自動車のフロント用の案内された下方領域
自動車のフロント下方領域のセクションは、第1の延長可能な細長部(5)を含み、細長部のリア端部は、クレードルの形態で具現化された自動車構造要素(3)の前に位置し、細長部のフロント端部は、第1連結装置(19)によって自動車のバータイプの構造要素(1)に連結される。第1細長部(5)のリア端部は、クレードル形状の自動車構造要素(3)の前に移動可能に取り付けられ、ここで前記第1連結装置(19)は、実質的に長手方向の移動が可能なスライドバーの形態の連結部(31)と、通常、取り外されるまで前記移動を妨げるための取り外し可能な係止部材(35,55)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロント部に関する。より具体的には、本発明は、フロント下方領域として知られる、フロント部の下方領域に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントは、フロントサスペンションを支持するクレードル(より正確には、「フロントクレードル」)を含む。自動車のフロント部の一実施形態では、第1細長部または延長部は、自動車のフロントに向かって、一般的に水平方向(又は実質的に水平方向)に、フロントクレードルから始まって、フロント下方領域として知られる下方地帯内に延びる。このため、一般的に、延長部と自動車の構造要素の間に、実質的に垂直に(またはほぼ垂直に)設けられた第2細長部またはハンガーが追加される。より正確には、この後者の構造要素は、フロントシャシー部材のフロント部であってもよく、ここで、このフロント部は、クレードル及び延長部の上に乗るように(前方に)立ち上がっている。全体として、フロントシャシーは、実質的に自動車のフロント部を越えて延びる。延長部及びクレードルは、自動車のフロント下方領域に属することは、理解されよう。
【0003】
第1連結部材が、第1部及び第2部の間に設けられる。これは、一般的に、延長部及びハンガーの、例えばボルト止めまたは溶接によって形成された、固定組立体として要約することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車のフロント部は、衝撃時、特に前方衝撃時に必須の役割を果たす。それは、ショック吸収に関与する、即ち、衝撃によって作られたエネルギを、特に変形することによって、吸収して分散させるのを助けることができなくてはならない。
【0005】
例えば、フロント部は、乗員の安全を保証することができるように、自動車内部の変形を生じることなく、高い強度の衝撃を吸収することができなくてはならない。しかしながら、フロント部は、過剰な剛性を有していてはならない。実際に、歩行者との衝突に対応する低い強度の衝撃時には、フロント部は、実質的な力なしに変形することができるべきであり、さもなければ歩行者は重大な被害を被ることがある。
【0006】
これらの及び他の制約は、自動車構造の分野を支配する標準によって定められる。異なる強度の衝撃中、自動車のフロント部の挙動を予測することができ、必要であればそれに適合させることができることが重要であることは、容易に理解されるであろう。自動車産業と同じぐらい競合する部門では、また、最初の段階で取り付けるのに、そして事故後に修理するのに、できるだけ安価な、フロント部の設計を提案することが必須である。
【0007】
一般的に、フロントセクションの文言は、ここでは自動車の片側に位置するフロント領域の半分を称するものとして使用され、同様に、フロント下方領域のセクションの文言は、自動車の片側に位置するフロント下方領域の半分を称する。原則として、互いに同様の、フロント(下方)領域のセクションが2つある。
【0008】
既知の下方領域は、これらの観点において部分的にだけ満足するものであるので、本発明は、この状況を改善することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、自動車用のフロント下方領域のセクションから始め、該フロント下方領域は、延長部タイプの第1細長部とを含み、第1細長部のフロント端部は、クレードルタイプの自動車の構造要素に対向し、第1細長部のフロント端部は、第1連結装置によってシャシー部材タイプの自動車の構造要素に連結されている。第1細長部のリア端部は、クレードルタイプの自動車の構造要素の反対側に移動可能に設けられる。前記第1連結手段は、実質的に全体的に長手方向での移動を許容するスライドバータイプの連結部と、取り外されるまで、通常の状況下で連結部の移動を阻止するように設計された取り外し可能な係止部材と、を含む。
【0010】
一実施形態では、第1連結部材は、ハンガータイプの、実質的に垂直向きの第2細長部を含み、スライドバータイプの連結部が、第1部とこの第2部との間に設けられる。
【0011】
かくして、係止部材が取り外された後、延長部と自動車構造との間で、相対的移動が可能となる。
【0012】
より詳細にわかるように、係止部材を壊すのには不十分なわずかな力は、一般的に、ハンガー及び延長部を含む組立体にいかなる損傷をも引き起こさない。係止部材が壊れると、延長部の移動が可能になる。しかしながら、少なくとも初めは、ハンガーは、延長部に一体的に連結していないので、ハンガーは変形しない。かくして、ハンガーは、大抵の衝撃において損傷せず、かくして衝撃後に交換されなければならない部品数を減ずる。
【0013】
本発明の更なる特徴及び利点は、次の詳細な説明及び添付の図面を検討することからより明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
添付図面は、本発明を完成させるのに役立つのみでなく、必要に応じて、本発明を定めるのを助ける。
【0015】
図1は、自動車用の、既知の種類のフロント部を示す。この図は、自動車の細長構造要素2のフロント部である、終端セクション1を示し、細長構造要素2は、フロントシャシー部材(以下、略して「シャシー部材」と称される)と称される。シャシー部材2は、フロントクレードル(以下、略して「クレードル」として知られる)と称される、自動車の構造要素3の上を通る。このクレードル3は、一般的に、自動車のフロントサスペンション及びフロント軸部に連結されたクレードル自身を支持するようになっている固定部(図示せず)を備えたプラットフォームを含む。
【0016】
シャシー部材2のフロント部1及びクレードル3は、一般的に、互いに平行な面内で延びる。シャシー部材2のフロント部1は、長さでクレードル3より延びる。シャシー部材2は、ここでは、クレードル3の高さに近い、この場合では高い値の高さ位置で、シャシー部材2のフロント部1に平行に延びるリア部4を有する。クレードル3は、シャシー部材2のリア部4に、例えば溶接、リベット、ボルト止めによって、堅固に固定されてもよい。この場合では、クレードル3は、「フィルタなし」として言及される。他の場合では、クレードル3は、シャシー部材2のリア部4に、「可撓性取付部」のような、振動を濾過(フィルタ)する可撓性システムを介して連結されてもよい。クレードルは、その結果、一般的に、「フィルタ付き」のものとして言及される。
【0017】
これらの既知の実施形態では、延長部タイプの第1細長部5は、シャシー部材2のフロント部1に実質的に平行に、クレードル3から、シャシー部材2のフロント部1と実質的に整列するように延びる。延長部5は、例えばガーダー要素として形成される。ハンガータイプの第2細長部7が、シャシー部材2のフロント部1を延長部5に垂直に連結する。ハンガー7は、例えばガーダー要素として具現化される。シャシー部材2のフロント部1は、自由端で、ショック吸収部材またはショックアブソーバ9を受け入れる。延長部5は、自由端で、ショックアブソーバ11を受け入れる。ショックアブソーバ9,11は、一般的に長さ方向に変形するように設計され、それにより、特定量のエネルギを、少なくとも実質的に分散する。
【0018】
シャシー部材2のフロント部1は、アブソーバ9を介して中間バンパークロスバー13の一側方を支持する。延長部5は、アブソーバ11を介して、下方バンパークロスバー15を部分的に支持する。クロスバー15は、時々、「歩行者クロスバー」又は「歩行者ビーム」と称される。クロスバー13,15は、長手方向に湾曲するセクションの形態で作られてもよい。図1A及び図1Bに示すように、クロスバー13は、「柔らかい」衝撃を吸収するための、即ち理論的には変形可能な、一つまたはそれ以上の追加的な要素16を保持してもよい。これらのアブソーバは、泡で作られた形状の形態を取ってもよく、または泡または半軟質プラスチックで作られた複数の立方形部の形態を取ってもよい。クロスバー13,15は、横方向シェルまたはシールド17で覆われる。より正確には、ソフトアブソーバ16は、シールド17に形成されたキャビティ内に収容され、かくしてシールド17を支持するのを助ける。クロスバー15は、シールド17にまた設けられた他のキャビティに挿入される。クロスバー15は、必ずしも、シールド17を支持するのを助けなくてもよい、即ち、クロスバー15は、いくらかの遊びを有して、キャビティ内に収容されてもよい。
【0019】
フィルタなしのクレードル(図1A)を有する既知の自動車の場合では、延長部5は、クレードル3に、例えば溶接、リベット、またはボルト止めによって、堅固に固定されてもよい。反対に、既知のフィルタ付きクレードルの場合には、延長部5は、クレードル3に堅固に固定されない。図1Bに示されるフィルター付きクレードルの既知の実施形態では、延長部5は、クレードル3に連結されない。延長部5は、この場合には、タイロッドタイプの、シャシー部材2のフロント部に固定された金属バー18によって支持される。他の位置決めシステムが、延長部5とクレードル3の間に設けられていてもよく、これは、延長部5とクレードル3の間の振動の伝達を回避するようになっている。
【0020】
上述の自動車のフロントは、また、対称に、(1,2のような)第2シャシー部材の第2フロント部と、(5のような)第2延長部と、(9,11のような)第2アブソーバと、上記に連結して、シールド17によって覆われたクロスバー13,15と、を含む。
【0021】
従来技術によれば、ハンガー7及び延長部5は、従来、互いに固定的かつ堅固に取り付けられる。延長部5およびハンガー7は、ボルト止めまたは溶接によって取り付けられて、固定されてもよい。アブソーバ9は、例えば、シャシー部材2のフロント部1にクリップ止めまたは接着によって取り付けられ、同様に、アブソーバ11は、延長部5に、例えばクリップ止めまたは接着によって取り付けられる。
【0022】
フロント部への衝撃時には、作り出された力は、互いに固定された全ての組立部品に伝達される。かくして、衝撃によって作り出された力は、特にハンガー7及び延長部5に伝達される。フィルターなしのクレードル構造(図1A)の場合には、力は、また、同時に延長部5を介してクレードル3に伝達される。
【0023】
延長部5と、クロスバー15と、任意的にアブソーバ11と、クレードル3と、を含む組立体は、一般的に、(フロント)下方領域と称される。シャシー部材1と、クロスバー13と、アブソーバ9と、変形可能要素16と、を含む組立体は、一般的に、(フロント)中間領域と称されるが、その上に「上部(フロント)領域」があってもよいことに気づくべきである。さらに、既に述べたように、「セクション」の文言は、以下では、別個に取られた領域の側方の一つを指すものとして使用される。
【0024】
本発明による下方領域セクションが、今、まず図2を参照して考えられる。
【0025】
図2では、第1連結装置19が、延長部5とハンガー7の間に設けられる。装置19は、延長部がハンガー7に対して移動することができるように配置されている。ここで、この移動は、必然的に長手方向であり、「長手方向」の文言は、ここでは、自動車の長手方向を通る軸線を参照する。
【0026】
本発明は、特に、フィルター付クレードル構造に適切である。しかしながら、本発明は、延長部5およびクレードル3の間の堅固な連結の代わりに、長手方向移動の可能性が許されるであれば、フィルターなしのクレードル構造に適用されてもよい。所望であれば、そのとき、タイロッド18が、所定位置に置かれてもよい(図2A参照)。
【0027】
図2では、ハンガーの背後に位置する延長部5の部分は、図1に示す従来の延長部5よりも短くてもよい。図2の延長部5は、クレードル3に一体的に固定されていない:クレードル3は、延長部5の近位端から距離d1だけ離れている、ことに気づくべきである。延長部5は、かくして、ハンガー7(及び/又はシャシー部材2のフロント部1)に対して、クレードル3に当たるまで、移動するようになっている。
【0028】
この移動は、主に、この場合では、直進移動である。移動は、また、延長部の長さ寸法に実質的に平行でない軸線周りの回転と組み合わされた、直進移動である。言い換えると、上述の直進移動に加えて、延長部5は、ハンガー7に対して回転することができる。変形例として、ピボットジョイントを含むより複雑な案内は、除外されない。
【0029】
図2では、下方領域セクションは、クレードル3と延長部5の間に設けられた第2連結装置21を更に含む。装置21は、カムタイプの、延長部5のクレードル3に対する移動を案内するのに適した案内手段を含んでもよい。
【0030】
好ましくは、第1装置19は、取り外し可能な係止部材を備えた、スライドバータイプの連結部を含む。(スライドの文言は、ここでは、線形である必要はなく、常時接触のまたは常時接触でないカムの方法での、任意の移動可能な案内を示す。)取り外し可能な係止部材は、予め決定された力で屈する、または壊れることができるように、その組立体を考慮に入れて調整され、ある程度の耐性を有する。延長部5の移動は、係止部材の破壊力と等しいかそれを越える、(原則として長手方向の)付与力を越えて起こるのみである。より低い力では、この移動は阻止される。
【0031】
本発明の第1実施形態が、図3に概略的に示される。ここで、下方領域セクションは、延長部5に一体的に取り付けられた中間部23を更に含む。中間部23に形成された溝25が、延長部5の長手方向に延び、長孔26を介して外方に開口する。溝25は、肩部28を有するねじまたはジャーナルピン27のヘッドを収容し、ねじまたはジャーナルピン27のボディは、孔26を貫通して溝25の外側から突出する。ねじ27は、はずれることなく溝25内で移動することができる。この場合ではハンガー7に取り付けられたナット29が、ねじ27を収容し、それにより、延長部5が中間部23を介してハンガー7に固定される。溝25、ねじ27、およびナット29は、かくして、中間部23とハンガー7の間のスライド連結部31を形成するように協働する。連結部31は、ねじ27の肩部28と長孔26の間の協働に従って、自動車の長手方向での移動を可能にし、カムを形成する。図3に示す実施形態では、中間部23は、ハンガー7に垂直に整列して配置される。ハンガー7は、ナット29を収容する、少なくとも部分的に中空のセクションを有する。ナット29は、溶接によって取り付けられてもよい。
【0032】
この実施形態では、プレート33が、中間部23に形成された孔に収容されるノブ35を有する。プレート33には、ねじ27が肩部28で貫通している。例えば、プレート33は、ハンガー7の一端で、ハンガー7と中間部23の間に配置される。ここで、肩部28と長孔26の間に示される遊びは、図示の目的で誇張されていることは、認められるべきである。実際には、この遊びは、組立体の要求に制限され、極小である。同じことが、プレート33と肩部38の間の遊びにも言える。
【0033】
長手方向の力Fが延長部5に付与されると、プレート33はねじ27の肩部28に接触しており、この力Fは、ノブ35に伝達される。力Fがノブ35のせん断破壊強さに達するか、またはそれを越えると、図4に示すようにノブが折れる。その結果、ハンガーと延長部5の間の移動が可能になる。
【0034】
ねじ27が許される移動は、距離d1よりも大きく、それにより移動は、延長部5がクレードル3に接触するまで続く。この移動は、この実施形態では、静止位置での、ねじ27の肩部を長孔26の端部から分離する距離d2に対応する。言い換えると、距離d2は、距離d1よりも大きい。
【0035】
図3の実施形態では、延長部5は、一端で、上述のアブソーバ11が固定される、垂直に配置されたプレート37を支持する。プレート37と延長部5の間の距離d3は、また、延長部5をクレードル3に抗して上方に移動させることができるように、距離d2よりも大きくなければならない。言い換えると、距離d3は、距離d1よりも大きくなければならない。
【0036】
図3及び図4は、長手方向に前方衝撃があった場合の、プレート37に付与される力Fを示す。斜めの前方衝撃については、挙動は、遭遇する力の長手方向構成要素と同じである。
【0037】
タイロッド18は、一方でシャシー部材2のフロント部1に、他方で延長部5に、2つの連結部を有する。これらの2つの連結部は、延長部5のクレードルに対する、したがって、シャシー部材2のフロント部1に対する配置の所望の移動に適合して配置される。この目的のために、機械的ジョイントタイプ及び/又は変形による関節の連結部を使用してもよい。延長部5の移動を許す限り、異なる連結部を設けてもよい。
【0038】
タイロッド18は、この事例では、わずかに斜めに配置される。タイロッド18は、延長部5とハンガー7の間の上述の動きに干渉することなく、延長部5を吊り下げるのに役立つ。ここで、運動学は、延長部が隣接部に接触するまで、延長部の動きが、クレードル側で、僅かに上方の枢動を含むことを示す(図6と、延長部が隣接部の位置にある図7とを比較のこと)。
【0039】
図5,6,及び図7は、本発明の第1実施形態による下方領域のより詳細な図である。延長部5は、アブソーバ9が固定されるプレート37を一端で支持する、実質的に閉断面の形状の形態である。アブソーバ9は、例えば泡が並んだ金属セル構造の形態をとる。歩行者クロスバー15は、湾曲形状の形態で作られてもよい。
【0040】
歩行者クロスバー15は、例えば、2005年3月30日に本出願人により出願された、仏国特許出願第05 03090号に記載されるタイプの、管状ビームであってもよい。
【0041】
延長部5は、いわゆる「プログラムされた変形」タイプ、即ち、圧縮力及び垂直軸線のこの軸線を通る平面での偶力の影響下での変形の法則が、決定されているタイプのものであってもよい。より具体的には、この法則は、仏国特許出願第FR−A−2855805号に記載されるように、エネルギ吸収段階と、それに続く延長部の破壊を含む。この種類の延長部5の使用は、一方で延長部によって分散されるエネルギ量を予測することを可能にする。また、エネルギが分散されると、延長部の形状を知ることが可能になる。
【0042】
記載された実施形態では、装置21は、延長部5に対して横方向に配置されたスピンドル41を含む、環状線形連結部の形態であり、延長部5の移動中、クレードル3に一体的に固定された(長手方向)細長セル状部43に係合することができる。案内機能を保証する他の解決策が考えられてもよい。特に、延長部5の長さを超え、クレードル3に設けられた適当な直径の孔に係合する、スピンドルの形態の「フィンガー」を設けることが可能である。
【0043】
図8及び図9に示すように、中間部23は、延長部5の横方向に設けられた孔に長手方向に移動する可能性なしに、収容される。例えば、中間部23は、平坦な横断面の回転体の外側部分であり、前記断面にしたがって形状付けられた長孔にはまる。
【0044】
延長部5を連結するクロスバー45は、例えば、自動車のラジエータを支持するのを助ける。ここで、クロスバー45は、中間部23の各端部で係合する、平坦断面の形状の形態に作られる。図8及び図9に示す実施形態では、中間部23及びプレート37は、一体部品で形成される。中間部23が収容される孔は、次いで、中間部23及びプレート37によって形成される組立体を取り付ける目的で、延長部5の端部に向かって開口するように設計される。
【0045】
本発明の第2実施形態が、図10に示される。延長部5は、長手方向の溝47を貫通する。溝47は、延長部5の一側方に設けられた開口した長孔の形態である。
【0046】
クロスバー45は、溝47に係合する。溝47の形状は、クロスバー45の延長部5に対する長手方向移動を許すようになっている。中間部49が、延長部5を越えて突出し、クロスバー45の端部セクションにはまるようになっている。中間部49は、ハンガー7のための固定プレート51を支持する。プレート51は、例えばハンガー7に垂直に整列するように配置される。プレート51は、例えば、ナット29にねじ込まれることができる肩部ねじ(図示せず)を収容するように、孔53があけられる。
【0047】
取り外し可能な係止部材は、この場合では、延長部5及びクロスバー45を互いに通常取り付けたままにするピン55である。例えばピン55は、延長部5を垂直に貫通し、孔(図示せず)を貫通してクロスバー45に入る。ピン55は、例えば、円形横断面の円筒ロッドの形態を取ってもよい。ピン55のせん断強度より大きな長手方向力Fの影響下では、ピン55は、壊れ、その結果、クロスバー45の溝47での相対的移動が可能になる。従って、延長部5のハンガー7に対する移動も、許可される。
【0048】
異なる種類の衝撃中の本発明による下方領域の挙動が、今図11乃至図14を参照して記載される。これらの図では、特定の衝撃中に変形した部分が、クロスハッチングで示される。変形していない部分は、影がつけられていない。移動する部品は、平行ハッチングで表される。
【0049】
これらの図の次の記載は、約1300kgの重量の、少なくとも所与の力の値が関与している限りにおける、自動車の特定の例に関する。
【0050】
まず、図11は、「歩行者衝撃」と称される、非常に低速での前方衝撃の場合を示す。最大速度は、約V1=4km/hである。速度V1で、第1閾値F1を実質的に達成する長手方向力Fがある。例では、4km/hで、F1=700daNである。取り外し可能な係止部材(ノブ35またはピン55)の調整は、F1に対応する。より正確には、ピン55(またはノブ35)は、約F1のせん断強度があるような寸法のものである。
【0051】
F≦F1である限り、クロスバー15は、塑性的に変形する。クロスバー13によって保持される要素16もまた、塑性的に変形する。そのような衝撃において遊びに持ち込まれる少量のエネルギを考慮に入れると、クロスバー15及び要素16の塑性変形は、エネルギを分散する、即ち衝撃を吸収するのに十分である。クロスバー15及び要素16は、また、自動車が修理されるときに交換されなければならない。
【0052】
図11に示すように、要素16及びクロスバー15の押しつぶしは、これらの要素の高さ方向及び幅方向の拡張を引き起こす。この拡張は、これらの要素を収容するシールド17内のキャビティの破壊を引き起こす。シールド17は、かくして交換されなければならない。非常に低い値の力Fでは、クロスバー15及び要素16は、交換の必要なく、弾性的に変形する。
【0053】
図12は、低速、即ち実質的にV1とV2の間での衝撃を示し、ここでV2は、約16km/hに等しい。この場合には、力Fは、F1より大きく、第2閾値F2より小さい値を達成する。この例では、16km/hでF2=3000daNである。
前のように、下方クロスバー15及び要素16は、塑性的に変形し、特定の量のエネルギを分散させる。ノブ35(又はピン55)は、F1に近いFの値で削ぎ取られる。その結果、延長部5は自由になると、(ここでは不動の)ハンガー7に対して移動し、クレードル3に接触するように動き、この移動は、タイロッド18によって案内される。力Fが増加すると、クロスバー13のアブソーバ9,11の圧縮が、今、起こる。延長部5がクレードル3に接触するとすぐ、フロント下方領域は、長手方向により強固になることに気づくべきである。
【0054】
延長部5は、延長部5がクレードル3に接触するが、変形しないところまで動く。ハンガー7は、損なわれない。クロスバー15、クロスバー13、要素16,ノブ35(又はピン55)、及びアブソーバ9,11は、損傷し、交換されなければならない。延長部5は、所定位置に戻される。
【0055】
図13及び図14は、高速衝撃、即ち、実質的にV2とV3の間の衝撃を示し、V3は約64km/hに等しい。この場合では、力Fは、F2を越え、閾値F3より小さい値に達する。例では、64km/hでF3=7000daNである。
【0056】
ショック吸収は、前の例で示されるように始まる。アブソーバ9,11は、完全に圧縮される。力Fの影響下では、クレードル3に接触する延長部5は、より多くの衝撃エネルギを分散させる塑性変形を受ける(図13)。
【0057】
延長部5によって分散されたエネルギ量は、延長部5が「プログラムされた変形」タイプのものであるとき、既知である。この場合には、変形された延長部5の長さもまた既知である。他のタイプの延長部5は、くしゃくしゃになる。
【0058】
もし衝撃の全てのエネルギが分散されなかったら、シャシー部材2のフロント部1の塑性変形(図14)、及び場合によっては、自動車に取り付けられていれば、上シャーシ部材(上方領域、図示せず)の塑性変形が追加的にある。ハンガー7の塑性変形も、行われる。更に、クレードル3も、変形する場合がある。クレードル3の変形は、乗員を保護するために、起こりうる最後のときに発生する。
【0059】
上述の記載は、長手方向及び水平方向の前方衝撃の場合に関する。実際の衝撃波、自動車の長手方向及び/又は水平方向に対して角度を有している場合がある。生じた横方向の構成要素が、上述のように部品の変形が起こる順番を変更する場合がある。
【0060】
他の実施形態が考えられる。特に、延長部5とハンガー7の間のスライド連結を作るための任意の手段が、考えられる。溝25は、延長部5に直接形成されてもよい。同様に、閾値の力に達する前にこの連結部を阻止する任意の手段が付与されてもよい。係止部材の抵抗制限は、以上に機械的に定められる;それは少なくとも部分的に制御され、適当に位置決めされた適切なセンサを用い、この場合では、取り外し可能な係止部材は、要求に応じて解放されることができるボルト、及び/又は電磁石によって解放されることができる部材を含んでもよい。
【0061】
要約すると、上の詳細な説明は、自動車のフロントに取り付けるようになっている下方領域セクションに関し、シャシー部材に設けられたクレードルを有する。セクションは、細長形状の少なくとも一つの第1機械的要素と、シャシー部材の一つに実質的に垂直に固定されるようになっている細長形状の少なくとも一つの第2機械的要素と、第1要素及び第2要素の間に配置され、第2要素が固定されるとき、特定の距離においてクレードルの延長部内で第1要素を保持するのに適した、少なくとも一つの第1連結装置と、を含む。第1連結装置は、第1要素の実質的に長手方向に、第1要素と第2要素の間の移動を可能にするスライドタイプの連結手段と、前記移動を阻止するように前記連結手段と協働する係止部材と、を含む。この係止部材は、第1閾値を越える長手方向の力が第1要素に付与されたとき、前記移動を自由にするように連結手段と協働し、それにより第1要素は、そのような力の影響下でクレードルに接触するまで移動することができる。
【0062】
連結装置21及びタイロッド18は、本発明による下方領域で、互いに共同でまたは独立に設けられてもよい。延長部5を支持し、案内する他の手段が設けられてもよい。クロスバー45も、任意的である。
【0063】
フロントで、延長部がクロスバーと一緒にハンガーに対して移動する(特に図8)か、延長部がクロスバー上のハンガーに対して移動する(図10)かの、2つの実施形態を記載した。延長部、クロスバー及びハンガー(またはその一部)を備えて構成される組立体を、シャシー部材2のフロント部1に対して移動させることも可能であり、取り外し可能な係止部材は、この移動のレベルで作用することができるように配置される。
【0064】
他のレベルでは、一般的に、カム要素、及び所望であれば取り外し可能な係止部材の位置を逆にすることが可能である。
【0065】
本発明は、特に、いわゆる「短い」クレードルに適合された自動車、即ち、延長部が所定位置に置かれている自動車に関する。いわゆる「長い」クレードルを有する自動車は、延長部5を収容するのに十分なスペースをフロント端部に有しない。しかしながら、「長い」クレードルの表現は、ときどき、延長部を加えたクレードルの組立体を示すのに使用され、その場合も本発明の権利範囲内のものであることに気づくべきである。
【0066】
説明は、国によって変動し、自動車製造業者によっても変動する技術分野の用語を使用する。即ち、
− ハンガーは、ドロップとも称される、
− 「シャフト」の用語は、時々、シャシー部材のフロント部または同じシャシー部材のより延長された部分を称するのに使用される、
− クロスバーは、時々、ガーダーと称される、
− 延長部は、また、エクステンションまたはアドオンと称される。
【0067】
本発明は、自動車に既に取り付けられた完全な下方領域をカバーする。本発明は、また、上述の部品の全てまたはいくつかを含む一式(キット)を、別個の部品の形態だけでなく、自動車に取り付けられるようになっている組立体の形態で、カバーする。
【0068】
本発明は、例示の方法で上に記載された実施形態に制限されず、当業者によって考えられる変形を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】従来技術による下方領域を含む自動車のフロントを側面からみた概略図である。
【図1A】自動車のフロントの2つの既知の実施形態を、側面からより詳細にみた図である。
【図1B】自動車のフロントの2つの既知の実施形態を、側面からより詳細にみた図である。
【図2】本発明による下方領域セクションに適合された、自動車のフロント領域を概略的に示す側面図である。
【図2A】図1A及び図1Bと同様に、図2のフロント領域をより詳細に示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態による下方領域セクションを含む自動車のフロントの、損なわれていない状態を概略的に示す部分側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による下方領域セクションを含む自動車のフロントの、衝撃後の状態を概略的に示す部分側面図である。
【図5】図3の下方領域のセクションを含む、フロント領域セクションの詳細を示す、下方からの平面図である。
【図6】図5の下方領域セクションのVI-VI線に沿った断面図である。
【図7】図5の下方領域セクションの、衝撃後の部分断面図である。
【図8】図5の下方領域セクションの斜視図である。
【図9】図8の一部の詳細図である。
【図10】本発明の第2実施形態による下方領域セクションの一部を示す斜視図である。
【図11】本発明による下方領域が取り付けられた自動車のフロント領域セクションを、遭遇した衝撃と関連した速度の機能として、概略的に示す図である。
【図12】本発明による下方領域が取り付けられた自動車のフロント領域セクションを、遭遇した衝撃と関連した速度の機能として、概略的に示す図である。
【図13】本発明による下方領域が取り付けられた自動車のフロント領域セクションを、遭遇した衝撃と関連した速度の機能として、概略的に示す図である。
【図14】本発明による下方領域が取り付けられた自動車のフロント領域セクションを、遭遇した衝撃と関連した速度の機能として、概略的に示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロント部に関する。より具体的には、本発明は、フロント下方領域として知られる、フロント部の下方領域に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントは、フロントサスペンションを支持するクレードル(より正確には、「フロントクレードル」)を含む。自動車のフロント部の一実施形態では、第1細長部または延長部は、自動車のフロントに向かって、一般的に水平方向(又は実質的に水平方向)に、フロントクレードルから始まって、フロント下方領域として知られる下方地帯内に延びる。このため、一般的に、延長部と自動車の構造要素の間に、実質的に垂直に(またはほぼ垂直に)設けられた第2細長部またはハンガーが追加される。より正確には、この後者の構造要素は、フロントシャシー部材のフロント部であってもよく、ここで、このフロント部は、クレードル及び延長部の上に乗るように(前方に)立ち上がっている。全体として、フロントシャシーは、実質的に自動車のフロント部を越えて延びる。延長部及びクレードルは、自動車のフロント下方領域に属することは、理解されよう。
【0003】
第1連結部材が、第1部及び第2部の間に設けられる。これは、一般的に、延長部及びハンガーの、例えばボルト止めまたは溶接によって形成された、固定組立体として要約することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車のフロント部は、衝撃時、特に前方衝撃時に必須の役割を果たす。それは、ショック吸収に関与する、即ち、衝撃によって作られたエネルギを、特に変形することによって、吸収して分散させるのを助けることができなくてはならない。
【0005】
例えば、フロント部は、乗員の安全を保証することができるように、自動車内部の変形を生じることなく、高い強度の衝撃を吸収することができなくてはならない。しかしながら、フロント部は、過剰な剛性を有していてはならない。実際に、歩行者との衝突に対応する低い強度の衝撃時には、フロント部は、実質的な力なしに変形することができるべきであり、さもなければ歩行者は重大な被害を被ることがある。
【0006】
これらの及び他の制約は、自動車構造の分野を支配する標準によって定められる。異なる強度の衝撃中、自動車のフロント部の挙動を予測することができ、必要であればそれに適合させることができることが重要であることは、容易に理解されるであろう。自動車産業と同じぐらい競合する部門では、また、最初の段階で取り付けるのに、そして事故後に修理するのに、できるだけ安価な、フロント部の設計を提案することが必須である。
【0007】
一般的に、フロントセクションの文言は、ここでは自動車の片側に位置するフロント領域の半分を称するものとして使用され、同様に、フロント下方領域のセクションの文言は、自動車の片側に位置するフロント下方領域の半分を称する。原則として、互いに同様の、フロント(下方)領域のセクションが2つある。
【0008】
既知の下方領域は、これらの観点において部分的にだけ満足するものであるので、本発明は、この状況を改善することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、自動車用のフロント下方領域のセクションから始め、該フロント下方領域は、延長部タイプの第1細長部とを含み、第1細長部のフロント端部は、クレードルタイプの自動車の構造要素に対向し、第1細長部のフロント端部は、第1連結装置によってシャシー部材タイプの自動車の構造要素に連結されている。第1細長部のリア端部は、クレードルタイプの自動車の構造要素の反対側に移動可能に設けられる。前記第1連結手段は、実質的に全体的に長手方向での移動を許容するスライドバータイプの連結部と、取り外されるまで、通常の状況下で連結部の移動を阻止するように設計された取り外し可能な係止部材と、を含む。
【0010】
一実施形態では、第1連結部材は、ハンガータイプの、実質的に垂直向きの第2細長部を含み、スライドバータイプの連結部が、第1部とこの第2部との間に設けられる。
【0011】
かくして、係止部材が取り外された後、延長部と自動車構造との間で、相対的移動が可能となる。
【0012】
より詳細にわかるように、係止部材を壊すのには不十分なわずかな力は、一般的に、ハンガー及び延長部を含む組立体にいかなる損傷をも引き起こさない。係止部材が壊れると、延長部の移動が可能になる。しかしながら、少なくとも初めは、ハンガーは、延長部に一体的に連結していないので、ハンガーは変形しない。かくして、ハンガーは、大抵の衝撃において損傷せず、かくして衝撃後に交換されなければならない部品数を減ずる。
【0013】
本発明の更なる特徴及び利点は、次の詳細な説明及び添付の図面を検討することからより明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
添付図面は、本発明を完成させるのに役立つのみでなく、必要に応じて、本発明を定めるのを助ける。
【0015】
図1は、自動車用の、既知の種類のフロント部を示す。この図は、自動車の細長構造要素2のフロント部である、終端セクション1を示し、細長構造要素2は、フロントシャシー部材(以下、略して「シャシー部材」と称される)と称される。シャシー部材2は、フロントクレードル(以下、略して「クレードル」として知られる)と称される、自動車の構造要素3の上を通る。このクレードル3は、一般的に、自動車のフロントサスペンション及びフロント軸部に連結されたクレードル自身を支持するようになっている固定部(図示せず)を備えたプラットフォームを含む。
【0016】
シャシー部材2のフロント部1及びクレードル3は、一般的に、互いに平行な面内で延びる。シャシー部材2のフロント部1は、長さでクレードル3より延びる。シャシー部材2は、ここでは、クレードル3の高さに近い、この場合では高い値の高さ位置で、シャシー部材2のフロント部1に平行に延びるリア部4を有する。クレードル3は、シャシー部材2のリア部4に、例えば溶接、リベット、ボルト止めによって、堅固に固定されてもよい。この場合では、クレードル3は、「フィルタなし」として言及される。他の場合では、クレードル3は、シャシー部材2のリア部4に、「可撓性取付部」のような、振動を濾過(フィルタ)する可撓性システムを介して連結されてもよい。クレードルは、その結果、一般的に、「フィルタ付き」のものとして言及される。
【0017】
これらの既知の実施形態では、延長部タイプの第1細長部5は、シャシー部材2のフロント部1に実質的に平行に、クレードル3から、シャシー部材2のフロント部1と実質的に整列するように延びる。延長部5は、例えばガーダー要素として形成される。ハンガータイプの第2細長部7が、シャシー部材2のフロント部1を延長部5に垂直に連結する。ハンガー7は、例えばガーダー要素として具現化される。シャシー部材2のフロント部1は、自由端で、ショック吸収部材またはショックアブソーバ9を受け入れる。延長部5は、自由端で、ショックアブソーバ11を受け入れる。ショックアブソーバ9,11は、一般的に長さ方向に変形するように設計され、それにより、特定量のエネルギを、少なくとも実質的に分散する。
【0018】
シャシー部材2のフロント部1は、アブソーバ9を介して中間バンパークロスバー13の一側方を支持する。延長部5は、アブソーバ11を介して、下方バンパークロスバー15を部分的に支持する。クロスバー15は、時々、「歩行者クロスバー」又は「歩行者ビーム」と称される。クロスバー13,15は、長手方向に湾曲するセクションの形態で作られてもよい。図1A及び図1Bに示すように、クロスバー13は、「柔らかい」衝撃を吸収するための、即ち理論的には変形可能な、一つまたはそれ以上の追加的な要素16を保持してもよい。これらのアブソーバは、泡で作られた形状の形態を取ってもよく、または泡または半軟質プラスチックで作られた複数の立方形部の形態を取ってもよい。クロスバー13,15は、横方向シェルまたはシールド17で覆われる。より正確には、ソフトアブソーバ16は、シールド17に形成されたキャビティ内に収容され、かくしてシールド17を支持するのを助ける。クロスバー15は、シールド17にまた設けられた他のキャビティに挿入される。クロスバー15は、必ずしも、シールド17を支持するのを助けなくてもよい、即ち、クロスバー15は、いくらかの遊びを有して、キャビティ内に収容されてもよい。
【0019】
フィルタなしのクレードル(図1A)を有する既知の自動車の場合では、延長部5は、クレードル3に、例えば溶接、リベット、またはボルト止めによって、堅固に固定されてもよい。反対に、既知のフィルタ付きクレードルの場合には、延長部5は、クレードル3に堅固に固定されない。図1Bに示されるフィルター付きクレードルの既知の実施形態では、延長部5は、クレードル3に連結されない。延長部5は、この場合には、タイロッドタイプの、シャシー部材2のフロント部に固定された金属バー18によって支持される。他の位置決めシステムが、延長部5とクレードル3の間に設けられていてもよく、これは、延長部5とクレードル3の間の振動の伝達を回避するようになっている。
【0020】
上述の自動車のフロントは、また、対称に、(1,2のような)第2シャシー部材の第2フロント部と、(5のような)第2延長部と、(9,11のような)第2アブソーバと、上記に連結して、シールド17によって覆われたクロスバー13,15と、を含む。
【0021】
従来技術によれば、ハンガー7及び延長部5は、従来、互いに固定的かつ堅固に取り付けられる。延長部5およびハンガー7は、ボルト止めまたは溶接によって取り付けられて、固定されてもよい。アブソーバ9は、例えば、シャシー部材2のフロント部1にクリップ止めまたは接着によって取り付けられ、同様に、アブソーバ11は、延長部5に、例えばクリップ止めまたは接着によって取り付けられる。
【0022】
フロント部への衝撃時には、作り出された力は、互いに固定された全ての組立部品に伝達される。かくして、衝撃によって作り出された力は、特にハンガー7及び延長部5に伝達される。フィルターなしのクレードル構造(図1A)の場合には、力は、また、同時に延長部5を介してクレードル3に伝達される。
【0023】
延長部5と、クロスバー15と、任意的にアブソーバ11と、クレードル3と、を含む組立体は、一般的に、(フロント)下方領域と称される。シャシー部材1と、クロスバー13と、アブソーバ9と、変形可能要素16と、を含む組立体は、一般的に、(フロント)中間領域と称されるが、その上に「上部(フロント)領域」があってもよいことに気づくべきである。さらに、既に述べたように、「セクション」の文言は、以下では、別個に取られた領域の側方の一つを指すものとして使用される。
【0024】
本発明による下方領域セクションが、今、まず図2を参照して考えられる。
【0025】
図2では、第1連結装置19が、延長部5とハンガー7の間に設けられる。装置19は、延長部がハンガー7に対して移動することができるように配置されている。ここで、この移動は、必然的に長手方向であり、「長手方向」の文言は、ここでは、自動車の長手方向を通る軸線を参照する。
【0026】
本発明は、特に、フィルター付クレードル構造に適切である。しかしながら、本発明は、延長部5およびクレードル3の間の堅固な連結の代わりに、長手方向移動の可能性が許されるであれば、フィルターなしのクレードル構造に適用されてもよい。所望であれば、そのとき、タイロッド18が、所定位置に置かれてもよい(図2A参照)。
【0027】
図2では、ハンガーの背後に位置する延長部5の部分は、図1に示す従来の延長部5よりも短くてもよい。図2の延長部5は、クレードル3に一体的に固定されていない:クレードル3は、延長部5の近位端から距離d1だけ離れている、ことに気づくべきである。延長部5は、かくして、ハンガー7(及び/又はシャシー部材2のフロント部1)に対して、クレードル3に当たるまで、移動するようになっている。
【0028】
この移動は、主に、この場合では、直進移動である。移動は、また、延長部の長さ寸法に実質的に平行でない軸線周りの回転と組み合わされた、直進移動である。言い換えると、上述の直進移動に加えて、延長部5は、ハンガー7に対して回転することができる。変形例として、ピボットジョイントを含むより複雑な案内は、除外されない。
【0029】
図2では、下方領域セクションは、クレードル3と延長部5の間に設けられた第2連結装置21を更に含む。装置21は、カムタイプの、延長部5のクレードル3に対する移動を案内するのに適した案内手段を含んでもよい。
【0030】
好ましくは、第1装置19は、取り外し可能な係止部材を備えた、スライドバータイプの連結部を含む。(スライドの文言は、ここでは、線形である必要はなく、常時接触のまたは常時接触でないカムの方法での、任意の移動可能な案内を示す。)取り外し可能な係止部材は、予め決定された力で屈する、または壊れることができるように、その組立体を考慮に入れて調整され、ある程度の耐性を有する。延長部5の移動は、係止部材の破壊力と等しいかそれを越える、(原則として長手方向の)付与力を越えて起こるのみである。より低い力では、この移動は阻止される。
【0031】
本発明の第1実施形態が、図3に概略的に示される。ここで、下方領域セクションは、延長部5に一体的に取り付けられた中間部23を更に含む。中間部23に形成された溝25が、延長部5の長手方向に延び、長孔26を介して外方に開口する。溝25は、肩部28を有するねじまたはジャーナルピン27のヘッドを収容し、ねじまたはジャーナルピン27のボディは、孔26を貫通して溝25の外側から突出する。ねじ27は、はずれることなく溝25内で移動することができる。この場合ではハンガー7に取り付けられたナット29が、ねじ27を収容し、それにより、延長部5が中間部23を介してハンガー7に固定される。溝25、ねじ27、およびナット29は、かくして、中間部23とハンガー7の間のスライド連結部31を形成するように協働する。連結部31は、ねじ27の肩部28と長孔26の間の協働に従って、自動車の長手方向での移動を可能にし、カムを形成する。図3に示す実施形態では、中間部23は、ハンガー7に垂直に整列して配置される。ハンガー7は、ナット29を収容する、少なくとも部分的に中空のセクションを有する。ナット29は、溶接によって取り付けられてもよい。
【0032】
この実施形態では、プレート33が、中間部23に形成された孔に収容されるノブ35を有する。プレート33には、ねじ27が肩部28で貫通している。例えば、プレート33は、ハンガー7の一端で、ハンガー7と中間部23の間に配置される。ここで、肩部28と長孔26の間に示される遊びは、図示の目的で誇張されていることは、認められるべきである。実際には、この遊びは、組立体の要求に制限され、極小である。同じことが、プレート33と肩部38の間の遊びにも言える。
【0033】
長手方向の力Fが延長部5に付与されると、プレート33はねじ27の肩部28に接触しており、この力Fは、ノブ35に伝達される。力Fがノブ35のせん断破壊強さに達するか、またはそれを越えると、図4に示すようにノブが折れる。その結果、ハンガーと延長部5の間の移動が可能になる。
【0034】
ねじ27が許される移動は、距離d1よりも大きく、それにより移動は、延長部5がクレードル3に接触するまで続く。この移動は、この実施形態では、静止位置での、ねじ27の肩部を長孔26の端部から分離する距離d2に対応する。言い換えると、距離d2は、距離d1よりも大きい。
【0035】
図3の実施形態では、延長部5は、一端で、上述のアブソーバ11が固定される、垂直に配置されたプレート37を支持する。プレート37と延長部5の間の距離d3は、また、延長部5をクレードル3に抗して上方に移動させることができるように、距離d2よりも大きくなければならない。言い換えると、距離d3は、距離d1よりも大きくなければならない。
【0036】
図3及び図4は、長手方向に前方衝撃があった場合の、プレート37に付与される力Fを示す。斜めの前方衝撃については、挙動は、遭遇する力の長手方向構成要素と同じである。
【0037】
タイロッド18は、一方でシャシー部材2のフロント部1に、他方で延長部5に、2つの連結部を有する。これらの2つの連結部は、延長部5のクレードルに対する、したがって、シャシー部材2のフロント部1に対する配置の所望の移動に適合して配置される。この目的のために、機械的ジョイントタイプ及び/又は変形による関節の連結部を使用してもよい。延長部5の移動を許す限り、異なる連結部を設けてもよい。
【0038】
タイロッド18は、この事例では、わずかに斜めに配置される。タイロッド18は、延長部5とハンガー7の間の上述の動きに干渉することなく、延長部5を吊り下げるのに役立つ。ここで、運動学は、延長部が隣接部に接触するまで、延長部の動きが、クレードル側で、僅かに上方の枢動を含むことを示す(図6と、延長部が隣接部の位置にある図7とを比較のこと)。
【0039】
図5,6,及び図7は、本発明の第1実施形態による下方領域のより詳細な図である。延長部5は、アブソーバ9が固定されるプレート37を一端で支持する、実質的に閉断面の形状の形態である。アブソーバ9は、例えば泡が並んだ金属セル構造の形態をとる。歩行者クロスバー15は、湾曲形状の形態で作られてもよい。
【0040】
歩行者クロスバー15は、例えば、2005年3月30日に本出願人により出願された、仏国特許出願第05 03090号に記載されるタイプの、管状ビームであってもよい。
【0041】
延長部5は、いわゆる「プログラムされた変形」タイプ、即ち、圧縮力及び垂直軸線のこの軸線を通る平面での偶力の影響下での変形の法則が、決定されているタイプのものであってもよい。より具体的には、この法則は、仏国特許出願第FR−A−2855805号に記載されるように、エネルギ吸収段階と、それに続く延長部の破壊を含む。この種類の延長部5の使用は、一方で延長部によって分散されるエネルギ量を予測することを可能にする。また、エネルギが分散されると、延長部の形状を知ることが可能になる。
【0042】
記載された実施形態では、装置21は、延長部5に対して横方向に配置されたスピンドル41を含む、環状線形連結部の形態であり、延長部5の移動中、クレードル3に一体的に固定された(長手方向)細長セル状部43に係合することができる。案内機能を保証する他の解決策が考えられてもよい。特に、延長部5の長さを超え、クレードル3に設けられた適当な直径の孔に係合する、スピンドルの形態の「フィンガー」を設けることが可能である。
【0043】
図8及び図9に示すように、中間部23は、延長部5の横方向に設けられた孔に長手方向に移動する可能性なしに、収容される。例えば、中間部23は、平坦な横断面の回転体の外側部分であり、前記断面にしたがって形状付けられた長孔にはまる。
【0044】
延長部5を連結するクロスバー45は、例えば、自動車のラジエータを支持するのを助ける。ここで、クロスバー45は、中間部23の各端部で係合する、平坦断面の形状の形態に作られる。図8及び図9に示す実施形態では、中間部23及びプレート37は、一体部品で形成される。中間部23が収容される孔は、次いで、中間部23及びプレート37によって形成される組立体を取り付ける目的で、延長部5の端部に向かって開口するように設計される。
【0045】
本発明の第2実施形態が、図10に示される。延長部5は、長手方向の溝47を貫通する。溝47は、延長部5の一側方に設けられた開口した長孔の形態である。
【0046】
クロスバー45は、溝47に係合する。溝47の形状は、クロスバー45の延長部5に対する長手方向移動を許すようになっている。中間部49が、延長部5を越えて突出し、クロスバー45の端部セクションにはまるようになっている。中間部49は、ハンガー7のための固定プレート51を支持する。プレート51は、例えばハンガー7に垂直に整列するように配置される。プレート51は、例えば、ナット29にねじ込まれることができる肩部ねじ(図示せず)を収容するように、孔53があけられる。
【0047】
取り外し可能な係止部材は、この場合では、延長部5及びクロスバー45を互いに通常取り付けたままにするピン55である。例えばピン55は、延長部5を垂直に貫通し、孔(図示せず)を貫通してクロスバー45に入る。ピン55は、例えば、円形横断面の円筒ロッドの形態を取ってもよい。ピン55のせん断強度より大きな長手方向力Fの影響下では、ピン55は、壊れ、その結果、クロスバー45の溝47での相対的移動が可能になる。従って、延長部5のハンガー7に対する移動も、許可される。
【0048】
異なる種類の衝撃中の本発明による下方領域の挙動が、今図11乃至図14を参照して記載される。これらの図では、特定の衝撃中に変形した部分が、クロスハッチングで示される。変形していない部分は、影がつけられていない。移動する部品は、平行ハッチングで表される。
【0049】
これらの図の次の記載は、約1300kgの重量の、少なくとも所与の力の値が関与している限りにおける、自動車の特定の例に関する。
【0050】
まず、図11は、「歩行者衝撃」と称される、非常に低速での前方衝撃の場合を示す。最大速度は、約V1=4km/hである。速度V1で、第1閾値F1を実質的に達成する長手方向力Fがある。例では、4km/hで、F1=700daNである。取り外し可能な係止部材(ノブ35またはピン55)の調整は、F1に対応する。より正確には、ピン55(またはノブ35)は、約F1のせん断強度があるような寸法のものである。
【0051】
F≦F1である限り、クロスバー15は、塑性的に変形する。クロスバー13によって保持される要素16もまた、塑性的に変形する。そのような衝撃において遊びに持ち込まれる少量のエネルギを考慮に入れると、クロスバー15及び要素16の塑性変形は、エネルギを分散する、即ち衝撃を吸収するのに十分である。クロスバー15及び要素16は、また、自動車が修理されるときに交換されなければならない。
【0052】
図11に示すように、要素16及びクロスバー15の押しつぶしは、これらの要素の高さ方向及び幅方向の拡張を引き起こす。この拡張は、これらの要素を収容するシールド17内のキャビティの破壊を引き起こす。シールド17は、かくして交換されなければならない。非常に低い値の力Fでは、クロスバー15及び要素16は、交換の必要なく、弾性的に変形する。
【0053】
図12は、低速、即ち実質的にV1とV2の間での衝撃を示し、ここでV2は、約16km/hに等しい。この場合には、力Fは、F1より大きく、第2閾値F2より小さい値を達成する。この例では、16km/hでF2=3000daNである。
前のように、下方クロスバー15及び要素16は、塑性的に変形し、特定の量のエネルギを分散させる。ノブ35(又はピン55)は、F1に近いFの値で削ぎ取られる。その結果、延長部5は自由になると、(ここでは不動の)ハンガー7に対して移動し、クレードル3に接触するように動き、この移動は、タイロッド18によって案内される。力Fが増加すると、クロスバー13のアブソーバ9,11の圧縮が、今、起こる。延長部5がクレードル3に接触するとすぐ、フロント下方領域は、長手方向により強固になることに気づくべきである。
【0054】
延長部5は、延長部5がクレードル3に接触するが、変形しないところまで動く。ハンガー7は、損なわれない。クロスバー15、クロスバー13、要素16,ノブ35(又はピン55)、及びアブソーバ9,11は、損傷し、交換されなければならない。延長部5は、所定位置に戻される。
【0055】
図13及び図14は、高速衝撃、即ち、実質的にV2とV3の間の衝撃を示し、V3は約64km/hに等しい。この場合では、力Fは、F2を越え、閾値F3より小さい値に達する。例では、64km/hでF3=7000daNである。
【0056】
ショック吸収は、前の例で示されるように始まる。アブソーバ9,11は、完全に圧縮される。力Fの影響下では、クレードル3に接触する延長部5は、より多くの衝撃エネルギを分散させる塑性変形を受ける(図13)。
【0057】
延長部5によって分散されたエネルギ量は、延長部5が「プログラムされた変形」タイプのものであるとき、既知である。この場合には、変形された延長部5の長さもまた既知である。他のタイプの延長部5は、くしゃくしゃになる。
【0058】
もし衝撃の全てのエネルギが分散されなかったら、シャシー部材2のフロント部1の塑性変形(図14)、及び場合によっては、自動車に取り付けられていれば、上シャーシ部材(上方領域、図示せず)の塑性変形が追加的にある。ハンガー7の塑性変形も、行われる。更に、クレードル3も、変形する場合がある。クレードル3の変形は、乗員を保護するために、起こりうる最後のときに発生する。
【0059】
上述の記載は、長手方向及び水平方向の前方衝撃の場合に関する。実際の衝撃波、自動車の長手方向及び/又は水平方向に対して角度を有している場合がある。生じた横方向の構成要素が、上述のように部品の変形が起こる順番を変更する場合がある。
【0060】
他の実施形態が考えられる。特に、延長部5とハンガー7の間のスライド連結を作るための任意の手段が、考えられる。溝25は、延長部5に直接形成されてもよい。同様に、閾値の力に達する前にこの連結部を阻止する任意の手段が付与されてもよい。係止部材の抵抗制限は、以上に機械的に定められる;それは少なくとも部分的に制御され、適当に位置決めされた適切なセンサを用い、この場合では、取り外し可能な係止部材は、要求に応じて解放されることができるボルト、及び/又は電磁石によって解放されることができる部材を含んでもよい。
【0061】
要約すると、上の詳細な説明は、自動車のフロントに取り付けるようになっている下方領域セクションに関し、シャシー部材に設けられたクレードルを有する。セクションは、細長形状の少なくとも一つの第1機械的要素と、シャシー部材の一つに実質的に垂直に固定されるようになっている細長形状の少なくとも一つの第2機械的要素と、第1要素及び第2要素の間に配置され、第2要素が固定されるとき、特定の距離においてクレードルの延長部内で第1要素を保持するのに適した、少なくとも一つの第1連結装置と、を含む。第1連結装置は、第1要素の実質的に長手方向に、第1要素と第2要素の間の移動を可能にするスライドタイプの連結手段と、前記移動を阻止するように前記連結手段と協働する係止部材と、を含む。この係止部材は、第1閾値を越える長手方向の力が第1要素に付与されたとき、前記移動を自由にするように連結手段と協働し、それにより第1要素は、そのような力の影響下でクレードルに接触するまで移動することができる。
【0062】
連結装置21及びタイロッド18は、本発明による下方領域で、互いに共同でまたは独立に設けられてもよい。延長部5を支持し、案内する他の手段が設けられてもよい。クロスバー45も、任意的である。
【0063】
フロントで、延長部がクロスバーと一緒にハンガーに対して移動する(特に図8)か、延長部がクロスバー上のハンガーに対して移動する(図10)かの、2つの実施形態を記載した。延長部、クロスバー及びハンガー(またはその一部)を備えて構成される組立体を、シャシー部材2のフロント部1に対して移動させることも可能であり、取り外し可能な係止部材は、この移動のレベルで作用することができるように配置される。
【0064】
他のレベルでは、一般的に、カム要素、及び所望であれば取り外し可能な係止部材の位置を逆にすることが可能である。
【0065】
本発明は、特に、いわゆる「短い」クレードルに適合された自動車、即ち、延長部が所定位置に置かれている自動車に関する。いわゆる「長い」クレードルを有する自動車は、延長部5を収容するのに十分なスペースをフロント端部に有しない。しかしながら、「長い」クレードルの表現は、ときどき、延長部を加えたクレードルの組立体を示すのに使用され、その場合も本発明の権利範囲内のものであることに気づくべきである。
【0066】
説明は、国によって変動し、自動車製造業者によっても変動する技術分野の用語を使用する。即ち、
− ハンガーは、ドロップとも称される、
− 「シャフト」の用語は、時々、シャシー部材のフロント部または同じシャシー部材のより延長された部分を称するのに使用される、
− クロスバーは、時々、ガーダーと称される、
− 延長部は、また、エクステンションまたはアドオンと称される。
【0067】
本発明は、自動車に既に取り付けられた完全な下方領域をカバーする。本発明は、また、上述の部品の全てまたはいくつかを含む一式(キット)を、別個の部品の形態だけでなく、自動車に取り付けられるようになっている組立体の形態で、カバーする。
【0068】
本発明は、例示の方法で上に記載された実施形態に制限されず、当業者によって考えられる変形を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】従来技術による下方領域を含む自動車のフロントを側面からみた概略図である。
【図1A】自動車のフロントの2つの既知の実施形態を、側面からより詳細にみた図である。
【図1B】自動車のフロントの2つの既知の実施形態を、側面からより詳細にみた図である。
【図2】本発明による下方領域セクションに適合された、自動車のフロント領域を概略的に示す側面図である。
【図2A】図1A及び図1Bと同様に、図2のフロント領域をより詳細に示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態による下方領域セクションを含む自動車のフロントの、損なわれていない状態を概略的に示す部分側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による下方領域セクションを含む自動車のフロントの、衝撃後の状態を概略的に示す部分側面図である。
【図5】図3の下方領域のセクションを含む、フロント領域セクションの詳細を示す、下方からの平面図である。
【図6】図5の下方領域セクションのVI-VI線に沿った断面図である。
【図7】図5の下方領域セクションの、衝撃後の部分断面図である。
【図8】図5の下方領域セクションの斜視図である。
【図9】図8の一部の詳細図である。
【図10】本発明の第2実施形態による下方領域セクションの一部を示す斜視図である。
【図11】本発明による下方領域が取り付けられた自動車のフロント領域セクションを、遭遇した衝撃と関連した速度の機能として、概略的に示す図である。
【図12】本発明による下方領域が取り付けられた自動車のフロント領域セクションを、遭遇した衝撃と関連した速度の機能として、概略的に示す図である。
【図13】本発明による下方領域が取り付けられた自動車のフロント領域セクションを、遭遇した衝撃と関連した速度の機能として、概略的に示す図である。
【図14】本発明による下方領域が取り付けられた自動車のフロント領域セクションを、遭遇した衝撃と関連した速度の機能として、概略的に示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延長部タイプで、リア端部がクレードルタイプの自動車の構造要素(3)に対向し、フロント端部が第1連結装置(19)によってシャシー要素タイプの自動車の構造要素(1)に連結される第1細長部(5)を含み、
第1細長部(5)のリア端部が自動車のクレードルタイプ構造要素(3)に対向して移動可能に取り付けられた状態で、前記第1連結装置(19)は、実質的に長手方向の移動を許すスライドタイプの連結部(31)と、壊れるまで前記移動を通常阻止するように配置された取り外し可能な係止部材(35,55)と、を含む、
ことを特徴とする自動車のフロント下方領域のセクション。
【請求項2】
前記第1連結装置(19)は、ハンガータイプの、実質的に垂直向きの第2細長部(7)を含み、スライドタイプ連結部(31)は、第1部(5)と第2部(7)の間に設けられている、
請求項1に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項3】
第1部(5)のリアと自動車のクレードルタイプ構造要素(3)の間に第2連結装置(21)を更に含み、第2連結装置(21)は、第1部用の案内手段を含む、
請求項1に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項4】
案内手段は、線形−環状連結部(41,43)を含む、
請求項3に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項5】
線形−環状連結部は、ノブ(41)を収容するようになった長手方向細長セル(43)を含む、
請求項4に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項6】
第一部(5)は、ショック吸収部材(11)を支持する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項7】
第一部(5)は、横方向ビーム(15)を少なくとも部分的に支持する、
請求項1から6のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項8】
ショック吸収手段(11)は、ビーム(15)と第一部(5)の間に配置される、
請求項5及び6に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項9】
第一部(5)は、予測可能な方法で長手方向に変形するようになっているセクションを有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項10】
前記セクションは、くしゃくしゃになることが可能である、
請求項8に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項11】
スライドタイプ連結部(31)は、第一部(5)と一体の長手方向溝(25)と、第2部と一体のジャーナルピン(27)と、を含む、
請求項1から10のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項12】
係止部材は、第1部(5)に収容され、第2部(7)と一体のノブ(35)を含む、
請求項11に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項13】
ノブ(35)は、せん断抵抗のために実質的に調整されている、
請求項11に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項14】
スライドタイプ連結部(31)は、第1部上の長手方向溝(47)と、前記溝に収容された中間部(51)と、第2部(7)を中間部(51)に固定するための手段と、を含む、
請求項1から13のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項15】
該フロント下方領域のセクションは、同様のフロント下方領域セクションに、クロスバー(45)によって連結される、
請求項1から14のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項16】
係止部材は、第1部(5)とクロスバー(45)に収容された、ピンタイプ(55)のものである、
請求項15に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項17】
前記ピン(55)は、せん断抵抗のために実質的に調整されている、
請求項15に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の領域セクションを2つ含む、ことを特徴とする自動車用フロント下方領域のキット。
【請求項1】
延長部タイプで、リア端部がクレードルタイプの自動車の構造要素(3)に対向し、フロント端部が第1連結装置(19)によってシャシー要素タイプの自動車の構造要素(1)に連結される第1細長部(5)を含み、
第1細長部(5)のリア端部が自動車のクレードルタイプ構造要素(3)に対向して移動可能に取り付けられた状態で、前記第1連結装置(19)は、実質的に長手方向の移動を許すスライドタイプの連結部(31)と、壊れるまで前記移動を通常阻止するように配置された取り外し可能な係止部材(35,55)と、を含む、
ことを特徴とする自動車のフロント下方領域のセクション。
【請求項2】
前記第1連結装置(19)は、ハンガータイプの、実質的に垂直向きの第2細長部(7)を含み、スライドタイプ連結部(31)は、第1部(5)と第2部(7)の間に設けられている、
請求項1に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項3】
第1部(5)のリアと自動車のクレードルタイプ構造要素(3)の間に第2連結装置(21)を更に含み、第2連結装置(21)は、第1部用の案内手段を含む、
請求項1に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項4】
案内手段は、線形−環状連結部(41,43)を含む、
請求項3に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項5】
線形−環状連結部は、ノブ(41)を収容するようになった長手方向細長セル(43)を含む、
請求項4に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項6】
第一部(5)は、ショック吸収部材(11)を支持する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項7】
第一部(5)は、横方向ビーム(15)を少なくとも部分的に支持する、
請求項1から6のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項8】
ショック吸収手段(11)は、ビーム(15)と第一部(5)の間に配置される、
請求項5及び6に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項9】
第一部(5)は、予測可能な方法で長手方向に変形するようになっているセクションを有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項10】
前記セクションは、くしゃくしゃになることが可能である、
請求項8に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項11】
スライドタイプ連結部(31)は、第一部(5)と一体の長手方向溝(25)と、第2部と一体のジャーナルピン(27)と、を含む、
請求項1から10のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項12】
係止部材は、第1部(5)に収容され、第2部(7)と一体のノブ(35)を含む、
請求項11に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項13】
ノブ(35)は、せん断抵抗のために実質的に調整されている、
請求項11に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項14】
スライドタイプ連結部(31)は、第1部上の長手方向溝(47)と、前記溝に収容された中間部(51)と、第2部(7)を中間部(51)に固定するための手段と、を含む、
請求項1から13のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項15】
該フロント下方領域のセクションは、同様のフロント下方領域セクションに、クロスバー(45)によって連結される、
請求項1から14のいずれか1項に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項16】
係止部材は、第1部(5)とクロスバー(45)に収容された、ピンタイプ(55)のものである、
請求項15に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項17】
前記ピン(55)は、せん断抵抗のために実質的に調整されている、
請求項15に記載のフロント下方領域のセクション。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の領域セクションを2つ含む、ことを特徴とする自動車用フロント下方領域のキット。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−546587(P2008−546587A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517524(P2008−517524)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001268
【国際公開番号】WO2006/136671
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(305030113)ヴァルレック コンポーザント オートモービル ヴィトリー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001268
【国際公開番号】WO2006/136671
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(305030113)ヴァルレック コンポーザント オートモービル ヴィトリー (1)
【Fターム(参考)】
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