろ過液を排出する経路切換機構としての電磁弁29a,29bを備え、自然排出管21に、ろ過液に混入した空気を分離する気液分離タンク25を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理液が供給される処理槽と、前記処理槽内に浸漬配置されたろ過膜と、前記ろ過膜で固液分離したろ過液を槽外に排出する排出機構を備えている膜分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、従来、膜分離槽85に浸漬配置されたろ過膜81と、ろ過膜81内の処理液を貯留槽90に排出する自然排出管82にポンプ83を備えた強制排出管84を分岐接続し、膜分離槽85に備えられた液位計86と、膜分離槽85への被処理水の供給管87に備えられた流量計88に計測値に基づいて、自然排出管82と強制排出管84に夫々備えられた開閉弁89a,89bの開閉を制御することで、自然排出管82と強制排出管84によるろ過液の排出を切り換えるように構成された膜分離装置80が提案されている。
【0003】
貯留槽90の液面が、膜分離槽85の液面より低くなるように貯留槽90が配置され、両液面の水頭差を利用して膜分離槽85から自然排出管82を介して貯留槽90にろ過液が排水されている。従って、自然排出管82と強制排出管84も、膜分離槽85の液面より低い位置に配設されている。そして、膜分離槽85に流入する被処理水が多くなったり、膜分離槽85の液位が高くなれば、開閉弁89a,89bを制御し、ポンプ83を起動することによって強制排出管84によりろ過膜を強制的に排出することで安定してろ過液の排出を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−143847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ろ過膜81でろ過された被処理水には気泡が含まれているため、自然排出管82または強制排出管84を流下して貯留槽90に排水される流量が不安定になるという不都合があった。特に、自然排出管82がアーチ型に配設され、膜分離槽85の液面より高い配管部位があると、気泡によって排水が途切れる虞もあった。
【0006】
また、膜分離槽等の設備は地中に掘削された領域に構築され、その近傍にポンプ設備等が配設されるが、既設の設備を拡張したり更新する際に、コストの抑制や設置空間が制限される等の様々な要因で、ポンプ設備や排出管等が膜分離装置の液面より下方に設置できない場合がある。
【0007】
そのような場合には、ポンプ設備や、自然排出管及び強制排出管の一部が、膜分離装置の液面より上方に位置するスラブ上に設置されるが、自然排出管によってろ過液を排出しようとしても、膜分離槽内の曝気装置によりろ過液は曝気され、空気を多量に含んでいるため、ろ過液中の空気が自然排出管内に析出し、自然排出管によるろ過液の排出が中断することがあり安定してろ過液の排出が行えないという問題があった。
【0008】
さらに、ポンプを起動し強制移送管によってろ過液を排出しようとしても、ポンプの起動時に呼び水が必要になるという問題や、上述と同様にろ過液は多量の空気を含んでいるため、自吸式のポンプであってもエアロックによって自吸できない問題があった。また、キャビテーションが激しくなりポンプが破損される虞もあった。
【0009】
本発明は、自然排出経路によるろ過液の排出を安定して行うことができ、自然排出経路から強制排出経路への切換を円滑に行うことができる膜分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による膜分離装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、被処理液が供給される処理槽と、前記処理槽内に浸漬配置されたろ過膜と、前記ろ過膜で固液分離したろ過液を槽外に排出する排出機構を備えている膜分離装置であって、前記排出機構は、前記処理槽の内外の水頭差によりろ過液を排出する自然排出経路と、ろ過液を吸引するポンプを備えた強制排出経路と、前記自然排出経路と前記強制排出経路の何れかからろ過液を排出する経路切換機構とを備え、前記自然排出経路に、ろ過液に混入した空気を分離する気液分離部を設けている点にある。
【0011】
上述の構成によれば、自然排出経路に気液分離部を備えているため、自然排出経路によってろ過液が排出される際に、ろ過液に混入した空気が気液分離部で分離されるので、自然排出経路が途切れることがなく、ろ過液の移送流量を安定させることができる。移送量を増加させる場合は、経路切換機構により自然排出経路から強制排出経路へと切り換えることで、ポンプによる強制排出ができる。
【0012】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記強制排出経路が前記気液分離部に接続されている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、強制排出経路に混入した空気が気液分離部で分離されるので、移送流量を安定させることができる。また、強制排出経路の一部を自然排出経路と兼用できるため、排出管路の部品及び施工コストを削減でき、また設備をコンパクトに構成することができる。
【0014】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記ポンプの吐出側経路が前記気液分離部に接続されている点にある。
【0015】
上述の構成によれば、強制排出経路中の空気は、ポンプの吐出側経路に備えられた気液分離部に溜まるので、ポンプの停止時にポンプの吸込側経路やポンプ内部に空気が溜まることがなくなり、ポンプの運転再開時にエアロックが発生する虞を回避できる。
【0016】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第二または第三特徴構成に加えて、前記強制排出経路に切り換える際に、前記気液分離部の液位は前記ポンプの吐出部より上方である点にある。
【0017】
上述の構成によれば、自然排出経路によるろ過液の排出中に、気液分離部の液位がポンプの吐出部より上方になるようにろ過液が貯留されていれば、気液分離部内のろ過液が強制排出経路に流れ込み、強制排出経路がろ過液で満たされるので、自然排出経路から強制排出経路へ切り換える際に、ポンプを起動するための呼び水の必要がなくなり、自然排出経路から強制排出経路への切換をスムーズに行うことができる。
【0018】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第二または第三特徴構成に加えて、前記自然排出経路にろ過液を吸引するポンプを備えて前記強制排出経路が構成されている点にある。
【0019】
上述の構成によれば、自然排出経路にろ過液を吸引するポンプを備えて強制排出経路が構成されているので、ポンプが停止中は自然排出経路となり、ポンプの稼働中は強制排出経路となるように、自然排出経路と強制排出経路が兼用できるようになる。なお、ポンプが、自然排出経路と強制排出経路の何れかからろ過液を排出する経路切換機構として機能する。従って、排出管路の部品及び施工コストを削減でき、また設備をコンパクトに構成することができる。
【0020】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記気液分離部の液位を測定する液位計と、前記液位計による測定液位に基づいて前記気液分離部の空気を吸引排気する排気機構を設けている点にある。
【0021】
上述の構成によれば、排気機構により気液分離部の空気を吸引排気して、気液分離部内を負圧にすることにより、ろ過液が自然排出経路を経由して気液分離部内に貯留され、気液分離部の液位を所定の液位に上げることで、自然排出経路によるろ過液の排出開始をすることができる。さらに、例えば、気液分離部で分離されたろ過液中の空気が溜まり、気液分離部の液位が下がっても、液位計の測定水位に基づいて排気機構により気液分離部の空気が吸引排気されるので、気液分離部の液位が所定の液位に保たれ、自然排出機構によるろ過液の排出の維持が容易に可能となる。
【0022】
また、第四の特徴構成を備える場合には、排気機構により気液分離部のろ過液の液位が、強制排出経路に備えたポンプの吐出部より上方になるように調整されることにより、自然排出経路から強制排出経路によるろ過液の排出をスムーズに切り換えることができる。
【0023】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記気液分離部に、停電時に大気開放される自動弁を備えた開放機構を設けている点にある。
【0024】
開放機構は、停電時に自動弁が開いて気液分離部が大気開放され、自然排出経路によるろ過液の排出を停止するサイフォンブレークとして機能させることで、自然排出経路を介したろ過液の排出中に停電が発生した際に、ろ過液の排出を自動停止して、ろ過膜の閉塞を未然に回避することができる。
【0025】
また、自然排出経路内の圧力が設定値以下になると自動弁が開いて気液分離部を大気開放させる大気開放機構として機能させることで、自然排出経路内の圧力が極端に低下して配管等がつぶれる事故を未然に防止することができる。
【0026】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第三特徴構成に加えて、前記気液分離部を大気開放する開放機構と、前記気液分離部の液位を測定する液位計と、前記気液分離部のろ過液出口を開閉する開閉機構と、前記液位計による測定液位が所定値以下になると、前記ポンプを稼動し、前記開放機構により前記気液分離部を大気開放するとともに、前記開閉機構を閉鎖して前記気液分離部の液位を回復させる制御部を備えている点にある。
【0027】
上述の構成によれば、制御部は液位計による測定液位が所定値以下になると、開閉機構により気液分離部のろ過液出口を閉めて、開放機構により気液分離部を大気開放するとともに、強制排出経路に備えられたポンプを稼働して、気液分離部内にろ過液を移送して、気液分離部の液位を回復させるので、気液分離部の空気を吸引排気する排気機構を備えなくても、サイフォンを維持した状態での気液分離部内の空気の排気が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明した通り、本発明によれば、自然排出経路によるろ過液の排出を安定して行うことができ、自然排出経路から強制排出経路への切換を円滑に行うことができる膜分離装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による汚水処理装置の説明図
【図2】本発明による膜分離装置の説明図
【図3】制御部の説明図
【図4】膜分離装置の第二実施形態の説明図
【図5】膜分離装置の第三実施形態の説明図
【図6】膜分離装置の第四実施形態の説明図
【図7】膜分離装置の第五実施形態の説明図
【図8】従来の膜分離装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明による膜分離装置を汚水処理装置に適用した場合の実施形態を説明する。
図1に示すように、汚水処理装置100は、未処理の被処理水である原水を流入させる嫌気槽1と、嫌気槽1の下流側に隣接した無酸素槽2と、無酸素槽2の下流側に隣接した好気槽3が、それぞれ隔壁で分離されて構成されている。
【0031】
嫌気槽1では、嫌気条件下で微生物により嫌気処理され、原水に含まれるBOD成分が微生物に取り込まれるとともに、リン化合物が加水分解されて正リン酸としてりリンが液中に放出される。
【0032】
無酸素槽2では、嫌気槽1から流入した被処理水が無酸素条件下で微生物により無酸素処理され、硝酸イオン及び亜硝酸イオンの窒素ガスへの還元処理、つまり脱窒処理が行われる。
【0033】
好気槽3には、底部に散気装置3aが設置され、無酸素槽2から流入した被処理水に含まれるし尿等が由来のアンモニウムイオンが、好気条件下で微生物により酸化され、亜硝酸や硝酸に変換される硝化処理が行われ、さらに、被処理水中の正リン酸が汚泥に取り込まれ、ポリリン酸として蓄積される好気性処理が行われる。
【0034】
各処理槽1,2,3で生物処理された被処理水は、隔壁の下部に形成された開口部を介して下流側に移送され、或いは、隔壁をオーバーフローして下流側に移送される。
【0035】
好気槽3で好気性処理された被処理水は、好気槽3の下流側に隣接した膜分離装置6によりろ過され、さらに下流側の貯水槽7へ排出される。
【0036】
膜分離装置6は、被処理液が供給される処理槽としての膜分離槽4と、膜分離槽4内に浸漬配置されたろ過膜6aと、ろ過膜6aで固液分離したろ過液を後述する貯水槽7へ排出する排出機構20を備えている。
【0037】
ろ過膜6aは、限外ろ過膜、精密ろ過膜等が採用される。膜の形態は、平膜、チューブラー膜、中空糸膜などが好適に用いられる。
【0038】
膜分離槽4は、膜分離槽4の液位を検知する液位計4b及び余剰汚泥を排出する余剰汚泥排出管路5を備えている。さらに、ろ過膜6aの下部には散気装置4aが配設されている。
【0039】
散気装置4aは図示しないブロワから供給される空気により、被処理水に膜面に対して平行な流速を付与し、膜表面に蓄積した汚れ物質を剥離させるとともに、膜分離槽4内の被処理水が含有する活性汚泥に酸素を供給する。これにより膜分離槽4内は好気条件となり、活性汚泥が被処理水の硝化処理を行う。
【0040】
さらに、汚水処理装置100は膜分離槽4内の被処理水を好気槽3へ循環させる第一の循環路8と、膜分離槽4内の被処理水を無酸素槽2へ循環させる第二の循環路9と、無酸素槽2内の被処理水を嫌気槽1へ循環させる第三の循環路10を備えている。
【0041】
排出機構20は、図2に示すように、膜分離槽4の内外の水頭差によりろ過液を排出する自然排出経路としての自然排出管21と、ろ過液を吸引する吸引ポンプ24を備えた強制排出経路としての強制排出管23と、自然排出管21と強制排出管23の何れかからろ過液を排出する経路切換機構としての切換バルブ29a,29bとを備えている。
【0042】
自然排出管21及び強制排出管23は、一端がろ過膜6aのろ過液側に配置され、他端は貯水槽7に開放されている。
【0043】
自然排出管21には、膜分離槽4より高い位置に、ろ過液に混入した空気を分離する気液分離部としての気液分離タンク25が設けられ、気液分離タンク25には、気液分離タンク25内の液位を測定する液位計26と、液位計26の測定液位に基づいて気液分離タンク25内の空気を吸引排気する排気機構として真空ポンプ27a及び自動弁27bと、停電時に開となり気液分離タンク25を大気開放する自動弁28を備えた開放機構と、気液分離タンク25内の気体部分の圧力を検知する圧力計70が備えられている。
【0044】
さらに自然排出管21は、気液分離タンク25の下流側に気液分離タンク25のろ過液出口を開閉する開閉機構としての開閉バルブ22を備えている。
【0045】
自動弁27b,28は、例えば、制御部12により開閉制御される電磁弁で構成されている。
【0046】
切換バルブ29a,29b及び開閉バルブ22は管内を流れる処理水の通水・遮断ができるものであればよく、例えば、ゲートバルブ、グローブバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、ニードルバルブ、ストップバルブ等が好適に用いられる。さらに、バルブは装置の自動化の観点から電動で開閉制御されるものが好ましいが、作業員が手動により開閉を行うものであってもよい。
【0047】
制御部12は、図3に示すように、液位計4b、液位計26や圧力計70の信号に基づいて、真空ポンプ27aの起動停止及び自動弁27bの開閉や、切換バルブ29a,29bの開閉、吸引ポンプ24の起動停止、開閉バルブ22の開閉及び自動弁28の開閉制御をする。
【0048】
なお、自動弁28は制御部12からの給電により閉じ、停電時に制御部12からの給電が停止すると開き、気液分離タンク25が大気開放されるように構成されている。さらに、制御部12は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放するように制御されている。
【0049】
従って、膜分離装置6が設置される施設内が停電となってろ過膜洗浄を行っている散気装置4aが停止しても、自動弁28が開いて気液分離タンク25を大気開放するので、直ちにろ過を停止することができ、膜の閉塞を未然に防止することができ、貯水槽7のオーバーフローも回避することができる。
【0050】
また、制御部12は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると、自動弁28を開き気液分離タンク25を大気開放するように制御されているので、例えば、ろ過膜6aの目詰まりや切換バルブ29a、開閉バルブ22の故障等による締め切り状態での真空ポンプ27aの運転による、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知できるので、気液分離タンク25や自然移送管21内の圧力が極端に低下し、つぶれる等の事故を未然に防止することができる。
【0051】
なお、制御部12は真空ポンプ27aの電流や電圧を監視しておき、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知してもよい。
【0052】
気液分離タンク25内の液位が自然排出管21による移送可能最低水位LWL以下の状態で、自然排出管21による排水を開始するときは、切換バルブ29aを開いて、切換バルブ29b、開閉バルブ22を閉じる。自動弁27bを開いて真空ポンプ27aを起動し、気液分離タンク25内の空気を外部に排出することで、気液分離タンク25内を負圧にする。すると、自然排出管21を通って処理水が気液分離タンク25内に貯留される。なお、開閉バルブ22は開いた状態にしておいてもよい。
【0053】
液位計26が気液分離タンク25の液位の高水位HWLを検知すると、自動弁27bを閉じ、真空ポンプ27aを停止し、開閉バルブ22を開く。このとき気液分離タンク25より上流側の自然排出管21内には処理水が満たされていることになる。
【0054】
すると、膜分離槽4の液面と貯水槽7の液面との水頭差に応じた水頭圧力差によりサイフォンの原理で膜分離装置6のろ過膜6aによりろ過された処理水が自然排出管21を通って貯水槽7へと自然移送されるのである。
【0055】
なお、真空ポンプ27aによる気液分離タンク25内の空気の排出の開始から、気液分離タンク25内の液位が自然排出管21による移送可能最低水位LWLになった時点で、開閉バルブ22を開いてろ過を開始し、気液分離タンク25の液位が高水位HWLになった時点で真空ポンプ27aを停止する運転方法も可能である。
【0056】
このように、自然排出管21に処理水が流れだすと、処理水を移送するための動力は必要とせず経済的である。なお、貯水槽7に貯水された処理水は、排水管11により適宜排水される。
【0057】
制御部12は、液位計26が検出する気液分離タンク25内の液位が自然排出管21による移送可能最低水位LWLを検出すると、自動弁27bを開き真空ポンプ27aを稼動して、気液分離タンク25内の空気を排出して液位を回復させる。このとき、気液分離タンク25のろ過液出口を開閉する開閉機構としての開閉バルブ22、または、切換バルブ29aを閉じてろ過を停止させてもよいし、開いたままろ過を継続させてもよい。
【0058】
制御部12は、液位計4bが膜分離槽4の液位の低水位LWLを検出すると、切換バルブ29aを閉じて自然移送管21によるろ過液の排出を停止する。また、自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放し、自然移送管21によるろ過液の排出を停止することも可能である。
【0059】
強制排出管23による処理水の強制排出を行う場合は、制御部12は、切換バルブ29aを閉じて切換バルブ29bを開き、吸引ポンプ24を起動する。
【0060】
自然排出管21と強制排出管23の切り換えは、液位計4bが異常高水位HHWLを検出すると強制排出管23に切り換えるように構成すればよい。
【0061】
なお、気液分離タンク25内の空気を排出する真空ポンプ27a及び自動弁27bは必ずしも設ける必要はなく、作業員が気液分離タンク25に処理水を注ぎ込むなどして気液分離タンク25内に処理水を満たしてもよい。
【0062】
さらに、気液分離部は気液分離タンク25のようなタンクである必要はなく、自然排出管21を構成する配管中にレデューサで拡径した部分を設け、当該拡径した部分を気液分離部としてもよい。
【0063】
本実施形態では、気液分離タンク25の下部に開閉バルブ22を設けたが、上述した通り、開閉バルブ22は常に開いた状態で運転することができるので、開閉バルブ22は必ずしも設ける必要はない。
【0064】
次に、第二実施形態について説明する。上述の実施形態と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
図4に示すように、排出機構30は、膜分離槽4の内外の水頭差によりろ過液を排出する自然排出経路としての自然排出管31と、ろ過液を吸引する吸引ポンプ34を備えた強制排出経路としての強制排出管33と、自然排出管31と強制排出管33の何れかからろ過液を排出する経路切換機構としての切換バルブ39a,39bとを備えている。
【0066】
自然排出管31には、膜分離槽4より高い位置に、ろ過液に混入した空気を分離する気液分離部としての気液分離タンク25が設けられている。
【0067】
自然排出管31は、一端がろ過膜6aのろ過液側に配置され、他端は貯水槽7に開放され、強制排出管33は、吸引ポンプ34の吸込側が気液分離タンク25の下流側の自然排出管31であって気液分離タンク25側に接続され、吸引ポンプの吐出側が気液分離タンク25の下流側の自然排出管31であって貯水タンク7側に接続されている。
【0068】
自然排出管31と強制排出管33の何れかからろ過液を排出する経路切換機構としての切換バルブ39a,39bは、気液分離タンク25のろ過液出口を開閉する開閉機構としての開閉バルブとしても機能するように構成されている。
【0069】
制御部13(図示せず)は、液位計4b、液位計26や圧力計70の信号に基づいて、真空ポンプ27aの起動停止及び自動弁27bの開閉や、経路切換機構及び開閉バルブとしての切換バルブ39a,39bの開閉、吸引ポンプ34の起動停止、自動弁28の開閉制御をする。
【0070】
なお、自動弁28は制御部13からの給電により閉じ、停電時に制御部13からの給電が停止すると開き、気液分離タンク25が大気開放されるように構成されている。さらに、制御部13は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放するように制御されている。
【0071】
従って、膜分離装置6が設置される施設内が停電となってろ過膜洗浄を行っている散気装置4aが停止しても、自動弁28が開いて気液分離タンク25を大気開放するので、直ちにろ過を停止することができ、膜の閉塞を未然に防止することができ、貯水槽7のオーバーフローも回避することができる。
【0072】
また、制御部13は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると、自動弁28を開き気液分離タンク25を大気開放するように制御されているので、例えば、ろ過膜6aの目詰まりや切換バルブ39a,39bの故障等による締め切り状態での真空ポンプ27aの運転による、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知できるので、気液分離タンク25や自然移送管31、強制排出管33内の圧力が極端に低下し、つぶれる等の事故を未然に防止することができる。
【0073】
なお、制御部13は真空ポンプ27aの電流や電圧を監視しておき、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知してもよい。
【0074】
気液分離タンク25内の液位が自然排出管31による移送可能最低水位LWL以下の状態で、自然排出管31による排水を開始するときは、切換バルブ39a,39bを閉じる。自動弁27bを開いて真空ポンプ27aを起動し、気液分離タンク25内の空気を外部に排出することで、気液分離タンク25内を負圧にする。すると、自然排出管31を通って処理水が気液分離タンク25内に貯留される。なお、切換バルブ39aは開いた状態にしておいてもよい。
【0075】
液位計26が気液分離タンク25の液位の高水位HWLを検知すると、自動弁27bを閉じ、真空ポンプ27aを停止し、切換バルブ39aを開く。このとき気液分離タンク25より上流側の自然排出管31内には処理水が満たされていることになる。
【0076】
すると、膜分離槽4の液面と貯水槽7の液面との水頭差に応じた水頭圧力差によりサイフォンの原理で膜分離装置6のろ過膜6aによりろ過された処理水が自然排出管31を通って貯水槽7へと自然移送されるのである。
【0077】
なお、真空ポンプ27aによる気液分離タンク25内の空気の排出の開始から、気液分離タンク25内の液位が自然排出管31による移送可能最低水位LWLになった時点で、切換バルブ39aを開いてろ過を開始し、気液分離タンク25の液位が高水位HWLになった時点で真空ポンプ27aを停止する運転方法も可能である。
【0078】
このように、自然排出管31に処理水が流れだすと、処理水を移送するための動力は必要とせず経済的である。なお、貯水槽7に貯水された処理水は、排水管11により適宜排水される。
【0079】
制御部13は、液位計26が検出する気液分離タンク25内の液位が自然排出管31による移送可能最低水位LWLを検出すると、自動弁27bを開き真空ポンプ27aを稼動して、気液分離タンク25内の空気を排出して液位を回復させる。このとき、気液分離タンク25のろ過液出口を開閉する開閉機構としての切換バルブ39aを閉じてろ過を停止させてもよいし、開いたままろ過を継続させてもよい。
【0080】
制御部13は、液位計4bが膜分離槽4の液位の低水位LWLを検出すると、切換バルブ39aを閉じて、自然移送管31によるろ過液の排出を停止する。また、自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放し、自然移送管31によるろ過液の排出を停止することも可能である。
【0081】
強制排出管33による処理水の強制排出を行う場合は、制御部13は、切換バルブ39aを閉じて、切換バルブ39bを開き、吸引ポンプ34を起動する。
【0082】
自然排出管31と強制排出管33の切り換えは、液位計4bが異常高水位HHWLを検出すると強制排出管33に切り換えるように構成すればよい。
【0083】
なお、気液分離タンク25内の空気を排出する真空ポンプ27a及び自動弁27bは必ずしも設ける必要はなく、作業員が気液分離タンク25に処理水を注ぎ込むなどして気液分離タンク25内に処理水を満たしてもよい。
【0084】
次に、第三実施形態について説明する。上述の何れかの実施形態と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
図5に示すように、排出機構40は、膜分離槽4の内外の水頭差によりろ過液を排出する自然排出経路としての自然排出管41と、自然排出管41の経路中であって膜分離槽4より高い位置に、ろ過液に混入した空気を分離する気液分離部としての気液分離タンク25が設けられ、気液分離タンク25の下流側の自然排出管41には、吸引ポンプ44が備えられている。
【0086】
つまり、本実施形態では、自然排出管41は吸引ポンプ44の停止中には、自然排出経路となり、吸引ポンプ44の起動中は強制排出経路となり、吸引ポンプ44が自然排出経路と強制排出経路を切り換える経路切換機構となる。
【0087】
なお、気液分離タンク25の下流側であって、吸引ポンプ44の吸込側の上流側に気液分離タンク25のろ過液出口を開閉する開閉機構としての開閉バルブ42が備えられている。
【0088】
制御部14(図示せず)は、液位計4b、液位計26や圧力計70の信号に基づいて、真空ポンプ27aの起動停止及び自動弁27bの開閉や、開閉バルブ42の開閉、吸引ポンプ44の起動停止及び自動弁28の開閉制御をする。
【0089】
なお、自動弁28は制御部14からの給電により閉じ、停電時に制御部14からの給電が停止すると開き、気液分離タンク25が大気開放されるように構成されている。さらに、制御部14は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放するように制御されている。
【0090】
従って、膜分離装置6が設置される施設内が停電となってろ過膜洗浄を行っている散気装置4aが停止しても、自動弁28が開いて気液分離タンク25を大気開放するので、直ちにろ過を停止することができ、膜の閉塞を未然に防止することができ、貯水槽7のオーバーフローも回避することができる。
【0091】
また、制御部14は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると、自動弁28を開き気液分離タンク25を大気開放するように制御されているので、例えば、ろ過膜6aの目詰まりや開閉バルブ42の故障等による締め切り状態での真空ポンプ27aの運転による、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知できるので、気液分離タンク25や自然移送管41内の圧力が極端に低下し、つぶれる等の事故を未然に防止することができる。
【0092】
なお、制御部14は真空ポンプ27aの電流や電圧を監視しておき、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知してもよい。
【0093】
気液分離タンク25内の液位が自然排出管41による移送可能最低水位LWL以下の状態で、自然排出管41による排水を開始するときは、開閉バルブ42を閉じる。自動弁27bを開いて真空ポンプ27aを起動し、気液分離タンク25内の空気を外部に排出することで、気液分離タンク25内を負圧にする。すると、自然排出管41を通って処理水が気液分離タンク25内に貯留される。なお、開閉バルブ42は開いた状態にしておいてもよい。
【0094】
液位計26が気液分離タンク25の液位の高水位HWLを検知すると、自動弁27bを閉じ、真空ポンプ27aを停止し、開閉バルブ42を開く。このとき気液分離タンク25より上流側の自然排出管41内には処理水が満たされていることになる。
【0095】
すると、膜分離槽4の液面と貯水槽7の液面との水頭差に応じた水頭圧力差によりサイフォンの原理で膜分離装置6のろ過膜6aによりろ過された処理水が自然排出管41を通って貯水槽7へと自然移送されるのである。
【0096】
なお、真空ポンプ27aによる気液分離タンク25内の空気の排出の開始から、気液分離タンク25内の液位が自然排出管41による移送可能最低水位LWLになった時点で、開閉バルブ42を開いてろ過を開始し、気液分離タンク25の液位が高水位HWLになった時点で真空ポンプ27aを停止する運転方法も可能である。
【0097】
このように、自然排出管41に処理水が流れだすと、処理水を移送するための動力は必要とせず経済的である。なお、貯水槽7に貯水された処理水は、排水管11により適宜排水される。
【0098】
制御部14は、液位計26が検出する気液分離タンク25内の液位が自然排出管41による移送可能最低水位LWLを検出すると、自動弁27bを開き真空ポンプ27aを稼動して、気液分離タンク25内の空気を排出して液位を回復させる。このとき、気液分離タンク25のろ過液出口を開閉する開閉機構としての開閉バルブ42を閉じてろ過を停止させてもよいし、開いたままろ過を継続させてもよい。
【0099】
制御部14は、液位計4bが膜分離槽4の液位の低水位LWLを検出すると、開閉バルブ42を閉じて自然移送管41によるろ過液の排出を停止する。また、自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放し、自然移送管41によるろ過液の排出を停止することも可能である。
【0100】
本実施形態の場合、吸引ポンプ44を起動することで処理水の強制排出が行われる。
【0101】
自然排出管41と強制排出管の切り換えは、液位計4bが異常高水位HHWLを検出すると強制排出管に切り換えるように構成すればよい。
【0102】
なお、気液分離タンク25内の空気を排出する真空ポンプ27a及び自動弁27bは必ずしも設ける必要はなく、作業員が気液分離タンク25に処理水を注ぎ込むなどして気液分離タンク25内に処理水を満たしてもよい。
【0103】
次に、本発明の第四実施形態について説明する。上述の何れかの実施形態と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
図6に示すように、排出機構50は、膜分離槽4の内外の水頭差によりろ過液を排出する自然排出経路としての自然排出管51と、ろ過液を吸引する吸引ポンプ54を備えた強制排出経路としての強制排出管53と、自然排出管51と強制排出管53の何れかからろ過液を排出する経路切換機構としての切換バルブ59a,59bとを備えている。
【0105】
自然排出管51は、一端がろ過膜6aのろ過液側に配置され、他端は貯水槽7に開放されている。
【0106】
自然排出管51には、膜分離槽4より高い位置に、ろ過液に混入した空気を分離する気液分離部としての気液分離タンク25が設けられ、気液分離タンク25の上流側の自然排出管51には強制排出管53が接続されている。
【0107】
制御部15(図示せず)は、液位計4b、液位計26や圧力計70の信号に基づいて、真空ポンプ27aの起動停止及び自動弁27bの開閉や、切換バルブ59a,59bの開閉、吸引ポンプ54の起動停止、開閉バルブ52の開閉及び自動弁28の開閉制御をする。
【0108】
なお、自動弁28は制御部15からの給電により閉じ、停電時に制御部15からの給電が停止すると開き、気液分離タンク25が大気開放されるように構成されている。さらに、制御部15は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放するように制御されている。
【0109】
従って、膜分離装置6が設置される施設内が停電となってろ過膜洗浄を行っている散気装置4aが停止しても、自動弁28が開いて気液分離タンク25を大気開放するので、直ちにろ過を停止することができ、膜の閉塞を未然に防止することができ、貯水槽7のオーバーフローも回避することができる。
【0110】
また、制御部15は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると、自動弁28を開き気液分離タンク25を大気開放するように制御されているので、例えば、ろ過膜6aの目詰まりや切換バルブ59a,59b、開閉バルブ52の故障等による締め切り状態での真空ポンプ27aの運転による、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知できるので、気液分離タンク25や自然移送管51、強制排出管53内の圧力が極端に低下し、つぶれる等の事故を未然に防止することができる。
【0111】
なお、制御部15は真空ポンプ27aの電流や電圧を監視しておき、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知してもよい。
【0112】
気液分離タンク25内の液位が自然排出管51による移送可能最低水位LWL以下の状態で、自然排出管51による排水を開始するときは、切換バルブ59aを開き、切換バルブ59b、開閉バルブ52を閉じる。自動弁27bを開いて真空ポンプ27aを起動し、気液分離タンク25内の空気を外部に排出することで、気液分離タンク25内を負圧にする。すると、自然排出管51を通って処理水が気液分離タンク25内に貯留される。なお、開閉バルブ52は開いた状態にしておいてもよい。
【0113】
液位計26が気液分離タンク25の液位の高水位HWLを検知すると、自動弁27bを閉じ、真空ポンプ27aを停止し、開閉バルブ52を開く。このとき気液分離タンク25より上流側の自然排出管51内には処理水が満たされていることになる。
【0114】
すると、膜分離槽4の液面と貯水槽7の液面との水頭差に応じた水頭圧力差によりサイフォンの原理で膜分離装置6のろ過膜6aによりろ過された処理水が自然排出管51を通って貯水槽7へと自然移送されるのである。
【0115】
なお、真空ポンプ27aによる気液分離タンク25内の空気の排出の開始から、気液分離タンク25内の液位が自然排出管51による移送可能最低水位LWLになった時点で、開閉バルブ52を開いてろ過を開始し、気液分離タンク25の液位が高水位HWLになった時点で真空ポンプ27aを停止する運転方法も可能である。
【0116】
このように、自然排出管51に処理水が流れだすと、処理水を移送するための動力は必要とせず経済的である。なお、貯水槽7に貯水された処理水は、排水管11により適宜排水される。
【0117】
制御部15は、液位計26が検出する気液分離タンク25内の液位が自然排出管51による移送可能最低水位LWLを検出すると、自動弁27bを開き真空ポンプ27aを稼動して、気液分離タンク25内の空気を排出して液位を回復させる。このとき、気液分離タンク25のろ過液出口を開閉する開閉機構としての開閉バルブ52、または、切換バルブ59aを閉じてろ過を停止させてもよいし、開いたままろ過を継続させてもよい。
【0118】
制御部12は、液位計4bが膜分離槽4の液位の低水位LWLを検出すると、切換バルブ59aを閉じて、自然移送管51によるろ過液の排出を停止する。また、自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放し、自然移送管51によるろ過液の排出を停止することも可能である。
【0119】
強制排出管53による処理水の強制排出を行う場合は、制御部15は、切換バルブ59aを閉じて、切換バルブ59bを開き、吸引ポンプ54を起動する。
【0120】
自然排出管51と強制排出管53の切り換えは、液位計4bが異常高水位HHWLを検出すると強制排出管53に切り換えるように構成すればよい。なお、強制排出経路53による排水への切り換えは、気液分離タンク25の液位PLが吸引ポンプ24の吐出部より上方であるときに可能である。
【0121】
本実施形態では、気液分離タンク25の下部に開閉バルブ52を設けたが、上述した通り開閉バルブ52は常に開いた状態で運転することができるので、開閉バルブ52は必ずしも設ける必要はない。
【0122】
なお、気液分離タンク25内の空気を排出する真空ポンプ27a及び自動弁27bは必ずしも設ける必要はなく、作業員が気液分離タンク25に処理水を注ぎ込むなどして気液分離タンク25内に処理水を満たしてもよい。
【0123】
真空ポンプ27a及び自動弁27bを備えない場合、制御部15は、液位計26が気液分離タンク25内の液位が所定液位まで下がったことを検出すると、吸引ポンプ54を稼動するとともに、自動弁28を開き気液分離タンク25を大気開放するとともに、開閉バルブ52を閉鎖して気液分離タンク25の液位を回復させる。このように、サイフォンを維持したまま、気液分離タンク25内の空気を排出することができる。
【0124】
次に、本発明の第五実施形態について説明する。上述の何れかの実施形態と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0125】
図7に示すように、排出機構60は、膜分離槽4の内外の水頭差によりろ過液を排出する自然排出経路としての自然排出管61と、自然排出管61の経路中であって膜分離槽4より高い位置に、ろ過液に混入した空気を分離する気液分離部としての気液分離タンク25が設けられ、気液分離タンク25の上流側の自然排出管61には、吸引ポンプ64及び開閉バルブ63が、気液分離タンク25の下流側の自然排出管61には開閉バルブ62が備えられている。
【0126】
つまり、本実施形態では、自然排出管61は吸引ポンプ64の停止中には自然排出経路となり、吸引ポンプ64の起動中は強制排出経路となり、吸引ポンプ64が自然排出経路と強制排出経路を切り換える経路切換機構となる。
【0127】
制御部16(図示せず)は、液位計4b、液位計26や圧力計70の信号に基づいて、真空ポンプ27aの起動停止及び自動弁27bの開閉や、開閉バルブ62及び開閉バルブ63の開閉、吸引ポンプ64の起動停止、自動弁28の開閉制御をする。
【0128】
なお、自動弁28は制御部16からの給電により閉じ、停電時に制御部16からの給電が停止すると開き、気液分離タンク25が大気開放されるように構成されている。さらに、制御部16は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放するように制御されている。
【0129】
従って、膜分離装置6が設置される施設内が停電となってろ過膜洗浄を行っている散気装置4aが停止しても、自動弁28が開いて気液分離タンク25を大気開放するので、直ちにろ過を停止することができ、膜の閉塞を未然に防止することができ、貯水槽7のオーバーフローも回避することができる。
【0130】
また、制御部16は、圧力計70が検知する気液分離タンク25内の圧力が設定値以下になったことを検知すると、自動弁28を開き気液分離タンク25を大気開放するように制御されているので、例えば、ろ過膜6aの目詰まりや開閉バルブ62,63の故障等による締め切り状態での真空ポンプ27aの運転による、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知できるので、気液分離タンク25や自然移送管61内の圧力が極端に低下し、つぶれる等の事故を未然に防止することができる。
【0131】
なお、制御部16は真空ポンプ27aの電流や電圧を監視しておき、気液分離タンク25内の異常な負圧状態を検知してもよい。
【0132】
気液分離タンク25内の液位が自然排出管61による移送可能最低水位LWL以下の状態で、自然排出管61による排水を開始するときは、開閉バルブ62を閉じる。自動弁27bを開いて真空ポンプ27aを起動し、気液分離タンク25内の空気を外部に排出することで、気液分離タンク25内を負圧にする。すると、自然排出管61を通って処理水が気液分離タンク25内に貯留される。なお、開閉バルブ62は開いた状態にしておいてもよい。
【0133】
液位計26が気液分離タンク25の液位の高水位HWLを検知すると、自動弁27bを閉じ、真空ポンプ27aを停止し、開閉バルブ62を開く。このとき気液分離タンク25より上流側の自然排出管61内には処理水が満たされていることになる。
【0134】
すると、膜分離槽4の液面と貯水槽7の液面との水頭差に応じた水頭圧力差によりサイフォンの原理で膜分離装置6のろ過膜6aによりろ過された処理水が自然排出管61を通って貯水槽7へと自然移送されるのである。
【0135】
なお、真空ポンプ27aによる気液分離タンク25内の空気の排出の開始から、気液分離タンク25内の液位が自然排出管61による移送可能最低水位LWLになった時点で、開閉バルブ62を開いてろ過を開始し、気液分離タンク25の液位が高水位HWLになった時点で真空ポンプ27aを停止する運転方法も可能である。
【0136】
このように、自然排出管61に処理水が流れだすと、処理水を移送するための動力は必要とせず経済的である。なお、貯水槽7に貯水された処理水は、排水管11により適宜排水される。
【0137】
制御部16は、液位計26が検出する気液分離タンク25内の液位が自然排出管61による移送可能最低水位LWLを検出すると、自動弁27bを開き真空ポンプ27aを稼動して、気液分離タンク25内の空気を排出して液位を回復させる。このとき、気液分離タンク25のろ過液出口を開閉する開閉機構としての開閉バルブ62,開閉バルブ63の少なくとも一方を閉じてろ過を停止させてもよいし、開いたままろ過を継続させてもよい。
【0138】
制御部16は、液位計4bが膜分離槽4の液位の低水位LWLを検出すると、開閉バルブ62,開閉バルブ63の少なくとも一方を閉じて、自然移送管61によるろ過液の排出を停止する。また、自動弁28を開き、気液分離タンク25を大気開放し、自然移送管61によるろ過液の排出を停止することも可能である。
【0139】
本実施形態の場合、吸引ポンプ64を起動することで処理水の強制排出が行われる。
【0140】
自然排出管61と強制排出管の切り換えは、液位計4bが異常高水位HHWLを検出すると強制排出管に切り換えるように構成すればよい。なお、吸引ポンプ64による処理水の強制排出を行う場合は、気液分離タンク25の液位PLが吸引ポンプ64の吐出部より上方であるときに可能である。
【0141】
本実施形態では、気液分離タンク25の下部に開閉バルブ62を設けたが、上述した通り開閉バルブ62は常に開いた状態で運転することができるので、開閉バルブ62は必ずしも設ける必要はない。
【0142】
なお、気液分離タンク25内の空気を排出する真空ポンプ27a及び自動弁27bは必ずしも設ける必要はなく、作業員が気液分離タンク25に処理水を注ぎ込むなどして気液分離タンク25内に処理水を満たしてもよい。
【0143】
真空ポンプ27a及び自動弁27bを備えない場合、制御部16は、液位計26が気液分離タンク22内の液位が所定液位まで下がったことを検出すると、吸引ポンプ64を稼動するとともに、自動弁28を開き気液分離タンク25を大気開放するとともに、開閉バルブ62を閉鎖して気液分離タンク25の液位を回復させる。このように、サイフォンを維持したまま、気液分離タンク25内の空気を排出することができる。
【0144】
上述の何れの実施形態も、水頭差によりサイフォンろ過するものについて説明したが、本発明はサイフォンろ過に限定されるものではなく、膜分離槽と自然排出管の出口の水頭差でろ過する重力ろ過にも適用される。
【0145】
上述の何れの実施形態でも、自然排出管や強制排出管のろ過液の流量調整については明示しなかったが、自然排出管や強制排出管に流量計や流量調整バルブ等を適宜備え、公知の技術で流量調整ができることは言うまでもない。また、その他の計装装置やバルブについて明示しなかったが、自然排出管や強制排出管に圧力計や逆止弁、仕切弁等を適宜備えることは言うまでもない。
【0146】
上述の何れの実施形態でも、定常運転時は自然排出経路による処理水の自然排出を行い、膜分離装置4が異常高水位HHWLのときに強制排出経路に切り替える運転方法について説明したが、自然排出経路と強制排出経路との切り替え方法は本記載に限定されるものではない。
【0147】
例えば、定常時は自然排出経路により運転するが、流量調整弁の故障などにより処理液の排出流量の調整が適切に行えない場合に、強制排出経路による運転に切り替える制御を併用することも可能である。
【0148】
また、原水の流入量が設定値以下の場合は自然排出経路による運転を行い、設定値を超えた場合に強制排出経路による運転に切り替える制御方法も可能である。
【0149】
上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0150】
1:嫌気槽
2:無酸素槽
3:好気槽
3a:散気装置
4:処理槽(膜分離槽)
4a:散気装置
4b:液位計
5:余剰汚泥排出管路
6:膜分離装置
6a:ろ過膜
7:貯水槽
8:第一の循環路
9:第二の循環路
10:第三の循環路
11:排水管
12,13,14,15,16:制御部
20:排出機構
21:自然排出経路(自然排出管)
22:開閉機構(開閉バルブ)
23:強制排出経路(強制排出管)
24:吸引ポンプ
25:気液分離部(気液分離タンク)
26:液位計
27a:排気機構(真空ポンプ)
27b:排気機構(自動弁)
28:開放機構(自動弁)
29a,29b:経路切換機構(切換バルブ)
30:排出機構
31:自然排出経路(自然排出管)
33:強制排出経路(強制排出管)
34:吸引ポンプ
39a,39b:経路切換機構(切換バルブ)
40:排出機構
41:自然排出経路(自然排出管)
42:開閉バルブ
44:吸引ポンプ
50:排出機構
51:自然排出経路(自然排出管)
52:開閉機構(開閉バルブ)
53:強制排出経路(強制排出管)
54:吸引ポンプ
59a,59b:経路切換機構(切換バルブ)
60:排出機構
61:自然排出経路(自然排出管)
62:開閉機構(開閉バルブ)
63:開閉機構(開閉バルブ)
64:吸引ポンプ
70:圧力計
100:汚水処理装置
LWL:最低水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液が供給される処理槽と、前記処理槽内に浸漬配置されたろ過膜と、前記ろ過膜で固液分離したろ過液を槽外に排出する排出機構を備えている膜分離装置であって、
前記排出機構は、前記処理槽の内外の水頭差によりろ過液を排出する自然排出経路と、ろ過液を吸引するポンプを備えた強制排出経路と、前記自然排出経路と前記強制排出経路の何れかからろ過液を排出する経路切換機構とを備え、
前記自然排出経路に、ろ過液に混入した空気を分離する気液分離部を設けていることを特徴とする膜分離装置。
【請求項2】
前記強制排出経路が前記気液分離部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の膜分離装置。
【請求項3】
前記ポンプの吐出側経路が前記気液分離部に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の膜分離装置。
【請求項4】
前記強制排出経路に切り換える際に、前記気液分離部の液位は前記ポンプの吐出部より上方であることを特徴とする請求項2または3に記載の膜分離装置。
【請求項5】
前記自然排出経路にろ過液を吸引するポンプを備えて前記強制排出経路が構成されている請求項2または3に記載の膜分離装置。
【請求項6】
前記気液分離部の液位を測定する液位計と、前記液位計による測定液位に基づいて前記気液分離部の空気を吸引排気する排気機構を設けていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の膜分離装置。
【請求項7】
前記気液分離部に、停電時に大気開放される自動弁を備えた開放機構を設けている請求項1から6の何れかに記載の膜分離装置。
【請求項8】
前記気液分離部を大気開放する開放機構と、前記気液分離部の液位を測定する液位計と、前記気液分離部のろ過液出口を開閉する開閉機構と、前記液位計による測定液位が所定値以下になると、前記ポンプを稼動し、前記開放機構により前記気液分離部を大気開放するとともに、前記開閉機構を閉鎖して前記気液分離部の液位を回復させる制御部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の膜分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−194482(P2010−194482A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44167(P2009−44167)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】