説明

自動調心ころ軸受

【課題】 過度の温度上昇が起る可能性を未然に防止することができると共に、高速高荷重の使用条件に対する信頼性を高めることができる自動調心ころ軸受を提供することにある。
【解決手段】 自動調心ころ軸受に充填されている潤滑剤含有ポリマ8の組成比は、全重量に対してポリオレフィン系樹脂が10〜50重量%、潤滑剤が90〜50重量%であり、潤滑剤含有ポリマ8のポリオレフィン系樹脂の組成比は、ワックスに分類されるものが0〜5重量%、比較的低分子量のものが8〜48重量%、超高分子量のものが2〜10重量%、これら3つの樹脂分合計が10〜50重量%である。また、潤滑剤含有ポリマの硬さ[HDA]は、70〜90の範囲にある。そして、自動調心ころ軸受の使用回転は、周速に応じて決定される許容回転数以上の回転数とすることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤含有ポリマを充填した自動調心ころ軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動調心ころ軸受として、潤滑剤含有ポリマが充填されているものがある(例えば特許文献1参照)。この自動調心ころ軸受は、図7に示すように、内輪1と外輪2とを有する。内輪1には、2列の軌道1aが形成されているとともに、各軌道1aの外端部位に脱落防止つば1bが、各軌道1a間の部位に案内つば1cがそれぞれ設けられている。外輪2には、内輪1の各軌道1aに対向した軌道2aが形成されている。内輪1の各軌道1aと外輪2の軌道2aとの間には2列のころ3が配置され、各列のころ3はそれぞれ対応する保持器4により保持されている。各保持器4はころ3の各列毎にそのころ3を保持する分離型保持器からなる。内輪1と外輪2との間に存在する空所および内輪1の各脱落防止つば1bと各列のころ3の外端面との間の間隙には、プラスチックグリース(潤滑剤含有ポリマ)5がそれぞれ充填され、内輪1の各脱落防止つば1bと各列のころ3の外端面との間の間隙に充填されたプラスチックグリース5により、各列のころ3はその内端面が案内つば1cの対応する側面にそれぞれ接触するように保持されている。
【0003】
このプラスチックグリースの充填方法には、外輪2の外周面に嵌合するつばを有しかつその内面にころ3の外端面を押圧するリブが設けられている2枚の封入焼成用型板を用い、内輪1と外輪2との間の空間にプラスチックグリースの未焼成原料を入れた後に各封入焼成用型板を内輪1と外輪2の各端面にそれぞれ嵌め込み、各封入焼成用型板のリブにより各列のころ3の外端面を押圧して各列のころ3の内端面を案内つば1cの対応する側面にそれぞれ接触させた状態でプラスチックグリースの未焼成原料を焼成する方法が用いられている。
【特許文献1】特開平6−50330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した、従来の自動調心ころ軸受では、各列のころ3の内端面と案内つば1cの各側面とが接触してるので、この間における潤滑状態が場合によっては十分でないことが起こる可能性がある。この場合、発生トルクが高くなったり、軸受回転に伴い温度上昇が大きくなる可能性がある。よって、温度上昇が大きくなった場合は、潤滑剤含有ポリマ5が軟化して潤滑剤含有ポリマ5の機械的強度が低下する可能性がある。また、潤滑剤含有ポリマは、その温度が高いほど含有している潤滑剤の放出速度が速くなる性質を有し、放出可能な潤滑剤がより短時間で放出される可能性がある。
【0005】
また、保持器4にころ3の各列毎に対応するように分離された分離型保持器を用いていることに対し、潤滑剤含有ポリマ5はころ3の各列を包括するように一体に固化されているので、各列のころ3が保持器4とともに各列毎にそれぞれ異なる動きをするような使用条件例えば高速高荷重の使用条件下では、各列のころ3の動きの違いにより潤滑剤含有ポリマ5に剪断力が作用し、潤滑剤含有ポリマ5が各列の中間付近の位置で無理な力が掛かる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、過度の温度上昇が起る可能性を未然に防止することができると共に、高速高荷重の使用条件に対する信頼性を高めることができる自動調心ころ軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、2列の軌道が形成され、各軌道の外端に脱落防止つばを有する内輪と、該内輪の各軌道に対向した軌道が形成されている外輪と、前記内輪の各軌道と前記外輪の軌道との間に配置されている2列のころと、該各列のころを保持する保持器と、該保持器と前記内輪との間に前記各列のころを案内するように配置されている案内輪とを備え、前記保持器を一体型に構成すると共に、前記内輪と外輪間の空間における、少なくとも前記各列のころの内端面と前記案内輪との間の間隙および前記各列のころの外端面と前記内輪の脱落防止つばとの間の間隙に潤滑剤含有ポリマを充填した自動調心ころ軸受であって、前記潤滑剤含有ポリマの組成比は、全重量に対してポリオレフィン系樹脂が10〜50重量%、潤滑剤が90〜50重量%であり、前記潤滑剤含有ポリマのポリオレフィン系樹脂の組成比は、ワックスに分類されるものが0〜5重量%、比較的低分子量のものが8〜48重量%、超高分子量のものが2〜10重量%、これら3つの樹脂分合計が10〜50重量%であり、前記潤滑剤含有ポリマの硬さ[HDA](デュロメータAスケール硬さ)は、70〜90の範囲にあり、使用回転を、周速に応じて決定される許容回転数以上の回転数とすることが可能であることを特徴とする自動調心ころ軸受を提供する。
【0008】
この潤滑剤含有ポリマは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテンなどの基本的に同じ化学構造を有するポリオレフィン系樹脂の群の中から選定された合成樹脂に、潤滑剤として、ポリα−オレフィン油のようなパラフィン系炭化水素油、ナフテン系炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエーテル油のようなエーテル油、フタル酸エステルのようなエステル油などのいずれか単独もしくは混合油の形で混ぜて調整した原料を、合成樹脂の融点以上で加熱して可塑化し、その後に冷却することにより固形状にしたものである。また、酸化防止剤、錆止め剤、磨耗防止剤、あわ消し剤、極圧剤などの各種添加剤を予め加えた潤滑剤を用いることも可能である。
【0009】
潤滑剤含有ポリマの組成比は、全重量に対してポリオレフィン系樹脂10〜50重量%、潤滑剤90〜50重量%である。潤滑剤含有ポリマ8の組成比においてポリオレフィン系樹脂が10重量%未満である場合には、所定レベル以上の硬さ・強度が得られず、潤滑剤含有ポリマに軸受の回転などによって負荷が掛かったときには、潤滑剤含有ポリマの初期の形状を維持することが難しく、潤滑剤含有ポリマが軸受の内部空間から脱落するなどの不具合を生じる可能性が高くなる。また、潤滑剤含有ポリマの組成比においてポリオレフィン系樹脂が50重量%を超える場合(すなわち潤滑剤が50重量%未満の場合)には、軸受けへの潤滑剤の供給量が少なくなり、軸受寿命の延長化を期待することができない。
【0010】
上記ポリオレフィン系樹脂の群では、基本構造が同じでその平均分子量が異なっており、その平均分子量は700〜5×106の範囲に及んでいる。この群の中から選定された合成樹脂は、平均分子量が700〜1×10の範囲にあるワックスに分類されるもの(例えばポリエチレンワックス)と、平均分子量が1×104〜1×106の範囲にある比較的低分子量のものと、平均分子量が1×106〜5×10の範囲にある超高分子量のものとの内のいずれかから選定した単独物またはそれらの混合物からなる。比較的低分子量のものと潤滑剤との組合わせによって、ある程度の機械的強度、潤滑剤供給能力、保油性を有する潤滑剤含有ポリマが得られる。この組合わせにおいて比較的低分子量のものの一部をワックスに分類されるものに置き換えると、ワックスに分類されるものと潤滑剤との分子量の差が小さいために、潤滑剤との親和性が高くなり、結果として潤滑剤含有ポリマの保油性が向上し、長期間に亘る潤滑剤の供給が可能になるが、その反面機械的強度が低下する。ここで、使用可能なワックスに分類されるものとしては、ポリエチレンワックスのようなポリオレフィン系樹脂の他、融点が373〜403K(100〜130℃)以上の範囲にある炭化水素系のもの(例えばパラフィン系合成ワックス)がある。これに対し、比較的低分子量のものの一部を超高分子量のものに置き換えると、超高分子量のものと潤滑剤との分子量の差が大きいために、潤滑剤との親和性が低くなり、結果として潤滑剤含有ポリマの保油性が低下し、潤滑剤含有ポリマからの潤滑剤の放出速度が速くなる。その結果、潤滑剤含有ポリマから供給可能な潤滑剤量に到達するまでの期間が短くなり、軸受寿命を長くすることができない。但し、機械的強度は向上する。
【0011】
なお、ポリメチルペンテンを単独で用いると、含有する潤滑剤量を多くしようとする場合に所定の硬さを得ることが難しく、硬さが向上するように、ポリメチルペンテンに高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレンを添加する必要がある。ポリメチルペンテンとポリエチレンとの比率としては、ポリメチルペンテン:ポリエチレン=4:6〜9:1(好ましくは6:4〜8:2)が適当である。4:6の比率よりポリエチレンの量が多いと、軟化温度が低くなり、使用最高回転数がポリエチレン単独の場合と差異がほとんどなくなり、また、9:1の比率よりポリメチルペンテンの量が多いと、所定レベル以上の硬さ(65HDA)を得ることが難しくなる。また、ポリメチルペンテンを融解させる時点で503〜523K(230〜250℃)にする必要があり、鉱油、ポリα−オレフィン油などは、前記温度でかなりの量揮発するので、適当ではなく、耐熱性、ポリメチルペンテンとの相溶性を考慮すると、ジアルキルジフェニルエーテルなどのアルキルポリフェニルエーテルが好ましい。
【0012】
成形性、機械的強度、保油性、潤滑剤供給量のバランスを考慮すると、潤滑剤含有ポリマの組成比は、ワックスに分類されるもの0〜5重量%、比較的低分子量のもの8〜48重量%、超高分子量のもの2〜10重量%、これら3つの樹脂分合計10〜50重量%(残りが潤滑剤90〜50重量%)とすることが好ましい。
【0013】
潤滑剤含有ポリマの機械的強度を表すものの一つとして潤滑剤含有ポリマの硬さ[HDA]があり、この硬さ[HDA]は65〜90の範囲にあることが好ましく、より好ましくは70〜85の範囲にあることである。この硬さ[HDA]が65未満の場合は、強度的に弱く軸受の回転によって破損する恐れがある。これに対し、硬さ[HDA]が90を超える場合は、ころを拘束する力が大きく、この拘束力により軸受のトルクが大きくなりまた軸受の回転に伴う発熱量が増して軸受の温度が高くなる恐れがある。
【0014】
潤滑剤含有ポリマの機械的強度を向上させるために、上述のポリオレフィン系樹脂に以下の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を添加したものを用いることができる。
【0015】
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホンサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ABS樹脂などの各樹脂を使用することができる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの各樹脂を使用することができる。また、これらの樹脂をそれぞれ単独でまたは混合して用いてもよい。さらに、ポリオレフィン系樹脂とそれ以外の樹脂とをより均一な状態で分散させるために、必要に応じて適当な相溶化剤を加えてもよい。
【0016】
また、機械的強度を向上させるために充填材を添加してもよく、この充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカーや硼酸アルミニムウィスカーなどの無機ウィスカー類、またはガラス繊維や金属繊維などの無機繊維類およびこれらを布状に編組したものがあり、また、有機化合物では、カーボンブラック、黒鉛粉末、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維などを添加してもよい。
【0017】
さらに、ポリオレフィン系樹脂の熱による劣化を防止する目的で、N,N′−ジフェニル−P−フェニルジアミン、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチフェノール)などの老化防止剤を、また光による劣化を防止する目的で、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0018】
以上の全ての添加剤(ポリオレフィン系樹脂+潤滑剤以外)の添加量としては、潤滑剤の供給能力を維持する上で、成形原料全量の20重量%以下にすることが好ましい。
【0019】
この潤滑剤含有ポリマの充填方法としては、充填治具を用いる方法と、水平な支持面に回転軸が平行になるように軸受を支持した状態で潤滑剤含有ポリマを充填、焼成して固化させる方法とがある。なお、これらの方法については、後述する実施の形態において詳細に説明する。
【0020】
本発明によれば、保持器を一体型に構成したので、各列のころの動きが保持器により拘束され、高速高荷重の使用条件下において各列のころが保持器とともに各列毎にそれぞれ異なる動きをすることはなく、ころの各列間に潤滑剤含有ポリマが充填されている場合でも、この潤滑剤含有ポリマに剪断力が作用することはない。よって、潤滑剤含有ポリマが各列の中間付近の位置で無理な応力が掛る可能性もなく、高速高荷重の使用条件に十分に耐用することが可能である。すなわち、高速高荷重の使用条件に対する信頼性を高めることができる。
【0021】
また、内輪と外輪間の空間における、少なくとも各列のころの内端面と案内輪との間の間隙および各列のころの外端面と内輪の脱落防止つばとの間の間隙に潤滑剤含有ポリマを充填したので、各列のころの内端面と案内輪との間および各列のころの外端面と内輪の脱落防止つばとの間における潤滑状態が良く、潤滑剤含有ポリマを充填していない場合に比して発生トルクが低くなるとともに、軸受回転に伴う温度上昇が小さい範囲に抑制される。よって、この過度の温度上昇による潤滑剤含有ポリマの不具合の発生する可能性を未然に防止することができると共に、潤滑剤含有ポリマからの潤滑剤の放出速度が小さく抑制することができ、過度の温度上昇が起る可能性を未然に防止することができる。
【0022】
さらに、本出願人による特開平7−139551号公報に記載されている製造方法に従い、軸受中に潤滑剤含有ポリマを充填すると、ころ表面に形成される離型剤の膜によって、ころと潤滑剤含有ポリマとの間に間隙が生じる。それによって、ころの自転がスムーズになり、更なる軸受の低トルク化とそれに伴う温度上昇の抑制とが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、保持器を一体型に構成したので、各列のころの動きが保持器により拘束され、高速高荷重の使用条件下において各列のころが保持器とともに各列毎にそれぞれ異なる動きをすることはなく、ころの各列間に潤滑剤含有ポリマが充填されている場合でも、この潤滑剤含有ポリマに剪断力が作用することはない。よって、潤滑剤含有ポリマが各列の中間付近の位置で無理な応力を受ける恐れはなく、高速高荷重の使用条件に十分に耐用することが可能である。すなわち、高速高荷重の使用条件に対する信頼性を高めることができる。
【0024】
また、内輪と外輪間の空間における、少なくとも各列のころの内端面と案内輪との間の間隙および各列のころの外端面と内輪の脱落防止つばとの間の間隙に潤滑剤含有ポリマを充填したので、各列のころの内端面と案内輪との間および各列のころの外端面と内輪の脱落防止つばとの間における潤滑状態が良く、潤滑剤含有ポリマを充填していない場合に比して発生トルクが低くなるとともに、軸受回転に伴う温度上昇が小さい範囲に抑制される。よって、この過度の温度上昇による潤滑剤含有ポリマの不具合の発生する可能性を未然に防止することができると共に、潤滑剤含有ポリマからの潤滑剤の放出速度が小さく抑制することができ、過度の温度上昇が起る可能性を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施の第1形態)
図1は本発明に係る自動調心ころ軸受の実施の第1形態の主要部構成を示す断面図、図2は図1の自動調心ころ軸受の平面図である。
【0027】
自動調心ころ軸受は、図1に示すように、内輪1と外輪2とを有する。内輪1には、2列の軌道1aが形成されているとともに、各軌道1aの外端部位に脱落防止つば1bがそれぞれ設けられている。外輪2には、内輪1の各軌道1aに対向した軌道2aが形成されている。内輪1の各軌道1aと外輪2の軌道2aとの間には2列のころ3が配置され、各列のころ3は一体型に構成された保持器6により保持されている。すなわち1つの保持器6で各列のころ3が保持されていることになる。保持器6の材質は、高力黄銅、ガラス繊維などの強化材入りのプラスチック(例えばナイロン66)などからなり、強度などの信頼性を考慮すると、材質を高力黄銅にすることが好ましい。また、保持器6を、鉄製の分離型保持器を軸受組立後に電子ビーム溶接によって一体化して構成するようにしてもよい。保持器6と内輪1との間には案内輪7が各列のころ3を案内するように配置されている。
【0028】
内輪1と外輪2との間に存在する空所、内輪1の各脱落防止つば1bと各列のころ3の外端面との間の間隙および各列のころ3の内端面と案内輪7との間の間隙には、潤滑剤含有ポリマ8がそれぞれ充填されている。充填されている潤滑剤含有ポリマ8には、図2に示すように、その一方の端面から保持器6に向けて伸びる3つの貫通孔8aと該端面から案内輪7に向けて伸びる3つの貫通孔8bとが形成され、各貫通孔8a,8bは後述する潤滑剤含有ポリマ8の充填に用いられる充填治具により形成された孔である。本実施の形態では、潤滑剤含有ポリマ8として、高密度ポリエチレン(比較的低分子量に分類される)20重量%と、超高分子量ポリエチレン(超高分子量に分類される)5重量%と、ポリエチレンワックス(ワックスに分類される)5重量%と、鉱油70重量%とからなる組成を有するものが用いられ、その硬さは83HDAである。
【0029】
次に、潤滑剤含有ポリマを内輪1と外輪2との間の空間における少なくとも内輪1の各脱落防止つば1bと各列のころ3の外端面との間の間隙および各列のころ3の内端面と案内輪7との間の間隙に充填する方法について説明する。
【0030】
この潤滑剤含有ポリマの充填方法としては、1組の充填治具を用いる方法と、水平な支持面に回転軸が平行になるように軸受を支持した状態で潤滑剤含有ポリマを充填、焼成して固化させる方法とがあり、本実施の形態では前者の方法を採用する。なお、後者の方法については後述する実施の第2形態において詳細に説明する。
【0031】
ここで、前者の方法について図3を参照しながら説明する。図3は図1の自動調心ころ軸受における潤滑剤含有ポリマの充填方法を説明するための図である。
【0032】
前者の方法では、図3に示すように、上述した1組の充填治具9,10を使用する。各充填治具9,10は、一方の面すなわち内面が軸受に対向する型板からなり、該型板の内面には、外輪2の端面を受け入れるように環状の凹部9a,10aと、ころ3の外端面に対向する環状の凸部9b,10bと、内輪1の端面を受け入れる環状の凹部9c,10cとが形成されている。充填治具9の凸部9bには、内面から垂直に突出する棒状の複数の突起11,12が設けられている。各突起11は、対応する保持器6の部位に当接して該保持器6を一方の列のころ3から他方の列のころ3へ向けて僅かに移動させるような長さを有すると共に、凸部9bの円周方向に沿って等角度間隔で配列されている。各突起12は、対応する案内輪7の部位に当接して該案内輪7を一方の列のころ3から他方の列のころ3へ向けて僅かに移動させるような長さを有すると共に、凸部9bの円周方向に沿って等角度間隔で配列されている。各突起12が対応する案内輪7の部位に当接して該案内輪7を移動させることにより、一方の列のころ3の内端面と案内輪7との間に間隙が生じ、同時に各突起11が対応する保持器6の部位に当接して該保持器6を移動させることにより、他方の列のころ3の内端面と案内輪7との間に間隙が生じるように、各突起11,12の長さは決定されている。
【0033】
本実施の形態では、各突起11の数は3であり、各突起11は120度の角度間隔で配列されている。また、同様に、各突起12の数は3であり、各突起12は120度の角度間隔で配列されている。
【0034】
一方の充填治具9と他方の充填治具10とはそれぞれ軸受の各端面に内輪の内径を基準にして嵌め合わされている。締結金具13は各突起11,12を固定、保持するための治具である。
【0035】
1組の充填治具9,10を用いて潤滑剤含有ポリマを充填するときには、まず、充填治具9が、その凹部9aに外輪2の端面を、凹部9cに内輪1の端面を受け入れるように軸受の一方の端面に嵌め込まれる。充填治具9が嵌め込まれると、凸部9bが一方の列のころ3の外端面との間に間隙を形成しながら対向すると共に、各突起12と対応する案内輪7の部位との当接により案内輪7が移動されて一方の列のころ3の内端面と案内輪7との間に間隙が形成され、同時に各突起11と対応する保持器6の部位との当接により保持器6が移動されて他方の列のころ3の内端面と案内輪7との間に間隙が形成される。充填治具9が嵌め込まれたことにより、内輪1の各脱落防止つば1bと各列のころ3の外端面との間の間隙が保持される。
【0036】
この軸受の一方の端面に嵌め込まれた充填治具9は、水平な支持面14に置かれる。次いで、内輪1と外輪2との間の空間に潤滑剤含有ポリマ8の未焼成原料が入れられ、この潤滑剤含有ポリマ8の未焼成原料は、一方の列のころ3の内端面と案内輪7との間の間隙、他方の列のころ3の内端面と案内輪7との間の間隙および内輪1の各脱落防止つば1bと各列のころ3の外端面との間の間隙を含む内輪1と外輪2との間の空所に充填され、そして軸受の他方の端面に充填治具10を嵌め込んだ後に、潤滑剤含有ポリマ8の未焼成原料を加熱、冷却することにより潤滑剤含有ポリマ8が充填されることになる。この場合、凸部9b,10bところ3の外端面との間には若干の隙間が形成されるように構成されている。すなわち、潤滑剤含有ポリマ8が各列のころ3の内端面と案内輪7との間の間隙および内輪1の各脱落防止つば1bと各列のころ3の外端面との間の間隙を含む内輪1と外輪2との間の空所に充填されることになる。
【0037】
潤滑剤含有ポリマ8の充填後に各充填治具9,10は取り外されるが、充填治具9を取り外す際に各突起11,12は潤滑剤含有ポリマ8から引き抜かれるので、充填治具9が嵌め込まれた軸受の端面には、上述したように、該端面から保持器6に向けて伸びる3つの貫通孔8aと該端面から案内輪7に向けて伸びる3つの貫通孔8bとが形成されることになる(図2を参照)。また、ころ3の外端面に形成された潤滑剤含有ポリマの余肉は、必要に応じて適宜除去される。
【0038】
このように、本実施の形態では、保持器6を一体型に構成したので、各列のころ3の動きが保持器6により拘束され、高速高荷重の使用条件下において各列のころ3が保持器6とともに各列毎にそれぞれ異なる動きをすることはなく、ころ3の各列間に充填されている潤滑剤含有ポリマ8に剪断力が作用することはない。よって、潤滑剤含有ポリマ8が各列の中間付近の位置で無理な応力を受ける恐れはなく、高速高荷重の使用条件に対する信頼性を十分に高めることができる。
【0039】
また、内輪1と外輪2間の空間における、少なくとも各列のころ3の内端面と案内輪7との間の間隙および各列のころ3の外端面と内輪1の脱落防止つば1bとの間の間隙に潤滑剤含有ポリマ8を充填したので、各列のころ3の内端面と案内輪7との間および各列のころ3の外端面と内輪1の脱落防止つば1bとの間における潤滑状態が良く、潤滑剤含有ポリマ8を充填していない場合に比して発生トルクが低くなるとともに、軸受回転に伴う温度上昇が小さい範囲に抑制される。よって、この過度の温度上昇による潤滑剤含有ポリマ8の不具合の発生する可能性を未然に防止することができると共に、潤滑剤含有ポリマ8からの潤滑剤の放出速度が小さく抑制することができ、過度の温度上昇が起る可能性を未然に防止することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、案内つばに代えて案内輪を用いることにより、充填作業に対する信頼性を高めることができる。
【0041】
(実施の第2形態)
次に、本発明の実施の第2形態について図4を参照しながら説明する。図4は本発明に係る自動調心ころ軸受の実施の第2形態に用いられている潤滑剤含有ポリマの充填方法を説明するための図である。
【0042】
本実施の形態は、上述の実施の第1形態に対し、潤滑剤含有ポリマの充填方法として、水平な支持面に回転軸が平行になるように軸受を支持した状態で潤滑剤含有ポリマを充填、焼成して固化させる方法を用いた点および異なる組成の潤滑剤含有ポリマを用いた点で異なる。
【0043】
この充填方法では、水平な支持面に回転軸が平行になるように軸受を支持することにより、ころ3の内端面が案内輪7に押し付けられていないので、ころ3の内端面と案内輪7との間の間隙が保持され、この間隙に潤滑剤含有ポリマが充填されることになる。
【0044】
この方法を実施するための具体的な方法としては、図4に示すように、1組の金型20の内部空間に回転軸が平行になるように軸受を保持し、外部の射出成形機から各金型20の軸受のころ3に対向する部位20aに設けられた複数のピンゲートを介して内輪1と外輪2との間の空間に可塑化された潤滑剤含有ポリマを射出して充填し、該潤滑剤含有ポリマを金型20中で冷却固化させる射出成形方法がある。この方法に用いられる射出成形機としては、本出願人による特開平8−309793号公報に記載のものがある。
【0045】
また、この射出成形方法により充填された潤滑剤含有ポリマは、ポリメチルペンテン(比較的低分子量に分類される)20重量%と、高密度ポリエチレン(比較的低分子量に分類される)7重量%と、超高分子量ポリエチレン(超高分子量に分類される)3重量%と、ジアルキルジフェニルエーテル70重量%とからなる組成を有し、その硬さは80HDAである。
【0046】
(実施の第3形態)
次に、本発明の実施の第3形態について説明する。
【0047】
本実施の形態は、上述の実施の第1形態に対し、異なる組成の潤滑剤含有ポリマを用いた点で異なる。なお、この潤滑剤含有ポリマの充填方法は実施の第1形態に同じである。具体的には、潤滑剤含有ポリマとして、高密度ポリエチレン(比較的低分子量に分類される)20重量%と、超高分子量ポリエチレン(超高分子量に分類される)10重量%と、鉱油70重量%とからなる組成を有するものが用いられ、その硬さは92HDAである。
【0048】
(実施の第4形態)
次に、本発明の実施の第4形態について説明する。
【0049】
本実施の形態は、上述の実施の第1形態に対し、異なる組成の潤滑剤含有ポリマを用いた点で異なる。なお、この潤滑剤含有ポリマの充填方法は実施の第1形態に同じである。具体的には、潤滑剤含有ポリマとして、高密度ポリエチレン(比較的低分子量に分類される)20重量%と、超高分子量ポリエチレン(超高分子量に分類される)8重量%と、ポリエチレンワックス(ワックスに分類される)2重量%と、鉱油70重量%とからなる組成を有するものが用いられ、その硬さは88HDAである。
【0050】
(実施の第5形態)
次に、本発明の実施の第5形態について説明する。
【0051】
本実施の形態は、上述の実施の第1形態に対し、異なる組成の潤滑剤含有ポリマを用いた点で異なる。なお、この潤滑剤含有ポリマの充填方法は実施の第1形態に同じである。具体的には、潤滑剤含有ポリマとして、高密度ポリエチレン(比較的低分子量に分類される)10重量%と、超高分子量ポリエチレン(超高分子量に分類される)2重量%と、ポリエチレンワックス(ワックスに分類される)8重量%と、鉱油80重量%とからなる組成を有するものが用いられ、その硬さは63HDAである。
【0052】
次に、上述の各実施の形態(第1形態から第3形態まで)および比較例1について軸受回転試験を実施し、内輪近傍温度および軸受トルクの測定結果について図5および図6を参照しながら説明する。図5は各実施の形態(第1形態から第3形態まで)および比較例1における回転数に対する内輪近傍温度の測定結果を表す図、図6は各実施の形態(第1形態から第3形態まで)および比較例1における回転数に対する軸受トルクの測定結果を表す図である。
【0053】
ここで、軸受回転試験は、内径55mm×外径120mm×幅43mmの自動調心ころ軸受(形番−22311)を用いて実施され、荷重条件としてFr=2000kgf、Fa=250kgfが設定されている。また、比較例1は、従来技術に基づいた構成であり、実施の第1形態と同じ組成の潤滑剤含有ポリマを用い、一体型保持器に代えて分離型の保持器を用いている。
【0054】
図5および図6から明らかなように、250〜1000rpmの回転数範囲において上述の各実施の形態は、比較例1に比して内輪近傍温度および軸受トルクが低いレベルにあることを示している。このことは、ころの内端面と案内輪との間の間隙に潤滑剤含有ポリマが充填されているか否かの違いによるものと考えられる。また、比較例1においては、1000rpmの回転数を保持しながら回転を継続させると、さらに内輪近傍温度が上昇し、軸受トルクの急激な増加が見られた。その時点で軸受の回転を停止させて軸受を観察すると、潤滑剤含有ポリマがころ列の中間付近で切断され、軸受から完全に離脱していることが確認された。この現象は保持器が一体型に構成された各実施の形態においては見られない現象であった。
【0055】
潤滑剤含有ポリマの硬さ[HDA]が90を超える実施の第3形態では、65〜90の範囲にある実施の第1形態および第2形態に比して、内輪近傍温度および軸受トルクが僅かに高いことが分かる。このことから、内輪近傍温度および軸受トルクに潤滑剤含有ポリマの硬さが影響していることが分かり、ひいては軸受寿命にも影響することが予想される。
【0056】
また、実施の第1形態と実施の第2形態とを比較してみると、内輪近傍温度がかなり高い温度まで上昇している1000rpmの回転数において、実施の第1形態では、温度上昇に伴う潤滑剤含有ポリマの軟化による軸受トルクの上昇傾向が見られるが、実施の第2形態では、この傾向は特に見られない。これは、実施の第2形態の潤滑剤含有ポリマを構成している樹脂分の2/3を占めているポリメチルペンテンの融点が503〜513K(230〜240℃)と高いので、ポリエチレンを含有しても343〜353K(70〜80℃)程度の温度では軟化現象を抑制していることが予想される。このことから、ポリメチルペンテンをベースとした潤滑剤含有ポリマを充填することによって、より温度上昇が見込まれる回転数(dmn)までの使用が可能であると考えられる。
【0057】
次に、上述の実施の第1形態から実施の第5形態までの各実施の形態および比較例1〜3に対する耐久試験を実施し、それぞれの耐久性について説明する。
【0058】
ここで、耐久試験は、前記自動調心ころ軸受(22311)を用いて実施され、この耐久試験では、荷重条件としてFr=2000kgf、Fa=250kgfを、回転数として200,300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300rpmの各回転数を設定し、軸受を各回転数で200時間連続して回転させ、異常なく回転した回転数を最高回転数として測定する。
【0059】
比較例2は、実施の第3形態と同じ組成の潤滑剤含有ポリマを用い、一体型の保持器に代えて分離型の保持器を用いている。また、比較例3は、実施の第2形態と同じ組成の潤滑剤含有ポリマを用い、一体型の保持器に代えて分離型の保持器を用いている。
【0060】
各実施の形態および比較例1〜3においては、表1に示すように、実施の第2形態の最高回転数が1200rpmと最も高い。このことは、上述したように、実施の第2形態の潤滑剤含有ポリマを構成している樹脂分の2/3を占めているポリメチルペンテンの融点が503〜513(230〜240℃)と高いので、ポリエチレンを含有しても343〜353(70〜80℃)程度の温度では軟化現象を抑制しているためと考えられ、実施の第2形態がより高速高荷重条件下での使用に耐え得ることを示している。
【0061】
また、同じような組成の潤滑剤含有ポリマを充填した実施の第1形態、第3形態、第4形態、第5形態の各実施の形態の最高回転数に対し、これらの実施の形態と同じまたはほぼ同じ組成の潤滑剤含有ポリマを充填した比較例1および比較例2の最高回転数は低い回転数を示している。このことは、保持器を一体型に構成し、ころの内端面と案内輪との間の間隙に潤滑剤含有ポリマを充填することによって、高速高荷重条件下での使用に耐え得る、すなわち高速高荷重の使用条件に対する信頼性が十分に高い軸受を得られることを示している。
【0062】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る自動調心ころ軸受の実施の第1形態の主要部構成を示す断面図である。
【図2】図1の自動調心ころ軸受の平面図である。
【図3】図1の自動調心ころ軸受における潤滑剤含有ポリマの充填方法を説明するための図である。
【図4】本発明に係る自動調心ころ軸受の実施の第2形態に用いられている潤滑剤含有ポリマの充填方法を説明するための図である。
【図5】各実施の形態(第1形態から第3形態まで)および比較例1における回転数に対する内輪近傍温度の測定結果を表す図である。
【図6】各実施の形態(第1形態から第3形態まで)および比較例1における回転数に対する軸受トルクの測定結果を表す図である。
【図7】従来の自動調心ころ軸受の主要部構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 内輪
1a,2a 軌道
1b 脱落防止つば
2 外輪
3 内輪
6 保持器
7 案内輪
8 潤滑剤含有ポリマ
9,10 充填治具
11,12 突起
20 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2列の軌道が形成され、各軌道の外端に脱落防止つばを有する内輪と、該内輪の各軌道に対向した軌道が形成されている外輪と、前記内輪の各軌道と前記外輪の軌道との間に配置されている2列のころと、該各列のころを保持する保持器と、該保持器と前記内輪との間に前記各列のころを案内するように配置されている案内輪とを備え、前記保持器を一体型に構成すると共に、前記内輪と外輪間の空間における、少なくとも前記各列のころの内端面と前記案内輪との間の間隙および前記各列のころの外端面と前記内輪の脱落防止つばとの間の間隙に潤滑剤含有ポリマを充填した自動調心ころ軸受であって、
前記潤滑剤含有ポリマの組成比は、全重量に対してポリオレフィン系樹脂が10〜50重量%、潤滑剤が90〜50重量%であり、
前記潤滑剤含有ポリマのポリオレフィン系樹脂の組成比は、ワックスに分類されるものが0〜5重量%、比較的低分子量のものが8〜48重量%、超高分子量のものが2〜10重量%、これら3つの樹脂分合計が10〜50重量%であり、
前記潤滑剤含有ポリマの硬さ[HDA](デュロメータAスケール硬さ)は、70〜90の範囲にあり、
使用回転を、周速に応じて決定される許容回転数以上の回転数とすることが可能であることを特徴とする自動調心ころ軸受。
【請求項2】
前記潤滑剤含有ポリマの硬さ[HDA](デュロメータAスケール硬さ)は、80〜90の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の自動調心ころ軸受。
【請求項3】
前記潤滑剤含有ポリマの硬さ[HDA](デュロメータAスケール硬さ)は、80〜85の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の自動調心ころ軸受。
【請求項4】
前記潤滑剤含有ポリマは、前記案内輪を中心軸として左右にほぼ同一に充填されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の自動調心ころ軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−52856(P2006−52856A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262772(P2005−262772)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【分割の表示】特願平9−202668の分割
【原出願日】平成9年7月14日(1997.7.14)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】