説明

自動ワインダ

【課題】機台制御装置がパッケージコンベアにより順々に搬送される巻取パッケージのパッケージ情報を容易に把握可能な自動ワインダを提供する。
【解決手段】複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を巻取ボビンに巻き取って巻取パッケージPを形成する巻取ユニット10・10・・・と、前記複数の巻取ユニット10・10・・・から玉揚された巻取パッケージPを搬出するパッケージコンベア20と、を備える。この自動ワインダ100全体を管理する機台制御装置30を備え、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端側には、このパッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ情報を前記機台制御装置30へ送信する巻取パッケージ情報送信装置40を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ワインダに関する。
【背景技術】
【0002】
給糸ボビンから解舒された紡績糸を巻取ボビンに巻回して形成される巻取パッケージは、その重量や形状などの品質を常に一定に維持することが重要とされている。この巻取パッケージの重量に関して言えば、従来は、パッケージコンベアの一端に適宜の秤を置き、オペレータが、この秤を用いて、搬送されてきた巻取パッケージの重量を測定して適宜の集計用紙にその測定結果を記入し、併せて、平均値やバラツキを計算したり、重量不足のパッケージの特定などを確認するようにしていた。また、この巻取パッケージの形状に関して言えば、従来は、オペレータが、搬送されてきた巻取パッケージの形状を確認し、例えば搬送されてきた巻取パッケージの形状が不良(例えば菊巻など)であった場合は、その不良形状の種別を適宜の集計用紙に記録するようにしていた。
【0003】
しかし、巻取パッケージの重量に関して言えば、オペレータにとって、測定結果を集計用紙に記入したり、平均値やバラツキを計算して確認するのは極めて面倒であるし、測定結果の記入ミスも避けられなかった。また、巻取パッケージの形状に関しても、オペレータにとって、不良形状の種別を集計用紙に記録するのは大変面倒であった。
【0004】
この種の技術として特許文献1はパッケージ検査システムを開示する。このパッケージ検査システムでは、「紡績工場内には並設された複数の錘からなる自動ワインダ1が複数機台設置され、各機台には各錘から玉揚げされるパッケージ2を機台の一端に搬出するコンベア5が設けられている。そして、コンベア5により搬出されたパッケージ2はオーバヘッドコンベア3を介して検査ステーション4に搬送されるようになっている」(段落番号0013)。そして、この検査ステーション4に設置される「トレイコンベア16の途上には、生産元であるワインダの機台番号および錘番号の情報及び内層不良情報と共に搬送されたパッケージの外観および重量検査を行うための検査装置17が設けられている」(段落番号0016)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−32533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の構成には、コンベア5の搬出方向一端側においては、パッケージ2に対する荷揚げ以外、何ら開示されていない。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、機台制御装置がパッケージコンベアにより順々に搬送される巻取パッケージのパッケージ情報を容易に把握可能な自動ワインダを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第一の観点によれば、以下のように構成される自動ワインダが提供される。即ち、複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を巻取ボビンに巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットと、前記複数の巻取ユニットから玉揚された巻取パッケージを搬出するパッケージコンベアと、を備える。この自動ワインダ全体を管理する機台制御装置を備え、前記パッケージコンベアの搬出方向一端側には、このパッケージコンベアにより順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ情報を前記機台制御装置へ送信する巻取パッケージ情報送信装置を備える。
【0010】
これによれば、前記機台制御装置が、前記パッケージコンベアにより順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ情報を把握できる。
【0011】
また、上記の自動ワインダは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージのパッケージ重量を含む。前記巻取パッケージ情報送信装置は、前記パッケージコンベアの搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ重量を測定するパッケージ重量測定手段を備える。これによれば、前記機台制御装置が、前記パッケージコンベアにより順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ重量を、オペレータを介することなく、把握できる。
【0012】
また、上記の自動ワインダは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージのパッケージ形状を含む。前記巻取パッケージ情報送信装置は、前記パッケージコンベアの搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ形状を入力可能なパッケージ形状入力手段を備える。これによれば、前記機台制御装置が、前記パッケージコンベアにより順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ形状を把握できる。
【0013】
また、上記の自動ワインダは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージの存在の有無を含む。前記巻取パッケージ情報送信装置は、前記パッケージコンベアの搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージの存在の有無を入力可能なパッケージ有無入力手段を備える。これによれば、前記機台制御装置が、前記パッケージコンベアにより順々に搬送される各巻取パッケージの列の歯抜けを把握できる。
【0014】
また、上記の自動ワインダは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記パッケージコンベアは、無端状のベルトと、このベルトの送り量を検出するベルト送り量検出手段と、を備えて成る。前記機台制御装置は、前記ベルト送り量検出手段から受信する前記ベルトの送り量と、前記巻取パッケージ情報送信装置から受信する各巻取パッケージのパッケージ情報が含むパッケージ重量と、に基づいて、巻取パッケージの存在の有無を判定するパッケージ有無判定手段を備える。これによれば、前記機台制御装置が、パッケージコンベアにより順々に搬送される各巻取パッケージの列の歯抜けを、オペレータを介することなく、把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の第一実施形態を説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る自動ワインダの全体概略図である。
【0016】
本実施形態において自動ワインダ100は、一定間隔で複数列設される巻取ユニット10・10・・・と、パッケージコンベア20と、機台制御装置30と、巻取パッケージ情報送信装置40と、を備える。
【0017】
前記複数の巻取ユニット10・10・・・は、給糸ボビンから解舒された紡績糸を巻取ボビンに巻き取って巻取パッケージPを形成するものであって、各巻取ユニット10・10・・・は巻取動作を制御する巻取ユニット制御装置10Aを個別に備えている。
【0018】
前記のパッケージコンベア20は、これらの巻取ユニット10・10・・・から玉揚された(荷揚げされた)巻取パッケージPを前記機台制御装置30側へ搬出するものであって、無端状のベルトと、このベルトの送り量(移動量)を検出する例えばインクリメント型ロータリーエンコーダなどのベルト送り量検出部20Aと、パッケージコンベア20の搬出動作を制御するパッケージコンベア制御装置20Bを備えて成る。
【0019】
前記の機台制御装置30は、自動ワインダ100全体を管理するものであって、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端側(搬出の出口側)に配置されている。その詳細な構成は後述する。
【0020】
前記の巻取パッケージ情報送信装置40は、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端側に(機台制御装置30に隣接して)設けられており、このパッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ情報を前記機台制御装置30へ送信する。その詳細な構成は後述する。
【0021】
なお、本実施形態において自動ワインダ100には、前記複数の巻取ユニット10・10・・・によって形成された巻取パッケージPを玉揚する図略の自動玉揚装置と、各巻取ユニット10・10・・・に対して上記の給糸ボビンを適宜に供給する図略の自動給糸ボビン供給装置と、が適宜に設けられている。
【0022】
次に、前述の機台制御装置30及び巻取パッケージ情報送信装置40の構成を、図2に基づいて詳細に説明する。図2は、機台制御装置及び巻取パッケージ情報送信装置の構成概略図である。
【0023】
本図に示す如く機台制御装置30は、適宜のCPUから成るコントロール部31と、適宜のRAMやROMから成る記憶部32と、例えば液晶表示器などから成るディスプレイ33と、適宜にボタンなどが配された操作パネル34と、を備え更に、前記複数の巻取ユニット10・10・・・が個別に備える各巻取ユニット制御装置10Aと電気的に接続され、これら複数の巻取ユニット10・10・・・の巻取動作を監視/制御する巻取ユニット入出力部35と、前記パッケージコンベア20が備えるベルト送り量検出部20A及びパッケージコンベア制御装置20Bと電気的に接続され、ベルト送り量検出部20Aにより検出されるベルトの送り量を受信したりパッケージコンベア20の搬出動作を制御するパッケージコンベア入出力部36と、前記巻取パッケージ情報送信装置40が備える後述のパッケージ重量測定部(パッケージ重量測定手段)41及びパッケージ形状入力部(パッケージ形状入力手段)42、パッケージ有無入力部(パッケージ有無入力手段)43、表示/操作パネル44と電気的に接続され、前記のパッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPの、巻取パッケージ情報送信装置40(パッケージ重量測定部41など)から送信される、パッケージ情報を随時受信する巻取パッケージ入出力部37と、を備える。
【0024】
上記の記憶部32及びディスプレイ33、操作パネル34は、前記コントロール部31と電気的に接続されている。
【0025】
記憶部32は、コントロール部31からの要求に応じて該記憶部32に記憶されている各種データをコントロール部31に送信可能に、且つ、コントロール部31から送信される各種データを適宜に記憶可能に構成されている。ディスプレイ33は、前記複数の巻取ユニット10・10・・・の巻取動作の状況や、前記の記憶部32に記憶されている巻取ユニット10・10・・・の巻取動作の設定など、あらゆるデータを適宜に表示可能に構成されている。勿論、ディスプレイ33は、前記パッケージコンベア20の搬出動作の状況及びその設定、巻取パッケージ情報送信装置40から受信する各巻取パッケージPのパッケージ情報も表示可能に構成されている。
【0026】
同様に、前記の巻取ユニット入出力部35及びパッケージコンベア入出力部36、巻取パッケージ入出力部37も、前記コントロール部31と電気的に接続されている。
【0027】
前述した通り、巻取パッケージ情報送信装置40は、パッケージ重量測定部41と、パッケージ形状入力部42と、パッケージ有無入力部43と、表示/操作パネル44と、を備える。
【0028】
このパッケージ重量測定部41は、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ重量を測定するものであって、例えばパッケージコンベア20の前述したベルトの裏側に適宜のロードセルなどを備えることによって構成されている。パッケージ重量測定部41によって測定された各巻取パッケージPのパッケージ重量は、前記の巻取パッケージ入出力部37を介してコントロール部31に送信されるように構成されている。この意味で、前述した巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージのパッケージ重量を含む。
【0029】
また、パッケージ形状入力部42は、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ形状を入力可能なものであって、例えば「正常」や「段巻き」、「菊巻き」などのパッケージ形状ごとに作成された複数の識別バーコードが印刷された用紙と識別バーコードを読取可能なバーコード読取器とから構成されている。そして、このパッケージ形状入力部42を介してオペレータにより入力された各巻取パッケージPのパッケージ形状は、前記の巻取パッケージ入出力部37を介してコントロール部31に送信されるように構成されている。この意味で、前述した巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージのパッケージ形状を含む。
【0030】
また、パッケージ有無入力部43は、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージPの存在の有無を入力可能なものであって、例えば適宜のパッケージ有無スイッチ43a(例えばモーメンタリースイッチ型など)により構成されている。そして、このパッケージ有無入力部43を介してオペレータにより入力された各巻取パッケージPの存在の有無は、前記の巻取パッケージ入出力部37を介してコントロール部31に送信されるように構成されている。この意味で、前述した巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージのパッケージ形状を含む。
【0031】
また、表示/操作パネル44は、前記のパッケージコンベア20による巻取パッケージPの搬出動作の始動を指示するコンベア始動スイッチ44aと、このパッケージコンベア20による巻取パッケージPの搬出動作の停止を指示するコンベア停止スイッチ44bと、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に搬送されてきた巻取パッケージPが玉揚された(形成された)巻取ユニット10の錘No.を表示する錘No.表示器44cと、を備えている。なお、本実施形態において前記のパッケージ有無スイッチ43aは、便宜上、コンベア始動スイッチ44aらと共に表示/操作パネル44に設けられている。
【0032】
次に、本実施形態に係る自動ワインダ100の作動を図1及び図2に基づいて説明する。
【0033】
オペレータが操作パネル34を操作することにより自動ワインダ100の電源が投入されると、コントロール部31は、前記複数の巻取ユニット10・10・・・の巻取動作に関する設定を記憶部32から適宜に読込み、巻取ユニット入出力部35を介して、これら巻取ユニット10・10・・・に巻取動作を開始させる。これにより、前記複数の巻取ユニット10・10・・・は一斉に巻取動作を開始し、やがて巻取パッケージPを形成する。前述した図略の玉揚装置は、各巻取ユニット10・10・・・にて形成された巻取パッケージPをパッケージコンベア20へ速やかに玉揚する。巻取パッケージPを形成し、形成した巻取パッケージPが玉揚装置によって玉揚された巻取ユニット10・10・・・は新たな巻取パッケージPを形成し始める。
【0034】
オペレータは、すべての(又は略すべての)巻取ユニット10・10・・・から巻取パッケージPがパッケージコンベア20へ玉揚されたのを確認したら、コンベア始動スイッチ44aを操作してパッケージコンベア制御装置20Bを作動させることでパッケージコンベア20のベルトを所定の速度で等速回転させる。これにより、パッケージコンベア20は、パッケージコンベア20のベルト上に一定間隔に列置される複数の巻取パッケージPを図1において白抜き矢印で示す方向(パッケージコンベア20の搬出方向)へ一斉に搬出し始める。
【0035】
巻取パッケージ情報送信装置40へ巻取パッケージPが次々と搬送されてくる度に、巻取パッケージ情報送信装置40は、パッケージコンベア制御装置20B(又はベルト送り量検出部20A)・パッケージコンベア入出力部36・コントロール部31・巻取パッケージ入出力部37を介して、該巻取パッケージ情報送信装置40に搬送されてきた巻取パッケージPと、該巻取パッケージPが玉揚された巻取ユニット10の錘No.と、の対応関係を取得すると共に、該錘No.を表示/操作パネル44の錘No.表示器44cに表示させる。
【0036】
巻取パッケージ情報送信装置40は、パッケージ重量測定部41に、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ重量(パッケージ情報)を測定させ、前記の巻取パッケージ入出力部37を介してコントロール部31へ該測定結果を錘No.と関連付けた状態で送信する。コントロール部31は、巻取パッケージ入出力部37を介して巻取パッケージ情報送信装置40から受信した各巻取パッケージPのパッケージ重量を、錘No.との関連を維持しつつ、ディスプレイ33に表示させると共に記憶部32へ記憶させ、蓄積させる(図3参照)。
【0037】
一方で、オペレータは、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送されてくる各巻取パッケージPのパッケージ形状を検査する。パッケージ形状とは、例えば「正常」「段巻き」「菊巻き」などを意味するものであり、オペレータは、搬送されてくる各巻取パッケージPが上記何れのパッケージ形状に該当するかを判断する。そして、オペレータは、前記の用紙に印刷された複数の識別バーコードから、各巻取パッケージPのパッケージ形状に該当する識別バーコードを選択し、前記のバーコード読取器を用いて該識別バーコードを読み取って前記巻取パッケージ情報送信装置40へ入力する。巻取パッケージ情報送信装置40は、巻取パッケージ入出力部37を介してコントロール部31へ、入力された識別バーコードに対応するパッケージ形状(パッケージ情報)を、錘No.と関連付けた状態で送信する。コントロール部31は、巻取パッケージ入出力部37を介して巻取パッケージ情報送信装置40から受信した各巻取パッケージPのパッケージ形状を、錘No.との関連を維持しつつ、ディスプレイ33に表示させると共に記憶部32へ記憶させ、蓄積させる(図3参照)。
【0038】
また、オペレータは、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送されてくる各巻取パッケージPの存在の有無を判断する。換言すれば、オペレータは、前記パッケージコンベア20のベルト上に載置される巻取パッケージPの列に歯抜けがないか判断する。更に換言すれば、複数の巻取パッケージPが、所定の時間間隔で、パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送されてきているか判断する。そして、もし、所定の時間間隔で搬送されてくるべき巻取パッケージPが搬送されてこなかったら(パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送されてくる巻取パッケージPの存在が無かったら)、オペレータは、パッケージ有無スイッチ43aを押す。これにより、巻取パッケージ情報送信装置40は、錘No.表示器44cに表示されている錘No.に対応する巻取ユニット10からは、他の錘No.のそれとは異なり、巻取パッケージPが玉揚されなかった旨を巻取パッケージ入出力部37を介してコントロール部31へ送信する。コントロール部31は、巻取パッケージ入出力部37を介して巻取パッケージ情報送信装置40から受信した各巻取パッケージPの存在の有無を、錘No.との関連を維持しつつ、ディスプレイ33に表示させると共に記憶部32へ記憶させ、蓄積させる(図3参照)。
【0039】
そして、パッケージコンベア20のベルト上に玉揚されたすべての巻取パッケージPの、該パッケージコンベア20の搬出方向一端へ向かっての、搬出が完了したら、オペレータは、コンベア停止スイッチ44bを押す。コンベア停止スイッチ44bが押されたことを巻取パッケージ入出力部37を介して検知したコントロール部31は、パッケージコンベア入出力部36を介してパッケージコンベア制御装置20Bにパッケージコンベア20の搬出動作を停止させると共に、記憶部32に記憶され、ディスプレイ33に表示されている上記各種データ(巻取パッケージPのパッケージ重量及びパッケージ形状、存在の有無)を下記の如く分析する。以下、図3を参照されたい。
【0040】
即ち、コントロール部31は、各巻取パッケージPのパッケージ重量の平均値や最大値、最小値、平均値からのズレ幅(±(%)で示す。)、標準偏差を計算/分析し、その計算/分析結果をディスプレイ33に表示する。なお、これら平均値などを計算する際には、コントロール部31は、本図中「存在の有無」の列で示すパッケージ情報に基づいて、パッケージ重量のデータを適宜に読み飛ばす。本図の場合は、錘No.14の巻取ユニット10においては巻取パッケージPが玉揚されなかったので、錘No.14に対応するパッケージ重量のデータは適宜に読み飛ばされることとなる。
【0041】
図3において「管理±(%)」とあるのは、仕様としての、平均値からのズレ幅の許容範囲を意味する。コントロール部31は、パッケージ重量が前記許容範囲を下側(パッケージ重量の軽い側)に外れてしまった(即ち、パッケージ重量不足である)巻取パッケージPが玉揚された巻取ユニット10の錘No.をオペレータに知らせて注意を促すために、本図に示す「重量不足」の列において該当する錘No.の行に黒塗り四角を表示させる。なお、図3に示す如く前記ディスプレイ33には、上記各種データ(巻取パッケージPのパッケージ重量及びパッケージ形状、存在の有無)に加えて、例えば、ロット名や糸種、番手、糸速、仕様としてのパッケージ重量、バンチ巻の有無などの設定等を適宜に表示させるとよい。
【0042】
以上説明したように上記第一実施形態において自動ワインダ100は、以下のように構成されている。
【0043】
即ち、複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を巻取ボビンに巻き取って巻取パッケージPを形成する巻取ユニット10・10・・・と、前記複数の巻取ユニット10・10・・・から玉揚された巻取パッケージPを搬出するパッケージコンベア20と、を備える。この自動ワインダ100全体を管理する機台制御装置30を備え、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端側には、このパッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ情報を前記機台制御装置30へ送信する巻取パッケージ情報送信装置40を備える。これによれば、前記機台制御装置30が、前記パッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ情報を把握できる。
【0044】
また、上記の自動ワインダ100は、以下のように構成されている。即ち、巻取パッケージPの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージPのパッケージ重量を含む。前記巻取パッケージ情報送信装置40は、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ重量を測定するパッケージ重量測定部41を備える。これによれば、前記機台制御装置30が、前記パッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ重量を、オペレータを介することなく、把握できる。従って、オペレータは、従来と比べて、パッケージ重量を適宜の記録用紙に記録する必要がなくなるので、負担が軽減される。なお、図3の如くパッケージ重量を集計し記憶部32に蓄積すれば、巻取ユニット10のどのような動作設定に問題があったのか、どのような動作をしていた巻取ユニット10にパッケージ重量不足の不具合が発生する傾向にあるのか、など、種々の広範なトレーサビリティ・フィードバック環境が実現される。
【0045】
また、上記の自動ワインダ100は、以下のように構成されている。即ち、巻取パッケージPの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージPのパッケージ形状を含む。前記巻取パッケージ情報送信装置40は、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ形状を入力可能なパッケージ形状入力部42を備える。これによれば、前記機台制御装置30が、前記パッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPのパッケージ形状を把握できる。なお、図3の如くパッケージ形状を集計し記憶部32に蓄積すれば、巻取ユニット10のどのような動作設定に問題があったのか、どのような動作をしていた巻取ユニット10に形状不良の不具合が発生する傾向にあるのか、など、種々の広範なトレーサビリティ・フィードバック環境が実現される。
【0046】
また、上記の自動ワインダ100は、以下のように構成されている。即ち、巻取パッケージPの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージPの存在の有無を含む。前記巻取パッケージ情報送信装置40は、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージPの存在の有無を入力可能なパッケージ有無入力部43を備える。これによれば、前記機台制御装置30が、前記パッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPの列の歯抜けを把握できる。従って、図3の如くにパッケージ重量を集計して分析するとき、考慮すべきではないデータを読み飛ばすことが可能となるので、分析上の便宜が図れる。
【0047】
なお、上述した第一実施形態は以下のように変更できる。
【0048】
上記第一実施形態においては、パッケージコンベア制御装置20B(又はベルト送り量検出部20A)などを介して巻取パッケージ情報送信装置40に搬送されてきた巻取パッケージPと該巻取パッケージPが玉揚された巻取ユニット10の錘No.との対応関係を取得することとしたが、これに代えて、以下のような構成も考えられる。即ち、前記の巻取パッケージ情報送信装置40は、該巻取パッケージ情報送信装置40に巻取パッケージPが搬送されてきたことを検出可能なパッケージ検出センサー(パッケージ検出手段)を備える。そして、巻取パッケージ情報送信装置40は、オペレータによる前記のコンベア始動スイッチ44aの操作によって前記パッケージコンベア20の搬出動作が開始されてから最初に該巻取パッケージ情報送信装置40へ搬送されてきた巻取パッケージPを、錘No.1の巻取ユニット10から玉揚された巻取パッケージPであると見做すように構成する(説明の便宜上、巻取パッケージ情報送信装置40に最も近くに配置される巻取ユニット10の錘No.を錘No.1とする。)。同様に、巻取パッケージ情報送信装置40(パッケージコンベア20の搬出方向一端)に順々に搬送されてきた各巻取パッケージP・P・・・を、錘No.2・3・・・の巻取ユニット10・10・・・で玉揚された巻取パッケージPであると見做すように構成する。この構成でも、上記第一実施形態と同様に、巻取パッケージ情報送信装置40に搬送されてきた巻取パッケージPと該巻取パッケージPが玉揚された巻取ユニット10の錘No.との対応関係を取得できる。なお、この変形例では、コンベア始動スイッチ44aを操作するときにおいて、パッケージコンベア20のベルト上に玉揚され列置される巻取パッケージPの列に歯抜けがある場合は、オペレータは、コンベア始動スイッチ44aを操作する前にベルト上の該歯抜けの部分に擬似巻取パッケージPを載置する必要がある。これによれば、巻取パッケージPと該巻取パッケージPが玉揚された巻取ユニット10の錘No.との対応関係が維持される。なお、この擬似巻取パッケージPについては、例えば前述のパッケージ有無スイッチ43aを介してオペレータが適宜に巻取パッケージ情報送信装置40に認識させればよい。
【0049】
また、上記第一実施形態に係る自動ワインダ100の構成に対して、パッケージ重量の不足する巻取パッケージPがパッケージコンベア20の搬出方向一端へ搬送されてきたときにオペレータにその巻取パッケージPの(他の巻取パッケージPからの)排除を促す構成を付加してもよい。例えば以下の如くである。即ち、前記の巻取パッケージ情報送信装置40(の表示/操作パネル44)に、巻取パッケージ排出指令表示ランプ(巻取パッケージ排出指令表示手段)を設ける。この巻取パッケージ排出指令表示ランプは、オペレータに対して、パッケージコンベア20の搬出方向一端へ搬送されてきた巻取パッケージPの排除を点灯又は点滅により指令するものであり、以下のように作動する。
【0050】
即ち、前記パッケージコンベア20の搬出方向一端に向かって順々に搬送される巻取パッケージPのパッケージ重量を巻取パッケージ情報送信装置40がパッケージ重量測定部41に測定させ、巻取パッケージ情報送信装置40は、前記の巻取パッケージ入出力部37を介してコントロール部31へ該測定結果を送信する。コントロール部31は、巻取パッケージ入出力部37を介して巻取パッケージ情報送信装置40から受信した巻取パッケージPのパッケージ重量が、各巻取パッケージPのパッケージ重量の平均値(コンベア始動スイッチ44aの操作で始まりコンベア停止スイッチ44bの操作で終わるパッケージコンベア20の搬出動作を第一回目・第二回目・・・と数えることとし、この巻取パッケージPは第二回目の搬出動作により搬出されているとすると、第一回目の搬出動作の際に得られた各巻取パッケージPのパッケージ重量の平均値(ただし、同一ロット名に限る。))と、前記の「管理±(%)」(図3参照)と、を考慮してパッケージ不足であると判定すると、(巻取パッケージ入出力部37を介して)巻取パッケージ情報送信装置40に設けられた巻取パッケージ排出指令表示ランプを点灯又は点滅させ、オペレータに、この巻取パッケージPの(他の巻取パッケージPからの)排除を促す(指令する)。なお、第一回目の搬出動作は各巻取パッケージPのパッケージ重量のデータ収集のために必要なので、上記排除の指令は、該第一回目の搬出動作の際では控え、第二回目の搬出動作以降の搬出動作の際にのみ実施することが好ましい。
【0051】
以上のように作動する巻取パッケージ排出指令表示ランプを設けることで、オペレータは、パッケージ重量の不足する巻取パッケージPを、パッケージコンベア20の搬出方向一端において、他の巻取パッケージPから排除できるようになる。更には、このような不良パッケージ(パッケージ重量の不足する巻取パッケージP)を、パッケージコンベア20の一端で排除できることから、このパッケージコンベア20よりも下流側の種々の後工程(例えば合糸工程や整経工程)において該不良パッケージを排除する場合と比較して、不良を早い段階で摘めるという意味で、管理上極めて有用であると言える。
【0052】
次に、本発明の第二実施形態を説明する。図4は、図2に類似する図である。なお、以下、第二実施形態が上述した第一実施形態と相違する点について説明し、重複する説明は割愛する。
【0053】
上述の第一実施形態において機台制御装置30は、パッケージコンベア20のベルト上に玉揚される巻取パッケージPの歯抜けを、オペレータによるパッケージ有無スイッチ43aの操作により把握可能に構成されている。
【0054】
これに対し本実施形態に係る機台制御装置30は、図4に示す如く更に、パッケージ有無判定部(パッケージ有無判定手段)38を備える。このパッケージ有無判定部38は、前記のベルト送り量検出部20Aからパッケージコンベア入出力部36を介してコントロール部31へ送信されるパッケージコンベア20のベルトの送り量と、前記パッケージ重量測定部41から巻取パッケージ入出力部37を介してコントロール部31へ送信される各巻取パッケージPのパッケージ重量と、をコントロール部31から取得し、これらベルトの送り量とパッケージ重量とに基づいて、巻取パッケージPの存在の有無(歯抜け)を判定するものである。具体的には、パッケージ有無判定部38はコントロール部31から取得するベルトの送り量に基づいて錘No.を得て、これと略同時刻にコントロール部31から取得するパッケージ重量を所定の閾値と比較することにより、どの錘No.の巻取ユニット10から巻取パッケージPが玉揚されなかったのかを判定する。なお、所定の閾値は、例えば巻取パッケージPの平均的な値(図3によれば約2000[g])の半分の値(例えば1000[g])であって、前記記憶部32に予めオペレータにより設定されるものとする。
【0055】
以上説明したように上記第二実施形態において自動ワインダ100は、以下のように構成されている。即ち、前記パッケージコンベア20は、無端状のベルトと、このベルトの送り量を検出するベルト送り量検出部20Aと、を備えて成る。前記機台制御装置は、前記ベルト送り量検出部20Aから受信する前記ベルトの送り量と、前記巻取パッケージ情報送信装置40から受信する各巻取パッケージPのパッケージ情報が含むパッケージ重量と、に基づいて、巻取パッケージPの存在の有無を判定するパッケージ有無判定部38を備える。これによれば、前記機台制御装置30が、パッケージコンベア20により順々に搬送される各巻取パッケージPの列の歯抜けを、オペレータを介することなく、把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第一実施形態に係る自動ワインダの全体概略図
【図2】機台制御装置及び巻取パッケージ情報送信装置の構成概略図
【図3】機台制御装置が備えるディスプレイの一表示例を示す図
【図4】図2に類似する図
【符号の説明】
【0057】
10 巻取ユニット
10A 巻取ユニット制御装置
20 パッケージコンベア
30 機台制御装置
40 巻取パッケージ情報送信装置
100 自動ワインダ
P 巻取パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を巻取ボビンに巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットと、
前記複数の巻取ユニットから玉揚された巻取パッケージを搬出するパッケージコンベアと、
を備える自動ワインダであって、
この自動ワインダ全体を管理する機台制御装置を備え、
前記パッケージコンベアの搬出方向一端側には、このパッケージコンベアにより順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ情報を前記機台制御装置へ送信する巻取パッケージ情報送信装置を備える、ことを特徴とする自動ワインダ
【請求項2】
巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージのパッケージ重量を含み、
前記巻取パッケージ情報送信装置は、前記パッケージコンベアの搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ重量を測定するパッケージ重量測定手段を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の自動ワインダ
【請求項3】
巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージのパッケージ形状を含み、
前記巻取パッケージ情報送信装置は、前記パッケージコンベアの搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージのパッケージ形状を入力可能なパッケージ形状入力手段を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動ワインダ
【請求項4】
巻取パッケージの前記パッケージ情報は、該巻取パッケージの存在の有無を含み、
前記巻取パッケージ情報送信装置は、前記パッケージコンベアの搬出方向一端に向かって順々に搬送される各巻取パッケージの存在の有無を入力可能なパッケージ有無入力手段を備える、ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動ワインダ
【請求項5】
前記パッケージコンベアは、無端状のベルトと、このベルトの送り量を検出するベルト送り量検出手段と、を備えて成り、
前記機台制御装置は、
前記ベルト送り量検出手段から受信する前記ベルトの送り量と、前記巻取パッケージ情報送信装置から受信する各巻取パッケージのパッケージ情報が含むパッケージ重量と、に基づいて、巻取パッケージの存在の有無を判定するパッケージ有無判定手段を備える、ことを特徴とする請求項2に記載の自動ワインダ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−74523(P2008−74523A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254151(P2006−254151)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】