説明

自動原稿送り装置

【課題】原稿の搬送及びその読み取りが行われている時期に、読み取られた後の原稿を積み重ねて収容する排出部に既に収容されている原稿の一部が、後から収容される原稿によりその収容部から押し出されて落下する等の不具合が発生することを予防できるようにする。
【解決手段】自動原稿送り装置は、複数枚の原稿を収容し得る収容部と、読み取られた後の原稿を積み重ねて収容する排出部と、前記収容部に収容された原稿をその原稿が読み取られる読取部を経由させて前記排出部に至るまで搬送する搬送装置と、前記排出部に積み重ねられる原稿の上面に触れる接触部と検出される被検出部を有するとともに支点を中心に揺れ動く第1の揺動部材と、前記第1の揺動部材の被検出部が前記排出部の収容規制量に相当する検出対象位置に移動したことを検出する検出装置と、前記検出装置からの検出情報を得たときに前記搬送装置の搬送動作を禁止する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動原稿送り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿読取装置の読取部で読み取られる原稿を自動的に搬送する自動原稿送り装置が知られている(特許文献1〜3など)。
【0003】
例えば、特許文献3に記載の自動原稿送り装置は、読み取り前の原稿を積載するシート積載トレイの下部に配設されて読み取り後の原稿を積載する排紙台に、原稿の有無を検知する検知手段を設け、原稿の読み取り動作が終了した後に、その検知手段が原稿有りと検知すると、前記シート積載トレイを上方向に移動させるものである。
【特許文献1】特開平08−18704号公報
【特許文献2】特開2005−12444号公報
【特許文献3】特開2005−15122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、原稿が搬送されてその原稿の読み取りが行われている時期に、読み取られた後の原稿を積み重ねて収容する排出部に既に収容されている原稿の一部が、後から収容される原稿によりその収容部から押し出されて落下する等の不具合が発生することを予防できる自動原稿送り装置並びにこれを用いた原稿読取装置及び画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明(A1)の自動原稿送り装置は、複数枚の原稿を収容し得る収容部と、読み取られた後の原稿を積み重ねて収容する排出部と、前記収容部に収容された原稿をその原稿が読み取られる読取部を経由させて前記排出部に至るまで搬送する搬送装置と、
前記排出部に積み重ねられる原稿の上面に触れる接触部と検出される被検出部を有するとともに支点を中心に揺れ動く第1の揺動部材と、
前記第1の揺動部材の被検出部が前記排出部の収容規制量に相当する検出対象位置に移動したことを検出する検出装置と、
前記検出装置からの検出情報を得たときに前記搬送装置の搬送動作を禁止する制御手段とを有するものである。
【0006】
この発明(A2)の自動原稿送り装置は、上記発明A1の原稿送り装置において、
前記収容部に収容される原稿により押される接触部と検出される被検出部を有するとともに支点を中心に揺れ動く第2の揺動部材を有し、
前記検出装置は、前記第1の揺動部材の被検出部を検出することに加えて、前記第2の揺動部材の被検出部が前記収容部に原稿が存在しないときの検出対象位置に移動したことを検出するように兼用されるものである。
【0007】
この発明(A3)の自動原稿送り装置は、上記発明A2の原稿送り装置において、
前記制御手段が、前記検出装置から前記第1の揺動部材及び第2の揺動部材の少なくとも一方の被検出部を検出した情報を得たときに前記搬送装置の搬送動作を禁止するものである。
【0008】
この発明(A4)の自動原稿送り装置は、上記発明A1の原稿送り装置において、
前記第1の揺動部材は、その被検出部が前記検出対象位置に実際に達していない段階で前記排出部に収容される原稿によって移動させられて前記検出装置で検出されることがないように構成されているものである。
【0009】
この発明(A5)の自動原稿送り装置は、上記発明A1又はA4の原稿送り装置において、
前記排出部に搬送されて収容されるときの原稿の先端部を前記第1の揺動部材に直接接触させない状態で移動させる原稿案内部材を設けたものである。
【0010】
この発明(A6)の自動原稿送り装置は、上記発明A1の原稿送り装置において、前記第1の揺動部材の接触部が、前記排出部の原稿が収容される部分に対して非接触の状態に保たれているものである。
【0011】
この発明(A7)の自動原稿送り装置は、上記発明A2の原稿送り装置において、
前記検出装置は、第1の揺動部材及び第2の揺動部材における各被検出部の位置が変動することによってオン状態又はオフ状態になる機能を有し、
前記第1の揺動部材及び第2の揺動部材は、その各被検出部が前記各検出対象位置にそれぞれ移動したときに前記検出装置がオフ状態になるよう設置されているものである。
【0012】
また、この発明(B)の原稿読取装置は、原稿を読み取る読取部と、前記読取部に原稿を送って通過させる自動原稿送り装置として上記発明A1〜A7のいずれかの自動原稿送り装置とを有するものである。
【0013】
また、この発明(C)の画像形成装置は、上記発明Bの原稿読取装置と、前記原稿読取装置で読み取られる原稿の情報に基づく画像を形成する作像装置とを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
上記発明A1の自動原稿送り装置によれば、原稿が搬送されてその原稿の読み取りが行われている時期に、読み取られた後の原稿を積み重ねて収容する排出部に既に収容されている原稿の一部が、後から収容される原稿によりその収容部から押し出されて落下する等の不具合が発生することを予防できる。
【0015】
上記発明A2の原稿送り装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、第1の揺動部材の被検出部と第2の揺動部材の被検出部とを1つの検出装置により検出することができる。
【0016】
上記発明A3の原稿送り装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、収容部に原稿が残っているときであっても、原稿の搬送が中止されて、排出部に既に収容されている原稿の一部が後から収容される原稿によりその収容部から押し出されて落下する等の不具合の発生が予防される。
【0017】
上記発明A4の原稿送り装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、実際には原稿が排出部に収容規制量に相当する量だけ収容されていない段階において、第1の揺動部材の被検出部が検出対象位置に達するように揺れ動いて検出装置で検出されてしまうことにより原稿の搬送が必要以上に中止されることを防止できる。
【0018】
上記発明A5の原稿送り装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、第1の揺動部材が収容される原稿の先端部が触れて無用に動かされることがなくなり、その検出部が必要以上に揺り動かされて検出装置で検出されることにより原稿の搬送が必要以上に中断されることがなくなる。
【0019】
上記発明A6の原稿送り装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、排出部に初期の段階で収容される原稿の収容状態が第1の揺動部材の接触部によって阻害されることがなく、また揺動部材そのものも原稿との必要以上の接触により磨耗することが抑制される。
【0020】
上記発明A7の原稿送り装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、例えば検出装置の故障や接続部品の外れ等の不測の現象が発生したことが原因で検出装置がオフ状態になって正常な検出情報が得られない状況になったときでも、原稿の搬送が禁止されて安全な状態に保たれる。
【0021】
上記発明Bの原稿読取装置によれば、自動原稿送り装置で搬送される原稿の読み取りが行われている時期に、その自動原稿送り装置における排出部に既に収容されている読み取り後の原稿の一部が、後から収容される原稿によりその収容部から押し出されて落下する等の不具合が発生することなく、原稿の読み取りを行うことができる。
【0022】
上記発明Cの画像形成装置によれば、原稿読取装置で読み取られる原稿の情報に基づく画像の形成を行う際、自動原稿送り装置で搬送される原稿の読み取りが原稿読取装置で行われている時期に、その自動原稿送り装置における排出部に既に収容されている原稿の一部が、後から収容される原稿によりその収容部から押し出されて落下する等の不具合が発生することなく、画像の形成を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明を実施するための最良の形態(単に「実施形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
図1及び図2は、この発明の第1の実施形態に係る装置を示すものである。図1は第1の実施形態に係る自動原稿送り装置1を適用した原稿読取装置8及び画像形成装置100の概要を示し、図2は図1における自動原稿送り装置1及び原稿読取装置8を拡大して示している。
【0025】
自動原稿送り装置1は、図1、図2等に示すように、用紙等の記録媒体に読み取り対象の情報が記録されているシート状の原稿(書面)2を収容する収容トレイ10と、読み取られた後の原稿2を積み重ねて収容する排出収容部12と、収容トレイ10に収容された原稿2を原稿読取装置8における読取部82を経由させて排出収容部12に至るまで搬送する原稿搬送部14と、収容トレイ10に原稿2が収容されて存在するか否かを検出する原稿有無検出装置15と、排出収容部12に収容される原稿2が予め設定する収容規制量に達したか否かを検出する収容検出装置16と、この原稿送り装置全体の動作を総括的に制御する制御部18(図8参照)を主に備えている。排出収容部12と原稿搬送部14は、図示しない支持フレーム上に設けられている。
【0026】
収容トレイ10は、1枚又は複数枚の原稿2を載せて保持する保持面11が形成された板状の部材で構成されている。この収容トレイ10は、その一端部10aが原稿搬送部14の排出収容部12と接続される側において排出収容部12から上方に離れた位置に配置されており、また、その他端部10bが排出収容部12の上方に隙間をあけて存在するとともに一端部10aから徐々に上昇するように傾斜した状態で保持されている。
【0027】
排出収容部12は、図示しない支持フレームの上部のうち収容トレイ10と対向する部分に、例えば上側に突出する曲面状の収容面12が形成された構造体として構成されている。この排出収容部12は、収容トレイ10の下側の位置に間隔をあけて存在するように配置されている。ちなみに、この収容部12は、支持フレームを兼ねた構造物として構成されることもある。
【0028】
原稿搬送部14は、収容トレイ10から原稿2を1枚ずつ送り出す送出部20と、読取部82を通過した読み取り後の原稿2を排出収容部12に向けて搬送して排出する排出搬送部25と、送出部20から読取部82を経由して排出収容部12に至るまでの区間で原稿2を搬送する原稿搬送路30とで構成されている。
【0029】
送出部20は、図2や図3に示すように、収容トレイ10の一端部10aと対峙して接続される位置に形成される部分であり、収容トレイ10上の原稿2を1枚ずつ送り出す送出装置21を設置している。送出装置21は、繰出しロール22、搬送ロール23及び分離パッド(分離部材)24にて主に構成されている。図2等において符号27は外装カバー、28は収容トレイ10上の原稿2を導入する際に案内するガイド板(ガイドリブ)、29は搬送ロール23の軸を中心に上下方向に揺動し、繰出しロール22を保持する揺動支持フレーム(の一部)を示す。
【0030】
送出装置21における繰出しロール22は、収容トレイ10に収容される原稿2の上面に接離可能に接触して矢印で示す方向に回転することで原稿2を収容トレイ10から繰り出すものである。搬送ロール23は、繰出しロール22で繰り出される原稿2を矢印で示す方向に回転して搬送するものである。分離パッド24は、搬送ロール23に所要の圧力下で接触して接触部を形成し、その接触部の手前において繰出しロール22で繰り出される原稿2のうち重なった状態で送られた分(重送された分)の原稿(下方に存在する原稿)を停止させて分離する重送防止用のパッドである。
【0031】
繰出しロール22は、例えば、搬送ロール23の回転軸と同心の軸を支点として点線の矢印で示す方向に揺動する揺動支持フレーム29の先端部側に取り付けられている。繰出しロール22及び搬送ロール23は、図示しない回転駆動手段からの動力を受けて回転駆動する。
【0032】
排出搬送部25は、読取部82から斜めに上昇した位置において排出収容部12の一端部側より一段高い位置に形成される原稿排出口を兼ねた部分であり、その原稿排出口となる開口部分に排出ロール対26を設置している。
【0033】
排出ロール対26は、2つのロール26a,26bが加圧下で接触して矢印で示す方向に回転する装置である。排出ロール対26は、その一方のロールが図示しない回転駆動手段からの動力を受けて回転駆動する駆動ロールとして、その他方のロールが不図示の加圧手段で押されて一方のロールに接触して接触部を形成しながら従動回転する従動ロールとして構成される。この実施形態では、ロール26aが駆動ロールとして、ロール26bが従動ロールとして構成されている。
【0034】
原稿搬送路30は、送出部20からその下方側に位置する読取部82を経由して排出収容部12の一端部の上方側の位置(排出搬送部25の排出ロール対26)に至るまで、全体として断面空間がU字状に湾曲した通路となるように形成されている。
【0035】
図2等において符号31は、送出部20から読取部82を経由して排出収容部12(実際には排出搬送部25の排出ロール対26)に至る経路の内側に設置される、断面がほぼU字状に湾曲した形状をなすように複数の部材で分割構成された内側通路形成部材を示す。符号32は、例えば外装カバー27に取り付けられて送出部20から読取部82に至る経路の外側に位置する状態で設置される、内側通路形成部材31の一部の形状に対応して湾曲した形状の第一外側通路形成部材を示す。符号33は、読取部82から排出搬送部25の排出ロール対26に至る経路の外側に設置される、内側通路形成部材31の一部の形状に対応して湾曲した形状の第二外側通路形成部材を示す。
【0036】
また、原稿搬送路30は、送出部20から読取部82までの経路の上流側の位置に搬送ロール対34が設置され、その経路の下流側の位置(読取部82の手前の位置)に搬送時期調整ロール対35が設置されている。また、読取部82から排出収容部25に至る経路の上流側の位置に、搬送される原稿2が接触すると回転してその原稿の搬送抵抗を低減させるための回転体(コロ)36が設置されている。搬送ロール対34と搬送時期調整ロール対35はいずれも、2つのロール34a,34bとロール35a,35bが加圧下で接触して矢印で示す方向に回転する装置であり、排出ロール対26の場合とほぼ同様に、駆動ロールと従動ロールとで構成されている。この実施形態では、ロール34a,35aが駆動ロールとして構成されている。
【0037】
原稿有無検出装置15は、収容トレイ10に収容される原稿2により押される接触部41と後記のセンサ(45)で検出される検出部42を有する形状からなり、支持軸43を中心にして点線の矢印A1,A2で示す方向に揺れ動く検出揺動体40と、検出揺動体40の被検出部42が検出対象位置に移動したことを検出する光学式のセンサ45とで構成されている。支持軸43は、例えば、収容トレイ10の一端部10aの下方側の位置であって、送出装置21の繰出しロール22と搬送ロール23の間となる位置に設置される。
【0038】
検出揺動体40は、図4や図5に示すように、その接触部41と被検出部42が、支持軸43を兼ねた軸部の両端部に対し、例えば互いがほぼ直交した関係となるように形成された構造物である。また、検出揺動体40は、収容トレイ10に原稿2が存在しないときには接触部41が収容トレイ10の一端部10aの一部に形成される開口部から保持面11に突出した状態になり、収容トレイ10に原稿2が収容されて存在するときには接触部41がその原稿2に押されて倒れ込む状態になる(図5参照)。なお、検出揺動体40は、例えば、支持軸43にトーション(捩り)バネを装着し、収容トレイ10に原稿2が存在しないときには接触部41が収容トレイ10の保持面11から突出した状態に保たれるように構成されている。被検出部42は、接触部41の動きに連動して支持軸43を中心にして矢印A1,A2で示す方向に揺れ動き、その位置が移動して変位する。また、被検出部42は、センサ45の後記する検出光を遮断できるように構成されている。
【0039】
センサ45は、図4に示すように、検出光47を発生する発光部46と、その検出光47を受光する受光部48とを有し、その発光部46と受光部48が間隔をあけて対向した状態で配置されているものである。検出揺動体40は、その被検出部42が、このセンサ45の発光部46と受光部48の間(検出空間)を通過して出入りするように設置されている。
【0040】
また、原稿有無検出装置15は、図2や図5に示すように、収容トレイ10に原稿2が存在しないときには、検出揺動体40の被検出部42がセンサ45の受光部48にむかう検出光47(の光路)を遮断する位置(この実施形態ではこの位置を検出装置15の「検出対象位置」とする)に移動した状態(図5の上部に示す状態を参照)になるよう設定されている。また、収容トレイ10に原稿2が存在するときには、検出揺動体40の被検出部42がセンサ45受光部48にむかう検出光47を遮断しない位置に移動した状態(図5の下部に示す状態を参照)になるよう設定されている。センサ45は、検出光47が遮断されて受光部48に受光されないときがオフ(OFF)の状態になり、検出光47が遮断されず受光部48に受光されたときがオン(ON)の状態になるように使用される。
【0041】
収容検出装置16は、図3や図6等に示すように、排出収容部12に積み重ねて収容される(最上の)原稿2の上面に触れる接触部51とセンサで検出される検出部52を有する形状からなり、支持軸53を中心にして点線の矢印B1,B2で示す方向に揺れ動く検出揺動体50と、検出揺動体50の被検出部52が検出対象位置に移動したことを検出する光学式のセンサ(55)とで構成されている。この実施形態では、原稿有無検出装置15における光学式のセンサ45を、収容検出装置16のセンサ(55)としても兼用している。支持軸53は、例えば、収容トレイ10の一端部10aの下方側であって送出搬送部25における排出ロール26aの上部付近となるような位置に配置される。
【0042】
検出揺動体50は、図3や図4に示すように、支持軸53に支持される棒状の本体の一端部に接触部51が排出収容部12の収容面13に近づく状態で突出した逆三角形の形状に形成される一方、その本体の他端部が被検出部52として使用されるように形成されている。検出揺動体50は、支持軸53を挟んで接触部51が存在する方が被検出部52が存在する側よりも重くなるように形成され、その揺動体の重心が支持軸53よりも接触部51の側に片寄った位置になるよう設定されている。
【0043】
また、検出揺動体50は、排出収容部12に原稿2が排出されて存在していないときには、接触部51(の最下部51a)が排出収容部12の収容面13から所望の間隔Eをあけた非接触の状態となり(図3、図6)、排出収容部12に原稿2が排出されて収容され始めるときには接触部51がその積み重ねられる原稿2に持ち上げられるようにして(その積み重なる量に応じて)上昇する方向B2に移動(変位)する状態になる(図6の二点鎖線で示す状態を参照)。なお、検出揺動体50は、例えば図6に示すように、その一部が停止部材54に接触することで接触部51が矢印B2で示す方向への揺動が阻止されることで排出収容部12の収容面13と非接触の状態に保たれるようになっている。
【0044】
接触部51は、排出搬送部25における排出ロール対26(排出口に相当する)から排出された直後の原稿2が触れることにより、その都度、上昇する方向B2に揺動することを回避する観点から、例えば、その最下部51aが、排出ロール対26から最小原稿の送り方向サイズ(例えばA5判原稿の縦送り時の長さ210mm)程度の距離Lだけ離れた位置で、排出収容部12の収容面13に積載される原稿2の上面に接触するように形成される(図3)。
【0045】
被検出部52は、接触部51の動きに連動して支持軸53を中心に揺れ動き、その位置が移動して変位する。検出揺動体50は、その被検出部52が、このセンサ45の発光部46と受光部48の間(検出空間)を通過して出入りするように設置されている。また、被検出部52は、センサ45の検出光47を遮断できるように構成されている。
【0046】
また、収容検出装置16は、図7に示すように、予め設定される収容規制量に達する量(枚数)の原稿2が排出収容部12に排出されて収容されたときには、検出揺動体50の被検出部52がセンサ45の受光部48にむかう検出光47(の光路)を遮断する位置(この実施形態ではこの位置を検出装置16の「検出対象位置」とする)に移動した状態になるよう設定されている。また、排出収容部12に原稿2が収容されていないとき又は上記収容規制量に達しない量の原稿2が収容されている段階のときには、図6に示すように、検出揺動体50の被検出部52がセンサ45の受光部48にむかう検出光47を遮断しない位置に移動した状態になるよう設定されている。
【0047】
上記収容規制量は、排出収容部12の収容面13に積み重ねられる原稿2(束)の最上の高さが、次に排出される後続の原稿2によって押し出されない最大の高さHを基準にして設定される(図7)。図3、図7等における二点鎖線Sは、その収容規制量に相当する収容原稿2の最上面の高さを示す。
【0048】
ちなみに、収容規制量について、例えば排出収容部12に収容される原稿2の枚数(総数)で設定した場合には、その搬送して排出される原稿の枚数を計数(カウント)して規定枚数に達した段階で原稿の送り動作を停止させるように制御することができるが、読み取った後の原稿2を読み取り動作継続中に排出収容部12から1枚又は数枚ごとに取り除いたりすると、排出収容部12に排出されて収容される原稿2の積載した高さが低いときでも、規制枚数に達した時点で原稿の搬送動作が停止されてしまう。これであると、適切な制御ができなくなったり、使用者がなぜ読み取り動作(原稿の搬送動作)が不明となる等の不具合が発生してしまう。
【0049】
制御部18は、演算処理装置、記憶部(記憶装置)、入出力装置などで構成されており、記録部に格納されるプログラム及びデータに基づいて原稿送り装置1の動作について制御する。
【0050】
原稿送り装置1の制御部18には、図8に示すように、原稿有無検出装置15と収容検出装置16とで兼用されるセンサ45が接続されており、そのセンサ45の検出情報が入力されるようになっている。また、制御部18は、原稿搬送部14と接続されており、原稿搬送部14における駆動装置に制御信号を送信するようになっている。この他、原稿送り装置1を原稿読取装置8と組み合わせ、その原稿読取装置8側に原稿送り装置1に動作状態や設定条件等に関する情報を表示させる表示部89を設けた場合は、その表示部89が原稿送り装置1の制御部18に接続され、制御部18がその表示部89に必要な情報を表示させるようになっている。表示部89は、必要であれば、原稿送り装置1や画像形成装置に設けるようにしても差し支えない。また、この制御部18は、原稿送り装置1と組み合わせて使用される原稿読取装置8の制御部87と接続されて必要な情報のやり取りがされるようになっている。
【0051】
そして、この制御部18では、図9に示すように、原稿有無検出装置15と収容検出装置16の検出情報に基づく原稿の搬送動作に関する制御を行うようになっている。この制御内容は、制御部18の記憶部に制御プログラム等として格納されている。
【0052】
一方、原稿読取装置8は、前記した自動原稿送り装置1を、筐体80の上面部にその後方端部において支持軸(蝶番)を介して上下方向に揺動させることにより開閉できる状態で取り付けている。
【0053】
この原稿読取装置8は、図1や図2に示すように、その筐体80の上面部のうち自動原稿送り装置1の原稿搬送部14と対向する部分に、原稿2を搬送した状態で読み取る原稿走行式の読取部82を設置している。読取部82は、筐体80の上面部における原稿搬送部14の搬送時期調整ロール対35と回転体36との間の搬送路30と対向する領域にガラス板等の透明板83を取り付け、その透明板83の下に原稿2を照明する照明機器と原稿2からの反射光を光電変換して読み取るライン型のCCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像素子とを主に装備する読取手段84を配置して構成されている。図2中の符号81は外装カバーを示す。
【0054】
また、原稿読取装置8は、その筐体80の上面部のうち自動原稿送り装置1の排出収容部12と対向する部分に、原稿2を停止(固定)した状態で読み取る原稿固定式の読取部85を設置している。読取部85は、筐体80の上面部における排出収容部12と対向する領域に原稿2を乗せるガラス板等の透明板86を取り付け、その透明板86の下に原稿2の読み取りを行う読取手段を配置して構成されている。透明板86に乗せられる原稿2は、自動原稿送り装置1の排出収容部12の下面によって押えられる。
【0055】
この読取部85における読取手段87としては、上記読取部82の読取手段84を透明板86の下方領域を往復(走査)移動するように支持した構成のものが使用できる。他の読取手段87としては、例えば、照明機器と反射板、レンズ等の光学部品を透明板86の下方領域を往復移動する移動体(キャリア)に搭載し、原稿2からの反射光を撮像素子に導いて読み取らせるように構成したものを適用することも可能である。後者の読取手段87を採用する場合は、上記読取部82についても、その読取手段84に代えて、その読取手段87を読取部82の透明板83の直下まで移動させて停止させた状態で読み取りを行うように構成することが可能になる。
【0056】
さらに、原稿読取装置8は、図8に示すように、その装置全体の動作を総括的に制御する制御部87を有している。制御部87は、原稿送り装置1における制御部18と同様に構成されるものである。制御部87には、読み取り動作を開始させるスタートボタン等が配置された操作入力部88が接続されおり、読取装置8の操作に必要な情報が入力されるようになっている。また、制御部87には、読取部82,85が接続されており、その各読取部の読取手段にその各動作(照明、撮像、移動など)に関する制御信号を送信又は受信するようになっている。原稿読取装置8に動作状態や設定条件等に関する情報を表示させる表示部89が設置される場合は、その表示部89が制御部87に接続され、制御部87がその表示部89に必要な情報を表示させるようになっている。
【0057】
次に、この自動原稿送り装置1及び原稿読取装置8による原稿の搬送動作及び読取動作について説明する。
【0058】
原稿の読み取りを行うに際しては、図10に示すように、まず自動原稿送り装置1の収容トレイ10に読み取り対象の複数枚の原稿2が積み重ねた状態で載せられる。
【0059】
この際、自動原稿送り装置1では、その制御部18において、図9に示すように、原稿読取装置8の操作入力部88から読み取り開始指令(信号)が入力されたか否かが確認され(ステップS10)、その読み取り開始指令があった場合はセンサ45がON(オン)の状態であるか否かが確認される(ステップS11)。
【0060】
つまり、原稿送り装置1においては、原稿有無検出装置15及び収容検出装置16が1つのセンサ45を兼用しているため、原稿の読み取りを始める前に、次の2つの要因によりセンサ45がONの状態になる。
【0061】
1つの要因は、収容トレイ10に原稿2が収容されることによるものである。すなわち、この場合は、図10に示すように、原稿2が収容トレイ10に収容されると、原稿有無検出装置15の検出揺動体40がその接触部41を介して原稿2に押されて矢印A2の方向に押し倒されるように揺動する(図5の下部に示す状態を参照)。この接触部41の揺動に伴って検出揺動体40は、その被検出部42がセンサ45の検出光47を遮断しない位置に移動することになるので、センサ45がONの状態になる。
【0062】
もう1つの要因は、排出収容部12に読み取り後の(前記収容規定量Sに達した量の)
原稿2が置かれていないことによるものである。すなわち、この場合は、図10に示すように、一般に新たな原稿の読み取りを開始するときには排出収容部12に読み取り後の原稿2が存在しないことが多いため、収容検出装置16の検出揺動体50がその重心位置の関係により接触部51を先頭に矢印B1方向に下降するように揺動する(図6示す状態を参照)。この接触部51の揺動に伴って検出揺動体50は、その被検出部52がセンサ45の検出光47を遮断しない位置に移動することになるので、センサ45がONの状態になる。
【0063】
このため、ステップS11においてセンサ45がONの状態でない(換言すればOFFの状態である)と判断された場合は、収容トレイ10に読み取り対象の原稿2が収容されていないか、あるいは、排出収容部12に収容規制量に達した量(S)の原稿2が収容されたままで取り除かれていないか、あるいは、その双方のいずれかの状態にあることになる。この場合は、制御部18が、装置使用者に対して例えば収容トレイ10に原稿を載せることを促すメッセージ等の警告と、排出収容部12から原稿2を取り除くことを促すメッセージ等の警告を、原稿読取装置8における表示部89に併せて表示する(ステップS12)。
【0064】
ステップS11においてセンサ45がONの状態であると判断されると、制御部18が原稿搬送部14を作動させるように制御することで、原稿送り装置1による原稿の搬送動作が実行される(ステップS13)。
【0065】
原稿の搬送動作は、まず、原稿搬送部14における送出部20の送出装置21によって収容トレイ10の最上位にある原稿2を1枚ずつ原稿搬送路30に送り出すことで開始される。
【0066】
この際、送出装置21は、繰出しロール22が収容トレイ10上の原稿2に接触して回転することにより、その原稿2を複数枚重なり合った状態で搬送ロール23とパッド部材24の間の接触部にむけて送る。しかる後、搬送ロール23とパッド部材24の間において、下方に位置する原稿をパッド部材24により接触部の手前で停止させられて最上位の原稿と分離させた状態にし、最上位の原稿のみを搬送ロール23の搬送力によって上記接触部を通過させて原稿搬送路30に送り出す。
【0067】
続いて、送出装置21で送り出された原稿2は、原稿搬送路30内の搬送ロール対34で搬送され、その搬送先端部が搬送時期調整ロール対35に達すると、その調整ロール対35により一旦停止させられた後、読取タイミングに合わせて読取部82の透明板83を通過するように送り出される。読取部82では、移動する原稿2に記録されている情報(文字、図形、写真画像など)が読取手段84によって読み取られる。読取部82を通過する原稿2は、図示しない原稿押さ部材により透明板83に押さえつけられとともに、その搬送先端部の側が回転体36に接触し得る状態で搬送される。
【0068】
読み取りが終了した原稿2は、搬送時期調整ロール対35の搬送力を受けて原稿搬送路30内を排出搬送部25にむけて搬送された後、最後に排出搬送部25において排出ロール対26により搬送されることにより排出収容部12に排出される。
【0069】
排出収容部12に排出される原稿2は、その搬送先端部が排出収容部12の収容面13に落下するように排出されるとともにその収容面13に接触しながら移動し、最後に、その搬送後端部が排出ロール対26から離れて収容面13に落下して保持されることで収容された状態になる。
【0070】
この原稿送り装置1では、上記したような原稿2の搬送動作が収容トレイ10に収容されている原稿2の枚数分だけ同様に繰り返される。これにより、排出収容部12の収容面13には、読み取り後の複数枚の原稿2が積み重ねられるようにして収容される。
【0071】
特に、2枚目以降の原稿2は、排出収容部12に排出される際、その搬送先端部が収容面13に既に収容されている先行の原稿2の上面に接触しながら移動する。この際、収容検出装置16の検出揺動体50の接触部51と排出収容部12の収容面13との間に距離E(図3)の隙間が存在するので、初期の段階(原稿の収容高さが距離Eに近づく前の時期)で収容される原稿2がその接触部51の存在で収容状態が阻害されることはない。この他、排出収容部12に既に収容されている先行の原稿2の最上のものなどは、後から排出される後続の原稿2の搬送先端部が接触して移動することで、収容面13から押し出されるような作用を少し受ける。
【0072】
また、この原稿送り装置1では、排出収容部12の収容面13にある一定量以上(収容された原稿2の高さが前記した間隔Eを超える量)の原稿2Aが積載され始めると、図10に示すように、その最上の原稿2の上面が収容検出装置16における検出揺動体50の接触部51と接触するようになり、その後、収容される原稿2の量が増えるにつれて、その原稿2が検出揺動体50の接触部51を矢印B2の方向に持ち上げるように揺動させ始める(図6の二点鎖線で示す状態を参照)。
【0073】
そして、この原稿送り装置1では、原稿の搬送動作(読取動作を含む)が実行されている間、制御部18において、搬送する1枚分の原稿2の読み取りが終了(例えば原稿2の搬送時における後端部の読み取りが終了)する毎にセンサ45がOFF(オフ)の状態であるか否かを検出し続ける(ステップS14〜S15)。この際、センサ45がOFFの状態でない(換言すればONの状態である)と判断されている間は、原稿の搬送動作が続行される。
【0074】
センサ45がOFFの状態であると判断されると、制御部18が原稿搬送部14の作動を停止させるように制御することで、少なくともOFF状態検出後における後続(残り)の原稿の搬送動作を禁止して停止させる(ステップS16)。
【0075】
原稿送り装置1においては、原稿有無検出装置15及び収容検出装置16が1つのセンサ45を兼用しているため、次の2つの要因によりセンサ45がOFFの状態になる。
【0076】
1つの要因は、収容トレイ10に収容されていた原稿2が全て搬送されて存在しなくなることによるものである、すなわち、この場合は、図11に示すように、収容トレイ10に収容されていた原稿2が全て送り出されると、原稿有無検出装置15の検出揺動体40がその接触部41を押し倒すように接触していた原稿2が存在しなくなるため矢印A1の方向に揺動する(図5の上部に示す状態)。この接触部41の揺動に伴って検出揺動体40は、その被検出部42がセンサ45の検出光47を遮断する位置(検出対象位置)に移動することになるので、センサ45がOFFの状態になる。
【0077】
この要因の場合は、搬送すべき原稿2が収容トレイ10に存在しないため、原稿搬送部14による原稿の搬送動作が終了することになる。なお、この要因でセンサ45がOFFの状態になる場合は、排出収容部12に収容される原稿の量(収容原稿2Aの高さ)が収容規定量(S)に達していないときとなる。つまり、収容検出装置16における検出揺動体50の被検出部52がセンサ45の検出光47を遮断する位置まで揺動していない状態にあるとき(遮断しない位置にあるとき)となる。
【0078】
もう1つの要因は、収容トレイ10に収容されている原稿2が残っている段階で排出収容部12に収容された原稿2の量が前記収容規制量Sに達したことによるものである。すなわち、この場合は、図12に示すように、排出収容部12に収容された原稿2の存在により、収容検出装置16の検出揺動体50が、その最上の原稿2の上面に接触する接触部51を介して持ち上げられるように矢印B2の方向に揺動する。この際、接触部51の最下部51aが収容規制量Sに達する位置まで揺動して移動する(図7、図12参照)。この接触部51の揺動に伴って検出揺動体50は、その被検出部52がセンサ45の検出光47を遮断する位置(検出対象位置)に移動することになるので、センサ45がOFFの状態になる。
【0079】
この要因の場合は、搬送すべき原稿2が収容トレイ10に残っているにもかかわらず原稿の搬送動作が禁止されて中止される。しかし、排出収容部12に既に収容規制量Sに達した収容されている収容原稿2(S)の最上のものなどが、後から収容される原稿2の搬送先端部が接触して移動することによって排出収容部12(の収容面13)から押し出される作用を受けることがなくなる。
【0080】
この結果、既に収容されている原稿2が後から収容される原稿2により押されることにより、排出収容部12の収容面13から押し出されて落下する等の不具合が発生することが未然に防止される。これにより、排出収容部12に収容される原稿2が、排出収容部12の収容面13から床面等の装置設置場所に落下することによって、例えば、折曲がった状態になったり、あるいは、汚れてしまう等の問題が発生することを回避することが可能になる。
【0081】
また、排出検出装置16における検出揺動体50の接触部51が排出収容部12に積み重ねて収容されるときの原稿2の上面に接触して原稿2を排出収容部12の収容面13にむけて押える状態になる。このため、原稿2の収容状態(姿勢)が安定するようになり、また、後から収容される原稿2の搬送先端部2aが接触しても(湾曲して変形した状態になった先端部が接触した場合でも)、既に収容されている原稿2が動きにくい安定した状態に保たれる。
【0082】
なお、この第2の要因で原稿の搬送動作が停止した場合は、排出収容部12に収容された原稿2を取り除くことで、収容検出装置16の検出揺動体50が矢印B1方向に揺動してセンサ45がONの状態になるため(図6)、収容トレイ10に残っている原稿2の搬送動作及び読取動作を再開することが可能な状態になる。このときの原稿2の搬送動作及び読取動作の再開は、読み取り開始指令を発生するための動作を再度行うことで実行される。
【0083】
この自動原稿送り装置1では、収容検出装置16における検出揺動体50の接触部51が、排出ロール対26から距離Lだけ離れた位置で排出収容部12に積み重ねて収容される原稿2の上面に接触する。
【0084】
このため、排出収容部12に収容される原稿2の量が収容規制量Sに達する前の搬送段階において、排出ロール対26から排出された直後の原稿2の搬送先端部などが、検出揺動体50の接触部51に接触することが少なくなり、原稿2が排出される毎に検出揺動体50を上昇する矢印B2の方向に揺動させる現象が発生しにくくなる。これにより、原稿2が排出される度に、検出揺動体50が矢印B2方向に揺動してセンサ45がオフの状態になって原稿の搬送動作が停止させられることが頻発することがない。この結果、原稿の搬送動作ひいては読取動作のスピードが遅くなって生産性が低下してしまうことが低減される。
【0085】
また、この自動原稿送り装置1では、図3等に示すように、排出ロール対26から排出収容部12にむけて排出されるときの原稿2の搬送先端部2aが収容検出装置16における検出揺動体50の一部、特に接触部51に直接接触しない状態で移動するように案内する排出案内板17を設けている。
【0086】
排出案内板17は、収容トレイ10の裏面側の排出ロール対26と検出揺動体50の接触部51の間となる位置に、排出収容部12の収容面13にむけて突出する状態で形成されるリブ状のものである。この実施形態における排出案内板17は、全体が逆三角形状の形状で形成されている。詳しくは、排出案内板17は、排出ロール対26から少し離れた位置から収容面13に次第に近づくとともに接触部51の最下部51aにも近づく状態で傾斜する傾斜面17aを有するとともに、その最下部17bが収容規制量Sよりも距離Mだけ高い位置(離れた位置)になるように形成されている。
【0087】
この排出案内板17を設けたことにより、排出ロール対26から排出収容部12にむけて排出されるときの原稿2の搬送先端部2aは、図13に二点鎖線で示すように、まず排出案内板17の傾斜面17aに接触して排出収容部12の収容面13に近づく方向に誘導される。その後、原稿の搬送先端部2aは、収容面13に接触し、排出案内板17の最下部17bと収容面13の間で支持されて湾曲した状態になり収容面13にそって進むように移動させられる。
【0088】
この結果、排出ロール対26から排出収容部12に排出されるときの原稿2は、その搬送先端部2aが検出揺動体50の一部、特に接触部51に直接接触しない状態で移動した後、収容面13上に良好に収容される。また、収容面13に収容される原稿2の量が多くなると(原稿の収容高さが接触部51と収容面13の間隔Eを満たす量)、その収容されるときの原稿の搬送先端部2aは、検出揺動体50の接触部51の最下部51aに接触して移動するようになり、その後は接触部51の内側面51bに接触した後に最下部51aに接触して移動するようになる。しかし、いずれの段階でも、原稿の搬送先端部2aは排出案内板17に案内された後に検出揺動体50の接触部51に接触するようになる。
【0089】
これにより、排出ロール対26から排出収容部12に排出されるときの原稿2の搬送先端部2aが検出揺動体50の一部に直接接触して接触部51が上昇する矢印B2の方向に無用に動かされることがなくなり、その検出揺動体50の検出部52が必要以上に揺り動かされてセンサ45がOFFの状態になることで原稿の搬送が必要以上に中断されることがなくなる。このことにより、検出揺動体50については、その接触部51が排出収容部12に収容されている原稿2の上面に接触する位置を排出ロール対26側に近づく側にずらして(図3に示す排出ロール対26からの離間距離Lを短くして)、検出揺動体50の排出収容部12側に突出する長さを短くすることが可能になる。
【0090】
図14は、排出案内板17を設けない場合の構成例を例示したものである。図示の構成例は、収容トレイ10の裏面に形成されるリブ10bのうち検出揺動体50の接触部51と排出ロール対26の間となる位置に、そのリブ10bの高さJが接触部51に近づくにつれて次第に高くなって収容面13に次第に近づくような傾斜部10cを形成している。
この場合は、同図に二点鎖線で示すように、排出ロール対26から排出収容部12に排出されるときの原稿2の搬送先端部2aが検出揺動体50の一部(接触部51の内側傾斜部51b)に直接接触することがある。
【0091】
しかし、この図14に示す構成例の場合であっても、例えば以下の構成を採用することで、排出ロール対26から排出収容部12に排出されるときの原稿2の搬送先端部2aが検出揺動体50の一部に直接接触する割合を低減させることができる。
【0092】
その1例としては、検出揺動体50について、その接触部51(の最下部51a)の排出収容部12に収容される原稿2の上面と接触する位置(排出ロール対26からの離間距離)が、前記した距離L(図3)よりも更に遠く離れた距離K(>L)に相当する位置となるように形成することができる(図14中の二点鎖線で示す接触部51Bを参照)。また他の例としては、検出揺動体50について、例えば、その接触部51に内側傾斜部51bから露出する状態で容易に回転する回転体を取り付ける構成や、その接触部の最下部51aに露出して回転する回転体を取り付けるとともに接触部51の重量を少し重くする構成や、接触部51の幅(原稿排出方向とほぼ直交する方向の寸法)大きくして当該構成部分51の重量を増やす構成を採用することも可能である。
【0093】
この他、自動原稿送り装置1では、原稿有無検出装置15と収容検出装置16について、その各検出揺動体40,50の被検出部42,52が各検出対象位置に移動したときにOFFの状態となるように形成されている(図5の上部に示す状態、図7に示す状態)。このため、例えばセンサ45が故障したり、あるいはセンサ45等の接続部品が外れてしまう等の不測の現象が発生したことが原因でセンサ45がオフの状態になって正常な検出情報が得られない状況になったときでも、制御部18により原稿の搬送が禁止されて安全な状態に保たれるように制御される。
【0094】
次に、以上説明したような自動原稿送り装置1を組み合わせた原稿読取装置8を適用する画像形成装置100について説明する。
【0095】
図1に示す画像形成装置100は、その筐体101の上部に、自動原稿送り装置1を組み合わせた原稿読取装置8を搭載するように設置している。また、この画像形成装置100は、その筐体101の内部に、用紙9に画像を形成する作像装置110と、画像形成に使用する用紙9を収容して作像装置110に供給する給紙装置130と、原稿読取装置8等から入力される画像情報を所要の画像処理を施して最終の画像情報を生成する画像処理装置140とを主に設置している。用紙9は、作像装置110における画像の形成とその搬送が可能なシート状の記録媒体である。
【0096】
画像処理装置140は、原稿読取装置8と、その読取装置8で読み取られる原稿の画像情報が入力されるように接続されている。また、画像処理装置140には、画像形成装置100と接続されるコンピュータ等の外部接続機器で生成される画像情報が入力されたり、あるいは、画像形成装置100に接続又は装備される記録媒体読み込み装置で読み込まれる画像情報が入力される。この画像処理装置140で生成された最終の画像情報は、画像形成時になると作像装置110における後記の露光装置(114)に送信される。
【0097】
作像装置110は、例えば、公知の電子写真方式を利用して構成されたものである。この実施形態における作像装置110は、矢印で示す方向に回転する感光体112を帯電装置113により帯電し、その帯電された感光体112に画像処理装置140から送信される画像情報に応じた露光を露光装置114により行って静電潜像を形成した後、その潜像を現像装置115から供給する現像剤(トナー)で現像してトナー像とし、最後に感光体112上のトナー像を転写装置116により用紙9に転写する。転写後の感光体112は、清掃装置117で清掃される。
【0098】
また、この作像装置110では、トナー像が転写された用紙9を定着装置120に搬送し、そのトナー像を用紙9に定着させる。定着装置120としては、例えば所要の温度に加熱されて回転する加熱回転体121と、その加熱回転体121に加圧下で接触して回転する加圧回転体122とを備えたものが使用される。
【0099】
給紙装置130は、例えば、筐体10の下部において引き出し自在に装着されて複数枚の用紙9を収容する給紙カセット131と、その給紙カセット131から用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置132とを備え、画像形成時に用紙9を作像装置110の転写位置(感光体112と転写装置116の間)に搬送して供給するものである。図1の矢付き一点鎖線は用紙9が搬送される主な搬送経路を示す。また、図1において符号135〜138は、用紙9を搬送する搬送ロール対である。
【0100】
作像装置110で画像が形成された後の用紙9は、定着装置120から排出された後に、筐体101の上部に形成された排紙収容部102に排出される。
【0101】
さらに、画像形成装置100は、図8に示すように、その装置全体の動作を総括的に制御する制御部150を有している。この制御部150は、原稿送り装置1における制御部18と基本的にほぼ同様の構成部品で構成されている。また、制御部150は、原稿送り装置1の制御部18と原稿読取装置8の制御部87と接続されており、互いに必要な情報がやり取りされるようになっている。
【0102】
制御部150には、画像形成を行うときの動作条件等の情報の入力や設定の選択などを行うタッチ式表示パネル、ボタン類等が配置された操作入力部160が接続されおり、画像形成装置100の操作に必要な情報が入力されるようになっている。この操作入力部160は、原稿読取装置8の操作入力部88を含めた構成とすることもできる。また、画像形成装置100に動作状態や設定条件等に関する情報を表示させる表示部170が設置される場合は、その表示部170が制御部160に接続され、制御部150がその表示部170に必要な情報を表示させるようになっている。この表示部170は、原稿送り装置1の表示部19や原稿読取装置8の操作入力部88を含めた構成とすることもできる。
【0103】
この画像形成装置100においては、原稿読取装置8で読み取られる原稿2の画像情報に基づく画像の形成を行う際、その原稿読取装置8の読取部82に対して自動原稿送り装置1により原稿2が搬送されてその読み取りが行われる。
【0104】
この原稿2の搬送及び読み取りが行われる時期においては、読み取り対象の原稿2が収容トレイ10に残っているにもかかわらず、原稿送り装置1の排出収容部12に収容される読み取り後の原稿2が収容規制量Sに達すると、前述したように、その状態が収容検出装置16により検出されて原稿2の搬送動作が停止させられる。このため、その自動原稿送り装置1の排出収容部12に既に収容されている原稿2の一部(特に最上の原稿など)が後から収容される後続の原稿2により、その排出収容部12から押し出されて落下する等の不具合が発生することがなく、画像の形成が行われる。
【0105】
この画像形成装置100は、いわゆる複写機として使用される画像形成装置であるが、この他にも、例えば、通信機能を備えたファクシミリとして使用される画像形成装置や、複写(コピー)機能に加えてプリンタ機能、ファクシミリ機能等の他の機能を複数備えたいわゆる複合機として使用される画像形成装置であってもよい。このうちファクシミリ又はファクシミリ機能を備えた画像形成装置として構成した場合には、ファクシミリとして通信する原稿2の情報を読み取る際に、原稿送り装置1の排出収容部12に既に収容されている原稿2の一部(特に最上の原稿など)が後から収容される後続の原稿2により、その排出収容部12から押し出されて落下する等の不具合が発生することがない。
【0106】
[他の実施形態]
第1の実施形態に係る自動原稿送り装置1では、収容検出装置16における検出揺動体50の被検出部52を、原稿有無検出装置15における検出揺動体40の被検出部42を検出する光学式のセンサ45を兼用して1つの共通するセンサで検出するように構成した場合を例示したが、その検出揺動体50の被検出部52を専用のセンサを用いて検出するように構成することもできる。また、各検出揺動体40,50の被検出部42,52は、光学式のセンサ45に代えて、スイッチ式の検出装置を用いて検出するように構成しても構わない。
【0107】
また、自動原稿送り装置1は、原稿2の両面の読み取りを行うため、その第1面の読み取りが終了した後の原稿2をその表裏面を反転した状態にして原稿読取装置8の読取部82を再び通過するように搬送する反転再送路が設置されたものであっても差し支えない。さらに、自動原稿送り装置1は、原稿2を1回搬送する際に、その表裏面の読み取りを行うために、原稿読取装置8の読取部82で読み取られる原稿2の面とは反対側の面の読み取りを行うための読取手段を、原稿送り装置1側(例えば搬送時期調整ロール対35と排出ロール対26との間の原稿搬送路)に設置することも可能である。この場合は、原稿送り装置1は、原稿の片面を読み取る読取機能を備えたものになる。
【0108】
また、第1の実施形態では、自動原稿送り装置1を原稿読取装置8と組み合わせて一体にした構成例を例示したが、自動原稿送り装置1は、原稿読取装置8がなく単体の装置として構成することも可能である。また、自動原稿送り装置1を原稿読取装置8と一体にしたものを画像形成装置100と組み合わせて使用する場合を例示したが、画像形成装置100がなく、その自動原稿送り装置1を原稿読取装置8と一体にした単体の装置(自動原稿読取装置)として構成することも可能である。
【0109】
さらに、第1の実施形態では、画像形成装置100として、電子写真方式を利用して構成される作像装置110を適用した場合を例示したが、自動原稿送り装置1を組み合わせた原稿読取装置8で読み取った原稿2の情報を用いて画像の形成を行うものであれば、他の作像方式を採用した画像形成装置として構成することも可能である。他の作像方式としては、インク吐出方式、感熱記録方式等の公知の方式が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1の実施形態に係る自動原稿送り装置、原稿読取装置及び画像形成装置の概要を示す一部断面説明図である。
【図2】図1の自動原稿送り装置と原稿読取装置の全体を拡大して示す一部断面説明図である。
【図3】図2の自動原稿送り装置の要部(原稿有無検出装置及び収容検出装置など)を拡大して示す説明図である。
【図4】図2の自動原稿送り装置における原稿有無検出装置及び収容検出装置などの構成部分を上面側から見た場合の説明図である。
【図5】原稿有無検出装置の構成及び動作状態を示す説明図である。
【図6】収容検出装置の構成及び動作状態(センサがON状態となる場合の状態)を示す説明図である。
【図7】収容検出装置の構成及び動作状態(センサがOFF状態となる場合の状態)を示す説明図である。
【図8】自動原稿送り装置、原稿読取装置及び画像形成装置の各制御部とその周辺の構成を示すブロック図である。
【図9】自動原稿送り装置による原稿の搬送動作に関する制御内容を示すフローチャートである。
【図10】自動原稿送り装置の1つの動作状態(原稿の搬送動作の開始前及び実行時)を示す説明図である。
【図11】自動原稿送り装置の他の動作状態(原稿の搬送動作の停止の第一形態)を示す説明図である。
【図12】自動原稿送り装置の他の動作状態(原稿の搬送動作の停止の第二形態:収容規制量に達した場合)を示す説明図である。
【図13】自動原稿送り装置の原稿案内部材がある場合における原稿の排出状態を示す説明図である。
【図14】自動原稿送り装置の原稿案内部材がない場合における原稿の排出状態などを示す説明図である。
【符号の説明】
【0111】
1 …自動原稿送り装置
2 …原稿
2a…搬送先端部(先端部)
8 …原稿読取装置
10…収容トレイ(収容部)
12…排出収容部(排出部)
13…収容面(排出部の原稿が収容される部分)
14…原稿搬送部(搬送装置)
17…原稿案内板(原稿案内部材)
18…制御部(制御手段)
21…送出装置(搬送装置の一部)
26…排出ロール対(搬送装置の一部)
34…搬送ロール対(搬送装置の一部)
35…搬送時期調整ロール対(搬送装置の一部)
40…検出揺動体(第2の揺動部材)
41…接触部
42…被検出部
43…支持軸(支点)
50…検出揺動体(第1の揺動部材)
51…接触部
52…被検出部
53…支持軸(支点)
82…読取部
100…画像形成装置
110…作像装置
S …収容規制量
E …間隔(非接触の状態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の原稿を収容し得る収容部と、
読み取られた後の原稿を積み重ねて収容する排出部と、
前記収容部に収容された原稿をその原稿が読み取られる読取部を経由させて前記排出部に至るまで搬送する搬送装置と、
前記排出部に積み重ねられる原稿の上面に触れる接触部と検出される被検出部を有するとともに支点を中心に揺れ動く第1の揺動部材と、
前記第1の揺動部材の被検出部が前記排出部の収容規制量に相当する検出対象位置に移動したことを検出する検出装置と、
前記検出装置からの検出情報を得たときに前記搬送装置の搬送動作を禁止する制御手段と
を有することを特徴とする自動原稿送り装置。
【請求項2】
前記収容部に収容される原稿により押される接触部と検出される被検出部を有するとともに支点を中心に揺れ動く第2の揺動部材を有し、
前記検出装置は、前記第1の揺動部材の被検出部を検出することに加えて、前記第2の揺動部材の被検出部が前記収容部に原稿が存在しないときの検出対象位置に移動したことを検出するように兼用されることを特徴とする請求項1に記載の自動原稿送り装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出装置から前記第1の揺動部材及び第2の揺動部材の少なくとも一方の被検出部を検出した情報を得たときに前記搬送装置の搬送動作を禁止することを特徴とする請求項2に記載の自動原稿送り装置。
【請求項4】
前記第1の揺動部材は、その被検出部が前記検出対象位置に実際に達していない段階で前記排出部に収容される原稿によって移動させられて前記検出装置で検出されることがないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動原稿送り装置。
【請求項5】
前記排出部に搬送されて収容されるときの原稿の先端部を前記第1の揺動部材に直接接触させない状態で移動させる原稿案内部材を設けたことを特徴とする請求項1又は4に記載の自動原稿送り装置。
【請求項6】
前記第1の揺動部材の接触部は、前記排出部の原稿が収容される部分に対して非接触の状態に保たれていることを特徴とする請求項1に記載の自動原稿送り装置。
【請求項7】
前記検出装置は、第1の揺動部材及び第2の揺動部材における各被検出部の位置が変動することによってオン状態又はオフ状態になる機能を有し、
前記第1の揺動部材及び第2の揺動部材は、その各被検出部が前記各検出対象位置にそれぞれ移動したときに前記検出装置がオフ状態になるよう設置されていることを特徴とする請求項2に記載の自動原稿送り装置。
【請求項8】
原稿を読み取る読取部と、
前記読取部に原稿を送って通過させる自動原稿送り装置として請求項1〜7のいずれかに記載の自動原稿送り装置と
を有することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の原稿読取装置と、
前記原稿読取装置で読み取られる原稿の情報に基づく画像を形成する作像装置と
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−128121(P2010−128121A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301878(P2008−301878)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】