説明

自動変速機のセレクトアシスト装置

【課題】 セレクトレバーとレンジ位置切り換え装置の機械的連結によりフェール時のレンジ切り換え操作を可能にしつつ、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を図ることができ、しかも要求に応じたセレクトレバー操作力特性を得ることができる自動変速機のセレクトアシスト装置を提供する。
【解決手段】 コントロールユニット22は、セレクトレバーに加わる操作力から、その結果発生する操作位置の変位までの伝達関数{1/(Js2+Ds+K)}を構成するパラメータに対し、全てのパラメータもしくは一部のパラメータの、実際の値と、理想的な操作感を得る理想値に基づいて、セレクトレバーの操作状態から、アシストアクチュエータへの駆動指令値を演算する駆動指令値演算部31とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機を備えた車両において、ドライバのセレクトレバー操作力を補助する自動変速機のセレクトアシスト装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動変速機のセレクトレバーは、ロッドやケーブル等の操作力伝達手段を介して自動変速機のマニュアルバルブと機械的に連結されている。セレクトレバーに入力されるドライバの操作力は、操作力伝達手段を介してマニュアルバルブに伝達され、操作量に応じてレンジ位置が切り換えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、セレクトレバーとマニュアルバルブとが電気的に接続された、いわゆるシフトバイワイヤ技術を用いたものが知られている。この従来技術は、マニュアルバルブを作動するアクチュエータを設け、セレクトレバーの回動操作を電気信号に変化してアクチュエータを駆動することにより、レンジ位置を切り換えるものである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−323559号公報
【特許文献2】特開2003−97694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セレクトレバーの操作時には、操作力伝達手段のフリクション、ディテントの抵抗等、機械的な操作反力が発生するため、大きな操作力が要求される。よって、ドライバの必要操作力を小さくするために、セレクトレバーの長さを十分な梃子力が得られる長さに設定する必要がある。
【0005】
したがって、上記従来技術のうち前者にあっては、セレクトレバーの長さに起因して形状が大きくなるため、設置場所に制約が多く、車室内におけるレイアウト自由度が低いという問題があった。
【0006】
一方、後者では、アクチュエータの採用によってセレクトレバーを短く設計でき、前者と比較してレイアウト自由度は高くなる。ところが、セレクトレバーとマニュアルバルブとが機械的に連結していないため、フェール時にレンジ切り換えが不能となる。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、セレクトレバーとレンジ位置切り換え装置の機械的連結によりフェール時のレンジ切り換え操作を可能にしつつ、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を図ることができ、しかも要求に応じたセレクトレバー操作力特性を得ることができる自動変速機のセレクトアシスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置では、セレクトレバーと自動変速機のセレクト位置切換装置とがセレクト操作力伝達系により連結され、前記セレクト操作力伝達系にはドライバによるセレクト操作力をアシストするアシストアクチュエータが設けられた自動変速機のセレクトアシスト装置において、前記セレクトレバーの操作状態を検出する操作状態検出手段を設け、前記アシストアクチュエータの駆動を制御するアシスト制御手段を設け、前記アシスト制御手段は、前記セレクトレバーに加わる操作力から、その結果発生する操作位置の変位までの伝達関数を構成するパラメータに対し、全てのパラメータもしくは一部のパラメータの、実際の値と、理想的な操作感を得る理想値に基づいて、前記セレクトレバーの操作状態から、前記アシストアクチュエータへの駆動指令値を演算する駆動指令値演算手段とを備え、前記パラメータは、各レンジ切換位置に相当する操作位置に位置しやすくなるようチェック力を前記セレクトレバーに加えるよう設けるチェック機構の操作位置に対する発生力の傾きに相当するばね定数と、前記セレクトレバーの操作速度に比例して発生する粘性摩擦力の成分に対しての粘性摩擦係数と、前記セレクトアシスト装置の各部のイナーシャをセレクトレバーの回転軸上のイナーシャに換算したセレクトレバー回転軸換算イナーシャであることを特徴とする。
【0009】
なお、請求項におけるチェック機構は、実施例中において、チェック機構とディテント機構を合成したものとする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明では、セレクトレバーとレンジ位置切り換え装置の機械的連結を保持しつつ、ドライバのレバー操作力をアシストアクチュエータで補助することにより、フェール時のレンジ切り換え操作の確保と、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を共に達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の自動変速機のセレクトアシスト装置を実現する実施の形態を、請求項1,2に対応する実施例1、請求項3に対応する実施例2、請求項4に対応する実施例3、請求項5に対応する実施例4、請求項6に対応する実施例5に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の自動変速装置の構成を示す側面図、図2はアシストアクチュエータの細部構造を示す要部斜視図である。
【0013】
実施例1の自動変速装置は、セレクト機構部1と、コントロールケーブル8と、アシストアクチュエータ9と、コントロールケーブル18と、自動変速機19と、コントロールユニット(アシスト力制御手段)22とを主要な構成としている。
【0014】
前記セレクト機構部1は、ドライバにより操作されるセレクトレバー2を有し、例えば、運転席脇のセンタクラスタ3に設けられている。セレクトレバー2の上端には、セレクト操作時にドライバが把持するためのセレクトノブ4が付設されている。セレクトレバー2は、支点軸5を中心として回動操作され、従来の一般的なセレクトレバーよりも250mm短い100mmに設定されている。
【0015】
前記セレクトレバー2の下端部には、セレクトレバージョイント7を介してプッシュプル式のコントロールケーブル8が接続されている。コントロールケーブル8は、入力レバージョイント11を介してアシストアクチュエータ9の入力レバー10と回動自在に接続されている。すなわち、セレクトレバー2の回転運動が直線運動に変換され、セレクトレバー2の操作により発生した操作力が入力レバー10に伝達される。
【0016】
前記入力レバー10は、回動可能に設けられた出力軸12を介して出力レバー13と連結されている。出力軸12には、ウォームギア14が設けられており、このウォームギア14は、減速機構を備えた電動モータ15のモータ出力軸16と噛み合っている。
【0017】
前記出力レバー13には、出力レバージョイント17を介してプッシュプル式のコントロールケーブル18が接続されている。コントロールケーブル18は、自動変速機19の制御アーム20と接続されている。すなわち、コントロールケーブル18により出力レバー13の回転運動が直線運動に変換され、ドライバの操作力と電動モータ15の駆動力との合成力が自動変速機19の制御アーム20に伝達される。
【0018】
前記ウォームギア14には、位置検出のための接触子24が取り付け固定されている。この接触子24がウォームギア14と一体に回動し、図示しない基板に印刷されたカーボン抵抗と電気的に接触することにより、セレクトレバー2のストローク角度に応じた電圧信号をコントロールユニット22に出力する。この接触子24とカーボン抵抗とからポテンショメータ(操作位置検出手段)25が構成されている。
【0019】
このポテンショメータ25は、セレクトレバー2がPレンジ位置で停止しているときの角度を基点角度として、セレクトレバー2のストローク角度を随時検出する。
【0020】
前記コントロールユニット22は、検出されたセレクトレバー2のストローク角度に基づいてアシスト力を設定し、電動モータ15の出力デューティ比をPWM制御する。
【0021】
図3に、コントロールユニット22の制御ブロック図を示す。
前記セレクト機構部1において、レンジ切り換え操作されたセレクトレバー2のストローク変化は、コントロールケーブル8を介してアシストアクチュエータ9のポテンショメータ25へ入力される。ポテンショメータ25では、セレクトレバー2の操作量に応じたストローク角度が検出され、ストローク角度信号としてコントロールユニット22へ入力される。
【0022】
駆動指令値演算部31は、乗算器311を備え、ポテンショメータ25からの操作位置を入力とし、駆動指令値を演算する。
ここで、乗算器311で操作位置に乗じるゲインは、Ki-Kの式により表され、Kはチェックばね定数であり、KiはKの理想値である。
モータ駆動制御部32は、駆動指令値に従って、アシストアクチュエータ9を駆動する。
【0023】
次に、自動変速機19のディテントの構造について説明する。
図4は、自動変速機19のディテントの構造を示す斜視図である。
制御アーム20には回転シャフト26が設けられ、この回転シャフト26にディテントプレート27が支持されている。ディテントプレート27の上端には、カム山27aの間に5つのレンジ(P・R・N・D・L)に対応した谷部27bが形成されている。そして、この谷部27bにバネ板28の先端に形成されたディテントピン29を係合させ、選択されたレンジ位置を保持することにより、車両の振動等に起因する意図しないレンジセレクトを防止している。
【0024】
すなわち、セレクトレバー2の操作力により回転シャフト26が回動し、この回動に応じてディテントプレート27がディテントピン29に対して相対移動する。このとき、ディテントピン29がカム山27aを乗り越えて隣のレンジに対応した谷部27bと係合し、係合状態がバネ板28の弾性力により保持される。この弾性力が、セレクトレバー2を操作する際の主要な負荷力となる。
【0025】
なお、ディテントプレート27には、パーキングポール30の一端が回動自在に連結されている。このパーキングポール30は、セレクトレバー2をPレンジに移動させたとき、カム状プレート31を介してパーキングギア32の回転を阻止し、図外の駆動輪をロックするものである。これにより、勾配路上にPレンジで車両を駐車したとき、勾配に応じて駆動輪をロックするように車重負荷が加わり、パーキングポール30を咬む力として作用する。
【0026】
次に、チェック機構部について説明する。
実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、図2で説明した出力軸12に、さらに、上記で説明したディテントプレート27と同様に働くものをチェックプレート51として設け、ディテントピン29、バネ板28と同様に働くものをチェックピン52、バネ53として設ける。
この構成の概要を図13に示す。図13は実施例1におけるディテント力、チェック力に関する構成の概略図である。
このチェック機構とディテント機構により、後に説明するディテント力が合成されることになる。
【0027】
ところで、このチェック機構は、図14に示すように、セレクトレバー2の回転軸と同軸となるように構成したものであってもよい。
なお、ロッド、ケーブル共に、剛性が有限である(無限大でない)ことを考えると、セレクトレバー軸上に、モータチェック機構を持ってきた図14の構成の方が、プラントの伝達関数を2次(1/(Js+Ds+K))で近似した場合の近似化誤差が生じ難く、より性能が得られやすいと考えられる。
【0028】
次に、実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置のコントロールユニット22の駆動指令値演算部31の詳細について説明する。
図9は、操作位置に対するチェック力とディテント力の合成発生力の関係を示すグラフ図である。
図10は、操作位置に対するチェック力とディテント力の合成力のばね定数の関係を示すグラフ図である。
【0029】
ばね定数Kは、図9に示す発生力の傾きのことを指すものである。
そのため、図10に示すように、操作位置に対して変化するものとなる。
よって、駆動指令値演算部31の処理は、単に乗算器311でゲインを乗じるのみではなくなる。このことについて、以下にさらに説明する。
【0030】
図11は実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置のコントロールユニット22の駆動指令値演算部31のブロック図である。
駆動指令値演算部31は、乗算器311、テーブルデータ部312、理想テーブルデータ部313、加算器314からなる。
乗算器311は、演算されたゲインK-Kiと操作位置を乗じる演算を行う。
テーブルデータ部312は、実際のばね定数特性から、操作位置に対するばね定数Kを出力する。
【0031】
理想テーブルデータ部313は、理想のばね定数特性から、操作位置に対する理想のばね定数Kiを出力する。
加算器314は、テーブルデータ部312の出力から、理想テーブルデータ313の出力を減じる演算、つまりK-Kiの演算を行う。
【0032】
また、この駆動指令値演算部31の演算は、図9の発生力の特性に基づいても行うことができる。
図12は実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置のコントロールユニット22の駆動指令値演算部31の他の例のブロック図である。
図12の例では、図9で説明したように操作位置に対するディテント機構とチェック機構の合成発生力の実際の特性をテーブルデータ部315として、操作位置に対する発生力を出力し、ディテント機構とチェック機構の合成発生力の理想の特性を理想テーブルデータ部316として、操作位置に対する発生力を出力する。
【0033】
これを減算して、K-Kiに操作位置を乗じた値に相当するものを演算する。
つまり、テーブルデータ部315から操作位置×Kに相当するものを出力し、理想テーブルデータ部316から操作位置×Kiに相当するものを出力する。そして、これを減算することにより操作位置×(K-Ki)を得るようにするのである。
そのため、図12の構成の場合には、乗算器311は除く構成となる。
【0034】
次に、作用を説明する。
[セレクトレバーのアシスト制御処理]
図5は、コントロールユニット22で実行されるセレクトレバー2のアシスト制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
ステップS1では、ポテンショメータ25のストローク角度信号からストローク角度(操作位置)を読み込み、ステップS2へ進む。
【0036】
ステップS2では、セレクトレバー2のストローク角度と前回の制御周期において読み込んだストローク角度の増減差分から、セレクトレバー2の操作方向を演算し、ステップS3へ移行する。
【0037】
ステップS3では、入力されたストローク角度信号から駆動指令値を演算する。
【0038】
ステップS4では、駆動指令値に従って電動モータ15の出力デューティ比を制御し、本制御を終了する。
【0039】
[自動変速機の操作反力特性]
図6は、P→Rレンジ方向におけるセレクトレバー2、正確には、ドライバの把持するセレクトノブ4に発生する操作反力を示す特性図である。この操作反力特性は、電動モータ15を駆動していない状態で、ドライバがP→Rレンジ方向にセレクトレバー2を操作したとき、アシストアクチュエータ9の出力軸12において操作反力として検出された軸トルクを、セレクトノブ4に発生する操作反力Fm[N]として換算し、ポテンショメータ25により取得されるストローク角度と対比させたものである。
【0040】
この操作反力は、上述した自動変速機19のディテントで発生する負荷力に、コントロールケーブル8,18の摩擦力、電動モータ15のイナーシャ等を合成したものである。すなわち、電動モータ15によるアシスト力がない状態でレンジ切り換えを行うには、この操作反力Fm以上の手動操作力が必要となる。
【0041】
図6に示すように、セレクトレバー2をP→Rレンジ方向に操作したときに発生する操作反力Fmは、各レンジ間において、初めにセレクトレバー2の操作方向と逆方向(D→Nレンジ方向)に発生し、ピーク後に向きを変えて操作方向と同一方向(P→Rレンジ方向)に発生し、レンジ切り換え位置(停止位置)付近でゼロに収束した状態となる。この特性は、ディテントピン29がディテントプレート27のカム山27aを乗り越える際に発生する負荷力に起因している。すなわち、ディテントピン29がカム山27aを乗り越えるまでは、バネ板28の付勢力により抵抗力が発生し、ディテントピン29がカム山27aを乗り越えた後は、ディテントピン29が次のカム山27aの溝に落ち込んで引き込み力(慣性力)が発生するためである。
なお、チェック機構部についてもディテント力と同様の力が加わることになる。これをチェック力と呼ぶ。説明はディテント力と同様のため省略する。
【0042】
[目標操作反力特性]
図7は、P→Rレンジ方向におけるセレクトレバー2の目標操作反力を示す特性図である。この目標操作反力特性は、ドライバにとって節度感のある良好な操作特性が得られる目標操作反力Ft[N]を、セレクトレバー2のストローク角度に応じて予め設定したものである。これに基づいて、図9、図10に示す特性の理想的な特性が生成されることになる。
【0043】
[制御方式の背景技術について]
従来では、例えばフィードバック方式として、操作位置から理想とする操作力のFS特性(操作位置と必要な操作力の関係)のテーブルを検索して、目標操作力を設定する。そして、目標操作力と検出された実際の操作力の差を計算し、差が小さくなるように、駆動指令値を演算する。
【0044】
しかし、レンジ切換えに要する時間は、通常操作で200〜300msec程度である。この程度の時間では、目標操作力に対する操作力の過渡的な遅れが無視できない程度に存在する。その結果、現実的には、上記、目標操作力に対する操作力の遅れを考慮して、目標操作力に動的な処理を施すことによって、結果として実現される操作力を理想的な値に近づける必要がある。このような対策方法は、試行錯誤的なチューニングが必要となり、制御設計が難しくなるという問題があった。
【0045】
また、仮に目標操作力に対し、ほとんど遅れなく実際の操作力が追従できるようなフィードバックコントローラを設計できたとしたら、従来例では、単に操作位置から目標操作力を設定していることから、操作速度や操作加速度を上げても、操作力が変わらないということになり、このことは、等価的なイナーシャが、操作加速度が大きくなるに従って小さくなることになる。ここで、付言しておくと、イナーシャが一定ならば、操作加速度を大きくすると操作力は大きくなる。アシストがない通常のセレクトレバーはイナーシャは一定であることから、従来例の方式、例えば単なるフィードバックでアシストを行うと、アシスト制御を行っていることに起因する操作違和感を感じてしまうという問題がある。
【0046】
また、操作速度に比例した操作反力(=操作力)を適度に与えると、落ち着いた操作感を付加することができる。しかしながら、従来例のように、操作位置で設定した目標操作力を実現しようとすると、操作速度を変えても、操作力は大きくならない。すなわち、ある速度では、落ち着き感として妥当であるとしても、操作後半のような操作速度が大きくなる部分では、不足してしまうという問題があった。
実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、これらの問題を解決している。
【0047】
[理想的な状態へ近づける制御作用]
実施例1では、図8に示すように、制御モデルを設定する。
図8は、実施例1の制御モデルを含めたブロック図である。
つまり、実施例1の構成について、Jをセレクトレバー軸周りのイナーシャ、Dをセレクトレバー軸周りの粘性摩擦係数、Kをディテント力とチェック力の合成力のばね定数とし、JiをJの理想値、DiをDの理想値、KiをKの理想値とする。
【0048】
ここで、操作力から操作位置までの伝達関数を1/(Js2+Ds+K)と設定する。
駆動指令値演算部31では、図11に示すように、まず、操作位置からテーブルデータ部312において、実際のばね定数Kを求める。次に、操作位置から理想テーブルデータ部313において、理想のばね定数Kiを求める。K-Kiを加算器314で演算して出力し、操作位置にゲインとして乗じて、駆動指令値を演算する。
これにより、理想的な状態と現実の状態との偏差に応じた駆動指令値が制御遅れなく与えられることになる。
【0049】
この駆動指令値の決定は、図12に示すように、操作力にK又はKiを乗じる処理によって求まるようにしてもよい。
よって、例えばフィードバック制御等による制御遅れが無視できない程度であるために、制御経路の一部に本来はない制御量を与えるなどのチューニングを行うことなく、理想の状態に近づける制御を実現することができる。
【0050】
言い換えて説明すると、制御対象のイナーシャ、チェック+ディテントの特性を求めれば、それらの値を制御パラメータに用いることで、自動的に理想操作フィーリングを得ることにできる駆動力指令値を演算できる。よって、上記説明したような、理想的な操作感を得るための試行錯誤的なチューニングを行う必要がない。また、理想操作感となるようなイナーシャ、チェック+ディテント特性は、基本的に1回求めてしまえば、制御対象が変わっても使用することができる。つまり、チューニングの場合には、異なる車種などへ設置する場合には、再度チューニングの必要があるが、実施例1の場合には、異なる車種の場合でもその理想操作感の設定を使用することができるのである。
【0051】
また、実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、制御対象の伝達関数のパラメータであるイナーシャ、チェック+ディテントのバネ定数を理想的に変更するということを行う。操作速度や操作加速度を変えることによって、イナーシャが変わるということはなく、理想イナーシャに固定される。
これによって、アシスト制御を行っていることに起因するような操作違和感を感じてしまうようなことがなくなる。また、ある速度では、落ち着き感として妥当だが、操作後半のような操作速度が大きくなる部分では、不足してしまうということをなくすことができる。
【0052】
次に効果を説明する。
本実施の形態の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、次に列挙する効果を得ることができる。
【0053】
(1)セレクトレバー2は従来のセレクトレバーよりも車室内空間への突出量が150mm程度少なく、さらに、セレクトレバー2と制御アーム20はコントロールケーブル8,18を介して連結されているため、従来品よりも車室内レイアウトの自由度が大きく、インストルメントパネル等、車室内の任意箇所にセレクトレバー2を設定できる。
また、セレクトレバー2と制御アーム20がコントロールケーブル8,18によって機械的に連結されているため、アシストアクチュエータ9やコントロールユニット22がフェールした場合でも、ドライバは手動でレンジ位置を切り換えることができる。
【0054】
また、コントロールユニット22は、セレクトレバーに加わる操作力から、その結果発生する操作位置の変位までの伝達関数{1/(Js2+Ds+K)}を構成するパラメータに対し、全てのパラメータもしくは一部のパラメータの、実際の値と、理想的な操作感を得る理想値に基づいて、セレクトレバーの操作状態から、アシストアクチュエータへの駆動指令値を演算する駆動指令値演算部31とを備え、パラメータは、各レンジ切換位置に相当する操作位置に位置しやすくなるようチェック力をセレクトレバー2に加えるよう設けるチェック機構及びディテント機構の操作位置に対する発生力の傾きに相当するばね定数と、セレクトレバー2の操作速度に比例して発生する粘性摩擦力の成分に対しての粘性摩擦係数と、セレクトアシスト装置1の各部のイナーシャをセレクトレバー2の回転軸上のイナーシャに換算したセレクトレバー回転軸換算イナーシャであるため、試行錯誤的なチューニングを行うことなく、理想的な操作状態を得ることができ、また、アシスト制御を行うことに起因する操作違和感が生じることを防止することができる。
【0055】
(2)駆動指令値の演算に用いる一部のパラメータは、ばね定数であり、ポテンショメータ25は、セレクトレバー2の操作位置を検出するものであるため、操作位置に対して変化する特性としてのばね定数を理想の状態に近づけることにより、理想に近い制御状態を得ることができる。
【実施例2】
【0056】
実施例2の自動変速機のセレクトアシスト装置は、セレクトレバーに作用するばね力と、セレクトレバーに作用する粘性力を考慮して、駆動指令値を求める例である。
まず構成を説明する。
図15は実施例2の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるコントロールユニット22の制御ブロック図である。
【0057】
実施例2では、まず、図16に示すように、セレクトレバー2から伝達される操作の速度を検出する速度センサ91を設ける。速度センサ91としては、例えば、ポテンショメータ25と同様の部位を可動側と固定側に分け、セレクトレバー2の操作で移動しない固定側に発光部と受光部を設け、セレクトレバー2の操作で移動する側に反射部を複数設けて、所定時間の反射回数で速度を検出するものなどがある。
【0058】
駆動指令値演算部33は、乗算器331と乗算器332、加算器333からなる。
乗算器331は、検出される操作位置を入力としKi-Kをゲインとして乗じて結果を出力する。
乗算器332は、検出される操作速度を入力とし、Di-Dをゲインとして乗じて結果を出力する。
加算器333は、乗算器331の出力と乗算器332の出力を加算して駆動指令値として出力する。
その他構成は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
作用を説明する。
[粘性を考慮する作用]
実施例2では、セレクトレバー軸周り理想的な粘性摩擦係数から、セレクトレバー軸周りの実際の粘性摩擦係数を減じたものをゲインとする。これにより、理想的な粘性と現実の偏差に応じた制御量を得ることができ、より理想状態に制御遅れなく近づけることができる。
また、実施例2では、ばね定数と粘性が考慮され、駆動指令値が演算されるため、試行錯誤的なチューニングなくより理想的な操作感へ近づけることができる。
【0060】
効果を説明する。
実施例2の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、上記(1)に加えて、以下の効果を有する。
(3)駆動指令値の演算に用いる一部のパラメータは、ばね定数と、粘性摩擦係数であり、操作状態検出手段は、セレクトレバーの操作位置を検出するポテンショメータ25と、操作速度を検出する速度センサ91であるため、操作位置に対して変化する特性としてのばね定数、及び操作速度に対して変化する特性としての粘性摩擦係数を理想の状態に近づけることにより、さらに理想に近い制御状態を得ることができる。
その他作用効果は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0061】
実施例3の自動変速機のセレクトアシスト装置は、セレクトレバーに作用するばね力と、セレクトレバーに作用する粘性力、セレクトレバーに作用するイナーシャを考慮して、駆動指令値を求める例である。
まず構成を説明する。
実施例3では、図16に示すように、出力軸12に、入力レバー10とウォームギア14との間に生じるゆがみ(ねじれ)を検出するトルクセンサ(入力操作力検出手段)21を設ける。このトルクセンサ21により検出された操作力信号は、図外の増幅アンプにより信号増幅され、コントロールユニット22にワイヤハーネス23を介して伝達される。トルクセンサ21の検出信号により、セレクトレバー操作における操作力が推定可能となる。
【0062】
図17は、実施例3の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるコントロールユニット22の制御ブロック図である。
実施例3の駆動指令値演算部34は、乗算器341,342,343、加算器344からなる。
乗算器341は、入力操作力にゲインとして、J/Ji−1で表されるセレクトレバー軸周りのイナーシャの実際値と理想値の比に相当するものを乗じる演算を行う。
【0063】
乗算器342は、操作位置にゲインとして、Ki×(J/Ji)−Kで表されるセレクトレバー軸周りのイナーシャの実際値と理想値を考慮したばね定数の理想値と実際値の差を乗じる演算を行う。
乗算器343は、操作位置にゲインとして、D×(J/Ji)−Dで表されるセレクトレバー軸周りのイナーシャの実際値と理想値を考慮した粘性摩擦係数と実際値の差を乗じる演算を行う。
加算器344は、乗算器341の出力から乗算器342,343の出力を減じる演算を行う。
その他構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
作用を説明する。
[イナーシャを考慮する作用]
実施例3では、乗算器341として、セレクトレバー軸周りのイナーシャJとJの理想値Jiの比の前回からの差分J/Ji−1をゲインとし、入力操作力に乗じる駆動指令値の演算分を設けている。また、ばね定数に操作位置を乗じる乗算器342、粘性摩擦係数に操作速度を乗じる乗算器343にもJ/Jiを演算式が含むようにして、イナーシャが考慮される。
【0065】
これによって、駆動指令値は、イナーシャの理想値Jiの特性に実際値Jを近づけるよう偏差に応じた制御量が演算される。これによって、制御遅れなく、より理想の操作状態に近い状態が実現できる。
また、実施例3では、ばね定数、イナーシャが考慮され、駆動指令値が演算されるため、試行錯誤的なチューニングなくより理想的な操作感へ近づけることができる。
【0066】
効果を説明する。実施例3の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、上記(1)に加えて、以下の効果を有する。
(4)駆動指令値の演算に用いる一部のパラメータは、ばね定数と、セレクトレバー2の回転軸換算イナーシャであり、操作状態検出手段は、セレクトレバーの操作位置を検出するポテンショメータ25と、操作速度を検出する速度センサ91と、セレクトレバー2に入力される操作力を検出するトルクセンサ21であるため、ばね定数、イナーシャを要因とする操作状態をさらに理想状態に近づけることができる。
その他作用効果は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【実施例4】
【0067】
実施例4の自動変速機のセレクトアシスト装置は、セレクトレバーに作用するばね力と、セレクトレバーに作用する粘性力、セレクトレバーに作用するイナーシャを考慮して、駆動指令値を求める例である。
まず構成を説明する。
図18は、実施例4の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるコントロールユニット22の制御ブロック図である。
駆動指令値演算部34において、乗算器345は、操作位置にゲインとして、Di×(J/Ji)−Dで表されるセレクトレバー軸周りのイナーシャの実際値と理想値を考慮した粘性摩擦係数の理想値と実際値の差を乗じる演算を行う。
その他構成は、実施例3と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
作用を説明する。
[イナーシャを考慮する作用]
実施例4では、乗算器341、342に加えて、乗算器345において、セレクトレバー軸周りのイナーシャJとJの理想値Jiの比J/Jiを粘性摩擦係数の理想値に乗じるようにし、そこから粘性摩擦係数の実際値を減じる演算を行うようにする。
これによって、さらに、粘性摩擦係数の理想値と実際値の偏差を無くすゲインの演算にもイナーシャが考慮されることになる。
【0069】
これによって、駆動指令値は、イナーシャの理想値Jiの特性に実際値Jを近づけるよう偏差に応じた制御量が演算される。これによって、制御遅れなく、より理想の操作状態に近い状態が実現できる。
また、実施例3では、ばね定数、粘性、イナーシャが考慮され、駆動指令値が演算されるため、試行錯誤的なチューニングなくより理想的な操作感へ近づけることができる。
【0070】
図19は実施例4における理想特性、実際のディテント+チェック発生力特性、試験結果を示すグラフ図である。
セレクトレバー軸周りのイナーシャJを0.0135kg・mとし、理想的なイナーシャJiを0.0090kg・m(Ji/J=1.5)とし、セレクトレバー軸周りの粘性摩擦係数Dを1.0Nms、理想的な粘性摩擦係数Diを1.4Nms(Di=D/0.7)とする。さらに、ディテント特性及びチェック特性の実際値と理想値のグラフは、図19(c)のようになるものとすることを条件して試験を行った。
まず、操作位置(操作角)に対する操作力の理想的な特性は、図19(b)のようになる。これに対して、試験結果は、図19(a)のようになった。図19(a)において、ほとんどの操作位置で上方に位置するのが、駆動指令値を操作力に換算したものであり、結果的な操作力がほとんどの操作位置で下方に位置する線となった。
【0071】
実施例4のようにアシストを行うことによって、理想特性(Ji,Di,理想チェック)を持つセレクトレバーを操作するのと同じ操作位置−操作力特性を得ることができる。よって、操作感も同じである。操作位置−操作力特性は、実際に比べて理想特性は0Nと交差する操作位置を8degから3.5deg程度にまで小さくした。その結果、操作力も、3.5degに近い4.5deg付近で0Nと交差する。これは、慣性と粘性の影響があるので、操作力とチェック及びディテントの0N交差位置は完全には一致しないものと考える。しかしながら、実際のチェック及びディテントの特性は、操作位置が8degになるまでは、プラス(操作を重くする方向)の力を発生しているので、駆動力指令値は8.5deg付近まで、プラス(アシスト側)となっている。このように、本実施例4では、単に操作力を軽くするのではなく、実際と理想特性の差異に基づいて、理想特性のメカを操作しているのと同等の操作感が得られるような操作力アシストを行えるのである。
【0072】
効果を説明する。実施例4の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、上記(1)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(5)駆動指令値の演算に用いる一部のパラメータは、ばね定数と、粘性摩擦係数と、セレクトレバーの回転軸換算イナーシャであり、操作状態検出手段は、セレクトレバーの操作位置を検出するポテンショメータ25と、操作速度を検出する速度センサ91と、セレクトレバー2に入力される操作力を検出するトルクセンサ21であるため、ばね定数、粘性、イナーシャを要因とする操作状態をさらに理想状態に近づけることができる。
その他作用効果は実施例3と同様であるので、説明を省略する。
【実施例5】
【0073】
実施例5は、操作速度を演算により求めるようにした例である。
まず構成を説明する。
図20は、実施例5の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるコントロールユニット22の制御ブロック図である。
実施例5では、実施例4に対して、図20に示すように、速度センサ91を設けない構成である。
【0074】
実施例5の駆動指令値演算部34において、操作速度演算部346は、入力される操作位置の微分演算を行い、操作速度を出力する。
その他構成は実施例4と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
作用を説明する。
[コストを抑制する作用]
実施例5では、操作位置を微分演算で行うため、コスト的に問題となりやすい速度センサ91を省略することができる。
これによりコストが抑制される。
【0076】
効果を説明する。
実施例5の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、上記(1)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(6)セレクトレバー2の操作速度は、操作位置を微分することにより、演算で求めるため、センサを省略することができ、コストを抑制することができる。
その他作用効果は実施例4と同様であるので説明を省略する。
【0077】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態を実施例1〜実施例5に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1〜実施例5に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、セレクトレバー2の入力操作力を検出する入力操作力検出手段としてトルクセンサ21を用いたが、電動モータ15への供給電流値や電動モータ15の回転数等から入力操作力を推定する構成としてもよい。
実施例1では、セレクトレバー2と自動変速機19の制御アーム20をコントロールケーブル8,18で連結する構成を示したが、セレクトレバー2の操作力を制御アーム20に伝える操作力伝達手段は任意であり、ロッドやリンケージを用いた構成としてもよい。
【0078】
セレクトレバー2の形状や大きさは任意であり、指先で操作可能なスイッチ形状としてもよい。また、目標操作反力特性も、セレクトレバー2の形状に応じて良好な操作特性が得られる特性に変更する。
上記説明した実施例1〜実施例5においては、用いられるシステムや車両の特性、スペース状況、コスト要求などに応じて、いずれの実施例をベストモードとして採用してもよく、また、実施例1〜実施例5の一部を組み合わせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例1の自動変速機の構成を示す側面図である。
【図2】アシストアクチュエータの細部構造を示す要部斜視図である。
【図3】コントロールユニットの制御ブロック図である。
【図4】自動変速機のディテントの構造を示す斜視図である。
【図5】コントロールユニットで実行されるセレクトレバーのアシスト制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】P→Rレンジ方向においてセレクトレバーに発生する操作反力を示す特性図である。
【図7】P→Rレンジ方向におけるセレクトレバーの目標操作反力を示す特性図である。
【図8】実施例1の制御モデルを含めたブロック図である。
【図9】操作位置に対するチェック力とディテント力の合成発生力の関係を示すグラフ図である。
【図10】操作位置に対するチェック力とディテント力の合成力のばね定数の関係を示すグラフ図である。
【図11】実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置のコントロールユニットの駆動指令値演算部のブロック図である。
【図12】実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置のコントロールユニットの駆動指令値演算部の他の例のブロック図である。
【図13】実施例1におけるディテント力、チェック力に関する構成の概略図である。
【図14】実施例1におけるディテント力、チェック力に関する構成の他の例の概略図である。
【図15】実施例2の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるコントロールユニットの制御ブロック図である。
【図16】実施例2の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるアシストアクチュエータの細部構造を示す要部斜視図である。
【図17】実施例3の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるコントロールユニット22の制御ブロック図である。
【図18】実施例4の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるコントロールユニット22の制御ブロック図である。
【図19】実施例4における理想特性、実際のディテント+チェック発生力特性、試験結果を示すグラフ図である。
【図20】実施例5の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるコントロールユニット22の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
1 セレクト機構部
2 セレクトレバー
3 センタクラスタ
4 セレクトノブ
5 支点軸
7 セレクトレバージョイント
8 コントロールケーブル
9 アシストアクチュエータ
10 入力レバー
11 入力レバージョイント
12 出力軸
13 出力レバー
14 ウォームギア
15 電動モータ
16 モータ出力軸
17 出力レバージョイント
18 コントロールケーブル
19 自動変速機
20 制御アーム
21 トルクセンサ
22 コントロールユニット
23 ワイヤハーネス
24 接触子
25 ポテンショメータ
26 回転シャフト
27 ディテントプレート
27a カム山
27b 谷部
28 バネ板
29 ディテントピン
300 パーキングポール
301 カム状プレート
302 パーキングギア
31 駆動指令値演算部
32 モータ駆動制御部
33 駆動指令値演算部
34 駆動指令値演算部
51 チェックプレート
52 チェックピン
53 バネ
91 速度センサ
311 乗算器
312 テーブルデータ部
313 理想テーブルデータ
313 理想テーブルデータ部
314 加算器
315 テーブルデータ部
316 理想テーブルデータ部
331 乗算器
332 乗算器
333 加算器
341 乗算器
342 乗算器
343 乗算器
344 加算器
345 乗算器
346 操作速度演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セレクトレバーと自動変速機のセレクト位置切換装置とがセレクト操作力伝達系により連結され、前記セレクト操作力伝達系にはドライバによるセレクト操作力をアシストするアシストアクチュエータが設けられた自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記セレクトレバーの操作状態を検出する操作状態検出手段を設け、
前記アシストアクチュエータの駆動を制御するアシスト制御手段を設け、
前記アシスト制御手段は、
前記セレクトレバーに加わる操作力から、その結果発生する操作位置の変位までの伝達関数を構成するパラメータに対し、全てのパラメータもしくは一部のパラメータの、実際の値と、理想的な操作感を得る理想値に基づいて、前記セレクトレバーの操作状態から、前記アシストアクチュエータへの駆動指令値を演算する駆動指令値演算手段とを備え、
前記パラメータは、
各レンジ切換位置に相当する操作位置に位置しやすくなるようチェック力を前記セレクトレバーに加えるよう設けるチェック機構の操作位置に対する発生力の傾きに相当するばね定数と、
前記セレクトレバーの操作速度に比例して発生する粘性摩擦力の成分に対しての粘性摩擦係数と、
前記セレクトアシスト装置の各部のイナーシャをセレクトレバーの回転軸上のイナーシャに換算したセレクトレバー回転軸換算イナーシャである、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動変速機のセレクト装置において、
駆動指令値の演算に用いる前記一部のパラメータは、前記ばね定数であり
前記操作状態検出手段は、前記セレクトレバーの操作位置を検出するものである、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
駆動司令値の演算に用いる前記一部のパラメータは、前記ばね定数と、前記粘性摩擦係数であり、
前記操作状態検出手段は、前記セレクトレバーの操作位置を検出する手段と、操作速度を検出する手段である、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
駆動司令値の演算に用いる前記一部のパラメータは、前記ばね定数と、前記セレクトレバーの回転軸換算イナーシャであり、
前記操作状態検出手段は、前記セレクトレバーの操作位置を検出する手段と、操作速度を検出する手段と、前記セレクトレバーに入力される操作力を検出する手段である、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
駆動司令値の演算に用いる前記一部のパラメータは、前記ばね定数と、前記粘性摩擦係数と、前記セレクトレバーの回転軸換算イナーシャであり、
前記操作状態検出手段は、前記セレクトレバーの操作位置を検出する手段と、操作速度を検出する手段と、前記セレクトレバーに入力される操作力を検出する手段である、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項6】
請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記セレクトレバーの操作速度は、操作位置を微分することにより、演算で求める、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−263159(P2007−263159A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86001(P2006−86001)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】