説明

自動二輪車用メータ装置

【課題】本発明は、エンジン回転数、車速等の表示に加えて燃費表示を容易に認識することができ、且つ、コンパクトに配置することが可能な自動二輪車用メータ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】自動二輪車用メータ装置48は、燃料消費量が表示される燃費表示部97及びエンジン24の回転数が表示される回転数表示部92又は車両の速度が表示される車速表示部94とが、液晶にて表示される液晶表示部90を有している。燃費表示部97は円形のバーグラフで表示され、回転数表示部92は略直線状のバーグラフで表示されている。液晶表示部90は、メータケース87に嵌められており、このメータケース87には液晶表示部90以外に複数のインジケータ110が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車用メータ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一定量の燃料あたりの車両走行距離を表示する燃費表示部を備えている車両用メータ装置が提案されている(例えば、特許文献1(図2)参照。)。
【0003】
特許文献1の図2に示されるように、車両用メータ装置の表示部(1)(括弧付き数字は、特許文献1記載の符号を示す。以下同じ。)に、一定量の燃料あたりの車両走行距離(燃費)を表示する瞬間燃費ゲージ(17)が備えられている。この瞬間燃費ゲージ(17)は、表示部(1)の左下位置から右上位置に円弧状に配置されている。瞬間燃費ゲージ(17)は、バーグラフ状を呈している。バーグラフ状の瞬間燃費ゲージ(17)は、燃費が良好になったときには、バーグラフの上端が上方向に移動し、燃費が悪化したときには、バーグラフの上端が下方向に移動する。バーグラフの移動により、運転者にエンジンの燃料消費量を知らせ運転者に省エネルギー運転を促すようにした。
【0004】
特許文献1の表示部を自動二輪車に適用する場合について以下に検討する。
自動二輪車の場合、四輪車と較べると運転中の視線が道路と表示部(メータ)との間で異なるため、メータを瞬間的に見た場合でも運転に必要な情報を理解し易いメータが望まれている。
一方で、メータは一般的にエンジン回転数又は車速などの表示を主体に表示するため、それらの表示と燃費の表示を分かり易く表示させることが望まれていた。
特に、自動二輪車は、四輪車と較べてメータの取付スペースも限られることから、ただ単に運転に必要な情報部分のみの表示を大きくすることなく、スペースの限られた自動二輪車にコンパクトに収めつつ、情報を認識し易いメータの表示形態が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−168655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エンジン回転数、車速等の表示に加えて燃費表示を容易に認識することができ、且つ、コンパクトに配置することが可能な自動二輪車用メータ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、自動二輪車の前部に設けられ、少なくとも燃料消費量が表示される燃費表示部、及びエンジンの回転数が表示される回転数表示部又は車両の速度が表示される車速表示部とが、液晶にて表示される液晶表示部を有している自動二輪車用メータ装置であって、燃費表示部は円形のバーグラフで表示され、円の全周に渡って車両の燃費情報が表示され、回転数表示部又は車速表示部は1又は複数の略直線状のバーグラフで表示されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、液晶表示部は、メータケースに嵌められており、このメータケースには液晶表示部以外に複数のインジケータが設けられており、略直線状のバーグラフは、回転数表示部であり、運転者から見て車幅方向左下から車両前方へ斜めに延びる斜め表示部と、この表示部から車幅方向右へ直線状に延びる水平表示部とからなり、燃費表示部は、燃費瞬間値を表示し、水平表示部に車幅方向右側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、燃費表示部は、水平表示部の延長線上に、水平表示部に隣接して設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、液晶表示部の車幅方向略中央に、車速表示部が配置され、この車速表示部の車幅方向左方に斜め表示部が配置され車速表示部の上方に水平表示部が配置されるようにして、車速表示部に沿って回転数表示部が配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、液晶表示部に、さらに平均燃費を表示することが可能な各種表示部が含まれており、この各種表示部は、燃費表示部の下方で且つ車速表示部の車幅方向右に配置され、メータケースに設けられている選択スイッチの操作により、平均燃費を表示することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、液晶表示部の車幅方向略中央に、車速表示部が配置され、この車速表示部の車幅方向左方に斜め表示部が配置され車速表示部の上方に水平表示部が配置され、この水平表示部の車幅方向右方に燃費表示部が配置され、車速部の車幅方向右方に各種表示部が配置されるようにして、車速表示部に沿って回転数表示部と燃費表示部と各種表示部がこの順で配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、各種インジケータの一つは、シフトギヤが中立位置にあるときにシフトドラムの位置をニュートラルスイッチで検知して点灯されるニュートラルインジケータであり、このニュートラルインジケータは液晶表示部の車幅方向右方にてメータケースに設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明では、ニュートラルスイッチは、電源から1本のハーネスで給電され、エンジンケースにアースを取るオンオフスイッチであり、アースは、シフトドラムに設けられているアース用接点を通じて取られていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明では、ニュートラルスイッチは、電源から1本のハーネスで給電され、エンジンケースにアースを取るオンオフスイッチであり、アースは、シフトドラムとエンジンケースとの間に設けられる金属ワッシャを通じて取られていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明では、ニュートラルインジケータは、発光ダイオードで点灯されていることを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る発明では、シフトドラムは、エンジンケースに臨む側に張り出す凸部を有し、この凸部にアース用接点が設けられ、このアース用接点はエンジンケースと接触するように配置され、ニュートラルスイッチは、凸部の下方にシフトドラムとオフセットして配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る発明では、シフトドラムは、エンジンケースに臨む側に張り出す凸部を有し、この凸部の根元に金属ワッシャが配置され、ニュートラルスイッチは、凸部と対向配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明では、エンジン回転数表示部又は車速表示部は、略直線状のバーグラフ表示であり、燃費の表示は、円形の全周を使ったバーグラフ表示となる。円グラフと略直線グラフとでは表示形態のイメージが著しく異なって認識され、この認識の違いが明確になるため、自動二輪車のコンパクトな表示部の中にあっても、燃費の情報認識がし易いものとなり、運転者のエコ運転につながる。
【0020】
従って、本発明によれば、エンジン回転数、車速等の表示に加えて燃費表示を容易に識別することができ、良好な視認性が確保され、且つ、スペースの限られた自動二輪車にコンパクトに収納することができる自動二輪車用メータ装置が提供される。
【0021】
請求項2に係る発明では、略直線状のバーグラフは、回転数表示部であり、この回転数表示部は、斜め表示部と、この斜め表示部から車幅方向右へ直線状に延びる水平表示部とからなる。この水平表示部に車幅方向右側に燃費表示部が配置されている。
【0022】
回転数表示部のグラフ長さ及び燃費表示部のグラフ面積は、運転中に常時変化する。そのため回転数表示部及び燃費表示部は、運転者の注目対象部となる。回転数表示部を左に配置し、燃費表示部を右に配置した。運転者は、走行中に、前方の路面と、メータ装置とを交互に見ることが求められる。路面からメータ装置に視界を移したときに、回転数表示部及び燃費表示部とが左右に並んでいるため、瞬時に回線数情報と燃費情報とを視認することができる。
また、液晶表示部外に、各種インジケータを配置するようにした。各種インジケータが液晶表示部外に配置されているので、液晶表示部をコンパクトにすることができる。
【0023】
請求項3に係る発明では、燃費表示部は、水平表示部の延長線上に、水平表示部に隣接して設けられている。回転数表示部を視認する流れから、自然に燃費表示部を視認させることができ、より運転者に省エネルギー運転を促すことができる。
【0024】
請求項4に係る発明では、液晶表示部の車幅方向略中央に、車速表示部が配置され、この車速表示部の車幅方向左方に斜め表示部が配置され車速表示部の上方に水平表示部が配置されるようにして、車速表示部に沿って回転数表示部が配置されている。
走行中に必要な情報である車速とエンジン回転数が、液晶表示部の略中央にまとめて配置されているため、運転者は、より効果的に車速情報と回転数情報を取得できる。
【0025】
請求項5に係る発明では、液晶表示部に、さらに平均燃費を表示することが可能な各種表示部が含まれており、この各種表示部は、燃費表示部の下方で且つ車速表示部の車幅方向右に配置され、メータケースに設けられている選択スイッチの操作により、平均燃費を表示するものである。
車速と瞬間燃費と平均燃費とを集中的に表示させることができるため、運転者に速度と燃費の関連を認識させ、省エネルギー運転を促すことができる。
【0026】
請求項6に係る発明では、液晶表示部に、車速表示部が配置され、この車速表示部の右方に各種表示部が配置されるようにして、車速表示部に沿って回転数表示部と瞬間燃費を表示する燃費表示部と各種表示部がこの順で配置されている。
車速と瞬間燃費と平均燃費とを集中的に表示させることができるため、運転者に速度と燃費の関連を認識させ、省エネルギー運転を促すことができる。
【0027】
請求項7に係る発明では、各種インジケータの一つは、ニュートラルインジケータであり、このニュートラルインジケータは液晶表示部の車幅方向右方にてメータケースに設けられている。
【0028】
ニュートラル情報は、主として発進前の停車中に必要であるが、走行中はむしろ不要である。このような走行中に不要なインジケータは液晶表示部の外に置くことで、液晶表示部のコンパクト化及び視認性の更なる向上を図ることができる。
【0029】
請求項8に係る発明では、ニュートラルスイッチは、エンジンケースにアースを取るオンオフスイッチであり、アースは、シフトドラムに設けられているアース用接点を通じて取られている。
【0030】
電源から1本のハーネスで給電され、エンジンケースにアースを取る構成の場合、シフトドラムとエンジンケースの接触による電気導通が前提となる。しかし、シフトドラムとエンジンケースとの間にオイル膜が介在すると電気導通が弱くなる可能性がある。
【0031】
そこで、本発明では、アース用接点をシフトドラムに設け、このアース用接点により電気導通を維持するようにした。このアース用接点によりシフトドラムとエンジンケースとの間を確実に導通させることができる。従って、ニュートラルインジケータの点灯に係る信頼性が高まる。
【0032】
請求項9に係る発明では、ニュートラルスイッチは、エンジンケースにアースを取るオンオフスイッチであり、アースは、シフトドラムとエンジンケースとの間に設けられる金属ワッシャを通じて取られている。
【0033】
電源から1本のハーネスで給電され、エンジンケースにアースを取る構成の場合、シフトドラムとエンジンケースの接触による電気導通が前提となる。しかし、シフトドラムとエンジンケースとの間にオイル膜が介在すると電気導通が弱くなる可能性がある。
【0034】
そこで、本発明では、シフトドラムとエンジンケースとの間に金属ワッシャを設け、この金属ワッシャにより電気導通を維持するようにした。この金属ワッシャによりシフトドラムとエンジンケースとの間を確実に導通させることができる。従って、ニュートラルインジケータの点灯に係る信頼性が高まる。
【0035】
請求項10に係る発明では、ニュートラルインジケータは、発光ダイオードで点灯されている。
発光ダイオードは、通常のフィラメント内蔵バルブに比較して消費電力が格段に小さく、電気エネルギーの節約が図れる。
但し、発光ダイオードはフィラメント内蔵バルブに比較して入力電圧が格段に小さいため、電圧の低下に影響され易い。
アース用接点又は金属ワッシャを採用することで、電圧は、より安定しているため、発光ダイオードが採用可能となる。
【0036】
請求項11に係る発明では、ニュートラルスイッチは、シフトドラムに設けられエンジンケースに臨む側に張り出す凸部の下方にシフトドラムとオフセットして配置されている。
ニュートラルスイッチは、凸部の下方にシフトドラムにオフセットして配置されているので、シフトドラムの軸方向の長さを短くすることができる。シフトドラムの軸方向の長さが短くなれば、エンジンの幅方向長さを小さくすることができる。
【0037】
請求項12に係る発明では、ニュートラルスイッチは、凸部と対向配置されている。
ニュートラルスイッチは、凸部と対向配置されている。このような凸部と対向配置されているニュートラルスイッチであれば、シフトドラムの軸直角方向の長さを短くできる。シフトドラムの軸直角方向の長さが短くなれば、エンジンの高さ方向の長さを短く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るメータ装置を備えている自動二輪車の左側面図である。
【図2】本発明に係るメータ装置のブロック図である。
【図3】本発明に係るメータ装置の表示部の外観図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】シフトドラム及びその周辺部の構造を説明する断面図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】ニュートラルスイッチの作用説明図である。
【図9】ニュートラルスイッチ及びニュートラルインジケータの結線図である。
【図10】燃費計の作用説明図である。
【図11】図7の別実施例図である。
【図12】(a)はウエーブワッシャの正面図である。(b)は図12(a)の12(b)−12(b)線断面図である。
【図13】図7の変形例図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図中及び実施例において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、自動二輪車に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0040】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されているように、自動二輪車10は、車体フレーム11を、ヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方へ延ばし次いで後方斜め下方へ延ばしたメインフレーム13と、このメインフレーム13の下端部に取付けたピボットフレーム14と、メインフレーム13の中間部から車両後方へ延ばしたシートレール15と、メインフレーム13の前端部から略下方へ延ばしたダウンフレーム16と、メインフレーム13の下端部近傍から後方斜め上方へ延ばしシートレール15の中間部に接続したサポートフレーム17とで構成する。
【0041】
ヘッドパイプ12から下方にフロントフォーク21を延ばし、このフロントフォーク21をヘッドパイプ12に回転自在に取付け、フロントフォーク21の上端部から上方に操向ハンドル22を延ばし、メインフレーム13に燃料タンク23を取付け、メインフレーム13の下端に取付けたピボットフレーム14及び前記ダウンフレーム16とで、エンジン24及び変速機部25とからなるパワーユニット26を懸架し、ピボットフレーム14にピボット軸14Jを渡し、このピボット軸14Jでリヤスイングアーム31を上下揺動自在に支持し、リヤスイングアーム31の後端部に後輪32を取付け、リヤスイングアーム31と前記メインフレーム13の間にリヤクッションユニット33を渡し、リヤクッションユニット33の車幅方向左側で、メインフレーム13とシートレール15とサポートフレーム17とで囲まれる空間にバッテリユニット34を配置し、シートレール15で乗員が着座するシート35を支持した。後輪32とパワーユニット26との間には、後輪32を駆動するチェーン36が巻き掛けられている。
【0042】
次にフロントフォーク及びその周辺部の構成について説明する。
フロントフォーク21は、フォーク単体41をトップブリッジ42及びトップブリッジ42の下方に配置したボトムブリッジ43で連結し、トップブリッジ42とボトムブリッジ43の間にヘッドパイプ12が挟まれるように配置されている。トップブリッジ42とボトムブリッジ43の間で、ヘッドパイプ12に、ステアリング軸44が挿通されている。トップブリッジ42に操向ハンドル22が取付けられ、この操向ハンドル22でフォーク単体41の下端に取付けた前輪52を転舵操作するようにした。
【0043】
トップブリッジ42及びボトムブリッジ43に上下のカウル支持ステー45、46を取付ける。これらの上下のカウル支持ステー45、46で、フロントカウル47を支持すると共にメータ装置48を支持する。フロントカウル47に、ヘッドライト51が取付けられている。すなわち、メータ装置48は、自動二輪車10の前部に配置され取付けられている。
フロントフォーク21の中間部にフロントフェンダ53が取付けられている。シートレール15には、リヤフェンダ54が取付けられている。
【0044】
エンジン24は、クランクケース61と、このクランクケース61の上部に取り付けたシリンダブロック62と、このシリンダブロック62の上部に取付けたシリンダヘッド63とを有し、このシリンダヘッド63に吸気装置64と排気装置65が連結されている。
【0045】
次に、メータ装置48のブロック図について説明する。
図2に示されているように、メータ装置48は、車両各部に配置されるセンサ部70と、センサ部70の信号を受け表示に係る演算処理を行うメータ制御部81と、このメータ制御部81の制御により車両の各信号を表示する表示部82と、からなる。
メータ制御部81に、エンジンコントロールユニット83(ECU83)が接続され、このECU83に燃料噴射装置84(FI84)が接続されている。ECU83には、アクセルユニット85が接続されている。
【0046】
センサ部70は、燃料噴射装置84に設けられている燃料流量センサ71と、エンジン24に設けられているエンジン回転数センサ72と、変速機部25に設けられているニュートラルスイッチ73と、前輪52に設けられている車輪速センサ74と、燃料タンク23に設けられる燃料残量検出センサ75及び燃料中のアルコール濃度を検出するアルコール濃度検出センサ76とを有する。
なお、ニュートラルスイッチ73の構造については後述する。
【0047】
次に、メータ装置の表示部82について説明する。
図3に示されているように、メータ装置48の表示部82は、その周囲及び下方がメータケース87にて覆われている。メータ装置48の上面に、液晶にて表示される液晶表示部90を有している。
【0048】
この液晶表示部90は、車幅方向左側に配置される燃料残量表示部95と、この燃料残量表示部95の右側に配置されエンジン(図1、符号24)の回転数が表示される回転数表示部92と、この回転数表示部92の下方に配置され車両の速度が表示される車速表示部94と、回転数表示部92の右側に配置され燃料消費量が表示される燃費表示部97と、この燃費表示部97の右側に配置される時間表示部98と、回転数表示部92の下方で且つ時間表示部98の下方に配置されメータケース87の左後部に配置される選択スイッチ101により切換表示可能な各種表示部102と、から構成されている。
【0049】
燃費表示部97は、瞬間燃料消費量(燃費瞬間値)が円形のバーグラフで表示され、回転数表示部92は、エンジン回転数が略直線状のバーグラフで表示され、車速表示部94は、車速がデジタル表示される。
なお、車速表示部94を略直線状のバーグラフで表示することは差し支えない。
【0050】
略直線状のバーグラフは、回転数表示部92である。この回転数表示部92は、運転者から見て車幅方向左下から車両前方へ斜めに延びる斜め表示部103と、この斜め表示部103から車幅方向右へ直線状に延びる水平表示部104とからなる。
燃費表示部97は、回転数表示部92を構成する水平表示部104に対して、車幅方向右側に配置されている。
【0051】
液晶表示部90は、メータケース87に嵌められている。このメータケース87には、液晶表示部90以外で液晶表示部90の車幅方向左右外方に複数のインジケータ110L、110Rが設けられている。
【0052】
液晶表示部90の左側に配置されているインジケータ110Lは、アンチブレーキシステムの異常を表示するABSインジケータ111と、このABSインジケータ111の上に配置されポジションランプの点灯を表示するポジションランプインジケータ112と、このポジションランプインジケータ112の上に配置されヘッドライト(図1、符号51)の点灯を表示するヘッドライトインジケータ113と、このヘッドライトインジケータ113の上に配置され左ウインカが作動していることを表示する左ウインカインジケータ114Lと、からなる。
【0053】
液晶表示部90の右側に配置されているインジケータ110Rは、燃料噴射装置(図2、符号84)の異常を表示するFIインジケータ115と、このFIインジケータ115の上に配置され後述する変速ギヤ(シフトギヤ)のニュートラル位置を表示するニュートラルインジケータ116と、このニュートラルインジケータ116の上に配置され燃料タンク(図1、符号23)内のアルコール濃度が所定値以下になったときに表示するアルコールインジケータ117(ALC117)と、このALC117の上に配置され右ウインカが作動していることを表示する右ウインカインジケータ114Rと、からなる。
【0054】
アルコールインジケータ117について以下に説明を行う。
アルコールインジケータ117は、イグニッションスイッチをONにしたときに、点灯することがある。この場合、燃料タンク内の燃料におけるアルコール濃度がおおよそ80%以上で点灯し、さらに、アルコール濃度がおおよそ80%以上且つ外気温がおおよそ15℃以下で点滅するように構成されている。燃料中のアルコール濃度がおおよそ80%を超えると、冷間始動が困難となる可能性がある場合に、アルコールインジケータを点灯又は点滅させて、運転者にガソリンの給油を促す。さらに、アルコール濃度の高さに加えて外気温が低く始動性がより低下する可能性がある場合は、点滅により予め告知するようにした。
【0055】
各種表示部102は、平均燃費と、オドメータと、トリップメータとが、選択スイッチ101(選択ボタン101)を押すことにより順次切り換え表示可能となっている。
メータケース87の後右側には、リセットボタン119が配置され、このリセットボタン119を所定時間押すことでトリップメータ121の値をリセットさせるようにした。
【0056】
次に、メータ表示部の主要構造について説明する。
図4に示されているように、メータ表示部82は、下ケース123と、この下ケース123に載置され上面124に発光ダイオード126が取付けられている回路基板125と、この回路基板125の上方を覆う液晶部127(LCD127)と、この液晶部127を囲う内ケース128と、この内ケース128と下ケース123の間を締結するねじ133と、下ケース123にシール部材134を介して取付けられる上ケース129と、この上ケース129の液晶部127に対応する部分に形成された開口131をカバーしつつLCD127を見ることができるレンズ部132と、を有する。
図3を併せて参照して、メータケース87は、下ケース123と、この下ケース123に取付けられる上ケース129と、この上ケース129に形成された開口131をカバーし透明体で形成されるレンズ部132とから構成される。
【0057】
次に、クランクケース内に設けられシフトギヤが中立位置にあることを検出するニュートラルスイッチ及びその周辺部の構造について説明する。
図5に示されているように、エンジン24のクランク軸141が車幅方向水平に配置され、このクランク軸141の車両後方側にメイン軸142が同様に配置され、このメイン軸142の車両後方側に出力軸143が同様に配置され、この出力軸143の端部に前述したチェーン(図1、符号36)が巻き掛けられるドライブスプロケット144が固着されている。
【0058】
クランク軸141に第1駆動ギヤ151が固着され、メイン軸142に第1駆動ギヤ151と噛み合う第1被駆動ギヤ152が固着され、クランク軸141の動力がメイン軸142に伝達される。
【0059】
メイン軸142と出力軸143には、各々、複数のギヤ列153、154が挿嵌され、これらのギヤ列153、154を車幅方向に移動させる第1ガイドアーム155及び第2ガイドアーム156が設けられ、これらのガイドアーム155、156を各々揺動自在に支持する揺動支点としての第1ガイドピン157及び第2ガイドピン158がクランクケース61に支持され、第1ガイドアーム155及び第2ガイドアーム156を駆動するカム溝(図6、符号174)を外周面に有するシフトドラム161がクランクケース61に回動自在に支持されている。
【0060】
クランク軸141の車両後上方に、スタータモータ163が配置され、このスタータモータの軸にピニオンギヤ164が固着され、クランク軸141にサブギヤ165が固着され、ピニオンギヤ164とサブギヤ165の間に、アイドルギヤ166が配置されている。スタータモータ163の動力は、ピニオンギヤ164、アイドルギヤ166、サブギヤ165とこの順に伝達される。次図にて、シフト機構(変速機構)について説明する。
【0061】
図6に示されているように、シフト機構171は、乗員の左足で操作するチェンジアーム側の部材172に、シフトドラム161の一端161aがボルト173を介して取付けられ、このシフトドラム161に形成された複数のカム溝174に2つの第2ガイドアーム156、156の一端を形成するカム片175、175が挿嵌され、2つの第2ガイドアーム156、156の他端156b、156bにより出力軸143に挿嵌された複数のギヤ列154を車幅方向に移動させ、メイン軸側のギヤ列(図5、符号153)と噛み合わせることで、所定の減速比を得るようにした。
シフトドラム161の一端161a及び他端161bに、クランクケース61によって支持される一端及び他端の凸部177、178が形成されている。
【0062】
次に、シフトドラム、ニュートラルスイッチ及びアース用接点について説明する。
図7に示されているように、シフトドラム161の他端161bに形成されている凸部178の車幅方向外面179にアース用接点181が設けられている。
【0063】
アース用接点181は、凸部の外面179に開けた孔部182と、この孔部182にセットされる付勢ばね183と、この付勢ばね183に被せた可動接点184と、この可動接点184に対向配置されるクランクケース側の内面185と、から構成され、付勢ばね183により可動接点184がクランクケース側の内面185へ向け付勢され、シフトドラム161とクランクケース61との間が良好な状態で接触することにより、凸部178とクランクケース61とを導通させる。
【0064】
すなわち、シフトドラム161は、エンジンケース61(クランクケース61)に臨む側に張り出す凸部178を有し、この凸部178にアース用接点181が接触するようにした。
【0065】
シフトドラム161の他端161bに設けた凸部178の根元には、一部を凹ませた凹部187が形成されている。この凹部187に対向する位置で、クランクケース61にスイッチ用の穴188が開けられ、この穴188にニュートラルスイッチ73が取付けられている。ニュートラルスイッチ73は、凸部178の下方にシフトドラム161とオフセットして配置されている。
【0066】
ニュートラルスイッチ73は、凸部178の下方に配置されているので、凸部の側方に配置されている場合に較べて、シフトドラム161の軸方向の長さを短くすることができる。シフトドラム161の軸方向の長さが短くなれば、エンジン24の車幅方向長さを小さくすることができる。
【0067】
次に、ニュートラルスイッチの作用説明を行う。
図8(a)に示されているように、ニュートラルスイッチ73は、先端に軸方向に移動可能な移動子194を有する。移動子の頭198は、シフトドラム161に形成した凹部187に係合可能となっている。
図8(a)では、ニュートラルスイッチ73は、ON時の状態にあり、移動子の頭198は、シフトドラム161に形成した凹部187に係合している。
【0068】
図8(b)に示されているように、ニュートラルスイッチ73は、OFF時の状態にあり、移動子の頭198は、シフトドラム161の側面201により付勢され、図8(a)の位置から凹む。このとき、ハーネス196とアース用接点181との回路が切断されるようにした。
【0069】
次に、シフトドラム及びニュートラルスイッチを用いた回路について説明する。
図9に示されているように、シフトドラム161とクランクケース61の間にアース用接点181及びニュートラルスイッチ73が介在され、このニュートラルスイッチ73から延びているハーネス196にニュートラルインジケータ116の一端が接続され、ニュートラルインジケータ116の他端はバッテリユニット34(バッテリ34)の正極に接続されている。
【0070】
すなわち、ニュートラルスイッチ73は、電源から1本のハーネス196で給電され、エンジンケース61にアース203を取るオンオフスイッチである。アース203は、シフトドラム161に設けられているアース用接点181を通じて取られている。
【0071】
図3を併せて参照して、ニュートラルインジケータ116は、シフトギヤ25(変速機部25)が中立位置にあるときにシフトドラム161の位置をニュートラルスイッチ73で検知して点灯されるものであり、このニュートラルインジケータ116は液晶表示部90の車幅方向右方にてメータケース87に設けられている。ニュートラルインジケータ116は、発光ダイオードで点灯されている。
【0072】
電源から1本のハーネス196で給電され、エンジンケース61(クランクケース61)にアース203を取る構成の場合、シフトドラム161とクランクケース61の接触による電気導通が前提となる。しかし、シフトドラム161とクランクケース61との間にオイル膜が介在すると電気導通が弱くなる可能性がある。
【0073】
そこで、本発明では、アース用接点181をシフトドラム161に設け、このアース用接点181により電気導通を維持するようにした。このアース用接点181によりシフトドラム161とクランクケース61との間を確実に導通させることができる。従って、ニュートラルインジケータ116の点灯に係る信頼性が高まる。
【0074】
また、ニュートラルインジケータ116は、発光ダイオードで点灯されている。発光ダイオードは、通常のフィラメント内蔵バルブに比較して消費電力が格段に小さく、電気エネルギーの節約が図れる。
【0075】
ただし、発光ダイオードはフィラメント内蔵バルブに比較して入力電圧が格段に小さいため、電圧の低下に影響され易い。
アース用接点181を採用することで、電圧は、より安定しているため、発光ダイオードが採用可能となる。発光ダイオードを利用した場合であっても、アース用接点181を採用したので、エンジン回転数の表示、車速の表示に加えて、複数のインジケータに含まれているニュートラルインジケータ116の表示に関しても、液晶表示部との配置関係と相まって、良好な視認性が維持・確保される。
【0076】
以上に述べた自動二輪車用メータ装置の作用、特に、円形のバーグラフで表示される燃費表示部の作用について次に述べる。
図10(a)には、エンジンが停止中のときの表示が示されている。
図10(b)には、車両が走行中で、エンジンが燃料を消費しており、そのときの瞬間燃費が25km/Lのときの表示が示されている。
図10(c)には、車両が走行中で、エンジンが燃料を消費しており、そのときの瞬間燃費が50km/Lのときの表示が示されている。
【0077】
図3を併せて参照して、燃費は円グラフで表示され、回転数又は車速は略直線グラフで表示される。円グラフと略直線グラフとでは表示形態が著しく異なるため、運転者は両者を容易に識別することができ、視認性が高まる。また、車幅方向に延びる直線グラフに比較して、円グラフは車幅方向の寸法が小さいため、車幅方向におけるメータ装置の小型化が図れる。ここで、視認性とは、情報を目で見て容易に認識することができる程度を云う。視認性は、比較対象物に対する相対的なものである。
【0078】
従って、本発明によれば、エンジン回転数、車速等の表示に加えて燃費表示を容易に識別することができ、例えば、四輪車に較べて格段に運転条件が厳しい自動二輪車に適用することにより、極めて良好な識別性及び視認性が確保される。加えて、燃費表示は、円グラフで行うようにした。車幅方向に延びる直線グラフに比較して、円グラフは車幅方向の寸法が小さいため、スペースの限られた自動二輪車にコンパクトに収納することができる自動二輪車用メータ装置48が提供される。
なお、上記車速等には、各種表示部102、及び液晶表示部110L、110Rの構成要素が含まれるものとする。
【0079】
図3に戻って、略直線状のバーグラフは、回転数表示部92であり、この回転数表示部92は、斜め表示部103と、この斜め表示部103から車幅方向右へ直線状に延びる水平表示部104とからなる。この水平表示部104に車幅方向右側に燃費表示部97が配置されている。
【0080】
図1を併せて参照して、回転数表示部92のグラフ長さ及び燃費表示部97のグラフ面積は、運転中に常時変化する。そのため回転数表示部92及び燃費表示部97は、運転者の注目対象部となる。回転数表示部92を左に配置し、燃費表示部97を右に配置した。運転者は、走行中に、少なくとも、前方の路面(例えば、図矢印a1〜a2間で視認される。)と、メータ装置を構成する表示部82(図矢印b)とを交互に見ることが求められる。路面から表示部82に視界を移したときに、回転数表示部92及び燃費表示部97とが左右に並んでいるため、瞬時に回線数情報と燃費情報とを視認することができる。
【0081】
また、液晶表示部90の外に、各種インジケータ110L、110Rを配置するようにした。各種インジケータ110L、110Rが液晶表示部90の外に配置されているので、液晶表示部90をコンパクトにすることができる。
【0082】
燃費表示部97は、水平表示部104の延長線上に、水平表示部104に隣接して設けられている。回転数表示部92を視認する流れから、自然に燃費表示部97を視認させることができ、より運転者に省エネルギー運転を促すことができる。
【0083】
加えて、液晶表示部90の車幅方向略中央に、車速表示部94が配置され、この車速表示部94の車幅方向左方に斜め表示部103が配置され車速表示部94の上方に水平表示部104が配置されるようにして、車速表示部に沿って回転数表示部92が配置されている。
走行中に必要な情報である車速とエンジン回転数が、液晶表示部90の略中央にまとめて配置されているため、運転者は、より効果的に車速情報と回転数情報を取得できる。
【0084】
液晶表示部90に、さらに平均燃費を表示することが可能な各種表示部102が含まれている。この各種表示部102は、燃費表示部97の下方で且つ車速表示部94の車幅方向右に配置され、メータケース87に設けられている選択スイッチ101の操作により、オドメータ、トリップメータ又は平均燃費を選択的に表示するものである。
【0085】
平均燃費を表示させた場合に、車速と瞬間燃費と平均燃費とを液晶表示部90に集中的に表示させることができるため、運転者に速度と燃費の関連を認識させ、省エネルギー運転を促すことができる。
【0086】
さらにまた、液晶表示部90に、車速表示部94が配置され、この車速表示部94の右方に各種表示部102が配置されるようにして、車速表示部94に沿って回転数表示部92と瞬間燃費を表示する燃費表示部97と各種表示部102がこの順で配置されている。
車速と瞬間燃費と平均燃費とを集中的に表示させることができるため、運転者に速度と燃費の関連を認識させ、省エネルギー運転を促すことができる。
【0087】
次に、メータ装置の構成要素としてのニュートラルインジケータの作用説明を行う。
ニュートラル情報は、主として発進前の停車中に必要であるが、走行中はむしろ不要である。このような走行中に不要なインジケータとなるニュートラルインジケータ116を液晶表示部90の外に置くことで、液晶表示部90のコンパクト化及び視認性の更なる向上を図ることができる。
【実施例2】
【0088】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
別実施例に係るアース用接点の構造について説明する。
図11に示されているように、シフトドラム161Bは、エンジンケース61Bに臨む側に張り出す凸部178Bを有し、この凸部178Bの根元211に形成されている外面212に金属ワッシャ213が配置されている。
その他、ニュートラルスイッチの構造、配置及び作用については実施例1と同様なものであり説明を省略する。
【0089】
次に、図11で説明した金属ワッシャの詳細な構造について説明する。
図12(a)は金属ワッシャの正面図であり、図12(b)は図12(a)−(a)線断面図である。
【0090】
図12(a)及び図12(b)に示されているように、金属ワッシャ213は、正面視では通常の環状ワッシャに見えるが、側面視では、環が波打つように形成されている、いわゆる、ウエーブワッシャと云われているものである。材料は、例えば、SK材、寸法は、内径(D1):24mm、外径(D2):35mm、板厚(t):0.2mm、板厚方向の高さ(h):1.0mm、ばね定数:1.64kg/mmのウエーブワッシャが用いられている。
【0091】
次に、アース用接点に金属ワッシャを適用した場合の作用説明を行う。
電源から1本のハーネス196で給電され、クランクケース61にアース203を取る構成の場合、シフトドラム161Bとクランクケース61Bの接触による電気導通が前提となる。しかし、シフトドラム161Bとクランクケース61Bとの間にオイル膜が介在すると電気導通が弱くなる可能性がある。
【0092】
そこで、本発明では、シフトドラム161Bとクランクケース61Bとの間に金属ワッシャとしてのウエーブワッシャ213を設け、このウエーブワッシャ213により電気導通を維持するようにした。
【0093】
具体的には、電気導通の特性は接触抵抗であらわされる。この接触抵抗は、ウエーブワッシャ213を挟持して高い接点荷重を与えることにより、接点の表面に形成され得る酸化皮膜や硫化被膜による被膜抵抗が生ずる可能性がある環境下においても低く且つ安定した接触抵抗をもたせた。このようなウエーブワッシャ213による好ましい特性を利用して、シフトドラム161Bとクランクケース61Bとの間に安定した導通状態を確保するようにした。
【0094】
シフトドラムの根元211に形成される外面212とクランクケース61Bの内面221の間にウエーブワッシャ213を介在させ、このウエーブワッシャ213を圧縮させ、高い接点荷重を与えることにより、接触抵抗を低く抑えるようにした。
【0095】
従って、このウエーブワッシャ213によりシフトドラム161Bとクランクケース61Bとの間を確実に導通させることができる。従って、ニュートラルインジケータ116の点灯に係る信頼性が高まる。
【0096】
また、ニュートラルインジケータ(図3、符号116)は、発光ダイオードで点灯されている。発光ダイオードは、通常のフィラメント内蔵バルブに比較して消費電力が格段に小さく、電気エネルギーの節約が図れる。
【0097】
ただし、発光ダイオードはフィラメント内蔵バルブに比較して入力電圧が格段に小さいため、電圧の低下に影響され易い。
シフトドラム161Bのアースに金属ワッシャ213を採用することで、クランクケース61Bとシフトドラム161B間の抵抗値が低く抑えられるため、発光ダイオードが採用可能となる。
【0098】
なお、アース用接点の代わりにウエーブワッシャを通じてアースが取られていることの他、ニュートラルインジケータに、発光ダイオードが利用されていること等を含め実施例1と大きく異なる点はなく説明を省略する。
【0099】
次に、本発明の変形例を図面に基づいて説明する。
アース用接点とニュートラルスイッチの構造について説明する。
図13に示されているように、シフトドラム161Bは、エンジンケース61Bに臨む側に張り出す凸部178Bを有し、この凸部178Bの根元211に形成されている外面212に金属ワッシャ213が配置されている。
なお、金属ワッシャの構造、仕様等については、図12と同様なものであり、説明を省略する。
【0100】
ニュートラルスイッチ73Bは、クランクケース61Bに回転可能に支持されるシフトドラム161Bの側面と、クランクケース61B側に配置されるターミナル部材217に設けた固定接点216とで構成される。
【0101】
詳細には、ニュートラルスイッチ73Bは、シフトドラム161Bの側面に設けられ付勢ばね183Bに付勢される可動接点184Bと、シフトドラム161の側方に配置したクランクケース61Bに開けたターミナルケース用穴215と、このターミナルケース用穴215に設けられシフトドラム161の回転ポジションを可動接点184との通電で検出するための固定接点216を備えたターミナル部材217と、固定接点216に接続され検出信号を伝達するハーネス196Bと、ターミナル部材217に形成され固定接点67とハーネス196Bとの接続部を収納する凹部218と、この凹部218に充填されるモールド材219と、を有する。
【0102】
可動接点184Bは、常時付勢ばね183Bで押されているため、固定接点216との密着性が高まる。また、ターミナル部材217は、上下方向に延びて形成されていると共にクランクケース52Bに取付けられている。固定接点216が、シフトドラム65Bの回転に伴って可動接点184Bと接触することで、シフトドラム161Bのニュートラルポジションを検出するようにした。
【0103】
ニュートラルスイッチ73Bを構成する固定接点216は、凸部178Bと対向配置されている。このような凸部178Bと対向配置されている固定接点216であれば、シフトドラム161Bの軸直角方向の長さを短くできる。シフトドラム161Bの軸直角方向の長さが短くなれば、エンジン61Bの高さ方向の長さを短くすることができる。
【0104】
ニュートラルスイッチ73Bは、電源から1本のハーネス196Bで給電され、エンジンケース61Bにアース203Bを取るオンオフスイッチであり、アース203Bは、シフトドラム161Bとエンジンケース61Bとの間に設けられる金属ワッシャ213を通じて取られている。
【0105】
本発明では、シフトドラム161Bとクランクケース61Bとの間に金属ワッシャとしてのウエーブワッシャ213を設け、このウエーブワッシャ213により電気導通を維持するようにした。
【0106】
シフトドラムの根元211に形成される外面212とクランクケース61Bの内面221の間にウエーブワッシャ213を介在させ、このウエーブワッシャ213を圧縮させることで、高い接点荷重を与えることにより、接触抵抗を低く抑えるようにした。
【0107】
従って、このウエーブワッシャ213によりシフトドラム161Bとクランクケース61Bとの間を確実に導通させることができる。従って、ニュートラルインジケータ116の点灯に係る信頼性が高まる。
【0108】
また、ニュートラルインジケータ(図3、符号116)は、発光ダイオードで点灯されている。発光ダイオードは、通常のフィラメント内蔵バルブに比較して消費電力が格段に小さく、電気エネルギーの節約が図れる。
【0109】
ただし、発光ダイオードはフィラメント内蔵バルブに比較して入力電圧が格段に小さいため、電圧の低下に影響され易い。
シフトドラム161Bのアースに金属ワッシャ213を採用することで、クランクケース61Bとシフトドラム161B間の抵抗値が低く抑えられるため、発光ダイオードが採用可能となる。
その他、本変形例に係る作用は、実施例2と同様なものであり説明を省略する。
【0110】
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0112】
10…自動二輪車、24…エンジン、48…自動二輪車用メータ装置(メータ装置)、61…エンジンケース(クランクケース)、73、73B…ニュートラルスイッチ、87…メータケース、90…液晶表示部、92…回転数表示部、94…車速表示部、97…燃費表示部、101…選択スイッチ、102…各種表示部、103…斜め表示部、104…水平表示部、110、110L、110R…インジケータ、116…ニュートラルインジケータ、161…シフトドラム、178…凸部、181…アース用接点、196、196B…ハーネス、213…金属ワッシャ(ウエーブワッシャ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車(10)の前部に設けられ、少なくとも燃料消費量が表示される燃費表示部(97)、及びエンジン(24)の回転数が表示される回転数表示部(92)又は車両の速度が表示される車速表示部(94)とが、液晶にて表示される液晶表示部(90)を有している自動二輪車用メータ装置(48)であって、
前記燃費表示部(97)は円形のバーグラフで表示され、円の全周に渡って車両の燃費情報が表示され、前記回転数表示部(92)又は前記車速表示部(94)は1又は複数の略直線状のバーグラフで表示されていることを特徴とする自動二輪車用メータ装置。
【請求項2】
前記液晶表示部(90)は、メータケース(87)に嵌められており、このメータケース(87)には前記液晶表示部(90)以外に複数のインジケータ(110)が設けられており、
前記略直線状のバーグラフは、前記回転数表示部(92)であり、運転者から見て車幅方向左下から車両前方へ斜めに延びる斜め表示部(103)と、この斜め表示部(103)から車幅方向右へ直線状に延びる水平表示部(104)とからなり、
前記燃費表示部(97)は、燃費瞬間値を表示し、前記水平表示部(104)に車幅方向右側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項3】
前記燃費表示部(97)は、前記水平表示部(104)の延長線上に、前記水平表示部(104)に隣接して設けられていることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項4】
前記液晶表示部(90)の車幅方向略中央に、前記車速表示部(94)が配置され、この車速表示部(94)の車幅方向左方に前記斜め表示部(103)が配置され前記車速表示部(94)の上方に前記水平表示部(104)が配置されるようにして、前記車速表示部(94)に沿って前記回転数表示部(92)が配置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項5】
前記液晶表示部(90)に、さらに平均燃費を表示することが可能な各種表示部(102)が含まれており、この各種表示部(102)は、前記燃費表示部(97)の下方で且つ前記車速表示部(94)の車幅方向右に配置され、前記メータケース(87)に設けられている選択スイッチ(101)の操作により、平均燃費を表示することを特徴とする請求項4項記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項6】
前記液晶表示部(90)の車幅方向略中央に、前記車速表示部(94)が配置され、この車速表示部(94)の車幅方向左方に前記斜め表示部(103)が配置され前記車速表示部(94)の上方に前記水平表示部(104)が配置され、この水平表示部(104)の車幅方向右方に前記燃費表示部(97)が配置され、前記車速表示部(94)の車幅方向右方に前記各種表示部(102)が配置されるようにして、前記車速表示部(94)に沿って前記回転数表示部(92)と前記燃費表示部(97)と前記各種表示部(102)がこの順で配置されていることを特徴とする請求項4項記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項7】
前記各種インジケータ(110)の一つは、シフトギヤが中立位置にあるときにシフトドラム(161)の位置をニュートラルスイッチ(73)で検知して点灯されるニュートラルインジケータ(116)であり、このニュートラルインジケータ(116)は前記液晶表示部(90)の車幅方向右方にて前記メータケース(87)に設けられていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項8】
前記ニュートラルスイッチ(73)は、電源から1本のハーネス(196B)で給電され、エンジンケース(61)にアース(203)を取るオンオフスイッチであり、
前記アース(203)は、前記シフトドラム(161)に設けられているアース用接点(181)を通じて取られていることを特徴とする請求項7記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項9】
前記ニュートラルスイッチ(73)は、電源から1本のハーネス(196B)で給電され、エンジンケース(61)にアース(203)を取るオンオフスイッチであり、
前記アース(203)は、前記シフトドラム(161)と前記エンジンケース(61)との間に設けられる金属ワッシャ(213)を通じて取られていることを特徴とする請求項7項記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項10】
前記ニュートラルインジケータ(116)は、発光ダイオードで点灯されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項11】
前記シフトドラム(161)は、エンジンケース(61)に臨む側に張り出す凸部(178)を有し、この凸部(178)に前記アース用接点(181)が設けられ、このアース用接点(181)は前記エンジンケース(61)と接触するように配置され、
前記ニュートラルスイッチ(73)は、前記凸部(178)の下方に前記シフトドラム(161)とオフセットして配置されていることを特徴とする請求項8又は請求項10記載の自動二輪車用メータ装置。
【請求項12】
前記シフトドラム(161)は、エンジンケース(61)に臨む側に張り出す凸部(178)を有し、この凸部(178)の根元に前記金属ワッシャ(213)が配置され、
前記ニュートラルスイッチ(73)は、前記凸部(178)と対向配置されていることを特徴とする請求項9又は請求項10記載の自動二輪車用メータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−13452(P2012−13452A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148008(P2010−148008)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】