自動臨床アナライザで使用するためのウィッキング防止機能を有する反応キュベット
内壁面に沿った液体ウィッキングを阻止するウィッキング防止壁フィレットを有する反応キュベット。この反応キュベットは、自動アナライザにおけるキュベット再洗浄システムで使用できるが、この反応キュベットで先に実施された評価分析から残っているいかなる試薬汚染物質によっても悪影響を受けない。ウィッキング防止壁フィレットは、開いた頂部から下方にキュベット内へ延びていて、キュベットの前後壁、側壁間に角が丸くなっている凹面ブレンド部を形成している曲線テーパを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿、血清、血漿、脳脊髄液などのような患者の生物学的流体を自動的に処理する装置に関する。特に、本発明は、内壁面に沿った上向きの液体ウィッキング(wicking)を最小限に抑える反応キュベットを提供する。
【背景技術】
【0002】
患者の感染部、体液または膿瘍部のサンプルの分析測定によって、患者の診断および治療に関連した種々タイプの検査を実施できる。このような患者サンプルは、代表的には、サンプル・バイアルに入れられ、バイアルから抽出され、特殊な反応キュベットまたは反応チューブ内で種々の試薬と混ぜ合わされ、インキュベートされ、分析され、患者の治療の助けとする。代表的な臨床化学分析では、1つまたは2つの分析評価試薬を別々の時間に液体サンプルに添加し、このサンプル−試薬の組み合わせを反応キュベット内で混合し、インキュベートする。周知の較正技術を使用して被検物質の量を決定するのに使用できるエンドポイント値または反応率値を確認するために、サンプル−試薬組み合わせと相互作用する検査用放射線ビームを使用して分析測定(たとえば、濁度読み取り、蛍光読み取り、吸収読み取り)が実行される。
【0003】
サンプルの化学的、免疫化学的、生物学的な検査のためには種々の公知の臨床アナライザが利用できるが、分析臨床技術は、今、分析レベルの向上を迫られている。報告可能な結果当たりのコストを減らすよう臨床検査室への圧力が高まっていることにより、自動臨床アナライザの総コストパフォーマンスの向上が絶えず必要である。特に、ありとあらゆる反応評価分析に必要とされる消耗品またはそのコストを減らすという観点からサンプル分析のコスト効率を向上させることが絶えず必要である。
【0004】
報告価値のある結果当たりのコストを確実に減らす一因は、最初の反応が終了し、次の反応評価分析に移る前に洗浄または清掃した反応キュベットで反応評価分析を繰り返し実施できるかどうかにある。しかしながら、このような清掃システムの多くで見過ごされてきたことは、とりわけ前の評価分析からの試薬残留物が反応キュベットの内壁面に沿って上向きにウィッキングし(have wicked upward)キュベット頂面に達してしまったり、または、外面にさえ達してしまったりした場合に、洗浄技術が、清掃した使用済みのキュベットを未使用のキュベットの清潔度まで戻すことが十分にできないということである。したがって、反応キュベットがキュベット再洗浄システムにおいて、毛管ウィッキング(キュベット内の流体が内壁面に沿って上向きに流れるプロセス)を完全に排除するか有意に低減すると有利である。さらに、ウィッキング作用の排除は、キュベット内に最初に分散した試薬、サンプルの完全性が維持されるので、すなわち、液体が毛管作用で当初の混合物からウィッキングして反応成分の完全性を損なうことがないので、反応評価分析測定値の精度に確実に貢献する。
【0005】
米国特許第4,902,479号が、カバー部材の表面に沿って延びていて、1つのチャンバ内に格納されている成分のウィッキング移動による、近接したチャンバ内の成分の時期尚早の混合を阻止するバリア構造の使用を開示している。
【0006】
米国特許第5,571,479号が、キュベット内容物の分光光度式吸光度測定や蛍光偏光測定のための測定窓として使用される、平らで平行な側壁および底壁を有する分析キュベットを開示している。
【0007】
米国特許第5,658,532号が、頂部分上の矩形の頂部分、この頂部分下方にある円筒形部分およびキュベット内容物を透過した光の吸収を測定するときに具合悪く回転しないようになっている矩形の下方部分を有する分析キュベットを開示している。
【0008】
米国特許第6,214,626号が、分析にキャリオーバをもたらすことがないように、1つまたはそれ以上の反応液体を採取するための反応容器としても、これらの液体をインキュベートし、保管するための反応容器としても、光学測定を実施するための反応容器としても同時に使用できる分析キュベットを開示している。
【0009】
米国特許第6,249,345号が、互いに対向した対の平らで平行な光学窓を有する分析キュベットを開示している。この分析キュベットでは、1対の光学窓間の距離が別対の光学窓間の距離と異なっていて、キュベット内容物の測定のためにサンプル流体の異なった層厚を利用できるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主目的は、内壁面に沿った液体ウィッキングを阻止する機能を有する改良した反応キュベットであって、自動アナライザのキュベット再洗浄システムで使用でき、その反応キュベットで以前に実施された評価分析から残っているいかなる試薬汚染物質による悪影響も受けることがない反応キュベットを提供することにある。本発明においては、この目的を達成すべく、前および後壁および側壁間に可変ブレンド半径(variable blend radius)の形状を有する、開口頂部から下向きにキュベット内まで延びている曲線テーパを含むウィッキング防止壁フィレット(anti-wicking wall fillet)を設ける。各ウィッキング防止壁フィレットの可変ブレンド半径は、キュベットの下方領域から頂部内方部分まで徐々に増大する。さらに、反応キュベットは、その中に収容しているサンプル-試薬組み合わせと相互作用する検査用放射線ビームの信頼性を妨げない表面特徴を有する。このような反応キュベットの自動取り扱いを容易にするために、場合により、他の特徴を含んでいてもよい。
【0011】
本発明は、本出願の一部をなす添付図面と関連して行った以下の詳細な説明からより完全に理解して貰えよう。
【0012】
図面において、
図1は、本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
図2は、図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
図3は、自動アリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
図4は、アリコート容器アレイの斜視図である。
図5は、本発明の例示であり、図1のアナライザで役に立つ反応キュベットの斜視図である。
図6は、図5の反応キュベットの平面図である。
図6Aは、図5の反応キュベットの簡略平面図である。
図7は、A−A線に沿った図6の反応キュベットの断面図である。
図7Aは、図7の断面図の斜視図である。
図7Bは、本発明の或る特徴を示している図7の断面図の簡略斜視図である。
図8は、B−B線に沿った図6の反応キュベットの断面図である。
図9は、本発明の例示である別の実施形態の反応キュベットの平面図である。
図10は、A−A線に沿った図9の反応キュベットの斜視断面図である。
図11は、A−A線に沿った図6の反応キュベットの第2の別の実施形態の断面図である。
図12は、B−B線に沿った図7の反応キュベットの第2の別の実施形態の断面図である。
図13は、図1のアナライザ内に図7の反応キュベットを支持する配置を示す。
【0013】
図1は、図2と共に、本発明を有利に実行できる自動化学アナライザ10の諸要素を概略的に示している。このアナライザ10は、キュベット・ポート20を形成した外側キュベット回転コンベヤ14と、容器ポート22を形成した内側キュベット回転コンベヤ16とを支持している反応回転コンベヤ12を含む。外側キュベット回転コンベヤ14と内側キュベット回転コンベヤ16は開放溝18により分離されている。キュベット・ポート20は、在来の臨床評価分析および免疫測定評価分析のための種々の試薬およびサンプル液を収容している複数の反応キュベット24を受け入れるようになっている。一方、容器ポート22は、超高感度発光免疫測定専用の試薬を収容している複数の反応容器25を受け入れるようになっている。反応回転コンベヤ12は、一定方向に段階的に移動するように回転可能である。この段階的移動は一定の停止時間によって分けてあり、この停止時間中、回転コンベヤ12は静止状態に保たれ、センサ、試薬添加ステーション、混合ステーションなどのコンピュータ制御式評価分析操作装置13が、必要に応じて、キュベット24内に収容されている評価分析混合物に作用する。
【0014】
アナライザ10は、イリノイ州ディアフィールドのDade Behring Inc.の販売しているDimension(R)臨床化学アナライザで使用されており、コンピュータ・ベースの電気機械制御プログラミングの分野で当業者によって、広く使用されているような機械語で書かれたコンピュータ・プログラムに基づいてコンピュータ15により実行されるソフトウェアにより制御される。コンピュータ15は、アナライザ10内の種々の分析手段17により行われる評価分析を実施するためのアプリケーション・ソフトウェア・プログラムも実行する。
【0015】
温度制御される試薬保管領域26、28が、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号09/949,132に記載されているように、複数の細長い多区画試薬カートリッジ30を格納しており、これらの試薬カートリッジは、所与の評価分析を実施する必要に応じてウェル32内に試薬を収容している。
【0016】
入力レーン34Aおよび出力レーン34Bを有する双方向装入・送出サンプル・チューブ移送システム36が、試験しようとしている検体液を収容し、サンプル・チューブ・ラック42内に装着された個々の装入サンプル・チューブ40を液体サンプル採取アーム44のサンプル採取円弧内へ移送する。サンプル・チューブ40に収容された検体液は、その上に取り付けられたバーコード記号を在来のバーコードリーダを用いて読み取ることにより識別され、項目の中でも特に患者の身元、実施されるべき検査、サンプルをアナライザ10内に保持すべきかどうか、その場合にどのくらいの期間保持するかという諸点を決定する。また、サンプル・チューブ・ラック42上にバーコード記号を設け、アナライザ10全体にわたって据え付けた多数の在来のバーコードリーダを使用してサンプル・チューブ40およびサンプル・チューブ・ラック42の位置を確認、制御、追跡することもよく行われている。
【0017】
サンプル採取アーム44は、回転可能シャフト48に装着された液体サンプル採取プローブ46を支持しており、サンプル採取アーム44の動きは、サンプル・チューブ移送システム36および図3に示すようなアリコート容器アレイ移送システム50を横切る円弧を描く。サンプル採取アーム44は、サンプル・チューブ40から液体サンプルを吸い込み、必要な評価分析を実施するのに必要なサンプルの量に応じて図4に示すようにアリコート容器アレイ52に設けた複数の容器52Vのうち1つまたはそれ以上にアリコート・サンプルを分配し、アナライザ10によって、環境室38内に保持されるべきサンプル・アリコートを提供するように作動可能である。在来のイオン選択性電子プローブ49を備えた在来のイオン選択性電子測定ステーション47をアリコート容器アレイ移送システム50の近くに設置し、プローブ49によって、受け器52Vから吸引し、イオン選択性電子測定ステーション47に分配したサンプル・アリコートについてイオン性被検物質測定を行うことができると便利である。
【0018】
アリコート容器アレイ移送システム50は、アリコート容器アレイ保管・分配モジュール56と、反応回転コンベヤ12に接近して設置したサンプル吸引・分配アーム54の下方にある多数のアリコート容器アレイ・トラック57内でアリコート容器アレイ52を双方向に移動させるようになっている多数のリニア駆動モータ58とを含む。サンプル吸引・分配アーム54は、コンピュータ15により制御され、制御した量のサンプルを、在来の液体プローブ54Pを使用してトラック57内のサンプル採取位置に位置した個々の容器52Vから吸引し、次いで、液体プローブ54Pを分配位置に戻すようになっており、この分配位置において、適量の吸引サンプルをキュベット・ポート20にある1つまたはそれ以上のキュベット24に分配し、1つまたはそれ以上の被検物質についてアナライザ10が検査を行う。アナライザ10による検査の前に、サンプルが固有のサンプル吸光度(たとえば、干渉黄疸、干渉高脂血症または干渉溶血症)により誤った評価分析を発生する可能性があるかどうかを決定するためにサンプルの一部をイオン・プローブ49で吸引し、空のキュベット24内に入れてもよい。干渉黄疸、干渉高脂血症または干渉溶血症の存在を示す検査結果は、イオン・プローブ49を使用してサンプルを希釈し、次いで希釈サンプルを適切な色フィルタを経た検査用放射線に露出し、光センサを使用して測定し、この技術分野で知られている比色分析を行うことによって、決定できる。イオン・プローブ49は、また、血漿蛋白質サンプルを同様に希釈するのにも使用できる。サンプルが反応キュベット24に分配された後、在来の移送手段が、必要に応じて、アリコート容器アレイ移送システム50、環境室38、廃棄領域(図示せず)間でアリコート容器アレイ52を動かす。
【0019】
それぞれ一対の在来型液体試薬プローブ60P、62Pを含む多数の試薬吸引・分配アーム60、62が、独立して装着してあり、それぞれ、試薬保管領域26、28間で移動可能となっている。プローブ60P、62Pは、試薬添加位置で適切な試薬カートリッジ30にあるウェル32から指定評価分析を行うのに必要な試薬を吸引する在来の機構を含む。その後、プローブ60P、62Pは、試薬が反応キュベット24に分配される試薬分配位置に動かされる。多数の試薬カートリッジ30は、試薬保管領域26、28内部の制御された環境条件で在庫管理される。高い評価分析処理量を維持する際の鍵となる要因は、試薬保管領域26、28内部の試薬カートリッジ30をプローブ60P、62Pによって、アクセスできるように試薬添加位置まで迅速かつ正確に往復動させる能力である。
【0020】
反応キュベット装填ステーション61および反応容器装填ステーション63が、それぞれ、外側キュベット回転コンベヤ14および内側容器回転コンベヤ16に接近して設置してあり、たとえば摺動シュート65を使用して、後に説明するように反応キュベット24を横向きにキュベット・ポート20に装填し、また、反応容器25を容器ポート22に装填するようになっている。操作に当たって、評価分析を最終的に行った使用済みのキュベット24は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,360に開示されるように洗浄ステーション67で洗浄、乾燥させられる。本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/318,804に開示されているような理由のために他の指示がない限り、以降の評価分析が清掃された使用済みのキュベット24で行われる。キュベット取り出しステーション59が、再び装填ステーション61、63に示すような移動可能なロボットアーム65を使用してキュベット・ポート20から使用不可の反応キュベット24を取り出すようになっている。
【0021】
図5〜8に示す反応キュベット24は、本発明の第1実施形態を、2つの互いに対向する側壁74、76(図5、7)に対して直角で、これらの側壁を隔離している互に対向した前壁70、後壁72(図5、8)を有するほぼ矩形のボックス形部分24を含むものとして例示している。図5は、キュベット24の外観等角図であり、その開放頂部分84を支持しているほぼ矩形の下方部分80を示している。図6は、キュベット24の対向した側部に設けた一対の突き出した92を示す平面図である。各出張り92にはラッチ用隆起94が形成してある。図6Aは、下方部分80の底面78を示す簡略平面図である。図7は、図6のA−A線に沿った横断面図であり、図8は、図6のB−B線に沿った横断面図である。図7Aは、図7の断面図の斜視図である。前壁70、後壁72間に位置する湾曲底面78は、図7Aで最も良くわかるように側壁74、76を一体に結合し、反応キュベット24の下方内側部分80を閉じている。前壁70、後壁72および側壁74、76の最上部分によって、頂部開口82がキュベット24の頂部内側部分に輪郭を形成してある。それによって、キュベット24内へ液体を自由に分配できる。前壁70、後壁72および側壁74、76の厚さは、下方内側部分80内ではほぼ同じであるが、後述するように、底面78から頂部開口82までの距離のほぼ約40%のところに位置する、図7、8に破線87で示す、キュベット24の下方内側部分80と頂部内側部分84との間の接合部から徐々に薄くなる。
【0022】
4つのウィッキング防止フィレット86が、図6〜8に示してあり、図7Aの一点鎖線で最も良くわかるように、フィレット86と破線87上方の4つの壁側との間には鋭い角がない。ウィッキング防止フィレット86は、本発明のキュベット24の鍵となる特徴であり、前壁70と側壁74、76との内側隅角交差部と後壁72と側壁74、76との内側隅角交差部とを効果的にブレンドする(blend)滑らかな移行部として形成してある。各ウィッキング防止壁フィレット86は、破線87のところで頂部分84の頂部開口部82から下方部分80まで延びる曲線テーパを有し、前壁70と側壁74、76との間および後壁72と側壁74、76との間に可変ブレンド半径の形状を有する。各ウィッキング防止壁移行フィレット86の曲率半径は、破線87近くの領域からキュベット24の頂部内側部分84まで約3〜5倍だけ徐々に増大して、可変ブレンド曲率半径(variable blend radius of curvature)を形成する。図6Aは、下方部分80の底面78内へウィッキング防止移行フィレット86がどのように均一にブレンドするかを示している。したがって、この第1実施形態では、前壁70、後壁72および側壁74、76の厚さは、破線87の領域から頂部内側部分84まで徐々に減少する。下方領域80において、破線87の領域におけるウィッキング防止移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径に等しい一定の曲率半径を有するブレンド部88(図示を明確にするために点線で示す)が、前壁70と側壁74、76との内側隅角交差部と後壁72と側壁74、76との内側交差部との間に形成してある。ブレンド部88は、非常に小さい曲率半径を有するので、下方内側部分80は、図6Aの平面図に底面78として示すように、ほぼ矩形のままである。ブレンド部88は、反応残屑が閉じ込められるのを最小限に抑えるためにキュベット24に組み込まれており、それによって、洗浄ステーション67の洗浄効率を向上させると共に、製造作業中にキュベット24を射出成形機から取り出すのを容易にする。
【0023】
図7Bは、各ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径が破線87の領域からキュベット24の頂部内側部分84までどのように徐々に変化するかを示す、キュベット24の簡略図である。各ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径が、その半径の破線87の領域からの距離が増えるにつれて、望ましくないウィッキング作用が排除されることがわかっている。図7Bでは、説明の目的で、各ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径は、破線87の領域からキュベット24の頂部内側部分84まで約4倍だけ徐々に増えているが、この倍数は必須ではない。4つの部位ポイントw、x、y、zは、以下の通りに特定される。
【0024】
ポイントwは、キュベット24の下方領域80におけるブレンド部88を表す。
【0025】
ポイントzは、キュベット24の上方領域84における開口部82に近接したウィッキング防止フィレット86を表す。
【0026】
ポイントxは、下方領域80におけるキュベット24の底部78から上方領域84における頂部開口82に向かった距離の約40%のところの破線87付近の領域における、ウィッキング防止移行フィレット86とブレンド部88間の移行部を表す。
【0027】
ポイントyは、破線87とキュベット24の上方領域84の開口部82との中間にある領域におけるウィッキング防止フィレット86を表す。
【0028】
本発明をさらに説明するために、
Rwは、ポイントwでのブレンド部88の可変ブレンド曲率半径と定義し、
Rxは、破線87付近の領域でのウィッキング防止移行フィレット86、ブレンド部88間の移行部の可変ブレンド曲率半径と定義し、
Ryは、破線87とキュベット24の上方領域84の開口部82との中間の領域におけるウィッキング防止移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径を表し、
Rzは、キュベット24の上方領域84における開口部82に近接したウィッキング防止フィレット86の可変ブレンド曲率半径を表す。
【0029】
以下の関係がRw、Rx、Ry、Rz間に定められる場合、キュベット24の前壁70、後壁および側壁74、76の内面に沿った上方への流体の毛管ウィッキング量が有意に縮小されるか、または、完全に排除されることが発見された。
【0030】
1. RwがRxにほぼ等しい、そして、
2. RyがRxより概して大きい、そして、
3. RzがRyより概して大きい。
【0031】
キュベット24の異なった高さのところでのウィッキング防止フィレット86の可変ブレンド曲率半径間のこれらの関係が確立したとき、上面または外面に対する反応キュベット24内部からの試薬残留物の毛管ウィッキング作用が完璧に抑えられ、洗浄ステーション67によるキュベット洗浄で、使用済みのキュベットを未使用の新しいキュベットの清潔度まで戻すことができ、試薬溶液の完全性が維持され、その結果このキュベットで実施される反応評価分析の精度が悪影響を受けることがない。たとえば、或る特定の実施形態においては、
1. RwがRxにほぼ等しく、そして、
2. Ryが2Rxにほぼ等しく、そして、
3. Rzが2Ryにほぼ等しいとしたとき、
ウィッキング防止移行フィレット86の有無によるキュベット24のウィッキングの程度を確認する光学検査を補助するために着色した石鹸水を使用して実験を行った。
【0032】
相対的な可変ブレンド曲率半径 相対的な着色石ウィッキングの程度
1 8
2 6
3 4
4 1
【0033】
このような効果的なウィッキング防止作用は、破線87の領域におけるRxから破線87、開口部82の中間の2Rxにほぼ等しいRy、キュベット24の頂部内側部分84における開口部82近くの4Rxにほぼ等しいRzまで大きくなって行く移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径によるものと推論できる。したがって、キュベット24内の流体が破線87の領域より上方へ毛管作用によって吸い上げられるにつれて、壁材料とキュベット24内に収容された流体との間の表面張力が、キュベット24の内壁面に沿った流体の望ましくない流れが完全に排除されないまでも有意に抑えられる程度まで減少する。特に、キュベット24の内壁面に沿った上向きの毛管流体流の高さは毛管流体と内壁面の構成材料との間の表面張力に正比例するが、キュベット24の内壁面に沿った望ましくない毛管流体流の高さは、移行フィレット86の可変移行曲率半径に反比例するということは言える。したがって、本発明の鍵となる特徴は、ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径が、半径の位置が破線87の領域から高くなるにつれて、その曲率を増し、その結果、キュベット24の底面78に向かって毛管流体を引き寄せるように作用する重力が、キュベット24の頂部82に向かって毛管流体を引き寄せるように作用する表面張力よりも大きくなり、それによって望ましくないウィッキングをほぼ排除するということにある。明らかに、開口部82近くのウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径をもっと大きくして望ましくないウィッキング作用をまったく生じないようにすると望ましいかもしれない。しかしながら、キュベット24の内側部分にプローブでアクセスする際に、蒸発損失およびアナライザ・サイズを最小限に抑えると共にキュベット24内の流体の実行可能な容量を維持しなければならないという副次的な制約がある。
【0034】
図8でわかるように、下方領域80における前壁70、後壁72の厚さ(「a」で示す)と、下方内側部分80と頂部内側部分84との間の接合部(破線87で示す)のところでの前壁70、後壁72の厚さ(「a」で示す)は同じであるが、「x」の約75%の値(「b」で示す)まで滑らかに減少し、その後、「a」の約60%の値(「c」で示す)まで滑らかに減少する。同様に、図7でわかるように、下方領域80における側壁74、76の厚さ(「a」で示す)と、下方内側部分80と頂部内側部分84との接合部(破線87で示す)のところでの側壁74、76の厚さ(「a」で示す)は同じであるが、「a」の約75%の値(「b」で示す)まで滑らかに減少し、その後、「a」の約60%の値(「c」で示す)まで滑らかに減少する。
【0035】
本発明の他の実施形態では、図10と組み合わせて図9で最も良くわかるように、頂部分84における前壁70、後壁72および側壁74、76の最上部内側部分を削って、前壁70、後壁72、側壁74および側壁76の各々に下方に傾斜する内側面取り部85を形成している。この面取り部85は、前壁70、後壁72および側壁74、76に対して約15度の角度で形成してあり、キュベット24の頂部開口82から下方へ、前壁70、後壁72および側壁74、76の厚さにほぼ等しい距離、延びている。図10で最も良くわかるように、面取り部85の底85Bは前壁70、後壁72および側壁74、76と交差している。この別の実施形態では、ウィッキング防止フィレット86は、頂部分84における面取り部85の底から破線87のところの下方部分80まで延びている曲線テーパを含み、前壁70、側壁74、76間および後壁72、側壁74、76間に丸みの付いたブレンド部を形成する。ここで再び、各ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径は、破線87付近の領域から面取り部85の底85Bまで約3〜5倍だけ徐々に大きくなる。この別の実施形態においては、上記にリストしたようにRw、Rx、Ry、Rz間に同様の関係を確立する。その結果、キュベット24の前壁70、後壁72および側壁74、76の内面に沿った流体の毛管吸い上げ作用が同様に実質的に排除される。
【0036】
図11に示す本発明の第2の別の実施形態においては、成形効率を改善するために、キュベット24の前壁70、後壁72および側壁74、76が同様の厚さを有することが望ましい。この場合、側壁74、76は、下方内側部分80と頂部内側部分84との間の破線87接合部のところで始まって等しい壁厚(「a」で示す)を維持するような距離、外方へ傾斜している。同様に、図12に示すように、前壁70および後壁72もまた、下方内側部分80と頂部内側部分84との間の破線87接合部のところで始まって等しい肉厚(ここでも再び「a」で示す)を維持するような距離、外方へ傾斜している。
【0037】
前壁70および後壁72は、キュベット24内に収容されている検査サンプルおよび試薬混合物の光学測定を実施するための平らで平行な光学窓90を画定している一体に形成した対向する角度部分90を備えている。各光学窓90は、窓90を通る1波長分(4.75mm)の光学平面の内外面と、60/20のスクラッチディグ(scratch DIG)と、280ナノメートル〜1000ナノメートルの最低50%の透過率とを有する。複屈折は、300ナノメートルと600ナノメートルで測定する。
【0038】
図5で最も良くわかるように、一対のほぼ平らで細長い矩形の出張り92が、頂部開口82の領域に形成してあり、頂部分84における側壁74、76の各々から外方に突出しており、各リップ92の細長い部分が側壁74、76に接合している。好ましい実施形態において、キュベット・ポート20は、外側回転コンベヤ14の外面に開口しており、キュベット24の頂部にある開口から或る距離下がったところで半径方向外方へ延びて開いているスロット96を有し、その結果、キュベット24が円形のキュベット在庫ホッパ(図1に図示せず)から回転コンベヤ14の側部を通してキュベット・ポート20内へ押込むことができ、細長い出張り92がスロット96に嵌入し、頂部82が回転コンベヤ14の上面とほぼ面一となる。この配置は図13でわかる。キュベット24をキュベット・ポート20内に保持するための支持面となることに加えて、リップ92は、さらに、取り出しステーション59のロボット装置によって、キュベット24の取り扱いを容易にする。上向きに突出するラッチ用隆起94が、各リップ92の中央領域に形成してあり、キュベット24をキュベット・ポート20内ならびに取り出しステーション59内に確実に位置決めし、係止するのを助ける。
【0039】
例示の実施形態において、反応キュベット24はポリメタクリル酸メチルで形成してあり、キュベット24の内部スペースの全容積が約500マイクロリットルとなっており、光学測定窓90間の光路長内寸は5mmである。前壁および後壁は幅約9.5mmであり、側壁は幅約7.0mmである。全高は約20mmであり、下方内側部分80と頂部内側部分84の接合部87(破線87で示す)は、キュベット24の底82上方約8.4mmのところにある。この例では、前壁70、後壁72および側壁74、76に対して先に定義した寸法「a」、「b」、「c」は、それぞれ、約1mm、0.75mm、0.6mmである。Rwは約0.25mmであり、Ryは約0.50mmであり、Rzは約1mmである。頂部開口82と面取り部85の底85Bの距離は約0.75mmであり、上述した第2の別の実施形態においては、前壁70、後壁72および側壁74、76は約0.25mmの距離外方へ傾いている。
【0040】
本発明の別の特徴は、図5、10でわかるように、湾曲底面78下方で延びている側壁74、76の下端で形成されたオプションとしての対の互に対向した平らな支持脚部分95である。
【0041】
ここで、本願明細書に開示した発明の実施形態が発明の原理を説明するものであり、なお発明の範囲内に入る他の変更も行い得ることは理解されるべきである。例えば、これらの理由により、本発明は、本明細書で明示し、説明した実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
【図2】図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
【図3】自動アリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
【図4】アリコート容器アレイの斜視図である。
【図5】本発明の例示であり、図1のアナライザで役に立つ反応キュベットの斜視図である。
【図6】図5の反応キュベットの平面図である。
【図6A】図5の反応キュベットの簡略平面図である。
【図7】A−A線に沿った図6の反応キュベットの断面図である。
【図7A】図7の断面図の斜視図である。
【図7B】本発明の或る特徴を示している図7の断面図の簡略斜視図である。
【図8】B−B線に沿った図6の反応キュベットの断面図である。
【図9】本発明の例示である別の実施形態の反応キュベットの平面図である。
【図10】A−A線に沿った図9の反応キュベットの斜視断面図である。
【図11】A−A線に沿った図6の反応キュベットの第2の別の実施形態の断面図である。
【図12】B−B線に沿った図7の反応キュベットの第2の別の実施形態の断面図である。
【図13】図1のアナライザ内に図7の反応キュベットを支持する配置を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿、血清、血漿、脳脊髄液などのような患者の生物学的流体を自動的に処理する装置に関する。特に、本発明は、内壁面に沿った上向きの液体ウィッキング(wicking)を最小限に抑える反応キュベットを提供する。
【背景技術】
【0002】
患者の感染部、体液または膿瘍部のサンプルの分析測定によって、患者の診断および治療に関連した種々タイプの検査を実施できる。このような患者サンプルは、代表的には、サンプル・バイアルに入れられ、バイアルから抽出され、特殊な反応キュベットまたは反応チューブ内で種々の試薬と混ぜ合わされ、インキュベートされ、分析され、患者の治療の助けとする。代表的な臨床化学分析では、1つまたは2つの分析評価試薬を別々の時間に液体サンプルに添加し、このサンプル−試薬の組み合わせを反応キュベット内で混合し、インキュベートする。周知の較正技術を使用して被検物質の量を決定するのに使用できるエンドポイント値または反応率値を確認するために、サンプル−試薬組み合わせと相互作用する検査用放射線ビームを使用して分析測定(たとえば、濁度読み取り、蛍光読み取り、吸収読み取り)が実行される。
【0003】
サンプルの化学的、免疫化学的、生物学的な検査のためには種々の公知の臨床アナライザが利用できるが、分析臨床技術は、今、分析レベルの向上を迫られている。報告可能な結果当たりのコストを減らすよう臨床検査室への圧力が高まっていることにより、自動臨床アナライザの総コストパフォーマンスの向上が絶えず必要である。特に、ありとあらゆる反応評価分析に必要とされる消耗品またはそのコストを減らすという観点からサンプル分析のコスト効率を向上させることが絶えず必要である。
【0004】
報告価値のある結果当たりのコストを確実に減らす一因は、最初の反応が終了し、次の反応評価分析に移る前に洗浄または清掃した反応キュベットで反応評価分析を繰り返し実施できるかどうかにある。しかしながら、このような清掃システムの多くで見過ごされてきたことは、とりわけ前の評価分析からの試薬残留物が反応キュベットの内壁面に沿って上向きにウィッキングし(have wicked upward)キュベット頂面に達してしまったり、または、外面にさえ達してしまったりした場合に、洗浄技術が、清掃した使用済みのキュベットを未使用のキュベットの清潔度まで戻すことが十分にできないということである。したがって、反応キュベットがキュベット再洗浄システムにおいて、毛管ウィッキング(キュベット内の流体が内壁面に沿って上向きに流れるプロセス)を完全に排除するか有意に低減すると有利である。さらに、ウィッキング作用の排除は、キュベット内に最初に分散した試薬、サンプルの完全性が維持されるので、すなわち、液体が毛管作用で当初の混合物からウィッキングして反応成分の完全性を損なうことがないので、反応評価分析測定値の精度に確実に貢献する。
【0005】
米国特許第4,902,479号が、カバー部材の表面に沿って延びていて、1つのチャンバ内に格納されている成分のウィッキング移動による、近接したチャンバ内の成分の時期尚早の混合を阻止するバリア構造の使用を開示している。
【0006】
米国特許第5,571,479号が、キュベット内容物の分光光度式吸光度測定や蛍光偏光測定のための測定窓として使用される、平らで平行な側壁および底壁を有する分析キュベットを開示している。
【0007】
米国特許第5,658,532号が、頂部分上の矩形の頂部分、この頂部分下方にある円筒形部分およびキュベット内容物を透過した光の吸収を測定するときに具合悪く回転しないようになっている矩形の下方部分を有する分析キュベットを開示している。
【0008】
米国特許第6,214,626号が、分析にキャリオーバをもたらすことがないように、1つまたはそれ以上の反応液体を採取するための反応容器としても、これらの液体をインキュベートし、保管するための反応容器としても、光学測定を実施するための反応容器としても同時に使用できる分析キュベットを開示している。
【0009】
米国特許第6,249,345号が、互いに対向した対の平らで平行な光学窓を有する分析キュベットを開示している。この分析キュベットでは、1対の光学窓間の距離が別対の光学窓間の距離と異なっていて、キュベット内容物の測定のためにサンプル流体の異なった層厚を利用できるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主目的は、内壁面に沿った液体ウィッキングを阻止する機能を有する改良した反応キュベットであって、自動アナライザのキュベット再洗浄システムで使用でき、その反応キュベットで以前に実施された評価分析から残っているいかなる試薬汚染物質による悪影響も受けることがない反応キュベットを提供することにある。本発明においては、この目的を達成すべく、前および後壁および側壁間に可変ブレンド半径(variable blend radius)の形状を有する、開口頂部から下向きにキュベット内まで延びている曲線テーパを含むウィッキング防止壁フィレット(anti-wicking wall fillet)を設ける。各ウィッキング防止壁フィレットの可変ブレンド半径は、キュベットの下方領域から頂部内方部分まで徐々に増大する。さらに、反応キュベットは、その中に収容しているサンプル-試薬組み合わせと相互作用する検査用放射線ビームの信頼性を妨げない表面特徴を有する。このような反応キュベットの自動取り扱いを容易にするために、場合により、他の特徴を含んでいてもよい。
【0011】
本発明は、本出願の一部をなす添付図面と関連して行った以下の詳細な説明からより完全に理解して貰えよう。
【0012】
図面において、
図1は、本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
図2は、図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
図3は、自動アリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
図4は、アリコート容器アレイの斜視図である。
図5は、本発明の例示であり、図1のアナライザで役に立つ反応キュベットの斜視図である。
図6は、図5の反応キュベットの平面図である。
図6Aは、図5の反応キュベットの簡略平面図である。
図7は、A−A線に沿った図6の反応キュベットの断面図である。
図7Aは、図7の断面図の斜視図である。
図7Bは、本発明の或る特徴を示している図7の断面図の簡略斜視図である。
図8は、B−B線に沿った図6の反応キュベットの断面図である。
図9は、本発明の例示である別の実施形態の反応キュベットの平面図である。
図10は、A−A線に沿った図9の反応キュベットの斜視断面図である。
図11は、A−A線に沿った図6の反応キュベットの第2の別の実施形態の断面図である。
図12は、B−B線に沿った図7の反応キュベットの第2の別の実施形態の断面図である。
図13は、図1のアナライザ内に図7の反応キュベットを支持する配置を示す。
【0013】
図1は、図2と共に、本発明を有利に実行できる自動化学アナライザ10の諸要素を概略的に示している。このアナライザ10は、キュベット・ポート20を形成した外側キュベット回転コンベヤ14と、容器ポート22を形成した内側キュベット回転コンベヤ16とを支持している反応回転コンベヤ12を含む。外側キュベット回転コンベヤ14と内側キュベット回転コンベヤ16は開放溝18により分離されている。キュベット・ポート20は、在来の臨床評価分析および免疫測定評価分析のための種々の試薬およびサンプル液を収容している複数の反応キュベット24を受け入れるようになっている。一方、容器ポート22は、超高感度発光免疫測定専用の試薬を収容している複数の反応容器25を受け入れるようになっている。反応回転コンベヤ12は、一定方向に段階的に移動するように回転可能である。この段階的移動は一定の停止時間によって分けてあり、この停止時間中、回転コンベヤ12は静止状態に保たれ、センサ、試薬添加ステーション、混合ステーションなどのコンピュータ制御式評価分析操作装置13が、必要に応じて、キュベット24内に収容されている評価分析混合物に作用する。
【0014】
アナライザ10は、イリノイ州ディアフィールドのDade Behring Inc.の販売しているDimension(R)臨床化学アナライザで使用されており、コンピュータ・ベースの電気機械制御プログラミングの分野で当業者によって、広く使用されているような機械語で書かれたコンピュータ・プログラムに基づいてコンピュータ15により実行されるソフトウェアにより制御される。コンピュータ15は、アナライザ10内の種々の分析手段17により行われる評価分析を実施するためのアプリケーション・ソフトウェア・プログラムも実行する。
【0015】
温度制御される試薬保管領域26、28が、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号09/949,132に記載されているように、複数の細長い多区画試薬カートリッジ30を格納しており、これらの試薬カートリッジは、所与の評価分析を実施する必要に応じてウェル32内に試薬を収容している。
【0016】
入力レーン34Aおよび出力レーン34Bを有する双方向装入・送出サンプル・チューブ移送システム36が、試験しようとしている検体液を収容し、サンプル・チューブ・ラック42内に装着された個々の装入サンプル・チューブ40を液体サンプル採取アーム44のサンプル採取円弧内へ移送する。サンプル・チューブ40に収容された検体液は、その上に取り付けられたバーコード記号を在来のバーコードリーダを用いて読み取ることにより識別され、項目の中でも特に患者の身元、実施されるべき検査、サンプルをアナライザ10内に保持すべきかどうか、その場合にどのくらいの期間保持するかという諸点を決定する。また、サンプル・チューブ・ラック42上にバーコード記号を設け、アナライザ10全体にわたって据え付けた多数の在来のバーコードリーダを使用してサンプル・チューブ40およびサンプル・チューブ・ラック42の位置を確認、制御、追跡することもよく行われている。
【0017】
サンプル採取アーム44は、回転可能シャフト48に装着された液体サンプル採取プローブ46を支持しており、サンプル採取アーム44の動きは、サンプル・チューブ移送システム36および図3に示すようなアリコート容器アレイ移送システム50を横切る円弧を描く。サンプル採取アーム44は、サンプル・チューブ40から液体サンプルを吸い込み、必要な評価分析を実施するのに必要なサンプルの量に応じて図4に示すようにアリコート容器アレイ52に設けた複数の容器52Vのうち1つまたはそれ以上にアリコート・サンプルを分配し、アナライザ10によって、環境室38内に保持されるべきサンプル・アリコートを提供するように作動可能である。在来のイオン選択性電子プローブ49を備えた在来のイオン選択性電子測定ステーション47をアリコート容器アレイ移送システム50の近くに設置し、プローブ49によって、受け器52Vから吸引し、イオン選択性電子測定ステーション47に分配したサンプル・アリコートについてイオン性被検物質測定を行うことができると便利である。
【0018】
アリコート容器アレイ移送システム50は、アリコート容器アレイ保管・分配モジュール56と、反応回転コンベヤ12に接近して設置したサンプル吸引・分配アーム54の下方にある多数のアリコート容器アレイ・トラック57内でアリコート容器アレイ52を双方向に移動させるようになっている多数のリニア駆動モータ58とを含む。サンプル吸引・分配アーム54は、コンピュータ15により制御され、制御した量のサンプルを、在来の液体プローブ54Pを使用してトラック57内のサンプル採取位置に位置した個々の容器52Vから吸引し、次いで、液体プローブ54Pを分配位置に戻すようになっており、この分配位置において、適量の吸引サンプルをキュベット・ポート20にある1つまたはそれ以上のキュベット24に分配し、1つまたはそれ以上の被検物質についてアナライザ10が検査を行う。アナライザ10による検査の前に、サンプルが固有のサンプル吸光度(たとえば、干渉黄疸、干渉高脂血症または干渉溶血症)により誤った評価分析を発生する可能性があるかどうかを決定するためにサンプルの一部をイオン・プローブ49で吸引し、空のキュベット24内に入れてもよい。干渉黄疸、干渉高脂血症または干渉溶血症の存在を示す検査結果は、イオン・プローブ49を使用してサンプルを希釈し、次いで希釈サンプルを適切な色フィルタを経た検査用放射線に露出し、光センサを使用して測定し、この技術分野で知られている比色分析を行うことによって、決定できる。イオン・プローブ49は、また、血漿蛋白質サンプルを同様に希釈するのにも使用できる。サンプルが反応キュベット24に分配された後、在来の移送手段が、必要に応じて、アリコート容器アレイ移送システム50、環境室38、廃棄領域(図示せず)間でアリコート容器アレイ52を動かす。
【0019】
それぞれ一対の在来型液体試薬プローブ60P、62Pを含む多数の試薬吸引・分配アーム60、62が、独立して装着してあり、それぞれ、試薬保管領域26、28間で移動可能となっている。プローブ60P、62Pは、試薬添加位置で適切な試薬カートリッジ30にあるウェル32から指定評価分析を行うのに必要な試薬を吸引する在来の機構を含む。その後、プローブ60P、62Pは、試薬が反応キュベット24に分配される試薬分配位置に動かされる。多数の試薬カートリッジ30は、試薬保管領域26、28内部の制御された環境条件で在庫管理される。高い評価分析処理量を維持する際の鍵となる要因は、試薬保管領域26、28内部の試薬カートリッジ30をプローブ60P、62Pによって、アクセスできるように試薬添加位置まで迅速かつ正確に往復動させる能力である。
【0020】
反応キュベット装填ステーション61および反応容器装填ステーション63が、それぞれ、外側キュベット回転コンベヤ14および内側容器回転コンベヤ16に接近して設置してあり、たとえば摺動シュート65を使用して、後に説明するように反応キュベット24を横向きにキュベット・ポート20に装填し、また、反応容器25を容器ポート22に装填するようになっている。操作に当たって、評価分析を最終的に行った使用済みのキュベット24は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,360に開示されるように洗浄ステーション67で洗浄、乾燥させられる。本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/318,804に開示されているような理由のために他の指示がない限り、以降の評価分析が清掃された使用済みのキュベット24で行われる。キュベット取り出しステーション59が、再び装填ステーション61、63に示すような移動可能なロボットアーム65を使用してキュベット・ポート20から使用不可の反応キュベット24を取り出すようになっている。
【0021】
図5〜8に示す反応キュベット24は、本発明の第1実施形態を、2つの互いに対向する側壁74、76(図5、7)に対して直角で、これらの側壁を隔離している互に対向した前壁70、後壁72(図5、8)を有するほぼ矩形のボックス形部分24を含むものとして例示している。図5は、キュベット24の外観等角図であり、その開放頂部分84を支持しているほぼ矩形の下方部分80を示している。図6は、キュベット24の対向した側部に設けた一対の突き出した92を示す平面図である。各出張り92にはラッチ用隆起94が形成してある。図6Aは、下方部分80の底面78を示す簡略平面図である。図7は、図6のA−A線に沿った横断面図であり、図8は、図6のB−B線に沿った横断面図である。図7Aは、図7の断面図の斜視図である。前壁70、後壁72間に位置する湾曲底面78は、図7Aで最も良くわかるように側壁74、76を一体に結合し、反応キュベット24の下方内側部分80を閉じている。前壁70、後壁72および側壁74、76の最上部分によって、頂部開口82がキュベット24の頂部内側部分に輪郭を形成してある。それによって、キュベット24内へ液体を自由に分配できる。前壁70、後壁72および側壁74、76の厚さは、下方内側部分80内ではほぼ同じであるが、後述するように、底面78から頂部開口82までの距離のほぼ約40%のところに位置する、図7、8に破線87で示す、キュベット24の下方内側部分80と頂部内側部分84との間の接合部から徐々に薄くなる。
【0022】
4つのウィッキング防止フィレット86が、図6〜8に示してあり、図7Aの一点鎖線で最も良くわかるように、フィレット86と破線87上方の4つの壁側との間には鋭い角がない。ウィッキング防止フィレット86は、本発明のキュベット24の鍵となる特徴であり、前壁70と側壁74、76との内側隅角交差部と後壁72と側壁74、76との内側隅角交差部とを効果的にブレンドする(blend)滑らかな移行部として形成してある。各ウィッキング防止壁フィレット86は、破線87のところで頂部分84の頂部開口部82から下方部分80まで延びる曲線テーパを有し、前壁70と側壁74、76との間および後壁72と側壁74、76との間に可変ブレンド半径の形状を有する。各ウィッキング防止壁移行フィレット86の曲率半径は、破線87近くの領域からキュベット24の頂部内側部分84まで約3〜5倍だけ徐々に増大して、可変ブレンド曲率半径(variable blend radius of curvature)を形成する。図6Aは、下方部分80の底面78内へウィッキング防止移行フィレット86がどのように均一にブレンドするかを示している。したがって、この第1実施形態では、前壁70、後壁72および側壁74、76の厚さは、破線87の領域から頂部内側部分84まで徐々に減少する。下方領域80において、破線87の領域におけるウィッキング防止移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径に等しい一定の曲率半径を有するブレンド部88(図示を明確にするために点線で示す)が、前壁70と側壁74、76との内側隅角交差部と後壁72と側壁74、76との内側交差部との間に形成してある。ブレンド部88は、非常に小さい曲率半径を有するので、下方内側部分80は、図6Aの平面図に底面78として示すように、ほぼ矩形のままである。ブレンド部88は、反応残屑が閉じ込められるのを最小限に抑えるためにキュベット24に組み込まれており、それによって、洗浄ステーション67の洗浄効率を向上させると共に、製造作業中にキュベット24を射出成形機から取り出すのを容易にする。
【0023】
図7Bは、各ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径が破線87の領域からキュベット24の頂部内側部分84までどのように徐々に変化するかを示す、キュベット24の簡略図である。各ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径が、その半径の破線87の領域からの距離が増えるにつれて、望ましくないウィッキング作用が排除されることがわかっている。図7Bでは、説明の目的で、各ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径は、破線87の領域からキュベット24の頂部内側部分84まで約4倍だけ徐々に増えているが、この倍数は必須ではない。4つの部位ポイントw、x、y、zは、以下の通りに特定される。
【0024】
ポイントwは、キュベット24の下方領域80におけるブレンド部88を表す。
【0025】
ポイントzは、キュベット24の上方領域84における開口部82に近接したウィッキング防止フィレット86を表す。
【0026】
ポイントxは、下方領域80におけるキュベット24の底部78から上方領域84における頂部開口82に向かった距離の約40%のところの破線87付近の領域における、ウィッキング防止移行フィレット86とブレンド部88間の移行部を表す。
【0027】
ポイントyは、破線87とキュベット24の上方領域84の開口部82との中間にある領域におけるウィッキング防止フィレット86を表す。
【0028】
本発明をさらに説明するために、
Rwは、ポイントwでのブレンド部88の可変ブレンド曲率半径と定義し、
Rxは、破線87付近の領域でのウィッキング防止移行フィレット86、ブレンド部88間の移行部の可変ブレンド曲率半径と定義し、
Ryは、破線87とキュベット24の上方領域84の開口部82との中間の領域におけるウィッキング防止移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径を表し、
Rzは、キュベット24の上方領域84における開口部82に近接したウィッキング防止フィレット86の可変ブレンド曲率半径を表す。
【0029】
以下の関係がRw、Rx、Ry、Rz間に定められる場合、キュベット24の前壁70、後壁および側壁74、76の内面に沿った上方への流体の毛管ウィッキング量が有意に縮小されるか、または、完全に排除されることが発見された。
【0030】
1. RwがRxにほぼ等しい、そして、
2. RyがRxより概して大きい、そして、
3. RzがRyより概して大きい。
【0031】
キュベット24の異なった高さのところでのウィッキング防止フィレット86の可変ブレンド曲率半径間のこれらの関係が確立したとき、上面または外面に対する反応キュベット24内部からの試薬残留物の毛管ウィッキング作用が完璧に抑えられ、洗浄ステーション67によるキュベット洗浄で、使用済みのキュベットを未使用の新しいキュベットの清潔度まで戻すことができ、試薬溶液の完全性が維持され、その結果このキュベットで実施される反応評価分析の精度が悪影響を受けることがない。たとえば、或る特定の実施形態においては、
1. RwがRxにほぼ等しく、そして、
2. Ryが2Rxにほぼ等しく、そして、
3. Rzが2Ryにほぼ等しいとしたとき、
ウィッキング防止移行フィレット86の有無によるキュベット24のウィッキングの程度を確認する光学検査を補助するために着色した石鹸水を使用して実験を行った。
【0032】
相対的な可変ブレンド曲率半径 相対的な着色石ウィッキングの程度
1 8
2 6
3 4
4 1
【0033】
このような効果的なウィッキング防止作用は、破線87の領域におけるRxから破線87、開口部82の中間の2Rxにほぼ等しいRy、キュベット24の頂部内側部分84における開口部82近くの4Rxにほぼ等しいRzまで大きくなって行く移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径によるものと推論できる。したがって、キュベット24内の流体が破線87の領域より上方へ毛管作用によって吸い上げられるにつれて、壁材料とキュベット24内に収容された流体との間の表面張力が、キュベット24の内壁面に沿った流体の望ましくない流れが完全に排除されないまでも有意に抑えられる程度まで減少する。特に、キュベット24の内壁面に沿った上向きの毛管流体流の高さは毛管流体と内壁面の構成材料との間の表面張力に正比例するが、キュベット24の内壁面に沿った望ましくない毛管流体流の高さは、移行フィレット86の可変移行曲率半径に反比例するということは言える。したがって、本発明の鍵となる特徴は、ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径が、半径の位置が破線87の領域から高くなるにつれて、その曲率を増し、その結果、キュベット24の底面78に向かって毛管流体を引き寄せるように作用する重力が、キュベット24の頂部82に向かって毛管流体を引き寄せるように作用する表面張力よりも大きくなり、それによって望ましくないウィッキングをほぼ排除するということにある。明らかに、開口部82近くのウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径をもっと大きくして望ましくないウィッキング作用をまったく生じないようにすると望ましいかもしれない。しかしながら、キュベット24の内側部分にプローブでアクセスする際に、蒸発損失およびアナライザ・サイズを最小限に抑えると共にキュベット24内の流体の実行可能な容量を維持しなければならないという副次的な制約がある。
【0034】
図8でわかるように、下方領域80における前壁70、後壁72の厚さ(「a」で示す)と、下方内側部分80と頂部内側部分84との間の接合部(破線87で示す)のところでの前壁70、後壁72の厚さ(「a」で示す)は同じであるが、「x」の約75%の値(「b」で示す)まで滑らかに減少し、その後、「a」の約60%の値(「c」で示す)まで滑らかに減少する。同様に、図7でわかるように、下方領域80における側壁74、76の厚さ(「a」で示す)と、下方内側部分80と頂部内側部分84との接合部(破線87で示す)のところでの側壁74、76の厚さ(「a」で示す)は同じであるが、「a」の約75%の値(「b」で示す)まで滑らかに減少し、その後、「a」の約60%の値(「c」で示す)まで滑らかに減少する。
【0035】
本発明の他の実施形態では、図10と組み合わせて図9で最も良くわかるように、頂部分84における前壁70、後壁72および側壁74、76の最上部内側部分を削って、前壁70、後壁72、側壁74および側壁76の各々に下方に傾斜する内側面取り部85を形成している。この面取り部85は、前壁70、後壁72および側壁74、76に対して約15度の角度で形成してあり、キュベット24の頂部開口82から下方へ、前壁70、後壁72および側壁74、76の厚さにほぼ等しい距離、延びている。図10で最も良くわかるように、面取り部85の底85Bは前壁70、後壁72および側壁74、76と交差している。この別の実施形態では、ウィッキング防止フィレット86は、頂部分84における面取り部85の底から破線87のところの下方部分80まで延びている曲線テーパを含み、前壁70、側壁74、76間および後壁72、側壁74、76間に丸みの付いたブレンド部を形成する。ここで再び、各ウィッキング防止壁移行フィレット86の可変ブレンド曲率半径は、破線87付近の領域から面取り部85の底85Bまで約3〜5倍だけ徐々に大きくなる。この別の実施形態においては、上記にリストしたようにRw、Rx、Ry、Rz間に同様の関係を確立する。その結果、キュベット24の前壁70、後壁72および側壁74、76の内面に沿った流体の毛管吸い上げ作用が同様に実質的に排除される。
【0036】
図11に示す本発明の第2の別の実施形態においては、成形効率を改善するために、キュベット24の前壁70、後壁72および側壁74、76が同様の厚さを有することが望ましい。この場合、側壁74、76は、下方内側部分80と頂部内側部分84との間の破線87接合部のところで始まって等しい壁厚(「a」で示す)を維持するような距離、外方へ傾斜している。同様に、図12に示すように、前壁70および後壁72もまた、下方内側部分80と頂部内側部分84との間の破線87接合部のところで始まって等しい肉厚(ここでも再び「a」で示す)を維持するような距離、外方へ傾斜している。
【0037】
前壁70および後壁72は、キュベット24内に収容されている検査サンプルおよび試薬混合物の光学測定を実施するための平らで平行な光学窓90を画定している一体に形成した対向する角度部分90を備えている。各光学窓90は、窓90を通る1波長分(4.75mm)の光学平面の内外面と、60/20のスクラッチディグ(scratch DIG)と、280ナノメートル〜1000ナノメートルの最低50%の透過率とを有する。複屈折は、300ナノメートルと600ナノメートルで測定する。
【0038】
図5で最も良くわかるように、一対のほぼ平らで細長い矩形の出張り92が、頂部開口82の領域に形成してあり、頂部分84における側壁74、76の各々から外方に突出しており、各リップ92の細長い部分が側壁74、76に接合している。好ましい実施形態において、キュベット・ポート20は、外側回転コンベヤ14の外面に開口しており、キュベット24の頂部にある開口から或る距離下がったところで半径方向外方へ延びて開いているスロット96を有し、その結果、キュベット24が円形のキュベット在庫ホッパ(図1に図示せず)から回転コンベヤ14の側部を通してキュベット・ポート20内へ押込むことができ、細長い出張り92がスロット96に嵌入し、頂部82が回転コンベヤ14の上面とほぼ面一となる。この配置は図13でわかる。キュベット24をキュベット・ポート20内に保持するための支持面となることに加えて、リップ92は、さらに、取り出しステーション59のロボット装置によって、キュベット24の取り扱いを容易にする。上向きに突出するラッチ用隆起94が、各リップ92の中央領域に形成してあり、キュベット24をキュベット・ポート20内ならびに取り出しステーション59内に確実に位置決めし、係止するのを助ける。
【0039】
例示の実施形態において、反応キュベット24はポリメタクリル酸メチルで形成してあり、キュベット24の内部スペースの全容積が約500マイクロリットルとなっており、光学測定窓90間の光路長内寸は5mmである。前壁および後壁は幅約9.5mmであり、側壁は幅約7.0mmである。全高は約20mmであり、下方内側部分80と頂部内側部分84の接合部87(破線87で示す)は、キュベット24の底82上方約8.4mmのところにある。この例では、前壁70、後壁72および側壁74、76に対して先に定義した寸法「a」、「b」、「c」は、それぞれ、約1mm、0.75mm、0.6mmである。Rwは約0.25mmであり、Ryは約0.50mmであり、Rzは約1mmである。頂部開口82と面取り部85の底85Bの距離は約0.75mmであり、上述した第2の別の実施形態においては、前壁70、後壁72および側壁74、76は約0.25mmの距離外方へ傾いている。
【0040】
本発明の別の特徴は、図5、10でわかるように、湾曲底面78下方で延びている側壁74、76の下端で形成されたオプションとしての対の互に対向した平らな支持脚部分95である。
【0041】
ここで、本願明細書に開示した発明の実施形態が発明の原理を説明するものであり、なお発明の範囲内に入る他の変更も行い得ることは理解されるべきである。例えば、これらの理由により、本発明は、本明細書で明示し、説明した実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
【図2】図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
【図3】自動アリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
【図4】アリコート容器アレイの斜視図である。
【図5】本発明の例示であり、図1のアナライザで役に立つ反応キュベットの斜視図である。
【図6】図5の反応キュベットの平面図である。
【図6A】図5の反応キュベットの簡略平面図である。
【図7】A−A線に沿った図6の反応キュベットの断面図である。
【図7A】図7の断面図の斜視図である。
【図7B】本発明の或る特徴を示している図7の断面図の簡略斜視図である。
【図8】B−B線に沿った図6の反応キュベットの断面図である。
【図9】本発明の例示である別の実施形態の反応キュベットの平面図である。
【図10】A−A線に沿った図9の反応キュベットの斜視断面図である。
【図11】A−A線に沿った図6の反応キュベットの第2の別の実施形態の断面図である。
【図12】B−B線に沿った図7の反応キュベットの第2の別の実施形態の断面図である。
【図13】図1のアナライザ内に図7の反応キュベットを支持する配置を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の互に対向する側壁で接続した互に対向する前および後壁を含むほぼ矩形の反応キュベットであって、キュベットは閉じた底部分および開口頂部分を有し、さらに、キュベットは内側隅角部間、前および後壁および対の側壁間をブレンドするウィッキング防止壁フィレットを含む上記反応キュベット。
【請求項2】
ウィッキング防止壁フィレットが、内側隅角交差部間、前および後壁および対の側壁間に可変ブレンド半径を形成する曲線テーパである、請求項1に記載のキュベット。
【請求項3】
ウィッキング防止壁フィレットが開口頂部分から下方部分まで延びている、請求項2に記載のキュベット。
【請求項4】
各ウィッキング防止壁移行フィレットの可変ブレンド曲率半径が下方部分から頂部内側部分まで約3〜5倍で徐々に増大している、請求項2に記載のキュベット。
【請求項5】
前および後壁が、約一波長に等しい光学平面の内外面を有する一体に形成した平らで平行な光学窓を備えている、請求項1に記載のキュベット。
【請求項6】
前および後壁および側壁の最上方内側部分が、約15度の角度で下向きに傾斜する内方面取り部を形成しており、この内方面取り部が、キュベットの頂部から下方へ壁の厚さにほぼ等しい距離で延びている、請求項1に記載のキュベット。
【請求項7】
さらに、側壁の各々から外方に延びている、開口部の領域に形成したほぼ平らで細長い矩形の出張りを含み、各出張りの中央領域に上向きに突出するラッチ用隆起が形成してある、請求項1に記載のキュベット。
【請求項1】
一対の互に対向する側壁で接続した互に対向する前および後壁を含むほぼ矩形の反応キュベットであって、キュベットは閉じた底部分および開口頂部分を有し、さらに、キュベットは内側隅角部間、前および後壁および対の側壁間をブレンドするウィッキング防止壁フィレットを含む上記反応キュベット。
【請求項2】
ウィッキング防止壁フィレットが、内側隅角交差部間、前および後壁および対の側壁間に可変ブレンド半径を形成する曲線テーパである、請求項1に記載のキュベット。
【請求項3】
ウィッキング防止壁フィレットが開口頂部分から下方部分まで延びている、請求項2に記載のキュベット。
【請求項4】
各ウィッキング防止壁移行フィレットの可変ブレンド曲率半径が下方部分から頂部内側部分まで約3〜5倍で徐々に増大している、請求項2に記載のキュベット。
【請求項5】
前および後壁が、約一波長に等しい光学平面の内外面を有する一体に形成した平らで平行な光学窓を備えている、請求項1に記載のキュベット。
【請求項6】
前および後壁および側壁の最上方内側部分が、約15度の角度で下向きに傾斜する内方面取り部を形成しており、この内方面取り部が、キュベットの頂部から下方へ壁の厚さにほぼ等しい距離で延びている、請求項1に記載のキュベット。
【請求項7】
さらに、側壁の各々から外方に延びている、開口部の領域に形成したほぼ平らで細長い矩形の出張りを含み、各出張りの中央領域に上向きに突出するラッチ用隆起が形成してある、請求項1に記載のキュベット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−534928(P2007−534928A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520337(P2006−520337)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022773
【国際公開番号】WO2005/010487
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500029718)デイド・ベーリング・インコーポレイテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】DADE BEHRING INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022773
【国際公開番号】WO2005/010487
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500029718)デイド・ベーリング・インコーポレイテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】DADE BEHRING INC.
【Fターム(参考)】
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