説明

自動車用高周波ガラスアンテナ装置及び後部窓ガラス板

【課題】デフォガの上方に配設されているアンテナ導体のアンテナ利得を向上させる自動車用高周波ガラスアンテナを提供する。
【解決手段】後部窓ガラス板10に複数本のヒータ線と、該複数本のヒータ線に給電する複数本のバスバ5a,5b,5c,5dとが設けられ、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板10の上方余白部にアンテナ導体6,7が設けられており、自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、アンテナ導体6,7の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を仮想直線というとき、仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所にて、最高位のヒータ線と、該最高位のヒータ線の直下のヒータ線との間の間隔を42mm以上にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波デジタルテレビ放送(日本国内)(470〜770MHz)、UHF帯のアナログテレビ放送(473〜767MHz)又は米国のデジタルテレビ放送(698〜806MHz)の受信に適する自動車用高周波ガラスアンテナ及び後部窓ガラス板に関する。また、この自動車用高周波ガラスアンテナが設けられた自動車用の後部窓ガラス板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図2に示した、アナログテレビ用VHF−High放送帯受信用の自動車用高周波ガラスアンテナが報告されている(例えば、特許文献1参照)。この従来例では、後部窓ガラス板33に、バスバ35とバスバ36とが複数本のヒータ線37により接続されているデフォガが設けられている。複数本のヒータ線37の左右中央には、短絡線15が設けられている。後部窓ガラス板33のデフォガより上方の余白部の左右中央近傍には、最高位のヒータ線から分枝した分枝ヒータ線37aが設けられている。また、該余白部の右側には、アンテナ導体(不図示)が配設される領域31が設けられており、該余白部の左側には、別のアンテナ導体(不図示)が配設される領域32が設けられている。なお、図2において、34は窓の車体開口縁である。
【0003】
この従来例では、上述した構成を採ることにより、アナログテレビ用VHF−High放送帯の受信を可能にしている。しかし、地上波デジタルテレビ放送又は米国のデジタルテレビ放送受信に利用すると、主にデフォガ上部のヒータ線37がアンテナ導体に影響を与え、アンテナ利得が不充分である問題があった。
【0004】
また、上記従来例とは別の従来例として、図13に示した、地上波デジタルテレビ放送受信用の自動車用高周波ガラスアンテナが報告されている(特許文献2参照)。この従来例では、後部窓ガラス板10に、複数本のヒータ線43及びバスバ45からなるデフォガが設けられており、デフォガの上方にはアンテナ導体41及び給電点42が配設されている。
【0005】
この従来例では、アンテナ導体41及び給電点42の直下に配されている最高位のヒータ線44の形状の一部をメアンダ状にしており、このメアンダ状の最高位のヒータ線の部分における視野が良好でない問題があった。
【0006】
また、この従来例では、メアンダ部分を有するヒータ線をヒータ線Mといい、メアンダ部分を有さない、直線的に伸長されているヒータ線をヒータ線Nというとき、ヒータ線M
の線長が、ヒータ線Nの線長より長い。したがって、ヒータ線Mの両端間の抵抗値と、ヒータ線Nの両端間の抵抗値とを一致させるためには、ヒータ線Mの線幅を太くしなければならず、そのため、視野が悪くなる問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2005−101809号公報(1頁、図1)
【特許文献2】WO2006/001486号公報(1頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の有する前述の欠点を解消する自動車用高周波ガラスアンテナの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自動車の後部窓ガラス板に複数本のヒータ線と、該複数本のヒータ線に給電する複数本のバスバとが設けられ、該複数本のヒータ線と該複数本のバスバとでデフォガが構成されており、該複数本のヒータ線は後部窓ガラス板の水平方向又は略水平方向に伸長されており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部にアンテナ導体が設けられている自動車用高周波ガラスアンテナにおいて、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、アンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を仮想直線というとき、
仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所にて、最高位のヒータ線と、該最高位のヒータ線の直下のヒータ線との間の間隔を42mm以上にすることを特徴とする自動車用高周波ガラスアンテナを提供する。
【0010】
また、自動車の後部窓ガラス板に複数本のヒータ線と、該複数本のヒータ線に給電する複数本のバスバとが設けられ、該複数本のヒータ線と該複数本のバスバとでデフォガが構成されており、該複数本のヒータ線は後部窓ガラス板の水平方向又は略水平方向に伸長されており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部にアンテナ導体が設けられている自動車用高周波ガラスアンテナにおいて、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、アンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を仮想直線というとき、
該仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から該仮想直線上に沿って下方に270mmまでの線状領域における後部窓ガラス板に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位のヒータ線を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)であるか、
又は、該仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から該仮想直線上に沿って下方に270mmまでの線状領域に最近傍の後部窓ガラス板の領域に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位のヒータ線を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)であることを特徴とする自動車用高周波ガラスアンテナを提供する。
【0011】
また、自動車の後部窓ガラス板に、該後部窓ガラス板の右端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第1のバスバが設けられ、該後部窓ガラス板に、該後部窓ガラス板の左端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第2のバスバが設けられており、水平方向又は略水平方向に伸長され、第1のバスバと第2のバスバとを接続する、それぞれが平行又は略平行である複数本のヒータ線が後部窓ガラス板に設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部の右側に第1のアンテナ導体が設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部の左側に第2のアンテナ導体が設けられている自動車用高周波ガラスアンテナにおいて、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第1のアンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第1の仮想直線といい、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第2のアンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第2の仮想直線といい、
第1のバスバの最上部又は最上部近傍を起点にして後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され第2のバスバの最上部又は最上部近傍に到達して接続されるヒータ線を最高位の元ヒータ線というとき、
該最高位の元ヒータ線は最高位の元ヒータ線が第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板左右中央に達するまでの途中で、最高位の元ヒータ線から分岐した分岐ヒータ線を有し、該分岐ヒータ線は一旦下方又は略下方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、最高位の元ヒータ線が第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、上方又は略上方に曲がり伸長された後、最高位の元ヒータ線に合流し接続されることを特徴とする自動車用高周波ガラスアンテナを提供する。
【0012】
また、自動車の後部窓ガラス板に、該後部窓ガラス板の右端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第1のバスバが設けられ、該後部窓ガラス板に、該後部窓ガラス板の左端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第2のバスバが設けられており、水平方向又は略水平方向に伸長され、第1のバスバと第2のバスバとを接続する、それぞれが平行又は略平行である複数本のヒータ線が後部窓ガラス板に設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部の右側に第1のアンテナ導体が設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部の左側に第2のアンテナ導体が設けられている自動車用高周波ガラスアンテナにおいて、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第1のアンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第1の仮想直線といい、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第2のアンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第2の仮想直線といい、
第1のバスバの最上部又は最上部近傍を起点にして後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され第2のバスバの最上部又は最上部近傍に到達して接続されるヒータ線を最高位の元ヒータ線というとき、
該最高位の元ヒータ線は最高位の元ヒータ線が第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板の左右中央に達するまでの途中で、最高位の元ヒータ線から分岐した分岐ヒータ線を有し、該分岐ヒータ線は一旦上方又は略上方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、最高位の元ヒータ線が第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、下方又は略下方に曲がり伸長された後、最高位の元ヒータ線に合流し接続されており、
最高位の元ヒータ線の直下のヒータ線であって、第1のバスバを起点にして後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され第2のバスバに到達し接続されるヒータ線を第2番目の元ヒータ線というとき、
該第2番目の元ヒータ線は第2番目の元ヒータ線が第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板の左右中央に達するまでの途中で、第2番目の元ヒータ線から分岐した分岐ヒータ線を有し、該分岐ヒータ線を第2番目の分岐ヒータ線というとき、該第2番目の分岐ヒータ線は一旦上方又は略上方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、第2番目の元ヒータ線が第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、下方又は略下方に曲がり伸長された後、第2番目の元ヒータ線に合流し接続されることを特徴とする自動車用高周波ガラスアンテナを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、上述した構成を採ることによって、後部窓の視野、特に、デフォガ領域の視野及び美感を損ねることなく、地上波デジタルテレビ放送又は米国のデジタルテレビ放送を受信する際のアンテナ利得を向上させることができる。
【0014】
また、後部窓ガラス板の左右中央近傍に分枝ヒータ線が配設されている態様では、分枝ヒータ線が配設されている、後部窓ガラス板の左右中央近傍領域の防曇が良好になされるため、視野の確保に優れている。
【0015】
また、デフォガの左側領域及びデフォガの右側領域において、上下方向に伸長されているヒータ線が存在しないため、デフォガの左側領域及びデフォガの右側領域の視野の確保に優れている。
【0016】
さらに、アンテナ導体の下方に位置するヒータ線の部分がメアンダ部分を有しないため、このヒータ線の線長が短くなり、このヒータ線の部分の線幅を比較的細くでき視野の確保に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の自動車用高周波ガラスアンテナを添付の図面に示される好適実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の自動車用高周波ガラスアンテナの一実施形態を示す平面図である。
【0018】
図1において、1は最高位のヒータ線(最高位の元ヒータ線)、1aは分枝ヒータ線、2は第2番目の元ヒータ線、2aは分枝ヒータ線、3は第3番目の元ヒータ線、3aは分枝ヒータ線、4はヒータ線、5aは第1のバスバ、5bは第2のバスバ、5cは第3のバスバ、5dは第4のバスバ、6は第1のアンテナ導体、6aは第1のアンテナ導体の給電点、7は第2のアンテナ導体、7aは第2のアンテナ導体の給電点である。
【0019】
また、10は自動車の後部窓ガラス板、11は第1の仮想直線、12は第2の仮想直線、13は第3の仮想直線、14は第4の仮想直線、15aは第1の短絡線、15bは第2の短絡線、17はFM放送用アンテナ導体、17aはFM放送用アンテナ導体17の給電点、18はAM放送用アンテナ導体、18aはAM放送用アンテナ導体18の給電点である。なお、図1及び後述する各図において、方向は図面上での方向をいうものとする。
【0020】
本発明では、後部窓ガラス板10に複数本のヒータ線と、該複数本のヒータ線1,2,3,4に給電する複数本のバスバとが設けられ、該複数本のヒータ線と該複数本のバスバとでデフォガが構成されている。該複数本のヒータ線は後部窓ガラス板10の水平方向又は略水平方向に伸長されており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板10の上方余白部にアンテナ導体が設けられている。
【0021】
図1に示す例では、後部窓ガラス板10の右端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第1のバスバ5a及び第3のバスバ5cが設けられ、後部窓ガラス板10の左端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第2のバスバ5b及び第4のバスバ5dが設けられている。すなわち、4つのバスバが後部窓ガラス板10の左右両側にそれぞれ配設されており、上下方向に伸長されている。なお、第1の短絡線15a及び第2の短絡線15bは、デフォガのインピーダンス調整用のものであり、必要に応じて設けられる。FM放送用アンテナ導体17及びAM放送用アンテナ導体18は、必要に応じて設けられる。
【0022】
図1に示す例では、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板10の上方余白部の右側に第1のアンテナ導体6が設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板10の上方余白部の左側に第2のアンテナ導体7が設けられている。このような配置を採ることが、デジタルテレビ放送を良好に受信する点から望ましい。しかし、これに限定されず、後部窓ガラス板10の上方余白部の右側及び左側に以外の領域にアンテナ導体が配設されていてもよい。すなわち、例えば、アンテナ導体が後部窓ガラス板10の左右中央又は左右中央近傍に設けられていてもよいし、アンテナ導体が後部窓ガラス板10の左右中央又は左右中央近傍以外の上方余白部に配設されていてもよい。
【0023】
図1において、自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第1のアンテナ導体6の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線1,2,3,4のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第1の仮想直線11といい、自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第2のアンテナ導体7の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線1,2,3,4のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第2の仮想直線12といい、第1のバスバ5aの最上部又は最上部近傍を起点にして後部窓ガラス板10の左右中央方向に伸長され第2のバスバ5bの上部又は上部近傍に到達し接続されているヒータ線を最高位の元ヒータ線1ということにして以下を説明する。
【0024】
最高位の元ヒータ線1は、最高位の元ヒータ線1が第1の仮想直線11に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板10の左右中央に達するまでの途中で、最高位の元ヒータ線1から分岐した分岐ヒータ線1aを有している。
【0025】
分岐ヒータ線1aは一旦下方又は略下方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板10の左右中央方向に伸長され、最高位の元ヒータ線1が第2の仮想直線12に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、上方又は略上方に曲がり伸長された後、最高位の元ヒータ線1に合流し接続されている。
【0026】
図1に示す例では、アンテナ利得及びF/B比を向上させるために、第1のバスバ5a近傍において、最高位の元ヒータ線1の部分と、該部分の直下のヒータ線(第2番目の元ヒータ線2又は第2番目のヒータ線)との間の間隔Lの条件は以下の表1のとおりである。また、第2のバスバ5b近傍の最高位の元ヒータ線1の部分と、該部分の直下のヒータ線(第2番目の元ヒータ線2又は第2番目のヒータ線)との間の間隔Lも間隔Lの条件と同様となり以下の表1のとおりになる。表1において、間隔L上限は、視野確保の観点から定められている。
【0027】
【表1】

【0028】
これらの条件を緩和すると、自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、後部窓ガラス板10の左右中央側の、第1のアンテナ導体6の端部に接触し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第3の仮想直線13といい、自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、後部窓ガラス板10の左右中央側の、第2のアンテナ導体7の端部に接触し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第4の仮想直線14というとき、第1のバスバ5aと第3の仮想直線13との間において、最高位の元ヒータ線1と、最高位の元ヒータ線1の直下のヒータ線(第2番目の元ヒータ線2又は第2番目のヒータ線)との間の間隔Lの条件は表1のとおりである。
【0029】
第2のバスバ5bと第4の仮想直線14との間において、最高位の元ヒータ線1と、最高位の元ヒータ線1の直下のヒータ線(第2番目の元ヒータ線2又は第2番目のヒータ線)との間の間隔Lも間隔Lの条件と同様となり表1のとおりになる。
【0030】
なお、これらの条件において、給電点6aを含めた第1のアンテナ導体6の横幅(水平方向幅)は、第3の仮想直線13と第1のバスバ5aとの間の間隔より小さいことが好ましい。また,これらの条件において、給電点7aを含めた第2のアンテナ導体7の横幅(水平方向幅)は、第4の仮想直線14と第2のバスバ5bとの間の間隔より小さいことが好ましい。
【0031】
図1に示す例では、デフォガの防曇効果を高め、後部窓ガラス板10の左右中央又は左右中央近傍の視野を確保するために、後部窓ガラス板10の左右中央における、複数本のヒータ線同士の間隔が40mm以下、特には34mm以下であることが好ましい。ここでいう複数本のヒータ線とは、図1における、最高位の元ヒータ線1、第2番目の元ヒータ線2,分枝ヒータ線1a,2a,3a及びヒータ線4を含むものとする。
【0032】
第1の仮想直線11と最高位の元ヒータ線1とが交差するか、又は、立体交差する箇所(交差する中心点)から第1の仮想直線11上に沿って下方に270mmまでの線状領域における後部窓ガラス板10に設けられているヒータ線の本数密度が、0.0148〜0.026(本/mm)である。ここで、本数密度とは、{(270mmの線状領域に配設されているヒータ線の本数)/270mm}をいい、最高位の元ヒータ線1もこの本数に含める。
【0033】
後部窓ガラス板10が曲面を有し、第1の仮想直線11が後部窓ガラス板10の面に沿わない場合には,第1の仮想直線11と最高位のヒータ線1とが交差するか、又は、立体交差する箇所から第1の仮想直線11上に沿って下方に270mmまでの線状領域に最近傍の後部窓ガラス板10の領域に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位のヒータ線1を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)である
270mmの範囲は、上述したとおり、第1の仮想直線11と最高位の元ヒータ線1との交差する、又は、立体交差する中心点から決定されるため、最高位の元ヒータ線1の線幅方向の中央から計測されることになり、最高位の元ヒータ線1の線幅方向の中央から270mmの距離に線幅の一部が含まれるヒータ線又は元ヒータ線もこの本数に含めるものとする。
【0034】
この本数密度が0.0148以上であると、0.0148未満であるときと比較して防曇効果が向上する。この本数密度が0.026以下であると、0.026超と比較してアンテナ利得及びF/B比が向上する。好ましい範囲及びより好ましい範囲は表2に示すとおりである。なお、上記270mmの範囲を本数密度を規定する範囲としたのは、分枝ヒータ線を設ける範囲を270mmより範囲を拡げても、アンテナ利得及びF/B比が飽和し、ほとんど変化しなくなるからである。
【0035】
同様の考え方で、第2の仮想直線12と最高位の元ヒータ線1とが交差するか、又は、立体交差する箇所から第2の仮想直線12上に沿って下方に270mmまでの線状領域における後部窓ガラス板10に設けられているヒータ線の本数密度が0.0148〜0.026(本/mm)である。好ましい範囲及びより好ましい範囲は表2に示すとおりである。
【0036】
【表2】

【0037】
表2の条件を前提に、アンテナ導体6,7に近い側のデフォガ領域の本数密度を小さくすることがアンテナ利得及びF/B比を向上させることができ好ましい。最高位のヒータ線1から下方に270mmの2/3である180mmを基準として許容範囲を考慮し、少し広い195mmの範囲のヒータ線の本数を定める。仮想直線11,12と最高位のヒータ線1とが交差するか、又は、立体交差する箇所から仮想直線11,12上に沿って下方に195mmまでの線状領域における後部窓ガラス板10に設けられているヒータ線の本数が、最高位のヒータ線1を含めて、2〜4本、特には、2〜3本であるか、又は、仮想直線11,12と最高位のヒータ線1とが交差するか、又は、立体交差する箇所から仮想直線11,12上に沿って下方に195mmまでの線状領域に最近傍の後部窓ガラス板10の領域に設けられているヒータ線の本数が、最高位のヒータ線1を含めて、2〜4本、特には、2〜3本であることが好ましい。2本以上である場合には、2本未満である場合と比較して曇り防止効果及び視野の確保の点で優れており、4本以下である場合には、4本超である場合と比較してアンテナ利得及びF/B比向上の点で優れている。
【0038】
最高位の元ヒータ線1から分岐される分岐ヒータ線1aを最高位の分岐ヒータ線1aというとき、図1に示す例では、最高位の分岐ヒータ線1aは1本であるが、2本であってもよい。このように、デフォガの防曇効果を高め、後部窓ガラス板10の左右中央又は左右中央近傍の視野、及び、後部窓ガラス板10の左側及び右側の最高位の元ヒータ線1近傍の視野を確保するために、最高位の分岐ヒータ線1aは、1本又は2本であることが、好ましい。しかし、これに限定されず、最高位の分岐ヒータ線1aは3本あっても使用できる。
【0039】
図1に示す例では、最高位の元ヒータ線1の直下のヒータ線であって、第1のバスバを起点にして後部窓ガラス板10の左右中央方向に伸長されるヒータ線を第2番目の元ヒータ線2というとき、第2番目の元ヒータ線2は第2のバスバ5bに到達し接続されている。
【0040】
第2番目の元ヒータ線2が第1の仮想直線11に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板10の左右中央に達するまでの途中で、第2番目の元ヒータ線2から分岐した分岐ヒータ線2aを有し、分岐ヒータ線2aは一旦下方又は略下方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板10の左右中央方向に伸長される。さらに、分岐ヒータ線2aは、第2番目の元ヒータ線2が第2の仮想直線12に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、上方又は略上方に曲がり伸長された後、第2番目の元ヒータ線2に合流し接続される。
【0041】
図3に示す例は、図1に示す例とは別の実施形態を示し、最高位の元ヒータ線1の下側及び第2番目の元ヒータ線2の下側にそれぞれ分岐ヒータ線を2本設けた例である。図3において、後部窓ガラス板10には、左右の片側に第1のアンテナ導体6のみ設けられており、図1に示されている第2のアンテナ導体7が設けられていない。しかし、第2のアンテナ導体7が設けてもよい。後部窓ガラス板10に第2のアンテナ導体7を設ける場合には、第2のアンテナ導体7が設けている側のヒータ線にも分岐ヒータ線が設けられることが好ましく、デフォガの形状は窓ガラス板10の左右中央に対して線対象になることが好ましい。
【0042】
図4に示す例は、図1に示す例とは別の実施形態を示し、最高位の元ヒータ線1の上側及び下側に分岐ヒータ線をそれぞれ1本設けており、第2番目の元ヒータ線2の上側及び下側に分岐ヒータ線をそれぞれ1本設けている。さらに、第3番目の元ヒータ線2の上側に分岐ヒータ線を1本設けている。最高位の元ヒータ線1の上側に分岐ヒータ線(点線)を1本設ける場合には、アンテナ導体6,7のアンテナ性能に影響を与えにくいように、形状、寸法及び配設箇所を設定することが好ましい。
【0043】
図5に示す例は、図1に示す例とは別の実施形態を示し、最高位の元ヒータ線1の上側及び第2番目の元ヒータ線2の上側にそれぞれ分岐ヒータ線を2本設けている。以上、図1,3〜5示す例において、説明したとおり、本発明において、最高位の元ヒータ線1以外のどのヒータ線に分岐ヒータ線を設けてもよく、特に限定されない。また、分岐ヒータ線の数も、1本又は2本であることが好ましい。しかし、これに限定されず、3本であっても使用できる。
【0044】
さらに、アンテナ利得及びF/B比を向上させるためには、最高位の元ヒータ線1の下側に分岐ヒータ線を設けることが好ましい。しかし、最高位の元ヒータ線1の上側に分岐ヒータ線を設けても使用できる。また、最高位の元ヒータ線1の上側及び下側に分岐ヒータ線を設けても使用できる。
【0045】
後部窓ガラス板10の左右中央の最上部から後部窓ガラス板10の左右中央の最下部まで伸長される直線を仮定し、該直線を左右中央線(短絡線15a,15bに重なる)といい、該左右中央線と交差するか、又は、立体交差する、分枝ヒータ線を含めたヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をDといい、第1の仮想直線11と交差するか、又は、立体交差するヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をD(実質的にLに相当する)といい、第2の仮想直線12と交差するか、又は、立体交差するヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をD(実質的にLに相当する)というとき、1.8×D≦D≦2.2×D、かつ、1.8×D≦D≦2.2×Dであることが好ましい。この条件は、例えば、図1に示す例のように、最高位の元ヒータ線1と2番目の元ヒータ線2(又は分枝ヒータ線を有さない2番目のヒータ線)との間の分枝ヒータ線が1本である場合に適しており、防曇効果を向上させ、視界を良好にできる。
【0046】
また、同様に、2.7×D≦D≦3.3×D、かつ、2.7×D≦D≦3.3×Dであることも好ましい。この条件は、例えば、図3,4,5に示す例のように、最高位の元ヒータ線1と2番目の元ヒータ線2(又は分枝ヒータ線を有さない2番目のヒータ線)との間の分枝ヒータ線が2本である場合に適している。
【0047】
図12は、図1、3、4,5,6,7に示す例とは別の実施形態である。図12に示す例では、分枝ヒータ線は設けられてなく、最高位のヒータ線1の直下にヒータ線2が設けられている。ヒータ線2とヒータ線3との間に、ヒータ線2bが必要に応じて設けられてもよく、ヒータ線3の直下にヒータ線3bが必要に応じて設けられてもよい。
【0048】
アンテナ導体と最高位の元ヒータ線1(図12で示す最高位のヒータ線1)との最短間隔は、アンテナ利得及びF/B比を向上させるため、30mm以上、特には、40mm以上とすることが好ましい。アンテナ導体と最高位の元ヒータ線1との最短間隔は、小スペース化のために、200mm以下、特には、100mm以下とすることが好ましい。
【0049】
第1のアンテナ導体6の水平方向の幅は、第1のアンテナ導体6側の、各分枝ヒータ線の略垂直部分と第1のバスバ5aとの間の間隔より小さい方がアンテナ利得及びF/B比を向上させるために好ましい。第2のアンテナ導体7の水平方向の幅は、第2のアンテナ導体7側の、各分枝ヒータ線の略垂直部分と第2のバスバ5bとの間の間隔より小さい方がアンテナ利得及びF/B比を向上させるために好ましい。
【0050】
曇り防止効果及び視野の確保を考慮すると、間隔Dはそれぞれ、10〜40mmが好ましい。より好ましくは、22〜34mmであり、特に好ましくは、25〜32mmである。後部窓ガラス板の左右中央付近に配設されている分枝ヒータ線を含めた、それぞれのヒータ線同志の間隔は、防曇効果を均一に行うため等間隔又は略等間隔であることが好ましい。
【0051】
本発明において、第1のアンテナ導体6と第2のアンテナ導体7が地上波デジタルテレビ放送(日本国内)、米国のデジタルテレビ放送、中国のデジタルテレビ放送及びヨーロッパのデジタルテレビ放送用とすることが好ましい。
【0052】
地上波デジタルテレビ放送(日本国内)を受信する場合には、第1のアンテナ導体6と第2のアンテナ導体7とが、それぞれ受信する電波の周波数が、470〜770MHzの間に存在する周波数を含むことが好ましい。
【0053】
地上波デジタルテレビ放送(日本国内)の現行使用されている周波数帯(470〜600MHz)を受信する場合には、第1のアンテナ導体6と第2のアンテナ導体7とが、それぞれ受信する電波の周波数が、470〜600MHzの間に存在する周波数を含むことが好ましい。
【0054】
米国のデジタルテレビ放送を受信する場合には、受信する電波の周波数が、698〜806MHzの間に存在する周波数を含むことが好ましい。
【0055】
図1に示す例では、バスバ5a,5bのどちらか一方が直流電源(不図示)の陽極に電気的に接続され、残る他方のバスバが直流電源の陰極に電気的に接続される。また、バスバ5c,5dのどちらか一方が直流電源の陽極に電気的に接続され、残る他方のバスバが直流電源の陰極に電気的に接続される。
【0056】
図1に示す例では、4つのバスバ5a,5b,5c,5dが後部窓ガラス板10に設けられている。しかし、これに限定されず、バスバは2つ又は3つであってもよい。バスバは2つである場合には、バスバ5aとバスバ5cとが一体化して連続する帯状の導電体となり、かつ、バスバ5bとバスバ5dとが一体化して連続する帯状の導電体となっている。
【0057】
バスバは3つである場合には、例えば、図1において、バスバ5bとバスバ5dとが一体化して連続する帯状の導電体となっており、バスバ5a,5bのどちらか一方が直流電源の陽極に電気的に接続され、残る他方のバスバが直流電源の陰極に電気的に接続される。この場合、バスバ5aが直流電源の陽極に電気的に接続され、バスバ5cが直流電源の陰極に電気的に接続されていたとき、図1紙面裏側から見れば、給電された電流はバスバ5aからバスバ5b、5dを通ってバスバ5cへと,コの字状に流れる。
【0058】
図1,3,4,5,6,7,12に示す実施形態は、車内視又は車外視のどちらでもよい。図1,4,5,12に示す実施形態は、後部窓ガラス板10の左右中央に対して線対称である。
【0059】
本発明において、後部窓ガラス板10は、水平方向に対し、18〜36°、特には、24〜33°傾斜していることがF/B比を向上させる上で好ましい。
【0060】
本発明において、バスバ、ヒータ線、短絡線、アンテナ導体及び給電点は、通常、銀ペースト等の、導電性金属を含有するペーストを後部窓ガラス板10の車内側表面にプリントし、焼付けて形成される。しかし、この形成方法に限定されず、銅等の導電性物質からなる、線状体又は箔状体を、後部窓ガラス板10の車内側表面又は車外側表面に形成してもよく、後部窓ガラス板10自身の内部に設けてもよい。
【0061】
図1に示す例では、第1のアンテナ導体6及び第2のアンテナ導体は、それぞれ給電点が1つの単極アンテナである。しかし、これに限定されず、第1のアンテナ導体6及び第2のアンテナ導体は、それぞれ給電点を1つ有し、接地導体(不図示)を備える双極アンテナであってもよい。
【0062】
図1等に示す例では、アンテナ導体6,7は給電点を1つ有する単極アンテナである。しかし、本発明において、アンテナ導体6,7の種類は限定されず、給電点、接地導体に設けられているアース点を有する双極アンテナであってもよく、他の種類のアンテナであってもよい。
【0063】
本発明においては、第1のアンテナ導体6と第2のアンテナ導体7との間で、ダイバーシティ受信を行うことが好ましい。アンテナ性能をできるだけ無指向性とするためである。また、第1のアンテナ導体6と第2のアンテナ導体7以外に自動車に設けられるアンテナ導体の数は限定されず、また、本発明における第1のアンテナ導体6と第2のアンテナ導体7と、ポールアンテナ等の他のアンテナ及び/又は他のガラスアンテナとの間でダイバーシティ受信を行ってもよい。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されず、本発明の要旨を損なわない限り、各種の改良や変更も本発明に含まれる。以下、図面にしたがって、実施例を詳細に説明する。自動車の後部窓ガラス板を使用し、図6(社内視)又は図7(社内視)に示すような自動車用高周波ガラスアンテナを製作した。以下符号は図1も参照して説明する。
【0065】
FM放送用アンテナ導体17、AM放送用アンテナ導体18、給電点17a、18a,短絡線15a,15b、バスバ5a,5b,5c,5d、分枝ヒータ線を有さないヒータ線及び分枝ヒータ線の略水平部分は、銀ペーストを後部窓ガラス板10の車内側表面にプリントし、焼付けて形成した。
【0066】
アンテナ導体6,7、給電点6a,7a、元ヒータ線(例えば、図6に示す1,2,3、24、25)及び分枝ヒータ線の略垂直部分については、銅箔を後部窓ガラス板10の車内側表面に接着剤にて貼り付けて形成し、銀ペーストにより形成した部分と半田付けした。バスバ5b,5dは直流電源の陰極に接続した。第1のアンテナ導体6について、自動車後方仰角2.29°での、アンテナ利得を測定した。
【0067】
後述する特性図において、測定周波数は473〜575MHz(6MHz毎)、587MHz、及び、605〜767MHz(18MHz毎)とし、これらの周波数における、アンテナ利得の平均値及びF/B比の平均値を後述する特性図に用いた。
【0068】
後部窓ガラス板10は、水平方向に対し、22.6°傾斜していた。図1,6,7において、AM放送用アンテナ導体18の左右中央の垂直線及び短絡線15a,15bは、後部窓ガラス板の左右中央に一致又は略一致させた。
【0069】
後部窓ガラス板10の自動車への取り付けについては、窓の車体開口縁が後部窓ガラス板10の周縁より内側に18mm入るようにし、窓の車体開口縁と後部窓ガラス板10との間に接着剤(厚さ:5mm)が介在するような構造で、後部窓ガラス板10を窓の車体開口縁に取り付けた。
【0070】
ヒータ線等の導体線同士の間隔(寸法)については、導体線の線幅方向の中央同士の間隔で示した。
【0071】
「例1(実施例)」
自動車の後部窓ガラス板を使用し、図6に示すような自動車用高周波ガラスアンテナを製作した。分枝ヒータ線を設けていない通常のデフォガ(それぞれのヒータ線同士の間隔:30mm)では、最高位(第1番目)のヒータ線と第10番目のヒータ線との間の間隔が270mmである。図1に示す第1の仮想線11上で、この間隔270mmの範囲についてのヒータ線の本数を数え、前述した本数密度を計算した。
【0072】
この本数密度とアンテナ利得との関係を図8の特性81に示した。さらに、この本数密度とF/B比との関係を図9の特性91に示した。図8において、見やすくするために横軸は(ヒータ線の本数/270mm)×100として表示した。上記270mmの範囲の本数密度についての測定の対象としたのは、270mmより範囲拡げても、アンテナ利得が飽和し、ほとんど変化しなくなったからである。
【0073】
なお、図6に示す例では、最高位の元ヒータ線1、第2番目の元ヒータ線2、第3番目の元ヒータ線3、第4番目の元ヒータ線24及び第5番目の元ヒータ線25の下側にそれぞれ分枝ヒータ線を設けている。
【0074】
図6において、元ヒータ線1,2,3,24,25のそれぞれに分枝ヒータ線を設けず、元ヒータ線1,2,3,24,25のそれぞれの下側の破線で示されているヒータ線を後部窓ガラス板に設けている形態が、通常のデフォガであり、上記270mmの範囲にてヒータ線の本数10本となり、密度が一番高い形態である。
【0075】
上記本数密度とアンテナ性能との関係を測定するために、破線で示されているヒータ線のすべてが設けられている通常のデフォガの形態より変更して、最初に、元ヒータ線1の直下の破線を設けずに、元ヒータ線1に分枝ヒータ線を設けて測定した。
【0076】
次に、同手法で、元ヒータ線1及び元ヒータ線2に分枝ヒータ線を設けて測定した。次に、元ヒータ線1、元ヒータ線2及び元ヒータ線3に分枝ヒータ線を設けて測定した。このように順次測定し、最後の測定は、元ヒータ線1,2,3,24,25のすべてに分枝ヒータ線を設けて行い、アンテナ利得及びF/B比を得た。
【0077】
ここで、F/B比とは、自動車後方を0「ゼロ」°とし、自動車右方向を+90°とし、自動車前方を+180°とする場合、水平方向の−90°〜+90°(自動車背面(Back))のアンテナ利得平均値と、水平方向の+90°〜+270°(自動車正面(Front))のアンテナ利得平均値との差をいう。
【0078】
F/B比が小さければ、自動車背面方向と自動車正面方向とのアンテナ利得の差が小さく、水平方向において、無指向性に近い指向性となる。この反対に、F/B比が大きければ、自動車背面方向に強い指向性を有することとなる。平均アンテナ利得の計算には、面積平均算出法を適用した。各部の寸法は以下のとおりである。
【0079】
後部窓ガラス板12の最大横幅 1397mm、
後部窓ガラス板12の最大縦幅 807mm、
(第1のアンテナ導体6の水平方向の幅) 140mm、
640mm、
50mm、
40mm、
30mm。
【0080】
35mm、
10mm、
20mm、
40mm、
82mm、
(第3の仮想直線13と分枝ヒータ線の端部との最短間隔) 12mm。
【0081】
55〜60mm(最高位の元ヒータ線1とバスバ5aとの接続箇所近傍における間隔が最短間隔となる)、
(第1のアンテナ導体1と最高位の元ヒータ線1との最短間隔) 50mm、
23mm、
最高位の元ヒータ線1の導体長 1198mm、
ヒータ線、分枝ヒータ線及び元ヒータ線の線幅 0.7mm、
バスバ5a,5b,5c,5dの導体幅 12mm。
【0082】
「例2(実施例)」
自動車の後部窓ガラス板を使用し、図7に示すような自動車用高周波ガラスアンテナを製作した。Lを90mmとし、それぞれの元ヒータ線に設けられる分枝ヒータ線を2本とした以外は、各部の寸法は例1と同様である
例1と同様の手法で、間隔270mmの範囲についてのヒータ線の本数を数え、本数密度とした。この本数密度とアンテナ利得との関係を図8の特性82に示した。さらに、この本数密度とF/B比との関係を図9の特性92に示した。
【0083】
上記本数密度を測定するために、破線で示されているヒータ線のすべてが設けられている通常のデフォガの形態より変更して、最初に、元ヒータ線1の直下の破線を設けずに、元ヒータ線1に2本の分枝ヒータ線を設けて測定した。次に、元ヒータ線1及び元ヒータ線2にそれぞれ2本の分枝ヒータ線を設けて測定した。次に、元ヒータ線1、元ヒータ線2及び元ヒータ線3にそれぞれ2本の分枝ヒータ線を設けて測定した。
【0084】
「例3(実施例)」
図6に示すような自動車用高周波ガラスアンテナを製作した。ただし、元ヒータ線1、元ヒータ線2及び元ヒータ線3にそれぞれ1本の分枝ヒータ線を設け(分枝ヒータ線の総計は3本)、元ヒータ線24,25には分枝ヒータ線は設けず、元ヒータ線24,25の下側にそれぞれ示されている1本の破線のとおりヒータ線を設けた。
【0085】
第1のアンテナ導体側の3本の分枝ヒータ線の略垂直部分と後部窓ガラス板の左右中央との間の最短間隔Dを変更して(Dも変わる)、測定した。Dとアンテナ利得との関係を図10の特性曲線101に示した。また、DとF/B比との関係を図11の特性曲線111に示した。なお、図10に示す104及び図11に示す114は、図10に示す第1の仮想線11の位置を示す。図10に示す103及び図11に示す113は、図10に示す第3の仮想線13の位置を示す。
【0086】
「例4(実施例)」
図7に示すような自動車用高周波ガラスアンテナを製作した。ただし、元ヒータ線1及び元ヒータ線2にそれぞれ2本の分枝ヒータ線を設け(分枝ヒータ線の総計は4本)、元ヒータ線3には分枝ヒータ線は設けず、元ヒータ線3の下側にそれぞれ示されている2本の破線のとおりヒータ線を設けた。
【0087】
第1のアンテナ導体側の4本の分枝ヒータ線の略垂直部分と後部窓ガラス板の左右中央との間の最短間隔Dを変更して(Dも変わる)、測定した。Dとアンテナ利得との関係を図10の特性曲線102に示した。また、DとF/B比との関係を図11の特性曲線112に示した。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、地上波デジタルテレビ放送、UHF帯のアナログテレビ放送及び米国のデジタルテレビ放送、欧州連合地域のデジタルテレビ放送又は中華人民共和国のデジタルテレビ放送を受信する自動車用ガラスアンテナに利用される。その他、日本のFM放送帯(76〜90MHz)、米国のFM放送帯(88〜108MHz)、テレビVHF帯(90〜108MHz、170〜222MHz)、自動車電話用の800MHz帯(810〜960MHz)、自動車電話用の1.5GHz帯(1.429〜1.501GHz)、UHF帯(300MHz〜3GHz)、GPS(Global Positioning System)、人工衛星のGPS信号1575.42MHz)、VICS(Vehicle Information and Communication System、ヴィークル インフォメーション アンド コミュニケーション システム:2.5GHz)にも利用できる。
【0089】
さらに、ETC通信(Electronic Toll Collection System:ノンストップ自動料金収受システム、路側無線装置の送信周波数:5.795GHz又は5.805GHz、路側無線装置の受信周波数が5.835GHz又は5.845GHz)、専用狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication、915MHz帯、5.8GHz帯、60GHz帯)、マイクロ波(1GHz〜3THz)、ミリ波(30〜300GHz)、自動車用キーレスエントリィシステム(300〜450MHz)、及び、SDARS(Satellite Digital Audio Radio Service (2.34GHz、2.6GHz))の通信に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の自動車用高周波ガラスアンテナの一実施形態を示す平面図。
【図2】従来例を示す平面図。
【図3】図1に示す例とは別の実施形態を示す平面図。
【図4】図1に示す例とは別の実施形態を示す平面図。
【図5】図1に示す例とは別の実施形態を示す平面図。
【図6】例1の自動車用高周波ガラスアンテナを示す平面図。
【図7】例2の自動車用高周波ガラスアンテナを示す平面図。
【図8】例1,2における、本数密度−アンテナ利得特性図。
【図9】例1,2における、本数密度−F/B比特性図。
【図10】例3,4における、D−アンテナ利得特性図。
【図11】例3,4における、D−F/B比特性図。
【図12】図1に示す例とは別の実施形態を示す平面図。
【図13】図2に示す従来例とは別の従来例を示す平面図。
【符号の説明】
【0091】
1:最高位のヒータ線(最高位の元ヒータ線)
1a:分枝ヒータ線
2:第2番目の元ヒータ線
2a:分枝ヒータ線
2b:ヒータ線
3:第3番目の元ヒータ線
3a:分枝ヒータ線
3b:ヒータ線
4:ヒータ線
5a:第1のバスバ
5b:第2のバスバ
5c:第3のバスバ
5d:第4のバスバ
6:第1のアンテナ導体
6a:第1のアンテナ導体の給電点
7:第2のアンテナ導体
7a:第2のアンテナ導体の給電点
10:自動車の後部窓ガラス板
11:第1の仮想直線
12:第2の仮想直線
13:第3の仮想直線
14:第4の仮想直線
15a:第1の短絡線
15b:第2の短絡線
17:FM放送用アンテナ導体
17a:FM放送用アンテナ導体17の給電点
18:AM放送用アンテナ導体
18a:AM放送用アンテナ導体18の給電点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の後部窓ガラス板に複数本のヒータ線と、該複数本のヒータ線に給電する複数本のバスバとが設けられ、該複数本のヒータ線と該複数本のバスバとでデフォガが構成されており、該複数本のヒータ線は後部窓ガラス板の水平方向又は略水平方向に伸長されており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部にアンテナ導体が設けられている自動車用高周波ガラスアンテナにおいて、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、アンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を仮想直線というとき、
仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所にて、最高位のヒータ線と、該最高位のヒータ線の直下のヒータ線との間の間隔を42mm以上にすることを特徴とする自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項2】
自動車の後部窓ガラス板に複数本のヒータ線と、該複数本のヒータ線に給電する複数本のバスバとが設けられ、該複数本のヒータ線と該複数本のバスバとでデフォガが構成されており、該複数本のヒータ線は後部窓ガラス板の水平方向又は略水平方向に伸長されており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部にアンテナ導体が設けられている自動車用高周波ガラスアンテナにおいて、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、アンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を仮想直線というとき、
該仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から該仮想直線上に沿って下方に270mmまでの線状領域における後部窓ガラス板に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位のヒータ線を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)であるか、
又は、該仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から該仮想直線上に沿って下方に270mmまでの線状領域に最近傍の後部窓ガラス板の領域に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位のヒータ線を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)であることを特徴とする自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項3】
前記仮想直線と前記最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から該仮想直線上に沿って下方に195mmまでの線状領域における前記後部窓ガラス板に設けられているヒータ線の本数が、最高位のヒータ線を含めて、2〜4本であるか、
又は、該仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から該仮想直線上に沿って下方に195mmまでの線状領域に最近傍の後部窓ガラス板の領域に設けられているヒータ線の本数が、最高位のヒータ線を含めて、2〜4本である請求項1又は2に記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項4】
前記アンテナ導体が、前記後部窓ガラス板の左右中央又は左右中央近傍以外の前記上方余白部に配設されており、
後部窓ガラス板の左右中央における、前記複数本のヒータ線同士の間隔が10〜40mmである請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項5】
自動車の後部窓ガラス板に、該後部窓ガラス板の右端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第1のバスバが設けられ、該後部窓ガラス板に、該後部窓ガラス板の左端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第2のバスバが設けられており、水平方向又は略水平方向に伸長され、第1のバスバと第2のバスバとを接続する、それぞれが平行又は略平行である複数本のヒータ線が後部窓ガラス板に設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部の右側に第1のアンテナ導体が設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部の左側に第2のアンテナ導体が設けられている自動車用高周波ガラスアンテナにおいて、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第1のアンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第1の仮想直線といい、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第2のアンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第2の仮想直線といい、
第1のバスバの最上部又は最上部近傍を起点にして後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され第2のバスバの最上部又は最上部近傍に到達して接続されるヒータ線を最高位の元ヒータ線というとき、
該最高位の元ヒータ線は最高位の元ヒータ線が第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板左右中央に達するまでの途中で、最高位の元ヒータ線から分岐した分岐ヒータ線を有し、該分岐ヒータ線は一旦下方又は略下方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、最高位の元ヒータ線が第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、上方又は略上方に曲がり伸長された後、最高位の元ヒータ線に合流し接続されることを特徴とする自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項6】
前記第1のバスバの近傍にて前記最高位の元ヒータ線の直下のヒータ線であって、第1のバスバを起点にして前記後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長されるヒータ線を第2番目の元ヒータ線というとき、
該第2番目の元ヒータ線は前記第2のバスバに到達し接続されており、
第2番目の元ヒータ線が前記第1のバスバから伸長され、前記第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから前記後部窓ガラス板の左右中央に達するまでの途中で、第2番目の元ヒータ線から分岐した分岐ヒータ線を有し、該分岐ヒータ線は一旦下方又は略下方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、第2番目の元ヒータ線が第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、上方又は略上方に曲がり伸長された後、第2番目の元ヒータ線に合流し接続される請求項5に記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項7】
前記自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、前記後部窓ガラス板の左右中央側の、前記第1のアンテナ導体の端部に接触し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第3の仮想直線といい、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、後部窓ガラス板の左右中央側の、前記第2のアンテナ導体の端部に接触し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第4の仮想直線というとき、
前記第1のバスバと第3の仮想直線との間において、前記最高位の元ヒータ線と、該最高位の元ヒータ線の直下の前記ヒータ線との間の間隔が42mm以上であり、
前記第2のバスバと第4の仮想直線との間において、前記最高位の元ヒータ線と、該最高位の元ヒータ線の直下のヒータ線との間の間隔が42mm以上である請求項5又は6に記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項8】
前記第1のバスバ近傍の前記最高位の元ヒータ線の部分と、該部分の直下の前記ヒータ線との間の間隔が42mm以上であり、
前記第2のバスバ近傍の最高位の元ヒータ線の部分と、該部分の直下のヒータ線との間の間隔が42mm以上である請求項5〜7のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項9】
前記最高位の元ヒータ線から分岐される前記分岐ヒータ線を最高位の分岐ヒータ線というとき、最高位の分岐ヒータ線が1本、2本又は3本である請求項5〜8のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項10】
自動車の後部窓ガラス板に、該後部窓ガラス板の右端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第1のバスバが設けられ、該後部窓ガラス板に、該後部窓ガラス板の左端部側に上下方向又は略上下方向に伸長される第2のバスバが設けられており、水平方向又は略水平方向に伸長され、第1のバスバと第2のバスバとを接続する、それぞれが平行又は略平行である複数本のヒータ線が後部窓ガラス板に設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部の右側に第1のアンテナ導体が設けられており、デフォッガの領域以外の、後部窓ガラス板の上方余白部の左側に第2のアンテナ導体が設けられている自動車用高周波ガラスアンテナにおいて、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第1のアンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第1の仮想直線といい、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、第2のアンテナ導体の中心又は重心を貫通し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第2の仮想直線といい、
第1のバスバの最上部又は最上部近傍を起点にして後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され第2のバスバの最上部又は最上部近傍に到達して接続されるヒータ線を最高位の元ヒータ線というとき、
該最高位の元ヒータ線は最高位の元ヒータ線が第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板の左右中央に達するまでの途中で、最高位の元ヒータ線から分岐した分岐ヒータ線を有し、該分岐ヒータ線は一旦上方又は略上方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、最高位の元ヒータ線が第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、下方又は略下方に曲がり伸長された後、最高位の元ヒータ線に合流し接続されており、
最高位の元ヒータ線の直下のヒータ線であって、第1のバスバを起点にして後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され第2のバスバに到達し接続されるヒータ線を第2番目の元ヒータ線というとき、
該第2番目の元ヒータ線は第2番目の元ヒータ線が第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板の左右中央に達するまでの途中で、第2番目の元ヒータ線から分岐した分岐ヒータ線を有し、該分岐ヒータ線を第2番目の分岐ヒータ線というとき、該第2番目の分岐ヒータ線は一旦上方又は略上方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、第2番目の元ヒータ線が第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、下方又は略下方に曲がり伸長された後、第2番目の元ヒータ線に合流し接続されることを特徴とする自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項11】
前記最高位の元ヒータ線と前記第2番目の元ヒータ線との間の間隔が42mm以上である請求項10に記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項12】
前記自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、前記後部窓ガラス板の左右中央側の、前記第1のアンテナ導体の端部に接触し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第3の仮想直線といい、
自動車の長手方向及び鉛直方向に平行な面に平行な直線であって、後部窓ガラス板の左右中央側の、前記第2のアンテナ導体の端部に接触し、複数本のヒータ線のうちの少なくとも1本を貫通する直線を仮定し、該直線を第4の仮想直線というとき、
第1のバスバと第3の仮想直線との間において、前記最高位の元ヒータ線と前記第2番目の元ヒータ線との間の間隔が42mm以上であり、
第2のバスバと第4の仮想直線との間において、最高位の元ヒータ線と第2番目の元ヒータ線との間の間隔が42mm以上である請求項10又は11に記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項13】
前記第1の仮想直線と前記最高位の元ヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から第1の仮想直線上に沿って下方に270mmまでの線状領域における前記後部窓ガラス板に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位の元ヒータ線を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)であるか、
又は、第1の仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から第1の仮想直線上に沿って下方に270mmまでの線状領域に最近傍の後部窓ガラス板の領域に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位のヒータ線を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)であり、
前記第2の仮想直線と最高位の元ヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から第2の仮想直線上に沿って下方に270mmまでの線状領域における後部窓ガラス板に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位の元ヒータ線を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)であるか、
又は、第2の仮想直線と最高位のヒータ線とが交差するか、又は、立体交差する箇所から第2の仮想直線上に沿って下方に270mmまでの線状領域に最近傍の後部窓ガラス板の領域に設けられているヒータ線の本数密度が、最高位のヒータ線を含めて、0.0148〜0.026(本/mm)である請求項5〜12のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項14】
前記最高位の元ヒータ線から分岐した前記分岐ヒータ線を最高位の上側分岐ヒータ線というとき、最高位の元ヒータ線は最高位の上側分岐ヒータ線とは別に最高位の下側分岐ヒータ線を有しており、
該最高位の下側分岐ヒータ線は、最高位の元ヒータ線が前記第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから前記後部窓ガラス板の左右中央に達するまでの途中で、最高位の元ヒータ線から分岐し一旦下方又は略下方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、最高位の元ヒータ線が前記第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、上方又は略上方に曲がり伸長された後、最高位の元ヒータ線に合流し接続されている請求項10〜13のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項15】
前記第2番目の分岐ヒータ線を第2番目の上側分岐ヒータ線というとき、前記第2番目の元ヒータ線は第2番目の上側分岐ヒータ線とは別に下側に分岐ヒータ線を有しており、この下側の分岐ヒータ線を第2番目の下側分岐ヒータ線というとき、
第2番目の下側分岐ヒータ線は、前記第2番目の元ヒータ線が前記第1の仮想直線に交差するか、又は、立体交差してから後部窓ガラス板の左右中央に達するまでの途中で、第2番目の元ヒータ線から分岐し一旦下方又は略下方に伸長された後、水平方向又は略水平方向に曲がって後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され、第2番目の元ヒータ線が前記第2の仮想直線に交差するか、又は、立体交差する箇所に達するまでの途中で、上方又は略上方に曲がり伸長された後、第2番目の元ヒータ線に合流し接続される請求項10〜14のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項16】
前記最高位の元ヒータ線の直下の前記ヒータ線であって、前記第1のバスバを起点にして前記後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され前記第2のバスバに到達し接続されるヒータ線を第2番目のヒータ線というとき、最高位の元ヒータ線と2番目のヒータ線との間の分枝ヒータ線が1本である場合に
前記後部窓ガラス板の左右中央の最上部から該後部窓ガラス板の左右中央の最下部まで伸長される直線を仮定し、該直線を左右中央線といい、
該左右中央線と交差するか、又は、立体交差する、前記分枝ヒータ線を含めた前記ヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をDといい、
第1の仮想直線と交差するか、又は、立体交差するヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をDといい、
第2の仮想直線と交差するか、又は、立体交差するヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をDというとき、
1.8×D≦D≦2.2×D、かつ、1.8×D≦D≦2.2×Dである請求項5〜15のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項17】
前記最高位の元ヒータ線の直下の前記ヒータ線であって、前記第1のバスバを起点にして前記後部窓ガラス板の左右中央方向に伸長され前記第2のバスバに到達し接続されるヒータ線を第2番目のヒータ線というとき、最高位の元ヒータ線と2番目のヒータ線との間の分枝ヒータ線が2本である場合に
前記後部窓ガラス板の左右中央の最上部から該後部窓ガラス板の左右中央の最下部まで伸長される直線を仮定し、該直線を左右中央線といい、
該左右中央線と交差するか、又は、立体交差する、前記分枝ヒータ線を含めたヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をDといい、
第1の仮想直線と交差するか、又は、立体交差するヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をDといい、
第2の仮想直線と交差するか、又は、立体交差するヒータ線の複数の箇所のうちで、最高位の箇所と、該最高位の箇所の直下の箇所との間隔をDというとき、
2.7×D≦D≦3.3×D、かつ、2.7×D≦D≦3.3×Dである請求項5〜15のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項18】
前記Dが42mm以上であり、前記Dが42mm以上である請求項16又は17に記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項19】
前記Dが40mm以下である請求項16〜18のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項20】
アンテナ導体がデジタルテレビ放送の受信用である請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項21】
第1のアンテナ導体及び第2のアンテナ導体がデジタルテレビ放送の受信用である請求項5〜19のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項22】
前記第1のバスバの下方には、第1のバスバの伸長方向と1直線状に伸長されている第3のバスバが配設されており、前記第2のバスバと第3のバスバとが、水平方向又は略水平方向に伸長されている複数本のヒータ線により接続されている請求項5〜21のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項23】
前記第2のバスバの下方には、第2のバスバの伸長方向と1直線状に伸長されている第3のバスバが配設されており、前記第1のバスバと第3のバスバとが、水平方向又は略水平方向に伸長されている複数本のヒータ線により接続されている請求項5〜21のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項24】
受信する電波の周波数が、470〜770MHzの間に存在する周波数を含む請求項1〜23のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項25】
受信する電波の周波数が、470〜600MHzの間に存在する周波数を含む請求項1〜23のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項26】
受信する電波の周波数が、698〜806MHzの間に存在する周波数を含む請求項1〜23のいずれかに記載の自動車用高周波ガラスアンテナ。
【請求項27】
請求項1〜4及び請求項24〜26のいずれかに記載されている、前記アンテナ導体及び前記デフォガが設けられている後部窓ガラス板。
【請求項28】
請求項5〜26のいずれかに記載されている、前記第1のアンテナ導体、前記第2のアンテナ導体及び前記デフォガが設けられている後部窓ガラス板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−295536(P2007−295536A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59989(P2007−59989)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】