説明

自動変速機

【課題】制御データの増大を招くことなく噛合機構を作動可能な自動変速機を提供する。
【解決手段】第1噛合機構D1と、第2噛合機構D2と、第2ハブと第2クラッチギヤとの間に設けられたワンウェイクラッチ7と、NレンジからDレンジへのセレクトレバーの操作に連動し第1噛合機構を噛合状態とする第1リンク機構と、DレンジからLレンジへのセレクトレバーの操作に連動し第2噛合機構を噛合状態とする第2リンク機構と、Dレンジのときは第1噛合機構が噛合状態となって入力部材からの駆動力がワンウェイクラッチを介して伝達され、Lレンジのときは第1噛合機構及び第2噛合機構が噛合状態となって入力部材からの駆動力がワンウェイクラッチを介さずに伝達される第1回転部材8と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機として適用される有段式の自動変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、噛合機構としてのドッグクラッチを介してハウジング等に回転メンバを固定する自動変速機として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−323377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ドッグクラッチの操作タイミング等の制御についての困難性に触れていない。ドッグクラッチの締結・解放を行う電子制御アクチュエータや、これらの作動タイミングを制御するデータが必要であり、制御データの簡略化の余地が残されている。
【0005】
本発明の目的とするところは、制御データの増大を招くことなく噛合機構を作動可能な自動変速機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願発明の自動変速機では、後退走行を行うRレンジと、動力伝達を行わないNレンジと、自動変速による前進走行を行うDレンジと、所定変速段による前進走行を行うLレンジとを有し、セレクトレバーの操作により前記Dレンジを選択したときは前記所定変速段においてエンジンブレーキが作用せず、Lレンジを選択したときは前記エンジンブレーキが作用する自動変速機であって、該自動変速機の入力軸に連結された入力部材と、該入力部材と一体回転する第1ハブと、該第1ハブと一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第1スリーブと、該第1スリーブが回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第1クラッチギヤと、を有する第1噛合機構と、前記第1クラッチギヤと一体回転する第2ハブと、該第2ハブと一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第2スリーブと、該第2スリーブが回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第2クラッチギヤと、を有する第2噛合機構と、前記第2ハブと前記第2クラッチギヤとの間に設けられ、前記第2クラッチギヤの回転数が前記第2ハブの回転数よりも大きいときに空転するワンウェイクラッチと、前記Nレンジから前記Dレンジへの前記セレクトレバーの操作に連動し、前記第1スリーブを作動させて前記第1噛合機構を前記第1クラッチギヤとの間で噛合状態とする第1リンク機構と、前記Dレンジから前記Lレンジへの前記セレクトレバーの操作に連動し、前記第2スリーブを作動させて前記第2噛合機構を前記第2クラッチギヤとの間で噛合状態とする第2リンク機構と、前記第2クラッチギヤに連結された部材であって、前記Dレンジのときは前記第1噛合機構が噛合状態となって前記入力部材からの駆動力が前記ワンウェイクラッチを介して伝達され、前記Lレンジのときは前記第1噛合機構及び前記第2噛合機構が噛合状態となって前記入力部材からの駆動力が前記ワンウェイクラッチを介さずに伝達される第1回転部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
よって、セレクトレバーの操作に連動する第1及び第2リンク機構を介して第1及び第2噛合機構の噛合状態を切り換えることができ、Dレンジ選択時やLレンジ選択時の各噛合機構を制御するデータが不要となるため、制御データを簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の自動変速機を示すスケルトン図である。
【図2】実施例1の第1及び第2噛合機構の構成を表す拡大概略断面図である。
【図3】実施例1のリンク機構の構成を表す概略図である。
【図4】実施例1の各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を表す締結表である。
【図5】実施例1の自動変速機の共通速度線図である。
【図6】実施例2の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。
【図7】実施例2の自動変速機の共通速度線図である。
【図8】実施例3の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。
【図9】実施例4の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。
【図10】実施例4の第1及び第2噛合機構の構成を表す拡大概略断面図である。
【図11】実施例4の各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を表す締結表である。
【図12】実施例4の自動変速機の共通速度線図である。
【図13】実施例5の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。
【図14】実施例5の第1及び第2噛合機構の構成を表す拡大概略断面図である。
【図15】実施例5の自動変速機の共通速度線図である。
【図16】実施例6の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。
【図17】実施例6の第1及び第2噛合機構の構成を表す拡大概略断面図である。
【図18】実施例6の各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を表す締結表である。
【図19】実施例6の自動変速機の共通速度線図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。実施例1の自動変速機は、図外のエンジン等の動力源から入力された駆動力を増幅するトルクコンバータTCと、動力伝達経路を切り換える第1及び第2噛合機構D1,D2と、遊星歯車からなるギヤトレーンとを有する。図1に示すように、ギヤトレーンとしては、ラビニヨ型の遊星歯車組PGを備えている。遊星歯車組PGは、小径サンギヤSdと、リングギヤRと、小径サンギヤSdとリングギヤRとに噛み合うロングピニオンLPと、ロングピニオンLPと小径サンギヤSdとに噛み合うショートピニオンSPとを有する。ロングピニオンLPとショートピニオンSPは、ピニオンキャリヤPCに対して回転可能に支持されている。
【0010】
遊星歯車組PGは4つの回転メンバを有し、小径サンギヤSdに接続された第1回転部材8と、リングギヤRと出力軸OUTとを常時連結する第2回転メンバ21と、第三回転メンバとしてのピニオンキャリヤPCと、大径サンギヤSsに接続された第2回転部材9とを有する。
【0011】
〔噛合機構の構成〕
図2は実施例1の第1及び第2噛合機構の構成を表す拡大概略断面図である。第1噛合機構D1は所謂シンクロ機構付きドグクラッチであり、トルクコンバータTCの出力側に連結された入力部材INと一体回転する第1ハブ1と、第1ハブ1と一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第1スリーブ2と、第1スリーブ2が回転軸方向(図2中左方)に移動して噛み合うことで一体回転する第1クラッチギヤ3と、第1スリーブ2が回転軸方向(図2中右方)に移動して噛み合うことで一体回転する第3クラッチギヤ20とを有する。また、第1スリーブ2の内周には第2回転部材9の外周に回転可能に支持されたシンクロハブ100が設けられ、シンクロハブ100と第1スリーブ2との間には、スプリング101,インサートキー102,D側ボークリング103及びR側ボークリング104が設けられている。
【0012】
第1ハブ1の入力部材IN側にはスプライン部1aが形成され、入力部材INに形成されたスプライン部1bと係合することで、回転軸方向には移動可能とし、回転方向には常時係合する。第1スリーブ2の外周には係合溝が形成され、この係合溝には回転軸方向にのみ係合する第1シフトフォーク10が取り付けられている。
第1クラッチギヤ3には歯の側面から回転軸方向に延在された第1クラッチギヤ側テーパーコーン3aが形成され、第3クラッチギヤ20には歯の側面から回転軸方向に延在された第3クラッチギヤ側テーパーコーン20aが形成されている。D側ボークリング103の内周にはテーパーコーン面が形成されており、第1スリーブ2が回転軸方向(図2中左方向)に移動すると、第1クラッチギヤ側テーパーコーン3aとの間で摩擦接触して入力部材INと第1クラッチギヤ3との同期作用を図る。同様に、R側ボークリング104の内周にはテーパーコーン面が形成されており、第1スリーブ2が回転軸方向(図2中右方向)に移動すると、第3クラッチギヤ側テーパーコーン20aとの間で摩擦接触して入力部材INと第3クラッチギヤ20との同期作用を図る。
【0013】
第2噛合機構D2は所謂シンクロ機構付きドグクラッチであり、第1クラッチギヤ3と一体回転する第2ハブ4と、第2ハブ4と一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第2スリーブ5と、第2スリーブ5が回転軸方向(図2中左方)に移動して噛み合うことで一体回転する第2クラッチギヤ6とを有する。また、第2スリーブ5の内周には第2回転部材9の外周に回転可能に支持されたシンクロハブ200が設けられ、シンクロハブ200と第2スリーブ5との間には、スプリング201,インサートキー202及びL側ボークリング203が設けられている。第2ハブ4の遊星歯車組PG側にはスプライン部4aが形成され、回転メンバ17に形成されたスプライン部4bと係合することで、回転軸方向には移動可能とし、回転方向には常時係合する。第2スリーブ5の外周には係合溝が形成され、この係合溝には回転軸方向にのみ係合する第2シフトフォーク11が取り付けられている。
【0014】
第2クラッチギヤ6には歯の側面から回転軸方向に延在された第2クラッチギヤ側テーパーコーン6aが形成されている。L側ボークリング203の内周にはテーパーコーン面が形成されており、第2スリーブ5が回転軸方向(図2中左方向)に移動すると、第2クラッチギヤ側テーパーコーン6aとの間で摩擦接触して第1クラッチギヤ3と第2クラッチギヤ6との同期作用を図る。第1回転部材8と回転メンバ17との間にはワンウェイクラッチ7が設けられている。このワンウェイクラッチ7は、言い換えると、第2ハブ4と第2クラッチギヤ6との間に設けられ、第2クラッチギヤ6の回転数が第2ハブ4の回転数よりも大きいときに空転し、第2クラッチギヤ6の回転数が第2ハブ4の回転数以下のときは係合する。
【0015】
〔リンク機構の構成〕
図3は実施例1のリンク機構の構成を表す概略図である。図3(a)は、リンク機構を径方向側から見た概略断面図であり、図3(b)〜(e)はリンク機構を回転軸方向から見た概略図である。車室内には、運転者が操作するシフトレバー12が設けられている。シフトレバー12は、自動変速機のレンジ位置を選択するレバーであり、後退走行を行うRレンジと、動力伝達を行わないNレンジと、自動変速による前進走行を行うDレンジと、1速から3速の範囲(所定変速段)において前進走行を行うLレンジとを有する。これらレンジ位置は、Rレンジ,Nレンジ,Dレンジ,Lレンジの順に配置されており、運転者がシフトレバー12を前後に操作することでレンジ位置を切り換える。このシフトレバー12は、リンク部材等を介して連結部材13の外端部に接続されている。
【0016】
ハウジングHSには、ハウジングHSを貫通するマニュアルシャフト14が回動可能に取り付けられている。マニュアルシャフト14のハウジング外側において、連結部材13の内端部がマニュアルシャフト14に固定されている。言い換えると、連結部材13はマニュアルシャフト14から径方向外側に延在された板状部材であり、マニュアルシャフト14を中心として選択されたレンジ位置に応じた円周方向位置に回動する。
【0017】
マニュアルシャフト14のハウジング内側には、第1マニュアルプレート15と第2マニュアルプレート16とが取り付けられている。第1マニュアルプレート15はマニュアルシャフト14から径方向外側に延在された部材であり、外端部には回転軸方向に延びる係合ピン15aが取り付けられている。第2マニュアルプレート16はマニュアルシャフト14から径方向外側に延在された部材であり、外端部には回転軸方向に延びる係合ピン16aが取り付けられている。第1マニュアルプレート15はマニュアルシャフト14の回転軸方向においてハウジングHSに近接した位置に取り付けられ、一方、第2マニュアルプレート16はマニュアルシャフト14の回転軸方向においてハウジングHSから離間した位置に取り付けられている。尚、このマニュアルシャフト14の回転軸方向の位置関係については自動変速機内の構成に応じて適宜設定すればよい。
【0018】
また、連結部材13と、第1マニュアルプレート15と、第2マニュアルプレート16とは、それぞれ回動方向において所定の角度を持って取り付けられ、連結部材13と第1マニュアルプレート15とによって第1リンク機構を構成し、連結部材13と第2マニュアルプレート16とによって第2リンク機構を構成している。
第1リンク機構は、Rレンジのときは第1シフトフォーク10の外周に形成された係合溝10aと係合ピン15aとが係合した状態であり、第1スリーブ2と第3クラッチギヤ20とが噛合状態となる回転軸方向位置に対応している(図3(b)参照)。RレンジからNレンジへのセレクト操作を行ったとしても、係合溝10aと係合ピン15aとの係合を維持したままである。NレンジからDレンジへのセレクトレバー12の操作に連動して連結部材13が回動したときも同様に、係合溝10aと係合ピン15aとが係合して第1スリーブ2と連結した状態を維持している。そして、第1マニュアルプレート15の回動に応じて第1スリーブ2を作動させて第1噛合機構D1を第1クラッチギヤ3との間で噛合状態とする。また、DレンジからLレンジへのセレクト操作時には、第1マニュアルプレート15の回動に応じて係合溝10aと係合ピン15aとの係合が解かれる(第1スリーブ2との連結が外れる:図3(e)参照)。
【0019】
すなわち、係合ピン15aは第1マニュアルプレート15の腕の長さによって規定される円周上を移動するため、回動に伴って回転軸方向に加えて上下方向位置も変化する。よって、係合溝10aの溝深さを調整し、所定以上の回動によって係合ピン15aが上方向に移動すると、係合溝10aの溝深さを越えるように設定する。これにより第1マニュアルプレート15と第1シフトフォーク10との係合が解かれる(図3(e)参照)。一方、係合ピン15aと係合溝10aとの係合が解かれた状態から反対側に回動すると、係合ピン15aが下方向に移動し、係合溝10aに到達し、第1マニュアルプレート15と第1シフトフォーク10とが係合する(図3(d)→図3(c)参照)。
【0020】
第2リンク機構は、DレンジからLレンジへのセレクトレバー12の操作に連動して連結部材13が回動したとき、第2シフトフォーク11の外周に形成された係合溝11aと係合ピン16aとの係合が解かれた状態から係合し、第2スリーブ5と連結する(図3(d)参照)。そして、第2スリーブ5を回転軸方向に移動させ、第2噛合機構D2を第2クラッチギヤ3との間で噛合状態とする(図3(e)参照)。一方、LレンジからDレンジへのセレクト操作時には、第2マニュアルプレート16の回動に応じて係合溝11aと係合ピン15aとの係合が解かれる(第2スリーブ5との連結が外れる:図3(c)参照)。係合が解かれた後は、第2スリーブ5は回転軸方向に移動しない。
【0021】
〔自動変速機の摩擦締結要素の構成〕
【0022】
自動変速機には、1つのクラッチ(第1摩擦要素C1)と二つのブレーキ(第2摩擦要素B1,第3摩擦要素B2)が設けられている。第1摩擦要素C1は、ピニオンキャリヤPCと回転メンバ17(第1クラッチギヤ3)との間に設けられ、ピニオンキャリヤPCと回転メンバ17とを選択的に連結する。第2摩擦要素B1は、ピニオンキャリヤPCとハウジングHSとの間に設けられ、ピニオンキャリヤPCを選択的にハウジングHSに係止する。第3摩擦要素B2は、第2回転部材9とハウジングHSとの間に設けられ、第2回転部材9(大径サンギヤSs)を選択的にハウジングHSに係止する。出力軸OUTには、出力ギヤ等が設けられ、カウンタギヤIGやデファレンシャルギヤDEFを介して図外の駆動輪へ回転駆動力が伝達される。実施例1の場合、出力軸OUTはブレーキである第2摩擦要素B1や第3摩擦要素B2とハウジングHSによって塞がれているためFF車両に適用可能とされている。
【0023】
〔自動変速機の達成する変速段について〕
図4は実施例1の各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を表す締結表、図5は実施例1の自動変速機の共通速度線図である。尚、表中の○印は締結、空欄は解放を表している。
【0024】
(Dレンジを選択している場合について)
1速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。2速は、第3摩擦要素B2の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時にはワンウェイクラッチ7が係合するため、小径サンギヤSdから駆動力が入力される。一方、コースト走行状態になると、ワンウェイクラッチ7の係合が解放され、エンジンブレーキ力は作用しない。
【0025】
3速は、第1摩擦要素C1の締結により達成する。4速は、第1摩擦要素C1と第3摩擦要素B2の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介してピニオンキャリヤPCから駆動力が入力される。このとき、3速にあっては、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時に第1回転部材8と回転メンバ17とがワンウェイクラッチ7によって係合するため、小径サンギヤSdからも駆動力が入力される。一方、コースト走行状態となると、ワンウェイクラッチ7の係合が解放され、エンジンブレーキ力は作用しない。
【0026】
一方、4速にあっては、第3摩擦要素B2が締結していることから、小径サンギヤSdは常時ピニオンキャリヤPC(回転メンバ17)よりも高回転側となるため、ワンウェイクラッチ7は解放状態となって締結に関与せず、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、4速の変速比は増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0027】
(Lレンジを選択している場合について)
Lレンジを選択している場合、Dレンジを選択しているときと同じ摩擦要素が締結し、その上で、第2噛合機構D2の締結によってワンウェイクラッチ7を介すことなく第1回転部材8と回転メンバ17とが連結される。このとき、ワンウェイクラッチ7の作用によってコースト走行時にエンジンブレーキが作用しなかった1,2,3速時にあっては、Lレンジが選択されると、それぞれの変速段においてエンジンブレーキ力が作用する。
【0028】
(Rレンジを選択している場合について)
後退速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが第3クラッチギヤ20と係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には、大径サンギヤSsから駆動力が入力される。このとき、ワンウェイクラッチ7は動力伝達に何ら関与しないため、コースト走行状態になってもエンジンブレーキ力が作用する。
【0029】
(セレクトレバー操作時の作用)
上述したように、セレクトレバー12の操作によってレンジ位置を規定するとき、レンジ位置に応じて第1及び第2リンク機構によって第1スリーブ2及び第2スリーブ5が作動し、第1噛合機構D1や第2噛合機構D2が動力伝達経路を切り換える。すなわち、噛合機構の作動にあたり、運転者のシフトレバー操作力を用い、機械的なリンク機構によって切り換えることができる。また、運転者の操作タイミングと完全に同期して噛合機構が噛合するため、切り換えタイミング等を制御する必要もない。すなわち、電子制御アクチュエータ等を使用することなく、また、それらを制御するための制御データを必要とすることなく、最適なタイミングで噛合機構の噛合状態を切り換えることができる。
【0030】
以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)後退走行を行うRレンジと、動力伝達を行わないNレンジと、自動変速による前進走行を行うDレンジと、所定変速段による前進走行を行うLレンジとを有し、セレクトレバーの操作によりDレンジを選択したときは所定変速段においてエンジンブレーキが作用せず、Lレンジを選択したときはエンジンブレーキが作用する自動変速機であって、自動変速機の入力軸に連結された入力部材INと、入力部材INと一体回転する第1ハブ1と、該第1ハブ1と一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第1スリーブ2と、該第1スリーブ2が回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第1クラッチギヤ3と、を有する第1噛合機構D1と、第1クラッチギヤ3と一体回転する第2ハブ4と、該第2ハブ4と一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第2スリーブ5と、該第2スリーブ5が回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第2クラッチギヤ6と、を有する第2噛合機構D2と、第2ハブ4と第2クラッチギヤ6との間に設けられ、第2クラッチギヤ6の回転数が第2ハブ4の回転数よりも大きいときに空転するワンウェイクラッチ7と、NレンジからDレンジへのセレクトレバー12の操作に連動し、第1スリーブ1を作動させて第1噛合機構D1を第1クラッチギヤ3との間で噛合状態とする第1リンク機構と、DレンジからLレンジへのセレクトレバー12の操作に連動し、第2スリーブ4を作動させて第2噛合機構D2を第2クラッチギヤ6との間で噛合状態とする第2リンク機構と、第2クラッチギヤ6に連結された部材であって、Dレンジのときは第1噛合機構D1が噛合状態となって入力部材INからの駆動力がワンウェイクラッチ7を介して伝達され、Lレンジのときは第1噛合機構D1及び第2噛合機構D2が噛合状態となって入力部材INからの駆動力がワンウェイクラッチ7を介さずに伝達される第1回転部材8と、を備えた。
【0031】
すなわち、第1リンク機構と第2リンク機構によりセレクトレバー12の操作に連動して第1噛合機構D1及び第2噛合機構D2の噛合状態を切り換えることができるため、Dレンジ選択時及びLレンジ選択時において第1噛合機構D1と第2噛合機構D2とを制御するデータが不要となり、その分の制御データを簡略化することができる。
【0032】
尚、実施例1では入力部材INはトルクコンバータTCに接続した例を示したが、入力部材INは自動変速機に直接的に又は間接的に連結されていればよい。
また、実施例1では噛合機構としてシンクロ機構を備えた例を示したが、シンクロ機構を持たないドグクラッチであっても上記作用効果は達成される。
【0033】
(2)第1噛合機構D1は、第1スリーブ2が第1クラッチギヤ3とは反対側の回転軸方向に移動して噛合することで第1スリーブ2と一体回転する第3クラッチギヤ20を有し、第1リンク機構は、NレンジからRレンジへのセレクトレバー12の操作に連動し、第1スリーブ2を作動させて第1噛合機構D1を第3クラッチギヤ20との間で噛合状態とするリンク機構を有し、第3クラッチギヤ20に連結された部材であって、Rレンジのときは第1スリーブ2と第3クラッチギヤ20とが噛合状態となって入力部材INからの駆動力が伝達される第2回転部材9を備えた。
【0034】
第1リンク機構によりセレクトレバー12の操作に連動して第1噛合機構D1の噛合状態を切り換えることができるため、Rレンジ選択時の第1噛合機構D1を制御するデータが不要となり、その分、更に制御データを簡略化することができる。また、第3クラッチギヤ20と第1スリーブ2とを噛み合わせるのはRレンジ選択時のみであり、第1クラッチギヤ3と第3クラッチギヤ20とが同時に入力部材に連結されることはない。この観点から、第2回転部材9に連結される第3クラッチギヤ20を、第1ハブ1を挟んで第1クラッチギヤ3に対向して配置した上で第1スリーブ2と第3クラッチギヤとが噛み合う構造にすることで、第3クラッチギヤ20を入力部材INに連結するため、新たなハブやスリーブを必要とせず、構造を簡略化することができる。
【0035】
(3)第1リンク機構は、セレクトレバー12のセレクト位置に応じて回動するマニュアルシャフト14と一体に回動する第1マニュアルプレート15と、NレンジからDレンジへのセレクト操作時に該第1マニュアルプレート15の回動に応じて第1スリーブ2と連結し第1スリーブ2を回転軸方向に移動させ、DレンジからLレンジへのセレクト操作時に該第1マニュアルプレート15の回動に応じて第1スリーブ2との連結が外れる第1シフトフォーク15と、を有し、第2リンク機構は、マニュアルシャフト14と一体に回動する第2マニュアルプレート16と、DレンジからLレンジへのセレクト操作時に該第2マニュアルプレート16の回動に応じて第2スリーブ5と連結し第2スリーブ5を回転軸方向に移動させ、DレンジからNレンジへのセレクト操作時に該第2マニュアルプレート16の回動に応じて第2スリーブ5との連結が外れる第2シフトフォーク11と、を有する。
【0036】
このように、第1及び第2リンク機構をセレクトレバー12の操作と連動させることで、セレクト位置に応じて第1噛合機構D1及び第2噛合機構D2の噛合状態を切り換えることができる。
【0037】
尚、実施例1では第1マニュアルプレート15と第2マニュアルプレート16とを別部材とした例を示したが、これに限定されるものではなく、二つのマニュアルプレートが一体的に形成されたものでも上記作用効果は達成される。
【0038】
(4)第1回転部材8に連結された小径サンギヤSd(第1サンギヤ)と、第2回転部材9に連結された大径サンギヤSs(第2サンギヤ)と、リングギヤRと、小径サンギヤSdに噛み合うショートピニオンSP及び該ショートピニオンSPと大径サンギヤSsとリングギヤRとに噛み合うロングピニオンLPを支持するピニオンキャリヤPCと、からなる遊星歯車組PGと、リングギヤRに常時連結する出力軸OUTと、第1クラッチギヤ3とピニオンキャリヤPCとの間を選択的に連結する第1摩擦要素C1と、ピニオンキャリヤPCの回転を選択的に係止する第2摩擦要素B1と、大径サンギヤSsの回転を選択的に係止する第3摩擦要素B2と、を備え、前進4速及び後退1速を達成する。
【0039】
よって、制御データを簡略化しつつ、かつ、噛合機構を介して回転要素を入力部材INに連結可能にし、これにより伝達効率を向上させた前進4速、後退1速を達成する自動変速機を得ることができる。
【実施例2】
【0040】
次に、実施例2について説明する。噛合機構は実施例1と同じであるため、異なる点を中心に説明する。図6は実施例2の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。尚、実施例1と異なり、変速機構部のみを示すが、駆動輪に伝達する経路は実施例1と同様である。
実施例2の自動変速機は、図外のエンジン等の動力源から入力された駆動力を増幅するトルクコンバータTCと、動力伝達経路を切り換える第1及び第2噛合機構D1,D2と、遊星歯車からなるギヤトレーンとを有する。図6に示すように、ギヤトレーンとしては、二つの単純遊星歯車PG1,PG2を備えている。第1遊星歯車PG1は、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1シングルピニオンP1と、第1シングルピニオンP1を回転可能に支持する第1ピニオンキャリヤPC1とを有する。第2遊星歯車PG2は、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とに噛み合う第2シングルピニオンP2と、第2シングルピニオンP2を回転可能に支持する第2ピニオンキャリヤPC2とを有する。また、第1リングギヤR1と第2ピニオンキャリヤPC2とを常時連結する第1回転メンバM1と、第1ピニオンキャリヤPC1と第2リングギヤR2とを常時連結する第2回転メンバM2とを有し、これにより一組の遊星歯車組PGを構成している。
【0041】
この遊星歯車組PGは4つの回転メンバを有し、第1サンギヤS1に接続された第1回転部材8と、出力軸OUTとを常時連結する第2回転メンバM2と、第2ピニオンキャリヤPC2と、第2サンギヤS2に接続された第2回転部材9とを有する。
【0042】
〔自動変速機の摩擦締結要素の構成〕
自動変速機には、1つのクラッチ(第1摩擦要素C1)と二つのブレーキ(第2摩擦要素B1,第3摩擦要素B2)が設けられている。第1摩擦要素C1は、第1回転メンバM1(第1リングギヤR1,第2ピニオンキャリヤPC2)と回転メンバ17(第1クラッチギヤ3)との間に設けられ、第1回転メンバM1と回転メンバ17とを選択的に連結する。第2摩擦要素B1は、第2ピニオンキャリヤPC2とハウジングHSとの間に設けられ、第2ピニオンキャリヤPC2を選択的にハウジングHSに係止する。第3摩擦要素B2は、第2回転部材9とハウジングHSとの間に設けられ、第2回転部材9(第2サンギヤS2)を選択的にハウジングHSに係止する。
【0043】
〔自動変速機の達成する変速段について〕
実施例2の締結表は、実施例1の締結表と全く同じであるため、図4を参照する。図7は実施例2の自動変速機の共通速度線図である。尚、表中の○印は締結、空欄は解放を表している。
【0044】
(Dレンジを選択している場合について)
1速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。2速は、第3摩擦要素B2の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時にはワンウェイクラッチ7が係合するため、第1サンギヤS1から駆動力が入力される。一方、コースト走行状態になると、ワンウェイクラッチ7の係合が解放され、エンジンブレーキ力は作用しない。
【0045】
3速は、第1摩擦要素C1の締結により達成する。4速は、第1摩擦要素C1と第3摩擦要素B2の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介して第1回転メンバM1(第2ピニオンキャリヤPC2及び第1リングギヤR1)から駆動力が入力される。このとき、3速にあっては、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時に第1回転部材8と回転メンバ17とがワンウェイクラッチ7によって係合するため、第1サンギヤS1からも駆動力が入力される。一方、コースト走行状態となると、ワンウェイクラッチ7の係合が解放され、エンジンブレーキ力は作用しない。
【0046】
一方、4速にあっては、第3摩擦要素B2が締結していることから、第1サンギヤS1は常時第1回転メンバM1よりも高回転側となるため、ワンウェイクラッチ7は解放状態となって締結に関与せず、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、4速の変速比は増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0047】
(Lレンジを選択している場合について)
Lレンジを選択している場合、Dレンジを選択しているときと同じ摩擦要素が締結し、その上で、第2噛合機構D2の締結によってワンウェイクラッチ7を介すことなく第1回転部材8と回転メンバ17とが連結される。このとき、ワンウェイクラッチ7の作用によってコースト走行時にエンジンブレーキが作用しなかった1,2,3速時にあっては、Lレンジが選択されると、それぞれの変速段においてエンジンブレーキ力が作用する。
【0048】
(Rレンジを選択している場合について)
後退速は、第2摩擦要素B2の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが第3クラッチギヤ20と係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には、第2サンギヤS2から駆動力が入力される。このとき、ワンウェイクラッチ7は動力伝達に何ら関与しないため、コースト走行状態になってもエンジンブレーキ力が作用する。
【0049】
以上説明したように、実施例2にあっては実施例1の作用効果(1),(2),(3)に加えて下記の作用効果を得ることができる。
(5)第1回転部材8に連結された第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1シングルピニオンP1を支持する第1ピニオンキャリヤPC1とからなる第1遊星歯車PG1と、第2回転部材9に連結された第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とに噛み合う第2シングルピニオンP2を支持する第2ピニオンキャリヤPC2からなる第2遊星歯車PG2と、第1ピニオンキャリヤPC1に常時連結する出力軸OUTと、第1ピニオンキャリヤPC1と第2リングギヤR2とを常時連結する第1回転メンバM1と、第1リングギヤR2と第2ピニオンキャリヤPC2とを常時連結する第2回転メンバM2と、第1クラッチギヤ3と第2回転メンバM2との間を選択的に連結する第1摩擦要素C1と、第2回転メンバM2の回転を選択的に係止する第2摩擦要素B1と、第2サンギヤS2の回転を選択的に係止する第3摩擦要素B2と、を備え、前進4速後退1速を達成することとした。
【0050】
よって、制御データを簡略化しつつ、かつ、噛合機構を介して回転要素を入力部材INに連結可能にし、これにより伝達効率を向上させた前進4速、後退1速を達成する自動変速機を得ることができる。尚、実施例1のようにロングピニオンやショートピニオンを備えた構成ではなく、単純遊星歯車によって変速機構部を構成することで、音振性能の向上や製造コストの抑制を図ることができる。
【実施例3】
【0051】
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例2と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図8は実施例3の実施例2の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。実施例3では、実施例1,2と噛合機構の構成が異なるため、この点について説明する。
【0052】
〔噛合機構の構成〕
実施例1,2の第1噛合機構D1では、入力部材INと一体回転する第1ハブ1はスプライン嵌合により回転軸方向に移動可能とされていたが、実施例3では第1スライディングジョイントSJ1により結合され、これにより、回転軸方向に移動可能としている点が異なる。スライディングジョイントとは、回転方向には常に動力伝達を可能としつつ、回転軸方向への移動を許容する接続手段であり、具体的な構成は種々考えられるため、特に限定しない。
また、実施例1,2の第2噛合機構D2では、第1噛合機構D1がDレンジ選択によって入力部材INと第1クラッチギヤ3とが噛み合い、第1クラッチギヤ3と一体のシンクロハブ200を介して入力部材INと第2ハブ4とを一体としていた。これに対し、実施例3では、第2ハブ4と入力部材INとは、常時、第2スライディングジョイントSJ2により結合されて一体とするとともに、第1クラッチギヤ3とシンクロハブ200とを別体とし、これにより、回転軸方向に移動可能としつつ、第1噛合機構D1の噛合状態に関わらず第2ハブ4を回転駆動する点が異なる。
【0053】
実施例3にあっては、実施例1の作用効果(2),(3)及び実施例2の作用効果(5)に加えて下記の作用効果が得られる。
(6)後退走行を行うRレンジと、動力伝達を行わないNレンジと、自動変速による前進走行を行うDレンジと、所定変速段による前進走行を行うLレンジとを有し、セレクトレバーの操作によりDレンジを選択したときは所定変速段においてエンジンブレーキが作用せず、Lレンジを選択したときはエンジンブレーキが作用する自動変速機であって、自動変速機の入力軸に連結された入力部材INと、入力部材INと一体回転する第1ハブ1と、該第1ハブ1と一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第1スリーブ2と、該第1スリーブ2が回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第1クラッチギヤ3と、を有する第1噛合機構D1と、入力部材INと一体回転する第2ハブ4と、該第2ハブ4と一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第2スリーブ5と、該第2スリーブ5が回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第2クラッチギヤ6と、を有する第2噛合機構D2と、第1クラッチギヤ3と第2クラッチギヤ6との間に設けられ、第2クラッチギヤ6の回転数が第1クラッチギヤ3の回転数よりも大きいときに空転するワンウェイクラッチ7と、NレンジからDレンジへのセレクトレバー12の操作に連動し、第1スリーブ1を作動させて第1噛合機構D1を第1クラッチギヤ3との間で噛合状態とする第1リンク機構と、DレンジからLレンジへのセレクトレバー12の操作に連動し、第2スリーブ4を作動させて第2噛合機構D2を第2クラッチギヤ6との間で噛合状態とする第2リンク機構と、第2クラッチギヤ6に連結された部材であって、Dレンジのときは第1噛合機構D1が噛合状態となって入力部材INからの駆動力がワンウェイクラッチ7を介して伝達され、Lレンジのときは第1噛合機構D1及び第2噛合機構D2が噛合状態となって入力部材INからの駆動力がワンウェイクラッチ7を介さずに伝達される第1回転部材8と、を備えた。
【0054】
すなわち、第1リンク機構と第2リンク機構によりセレクトレバー12の操作に連動して第1噛合機構D1及び第2噛合機構D2の噛合状態を切り換えることができるため、Dレンジ選択時及びLレンジ選択時において第1噛合機構D1と第2噛合機構D2とを制御するデータが不要となり、その分の制御データを簡略化することができる。
また、スライディングジョイントSJ1,SJ2を用いて入力部材INと第1及び第2ハブ1,4とを結合することで、第1噛合機構D1と第2噛合機構D2とを独立して作動させることができる。また、入力部材INからの動力伝達経路を、シンクロハブ200経由ではなく、直接、第2ハブ4に伝達することでシンクロハブ200の耐久性を向上することができる。
【実施例4】
【0055】
次に、実施例4について説明する。噛合機構の基本的な構成は実施例1と同じであるため、以下、異なる点について説明する。
【0056】
図9は実施例4の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。実施例4の自動変速機は、図外のエンジン等の動力源から入力された駆動力を増幅するトルクコンバータTCと、動力伝達経路を切り換える第1及び第2噛合機構D1,D2と、遊星歯車からなるギヤトレーンとを有する。図9に示すように、ギヤトレーンとしては、ダブルピニオン型遊星歯車PG1と単純遊星歯車PG2とダブルサンギヤ型遊星歯車PG3とを備えている。
【0057】
ダブルピニオン型遊星歯車PG1は、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1と噛み合う第1ピニオンWP1と、第1ピニオンWP1及び第1リングギヤR1と噛み合う第2ピニオンWP2とを有する。第1及び第2ピニオンWP1,WP2は、第1ピニオンキャリヤPC1に対して回転可能に支持されている。
単純遊星歯車PG2は、第2サンギヤS1と、第2リングギヤR2と、第2サンギヤS1及び第2リングギヤR2と噛み合う第2ピニオンP2を回転可能に支持する第2ピニオンキャリヤPC2とを有する。
ダブルサンギヤ型遊星歯車PG3は、第3サンギヤS3と、第4サンギヤS4と、第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3及び第4サンギヤS4と第3リングギヤR3とに噛み合うロングピニオンLPを回転可能に支持する第3ピニオンキャリヤPC3とを有する。
【0058】
また、第2ピニオンキャリヤPC2と第3リングギヤR3とを常時連結する第1回転メンバM1と、第2サンギヤS2と第3サンギヤS3とを常時連結する第2回転メンバM2とを有し、これにより一組の遊星歯車組PGを構成している。また、第1リングギヤR1に接続された入力部材INと、第2サンギヤS2に接続された第1回転部材8と、第2回転メンバM2(第2サンギヤS2及び第3サンギヤS3)と接続された第2回転部材9とを有する。また、第1サンギヤS1はハウジングHSに対して常時固定されている。トルクコンバータTCから出力された動力は、入力軸Inputを介して第1ピニオンキャリヤPC1に常時伝達される。
【0059】
〔自動変速機の摩擦締結要素の構成〕
自動変速機には、2つのクラッチ(第1摩擦要素C1,第4摩擦要素C2)と二つのブレーキ(第2摩擦要素B1,第3摩擦要素B2)が設けられている。第1摩擦要素C1は、第1ピニオンキャリヤPC1と第3ピニオンキャリヤPC3との間に設けられ、第1ピニオンキャリヤPCと第3ピニオンキャリヤPC3とを選択的に連結する。第2摩擦要素B1は、第3ピニオンキャリヤPC3とハウジングHSとの間に設けられ、第3ピニオンキャリヤPC3を選択的にハウジングHSに係止する。第3摩擦要素B2は、第4サンギヤS4とハウジングHSとの間に設けられ、第4サンギヤS4を選択的にハウジングHSに係止する。第4摩擦要素C2は、入力部材INと第2回転部材9との間に設けられ、入力部材INと第2回転部材とを選択的に連結する。出力軸OUTには、出力ギヤ等が設けられ、カウンタギヤIGやデファレンシャルギヤDEFを介して図外の駆動輪へ回転駆動力が伝達される。実施例1の場合、出力軸OUTはブレーキである第2摩擦要素B1や第3摩擦要素B2とハウジングHSによって塞がれているためFF車両に適用可能とされている。
【0060】
図10は実施例4の第1及び第2噛合機構の構成を表す拡大概略断面図である。基本的には実施例1と同じであるが、入力部材INが第1リングギヤR1側から軸心を通って図中左から右に向けて延在している点、入力部材INと第2回転部材9との間に第4摩擦要素C2が設けられている点、回転メンバ17は特に他の回転要素と連結していない点が異なるが、それ以外の構成については実施例1と同じである。
【0061】
〔自動変速機の達成する変速段について〕
図11は実施例4の各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を表す締結表、図12は実施例4の自動変速機の共通速度線図である。尚、表中の○印は締結、空欄は解放を表している。
【0062】
(Dレンジを選択している場合について)
1速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。2速は、第3摩擦要素B2の締結により達成する。3速は、第4摩擦要素C2の締結により達成する。4速は、第1摩擦要素C1の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時にはワンウェイクラッチ7が係合するため、ダブルピニオン型遊星歯車PG1で減速された第1リングギヤR1(入力部材IN)の駆動力が第2リングギヤR2に入力される。一方、コースト走行状態になると、ワンウェイクラッチ7の係合が解放され、エンジンブレーキ力は作用しない。
【0063】
5速は、第1摩擦要素C1と第4摩擦要素C2の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介して第3ピニオンキャリヤPC3から駆動力が入力される。同時に、第4摩擦要素C2の締結により第1リングギヤR1の回転は第2回転メンバM2に伝達される。すなわち、5速にあっては、第4摩擦要素C2が締結していることから、第2リングギヤR2は常時、第1リングギヤR1(入力部材IN)よりも高回転側となるため、ワンウェイクラッチ7は解放状態となって締結に関与しないため、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、5速の変速比は増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0064】
6速は、第1摩擦要素C1と第3摩擦要素B2の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介して第3ピニオンキャリヤPC3から駆動力が入力される。同時に、第3摩擦要素B2の締結により第4サンギヤS4の回転は常時ハウジングHSに固定される。すなわち、6速にあっては、第3摩擦要素B2が締結していることから、第2リングギヤR2は常時、第1リングギヤR1(入力部材IN)よりも高回転側となるため、ワンウェイクラッチ7は解放状態となって締結に関与しないため、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、6速は変速比が増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0065】
(Lレンジを選択している場合について)
Lレンジを選択している場合、Dレンジを選択しているときと同じ摩擦要素が締結し、その上で、第2噛合機構D2の締結によってワンウェイクラッチ7を介すことなく第1回転部材8と回転メンバ17(すなわち入力部材IN)とが連結される。このとき、ワンウェイクラッチ7の作用によってコースト走行時にエンジンブレーキが作用しなかった1,2,3,4速時にあっては、Lレンジが選択されると、それぞれの変速段においてエンジンブレーキ力が作用する。
【0066】
(Rレンジを選択している場合について)
後退速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが第3クラッチギヤ20と係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には、ダブルピニオン型遊星歯車PG1により減速された回転が第2回転メンバM2から入力される。このとき、ワンウェイクラッチ7は動力伝達に何ら関与しないため、コースト走行状態になってもエンジンブレーキ力が作用する。
【0067】
以上説明したように、実施例4にあっては実施例1の作用効果(1),(2),(3)に加えて下記の作用効果を得ることができる。
(7)常時固定されるハウジングHS(固定メンバ)と連結された第1サンギヤS1と、入力部材INに連結された第1リングギヤR1と、自動変速機の入力軸に連結されて第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1ピニオンWP1及び第2ピニオンWP2(第1ダブルピニオン)を支持する第1ピニオンキャリヤPC1とからなるダブルピニオン型遊星歯車PG1(第1遊星歯車)と、第2回転部材としての第2サンギヤS2と、第1回転部材としての第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2に噛み合うピニオンP2(第2シングルピニオン)を支持する第1ピニオンキャリヤとからなる第2遊星歯車PG2と、第3サンギヤS3と、第4サンギヤS4と、第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3と第4サンギヤS4と第3リングギヤR3とに噛み合うロングピニオンLPを支持する第3ピニオンキャリヤPC3とからなるダブルサンギヤ型遊星歯車(第3遊星歯車)と、第2ピニオンキャリヤPC2に常時連結する出力軸OUTと、第2ピニオンキャリヤPC2と第3リングギヤR3とを常時連結する第1回転メンバM1と、第2サンギヤS2と第3サンギヤS3とを常時連結する第2回転メンバM2と、第1ピニオンキャリヤPC1と第3ピニオンキャリヤPC3との間を選択的に連結する第1摩擦要素C1と、第3ピニオンキャリヤPC3の回転を選択的に係止する第2摩擦要素B1と、第4サンギヤS4の回転を選択的に係止する第3摩擦要素B2と、第1リングギヤR1と第3クラッチギヤ20との間を選択的に連結する第4摩擦要素C2と、を備えた。
【0068】
よって、制御データを簡略化しつつ、かつ、噛合機構を介して回転要素を入力部材INに連結可能にし、これにより伝達効率を向上させた前進6速、後退1速を達成する自動変速機を得ることができる。
【実施例5】
【0069】
次に、実施例5について説明する。基本的な構成は実施例4と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図13は実施例5の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。実施例4では、入力部材INと第2回転部材9との間に第4摩擦要素C2を設けた。これに対し、実施例5では、第1ピニオンキャリヤPC1と第2回転部材9との間に第4摩擦要素C2を設けた点が異なる。
【0070】
図14は、実施例5の第1及び第2噛合機構の構成を表す拡大概略断面図である。基本的には実施例4と同じであり、入力部材INと第2回転部材9との間に第4摩擦要素C2が設けられていない点が異なる。
【0071】
〔自動変速機の達成する変速段について〕
実施例5の自動変速機に使用される締結表は、実施例4の図11で使用したものと同じである。図15は実施例5の自動変速機の共通速度線図である。尚、表中の○印は締結、空欄は解放を表している。
【0072】
(Dレンジを選択している場合について)
1速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。2速は、第3摩擦要素B2の締結により達成する。3速は、第4摩擦要素C2の締結により達成する。4速は、第1摩擦要素C1の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時にはワンウェイクラッチ7が係合するため、ダブルピニオン型遊星歯車PG1で減速された第1リングギヤR1(入力部材IN)の駆動力が第2リングギヤR2に入力される。一方、コースト走行状態になると、ワンウェイクラッチ7の係合が解放され、エンジンブレーキ力は作用しない。
【0073】
5速は、第1摩擦要素C1と第4摩擦要素C2の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介して第3ピニオンキャリヤPC3から駆動力が入力される。同時に、第4摩擦要素C2の締結により第1ピニオンキャリヤPC1の回転は第2回転メンバM2に伝達される。すなわち、5速にあっては、第4摩擦要素C2が締結していることから、第2リングギヤR2は常時、第1リングギヤR1(入力部材IN)と等速回転となるため、ワンウェイクラッチ7は締結に関与しないため、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、5速の変速比は増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0074】
6速は、第1摩擦要素C1と第3摩擦要素B2の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介して第3ピニオンキャリヤPC3から駆動力が入力される。同時に、第3摩擦要素B2の締結により第4サンギヤS4の回転は常時ハウジングHSに固定される。すなわち、6速にあっては、第3摩擦要素B2が締結していることから、第2リングギヤR2は常時、第1リングギヤR1(入力部材IN)よりも高回転側となるため、ワンウェイクラッチ7は解放状態となって締結に関与しないため、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、6速は変速比が増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0075】
(Lレンジを選択している場合について)
Lレンジを選択している場合、Dレンジを選択しているときと同じ摩擦要素が締結し、その上で、第2噛合機構D2の締結によってワンウェイクラッチ7を介すことなく第1回転部材8と回転メンバ17(すなわち入力部材IN)とが連結される。このとき、ワンウェイクラッチ7の作用によってコースト走行時にエンジンブレーキが作用しなかった1,2,3,4速時にあっては、Lレンジが選択されると、それぞれの変速段においてエンジンブレーキ力が作用する。
【0076】
(Rレンジを選択している場合について)
後退速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが第3クラッチギヤ20と係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には、ダブルピニオン型遊星歯車PG1により減速された回転が第2回転メンバM2から入力される。このとき、ワンウェイクラッチ7は動力伝達に何ら関与しないため、コースト走行状態になってもエンジンブレーキ力が作用する。
【0077】
以上説明したように、実施例5にあっては実施例1の作用効果(1),(2),(3)に加えて下記の作用効果を得ることができる。
(8)常時固定されるハウジングHS(固定メンバ)と連結された第1サンギヤS1と、入力部材INに連結された第1リングギヤR1と、自動変速機の入力軸に連結されて第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1ピニオンWP1及び第2ピニオンWP2(第1ダブルピニオン)を支持する第1ピニオンキャリヤPC1とからなるダブルピニオン型遊星歯車PG1(第1遊星歯車)と、第2回転部材としての第2サンギヤS2と、第1回転部材としての第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2に噛み合うピニオンP2(第2シングルピニオン)を支持する第1ピニオンキャリヤとからなる第2遊星歯車PG2と、第3サンギヤS3と、第4サンギヤS4と、第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3と第4サンギヤS4と第3リングギヤR3とに噛み合うロングピニオンLPを支持する第3ピニオンキャリヤPC3とからなるダブルサンギヤ型遊星歯車(第3遊星歯車)と、第2ピニオンキャリヤPC2に常時連結する出力軸OUTと、第2ピニオンキャリヤPC2と第3リングギヤR3とを常時連結する第1回転メンバM1と、第2サンギヤS2と第3サンギヤS3とを常時連結する第2回転メンバM2と、第1ピニオンキャリヤPC1と第3ピニオンキャリヤPC3との間を選択的に連結する第1摩擦要素C1と、第3ピニオンキャリヤPC3の回転を選択的に係止する第2摩擦要素B1と、第4サンギヤS4の回転を選択的に係止する第3摩擦要素B2と、第1ピニオンキャリヤPC2と第2回転メンバM2との間を選択的に連結する第4摩擦要素C2と、を備えた。
【0078】
よって、制御データを簡略化しつつ、かつ、噛合機構を介して回転要素を入力部材INに連結可能にし、これにより伝達効率を向上させた前進6速、後退1速を達成する自動変速機を得ることができる。
【実施例6】
【0079】
次に実施例6について説明する。図16は実施例6の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図である。スケルトン図における基本的な構成は実施例5と同じであり、実施例4において採用した第4摩擦要素C2を第5摩擦要素C3として追加した構成が実施例6である。図17は、実施例6の第1及び第2噛合機構の構成を表す拡大概略断面図である。基本的には実施例4と同じであり、入力部材INと第2回転部材9との間に設けられた摩擦要素が第5摩擦要素C3である点が異なる。
【0080】
〔自動変速機の達成する変速段について〕
図18は実施例6の各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を表す締結表、図19は実施例6の自動変速機の共通速度線図である。尚、表中の○印は締結、空欄は解放を表している。
【0081】
(Dレンジを選択している場合について)
1速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。2速は、第3摩擦要素B2の締結により達成する。3速は、第5摩擦要素C3の締結により達成する。第4摩擦要素C2の締結により達成する。5速は、第1摩擦要素C1の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時にはワンウェイクラッチ7が係合するため、ダブルピニオン型遊星歯車PG1で減速された第1リングギヤR1(入力部材IN)の駆動力が第2リングギヤR2に入力される。一方、コースト走行状態になると、ワンウェイクラッチ7の係合が解放され、エンジンブレーキ力は作用しない。
【0082】
6速は、第1摩擦要素C1と第4摩擦要素C2の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介して第3ピニオンキャリヤPC3から駆動力が入力される。同時に、第4摩擦要素C2の締結により第1ピニオンキャリヤPC1の回転は第2回転メンバM2に伝達される。すなわち、6速にあっては、第4摩擦要素C2が締結していることから、第2リングギヤR2は常時、第1リングギヤR1(入力部材IN)と等速回転となるため、ワンウェイクラッチ7は締結に関与しないため、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、6速の変速比は増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0083】
7速は、第1摩擦要素C1と第5摩擦要素C3の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介して第3ピニオンキャリヤPC3から駆動力が入力される。同時に、第5摩擦要素C3の締結により第1リングギヤR1の回転は第2回転メンバM2に伝達される。すなわち、7速にあっては、第5摩擦要素C3が締結していることから、第2リングギヤR2は常時、第1リングギヤR1(入力部材IN)の回転よりも高回転側となるため、ワンウェイクラッチ7は解放状態となって締結に関与しないため、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、7速は変速比が増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0084】
8速は、第1摩擦要素C1と第3摩擦要素B2の締結により達成する。これにより、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には第1摩擦要素C1を介して第3ピニオンキャリヤPC3から駆動力が入力される。同時に、第3摩擦要素B2の締結により第4サンギヤS4の回転は常時ハウジングHSに固定される。すなわち、6速にあっては、第3摩擦要素B2が締結していることから、第2リングギヤR2は常時、第1リングギヤR1(入力部材IN)よりも高回転側となるため、ワンウェイクラッチ7は解放状態となって締結に関与しないため、常時エンジンブレーキ力が作用する。ただし、8速は変速比が増速側であるため、さほど大きなエンジンブレーキ力は作用しない。
【0085】
(Lレンジを選択している場合について)
Lレンジを選択している場合、Dレンジを選択しているときと同じ摩擦要素が締結し、その上で、第2噛合機構D2の締結によってワンウェイクラッチ7を介すことなく第1回転部材8と回転メンバ17(すなわち入力部材IN)とが連結される。このとき、ワンウェイクラッチ7の作用によってコースト走行時にエンジンブレーキが作用しなかった1,2,3,4,5速時にあっては、Lレンジが選択されると、それぞれの変速段においてエンジンブレーキ力が作用する。
【0086】
(Rレンジを選択している場合について)
後退速は、第2摩擦要素B1の締結により達成する。また、噛合機構にあっては第1噛合機構D1のみが第3クラッチギヤ20と係合し、エンジン側からトルクが伝達されるドライブ時には、ダブルピニオン型遊星歯車PG1により減速された回転が第2回転メンバM2から入力される。このとき、ワンウェイクラッチ7は動力伝達に何ら関与しないため、コースト走行状態になってもエンジンブレーキ力が作用する。
【0087】
以上説明したように、実施例5にあっては実施例1の作用効果(1),(2),(3)に加えて下記の作用効果を得ることができる。
(9)常時固定されるハウジングHS(固定メンバ)と連結された第1サンギヤS1と、入力部材INに連結された第1リングギヤR1と、自動変速機の入力軸に連結されて第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1ピニオンWP1及び第2ピニオンWP2(第1ダブルピニオン)を支持する第1ピニオンキャリヤPC1とからなるダブルピニオン型遊星歯車PG1(第1遊星歯車)と、第2回転部材としての第2サンギヤS2と、第1回転部材としての第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2に噛み合うピニオンP2(第2シングルピニオン)を支持する第1ピニオンキャリヤとからなる第2遊星歯車PG2と、第3サンギヤS3と、第4サンギヤS4と、第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3と第4サンギヤS4と第3リングギヤR3とに噛み合うロングピニオンLPを支持する第3ピニオンキャリヤPC3とからなるダブルサンギヤ型遊星歯車(第3遊星歯車)と、第2ピニオンキャリヤPC2に常時連結する出力軸OUTと、第2ピニオンキャリヤPC2と第3リングギヤR3とを常時連結する第1回転メンバM1と、第2サンギヤS2と第3サンギヤS3とを常時連結する第2回転メンバM2と、第1ピニオンキャリヤPC1と第3ピニオンキャリヤPC3との間を選択的に連結する第1摩擦要素C1と、第3ピニオンキャリヤPC3の回転を選択的に係止する第2摩擦要素B1と、第4サンギヤS4の回転を選択的に係止する第3摩擦要素B2と、第1ピニオンキャリヤPC2と第2回転メンバM2との間を選択的に連結する第4摩擦要素C2と、第1リングギヤR1と第3クラッチギヤ20との間を選択的に連結する第5摩擦要素C3と、を備えた。
【0088】
よって、制御データを簡略化しつつ、かつ、噛合機構を介して回転要素を入力部材INに連結可能にし、これにより伝達効率を向上させた前進8速、後退1速を達成する自動変速機を得ることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 第1ハブ
2 第1スリーブ
3 第1クラッチギヤ
4 第2ハブ
5 第2スリーブ
6 第2クラッチギヤ
7 ワンウェイクラッチ
8 第1回転部材
9 第2回転部材
10 第1シフトフォーク
11 第2シフトフォーク
12 シフトレバー
13 連結部材
14 マニュアルシャフト
15 第1マニュアルプレート
16 第2マニュアルプレート
17 回転メンバ
20 第3クラッチギヤ
IN 入力部材
C1 第1摩擦要素
B1 第2摩擦要素
B2 第3摩擦要素
C2 第4摩擦要素
C3 第5摩擦要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後退走行を行うRレンジと、動力伝達を行わないNレンジと、自動変速による前進走行を行うDレンジと、所定変速段による前進走行を行うLレンジとを有し、セレクトレバーの操作により前記Dレンジを選択したときは前記所定変速段においてエンジンブレーキが作用せず、Lレンジを選択したときは前記エンジンブレーキが作用する自動変速機であって、
該自動変速機の入力軸に連結された入力部材と、
該入力部材と一体回転する第1ハブと、該第1ハブと一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第1スリーブと、該第1スリーブが回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第1クラッチギヤと、を有する第1噛合機構と、
前記第1クラッチギヤと一体回転する第2ハブと、該第2ハブと一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第2スリーブと、該第2スリーブが回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第2クラッチギヤと、を有する第2噛合機構と、
前記第2ハブと前記第2クラッチギヤとの間に設けられ、前記第2クラッチギヤの回転数が前記第2ハブの回転数よりも大きいときに空転するワンウェイクラッチと、
前記Nレンジから前記Dレンジへの前記セレクトレバーの操作に連動し、前記第1スリーブを作動させて前記第1噛合機構を前記第1クラッチギヤとの間で噛合状態とする第1リンク機構と、
前記Dレンジから前記Lレンジへの前記セレクトレバーの操作に連動し、前記第2スリーブを作動させて前記第2噛合機構を前記第2クラッチギヤとの間で噛合状態とする第2リンク機構と、
前記第2クラッチギヤに連結された部材であって、前記Dレンジのときは前記第1噛合機構が噛合状態となって前記入力部材からの駆動力が前記ワンウェイクラッチを介して伝達され、前記Lレンジのときは前記第1噛合機構及び前記第2噛合機構が噛合状態となって前記入力部材からの駆動力が前記ワンウェイクラッチを介さずに伝達される第1回転部材と、
を備えたことを特徴とする自動変速機。
【請求項2】
自動変速による前進走行を行うDレンジと、動力伝達を行わないNレンジと、所定変速段による前進走行を行うLレンジとを有し、セレクトレバーの操作により前記Dレンジを選択したときは前記所定変速段においてエンジンブレーキが作用せず、Lレンジを選択したときは前記エンジンブレーキが作用する自動変速機であって、
該自動変速機の入力軸に連結された入力部材と、
該入力部材と一体回転する第1ハブと、該第1ハブと一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第1スリーブと、該第1スリーブが回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第1クラッチギヤと、を有する第1噛合機構と、
前記入力部材と一体回転する第2ハブと、該第2ハブと一体回転し、かつ、回転軸方向に移動可能な第2スリーブと、該第2スリーブが回転軸方向に移動して噛み合うことで一体回転する第2クラッチギヤと、を有する第2噛合機構と、
前記第1クラッチギヤと前記第2クラッチギヤとの間に設けられ、前記第2クラッチギヤの回転数が前記第1クラッチギヤの回転数よりも大きいときに空転するワンウェイクラッチと、
前記Nレンジから前記Dレンジへの前記セレクトレバーの操作に連動し、前記第1スリーブを作動させて前記第1噛合機構を前記第1クラッチギヤとの間で噛合状態とする第1リンク機構と、
前記Dレンジから前記Lレンジへの前記セレクトレバーの操作に連動し、前記第2スリーブを作動させて前記第2噛合機構を前記第2クラッチギヤとの間で噛合状態とする第2リンク機構と、
前記第2クラッチギヤに連結された部材であって、前記Dレンジのときは前記第1噛合機構が噛合状態となって前記入力部材からの駆動力が前記ワンウェイクラッチを介して伝達され、前記Lレンジのときは前記第1噛合機構及び前記第2噛合機構が噛合状態となって前記入力部材からの駆動力が前記ワンウェイクラッチを介さずに伝達される第1回転部材と、
を備えたことを特徴とする自動変速機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動変速機において、
前記第1噛合機構は、前記第1スリーブが前記第1クラッチギヤとは反対側の回転軸方向に移動して噛合することで前記第1スリーブと一体回転する第3クラッチギヤを有し、
前記第1リンク機構は、前記Nレンジから前記Rレンジへの前記セレクトレバーの操作に連動し、前記第1スリーブを作動させて前記第1噛合機構を前記第3クラッチギヤとの間で噛合状態とするリンク機構を有し、
前記第3クラッチギヤに連結された部材であって、前記Rレンジのときは前記第1スリーブと前記第3クラッチギヤとが噛合状態となって前記入力部材からの駆動力が伝達される第2回転部材を備えたことを特徴とする自動変速機。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一つに記載の自動変速機において、
前記第1リンク機構は、前記セレクトレバーのセレクト位置に応じて回動するマニュアルシャフトと一体に回動する第1マニュアルプレートと、前記Nレンジから前記Dレンジへのセレクト操作時に該第1マニュアルプレートの回動に応じて前記第1スリーブと連結し前記第1スリーブを回転軸方向に移動させ、前記Dレンジから前記Lレンジへのセレクト操作時に該第1マニュアルプレートの回動に応じて前記第1スリーブとの連結が外れる第1シフトフォークと、を有し、
前記第2リンク機構は、前記マニュアルシャフトと一体に回動する第2マニュアルプレートと、前記Dレンジから前記Lレンジへのセレクト操作時に該第2マニュアルプレートの回動に応じて前記第2スリーブと連結し前記第2スリーブを回転軸方向に移動させ、前記Dレンジから前記Nレンジへのセレクト操作時に該第2マニュアルプレートの回動に応じて前記第2スリーブとの連結が外れる第2シフトフォークと、を有することを特徴とする自動変速機。
【請求項5】
請求項3に記載の自動変速機において、
前記第1回転部材に連結された第1サンギヤと、前記第2回転部材に連結された第2サンギヤと、リングギヤと、前記第1サンギヤに噛み合うショートピニオン及び該ショートピニオンと前記第2サンギヤと前記リングギヤとに噛み合うロングピニオンを支持するピニオンキャリヤと、からなる遊星歯車組と、
前記リングギヤに常時連結する出力軸と、
前記第1クラッチギヤと前記ピニオンキャリヤとの間を選択的に連結する第1摩擦要素と、
前記ピニオンキャリヤの回転を選択的に係止する第2摩擦要素と、
前記第2サンギヤの回転を選択的に係止する第3摩擦要素と、
を備え、
前進4速及び後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。
【請求項6】
請求項3に記載の自動変速機において、
前記第1回転部材に連結された第1サンギヤと、第1リングギヤと、前記第1サンギヤと前記第1リングギヤとに噛み合う第1シングルピニオンを支持する第1ピニオンキャリヤとからなる第1遊星歯車組と、
前記第2回転部材に連結された第2サンギヤと、第2リングギヤと、前記第2サンギヤと前記第2リングギヤとに噛み合う第2シングルピニオンを支持する第2ピニオンキャリヤからなる第2遊星歯車組と、
前記第1ピニオンキャリヤに常時連結する出力軸と、
前記第1ピニオンキャリヤと前記第2リングギヤとを常時連結する第1回転メンバと、
前記第1リングギヤと前記第2ピニオンキャリヤとを常時連結する第2回転メンバと、
前記第1クラッチギヤと前記第2回転メンバとの間を選択的に連結する第1摩擦要素と、
前記第2回転メンバの回転を選択的に係止する第2摩擦要素と、
前記第2サンギヤの回転を選択的に係止する第3摩擦要素と、
を備え、
前進4速後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。
【請求項7】
請求項3に記載の自動変速機において、
常時固定される固定メンバと連結された第1サンギヤと、前記入力部材に連結された第1リングギヤと、前記自動変速機の入力軸に連結されて前記第1サンギヤと前記第1リングギヤとに噛み合うダブルピニオンを支持する第1ピニオンキャリヤとからなる第1遊星歯車と、
前記第2回転部材としての第2サンギヤと、前記第1回転部材としての第2リングギヤと、前記第2サンギヤと前記第2リングギヤに噛み合うシングルピニオンを支持する第2ピニオンキャリヤとからなる第2遊星歯車と、
第3サンギヤと、第4サンギヤと、第3リングギヤと、前記第3サンギヤと前記第4サンギヤと前記第3リングギヤとに噛み合うロングピニオンを支持する第3ピニオンキャリヤPC3とからなる第3遊星歯車と、
前記第2ピニオンキャリヤに常時連結する出力軸と、
前記第2ピニオンキャリヤと前記第3リングギヤとを常時連結する第1回転メンバと、
前記第2サンギヤと前記第3サンギヤとを常時連結する第2回転メンバと、
前記第1ピニオンキャリヤと前記第3ピニオンキャリヤとの間を選択的に連結する第1摩擦要素と、
前記第3ピニオンキャリヤの回転を選択的に係止する第2摩擦要素と、
前記第4サンギヤの回転を選択的に係止する第3摩擦要素と、
前記第1リングギヤと前記第3クラッチギヤとの間を選択的に連結する第4摩擦要素と、
を備えたことを特徴とする自動変速機。
【請求項8】
請求項3に記載の自動変速機において、
常時固定される固定メンバと連結された第1サンギヤと、前記入力部材に連結された第1リングギヤと、前記自動変速機の入力軸に連結されて前記第1サンギヤと前記第1リングギヤとに噛み合うダブルピニオンを支持する第1ピニオンキャリヤとからなる第1遊星歯車と、
前記第2回転部材としての第2サンギヤと、前記第1回転部材としての第2リングギヤと、前記第2サンギヤと前記第2リングギヤに噛み合うシングルピニオンを支持する第2ピニオンキャリヤとからなる第2遊星歯車と、
第3サンギヤと、第4サンギヤと、第3リングギヤと、前記第3サンギヤと前記第4サンギヤと前記第3リングギヤとに噛み合うロングピニオンを支持する第3ピニオンキャリヤPC3とからなる第3遊星歯車と、
前記第2ピニオンキャリヤに常時連結する出力軸と、
前記第2ピニオンキャリヤと前記第3リングギヤとを常時連結する第1回転メンバと、
前記第2サンギヤと前記第3サンギヤとを常時連結する第2回転メンバと、
前記第1ピニオンキャリヤと前記第3ピニオンキャリヤとの間を選択的に連結する第1摩擦要素と、
前記第3ピニオンキャリヤの回転を選択的に係止する第2摩擦要素と、
前記第4サンギヤの回転を選択的に係止する第3摩擦要素と、
前記第1ピニオンキャリヤと前記第2回転メンバとの間を選択的に連結する第4摩擦要素と、
を備えたことを特徴とする自動変速機。
【請求項9】
請求項3に記載の自動変速機において、
常時固定される固定メンバと連結された第1サンギヤと、前記入力部材に連結された第1リングギヤと、前記自動変速機の入力軸に連結されて前記第1サンギヤと前記第1リングギヤとに噛み合う第1ダブルピニオンを支持する第1ピニオンキャリヤとからなる第1遊星歯車と、
前記第2回転部材としての第2サンギヤと、前記第1回転部材としての第2リングギヤと、前記第2サンギヤと前記第2リングギヤに噛み合う第1シングルピニオンを支持する第1ピニオンキャリヤとからなる第2遊星歯車と、
第3サンギヤと、第4サンギヤと、リングギヤと、前記第3サンギヤと前記第4サンギヤと前記リングギヤとに噛み合う第2シングルピニオンを支持するピニオンキャリヤとからなる第3遊星歯車と、
前記第2ピニオンキャリヤに常時連結する出力軸と、
前記第2ピニオンキャリヤと前記第3リングギヤとを常時連結する第1回転メンバと、
前記第2サンギヤと前記第3サンギヤとを常時連結する第2回転メンバと、
前記第1ピニオンキャリヤと前記第3ピニオンキャリヤとの間を選択的に連結する第1摩擦要素と、
前記第3ピニオンキャリヤの回転を選択的に係止する第2摩擦要素と、
前記第4サンギヤの回転を選択的に係止する第3摩擦要素と、
前記第1ピニオンキャリヤと前記第2回転メンバとの間を選択的に連結する第4摩擦要素と、
前記第1リングギヤと前記第3クラッチギヤとの間を選択的に連結する第5摩擦要素と、
を備えたことを特徴とする自動変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−132531(P2012−132531A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286332(P2010−286332)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】