説明

自動車車体部品の製造用の、特に鋼製の、シート状金属プレートの製造方法

本発明は、自動車車体部品を製造する、特に鋼製の、シート状金属プレートに関する。軽量材料を使用しているのに関わらず、高圧力がかかる部分で十分に強固な車体部品を製造するために、局所強化ゾーン(13,14)を有するシート状金属プレート(11)を提供する。前記利点に対して、シート状金属プレート(11)は、直線シーム(10)によって、カットメタルシート少なくとも2つ(7,9)から結合される。カットメタルシート(7)の少なくとも1つは、強化ストリップ(2,3)中に置かれている各々の強化ゾーン(13,14)に対して異なる強度を有する複数の平行ストリップ(2〜6)を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、局所強化ゾーン少なくとも1つを有する自動車車体部品の製造用の、特に鋼製の、シート状金属プレートに関する。
【0002】
前記の種類のシート状金属プレートは当業界で公知である。自動車車体部品、例えば、ドアの内側パネル又はボンネット及びハッチバックは、前記シート状金属プレートから切り抜かれる。一方で、可能な限り低い重量の要件を満たすために、他方では、重要な部分、例えば、ヒンジ用の連結部分での十分な強度を満たすために、シート状金属プレート中のカットアウトへ延びている非線形シームによって、成形された強化シートを溶接する原理が知られている(DE19524235A1)。局所強化を有する前記シート状金属プレートの製造は、費用がかかり、そして、結果として大量のスクラップを出す。
【0003】
本発明は、スクラップを生じることなくシンプルに製造することができ、そして、高い機械的応力を受ける領域において適当な強度を伴っている、軽量構造の要件を満たすシート状金属プレートを開発する目的に基づくものである。
【0004】
本発明によると、直線状に延びている接合ラインによって、シート状金属セクション少なくとも2つからシート状金属プレートを接合し、それによって、前記シート状金属セクションの少なくとも1つは、相互に平行して延びる厚さの異なる複数のストリップを有し、そして、局所強化ゾーンの各々が強化されたストリップ中に位置している、請求項の前提部に記載の種類のシート状金属プレートにより前記目的が達成される。
【0005】
技術的製造の観点から、本発明は、以下の工程により特徴づけられる:
(a)連続製造加工において、シート状ストリップの縦方向に対して平行に延びており、そして、異なる厚さ及び/又は品質を有するストリップから、シート状金属ストリップを製造し、
(b)前記シート状金属ストリップから、直線状の切断末端部を有する個々のシート状金属セクションを、所定の長さで切断し、そして、
(c)局所強化ゾーンが、より大きな厚さ及び/又はより高い品質を有するストリップ中に位置するような方法で、第1シート状金属セクションのストリップの縦方向に対して横方向へ直線状に延びる接合ラインによって、前記シート状金属ストリップの第1シート状金属セクションを第2シート状金属セクションへ接合する。
【0006】
本発明により、連続的に製造され、線のある(gestreiften)ストリップの利点を活用して、シート状金属プレートの特定の1つ又は複数の部分において、1つ又はそれ以上の強化ゾーンを得る。この場合において、強化ゾーンが必要とされる場所にだけ「線のあるシート」を使用する。残りの領域においては、単純なシートを使用することができる。線形シームが延長していることによって、特に、線のあるストリップの製造の間の結合工程において、そして、前記ストリップのシート状金属セクション及び第2シート状金属セクション用の結合工程において、最小限の結合工程だけが必要とされる点で本発明は有利である。
【0007】
ストリップの配置を個々の部品に適合させることを理解されたい。本発明の枠組みにおいては、線のあるストリップが、線のないストリップへの結合用として、あるいは、同一の、又は、異なる種類の線のあるストリップへの結合用として提供される。シート状ストリップの選択は、製造すべき部品に基づいており、これにより、線のあるシート状ストリップは、補強が必要な領域にだけ使用される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面に基づいて、本発明を以下に説明する:
【図1】自動車のドアの内側パネル用のシート状金属プレートの異なる製造工程を示す説明図である。
【図2】自動車のハッチバックの内側パネル用の切り抜かれたシート状金属プレートを示す説明図である。
【図3】自動車のボンネットの内側パネル用の切り抜かれたシート状金属プレートを示す説明図である。
【0009】
本発明の原理を、図1に記載のドアの内側パネル製造の実施例によって詳細に示す。
【0010】
形材の圧延によって、又は、個々のストリップ2〜6をレーザーで接合することによって連続的な製造加工中に製造される、縦方向に線のあるシート状ストリップ1を開始点として取り扱う。前記シート状ストリップ1は、2つの厚いストリップ2,3を有する。これに対し、その他のストリップ4,5,6は薄いストリップである。シート状ストリップの縦方向に対して横方向に延びている直線切断によって、シート状ストリップ1から個々のシート状金属セクション7を切断する。実施態様例とは別に、前記切断をシート状ストリップの縦方向に対して斜めにすることもできる;重要な要素は直線の切断末端である。
【0011】
これと平行して、同様に、シート状ストリップの縦方向に対して横方向に又は斜めに連続する直接切断によって、比較的薄く、そして、第1シート状ストリップ1の薄いストリップ4,5,6の厚さに相当する第2シート状ストリップ8から、シート状金属セクション9を切断する。次に、特に、レーザー溶接ビームによって、直線の切断末端を有する2つのシート状金属セクション7,9を共に突き合わせて、そして、接合し、直線接合ライン10を生じさせる。個々の製造工程において、スクラップを生じることがない。
【0012】
次に、シート状金属プレート11から、ドアの内側パネル12が切断される。図1の図面の下側から分かるように、局所強化ゾーン13,14は、ドアヒンジを設置することができる厚いストリップ2,3中に存在する。切り抜かれたドア内側パネル12は、次に、プレス中で最終成形される(図1には図示せず)。
【0013】
図2の実施態様例は、直線の接合ライン17によって、3つの線のある(dreifach gestreiften)シート状金属セクション15と、線のないシート状金属セクション16とから接合されるシート状金属プレートを示している。この場合において、外側ストリップ19,20はより厚いシートからなっており、これらの領域中に、ヒンジ用の局所強化ゾーン21,22が設置される。中間ストリップ23は、比較的薄い。
【0014】
直線状に延びる接合ライン26によって、異なった「線のあるシート状ストリップ」の2つのシート状金属セクション24,25から、図3の実施態様例のシート状金属プレートを接合する。シート状金属セクション24が、厚いシートのストリップ27と、薄いシートのストリップ28とからなるのに対し、シート状金属セクション25は、厚いシートの外側ストリップ29,30の2つと、それらの中間に位置する幾分か薄いシートの中間ストリップ31と、それらよりも更に薄いシートのストリップ32,33の2つとを有するストリップからなる。この場合においても、個々の領域におけるシートの異なる厚さは、機械的安定性(mechanische Stabilitaet)の局所必要性を考慮したものである。機械的安定性の必要性が低い領域においてのみ、最も薄いシートを使用する。従って、強化ゾーン34〜37におけるシート厚は、その他の領域よりも大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所強化ゾーン(13,14,21,22,34〜37)少なくとも1つを有する自動車車体部品の製造用の、シート状金属プレートであって、
直線状に延びている接合ライン(10,17,26)によって、シート状金属セクション(7,9,15,16,24,25)少なくとも2つからシート状金属プレート(11)を接合し、それによって、シート状金属セクション(7,15,24,25)少なくとも1つは、相互に平行に延びている厚さの異なる複数のストリップ(2,3,4,5,6,19,20,23,27,28,29〜33)を有し、そして、各々の局所強化ゾーン(13,14,20,21,34〜37)が、強化されたストリップ(2,3,19,20,27,29,30)中に位置することを特徴とする、特に鋼製の、前記シート状金属プレート。
【請求項2】
以下の工程:
(a)連続製造加工において、シート状ストリップの縦方向に対して平行に延びており、そして、異なる厚さ及び/又は品質を有するストリップ(2〜6)から、シート状金属ストリップ(1)を製造し、
(b)前記シート状金属ストリップ(1)から、直線状の切断末端部を有する個々のシート状金属セクション(7)を、所定の長さで切断し、そして、
(c)局所強化ゾーン(13,14)が、より大きな厚さ及び/又はより高い品質を有するストリップ(2,3)中に位置するような方法で、第1シート状金属セクション(7)のストリップ(2,3,4,5)の縦方向に対して横方向へ直線状に延びる接合ライン(10)によって、前記シート状金属ストリップ(1)の第1シート状金属セクション(7)を第2シート状金属セクション(9)へ接合する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート状金属プレート(11)を製造する方法。
【請求項3】
前記シート状金属プレートが、線のある複数のシート状ストリップ(及び場合により、線のない1つのシート状ストリップ)のシート状金属セクション(15,16,24,25)2つから接合されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
線のある複数の前記シート状ストリップが、異なった線を有していることを特徴とする、請求項3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−509797(P2007−509797A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537091(P2006−537091)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010763
【国際公開番号】WO2005/051747
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500169782)ティッセンクルップ スチール アクチェンゲゼルシャフト (45)
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel AG
【Fターム(参考)】