説明

自動分析装置及びその停止位置設定方法

【課題】 分注プローブの停止位置を短時間で定めることができる自動分析装置及びその停止位置設定方法を提供する。
【解決手段】 位置設定部35は、各分注プローブの各停止位置の下方に中心面83を合わせて配置した治具80の上方に,第p及び第(p+1)ポイントの調整位置を設定し、各分注プローブを第p及び第(p+1)の調整位置に水平移動させた後に,各液面検出器18a,18b,18cにより検出される第p及び第(p+1)の検出位置まで下移動させて、第p及び第(p+1)ポイントの調整位置と第p及び第(p+1)の検出位置の間の距離に対応する第p及び第(p+1)の下移動距離データを生成し、生成した第p及び第(p+1)の下移動距離データに基づいて、第p及び第(p+1)の検出位置を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検試料の成分を分析する自動分析装置及び位置設定方法に係り、特に、ヒトの血清や尿などの体液を分注プローブを用いて一方の容器から他方の容器に分注して体液中に含まれる成分を分析する自動分析装置及びその停止位置設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置としては、被検体から採取された被検試料と試薬とを試料容器と試薬ボトルから反応容器に分注して混合した混合液の反応によって生ずる色調の変化を、光の透過量を測定することにより、被検試料中の様々な成分(項目)の濃度や活性を測定する装置が知られている。
【0003】
この自動分析装置では、被検試料毎に分析条件の設定により測定可能になった多数の項目の中から検査に応じて選択された測定項目の測定が行われる。そして、被検試料はサンプル分注プローブを使用して試料容器から反応容器に分注され、項目に該当する試薬は試薬分注プローブを使用して試薬ボトルから反応容器に分注され、反応容器に分注された被検試料及び試薬は撹拌子を使用して混合され、混合された混合液は測定され、更に被検試料及び試薬に接触したサンプル分注プローブ及び試薬分注プローブ、混合液に接触した反応容器及び撹拌子は洗浄された後に繰り返して測定に使用される。
【0004】
最近の自動分析装置においては、微量のサンプル及び試薬での測定が可能なように反応容器は小型化されている。また、微量化に応じて微量のサンプルの吸引が可能なように小型化された試料容器や試薬ボトルが使用されている。これら小型化によりサンプルや試薬を吸引するための試料容器や試薬ボトルの開口部、及びサンプルや試薬を吐出するための反応容器の開口部は狭くなっており、サンプル分注及び試薬分注の各分注プローブをサンプル吸引位置及び試薬吸引位置、サンプル吐出位置及び試薬吐出位置などの各停止位置がずれると、分注精度が低下して分析データに悪影響を与えることになる。
【0005】
各分注プローブは、分注プローブの加工のばらつきや取り付け部の公差などに起因する装着誤差を含んでいるので、装置の据付や点検で新たに分注プローブを装置に装着したままでは、必ずしも各停止位置に停止するとは限らない。従って各分注プローブの装着毎に、各分注プローブの位置を調整して各停止位置に定める必要がある。
【0006】
そこで、各分注プローブの移動軌道下に停止位置からの移動量が既知の突起を設け、基準位置からの水平方向の仮移動量を予め設定して、回転移動及び下降動作さらに調整量だけ仮移動量を増やしながら動作を繰り返し、衝突による異常下降検知で突起を検知した時の動作量に基づいて、各停止位置までの動作量を決定する方法が提案されている(例えば、特許参考文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−91522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の方法では最初に設定する仮移動量のマージンを多く取り突起から離れた位置で分注プローブを下降動作させ、分注プローブの動作毎に移動量を増やして突起を検知するまで下降位置を一方向に移動させることになるため、停止位置を決定するのに時間がかかる問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、分注プローブの停止位置を短時間で定めることができる自動分析装置及びその停止位置設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の自動分析装置は、サンプルと試薬とを容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、前記サンプル又は前記試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、前記分注プローブの前記サンプル又は前記試薬の吸引位置、吐出位置、及び前記分注プローブの洗浄位置の各停止位置を定める位置設定手段と、中心部に向かって下り勾配の傾斜面をなす上面を有し、前記停止位置の下方に前記中心部を合わせて配置された治具を、この治具と前記分注プローブとの接触により検出する検出手段とを備え、前記位置設定手段は、前記治具の上方に第p及び第(p+1)の調整位置(pは1以上の整数)を設定し、前記分注プローブ移動手段により前記分注プローブを前記第p及び第(p+1)の調整位置に水平移動させた後に、前記検出手段により検出される前記治具上面の第p及び第(p+1)の検出位置まで下移動させて、前記第p及び第(p+1)の調整位置と前記第p及び第(p+1)の検出位置の間の距離に対応する第p及び第(p+1)の移動距離データを生成し、生成した前記第p及び第(p+1)の移動距離データに基づいて、前記第p及び第(p+1)の検出位置を判断するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項10に係る本発明の自動分析装置の停止位置設定方法は、サンプルと試薬を容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置の停止位置設定方法において、前記サンプル又は前記試薬を吸引及び吐出する分注プローブの前記サンプル又は前記試薬の吸引位置、吐出位置、及び前記分注プローブの洗浄位置の各停止位置の下方に、中心部に向かって下り勾配の傾斜面をなす上面を有し、前記停止位置の下方に前記中心部を合わせて配置した治具の上方に第1の調整位置を設定する第1のステップと、前記分注プローブを前記第1の調整位置に水平移動させた後に、前記分注プローブと前記治具との接触により前記治具を検出手段により検出される第1の検出位置まで下移動させて、前記第1の調整位置と前記第1の検出位置の間の距離に対応する第1の移動距離データを生成する第2のステップと、前記第1の調整位置から所定距離離れた位置に第2の調整位置を設定する第3のステップと、前記分注プローブを前記第2の調整位置に水平移動させた後に、前記検出手段で検出される第2の検出位置まで下移動させて、前記第2の調整位置と前記第2の検出位置の間の距離に対応する第2の移動距離データを生成する第4のステップと、生成された前記第1及び第2の移動距離データに基づいて、前記第1及び第2の検出位置を判断する第5のステップとを有することを特徴とする。
【0011】
更に、請求項11に係る本発明の自動分析装置は、サンプルと試薬とを容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、前記サンプル又は前記試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、前記分注プローブの前記サンプル又は前記試薬の吸引位置、吐出位置、及び前記分注プローブの洗浄位置の各停止位置を定める位置設定手段と、中心部に向かって下り勾配の傾斜面をなし、前記中心部を含む鉛直断面の前記傾斜面に対応する線が前記中心部を頂点とする二次関数で表される上面を有し、前記停止位置の下方に前記中心部を合わせて配置された治具を、この治具と前記分注プローブとの接触により検出する検出手段とを備え、前記位置設定手段は、前記治具の上方に少なくとも第1乃至第3の調整位置を設定し、前記分注プローブ移動手段により前記分注プローブを予め設定された基準位置から前記第1乃至第3の調整位置に水平移動させた後に、前記検出手段により検出される前記治具上面の第1乃至第3の検出位置まで下移動させて、前記基準位置と前記第1乃至第3の調整位置の間の距離に対応する第1乃至第3の水平移動距離データ、及び前記第1乃至第3の調整位置と前記第1乃至第3の検出位置の間の距離に対応する第1乃至第3の移動距離データを生成し、更に生成した前記第1乃至第3の水平移動距離データ及び第1乃至第3の移動距離データに基づいて前記基準位置を原点とした前記二次関数に対応する頂点の座標を求め、求めた前記頂点の座標に対応する水平移動距離データを前記停止位置として定めるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、調整位置を停止位置近傍に設定し、調整位置に応じて基準位置から移動させた分注プローブの位置がずれていても停止位置方向に調整位置を再設定して停止位置を定めることにより、少ない調整位置の設定回数で停止位置を定めることができる。従って、停止位置の設定を短時間で行うことができるので、作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図20を参照して説明する。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図17を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、被検体から得られた被検試料やキャリブレータなどのサンプルの測定を行う分析部19と、分析部19の測定動作の制御を行う分析制御部30と、分析部19の各ユニットを測定動作させるための位置を定める位置設定部35と、各ユニットの測定動作により分析部19から出力されたキャリブレータ信号や分析信号を処理して分析データを算出する分析データ処理部40と、分析データ処理部40からのキャリブレーションテーブルや分析データを出力する出力部50と、分析条件、各種コマンド信号などを入力する操作部60と、分析制御部30、位置設定部35、分析データ処理部40、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
【0015】
分析部19は、項目毎のキャリブレータや被検試料などのサンプルを取り扱うサンプル部20と、サンプルと化学反応させるための試薬を取り扱う試薬部21と、サンプルと試薬との混合液を取り扱う反応部22とを備えている。
【0016】
分析制御部30は、分析部19のサンプル部20、試薬部21、及び反応部22を構成している各ユニットを駆動する各機構を備えた機構部31と、機構部31の各機構を制御する制御部32とを備えている。
【0017】
位置設定部35は、分析部19のサンプル部20及び試薬部21の各ユニットが測定動作して停止する停止位置を定めるために、調整位置を設定する調整位置設定部36と、調整位置設定部36から出力される各ユニットを調整位置に応じた位置に移動させるための調整情報や分析制御部30の制御部32から出力される各ユニットの移動情報に基づいて、調整位置に応じた位置に移動した各ユニットの位置データを生成する位置データ生成部37と、位置データ生成部37で生成された位置データが保存される位置データ記憶部38とを備えている。
【0018】
分析データ処理部40は、分析部19から出力されたキャリブレータ信号、分析信号などからキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出などを行う演算部41と、演算部41で作成されたキャリブレーションテーブルや算出された分析データなどを保存する記憶部42とを備えている。
【0019】
演算部41は、分析部19から出力された各項目のキャリブレータ信号から各項目のキャリブレーショテーブルを作成して出力部50に出力すると共に記憶部42に保存する。また、演算部41は、分析部19から出力された各項目の分析信号に対して、その分析信号の項目に対応したキャリブレーションテーブルを記憶部42から読み出した後、このキャリブレーションテーブルを用いて分析データを算出して出力部50に出力すると共に記憶部42に保存する。
【0020】
記憶部42は、ハードディスクなどを備え、演算部41から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを被検試料毎に保存する。
【0021】
出力部50は、分析データ処理部40から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、分析データ処理部40から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを予め設定されたフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。また、表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、分析データ処理部40から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどの表示や、システム制御部60からの指示により分析条件を設定するための画面などの表示を行う。
【0022】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力、被検体の被検試料毎の測定項目の選択、各項目のキャリブレーション操作、被検試料分析操作などの様々な操作が行われる。
【0023】
システム制御部70は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作部60から供給される操作者のコマンド信号、分析条件、被検体情報、被検試料毎の測定項目などの情報を記憶した後、これらの情報に基づいて、分析部19を構成する各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御、キャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出と出力に関する制御などシステム全体の制御を行う。
【0024】
次に、図2及び図3を参照して、分析部19、分析制御部30、及び位置設定部35の構成の詳細を説明する。
図2は、分析部19の構成の詳細を示した斜視図である。分析部19のサンプル部20は、キャリブレータ、被検試料などのサンプルが入った試料容器17と、この試料容器17を回動可能に保持するディスクサンプラ6と、ディスクサンプラ6の図示しないキャリブレータ吸引位置、被検試料吸引位置などのサンプル吸引位置の試料容器17からサンプルを吸引して、反応部22の図示しないサンプル吐出位置から吐出するサンプル分注プローブ16と、図示しないサンプル分注プローブ洗浄位置の下方に位置し、サンプル分注プローブ16を洗浄するプローブ洗浄槽16aとを備えている。
【0025】
また、サンプル部20は、サンプル吸引位置、サンプル吐出位置、及びサンプル分注プローブ洗浄位置の各停止位置へのサンプル分注プローブ16の水平移動と、各停止位置における上下移動とを可能に保持するサンプル分注アーム10と、試料容器17内のサンプルの液面を検出する液面検出器18aとを備えている。そして、液面検出器18aにより検出されたサンプルの検出信号は、分析制御部30の制御部32に出力される。
【0026】
なお、サンプルの液面は、例えば特公平8−33320号公報に報告されている原理を利用して検出される。液面検出器18aは、一端が導電性材料からなるサンプル分注プローブ16に電気的に接続されたブリッジ回路を備えている。そして、サンプル分注プローブ16とサンプルとの接触により、サンプルと接地電位間に生じる静電容量の変化を検出することによってサンプルの液面を検出している。
【0027】
試薬部21は、サンプルに対して選択的に反応する複数の第1試薬やこの第1試薬と対の複数の第2試薬が入った試薬ボトル7a,7bと、試薬ボトル7aを収納する試薬ラック1aと、試薬ボトル7aを収納した試薬ラック1aを回動可能に保持する試薬庫2と、試薬ボトル7bを収納した試薬ラック1bを回動可能に保持する試薬庫3と、試薬庫2,3の図示しない第1及び第2試薬吸引位置の試薬ボトル7a,7bから第1及び第2試薬を吸引して、反応部22の図示しない第1及び第2試薬吐出位置で吐出する第1及び第2試薬分注プローブ14,15とを備えている。
【0028】
また、試薬部21は、図示しない第1及び第2試薬分注プローブ洗浄位置の下方に位置し、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄するプローブ洗浄槽14a,15aと、第1及び第2試薬吸引位置、第1及び第2試薬吐出位置、及び第1及び第2試薬分注プローブ洗浄位置の各停止位置への第1及び第2試薬分注プローブ14,15の水平移動と、各停止位置における上下移動とを可能に保持する第1及び第2試薬分注アーム8,9とを備えている。
【0029】
更に、試薬部21は、試薬ボトル7a,7b内の第1及び第2試薬の液面を、サンプルと同様の原理で試薬の液面を検出する液面検出器18b,18cを備えている。そして、液面検出器18b,18cにより検出された第1及び第2試薬の検出信号は、制御部32に出力される。
【0030】
反応部22は、サンプル吐出位置のサンプル分注プローブ16から吐出されたサンプルと、第1試薬吐出位置の第1試薬分注プローブ14から吐出された第1試薬と、第2試薬吐出位置の第2試薬分注プローブ15から吐出された第2試薬とを受入れる反応容器4と、円周上に配置された複数の反応容器4を回転可能に保持する反応ディスク5と、反応部22の図示しない第1撹拌位置に停止した反応容器4内のサンプルと第1試薬との混合液を撹拌する撹拌子を上下移動可能に保持する撹拌ユニット11aと、反応部22の図示しない第2撹拌位置に停止した反応容器4内のサンプルと第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌する撹拌子を上下移動可能に保持する撹拌ユニット11bとを備えている。
【0031】
また、反応部22は、図示しない測光位置における撹拌後の混合液の入った反応容器4に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する測光ユニット13と、図示しない洗浄・乾燥位置に停止した反応容器4の測定を終えた混合液を吸引すると共に、反応容器4内を洗浄・乾燥する吸引ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを上下移動可能に保持する洗浄ユニット12とを備えている。
【0032】
そして、反応容器4は、混合液の測定終了毎に、洗浄ユニット12によりその内側が洗浄・乾燥され、再び測定に使用される。測光ユニット13は、吸光度測定により得た各項目のキャリブレータや被検試料のキャリブレータ信号や分析信号を分析データ処理部40に出力する。
【0033】
図3は、分析制御部30の構成の詳細を示した図である。分析制御部30の機構部31は、分析部19のサンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9を各回動及び上下移動する移動機構31s,31r1,31r2を備えている。
【0034】
また、機構部31は、分析部19のディスクサンプラ6、試薬庫2、及び試薬庫3を各回動する機構、反応ディスク5を回転する機構、撹拌ユニット11a、撹拌ユニット11b、及び洗浄ユニット12を各上下移動する機構、サンプル分注プローブ16を介してサンプルの吸引及び吐出を行うサンプル分注ポンプを駆動する機構、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を介して第1及び第2試薬の吸引及び吐出を行う試薬ポンプを各駆動する機構、各撹拌ユニット11a,11bの撹拌子を各駆動する機構、洗浄ユニット12の吸引ノズルを介して反応容器4内の混合液の吸引を行う吸引ポンプ、洗浄ユニット12の洗浄ノズルを介して反応容器4内の洗浄液による洗浄を行う洗浄ポンプを駆動する機構、洗浄ユニット12の乾燥ノズルを介して洗浄後の反応容器4内の乾燥を行う乾燥ポンプを駆動する機構など図示しない様々な機構を備えている。
【0035】
移動機構31sは、サンプル分注アーム10を回動する回動機構31srと、回動方向の基準位置を検出する検出器31saと、サンプル分注アーム10を上下移動する上下移動機構31suと、上下移動方向の基準位置である上停止点を検出する検出器31sbとを備えている。
【0036】
回動機構31srは、サンプル分注アーム10を回動駆動する動力源としてのモータ31srmを備えている。上下移動機構31suは、サンプル分注アーム10を上下駆動する動力源としてのモータ31sumを備えている。
【0037】
移動機構31r1,31r2は、第1及び第2試薬分注アーム8,9を回動する回動機構31r1r,31r2rと、回動方向の基準位置を検出する検出器31r1a,31r2aと、第1及び第2試薬分注アーム8,9を上下移動する上下移動機構31r1u,31r2uと、上下移動方向の基準位置である上死点を検出する検出器31r1b,31r2bとを備えている。
【0038】
回動機構31r1r,31r2rは、第1及び第2試薬分注アーム8,9を回動駆動する動力源としてのモータ31r1rm,31r2rmを備えている。上下移動機構31r1u,31r2uは、第1及び第2試薬分注アーム8,9を上下駆動する動力源としてのモータ31r1um,31r2umを備えている。
【0039】
各モータ31srm,31sum,31r1rm,31r1um,31r2rm,31r2umには、ステップモータが用いられ、制御部32から供給される駆動用のパルスにより制御される。サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2の試薬分注プローブ15の各分注プローブは、制御部32から供給される1パルスを最小の移動距離とし、パルスの数に応じた距離を水平移動及び上下移動する。
【0040】
各検出器31sa,31sb,31r1a,31r1b,31r2a,31r2bにより検出された各基準位置の信号は、制御部32に出力される。
【0041】
制御部32は、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9の各移動機構31s,31r1,31r2を制御する各制御部32s,32r1,32r2や、ディスクサンプラ6、試薬庫2、試薬庫3、反応ディスク5、撹拌ユニット11a,11b、洗浄ユニット12、サンプル分注ポンプ、試薬ポンプ、吸引ポンプ、洗浄ポンプ、乾燥ポンプなどの各機構を制御する図示しない制御部を備えている。
【0042】
制御部32sは、各モータ31srm,31sumに各所定数のパルスを供給することにより、回動機構31sr及び上下移動機構31suを駆動してサンプル分注アーム10を回動及び上下移動させる。この回動及び上下移動により、サンプル分注プローブ16を水平移動及び上下移動させて各停止位置や各サンプル液面検出位置などに移動させる。
【0043】
制御部32r1,32r2は、各モータ31r1rm,31r1um,31r2rm,31r2umに各所定数のパルスを供給することにより、回動機構31r1r,31r2r及び上下移動機構31r1u,31r2uを駆動させて第1及び第2試薬分注アーム8,9を回動及び上下移動させる。この回動及び上下移動により、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を水平移動及び上下移動させて各停止位置や第1及び第2試薬の検出位置などに移動させる。
【0044】
また、各制御部32s,32r1,32r2は、位置設定部35の調整位置設定部36からの調整情報に基づいて、各分注プローブを調整位置設定部36により設定された各調整位置に水平移動させた後に、その調整位置から分析部19の各液面検出器18a,18b,18cにより検出される検出位置まで下移動させる。そして、調整位置から検出位置まで下移動させるために、各モータ31sum,31r1um,31r2umに供給した各下降パルスの情報を位置設定部35の位置データ生成部37に出力する。
【0045】
位置設定部35は、分析部19の各分注プローブにおける各停止位置の設定や、一旦設定した各停止位置を校正するために設けられている。
【0046】
調整位置設定部36は、分析部19の各分注プローブの各停止位置を定めるために、各調整位置を設定し、各分注プローブをその調整位置に応じた位置に移動させるための各調整情報を分析制御部30の制御部32の各制御部32s,32r1,32r2及び位置データ生成部37に出力する。
【0047】
位置データ生成部37は、調整位置設定部36から出力される各調整情報及び各制御部32s,32r1,32r232から出力される各下降パルスの情報に基づいて、分析制御部30の機構部31の各検出器31sa,31r1a,31r2aにより検出される基準位置と各調整位置の間の距離に対応する水平移動パルスを水平移動距離データとし、各調整位置と分析部19の各液面検出器18a,18b,18cで検出される検出位置の間の距離に対応する下降パルスを下移動距離データとして、各水平移動距離データと下移動距離データとにより構成される各検出位置の位置データを生成して位置データ記憶部38に保存する。
【0048】
調整位置設定部36は、位置データ記憶部38に保存された各検出位置の位置データの内の最新及び前回の位置データを読み出して、読み出した最新及び前回の位置データの下移動距離データを比較する。そして、最新及び前回の位置データの下移動距離データが異なる場合、最新及び前回の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に微調整距離又は粗調整距離離れた位置に新たに調整位置を設定する。
【0049】
次に、図2乃至図5を参照して、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15の各停止位置への移動動作を説明する。
【0050】
図4は、分析部19のサンプル部20と反応部22の構成の一部を上から見た図である。分析制御部30の制御部32における制御部32sは、システム制御部70からのキャリブレータ又は被検試料の測定指示や、システム制御部70からのサンプル分注プローブ16の位置設定指示により位置設定部35から出力されるサンプル分注プローブ16の調整情報に基づいて、分析制御部30の機構部31における移動機構31sの回動機構31srを制御して、サンプル分注プローブ16を図4の破線で示した円移動軌跡に沿って矢印R1及びR2方向に水平移動させる。
【0051】
サンプル分注プローブ16の測定時に停止する円移動軌跡上の停止位置には、移動機構31sの検出器31saによって検出されるサンプル分注プローブ16の基準位置90からR1方向に円移動軌跡上の距離Ds1離れた位置にあるサンプル吐出位置A、基準位置90からR2方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にある被検試料吸引位置B、被検試料吸引位置Bから更にR2方向に所定距離離れた位置にあるキャリブレータ吸引位置C、及びサンプル吐出位置Aと被検試料吸引位置Bとの間にあって基準位置90からR2方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にあるサンプル分注プローブ洗浄位置Dがある。
【0052】
また、サンプル分注プローブ16は、サンプル吐出位置A、被検試料吸引位置B及びキャリブレータ吸引位置C、及びサンプル分注プローブ洗浄位置Dの各下方に配置された反応容器4内、試料容器17内、プローブ洗浄槽16a内との間を上下移動する。
【0053】
なお、基準位置90は、サンプル分注プローブ16の加工のばらつきやサンプル分注アーム10の取り付け部の公差など装着の誤差要因が含まれないと仮定したときの位置であって、新たにサンプル分注プローブ16を装着する毎に装着誤差要因の範囲で変動する。
【0054】
そして、測定時に実行される1サイクル毎のサンプル分注動作で、サンプル分注プローブ16は、例えばサンプル分注プローブ洗浄位置DからR2方向に水平移動しての被検試料吸引位置B又はキャリブレータ吸引位置Cで水平方向の移動を停止した後に、試料容器17内の被検試料又はキャリブレータの液面検出位置まで下移動する。被検試料又はキャリブレータを吸引した後に、上停止点まで移動する。その後、R1方向に水平移動してのサンプル吐出位置Aで水平方向の移動を停止した後に、反応容器4のサンプル吐出高さまで下移動する。サンプル吐出高さで被検試料又はキャリブレータを反応容器4に吐出した後に、上停止点まで移動する。その後、R2方向のサンプル分注プローブ洗浄位置Dまで水平移動する。そして、同一被検試料又はキャリブレータの分注動作終了毎に、プローブ洗浄槽16aに下移動して洗浄される。
【0055】
図5は、分析部19の試薬部21と反応部22の一部を上から見た図である。制御部32の制御部32r2は、システム制御部70からのキャリブレータ又は被検試料の測定指示や、システム制御部70からの第2試薬分注プローブ15の位置設定指示により位置設定部35から出力される第2試薬分注プローブ15の調整情報に基づいて、機構部31の移動機構31r2の回動機構31r2rを制御して、図5の破線で示した円移動軌跡に沿って矢印R1及びR2方向に第2試薬分注プローブ15を水平移動させる。
【0056】
第2試薬分注プローブ15の測定時に停止する円移動軌跡上の停止位置には、移動機構31r2の検出器31r2aによって検出される第2試薬分注プローブ15の基準位置92からR2方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にある第2試薬吐出位置E、基準位置92からR1方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にある第2試薬吸引位置F、及び第2試薬吐出位置Eと第2試薬吸引位置Fの間にあって基準位置90からR1方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にある第2試薬分注プローブ洗浄位置Gがある。
【0057】
また、第2試薬分注プローブ15は、第2試薬吐出位置E、第2試薬吸引位置F、及び第2試薬分注プローブ洗浄位置Gの下方に配置された反応容器4内、試薬ボトル7b内、プローブ洗浄槽15a内との間を上下移動する。
【0058】
なお、基準位置92は、第2試薬分注プローブ15の加工のばらつきや第2試薬分注アーム9の取り付け部の公差など装着の誤差要因が含まれないと仮定したときの位置であって、新たに第2試薬分注プローブ15を装着する毎に装着誤差要因の範囲で変動する。
【0059】
そして、測定時に実行される1サイクル毎の第2試薬分注動作で、第2試薬分注プローブ15は、例えば第2試薬分注プローブ洗浄位置GからR1方向に水平移動して第2試薬吸引位置Fで水平方向の移動を停止した後に、試薬ボトル7b内の第2試薬の液面検出位置まで下移動する。第2試薬を吸引した後に、上停止点まで移動する。その後、R2方向に水平移動して第2試薬吐出位置Eで水平方向の移動を停止した後に、反応容器4に第2試薬を吐出する。第2試薬を反応容器4に吐出した後に、R1方向の第2試薬分注プローブ洗浄位置Gまで水平移動する。そして、プール洗浄槽15aに下移動して洗浄される。
【0060】
なお、第1試薬分注プローブ14は、第2試薬分注プローブ15と同様に水平移動して各停止位置で水平方向の移動を停止した後に各停止位置で上下移動し、また第1試薬分注動作では、第2試薬分注動作と同様のシーケンスで動作するので説明を省略する。
【0061】
次に、図6を参照して、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15の各分注プローブの各停止位置を定めるために使用される位置設定の治具を、サンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aを定める場合を例に説明する。
【0062】
図6(b)に示した治具80の上面は、この上面の中央部に形成された円形の凹部81と、中央部の外周部に形成された上面の中心部に向かって下り勾配の傾斜面82aと、凹部81の底面に形成された底面の中心部に向かって下り勾配の傾斜面82bと、この傾斜面82bの中心部に形成された円形の中心面83とにより構成される。
【0063】
図6(a)は、治具80の中心面83を含む鉛直方向の断面を示した図である。治具80の上面の傾斜面82aよりも低い凹部81の底面に傾斜面82bが形成され、この傾斜面82bの最も低い位置に水平な中心面83が形成されている。
【0064】
治具80は、サンプル吐出位置Aにおける反応容器4上面中央部の上方に治具80の中心面83が位置されるように取り付けられる。以下の説明では、配置された治具80の中心面83から図6に示した矢印R1方向の側を左側と呼び、矢印R2方向の側を右側と呼ぶことにする。
【0065】
サンプル吐出位置Aに配置された治具80上面の上方を各分注プローブが水平移動して通過するのに要する距離を、治具80上面の幅と見なして各分注プローブ装着の誤差範囲よりも大きいΦ1とし、傾斜面82b上を各分注プローブが水平移動して通過するのに要する距離を傾斜面82bの幅と見なしてΦ2とし、中心面83上を各分注プローブが水平移動して通過するのに要する距離を中心面83の幅と見なしてΦ3とする。この距離Φ3は、各停止位置を定める時の許容誤差に当たる。また、凹部81の側面の高さhとする。
【0066】
治具80は、金属材などの導電性材料で製作されている。サンプル分注プローブ16が治具80上方から下移動して治具80の上面と接触した時に、液面検出器18aで治具80を検出して分析制御部30の制御部32sに出力し、制御部32sは液面検出器18aからの治具の検出信号を受信した時点で、サンプル分注プローブ16の下移動動作を停止させる。
【0067】
なお、サンプル吸引位置の試料容器17を保持するディスクサンプラ6上やプローブ洗浄槽16aの上に治具80を配置することにより、サンプル吸引位置やサンプル分注プローブ洗浄位置Dの設定に使用することができる。
【0068】
また、第1試薬吐出位置の反応容器4、第1試薬吸引位置の試薬ボトル7a又は試薬ボトル7aが保持される試薬庫2、及び第1試薬分注プローブ洗浄位置のプローブ洗浄槽14a上に治具80を配置することにより、第1試薬分注プローブ14の第1試薬吐出位置、第1試薬吸引位置、及び第1試薬分注プローブ洗浄位置の設定に使用することができる。
【0069】
更に、第2試薬吐出位置Eの反応容器4、第2試薬吸引位置Fの試薬ボトル7b又は試薬ボトル7bが保持される試薬庫3、及び第2試薬分注プローブ洗浄位置Gのプローブ洗浄槽15a上に治具80を配置することにより、第2試薬分注プローブ15の第2試薬吐出位置E、第2試薬吸引位置F、及び第2試薬分注プローブ洗浄位置Gの設定に使用することができる。
【0070】
次に、図1乃至図17を参照して、各分注プローブの各停止位置を定める動作を説明する。
【0071】
サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15の各分注プローブの各停止位置は予め設定されており、各停止位置における位置データは、分析制御部30の各制御部32s,32r1,32r2内部の記憶回路に登録されている。
【0072】
各分注プローブの各停止位置を定めるための動作はすべて同じであるので、以下ではサンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aを定める場合の例を説明する。
【0073】
図7乃至図9は、サンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aを定める動作を示したフローチャートである。図7及び図8のフローチャートでは、サンプル分注プローブ16を治具80の上面に移動させて、液面検出器18aで検出された検出位置が治具80の凹部81内外のいずれかを判断し、更に検出位置が凹部81の外側の傾斜面82aである場合には凹部81内の傾斜面82bを検出するまでの動作を示している。また、図9のフローチャートでは、治具80の凹部81内の検出位置から中心面83を検出するまでの動作を示している。
【0074】
図7では、検出位置が治具80の凹部81の左側の傾斜面82a又は凹部81内の左側の傾斜面82bである場合に、凹部81内の左側又は右側の傾斜面82bを検出するまでの動作の一例を示したフローチャートである。
【0075】
自動分析装置100の作業者による例えば据付や点検の時に、分析部19の反応部22のサンプル吐出位置Aの反応容器4上に治具80が配置されている。そして、新しいサンプル分注プローブ16がサンプル分注アーム10に装着され、図4に示した円移動軌跡上を水平移動可能なように予め調整される。
【0076】
そして、操作部60からサンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aを定める操作が行われると、自動分析装置100は、サンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置設定動作を開始する(ステップS1)。
【0077】
システム制御部70は、位置設定部35にサンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aの設定を指示する。位置設定部35の調整位置設定部36は、分析制御部30の制御部32に指示して図6(a)に示した基準位置90aにサンプル分注プローブ16を水平移動させる(ステップS2)。
【0078】
この基準位置90aは、分析制御部30の移動機構31sの検出器31saにより検出され、基準位置90に対してサンプル分注プローブ16の装着誤差が含まれている可能性がある位置である。この装着誤差は、装着の誤差範囲内で装着毎に基準位置90からR1方向及びR2方向に変動する。また、装着したときに装着誤差が生じないで基準位置90に設定されることもある。
【0079】
次いで、調整位置設定部36は、サンプル吐出位置Aへの移動を目指して、サンプル分注プローブ16を基準位置90aからR1方向にDs1の距離にある第1ポイントRの調整位置に設定するための第1の調整情報を、制御部32s及び位置データ生成部37に出力する。
【0080】
制御部32sは、調整位置設定部36からの第1の調整情報に基づいて、基準位置90aから第1ポイントRの調整位置まで水平移動させるために機構部31の回動機構31srのモータ31srmに第1の調整情報である第1の水平移動パルスを供給して、サンプル分注プローブ16を第1ポイントRの調整位置に水平移動させた後に、第1ポイントRの調整位置から分析部19の液面検出器18aによって検出される治具80上面の第1の検出位置まで下移動させる(ステップS3)。
【0081】
なお、基準位置90aからDs1距離だけ水平移動した後のサンプル分注プローブ16は、装着の誤差範囲よりも大きい治具80の上方に位置している。
【0082】
そして、制御部32sは、サンプル分注プローブ16を第1ポイントRの調整位置から第1の検出位置まで下移動させるために機構部31の上下移動機構31suのモータ31sumに供給した下降パルスの情報を位置設定部35の位置データ生成部37に出力する。その後、サンプル分注プローブ16を第1の検出位置から上停止点まで移動させる。
【0083】
位置データ生成部37は、調整位置設定部36から出力された第1の調整情報及び制御部32sから出力された下降パルスの情報に基づいて、基準位置90aと第1ポイントRの調整位置の間の距離に対応する第1の水平移動パルスを第1の水平移動距離データとし、第1ポイントRの調整位置と第1の検出位置の間の距離に対応する下降パルスを第1の下移動距離データとした第1の検出位置の位置データを生成して位置データ記憶部38に保存する(ステップS4)。
【0084】
調整位置設定部36は、サンプル吐出位置Aを目指した第1の検出位置が治具80の中心面83であるか否かを判断するために、第1ポイントRの調整位置をR2方向に微調整してサンプル分注プローブ16を第2ポイントRの調整位置に設定するための第2の調整情報を制御部32s及び位置データ生成部37に出力する。
【0085】
制御部32sは、調整位置設定部36からの第2の調整情報に基づいて、モータ31srmにR2方向への微調整パルスを供給して、サンプル分注プローブ16を第1ポイントRの調整位置から微調整距離(Φ3)離れた位置、即ち基準位置90aからR1方向に(Ds1−Φ3)の距離にある第2ポイントRの調整位置に水平移動させた後に、第2ポイントRの調整位置から液面検出器18aによって検出される治具80上面の第2の検出位置まで下移動させる(ステップS5)。
【0086】
なお、モータ31srmに供給する微調整パルスを、サンプル分注プローブ16の水平移動可能な最小の距離に対応する1パルスに設定し、より細かく調整位置を設定するようにしてもよい。
【0087】
そして、制御部32sは、サンプル分注プローブ16を第2ポイントRの調整位置から第2の検出位置に下移動させるためにモータ31sumに供給した下降パルスの情報を位置データ生成部37に出力する。その後、サンプル分注プローブ16を第2の検出位置から上停止点まで移動させる。
【0088】
位置データ生成部37は、調整位置設定部36から出力された第2の調整情報及び制御部32sから出力された下降パルスの情報に基づいて、第1の水平移動パルスから微調整パルスを差し引いた第2の水平移動パルスを算出した後に、基準位置90aと第1ポイントRの調整位置の間の距離に対応する第2の水平移動パルスを第2の水平移動距離データとし、第2ポイントRの調整位置と第2の検出位置の間の距離に対応する下降パルスを第2の下移動距離データとした第2の検出位置の位置データを生成して位置データ記憶部38に保存する(ステップS6)。
【0089】
調整位置設定部36は、位置データ記憶部38から第1及び第2の検出位置の位置データを読み出した後に、第1及び第2の検出位置の位置データの第1の下移動距離データと第2の下移動距離データを比較する。そして、第1及び第2の検出位置が、図11(a)に示した治具80の左側の傾斜面82a、又は左側の傾斜面82a及び傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b及び中心面83、又は中心面83、又は中心面83及び右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b及び傾斜面82a、又は右側の傾斜面82aのいずれの位置であるかを判断する。
【0090】
そして、第2の下移動距離データ(DR2)が第1の下移動距離データ(DR1)よりも大きい場合(ステップS7のはい)、図10(a)に示すように、第1及び第2の検出位置を左側の傾斜面82a、又は左側の傾斜面82a及び傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b及び中心面83であると判断してステップS8に移行する。
【0091】
また、第2の下移動距離データが第1の下移動距離データと同じであるか又は第1の下移動距離データよりも小さい場合(ステップS7のいいえ)、第1及び第2の検出位置を、図12(b)に示した中心面83、又は図12(c)に示すように、中心面83及び右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b及び傾斜面82a、又は右側の傾斜面82aと判断して図8のステップS21に移行する。
【0092】
次いで、第2の下移動距離データと第1の下移動距離データとの差と、治具80の凹部81における側面の高さhとを比較する。そして、第2の下移動距離データから第1の下移動距離データを差し引いた差のデータが側面の高さhよりも大きいか又はhと同じである場合(ステップS8のはい)、図10(b)に示すように、第1及び第2の検出位置を左側の傾斜面82a及び傾斜面82bであると判断して図9のステップS31に移行する。
【0093】
また、第2の下移動距離データから第1の下移動距離データを差し引いた差のデータが側面の高さhよりも小さい場合(ステップS8のいいえ)、第1及び第2の検出位置を左側の傾斜面82a、又は左側の傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b及び中心面83と判断してステップS9に移行する。
【0094】
調整位置設定部36は、治具80の左側の傾斜面82b又は中心面83への移動を目指して、第(m+1)ポイントRの調整位置(m=1)からR2方向に粗調整して、サンプル分注プローブ16を第(m+2)ポイントRの調整位置に設定するための第(m+2)の調整情報を、制御部32s及び位置データ生成部37に出力する。
【0095】
なお、第(m+2)ポイントRの調整位置は、モータ31srmに粗調整パルスを供給させることにより、微調整距離よりも大きくサンプル分注プローブ16が水平に円移動して治具80の凹部81上を通過するのに要する距離(即ち、凹部81の直径に近似した距離)の半分か又は半分よりも短い距離に相当する粗調整距離Φ4だけ水平移動させた位置であって、基準位置90aからR1方向にほぼ(Ds1−Φ3―m×Φ4)の距離にある。粗調整距離を、サンプル分注プローブ16が水平に円移動して治具80の凹部81上を通過するのに要する距離と同じか又はその距離の半分よりも長い距離としてもよい。
【0096】
制御部32sは、調整位置設定部36から出力された第(m+2)の調整情報に基づいて、モータ31srmにR2方向への粗調整パルスを供給してサンプル分注プローブ16を基準位置90aから第(m+2)ポイントRの調整位置に水平移動させた後に、第(m+2)ポイントRの調整位置から治具80上面の第(m+2)の検出位置まで下移動させる(ステップS9)。
【0097】
そして、制御部32sは、サンプル分注プローブ16を第(m+2)ポイントRの調整位置から第(m+2)の検出位置に下移動させるためにモータ31sumに供給した下降パルスの情報を、位置設定部35の位置データ生成部37に出力する。そして、サンプル分注プローブ16を第(m+2)の検出位置から上停止点まで移動させる。
【0098】
位置データ生成部37は、調整位置設定部36から出力された第(m+2)の調整情報及び制御部32sから出力された下降パルスの情報に基づいて、第(m+1)の水平移動パルスから粗調整パルスを差し引いた第(m+2)の水平移動パルスを算出した後に、基準位置90aと第(m+2)ポイントRの調整位置の間の距離に対応する第(m+2)の水平移動パルスを第(m+2)の水平移動距離データとし、第(m+2)ポイントRの調整位置と第(m+2)の検出位置との間の距離に対応する下降パルスを第(m+2)の下移動距離データとした第(m+2)の検出位置の位置データを生成して位置データ記憶部38に保存する(ステップS10)。
【0099】
調整位置設定部36は、位置データ記憶部38から最新の調整位置から生成された第(m+2)の位置データと前回の第(m+1)の位置データとを読み出した後に、第(m+2)の位置データの第(m+2)の下移動距離データと第(m+1)の位置データの第(m+1)の下移動距離データとを比較する。
【0100】
そして、第(m+2)の下移動距離データ{DR(m+2)}が第(m+1)の下移動距離データ{DR(m+1)}よりも大きい場合(ステップS11のはい)、第(m+1)及び第(m+2)の検出位置を、図12(a)に示した左側の傾斜面82a、又は左側の傾斜面82a及び傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b及び中心面83、又は図17(a)に示した左側及び右側の傾斜面82bであると判断してステップS12に移行する。
【0101】
また、第(m+2)の下移動距離データが第(m+1)の下移動距離データと同じであるか又は第(m+1)の下移動距離データよりも小さい場合(ステップS11のいいえ)、第(m+1)及び第(m+2)の検出位置を、図17(b)に示した左側及び右側の傾斜面82b、又は中心面83及び右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b、即ち第(m+2)の検出位置を右側の傾斜面82bであると判断して図9のステップS41に移行する。
【0102】
そして、第(m+2)の下移動距離データから第(m+1)の下移動距離データを差し引いた差のデータが側面の高さhよりも大きいか又はhと同じである場合(ステップS12のはい)、図11(b)に示すように、第(m+1)及び第(m+2)の検出位置を左側の傾斜面82a及び傾斜面82bであると判断して図9のステップS31に移行する。
【0103】
また、第(m+2)の下移動距離データから第(m+1)の下移動距離データを差し引いた差のデータが側面の高さhよりも小さい場合(ステップS12のいいえ)、第(m+1)及び第(m+2)の検出位置を左側の傾斜面82a、又は左側の傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b及び中心面83、又は左側及び右側の傾斜面82bであると判断してステップS9に戻る。
【0104】
このように、第m及び第(m+1)の下移動距離データが異なる場合、第m及び第(m+1)の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に次の調整位置を設定することにより、サンプル分注プローブ16を治具80の中心面83の方向に設定することができる。
【0105】
また、第m及び第(m+1)の検出位置が治具80の左側の傾斜面82a、又は傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b及び中心面83にある場合、R2方向に粗調整して第(m+2)ポイントの調整位置を設定することにより、微調整して設定するよりも少ない調整位置の設定回数で凹部81内の傾斜面82bを判断することができる。
【0106】
図8は、検出位置が治具80の凹部81の右側の傾斜面82a又は凹部81内の右側の傾斜面82bである場合に、凹部81内の右側又は左側の傾斜面82bを検出するまでの動作の一例を示したフローチャートである。
【0107】
図7におけるステップS7の「いいえ」で第1及び第2の検出位置を中心面83、又は中心面83及び右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b及び傾斜面82a、又は傾斜面82aであると判断した後に、第2の下移動距離データ(DR2)と第1の下移動距離データ(DR1)が同じである場合(ステップS21のはい)、調整位置設定部36は、図12(b)に示すように、第1及び第2の検出位置を治具80の中心面83であると判断し、図9のステップS51に移行する。
【0108】
このように、サンプル分注プローブ16の装着誤差が許容誤差範囲内である場合には、2つの調整位置を設定するだけで治具80の中心面83を検出することができる。
【0109】
また、第2の下移動距離データが第1の下移動距離データよりも小さい場合(ステップS21のいいえ)、図12(c)に示すように、第1及び第2の検出位置を中心面83及び右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b及び傾斜面82a、又は右側の傾斜面82aであると判断してステップS22に移行する。
【0110】
次いで、第1の下移動距離データから第2の下移動距離データを差し引いた差のデータと、治具80の凹部81における側面の高さhとを比較する。そして、第1の下移動距離データから第2の下移動距離データを差し引いた差のデータが側面の高さhよりも大きいか又はhと同じである場合(ステップS22のはい)、図13(a)に示すように、第1及び第2の検出位置を右側の傾斜面82b及び傾斜面82aであると判断して図9のステップS41に移行する。
【0111】
また、第1の下移動距離データから第2の下移動距離データを差し引いた差のデータが側面の高さhよりも小さい場合(ステップS22のいいえ)、第1及び第2の検出位置を第1及び第2の検出位置を中心面83及び右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82aであると判断してステップS23に移行する。
【0112】
図8の以下の説明においては、ステップS22の「いいえ」の後の第2ポイントRの調整位置、第2の検出位置、及び第2の位置データを夫々第(n+1)ポイントLの調整位置(n=1)、第(n+1)の検出位置、及び第(n+1)の位置データに置き換えて説明する。
【0113】
調整位置設定部36は、第(n+1)ポイントLの調整位置を粗調整して、右側の傾斜面82b又は中心面83の近傍への移動を目指して、サンプル分注プローブ16を第(n+2)ポイントLの調整位置のR1方向に設定するための第(n+2)の調整情報を制御部32s及び位置データ生成部37に出力する。
【0114】
制御部32sは、調整位置設定部36から出力された第(n+2)の調整情報に基づいて、モータ31srmにR1方向への粗調整パルスを供給してサンプル分注プローブ16を基準位置90aからR1方向に(Ds1―Φ3+n×Φ4)の距離にある第(n+2)ポイントLの調整位置に水平移動させた後に、第(n+2)ポイントLの調整位置から治具80上面の第(n+2)の検出位置まで下移動させる(ステップS23)。
【0115】
そして、制御部32sは、サンプル分注プローブ16を第(n+1)ポイントLの調整位置から第(n+2)Lの検出位置に下移動させるためにモータ31sumに供給した下降パルスの情報を、位置設定部35の位置データ生成部37に出力する。その後、サンプル分注プローブ16を第(n+2)の検出位置から上停止点まで移動させる。
【0116】
位置データ生成部37は、調整位置設定部36から出力された第(n+2)の調整情報及び制御部32sから出力された下降パルスの情報に基づいて、第(n+1)の水平移動パルスから粗調整パルスを加算した第(n+2)の水平移動パルスを算出した後に、基準位置90aと第(n+2)ポイントLの調整位置の間の距離に対応する第(n+2)の水平移動パルスを第(n+2)の水平移動距離データとし、第(n+2)ポイントLの調整位置と第(n+2)の検出位置の間の距離に対応する下降パルスを第(n+2)の下移動距離データとした第(n+2)の検出位置の位置データを生成して位置データ記憶部38に保存する(ステップS24)。
【0117】
調整位置設定部36は、位置データ記憶部38から最新の調整位置から生成された第(n+2)の位置データと第(n+1)の位置データとを読み出した後に、第(n+2)の下移動距離データと第(n+1)の下移動距離データとの差のデータと、治具80の凹部81における側面の高さhとを比較する。
【0118】
そして、第(n+2)の下移動距離データ{DL(n+2)}が第(n+1)の下移動距離データ{DL(n+1)}よりも大きい場合(ステップS25のはい)、第(n+1)及び第(n+2)の検出位置を図17(b)に示した左側及び右側の傾斜面82b、又は中心面83及び右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82b及び傾斜面82a、又は図14(b)に示した右側の傾斜面82aであると判断してステップS26に移動する。
【0119】
また、第(n+2)の下移動距離データが第(n+1)の下移動距離データと同じであるか又は第(n+1)の下移動距離データよりも小さい場合(ステップS25のいいえ)、第(n+1)及び第(n+2)の検出位置を左側の傾斜面82b及び中心面83、又は図17(a)に示した左側及び右側の傾斜面82b、即ち第(n+2)の検出位置を左側の傾斜面82bであると判断して図9のステップS31に移行する。
【0120】
そして、第(n+2)の下移動距離データから第(n+1)の下移動距離データを差し引いた差のデータが側面の高さhよりも大きいか又はhと同じである場合(ステップS26のはい)、図14(a)に示すように、第(n+1)及び第(n+2)の検出位置を右側の傾斜面82a及び傾斜面82bであると判断して図9のステップS41に移行する。
【0121】
また、第(n+2)の下移動距離データから第(n+1)の下移動距離データを差し引いた差のデータが側面の高さhよりも小さい場合(ステップS26のいいえ)、第(n+1)及び(n+2)の検出位置を左側及び右側の傾斜面82b、又は中心面83及び右側の傾斜面82b、又は右側の傾斜面82aであると判断してステップS23に戻る。
【0122】
このように、第n及び第(n+1)の下移動距離データが異なる場合、第n及び第(n+1)の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に次の調整位置を設定することにより、第(n+2)ポイントの調整位置をサンプル分注プローブ16を治具80の中心面83の方向に設定することができる。
【0123】
また、第n及び第(n+1)の検出位置が中心面83、又は中心面83及び右側の傾斜面82b、又は傾斜面82b、又は右側の傾斜面82aにある場合、R1方向に粗調整して第(n+2)ポイントの調整位置を設定することにより、微調整して設定するよりも少ない調整位置の設定回数で凹部81内の傾斜面82bを判断することができる。
【0124】
図9は、調整位置を治具80の凹部81内に設定した後に、凹部81内の中心面83を検出するまでの動作の一例を示したフローチャートである。
【0125】
まず、図7のステップS8又はステップS11の「はい」、又は図8のステップS26の「いいえ」の後に動作するステップS31乃至S33を説明する。以下ではステップS8の「はい」の後に動作する例を説明する。そして、ステップS8における第2ポイントRの調整位置、第2の検出位置、及び第2の位置データを夫々第(j+1)ポイントRの調整位置(j=1)、第(j+1)の検出位置、及び第(j+1)の位置データに置き換えて説明する。
【0126】
調整位置設定部36は、第(j+1)ポイントRの調整位置を微調整して、治具80の中心面83への移動を目指して、サンプル分注プローブ16を第(j+1)ポイントRの調整位置のR2方向に設定するための第(j+2)の調整情報を制御部32s及び位置データ生成部37に出力する。
【0127】
制御部32sは、調整位置設定部36から出力された第(j+2)の調整情報に基づいて、モータ31srmにR2方向への微調整パルスを供給してサンプル分注プローブ16を基準位置90aからR1方向に{Ds1―(j+1)×Φ3}の距離にある第(j+2)ポイントRの調整位置に水平移動させた後に、第(j+2)ポイントRの調整位置から治具80上面の第(j+2)の検出位置まで下移動させる(ステップS31)。
【0128】
そして、制御部32sは、サンプル分注プローブ16を第(j+2)ポイントRの調整位置から第(j+2)の検出位置に下移動させるためにモータ31sumに供給した下降パルスの情報を、位置設定部35の位置データ生成部37に出力する。その後、サンプル分注プローブ16を第(j+2)の検出位置から上停止点まで移動させる。
【0129】
位置データ生成部37は、調整位置設定部36から出力された第(j+2)の調整情報及び制御部32sから出力された下降パルスの情報に基づいて、第(j+1)の水平移動パルスから微調整パルスを差し引いた第(j+2)の水平移動パルスを算出した後に、第(j+2)の検出位置の位置データを生成して位置データ記憶部38に保存する(ステップS32)。
【0130】
調整位置設定部36は、位置データ記憶部38から最新の第(j+2)の検出位置の位置データと前回の第(j+1)の検出位置の位置データとを読み出した後に、第(j+1)及び第(j+2)の下移動距離データを比較する。
【0131】
そして、第(j+2)の下移動距離データ{DR(j+2)}が第(j+1)の下移動距離データ{DR(j+1)}よりも大きい場合(ステップS33のはい)、図15(a)及び(b)に示すように、第(j+1)及び第(j+2)の検出位置を左側の傾斜面82b、又は左側の傾斜面82b及び中心面83であると判断してステップS31に戻る。
【0132】
また、第(j+2)の下移動距離データが第(j+1)の下移動距離データと同じである場合(ステップS33のいいえ)、図12(b)に示した検出位置と同様に、第(j+1)及び第(j+2)の検出位置を治具80の中心面83であると判断してステップS51に移行する。
【0133】
更に、第(j+2)の下移動距離データが第(j+1)の下移動距離データよりも小さい場合(ステップS33のいいえ)、図15(c)に示すように、第(j+1)の検出位置を中心面83であると判断してステップS51に移行する。
【0134】
このように、第j及び第(j+1)の下移動距離データが異なる場合、第j及び第(j+1)の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に次の調整位置を設定することにより、第(j+2)ポイントの調整位置をサンプル分注プローブ16を治具80の中心面83の方向に設定することができる。
【0135】
また、第(j+1)の検出位置が左側の傾斜面82bにある場合、R2方向に微調整して第(j+2)ポイントの調整位置を設定することにより、サンプル分注プローブ16を中心面83に近づけることができる。
【0136】
そして、第(j+1)及び第(j+2)の下移動距離データが同じである場合、第(j+1)及び第(j+2)の検出位置を治具80の中心面83であると判断することができる。また、第(j+2)の下移動距離データが第(j+1)の下移動距離データよりも小さい場合、第(j+1)の検出位置を中心面83であると判断することができる。
【0137】
次に、図7のステップS11の「いいえ」、又は図8のステップS22又はS26の「はい」の後に動作するステップS41乃至S43を説明する。以下ではステップS22の「はい」の後に動作する例を説明する。そして、ステップS11における第(m+2)ポイントRの調整位置、第(m+2)の検出位置、及び第(m+2)の位置データを夫々第(k+2)ポイントLの調整位置(k=1)、第(k+2)の検出位置、及び第(k+2)の位置データに置き換えて説明する。
【0138】
調整位置設定部36は、治具80の中心面83への移動を目指して、第(k+2)ポイントLの調整位置を微調整してサンプル分注プローブ16を第(k+3)ポイントLの調整位置のR1方向に設定するための第(k+3)の調整情報を制御部32s及び位置データ生成部37に出力する。
【0139】
制御部32sは、調整位置設定部36から出力された第(k+3)の調整情報に基づいて、モータ31srmにR1方向への微調整パルスを供給してサンプル分注プローブ16を基準位置90aからR1方向に{Ds1―k×Φ4+(k−1)×Φ3}の距離にある第(k+3)ポイントLの調整位置に水平移動させた後に、第(k+3)ポイントLの調整位置から治具80上面の第(k+3)の検出位置まで下移動させる(ステップS41)。
【0140】
そして、制御部32sは、サンプル分注プローブ16を第(k+3)ポイントLの調整位置から第(k+3)の検出位置に下移動させるためにモータ31sumに供給した下降パルスの情報を、位置設定部35の位置データ生成部37に出力する。そして、サンプル分注プローブ16を第(k+3)の検出位置から上停止点まで移動させる。
【0141】
位置データ生成部37は、調整位置設定部36から出力された第(k+3)の調整情報及び制御部32sから出力された下降パルスの情報に基づいて、第(k+2)の水平移動パルスから微調整パルスを加算した第(k+3)の水平移動パルスを算出した後に、第(k+3)の検出位置の位置データを生成して位置データ記憶部38に保存する(ステップS42)。
【0142】
調整位置設定部36は、位置データ記憶部38から最新の第(k+3)の位置データと前回の第(k+2)の位置データとを読み出した後に、第(k+3)の下移動距離データと第(k+2)の下移動距離データを比較する。
【0143】
そして、第(k+3)の下移動距離データ{DL(k+3)}が第(k+2)の下移動距離データ{DL(k+2)}よりも大きい場合(ステップS43のはい)、図16(a)及び(b)に示すように、第(k+2)及び第(k+3)の検出位置を治具80の右側の傾斜面82b、又は中心面83及び右側の傾斜面82bであると判断してステップS41に戻る。
【0144】
また、第(k+3)の下移動距離データが第(k+2)の下移動距離データと同じである場合(ステップS43のいいえ)、図12(b)に示した検出位置と同様に、第(k+2)及び第(k+3)の検出位置を治具80の中心面83であると判断してステップS51に移行する。
【0145】
更に、第(k+3)の下移動距離データが第(k+2)の下移動距離データよりも小さい場合(ステップS43のいいえ)、図16(c)に示すように、第(k+3)の検出位置を治具80の中心面83であると判断してステップS51に移行する。
【0146】
このように、第(k+1)及び第(k+2)の下移動距離データが異なる場合、第(k+1)及び第(k+2)の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に次の調整位置を設定することにより、第(k+3)ポイントの調整位置をサンプル分注プローブ16を治具80の中心面83の方向に設定することができる。
【0147】
また、第(k+2)の検出位置が左側の傾斜面82bにある場合、R1方向に微調整して第(k+3)ポイントの調整位置を設定することにより、サンプル分注プローブ16を中心面83に近づけることができる。
【0148】
そして、第(k+2)及び第(k+3)の下移動距離データが同じである場合、第(k+2)及び第(k+3)の検出位置を治具80の中心面83であると判断することができる。また、第(k+3)の下移動距離データが第(k+2)の下移動距離データよりも小さい場合、第(k+2)の検出位置を中心面83であると判断することができる。
【0149】
次に、図8のステップS21の「はい」、又はステップS33の「いいえ」、又はステップS43の「いいえ」の後に、調整位置設定部36は、治具80の中心面83であると判断した検出位置の位置データの水平移動距離データを、基準位置90aからサンプル吐出位置Aまでサンプル分注プローブ16を水平移動させるために必要なパルス数として、制御部32sの内部記憶回路に登録する(ステップS51)。
【0150】
そして、制御部32sに指示してサンプル分注プローブ16を基準位置90aに移動させる(ステップS52)。
【0151】
そして、サンプル分注プローブ16が基準位置90aに到達した時点で、自動分析装置100は、サンプル分注プローブ16の位置調整動作を終了する(ステップS53)。
【0152】
図7乃至図9で説明した実施例によれば、サンプル吐出位置Aの下方に中心面83を合わせて治具80を配置し、サンプル吐出位置Aへの移動を目指して設定された第1ポイントの調整位置、及びこの第1ポイントの調整位置から微調整距離離れた第2ポイントの調整位置に応じた第1及び第2の検出位置までサンプル分注プローブ16を移動させて、第1及び第2の検出位置の位置データを生成し、生成した第1及び第2の検出位置の第1及び第2の下移動距離データが同じである場合、第1及び第2の検出位置を治具80の中心面83として判断することができる。
【0153】
また、第p及び第(p+1)の下移動距離データ(pは1以上の整数)が異なる場合、第p及び第(p+1)の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に第(p+2)ポイントの調整位置を設定することにより、治具80の左側及び右側のいずれの側からでも第(p+2)ポイントの調整位置を中心面83の方向に設定することができる。
【0154】
そして、第p及び第(p+1)の下移動距離データが異なり、前記大きい方のデータから前記小さい方のデータを差し引いた差のデータが治具80の側面の高さhよりも小さい場合、前記大きい方のデータの調整位置から前記小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に粗調整して第(p+2)ポイントの調整位置を設定することにより、微調整して設定するよりも少ない調整位置の設定回数で治具80の凹部81内の傾斜面82bを判断することができる。
【0155】
また、第p及び第(p+1)の下移動距離データが異なり、前記差のデータが前記側面の高さhよりも大きいか又はhと同じである場合、前記大きい方の検出位置を凹部81内の傾斜面82bであると判断することができる。
【0156】
次いで、凹部81内の傾斜面82bであると判断したときの前記大きい方の調整位置から前記小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に微調整して第(p+q)ポイントの調整位置(qは2以上の整数)を設定し、この設定位置に応じた第(p+q)の下移動距離データを生成する。
【0157】
そして、生成した第(p+q)の下移動距離データが第(p+q−1)の下移動距離データよりも小さい場合、第(p+q−1)の検出位置を治具80の中心面83であると判断することができる。
【0158】
また、第(p+q)の下移動距離データが第(p+q−1)の下移動距離データと同じである場合、第(p+q−1)及び第(p+q)の検出位置を治具80の中心面83であると判断することができる。
【0159】
以上において、治具80の中心面83であると判断した検出位置の位置データにおける水平移動距離データを登録することにより、サンプル吐出位置Aを定めることができる。
【0160】
なお、治具は上記実施例に限定されるものではなく、治具80における凹部81の底面を、この底面の中心点に向かって下り勾配の傾斜面を形成するようにしてもよい。
【0161】
次に、図18乃至図20を参照して、治具の他の実施例を説明する。
【0162】
図18は、他の治具を用いた実施例を示すもので、この治具80aが図6の治具80と異なる点は、治具80の上面には2つの傾斜面82a,82bが設けられているのに対して、治具80aの上面には1つの傾斜面82cだけが設けられている点である。
【0163】
図18(b)に示した治具80aの上面は、この上面の中心部に治具80と同様に形成された中心面83と、この中心面83に向かって下り勾配の傾斜面82cとにより構成される。
【0164】
図18(a)は、治具80aの中心面83を含む鉛直方向の断面を示した図である。治具80aの上面の最も低い位置に水平な中心面83が形成され、中心面83よりも高い位置に傾斜面82が形成されている。そして、治具80aは、治具80と同じ外形寸法及び材質を有する。そして、治具80aは、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15の各分注プローブの各停止位置を定める場合に使用される。
【0165】
次に、図1乃至図19を参照して、治具80aを用いてサンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aを定める動作の一例を説明する。
【0166】
図19は、サンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aの設定動作を示したフローチャートである。図19のフローチャートが図7乃至図9のフローチャートと異なる点は、図19のフローチャートでは治具80の傾斜面82a,82bのいずれであるかの判断をするためのステップが除かれている点である。
【0167】
図19のフローチャートは、図7のステップS1乃至S7と、図8のステップS21と、ステップS7の「はい」及びステップS21の「はい」及びステップS21の「いいえ」の後に実行される図9の全ステップとにより構成される。そして、ステップS7の「はい」から図9のステップS31に移行し、ステップS21の「はい」から図9のステップS51に移行し、ステップS21の「いいえ」から図9のステップS41に移行する。
【0168】
そして、図19のフローチャートを構成している図7乃至図9の各ステップの治具80の傾斜面82a及び傾斜面82bを治具80aの傾斜面82cに置き換えることにより、図7乃至図9の各ステップと同様に動作するので、図19の各ステップの動作の説明を省略する。
【0169】
図19で説明した治具80aを用いた実施例によれば、サンプル吐出位置Aの下方に中心面83を合わせて治具80aを配置し、サンプル吐出位置Aへの移動を目指して設定された第pポイントの調整位置(pは1以上の整数)、及びこの第pポイントの調整位置から微調整距離離れた第(p+1)ポイントの調整位置に応じた第p及び第(p+1)の検出位置までサンプル分注プローブ16を移動させて、第p及び第(p+1)の検出位置の位置データを生成し、生成した第p及び第(p+1)の検出位置の第p及び第(p+1)の下移動距離データが同じである場合、第p及び第(p+1)の検出位置を治具80aの中心面83として判断することができる。
【0170】
また、第p及び第(p+1)の下移動距離データが異なる場合、第p及び第(p+1)の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に微調整して第(p+2)ポイントの調整位置を設定することにより、治具80aの左側及び右側のいずれの側からでも第(p+2)ポイントの調整位置を中心面83の方向に設定することができる。
【0171】
そして、第(p+2)ポイントの調整位置を設定し、この設定位置に応じた第(p+2)の下移動距離データを生成し、生成した第(p+2)の下移動距離データが第(p+1)の下移動距離データよりも小さい場合、第(p+1)の検出位置を治具80aの中心面83であると判断することができる。
【0172】
また、生成した第(p+2)の下移動距離データが第(p+1)の下移動距離データと同じである場合、第(p+1)及び第(p+2)の検出位置を治具80aの中心面83であると判断することができる。
【0173】
以上において、治具80aの中心面83であると判断した検出位置の位置データにおける水平移動距離データを登録することにより、サンプル吐出位置Aを定めることができる。
【0174】
図20は、他の治具を用いた実施例を示すもので、この治具80cが図18の治具80aと異なる点は、治具80cの上面が曲面を形成する傾斜面82cだけで構成されている点である。
【0175】
図20(b)に示した治具80cの上面は、この上面の中心点83cに向かって下り勾配の傾斜面82cにより構成される。治具80cの上面の形状及び大きさ及び材質は、治具80aと同じである。
【0176】
図20(a)は、治具80cの中心点83cを含む鉛直方向の断面を示した図である。治具80c上面の最も低い位置に中心点83cがあり、この中心点83cよりも高い位置に傾斜面82cが形成されている。傾斜面82cは曲面を形成し、傾斜面82cの鉛直断面としての傾斜した曲線は、中心点83cを頂点とする二次関数で表される。
【0177】
治具80cは、治具80aと同様に、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15の各分注プローブの各停止位置を定める場合に使用される。
【0178】
次に、治具80cを使用したときの各分注プローブの各停止位置を定める動作を、サンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aを定める動作を例に説明する。
【0179】
治具80cは、サンプル吐出位置Aの反応容器4底面の中央部の上方に治具80cの中心点83cが位置するように取り付けられる。
【0180】
サンプル分注プローブ16の治具80c上における水平移動を直線移動と見做し、サンプル分注プローブ16の先端部を基準位置90aを原点とした二次元の座標で表す。基準位置90aから水平移動及び上下移動した後の治具80cの上面における検出位置は、この位置データの水平移動距離データ及び下移動距離データを夫々x座標及びy座標とした二次元座標で表される。
【0181】
そして、治具80cの上方に少なくとも3つの第1乃至第3ポイントの調整位置を設定して、サンプル分注プローブ16を第1乃至第3ポイントの調整位置に応じて検出される第1乃至第3の検出位置まで移動させることにより、第1乃至第3の検出位置の位置データが生成される。生成した第1乃至第3の検出位置の位置データから二次関数f(x)の各係数を求めて二次式を作成する。この二次式から頂点のx座標、即ち中心点83cのx座標を求めた後、x座標の水平移動距離データを、基準位置90aからサンプル吐出位置Aまでサンプル分注プローブ16を水平移動させるために必要なパルス数として制御部32sの内部記憶回路に登録することにより、サンプル分注プローブ16のサンプル吐出位置Aが定められる。
【0182】
図20で説明した治具80cを用いた実施例によれば、サンプル吐出位置Aの下方に中心点83cを合わせて治具80cを配置し、少なくとも第1乃至第3ポイントの調整位置に応じた第1乃至第3の検出位置までサンプル分注プローブ16を移動させて第1乃至第3の検出位置の位置データを生成し、生成した位置データから二次関数の係数を求める。更に、その二次関数の頂点の座標を求めることにより、中心点83cの位置データを得ることができる。そして、得た位置データの水平移動距離データを登録することにより、サンプル吐出位置Aを定めることができる。
【0183】
以上述べた本発明の実施例によれば、各分注プローブの各停止位置の下方に中心面83を合わせて治具80を配置し、各停止位置への移動を目指して設定された第1ポイントの調整位置、及びこの第1ポイントの調整位置から微調整距離離れた第2ポイントの調整位置に応じた第1及び第2の検出位置まで各分注プローブを移動させて、第1及び第2の検出位置の位置データを生成し、生成した第1及び第2の検出位置の第1及び第2の下移動距離データが同じである場合、第1及び第2の検出位置を治具80の中心面83として判断することができる。
【0184】
また、第p及び第(p+1)の下移動距離データ(pは1以上の整数)が異なる場合、第p及び第(p+1)の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に第(p+2)ポイントの調整位置を設定することにより、治具80の左側及び右側のいずれの側からでも第(p+2)ポイントの調整位置を中心面83の方向に設定することができる。
【0185】
そして、第p及び第(p+1)の下移動距離データが異なり、前記大きい方のデータから前記小さい方のデータを差し引いた差のデータが治具80の側面の高さhよりも小さい場合、前記大きい方のデータの調整位置から前記小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に粗調整して第(p+2)ポイントの調整位置を設定することにより、微調整して設定するよりも少ない調整位置の設定回数で治具80の凹部81内の傾斜面82bを判断することができる。
【0186】
また、第p及び第(p+1)の下移動距離データが異なり、前記差のデータが前記側面の高さhよりも大きいか又はhと同じである場合、前記大きい方の検出位置を凹部81内の傾斜面82bであると判断することができる。
【0187】
次いで、凹部81内の傾斜面82bであると判断したときの前記大きい方の調整位置から前記小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に微調整して第(p+q)ポイントの調整位置(qは2以上の整数)を設定し、この設定位置に応じた第(p+q)の下移動距離データを生成する。
【0188】
そして、生成した第(p+q)の下移動距離データが第(p+q−1)の下移動距離データよりも小さい場合、第(p+q−1)の検出位置を治具80の中心面83であると判断することができる。
【0189】
また、第(p+q)の下移動距離データが第(p+q−1)の下移動距離データと同じである場合、第(p+q−1)及び第(p+q)の検出位置を治具80の中心面83であると判断することができる。
【0190】
このようにして、治具80の中心面83であると判断した検出位置の位置データにおける水平移動距離データを登録することにより、各停止位置を定めることができる。
【0191】
また、他の実施例によれば、各分注プローブの各停止位置の下方に中心面83を合わせて治具80aを配置し、各停止位置への移動を目指して設定された第pポイントの調整位置(pは1以上の整数)、及びこの第pポイントの調整位置から微調整距離離れた第(p+1)ポイントの調整位置に応じた第p及び第(p+1)の検出位置までサンプル分注プローブ16を移動させて、第p及び第(p+1)の検出位置の位置データを生成し、生成した第p及び第(p+1)の検出位置の第p及び第(p+1)の下移動距離データが同じである場合、第p及び第(p+1)の検出位置を治具80aの中心面83として判断することができる。
【0192】
また、第p及び第(p+1)の下移動距離データが異なる場合、第p及び第(p+1)の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に微調整して第(p+2)ポイントの調整位置を設定することにより、治具80aの左側及び右側のいずれの側からでも第(p+2)ポイントの調整位置を中心面83の方向に設定することができる。
【0193】
そして、第(p+2)ポイントの調整位置を設定し、この設定位置に応じた第(p+2)の下移動距離データを生成し、生成した第(p+2)の下移動距離データが第(p+1)の下移動距離データよりも小さい場合、第(p+1)の検出位置を治具80aの中心面83であると判断することができる。
【0194】
また、生成した第(p+2)の下移動距離データが第(p+1)の下移動距離データと同じである場合、第(p+1)及び第(p+2)の検出位置を治具80aの中心面83であると判断することができる。
【0195】
このようにして、治具80aの中心面83であると判断した検出位置の位置データにおける水平移動距離データを登録することにより、各停止位置を定めることができる。
【0196】
更に、他の実施例によれば、各分注プローブの各停止位置の下方に中心点83cを合わせて治具80cを配置し、少なくとも第1乃至第3ポイントの調整位置に応じた第1乃至第3の検出位置までサンプル分注プローブ16を移動させて第1乃至第3の検出位置における位置データを生成し、生成した第1乃至第3の位置データから二次関数の係数を求める。更に、その二次関数の頂点の座標を求めることにより、中心点83cの位置データを得ることができる。そして、得た位置データの水平移動距離データを登録することにより、各停止位置を定めることができる。
【0197】
以上のことから、少ない調整位置の設定回数で各停止位置を定めることができ、各停止位置の設定を短時間で行うことが可能となり、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成の詳細を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る分析制御部の構成の詳細を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る分析部のサンプル部と反応部の構成の一部を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る分析部の試薬部と反応部の構成の一部を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る治具の構造及びサンプル分注プローブの移動動作の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係るサンプル吐出位置を定める動作の一例を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例に係るサンプル吐出位置を定める動作を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例に係るサンプル吐出位置を定める動作を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施例に係る調整位置に応じた検出位置の一例を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る調整位置に応じた検出位置の一例を示す図。
【図12】本発明の実施例に係る調整位置に応じた検出位置の一例を示す図。
【図13】本発明の実施例に係る調整位置に応じた検出位置の一例を示す図。
【図14】本発明の実施例に係る調整位置に応じた検出位置の一例を示す図。
【図15】本発明の実施例に係る調整位置に応じた検出位置の一例を示す図。
【図16】本発明の実施例に係る調整位置に応じた検出位置の一例を示す図。
【図17】本発明の実施例に係る調整位置に応じた検出位置の一例を示す図。
【図18】本発明の他の実施例に係る治具の構造及びサンプル分注プローブの移動動作の一例を示す図。
【図19】本発明の他の実施例に係るサンプル吐出位置を定める動作の一例を示すフローチャート。
【図20】本発明の他の実施例に係る治具の構造及びサンプル分注プローブの移動動作の一例を示す図。
【符号の説明】
【0199】
19 分析部
20 サンプル部
21 試薬部
22 反応部
30 分析制御部
31 機構部
32 制御部
35 位置設定部
36 調整位置設定部
37 位置データ生成部
38 位置データ記憶部
40 分析データ処理部
41 演算部
42 記憶部
50 出力部
51 印刷部
52 表示部
60 操作部
70 システム制御部
100 自動分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルと試薬とを容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記サンプル又は前記試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、
前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、
前記分注プローブの前記サンプル又は前記試薬の吸引位置、吐出位置、及び前記分注プローブの洗浄位置の各停止位置を定める位置設定手段と、
中心部に向かって下り勾配の傾斜面をなす上面を有し、前記停止位置の下方に前記中心部を合わせて配置された治具を、この治具と前記分注プローブとの接触により検出する検出手段とを備え、
前記位置設定手段は、前記治具の上方に第p及び第(p+1)の調整位置(pは1以上の整数)を設定し、前記分注プローブ移動手段により前記分注プローブを前記第p及び第(p+1)の調整位置に水平移動させた後に、前記検出手段により検出される前記治具上面の第p及び第(p+1)の検出位置まで下移動させて、前記第p及び第(p+1)の調整位置と前記第p及び第(p+1)の検出位置の間の距離に対応する第p及び第(p+1)の移動距離データを生成し、生成した前記第p及び第(p+1)の移動距離データに基づいて、前記第p及び第(p+1)の検出位置を判断するようにしたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記位置設定手段は、前記第pの調整位置から微調整距離離れた位置に前記第(p+1)の調整位置を設定したときに前記第p及び第(p+1)の移動距離データが同じである場合、前記第p及び第(p+1)の検出位置を前記治具の中心部であると判断するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記位置設定手段は、前記第p及び第(p+1)の移動距離データが異なる場合、前記第p及び第(p+1)の移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に第(p+2)の調整位置を設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記位置設定手段は、前記第p及び第(p+1)の移動距離データが異なる場合、前記第p及び第(p+1)の移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向の微調整距離離れた位置に第(p+2)の調整位置を設定し、前記分注プローブ移動手段により前記分注プローブを前記第(p+2)の調整位置に水平移動させた後に、前記検出手段により検出される第(p+2)の検出位置まで下移動させて、前記第(p+2)の調整位置と前記第(p+2)の検出位置の間の距離に対応する第(p+2)の移動距離データを生成し、
生成した前記第(p+2)の移動距離データが前記第(p+1)の移動距離データよりも小さい場合、前記第(p+1)の検出位置を前記治具の中心部であると判断するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記治具上面の傾斜面は、外周部に形成された第1の傾斜面と、前記外周部の内側であって前記第1の傾斜面よりも所定の高さ低い位置に形成された第2の傾斜面とにより構成され、
前記位置設定手段は、前記大きい方のデータから前記小さい方のデータを差し引いた差のデータが前記所定の高さよりも小さい場合、前記大きい方のデータの調整位置から前記小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向の粗調整距離離れた位置に前記第(p+2)の調整位置を設定するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記治具上面の傾斜面は、外周部に形成された第1の傾斜面と、前記外周部の内側であって前記第1の傾斜面よりも所定の高さ低い位置に形成された第2の傾斜面とにより構成され、
前記位置設定手段は、前記差のデータが前記所定の高さよりも大きいか又は前記所定の高さと同じである場合、前記大きい方のデータの調整位置から前記小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向の微調整距離離れた位置に前記第(p+2)の調整位置を設定するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記微調整距離は、前記分注プローブが水平移動可能な最小の距離であることを特徴とする請求項2又は請求項4又は請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記粗調整距離は、前記前記分注プローブが水平移動して前記第2の傾斜面上方を通過するのに要する距離よりも短いことを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記位置設定手段は、前記治具の中心部であると判断した移動距離データに対応する調整位置と、予め設定された前記分注プローブの水平移動の基点となる基準位置の間の距離に対応する水平移動距離データを生成し、生成した前記水平移動距離データを前記停止位置として定めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項10】
サンプルと試薬を容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置の停止位置設定方法において、
前記サンプル又は前記試薬を吸引及び吐出する分注プローブの前記サンプル又は前記試薬の吸引位置、吐出位置、及び前記分注プローブの洗浄位置の各停止位置の下方に、中心部に向かって下り勾配の傾斜面をなす上面を有し、前記停止位置の下方に前記中心部を合わせて配置した治具の上方に第1の調整位置を設定する第1のステップと、
前記分注プローブを前記第1の調整位置に水平移動させた後に、前記分注プローブと前記治具との接触により前記治具を検出手段により検出される第1の検出位置まで下移動させて、前記第1の調整位置と前記第1の検出位置の間の距離に対応する第1の移動距離データを生成する第2のステップと、
前記第1の調整位置から所定距離離れた位置に第2の調整位置を設定する第3のステップと、
前記分注プローブを前記第2の調整位置に水平移動させた後に、前記検出手段で検出される第2の検出位置まで下移動させて、前記第2の調整位置と前記第2の検出位置の間の距離に対応する第2の移動距離データを生成する第4のステップと、
生成された前記第1及び第2の移動距離データに基づいて、前記第1及び第2の検出位置を判断する第5のステップとを
有することを特徴とする自動分析装置の停止位置設定方法。
【請求項11】
サンプルと試薬とを容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記サンプル又は前記試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、
前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、
前記分注プローブの前記サンプル又は前記試薬の吸引位置、吐出位置、及び前記分注プローブの洗浄位置の各停止位置を定める位置設定手段と、
中心部に向かって下り勾配の傾斜面をなし、前記中心部を含む鉛直断面の前記傾斜面に対応する線が前記中心部を頂点とする二次関数で表される上面を有し、前記停止位置の下方に前記中心部を合わせて配置された治具を、この治具と前記分注プローブとの接触により検出する検出手段とを備え、
前記位置設定手段は、前記治具の上方に少なくとも第1乃至第3の調整位置を設定し、前記分注プローブ移動手段により前記分注プローブを予め設定された基準位置から前記第1乃至第3の調整位置に水平移動させた後に、前記検出手段により検出される前記治具上面の第1乃至第3の検出位置まで下移動させて、前記基準位置と前記第1乃至第3の調整位置の間の距離に対応する第1乃至第3の水平移動距離データ、及び前記第1乃至第3の調整位置と前記第1乃至第3の検出位置の間の距離に対応する第1乃至第3の移動距離データを生成し、更に生成した前記第1乃至第3の水平移動距離データ及び第1乃至第3の移動距離データに基づいて前記基準位置を原点とした前記二次関数に対応する頂点の座標を求め、求めた前記頂点の座標に対応する水平移動距離データを前記停止位置として定めるようにしたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
サンプルと試薬とを容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記サンプル又は前記試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、
前記分注プローブを移動させる分注プローブ移動手段と、
前記分注プローブの吸引位置又は吐出位置の停止位置に向かって高さの変化する傾斜面をなす上面を有し、前記停止位置が最上位置又は最下位置である治具と、
前記分注プローブ移動手段により前記分注プローブを移動させて前記治具の上面を検出し、その検出結果に基づいて前記停止位置を定める位置設定手段とを備え、
前記位置設定手段は、前記治具の最下位置又は最上位置を求めて前記停止位置を定めるものであり、前記治具の上面の異なる位置の検出結果に基づいて、次の検出位置を決定するようにしたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
サンプルと試薬とを容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記サンプル又は前記試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、
前記分注プローブを移動させる分注プローブ移動手段と、
前記分注プローブの吸引位置又は吐出位置の停止位置に向かって高さが変化し、その傾きが二次関数で表される傾斜面をなす上面を有し、前記停止位置が最上位置又は最下位置である治具と、
前記分注プローブ移動手段により前記分注プローブを移動させて前記治具の上面を検出し、その検出結果に基づいて前記停止位置を定める位置設定手段とを備え、
前記位置設定手段は、前記治具の上面の少なくとも3点の位置における検出結果に基づいて、前記二次関数を用いて前記最下位置又は最上位置を求めて前記停止位置を定めるようにしたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−285957(P2007−285957A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115368(P2006−115368)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】