説明

自動注入器及び薬液注入システム

【課題】一方弁の状態を確認することで薬液供給路の異常を検出し、患者に対して好ましくない薬液注入が行われることを防止できる自動注入器等を提供する。
【解決手段】薬液供給路30には、内部に液路が形成されたボディ57及び該ボディ57内に配置され移動することで液路を開閉する弁本体51を有する一方弁51が配置されている。この一方弁51の外周には、弁本体51の位置を検出するセンサ11が配置されている。薬液注入器のピストン駆動手段は、センサ11の検出結果に基づいて動作するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方弁が配置された薬液供給路を通じて、患者に向けて薬液(例えば造影剤)を注入する自動注入器等に関し、特には、一方弁の状態を確認することで薬液供給路の異常を検出し、患者に対して好ましくない薬液注入が行われることを防止できる自動注入器及び薬液注入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の透視撮像装置としては、CT(Computed Tomography)スキャナ、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron
Emission Tomography)装置、超音波診断装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置等がある。このような装置を使用するとき、例えば鮮明な画像を得ることなどを目的として患者の体内に造影剤や生理食塩水など(以下、これらを単に「薬液」ともいう)が注入されることが多い。
【0003】
このような薬液を患者に注入する場合、先ず、患者の腕の血管(一例)に留置針のカテーテルが差し込まれ、シリンジ内の薬液を患者に注入できる状態とする。次いで、シリンジのピストンを押し込むことで、シリンジ内の薬液が押し出され、薬液がチューブやカテーテルを通じて患者体内へと供給される。
【0004】
シリンジから留置針までの薬液供給路状には一方弁が設けられている場合も多く(詳細は図2を参照して後述する)、このように一方弁が設けられている場合、患者の血液が一方弁を超えてシリンジ側へと逆流することが防止される。
【0005】
一方弁としては、例えば、内部に液路が形成されたボディ及び該ボディ内に配置され所定方向に往復移動することで液路を開閉する弁本体(例えば球体)と、を有するものなどが用いられる。特許文献1には、この種の一方弁として、液路を良好に閉塞するために弁本体を所定方向に付勢する弾性部材を設けた例が記載されている。
【特許文献1】特開平5−329211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような一方弁を用いた場合、何らかの原因により弾性部材が正常に機能しなった場合に、弁本体が所定位置に戻らなくなるという故障が生じうる。このように一方弁が故障した状態(すなわち薬液供給路が正常ではない状態)では、患者の血液が一方弁を超えてシリンジ側へと逆流する可能性がある。
【0007】
ケースバイケースではあるが、複数人に対して薬液の注入を行う場合、シリンジを共通として、一方弁より下流の要素(チューブ及び留置針等)のみを新しいものに付け替えて別の患者に対して薬液注入が行われることがある。このような構成においては、安全性の観点から、前の患者の血液が一方弁を越えてシリンジ側へと逆流するのを防止する必要がある。逆流を防止するためには、従来、一方弁を二つ設けるなどの、安全性を高める措置が採られているが、更なる改善の余地が残されている。
【0008】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、一方弁の状態を確認することで薬液供給路の異常を検出し、患者に対して好ましくない薬液注入が行われることを防止できる自動注入器及び薬液注入システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の自動注入器は、
内部に液路が形成されたボディ及び該ボディ内に配置され移動することで前記液路を開閉する弁本体を有する一方弁が配置された薬液供給路を通じて、患者に向けて薬液を注入する自動注入器であって、
前記弁本体の位置を検出するセンサと、
シリンジのピストン部材をシリンダ部材内に押し込むピストン駆動手段と、
を備え、
前記ピストン駆動手段が、前記センサの検出結果に基づいて動作するように構成されている。
【0010】
このような構成によれば、センサを用いて弁本体(形状は特に限定されるものではない)の位置を検出でき、その位置が所定の範囲内にあるかどうかを判断することが可能である。したがって、弁本体が所定の位置にない場合には、薬液注入動作に移行しない等の対応をとることができるので、患者に対し好ましくない薬液注入が行われることを未然に防止することができる。
【0011】
本発明の自動注入器は、また、薬液注入動作を行う前に、前記弁本体の位置が所定の範囲内にあるかどうかの判断を行い、前記弁本体の位置が所定の範囲内にある場合にのみ、前記ピストン駆動手段を動作させて薬液注入動作を行うようになっていてもよい。
また、薬液注入動作の最中に、前記弁本体の位置が所定の範囲内にあるかどうかの判断を行い、前記弁本体の位置が所定の範囲内にある場合には、前記薬液注入動作を継続し、前記弁本体の位置が所定の範囲内にない場合には、前記薬液注入動作を停止するようになっていてもよい。
【0012】
本発明の他の自動注入器は、
前記弁本体の位置を検出するセンサと、
シリンジのピストン部材をシリンダ部材内に押し込むピストン駆動手段と、
オペレータに対してアラームを発するアラーム手段と、
を備え、
前記アラーム手段が、前記センサの検出結果に基づいて動作するように構成されている。
【0013】
この自動注入器は、具体的には、
薬液注入動作を行う前に、前記弁本体の位置が所定の範囲内にあるかどうかの判断を行い、前記弁本体の位置が所定の範囲内にない場合には、前記アラーム手段を動作させてオペレータに対してアラームを発するようになっていてもよい。
また、薬液注入動作の最中に、前記弁本体の位置が所定の範囲内にあるかどうかの判断を行い、前記弁本体の位置が所定の範囲内にある場合には、前記薬液注入動作を継続し、前記弁本体の位置が所定の範囲内にない場合には、前記アラーム手段を動作させてオペレータに対してアラームを発するようになっていてもよい。
【0014】
本発明において、センサは、例えば光学センサ、赤外線センサ又は超音波センサを利用可能であり、反射型であってもよいし透過型であってもよい。
【0015】
センサを一方弁に取り付け易くするために、当該センサが、前記ボディに取外し可能に取り付けられるホルダに設けられていてもよい。
この場合、ホルダは、自動注入器本体にコードを介して接続されていてもよいし、アームを介して接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明によれば、一方弁の状態を確認することで薬液供給路の異常を検出し、患者に対して好ましくない薬液注入が行われることを防止できる自動注入器等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の自動注入器の外観を示す斜視図であり、シリンジA、Bが搭載される状態が描かれている。図2は、シリンジA、Bから患者への薬液供給路を概略的に示す模式図である。なお、以下の説明では、図面の記載に合わせて「前後」、「左右」といった方向を示す語句を用いるが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0018】
各シリンジA、Bは一般的なものであり、筒状のシリンダ部材210と、それにスライド自在に挿入されたピストン部材220と、を有している。シリンダ部材210の先端には、チューブが接続される導管部が形成されている。シリンダ部材210の後端にはフランジ部が形成されている。ピストン部材220の先端にはガスケット(不図示)が設けられており、後端は円板状のフランジ部となっている。
【0019】
自動注入器(インジェクター)110は、全体としてやや平たい細長い形状をしており、その上面の前方側には、シリンジA、Bが装着される2つの凹部114が設けられている。各凹部114は、シリンジA、Bの形状に対応し、半円筒型に形成されている。
【0020】
凹部114の後端部には、ピストン220をスライド移動させるピストン駆動機構130が配置されている(図1では、その機構のうちの一部のみが図示されている)。ピストン駆動機構130は、不図示のモータを駆動源として回転するスクリューシャフトと、該スクリューシャフトの前側(図示左側)に取り付けられ、シャフトの軸方向に往復移動する略円筒状のホルダ部材と、を有している。このホルダ部材には、ピストン部材220のフランジ部を把持する把持機構(一対の爪)が設けられている。
【0021】
自動注入器110は、また、内部に制御回路(不図示)を備えており、この制御回路はプログラム等に従って所定のタイミングでピストン駆動機構130を動作させる。患者に薬液を注入する場合には、同機構のホルダ部材が前進移動させられ、これによりピストン部材220がシリンダ部材210内へと押し込まれ、内部の薬液が押し出される。
【0022】
次に、図2を参照して本実施形態おける薬液供給路30について説明する。
【0023】
この薬液供給路30は、シリンジA、B内の薬液を患者に向けて注入するためのものであり、経路の途中には、一例として2つの一方弁50、60が設けられている。
【0024】
薬液供給路30を構成する各チューブについて説明すると、チューブ21aはシリンジAと継手45Aとを繋いでおり、チューブ21bはシリンジBと継手(分岐コネクタ)45Aとを繋いでいる。チューブ22は継手45Aと一方弁50とを繋いでいる。チューブ23は一方弁50とその下流に配置された他の一方弁60とを繋いでいる。チューブ24は他の一方弁60と更にその下流に配置された継手45Bとを繋いでいる。チューブ25は、一端がこの継手45Bの出口側に繋がれており、他端に留置針65が取り付けられている。
【0025】
留置針65は、先端側が患者の血管に穿刺される柔軟なカテーテルと、そのカテーテルの基部を指示するカテーテルハブと、を有するものである。
上記構成により、各シリンジA、B内の薬液を、選択的に患者に注入できるようになっている。
【0026】
一方弁50、60はいずれも、シリンジ側から患者側に向かう流れのみを許容する。本実施形態では、このように2つの一方弁を設けることで、患者の血液等がシリンジ側に逆流することが2重に防止されるようになっている。
【0027】
図3は、一方弁50(上流側)の内部構成の一例を示す断面図である。
図3に示すように、一方弁50は、内部に液路が形成されたボディ57と、該ボディ57内に配置され流れ方向に往復移動(変位)することで液路を開閉する弁本体51とを有している。
【0028】
ボディ57は一例として樹脂製であり、全体として円筒状に形成されている(図2も参照)。ボディ57の両端には入口及び出口が形成され、そこにそれぞれチューブ22、23が接続される。図3(A)に示すように、入口側の端面57aの内側付近には、環状の弾性リング58が配置されている。環状の弾性リング58よりも内側(図示左側、下流側)には、略球状の弁本体51が配置されている。弁本体51の下流側(図示左側)にはコイルスプリング53が配置されている。
【0029】
平常時(すなわち、ピストン駆動機構130が動作していない状態)では、弁本体51はコイルスプリング53からの付勢力を受けて弾性リング58に押し付けられる(図3(A)参照)。具体的には、弁本体51の外周面の一部が弾性リング58の中央孔のところに押し付けられ、これにより、中央孔が塞がれて液路が閉塞される。この際、弾性リング58がクッションとして機能するため、弁本体51と部材58との間の密着性が向上し、十分な水密シール性が確保される。
【0030】
なお、図3(B)に分かり易く示すように、弾性リング58の中央孔の周り(弁本体51が接する部分)にテーパ面58cが形成されているので、弁本体51と弾性リング58との接触面積が増し水密シール性がより高められている。
【0031】
ピストン駆動機構130を動作させて、薬液に所定値以上の圧力が加えられると、図3(B)に示すように、弁本体51はスプリング53の付勢力に抗しながら下流側へと移動する。これにより、弾性リング58の中央孔が開放され薬液が流れる状態となる(図中の矢印参照)。ピストン駆動機構130の動作を停止させると、薬液の内圧が徐々に低下し、スプリング53の付勢力により弁本体51が元の位置に戻り(図3(A)参照)、再び液路が閉塞される。
【0032】
なお、図2に示すように本実施形態では上記した一方弁50の他にも、もう一つの一方弁60が設けられているが、その構成は一方弁50と実質的に同じである。
このように一方弁が2つ設けられているので、留置針65を患者の血管に刺した状態で患者の血液がチューブ内を逆流してきたとしても、先ず、一つ目の一方弁60のところで逆流が防止され、それより上流に逆流することはない。仮に、その一方弁60が何らかの原因で故障していた場合でも、二つ目の一方弁50が存在しているので、通常、血液がそれより上流に逆流することはない。
【0033】
上記のように本実施形態の薬液供給路30は十分な安全性を備えているが、2つの一方弁50、60が共に故障するという可能性がある。これに対して、本実施形態では、一方弁50が正常に機能しているかを検出するセンサ11を設け更なる信頼性の向上を図っている(図3参照)。
【0034】
このセンサ11は、図3に示すように、一例として反射型の赤外センサーユニットであり、不図示の発光素子及び受光素子を有し、ボディ57の外側に取り付けられている。弁本体51が図3(A)の閉塞位置にあるとき、センサ11からの光が弁本体51表面で反射し、その反射光がセンサ11の受光素子で検出される。弁本体51が図3(B)の位置にあるとき、弁本体51からの反射光は得られない(又は、得られても反射光は大幅に減少している)。この差を利用することにより、弁本体51が閉塞位置(図3(A)参照)にあるかどうか判断することができる。
【0035】
本実施形態では、センサ11と自動注入器110の制御回路(不図示)とが接続されており、センサ11からの検出結果が自動注入器110の制御回路に送られるようになっている。制御回路はこの検出結果に基づいて、例えば、所定のアラームを発したり、弁本体51が所定位置にある場合にのみ注入動作させたりする制御を行う(詳細後述)。
【0036】
なお、アラームを発するためのアラーム手段としては、自動注入器に設けられたLED光源等であってもよいし、自動注入器に内臓されたスピーカ等であってもよい。
【0037】
センサ11は反射型に限らず透過型を利用することもできる。また、上記の他、光学センサ、超音波センサ等を利用可能であり、あるいは、磁力の変化に基づいて弁本体51の有無(または位置)を検出する磁気センサを利用することもできる。また、センサ11は、例えばボディ57に対して取外し可能に取り付けられるホルダ(取り付けた時点でセンサ11がボディ57に対して位置決めされるもの)に設けられていてもよい。
図4に示すように、ホルダ36は略C字型で、ボディ57(図3参照)の外周に装着されるものであってもよい。
【0038】
図4(A)に示すように、ホルダ36は、コード31で自動注入器本体111に接続されていてもよい。また、図4(B)に示すように、ホルダ36は、自動注入器110から延出したアーム32に保持されたものであってもよい。
他にも、アーム32等を利用するのではなく、ホルダ36を自動注入器本体111に一体的に設けることも可能である。
あるいは、ホルダ36内に無線通信ユニットが内蔵されると共に、注入器本体111内にそれに対応する他のユニットが内蔵されており、両ユニット間で無線通信が行われる構成であってもよい。このような構成によれば、コード31等が不要となるので、取扱いが容易になる。
【0039】
次に、上記センサ11の検出結果に基づいた自動注入器110の動作の一例について説明する。
〔薬液注入に先立って検出を行う例〕
この例では、図5に示すように、ステップS1において、シリンジA、Bを自動注入器110に搭載すると共にチューブ先端の留置針65を患者の腕(一例)に刺す。
【0040】
次いで、薬液注入動作を実施する前に、センサ11からの検出結果に基づいて、弁本体51の位置確認を行う(ステップS2)。この時点では、自動注入器110の駆動機構130は動作していないので、弁が正常であれば、弁本体51は図3(A)の閉塞位置にあるはずである。しかしながら、例えば、スプリング53が正常に機能しなくなった等の理由で弁本体51が正常な位置に戻っていないことも想定される(図3(B)の状態)。この場合、弁本体51からの反射光が得られない(又は、反射光が存在しても、図3(A)の状態と比べるとその量が大幅に減少している)ため、この差を利用して、弁本体51の位置が所定の範囲内にあるかかどうかを判断することができる。
なお、「所定の範囲」については、一方弁50全体のサイズや、弁本体51の移動量スプリング53の付勢力、更には、薬液注入時の薬液の圧力等を考慮して、事前に設定可能である。
【0041】
弁本体51の位置が所定の範囲内にないと判断した場合、自動注入器110は、例えば、アラームを発する(ステップS3)。これにより、オペレータが、一方弁50に異常があることを知ることができる。
【0042】
弁本体51の位置が所定の範囲内にあると判断した場合、自動注入器110は、次いで、薬液注入に移行する(ステップS4)。所定の注入プロトコルに従った薬液注入を所定時間行った時点で、注入動作が完了する。
【0043】
上述した動作によれば、薬液注入動作に先立って一方弁50のチェックを行い、弁本体51の位置が所定の範囲内にない場合には薬液注入を中止することができるので、被験者に対して好ましくない薬液注入が行われることを防止することができる。
【0044】
〔薬液注入の最中に検出を行う例〕
図6に示すように、この例では、図5の例と同様、ステップS11において、シリンジA、Bを自動注入器110に搭載すると共にチューブ先端の留置針65を患者の腕(一例)に刺す。
【0045】
次いで、従来公知の手順で患者に対する注入条件(注入プロトコル)を決定した後、薬液注入動作を開始する(ステップS12)。そして、この薬液注入を実施している最中に、弁本体51の位置確認を行う(ステップS13)。
【0046】
図3(B)に示したように、薬液注入の最中では、弁本体51は薬液の流れに押されて所定位置まで下流側に移動している。弁本体51がこの位置にあれば、他の故障原因がない限り、一方弁50は正常に機能していると推測される。これに対して、弁本体51が所定位置から大きくずれている(例えば図3(A)の位置から全く動いていない等)場合には、スプリング53が正常に機能しなくなった等の故障が推測される。
【0047】
弁本体51の位置が正常な範囲内にないと判断した場合には、自動注入器110は、上記同様アラームを発する、及び/又は、薬液注入を一時停止する(ステップS14)。これにより、患者への好ましくない薬液注入を防止することができる。
【0048】
弁本体51の位置が正常な範囲内にあると判断した場合には、自動注入器110は、薬液注入を継続し(ステップS15)、注入を所定時間行った時点で、注入動作が完了する。
【0049】
上述したように、注入動作中に弁本体51の位置をチェックする構成によれば、仮に薬液注入動作中に一方弁50が故障したとしても、それを早期に発見でき、患者に対し好ましくない注入が行われることを防止することができる。
【0050】
以上、本発明の一形態について説明したが、本発明は他にも種々変更可能である。
例えば、上記のセンサ11は弁本体51の有無のみを検出するものであったが、本発明はこれに限らず、弁本体51がどの程度移動しているかを検出できるセンサを利用することも可能である。この場合、例えば、複数のセンサ11がボディ57の軸方向に沿って並んで配置されたユニットを利用してもよい。
【0051】
また、一方弁50の弁本体51の位置をチェックするタイミングは、上記の他にも、例えば、ある患者に対して一連の薬液注入工程が終了した時点(具体的には、ピストン駆動機構130の動作を停止した時点)から、弁本体51が元の位置(図3(A)参照)に戻るまでの時間を計測し、その時間が所定の範囲内であるかどうかを調べて一方弁が正常であるか否かを判断してもよい。
【0052】
また、センサにより弁本体の位置が検出できるものであれば、一方弁の構成や弁本体の形状は特に限定されるものではない。例えば、球状の弁本体に替えて、ボディ内で往復移動する軸状の弁本体を備える一方弁であってもよい。必要に応じて、この軸状の弁本体の外周とボディの内周との間をシールするOリングが設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施形態の自動注入器の外観を示す斜視図である。
【図2】シリンジA、Bから患者への薬液供給路を概略的に示す模式図である。
【図3】一方弁の内部構成の一例を示す断面図である。
【図4】センサが設けられたホルダと注入器本体との接続例を示す模式図である。
【図5】図1の注入器の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】他の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
11 センサ
30 薬液供給路
36 ホルダ
45 継手
50、60 一方弁
51 弁本体
53 コイルスプリング
57 ボディ
58 弾性リング
65 留置針
110 自動注入器
111 自動注入器本体
114 凹部
130 ピストン駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液路が形成されたボディ及び該ボディ内に配置され移動することで前記液路を開閉する弁本体を有する一方弁が配置された薬液供給路を通じて、患者に向けて薬液を注入する自動注入器であって、
前記弁本体の位置を検出するセンサと、
シリンジのピストン部材をシリンダ部材内に押し込むピストン駆動手段と、
を備え、
前記ピストン駆動手段が、前記センサの検出結果に基づいて動作するように構成されている自動注入器。
【請求項2】
薬液注入動作を行う前に、前記弁本体の位置が所定の範囲内にあるかどうかの判断を行い、
前記弁本体の位置が所定の範囲内にある場合にのみ、前記ピストン駆動手段を動作させて薬液注入動作を行う、請求項1に記載の自動注入器。
【請求項3】
薬液注入動作の最中に、前記弁本体の位置が所定の範囲内にあるかどうかの判断を行い、
前記弁本体の位置が所定の範囲内にある場合には、前記薬液注入動作を継続し、
前記弁本体の位置が所定の範囲内にない場合には、前記薬液注入動作を停止する、請求項1に記載の自動注入器。
【請求項4】
内部に液路が形成されたボディ及び該ボディ内に配置され移動することで前記液路を開閉する弁本体を有する一方弁が配置された薬液供給路を通じて、患者に向けて薬液を注入する自動注入器であって、
前記弁本体の位置を検出するセンサと、
シリンジのピストン部材をシリンダ部材内に押し込むピストン駆動手段と、
オペレータに対してアラームを発するアラーム手段と、
を備え、
前記アラーム手段が、前記センサの検出結果に基づいて動作するように構成されている自動注入器。
【請求項5】
薬液注入動作を行う前に、前記弁本体の位置が所定の範囲内にあるかどうかの判断を行い、
前記弁本体の位置が所定の範囲内にない場合には、前記アラーム手段を動作させてオペレータに対してアラームを発する、請求項4に記載の自動注入器。
【請求項6】
薬液注入動作の最中に、前記弁本体の位置が所定の範囲内にあるかどうかの判断を行い、
前記弁本体の位置が所定の範囲内にある場合には、前記薬液注入動作を継続し、
前記弁本体の位置が所定の範囲内にない場合には、前記アラーム手段を動作させてオペレータに対してアラームを発する、請求項4に記載の自動注入器。
【請求項7】
前記センサが、前記ボディに取外し可能に取り付けられるホルダに設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動注入器。
【請求項8】
前記ホルダが、自動注入器本体にコードを介して接続されている、請求項7に記載の自動注入器。
【請求項9】
前記ホルダが、自動注入器本体にアームを介して接続されている、請求項7に記載の自動注入器。
【請求項10】
前記センサが、光学センサ、赤外線センサ又は超音波センサである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動注入器。
【請求項11】
前記センサが、反射型又は透過型である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の自動注入器。
【請求項12】
前記一方弁は、前記弁本体を所定方向に付勢する付勢手段を更に有し、
前記弁本体が前記付勢手段の付勢力に抗して所定位置に移動しているときに前記液路が開放される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の自動注入器。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の自動注入器と、
前記一方弁が配置された前記薬液供給路と、を備えた薬液注入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−247404(P2009−247404A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95355(P2008−95355)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(391039313)株式会社根本杏林堂 (80)
【Fターム(参考)】