説明

自動車の車軸

本発明は、横方向のリーフスプリング(1)であって、2つの第1のベアリング(4)によって直接的に、または支持フレームを介して自動車の本体部(9)に固定されたリーフスプリング(1)と、2つの制御アーム(2)と、2つのホイールキャリア(3)と、を備えた、自動車の車軸に関する。本発明によれば、横方向のリーフスプリング(1)の端部であって、自動車のホイール(10)に面する端部が、それぞれ制御アーム(2)の1つに強固に接続されており、制御アーム(2)は、自動車の長手方向に実質的に向けられており、また、その各々が、第2のベアリング(7)を介して直接的に、または支持フレームを介して自動車の本体部(9)に接続されており、そして、少なくとも1つの第3のベアリング(5,6)を介してホイールキャリア(3)の1つに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部分に従う自動車の車軸に関する。
【背景技術】
【0002】
DE10221993B4から、自動車の操縦不能なホイールのためのサスペンションシステムが知られている。このサスペンションシステムは、ねじり耐性のある構造における、本体部または支持フレームに連結された下方の横方向の制御アームを有している。横方向の制御アームにおいて、ホイールキャリアが、2つのベアリング位置を介して連結されている。またサスペンションシステムは、2つの個々の制御アームをさらに有しており、これら制御アームは同様に、本体部およびホイールキャリアに対して、上方で水平方向に連結されている。ここで、ベアリング位置(Lagerstelle)が、下方の横方向の制御アームとホイールキャリアとの間において横方向にたわみやすくなるよう実現されている。ベアリング位置が、2つの入れ子状のベアリングによって構成されており、これらのベアリングに関して、横方向の制御アームと協働するベアリングがトーションベアリング(Torsionslager)となっており、ホイールキャリアと協働するベアリングが推力−圧力ベアリング(Schub-Dcurklager)となっている。ここで、推進−圧力ベアリングは、横方向においては推力に対して、鉛直方向においては圧力に対して耐性のあるものとなっている。
【0003】
さらに、WO96/27507から、2つのホイールを有する自動車のためのサスペンションシステムが知られている。このサスペンションシステムは、2点ベアリングを有する横方向のリーフスプリングと、ホイールキャリアと、を有している。ここでは、ワンピースの、連続的な、かつホイールを案内するための、複合材料からなる横方向のリーフスプリングが設けられている。このリーフスプリングは、大部分において長手方向に技術的に無限の繊維によって強化されたプラスチックから構成されている。公知のサスペンションシステムにおいて、2点ベアリングは、横方向における高い剛性を有しており、また複合材料からなる横方向のリーフスプリングは、走行方向における所定のバネ定数と、鉛直方向における所定のバネ定数とを有している。ここで、バネ定数の比は、少なくとも15に達しており、またリーフスプリングは、連結部において、直接的に、かつ関節によって、ホイールキャリアに接続されている。ここで、長手方向および横方向の力を支持するホイール案内エレメントが設けられており、このホイール案内エレメントは、ホイールキャリアに、関節によってシャーシを接続している。このため、全てのホイールの力は、リーフスプリングおよびホイール案内エレメントによって吸収可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高い機能統合性を有する自動車の車軸を提供することを課題とする。さらに、本発明による車軸は、従来技術から知られている車軸よりも軽量であるよう求められている。このため、コスト削減が達成され、さらに、動特性が好ましく影響される。
【発明を解決するための手段】
【0005】
本課題は、特許請求の範囲の請求項1に記載された特徴によって解決される。本発明による更なる実施の形態及び利点は、従属請求項より明らかにされる。
【0006】
好ましくは繊維複合体部分(Faserverbundteil)として実現されている横方向のリーフスプリングと、2つの制御アームと、2つのホイールキャリアと、を少なくとも備えた自動車の車軸が提案される。本発明によれば、横方向のリーフスプリングは、2つの第1のベアリングを介して直接的に、または支持フレームを介して自動車の本体部に固定されており、自動車のホイールに面する横方向のリーフスプリングの端部は、それぞれ制御アームの1つに強固に接続されており、制御アームは、自動車の長手方向に実質的に向けられている。この場合、制御アームは各々、第2のベアリングを介して直接的に、または支持フレームを介して本体部に接続されており、また、少なくとも1つの第3のベアリングを介して、ホイールキャリアの1つに接続されている。このため、制御アームは、横方向のリーフスプリングにおけるホイール側の端部とともにホイール案内エレメントを形成し、このホイール案内エレメントは、従来の台形の制御アームの機能を引き継いでいる。
【0007】
好ましくは、端部における制御アームとの強固な接続から、および、自動車の本体部における固定から結果として生じる横方向のリーフスプリングの4点ベアリングによって、ストロークサスペンション(Hubfederung)および揺らぎサスペンション(Wankfederung)の両方が実現され、このため、従来技術から知られている本体部サスペンション(Aufbaufedern)並びに安定装置が省略され得る、ということが結果として生じる。
【0008】
本発明によれば、各ホイールキャリアに接続されたキャンバー用制御アームが設けられていてもよく、このキャンバー用制御アームは、直接的にまたは支持フレームを介して本体部に接続されている。
【0009】
車軸の構成要素は、すでに説明したように、直接的に自動車の本体部に、または支持フレームを介して自動車の本体部に接続されており、ここで、車軸の構成要素の補強は、支持フレームを介して車軸の予めのアッセンブリを可能にする。繊維複合体部分としての横方向のリーフスプリングの形態は、一般的な鋼構造に比べて、明らかに重要な利点および高い弾性を可能にする。繊維材料がガラス繊維からなる場合、炭素繊維またはアラミド繊維が好ましい。
【0010】
好ましい形態において、本発明による車軸は、自動車の操縦不能な後方軸を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、添付の図面に基づいて、例示的に、より詳細に以下に説明される。
【図1】図1は、本発明による車軸のサスペンションシステムの上面図。
【図2】図2は、本発明による車軸のサスペンションシステムの正面図。
【図3】図3は、本発明による車軸のサスペンションシステムを内側から見た場合の側面図。
【図4】図4は、均一なたわみの際の図2のサスペンションシステムの正面図。
【図5】図5は、不均一なたわみの際の図2のサスペンションシステムの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1,2,3,4および5において、本発明により実現される自動車の車軸が示されている。車軸は、横方向のリーフスプリング1を有しており、横方向のリーフスプリング1は、2つの第1のベアリング4を介して直接的に、または支持フレームを介して自動車の本体部9に固定されている。とりわけ第1のベアリング4は、本体部9に対する横方向のリーフスプリング1の高い移動性を確実にするため、好ましくは、ゴム−金属ベアリングとして実現されている。
【0013】
図1,2,3,4および5から明らかなように、各ホイール10に面する横方向のリーフスプリング1の端部は、それぞれ制御アーム2の1つに強固に接続されており、ここで制御アーム2は、自動車の長手方向11に実質的に向けられている。自動車の前進方向が、図1において矢印で示されている。
【0014】
図1に示されているように、制御アーム2は各々、第2のベアリング7を介して直接的に、または支持フレームを介して本体部9に接続されており、また、2つの第3のベアリング5,6を介してホイールキャリア3に接続されており、このため、横方向のリーフスプリング1におけるホイール側の端部とともに、ホイール案内エレメントが形成される。このホイール案内エレメントは、従来の台形の制御アームの機能を引き継いでいる。
【0015】
とりわけ図2から理解されるように、ホイールキャリア3はそれぞれ、ホイールキャリア3に接続されたキャンバー用制御アーム8とともに配置されており、このキャンバー用制御アーム8は、直接的にまたは支持フレームを介して本体部9に接続されている。
【0016】
第1のベアリング4および制御アーム2との強固な接続により達成された横方向のリーフスプリング1の4点ベアリングにより、有効なストロークサスペンションおよび揺らぎサスペンションが実現され、これによって、従来技術から知られている本体部サスペンション並びに安定装置が有利な態様で省略され得る。このことは、図4および5によって明確に説明される。図4および5は、図2に相当して車軸を正面図により示しているが、しかし一方で、一様というよりはむしろ一様でないたわみの状態にある車軸を示している。
【0017】
図4において、ホイール10は、例えば自動車の走行の際、進行方向に対して横方向に延びる凹凸部のために均一にたわんでおり、この場合、横方向のリーフスプリング1は、弾性的に緊張したU形状を取っている。横方向のリーフスプリングは、本体部9を、第1のベアリング4を介して図2に示される平穏位置へ押し返す。すなわち、ストロークサスペンションの仕事を引き継いでいる。図5において、反対に本体部9は、例えばカーブ走行の際に横方向において圧迫され、この場合、本体部9に対して1つのホイール10のみがたわんでいる。横方向のリーフスプリング1は、弾性的に緊張したS形状を取り、そして第1のベアリング4を介して本体部9を平穏位置へ同様に押し返す。この場合、安定装置の仕事を引き継いでいる。
【0018】
制御アーム2は、本発明のさらなる形態によれば、同様に複合繊維部分からなっており、複合繊維部分は、とりわけ重量に関する利点を提供する。
【符号の説明】
【0019】
1 横方向のリーフスプリング
2 制御アーム
3 ホイールキャリア
4 第1のベアリング
5 第3のベアリング
6 第3のベアリング
7 第2のベアリング
8 キャンバー用制御アーム
9 本体部
10 ホイール
11 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車軸において、
2つの第1のベアリング(4)によって直接的に、または支持フレームを介して自動車の本体部(9)に固定された横方向のリーフスプリング(1)と、
2つの制御アーム(2)と、
2つのホイールキャリア(3)と、を少なくとも備え、
自動車のホイール(10)に面する横方向のリーフスプリング(1)の端部は、それぞれ制御アーム(2)の1つに強固に接続されており、
制御アーム(2)は、自動車の長手方向に実質的に向けられており、また、その各々が、第2のベアリング(7)を介して直接的に、または支持フレームを介して自動車の本体部(9)に接続されており、そして、少なくとも1つの第3のベアリング(5,6)を介してホイールキャリア(3)の1つに接続されていることを特徴とする自動車の車軸。
【請求項2】
各ホイールキャリア(3)は、ホイールキャリア(3)に接続されたキャンバー用制御アーム(8)とともに配置されており、
キャンバー用制御アーム(8)は、直接的にまたは支持フレームを介して本体部(9)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車軸。
【請求項3】
横方向のリーフスプリング(1)は、繊維複合体部分として実現されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車軸。
【請求項4】
第1のベアリング(4)は、ゴム−金属ベアリングとして実現されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車軸。
【請求項5】
制御アーム(2)は、繊維複合体部分として実現されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車軸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−512095(P2012−512095A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541328(P2011−541328)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066660
【国際公開番号】WO2010/072563
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(500045121)ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト (312)
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
【Fターム(参考)】