説明

膨潤性組成物

水膨潤性組成物、分散液、およびそれらの製造のための親水性架橋ポリマー微粒子、ならびにそれらの製造および使用が記載される。該ポリマー微粒子は、スルホン酸モノマー、非イオン性モノマー、および場合によっては別のモノマーを含むモノマー混合物から形成され、体積平均粒径が20ミクロンを下回る。該組成物は、例えばシール材およびその他の遮水用途などの用途において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水膨潤性組成物、ポリマー分散液、およびそれらの製造のためのポリマー微粒子に関する。
【0002】
エラストマー成分と、(メタクリレート、アクリレート、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、およびそれらの塩、ポリアクリルアミドなどに基づくポリマーから選択される)多糖と高吸水性ポリマーとの組み合わせである微粒子状吸水材料とを含む水膨潤性シール材は、例えば米国特許第6,358,580号により既知である。この高吸水性ポリマーは、平均粒径が5〜800ミクロンの範囲である。適切な高吸収材の1つは、2.3質量%の粒子のみが50ミクロンを下回る粒径を有する。
【0003】
水膨潤部分と非水膨潤部分とを含み、さまざまな土木工学および建設工事において止水材料に使用される水封シーラントは、例えばEP588,286A1に記載されているが、非水膨潤部分としては、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPDM、およびシリコン樹脂を選択することができ、水膨潤材料としては、ウレタン樹脂、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムなどを選択することができる。塩化ビニル樹脂の場合、可塑剤、例えば、フタレート、例えばフタル酸ジオクチル、ジトリデシルフタレート、またはトリメリテート、ピロメリテート、またはアジペートなども適用することが好ましいと考えられる。実施例では、供給源と粒径とが未知の水膨潤ウレタン樹脂のみが開示されている。
【0004】
米国特許第4,532,298号は、クロロプレンゴム、高吸水性樹脂、ゴム状ポリマー、および金属酸化物系加硫剤を含む水膨潤性ゴム組成物を開示している。好ましくは、高膨潤樹脂は、粉砕によって840ミクロンに相当する20メッシュ孔のスクリーンを通過する粒径分布を有するようにして、粉末の形態で適用する。より粗い粉末は、水で膨潤したときに膨張に不均一性を示すことがあること、あるいは表面の平滑性を喪失することがあることが記載されている。
【0005】
WO97/34945は、少なくとも90質量%のサイズが20ミクロンを上回り、1次粒子で形成された噴霧乾燥させた顆粒を開示しているが、この1次粒子は、少なくとも90質量%のサイズが10ミクロンを下回り、水溶性のエチレン性不飽和モノマーまたはモノマー混合物のポリマーと、5〜2000ppmの多エチレン性不飽和架橋剤とで形成され、顆粒は、非水液中の1次ポリマー粒子の逆相エマルジョンを噴霧乾燥させることによって形成されている。具体的には、90質量%の1次粒径が0.5〜3ミクロンを示し、メチルクロライドで4級化したジメチルアミノエチルアクリレート80質量%と、アクリルアミド20質量%とを含む混合物をメチレン−ビス−アクリルアミド存在下で逆相エマルジョン重合させることによって得られる、1次粒子が開示されている。この顆粒は、例えば下水汚泥処理の分野において、または製紙方法において、凝集化もしくは粘性化組成物に使用する。水膨潤特性は開示されておらず、水膨潤性組成物を製造するためのそれらの使用も開示されていない。
【0006】
米国特許第4,585,812号は、1質量部は3ミクロンを下回り、1〜7質量部(第6段、25行目〜34行目を参照)は10〜300ミクロンの粗粒子である無水の水膨潤性ポリマー粒子の分散液を含有する、油またはキシレンなどの非水液を特徴とする組成物を開示している。実施例1は、非架橋コポリマーに関し、重合前、すなわち脱酸素および開始剤の添加前の粒径は、1〜2ミクロンの範囲である。結果として生じる重合された細粒の粒径は開示されていない。実施例2において、別の非架橋コポリマーが製造され、その粒径は3ミクロンを下回るが、粒径が2ミクロンを下回るかどうかは依然として不明である。この細粒は水不溶性熱可塑性ポリマーと混合されていない。さらに、粒子は、シール材の製造には使用されていない。
【0007】
EP0 179 937A1は、本質的にエラストマーと吸水性樹脂と水溶性樹脂との均一混合物からなる、水膨潤エラストマー3成分組成物を開示しており、ここでは、水溶性樹脂は、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、およびそれらの混合物の群から選択される。この特許出願の不利点は、所望の効果を得るために、エラストマーに加え、2つのさらなる樹脂が必要なことである。他の不利点は、エラストマーが水と接触して膨潤したときの水溶性樹脂の損失であるが、これは溶解した離散分子がエラストマーから水相へと浸透するためである。続く再水和ステップでは、エラストマーは膨潤性に乏しくなる。この吸水樹脂は、400ミクロンを下回る、好ましくは100ミクロンを下回る粒径を有するべきである。しかしながら、粒径の下限は開示されていない。実施例1においてのみ、70ミクロンの粒径を示すポリナトリウムアクリレートの架橋生成物、Aquakeep(登録商標)4Sが記載されている。また別の吸水性樹脂は、例えば実施例3(Sanwet IM−300)および実施例9(Sumikagel S−50)に記載されているが、粒径は記載されていない。さらに、EP0 179 937は、5ページ16行目に、より小さい粒径の利点は、より均一な組成物が得られること、またそれから得られた膨潤した生成物が均一になることであると記載している。
【0008】
WO2006108784は、水膨潤性組成物、分散液、およびポリマー微粒子、ならびにそれらの製造を記載している。水膨潤性組成物が開示されているが、これは非水膨潤性の熱可塑性もしくはエラストマー性ポリマーと、粒子の体積平均径が2ミクロン以下である親水性ポリマー微粒子を含む水膨潤材料とを配合することによって得ることができる。
【0009】
EP0 318 615A1は、建設工事における漏水を防止するための水膨潤性組成物を記載している。この組成物は、エラストマー、例えばポリクロロプレンゴムと、高吸収性ポリマー性架橋樹脂とを含む。この文献は、カルシウムイオンを含有する流体の吸収性低下の問題を克服しようとしている。この問題は、(メタ)アクリル酸、スルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸のエステル、および(メタ)アクリルアミドのコポリマーから形成されるポリマー樹脂を使用することによって克服されるとされている。
【0010】
WO2005/066229は、3級アミノ基を含有するビニルモノマーと、カルボキシル基を含有するビニルモノマーと、スルホン酸基を含有するビニルモノマーとを含む両性の架橋ポリマーを開示している。この組成物は、純水中で少なくとも50倍、1モル塩化カルシウム溶液中で少なくとも10倍吸収するとされている。
【0011】
JP2003 041065は、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸、スルホネート含有エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、および/またはスルホン酸塩を有する化合物のコポリマーを含み、粒子の平均粒径が最大100ミクロンである、水膨潤ゴムのための吸水材料が記載している。水膨潤ゴムは、海水および硬水などの多価金属イオンと接触しても、長期間安定を保つとされている。
【0012】
JP2004 331851は、土木工学および建築工事におけるセメント水の漏洩防止に適した封水剤を提供している。この吸水性樹脂は、30〜80%のアクリル酸と、アクリルアミド誘導体またはアクリル酸エステルであるエチレン性不飽和スルホン酸モノマーと、架橋剤との重合によって得られる。このポリマーは、平均粒径1〜50ミクロンを有する。
【0013】
JP02 016189は、土木工事において一時的な止水を可能にし、海水にも使用できる止水剤を開示している。ゲル化剤、例えばクエン酸アルミニウムを、スルホン化ビニルモノマーとカルボキシル化ビニルモノマーとを含む水溶性コポリマーに添加する。
【0014】
JP06 001886は、硬水や海水などと接触を保っている場合でも、安定した吸水性および水膨潤性を有するとされる、水膨潤性ゴムを記載している。水膨潤ゴムは、2〜10モル%のスルホアルキル(メタ)アクリレートと、60〜88モル%の(メタ)アクリルアミドと、10〜38モル%の(メタ)アクリル酸化合物を有する架橋ポリマーとを混ぜ合わせることによって得られる。
【0015】
例えば土木の用途において、または膨潤材料が海洋水、セメント水(コンクリートからの浸出液の代表)、または極めて特定の状況では、例えば標準水(0.25g/lのCaCl2・2H2O)に曝される条件において、それぞれの用途にとって正しい親水性膨潤材料を見つけ出すことは多くの場合困難である。一般に、吸収性材料は、特定の用途に適合するように作成される傾向にある。
【0016】
本発明の目的は、したがって、特に「電解質、例えば溶解塩を含有する水」に曝露された場合に、改善された膨潤能および収縮に対する安定性を有する水膨潤性組成物を提供することである。さらに、特に熱可塑性材料もしくはエラストマー材料への混入に適した、標準水および硬水環境(セメント水および海洋水を含む)において、より一定の膨潤性を示す組成物を提供することは望ましいであろう。
【0017】
したがって、本発明は、非水膨潤熱可塑性もしくはエラストマー性ポリマーと水膨潤材料とを配合することによって得ることができる水膨潤性組成物であって、
(a)親水性架橋ポリマー微粒子5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、最も好ましくは15〜50質量%と、
(b)水不溶性熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料30〜95質量%、好ましくは40〜90質量%、最も好ましくは50〜85質量%と、を含み、
親水性架橋ポリマー微粒子は、粒子の体積平均径が20ミクロン以下であり(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)、
親水性架橋ポリマー微粒子は、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含むモノマー混合物であって、
i)とii)との比率は、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲であるモノマー混合物から形成される、水膨潤性組成物に関する。
【0018】
このモノマー混合物は、カルボン酸基を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーまたはその塩を含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0019】
好ましくは、モノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、モノマー混合物の少なくとも30モル%を形成する。より好ましくは、モノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、モノマー混合物の少なくとも40モル%、さらに好ましくは少なくとも50モル%、とりわけ好ましくは少なくとも60もしくは70モル%、特に少なくとも80もしくは90モル%を形成する。モノマー成分(i)および(ii)の組み合わせが、モノマー混合物の少なくとも95モル%、および最も好ましくは100%を形成することは特に好適である。
【0020】
続いて記載する親水性ポリマー微粒子に関する全ての好適な特長は、本発明の本実施形態に適用することができる。
【0021】
親水性架橋ポリマー微粒子は、以下に記載の方法に従って製造することができる。すなわち、好ましくは分散液は、以下に記載のように製造される。通常は、この分散液を本発明の水膨潤性組成物の製造に使用するか、あるいは親水性架橋ポリマー微粒子をこの分散液から分離させて(後述のように)、本発明の水膨潤性組成物を製造するために使用する。
【0022】
粒子の体積平均径は、より詳細に後述する。
【0023】
使用することができる熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料は、通常は、エラストマー特性もしくはゴム状特性を有するもの、または硬化時に、もしくは適切な可塑剤の使用によって、エラストマー特性を得るものである。また、本質的によりエラストマー性であるほど、より膨潤性である可能性が高い。適切な非膨潤ポリマーには、ポリエチレン−コ−酢酸ビニル、ポリビニルブチラール樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ゴム、例えば天然ゴム、NBR(ニトリル−ブタジエンゴム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン−イソプレン、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、シリコン、ポリクロロプレン、ブチルゴム、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、EPR(エチレン−プロピレンゴム)、およびポリスチレン−コ−イソブチレンなど、および樹脂、例えばアルキド樹脂、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、ポリウレタン樹脂、多硫化ゴム、およびアクリル樹脂などが含まれる。逆相分散液の場合、エラストマー組成物(例えば、PVC、NBR)中に相当な量の可塑剤液が存在することが好ましい。キャリヤーを含まない粉末生成物を所望する場合には、可塑化エラストマーならびに非可塑化エラストマー、好ましくはPVCおよびエラストマーゴムが好適である。
【0024】
本発明の水膨潤性組成物は、従来の技法を用いて製造することができる。例えば、水不溶性熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料を含む成分とともに、分散液としてまたは粉末としての親水性ポリマー、および所望により任意の添加剤を高せん断ミキサー、例えばBanburyミキサーなどを用いて、あらかじめ混合することができる。該高せん断混合は通常は熱を生じ、これはベースの熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料を軟化させ、微粒子状親水性ポリマーの混合物全体への分散を促進する。熱可塑性ポリマー、例えばPVCを含む組成物は、好ましくは、さらに押出し、射出成形、またはその他の熱的技法によって、シートもしくは成形品に加工する。ゴムも同様に加工することができ、通常はこの第2のステップにおいて、高温で適切な硬化助剤または加硫助剤の作用によって硬化または加硫される。
【0025】
したがって、本発明の別の実施形態は、親水性架橋ポリマー微粒子5〜70質量%と、水不溶性熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料30〜95質量%とを混ぜ合わせる、本発明の組成物の製造のための方法に関する。
【0026】
本発明の好適な実施形態は、さらなる成分として添加剤(c)を含有する、本発明の組成物に関する。添加剤の例には、例えば、潤滑剤、方法油、帯電防止剤、例えばグリセロールモノステアレートおよびグリセロールモノオレエートなど、PVCプラスチゾル用の帯電防止剤および/または流動化剤としてのエトキシル化アルコール、難燃剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化抑制剤、着色剤、例えば顔料および色素など、湿潤剤、酸捕捉剤、熱安定剤、消泡剤、発泡剤、充填剤、例えば炭酸カルシウムなど、カーボンブラック、粘土、シリカなど、および親水性ポリマー微粒子のキャリヤー流体としてのその存在によって導入される可塑剤に加えて付加的な可塑剤が含まれる。
【0027】
該添加剤(c)は、所望の効果に応じた量で添加することができるが、この量は当業者が容易に判断できる。通常は、添加剤は、組成物の総量に対して1〜50質量%の範囲の量で添加する。
【0028】
したがって、好適な実施形態は、添加剤(c)をさらに含む本組成物に関し、この添加剤(c)は、潤滑剤、方法油、帯電防止剤、エトキシル化アルコール、難燃剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化抑制剤、着色剤、例えば顔料または色素など、湿潤剤、酸捕捉剤、熱安定剤、消泡剤、発泡剤、充填剤、例えば炭酸カルシウム、カーボンブラック、粘土、シリカなど、または親水性架橋ポリマー微粒子のキャリヤー流体としてのその存在によって導入される可塑剤に加えて付加的な可塑剤である。
【0029】
別の好適な実施形態では、本発明の組成物に、さらなる成分(d)を組成物の総量に対して0〜20質量%の範囲の量で、添加剤(c)とともに、あるいは添加剤(c)を用いずに添加する。成分(d)は、通常は、微粉化したベントナイトナトリウムもしくはベントナイトカルシウム、またはシリカなど、第2の親水性材料の機能を有する。該材料は、エラストマー組成物の膨張に直接貢献するため、あるいは微粒子状親水性ポリマーに水を輸送するのを助けるために使用することができる。該材料の使用は、膨潤能、膨潤速度、およびコスト(低コストの親水性鉱物による)に関して最適化された止水片の製造に有益となりうる。
【0030】
本発明のさらなる好適な実施形態は、シーラント材料として、例えば不動施工目地用の止水材としての、本発明の水膨潤性組成物の使用に関する。一般に、止水材は、好ましくは可撓片の形態であり、これは通常は10〜60質量%、好ましくは15〜50質量%の親水性架橋ポリマー微粒子(乾燥ベース)と、20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%の水不溶性熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料とを含有し、合計して100質量%とする残部は、通常は加工助剤と添加剤とからなり、これはPVCでは、最大50質量%の高い比率の1つ以上の可塑剤を含有してもよい。
【0031】
さらに、本発明の水膨潤性組成物は、被覆剤、被膜、繊維、撚糸、織地、泡沫、細片、紐、およびその他の可撓性の成形品、ならびに可撓性の低い成形品の形態であってもよい。可撓性の成形品は、その最終用途に最適なように成形することができることから好適である。水膨潤性組成物は、水と長期にわたり接触する場合にシール材を要する多くの状況で有用となりうる。これは例えば、目地シーラント、止水材、ガスケット、遮水(水自己修復型を含む)ライニングなどを含みうる。
【0032】
したがって、本発明の別の実施形態は、可撓性の成形品、例えば被覆剤、被膜、繊維、撚糸、織地、泡沫、細片および紐などに関する。
【0033】
さらに、本発明の水膨潤性組成物は、例えば以下のものの製造に有用である。
−不要な自由水または水性液を吸収するための製品、例えば流出用マット。
−水または水性液をふき取るための吸水性繊維、撚糸、または織地もしくは布地、例えば家庭での用途、および水の進入を防止するためのケーブル束用包装材などの用途。
−例えば吸収性繊維、織地、被膜、および膜など、より高い吸収性および/または通気性および/または水分移動性を付与するために創傷被覆材の要素として、ならびに皮膚から水または水分を逃がす能力を有する創傷被覆用粘着材の要素として使用する製品。
−空気から水分を除去して、湿潤環境を処理する製品。
−水膨潤シール材、例えば施工目地用止水材、ならびにゴム水膨潤石油掘削用シール材。
−水膨潤マスチック、コーキング剤、またはシーラント。
−防水膜、層、もしくは被覆剤などに付着した、あるいはそれらと組み合わせて使用する水膨潤被覆剤もしくは層。このような系は、例えば、膜または被覆剤が損傷を受けた場合に水の進入を防止するために使用できる。すなわち、この系は「自己回復性」である。
−水蒸気透過性被膜、膜、および被覆剤、例えばパーベーパレーション膜、プラスチゾル被覆壁装材、例えばビニル壁装材(例えばカレンダ方法を用いて、原紙上に被覆剤もしくは被膜を積層することによって得られる壁装材を含む)。
−水または水蒸気を透過させることができる、接着剤、被覆剤、マスチック、コーキング剤、シーラント、または被膜。
−極性の湿し水がローラーに対してより高い親和性を有するように、より親水特性を有する印刷ローラー。
【0034】
さらに、本発明は、
(a)親水性架橋ポリマー微粒子であって、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含むモノマー混合物であって、
i)とii)との比率は、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲である、モノマー混合物の逆相重合によって得ることができる、親水性架橋ポリマー微粒子30〜75質量%、好ましくは40〜75質量%と、
(b)水非混和性キャリヤー流体25〜70質量%、好ましくは25〜60質量%と、
を含む、分散液にも関する。
【0035】
このモノマー混合物は、カルボン酸基を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーまたはその塩を含むことも可能である。適切には、このモノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0036】
好ましくはモノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、モノマー混合物の少なくとも30モル%を形成する。より好ましくは、モノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、モノマー混合物の少なくとも40モル%、さらに好ましくは少なくとも50モル%、とりわけ好ましくは少なくとも60もしくは70モル%、特に少なくとも80もしくは90モル%を形成する。モノマー成分(i)および(ii)の組み合わせが、モノマー混合物の少なくとも95モル%、および最も好ましくは100%を形成することは、特に好適である。
【0037】
好ましくは、分散液は、
(a)親水性架橋ポリマー微粒子であって、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含むモノマー混合物であって、
i)とii)との比率は、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲である、モノマー混合物の逆相重合によって得ることができ、
親水性架橋ポリマー微粒子は、体積平均径が20ミクロン以下である(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)、親水性架橋ポリマー微粒子30〜75質量%、好ましくは40〜75質量%と、
(b)水非混和性キャリヤー流体25〜69.5質量%、好ましくは25〜58.5質量%と、
(c)所望により、例えば一次乳化剤、安定化ポリマー、および活性剤などのその他の成分0〜25質量%、好ましくは1.5〜15質量%と、を含み、成分(a)、(b)、および(c)の合計は、100質量%となる。
【0038】
このモノマー混合物は、カルボン酸基を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーまたはその塩を含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0039】
好ましくはモノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、モノマー混合物中に上記に定義した量で存在する。
【0040】
水溶性のエチレン性不飽和非イオン性モノマーとして、以下のモノマー:アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジ(C1−C8アルキル)(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアクリルアミドなど、N−(C1−C8アルキル)(メタ)アクリルアミド、例えばN−メチルアクリルアミドなど、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アリルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、またはアクリロニトリル、を選択することができる。好ましくは、非イオン性モノマーは、アクリルアミドおよびメタクリルアミドである。
【0041】
スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーは、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸から選択される。
【0042】
適切なスルホン酸モノマーには、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、2−メタクリルアミドブタンスルホン酸、1−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、1−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が含まれ、それらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、特にナトリウム塩も含まれる。好適なモノマーには、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が含まれる。
【0043】
エチレン性不飽和カルボン酸がモノマー混合物に含まれる場合、該カルボン酸モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、およびフマル酸が含まれ、これらのモノマーの塩または無水物も含まれる。
【0044】
モノマー混合物がエチレン性不飽和カルボン酸モノマーを含有する場合、エチレン性不飽和カルボン酸(またはその塩)の量は、最大50モル%であってよい。好ましくは、エチレン性不飽和カルボン酸モノマーの量は、40モル%未満、より好ましくは20モル%未満、さらに好ましくは8モル未満であるべきである。カルボン酸モノマーの量が6モル%を下回ることは特に好適であり、より好適には4もしくは5モル%を下回り、特に1もしくは2モル%を下回る。最も好ましくは、モノマー混合物は、カルボン酸モノマーを全く含有しない。
【0045】
別のエチレン性不飽和モノマーは、非イオン性モノマーとスルホン化モノマーとの混合物と共重合可能であるいかなる適切なモノマーから選択してもよい。一般的に、これは、別のモノマーがモノマー混合物に可溶性である、すなわちモノマー混合物への溶解性が、25℃で総質量100mlのモノマー混合物に対して少なくとも5gであることを意味する。モノマーは、非イオン性、アニオン性、またはカチオン性であってよい。モノマーがカチオン性の場合、これは例えば、N,N−ジ−C1−C8アルキルアミノ−C1−C8アルキルアクリレート、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなど、N,N−ジ−C1−C8アルキルアミノ−C1−C8アルキルメタクリレート、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなど、およびそれらの4級化形態、例えば塩化メチル4級化形態、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、N,N−ジ−C1−C8アルキルアミノ−C1−C8アルキルアクリルアミド、およびその4級化相当物、例えばアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのうちのいずれかから選択することができる。C1−C8アルキルは、通常は、メチル、エチル、n−、i−プロピル、n−、i−、sec−、もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、または2−エチル−ヘキシルを表わす。
【0046】
別のエチレン性不飽和モノマーは、別の非イオン性モノマー、例えばアクリル酸エステル、塩化ビニル、スチレン、およびスチレン誘導体を含んでもよい。
【0047】
別のエチレン性不飽和モノマーは、アニオン性モノマー、例えばリン酸塩、ホスホン酸塩、スルホン酸塩、または硫酸塩を含有するエチレン性不飽和モノマー、例えばアリルホスホン酸およびビニルホスホン酸であってもよい。
【0048】
別のエチレン性不飽和モノマーは、前述の別のモノマーのうちの2つ以上の混合物を含んでもよい。
【0049】
モノマー混合物は、50モル%を上回る別のモノマーを含有すべきではなく、通常は20モル%以下であり、好ましくは別のモノマーの量は10%未満であるべきであり、より好ましくは5%を下回り、さらに望ましくは1もしくは2モル%を下回るべきである。最も好ましくは、モノマー混合物に含有される別のモノマーの量はゼロとなる。
【0050】
好ましくは、親水性架橋ポリマー微粒子は、本質的に、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、からなり、
i)とii)との比率は、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲である、モノマー混合物の逆相重によって得ることができる。
【0051】
このモノマー混合物は、カルボン酸基またはその塩を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0052】
より好適な一形態では、親水性架橋ポリマー微粒子は、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含むモノマー混合物であって、
i)とii)との比率は、0.006:1〜0.38:1(モルベース)、より好ましくは0.016:1〜0.3:1(モルベース)、最も好ましくは0.034:1〜0.3:1(モルベース)の範囲である、モノマー混合物から形成される。
【0053】
このモノマー混合物は、カルボン酸基またはその塩を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0054】
好ましくは、エチレン性不飽和カルボン酸モノマーの量は、40モル%未満、より好ましくは20モル%未満、さらに好ましくは8モル未満であるべきである。カルボン酸モノマーの量が6モル%を下回ることは特に好適であり、より好適には4もしくは5モル%を下回り、特に1もしくは2モル%を下回る。最も好ましくは、モノマー混合物は、カルボン酸モノマーを全く含有しない。
【0055】
モノマー混合物は、50モル%を上回る別のモノマーを含有すべきではなく、通常は20モル%以下であり、好ましくは別のモノマーの量は10%未満であるべきであり、より好ましくは5%を下回り、さらに望ましくは1もしくは2モル%を下回るべきである。最も好ましくは、モノマー混合物に含有される別のモノマーの量はゼロとなる。
【0056】
好ましくはモノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、モノマー混合物中に上記に定義した量で存在する。
【0057】
より好適な別の形態では、親水性架橋ポリマー微粒子は、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含むモノマー混合物であって、
i)とii)との比率は、0.2:1〜6:1(モルベース)、より好ましくは0.25:1〜2.8:1(モルベース)、最も好ましくは0.3:1〜2.8:1(モルベース)の範囲である、モノマー混合物から形成される。
【0058】
このモノマー混合物は、カルボン酸基またはその塩を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0059】
好ましくは、エチレン性不飽和カルボン酸モノマーの量は、40モル%未満、より好ましくは20モル%未満、さらに好ましくは8モル未満であるべきである。カルボン酸モノマーの量が6モル%を下回ることは特に好適であり、より好適には4もしくは5モル%を下回り、特に1もしくは2モル%を下回る。最も好ましくは、モノマー混合物は、カルボン酸モノマーを全く含有しない。モノマー混合物は、50モル%を上回る別のモノマーを含有すべきではなく、通常は20モル%以下であり、好ましくは別のモノマーの量は10%未満であるべきであり、より好ましくは5%を下回り、さらに望ましくは1もしくは2モル%を下回るべきである。最も好ましくは、モノマー混合物に含有される別のモノマーの量はゼロとなる。
【0060】
さらに好適な形態では、親水性架橋ポリマー微粒子は、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含むモノマー混合物であって、
i)とii)との比率は、0.06:1〜0.38:1(モルベース)、より好ましくは0.016:1〜0.3:1(モルベース)、最も好ましくは0.034:1〜0.3:1(モルベース)の範囲である、モノマー混合物から形成される。
【0061】
このモノマー混合物は、カルボン酸基またはその塩を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0062】
好ましくは、エチレン性不飽和カルボン酸モノマーの量は、40モル%未満、より好ましくは20モル%未満、さらに好ましくは8モル未満であるべきである。カルボン酸モノマーの量が6モル%を下回ることは特に好適であり、より好適には4もしくは5モル%を下回り、特に1もしくは2モル%を下回る。最も好ましくは、モノマー混合物は、カルボン酸モノマーを全く含有しない。モノマー混合物は、50モル%を上回る別のモノマーを含有すべきではなく、通常は20モル%以下であり、好ましくは別のモノマーの量は10%未満であるべきであり、より好ましくは5%を下回り、さらに望ましくは1もしくは2モル%を下回るべきである。最も好ましくは、モノマー混合物に含有される別のモノマーの量はゼロとなる。
【0063】
さらに好適な別の形態では、親水性架橋ポリマー微粒子は、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含むモノマー混合物であって、
i)とii)との比率は、0.2:1〜6:1(モルベース)、より好ましくは0.25:1〜2.8:1(モルベース)、最も好ましくは0.3:1〜2.8:1(モルベース)の範囲である、モノマー混合物から形成される。
【0064】
好ましくはモノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、モノマー混合物中に上記に定義した量で存在する。
【0065】
特に好適な親水性架橋ポリマー微粒子は、スルホン酸モノマーが2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩であり、水溶性の非イオン性モノマーがアクリルアミドであり、架橋剤がメチレンビスアクリルアミドである、モノマーまたはモノマー混合物から形成される。上記の好適なモノマーの比率は、このモノマー混合物にも適用される。
【0066】
本発明の好適な実施形態は、上述のモノマーから得られる親水性架橋ポリマー微粒子であって、アニオン性モノマーの量がゼロではなく、酸基が部分的にまたは完全に中和されている、親水性架橋ポリマー微粒子に関する。好ましくは中和度は、50〜100%、より好ましくは75〜100%(モルベースで)の範囲で選択する。中和は、既知の方法、例えば親水性ポリマー微粒子を担持する相当する酸性基に塩基を付与することによって、実施することができる。通常の最も便利な慣例は、重合反応を行なう前にモノマーを中和することである。酸性モノマーを中和するのに適した該塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えばNaOHまたはKOHなど、ならびにアンモニア、またはアミン、例えばモノ−、ジ−、もしくはトリ−エタノールアミンなどであってもよく、最も好ましくはNaOHが選択される。
【0067】
親水性ポリマー微粒子は架橋されており、架橋は多くの方法で実行することができるが、これは当業者には明らかであろう。モノマー混合物を多官能性架橋性モノマーの存在下で重合することによって、架橋を実行することが可能である。典型的な多官能性架橋性モノマーは、例えば、ジ−、トリ−、もしくはテトラ−エチレン性不飽和モノマーであってもよい。あるいは、親水性ポリマー微粒子の架橋は、添加剤、例えば、二価もしくは多価金属カチオン、例えばZr3+(例えば、Bacote(商標) 20)、有機ジアミン、トリアミンなど、アルデヒド化合物、例えばグリオキサル、およびその他の既知の架橋性化合物を用いて行なうこともできる。好ましくは、架橋は、架橋性モノマーを用いて実施する。適切な架橋性モノマーには、例えば、メチレンビスアクリルアミド、ジアクリルアミド酢酸、ポリオール(メタ)アクリレート、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど、およびテトラアリルアンモニウムクロライドが含まれる。好ましくは、架橋性モノマーの量は、水不溶性かつ水膨潤であるポリマーを生じるが、親水性ポリマー微粒子および該ポリマー微粒子またはその分散液を含む本発明の組成物の吸水度を制限するであろう過度の構造化を回避するように選択する。一般的に、架橋性モノマーの適切なレベルは、前述の選択されたモノマー混合物の総質量に対して5ppm〜5%、好ましくは7.5ppm〜5000ppm、最も好ましくは10ppm〜1000ppmの範囲で選択することができる。
【0068】
架橋性モノマーの望ましいレベルは、通常は、架橋ポリマーのポリマー鎖セグメントの鎖長(または分子量)に依存する。例えば、連鎖移動試薬を用いて親水性ポリマー微粒子の鎖長を制御することが可能であるが、これは鎖を短くする傾向がある。一部の低反応性モノマーの使用も短い鎖を生じうる。また、鎖長は、重合に用いる開始剤の選択および量によってもある程度制御することができる。短い鎖長を生じることが期待される条件を用いる場合、より高レベルの架橋性モノマーを用いて、架橋された親水性微粒子の適度な構造化を得ることができる。
【0069】
好ましくは、本発明の分散液は、逆相重合、すなわち例えばWO97/34945において記載および検討されている従来技術から周知の技法によって得ることができる。ポリマーは、油中水型エマルジョン重合によって、油中水型エマルジョンまたは分散液として生成することができる。
【0070】
本発明において、通常は、選択したモノマーと水とを含む水性モノマー相を製造する。所望であれば、場合によっては、少量の錯化剤、例えばEDTAなどを使用して、捕捉しなければ重合反応を不利に妨げうるあらゆる遊離金属イオンを捕捉する。さらに、場合によっては可塑剤、例えばフタル酸ジイソデシル、揮発性油、例えば炭化水素の混合物など、一次乳化剤、および場合によってはポリマー安定剤を含有する、キャリヤーまたは油相を製造する。モノマーおよび油相は、適切なホモジナイザー、例えばSilversonホモジナイザーまたは高圧ホモジナイザーなどを用いて混合して、キャリヤー相に水性モノマーを含む微細かつ安定なエマルジョンを形成する。次に、この均質化した未重合のエマルジョンの重合を、好ましくは適切な開始剤、例えば酸化還元対、および/または熱および/または光開始剤などを用いて開始する。重合ステップ後、水および揮発性油を例えば蒸留によって、エマルジョン/分散液から除去する。
【0071】
さらなる錯化剤は、EDTAの同族体、例えばジエチレントリアミンペンタ酢酸など、またはメチレンメチレンホスホネート錯化剤、例えばジエチレン−トリアミン−ペンタ−メチレンホスホネートなどであってもよい。
【0072】
錯化剤は、通常は、モノマーの質量に対して0.01〜0.5質量%の範囲で適用する。
【0073】
したがって、本発明の別の実施形態は、本発明による分散液の製造のための方法であって、
(I)i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含む、モノマーの混合物であって、
i)とii)との比率は、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲であるモノマーの混合物と、水と、開始剤と、水非混和性キャリヤー流体と、揮発性油と、乳化剤と、場合によってはさらなる添加剤、例えば錯化剤またはポリマー安定剤などと、を混ぜ合わせるステップと、
(II)逆相重合を実施するステップと、
(III)水および揮発性油を除去するステップと、を含み、
そのようにして得られた親水性架橋ポリマー微粒子は、体積平均径が20ミクロン未満である(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)、方法に関する。
【0074】
このモノマー混合物は、カルボン酸基またはその塩を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0075】
好ましくはモノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、モノマー混合物中に上記に定義した量で存在する。
【0076】
一般に、親水性架橋ポリマー微粒子は、体積平均径(VMD)が20ミクロン以下、好ましくは10ミクロン以下、より好ましくは5ミクロン以下である。普通は、この微粒子は、平均径が少なくとも0.3ミクロンとなる。最も好ましくは、これらは平均径が0.6〜2.0ミクロンとなる。VMDは、R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定する。
【0077】
当業者は、通常は、粒径を制御するいつくかの方法を知っている。1つの方法は、油エマルジョン中水性モノマーのための一次乳化剤の選択と量によるものである。通常は、一次乳化剤は、HLBが1〜5の範囲である。一次乳化剤の例は、ソルビタンモノオレエート(例えば、SPAN 80(登録商標)、CAS 1338−43−8、HLB 4.3)である。所望の粒径を得るために要する一次乳化剤の量は、一般に、水性モノマー相の質量に対して0.5〜15質量%の範囲であるが、これは複数の要因、例えば均質化の機器および条件、水相および油相の性質、また選択する乳化剤が多数あるため、乳化剤自体の性質などによって決まる。通常は、一次乳化剤の量は、1〜10%、最も好ましくは2〜5%の範囲となる。
【0078】
いくつかの例では、水非混和性キャリヤー流体(「キャリヤー」)は可塑剤を含んでもよいが、これは従来添加剤としてプラスチック、ゴム、および一般的にはエラストマー材料の製造に使用されることの多い、低粘度の油性流体である。好適な一形態では、キャリヤーを可塑剤とし、これはエラストマー組成物の添加剤である別の融和性の油性流体、例えば方法油または潤滑剤と組み合わせて使用してもよい。しかしながら、別の好適な形態では、キャリヤーは、方法油とみなすことはできるが、可塑剤ではない。典型的には、このような非可塑化キャリヤーは、低粘度の油性流体であってもよい。
【0079】
一般的に、キャリヤーは、最高濃度の親水性ポリマーを含有する逆相分散液の製造を容易にするために、低い粘度であるように選択する。好ましくは、キャリヤーは、非毒性かつ非汚染性である。適切なキャリヤーは、通常は不活性であり、したがって親水性架橋ポリマー微粒子の製造時に、重合反応を不利に妨げない。好ましいキャリヤーには、脂肪族ジカルボン酸のアルキルエステル、例えばアジピン酸C1−C10アルキルエステル(アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、およびアジピン酸ジイソノニルを含む)、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、およびより高分子量の脂肪族ジカルボン酸のエステルなど、脂肪族トリカルボン酸のアルキルエステル、例えばクエン酸エステル(クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリヘキシル、およびクエン酸ブチリルトリヘキシルを含む)など、トリメリット酸エステル、例えばトリメリット酸トリオクチルなど、フタル酸のC8−C20アルキルエステル(フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、およびフタル酸ジウンデシルを含む)、液体ポリエステル可塑剤、ならびにそれらの混合物が含まれるが、決してこれらに限定されない。最も好適なものは脂肪族ジカルボン酸のエステル、とりわけ脂肪族C2−C10アルキルジカルボン酸およびトリカルボン酸のC1−C10アルキルエステル、ならびにフタル酸のC8−C20アルキルエステルである。
【0080】
ここでC8−C20アルキルは、例えばn−オクチル、2−エチル−ヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルを表わす。
【0081】
1−C10アルキルは、例えばメチル、エチル、n−、i−プロピル、n−、i−、sec−、もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチル−ヘキシル、n−ノニル、n−デシルを表わす。
【0082】
2−C−10アルキルは、例えばエチル、n−、i−プロピル、n−、i−、sec−、もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチル−ヘキシル、n−ノニル、n−デシルを表わす。
【0083】
炭化水素油、例えば鉱物油(軽油または重油)、ペトロラタム(黄色または白色)、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンおよびイソパラフィン化合物、ポリデセンおよびポリブテンなどの水素化イソパラフィン分子、水素化ポリイソブテン、スクアラン、イソヘキサデカン、イソドデカン、およびその他の植物界および動物界由来のものも使用することができる。
【0084】
その他の可能なキャリヤーには、エステル油、例えば:イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソプロピルオレエート、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−ヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、エルシルオレエート、エルシルエルケート、セテアリルオクタノエート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルアセテート、ミリスチルミリステート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルオレエート、ミリスチルステアレート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルラクテート、プロピレングリコールジカプリレート/カプレート、ステアリルヘプタノエート、ジイソステアリルマレエート、オクチルヒドロキシステアレートなどが含まれるが、決してこれらに限定されない。
【0085】
グリセリルエステルおよび誘導体を含む、天然または合成トリグリセリド。C6−C18脂肪酸に基づき、別のアルコールとの反応によって修飾されたジグリセリドもしくはトリグリセリド(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、小麦胚芽グリセリドなど)。ポリグリセリンの脂肪酸エステル(ポリグリセリル−n、例えばポリグリセリル−4カプレート、ポリグリセリル−2イソステアレートなど)、またはヒマシ油(Ricinus Communis)、水素化植物油、甘扁桃油、小麦胚種油、ゴマ油、水素化綿実油、ココナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、水素化ヒマシ油、シアバター、ココアバター、大豆油、ミンク油、ヒマワリ油、ベニバナ油、マカダミアナッツ油、オリーブ油、水素化獣脂、杏仁油、ヘーゼルナッツ油、ルリジサ油など。
【0086】
長鎖酸とアルコールとのエステルを含むワックス、ならびにワックス様特性を有する化合物、例えばカルナウバ蝋(Copernicia Cerifera)、蜜蝋(白色または黄色)、ラノリンワックス、キャンデリラワックス(Euphorbia Cerifera)、地蝋、木蝋、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、セテアリルエステルワックス、合成蜜蝋など。また、セテアリルアルコールまたは部分グリセリドなどの親水性ワックス。
【0087】
シリコンまたはシロキサン(有機置換ポリシロキサン)例えば:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコン、ならびにアミノ−、脂肪酸−、アルコール−、ポリエーテル−、エポキシ−、フルオリン−、グリコシド−および/またはアルキル−修飾シリコン化合物(室温で液体であっても、あるいは樹脂形態であってもよい)。直鎖ポリシロキサン:ジメチコン、例えばDow Corningo 200 fluid、Mirasile DM(Rhodia社)、ジメチコノール。環状シリコン液:揮発性シクロペンタシロキサン、例えばDow Corning 345 fluid、Silbioneグレード、Abri)グレード。
【0088】
フェニルトリメチコン;Dow Corning 556 fluid。また、ジメチルシロキサン単位200〜300個の平均鎖長を有するジメチコンと水素化シリケートとの混合物である、シメチコンも適している。
【0089】
米国特許第5637306号(第2段、12行目〜第4段、5行目)に開示されているような、不揮発性オルガノポリシロキサン。該不揮発性オルガノポリシロキサンは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、修飾および非修飾ポリシロキサン、シリコンガムおよび樹脂、ならびに有機修飾ポリシロキサン、ポリエチレンオキシ基および/またはポリプロピレンオキシ基またはカルボン酸基もしくは重亜硫酸基を有するポリシロキサンを除くオルガノポリシロキサンからなる群から選択される。
【0090】
本発明の別の好適な実施形態は、さらなる成分(c1)、すなわち改善された熱および/またはせん断安定性をもたらす安定化両親媒性コポリマーを含む、本発明の分散液に関する。本発明の親水性架橋ポリマー微粒子の逆相分散液の製造は、好ましくは、最終分散生成物の水含有前駆物質に、減圧蒸留またはフラッシュ蒸留、あるいはその他の熱的方法による水または水/溶媒共沸除去ステップを実施するステップを含む。特に目的が最終分散生成物中に高濃度の分散相粒子を得ることである場合、および除去ステップが薄膜蒸発などのフラッシュ蒸留を含む場合には、この除去ステップによって分散液が不安定化することを無視することはできない。このため、安定化両親媒性コポリマーを添加することは有利である。さらに、安定化両親媒性コポリマーは、最終生成物中に、安定化両親媒性コポリマーを用いない場合に可能であろう濃度よりも高い濃度の分散相を得ることを可能にすることもわかっている。
【0091】
適切な安定化両親媒性コポリマーは、通常は、同一のコポリマー中に疎水性基および親水性基をともに含有する。好適な両親媒性安定化コポリマーは、1つ以上の水非混和性アルキル(メタ)アクリレートモノマー50〜90質量%と、1つ以上の酸性、塩基性、もしくは第4級アミンモノマー10〜50質量%とを重合させることによって得られる。
【0092】
好適なアルキル(メタ)アクリレートは、アクリル酸またはメタクリル酸のC1−C20アルキルエステル、好ましくは、1つ以上のアクリル酸またはメタクリル酸のC12−C20アルキルエステル少なくとも20質量%(モノマーの総質量に対して)を含有するそれらの混合物である。
【0093】
1−C20アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−、i−プロピル、n−、i−、sec−、もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチル−ヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルを表わす。
【0094】
12−C20アルキルは、例えば、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルを表わす。
【0095】
好適な酸性モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。
【0096】
塩基性モノマーの例には、N,N−ジ−C1−C8アルキルアミノ−C1−C8アルキルアクリレート、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなど、N,N−ジ−C1−C8アルキルアミノ−C1−C8アルキルメタクリレート、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなど、またはN,N−ジ−C1−C8アルキルアミノ−C1−C8アルキルアクリルアミドがある。
【0097】
特に好適な安定化両親媒性コポリマーは、1つ以上のアクリル酸またはメタクリル酸のC110アルキルエステル0〜25質量%と、1つ以上のアクリル酸またはメタクリル酸のC1−C10アルキルエステル25〜90質量%と、アクリル酸またはメタクリル酸10%〜25質量%とを重合させることによって製造する。
【0098】
該安定剤は従来技術において既知であり、あるいは既知の方法によって製造することができる。市販の安定剤の例には、例えばHypermer(商標)(Croda社が販売)がある。
【0099】
安定化両親媒性コポリマーは、例えば、適切な低粘度の油性流体中に溶解したモノマーのフリーラジカル重合によって製造することができる。好ましくはこの油性流体は、逆相分散生成物の製造に使用するものであり、例えばこれは、Exxsol D40などの揮発性油、または逆相分散生成物の可塑剤であってもよい。油溶性の熱開始剤をモノマーの重合を誘発するために使用することができる。
【0100】
安定化両親媒性コポリマーは、水性モノマー相の総量に対して、通常は0〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%の量で添加する。
【0101】
本発明の別の好適な実施形態は、高濃度形態の本発明の分散液に関する。最終逆相分散中の親水性架橋ポリマー微粒子の濃度が可能な限り高いことは、これが本発明の水膨潤性組成物中に使用するときに生産性、保存、配合柔軟性に有益であるため、有利であることが判明している。高濃度分散液の特定の一利点は、過剰に添加した場合には最終エラストマーの望ましくない特性をもたらしうるキャリヤー液を過剰に添加せずに、高濃度の微粒子の添加を可能にすることである。高濃度の分散液は、付随するキャリヤー流体を過剰に添加する危険性を低減する。このようなキャリヤー流体の過剰添加は、エラストマー組成物の物理的特性、例えば機械的特性に悪影響を及ぼしうる。
【0102】
一般的に、本発明の分散液の粘度は、親水性ポリマー微粒子の濃度が増加するにつれて増加する。しかしながら、粘度が非常に高い分散液は、通常は、本発明の水膨潤性組成物の製造時に、取扱いおよび加工が困難である。本観察によると、粘度が低すぎる場合、親水性架橋ポリマー微粒子の沈下または沈降によって問題が生じうる。したがって、粘度(およびつまりは濃度)を調整して、適切な流動性であり取扱いが可能な本発明の分散液に、親水性架橋ポリマー微粒子の可能な最大の濃度を提供する必要がある。
【0103】
好ましくは、本発明の分散液の粘度は、スピンドル3を備えるBrookfield RVT粘度計を回転速度10rpm〜50rpm(通常は、20rpmで十分であると認められている)で用いて、25℃で、100cP〜10000cPの範囲、より好ましくは500cP〜5000cPの範囲で選択する。
【0104】
したがって、好適な実施形態は、安定化両親媒性コポリマーを含み、親水性架橋ポリマー微粒子の濃度が、最終分散液の少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、最も好ましくは少なくとも45質量%から最大75質量%である、分散液に関する。
【0105】
本発明の別の好適な実施形態は、付加成分(c2)として、「活性剤」と称されることもある水中油型乳化剤を含有する、本分散液に関する。好ましくは、キャリヤー相の性質に応じて、9〜20の範囲の親水性・親油性バランス(HLB)値を有する活性剤を選択する。該活性剤の例には、例えば、アルキルフェノールエトキシレート、例えばノニルフェノールエトキシレート、またはアルキルアルコールエトキシレート、例えば直鎖C12−C14アルキルアルコール7モルエトキシレートがある。
【0106】
一般的に、油性の分散液を水と混合するとき、活性剤の効果は、油性キャリヤー流体を水相中に乳化して、親水性ポリマー微粒子を放出して水相に溶解させることである。これは通常は、親水性ポリマー微粒子の溶解または膨潤によって水相の粘度を増加させる。活性化、つまり親水性ポリマー微粒子の溶解または膨潤の速度は、一般的に活性剤の性質および濃度によって制御することができる。好適な一実施形態では、3〜8質量%(分散液の質量に対して)の活性剤を選択する。しかしながら、本発明の分散液は、本発明の水膨潤性組成物を製造におけるその使用目的では、活性剤の添加による利益を受けないことが判明している。
【0107】
本発明のさらに別の好適な実施形態は、さらなる成分(c3)として活性成分を含む、本発明の分散液に関する。好ましくはこの活性成分は、分散液のキャリヤー流体に不溶性である、水溶性または分散性の化合物または組成物である。この例では、活性成分は、好ましくは親水性架橋ポリマー微粒子中に存在する。
【0108】
これまで、水溶性または水分散性の活性成分を含有する親水性架橋ポリマー微粒子の逆相分散液を形成するためには、2つの主な方法が一般に知られてきた。1つの方法は、活性成分の水性溶液または分散液を逆相親水性ポリマー微粒子分散液に添加するステップを含むが、この場合活性成分は、親水性ポリマー微粒子中に吸収される。得られる生成物は最終生成物であってもよく、あるいは例えば減圧蒸留によって水(活性成分とともに導入されたもの)を除去して、最終生成物を得ることもできる。
【0109】
別の方法は、活性成分の存在下で逆相重合を実施する、すなわち重合を開始する前に水性モノマー溶液中に活性成分を溶解または分散させるステップを含む。この場合には、活性成分は、好ましくは水性モノマー相または重合添加剤の成分によって悪影響を受けず、また活性成分は重合反応に悪影響を与えるべきではない。後者の混入方法は、便宜上好適である。例えば、活性成分は、例えば紫外線劣化、熱劣化、生物汚染、真菌問題などを防止する保護剤であってもよく、あるいは活性成分は、芳香剤、殺虫剤、除草剤、帯電防止剤、難燃剤などであってもよい。
【0110】
活性成分が抗菌剤である場合、これは通常は、本発明の組成物の使用時に、本発明の組成物の親水性ポリマーおよびその他の添加剤を有害な細菌活性に対して保護するために使用する。
【0111】
一般的に、活性成分の量は所望の効果によって決まり、したがって当業者は容易に決定することができる。
【0112】
逆相分散液のキャリヤー流体を除去することによって、親水性架橋ポリマー微粒子が実質的にはキャリヤー流体を含まないようにし、それにより粉末、ペースト、湿ケーキ、または粒状(場合によってはキャリヤー流体の残留物を含有することもある)となるようにすることは有利となりうる。
【0113】
したがって、本発明は、親水性架橋ポリマー微粒子であって、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含む、モノマー混合物であって、
i)とii)との比率は、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲である、モノマー混合物の逆相重合によって通常は得ることができ、
架橋ポリマー微粒子の体積平均径が20ミクロン以下である(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)、親水性架橋ポリマー微粒子にも関する。
【0114】
このモノマー混合物は、カルボン酸基またはその塩を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0115】
重合、ならびにモノマーおよび架橋剤などの説明は、本発明の分散液の説明と同様である。
【0116】
本発明の本態様におけるポリマー微粒子の製造に関する限り、一般に、第1のステップにおいて、上記に記載のとおりの本発明の分散液を製造し、次に既知の方法によってキャリヤー流体を分離するが、これは例えば、噴霧乾燥、濾過、例えば精密濾過、または溶媒誘起固体/液体分離、例えばポリマー微粒子の凝集および沈降をもたらす、溶媒の添加による沈殿によって行なう。
【0117】
したがって、本発明の別の実施形態は、水非混和性キャリヤー流体をこの分散液から分離するステップを含む、本ポリマー微粒子を製造するための方法に関する。
【0118】
好ましくは親水性である本発明のポリマー微粒子は、通常は1次粒子の集塊体の形態で得られ、これはエラストマー組成物の製造に関与するせん断力によって、または粉砕ステップを慎重に含めることによって、または必要な脱集塊化を達成するためにより強力な加工条件を慎重に用いることによって、大部分を脱集塊化することができる。好ましくは、1次粒子は、例外的な加工条件を用いることなく脱集塊化が実行できるように、弱く集塊化している。粒子が弱く集塊化していることは、体積平均径が20ミクロン以下の1次粒子から実質的に構成される乾燥粉末に付随するであろう呼吸器への危険性を回避あるいは最小化するために有利である。
【0119】
さらなる実施形態において、本発明は、非水膨潤熱可塑性もしくはエラストマー性ポリマーと水膨潤材料とを配合することによって得ることができる水膨潤性組成物であって、
(a)親水性架橋ポリマー微粒子5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、最も好ましくは15〜50質量%と、
(b)水不溶性熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料30〜95質量%、好ましくは40〜90質量%、最も好ましくは50〜85質量%と、を含み、
親水性架橋ポリマー微粒子は、粒子の体積平均径が20ミクロン以下であり(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)、
親水性架橋ポリマー微粒子は、少なくとも2種のポリマーの混合物であり、少なくとも1種のポリマーは、スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩、および場合によっては非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマー、および場合によっては別のエチレン性不飽和モノマーを含むモノマーまたはモノマー混合物から形成され、少なくとも1種のさらなるポリマーは、非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマー、および場合によってはスルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩、および場合によっては別のエチレン性不飽和モノマーを含むモノマーまたはモノマー混合物から形成され、混合されたポリマーの組み合わせ全体は、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーの相当量のモノマー成分を提供し、
相当量のモノマー成分は、i)とii)との比率が0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲である、水膨潤性組成物に関する。
【0120】
このモノマー混合物は、カルボン酸基またはその塩を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、このカルボン酸モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。またこのモノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマーを含むことも可能である。適切には、モノマー混合物は、この別のエチレン性不飽和モノマーを最大50モル%の量で含んでもよい。
【0121】
好ましくは、混合されたポリマーの組み合わせ全体は、モノマー成分(i)および(ii)が、組み合わせて、モノマー混合物の少なくとも30モル%を形成するように、相当量のモノマー成分を提供する。より好ましくは、モノマー成分(i)および(ii)は、組み合わせて、混合されたポリマーの組み合わせ全体の少なくとも40モル%、さらに好ましくは少なくとも50モル%、とりわけ好ましくは60もしくは70モル%、特に少なくとも80もしくは90モル%の相当量のモノマー成分を形成する。モノマー成分(i)および(ii)の組み合わせが、混合されたポリマーの組み合わせ全体の少なくとも95モル%、最も好ましくは100%の相当量のモノマー成分を形成することは特に好適である。
【0122】
相当量のモノマー成分とは、少なくとも2種のポリマーの混合物を形成するために使用するモノマーが、その代わりに重合前にモノマーとして配合される場合、それらが上記の定義に示したモノマーの比率を提供することを意味する。
【0123】
驚くべきことに、少なくとも2種のポリマーの微粒子の混合物を含有する膨潤性組成物は、標準水、セメント水、または海洋水の存在下で、膨潤特性および吸収特性に関して、許容可能な結果を提供することがわかった。さらに、この組成物が、標準水、海洋水、およびセメント水中で一貫した程度の膨潤および吸収を提供することもわかった。混合物の利点は、それらが限られた数のポリマーから望ましい特長を提供することで得られる可撓性にある。それでもなお、第1の実施形態の膨潤性組成物は、少なくともわずかにより優れた性能を与える傾向にあることから、一般に好適である。
【0124】
この親水性架橋ポリマー微粒子およびそれらを含有する膨潤性組成物は、第1の実施形態の膨潤性組成物に使用する微粒子と全く同じ方法で生成することができる。
【0125】
本発明の別の実施形態は、シール材、特に膨潤性止水材の製造ための本発明の組成物の使用に関する。
【0126】
本発明の別の実施形態は、本発明の組成物およびポリマー微粒子、シール材、特に膨潤性止水材の製造ための本発明の分散液の使用に関する。
【0127】
本発明の別の実施形態は、本発明の組成物、およびシール材、特に膨潤性止水材の製造ための本発明のポリマー微粒子の使用に関する。
【0128】
本発明のさらなる実施形態は、本発明の組成物、分散液、またはポリマー微粒子を含む、膨潤性止水材、特にPVCまたはゴム止水材、ならびに不動施工目地用止水材に関する。
【0129】
本発明のさらなる実施形態は、本発明の組成物、分散液、またはポリマー微粒子を含むシール材に関する。
【0130】
止水材およびシール材の製造は、既知の方法によって実施することができるが、これは例えば、WO00/78888、WO99/35208、EP588 286、EP588 288、EP179 937、または米国特許第4,532,298号に記載されている。
【0131】
本発明の水膨潤性組成物は、脱塩水を用いた試験で、エラストマー組成物の原質量に対して、通常は少なくとも25質量%、好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも100%の水を吸収する。
【0132】
実質的に乾燥した、キャリヤーを含まない形態の親水性ポリマー微粒子の提供は、複数の利点をもたらす。第一に、単一の生成物(実質的にキャリヤーを含まない親水性ポリマー)が、個々のエラストマー組成物用の全て異なるキャリヤー流体を含むいくつかの生成物に代わることが可能である。親水性ポリマー微粒子の製造にとって、生成物の種類を最小限にすることは、そうしない場合に1つの種類の生成物から別の種類の生成物の製造へと切り替えることによって生じるであろう休止時間のコストを節約するため、また原料(すなわち、キャリヤー流体)の在庫および最終生成物の在庫を最小限にするために有利である。親水性ポリマー微粒子を可能な限り濃縮した形態で供給することは、輸送コストを節約するために有利である。
【0133】
重大な利点は、多量の油性流体の添加から利益を得ない(あるいは実際はそれにより悪影響を受ける)エラストマー材料を使用して、本発明の水膨張性エラストマー組成物を生成できることである。したがって、最終エラストマー組成物の30質量%を上回る、好ましくは20質量%を上回る、最も好ましくは10質量%を上回る量の可塑剤またはその他の油性流体の添加から利益を得ないエラストマー材料を用いて本発明のエラストマー組成物を製造するために、実質的にキャリヤーを含まない親水性ポリマー微粒子を使用することは有利である。これはゴムに、例えば逆相分散液の混入が、ゴム組成物に油性流体(逆相分散液のキャリヤー流体)を不必要に添加する場合に当てはまる。多くの場合、多量の油性流体の添加は、ゴム組成物を脆弱にするという点で、あるいはそのように製造された組成物のその他の機械的特性に悪影響を与えることによって、マイナス効果を有するであろう。この問題は、実質的にキャリヤーを含まない親水性ポリマー微粒子を用いることによって克服することができる。
【0134】
以下の実施例は、本発明を説明している。
【0135】
実施例
実施例1
2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(モノマー1)とアクリルアミド(モノマー2)とをモノマー1:モノマー2の比率0.08:1(モルベース)で含む、モノマー組成物。
【0136】
以下の成分を混ぜ合わせて、水溶性成分の水相を製造する:
50%の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩 15.12部
51%のアクリルアミド 59.29部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
【0137】
以下の成分を混ぜ合わせて、油相を製造する:
Span 80(登録商標) 3.98部
23.2%のCiba(登録商標) DPRS06−0005 17.14部
フタル酸ジイソデシル 48.47部
Exxsol D40(登録商標)で補って100部にする。
【0138】
これらの2相を高せん断下、油相1部に対して水相1.326部の比率で混合して、油中水型エマルジョンを形成する。得られる油中水型エマルジョンを窒素スパージ管、撹拌機、および温度計を装備した反応器に移動する。エマルジョンを窒素でパージして酸素を除去する。当業者に既知の酸化還元対開始剤を添加して、10〜20℃で重合を実施する。
【0139】
重合発熱が終了したあと、さらなる後重合の酸化還元対開始剤を40〜45℃で添加して、その用途に許容できるレベルまで、あらゆる残留モノマーを除去する。典型的には乳化メタ重亜硫酸ナトリウムおよび第三ブチルヒドロペルオキシド溶液を使用するが、これらの開始剤に限定されない。
【0140】
減圧蒸留を行なって水および揮発性溶媒を除去し、約47%のポリマー固形分を有する最終生成物Aを得る。
【0141】
実施例2
2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(モノマー1)とアクリルアミド(モノマー2)とをモノマー1:モノマー2の比率0.2:1(モルベース)で含む、モノマー組成物。
【0142】
実施例1の手順を繰り返すが、ただし以下の代替の水性モノマー相を使用する:
50%の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩 30.24部
51%のアクリルアミド 44.47部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
【0143】
最終生成物B(ポリマー固形分約47%)
実施例3(比較例)
2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(モノマー1)を100%含むモノマー組成物。
【0144】
実施例1の手順を繰り返すが、ただし以下の代替の水性モノマー相を使用する:
50%の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩 75.60部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
【0145】
必要であれば酢酸を用いて水相をpH6に調整することに注意する。
【0146】
最終生成物C(ポリマー固形分約47%)
実施例4(比較例)
アクリルアミド(モノマー2)を100%含むモノマー組成物。
【0147】
実施例1の手順を繰り返すが、ただし以下の代替の水性モノマー相を使用する:
51%のアクリルアミド 74.12部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
【0148】
必要であれば酢酸を用いて水相をpH6に調整することに注意する。
【0149】
最終生成物D(ポリマー固形分約47%)
実施例5
生成物C30質量部と生成物D70質量部とを含む混合物であり、これは以下では生成物Eとする。
【0150】
実施例6
2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(モノマー1)とアクリルアミド(モノマー2)とをモノマー1:モノマー2の比率0.46:1(モルベース)で含む、モノマー組成物。
【0151】
実施例1の手順を繰り返すが、ただし以下の代替の水性モノマー相を使用する:
50%の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩 45.36部
51%のアクリルアミド 29.65部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
最終生成物F(ポリマー固形分約47%)
実施例7
2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(モノマー1)とアクリルアミド(モノマー2)とをモノマー1:モノマー2の比率1.24:1(モルベース)で含む、モノマー組成物。
【0152】
実施例1の手順を繰り返すが、ただし以下の代替の水性モノマー相を使用する:
50%の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩 61.36部
51%のアクリルアミド 14.82部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
最終生成物G(ポリマー固形分約47%)
実施例8
生成物C60質量部と生成物D40質量部とを含む混合物であり、これは以下では生成物Hとする。
【0153】
実施例9(比較例)
アクリル酸ナトリウム(モノマー3)を100%含むモノマー組成物。
【0154】
実施例1の手順を繰り返すが、ただし以下の代替の水性モノマー相を使用する:
80%のアクリル酸 37.06部
47%の水酸化ナトリウム 31.54部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
水酸化ナトリウムを添加してアクリル酸を中和する時に、水相を20℃を下回るように維持するよう注意する。
最終生成物I(ポリマー固形分約47%)
実施例10(比較例)
2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(モノマー1)とアクリル酸ナトリウム(モノマー3)とをモノマー1:モノマー3の比率0.27:1(モルベース)で含む、モノマー組成物。
【0155】
実施例1の手順を繰り返すが、ただし以下の代替の水性モノマー相を使用する:
50%の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩 30.24部
80%のアクリル酸 21.72部
47%の水酸化ナトリウム 19.51部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
【0156】
水酸化ナトリウムを添加してアクリル酸を中和する時に、水相を20℃を下回るように維持するよう注意する。
【0157】
最終生成物J(ポリマー固形分約47%)
実施例11(比較例)
2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(モノマー1)と、アクリル酸ナトリウム(モノマー3)と、アクリルアミド(モノマー2)とをモノマー1:モノマー3:モノマー2の比率0.4:0.75:1(モルベース)で含む、モノマー組成物。
【0158】
実施例1の手順を繰り返すが、ただし以下の代替の水性モノマー相を使用する:
50%の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩 30.24部
80%のアクリル酸 10.86部
50%のACM 22.23部
47%の水酸化ナトリウム 9.75部
40%のVersenex 80EMN(登録商標) 0.15部
0.1%のメチレン−ビス−アクリルアミド水溶液 0.94部
脱イオン水で補って100部にする。
【0159】
水酸化ナトリウムを添加してアクリル酸を中和する時に、水相を20℃を下回るように維持するよう注意する。
【0160】
最終生成物K(ポリマー固形分約47%)
実施例12−水膨潤性組成物
以下の配合に従って、実施例1の生成物Aを用いてポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造する:
PVCエマルジョンホモポリマー 47.16質量部
Ba/Zn安定剤 0.46質量部
Ciba(登録商標) Irgastab(登録商標) PVC 11 0.46質量部
フタル酸ジイソデシル(DiDP) 9.82質量部
生成物 42.1質量部
(Total) (100質量部)
42.1質量部の生成物は、およそ以下のものを含む:
フタル酸ジイソデシル 18.3質量部
親水性ポリマー 20.5質量部
その他 3.3質量部
(その他=ポリマー安定剤、一次乳化剤、および開始剤残留物)
PVCエマルジョンホモポリマーは、EVC(European Vinyls Corporation)により供給される、K値70を有する、Evipol(登録商標) EP7050である。Ba/Znは、PVC用の混合金属安定剤、Lankromark LZB693であり、これは比重1.09(20℃)、引火点>100℃(Pensky Martenes密閉カップ法)を有するAkzo Nobel社の製品である。これを補完するのは、Ciba(登録商標) Irgastab(登録商標) PVC 11であり、これは可塑剤の熱酸化を防ぎ、またPVC化合物の脱塩化水素化を防ぐための液体熱安定剤パッケージである。
【0161】
以下の方法を用いる。PVCエマルジョンホモポリマーをまずステンレススチール製ビーカーに加え、次に4枚羽根撹拌機を取り付けたHeidolphまたは類似の撹拌機の下に設置する。別のビーカー内に、他の成分、すなわち生成物A、Ba/Zn安定剤、Ciba(登録商標) Irgastab(登録商標) PVC 11、およびDiDPを加え、スパチュラを用いて均質になるまで十分に攪拌する。次にこの混合物を500r.p.m.で穏やかに攪拌しながら、PVCエマルジョンホモポリマーにゆっくりと加え、攪拌を10分間継続する。
【0162】
得られる混合物を小型アルミニウム製ディッシュに慎重に注いでから(約8g含む)、薄い金属板と、そのあとにガラス板とで蓋をする。これらの上に1キロのおもりを慎重に載せ、その全体を180℃のオーブン内に45分間置く。この時間のあと、ディッシュをオーブンから出して冷まし、内容物を取り出す。この化合物から3cm×2cmの試料を切り取り、これらの試料をそれぞれ別個に以下の3種の異なる水質のうちの1種を含む瓶に浸漬する。
【0163】
標準水は、0.25g/lのCaCl2・2H2Oを含む。
【0164】
典型的には海洋水に付随する塩を含有する海洋水は、ASTM(American Society for Testing and Materials、米国材料試験協会)のD1141−98(2003)「Standard Practice for the Preparation of Substitute Ocean Water」に従って作成され、24.53g/lのNaCl、5.20g/lのMgCl2、4.09g/lのNa2SO4、1.16g/lのCaCl2、0.695g/lのKCl、0.201g/lのNaHCO3、0.101g/lのKBr、0.027g/lのH3BO3、0.025g/lのSrCl2、および0.003g/lのNaFを含む。
【0165】
セメント水は、10g/lのCa(OH)2を含む。
【0166】
7日後および14日後、これらの水を新しい試験水と取り替える。
3、7、10、14、および17日後に質量の増加を記録し、ここから質量膨潤率を以下のように計算する。
【0167】
(Wf−Wo)/Wo×100
[式中、Wo=原(乾燥状態)質量であり、Wf=最終(水分調整状態)質量である。]
実施例13−水膨潤性組成物
実施例2の生成物Bを用いて、実施例12の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0168】
実施例14−水膨潤性組成物
実施例5の生成物Eを用いて、実施例12の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0169】
実施例15−水膨潤性組成物
実施例6の生成物Fを用いて、実施例12の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0170】
実施例16−水膨潤性組成物
実施例7の生成物Gを用いて、実施例12の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0171】
実施例17−水膨潤性組成物
実施例8の生成物Hを用いて、実施例12の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0172】
実施例18(比較例)−水膨潤性組成物
実施例9の生成物Iを用いて、実施例12の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0173】
実施例19(比較例)−水膨潤性組成物
実施例10の生成物Jを用いて、実施例12の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0174】
実施例20(比較例)−水膨潤性組成物
実施例11の生成物Kを用いて、実施例12の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0175】
実施例12から20までの結果
【表1】

【0176】
【表2】

*比較例
実施例21−水膨潤性組成物
実施例2の生成物Bを用いて、下記の配合に従って、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造する:
PVCエマルジョンホモポリマー 35.88質量部
Ba/Zn安定剤 0.46質量部
Ciba(登録商標) Irgastab(登録商標) PVC 11 0.46質量部
生成物 63.2質量部
(合計) (100質量部)
63.2質量部の生成物は、およそ以下のものを含む:
フタル酸ジイソデシル 27.5質量部
親水性ポリマー 30.8質量部
その他 4.9質量部
(その他=ポリマー安定剤、一次乳化剤、および開始剤残留物)
混合物の製造およびそれに続く試料の試験は、実施例12に従って実施する。
【0177】
実施例22(比較例)−水膨潤性組成物
実施例9の生成物Iを用いて、実施例21の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0178】
実施例23(比較例)−水膨潤性組成物
実施例10の生成物Jを用いて、実施例21の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0179】
実施例24(比較例)−水膨潤性組成物
実施例11の生成物Kを用いて、実施例21の記載と同様の方法で、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を製造および試験する。
【0180】
実施例21から24までの結果
【表3】

*比較例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水膨潤熱可塑性ポリマーまたはエラストマー性ポリマーと水膨潤材料とを配合することによって得ることができる水膨潤性組成物であって、
(a)親水性架橋ポリマー微粒子5〜70質量%と、
(b)水不溶性熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料30〜95質量%と、を含み、
前記親水性架橋ポリマー微粒子は、粒子の体積平均径が20ミクロン以下であり(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)、
前記親水性架橋ポリマー微粒子は、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含み、前記i)とii)との比率が、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲であるモノマー混合物から形成される、水膨潤性組成物。
【請求項2】
前記モノマー混合物が、カルボン酸基を含有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーまたはその塩最大50モル%をさらに含み、および/または前記モノマー混合物は、別のエチレン性不飽和モノマー最大50モル%をさらに含む、請求項1に記載の水膨潤性組成物。
【請求項3】
以下の(a)および(b)を含む分散液であって、
(a)下記
i)スルホン酸基を担持するビニル、アリル、スチレン、もしくはアクリル化合物またはその塩からなる群から選択された、スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩、好ましくは、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含み、前記i)とii)との比率が、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲であるモノマー混合物の逆相重合によって得ることができる、親水性架橋ポリマー微粒子30〜75質量%と、
(b)水非混和性キャリヤー流体25〜70質量%と、
を含み、前記親水性架橋ポリマー微粒子は、粒子の体積平均径が20ミクロン以下である(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)分散液。
【請求項4】
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含み、前記i)とii)との比率が、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲であるモノマー混合物の逆相重合によって得ることができる、親水性架橋ポリマー微粒子であって、
前記ポリマー微粒子は、体積平均径が20ミクロン以下である(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)、親水性架橋ポリマー微粒子。
【請求項5】
親水性架橋微粒子5〜70質量%と、水不溶性熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料30〜95質量%とを混ぜ合わせるステップ含む、請求項1または2に記載の組成物の製造のための方法。
【請求項6】
(I)下記
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーと、
を含み、前記i)とii)との比率が、0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲であるモノマーの混合物と、水と、開始剤と、水非混和性キャリヤー流体と、揮発性油と、乳化剤と、また場合によってはさらなる添加剤、例えば錯化剤またはポリマー安定剤とを混ぜ合わせるステップと、
(II)逆相重合を実施するステップと、
(III)水および揮発性油を除去するステップと、
を含む分散液の製造のための方法であって、
そのようにして得られた親水性ポリマー微粒子は、体積平均径が20ミクロン未満である(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)、請求項3に記載の分散液の製造方法。
【請求項7】
請求項3に記載の分散液または請求項6によって得られる分散液から前記水非混和性キャリヤー流体を分離するステップを含む、請求項4に記載のポリマー微粒子の製造のための方法。
【請求項8】
下記
(a)親水性架橋ポリマー微粒子5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、最も好ましくは15〜50質量%と、
(b)水不溶性熱可塑性ポリマー、樹脂、またはエラストマー材料30〜95質量%、好ましくは40〜90質量%、最も好ましくは50〜85質量%と、
を含み、前記親水性ポリマー微粒子が、粒子の体積平均径が20ミクロン以下である(R1レンズを備えるSympatec Helos H1539とQuixcel分散システムを用いたレーザー回折技法によって測定)非水膨潤熱可塑性もしくはエラストマー性ポリマーと水膨潤材料とを配合することによって得ることができる水膨潤性組成物であって、
前記親水性ポリマー微粒子は、少なくとも2種のポリマーの混合物であり、少なくとも1種のポリマーは、スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩、および場合によっては非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマー、および場合によっては水溶性エチレン性不飽和カルボン酸モノマーまたはその塩、および場合によっては別のエチレン性不飽和モノマーを含むモノマーまたはモノマー混合物から形成され、少なくとも1種のさらなるポリマーは、非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマー、および場合によってはスルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩、および場合によっては水溶性エチレン性不飽和カルボン酸モノマーまたはその塩、および場合によっては別のエチレン性不飽和モノマーを含むモノマーまたはモノマー混合物から形成され、ポリマーの混合物の組み合わせ全体は、
i)スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーまたはその塩であって、式:
CH2=CR(CO)−(NH)−Y−SO3
[式中、Rは、水素、メチル、またはエチルであり、Mは、水素、金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化された第1級、第2級、もしくは第3級アミン、または第4級アンモニウムイオンから選択され、Yは、直鎖もしくは分岐C1-8アルキレン基である]を有するアクリルスルホン酸であるモノマーまたはその塩と、
ii)非イオン性の水溶性エチレン性不飽和モノマーの、相当量のモノマー成分を提供し、前記相当量のモノマー成分は、前記i)とii)との比率0.006:1〜6:1(モルベース)の範囲を有する、水膨潤性組成物。
【請求項9】
シール材の製造のための、請求項1、2、または8のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
請求項1または2に記載の組成物、請求項4に記載のポリマー微粒子、およびシール材の製造のための、請求項3に記載の分散液の使用。
【請求項11】
請求項1または2に記載の組成物、およびシール材の製造ための、請求項4に記載のポリマー微粒子の使用。
【請求項12】
請求項1、2、または7のいずれか1項に記載の組成物、請求項3に記載の分散液、あるいは請求項4に記載のポリマー微粒子を含む、シール材。
【請求項13】
前記シール材が、膨潤性止水材、好ましくはPVCもしくはゴム止水材である、請求項12に記載のシール材。

【公表番号】特表2010−535919(P2010−535919A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520526(P2010−520526)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060015
【国際公開番号】WO2009/021849
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】