説明

自動車のフロントアクスルのホイールサスペンション

【課題】回動軸線、旋回軸線及び回動極をホイールに力が作用する場合に最適な走行挙動を考慮可能なあらゆる走行状態において獲得するために形成する。
【解決手段】2つのトランスバースリンク2,3がそれぞれ構造体側の支承部により形成された互いに高さをずらされた回動軸線15,16を有し、上側のトランスバースリンク2の回動軸線15が下側のトランスバースリンク3の回動軸線16よりもホイール17に接近して配置され、上側のトランスバースリンク2の構造体側の前記支承部がそれぞれ垂直なホイール中心横方向平面の両側に配置され、下側のトランスバースリンク3の構造体側の2つの支承部が走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に配置され、前記2つのトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部を通るホイール旋回軸線を形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロントアクスルのホイールサスペンションであって、ホイール支持体が設けられており、該ホイール支持体における上側の自由端部に上側の第1のトランスバースリンクが支承されており、該上側の第1のトランスバースリンクの横方向に離れる方向で突出している2つのアームが構造体側で支承部に枢着されており、水平方向のホイール中心平面の下側に下側の第2のトランスバースリンクが配置されており、該下側の第2のトランスバースリンクがホイール支持体と1つの支承部において枢着され且つ構造体側で2つの支承部において枢着され、且つダンパーストラットの下側の端部を支持するように収容している自動車のフロントアクスルのホイールサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
DE9007780U1からスプリング/ダンパーストラットを備えたダブルトランスバースリンクアクスルが公知である。このダブルトランスバースリンクアクスルはホイール支持体の上側の自由端部における1つの支承部において、構造体側で枢着されている横方向に離れる方向で突出している2つのアームを備えたトランスバースリンクを含む。下側のトランスバースリンクはホイール支持体において1つの支承部にて保持され、構造体側では2つの支承部において枢着されている。
【特許文献1】DE9007780U1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、自動車のフロントホイールのホイールサスペンションを改良して、ステアリングジオメトリとフロントホイールサスペンションとの調和の取れた配置及びこの配置に伴う回動軸線、旋回軸線及び回動極(Drehpol)を、ホイールに力が作用する場合に最適な走行挙動を、考慮可能なあらゆる走行状態において獲得するために形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明に係る自動車のフロントアクスルのホイールサスペンションは、2つのトランスバースリンクがそれぞれ構造体側の支承部により形成された互いに高さをずらされた回動軸線を有しており、上側の第1のトランスバースリンクの回動軸線が下側の第2のトランスバースリンクの回動軸線よりもホイールに接近して配置されており、上側の第1のトランスバースリンクの構造体側の前記支承部がそれぞれ垂直なホイール中心横方向平面の両側に配置されており、下側の第2のトランスバースリンクの構造体側の2つの支承部が、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に配置されており、前記2つのトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部を通ってホイール旋回軸線が形成されるようになっている。
【0005】
別の有利な特徴は従属請求項に記載されている。
【0006】
即ち、好ましくは、上側の第1のトランスバースリンクの回動軸線が垂直なホイール中心長手方向平面に対して平行に延在しており、下側の第2のトランスバースリンクの回動軸線が上側のトランスバースリンクの回動軸線に対して鋭角を成して配置されている。
【0007】
好ましくは、下側のトランスバースリンクの構造体側の後方の支承部が、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に配置されており、且つ上側のトランスバースリンクの構造体側の前方の支承部より垂直なホイール中心横方向平面に接近して配置されている。
【0008】
好ましくは、上側のトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部が、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の後方に配置されており、下側のトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部が走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に配置されている。
【0009】
好ましくは、下側のトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部が、上側のトランスバースリンクの支承部と共に同じ斜めに延在する垂直な平面上に位置している。
【0010】
好ましくは、上側のトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部が、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の後方に、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に配置された下側のトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部よりも垂直なホイール中心横方向平面に対して大きな間隔を有している。
【0011】
好ましくは、フロントホイールのホイール旋回軸線が前記2つのトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部を通って形成され、ホイール軸線を通ってホイールに向かって斜め外方に、そして走行方向に関して前方に延在しており、且つフロントホイールのホイール旋回軸線がホイール接地平面における貫通点を、ホイール中心長手方向平面の面領域及び走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に有している。
【0012】
好ましくは、下側のトランスバースリンクの後方の支承部が、支承特性を備えたステアリングシリンダユニットのステアリングタイロッドの比較的軟質な支承部よりも硬質な支承特性を有している。
【0013】
好ましくは、カーブ走行時のカーブ外側のホイールにかかる横力もしくは負荷の作用下で異なる特性を備えた支承部が、ホイールがトーアウトの方向で調整可能であるように弾性運動学的(elastokinematisch)に制御可能である。
【0014】
好ましくは、ステアリングタイロッドが走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の後方に配置されており、該ホイール中心横方向平面に対して離間してハンガを介してダンパーストラットに支承されているスタビライザが設けられている。
【0015】
好ましくは、ステアリングタイロッドの自由端部がホイール支持体において支承部に保持されており、該支承部及びステアリングシリンダユニットとの結合部を通る射線が延在しており、該射線がホイール支持体側の支承部及び平面で見て下側のトランスバースリンクの構造体側の後方の支承部を通る射線と共に、垂直なホイール中心長手方向平面の内側に一時的な回動極をもたらし、ホイールが制動力の影響下で弾性運動学的にトーアウトの方向で調整可能であり、且つ駆動力の影響下で弾性運動学的にトーインの方向で調整可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により達成される利点は主として、2つのトランスバースリンクのタイロッドとダンパーストラットとを介する相互の配置及び適切な支承特性により、挙動及び快適性の改良のために最適なホイールサスペンションが獲得されるという点にある。このことは、特に、2つのトランスバースリンクがそれぞれ構造体側の支承部により形成された互いに高さをずらされた回動軸線を有しており、上側の第1のトランスバースリンクの回動軸線が下側の第2のトランスバースリンクの回動軸線よりもホイールに接近して配置されており、上側の第1のトランスバースリンクの構造体側の支承部がそれぞれ垂直なホイール中心横方向平面の両側に配置されており、下側の第2のトランスバースリンクの構造体側の2つの支承部が、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に配置されており、前記2つのトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部を通ってホイール旋回軸線が形成されることにより達成される。本発明によれば特に、上側の第1のトランスバースリンクの回動軸線が垂直なホイール中心長手方向平面に対して平行に延在しており、下側の第2のトランスバースリンクの回動軸線が上側のトランスバースリンクの回動軸線に対して鋭角を成して配置されていて、下側のトランスバースリンクの構造体側の後方の支承部が、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に配置されており、且つ上側のトランスバースリンクの構造体側の前方の支承部よりも垂直なホイール中心横方向平面に接近して配置されるようになっている。
【0017】
走行挙動に有利に影響を与えるホイール旋回軸線を得られるように、特に、上側のトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部が、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の後方に配置されており、下側のトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部が、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に配置されている。特に本発明によれば、下側のトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部が、上側のトランスバースリンクの支承部と共に同じ斜めに延在する垂直な平面上に位置している。相互のトランスバースリンク及び構造体側及びホイール支持体側の支承部の位置及び配置により、フロントホイールのためのホイール旋回軸線が規定され、このホイール旋回軸線が2つのトランスバースリンクのホイール支持体側の支承部を通って形成され、且つホイール軸線を通ってホイールに向かって斜め外方に、そして走行方向に関して前方に延在しており、且つフロントホイールのホイール旋回軸線がホイール接地平面における貫通点を、ホイール中心長手方向平面の面領域内に、及び走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の前方に有している。
【0018】
カーブ走行時に横力が発生する場合に負荷の作用下にある外側のホイールはトーアウトの方向でホイールを調整することができるように、本発明によれば、下側のトランスバースリンクの後方の支承部が、比較的軟質な支承特性を備えたステアリングシリンダユニットのステアリングタイロッドの支承部よりも硬質な支承特性を有しているようになっている。ステアリングタイロッドが、走行方向に関して垂直なホイール中心横方向平面の後方に配置されており、該ホイール中心横方向平面に対して離間してハンガを介してダンパーストラットに支承されているスタビライザが設けられている。
【0019】
制動力、横力及び駆動力下のホイール調節への影響はホイールサスペンションの配置もしくは支承部の配置により制御することができ、ステアリングタイロッドの自由端部がホイール支持体において支承部に保持されており、該支承部、及びステアリングシリンダユニットとの結合部を通る第1の仮想の射線が延在しており、該第1の仮想の射線がホイール支持体側の支承部及び平面で見て下側のトランスバースリンクの構造体側の後方の支承部を通る第2の仮想の射線と共に、垂直なホイール中心長手方向平面の内側で一時的な回動ポールをもたらし、従って、ホイールが制動力の影響下でトーアウトの方向で調整可能であり、且つ駆動力の影響下でトーインの方向で調整可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
自動車のフロントホイールサスペンション1は本質的に上側のトランスバースリンク2と、下側のトランスバースリンク3と、ダンパーストラット4と、ステアリング装置6のタイロッド(Spurstange)5と、スタビライザ7とを有している。トランスバースリンク2,3はそれぞれ支承部8,9を介してホイール支持体10に枢着されて保持されていて、且つそれぞれ2つの支承部11,12及び13,14を介して車両ボディもしくは補助的に車両ボディの補助フレームに枢着されて保持されている。
【0022】
上側のトランスバースリンク2は水平方向のホイール中心横方向平面y−yの上側に位置していて、横方向に離れるように突出している2つのリンクアーム2a,2bに設けられている上側のトランスバースリンクの構造体側の支承部11,12は、垂直なホイール中心長手方向面z−zに対して平行に配置されている回動軸線15を形成する。上側のトランスバースリンク2の構造体側の支承部11は、走行方向Fに向かって垂直なホイール中心横方向平面x−xの前方に位置し、別の支承部12は、走行方向Fに垂直なホイール中心横方向平面x−xの後方に位置する。
【0023】
下側のトランスバースリンク3は水平なホイール中心横方向平面y−yの下側に配置されていて、構造体側の支承部13,14を通って延在している回動軸線16を有している。2つの支承部13,14は走行方向Fに向かって垂直なホイール中心横方向平面x−xの前方に配置されている。回動軸線16は上側のトランスバースリンク2の回動軸線15に対して鋭角αを成して配置されている。
【0024】
下側のトランスバースリンク3はトランスバースリンクアーム3aを有している。このトランスバースリンクアーム3aに構造体側の前方の支承部13を有する長手方向リンクアーム3bが接続している。支承部13はフロントホイール17の外側のホイール面輪郭16(図1a)の前方に配置されている。後方の支承部14とホイール支持体側の支承部9とは、走行方向Fに向かって垂直なホイール中心横方向平面x−xの前方に配置されている。支承部14,9は垂直なホイール中心横方向平面x−xに対して側方で同じ間隔を有している。支承部14,9の前記間隔は、垂直なホイール中心横方向平面x−xに対する上側のトランスバースリンク2の構造体側の支承部11の側方の間隔よりも小さい。
【0025】
上側のトランスバースリンク2のホイール支持体側の支承部8は、ホイール旋回軸線19の予め規定された位置をもたらすように下側のトランスバースリンク3のホイール支持体側の支承部9に向かって方向付けされている。ホイール旋回軸線19はホイール軸線20を通って延在していて、ホイール接地平面21における貫通点Pdを側面で見て垂直なホイール中心横方向平面x−xの前方で面領域32に有することができ、且つ後方から見て垂直なホイール中心長手方向平面z−zの両側で有することができる。
【0026】
図5に詳しく記載されているように、ホイールの垂直なホイール中心長手方向平面z−zの内側には回動極Pが形成される。この回動極Pを中心にしてホイール17を制動力Bの影響下ではトーアウトの方向で調整可能であり且つ駆動力Aの影響下ではトーインの方向で調整可能である。回動極Pは第2の射線S1と交差する、下側のトランスバースリンク3の支承部9,14を通って延在する第1の射線Sにより形成される。第2の射線S1はタイロッド22のホイール支持体側の支承部25及びステアリング装置6に設けられている支承点26を通って延在している。両射線S,S1の交差点にホイールのための回動ポールPが形成される。図5にはホイールの出発状態が符号Zで記されていて、線BNで制動力Bにおけるホイールのトーアウト調整が示されていて、線AVで駆動力Aにおけるトーイン調整が示されている。
【0027】
図6に詳しく記載してあるように、下側のトランスバースリンク3の後方の支承部14は、支承特性L2を備えたステアリング装置6もしくはタイロッド22の支承部の支承特性よりも硬質な支承特性L1を有している。これにより横力Sにおけるカーブ外側のホイールの調整がトーアウト方向で可能である。図6ではホイールの出発状態が符号Zで示されている。ホイールの調整は符号Vsで記されている。
【0028】
下側のトランスバースリンク3におけるトランスバースリンクアーム3aに、ダンパーストラット4がフォーク27を介して支持されている。このフォーク27にハンガ28が支承されている。このハンガ28はスタビライザ7を収容する。タイロッド22の自由端部25はホイール支持体10のアーム部分29に保持されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】上下に配置された2つのトランスバースリンクと、タイロッドを備えたステアリング装置と、ダンパーストラットとを有するホイールサスペンションを上から見た図である。
【図1b】ホイールサスペンションの下側のトランスバースリンクを示した図である。
【図2】図1aのホイールサスペンションの側面図である。
【図3】図1aのホイールサスペンションを後方から見た図である。
【図4】図1aのホイールサスペンションの概略図である。
【図5】制動力及び駆動力下におけるホイールへの作用と、タイロッドと下側のトランスバースリンクとの間に形成された回動極と共に図1aのホイールサスペンションを上から見た概略図である。
【図6】タイロッドとトランスバースリンクとの間に形成された回動極が示された図1aのホイールサスペンションを上から見た概略図であり、且つ異なる支承特性とカーブ外側のホイールへの横力のホイールへの作用とを示した図である。
【図7】上側のトランスバースリンク及び下側のトランスバースリンクと、ステアリング装置の枢着されたタイロッド及び支持されたダンパーストラットとを備えたホイール支持体を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
1 フロントホイールサスペンション、 2 上側のトランスバースリンク、 2a,2b ハンドルアーム、 3 下側のトランスバースリンク、 3a トランスバースリンクアーム、 3b 長手方向リンクアーム、 4 ダンパーストラット、 5 タイロッド、 6 ステアリング装置(ステアリングシリンダユニット)、 7 スタビライザ、 8,9 支承部、 10 ホイール支持体、 11,12,13,14 支承部、 15 回動軸線、 16 回動軸線(外側のホイール面輪郭)、 17 フロントホイール、 19 ホイール旋回軸、 20 ホイール軸線、 21 ホイール接地平面、 22 タイロッド、 26 支承点、 27 フォーク、 28 ハンガ、 29 自由端部(アーム部分)、 32 面領域、 A 駆動力、 AV 線, B 制動力、 BN 線、 E 平面、 F 走行方向、 L,L2 支承特性、 P 回動ポール、 Pd 貫通点、 x−x 垂直なホイール中心横方向平面、 y−y 水平なホイール中心横方向平面(水平なホイール中心平面)、 z−z 垂直なホイール中心長手方向平面、 α 鋭角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロントアクスルのホイールサスペンションであって、ホイール支持体が設けられており、該ホイール支持体における上側の自由端部に上側の第1のトランスバースリンクが支承されており、該上側の第1のトランスバースリンクの横方向に離れる方向で突出している2つのアームが構造体側で支承部に枢着されており、水平方向のホイール中心平面の下側に下側の第2のトランスバースリンクが配置されており、該下側の第2のトランスバースリンクがホイール支持体と1つの支承部において枢着され、且つ構造体側で2つの支承部において枢着され、且つダンパーストラットの下側の端部を支持するように収容している自動車のフロントアクスルのホイールサスペンションにおいて、
2つのトランスバースリンク(2,3)がそれぞれ構造体側の支承部(11,12及び13,14)により形成された互いに高さをずらされた回動軸線(15,16)を有しており、上側の第1のトランスバースリンク(2)の回動軸線(15)が、下側の第2のトランスバースリンク(3)の回動軸線(16)よりもホイール(17)に接近して配置されており、上側の第1のトランスバースリンク(2)の構造体側の前記支承部(11,12)が、それぞれ垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の両側に配置されており、下側の第2のトランスバースリンク(3)の構造体側の2つの支承部(13,14)が、走行方向(F)に関して垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の前方に配置されており、前記2つのトランスバースリンク(2,3)のホイール支持体側の支承部(8,9)を通ってホイール旋回軸線(19)が形成されることを特徴とする、自動車のフロントアクスルのホイールサスペンション。
【請求項2】
上側の第1のトランスバースリンク(2)の回動軸線(15)が垂直なホイール中心長手方向平面(z−z)に対して平行に延在しており、下側の第2のトランスバースリンク(3)の回動軸線(16)が上側のトランスバースリンク(2)の回動軸線(15)に対して鋭角(α)を成して配置されている、請求項1記載のホイールサスペンション。
【請求項3】
下側のトランスバースリンク(3)の構造体側の後方の支承部(14)が、走行方向(F)に関して垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の前方に配置されており、且つ上側のトランスバースリンク(2)の構造体側の前方の支承部(11)より垂直なホイール中心横方向平面(x−x)に接近して配置されている、請求項1又は2記載のホイールサスペンション。
【請求項4】
上側のトランスバースリンク(2)のホイール支持体側の支承部(8)が、走行方向(F)に関して垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の後方に配置されており、下側のトランスバースリンク(3)のホイール支持体側の支承部(9)が、走行方向(F)に関して、垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の前方に配置されている、請求項1から3までのいずれか一項記載のホイールサスペンション。
【請求項5】
下側のトランスバースリンク(3)のホイール支持体側の支承部(9)が、上側のトランスバースリンク(2)の支承部(8,12)と共に同じ斜めに延在する垂直な平面(E)上に位置している、請求項1から4までのいずれか一項記載のホイールサスペンション。
【請求項6】
上側のトランスバースリンク(2)のホイール支持体側の支承部(8)が、走行方向(F)に関して垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の後方に、走行方向(F)に関して垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の前方に配置された下側のトランスバースリンク(3)のホイール支持体側の支承部(9)よりも垂直なホイール中心横方向平面(x−x)に対して大きな間隔を有している、請求項1から5までのいずれか一項記載のホイールサスペンション。
【請求項7】
フロントホイール(17)のホイール旋回軸線(19)が前記2つのトランスバースリンク(2,3)のホイール支持体側の支承部(8,9)を通って形成され、ホイール軸線(20)を通ってホイール(17)に向かって斜め外方に、そして走行方向(F)に関してて前方に延在しており、且つフロントホイール(17)のホイール旋回軸線(19)がホイール接地平面(21)における貫通点(Pd)を、ホイール中心長手方向平面(z−z)の面領域(32)内に、及び走行方向(F)に関して垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の前方に有している、請求項1から6までのいずれか一項記載のホイールサスペンション。
【請求項8】
下側のトランスバースリンク(3)の後方の支承部(14)が、支承特性(L2)を備えたステアリングシリンダユニット(6)のステアリングタイロッド(22)の比較的軟質な支承部よりも硬質な支承特性(L1)を有している、請求項1から7までのいずれか一項記載のホイールサスペンション。
【請求項9】
カーブ走行時のカーブ外側のホイール(17)にかかる横力(S)もしくは負荷の作用下で異なる特性(L,L1)を備えた支承部が、ホイール(17)がトーアウトの方向で調整可能であるように弾性運動学的に制御可能である、請求項1から8までのいずれか一項記載のホイールサスペンション。
【請求項10】
ステアリングタイロッド(22)が走行方向(F)に関して、垂直なホイール中心横方向平面(x−x)の後方に配置されており、該ホイール中心横方向平面(x−x)に対して離間してハンガ(28)を介してダンパーストラット(4)に支承されているスタビライザ(7)が設けられている、請求項1から9までのいずれか一項記載のホイールサスペンション。
【請求項11】
ステアリングタイロッド(22)の自由端部(29)がホイール支持体(10)において支承部(25)に保持されており、該支承部(25)及びステアリングシリンダユニット(6)との結合部を通る射線(S1)が延在しており、該射線(S1)がホイール支持体側の支承部(9)及び平面で見て下側のトランスバースリンク(3)の構造体側の後方の支承部(14)を通る射線(S)と共に、垂直なホイール中心長手方向平面(z−z)の内側に一時的な回動極(P)をもたらし、ホイール(17)が制動力(B)の影響下で弾性運動学的にトーアウトの方向で調整可能であり、且つ駆動力(A)の影響下で弾性運動学的にトーインの方向で調整可能である、請求項1から10までのいずれか一項記載のホイールサスペンション。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−149298(P2009−149298A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326171(P2008−326171)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】