説明

自動認証によるコンピュータ動作可変システム及びプログラム

【課題】
操作性、利便性を高めた上で、コンピュータの安全かつエコロジーな環境を提供する。
【解決手段】
識別媒体2を読み取るリーダ・ライタ3とPC4は接続されており、リーダ・ライタ3が識別媒体2を検知すると、コンピュータ電源制御5によってPC4は起動し、識別媒体2の固有情報を認証制御8にて行う。リーダ・ライタ3は、識別媒体2を検知している間、カード検知電文11をソフトウェア7に送信し続けることで、ソフトウェア7に識別媒体2の検知情報を知らせている。カード検知電文11が送信されていない、もしくは識別媒体2の固有情報が認証ID記憶部9と合致していない場合、ソフトウェア電源制御10によって省電力モードへ移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は識別媒体を利用した、自動認証によるコンピュータ動作可変システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固有情報を自動認証する方式は、情報を記録する媒体を意図的に読み取らせることで認証を得ることができる。つまり、読み取らせた結果に得られるものは事前に承知しており、確実に認識させる目的を理解した上でコンピュータを動作させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、意図的な動作や期待する結果つまり事前に承知したことを果たすために固有情報を認証させる行為そのものを行わない限り、コンピュータは動作しない。つまり、意図的に非接触型ICカードをリーダ・ライタに読み取らせるという行動が必要であった。
【0004】
また、コンピュータに短時間だけ離れる予定だったものの急用が出来てしまい長時間離れる必要出てきた場合、コンピュータの電源は付いている状態であるため、余計な電力を消費してしまう。
【0005】
本発明は、識別媒体の意図的な接触という煩わしい行動をなくした上で省電力モードへの切り替えを行うことで操作性、利便性、コンピュータのセキュリティを高め、必要以上の電力消費を抑えることが可能な環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、第1の発明は、コンピュータを操作するユーザが所持する識別媒体と、識別媒体との交信を行うことの出来るリーダ・ライタ、その識別媒体を利用して、省電力モード制御をするソフトウェアとから少なくとも構成される省電力モード制御システムであって、コンピュータは識別媒体との交信を行うことの出来るリーダ・ライタと、ソフトウェアは識別媒体の識別情報を監視し、リーダ・ライタが識別媒体を検知し、認証が出来なかった場合、すぐに省電力モードへ移行し、省電力モード中に識別媒体の検知に成功し、認証に成功した場合は、コンピュータの省電力モードを解除する制御手段を備えることを特徴としている。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に記載した省電力モード制御システムにおいて、ユーザが所持する識別媒体と、省電力モードの状態でも一定時間ごとに電波を発しているリーダ・ライタは通信可能であり、一定の距離以内であれば識別媒体の検知を行えることを特徴としている。
【0008】
第3の発明は、コンピュータを操作するユーザが所持する識別媒体を利用し、コンピュータの省電力モードを制御する省電力モード制御方法であって、省電力モードの状態において、ユーザが所持する識別媒体を検知した場合は省電力モードを解除し、省電力モードではない状態の場合は、識別媒体との交信を行うことの出来るリーダ・ライタを備えることを特徴としている。
【0009】
第4の発明は、コンピュータを操作するユーザが所持する識別媒体を利用し、コンピュータの省電力モードを制御するコンピュータプログラムであって、リーダ・ライタから送られてくる識別媒体の識別情報及び検知情報を監視し、リーダ・ライタから識別媒体の検知情報が送られてきたら、識別媒体の識別情報と省電力モード制御プログラムとで認証を行い、リーダ・ライタから識別媒体の検知情報が送られてこなくなった場合、または識別媒体の識別情報の認証に失敗した場合、即座に省電力モードへ移行する制御手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、識別媒体を常時所持した上で在席もしくは離席することにより、コンピュータの電源を制御するので、人間の脳(記憶)メカニズムにある、忘れる、失念、うっかりといった行為、行動を抑えることが出来る。これにより、利便性と操作性を備えた上でコンピュータのセキュリティの安全性を高め、電力消費を抑えることによるエコロジーな環境を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここから、本発明に係る省電力モード制御システムの一実施例について、説明を行う。図1は、コンピュータ動作可変システムの全体構成を示す概念図である。本発明に係る省電力モード制御システムは、例えば企業内のPCに適用されるシステムで、ユーザ1は識別媒体2(例えば非接触型ICカード)を所持し、識別媒体2を読み取るリーダ・ライタ3と上記ユーザが利用するPC4は接続されている。
【0012】
図2は、本発明に係るシステム全体の概要図である。リーダ・ライタ3にて識別媒体2の検知を行い、検知した場合は、コンピュータ電源制御5によりコンピュータの起動を行い、OS6及び省電力モード制御プログラム7を動作し、識別媒体2の認証8を行う。認証は、PC4の認証ID記憶部9に記憶されているものと一致するかを確認するもので、認証に失敗した場合は、ソフトウェア電源制御10により、PC4は省電力モードへと移行する。
【0013】
リーダ・ライタ3が識別媒体2を検知している場合、リーダ・ライタ3はソフトウェア7へカード検知電文11を送信する。リーダ・ライタ3が識別媒体2を検知していたが、その識別媒体2を所持していたユーザ1が離席するなどして検知できなくなった場合、リーダ・ライタ3は省電力モード制御プログラム7へのカード検知電文11の送信を終了する。省電力モード制御プログラム7は検知電文11の受信が出来なくなった場合、ソフトウェア電源制御10によって、PC4は省電力モードへ移行する。
【0014】
図3は、識別媒体の検知を行うハードウェアの動作を示したフロー図、図4は識別媒体を検知した後のソフトウェアの動作を示したフロー図である。以下、図に従って制御方法及びコンピュータプログラムの動作フローについて説明する。
【0015】
本発明に係る省電力モード制御システムにおいて、識別媒体2を検知するリーダ・ライタ3を、PC4を利用するユーザの識別媒体2を検知できる場所に配置し、識別媒体2を検知することで、離席しているかどうかの判断を行う。リーダ・ライタ3は、一定距離以内の識別媒体2を検知可能である。
【0016】
省電力モード中の場合は、識別媒体2を読み取るリーダ・ライタ3が常時監視している(S1及びS2)。リーダ・ライタ3は一定の距離以内の識別媒体2を検知すると、起動命令S3を出し、省電力モードを解除し、省電力モード制御プログラム7を起動し、認証が開始される(S5)。このとき、識別媒体2に記憶された識別データなどを利用して、識別媒体2の認証を認証成否S6で行い、成功すると省電力モードを解除し、失敗すると再度省電力モードとなる。
【0017】
ユーザが利用するPC4には、省電力モードを制御するプログラム7が備えられており、省電力モードを制御するコンピュータプログラムは、PC4の起動と同時に、常時リーダ・ライタ3からの起動命令S3及びカード検知電文S4を監視し、PC4の省電力モードを制御する。
【0018】
省電力モード制御プログラム7が省電力モードに移行しない条件として、ユーザが所持する識別媒体2の認証に成功することがある。
【0019】
省電力モード制御プログラム7が起動すると、リーダ・ライタ3が検知した識別媒体2の検知を開始する(S5)。リーダ・ライタ3は、一定の距離以内の識別媒体2を検知することが可能となっている。認証成否S6にて、非接触型ICカードの情報の成否を判断し、成功した場合はログイン画面S7を表示させる。失敗した場合は、再度省電力モード移行S9となり、PC4は省電力モードになる。
【0020】
ログイン後、省電力モード制御プログラム7は一定時間ごとに識別媒体2の検知の有無を確認する。検知の有無は、カード検知電文S4の有無によって判断し、カード検知有無S8にてカードの検知の有無についての確認を行う。カード検知電文S4が送信されて来なかった場合は省電力モード移行S9となり、PC4は省電力モードになる。
【0021】
仮にPC4を利用出来るユーザ1が離席するなどの理由により識別媒体2を検知出来なくなり、識別媒体2を検知するリーダ・ライタ3の検知範囲に他のユーザの識別媒体が検知出来る場合でも、認証成否S6にて認証が不可のため、省電力モードS9へ移行する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コンピュータ動作可変システムの全体構成を示す概念図
【図2】システム全体の概要図
【図3】識別媒体の検知を行うハードウェアの動作を示したフロー図
【図4】識別媒体を検知した後のソフトウェアの動作を示したフロー図
【符号の説明】
【0023】
1 ユーザ
2 識別媒体
3 リーダ・ライタ
4 PC(コンピュータ)
5 コンピュータ電源制御
6 OS(オペレーションシステム)
7 省電力モード制御プログラム
8 認証制御
9 認証ID記憶部
10 ソフトウェア電源制御
11 カード検知電文


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを操作するユーザが所持する識別媒体と、媒体との交信を行うことの出来るリーダ・ライタ、その識別媒体を利用して省電力モード制御をするソフトウェアとから少なくとも構成される省電力モード制御システムであって、ソフトウェアは識別媒体の識別情報を監視し、リーダ・ライタが識別媒体を検知し、認証が出来なかった場合、すぐに省電力モードへ移行し、省電力モード中に識別媒体の検知に成功した場合は、コンピュータの省電力モードを解除する制御手段を備えることを特徴とする省電力モード制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載した省電力モード制御システムにおいて、ユーザが所持する識別媒体と、省電力モードの状態でも一定時間ごとに電波を発しているリーダ・ライタは通信可能であり、一定の距離以内であれば識別媒体の検知を行えることを特徴とする省電力モード制御システム。
【請求項3】
コンピュータを操作するユーザが所持する識別媒体を利用し、コンピュータの省電力モードを制御する省電力モード制御方法であって、省電力モードの状態において、ユーザが所持する識別媒体を検知した場合は省電力モードを解除し、省電力モードではない状態の場合は、識別媒体との交信を行うことの出来るリーダ・ライタを備えることを特徴とする、省電力モード制御方法。
【請求項4】
コンピュータを操作するユーザが所持する識別媒体を利用し、コンピュータの省電力モードを制御するコンピュータプログラムであって、リーダ・ライタから送られてくる識別媒体の識別情報及び検知情報を監視し、リーダ・ライタから識別媒体の検知情報が送られてきたら、識別媒体の識別情報と省電力モード制御プログラムとで認証を行い、リーダ・ライタから識別媒体の検知情報が送られてこなくなった場合、または識別媒体の識別情報の認証に失敗した場合、即座に省電力モードへ移行する制御手段を備えた、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−122863(P2010−122863A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295390(P2008−295390)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(502276167)株式会社インテック ソリューション パワー (1)
【Fターム(参考)】