説明

自動車エネルギ節約援助システム

エネルギの節約の際又は有害物放出最適化のため運転者を援助する自動車エネルギ節約援助システムにおいて、車両に固定的に設けられかつエネルギ節約アルゴリズムを含む電子装置又はエネルギ節約アルゴリズムを含む可動コンピュータが、少なくとも1つのデータバスを介して通信する複数の電子車両制御装置と、別のデータチャネルを介してデータを交換し、車両制御装置が特別な運転者援助機能又は車両機能を実施し、この別のデータチャネルが電子装置又は可動コンピュータと車両制御装置との間の接続を行い、この接続が少なくとも1種類の単方向の特に無線又は誘導又は容量によるデータ伝送を可能にし、少なくとも1つの運転者表示装置がエネルギ節約アルゴリズムにより駆動され、エネルギ節約処置を求めるためのエネルギ節約アルゴリズムが、車両の現在の状態及び予測される将来の状態を決定する。
本発明は更にインタフェースを備えた自動車に関し、このインタフェースが車両内部のバスシステムへのアクセスを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の自動車エネルギ節約援助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
経済的な運転のために、例えばどんな量の燃料を供給せねばならないか、又はどんな速段を投入すべきかについて、運転者を助ける支持を与えることは、従来技術から公知である。現在の燃料消費を表示する装置又はいわゆる“経済”表示装置も普及している。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許第19901532号明細書は、増大する燃料消費の原因を診断する方法を記載している。このため実際の走行性能が理論的走行性能と比較される。これらの量の差がわかると、これは車両の技術的状態、運転者の運転態度及び外部の影響(空気抵抗、転動抵抗、車道輪郭)に基因することがある。上述した方法は、実質的に車両欠陥を知るという目的を追跡する。車両又は運転者の挙動への影響は及ぼされない。
【0004】
欧州特許第0906845号明細書から、自動車において運転者の足により感じられる加速ペダルの圧力作用点を走行状態に応じて規定する装置が公知である。その場合運転者は、所定の圧力作用点を超えた(キックダウン機能)か否かを判定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて本発明の課題は、運転者を援助する装置により、全体的な手がかりを介して自動車のエネルギ消費を低下し、かつ/又はその有害物放出(ガス、騒音)を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の自動車エネルギ節約援助システム及び請求項8に記載の自動車によって解決される。
【0007】
本発明による自動車エネルギ節約援助システムは、エネルギの節約の際運転者を援助しかつ車両の有害物放出値(例えば排気ガス及び騒音)を最適化するため運転者を援助する。
【0008】
このため車両に固定的に設けられる電子装置又は可動コンピュータが、エネルギ節約アルゴリズムを含み、少なくとも1つのデータバスを介して通信する複数の電子車両制御装置と、別のデータチャネルを介してデータを交換する。
【0009】
通常車両制御装置は、特別な運転者援助機能又は車両機能(例えばESP制動制御及びABS制動機能)を実施する。別のデータチャネルは、電子装置又は可動コンピュータと車両制御装置との接続を行う。
【0010】
別のデータチャネルを介する伝送は、特に無線で又は例えば誘導又は容量結合を介するように無線でなく行われる少なくとも単方向データ接続を介して行われる。
【0011】
車両に設けられる車両制御装置は、なるべくCANデータバス及び/又はFlex Rey(R)データバスを介して互いに通信する。
【0012】
車両に影響を及ぼすため、少なくとも1つの運転者表示装置がエネルギ節約アルゴリズムにより駆動され、エネルギ節約処置を求めるためのエネルギ節約アルゴリズムが車両の現在の状態及び予測される将来の状態を決定する。
【0013】
システムはなるべく能動又は受動変形例として作動又は構成可能である。受動変形例では、システムが運転者に、エネルギを最適化されて環境を保護する走行又は有害物放出を最適化する特定の処置のみを提案する。能動変形例では、車両への介入も行われて、車両の走行及び/又はその操作素子(例えば加速ペダル、制動ペダル、クラッチ、かじ取りハンドル、変速機)に影響を及ぼす。特に能動変形例が受動変形例と組合わされているように、システムが構成されている。能動変形例の有利な使用可能性は、特に本発明によるエネルギ節約援助システムの固定設置変形例において与えられる。なぜならば、車両通信回路への統合を行うことができるからである。
【0014】
既に上述したように、本発明による自動車エネルギ節約援助システムは、エネルギ節約アルゴリズムを含みかつ車両に固定的に設けられる電子装置又はエネルギ節約アルゴリズムを含む可動コンピュータを含んでいる。電子装置又はなるべくPDA又は可動電話として構成される可動コンピュータは、なるべく付加的なデータケーブル又はデータバス(例えば導線又は無線接続)を介して、1つ又は複数の電子車両制御装置と通信する。電子装置は、適切に固定的に設けて電子車両制御装置(例えば車載コンピュータ、ゲートウェイ、Navi、MMI等)に統合するか、又は付加的な制御装置として車両に固定的に設けるか、又は車両とは無関係に従って可動コンピュータに設ける(例えばPDA,Navi等)ことができる。適当な装置組合わせも考えられる。
【0015】
エネルギ節約アルゴリズムにとって重要で前述したデータバスを介して交換可能な車両データの評価及び処理は、エネルギ節約アルゴリズムによって行われる。このアルゴリズムは、重要な車両データの読出しのほかに、別のデータチャネルを介して制御指令を車両へ送ることもできる。エネルギ節約アルゴリズムは、こうして多数の車両データにアクセスして、データバス上でこれらの車両データを実時間で利用可能である。エネルギ節約アルゴリズムは、車両が現在どんな走行状態(動作点)にあるかを車両データから求め、別の車両データを算入して更に将来の走行状態を計算する。その際位置情報及び/又はカード情報も特に好んで処理される。
【0016】
エネルギ節約アルゴリズムが運転計画を計算していると、この運転計画が運転者に通報され、それにより運転者が運転の仕方により運転計画を完全に又は部分的に実現するか、又はエネルギ節約アルゴリズムが、車両の操作素子への介入により自動的に車両を制御する。これにより先を見越す運転の仕方が援助され、エネルギ消費が低下する。この場合例えば間隔制御システムのデータが特に重要である。独立した介入(エネルギ節約動作)の方式が選択的に開始可能に実施されるのがよい。その場合運転者は、エネルギ節約のため自動的な方式で運転したいか否かを特に選択することができる。運転者が行うべきであるようなことのみを運転者に提案する方式も、アルゴリズムが同時に提供すると、特に好都合である。
【0017】
既に上述したようにシステムは、衛星により援助される従来の位置測定(例えばGPS)をなるべく介して、地図データを利用して、路線断面特に進路及びエネルギ節約のため運転者の望む進路の高さ断面を評価する。こうして一層長い期間にわたって、運転の仕方に対する計画的な推奨を、処置の動的に変化する連続として与えることが可能である。即ちアルゴリズムが、交通の事象のほかに現在の処置において過去及び将来の処置及び推奨も一緒に考慮するやり方で、処置をとるか又は推奨を与える。こうして例えば最適な速度、加速度及び減速度の推移が、一層長い期間にわたって規定される。
【0018】
本発明によるシステムの上述した能動変形例では、なるべく機関制御装置及び/又は制動制御装置への介入が行われる。特に機関制御への介入が行われて、先行する車両との間隔が十分でない場合適応しない加速を阻止する。
【0019】
別の好ましい実施形態によれば、″車両対車両″通信がエネルギ節約アルゴリズムに関係せしめられる。″車両対車両″通信からのデータにより、例えば高速道路の縦列交通における車両間隔に関して、システムにより特に経済的な制動操作及び加速操作を規定することができる。
【0020】
更に本発明は、インタフェースを介して車両に無関係な装置(ノマディック装置)により車両の能動制御を可能にする車両にも関する。このため権限のないインタフェースの利用を防止する安全装置が存在せねばならない。インタフェースは、例えばブルートゥース(R)のような無線接続特にWLAN無線接続によって有利に実現される。
【0021】
乱用を防止する安全装置は更に、故障による誤動作を防止するのに適している。安全装置は、例えば符号化された無線車両扉開放器(無線点火キー)のようなキーなしエントリシステムで符号化可能なので、暗号化されかつ認証されたデータ接続が行われる。
【0022】
エネルギ節約援助システムが、必要な場合運転者がシステムを遮断できる遮断可能性を持っていると、特に好都合である。
【0023】
自動作動中に、必要な場合運転者により動作不能にできるように、システムが設計されているのがよい。エネルギ節約処置を介して光、音響又は触覚による応答を付加的に行うことができる。運転者による応答のやり方を選ぶのが特に好ましい。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、公知のやり方で車道断面が求められ、求められた車道断面に応じて、エネルギ節約処置の方式特に種類及びやり方がエネルギ節約援助システムにより独立して設定される。
【0025】
付加的なデータバス(別のデータチャネル)を介して車両のデータバスへの可動装置のデータ接続は、初めに固定した接続として実施されないのがよい。即ちデータ接続は、追加装備により一度運転者により簡単に行われるか(その場合もはや破壊なしに取外しできない)、又は任意にしばしば分離可能に構成されている。データ接続の場合接続は、容量により、誘導により又は電気的に行うことができ、例えば運転者により後で設けることができる破壊なしのCANバスの導線取出しにより誘導原理に従って行うことができる。その代わりに、無線インタフェースを介して特に簡単に、特にWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)無線インタフェースによりデータ接続が行われる。
【0026】
それ以外の実施形態は、従属請求項と図面及び表による実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】 本発明の実施例によるエネルギ節約援助システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
エネルギ節約アルゴリズム8により計算された運転者情報の出力は、可動コンピュータ2にあるディスプレイ1によって行われる。コンピュータ2により、視覚表示のほかに又はこれに加えて、音響信号も出力することができる。振動する座席及びかじ取りハンドルの形又は振動するペダルの形で触覚応答も考えられる。表示の詳細は、簡単な赤/緑表示、又は例えば現在の消費1/100kmを介してかつ最適な運転の仕方において得られるポテンシャルを介して詳述される情報であってもよい。
【0029】
図示した例による車両は、機関制御装置4、制動機/シャシ制御システム5、間隔制御システム6及びナビゲーションシステム7を含んでいる。内部CANバス3を介して、前記車両制御装置及び場合によってはデータ又は制御指令を交換する別の制御装置が接続されている。
【0030】
模範的なシステムの特徴は、可動コンピュータ2(表1の変形例″ノマディック″)が後で車両に設置可能な付加的データチャネル9を介して車両データバス3に接続されているか又は接続可能なことである。こうして車両所有者は、車両が最初にエネルギ節約システムを備えていない場合、エネルギ節約システムを後で装備することができる。図示しない変形実施例によれば、付加的なデータバスは、(例えばブルートゥース(R)のようなGHz範囲にある)WLAN無線接続によっても生じることができる。
【0031】
図示しない例によれば、ナビゲーションシステム7とエネルギ節約アルゴリズム8がWLAN可動電話又はPPAにまとめられていると、特に好都合である。
【0032】
【表1】

【0033】
表1には、本発明によるエネルギ節約援助システムの可能な変形例がもう一度まとめられている。
【0034】
表において変形例“受動”と“能動”が区別される。受動変形例は、独立して車両操作装置への介入を行わない。能動変形例は、例えば機関制御又は制動機制御へ介入することができる。両方の変形例“能動”及び“受動”は、それぞれ“固定的に設けられる”か又は“ノマディック”装置として構成可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギの節約の際又は有害物放出最適化のため運転者を援助する自動車エネルギ節約援助システムにおいて、車両に固定的に設けられる電子装置又は可動コンピュータがエネルギ節約アルゴリズムを含み、少なくとも1つのデータバスを介して通信する複数の電子車両制御装置と、別のデータチャネルを介してデータを交換し、車両制御装置が特別な運転者援助機能又は車両機能を実施し、この別のデータチャネルが電子装置又は可動コンピュータと車両制御装置との間の接続を行い、この接続が少なくとも1種類の単方向の特に無線又は誘導又は容量によるデータ伝送を可能にし、少なくとも1つの運転者表示装置がエネルギ節約アルゴリズムにより駆動され、エネルギ節約処置を求めるためのエネルギ節約アルゴリズムが、車両の現在の状態及び予測される将来の状態を決定することを特徴とする、自動車エネルギ節約援助システム。
【請求項2】
特別な運転者援助機能又は車両機能が
機関制御、
車両制御、
制動機制御(ABS,ESP)、
間隔制御(ACC)、
ナビゲーションシステム、
衛星により援助される位置決定及び
特に可動無線回路網から現在のカードデータを利用して地図学的に援助されるナビゲー ションシステム
の群から成る1つ又は複数の機能であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
エネルギ節約アルゴリズム及び/又は少なくとも1つの運転者表示装置が可動装置として構成され、可動装置が、付加的なデータバスを介してデータバスと電気的、誘道的又は容量的に接続されて、可動装置が簡単にデータバスと接続可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
システムにより次の1つ又は複数のエネルギ節約処置が行われる
制動及び/又は加速による車両の速度制御への介入、
車両操作素子の特性への介入(例えばペダル特性、かじ取り特性、制動特性の変化)、 間隔制御装置により制御される間隔及び/又は運転者のために提案された処置の触覚又 は視覚表示への介入
ことを特徴とする、先行する請求項の1つに記載のシステム。
【請求項5】
システムを制御するエネルギ節約アルゴリズムが、データバスと接続可能な可動コンピュータで実施されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載のシステム。
【請求項6】
制御機制御装置が、蓄電池へ制動出力を戻す回収手段を含んでいることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載のシステム。
【請求項7】
エネルギ節約処置が選択的に特に運転者により選択的に自立的に実施されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載のシステム。
【請求項8】
自動車がインタフェース特にエネルギ節約援助システム用の無線インタフェースを備えており、このインタフェースが車両内部のバスシステムへエネルギ節約援助システムのアクセスを可能にすることを特徴とする、自動車。
【請求項9】
インタフェースが安全装置を含み、この安全装置が無線インタフェースの許されない利用を阻止することを特徴とする、請求項8に記載の自動車。

【図1】
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【公表番号】特表2011−506158(P2011−506158A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535332(P2010−535332)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065528
【国際公開番号】WO2009/063036
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(509343699)コンチネンタル・テーヴエス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オツフエネハンデルスゲゼルシヤフト (9)
【Fターム(参考)】