説明

自動車用エアバッグの最小距離強制装置、方法並びにシステム

【課題】自動車用安全システム及び方法に関し、特に自動車乗員とエアバッグとの間の間隙を考慮に入れた自動車用エアバッグシステムを提供する。
【解決手段】自動車用エアバッグ装置は、エアバッグ8と自動車1の乗員室内に装着されたシート2を具えている。このシート2は第1軸に沿ってエアバッグ8に対して最前部位置と最後部位置との間で調節可能である。最前部位置は、エアバッグ8とシート2に座っている乗員との間の距離Aが最小安全間隙に等しい位置である。エアバッグ8はハンドル6かダッシュボードのいずれかに関して固定的に位置決めされる。自動車の制御ペダル4は、位置調節機構14によってシート2対して調節可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用安全システム及び方法に関し、特に自動車乗員とエアバッグとの間の間隙を考慮に入れた自動車用エアバッグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグを装備した自動車は乗員の安全性を高めることが統計上示されているが、特定の状況下ではエアバッグは乗員の怪我の原因となり、そして或る場合には死をもたらすとも云われている。理解されているように、特に低速事故においては死はエアバッグに帰せられ、且つエアバッグは高速事故による死の要因でもある。
【0003】
これらの惨事の或るものは、エアバッグと運転者との間の距離が安全な間隙より短くなるようにシートの位置を調節する背の低い運転者(特に、例えば約5フィート0インチ以下の身長の運転者)に関連している。約5フィート0インチより背の高い運転者も最小安全間隙以内に自らを位置決めすることがあり、この位置決めは運転者の身長に無関係に危険を招く。或るシステムにおいては、種々の大きさの運転者のためのすべての調節をシートの移動によって行っているが、背の低い運転者は背の高い運転者よりもハンドル(及びそれに装備されているエアバッグ)に近く位置決めされる場合がある。上述したように、このことは背の低い運転者(例えば約5フィート0インチ以下の身長の運転者)のみならず、ハンドルに接近して座ることを選んだ背の高い運転者も、共に安全間隙以内に位置決めさせる結果をもたらす。使用されるエアバッグによって、安全間隙は異なる場合がある。一般的に、運転者とエアバッグとの間に約10インチの間隙があれば、エアバッグシステムのマイナス効果の少なくとも幾つかを解消するのに充分であると信じられている。
【0004】
自動車のシートは、成人の脚の長さの範囲を収容するのに充分な距離、例えば約8インチを隔てた最後部位置と最前部位置の間での運転者シートの調節を可能にしている。成人の腕と胴の長さにおける差はそれほど重要ではないので、これらシステムは脚の長さの差に着目しているものと思われる。
【0005】
したがって、従来のシステムにおいてペダルを操作するのに、背の低い成人はシートを前方に、しばしば最前部位置まで移動させる必要があり、一方、背の高い成人の一部もシートを安全間隙を越えて移動させることを選んでいた。これは、運転者の胸部、頭部とエアバッグが装備されているハンドルとの間の対応する距離を短くしてしまう。こうして、シートが最前部位置にあると、運転者はハンドルから必要な最小安全間隙より短い距離しか離れていないことになる。この問題は、運転者が最小安全間隙より接近して位置した時を求め、次いでエアバッグの作動を調整或いは中止するシステムによって解決された。従来システムは、間隙が安全でない場合にエアバッグを不作動にすることに加えて、エアバッグの膨張速度を遅くし或いはエアバッグを段階的に膨張させていた。
【0006】
他の関心分野は、膨張の少ないバッグの適宜な使用と衝突後の脱出及び救護作用である。シートベルト、ドアの自動ロック及び電動窓は、激しい衝突、横転或いは自動車が浸水した場合に頼りになる。
しかし、コンピュータ化された安全性の自動化と衝突後の脱出は、それがこれらの事項に関連しているのに充分な注意が払われていなかったものと信じられている。むしろ、企業の努力は、脱出を助けるための自動車用安全アクセサリとして市販されている「窓点状破壊用ハンマー」などの手動装置に向けられていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は自動車用安全システム及び方法に関し、特に自動車乗員とエアバッグとの間の間隙を考慮に入れた自動車用エアバッグシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例及び/又は方法は、自動車の乗員室内に装備されたシートを具えた自動車安全装置に関するものであり、このシートは、シートを軸に沿って最前部位置と最後部位置との間で動かすことができるシート位置調節機構によって自動車のフレームに可動に連結されている。シートの最前部位置の前方に乗員室内にエアバッグが装備されており、このシートの最前部位置とは、シートに座った乗員とエアバッグとの間の距離が最小安全間隙に等しいシートの位置として規定されている。
【0009】
本発明の実施例及び/又は方法は、自動車に装着されたエアバッグと自動車の乗員との間の最小安全間隙を維持する方法に関するものであり、この方法は、最前部位置において、シートに座った乗員がエアバッグから所定の最小安全間隙だけ離れている時に、最前部位置を超えてシートがエアバッグの方に動くことを防止し、少なくとも一つの自動車制御用ペダルのための位置調節機構を設けて、シートに座った乗員が少なくとも一つのペダルをシートに対して遠近方向に動かすことによって、シートと少なくとも一つのペダルとの間の距離を調節するステップを具えている。
【0010】
本発明の実施例及び/又は方法は、乗員室内に設けられたシートを具えた自動車安全装置に関するものであり、このシートはシートを軸に沿って最前部位置と最後部位置との間で動かすことができるシート位置調節機構によって自動車のフレームに可動に連結されている。シートの最前部位置の前方には、乗員室内にエアバッグが装備されており、シートの最前部位置とは、シートに座った乗員とエアバッグとの間の距離が最小安全間隙に等しくなるシートの位置として規定されている。更に、自動車に装備されたエアバッグと自動車乗員との間の最小安全間隙を維持する一方法は、最前部位置にある場合にはシートに座った乗員がエアバッグから所定の最小安全間隙を隔てて離れるように、最前部位置を超えてエアバッグをシートの方に動かすことを防止し、少なくとも一つの自動車制御ペダルのための位置調節機構を設けて、シートに座った乗員が、少なくとも一つのペダルをシートに対して遠近方向に動かすことによって、シートと少なくとも一つのペダルとの間の距離を調節できるようにしている。シートとエアバッグとの間の距離と目の高さの両方を考慮に入れたシート自動位置決めシステムが、乗員を最適に位置決めして安全性と快適性を最大のものにするのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の第1実施例にかかる自動車安全システムを具えた自動車の室内の運転者側の図。
【図1B】本発明の第1実施例にかかる自動車安全システムを具えた自動車の室内の同乗者側の図。
【図2】本発明の第1実施例に使用される第1のペダル位置調節装置の部分断面側面図。
【図3】本発明の第1実施例に使用される第2のペダル位置調節装置の部分断面側面図。
【図4A】図3のペダル位置調節装置の部分断面正面図。
【図4B】モーター・ウォームギア装置を具えた図3のペダル位置調節装置の部分断面正面図。
【図5】本発明の第1実施例に使用される第3のペダル位置調節装置の部分断面側面図。
【図6】本発明の実施例及び/又は方法によるコンピュータ制御の自動車安全システムのダイアグラム。
【図7A】本発明の第1実施例に使用される第4のペダル位置調節装置の部分断面側面図。
【図7B】本発明の第1実施例に使用される別の第4のペダル位置調節装置の部分断面側面図。
【図8】図7A及び/又は図7Bに垂直な平面における図7A及び/又は図7Bのペダル位置調節機構の断面図。
【図9】図2、3、5及び6の実施例に使用されるモーター・ウォームギア装置の側面図。
【図10A】自動車シートに関する腰ベルトと肩ベルトの経路を示す図。
【図10B】自動車シートに座る人の突出量即ち厚さを求めるのに使用される腰ベルト又は肩ベルトの経路の展開図。
【図11】図12Cから図12Fまでの方法又はプログラムを使用する運転者自動位置決めの方法又はプログラム#7。
【図12A】手動制御式シートスライドスイッチ又はコントローラ装置を使用する人によって自動車シートを移動させる方法(プログラム#1)。
【図12B】手動制御式シートスライドスイッチ又はコントローラ装置を使用する人によって自動車シートを移動させる方法(プログラム#2)。
【図12C】手動制御式シートスライドスイッチ又はコントローラ装置を使用する人によって自動車シートを移動させる方法(プログラム#3)。
【図12D】手動制御式シートスライドスイッチ又はコントローラ装置を使用する人によって自動車シートを移動させる方法(プログラム#4)。
【図12E】手動制御式シートスライドスイッチ又はコントローラ装置を使用する人によって自動車シートを移動させる方法(プログラム#5)。
【図12F】手動制御式シートスライドスイッチ又はコントローラ装置を使用する人によって自動車シートを移動させる方法(プログラム#6)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1Aは、シート2上に位置する運転者はシート2の位置を、距離Xだけ離れた最後部位置と最前部位置との間の所望の位置に調節する本発明の一実施例によるシステムを示す。そして、運転者は快適にペダル4(アクセル、ブレーキ、クラッチ等)に到達することができる。本発明の実施例及び/又は例示される方法による自動車用安全装置には、すべての適宜な手動又は自動シート位置決め機構を採用することができる。例えば、シート位置調節機構は、第1位置においてシート2が前後に動くことを防止し、第2位置においてシート2を解放して、シート2がシート2に座った乗員によって前後に動けるようにしたレバー11を具えている。
【0013】
本発明の実施例による自動車用安全システムは、運転者とエアバッグ8との間の距離Aが少なくとも最小安全間隙になるように、ハンドル6又はエアバッグ8の展開点の方へのシート2の動きを制限するものである。運転者とペダル4との間の距離を更に減少させる必要があれば、その後、プットペダル4の位置の後方への調節によってそれが得られる。
【0014】
運転者は、胸の厚さと腕の長さにおける比較的小さい違いに対してはシート2の位置を少し調節することによって対処し得るとともに、ペダル4の位置の調節によって脚の長さの違いを受入れるのに必要なより大きな調節が可能となる。
【0015】
最小安全間隙に成人の胸の厚さの最小値(例えば約20.3cm(約8インチ))を加えたものに等しい距離まで、ハンドル6の中心の方に向かうシートの後方移動を制限することによって、最小安全間隙が維持される。こうして、最小安全間隙の25.4cm(10インチ)に成人の最小胸厚の20.3cm(8インチ)を加えて、シートの背もたれがハンドル15.2cm(6インチ)から45.7cm(18インチ)離れた地点を通って前進しないように、シート2の動きが防がれる。このシステムでは、脚の長さの大きな違いを受入れるためにペダル位置の調節が可能なので、シートの最前部位置と最後部位置との間の差異は、胸の厚さと腕の長さの小さな差異のためだけの約6.35cm(約2 1/2インチ)まで減らすことが可能である。そして、フットペダル4の最前部位置と最後部位置との間で15.2cm(6インチ)の調節ができるので、この自動車の運転者は、以前のシステムにおいて設けられていた量に匹敵する運転者とペダル4との間の距離の全調節量を利用することができる。運針者とハンドル6との間の距離が例示として挙げられているが、重要なのは自動車の搭乗者(運転者又は乗員)とエアバッグのカバーとの間の距離だけであり、これは図1Aの運転者用エアバッグが装備されているハンドルからの距離A及び図1Bの乗員用エアバッグが装備されているダッシュボードからの距離A’である。
【0016】
図2はシート位置の手動調節に使用される機構と同様に作動するペダル位置調節のための手動システムを示している。レバー12が解放位置まで動かされると、自動車1のフレームとペダル4との間を結ぶペダルスライド機構14が非ロック状態に解放され、この状態において、ペダルスライドハウジング18、即ちペダル4は自動車のダッシュボード16(図1)に対して所望の位置まで前方にスライドする。レバー12が解放位置からロック位置まで移動すると、ペダルスライド端18はこの所望の位置にロックされる。勿論、レバー12は、スプリングなどによってロック位置の方に付勢されて、解放されると自動的にロック位置に復帰するようにしてもよい。必要に応じて、個々のペダル4は別々のペダルスライド機構14に取付けられて、各ペダル4が最適位置に調節できるようにしてもよい。或いは、ペダル4同士を一緒に結合して前後に移動可能として、ペダル4同士の所定の相対位置決めが維持されるようにしてもよい。
【0017】
図2のペダル4は、ペダルバー22の上方延長部24を有する車軸20を中心に回転可能にスライドハウジング18に結合されている。この上方延長部24は、スライドハウジング18に形成されたチャンネル28内にスライド可能に受け入れられた第1ピン26に当接し、第1プーリー30が該第1ピン26上に枢着されている。第2プーリー32がスライドハウジング18に固定的に結合された第2ピン34上に枢着され、ケーブル36がアンカー38から延びて、第1、第2プーリー30、32を周回し、導管41を介して防火壁40を貫通して、クラッチ、ブレーキ又はアクセル等の自動車制御装置99を作動させるアクチュエータ98aまで達している。
【0018】
図2の文字Pは押圧位置にあるペダル4の位置を示し、文字Uは非押圧位置にあるペダル4の位置を示している。非押圧位置Uにある場合、ペダル4はスプリング等の公知の機構によって非押圧位置Uに付勢されているので、上方延長部24は実質的に垂直に延在し、第1ピン26と第1プーリー30はチャンネル28の前方に位置する。第1プーリー36がチャンネル28の前方に位置する非押圧位置Uにおいては、アンカー38と第1プーリー30との間に延在するケーブル36の部分は最小の長さとなり、したがってアクチュエータをペダル4の非押圧状態に対応する姿勢になるように作動させる。ペダル4が押圧位置Pまで押し下げられると、上方延長部24は(図2において時計方向に)回転して、点線で示された位置に達し、第1ピン26と第1プーリー30をチャンネル28内で後方に押し、第1プーリー30とアンカー38との間に延在するケーブル36の該部分の長さを増加させる。これによって、アクチュエータは、ペダル4の押圧位置Pに対応する姿勢まで引かれる。
【0019】
距離Bだけ離れた最前部位置と最後部位置との間を動くようにダッシュボード16の下面に固定され、又は防火壁にブラケットで取り付けられているチャンネル部材42にスライド可能に、スライドハウジング18が装着されている。チャンネル部材42に沿うスライドハウジング18の位置に無関係に、防火壁40からアンカー38までのケーブルの全長は一定に保たれ、したがって、アクチュエータ上でのケーブル36の作用は、スライドハウジング18の位置の調節よって変化することはないであろう。こうして、ペダル4の位置は、アクチュエータ或いはこれに対応する自動車制御装置の作用に影響を与えることなく、前後に調節される。
【0020】
図3は、図2に示された横方向の配置とは異なって、スライドハウジング18が垂直に延在して第1プーリー30が第2プーリー32の下に位置していることと、図3には所望の位置にペダルスライド機構14をロックする機構が示されていることを除いて、図2の機構と実質的に同じペダル位置調節機構を示している。更に、図3は、スライドハウジング14を所望の位置にロックする機構を示している。更に、図3は、スライドハウジング18、したがってペダル4をチャンネル部材42に沿った所望の位置にロックする機構の例を示している。このロック機構は、スプリング46によってスライドハウジング18の上面の方に付勢された凹凸プレート44を具えている。この凹凸プレート44は、スライドハウジング18の上面に形成された凹部50内に受け入れられる大きさを持った複数の突起48を具えている。凹凸プレート44はレバー12に連結され、レバー12が上方に引っ張られたときに、凹凸プレート44がスライドハウジング18から外れて、スライドハウジング18がチャンネル42に沿って前後方向に自由にスライドするように構成されている。そして、ペダル4を所望の位置に調節した後にレバー12が解放されると、スプリング46が凹凸プレート44を下方に動かして、スライドハウジング18の凹部50に係合させて、スライドハウジング18を所望の位置に維持する。前述のロック機構は例示に過ぎず、チャンネルを所望の位置にロックするには、公知の任意の機構を使用することができる。
【0021】
図4Aは図3の調節可能なペダル位置決め機構の一部断面正面図であり、接続部材52を介して相互に固定されたスライドハウジング18に装着された二つのペダル4が示され、調節可能なペダル位置決め機構が作動して所望のペダル位置が得られる際に、両ペダル4の位置が相互に一定に維持されるようになっている。図4Aに点線で示されている第3のペダル4によって表されているように、この機構には任意の数のペダルを共通に前後運動できるように相互結合可能である。別の例では、付加されたペダルを最初の二つのペダルとの連結から分離して、別個の位置決めができるようにしてもよい。更に、一つ以上のスライドハウジング18を対応する接続部材52とともに一体のユニットとして形成し、このユニットが全体としてチャンネル42に沿って動くようにしてもよい。
【0022】
図5は、図2の調節可能なペダル位置決め機構と基本的に同一の構造を組み込んだペダル位置決め機構の別の実施例を示し、唯一の差異はケーブル36がその一端でアンカー38に連結され、他端で取付け部材56を介して防火壁40に枢支されたレバー54に連結されていることである。このレバー54は部材58に隣接して位置し、この部材は押し下げられると、ペダル4の押し下げ角度4に対応する信号を、公知のように自動車の制御装置を作動させるアクチュエータ98aを介して自動車制御装置に送る電気スイッチとしても作動する。更に、図5の調節可能なペダル位置決め機構は、図9のモーター・ウォームギア機構61に連結され、後者の機構はギア63aとギアシャフト63bを有するウォームギア機構63とペダル4の位置を自動的に調節するサーボモーター62を具えている。図9のモーター・ウォームギア機構61は、図2、3及び6の実施例と共に使用することも可能である。特に、サーボモーター62は、運転者からの入力に基づいてペダル4を前後に所望の位置まで動かし、ペダル4を所望の位置にロックするように作動する。別の例では、サーボモーターは自動車制御システムのCPUに記憶されたメモリーに基づいて作動し、現在の運転者の好みに基づいて所定のペダル位置(又はペダルとシートの位置)を選ぶ。勿論、CPUからの指令にしたがってペダル位置が調節されるこのようなシステムの場合、メモリーに記憶された基準にしたがってシート位置とペダル位置が自動制御され、最小安全間隙が確実に維持されるようになっている。
【0023】
図5のサーボモーター62の代わりとして、自動的に作動可能な適宜な動力源を採用して、電動式シートに用いられているような任意の数の機構を採用したペダル4の位置を自動的に調節することもできる。
【0024】
図6に示されているように、図5の調節可能なペダル位置決め機構は、自動車の種々の機能、自動車の状態、外部条件(道路及び環境条件)、操作情報及び/又は地位情報をモニターし及び/又は制御するのに使用されるマイクロプロセッサー配列型装置、ASICプロセッサー配列型装置等の適宜なプロセッサー配列型装置64によって作動するコンピュータ化された自動車安全システムに組み込まれている。
【0025】
このプロセッサー配列型装置64は、クラッチ制御部66、ブレーキ制御部68、スロットル制御部70、及び速度・方向センサー72、外部距離センサー74を含む作動状態センサーを具えた複数の自動車制御装置に接続されている。更に、このプロセッサー配列型装置64は、運転者通告装置76、ドアとシートベルトの非ロック、窓の開放、モーターの遮断、911コールの設置を含む車内衝突感知装置制御部78、エアバッグ膨張制御システム80、及びチャイルドシート検出器82、シート占拠センサー84、シートベルト使用中センサー86、運転者/乗員の距離・高さセンサー88、98、シート位置センサー90並びに自動車浸水状態センサー92を含む自動車安全システムに情報を供給するセンサーに接続されている。このプロセッサー配列型装置は、エアバッグと運転者との間の最小距離を決めるのに使用される伸縮式ハンドルの位置を決めるための自動車ハンドル位置装置(即ちセンサーシステム)170にも接続されている。衝突がが起こったことは、エアバッグを作動させる加速度センサーや横転センサー等によって検出される。
【0026】
特に、(適宜な任意の装置である)衝突検出装置或いはシステム150は、プロセッサー配列型装置或いはシステム64にも通信可能に又は作動可能に接続されて種々の自動車制御装置及び/又はシステムを制御し、これらを適宜な衝突後処理や設定を行うようにセットする。特に、プロセッサー配列型装置64は、衝突検出装置150からの衝突情報に基づいて、次に述べる自動車システムを制御するように作動する。即ち、自動車エンジン制御装置或いはシステム152はエンジンを停止させ、自動車ドアロック制御装置或いはシステム154は自動車のドアのロックを解除し、自動車電動窓制御装置或いはシステム156は自動車の窓を上下させ、自動車通信装置或いはシステム158は(例えば、ダイムラーベンツ社のTele-Aid( 登録商標) システムやゼネラルモーター社のOnStar (登録商標) 等の)携帯電話通信システムを用いて援助の依頼を行う。
【0027】
図6の別のペダル位置調節機構は、前述の実施例と実質的に同じであり、異なるのは第1プーリーと第2プーリーを介してアクチュエータに連結されたケーブルの代わりに、センサー94が車軸20を中心とする各ペダル4の回転角度を検出することである。各センサー94は対応するペダル4の角度位置に対応する出力信号をプロセッサー配列型装置64に供給し、該装置は対応する制御信号を特定のペダル4に対応する自動車制御装置に供給する。
【0028】
図6のコンピューター化された自動車安全システムは、現在採用されているシート位置決めスイッチに対応する一つのスイッチ95の作用によってシートとペダルの両方の位置を調節可能であるが、最小安全間隙以内の位置に運転者がシートを調節しないように予めプログラムされている。運転者がこのスイッチ95を操作してシート2の前方への移動を要求すると、プロセッサー配列型装置64は、(運転者位置センサー又はプリセットされた最前部シート位置のいずれかによって決められているように)サーボモーターを作動させて運転者が最小安全間隙に到達するまでシート2の前進運動をさせる。次にプロセッサー配列型装置64はシート2の前進運動を停止させ、シート2を最前部位置にロックし、運転者がペダル4が所望の位置に達したことを知らせるまで、ペダル4を運転者の方に動かし始める。次にプロセッサー配列型装置64は調節可能なペダル位置決め機構に指令して、ペダル4を所望の位置にロックする。別のやり方では、図6のシステムは、シート2の現在位置に無関係にペダル4の位置を乗員が調節することができる別のペダル位置決めスイッチ97も具えている。
【0029】
電動式伸縮ハンドルの最小移動と限定された使用を考慮しても、このシステムはペダルを運転者の方に前進させる前に、プロセッサー配列型装置64とインターフェースして、必要に応じて後退させる。
【0030】
上述のように、本発明の実施例は、最小の成人の胸部の厚さに基づく所定のシート最前部位置の代わりに、電子式乗員距離センサー88を使用して、胸からエアバッグまでの距離をモニターしている。次いでプロセッサー配列型装置64は胸からエアバッグまでの距離をモニターしてシート2とペダル4の動きを制御し、最小安全間隙を維持する。最小安全間隙が得られたことを検出すると、前方へのシートの運動が中止され、運転者からのすべての運動要求はサーボモーター62に転送される。更に、シートは最小安全間隙を越えて前方に移動することを禁じられるが、運転者又は乗員がその体をシートに対して動かして最小安全間隙以内に一時的に侵入した場合には、プロセッサー配列型装置64はエアバッグ膨張制御システムを制御してそれを間隙減少モードで作動させ、運転者又は乗員が最小安全間隙を越えて復帰するまでこのシステムが所定の条件下で膨張圧力を減らし、エアバッグを作動しないようにし或いはエアバッグを限定された膨張範囲で展開させるようにする。運転者が最小安全間隙を越えて復帰した場合、このシステムは間隙減少モードでの作動を中止する。
【0031】
シート2の後方への動きの調節が求められると、プロセッサー配列型装置64はシート2の前方への動きについて採用されたのと逆の操作を指示する。即ち、サーボモーター62が作動して、ペダル4が最前部位置に到達するまで(自動車の前の方に)ペダル4を後退させる。次に、プロセッサー配列型装置64はシート2を後方に動かすことによる付加的な距離の調節を指示する。
【0032】
オプションで設けられている前方限界ボタン96は、少なくとも最小安全間隙だけエアバッグから離れている乗員の座っているシート2の任意の位置を人の最前部位置として運転者が選び、そしてペダル4を後方に動かして脚の長さに対する調節を行えるようにする。これによって、あらゆる背丈の運転者がもっと後方のペダル位置を利用して、下腿部の傷害の可能性を減らすことができる。
【0033】
現在の「シートをスライドのみ」の調節の構成では、背の低い運転者は足を伸ばしてやっとペダル4に達するので、視界にも限界がある。このことは、物理的に使用可能なシートの上昇量を限定する必要がある。
【0034】
しかし、本発明の実施例によるペダル4の位置の後方調節はこのような伸ばしを不要にし、シートの上昇を全範囲にわたって可能にして、背の高さに無関係にすべての運転者によって採用されて最適な目の高さを得ることが可能になる。
【0035】
高さセンサー98は乗員室内に設けられたプロセッサー配列型装置64に接続され、運転者の頭部の実際の高さを検出する。この高さセンサー98は市販されている距離計等のセンサーと類似の超音波センサー等の技術を採用している。人の頭部の頂点とその目との平均的な差(例えば10.2cm(4インチ))を表す標準値を用いて、高さセンサー98が最適な目の高さが得られたことを示すまで、プロセッサー配列型装置64がシート2のモーター(図示しない)に命じてシート2を上昇させると、最適な目の高さ位置が自動的に得られる。図1Aと1Bに示されるように、センサー98(ルーフ位置)から頭部の頂点の10.2cm(4インチ)下に対応する点までの距離NN1が、頭部の頂点に関するセンサー98の最適な或いは少なくとも良好な距離NN2に対応するものと信じられる。
【0036】
このように、本発明の実施例は運転者シート自動位置決めシステム(DPS)を提供し,このシステムはフロントセンサーと高さセンサーの両方を用いて、運転者を自動的に最適な視界及びエアバッグによる保護位置に位置決めする。
【0037】
上述の実施例はダッシュボード吊り下げ式フットペダルとこれのために構成されたペダル位置調節機構を示しているが、本発明の実施例及び/又は方法は、ペダルの運動とシートの運動との組合せによって運転者その他の搭乗者とエアバッグとの間の最小安全間隙が確保されるならば、フロア装着式ペダル又はその他のペダル装着装置を具えた自動車にも適用可能である。更に、前述の実施例は運転者シートの制御とエアバッグが装備されているハンドルとに関するものであったが、同じ概念は他の乗員のシートとエアバッグ装置にも適用されて、乗員とエアバッグとの間の最小安全間隙を維持する。
【0038】
図6に示されているように、プロセッサー配列型装置64は複数の自動車システムに接続されて、統合された自動車安全システムを形成している。詳しくは、エアバッグシステムとシート・ペダルを制御して最小安全間隙を維持することに加えて、図6のシステムはチャイルドシートが特定のシートに装着されているか、特別なシートベルトが使用されているか、シートの位置はどうなっているか、自動車が浸水し又は衝突していないか、事故後に自動車の点火を不能にし、自動車が浸水した場合に窓を自動降下させ、事故後にドアのロックを解除し、シートベルトを解放し、携帯電話及び/又はナビゲーションシステムを作動させて911を呼び出すシステムはどうなっているかを知るためのセンサーを具えている。
【0039】
運転者/乗員の距離を検出するセンサー88は、それが装備された場合にはエアバッグの多段階の膨張を制御し及び/又はエアバッグの膨張を制限する実際的な方法を提供する。こうして、距離センサー88が最小安全距離が侵害されていることを示した場合には、対応するエアバッグは低い膨張速度で作動させられる。最適なエアバッグの膨張作用と速度は、センサー72、74、82、84、86、88からの入力に基づいて、プロセッサー配列型装置64によって連続的に計算される。
【0040】
例えば、最小安全間隙が侵害され、又は低速度衝撃が検出された場合、外部距離センサー74と自動車速度に基づいて、関連するエアバッグの低膨張設定が開始される。こうして、このシステムは、シートに人が座っているか及び/又はシートベルトがちゃんと使用されているかを検出するシステムと連携して更に良好に作動し、多因子安全膨張評価の連続的基礎を提供する。
【0041】
現在のフットペダルの設計は自動車メーカーによってかなり異なり、ガソリン、ブレーキ、クラッチの制御にケーブル或いはロッドを使用している。実施例においては、すべてのフットペダルがダッシュボードの下に位置する一つのスライドするプラットフォームの上に装着され、防火壁及び/又はダッシュボードに支えられ、前述のように手動或いは電動式に制御される。
【0042】
電動制御の場合、図6の自動車安全システムはセンサー98と88を採用し、重さや高さに無関係に自動的に最適な運転者の位置決めを行う。
【0043】
この特注の運転者位置決めシステムは、次の三ステップのシート/ペダル位置制御によって、プロセッサー配列型装置64によって動かされる。(1)シート2は先ず最下部の最後部位置まで戻され、(2)このステップ1が終わった後、シート2は最適な目の位置、即ち高さセンサー98によって示される距離がメモリーに記憶されている点まで上昇させられ、(3)ステップ1とステップ2が終わった後、シート2は、予め選ばれた最前部位置まで前進することによって、距離センサー88によって示された距離がメモリーに記憶された所定の最小安全距離に等しくなる位置である最小安全位置まで前進させられる。
【0044】
これらのステップは任意の順序を行われてもよい。しかし、最初に目の高さを調節することによって、乗員の外形の違い(即ち、乗員の或る部分は他の人よりも前方に突き出しているかも知れない)から生じる乗員とエアバッグとの間の距離を検出する際の不正確さが無くなるか、少なくとも減るはずである。こうして、最初に水平位置決めが行わると、垂直位置における後の変化が乗員の検出された部分とエアバッグとの間の限界距離を変えるかも知れない。
【0045】
次に、運転者はシート位置作動装置を更に作動させることによって、ペダル4を最も快適な位置に調節する。
【0046】
図7Aと図7Bは、図2と図3のケーブル・プーリー装置を使用しない別の調節可能なペダル位置決め機構を示す。詳しくは、図7Aと図7Bの調節可能なペダル位置決め機構は、ローラー104の上に装着されてハウジング106内に設けられたギア付きスライド100、102を具えている。このギア付きスライド100、102は、円形ギア110を有するガイド108によってハウジング106内の位置に維持されている。この円形ギア110は開口107を介してハウジング106内に延在するペダルロッド22に回転しないように連結され、その結果、ハウジング106の対向する壁に形成されたスロット或いはチャンネル28a内に乗り入れているピン112によってペダル4に連結されている。円形ギア110はギア付きスライド100、102の間の係合位置に保持され、円形ギア110の歯は、ハウジング106の外に突出したノブ116に当接するスプリング114の付勢力によってスライド100、102の歯と係合している。このノブ116はピン112に取付けられ、ノブ116がスプリング114の付勢力に抗してハウジング106の方に押されると、円形ギア110は非係合位置まで動いて、円形ギアの歯とスライド100、102の歯との係合が解除される。
【0047】
こうして、ノブ116を押し下げることによって、円形ギア110とペダル4はハウジング106の長さに沿って任意の位置にスライド可能である。ノブ116を緩めると、円形ギア110の歯はスライド100、102の歯と再び係合し、ペダル4は新たな位置にロックされる。ペダル4が押し下げられると、ペダルロッド22は円形ギア110を回転させ(図7Aと図7Bにおいて時計方向に)、ストッパー121と123のいずれが外されたかに応じて、スライド100を前方(図7Bにおいて左方向)にスライドさせ、或いはスライド102を後方(図7Bにおいて右方向)にスライドさせる。特に、適宜なこれらの図に示されているように、ストッパー123は図7Aのケーブル牽引装置のために取り外され、ストッパー121は図7Bのプッシュロッド装置のために取り外される。ペダル4によってスライド100、102に加えられる力は、図7Bに示されるように、スライド100によってプッシュロッドコネクター118に加えられ、或いは図7Aに示されるように、スライド102によって牽引ケーブル120に加えられ、次いでこの力は対応する自動車制御装置用のアクチュエーターに伝達される。
【0048】
こうして取り外し可能なストッパー121と123は、それぞれコーナー122、124においてケーブルを牽引したりロッドを押したりするのに用いられる。例えば、ストッパー121を取り外すと、すべてのペダルの動きはロッドコネクター118を用いるスライド100の前進運動となり、ストッパー123を取り外すと、すべてのペダルの動きはケーブルコネクター120を用いるスライド102の後進運動となる。
【0049】
前述の実施例では、図7A、7B及び8の調節可能なペダル位置決め機構に関して、手動による調節が述べられているが、電動制御も同様の作用を提供し、同様な構造で行われる。更に、本発明の実施例は、ペダルの運動を用いて自動車制御装置(例えば油圧システム等)を作動させる別の機構と両立可能である。
【0050】
別個のモーターがフットペダルの追跡のために使用されるが、これは速度計と共通のケーブルシャフト駆動等におけるシート駆動装置に直結されて行われてもよい。オーバーヘッド式の懸垂ペダルが示されているが、フロア装着式ペダルが同じ制御を意図している。
【0051】
エアバッグで保護される他の乗員のために同様なシート・距離センサーが示唆され、安全なエアバッグ距離を維持する。これらの距離センサーは、最小安全距離が侵略された場合にシートの前進運動を中止して、可聴及び/又は可視の警告を発するように設定可能である。
【0052】
更に、ブレーキとアクセルの制御が、外部距離センサー74と速度・方向センサー72と連携してモニターされて行われる。例えば、速度・方向センサー74とそれに関連する外部距離センサー72が突然の衝撃を検出すると、更なる制動力がブレーキ制御部68によって加えられる。
【0053】
プロセッサー配列型装置64によって検出されたすべての安全に対する脅威は、自動的及び/又は可視的警報システムによって運転者に伝えられる。
【0054】
(図12Aのプログラム#1と図12Bのプログラム#2に示されているように)、自動車のシート位置決め制御装置の手動式制御作用の代わりに、プロセッサー配列型装置64が作動して運転者を自動的に位置決めする方法とプログラムが行われる。特に、図11は、方法又はプログラム300、即ちプログラム#7「運転者自動位置決めプロセッサー(CPU)のロジック」を示している。
【0055】
ステップ310において、プログラムが開始される。次にステップ330において、プロセッサー配列型装置64が副次的方法又は副次的プログラム、即ち図12Dのプログラム#4の操作を開始し、自動車のシートはその後方限界位置まで後方に移動する。次に、ステップ350において、プロセッサー配列型装置64は副次的方法又は副次的プログラム、即ち図12Fのプログラム#6の操作を開始し、シートはその最下限位置まで降下する。次にステップ370において、プロセッサー配列型装置64は副次的方法又は副次的プログラム、即ち図12Eのプログラム#5の操作を開始し、自動車のシートの上昇は、自動車内部の天井と搭乗者の頭部との間の距離が、既知の垂直距離NN1(自動車の内部の天井から前面窓ガラスの中心線までの垂直距離)より約10.2cm(約4インチ)の小さい頭部の高さ距離NN2より小さいか、等しいか、大きいかに応じて限定される。プログラム#5を開始することによって、プロセッサー配列型装置64が用いられて自動車のシートを上昇させ、最適な或いは少なくとも改善された目の高さが得られるようにする。次に、ステップ390において、プロセッサー配列型装置64は副次的方法又は副次的プログラム、即ち図12Cのプログラム#3の操作を開始し、自動車シートの前進運動は、感知され或いは求められたエアバッグと搭乗者との間の距離が約25.4cm(約10インチ)の最小距離より小さいか、等しいか、又は大きいかに応じて、限定される。最後にプロセッサー配列型装置64はステップ395を行い、そこでプログラムの操作が終了又は停止する。
【0056】
運転者の自動的位置決めが行われず、人がブロック410において自動車の前進運動を制御する場合(そうでなければ、プログラムがブロック420で停止する)には、プロセッサー配列型装置64は図12Aのプログラム#1(400)を行う。この場合、ブロック430と440において(距離センサー88、シートベルト位置センサー190及び/又はシート位置センサー90からの入力に基づいて)感知され或いは求められた距離が或る最小距離又は設定(約25.4cm(約10インチ))より大きい場合には、プロセッサー配列型装置64が作動して、ブロック445においてシート前進・前方位置決め用モーターを作動可能にする。これは、例えば、ブロック445においてシート前進・前方位置決め用モーターへの電力の供給を可能にすることによって行われる。ブロック450において、感知され或いは求められた距離が最小距離又は設定(約25.4cm(約10インチ))に等しいか又はほぼ同じならば、プロセッサー配列型装置64が作動して、ブロック455においてペダル前進・前方位置決め用モーター62の作用を可能にする。これは、例えば、ブロック455においてペダル前進・前方位置決め用モーター62への電力の供給を可能にすることによって行われる。ブロック460において、感知され或いは求められた距離が或る最小距離又は設定(約25.4cm(約10インチ))より少ない場合には、プロセッサー配列型装置64が作動して、ブロック465においてシート後退・後方位置決め用モーターの作用を可能にする。これは、例えばブロック465においてペダル後退・後方位置決め用モーター62への電力の供給を可能にすることによって行われる。
【0057】
運転者自動位置決めを使わずに、ブロック510において人が自動車シートの後進運動を制御する場合(そうでなければブロック520においてプログラムが停止させられた場合)には、プロセッサー配列型装置64は図12Bのプログラム#2(500)を実行する。この場合には、ブロック550と540において、(距離センサー88、シートベルト位置センサー190及び/又はシート位置センサー90からの入力に基づいて)感知或いは求められた距離が或る最小距離或いは設定(約25.4cm(約10インチ))より大きければ、プロセッサー配列型装置64はブロック546においてペダル後退用モーター62をその限度まで作動可能にするように働き、(ブロック565において、このシステムがペダルがその限界にあると決めた場合には)その後に、シート後退・後方位置決め用モーターがその限度まで作動させられる。例えば、これはブロック546においてペダル後退用モーター62に電力を供給可能にし、その後にブロック565においてシート後退・後方位置決め用モーターに電力を供給可能にすることによって行われる。ブロック550において、感知され又は求められた距離が最小距離或いは設定(約25.4cm(約10インチ))と等しいか或いはほぼ同じである場合には、ペダルの後退がブロック545においてその限界であると、プロセッサー配列型装置64はブロック565において、シート後退・後方位置決め用モーターの作動を可能にするように働く。これは、例えばブロック565においてシート後退・後方位置決め用モーターに電力を供給可能にし、或いはブロック545においてペダルの後退がその限界に達していない場合には、ブロック546においてペダル後退用モーターに電力を供給可能にすることによって行われる。感知され或いは求められた距離が或る最小距離或いは設定(約25.4cm(約10インチ))より小さい場合には、ブロック565においてプロセッサー配列型装置64はシート後退・後方位置決め用モーターの作用を可能にするように働く。これは、例えばブロック565においてシート後退・後方位置決め用モーターへの電力の供給を可能にして行われる。
【0058】
前述のように、ステップ330において、プロセッサー配列型装置64は副次的方法又は副次的プロログラム、即ち図12Dのプログラム#4(700)を開始させて、運転者自動位置決めが行われ且つブロック710において自動車の後方運動が制御されない場合には、プロセッサー配列型装置64は図12Dのプログラム#4を実行する。この場合、プロセッサー配列型装置64は、ブロック720と730においてペダル後退用モーター62をその限度まで作動させるように働き、その後、シート後退・後方位置決め用モーターは、ブロック740と750においてその限界まで作動させられる。例えば、これは、ブロック730においてペダル後退用モーター62への電力の供給を可能にし、その後にブロック750においてシート後退・後方位置決め用モーターへの電力の供給を可能にすることによって行われる。
【0059】
前述したように、ステップ350においてプロセッサー配列型装置64は副次的方法或いは副次的ステップ、即ち図12Fのプログラム#6(900)の操作を開始し、自動車シートをその最下位置まで降下させる。ブロック910において、プロセッサー配列型装置(或いはCPUロジック)が自動シーケンスによって起動される。ブロック920において、このシステムは、自動車シートがその最下部限界に達しているかどうかを判断する。シートがその最下部限界に達していれば、プログラムはブロック940に老いて停止する。達していなければ、ブロック940において自動シート上昇用モーターが作動して、自動車シートを降下させる。
【0060】
前述したように、ブロック370においてプロセッサー配列型装置64は副次的方法或いは副次的プログラム、即ち図12Eのプログラム#5(800)の操作を開始し、感知され或いは求められた自動車内天井と搭乗者の頭部との間の距離が頭部高さ距離NN2より小さいか、等しいか、又は大きいかに応じて、自動車シートの上昇運動を制限する。ここで、NN2は既知の垂直距離NN1(自動車内天井から前面都窓ガラスの中心線までの垂直距離)よりも約10.2cm(約4インチ)少ない。プログラム#5を開始することによって、ブロック810においてプロセッサー配列型装置64は自動車シートを上昇させて、最適或いは少なくとも改善された高さを提供するのに使用される。特に、ブロック820において感知された高さ距離が、ブロック830において頭部高さ距離NN2よも大きいと判断された場合には、プロセッサー配列型装置64が作動して、ブロック850において自動車シート位置決め装置によって自動車シートの高さを上昇或いは増加させる。ブロック840において、この距離が頭部高さ距離NN2に等しいか、これとほぼ同じ場合には、ブロック845においてプロセッサー配列型装置64が作動して、自動車シート位置決め装置を停止させその位置を保持する。ブロック846においてこの距離が頭部高さ距離NN2より小さいと判断された場合には、ブロック848においてシート高さがその限界まで低下していなければ、プロセッサー配列型装置64が作動して、ブロック848において自動車シート位置決め装置によって自動車シートの高さを低下又は減少させる。このロジック或いは図12Eの方法は、図11の方法又はプログラムによって起動されるが、人によって起動することもできる。
【0061】
前述のように、ステップ390において、プロセッサー配列型装置64は副次的方法又は副次的ステップ、即ち図12Cのプログラム#3(600)を開始し、運転者の自動位置決めが行われ且つ人が自動車シートの前進運動を制御しない場合には、プロセッサー配列型装置64はブロック610で始まる図12Cのプログラム#3(600)を行う。この場合、ブロック630と640において(距離センサー88、シートベルト位置センサー190及び/又はシート位置センサー90からの情報に基づいて)感知され或いは求められた距離が或る最小距離又は設定(約25.4cm(約10インチ))より大きければ、ブロック645においてプロセッサー配列型装置64が働いて、シート前進・位置決め用モーターを作動可能にする。例えば、これはブロック645においてシート前進・前方位置決め用モーターに対して電力を供給可能にすることによって行われる。ブロック650において、感知され或いは求められた距離が最小距離又は設定に等しいかほぼ同じならば、プロセッサー配列型装置64が作動して、ブロック620においてシート前進・前方位置決め用モーターの作業を不能にし、自動車シートの前進を停止させる。これは、例えば、ブロック645においてシート前進・前方位置決め用モーターへの電力供給を可能にすることによって行われる。ブロック650において、感知され又は求められた距離が最小距離又は設定(約10インチ)に等しいか或いはほとんど同じならば、ブロック620においてプロセッサー配列型装置64が作動してシート前進・前方位置決め用モーターを作動不能にし、自動車シートの前進を停止させる。これは、例えば、ブロック620において、シート前進・前方位置決め用モーターへの電力の供給を不能にすることによって行われる。ブロック660において、感知され又は求められた距離が或る最小距離又は設定(約25.4cm(約10インチ))より小さい場合には、(ブロック665において自動車シートがその限度まで後退していなければ)ブロック667においてプロセッサー配列型装置64が働いて、シート後退・後方位置決め用モーターを作動可能にする。これは、例えば、ブロック667においてシート後退・後方位置決め用モーターに電力を供給可能にすることによって行われる。
【0062】
前述の電子式距離センサーに代わりとして、ここに述べられるシートベルト引出しシステムもエアバッグと運転者との距離を求めて維持するのに使用される。
【0063】
前述のように、エアバッグとシートに座った人との間の最小距離は約25.4cm(10インチ)であり、その人の体はシートに対して約20.3cm(約8インチ)突出している。これは、エアバッグとシートの背もたれとの間の距離が少なくとも約45.7cm(約18インチ)なければならないことを意味している。体型は変動しているので、人の実効突出も変化する。したがって、この突出は例えば約17.8cm(7インチ)、20.3cm(8インチ)、25.4cm(10インチ)或いはそれ以上となるかもしれない。プロセッサー配列型装置64が用いられて、人の特定突出を評価し、エアバッグとシートの背もたれとの間の変動する実効最小距離を考慮し、エアバッグと人との間に約25.4cm(約10インチ)の実効或いは実質最小距離を維持する。プロセッサー配列型装置64はこの情報を利用して、図6と図10Aに示されるような水平・垂直シート位置制御システム180及び/又は(図6に示されるような)運転者/乗員距離センサー88を使って、シートの動きを制御する。
【0064】
特に、シートベルト位置装置センサーシステム190が使用されて、特定の人のためのシートベルト使用情報をプロセッサー配列型装置64に提供する。次に、プロセッサー配列型装置64はこの情報を用いて、所定の或いは固定された突出の評価ではなく、シートの背もたれに対する実効突出或いは厚さを求める。シート位置センサー90からの情報及び評価された突出(或いはシステムに欠陥がある場合には所定の突出)及び(伸縮式及び/又は傾斜式ハンドルがある場合には)自動車ハンドル位置検出装置又はシステム170を用いて、プロセッサー配列型装置64がシート位置制御システム180と(ペダルを運転者の方に進行させる前に)伸縮式及び/又は傾斜式ハンドル88を計御する。
【0065】
シートベルト位置センサーシステム190からの情報に基づくシートベルト引き出し長さを用いて、プロセッサー配列型装置64は突出の評価を行い、自動車搭乗者の安全距離位置決めを評価する。上述のように、人の胸部或いは体の突出は、約20.3cm(約8インチ)〜27.9cm(11インチ)或いはそれ以上のオーダーで変化する。以下に、シートベルトの引き出し長さに基づいてプロセッサー配列型装置が突出(したがって(伸縮式及び/又は傾斜式ハンドルのためのシートのスライド位置及び/又はハンドル位置を使用するための)最小距離シート位置)を直接的に評価するための突出表を作り又は「突出方程式」を使用する方法を説明する。
【0066】
次に述べる一つの弦の切片の積が第2の弦の切片の積に等しい交差する弦の関係を用いて、プロセッサー配列型装置64はシートベルト引出し情報と二つのシートベルト係止点(或いはその他の適宜な基準点)間の距離に関する所定の情報とに基づいて必要な搭乗者の最小シート位置及び/又はハンドル位置を求める。図10Aは、自動車シートに関して腰ベルトと肩ベルトの経路を示している。次に述べる例は、図10Aに示されるように、シートベルト係止点XYとYZの間の平均の弦の長さが63.5cm(25インチ)となる自動車シート構造を仮定している。この弦の長さは、特定の自動車の特定のシート構造に応じて変化する。
【0067】
自動車のシート構造の一例においては、距離は次のように設計されている。XY=78.7cm(31インチ)、YZ=48.3cm(19インチ)、したがって、弦の全長は127cm(50インチ)となり、弦の平均長は63.5cm(25インチ)となる。図10Bは、自動車に座った人の突出量即ち厚さを求めるのに使用される腰又は肩のベルトの経路の展開図を示す。特に、図10Aに示されているように、引き出されたシートベルトは二つの円弧XYとYZを形成し、これらはシートの背もたれの弦のラインXYとYZから高さhの位置にある。この計算は運転者用エアバッグ又は乗員用エアバッグの位置に対する搭乗者の胸の実際の突出のみに関するものであるから、柔らかいシートへの搭乗者の沈み込みはこの計算には実質的な影響はない。
【0068】
円内で弦同志が交差すると、第1の弦の切片の積は第2の弦の切片の積に等しくなる。したがって、図1Bにおいて、c/2*c/2=h*x及びc2 /4=h*xとなる。前述のように平均の弦の長さcが63.5cm(25インチ)であれば、胸の突出が17.8cm(7インチ)の場合の解答は、625/4=7xであり、したがって156.25=7x、そしてx=22.32(xの値)となる。また、直径d=x+7=29.32(h+xの値)となり、したがって半径r=1/2直径=14.66(Rの値)であり、円周=29.32*3.1416=92.11(円周の値)となる。角度A/2=1/2c/r=12.5/14.66=0.8526603=58.50°であるから、角度A=58.50*2=117°(Aの値)となる。円弧の長さがその対角に正比例している場合には、円弧の長さ(即ちシートベルトの長さ)は次のように求められる。360/92.11=117/L、したがってL=29.94(Lの値)となる。それぞれ75.9cm(29.94インチ)の長さの二つの円弧が含まれているから、この実施例の63.5cm(25インチ)の平均長の二つの弦を超えて使用されるシートベルトの長さは次のようになる。2(L−c)=2(29.94−25)=25.1cm(9.88インチ)(引出し長さの値)。これは、ベルト付きの空のシートと比べて、引き出された付加的なベルトの長さを表し、任意の特定の自動車用に利用可能な距離の情報である。
【0069】
以下に(厚さ即ち突出部の値hが約7〜12インチ(ここで特定の自動車シート機構のための平均弦長が25インチである))表Aを示す。
【表1】

【0070】
計算は、円弧XYとYZの任意の平均弦cに対して表され、ここで、cをシートベルトの平均弦長、hを所定のシートの背もたれからの搭乗者(胸)の突出厚さ、Lを平均円弧長とすると、c2 /4/h=dであり、d/2=r、3.1416*d=円周、1/2/c/r=sin・角度a、360/3.1416*d=角度a°/Lであり、ここでLは引き出されたシートベルト長ESBLを求めるのに使用され、ESBL=2(L−c)=弦XY及びYZ(即ち、人が座っていないシートに必要なシートベルト長)を超えて引き出されたベルト長である。
【0071】
このように、シートの背もたれの所定のラインからの搭乗者の突出が引き出されたシートベルト長ESBLに基づいて求められる。したがって、プロセッサー配列型装置64を用いて実効最大前方シート位置/スライド(及び/又は伸縮式及び/又は傾斜式ハンドルの位置)が求められ、前述のように25.4cm(10インチ)の安全距離間隙が維持される。例えば、引き出されるシートベルト長ESBLが(表Aにおいて22.9cm(9インチ)の突出を示している)34.3cm(13.50インチ)と決められると、自動車シート(及び/又は運転者のためのハンドル)の有効位置は、シートの背もたれの所定のラインから約48.3cm(約19インチ)の最小距離(即ち48.3cm(19インチ)は22.9cm(9インチ)の突出とエアバッグから搭乗者までの距離25.4cm(10インチ)を加えたものである)に維持されるように設定される必要がある。メーカーは、異なるシートスライド位置と人が座っていない場合のシートベルト長とにおける、所定の安全ベルト係止距離(又はその他の適宜な基準点)のために調節されたこのような表を作っている。
【0072】
図10Bに示されているように、各自動車のデザインに基づいて、公知のハンドル位置とシートの背もたれの位置に関して、シートベルトの引出しと搭乗者の位置との間に数学的関係が存在する。これと、人間の胸の厚さの変動が比較的小さいことから、たとえ自動車がシートベルト引出し装置からシートのスライドの前方限界まで手動式シートスライドを有していても、異なる自動車にギア式ケーブル接続装置が組み込まれることもある。
【0073】
シートベルトを固定すると、シートのスライド限界がシートの更なる前進を妨げるが、その場合には、図1Aに示されているように、運転者がレバー12を用いて手動でペダルスライドを快適運転位置まで後退させる。シートが許容限界より接近した場合には、簡単な可視表示器を使用して、運転者にシートを後退させて安全間隙を保つ必要があることを告げる。これはコンピューター式制御器、電動シート又は距離センサーを必要としないので、図2Aに示されているように、ベルト引出し装置からシートスライド限界までの比較的安価なケーブル接続によって、すべての自動車に組み込むことができる。
【0074】
先行出願の全ての開示内容は、必要に応じてここに組み込まれている。
【0075】
エアバッグからの最小間隙等の距離の例が本明細書中で述べられたが、これらの距離はケースバイケースで変わり得る。更に、上述の実施例は単なる例示に過ぎず、これらの実施例及び/又は方法の変形例や修正例が存在する。これらの変形例や修正例は本発明の特許請求の範囲内のものであると考えられる。
【符号の説明】
【0076】
2 シート
4 フットペタル
6 ハンドル
8 エアバッグ
11 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エアバッグと、第1シートとを具備する自動車安全装置において:
該第1エアバッグは自動車の乗員室内に装着されていて;
該第1シートは該乗員室内に装着されており、該第1シートは第1シート位置調節機構によって自動車のフレームに動き得るように連結され、該第1シート位置決め機構は、第1軸に沿って第1エアバッグに対して第1シートを最前部位置と最後部位置との間で移動させることができ、
該最前部位置は該第1シートの位置として規定され、第1シートに座った乗員と第1エアバッグとの間の距離が最小安全間隙に等しくて、該最前部位置からの該第1シートの変位が第1シートと第1エアバッグとの間の距離を増大させており;
該第1エアバッグは、運転者用のハンドルアセンブリと、運転者以外の乗員用のダッシュボード装置とのいずれか一方に対して固定的に位置決めされる;自動車安全装置。
【請求項2】
該第1シートが運転者のシートであり、該自動車が、乗客室において該第1シートの前方に位置決めされた少なくとも一つの自動車制御用ペダルを具え、該自動車安全装置が、更に該少なくとも一つのペダルを該第1シートに対して前後に移動させるためのペダル位置調節機構を具えている、請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項3】
該ペダル位置調節機構が、少なくとも一つのペダルが回転可能に装着されるペダル取付け部を具え、該ペダル取付け部は該乗員室内にスライド可能に取付けられていて、従って該少なくとも一つのペダルが該第1軸に実質的に平行なペダル調節軸に沿って、最前部位置と最後部位置との間でスライドするようになっている、請求項2に記載の自動車安全装置。
【請求項4】
該最前部位置において、該第1シートの背もたれが、該最小安全間隙に成人の胸の厚さを加えた値に等しい距離だけ該第1エアバッグから離れている、請求項2に記載の自動車安全装置。
【請求項5】
該自動車安全装置が、該第1シートに座った乗員と該第1エアバッグとの間の距離に基づいて該最前部位置を規定するための位置規定装置と共に使用され、該自動車安全装置は、更に該距離を求めてこれを該位置規定装置に提供するための距離センサーを具えている、請求項2に記載の自動車安全装置。
【請求項6】
第2シートと第2エアバッグとを更に具備していて:
該第2シートは該乗員室内に装着され、該第2シートは第2シート位置調節機構によって自動車のフレームに動き得るように連結され、該第2シート位置調節機構は該第2シートが該第1軸に平行な第2軸にそって最前部位置と最後部位置との間を動くことを可能にしており;
該第2エアバッグは、該乗員室の内部において、該第2シートの該最前部位置の前方に装着されていて;
該第2シートの該最前部位置は該第2シートの位置として規定され、該第2シートに座った乗員と該第2シートとの間の距離は最小安全間隙に等しい;請求項2に記載の自動車安全装置。
【請求項7】
該第1シートが運転者のシートであり、該第1エアバッグが自動車のハンドルに装着されており、自動車は、ペダル取付け部に可動に接続された少なくとも一つの自動車制御ペダルを具えていて、該ペダル取付部は該自動車に可動に取りつけられており、従って該少なくとも一つの自動車制御ペダルは、該第1シートに対して遠近方向に動くようになっている、請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項8】
ケーブルを更に備えていて;
該ケーブルは、自動車制御装置のアクチュエーターに接続された第1端から延びて、第1及び第2プーリーアセンブリを周回して第2端まで達していて、該ケーブルの該第2端は係止部材に接続され、該第1プーリーアセンブリは該ペダル取付け部に回転可能にかつ可動に連結された第1プーリーを具え、該第2プーリーアセンブリは該ペダル取付け部に回転可能にかつ可動不能に連結された第2プーリーを具えている、請求項7に記載の自動車安全装置。
【請求項9】
第1シートと、第1エアバッグと、ペダル取付部と、少なくとも一つの自動車制御ペダルと、ケーブルと、当接部材とを具備する自動車安全装置において:
該第1シートは乗員室内に装着されていて、該第1シートは第1シート位置調節機構によって自動車のフレームに動き得るように連結され、該第1シート位置決め機構は、第1軸に沿って第1エアバッグに対して第1シートを最前部位置と最後部位置との間で移動させることができ;
該第1エアバッグは、該乗員室内において、該第1シートの最前部位置の前方に設けられていて、該最前部位置は、該第1シートの位置として規定され、該第1シートに座った乗員と該第1エアバッグとの間の距離が最小安全間隙に等しくなっており;
該少なくとも一つの自動車制御ペダルは、該ペダル取付け部に可動に連結され、該ペダル取付け部は、該少なくとも一つの自動車制御ペダルが該第1シートに対して遠近方向に動くように、自動車に可動に取付けられていて;
該ケーブルは、自動車制御装置のアクチュエーターに接続された第1端から延びて、第1及び第2プーリーアセンブリを周回して第2端まで達っしていて、該ケーブルの該第2端は係止部材に接続され、該第1プーリーアセンブリは該ペダル取付け部に回転可能にかつ可動に連結された第1プーリーを具え、該第2プーリーアセンブリは該ペダル取付け部に回転可能にかつ可動不能に連結された第2プーリーを具えており;
該当接部材は、該少なくとも一つのペダルに連結され、該第1プーリーアセンブリに当接しているので、該ペダルが作動する際に該第1プーリーが該ペダル取付け部に対して移動して、対応する力を該ケーブルに付与し、該自動車制御装置の該アクチュエーターを作動させていて;
該第1シートは運転者のシートであり、該第1エアバッグは自動車のハンドルに装着されている;自動車安全装置。
【請求項10】
該第1シート位置調節機構が、第1モーターと、該第1モーターに接続されたシート位置スイッチとを具えていて、従って該シート位置スイッチが作動すると該第1シートが対応する運動を起こすようになっている、請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項11】
更に、該第1モーターと該シートスイッチとの間に接続されたコンピューター、及び
該第1シートに座った乗員と該第1エアバッグとの間の距離を検出する該コンピュータに接続された距離センサーを具備していて;
該コンピュータは該第1シートの最前部位置の場所を求めているので、該第1シートが最前部位置に或る場合に、該第1シートに座っている乗員と該第1エアバッグとの間の距離が該最小安全間隙に等しくなるようになっていて、そして、該コンピュータは、該第1シートが最前部位置に達すると、該第1モーターの作用を停止させる;請求項10に記載の自動車安全装置。
【請求項12】
更に、少なくとも一つの自動車制御ペダルが装着されているペダル取付け部と、該ペダル取付け部に連結された第2モーターとを具えていて;該第1シートが最前部位置にある場合に、該シート位置スイッチが作動して該第1シートを前進させようとすると、該コンピュータが該第2モーターを作動させて、該ペダル取付け部を該第1シートの方に移動させる;請求項11に記載の自動車安全装置。
【請求項13】
更に、ペダルスイッチを具え、該ペダルスイッチの作用が該ペダル取付け部の対応する動きを起こさせる、請求項11に記載の自動車安全装置。
【請求項14】
更に、好ましい第1シート位置とペダル取付け部位置が記憶されているメモリーを具えている、請求項12に記載の自動車安全装置。
【請求項15】
更に、該第1シートに連結されてこれを垂直に移動させる第3モーターを具えている、請求項11に記載の自動車安全装置。
【請求項16】
更に、該第1シートの乗員の目の高さを感知する高さセンサーを具え、該高さセンサーは該コンピュータと連結され、該コンピュータは、最適な目の高さが得られるまで該第3モーターを制御して該第1シートを垂直に動かす、請求項15に記載の自動車安全装置。
【請求項17】
該シート位置調節機構はレバーを具え、該レバーが第1位置にある場合には該第1シートが前後に動くことを防止し、第2位置にある場合には該第1シートを解放して該第1シートが該第1シートに座っている乗員によって前後に移動できるようになっている、請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項18】
該距離センサーが、該第1シートに座っている乗員が該最小安全間隙内に侵入したことを示すと、該コンピュータが該第1エアバッグの作用を制御して、縮小間隙モードにする、請求項11に記載の自動車安全装置。
【請求項19】
該縮小間隙モードの場合、該コンピュータは該第1エアバッグの展開を禁止する、請求項18に記載の自動車安全装置。
【請求項20】
該縮小間隙モードの場合、該コンピュータは該第1エアバッグの膨張圧力を減らす、請求項18に記載の自動車安全装置。
【請求項21】
該縮小間隙モードの場合、該コンピュータは該エアバッグの段階的膨張を指令する、請求項18に記載の自動車安全装置。
【請求項22】
更に、少なくとも一つのペダルと共に使用するペダル取付け部を具えていて:
該ペダル取付け部は、
第1ギア付き部材及び第2ギア付き部材と、ギア付きホイールと、プッシュロッド或いは牽引ケーブルのいずれか一方とを含んでおり;
該第1ギア付き部材と第2ギア付き部材との一方は可動ギア付き部材であり;
該ギア付きホイールは、該少なくとも一方のギア付き部材に回転不能に連結され、該第1ギア付き部材と第2ギア付き部材の間に受け入れられていて、従って該ギア付きホイールの回転が該可動ギア付き部材に対応する動きを与えるようになっていて;
該プッシュロッド或いは牽引ケーブルのいずれか一方が、該可動ギア付き部材と自動車制御装置のアクチュエーターとの間に連結され、該少なくとも一つのペダルと共に使用されている;請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項23】
複数のペダルが該ペダル位置調節機構に連結され、従って、該ペダルの位置が調節されると、ペダル相互間の所定の位置決めが維持される、請求項2に記載の自動車安全装置。
【請求項24】
更に、該第1シートに連結されて、該第1シートを垂直に動かすモーターを具えている、請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項25】
更に、該第1シートの乗員の目の高さを感知する高さセンサーと;
該モーターを制御して、最適な目の高さが得られるまで該第1シートを垂直に動かすシート位置コントローラーとを具えている;請求項24に記載の自動車安全装置。
【請求項26】
更に、乗員の目の高さに対応する該第1シートに座っている乗員の一部の位置を検出する高さセンサーを具えている、請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項27】
更に、該高さセンサーからのデータに基づいて作動し、該第1シートの高さを調節して、該第1シートに座っている乗員の最適な目の高さを得る垂直運動用モーターを具えている、請求項26に記載の自動車安全装置。
【請求項28】
更に、該第1シートに座っている乗員と該第1エアバッグとの間の距離に対応する該乗員の位置を感知する距離センサーを具えている、請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項29】
更に、該距離センサーからのデータに基づいて作動して、該距離センサーが該第1シートが最前部位置にあることを示すまで、該第1軸に沿って該第1シートを動かす水平運動用モーターを具えている、請求項28に記載の自動車安全装置。
【請求項30】
更に、乗員に人の最前部位置を選ばせることのできるオーバーライドスイッチを具えていて、従って該第1シートが人の最前部位置にある場合に、該第1シートの更なる前方への動きを要求する該シート位置スイッチの動作が、該ペダルの後方への動きを開始する、請求項12に記載の自動車安全装置。
【請求項31】
更に、該距離センサーに接続された乗員通報装置を具え、乗員が該最小安全間隙内で前方に動いた場合、該乗員通報装置が、最小安全間隙が侵害されたことを該乗員に知らせる、請求項5に記載の自動車安全装置。
【請求項32】
自動車内に装着されたエアバッグと、該エアバッグにより保護する自動車乗員との間に最小安全間隔を維持する方法であって、該自動車は該エアバッグに対して遠近方向に動かされるシートを具えている該方法において、該方法が:
該エアバッグの方への該シートの動きを制限する段階であって、最前部位置を超える該シートの動きを防いで、該最前部位置において、該シートに座った該乗員が所定の最小安全間隙だけ該エアバッグから離れるようになっている、シートの動きを制限する段階と;
該シートと該少なくとも一つのペダルと間に所望の距離を設けるために、少なくとも一つの自動車制御ペダルの位置を調節する段階とを含んでいて;
該エアバッグは、運転者用ハンドルアセンブリと該運転者以外の乗員用ダッシュボード装置の一方に関して固定的に位置決めされている;方法。
【請求項33】
該自動車はコンピュータと、該シートに座った乗員と該エアバッグとの間の距離を検出するセンサーと、該シートを該エアバッグに対して遠近方向に動かすシート用モーターとを具え、該シートに座った乗員と該エアバッグとの間の該距離が該最小安全間隙に等しいことを該センサーが示した場合に、該シートの動きを制限する段階が、該シートモーターの更なる前進作用を禁止する該コンピュータによって行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
該自動車が、該少なくとも一つのペダルを該シートに対して遠近方向に動かすためのペダル用モーターを更に具え、該方法が更に、
該シートを該最前部位置に保ったまま、該ペダルをシートに対して遠近方向に動かすために、該ペダル用モーターを作動させる段階を含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
更に、該シートに座った乗員が該最小安全間隙を侵害していることを該センサーが示した場合に、該エアバッグの展開を禁止する段階を含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
更に、該シートに座った乗員が該最小安全間隙を侵害していることを該センサーが示した場合に、該エアバッグの膨張速度を減少させる段階を含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
更に、該シートに座った乗員が該最小安全間隙を侵害していることを該センサーが示した場合に、該エアバッグを段階的に膨張させる段階を含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
該自動車が、衝突が起こったかどうかを決める衝突検出手段を具え、該方法が:
更に、該衝突検出手段からの入力に呼応して自動車を衝突後モードにする段階を具えていて;
該衝突モードは、
自動車のエンジンを停止する副次的段階、
自動車のドアのロックを解除する副次的段階、
自動車の窓を降下させる副次的段階、
又は援助を求める自動車用通信装置を作動させる副次的段階の少なくとも一つの副次的段階を具えている、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
該第1エアバッグが、該自動車のハンドルに取り付けられている、請求項1に記載の自動車安全装置。
【請求項40】
自動車の乗客室内に装着されている第1エアバッグと第1シートと共に使用するための自動車エアバッグミニマムエンフォースメント装置であって;
該第1シートを該自動車に対して動き得るようにするために、かつ第1軸に沿って第1エアバッグに対して第1シートを最前部位置と最後部位置との間で移動させることを可能とするために、第1シート位置決め機構を具備する装置において:
該最前部位置は該第1シートの位置として規定され、第1シートに座った乗員と第1エアバッグとの間の距離が最小間隙距離に等しくて、該最前部位置からの該第1シートの変位が第1シートと第1エアバッグとの間の距離を増大させており;
該第1エアバッグは、運転者用のハンドルアセンブリと、運転者以外の乗員用のダッシュボード装置とのいずれか一方に対して固定的に位置決めされる;装置。
【請求項41】
該最小間隙距離が、該第1シートの背もたれの標準線と乗員の所定の突出との間の距離である、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
該乗客の該所定の突出が固定距離である、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
乗員の実際の突出を測定するために乗員の突出測定装置をさらに具備していて;該所定の突出が該実際の突出である、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
該乗員の突出測定装置が、引出されたシートベルトの長さに基づいた該乗員の実際の突出を測定するべく作動可能である、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
自動車の乗客室内に装着されている第1エアバッグと第1シートと共に使用するための自動車エアバッグミニマムエンフォースメント装置であって;
該第1シートを該自動車に対して動き得るようにするために、かつ第1軸に沿って第1エアバッグに対して第1シートを最前部位置と最後部位置との間で移動させることを可能とするために、第1シート位置決め機構を提供するための手段を具備する装置において:
該最前部位置は該第1シートの位置として規定され、第1シートに座った乗員と第1エアバッグとの間の距離が最小間隙距離に等しくて、該最前部位置からの該第1シートの変位が第1シートと第1エアバッグとの間の距離を増大させており;
該第1エアバッグは、運転者用のハンドルアセンブリと、運転者以外の乗員用のダッシュボード装置とのいずれか一方に対して固定的に位置決めされる;装置。
【請求項46】
該最小間隙距離が、該第1シートの背もたれの標準線と乗員の所定の突出との間の距離である、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
該乗客の該所定の突出が固定距離である、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
乗員の実際の突出を測定するための手段をさらに具備している、請求項46に記載の装置。
【請求項49】
該乗員の実際の突出を測定するための手段が、引出されたシートベルトの長さに基づいた該乗員の実際の突出を測定するべく作動可能である、請求項48に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【公開番号】特開2010−173640(P2010−173640A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−51932(P2010−51932)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【分割の表示】特願2003−576232(P2003−576232)の分割
【原出願日】平成15年3月13日(2003.3.13)
【出願人】(504348518)ビークル セイフティー システムズ,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】