自己乳化組成物、その使用および製造方法
機械的な均質化なしに調製される自己乳化組成物の調製を記載する。この自己乳化組成物は、1種または2種の界面活性剤を用いて調製される。これによって、油成分に対して乳化成分の重量比が低く、化学的毒性の懸念が少ないという利点が得られ、結果として2つを超える乳化剤を使用するエマルジョンを上回る快適かつ安全な利点が得られる。結果的に、開示された自己乳化組成物は、眼への治療剤の投与を含む眼科の適用のために理想的に適切である。開示された方法によって調製される自己乳化組成物が記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一態様では、眼科用組成物を含むナノテクノロジー自己乳化組成物、並びにこれらを製造および使用する方法に関する。このエマルジョンは、分子の自己アセンブリを利用して、油滴構造をナノメーターおよびサブミクロンの大きさで生成する。
【背景技術】
【0002】
水中油型エマルジョンの代表的な調製方法は、水相中に水溶性成分を溶解する工程と、油相中に油溶性成分を溶解する工程を包含している。油相は、数分から数時間にわたって数千r.p.m.で水相中に強制的に分散混合される。このような方法を使用する製造手順は、資本設備における大きな投資を伴い、時間を消費し、大きいバッチサイズに容易に大規模化できない。また、この形式の方法によって調製される水中油型エマルジョンを、粘度上昇剤を組み込むことなく2年という商業上所望される貯蔵期間にわたって安定化することは一般に困難である。しかし、高い粘性はしばしば、眼科用溶液には望ましくなく、コンタクトレンズケア溶液にはほぼ例外なく受け入れられない。2年間という貯蔵期間は時には、このエマルジョンを凍結保存した場合に達成できる。しかし、凍結を採用することは、製品の流通を制限する。
【0003】
後には組成物の汚染をもたらす細菌の増殖を容易に促進する多くの水中油型エマルジョンには、滅菌は必須である。標準的な方法によって調製されるエマルジョンで生じる問題は、濾過技術を用いて容易に滅菌されないということである。水中油型エマルジョンを含む眼科用組成物の濾過滅菌は、加熱滅菌に伴う方法の複雑さおよび費用などの問題の故に、加熱滅菌よりも好ましい。また、熱を用いる滅菌手順では組成物の成分の沈殿および/または不活性化も生じ得る。
【0004】
さらに、従来の方法で調製された水中油型エマルジョンは一般に、高い界面活性剤対オイル比を必要とする。低い界面活性剤対オイル比を有する水中油型エマルジョンでは一般に、高い界面活性剤対オイル比を有するエマルジョンよりも高い眼の快適性が得られる。眼の快適性は、点眼剤およびコンタクトレンズ多目的溶液のような製品における商業上の成功には決定的に重要である。
【0005】
さらに、従来の方法で調製された水中油型エマルジョンは一般に、高い界面活性剤対オイル比を生じる2種以上の界面活性剤を必要と要する。このような水中油型エマルジョンは、引用して本明細書に組み込む、米国特許出願第10/349,466号(2003年1月22日出願)に記載されている。これは、低い毒性を達成し、組成物の複雑性を増加するという問題もたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
標準的な技術によって調製される水中油型エマルジョンにおけるこれらの限界及び他の限界を考慮すると、容易に調製および滅菌され、貯蔵安定性である水中油型エマルジョンを有することが有利である。このような組成物、およびこのような組成物を製造する方法を提供することが本発明の目的である。これらの眼科組成物は、高い快適性を要する適用のために低い界面活性剤対オイル比を有しており、乳化を達成するために使用する界面活性剤はより少ない。これらの組成物は高分子の油滴構造をナノメートルのスケールで生成し、従ってナノテクノロジーの例である、分子自己アセンブリ方法を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
自己乳化水中油型エマルジョン組成物、その使用および製造方法が記載される。好ましい態様では、自己乳化眼科組成物、使用および調製の方法が記載される。一態様では、水相中に分散された1ミクロン未満の平均粒径を有する油球を含む自己乳化組成物が記載される。この小球は、1種または2種の界面活性剤を含む界面活性剤成分と;極性油状成分とを含む。これら界面活性剤成分および油状成分は、機械的均質化なしに混合された場合に自己乳化するように選択される。界面活性剤成分は、自己乳化に寄与しない他の界面活性剤を含んでもよい。
【0008】
一態様では、本明細書に記載の自己乳化組成物の界面活性剤成分は疎水性部分を有し、この疎水性部分は、油球の内部に向かって配向されたこの界面活性剤成分の疎水性部分の第二部分よりも大きい、水相に対して近位に配向された第一部分を含む。好ましい態様では、この界面活性剤成分は、1種の界面活性剤を含み、この界面活性剤の疎水性部分の第一部分がこの界面活性剤の疎水性部分の第二部分より多くの原子を含む。
【0009】
別の好ましい態様では、この界面活性剤成分は2種の界面活性剤を含む。第一の界面活性剤は、第一の疎水性部分を含み、第二の界面活性剤が第二の疎水性部分を含む。この第一の界面活性剤の第一の疎水性部分は、この第二の界面活性剤の第二の疎水性部分よりも長い鎖を有する。
【0010】
いくつかの態様では、自己乳化組成物は、自己乳化を阻害しないさらなる界面活性剤を含んでもよい。
【0011】
好ましい態様では、自己乳化組成物の油状成分はヒマシ油または天然油を含んでもよい。
【0012】
好ましい態様では、この界面活性剤成分は、少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族アルコール鎖から形成される少なくとも1つのエーテルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖から形成される少なくとも1つのエステルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも1種のビタミンまたはビタミン誘導体から形成される少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミドを有する化合物;並びに2つ以下の界面活性剤からなるそれらの組み合わせ、からなる群より選択される。
【0013】
特に好ましい態様では、この界面活性剤成分は、Lumulse GRH-40である。別の好ましい態様では、この界面活性剤成分は、TGPSである。
【0014】
好ましくは、油球は、0.25ミクロン未満、さらに好ましくは0.15ミクロン未満という平均粒径を有する。
【0015】
この自己乳化組成物は、治療組成物中で用いられてよく、この治療組成物は、本明細書に記載の自己乳化組成物を治療薬と組み合わせて含む。好ましい態様では、この治療薬は、シクロスポリン、プロスタグランジン、ブリモニジンまたはブリモニジン塩であってもよい。好ましい態様では、このオイルはヒマシ油のような天然油である。最も好ましい態様では、この治療組成物は、単一の界面活性剤を含み、これはLumulse GRH-40である。
【0016】
本明細書に記載の自己乳化組成物を含む眼科用組成物が特に好ましく、上記の自己乳化組成物を、眼に投与された場合に治療的である薬物と組み合わせて含む。好ましい態様では、このオイルはヒマシ油のような天然油である。最も好ましい態様では、この治療組成物は、単一の界面活性剤を含み、これはLumulse GRH-40である。
【0017】
本発明の別の要旨は、本明細書に記載の自己乳化組成物を製造する方法に関しており、この方法は:
極性油と1種または2種の界面活性剤を含む界面活性剤成分とを含む油相を調製する工程であって、この油相中のこの極性油およびこの界面活性剤成分が液体状態である工程と;
自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程と;
機械的均質化なしに油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程と;
を包含する。
【0018】
好ましい態様では、この方法は、油相と水相の一部との間でペーストを形成する工程と、このペーストを水相の残部と混合してエマルジョンを形成する工程とを包含する。
【0019】
一態様では、以下の工程によって生成できる自己乳化組成物が記載される:極性油と1種または2種の界面活性剤を含む界面活性剤成分とを含む油相を最初に調製する工程であって、この油相中の極性油および界面活性剤成分が液体状態である工程;第二に、自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程;最後に、機械的均質化なしに油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程。
【0020】
一態様では、本明細書に記載の方法によって生成される自己乳化組成物は、界面活性剤成分を含み、これは単一の界面活性剤である。好ましい態様では、オイルは、天然油、好ましくはヒマシ油である。好ましい態様では、界面活性剤成分は、少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪アルコール鎖から形成される少なくとも1つのエーテルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖から形成される少なくとも1つのエステルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも1種のビタミンまたはビタミン誘導体から形成される少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミドを有する化合物;並びに2つ以下の界面活性剤からなるそれらの組み合わせであってもよい。
【0021】
最も好ましい態様では、この界面活性剤成分は、Lumulse GRH-40である。別の好ましい態様では、この界面活性剤成分は、TGPSである。
【0022】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって調製された自己乳化組成物を治療薬と組み合わせて含む治療組成物を包含する。好ましい態様では、この治療化合物は、シクロスポリン、プロスタグランジン、ブリモニジンおよびブリモニジン塩から選択される。好ましい態様では、このオイルはヒマシ油のような天然油である。最も好ましい態様では、この治療組成物は、単一の界面活性剤を含み、これはLumulse GRH-40である。
【0023】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって調製された自己乳化組成物を眼に投与された場合治療的である薬物と組み合わせて含む眼科用組成物を包含する。好ましい態様では、このオイルはヒマシ油のような天然油である。最も好ましい態様では、この眼科用組成物は、単一の界面活性剤を含み、これはLumulse GRH-40である。
【0024】
特定の態様では、本発明は、水相に分散された1ミクロン未満の平均粒径を有する油球を含む眼科用溶液に関するが、この油球は、1種または2種の界面活性剤である界面活性剤成分と、極性の油状成分と、亜塩素酸塩防腐剤成分とを含む。好ましくは、この界面活性剤成分および油状成分は、機械的均質化なしに混合された場合、自己乳化するように選択される。さらに好ましくは、この眼科用溶液はまた、陽イオン性抗菌剤を含み、陽イオン性抗菌剤は、ポリ[ジメチルイミノ−w−ブテン−1,4−ジイル]クロリド、α−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム]−ジクロリド(Polyquaternium 1TM)、ポリ(オキシエチル(ジメチルイミノ)エチレンジメチルイミニオ)エチレンジクロリド(WSCPTM)、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)、ハロゲン化ベンザルコニウム、アレキシジンの塩、アレキシジン遊離塩基、クロルヘキシジンの塩、ヘキセチジン、アルキルアミン、アルキルジ−アミンおよびトリ−アミン、トロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ヘキサメチレンビグアニドまたはそれらのポリマー、抗菌ポリペプチド、並びにそれらの混合物である。好ましくは、この亜塩素酸塩防腐剤成分は、安定化二酸化塩素(SCD)、亜塩素酸金属またはそれらの混合物である。好ましい態様では、眼科用溶液は、コンタクトレンズの多目的溶液である。好ましい態様では、自己乳化組成物は、Lumulse GRH-40およびヒマシ油を含む。
【0025】
本発明のいくつかの態様は、コンタクトレンズを洗浄する方法に関するが、この方法は、水相中に分散した1ミクロン未満の平均粒径を有する油球の組成物中にこのレンズを浸漬する工程であって、この小球が1種または2種の界面活性剤である、界面活性剤成分;および極性油成分を含み、この界面活性剤成分および油成分は、機械的な均質化なしに混合された場合に自己乳化するように選択される工程を包含する。さらに好ましくはこの方法はまた、この組成物を調製する工程と、この組成物中にこのコンタクトレンズを浸漬する前に少なくともレジメン(処方計画)消毒標準までこの組成物の抗菌活性を増大する工程とを包含する。さらに好ましくは、この抗菌活性は、この組成物にレンズを浸漬する前に少なくとも2週間、最も好ましくは少なくとも1ヶ月待機するによって増大される。好ましくはこの溶液は、この組成物中にレンズを浸漬する前に室温で2〜4週間保存される。
【0026】
ある態様は、コンタクトレンズを洗浄する方法に関するが、この方法は、組成物中にこのレンズを浸漬する工程を包含し、この組成物は、極性油と1種または2種の界面活性剤である界面活性剤成分とを含む油相を調製する工程であって、この油相中のこの極性油およびこの界面活性剤成分が液体状態である工程と;自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程と;機械的均質化なしに油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程とによって生成できる自己乳化組成物である。より好ましくは、この方法はまた、組成物を調製する工程と、この組成物中にコンタクトレンズを浸漬する前に少なくともレジメン消毒標準までこの組成物の抗菌活性を増大する工程とを包含する。さらに好ましくは、この抗菌活性は、この組成物にレンズを浸漬する前に少なくとも2週間、最も好ましくは少なくとも1ヶ月待機するによって増大される。好ましくはこの溶液は、この組成物中にレンズを浸漬する前に室温で2〜4週間保存される。
【0027】
本発明のさらなる要旨特徴および利点は、以下の好ましい態様の詳細な説明から明らかとなる。
【0028】
本発明のこれらおよび他の特徴は、好ましい実施形態の図面を参照して、以下に記載するが、これら実施形態は本発明を具体的に説明するものであって、本発明を限定することは意図していない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
水中油型エマルジョン、好ましくは自己乳化水中油型エマルジョンを含む新規な改良された眼科用組成物、このような組成物を製造または調製する方法、並びにこのような組成物を用いる方法が開発され、この分野では予期できなかった改善が達成されている。本発明のエマルジョン含有組成物は、比較的容易かつ単純に調製され、貯蔵安定性であり、例えば、ほぼ室温で少なくとも約1年間または約2年以上という有効期間を有する。さらに、本発明の組成物は、例えば、滅菌濾過技術を用いて有利に容易に滅菌され、その組成物が汚染されたとしても、微生物増殖の可能性または危険性を排除するか、または少なくとも実質的に低減する。
【0030】
本発明の組成物は、好ましくは自己乳化エマルジョンを含む。すなわち、本発明の水中油型エマルジョンは、好ましくは、剪断速度で少量の分散物混合物を用いることで、より好ましくは実質的には剪断速度での分散混合なしに形成できる。剪断速度での分散混合はまた、機械的均質化として公知である。エマルジョンを形成する機械的均質化は典型的には、1000r.p.m.より大きい剪断速度で、より典型的には、数千r.p.m.で、さらには10,000r.p.m.以上で生じる。換言すれば、本発明の自己乳化エマルジョンは、好ましくは少量の剪断を用いて、より好ましくは実質的に剪断を用いずに形成され得る。さらに、本発明のエマルジョンは、油または油状成分に対して比較的低重量比の乳化成分または界面活性剤成分を有し、従って、局所的眼科用適用形態にとって有利に安全かつ快適である。このような低い界面活性剤対オイル比を有する水中油型エマルジョンは、高い界面活性剤対オイル比を有する水中油型エマルジョンよりも自己乳化により容易に調製され得る。
【0031】
本発明の組成物の局所的眼科適用形態としては、限定はしないが、ドライアイ処置および他の処置のための点眼剤、眼への薬物または治療成分の送達のための形態、およびコンタクトレンズのケアのための形態が挙げられる。本発明の組成物は、ドライアイおよび同様の状態、並びに他の眼の状態を処置するために極めて有用である。さらに、本発明の組成物は、薬物送達のためのキャリアまたはビヒクル、例えば、眼へのもしくは眼を通じた治療成分の送達のためのキャリアまたはビヒクルにおいて、またはそのようなキャリアもしくはビヒクルとして用いられる。
【0032】
本発明の組成物のコンタクトレンズケア適用物としては、限定はしないが、洗浄、リンス、消毒、保存、浸漬、潤滑化、再加湿およびその他のコンタクトレンズ処理のために有用な組成物が挙げられ、これにはこのような機能の2つ以上を果たすのに有効な組成物、すなわち、いわゆる多目的コンタクトレンズケア組成物、他のコンタクトレンズケア関連組成物などが挙げられる。本発明のエマルジョンを含むコンタクトレンズケア組成物としてはまた、コンタクトレンズ装用者の眼に、例えば、コンタクトレンズの装着の前、間および/または後に投与される組成物が挙げられる。
【0033】
コンタクトレンズケア組成物、例えば、多目的、再湿潤および他のコンタクトレンズケア組成物へのエマルジョンの組み込みによって、エマルジョンのみで得ることができる機構を通じて、さらなるドライアイの予防の有用性または利点が追加され、レンズおよび/または眼に対する潤滑が得られる。コンタクトレンズケア組成物に組み込まれたエマルジョンによって得られるさらなる有用性または利点としては、限定はしないが、増強されたコンタクトレンズ洗浄、コンタクトレンズ水分損失の防止、コンタクトレンズへのタンパク質沈着の阻害などを挙げることができる。
【0034】
本発明は、水中油型エマルジョン、好ましくは自己乳化水中油型エマルジョンを含む眼科用組成物を提供する。これらの水中油型エマルジョンは、油状成分、例えば、限定はしないが、ヒマシ油;および2つ以下の乳化剤または界面活性剤を含む水性成分を含む。ただ1種または2種の乳化剤の使用によって、乳化成分対油状成分の低い重量比が得られ、かつ化学毒性の懸念が低くなり、結果として3つ以上の乳化剤を使用するエマルジョンを上回る快適性かつ安全性の面で利点が得られる。
【0035】
油状成分および界面活性剤成分または界面活性剤はエマルジョンの自己乳化を促進するように化学的に構造的に適合させることが有利である。本発明では、界面活性剤成分とは、自己乳化組成物中に存在して、自己乳化に寄与する1種または2種の界面活性剤を意味する。1種または2種の界面活性剤は、自己乳化が達成できるように、界面活性剤の疎水性構造とオイルとの間の非共有結合的相互作用に基づいて、選択されたオイルに親和性を有していなければならない。一要旨では、親和性は、極性油と、類似の極性の界面活性剤との使用に関する。本明細書において用いる場合、極性油とは、オイルが、その分子の疎水性部分に酸素、窒素およびイオウのようなヘテロ原子を含むことを意味する。好ましい実施形態では、記載される自己乳化エマルジョンは、少なくとも1種の極性油を含む。
【0036】
さらに、1種または2種の界面活性剤は、クサビまたはパイ部分形状であり、界面活性剤構造の親水性部分により近いクサビ構造のより大きい末端を有する、化学的構造を形成することができなければならない。すなわち、より大きい界面活性剤の部分が水相に向けて配向されて、油相に向けて配向されている界面活性剤の一部よりも多くの原子を含む。界面活性剤成分が2種の界面活性剤を含む場合、第一の界面活性剤の疎水性部分は、クサビ形状の形成を促進するように、第二の界面活性剤の疎水性部分よりも長い鎖を有し得る。
【0037】
本発明の界面活性剤成分を形成するのに有用な界面活性剤は、単独でまたは混合物として用いられる場合、水溶性であることが有利である。これらの界面活性剤は好ましくは非イオン性である。存在する界面活性剤成分の量は、多数の因子、例えば、組成物中の他の成分などに依存して広範に変化する。界面活性剤成分の総量はしばしば、約0.01〜約10.0w/w%の範囲である。このさらなる界面活性剤が自己乳化を阻害しないような濃度で存在する場合、さらなる界面活性剤が自己乳化組成物に存在してもよく、本発明の範囲に包含される。
【0038】
本発明の水中油型エマルジョンにおける界面活性剤成分対油状成分の比、例えば重量比は、許容できるエマルジョンの安定性および能力が得られるように、好ましくは自己乳化水中油型エマルジョンが得られるように、選択される。当然ながら、界面活性剤成分対油状成分の比は、使用される特定の界面活性剤および油、最終の水中油型エマルジョンに所望される特定の安定性および能力の特性、特定の適用または最終の水中油型エマルジョンの使用などの因子に依存して、変化する。例えば、油状成分に対する界面活性剤成分の重量比は、約0.05〜約20の範囲で変化し得る。
【0039】
本明細書に記載されているような界面活性剤の機能によって、有効かつ有用な眼科用組成物であって、本発明の組成物によって処理されているコンタクトレンズに対して、このようなコンタクトレンズの装用者に対して、またはこのような組成物が投与されるヒトもしくは動物に対して、いかなる実質的または顕著な有害効果を有さない組成物が得られる。
【0040】
眼科用組成物は、限定はしないが、ヒマシ油などの油状成分を含む。本発明の組成物を形成するために1種以上のオイルまたは油状物質を用いる。任意の適切なオイルもしくは油状物質、またはオイルもしくは油状物質の組み合わせは、このようなオイルおよび/または油状物質が本発明の組成物において有効であり、この組成物を投与されるヒトもしくは動物に対して、または処理されているコンタクトレンズに対して、または処理されたコンタクトレンズの装着に対して、または処理されたコンタクトレンズの装用者に対して、いかなる実質的または重大な有害効果をも生じない限り、使用することができる。油状成分は、例えば、限定はしないが、性質上極性であってもよいし、天然または合成に由来してもよい。天然油は、植物また種子などの植物の一部から得ることができ、またはマッコウクジラ油、タラ肝油などのような動物供給源から得ることもできる。油は、脂肪酸のモノ、ジもしくはトリグリセリドであってよく、またはグリセリドの混合物、例えば、ヒマシ油、ココナッツオイル、タラ肝油、コーン油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、ベニバナ油、ダイズ油およびヒマワリ油であってもよい。オイルは、またエステル形の直鎖モノエチレン酸およびアルコール、例えば、ホホバ油およびマッコウクジラ鯨油から構成されてもよい。オイルは合成、例えばシリコーン油であってもよい。オイルはまた、水不溶性の非揮発性液体有機化合物、例えば、ビタミンEアセテート異性体のラセミ混合物から構成されてもよい。上記のタイプのオイルの混合物も用い得る。
【0041】
天然で安全であり、優先する眼科または他の薬学的用途を有し、色はほとんどなく、時間が経過しても容易に変色せず、広がったフィルムを容易に形成し、粘着性なしに表面を潤滑にするオイルが好ましい。ヒマシ油は好ましいオイルである。
【0042】
一実施形態では、本発明は自己乳化水中油型エマルジョンである眼科用組成物、並びにこのような眼科用組成物を製造する方法および使用する方法に関する。これらの組成物は、眼およびコンタクトレンズケアに有用である。これらのエマルジョンは、分子の自己アセンブリ方法を使用して、高分子油滴構造をナノメートルおよびサブミクロンのスケールで生成し、したがってナノテクノロジーの例である。このエマルジョンは分子の自己アセンブリを介してミリ秒ないし分単位で容易に調製される。このエマルジョンは、濾過滅菌されてもよく、貯蔵安定性である。エマルジョンは、1種または2種のみの界面活性剤乳化剤を使用して、低い界面活性剤対オイル比を達成する。この組成物は、眼に対して快適であり、かつ非毒性である。
【0043】
本発明のエマルジョンの局所眼科用適用物としては、ドライアイ処置のための点眼剤、眼へのおよび眼を通じた薬物の送達のための組成物、およびコンタクトレンズケア溶液が挙げられる。コンタクトレンズケア溶液の適用物としては、多目的洗浄、リンス、消毒および保存溶液、並びに再湿潤、眼内洗浄および眼のための他の溶液が挙げられる。
【0044】
ドライアイ処置のための点眼剤、コンタクトレンズ再湿潤および多目的溶液への水中油型エマルジョンの配合によって、空気−涙滴の界面に、またはコンタクトレンズが存在する場合にはさらにコンタクトレンズ−涙滴の界面に、油層を提供することによって、ドライアイの防止およびコンタクトレンズ水分損失の予防というさらなる有用性が追加される。この油相は、水の蒸発、従って損失を遅らせることによって、ドライアイまたはコンタクトレンズの水分損失を妨げるように機能する。コンタクトレンズの表面上の油層はまた、特に硬質ガス透過性コンタクトレンズに、長期潤滑層を提供し得る。コンタクトレンズの表面上の油層はまた、コンタクトレンズへのタンパク質沈着を阻害し得る。
【0045】
本発明の自己乳化、水中油型エマルジョンは、2つの一般的タイプを有する。第一のタイプは、1種界面活性剤系である。第二のタイプは、2種界面活性剤系である。いずれの場合も、必要なのは、(1)要件(2)が同時に満たされる場合、自己乳化が達成できるように、界面活性剤がこの界面活性剤の疎水性構造とオイルとの間の非共有結合的な相互作用に基づいて、選択されたオイルに親和性を有していなければならない;および(2)界面活性剤は、クサビ構造の大きい末端が界面活性剤構造の疎水性部分に近くにありながら、クサビまたはパイ部分形状である化学構造を有していなければならない;ということである。このクサビ形状は、水−油の界面で、隣接する界面活性剤のクサビの分子自己アセンブリに起因して、球状の油滴湾曲を誘導すると考えられる。従って、クサビ形状の界面活性剤分子の形状は、油滴の曲率に深く関連する。隣接する界面活性剤分子の親水性部分の間の水相中での立体的な反発によってこれが促進される。好ましくは、これらの親水性部分は、適切な長さのポリエチレンオキシド鎖からなる。好ましくは、このポリオキシエチレンオキシド鎖は、7〜20個のエチレンオキシド単位の長さである。上述の2つの構造的要件が界面活性剤およびオイルの対について満足される場合、界面活性剤および油状成分の濃度を変化させて、自己乳化の実証的検定が行なわれる。自己乳化の実証的検定は、本明細書に記載される自己乳化エマルジョンの調製方法を使用して行われる。エマルジョンは肉眼で観察して、凝集、クリームまたは水相と油相との間の相分離の発生がなく、均一であると思われる場合、またエマルジョンの油滴サイズ分布がエマルジョンの安定性について特定の製品基準を満たす場合に、許容できるとみなされる。
【0046】
実際には、界面活性剤は、0.05〜1ミクロン、好ましくは0.05〜0.25ミクロンの粒径範囲の液滴を形成し得る場合、本明細書に記載される水中油型エマルジョンを自己乳化するための良好な候補である。
【0047】
1成分界面活性剤系の例としては、PEGヒマシ油のようなポリエトキシル化油が挙げられる。ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体は、エチレンオキシドでのヒマシ油または硬化ヒマシ油のエトキシル化によって形成される。ヒマシ油は一般に、約87%のリシノール酸、7%のオレイン酸、3%のリノール酸、2%のパルミチン酸、および1%のステアリン酸から構成される。エチレンオキシドとヒマシ油とのモル比を変更しての反応によってPEGヒマシ油の異なる生成物が得られる。PEGヒマシ油の例は、Lambent Technologies Corporation(Skokie, IL)によって製造されたLumulse GRH-40である。単一の界面活性剤およびオイルの対の好ましい例は、界面活性剤Lumulse GRH-40とヒマシ油である。
【0048】
Lumulse GRH-40は、硬化ヒマシ油の40モルエトキシレートである。Lumulse GRH-40は、3つのリシノール酸グリセロールエステル鎖の9−位炭素でのヒマシ油の接触水素化、その後の12−ヒドロキシステアリン酸グリセロールエステルの3つの12−ヒドロキシ基の各約13個のエトキシ基でのエトキシル化により、生成される。Lumulse GRH-40によるヒマシ油の自己乳化は、この分子のクサビ形状の疎水性部分を形成するための、ステアリン酸エステル基の残りの10炭素アルキルセグメントに対してエトキシル化12−ヒドロキシ基から遠位の6−炭素アルキル鎖の内側への折り畳みと、水相の外側へのエトキシ基の配向と、ヒマシ油相への分子のクサビ形状疎水性部分(水相から離れて内向きに面するクサビの狭い部分)の配向と、ヒマシ油に対するこの分子のクサビ形状の疎水性部分の親和性とに起因して生じる。
【0049】
ヒマシ油と組み合わせて用いるためのLumulse GRH-40の最適な量は、1.0w/w%のヒマシ油に対して約0.8w/w%のLumulse GRH-40である。しかし、最終エマルジョンの所望の特性に応じて、ヒマシ油と組み合わせてより高用量または低用量を用いてもよい。一般に、Lumulse GRH-40対ヒマシ油の重量比は、0.6〜0.8の範囲内、好ましくは約0.8である。
【0050】
Lumulse GRH-40は、2種の界面活性剤からなる自己乳化エマルジョンを生成するために、他の界面活性剤、例えばPolysorbate-80(Tween−80、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)と組み合わせてもよい。このような組成物では、自己乳化は主にLumulse GRH-40によって促進されると考えられる。第二の界面活性剤(例えば、Polysorbate-80)は、Polysorbate-80の疎水性鎖(オレイン酸エステル鎖)の類似化学構造、並びにヒマシ油(12−ヒドロキシオレイン酸エステル鎖)およびLumulse GRH-40(ステアリン酸エステル鎖)の化学構造に起因してGRH-40の乳化作用を阻害しない。阻害しない第二の界面活性剤は低濃度で存在する。すなわち、非阻害界面活性剤の濃度は、十分低く、その結果自己乳化を阻害しない。
【0051】
2種の界面活性剤は、界面活性剤が自己乳化水中油型エマルジョンを形成する能力に関して特定のオイルに適合するように選択されてよい。両方の界面活性剤とも各々が、自己乳化を達成するための2つの化学的構造の要件を満たさなければならない:(1)各々の界面活性剤は、要件(2)が同時に満たされる場合、自己乳化が達成できるように、その界面活性剤の疎水性構造とオイルとの間の非共有結合的な相互作用に基づいて、選択されたオイルに親和性を有していなければならない;および(2)この界面活性剤対は、クサビ構造の大きい末端が界面活性剤構造の疎水性部分に近くにありながら、クサビまたはパイ部分形状である化学構造を形成できなければならない。オイルと適合する界面活性剤対の好ましい例は、界面活性剤原料Cremophor RH-40であり、これは2種の界面活性剤およびヒマシ油からなる。BASF Corporation(Parsippany N.J.)製Cremophor RH-40は、75〜78%の2種の界面活性剤:ポリエトキシル化グリセロールのトリヒドロキシステアリン酸エステル、および混合ポリエチレングリコールのヒドロキシステアリン酸(ビス)エステルと、22〜25%の遊離ポリエチレングリコールを含む。従って、Cremophor RH-40原料は、相互に、かつヒマシ油と構造的に関連する2種の界面活性剤を有する。界面活性剤と3つのエステル鎖との、界面活性剤と2つのエステル鎖との組み合わせであって、これら鎖の全てがお互いに親和性を有する組み合わせによって、ヒマシ油の存在下で、この2種の界面活性剤が油滴の界面で交互するクサビ形状の構造の形成が可能になると考えられる。BASF製Cremophor RH-60は、2種の界面活性剤からなる別の界面活性剤原料の例である。Cremophor RH-60は、RH-60ではRH-40よりもポリエチレングルコールによる高い誘導体化が存在すること以外は、Cremophor RH-40と同一である。
【0052】
エマルジョン形成に関与するまたはしない、さらなる界面活性剤が添加されてもよい。
【0053】
1成分系の別の例では、トコフェロールポリエチレングリコール−コハク酸エステル(TPGS、Eastman Chemical Company, Kingsport, TNから入手可能)のような界面活性剤を利用する。TPGSは、狭い部分でトコフェロールとのクサビを形成し得、PEGは外側部分で、コハク酸エステルはそれらの間で共有結合を形成し得る。
【0054】
本発明に用いることができる界面活性剤のタイプのさらに一般的な説明は:(a)1〜100個のエチレンオキシド単位から形成される少なくとも1つのエーテル、および12〜22の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪アルコール鎖;(b)1〜100個のエチレンオキシド単位から形成される少なくとも1つのエステル、および12〜22の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖;(c)1〜100個のエチレンオキシド単位から形成される少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミド並びに少なくとも1つのビタミンまたはビタミン誘導体、および(d)2つ以下の界面活性剤からなる上記の混合物;からなる群より選択される界面活性剤を包含する。
【0055】
本発明の水中油型エマルジョンの調製方法は一般に以下のとおりである。水溶性成分である非乳化剤を、水性(水)相に溶解し、乳化剤を含む油溶性成分を油相に溶解する。2つの相(油および水)は適切な温度まで別々に加熱される。この温度は、両方の場合に同じであり、一般には固体または半固体の油もしくは油相中の乳化剤の場合、溶融成分の最高融点よりも2〜3度ないし5〜10度高い。油相が室温で液体である場合、適切な温度は、水相の最高融点成分の融点でルーチン実験によって決定される。油相または水相のいずれかの全ての成分がそれぞれの相において室温で可溶である場合、加熱は必要としない。温度は、全ての成分が液状であるがその成分の安定性を損なわない程度に十分高くなければならない。作業温度の範囲は一般に約20℃〜約70℃である。水中油型エマルジョンを生成するには、最終の油相を、中間の、好ましくは脱イオン化水相中に、または最終の水相中に穏やかに混合して、適切な分散体を形成して、生成物を、撹拌しながらまたは撹拌せずに、冷却する。最終の油相を中間の水相中にまず穏やかに混合する場合、このエマルジョン濃縮物はその後に最終水相と適切な比で混合される。このような場合、このエマルジョン濃縮物および最終水相は、同じ温度である必要も室温を上回って加熱される必要もない。何故なら、エマルジョンが既にこの温度で形成されているからである。
【0056】
1種の乳化剤中のエチレンオキシド単位の量が大きすぎる場合、自己乳化のプロセスで半固体が形成され得る。一般に、界面活性剤がその構造中に10個を超えるエチレンオキシド単位を有する場合、界面活性剤および油相を、総組成物水の少量、例えば0.1〜10%と混合して、最初にペーストを形成し、これをその後に残部の水と組み合わせる。次いで、水和された乳化剤が完全に溶解されてエマルジョンが形成されるまで穏やかな混合が必要であるかもしれない。
【0057】
一実施形態では、界面活性剤およびオイルを最初に組み合わせて加熱する。次いで、少量の水相を油相に添加して、ペーストを形成する。本発明では、ペーストは、流動しない半固体の調製物と規定される。添加される水相の量は、0.1〜10%、好ましくは、0.5〜5%、最も好ましくは1〜2%であってもよい。ペーストが形成された後、さらなる水を上記と同じ温度でこのペーストに添加する。ある実施形態では、添加される水の量は5〜20%である。次いで、このエマルジョンは穏やかに混合される。ある実施形態では、混合を、30分〜3時間行なってもよい。
【0058】
好ましい実施形態では、次に粒子はサイズ化(粒径調節)される。この目的のために、Horiba LA-920 粒径分析装置を製造業者の指示に従って用いてもよい。好ましい実施形態では、次の工程に送り前に、粒子は0.08〜0.18ミクロンの粒径である。
【0059】
次の工程では、粒子を、水などの他の水性成分および緩衝剤(好ましくはホウ酸系)と混合してもよい。必要に応じて、電解質、例えば、塩化カルシウム二水和物、塩化マグネシウム六水和物、塩化カリウムおよび塩化ナトリウム、並びにKollidon 17 NF を添加してもよい。電解質はエマルジョンを形成するのに必須ではないが、眼の電解質バランスを維持することによって眼の組織の完全性を保存するのに極めて有用である。同様に、緩衝剤は重要ではないが、ホウ酸/ホウ酸ナトリウム系が好ましい。なぜなら、リン酸ベースの緩衝系は好ましい電解質で沈殿するからである。
【0060】
pHは6.8〜8.0に、好ましくは約7.3〜7,7に調節される。このpH範囲は、組織維持および眼の刺激を回避するのに適切である。次いで、防腐剤を添加してもよい。好ましい実施形態では、PurogeneTMを防腐剤として添加する。(PUROGENEは、BioCide International, Inc. Norman, Oklahoma, U.S.Aの商標であり、Allergan, Inc. の商標であるPuriteTMとしても入手可能である)。
【0061】
本発明の水中油型エマルジョンは、オートクレーブ蒸気滅菌を用いて調製後に滅菌してもよいし、または0.22ミクロンの滅菌フィルターを用いるなどの当該分野で公知の任意の手段によって滅菌濾過してもよい。エマルジョンの小滴(または小球または粒子)の粒径および特性が許す場合、滅菌フィルターを使用する滅菌を用いることができる。このエマルジョンの小滴粒径分布は、濾過滅菌できる滅菌濾過メンブレンの粒径カットオフ値を完全に下回る必要はない。エマルジョンの小滴粒径分布が滅菌濾過メンブレンの粒径カットオフ値を超える場合には、このエマルジョンは、濾過メンブレンを通過するときに変形するかまたは許容範囲で変化でき、通過した後には再生できる必要がある。この特性は、エマルジョン小滴粒径分布、並びに濾過の前後の組成物中の総オイルの割合についてのルーチン試験によって、容易に決定される。あるいは、より大きい小滴にサイズ化された物質の少量の損失は許容できる。
【0062】
本発明のエマルジョンは一般には、滅菌濾過の前に浄化フィルターを通して非無菌的に濾過されるか、またはオートクレーブ蒸気滅菌後に無菌的に浄化濾過される。好ましい実施形態では、エマルジョンは、0.22ミクロンのフィルターを用いて濾過滅菌される。好ましくは、エマルジョンの98〜99%が0.22ミクロンのフィルターを通過すべきである。0.22ミクロンを超える粒子は、その形状を一時的に変更することによって通過できる。好ましい実施形態では、滅菌工程の有効性を確証するために、物質を試験する。安定性を維持するために、保存は好ましくは25℃未満で行う。その後、エマルジョンを適切な容器中に無菌的に充填する。
【0063】
本発明は、眼科用組成物、例えば、本明細書のいずれかの箇所に記載される本発明の眼科組成物を用いる方法を提供する。一実施形態では、本発明の方法は、被験体、例えば、ヒトまたは動物の眼に本発明の組成物を、眼に少なくとも1つの利益を提供するのに有効な量および条件で投与する工程を包含する。この実施形態では、本発明の組成物は、ある条件、例えば、ドライアイ、および/または眼の1つ以上の他の状態を処置するために有用な組成物、例えば、治療用組成物などの少なくとも一部を使用し得る。
【0064】
極めて有用な実施形態では、本発明の方法は、コンタクトレンズと本発明の組成物とを、コンタクトレンズおよび/またはコンタクトレンズの装用者に対して少なくとも1つの利点を提供するのに有効な量および条件で接触させる工程を包含する。この実施形態では、本発明の組成物は、コンタクトレンズケア組成物の少なくとも一部として使用される。
【0065】
本発明の組成物が、治療用成分を含む場合、このような組成物は、被験体すなわち、ヒトまたは動物の眼に対して、組成物をこの被験体に所望の治療効果を提供するのに有効な量で投与する工程を包含する方法において用いられてもよい。このような治療効果は、被験体の身体の1つ以上の他の部分に対する、または被験体の身体に対して全身的な、眼科的な治療効果および/または治療効果であり得る。この実施形態では、本発明の水中油型エマルジョンは、治療成分のキャリアまたはビヒクルとして有用な組成物の少なくとも一部として使用される。
【0066】
本発明に従って用いられる水相または成分並びに油相および成分は、本発明の組成物において有効であるように、更に、例えば、組成物に対して、組成物の使用に対して、処置されるコンタクトレンズに対して、処置されるレンズ装用者に対して、または本発明の組成物を眼に入れられるヒトもしくは動物に対して、実質的なまたは重大な有害効果を有さないように、選択される。
【0067】
本発明の液体水性媒体または組成物の成分は好ましくは、媒体または水性成分のpHを所望の範囲内に維持するのに有効な量で存在する緩衝剤成分を含む。本発明の組成物は好ましくは、所望の張度を有する組成物を提供するのに有効な量の張度調節成分を含む。
【0068】
本発明の組成物における水相または成分は、意図される用途に適合したpH、例えば約4〜約10の範囲であるpHを有し得る。種々の慣用の緩衝剤、例えば、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ヒスチジン、トリス、ビス−トリスなど、およびそれらの混合物を使用することができる。ホウ酸塩緩衝剤は、ホウ酸およびその塩、例えば、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムを含む。ホウ酸またはホウ酸の塩を溶液中で生成する、四ホウ酸カリウムまたはメタホウ酸カリウムも使用し得る。ホウ酸ナトリウム十水塩のような水和塩も用い得る。リン酸緩衝剤は、リン酸およびその塩、例えば、M2HPO4およびMH2PO4(ここでMはナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属である)を含む。水和塩も用いられ得る。本発明の一実施形態では、Na2HPO4・7H2OおよびNaH2PO4・H2Oが緩衝剤として用いられる。リン酸塩という用語はまた、溶液中でリン酸またはリン酸の塩を生じる化合物を包含する。さらに、上記の緩衝剤についての有機対イオンも使用され得る。緩衝剤の濃度は、通常約0.01〜2.5w/v%で変化し、好ましくは約0.05〜0.5w/v%で変化する。
【0069】
緩衝剤の種類および量は、処方が、組成物、例えば界面活性剤の機能的な性能基準、および有効期間安定性、抗菌有効性、緩衝能力などの因子を満足するように選択される。緩衝剤はまた、組成物を使用することが意図される眼およびあらゆるコンタクトレンズと適合するpHを提供するように選択される。一般に、ヒトの涙液のpHに近いpH、例えば約7.45のpHが極めて有用であるが、それより広いpH範囲約6〜9、より好ましくは約6.5〜約8.5、さらに好ましくは約6.8〜約8.0も使用できる。一実施形態では、本発明の組成物は約7.0のpHを有する。
【0070】
本発明の組成物のオスモル濃度(浸透圧)は、この組成物の意図する用途に適合する値に等張剤を用いて調節してもよい。例えば、組成物のオスモル濃度は、約0.9w/v%の塩化ナトリウムを含有する水に等しい、正常な涙液のオスモル濃度に近似するように選択され得る。適切な等張化剤の例としては、限定はしないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウム;デキストロース;グリセリン;プロピレングリコール;マンニトール;ソルビトールなどおよびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、この組成物の張度を調整するために、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの組み合わせが用いられる。
【0071】
等張化剤は、典型的には約0.001〜2.5w/v%の範囲の量で用いられる。この量は、眼の組織の完全性を維持するために十分な張度を提供するのに有用であることが見出されている。好ましくは、等張化剤は、150〜450mOsm/kg、より好ましくは約250〜約330mOsm/kg、最も好ましくは約270〜約310mOsm/kgの最終浸透圧値を提供する量で使用される。本発明の組成物の水性成分はより好ましくは、実質的に等張または低張(例えば、わずかに低張、例えば約240mOsm/kg)であるか、および/または眼科的に許容できる。一実施形態では、この組成物は、約0.14w/v%の塩化カリウムおよび0.006w/v%の塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムを含む。
【0072】
張度成分および緩衝剤成分に加えて、本発明の組成物は、1つ以上の他の物質を、例えば、本明細書のいずれかの箇所に記載されるように、例えば、コンタクトレンズおよび/または眼の組織を処置するために、例えば、このような組成物と接触したコンタクトレンズおよび/または眼の組織に対して有益な特性を提供するために、所望の目的に有効な量で、含んでもよい。
【0073】
一実施形態では、本発明の組成物は、例えば、眼に対する、または眼を通した治療剤の送達のための、キャリアまたはビヒクルとして有用である。任意の適切な治療成分は、このような治療成分が組成物の残余成分と適合して、この組成物の残余の機能および特性を過度に妨害せず、本発明の組成物に送達された場合、例えば、所望の治療効果を得るのに有効であり、眼に対してまたは眼を通して投与された場合に有効である条件では、本発明の組成物に含まれてもよい。例えば、極めて有用な実施形態では、眼へのまたは眼を通した疎水性治療成分または薬物の送達が達成され得る。特定の理論または作用の機構に本発明を限定することを望むものではないが、油状成分および界面活性剤成分の疎水性構成要素によって、疎水性治療成分が本発明の組成物中で可溶性、安定性および有効性を維持することが容易になると考えられる。
【0074】
本発明のこの要旨によれば、所望の治療剤または成分の有効量を好ましくは、物理的に組み合わせるか、または本発明の組成物の他の成分と混合して、本発明の範囲内の治療成分含有組成物を形成する。
【0075】
眼に対するまたは眼を通した治療剤の送達のための組成物は、好ましい実施形態であるが、本明細書に記載される自己乳化組成物は、限定はしないが、経口、直腸、膣、非経口、筋肉内、腹腔内、動脈内、クモ膜下腔内、気管支内、皮下、皮内、静脈内、経鼻、口腔内および舌下を含む他の手段を通じた治療剤の送達のために有用であり得る。
【0076】
用いられる治療剤の種類は、所望の治療効果、例えば、処置される疾患または障害または状態に主として依存する。これらの治療剤または成分としては、局所型またはそれ以外の方式で眼にまたは眼を通じて現在または将来的に送達される広範な薬物または物質が挙げられる。有用な治療成分の例としては、限定はしないが:(1)キノロンを含む抗感染および抗菌物質、例えば、オフロキサシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、ガチフロキサシンなど;β−ラクタム系抗生物質、例えば、セフォキシチン、n-ホルマミドイル−チエナマイシン、他のチエナマイシン誘導体、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、カルベニシリン、コリスチン、ペニシリンG、ポリミキシンB、バンコマイシン、セファゾリン、セファロリジン、チブロリファマイシン(chibrorifamycin)、グラミシジン、バシトラシンスルホンアミドなど;アミノグリコシド系抗生物質、例えば、ゲンタマイシン、カナマイシン、アミカシン、シソマイシン、トブラマイシンなど;ナリジクス酸およびその類縁体など;抗菌併用薬、例えば、フルエアラニン/ペンチジドンなど;ニトロフラゾン;など、並びにそれらの混合物;
(2)抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、降圧薬および充血除去剤、例えば、ピリラミン、クロルフェニラミン、塩酸フェニレフリン、塩酸テトラヒドラゾリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリン、アンタゾリンなど、およびそれらの混合物;
(3)抗炎症剤、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メドリゾン、フルオロメトロン、フルオコルトロン、プレドニゾロン、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、トリアムシノロン、スリンダク、それらの塩および対応する硫化物、など、並びにそれらの混合物;
(4)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)成分、例えば、カルボキシル基(−COOH)もしくはカルボン酸部分、またはカルボキシル誘導基もしくはカルボン酸誘導部分を含むものまたは含まないもの;COX-1およびCOX-2と呼ばれる2種のイソ型を有する、シクロオキシゲナーゼ酵素を選択的にまたは非選択的に阻害するNSAID成分;フェニルアルカン酸、例えば、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラク、ピロキシカム、スプロフェンなど;インドール、例えば、インドメタシンなど;ジアリールピラゾール、例えば、セレコキシブなど;ピロロピロール;およびプロスタグランジン合成を阻害する他の薬剤など、並びにそれらの混合物;
(5)縮瞳薬および抗コリン作用薬、例えば、エコチオフェート、ピロカルピン、サリチル酸フィゾスチグミン、ジイシプロピルフルオロホスフェート、エピネフリン、ジピボリイルエピネフリン(dipivolyl epinephrine)、ネオスチグミン、ヨウ化エコチオパート、臭化デメカリウム、カルバコール、メタコリン、ベタネコールなど、およびそれらの混合物;
(6)散瞳薬、例えば、アトロピン、ホマトロピン、スコポラミン、ヒドロキシアンフェタミン、エフェドリン、コカイン、トロピカミド、フェニレフリン、シクロペントレート、オキシフェノニウム、ユーカトロピンなど、およびそれらの混合物;
(7)抗緑内障薬、例えば、プロスタグランジン、例えば、その全体が参考として本明細書に援用される、米国特許第6,395,787号および同第6,294,563号に記載されるものなど、アドレナリン作用薬、例えば、キノキサリン、およびキノキサリン誘導体、例えば、(2−イミドゾリン−2−イルアミノ)キノキサリン、5−ハライド−6−(2−イミドゾリン−2−イルアミノ)キノキサリン、例えば、5−ブロモ−6−(2−イミドゾリン−2−イルアミノ)キノキサリンおよびブリモニジンおよびその誘導体、例えば、その全体が本明細書において参考として援用される、米国特許第6,294,563号に記載のものなど、チモロール、特に、マレイン酸塩およびR−チモロールおよびチモロール誘導体として、並びにチモロールまたはR−チモロールとピロカルピンの組み合わせなど;エピネフリンおよびエピネフリン複合体またはプロドラッグ、例えば、酸性酒石酸塩、ホウ酸塩、塩酸塩およびジピベフリン誘導体など;高浸透圧剤およびジピベフリン誘導体など;ベタキソロール、高浸透圧剤、例えば、グリセロール、マンニトールおよび尿素など、並びにそれらの混合物;
(8)抗寄生虫化合物および/または抗原虫化合物、例えば、イベルメクチン;ピリメタミン、トリスルファピリミジン、クリンダマイシンおよびコルチコステロイド調製物など、およびそれらの混合物;
(9)抗ウイルス化合物、例えば、アシクロビル、5−インド−2’−デオキシウリジン(IDU)、アデノシンアラビノシド(Ara-A)、トリフルオロチミジン、インターフェロンおよびインターフェロン誘導剤、例えば、Poly I:Cなど、並びにそれらの混合物;
(10)炭酸脱水酵素阻害薬、例えば、アセタゾラミド、ジクロルフェナミジン、2−(p−ヒドロキシフェニル)チオ−5−チオフェンスルホンアミド、6−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾール−スルホンアミド 6−ピバロイルオキシ−2−ベンゾチアゾールエンスルホンアミドなど、およびそれらの混合物;
(11)抗真菌剤、例えば、アンフォテリシンB、ナイスタチン、フルシトシン、ナタマイシン、およびミコナゾールなど、並びにそれらの混合物;
(12)疼痛緩和および麻酔剤、例えば、エチドカイン、コカイン、ベノキシネート、塩酸ジブカイン、塩酸ジクロニン、ネパイン、塩酸フェナカイン、ピペロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸テトラカイン、ヘキシルカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカインおよびプリロカインなど、並びにそれらの混合物;
(13)眼科用診断剤、例えば、
(a)網膜を検査するために用いられる診断剤、例えば、塩化ナトリウムフルオレセインなどおよびその混合物;
(b)結膜、角膜および涙管の構造を検査するために用いられる診断剤、例えば、フルオレセインおよびローズベンガルなど、並びにそれらの混合物;
(c)異常な瞳孔反射を検査するために用いられる診断剤、例えば、メタコリン、コカイン、アドレナリン、アトロピン、ヒドロキシアンフェタミンおよびピロカルピンなど、並びにそれらの混合物;
(14)外科手術で補助剤として用いられる眼科用薬剤、例えば、α−キモトリプシン、およびヒアルロニダーゼなど;粘弾性剤、例えば、ヒアルロン酸など、並びにそれらの混合物;
(15)キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびデフェロキサミンなど;並びにその混合物;
(16)免疫抑制剤および代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセート、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、シクロスポリン、例えばA〜I、およびアザチオプリンなど;並びにそれらの混合物;
(17)血管新生抑制剤;
(18)粘膜分泌促進剤;
(19)タンパク質および増殖因子、例えば、上皮増殖因子;
(20)ビタミンおよびビタミン誘導体、例えば、ビタミンA、B12、C、D、E、葉酸およびそれらの誘導体;
(21)硫酸ネオマイシン−デキサメタゾンリン酸ナトリウム、キノロン−NSAIDなどのような上記の抗生物質/抗炎症剤の組み合わせ;並びに併用抗緑内障療法、例えば、マレイン酸チモロール−アセクリジンなど、が挙げられる。
【0077】
治療成分が本発明の組成物中に存在する場合、組成物中のこれら治療成分の量は好ましくは、この組成物が投与されるヒトまたは動物に対して所望の治療効果を提供するのに有効な量である。
【0078】
典型的には、治療成分が存在する場合、本発明の水中油型エマルジョンを含む組成物は、少なくとも約0.001%、例えば、約0.01%から、約5%(w/v)までの治療成分、例えば、医薬または薬物を重量対重量比で含む。従って、例えば、約25mgの組成物を含む液体組成物の1つの液滴から、治療成分の約0.0025mg〜約1.25mgを得る。
【0079】
本発明の薬学的組成物中で用いられる、特定の治療成分、例えば、薬物または医薬は、患者が有しているかもしくは保護されるべきである状態、または患者が罹患している状態の処置、例えば薬理学的処置を患者が要するかまたはそれから利益を享受する種類である。例えば、患者が緑内障を罹患している場合、選択される薬物は、チモールおよび/または1種以上の他の抗緑内障成分であり得る。
【0080】
所望の治療成分の有効な送達を確実にするために、本発明の組成物に添加されるべき治療成分、例えば薬物の正確な量を決定することは当業者の知識の範囲内である。
【0081】
本発明の別の要旨は、ドライアイの処置のための水中油型エマルジョンを含む本明細書に記載された組成物の使用である。この用途のために、当業者によって決定されるとおりの必要な組成物が投与される。例えば、眼科用粘滑剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、他のセルロースポリマー、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300およびPEG400)、Polysorbate-80、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポピドンなど、およびそれらの混合物が本発明の眼科用組成物において、例えばドライアイを処置するために有用な組成物において用いられ得る。
【0082】
別の実施形態では、本発明の組成物は、多目的ケア組成物、硬質ガス透過性コンタクトレンズ浸漬溶液およびコンディショニング溶液、再湿潤組成物およびクリーニング組成物、例えば、眼内洗浄剤、例えばコンタクトレンズケア液として有用である。
【0083】
全てのタイプのコンタクトレンズが、本発明の組成物を用いてケアされ得る。例えば、コンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズ、ハードおよびソフト(柔軟性)酸素透過性コンタクトレンズ、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、シリコーン非ヒドロゲルコンタクトレンズおよび従来のハードコンタクトレンズであってよい。
【0084】
本明細書において用いる場合、多目的組成物とは、コンタクトレンズが目の外にある状態で、少なくとも2つの機能、例えば、洗浄、リンス、消毒、再湿潤、潤滑化、コンディショニング、浸漬、保存およびその他のコンタクトレンズ処理を行なうために有用である。また、このような多目的組成物は、好ましくはコンタクトレンズが目の中にある状態でレンズを再湿潤および洗浄するために有用である。コンタクトレンズが目の中にあるままで、レンズを再湿潤および洗浄するために有用な製品は、しばしば再湿潤剤(re−wetters)または「眼内(in-the-eye)」クリーナー(洗浄液)とも呼ばれる。本明細書において用いる場合、「洗浄」という用語は、指での操作を用いまたは用いずに、あるいは組成物を撹拌する補助デバイスを用いまたは用いずに行う、コンタクトレンズからの沈着物および他の汚染物質の弛緩および/または除去を包含する。本明細書において用いる場合、「再湿潤」という用語は、コンタクトレンズの少なくとも前面の少なくとも一部、例えば少なくとも実質的部分にわたる水の添加を意味する。
【0085】
本発明の組成物は、多目的コンタクトレンズケア組成物として極めて有効であるが、本発明の組成物は、適切な化学的構成を有し、単一のコンタクトレンズ処理を行うように処方され得る。このような単一処理コンタクトレンズケア組成物、および多目的コンタクトレンズケア組成物は、本発明の範囲に包含される。
【0086】
本明細書に記載される組成物を用いるコンタクトレンズを処置するための方法は、本発明の範囲に包含される。一般に、このような方法は、コンタクトレンズに所望の処理をもたらすのに有効な条件でコンタクトレンズとこのような組成物とを接触させる工程を包含する。
【0087】
コンタクトレンズは、多くの場合液状水性媒体の形態の組成物中にレンズを浸漬することによって、組成物と接触され得る。接触の少なくとも一部の間、コンタクトレンズを含む組成物を、例えば、組成物およびコンタクトレンズを含む容器を振盪することによって撹拌して、コンタクトレンズの処理、例えば、レンズからの沈着物の除去を少なくとも促進することができる。このような接触工程の前後に、コンタクトレンズ洗浄においては、コンタクトレンズを手でこすり、このレンズからさらなる沈着物を除去してもよい。この洗浄方法はまた、接触工程の前後にレンズをリンスする工程、および/または装用者の目にレンズを戻す前にレンズをリンスして組成物を実質的に除く工程を包含し得る。
【0088】
さらに、例えば、外科的処置の前、間および/または後に、人工涙液を適用または投与する、眼を洗浄する、並びに眼の組織を灌注(洗浄)する方法は、本発明の範囲に包含される。本明細書のいずれかの箇所に記載されているように、本発明の組成物は、人工涙液、洗眼水および灌注組成物として有用であり、例えば、自然の涙液層を補給/補充するために、外来物、例えば、化学物質もしくは異物に暴露された後に眼を洗浄、水浴、フラッシュもしくはリンスするために、または外科的処置に付された眼組織を灌注するために用いることができる。本明細書における外来物としては、限定はしないが、眼において、アレルギー反応、発赤(紅化)、掻痒、炎症、刺激のような有害な反応を生じる1種以上の花粉、ほこり、ブタクサおよび他の外来抗原が挙げられる。
【0089】
適切な化学的組成を有する本発明の組成物は、上記用途の各々において、および他の眼内適用において有用である。これらの組成物は、常套かつ周知の方法で眼への適用に用いることができる。換言すれば、本発明による組成物は、同様の適用で従来の組成物が用いられるのと実質的に同様の方法で、眼内適用において用いることができる。本明細書のいずれかの箇所で考察されているように、本発明の組成物の利点の1つ以上が、このような眼内使用の結果として得られる。
【0090】
洗浄組成物は、コンタクトレンズを洗浄するために有用な本発明の組成物に包含され得る。存在する場合、洗浄成分は、コンタクトレンズから堆積物または沈着物を除去することを少なくとも促進するのに有効である量、好ましくは除去に有効である量で存在すべきである。
【0091】
一実施形態では、洗浄界面活性剤が使用される。洗浄成分は、コンタクトレンズからの沈着物の除去を少なくとも促進するのに有効な量で供給され得る。レンズに沈着し得る沈着物または堆積物の種類としては、タンパク質、脂質および炭水化物ベースまたはムチンベースの堆積物が挙げられる。1つ以上の種類の堆積物がレンズ上に存在し得る。
【0092】
使用される洗浄界面活性剤成分は、コンタクトレンズの界面活性剤洗浄に従来から使用されている界面活性剤から選択され得る。なかでも好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えば、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマーであるPluronicおよびTetronicシリーズの界面活性剤(両者ともBASF Corp. Performance Chemicals, Mount Olive, NJから入手可能)など、1種以上のビタミン誘導体成分、例えばビタミンE TPGS(D−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)である。
【0093】
一実施形態では、このような洗浄界面活性剤成分を含む本発明による組成物は、約0.01〜1.00w/v%の界面活性剤濃度を有する。しかし、それより高いかまたは低い量を用いてもよい。
【0094】
本発明の組成物はさらに、組成物を微生物汚染から保護するため、および/またはコンタクトレンズを消毒するために、1種以上の抗菌剤(すなわち、防腐剤または消毒剤)を含んでもよい。液状水性媒体中に存在する消毒成分の量は、組成物と接触させたコンタクトレンズを消毒するのに有効な量である。
【0095】
一実施形態では、例えば、多目的コンタクトレンズ組成物が所望される場合、この消毒成分としては、限定はしないが、眼科の適用に用いられる四級アンモニウム塩、例えば、ポリ[ジメチルイミノ−w−ブテン−1,4−ジイル]クロリド、α−[4−tris(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム]−ジクロリド(化学物質登録番号75345-27-6、Onyx CorporationからPolyquaterium 1TMの商品名で入手可能)、Buckman laboratories(Memphis TN)からWSCPの商品名で市販されるポリ(オキシエチル(ジメチルイミノ)エチレンジメチルイミニオ)エチレンジクロリド、ハロゲン化ベンザルコニウム、アレキシジンの塩、アレキシジン遊離塩基、クロルヘキシジンの塩、ヘキセチジン、アルキルアミン、アルキルジ−アミンおよびトリ−アミン、トロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3プロパンジオール)、ヘキサメチレンビグアニドおよびそれらのポリマー、抗菌ポリペプチドなど、およびそれらの混合物が挙げられる。特に有用な消毒成分は、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、Polyquaterium 1、その眼科的に許容できる塩など、およびそれらの混合物の1つ以上から選択される。
【0096】
アレキシジンおよびクロルヘキシジンの塩は、有機塩であっても無機塩であってもよく、典型的には、消毒用グルコン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などである。一般に、ヘキサメチレンビグアニドポリマーは、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)とも呼ばれ、約100,000までの分子量を有する。このような化合物は、公知であり、米国特許第4,758,595号に開示されている。同米国特許の全体を参照して本明細書に組み込む。
【0097】
本発明において有用な消毒成分は、好ましくは、本発明の組成物中に約0.00001%〜約2%(w/v)の範囲の濃度で存在する。
【0098】
より好ましくは、使用者が組成物から消毒されたレンズを取り出して、その後に安全かつ快適な装着のために目にこのレンズを直接入れることができるように、消毒成分が眼科的に許容できるか、または安全な濃度で本発明の組成物中に存在している。
【0099】
コンタクトレンズを消毒成分によって消毒することが好ましい場合、レンズを消毒するのに有効な量の消毒剤を用いる。好ましくは、このような消毒剤の有効量は、コンタクトレンズに対する微生物負荷を3時間で1対数オーダー低下させる。より好ましくは、有効量の消毒剤は、微生物負荷を1時間で1対数オーダー低下させる。
【0100】
消毒成分は好ましくは、本発明の組成物に供給され、より好ましくは、本発明の水性成分に可溶性である。
【0101】
本発明の組成物は、有効量の防腐剤成分を含んでもよい。任意の適切な防腐剤または防腐剤の組み合わせを使用してもよい。適切な防腐剤の例としては、限定はしないが、PurogeneTM、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、Polyquaternium 1、眼科的に許容できるその塩などおよびそれらの混合物、塩化ベンザルコニウム、メチルおよびエチルパラベン、ヘキセチジンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物に含まれる防腐剤成分の量は、組成物を保存するのに有効であるような量であり、使用される特定の防腐剤成分、含まれる特定の組成、関与する特定の適用などの因子に基づいて変化し得る。防腐剤濃度は、多くの場合、組成物の約0.00001%〜約0.05%の範囲、または約0.1%(w/v)であるが、特定の防腐剤の他の濃度を使用してもよい。
【0102】
本発明で用いる防腐剤成分の非常に有用な例としては、限定はしないが、亜塩素酸塩成分が挙げられる。本発明による防腐剤として有用な亜塩素酸塩成分の具体例としては、安定化二酸化塩素(SCD)、亜塩素酸金属など、およびそれらの混合物が挙げられる。工業グレード(またはUSPグレード)の亜塩素酸ナトリウムは、有用な防腐剤成分である。多くの亜塩素酸塩成分、例えばSCDの正確な化学組成は、完全には分かっていない。特定の亜塩素酸塩成分の製造または生成は、McNicholasの米国特許第3,278,447号に記載されている。有用なSCD製品の特定の例としては、Rio Linda Chemical Company, Inc. からDura KlorTMとして市販されているもの、International Dioxide, Inc.(North Kingstown, RI)からAnthium DioxideTMとして販売されているもの、International Dioxide, Inc.からCarnebon 200TM、Advanced Medical Optics, Inc.(Santa Ana, CA)からOcuPureTM、およびBioCide International(Norman, OK)からPurogeneTM(Allergen,Incから入手可能なPuriteTMとしても公知)の商標名で販売されているものが挙げられる。
【0103】
他の有用な防腐剤としては、抗菌ペプチドが挙げられる。とりわけ使用され得る抗菌ペプチドとしては、限定はしないが、ディフェンシン、ディフェンシン関連ペプチド、セクロピン、セクロピン関連ペプチド、マゲイニンおよびマゲイニン関連ペプチド、並びに抗菌、抗真菌および/または抗ウイルス活性を有する他のアミノ酸ポリマーが挙げられる。抗菌ペプチドの混合物または抗菌ペプチドと他の防腐剤との混合物も、本発明の範囲に包含される。
【0104】
本発明の組成物は、粘度調整剤または成分、例えば、セルロースポリマーを含んでもよく、これには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース;カルボマー(例えば、カルボポール、RTM);ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;アルギン酸塩;カラギナン;および糖、カラヤ(ゴム)、アガロース、イナゴマメ、トラガカントおよびキサンタンガムが挙げられる。このような粘度調整剤成分は、使用されるとしても、本発明の組成物に所望の粘度を与えるのに有効な量で使用される。このような粘度調整剤の濃度は、典型的には、全組成物の約0.01〜約5%w/vの範囲で変化するが、特定の粘度調整成分を他の濃度で使用してもよい。
【0105】
ある場合には、本発明の組成物は、微生物の細胞膜を安定化してそれによって最適の消毒活性を妨害する金属イオンに結合させる為に、結合するのに有効な量で封鎖剤または封鎖成分を含むことが望ましい。あるいは、ある場合には、組成物中の他の種との相互作用を防止するために金属イオンと結合することが、所望される。封鎖剤は、含まれるなら、存在する金属イオンの一部、例えば少なくとも主要部分に結合するのに有効な量で含まれる。このような封鎖成分は通常、約0.01〜約0.2w/v%の範囲の量で存在する。有用な封鎖成分の例としては、限定はしないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびそのカリウム塩またはナトリウム塩、および低分子量有機酸、例えばクエン酸および酒石酸、並びにそれらの塩、例えばナトリウム塩が挙げられる。
【0106】
本発明の組成物は、有効量の1種以上のさらなる成分を含み得る。例えば、1種以上のコンディショニング成分または1種以上のコンタクトレンズ湿潤剤など、およびそれらの混合物が含まれてもよい。本発明の組成物中のこれらおよび他のさらなる成分についての許容できる濃度または有効濃度は、当業者に全く明白である。
【0107】
各成分は、固体状または液体状のいずれかで本発明の組成物中に存在し得る。さらなる成分が固体として存在する場合、それらは、粉末または圧縮錠剤として緊密に混合されてよいし、または実質的に別々に、ただし同じ粒子中で、カプセル化されたペレットまたは錠剤であってもよい。さらなる成分は、使用することが所望されるまで固体であってもよく、その際すぐに本発明の組成物の水性成分に溶解または分散されて、例えばコンタクトレンズの表面に有効に接触することができる。
【0108】
任意の成分が含まれる場合、これは、典型的な使用および保存の条件下で、組成物の他の成分と適合性であることが好ましい。
【0109】
特定の実施形態では、本明細書に記載される眼科用組成物の抗菌活性は、生成後に増す。生成後の処理とは、1週間から数ヶ月間、好ましくは2〜6週間、最も好ましくは生成後少なくとも約1ヶ月の機械、組成物を保存することを含み得る。微生物の活性の増加はまた、熱、圧力または酸化条件での処理によって増進され得る。処理を組み合わせて用いてもよい。例えば、組成物は、30〜50℃、より好ましくは約40℃の温度で、少なくとも約2週間、最も好ましくは1ヶ月間保存されてよい。
【0110】
多くのおよび種々の改変が、本発明の要旨から逸脱することなくなされ得ることが当業者に理解される。従って、以下の実施例は、例示のためのみであり、本発明の範囲を限定するとは意図しないことが明確に理解されるべきである。
【実施例1】
【0111】
(眼科用溶液の調製方法)
以下の実施例は、1成分界面活性剤系に関して記載される。この実施例では、PEG−40硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油の40モルエトキシル化誘導体を例にする。図1および表1を参照する。図1は、この方法のフローチャートを示す。表1は、この実施例についての種々の成分の量を示す。
【0112】
PEG-40硬化ヒマシ油(Lumulse GRH-40, Lambent Technologies Corp., Skokie, IL)およびヒマシ油を加熱した。温度は、全ての成分が液状であるが、成分の安定性をs損なうほど高くないという高さでなければならない。本実施例では、60±2℃の温度を用いた。
【0113】
全ての水のうちの少量(1%)を60±2℃で添加して、透明白色ペーストを生成した。このペーストを混合物が均質になるまで混合した。ペーストを形成した後、50〜62℃の間でこのペーストにさらに水を添加した。本実施例では、全ての水のうち7%を添加して、混合物が均質になるまで、混合を200〜1000rpmで1時間行った。この段階で、エマルジョン濃縮物が形成された。
【0114】
次いで、製造業者の指示に従ってHoriba LA-920粒径分析装置を用いて、粒子(液滴)を粒径調節した。好ましくは、この粒子は、次の工程に送る前に、0.08〜0.18ミクロンの粒径であった。
【0115】
エマルジョン濃縮物を、残りの水、緩衝剤、電解質(塩化カルシウム二水和物、塩化マグネシウム六水和物、塩化カリウムおよび塩化ナトリウム)およびKollidon 17NF(表1を参照)の別個に調製された溶液と約30分間混合した。電解質はエマルジョンを形成するためには必要でないが、電解質は、眼内の電解質バランスを維持することによって眼の組織完全性を保存するのに非常に有益である。同様に、緩衝剤は、エマルジョンを形成するためには重要ではないが、適合した眼のpHを適切に維持するために必要である。リン酸ベースの緩衝剤系は電解質により沈殿するため、ホウ酸/ホウ酸塩ナトリウム緩衝剤系が好ましい。
【0116】
pHは、必要であれば10N NaOHを用いて7.35〜7,55に調整した。このpH範囲は、組織維持のために、および眼の刺激を回避するために、適切である。この範囲はまた、防腐剤として添加されたPurogeneTMの安定性のために最適のpH範囲である。次いで、PurogeneTMを表1に示される計算に従って添加した。その後に、pHをチェックして、必要であれば10N NaOHを用いてpH7.5±0.2に調節した。酸pH調節の間に形成される酸の高い局所溶液濃度によって、PurogeneTMの破壊が生じるために、PurogeneTMの添加後、pHは、10N NaOHのような塩基によってしか調整できない。
【0117】
次の工程では、エマルジョンは、滅菌濾過するまで、25℃未満で、暗室で保存した。最大保存時間は72時間である。
【0118】
次いで、この組成物は、0.22ミクロンのフィルターを用いて滅菌する。好ましくはエマルジョンの98〜99%が、0.22ミクロンのフィルターを通過しなければならない。0.22ミクロンより大きい粒子は、その形状を一時的に変化させることによって通過できる。次いで、滅菌工程の有効性を確認するために、この物質を試験した。その後、この物質をビン詰めして保存した。本実施例における充填前の仕様は、pH7.3〜7.7、平均粒径0.09〜0.17ミクロン、および物理的外観乳白色溶液であった。充填後の仕様は、pH7.3〜7.7、潜在的二酸化塩素60〜70ppm、ヒマシ油1.1〜1.4%(w/w)、Kollidon 17 NF 0.2〜0.4%(w/w)、オスモル濃度250〜280mOsm/kg、および米国薬局方無菌性であった。
【表1】
注1)PurogeneTMの計算:添加すべき原料の量は、原料ロットのアッセイに基づいて算出しなければならない。
0.0065%(w/w)×1000g=1000gあたりに必要なPurogeneTM原料のグラム数PurogeneTM原料アッセイ値%(w/w)
1000gあたりに必要なPurogeneTM/1000g×バッチサイズ(g)=必要なPurogeneTM(g)/バッチサイズ
注2)1000gあたりの水の量の計算
添加すべき水の量は、添加すべきPuromegaTMの量に基づいて算出しなければならない。
1000gあたりの水(g)=963.13−1000gあたりに必要なPurogeneTM(g)
【実施例2】
【0119】
<眼科用エマルジョンの細胞毒性の評価のためのニュートラルレッド保持アッセイ>
標準的なニュートラルレッド保持アッセイ(Neutral Red Retention Assay)を用いて溶液の細胞毒性を評価した。ニュートラルレッド保持細胞毒性アッセイの妥当性は、インビボで、組織、例えば眼の組織に刺激または障害性である特定の物質がインビトロで特定の細胞タイプに対して細胞毒性であり、刺激または障害の程度が細胞毒性のレベルと相関しているという確立された観察に基づく。健常で生存能のある細胞では、細胞のリソソームにニュートラルレッド色素が取り込まれて貯蔵される。細胞膜に対する損傷の際、ニュートラルレッド色素は、リソソームから放出される。膜の障害のレベルは細胞によって保持されたままのニュートラルレッドの量に逆相関する。被検剤への曝露後の細胞からの色素の抽出によって、細胞膜の完全性および誘導された細胞毒性の程度を評価する。
【0120】
このアッセイでは、Madin-Darby Canine Kidney(MDCK)細胞を用いた。96ウェル平底組織培養プレートの各ウェルに、200マイクロリットルの完全培地中、1ウェル当1×104個の細胞を添加した。完全培地は、10%ウシ胎仔血清を含む完全増殖培地であるDulbeccoの改変イーグル培地(DMEM)である。細胞を37℃/5%CO2で3〜4日コンフルエンスまで培養した。プレートウェルから培地をデカントし、吸い取った。完全培地1mlあたり最終濃度50μgでニュートラルレッド(200マイクロリットル)を各ウェルに添加して、37℃/5%CO2で3時間培養した。プレートウェルからニュートラルレッド溶液をデカントして、吸い取った。ウェルは、Ca++およびMg++を含むダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)を1ウェルあたり100μl用いて1回洗浄した。DPBSをデカントして、吸い取り、100μlの試験溶液または対照溶液をウェルに添加した。各溶液を1つのカラムで少なくとも6つのウェルに添加し、各プレートの外側のウェルにはコントロールとしてDPBSのみを入れた。各接触時点ごとに別のプレートを指定した。プレートは、指定した接触時間、37℃/5%CO2で培養した。一般に試験した時点は、15、30、60、90、120および180分である。各時点でインキュベーターからプレートを取り出して、デカントして、吸い取り、次いで、1ウェルあたり100μlのDPBSを用いて1回洗浄して、デカントし、吸い取った。次に、100μl/ウェルのニュートラルレッド「洗浄/固定(wash/fix)」溶液を添加して、周囲条件下、室温で5分間静置した。ニュートラルレッド「洗浄/固定」溶液は、1%ホルマリン、1%CaCl2(w/v)および98%蒸留水であった。固定液をデカントして、吸い取り、100μl/ウェルの溶媒溶液を添加した。溶媒溶液は、1%酢酸、50%エタノール、および49%蒸留水であった。プレートを、プレートシェーカー(低速)で周囲条件下、室温で溶媒溶液を用いて10分間抽出した。その後、プレートをマイクロリットルプレート分光光度計により540nmで読み取った。各サンプルまたはコントロールについて全てのウェルの吸光度読み取り値を平均して、DPBS対照と比較して得られたニュートラルレッドの割合として結果を算出した[(試験サンプルの平均吸光度/コントロールの平均吸光度×100)=対コントロール%]。試験結果をニュートラルレッド保持(対コントロール%)(Y軸)対曝露時間(分)(X軸)としてグラフにプロットした。
【実施例3】
【0121】
<細胞毒性研究のための処方>
表2に示した組成物は、本質的に実施例1に記載したように調製した。洗剤Tween 80を含む処方29BB、51C、82B、34AAおよび35Aを、Tween 80なしに調製した処方30Uおよび83Uと比較した。図2のデータから分かるとおり、Tween 80洗剤の有無は、細胞毒性に実質的に影響しなかった。処方29BBおよび34AAは、PurogeneTMなしで調製し、ポリエトキシル化硬化ヒマシ油GRH-40の量をわずかに変化させたが、大きな影響はなかった。処方29BBおよび51Cは、PurogeneTMの濃度でのみ異なるが、120分では、両者は本質的に同じニュートラルレッド保持値79%および82%であった。
【0122】
処方30Uおよび82Bは、表2の他の処方とは、それらがグリセリンを含み、NaClを含まないという点で異なる。EnduraTM処方は、グリセリンも含む。図2から分かるように、グリセリン含有処方は、最も細胞毒性であった。
【0123】
pHは7.19から7.75まで変化させた。処方51Cおよび35Aは、pHでのみ異なり、ここで51Cは7.39のpHを有し、35Aは7.75のpHを有する。120分の時点でのそれらの各ニュートラルレッド保持値は、82%および45%であって、これはpH7.75に起因する実質的な細胞毒性効果を示す。オスモル濃度は、230〜286に及んだ。粒径はほとんど一定であった。全ての処方をEnduraTMと比較した。
【表2】
*EnduraTMはさらに、別の非イオン性浸透圧調節物質を含み、かつ粘度を調節するポリマーを含む。EnduraTMの粒径は実質的に0.15ミクロンより大きく、1.0ミクロン未満である。
【実施例4】
【0124】
<細胞毒性研究のための処方>
表3に示した処方は、本質的に実施例1に記載したように調製した。図3は、表3の処方の細胞毒性データを示す。詳細には、オスモル濃度、Tween 80およびpHの影響を試験した。Povidone、PEG300およびCMCをそれぞれ含む溶液48B、52Aおよび53Bは、各々が167mOsm/kgのオスモル濃度を有し、これが観察された細胞毒性を生じる明確な原因であった。なぜならこれらのポリマーは全て非細胞毒性であるとみなされるからである。溶液44Aおよび47AはTween 80でのみ異なる。それらのそれぞれのニュートラルレッド保持値は120分では、59および63%であった。溶液44Aおよび83Aは、pHでのみ、それぞれ7.35対7.68で異なった。各々のニュートラルレッド保持値は、120分で59%および64%であって、これは、この実験においてpH7.68では効果がないことを示している。
【表3】
【実施例5】
【0125】
<細胞毒性研究の処方>
表4に示した処方は、本質的に実施例1に記載したように調製した。図4は、表4の処方の細胞毒性データを示す。表4については、他に注記しない限り、1000g当りのグラム数で量を示す。細胞毒性は、全ての溶液について同様であった。オスモル濃度の相違が、観察された相違の原因であると考えられ、細胞毒性が大きいほど、低いオスモル濃度を伴う。
【表4】
【0126】
成分量は、他に注記しない限り1000g当りのグラム数である。全ての処方について、平均粒径は、0.120ミクロンであった。累積(99%)粒径は0.264ミクロンであった。
【実施例6】
【0127】
<細胞毒性研究のための処方:CMC、PovidoneおよびPEG-300の効果>
【0128】
表5に示す処方は、本質的に実施例1に記載の通り調製した。表5については、他に注記しない限り、1000g当りのグラム数で量を示す。
【0129】
図5〜7は、表5の処方についての細胞毒性データを示す。処方76A〜Dは、CMCを用いて調製した(図5)。処方75BおよびC並びに73DおよびEは、Povidoneを用いて調製した(図6)。処方73F、G、HおよびIは、PEG-300を用いて調製した(図7)。75Aを除く全ての処方はさらなる防腐剤WSCPを含んでいた。これらの変更要素のうち細胞毒性に実質的に影響したものはなかった。
【0130】
【表5】
表5については、平均粒径は、全ての処方について0.111ミクロンであり、99%累積粒径は、全ての処方について0.213ミクロンであった。
【実施例7】
【0131】
<細胞毒性研究の結果のまとめ>
図2〜7の結果により、グリセリン含有処方30U(pH7.19)、82B(pH7.68)およびEnduraTM(pH7.33)が全て顕著に細胞毒性であることが示される。これらの処方での細胞毒性はまた、低いpH値および高いpH値に起因する。これらの結果は、pHの7.39(51C)から7.75(35A)のシフトによって、溶液が予想どおり、さらに細胞毒性になることがより明確に示している。しかし、小さいpHシフトは十分許容できる。51C中のPurogeneTMの存在は、PurogeneTMを含まない等価な処方29BBおよび34AAの細胞毒性に影響しない。低オスモル濃度(163〜167msOsm/kg)の処方は細胞毒性であった。しかし、溶液の透圧重量モル濃度の変化が小さいほど、細胞毒性には大きな変化を生じなかった。同様に、GRH-40単独、またはPolysorbate-80の存在下では、細胞毒性に著しく影響しない。眼科用粘滑ポリマー、例えば、CMC、PovidoneおよびPEGの存在は、細胞毒性に寄与しなかった。全体として、自己乳化水中油型エマルジョンが1種または2種の界面活性剤から構成され得、その結果、溶液が、先行技術の界面活性剤および粘度に基づくエマルジョン安定性を用いる従来のエマルジョン法によって製造される、現在市販されている水中油型眼科用エマルジョン、EnduraTMよりも、細胞毒性が低いことがこの結果によって確認される。
【0132】
[実施例8〜21]
<さらなる処方例>
実施例8〜21(表6〜11)は、本発明によって調製されたさらなる処方を示す。実施例8は特に、硬化ヒマシ油のエトキシル化から生成された界面活性剤/乳化剤としてCremophor RH-60を例証する。実施例9は、硬化ヒマシ油のエトキシル化から生成された界面活性剤/乳化剤としてCremophor RH-40を例証する。実施例21はTPGSを例証する。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
*ブリモニジン=(5-ブロモ-N-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-6-キノキサリナミン)
【0133】
[実施例25〜28]
<処方安定性:微生物増殖>
表12は、代表的な微生物の増殖に対する影響を研究した処方を示す。全ての濃度は、他に言及しない限り重量%である。実施例25および26では、基本組成物は、「WSCP/亜塩酸塩(WSCP/chlorite)」であって、これはホウ酸(0.6)、ホウ酸ナトリウム・10H2O(0.035)、NaCl(0.35)、CaCl2・2H2O(0.006)、MgCl2・6H2O(0.006)、KCl(0.14)、塩化ナトリウム(65ppm)およびWSCP、60%w/w(3ppm)を含む。ヒマシ油、Lumulse GRH-40およびKollidon 17NF(PVP)を、実施例25および26で示した濃度でWSCP/亜塩酸塩の基本組成物に添加した。実施例26では、ヒマシ油およびLumulse GRH-40を1/8濃度で用いた。エマルジョンのみを希釈し、およびLumulse GRH-40/ヒマシ油の比は0.8で一定のままであった。WSCP/亜塩酸塩の基本組成物およびKollidon 17 NF(PVP)の成分の濃度は一定のままであった。
【0134】
実施例27および28では、「Complete−C」または「CPT-C」と呼ばれる、別の基本組成物を用いた。この基本組成物は、NaCl(0.55)、第二リン酸ナトリウム七水和物(0.12)、第一リン酸ナトリウム一水和物(0.01)、KCl(0,14)、タウリン(0.05)、EDTA(0.01)およびPHMB(1ppm)を含む。ヒマシ油、Lumulse GRH-40およびKollidon 17 NF(PVP)を、実施例27および28に示される濃度でCPT-Cの基本組成物に添加した。実施例28については、エマルジョンのみを1/8希釈まで希釈した(すなわち、ヒマシ油およびLumulse GRH-40)。Lumulse GRH-40/ヒマシ油の比は、0.8で一定のままであった。
【表12】
【0135】
表14は、5種の異なる微生物に対して測定した、表12の処方についての0時点での6時間の対数減少を示す。これらの5種の微生物は、以下に列挙する5つのFDA/ISOが特定した試験微生物に対応する。
Serratia marcescens,ATCC 13880
Staphylococcus aureus,ATCC 6538
Pseudomonas aeruginosa,ATCC 9027
Candida albicans,ATCC 10231
Fusarium solani,ATCC 36031
(FDA Premarket Notification(510k)Guidance Document for Contact Lens Care Products, Appendix B,April 1,1997 およびISO/FDIS 14729:Ophthalmic optics−Contact lens care products−Microbiological requirements and test methods for products and regimens for hygienic management of contact lenses, 2001年1月)。コンタクトレンズ消毒剤は、それがコンタクトレンズのリンス、洗浄、消毒、保存および再湿潤のために用いられる場合、コンタクトレンズの多目的溶液としても公知である。
【0136】
FDAおよびISOのガイドラインは、以下の表13に定義される2つの消毒有効性標準を規定する。
【0137】
【表13】
【0138】
表12に記載した処方が、消毒に関する単独基準または処方計画依存基準を満たすか否かを決定するアッセイを以下に記載する。この手順は、表13の試験微生物の既知数の生きた細胞を用いた試験生成物アリコートの接種、および種々の間隔での生存物についてのアッセイを含む。この結果を用いて浸漬時間での対数減少を計算した。本明細書に記載された処方については、浸漬時間は6時間であって、生存物のアッセイは6時間後に行なった。
【0139】
表12の抗菌溶液の試験サンプル(実施例25〜28)を、0.22ミクロンの滅菌フィルターを通して滅菌濾過し、滅菌プラスチック高密度ポリエチレンボトルまたはプラスチックフラスコ中に入れた。試験サンプルの10mLアリコートを、滅菌ポリスチレンプラスチック試験管に無菌的に移した。0.05w/v%のPolysorbate-80(SS+TWEEN)を含む滅菌生理食塩水(0.90w/v%NaCl)を別のコントロール試験管に移した。全てのサンプルおよびコントロールは、試験の全期間にわたって20〜25℃で保存した。各サンプルおよびコントロールは、1mL のCandida albicans, ATCC 10231につき、約1〜2×108 CFU(コロニー形成単位)を含む50μlの接種物を用いて接種した。これは、表13の4種の他の微生物の各々について、別々の試験管で繰り返した。Candida albicans,ATCC 10231および他の微生物の試験培養物を常套の方法で調製した。各サンプルおよびコントロールの試験管を短時間ボルテックス(渦攪拌)して、接種物を分散した。これらの試験についての接触時間の間隔は6時間であった。
【0140】
生存物のレベルについて試験サンプルを定量するために、好気性プレートカウント方法(Aerobic Plate Count Methods)を行なった。適当なアッセイ時間で、0.5mLの十分にボルテックスしたアリコートをサンプル試験管から取り出して、4.5mLのLetheen Neutralizing Broth培地(Becton,Dickinson and Company, Sparks, Maryland)を含むガラス試験管に添加した。事前に決定された、有効な中和時間の後に、これらのサンプルを、4.5mLのLetheen Neutralizing Broth培地を含むガラス試験管を用い、2回の逐次希釈によって10倍希釈した。0.1mLのアリコートを各希釈試験管から取り出して、Sabouraud Dextrose Agar(SAB)(Becton, Dickinson and Company, Sparks, Maryland)を含む寒天プレートに、スプレッドプレートにより適用した。101〜104CFU/mLの生存物レベルを定量した。SS+TWEENコントロールサンプルを、3回逐次10倍希釈を用いて0の時点でのみ定量して、サンプルの1mLあたりに最初に存在するチャレンジ微生物(最初の接種物)の実際のレベルを決定した。回収した寒天プレートを3〜5日間、20〜25℃で培養した。
【0141】
コロニー形成単位(CFU)の数値は、各々のカウント可能な寒天プレートについてカウントした(Candidaプレートについては1プレートあたり一般に8〜80コロニー)。各時点での生存物の総数は、各々の間隔で最大数のCFUを含む系列10倍希釈寒天プレートについて寒天プレートカウントによって決定した。CFU/mLの対数減少は、各々の間隔での生存物の総数を底10の対数に変換すること、およびSS+TWEENコントロールの最初の接種物の底10の対数同等物からこれを差引きすることによって、各々の時点で各々のサンプルについて決定した。
【0142】
0時点で、および40℃での1ヶ月および2ヶ月の保存後にアッセイを行なった。結果を表13、14および15、並びに図8に示す。「合計」は、試験した全ての微生物についての対数減少の合計である。コントロールは、プロピレングリコール(0.5%)およびHPMC(0.15%)と組み合わせた上記のようなコンプリートC基本組成物であった。
【表14】
【表15】
【表16】
【0143】
これらの結果を図8にグラフで示す。意外なことに、実施例25の処方では、実際に、40℃で1ヶ月間(表15)または2ヶ月間(表15)の処方の保存後に導出した場合、微生物の対数減少がより大きい。実施例25(実施例26)の1/8希釈はまた、保存後の微生物の対数減少の増大を示すが、より低いレベルでは、この影響はLumulse GRH-40/ヒマシ油エマルジョンに起因しており、処方の他の成分に起因するのではないことが示される。しかし、この影響は、他の処方(実施例27〜28)でもコントロールでも観察されなかった。
【0144】
[実施例29〜33]
<低エマルジョンレベルの処方での処方安定性および微生物増殖>
上記で考察された実施例25の処方をさらに分析するために、第二の研究を行なった。実施例29(表17)は、上記の実施例25(表12)と同じ処方である。実施例30〜32の処方では(表17)、ヒマシ油に対するLumulse GRH-40の比は、0.8で一定に保たれるが、Lumulse GRH-40およびヒマシ油の両方の量を表17に示した希釈率まで減少させた。実施例33は、プロピレングリコール(0.5%)およびHPMC(0.15%)と組み合わせて上記のようなコンプリートC基本組成物を含むコントロールである。実施例25〜28について上記したようにアッセイを行なった。
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【0145】
表17〜19および図9から理解されるように、意外なことに、実施例25または29に従って調製されたエマルジョンは、他の処方よりもエージング後の微生物に対して安定性が優れ、かつ耐性である。さらに、この影響は、ヒマシ油に対するLumulse GRH-40の比は0.8で維持されていた、実施例25および29の処方の希釈(実施例30〜32)で観察された。この影響は、コントロールでは観察されなかった(実施例33)。殺菌性の効果は図10によって示されるとおり、エマルジョンに明確に依存しており、25℃での2ヶ月の保存後に対数減少の合計の線形増大をエマルジョン濃度の関数として示す。データは、表20から得た。この研究によって、これらの処方の有用な殺菌性の効果が、エマルジョン自体に起因しており、処方の他の成分に起因してはいなかったことが確認される。
【0146】
多数のおよび種々の改変が本発明の趣旨から逸脱することなく行なうことができるということが当業者には理解される。従って、本発明の形態は、例示されているだけであり、本発明の範囲を限定することは意図していないことが明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、記載された眼科用自己乳化組成物の調製のためのフローチャートを示す。
【図2】図2は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、29BB(−▲−)、30U(−*−)、83A(−■−)、51C(−△−)、82B(−□−)、Endura(−○−)、34AA(−□−)、35A(−◇−)。
【図3】図3は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、44A(−▲−)、48B(−*−)、47(−■−)、98C(−△−)、52A(−□−)、Endura(−○−)、83A(−□−)、53B(−◇−)。
【図4】図4は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、57A(−▲−)、57D(−*−)、58B(−■−)、58E(−△−)、59C(−□−)、59F(−○−)、60A(−□−)、59G(−◇−)。
【図5】図5は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、76A(−▲−)、76B(−*−)、76C(−■−)、76D(−△−)、75A(−□−)、Endura(−○−)。
【図6】図6は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、75A(−▲−)、75B(−*−)、75C(−■−)、73D(−△−)、73E(−□−)、Edura(−○−)。
【図7】図7は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、73FA(−▲−)、73G(−*−)、73H(−■−)、73I(−△−)、75A(−□−)、Edura(−○−)。
【図8】図8は、1×WSCP/亜塩素酸塩(−◆−)、1/8WSCP/亜塩素酸塩(−■−)、1×CPT−Cベース(−▲−)、および1/8×CPT−Cベース(−●−)における微生物レベルの6時間での対数減少を保存時間の関数として示す。
【図9】図9は、9481×(1×)(−◇−)、1/2(−□−)、1/4(−△−)、1/8(−○−)、0(−*−)および完全C(−○−)における微生物レベルの6時間での対数減少を保存時間の関数として示す。
【図10】図10は、実施例29〜33の処方の2ヶ月の保存後に行なった微生物カウントの対数減少合計をエマルジョン濃度の関数として示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一態様では、眼科用組成物を含むナノテクノロジー自己乳化組成物、並びにこれらを製造および使用する方法に関する。このエマルジョンは、分子の自己アセンブリを利用して、油滴構造をナノメーターおよびサブミクロンの大きさで生成する。
【背景技術】
【0002】
水中油型エマルジョンの代表的な調製方法は、水相中に水溶性成分を溶解する工程と、油相中に油溶性成分を溶解する工程を包含している。油相は、数分から数時間にわたって数千r.p.m.で水相中に強制的に分散混合される。このような方法を使用する製造手順は、資本設備における大きな投資を伴い、時間を消費し、大きいバッチサイズに容易に大規模化できない。また、この形式の方法によって調製される水中油型エマルジョンを、粘度上昇剤を組み込むことなく2年という商業上所望される貯蔵期間にわたって安定化することは一般に困難である。しかし、高い粘性はしばしば、眼科用溶液には望ましくなく、コンタクトレンズケア溶液にはほぼ例外なく受け入れられない。2年間という貯蔵期間は時には、このエマルジョンを凍結保存した場合に達成できる。しかし、凍結を採用することは、製品の流通を制限する。
【0003】
後には組成物の汚染をもたらす細菌の増殖を容易に促進する多くの水中油型エマルジョンには、滅菌は必須である。標準的な方法によって調製されるエマルジョンで生じる問題は、濾過技術を用いて容易に滅菌されないということである。水中油型エマルジョンを含む眼科用組成物の濾過滅菌は、加熱滅菌に伴う方法の複雑さおよび費用などの問題の故に、加熱滅菌よりも好ましい。また、熱を用いる滅菌手順では組成物の成分の沈殿および/または不活性化も生じ得る。
【0004】
さらに、従来の方法で調製された水中油型エマルジョンは一般に、高い界面活性剤対オイル比を必要とする。低い界面活性剤対オイル比を有する水中油型エマルジョンでは一般に、高い界面活性剤対オイル比を有するエマルジョンよりも高い眼の快適性が得られる。眼の快適性は、点眼剤およびコンタクトレンズ多目的溶液のような製品における商業上の成功には決定的に重要である。
【0005】
さらに、従来の方法で調製された水中油型エマルジョンは一般に、高い界面活性剤対オイル比を生じる2種以上の界面活性剤を必要と要する。このような水中油型エマルジョンは、引用して本明細書に組み込む、米国特許出願第10/349,466号(2003年1月22日出願)に記載されている。これは、低い毒性を達成し、組成物の複雑性を増加するという問題もたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
標準的な技術によって調製される水中油型エマルジョンにおけるこれらの限界及び他の限界を考慮すると、容易に調製および滅菌され、貯蔵安定性である水中油型エマルジョンを有することが有利である。このような組成物、およびこのような組成物を製造する方法を提供することが本発明の目的である。これらの眼科組成物は、高い快適性を要する適用のために低い界面活性剤対オイル比を有しており、乳化を達成するために使用する界面活性剤はより少ない。これらの組成物は高分子の油滴構造をナノメートルのスケールで生成し、従ってナノテクノロジーの例である、分子自己アセンブリ方法を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
自己乳化水中油型エマルジョン組成物、その使用および製造方法が記載される。好ましい態様では、自己乳化眼科組成物、使用および調製の方法が記載される。一態様では、水相中に分散された1ミクロン未満の平均粒径を有する油球を含む自己乳化組成物が記載される。この小球は、1種または2種の界面活性剤を含む界面活性剤成分と;極性油状成分とを含む。これら界面活性剤成分および油状成分は、機械的均質化なしに混合された場合に自己乳化するように選択される。界面活性剤成分は、自己乳化に寄与しない他の界面活性剤を含んでもよい。
【0008】
一態様では、本明細書に記載の自己乳化組成物の界面活性剤成分は疎水性部分を有し、この疎水性部分は、油球の内部に向かって配向されたこの界面活性剤成分の疎水性部分の第二部分よりも大きい、水相に対して近位に配向された第一部分を含む。好ましい態様では、この界面活性剤成分は、1種の界面活性剤を含み、この界面活性剤の疎水性部分の第一部分がこの界面活性剤の疎水性部分の第二部分より多くの原子を含む。
【0009】
別の好ましい態様では、この界面活性剤成分は2種の界面活性剤を含む。第一の界面活性剤は、第一の疎水性部分を含み、第二の界面活性剤が第二の疎水性部分を含む。この第一の界面活性剤の第一の疎水性部分は、この第二の界面活性剤の第二の疎水性部分よりも長い鎖を有する。
【0010】
いくつかの態様では、自己乳化組成物は、自己乳化を阻害しないさらなる界面活性剤を含んでもよい。
【0011】
好ましい態様では、自己乳化組成物の油状成分はヒマシ油または天然油を含んでもよい。
【0012】
好ましい態様では、この界面活性剤成分は、少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族アルコール鎖から形成される少なくとも1つのエーテルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖から形成される少なくとも1つのエステルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも1種のビタミンまたはビタミン誘導体から形成される少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミドを有する化合物;並びに2つ以下の界面活性剤からなるそれらの組み合わせ、からなる群より選択される。
【0013】
特に好ましい態様では、この界面活性剤成分は、Lumulse GRH-40である。別の好ましい態様では、この界面活性剤成分は、TGPSである。
【0014】
好ましくは、油球は、0.25ミクロン未満、さらに好ましくは0.15ミクロン未満という平均粒径を有する。
【0015】
この自己乳化組成物は、治療組成物中で用いられてよく、この治療組成物は、本明細書に記載の自己乳化組成物を治療薬と組み合わせて含む。好ましい態様では、この治療薬は、シクロスポリン、プロスタグランジン、ブリモニジンまたはブリモニジン塩であってもよい。好ましい態様では、このオイルはヒマシ油のような天然油である。最も好ましい態様では、この治療組成物は、単一の界面活性剤を含み、これはLumulse GRH-40である。
【0016】
本明細書に記載の自己乳化組成物を含む眼科用組成物が特に好ましく、上記の自己乳化組成物を、眼に投与された場合に治療的である薬物と組み合わせて含む。好ましい態様では、このオイルはヒマシ油のような天然油である。最も好ましい態様では、この治療組成物は、単一の界面活性剤を含み、これはLumulse GRH-40である。
【0017】
本発明の別の要旨は、本明細書に記載の自己乳化組成物を製造する方法に関しており、この方法は:
極性油と1種または2種の界面活性剤を含む界面活性剤成分とを含む油相を調製する工程であって、この油相中のこの極性油およびこの界面活性剤成分が液体状態である工程と;
自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程と;
機械的均質化なしに油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程と;
を包含する。
【0018】
好ましい態様では、この方法は、油相と水相の一部との間でペーストを形成する工程と、このペーストを水相の残部と混合してエマルジョンを形成する工程とを包含する。
【0019】
一態様では、以下の工程によって生成できる自己乳化組成物が記載される:極性油と1種または2種の界面活性剤を含む界面活性剤成分とを含む油相を最初に調製する工程であって、この油相中の極性油および界面活性剤成分が液体状態である工程;第二に、自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程;最後に、機械的均質化なしに油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程。
【0020】
一態様では、本明細書に記載の方法によって生成される自己乳化組成物は、界面活性剤成分を含み、これは単一の界面活性剤である。好ましい態様では、オイルは、天然油、好ましくはヒマシ油である。好ましい態様では、界面活性剤成分は、少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪アルコール鎖から形成される少なくとも1つのエーテルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖から形成される少なくとも1つのエステルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも1種のビタミンまたはビタミン誘導体から形成される少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミドを有する化合物;並びに2つ以下の界面活性剤からなるそれらの組み合わせであってもよい。
【0021】
最も好ましい態様では、この界面活性剤成分は、Lumulse GRH-40である。別の好ましい態様では、この界面活性剤成分は、TGPSである。
【0022】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって調製された自己乳化組成物を治療薬と組み合わせて含む治療組成物を包含する。好ましい態様では、この治療化合物は、シクロスポリン、プロスタグランジン、ブリモニジンおよびブリモニジン塩から選択される。好ましい態様では、このオイルはヒマシ油のような天然油である。最も好ましい態様では、この治療組成物は、単一の界面活性剤を含み、これはLumulse GRH-40である。
【0023】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって調製された自己乳化組成物を眼に投与された場合治療的である薬物と組み合わせて含む眼科用組成物を包含する。好ましい態様では、このオイルはヒマシ油のような天然油である。最も好ましい態様では、この眼科用組成物は、単一の界面活性剤を含み、これはLumulse GRH-40である。
【0024】
特定の態様では、本発明は、水相に分散された1ミクロン未満の平均粒径を有する油球を含む眼科用溶液に関するが、この油球は、1種または2種の界面活性剤である界面活性剤成分と、極性の油状成分と、亜塩素酸塩防腐剤成分とを含む。好ましくは、この界面活性剤成分および油状成分は、機械的均質化なしに混合された場合、自己乳化するように選択される。さらに好ましくは、この眼科用溶液はまた、陽イオン性抗菌剤を含み、陽イオン性抗菌剤は、ポリ[ジメチルイミノ−w−ブテン−1,4−ジイル]クロリド、α−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム]−ジクロリド(Polyquaternium 1TM)、ポリ(オキシエチル(ジメチルイミノ)エチレンジメチルイミニオ)エチレンジクロリド(WSCPTM)、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)、ハロゲン化ベンザルコニウム、アレキシジンの塩、アレキシジン遊離塩基、クロルヘキシジンの塩、ヘキセチジン、アルキルアミン、アルキルジ−アミンおよびトリ−アミン、トロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ヘキサメチレンビグアニドまたはそれらのポリマー、抗菌ポリペプチド、並びにそれらの混合物である。好ましくは、この亜塩素酸塩防腐剤成分は、安定化二酸化塩素(SCD)、亜塩素酸金属またはそれらの混合物である。好ましい態様では、眼科用溶液は、コンタクトレンズの多目的溶液である。好ましい態様では、自己乳化組成物は、Lumulse GRH-40およびヒマシ油を含む。
【0025】
本発明のいくつかの態様は、コンタクトレンズを洗浄する方法に関するが、この方法は、水相中に分散した1ミクロン未満の平均粒径を有する油球の組成物中にこのレンズを浸漬する工程であって、この小球が1種または2種の界面活性剤である、界面活性剤成分;および極性油成分を含み、この界面活性剤成分および油成分は、機械的な均質化なしに混合された場合に自己乳化するように選択される工程を包含する。さらに好ましくはこの方法はまた、この組成物を調製する工程と、この組成物中にこのコンタクトレンズを浸漬する前に少なくともレジメン(処方計画)消毒標準までこの組成物の抗菌活性を増大する工程とを包含する。さらに好ましくは、この抗菌活性は、この組成物にレンズを浸漬する前に少なくとも2週間、最も好ましくは少なくとも1ヶ月待機するによって増大される。好ましくはこの溶液は、この組成物中にレンズを浸漬する前に室温で2〜4週間保存される。
【0026】
ある態様は、コンタクトレンズを洗浄する方法に関するが、この方法は、組成物中にこのレンズを浸漬する工程を包含し、この組成物は、極性油と1種または2種の界面活性剤である界面活性剤成分とを含む油相を調製する工程であって、この油相中のこの極性油およびこの界面活性剤成分が液体状態である工程と;自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程と;機械的均質化なしに油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程とによって生成できる自己乳化組成物である。より好ましくは、この方法はまた、組成物を調製する工程と、この組成物中にコンタクトレンズを浸漬する前に少なくともレジメン消毒標準までこの組成物の抗菌活性を増大する工程とを包含する。さらに好ましくは、この抗菌活性は、この組成物にレンズを浸漬する前に少なくとも2週間、最も好ましくは少なくとも1ヶ月待機するによって増大される。好ましくはこの溶液は、この組成物中にレンズを浸漬する前に室温で2〜4週間保存される。
【0027】
本発明のさらなる要旨特徴および利点は、以下の好ましい態様の詳細な説明から明らかとなる。
【0028】
本発明のこれらおよび他の特徴は、好ましい実施形態の図面を参照して、以下に記載するが、これら実施形態は本発明を具体的に説明するものであって、本発明を限定することは意図していない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
水中油型エマルジョン、好ましくは自己乳化水中油型エマルジョンを含む新規な改良された眼科用組成物、このような組成物を製造または調製する方法、並びにこのような組成物を用いる方法が開発され、この分野では予期できなかった改善が達成されている。本発明のエマルジョン含有組成物は、比較的容易かつ単純に調製され、貯蔵安定性であり、例えば、ほぼ室温で少なくとも約1年間または約2年以上という有効期間を有する。さらに、本発明の組成物は、例えば、滅菌濾過技術を用いて有利に容易に滅菌され、その組成物が汚染されたとしても、微生物増殖の可能性または危険性を排除するか、または少なくとも実質的に低減する。
【0030】
本発明の組成物は、好ましくは自己乳化エマルジョンを含む。すなわち、本発明の水中油型エマルジョンは、好ましくは、剪断速度で少量の分散物混合物を用いることで、より好ましくは実質的には剪断速度での分散混合なしに形成できる。剪断速度での分散混合はまた、機械的均質化として公知である。エマルジョンを形成する機械的均質化は典型的には、1000r.p.m.より大きい剪断速度で、より典型的には、数千r.p.m.で、さらには10,000r.p.m.以上で生じる。換言すれば、本発明の自己乳化エマルジョンは、好ましくは少量の剪断を用いて、より好ましくは実質的に剪断を用いずに形成され得る。さらに、本発明のエマルジョンは、油または油状成分に対して比較的低重量比の乳化成分または界面活性剤成分を有し、従って、局所的眼科用適用形態にとって有利に安全かつ快適である。このような低い界面活性剤対オイル比を有する水中油型エマルジョンは、高い界面活性剤対オイル比を有する水中油型エマルジョンよりも自己乳化により容易に調製され得る。
【0031】
本発明の組成物の局所的眼科適用形態としては、限定はしないが、ドライアイ処置および他の処置のための点眼剤、眼への薬物または治療成分の送達のための形態、およびコンタクトレンズのケアのための形態が挙げられる。本発明の組成物は、ドライアイおよび同様の状態、並びに他の眼の状態を処置するために極めて有用である。さらに、本発明の組成物は、薬物送達のためのキャリアまたはビヒクル、例えば、眼へのもしくは眼を通じた治療成分の送達のためのキャリアまたはビヒクルにおいて、またはそのようなキャリアもしくはビヒクルとして用いられる。
【0032】
本発明の組成物のコンタクトレンズケア適用物としては、限定はしないが、洗浄、リンス、消毒、保存、浸漬、潤滑化、再加湿およびその他のコンタクトレンズ処理のために有用な組成物が挙げられ、これにはこのような機能の2つ以上を果たすのに有効な組成物、すなわち、いわゆる多目的コンタクトレンズケア組成物、他のコンタクトレンズケア関連組成物などが挙げられる。本発明のエマルジョンを含むコンタクトレンズケア組成物としてはまた、コンタクトレンズ装用者の眼に、例えば、コンタクトレンズの装着の前、間および/または後に投与される組成物が挙げられる。
【0033】
コンタクトレンズケア組成物、例えば、多目的、再湿潤および他のコンタクトレンズケア組成物へのエマルジョンの組み込みによって、エマルジョンのみで得ることができる機構を通じて、さらなるドライアイの予防の有用性または利点が追加され、レンズおよび/または眼に対する潤滑が得られる。コンタクトレンズケア組成物に組み込まれたエマルジョンによって得られるさらなる有用性または利点としては、限定はしないが、増強されたコンタクトレンズ洗浄、コンタクトレンズ水分損失の防止、コンタクトレンズへのタンパク質沈着の阻害などを挙げることができる。
【0034】
本発明は、水中油型エマルジョン、好ましくは自己乳化水中油型エマルジョンを含む眼科用組成物を提供する。これらの水中油型エマルジョンは、油状成分、例えば、限定はしないが、ヒマシ油;および2つ以下の乳化剤または界面活性剤を含む水性成分を含む。ただ1種または2種の乳化剤の使用によって、乳化成分対油状成分の低い重量比が得られ、かつ化学毒性の懸念が低くなり、結果として3つ以上の乳化剤を使用するエマルジョンを上回る快適性かつ安全性の面で利点が得られる。
【0035】
油状成分および界面活性剤成分または界面活性剤はエマルジョンの自己乳化を促進するように化学的に構造的に適合させることが有利である。本発明では、界面活性剤成分とは、自己乳化組成物中に存在して、自己乳化に寄与する1種または2種の界面活性剤を意味する。1種または2種の界面活性剤は、自己乳化が達成できるように、界面活性剤の疎水性構造とオイルとの間の非共有結合的相互作用に基づいて、選択されたオイルに親和性を有していなければならない。一要旨では、親和性は、極性油と、類似の極性の界面活性剤との使用に関する。本明細書において用いる場合、極性油とは、オイルが、その分子の疎水性部分に酸素、窒素およびイオウのようなヘテロ原子を含むことを意味する。好ましい実施形態では、記載される自己乳化エマルジョンは、少なくとも1種の極性油を含む。
【0036】
さらに、1種または2種の界面活性剤は、クサビまたはパイ部分形状であり、界面活性剤構造の親水性部分により近いクサビ構造のより大きい末端を有する、化学的構造を形成することができなければならない。すなわち、より大きい界面活性剤の部分が水相に向けて配向されて、油相に向けて配向されている界面活性剤の一部よりも多くの原子を含む。界面活性剤成分が2種の界面活性剤を含む場合、第一の界面活性剤の疎水性部分は、クサビ形状の形成を促進するように、第二の界面活性剤の疎水性部分よりも長い鎖を有し得る。
【0037】
本発明の界面活性剤成分を形成するのに有用な界面活性剤は、単独でまたは混合物として用いられる場合、水溶性であることが有利である。これらの界面活性剤は好ましくは非イオン性である。存在する界面活性剤成分の量は、多数の因子、例えば、組成物中の他の成分などに依存して広範に変化する。界面活性剤成分の総量はしばしば、約0.01〜約10.0w/w%の範囲である。このさらなる界面活性剤が自己乳化を阻害しないような濃度で存在する場合、さらなる界面活性剤が自己乳化組成物に存在してもよく、本発明の範囲に包含される。
【0038】
本発明の水中油型エマルジョンにおける界面活性剤成分対油状成分の比、例えば重量比は、許容できるエマルジョンの安定性および能力が得られるように、好ましくは自己乳化水中油型エマルジョンが得られるように、選択される。当然ながら、界面活性剤成分対油状成分の比は、使用される特定の界面活性剤および油、最終の水中油型エマルジョンに所望される特定の安定性および能力の特性、特定の適用または最終の水中油型エマルジョンの使用などの因子に依存して、変化する。例えば、油状成分に対する界面活性剤成分の重量比は、約0.05〜約20の範囲で変化し得る。
【0039】
本明細書に記載されているような界面活性剤の機能によって、有効かつ有用な眼科用組成物であって、本発明の組成物によって処理されているコンタクトレンズに対して、このようなコンタクトレンズの装用者に対して、またはこのような組成物が投与されるヒトもしくは動物に対して、いかなる実質的または顕著な有害効果を有さない組成物が得られる。
【0040】
眼科用組成物は、限定はしないが、ヒマシ油などの油状成分を含む。本発明の組成物を形成するために1種以上のオイルまたは油状物質を用いる。任意の適切なオイルもしくは油状物質、またはオイルもしくは油状物質の組み合わせは、このようなオイルおよび/または油状物質が本発明の組成物において有効であり、この組成物を投与されるヒトもしくは動物に対して、または処理されているコンタクトレンズに対して、または処理されたコンタクトレンズの装着に対して、または処理されたコンタクトレンズの装用者に対して、いかなる実質的または重大な有害効果をも生じない限り、使用することができる。油状成分は、例えば、限定はしないが、性質上極性であってもよいし、天然または合成に由来してもよい。天然油は、植物また種子などの植物の一部から得ることができ、またはマッコウクジラ油、タラ肝油などのような動物供給源から得ることもできる。油は、脂肪酸のモノ、ジもしくはトリグリセリドであってよく、またはグリセリドの混合物、例えば、ヒマシ油、ココナッツオイル、タラ肝油、コーン油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、ベニバナ油、ダイズ油およびヒマワリ油であってもよい。オイルは、またエステル形の直鎖モノエチレン酸およびアルコール、例えば、ホホバ油およびマッコウクジラ鯨油から構成されてもよい。オイルは合成、例えばシリコーン油であってもよい。オイルはまた、水不溶性の非揮発性液体有機化合物、例えば、ビタミンEアセテート異性体のラセミ混合物から構成されてもよい。上記のタイプのオイルの混合物も用い得る。
【0041】
天然で安全であり、優先する眼科または他の薬学的用途を有し、色はほとんどなく、時間が経過しても容易に変色せず、広がったフィルムを容易に形成し、粘着性なしに表面を潤滑にするオイルが好ましい。ヒマシ油は好ましいオイルである。
【0042】
一実施形態では、本発明は自己乳化水中油型エマルジョンである眼科用組成物、並びにこのような眼科用組成物を製造する方法および使用する方法に関する。これらの組成物は、眼およびコンタクトレンズケアに有用である。これらのエマルジョンは、分子の自己アセンブリ方法を使用して、高分子油滴構造をナノメートルおよびサブミクロンのスケールで生成し、したがってナノテクノロジーの例である。このエマルジョンは分子の自己アセンブリを介してミリ秒ないし分単位で容易に調製される。このエマルジョンは、濾過滅菌されてもよく、貯蔵安定性である。エマルジョンは、1種または2種のみの界面活性剤乳化剤を使用して、低い界面活性剤対オイル比を達成する。この組成物は、眼に対して快適であり、かつ非毒性である。
【0043】
本発明のエマルジョンの局所眼科用適用物としては、ドライアイ処置のための点眼剤、眼へのおよび眼を通じた薬物の送達のための組成物、およびコンタクトレンズケア溶液が挙げられる。コンタクトレンズケア溶液の適用物としては、多目的洗浄、リンス、消毒および保存溶液、並びに再湿潤、眼内洗浄および眼のための他の溶液が挙げられる。
【0044】
ドライアイ処置のための点眼剤、コンタクトレンズ再湿潤および多目的溶液への水中油型エマルジョンの配合によって、空気−涙滴の界面に、またはコンタクトレンズが存在する場合にはさらにコンタクトレンズ−涙滴の界面に、油層を提供することによって、ドライアイの防止およびコンタクトレンズ水分損失の予防というさらなる有用性が追加される。この油相は、水の蒸発、従って損失を遅らせることによって、ドライアイまたはコンタクトレンズの水分損失を妨げるように機能する。コンタクトレンズの表面上の油層はまた、特に硬質ガス透過性コンタクトレンズに、長期潤滑層を提供し得る。コンタクトレンズの表面上の油層はまた、コンタクトレンズへのタンパク質沈着を阻害し得る。
【0045】
本発明の自己乳化、水中油型エマルジョンは、2つの一般的タイプを有する。第一のタイプは、1種界面活性剤系である。第二のタイプは、2種界面活性剤系である。いずれの場合も、必要なのは、(1)要件(2)が同時に満たされる場合、自己乳化が達成できるように、界面活性剤がこの界面活性剤の疎水性構造とオイルとの間の非共有結合的な相互作用に基づいて、選択されたオイルに親和性を有していなければならない;および(2)界面活性剤は、クサビ構造の大きい末端が界面活性剤構造の疎水性部分に近くにありながら、クサビまたはパイ部分形状である化学構造を有していなければならない;ということである。このクサビ形状は、水−油の界面で、隣接する界面活性剤のクサビの分子自己アセンブリに起因して、球状の油滴湾曲を誘導すると考えられる。従って、クサビ形状の界面活性剤分子の形状は、油滴の曲率に深く関連する。隣接する界面活性剤分子の親水性部分の間の水相中での立体的な反発によってこれが促進される。好ましくは、これらの親水性部分は、適切な長さのポリエチレンオキシド鎖からなる。好ましくは、このポリオキシエチレンオキシド鎖は、7〜20個のエチレンオキシド単位の長さである。上述の2つの構造的要件が界面活性剤およびオイルの対について満足される場合、界面活性剤および油状成分の濃度を変化させて、自己乳化の実証的検定が行なわれる。自己乳化の実証的検定は、本明細書に記載される自己乳化エマルジョンの調製方法を使用して行われる。エマルジョンは肉眼で観察して、凝集、クリームまたは水相と油相との間の相分離の発生がなく、均一であると思われる場合、またエマルジョンの油滴サイズ分布がエマルジョンの安定性について特定の製品基準を満たす場合に、許容できるとみなされる。
【0046】
実際には、界面活性剤は、0.05〜1ミクロン、好ましくは0.05〜0.25ミクロンの粒径範囲の液滴を形成し得る場合、本明細書に記載される水中油型エマルジョンを自己乳化するための良好な候補である。
【0047】
1成分界面活性剤系の例としては、PEGヒマシ油のようなポリエトキシル化油が挙げられる。ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体は、エチレンオキシドでのヒマシ油または硬化ヒマシ油のエトキシル化によって形成される。ヒマシ油は一般に、約87%のリシノール酸、7%のオレイン酸、3%のリノール酸、2%のパルミチン酸、および1%のステアリン酸から構成される。エチレンオキシドとヒマシ油とのモル比を変更しての反応によってPEGヒマシ油の異なる生成物が得られる。PEGヒマシ油の例は、Lambent Technologies Corporation(Skokie, IL)によって製造されたLumulse GRH-40である。単一の界面活性剤およびオイルの対の好ましい例は、界面活性剤Lumulse GRH-40とヒマシ油である。
【0048】
Lumulse GRH-40は、硬化ヒマシ油の40モルエトキシレートである。Lumulse GRH-40は、3つのリシノール酸グリセロールエステル鎖の9−位炭素でのヒマシ油の接触水素化、その後の12−ヒドロキシステアリン酸グリセロールエステルの3つの12−ヒドロキシ基の各約13個のエトキシ基でのエトキシル化により、生成される。Lumulse GRH-40によるヒマシ油の自己乳化は、この分子のクサビ形状の疎水性部分を形成するための、ステアリン酸エステル基の残りの10炭素アルキルセグメントに対してエトキシル化12−ヒドロキシ基から遠位の6−炭素アルキル鎖の内側への折り畳みと、水相の外側へのエトキシ基の配向と、ヒマシ油相への分子のクサビ形状疎水性部分(水相から離れて内向きに面するクサビの狭い部分)の配向と、ヒマシ油に対するこの分子のクサビ形状の疎水性部分の親和性とに起因して生じる。
【0049】
ヒマシ油と組み合わせて用いるためのLumulse GRH-40の最適な量は、1.0w/w%のヒマシ油に対して約0.8w/w%のLumulse GRH-40である。しかし、最終エマルジョンの所望の特性に応じて、ヒマシ油と組み合わせてより高用量または低用量を用いてもよい。一般に、Lumulse GRH-40対ヒマシ油の重量比は、0.6〜0.8の範囲内、好ましくは約0.8である。
【0050】
Lumulse GRH-40は、2種の界面活性剤からなる自己乳化エマルジョンを生成するために、他の界面活性剤、例えばPolysorbate-80(Tween−80、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)と組み合わせてもよい。このような組成物では、自己乳化は主にLumulse GRH-40によって促進されると考えられる。第二の界面活性剤(例えば、Polysorbate-80)は、Polysorbate-80の疎水性鎖(オレイン酸エステル鎖)の類似化学構造、並びにヒマシ油(12−ヒドロキシオレイン酸エステル鎖)およびLumulse GRH-40(ステアリン酸エステル鎖)の化学構造に起因してGRH-40の乳化作用を阻害しない。阻害しない第二の界面活性剤は低濃度で存在する。すなわち、非阻害界面活性剤の濃度は、十分低く、その結果自己乳化を阻害しない。
【0051】
2種の界面活性剤は、界面活性剤が自己乳化水中油型エマルジョンを形成する能力に関して特定のオイルに適合するように選択されてよい。両方の界面活性剤とも各々が、自己乳化を達成するための2つの化学的構造の要件を満たさなければならない:(1)各々の界面活性剤は、要件(2)が同時に満たされる場合、自己乳化が達成できるように、その界面活性剤の疎水性構造とオイルとの間の非共有結合的な相互作用に基づいて、選択されたオイルに親和性を有していなければならない;および(2)この界面活性剤対は、クサビ構造の大きい末端が界面活性剤構造の疎水性部分に近くにありながら、クサビまたはパイ部分形状である化学構造を形成できなければならない。オイルと適合する界面活性剤対の好ましい例は、界面活性剤原料Cremophor RH-40であり、これは2種の界面活性剤およびヒマシ油からなる。BASF Corporation(Parsippany N.J.)製Cremophor RH-40は、75〜78%の2種の界面活性剤:ポリエトキシル化グリセロールのトリヒドロキシステアリン酸エステル、および混合ポリエチレングリコールのヒドロキシステアリン酸(ビス)エステルと、22〜25%の遊離ポリエチレングリコールを含む。従って、Cremophor RH-40原料は、相互に、かつヒマシ油と構造的に関連する2種の界面活性剤を有する。界面活性剤と3つのエステル鎖との、界面活性剤と2つのエステル鎖との組み合わせであって、これら鎖の全てがお互いに親和性を有する組み合わせによって、ヒマシ油の存在下で、この2種の界面活性剤が油滴の界面で交互するクサビ形状の構造の形成が可能になると考えられる。BASF製Cremophor RH-60は、2種の界面活性剤からなる別の界面活性剤原料の例である。Cremophor RH-60は、RH-60ではRH-40よりもポリエチレングルコールによる高い誘導体化が存在すること以外は、Cremophor RH-40と同一である。
【0052】
エマルジョン形成に関与するまたはしない、さらなる界面活性剤が添加されてもよい。
【0053】
1成分系の別の例では、トコフェロールポリエチレングリコール−コハク酸エステル(TPGS、Eastman Chemical Company, Kingsport, TNから入手可能)のような界面活性剤を利用する。TPGSは、狭い部分でトコフェロールとのクサビを形成し得、PEGは外側部分で、コハク酸エステルはそれらの間で共有結合を形成し得る。
【0054】
本発明に用いることができる界面活性剤のタイプのさらに一般的な説明は:(a)1〜100個のエチレンオキシド単位から形成される少なくとも1つのエーテル、および12〜22の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪アルコール鎖;(b)1〜100個のエチレンオキシド単位から形成される少なくとも1つのエステル、および12〜22の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖;(c)1〜100個のエチレンオキシド単位から形成される少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミド並びに少なくとも1つのビタミンまたはビタミン誘導体、および(d)2つ以下の界面活性剤からなる上記の混合物;からなる群より選択される界面活性剤を包含する。
【0055】
本発明の水中油型エマルジョンの調製方法は一般に以下のとおりである。水溶性成分である非乳化剤を、水性(水)相に溶解し、乳化剤を含む油溶性成分を油相に溶解する。2つの相(油および水)は適切な温度まで別々に加熱される。この温度は、両方の場合に同じであり、一般には固体または半固体の油もしくは油相中の乳化剤の場合、溶融成分の最高融点よりも2〜3度ないし5〜10度高い。油相が室温で液体である場合、適切な温度は、水相の最高融点成分の融点でルーチン実験によって決定される。油相または水相のいずれかの全ての成分がそれぞれの相において室温で可溶である場合、加熱は必要としない。温度は、全ての成分が液状であるがその成分の安定性を損なわない程度に十分高くなければならない。作業温度の範囲は一般に約20℃〜約70℃である。水中油型エマルジョンを生成するには、最終の油相を、中間の、好ましくは脱イオン化水相中に、または最終の水相中に穏やかに混合して、適切な分散体を形成して、生成物を、撹拌しながらまたは撹拌せずに、冷却する。最終の油相を中間の水相中にまず穏やかに混合する場合、このエマルジョン濃縮物はその後に最終水相と適切な比で混合される。このような場合、このエマルジョン濃縮物および最終水相は、同じ温度である必要も室温を上回って加熱される必要もない。何故なら、エマルジョンが既にこの温度で形成されているからである。
【0056】
1種の乳化剤中のエチレンオキシド単位の量が大きすぎる場合、自己乳化のプロセスで半固体が形成され得る。一般に、界面活性剤がその構造中に10個を超えるエチレンオキシド単位を有する場合、界面活性剤および油相を、総組成物水の少量、例えば0.1〜10%と混合して、最初にペーストを形成し、これをその後に残部の水と組み合わせる。次いで、水和された乳化剤が完全に溶解されてエマルジョンが形成されるまで穏やかな混合が必要であるかもしれない。
【0057】
一実施形態では、界面活性剤およびオイルを最初に組み合わせて加熱する。次いで、少量の水相を油相に添加して、ペーストを形成する。本発明では、ペーストは、流動しない半固体の調製物と規定される。添加される水相の量は、0.1〜10%、好ましくは、0.5〜5%、最も好ましくは1〜2%であってもよい。ペーストが形成された後、さらなる水を上記と同じ温度でこのペーストに添加する。ある実施形態では、添加される水の量は5〜20%である。次いで、このエマルジョンは穏やかに混合される。ある実施形態では、混合を、30分〜3時間行なってもよい。
【0058】
好ましい実施形態では、次に粒子はサイズ化(粒径調節)される。この目的のために、Horiba LA-920 粒径分析装置を製造業者の指示に従って用いてもよい。好ましい実施形態では、次の工程に送り前に、粒子は0.08〜0.18ミクロンの粒径である。
【0059】
次の工程では、粒子を、水などの他の水性成分および緩衝剤(好ましくはホウ酸系)と混合してもよい。必要に応じて、電解質、例えば、塩化カルシウム二水和物、塩化マグネシウム六水和物、塩化カリウムおよび塩化ナトリウム、並びにKollidon 17 NF を添加してもよい。電解質はエマルジョンを形成するのに必須ではないが、眼の電解質バランスを維持することによって眼の組織の完全性を保存するのに極めて有用である。同様に、緩衝剤は重要ではないが、ホウ酸/ホウ酸ナトリウム系が好ましい。なぜなら、リン酸ベースの緩衝系は好ましい電解質で沈殿するからである。
【0060】
pHは6.8〜8.0に、好ましくは約7.3〜7,7に調節される。このpH範囲は、組織維持および眼の刺激を回避するのに適切である。次いで、防腐剤を添加してもよい。好ましい実施形態では、PurogeneTMを防腐剤として添加する。(PUROGENEは、BioCide International, Inc. Norman, Oklahoma, U.S.Aの商標であり、Allergan, Inc. の商標であるPuriteTMとしても入手可能である)。
【0061】
本発明の水中油型エマルジョンは、オートクレーブ蒸気滅菌を用いて調製後に滅菌してもよいし、または0.22ミクロンの滅菌フィルターを用いるなどの当該分野で公知の任意の手段によって滅菌濾過してもよい。エマルジョンの小滴(または小球または粒子)の粒径および特性が許す場合、滅菌フィルターを使用する滅菌を用いることができる。このエマルジョンの小滴粒径分布は、濾過滅菌できる滅菌濾過メンブレンの粒径カットオフ値を完全に下回る必要はない。エマルジョンの小滴粒径分布が滅菌濾過メンブレンの粒径カットオフ値を超える場合には、このエマルジョンは、濾過メンブレンを通過するときに変形するかまたは許容範囲で変化でき、通過した後には再生できる必要がある。この特性は、エマルジョン小滴粒径分布、並びに濾過の前後の組成物中の総オイルの割合についてのルーチン試験によって、容易に決定される。あるいは、より大きい小滴にサイズ化された物質の少量の損失は許容できる。
【0062】
本発明のエマルジョンは一般には、滅菌濾過の前に浄化フィルターを通して非無菌的に濾過されるか、またはオートクレーブ蒸気滅菌後に無菌的に浄化濾過される。好ましい実施形態では、エマルジョンは、0.22ミクロンのフィルターを用いて濾過滅菌される。好ましくは、エマルジョンの98〜99%が0.22ミクロンのフィルターを通過すべきである。0.22ミクロンを超える粒子は、その形状を一時的に変更することによって通過できる。好ましい実施形態では、滅菌工程の有効性を確証するために、物質を試験する。安定性を維持するために、保存は好ましくは25℃未満で行う。その後、エマルジョンを適切な容器中に無菌的に充填する。
【0063】
本発明は、眼科用組成物、例えば、本明細書のいずれかの箇所に記載される本発明の眼科組成物を用いる方法を提供する。一実施形態では、本発明の方法は、被験体、例えば、ヒトまたは動物の眼に本発明の組成物を、眼に少なくとも1つの利益を提供するのに有効な量および条件で投与する工程を包含する。この実施形態では、本発明の組成物は、ある条件、例えば、ドライアイ、および/または眼の1つ以上の他の状態を処置するために有用な組成物、例えば、治療用組成物などの少なくとも一部を使用し得る。
【0064】
極めて有用な実施形態では、本発明の方法は、コンタクトレンズと本発明の組成物とを、コンタクトレンズおよび/またはコンタクトレンズの装用者に対して少なくとも1つの利点を提供するのに有効な量および条件で接触させる工程を包含する。この実施形態では、本発明の組成物は、コンタクトレンズケア組成物の少なくとも一部として使用される。
【0065】
本発明の組成物が、治療用成分を含む場合、このような組成物は、被験体すなわち、ヒトまたは動物の眼に対して、組成物をこの被験体に所望の治療効果を提供するのに有効な量で投与する工程を包含する方法において用いられてもよい。このような治療効果は、被験体の身体の1つ以上の他の部分に対する、または被験体の身体に対して全身的な、眼科的な治療効果および/または治療効果であり得る。この実施形態では、本発明の水中油型エマルジョンは、治療成分のキャリアまたはビヒクルとして有用な組成物の少なくとも一部として使用される。
【0066】
本発明に従って用いられる水相または成分並びに油相および成分は、本発明の組成物において有効であるように、更に、例えば、組成物に対して、組成物の使用に対して、処置されるコンタクトレンズに対して、処置されるレンズ装用者に対して、または本発明の組成物を眼に入れられるヒトもしくは動物に対して、実質的なまたは重大な有害効果を有さないように、選択される。
【0067】
本発明の液体水性媒体または組成物の成分は好ましくは、媒体または水性成分のpHを所望の範囲内に維持するのに有効な量で存在する緩衝剤成分を含む。本発明の組成物は好ましくは、所望の張度を有する組成物を提供するのに有効な量の張度調節成分を含む。
【0068】
本発明の組成物における水相または成分は、意図される用途に適合したpH、例えば約4〜約10の範囲であるpHを有し得る。種々の慣用の緩衝剤、例えば、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ヒスチジン、トリス、ビス−トリスなど、およびそれらの混合物を使用することができる。ホウ酸塩緩衝剤は、ホウ酸およびその塩、例えば、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムを含む。ホウ酸またはホウ酸の塩を溶液中で生成する、四ホウ酸カリウムまたはメタホウ酸カリウムも使用し得る。ホウ酸ナトリウム十水塩のような水和塩も用い得る。リン酸緩衝剤は、リン酸およびその塩、例えば、M2HPO4およびMH2PO4(ここでMはナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属である)を含む。水和塩も用いられ得る。本発明の一実施形態では、Na2HPO4・7H2OおよびNaH2PO4・H2Oが緩衝剤として用いられる。リン酸塩という用語はまた、溶液中でリン酸またはリン酸の塩を生じる化合物を包含する。さらに、上記の緩衝剤についての有機対イオンも使用され得る。緩衝剤の濃度は、通常約0.01〜2.5w/v%で変化し、好ましくは約0.05〜0.5w/v%で変化する。
【0069】
緩衝剤の種類および量は、処方が、組成物、例えば界面活性剤の機能的な性能基準、および有効期間安定性、抗菌有効性、緩衝能力などの因子を満足するように選択される。緩衝剤はまた、組成物を使用することが意図される眼およびあらゆるコンタクトレンズと適合するpHを提供するように選択される。一般に、ヒトの涙液のpHに近いpH、例えば約7.45のpHが極めて有用であるが、それより広いpH範囲約6〜9、より好ましくは約6.5〜約8.5、さらに好ましくは約6.8〜約8.0も使用できる。一実施形態では、本発明の組成物は約7.0のpHを有する。
【0070】
本発明の組成物のオスモル濃度(浸透圧)は、この組成物の意図する用途に適合する値に等張剤を用いて調節してもよい。例えば、組成物のオスモル濃度は、約0.9w/v%の塩化ナトリウムを含有する水に等しい、正常な涙液のオスモル濃度に近似するように選択され得る。適切な等張化剤の例としては、限定はしないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウム;デキストロース;グリセリン;プロピレングリコール;マンニトール;ソルビトールなどおよびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、この組成物の張度を調整するために、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの組み合わせが用いられる。
【0071】
等張化剤は、典型的には約0.001〜2.5w/v%の範囲の量で用いられる。この量は、眼の組織の完全性を維持するために十分な張度を提供するのに有用であることが見出されている。好ましくは、等張化剤は、150〜450mOsm/kg、より好ましくは約250〜約330mOsm/kg、最も好ましくは約270〜約310mOsm/kgの最終浸透圧値を提供する量で使用される。本発明の組成物の水性成分はより好ましくは、実質的に等張または低張(例えば、わずかに低張、例えば約240mOsm/kg)であるか、および/または眼科的に許容できる。一実施形態では、この組成物は、約0.14w/v%の塩化カリウムおよび0.006w/v%の塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムを含む。
【0072】
張度成分および緩衝剤成分に加えて、本発明の組成物は、1つ以上の他の物質を、例えば、本明細書のいずれかの箇所に記載されるように、例えば、コンタクトレンズおよび/または眼の組織を処置するために、例えば、このような組成物と接触したコンタクトレンズおよび/または眼の組織に対して有益な特性を提供するために、所望の目的に有効な量で、含んでもよい。
【0073】
一実施形態では、本発明の組成物は、例えば、眼に対する、または眼を通した治療剤の送達のための、キャリアまたはビヒクルとして有用である。任意の適切な治療成分は、このような治療成分が組成物の残余成分と適合して、この組成物の残余の機能および特性を過度に妨害せず、本発明の組成物に送達された場合、例えば、所望の治療効果を得るのに有効であり、眼に対してまたは眼を通して投与された場合に有効である条件では、本発明の組成物に含まれてもよい。例えば、極めて有用な実施形態では、眼へのまたは眼を通した疎水性治療成分または薬物の送達が達成され得る。特定の理論または作用の機構に本発明を限定することを望むものではないが、油状成分および界面活性剤成分の疎水性構成要素によって、疎水性治療成分が本発明の組成物中で可溶性、安定性および有効性を維持することが容易になると考えられる。
【0074】
本発明のこの要旨によれば、所望の治療剤または成分の有効量を好ましくは、物理的に組み合わせるか、または本発明の組成物の他の成分と混合して、本発明の範囲内の治療成分含有組成物を形成する。
【0075】
眼に対するまたは眼を通した治療剤の送達のための組成物は、好ましい実施形態であるが、本明細書に記載される自己乳化組成物は、限定はしないが、経口、直腸、膣、非経口、筋肉内、腹腔内、動脈内、クモ膜下腔内、気管支内、皮下、皮内、静脈内、経鼻、口腔内および舌下を含む他の手段を通じた治療剤の送達のために有用であり得る。
【0076】
用いられる治療剤の種類は、所望の治療効果、例えば、処置される疾患または障害または状態に主として依存する。これらの治療剤または成分としては、局所型またはそれ以外の方式で眼にまたは眼を通じて現在または将来的に送達される広範な薬物または物質が挙げられる。有用な治療成分の例としては、限定はしないが:(1)キノロンを含む抗感染および抗菌物質、例えば、オフロキサシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、ガチフロキサシンなど;β−ラクタム系抗生物質、例えば、セフォキシチン、n-ホルマミドイル−チエナマイシン、他のチエナマイシン誘導体、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、カルベニシリン、コリスチン、ペニシリンG、ポリミキシンB、バンコマイシン、セファゾリン、セファロリジン、チブロリファマイシン(chibrorifamycin)、グラミシジン、バシトラシンスルホンアミドなど;アミノグリコシド系抗生物質、例えば、ゲンタマイシン、カナマイシン、アミカシン、シソマイシン、トブラマイシンなど;ナリジクス酸およびその類縁体など;抗菌併用薬、例えば、フルエアラニン/ペンチジドンなど;ニトロフラゾン;など、並びにそれらの混合物;
(2)抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、降圧薬および充血除去剤、例えば、ピリラミン、クロルフェニラミン、塩酸フェニレフリン、塩酸テトラヒドラゾリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリン、アンタゾリンなど、およびそれらの混合物;
(3)抗炎症剤、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メドリゾン、フルオロメトロン、フルオコルトロン、プレドニゾロン、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、トリアムシノロン、スリンダク、それらの塩および対応する硫化物、など、並びにそれらの混合物;
(4)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)成分、例えば、カルボキシル基(−COOH)もしくはカルボン酸部分、またはカルボキシル誘導基もしくはカルボン酸誘導部分を含むものまたは含まないもの;COX-1およびCOX-2と呼ばれる2種のイソ型を有する、シクロオキシゲナーゼ酵素を選択的にまたは非選択的に阻害するNSAID成分;フェニルアルカン酸、例えば、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラク、ピロキシカム、スプロフェンなど;インドール、例えば、インドメタシンなど;ジアリールピラゾール、例えば、セレコキシブなど;ピロロピロール;およびプロスタグランジン合成を阻害する他の薬剤など、並びにそれらの混合物;
(5)縮瞳薬および抗コリン作用薬、例えば、エコチオフェート、ピロカルピン、サリチル酸フィゾスチグミン、ジイシプロピルフルオロホスフェート、エピネフリン、ジピボリイルエピネフリン(dipivolyl epinephrine)、ネオスチグミン、ヨウ化エコチオパート、臭化デメカリウム、カルバコール、メタコリン、ベタネコールなど、およびそれらの混合物;
(6)散瞳薬、例えば、アトロピン、ホマトロピン、スコポラミン、ヒドロキシアンフェタミン、エフェドリン、コカイン、トロピカミド、フェニレフリン、シクロペントレート、オキシフェノニウム、ユーカトロピンなど、およびそれらの混合物;
(7)抗緑内障薬、例えば、プロスタグランジン、例えば、その全体が参考として本明細書に援用される、米国特許第6,395,787号および同第6,294,563号に記載されるものなど、アドレナリン作用薬、例えば、キノキサリン、およびキノキサリン誘導体、例えば、(2−イミドゾリン−2−イルアミノ)キノキサリン、5−ハライド−6−(2−イミドゾリン−2−イルアミノ)キノキサリン、例えば、5−ブロモ−6−(2−イミドゾリン−2−イルアミノ)キノキサリンおよびブリモニジンおよびその誘導体、例えば、その全体が本明細書において参考として援用される、米国特許第6,294,563号に記載のものなど、チモロール、特に、マレイン酸塩およびR−チモロールおよびチモロール誘導体として、並びにチモロールまたはR−チモロールとピロカルピンの組み合わせなど;エピネフリンおよびエピネフリン複合体またはプロドラッグ、例えば、酸性酒石酸塩、ホウ酸塩、塩酸塩およびジピベフリン誘導体など;高浸透圧剤およびジピベフリン誘導体など;ベタキソロール、高浸透圧剤、例えば、グリセロール、マンニトールおよび尿素など、並びにそれらの混合物;
(8)抗寄生虫化合物および/または抗原虫化合物、例えば、イベルメクチン;ピリメタミン、トリスルファピリミジン、クリンダマイシンおよびコルチコステロイド調製物など、およびそれらの混合物;
(9)抗ウイルス化合物、例えば、アシクロビル、5−インド−2’−デオキシウリジン(IDU)、アデノシンアラビノシド(Ara-A)、トリフルオロチミジン、インターフェロンおよびインターフェロン誘導剤、例えば、Poly I:Cなど、並びにそれらの混合物;
(10)炭酸脱水酵素阻害薬、例えば、アセタゾラミド、ジクロルフェナミジン、2−(p−ヒドロキシフェニル)チオ−5−チオフェンスルホンアミド、6−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾール−スルホンアミド 6−ピバロイルオキシ−2−ベンゾチアゾールエンスルホンアミドなど、およびそれらの混合物;
(11)抗真菌剤、例えば、アンフォテリシンB、ナイスタチン、フルシトシン、ナタマイシン、およびミコナゾールなど、並びにそれらの混合物;
(12)疼痛緩和および麻酔剤、例えば、エチドカイン、コカイン、ベノキシネート、塩酸ジブカイン、塩酸ジクロニン、ネパイン、塩酸フェナカイン、ピペロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸テトラカイン、ヘキシルカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカインおよびプリロカインなど、並びにそれらの混合物;
(13)眼科用診断剤、例えば、
(a)網膜を検査するために用いられる診断剤、例えば、塩化ナトリウムフルオレセインなどおよびその混合物;
(b)結膜、角膜および涙管の構造を検査するために用いられる診断剤、例えば、フルオレセインおよびローズベンガルなど、並びにそれらの混合物;
(c)異常な瞳孔反射を検査するために用いられる診断剤、例えば、メタコリン、コカイン、アドレナリン、アトロピン、ヒドロキシアンフェタミンおよびピロカルピンなど、並びにそれらの混合物;
(14)外科手術で補助剤として用いられる眼科用薬剤、例えば、α−キモトリプシン、およびヒアルロニダーゼなど;粘弾性剤、例えば、ヒアルロン酸など、並びにそれらの混合物;
(15)キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびデフェロキサミンなど;並びにその混合物;
(16)免疫抑制剤および代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセート、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、シクロスポリン、例えばA〜I、およびアザチオプリンなど;並びにそれらの混合物;
(17)血管新生抑制剤;
(18)粘膜分泌促進剤;
(19)タンパク質および増殖因子、例えば、上皮増殖因子;
(20)ビタミンおよびビタミン誘導体、例えば、ビタミンA、B12、C、D、E、葉酸およびそれらの誘導体;
(21)硫酸ネオマイシン−デキサメタゾンリン酸ナトリウム、キノロン−NSAIDなどのような上記の抗生物質/抗炎症剤の組み合わせ;並びに併用抗緑内障療法、例えば、マレイン酸チモロール−アセクリジンなど、が挙げられる。
【0077】
治療成分が本発明の組成物中に存在する場合、組成物中のこれら治療成分の量は好ましくは、この組成物が投与されるヒトまたは動物に対して所望の治療効果を提供するのに有効な量である。
【0078】
典型的には、治療成分が存在する場合、本発明の水中油型エマルジョンを含む組成物は、少なくとも約0.001%、例えば、約0.01%から、約5%(w/v)までの治療成分、例えば、医薬または薬物を重量対重量比で含む。従って、例えば、約25mgの組成物を含む液体組成物の1つの液滴から、治療成分の約0.0025mg〜約1.25mgを得る。
【0079】
本発明の薬学的組成物中で用いられる、特定の治療成分、例えば、薬物または医薬は、患者が有しているかもしくは保護されるべきである状態、または患者が罹患している状態の処置、例えば薬理学的処置を患者が要するかまたはそれから利益を享受する種類である。例えば、患者が緑内障を罹患している場合、選択される薬物は、チモールおよび/または1種以上の他の抗緑内障成分であり得る。
【0080】
所望の治療成分の有効な送達を確実にするために、本発明の組成物に添加されるべき治療成分、例えば薬物の正確な量を決定することは当業者の知識の範囲内である。
【0081】
本発明の別の要旨は、ドライアイの処置のための水中油型エマルジョンを含む本明細書に記載された組成物の使用である。この用途のために、当業者によって決定されるとおりの必要な組成物が投与される。例えば、眼科用粘滑剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、他のセルロースポリマー、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300およびPEG400)、Polysorbate-80、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポピドンなど、およびそれらの混合物が本発明の眼科用組成物において、例えばドライアイを処置するために有用な組成物において用いられ得る。
【0082】
別の実施形態では、本発明の組成物は、多目的ケア組成物、硬質ガス透過性コンタクトレンズ浸漬溶液およびコンディショニング溶液、再湿潤組成物およびクリーニング組成物、例えば、眼内洗浄剤、例えばコンタクトレンズケア液として有用である。
【0083】
全てのタイプのコンタクトレンズが、本発明の組成物を用いてケアされ得る。例えば、コンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズ、ハードおよびソフト(柔軟性)酸素透過性コンタクトレンズ、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、シリコーン非ヒドロゲルコンタクトレンズおよび従来のハードコンタクトレンズであってよい。
【0084】
本明細書において用いる場合、多目的組成物とは、コンタクトレンズが目の外にある状態で、少なくとも2つの機能、例えば、洗浄、リンス、消毒、再湿潤、潤滑化、コンディショニング、浸漬、保存およびその他のコンタクトレンズ処理を行なうために有用である。また、このような多目的組成物は、好ましくはコンタクトレンズが目の中にある状態でレンズを再湿潤および洗浄するために有用である。コンタクトレンズが目の中にあるままで、レンズを再湿潤および洗浄するために有用な製品は、しばしば再湿潤剤(re−wetters)または「眼内(in-the-eye)」クリーナー(洗浄液)とも呼ばれる。本明細書において用いる場合、「洗浄」という用語は、指での操作を用いまたは用いずに、あるいは組成物を撹拌する補助デバイスを用いまたは用いずに行う、コンタクトレンズからの沈着物および他の汚染物質の弛緩および/または除去を包含する。本明細書において用いる場合、「再湿潤」という用語は、コンタクトレンズの少なくとも前面の少なくとも一部、例えば少なくとも実質的部分にわたる水の添加を意味する。
【0085】
本発明の組成物は、多目的コンタクトレンズケア組成物として極めて有効であるが、本発明の組成物は、適切な化学的構成を有し、単一のコンタクトレンズ処理を行うように処方され得る。このような単一処理コンタクトレンズケア組成物、および多目的コンタクトレンズケア組成物は、本発明の範囲に包含される。
【0086】
本明細書に記載される組成物を用いるコンタクトレンズを処置するための方法は、本発明の範囲に包含される。一般に、このような方法は、コンタクトレンズに所望の処理をもたらすのに有効な条件でコンタクトレンズとこのような組成物とを接触させる工程を包含する。
【0087】
コンタクトレンズは、多くの場合液状水性媒体の形態の組成物中にレンズを浸漬することによって、組成物と接触され得る。接触の少なくとも一部の間、コンタクトレンズを含む組成物を、例えば、組成物およびコンタクトレンズを含む容器を振盪することによって撹拌して、コンタクトレンズの処理、例えば、レンズからの沈着物の除去を少なくとも促進することができる。このような接触工程の前後に、コンタクトレンズ洗浄においては、コンタクトレンズを手でこすり、このレンズからさらなる沈着物を除去してもよい。この洗浄方法はまた、接触工程の前後にレンズをリンスする工程、および/または装用者の目にレンズを戻す前にレンズをリンスして組成物を実質的に除く工程を包含し得る。
【0088】
さらに、例えば、外科的処置の前、間および/または後に、人工涙液を適用または投与する、眼を洗浄する、並びに眼の組織を灌注(洗浄)する方法は、本発明の範囲に包含される。本明細書のいずれかの箇所に記載されているように、本発明の組成物は、人工涙液、洗眼水および灌注組成物として有用であり、例えば、自然の涙液層を補給/補充するために、外来物、例えば、化学物質もしくは異物に暴露された後に眼を洗浄、水浴、フラッシュもしくはリンスするために、または外科的処置に付された眼組織を灌注するために用いることができる。本明細書における外来物としては、限定はしないが、眼において、アレルギー反応、発赤(紅化)、掻痒、炎症、刺激のような有害な反応を生じる1種以上の花粉、ほこり、ブタクサおよび他の外来抗原が挙げられる。
【0089】
適切な化学的組成を有する本発明の組成物は、上記用途の各々において、および他の眼内適用において有用である。これらの組成物は、常套かつ周知の方法で眼への適用に用いることができる。換言すれば、本発明による組成物は、同様の適用で従来の組成物が用いられるのと実質的に同様の方法で、眼内適用において用いることができる。本明細書のいずれかの箇所で考察されているように、本発明の組成物の利点の1つ以上が、このような眼内使用の結果として得られる。
【0090】
洗浄組成物は、コンタクトレンズを洗浄するために有用な本発明の組成物に包含され得る。存在する場合、洗浄成分は、コンタクトレンズから堆積物または沈着物を除去することを少なくとも促進するのに有効である量、好ましくは除去に有効である量で存在すべきである。
【0091】
一実施形態では、洗浄界面活性剤が使用される。洗浄成分は、コンタクトレンズからの沈着物の除去を少なくとも促進するのに有効な量で供給され得る。レンズに沈着し得る沈着物または堆積物の種類としては、タンパク質、脂質および炭水化物ベースまたはムチンベースの堆積物が挙げられる。1つ以上の種類の堆積物がレンズ上に存在し得る。
【0092】
使用される洗浄界面活性剤成分は、コンタクトレンズの界面活性剤洗浄に従来から使用されている界面活性剤から選択され得る。なかでも好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えば、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマーであるPluronicおよびTetronicシリーズの界面活性剤(両者ともBASF Corp. Performance Chemicals, Mount Olive, NJから入手可能)など、1種以上のビタミン誘導体成分、例えばビタミンE TPGS(D−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)である。
【0093】
一実施形態では、このような洗浄界面活性剤成分を含む本発明による組成物は、約0.01〜1.00w/v%の界面活性剤濃度を有する。しかし、それより高いかまたは低い量を用いてもよい。
【0094】
本発明の組成物はさらに、組成物を微生物汚染から保護するため、および/またはコンタクトレンズを消毒するために、1種以上の抗菌剤(すなわち、防腐剤または消毒剤)を含んでもよい。液状水性媒体中に存在する消毒成分の量は、組成物と接触させたコンタクトレンズを消毒するのに有効な量である。
【0095】
一実施形態では、例えば、多目的コンタクトレンズ組成物が所望される場合、この消毒成分としては、限定はしないが、眼科の適用に用いられる四級アンモニウム塩、例えば、ポリ[ジメチルイミノ−w−ブテン−1,4−ジイル]クロリド、α−[4−tris(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム]−ジクロリド(化学物質登録番号75345-27-6、Onyx CorporationからPolyquaterium 1TMの商品名で入手可能)、Buckman laboratories(Memphis TN)からWSCPの商品名で市販されるポリ(オキシエチル(ジメチルイミノ)エチレンジメチルイミニオ)エチレンジクロリド、ハロゲン化ベンザルコニウム、アレキシジンの塩、アレキシジン遊離塩基、クロルヘキシジンの塩、ヘキセチジン、アルキルアミン、アルキルジ−アミンおよびトリ−アミン、トロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3プロパンジオール)、ヘキサメチレンビグアニドおよびそれらのポリマー、抗菌ポリペプチドなど、およびそれらの混合物が挙げられる。特に有用な消毒成分は、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、Polyquaterium 1、その眼科的に許容できる塩など、およびそれらの混合物の1つ以上から選択される。
【0096】
アレキシジンおよびクロルヘキシジンの塩は、有機塩であっても無機塩であってもよく、典型的には、消毒用グルコン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などである。一般に、ヘキサメチレンビグアニドポリマーは、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)とも呼ばれ、約100,000までの分子量を有する。このような化合物は、公知であり、米国特許第4,758,595号に開示されている。同米国特許の全体を参照して本明細書に組み込む。
【0097】
本発明において有用な消毒成分は、好ましくは、本発明の組成物中に約0.00001%〜約2%(w/v)の範囲の濃度で存在する。
【0098】
より好ましくは、使用者が組成物から消毒されたレンズを取り出して、その後に安全かつ快適な装着のために目にこのレンズを直接入れることができるように、消毒成分が眼科的に許容できるか、または安全な濃度で本発明の組成物中に存在している。
【0099】
コンタクトレンズを消毒成分によって消毒することが好ましい場合、レンズを消毒するのに有効な量の消毒剤を用いる。好ましくは、このような消毒剤の有効量は、コンタクトレンズに対する微生物負荷を3時間で1対数オーダー低下させる。より好ましくは、有効量の消毒剤は、微生物負荷を1時間で1対数オーダー低下させる。
【0100】
消毒成分は好ましくは、本発明の組成物に供給され、より好ましくは、本発明の水性成分に可溶性である。
【0101】
本発明の組成物は、有効量の防腐剤成分を含んでもよい。任意の適切な防腐剤または防腐剤の組み合わせを使用してもよい。適切な防腐剤の例としては、限定はしないが、PurogeneTM、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、Polyquaternium 1、眼科的に許容できるその塩などおよびそれらの混合物、塩化ベンザルコニウム、メチルおよびエチルパラベン、ヘキセチジンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物に含まれる防腐剤成分の量は、組成物を保存するのに有効であるような量であり、使用される特定の防腐剤成分、含まれる特定の組成、関与する特定の適用などの因子に基づいて変化し得る。防腐剤濃度は、多くの場合、組成物の約0.00001%〜約0.05%の範囲、または約0.1%(w/v)であるが、特定の防腐剤の他の濃度を使用してもよい。
【0102】
本発明で用いる防腐剤成分の非常に有用な例としては、限定はしないが、亜塩素酸塩成分が挙げられる。本発明による防腐剤として有用な亜塩素酸塩成分の具体例としては、安定化二酸化塩素(SCD)、亜塩素酸金属など、およびそれらの混合物が挙げられる。工業グレード(またはUSPグレード)の亜塩素酸ナトリウムは、有用な防腐剤成分である。多くの亜塩素酸塩成分、例えばSCDの正確な化学組成は、完全には分かっていない。特定の亜塩素酸塩成分の製造または生成は、McNicholasの米国特許第3,278,447号に記載されている。有用なSCD製品の特定の例としては、Rio Linda Chemical Company, Inc. からDura KlorTMとして市販されているもの、International Dioxide, Inc.(North Kingstown, RI)からAnthium DioxideTMとして販売されているもの、International Dioxide, Inc.からCarnebon 200TM、Advanced Medical Optics, Inc.(Santa Ana, CA)からOcuPureTM、およびBioCide International(Norman, OK)からPurogeneTM(Allergen,Incから入手可能なPuriteTMとしても公知)の商標名で販売されているものが挙げられる。
【0103】
他の有用な防腐剤としては、抗菌ペプチドが挙げられる。とりわけ使用され得る抗菌ペプチドとしては、限定はしないが、ディフェンシン、ディフェンシン関連ペプチド、セクロピン、セクロピン関連ペプチド、マゲイニンおよびマゲイニン関連ペプチド、並びに抗菌、抗真菌および/または抗ウイルス活性を有する他のアミノ酸ポリマーが挙げられる。抗菌ペプチドの混合物または抗菌ペプチドと他の防腐剤との混合物も、本発明の範囲に包含される。
【0104】
本発明の組成物は、粘度調整剤または成分、例えば、セルロースポリマーを含んでもよく、これには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース;カルボマー(例えば、カルボポール、RTM);ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;アルギン酸塩;カラギナン;および糖、カラヤ(ゴム)、アガロース、イナゴマメ、トラガカントおよびキサンタンガムが挙げられる。このような粘度調整剤成分は、使用されるとしても、本発明の組成物に所望の粘度を与えるのに有効な量で使用される。このような粘度調整剤の濃度は、典型的には、全組成物の約0.01〜約5%w/vの範囲で変化するが、特定の粘度調整成分を他の濃度で使用してもよい。
【0105】
ある場合には、本発明の組成物は、微生物の細胞膜を安定化してそれによって最適の消毒活性を妨害する金属イオンに結合させる為に、結合するのに有効な量で封鎖剤または封鎖成分を含むことが望ましい。あるいは、ある場合には、組成物中の他の種との相互作用を防止するために金属イオンと結合することが、所望される。封鎖剤は、含まれるなら、存在する金属イオンの一部、例えば少なくとも主要部分に結合するのに有効な量で含まれる。このような封鎖成分は通常、約0.01〜約0.2w/v%の範囲の量で存在する。有用な封鎖成分の例としては、限定はしないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびそのカリウム塩またはナトリウム塩、および低分子量有機酸、例えばクエン酸および酒石酸、並びにそれらの塩、例えばナトリウム塩が挙げられる。
【0106】
本発明の組成物は、有効量の1種以上のさらなる成分を含み得る。例えば、1種以上のコンディショニング成分または1種以上のコンタクトレンズ湿潤剤など、およびそれらの混合物が含まれてもよい。本発明の組成物中のこれらおよび他のさらなる成分についての許容できる濃度または有効濃度は、当業者に全く明白である。
【0107】
各成分は、固体状または液体状のいずれかで本発明の組成物中に存在し得る。さらなる成分が固体として存在する場合、それらは、粉末または圧縮錠剤として緊密に混合されてよいし、または実質的に別々に、ただし同じ粒子中で、カプセル化されたペレットまたは錠剤であってもよい。さらなる成分は、使用することが所望されるまで固体であってもよく、その際すぐに本発明の組成物の水性成分に溶解または分散されて、例えばコンタクトレンズの表面に有効に接触することができる。
【0108】
任意の成分が含まれる場合、これは、典型的な使用および保存の条件下で、組成物の他の成分と適合性であることが好ましい。
【0109】
特定の実施形態では、本明細書に記載される眼科用組成物の抗菌活性は、生成後に増す。生成後の処理とは、1週間から数ヶ月間、好ましくは2〜6週間、最も好ましくは生成後少なくとも約1ヶ月の機械、組成物を保存することを含み得る。微生物の活性の増加はまた、熱、圧力または酸化条件での処理によって増進され得る。処理を組み合わせて用いてもよい。例えば、組成物は、30〜50℃、より好ましくは約40℃の温度で、少なくとも約2週間、最も好ましくは1ヶ月間保存されてよい。
【0110】
多くのおよび種々の改変が、本発明の要旨から逸脱することなくなされ得ることが当業者に理解される。従って、以下の実施例は、例示のためのみであり、本発明の範囲を限定するとは意図しないことが明確に理解されるべきである。
【実施例1】
【0111】
(眼科用溶液の調製方法)
以下の実施例は、1成分界面活性剤系に関して記載される。この実施例では、PEG−40硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油の40モルエトキシル化誘導体を例にする。図1および表1を参照する。図1は、この方法のフローチャートを示す。表1は、この実施例についての種々の成分の量を示す。
【0112】
PEG-40硬化ヒマシ油(Lumulse GRH-40, Lambent Technologies Corp., Skokie, IL)およびヒマシ油を加熱した。温度は、全ての成分が液状であるが、成分の安定性をs損なうほど高くないという高さでなければならない。本実施例では、60±2℃の温度を用いた。
【0113】
全ての水のうちの少量(1%)を60±2℃で添加して、透明白色ペーストを生成した。このペーストを混合物が均質になるまで混合した。ペーストを形成した後、50〜62℃の間でこのペーストにさらに水を添加した。本実施例では、全ての水のうち7%を添加して、混合物が均質になるまで、混合を200〜1000rpmで1時間行った。この段階で、エマルジョン濃縮物が形成された。
【0114】
次いで、製造業者の指示に従ってHoriba LA-920粒径分析装置を用いて、粒子(液滴)を粒径調節した。好ましくは、この粒子は、次の工程に送る前に、0.08〜0.18ミクロンの粒径であった。
【0115】
エマルジョン濃縮物を、残りの水、緩衝剤、電解質(塩化カルシウム二水和物、塩化マグネシウム六水和物、塩化カリウムおよび塩化ナトリウム)およびKollidon 17NF(表1を参照)の別個に調製された溶液と約30分間混合した。電解質はエマルジョンを形成するためには必要でないが、電解質は、眼内の電解質バランスを維持することによって眼の組織完全性を保存するのに非常に有益である。同様に、緩衝剤は、エマルジョンを形成するためには重要ではないが、適合した眼のpHを適切に維持するために必要である。リン酸ベースの緩衝剤系は電解質により沈殿するため、ホウ酸/ホウ酸塩ナトリウム緩衝剤系が好ましい。
【0116】
pHは、必要であれば10N NaOHを用いて7.35〜7,55に調整した。このpH範囲は、組織維持のために、および眼の刺激を回避するために、適切である。この範囲はまた、防腐剤として添加されたPurogeneTMの安定性のために最適のpH範囲である。次いで、PurogeneTMを表1に示される計算に従って添加した。その後に、pHをチェックして、必要であれば10N NaOHを用いてpH7.5±0.2に調節した。酸pH調節の間に形成される酸の高い局所溶液濃度によって、PurogeneTMの破壊が生じるために、PurogeneTMの添加後、pHは、10N NaOHのような塩基によってしか調整できない。
【0117】
次の工程では、エマルジョンは、滅菌濾過するまで、25℃未満で、暗室で保存した。最大保存時間は72時間である。
【0118】
次いで、この組成物は、0.22ミクロンのフィルターを用いて滅菌する。好ましくはエマルジョンの98〜99%が、0.22ミクロンのフィルターを通過しなければならない。0.22ミクロンより大きい粒子は、その形状を一時的に変化させることによって通過できる。次いで、滅菌工程の有効性を確認するために、この物質を試験した。その後、この物質をビン詰めして保存した。本実施例における充填前の仕様は、pH7.3〜7.7、平均粒径0.09〜0.17ミクロン、および物理的外観乳白色溶液であった。充填後の仕様は、pH7.3〜7.7、潜在的二酸化塩素60〜70ppm、ヒマシ油1.1〜1.4%(w/w)、Kollidon 17 NF 0.2〜0.4%(w/w)、オスモル濃度250〜280mOsm/kg、および米国薬局方無菌性であった。
【表1】
注1)PurogeneTMの計算:添加すべき原料の量は、原料ロットのアッセイに基づいて算出しなければならない。
0.0065%(w/w)×1000g=1000gあたりに必要なPurogeneTM原料のグラム数PurogeneTM原料アッセイ値%(w/w)
1000gあたりに必要なPurogeneTM/1000g×バッチサイズ(g)=必要なPurogeneTM(g)/バッチサイズ
注2)1000gあたりの水の量の計算
添加すべき水の量は、添加すべきPuromegaTMの量に基づいて算出しなければならない。
1000gあたりの水(g)=963.13−1000gあたりに必要なPurogeneTM(g)
【実施例2】
【0119】
<眼科用エマルジョンの細胞毒性の評価のためのニュートラルレッド保持アッセイ>
標準的なニュートラルレッド保持アッセイ(Neutral Red Retention Assay)を用いて溶液の細胞毒性を評価した。ニュートラルレッド保持細胞毒性アッセイの妥当性は、インビボで、組織、例えば眼の組織に刺激または障害性である特定の物質がインビトロで特定の細胞タイプに対して細胞毒性であり、刺激または障害の程度が細胞毒性のレベルと相関しているという確立された観察に基づく。健常で生存能のある細胞では、細胞のリソソームにニュートラルレッド色素が取り込まれて貯蔵される。細胞膜に対する損傷の際、ニュートラルレッド色素は、リソソームから放出される。膜の障害のレベルは細胞によって保持されたままのニュートラルレッドの量に逆相関する。被検剤への曝露後の細胞からの色素の抽出によって、細胞膜の完全性および誘導された細胞毒性の程度を評価する。
【0120】
このアッセイでは、Madin-Darby Canine Kidney(MDCK)細胞を用いた。96ウェル平底組織培養プレートの各ウェルに、200マイクロリットルの完全培地中、1ウェル当1×104個の細胞を添加した。完全培地は、10%ウシ胎仔血清を含む完全増殖培地であるDulbeccoの改変イーグル培地(DMEM)である。細胞を37℃/5%CO2で3〜4日コンフルエンスまで培養した。プレートウェルから培地をデカントし、吸い取った。完全培地1mlあたり最終濃度50μgでニュートラルレッド(200マイクロリットル)を各ウェルに添加して、37℃/5%CO2で3時間培養した。プレートウェルからニュートラルレッド溶液をデカントして、吸い取った。ウェルは、Ca++およびMg++を含むダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)を1ウェルあたり100μl用いて1回洗浄した。DPBSをデカントして、吸い取り、100μlの試験溶液または対照溶液をウェルに添加した。各溶液を1つのカラムで少なくとも6つのウェルに添加し、各プレートの外側のウェルにはコントロールとしてDPBSのみを入れた。各接触時点ごとに別のプレートを指定した。プレートは、指定した接触時間、37℃/5%CO2で培養した。一般に試験した時点は、15、30、60、90、120および180分である。各時点でインキュベーターからプレートを取り出して、デカントして、吸い取り、次いで、1ウェルあたり100μlのDPBSを用いて1回洗浄して、デカントし、吸い取った。次に、100μl/ウェルのニュートラルレッド「洗浄/固定(wash/fix)」溶液を添加して、周囲条件下、室温で5分間静置した。ニュートラルレッド「洗浄/固定」溶液は、1%ホルマリン、1%CaCl2(w/v)および98%蒸留水であった。固定液をデカントして、吸い取り、100μl/ウェルの溶媒溶液を添加した。溶媒溶液は、1%酢酸、50%エタノール、および49%蒸留水であった。プレートを、プレートシェーカー(低速)で周囲条件下、室温で溶媒溶液を用いて10分間抽出した。その後、プレートをマイクロリットルプレート分光光度計により540nmで読み取った。各サンプルまたはコントロールについて全てのウェルの吸光度読み取り値を平均して、DPBS対照と比較して得られたニュートラルレッドの割合として結果を算出した[(試験サンプルの平均吸光度/コントロールの平均吸光度×100)=対コントロール%]。試験結果をニュートラルレッド保持(対コントロール%)(Y軸)対曝露時間(分)(X軸)としてグラフにプロットした。
【実施例3】
【0121】
<細胞毒性研究のための処方>
表2に示した組成物は、本質的に実施例1に記載したように調製した。洗剤Tween 80を含む処方29BB、51C、82B、34AAおよび35Aを、Tween 80なしに調製した処方30Uおよび83Uと比較した。図2のデータから分かるとおり、Tween 80洗剤の有無は、細胞毒性に実質的に影響しなかった。処方29BBおよび34AAは、PurogeneTMなしで調製し、ポリエトキシル化硬化ヒマシ油GRH-40の量をわずかに変化させたが、大きな影響はなかった。処方29BBおよび51Cは、PurogeneTMの濃度でのみ異なるが、120分では、両者は本質的に同じニュートラルレッド保持値79%および82%であった。
【0122】
処方30Uおよび82Bは、表2の他の処方とは、それらがグリセリンを含み、NaClを含まないという点で異なる。EnduraTM処方は、グリセリンも含む。図2から分かるように、グリセリン含有処方は、最も細胞毒性であった。
【0123】
pHは7.19から7.75まで変化させた。処方51Cおよび35Aは、pHでのみ異なり、ここで51Cは7.39のpHを有し、35Aは7.75のpHを有する。120分の時点でのそれらの各ニュートラルレッド保持値は、82%および45%であって、これはpH7.75に起因する実質的な細胞毒性効果を示す。オスモル濃度は、230〜286に及んだ。粒径はほとんど一定であった。全ての処方をEnduraTMと比較した。
【表2】
*EnduraTMはさらに、別の非イオン性浸透圧調節物質を含み、かつ粘度を調節するポリマーを含む。EnduraTMの粒径は実質的に0.15ミクロンより大きく、1.0ミクロン未満である。
【実施例4】
【0124】
<細胞毒性研究のための処方>
表3に示した処方は、本質的に実施例1に記載したように調製した。図3は、表3の処方の細胞毒性データを示す。詳細には、オスモル濃度、Tween 80およびpHの影響を試験した。Povidone、PEG300およびCMCをそれぞれ含む溶液48B、52Aおよび53Bは、各々が167mOsm/kgのオスモル濃度を有し、これが観察された細胞毒性を生じる明確な原因であった。なぜならこれらのポリマーは全て非細胞毒性であるとみなされるからである。溶液44Aおよび47AはTween 80でのみ異なる。それらのそれぞれのニュートラルレッド保持値は120分では、59および63%であった。溶液44Aおよび83Aは、pHでのみ、それぞれ7.35対7.68で異なった。各々のニュートラルレッド保持値は、120分で59%および64%であって、これは、この実験においてpH7.68では効果がないことを示している。
【表3】
【実施例5】
【0125】
<細胞毒性研究の処方>
表4に示した処方は、本質的に実施例1に記載したように調製した。図4は、表4の処方の細胞毒性データを示す。表4については、他に注記しない限り、1000g当りのグラム数で量を示す。細胞毒性は、全ての溶液について同様であった。オスモル濃度の相違が、観察された相違の原因であると考えられ、細胞毒性が大きいほど、低いオスモル濃度を伴う。
【表4】
【0126】
成分量は、他に注記しない限り1000g当りのグラム数である。全ての処方について、平均粒径は、0.120ミクロンであった。累積(99%)粒径は0.264ミクロンであった。
【実施例6】
【0127】
<細胞毒性研究のための処方:CMC、PovidoneおよびPEG-300の効果>
【0128】
表5に示す処方は、本質的に実施例1に記載の通り調製した。表5については、他に注記しない限り、1000g当りのグラム数で量を示す。
【0129】
図5〜7は、表5の処方についての細胞毒性データを示す。処方76A〜Dは、CMCを用いて調製した(図5)。処方75BおよびC並びに73DおよびEは、Povidoneを用いて調製した(図6)。処方73F、G、HおよびIは、PEG-300を用いて調製した(図7)。75Aを除く全ての処方はさらなる防腐剤WSCPを含んでいた。これらの変更要素のうち細胞毒性に実質的に影響したものはなかった。
【0130】
【表5】
表5については、平均粒径は、全ての処方について0.111ミクロンであり、99%累積粒径は、全ての処方について0.213ミクロンであった。
【実施例7】
【0131】
<細胞毒性研究の結果のまとめ>
図2〜7の結果により、グリセリン含有処方30U(pH7.19)、82B(pH7.68)およびEnduraTM(pH7.33)が全て顕著に細胞毒性であることが示される。これらの処方での細胞毒性はまた、低いpH値および高いpH値に起因する。これらの結果は、pHの7.39(51C)から7.75(35A)のシフトによって、溶液が予想どおり、さらに細胞毒性になることがより明確に示している。しかし、小さいpHシフトは十分許容できる。51C中のPurogeneTMの存在は、PurogeneTMを含まない等価な処方29BBおよび34AAの細胞毒性に影響しない。低オスモル濃度(163〜167msOsm/kg)の処方は細胞毒性であった。しかし、溶液の透圧重量モル濃度の変化が小さいほど、細胞毒性には大きな変化を生じなかった。同様に、GRH-40単独、またはPolysorbate-80の存在下では、細胞毒性に著しく影響しない。眼科用粘滑ポリマー、例えば、CMC、PovidoneおよびPEGの存在は、細胞毒性に寄与しなかった。全体として、自己乳化水中油型エマルジョンが1種または2種の界面活性剤から構成され得、その結果、溶液が、先行技術の界面活性剤および粘度に基づくエマルジョン安定性を用いる従来のエマルジョン法によって製造される、現在市販されている水中油型眼科用エマルジョン、EnduraTMよりも、細胞毒性が低いことがこの結果によって確認される。
【0132】
[実施例8〜21]
<さらなる処方例>
実施例8〜21(表6〜11)は、本発明によって調製されたさらなる処方を示す。実施例8は特に、硬化ヒマシ油のエトキシル化から生成された界面活性剤/乳化剤としてCremophor RH-60を例証する。実施例9は、硬化ヒマシ油のエトキシル化から生成された界面活性剤/乳化剤としてCremophor RH-40を例証する。実施例21はTPGSを例証する。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
*ブリモニジン=(5-ブロモ-N-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-6-キノキサリナミン)
【0133】
[実施例25〜28]
<処方安定性:微生物増殖>
表12は、代表的な微生物の増殖に対する影響を研究した処方を示す。全ての濃度は、他に言及しない限り重量%である。実施例25および26では、基本組成物は、「WSCP/亜塩酸塩(WSCP/chlorite)」であって、これはホウ酸(0.6)、ホウ酸ナトリウム・10H2O(0.035)、NaCl(0.35)、CaCl2・2H2O(0.006)、MgCl2・6H2O(0.006)、KCl(0.14)、塩化ナトリウム(65ppm)およびWSCP、60%w/w(3ppm)を含む。ヒマシ油、Lumulse GRH-40およびKollidon 17NF(PVP)を、実施例25および26で示した濃度でWSCP/亜塩酸塩の基本組成物に添加した。実施例26では、ヒマシ油およびLumulse GRH-40を1/8濃度で用いた。エマルジョンのみを希釈し、およびLumulse GRH-40/ヒマシ油の比は0.8で一定のままであった。WSCP/亜塩酸塩の基本組成物およびKollidon 17 NF(PVP)の成分の濃度は一定のままであった。
【0134】
実施例27および28では、「Complete−C」または「CPT-C」と呼ばれる、別の基本組成物を用いた。この基本組成物は、NaCl(0.55)、第二リン酸ナトリウム七水和物(0.12)、第一リン酸ナトリウム一水和物(0.01)、KCl(0,14)、タウリン(0.05)、EDTA(0.01)およびPHMB(1ppm)を含む。ヒマシ油、Lumulse GRH-40およびKollidon 17 NF(PVP)を、実施例27および28に示される濃度でCPT-Cの基本組成物に添加した。実施例28については、エマルジョンのみを1/8希釈まで希釈した(すなわち、ヒマシ油およびLumulse GRH-40)。Lumulse GRH-40/ヒマシ油の比は、0.8で一定のままであった。
【表12】
【0135】
表14は、5種の異なる微生物に対して測定した、表12の処方についての0時点での6時間の対数減少を示す。これらの5種の微生物は、以下に列挙する5つのFDA/ISOが特定した試験微生物に対応する。
Serratia marcescens,ATCC 13880
Staphylococcus aureus,ATCC 6538
Pseudomonas aeruginosa,ATCC 9027
Candida albicans,ATCC 10231
Fusarium solani,ATCC 36031
(FDA Premarket Notification(510k)Guidance Document for Contact Lens Care Products, Appendix B,April 1,1997 およびISO/FDIS 14729:Ophthalmic optics−Contact lens care products−Microbiological requirements and test methods for products and regimens for hygienic management of contact lenses, 2001年1月)。コンタクトレンズ消毒剤は、それがコンタクトレンズのリンス、洗浄、消毒、保存および再湿潤のために用いられる場合、コンタクトレンズの多目的溶液としても公知である。
【0136】
FDAおよびISOのガイドラインは、以下の表13に定義される2つの消毒有効性標準を規定する。
【0137】
【表13】
【0138】
表12に記載した処方が、消毒に関する単独基準または処方計画依存基準を満たすか否かを決定するアッセイを以下に記載する。この手順は、表13の試験微生物の既知数の生きた細胞を用いた試験生成物アリコートの接種、および種々の間隔での生存物についてのアッセイを含む。この結果を用いて浸漬時間での対数減少を計算した。本明細書に記載された処方については、浸漬時間は6時間であって、生存物のアッセイは6時間後に行なった。
【0139】
表12の抗菌溶液の試験サンプル(実施例25〜28)を、0.22ミクロンの滅菌フィルターを通して滅菌濾過し、滅菌プラスチック高密度ポリエチレンボトルまたはプラスチックフラスコ中に入れた。試験サンプルの10mLアリコートを、滅菌ポリスチレンプラスチック試験管に無菌的に移した。0.05w/v%のPolysorbate-80(SS+TWEEN)を含む滅菌生理食塩水(0.90w/v%NaCl)を別のコントロール試験管に移した。全てのサンプルおよびコントロールは、試験の全期間にわたって20〜25℃で保存した。各サンプルおよびコントロールは、1mL のCandida albicans, ATCC 10231につき、約1〜2×108 CFU(コロニー形成単位)を含む50μlの接種物を用いて接種した。これは、表13の4種の他の微生物の各々について、別々の試験管で繰り返した。Candida albicans,ATCC 10231および他の微生物の試験培養物を常套の方法で調製した。各サンプルおよびコントロールの試験管を短時間ボルテックス(渦攪拌)して、接種物を分散した。これらの試験についての接触時間の間隔は6時間であった。
【0140】
生存物のレベルについて試験サンプルを定量するために、好気性プレートカウント方法(Aerobic Plate Count Methods)を行なった。適当なアッセイ時間で、0.5mLの十分にボルテックスしたアリコートをサンプル試験管から取り出して、4.5mLのLetheen Neutralizing Broth培地(Becton,Dickinson and Company, Sparks, Maryland)を含むガラス試験管に添加した。事前に決定された、有効な中和時間の後に、これらのサンプルを、4.5mLのLetheen Neutralizing Broth培地を含むガラス試験管を用い、2回の逐次希釈によって10倍希釈した。0.1mLのアリコートを各希釈試験管から取り出して、Sabouraud Dextrose Agar(SAB)(Becton, Dickinson and Company, Sparks, Maryland)を含む寒天プレートに、スプレッドプレートにより適用した。101〜104CFU/mLの生存物レベルを定量した。SS+TWEENコントロールサンプルを、3回逐次10倍希釈を用いて0の時点でのみ定量して、サンプルの1mLあたりに最初に存在するチャレンジ微生物(最初の接種物)の実際のレベルを決定した。回収した寒天プレートを3〜5日間、20〜25℃で培養した。
【0141】
コロニー形成単位(CFU)の数値は、各々のカウント可能な寒天プレートについてカウントした(Candidaプレートについては1プレートあたり一般に8〜80コロニー)。各時点での生存物の総数は、各々の間隔で最大数のCFUを含む系列10倍希釈寒天プレートについて寒天プレートカウントによって決定した。CFU/mLの対数減少は、各々の間隔での生存物の総数を底10の対数に変換すること、およびSS+TWEENコントロールの最初の接種物の底10の対数同等物からこれを差引きすることによって、各々の時点で各々のサンプルについて決定した。
【0142】
0時点で、および40℃での1ヶ月および2ヶ月の保存後にアッセイを行なった。結果を表13、14および15、並びに図8に示す。「合計」は、試験した全ての微生物についての対数減少の合計である。コントロールは、プロピレングリコール(0.5%)およびHPMC(0.15%)と組み合わせた上記のようなコンプリートC基本組成物であった。
【表14】
【表15】
【表16】
【0143】
これらの結果を図8にグラフで示す。意外なことに、実施例25の処方では、実際に、40℃で1ヶ月間(表15)または2ヶ月間(表15)の処方の保存後に導出した場合、微生物の対数減少がより大きい。実施例25(実施例26)の1/8希釈はまた、保存後の微生物の対数減少の増大を示すが、より低いレベルでは、この影響はLumulse GRH-40/ヒマシ油エマルジョンに起因しており、処方の他の成分に起因するのではないことが示される。しかし、この影響は、他の処方(実施例27〜28)でもコントロールでも観察されなかった。
【0144】
[実施例29〜33]
<低エマルジョンレベルの処方での処方安定性および微生物増殖>
上記で考察された実施例25の処方をさらに分析するために、第二の研究を行なった。実施例29(表17)は、上記の実施例25(表12)と同じ処方である。実施例30〜32の処方では(表17)、ヒマシ油に対するLumulse GRH-40の比は、0.8で一定に保たれるが、Lumulse GRH-40およびヒマシ油の両方の量を表17に示した希釈率まで減少させた。実施例33は、プロピレングリコール(0.5%)およびHPMC(0.15%)と組み合わせて上記のようなコンプリートC基本組成物を含むコントロールである。実施例25〜28について上記したようにアッセイを行なった。
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【0145】
表17〜19および図9から理解されるように、意外なことに、実施例25または29に従って調製されたエマルジョンは、他の処方よりもエージング後の微生物に対して安定性が優れ、かつ耐性である。さらに、この影響は、ヒマシ油に対するLumulse GRH-40の比は0.8で維持されていた、実施例25および29の処方の希釈(実施例30〜32)で観察された。この影響は、コントロールでは観察されなかった(実施例33)。殺菌性の効果は図10によって示されるとおり、エマルジョンに明確に依存しており、25℃での2ヶ月の保存後に対数減少の合計の線形増大をエマルジョン濃度の関数として示す。データは、表20から得た。この研究によって、これらの処方の有用な殺菌性の効果が、エマルジョン自体に起因しており、処方の他の成分に起因してはいなかったことが確認される。
【0146】
多数のおよび種々の改変が本発明の趣旨から逸脱することなく行なうことができるということが当業者には理解される。従って、本発明の形態は、例示されているだけであり、本発明の範囲を限定することは意図していないことが明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、記載された眼科用自己乳化組成物の調製のためのフローチャートを示す。
【図2】図2は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、29BB(−▲−)、30U(−*−)、83A(−■−)、51C(−△−)、82B(−□−)、Endura(−○−)、34AA(−□−)、35A(−◇−)。
【図3】図3は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、44A(−▲−)、48B(−*−)、47(−■−)、98C(−△−)、52A(−□−)、Endura(−○−)、83A(−□−)、53B(−◇−)。
【図4】図4は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、57A(−▲−)、57D(−*−)、58B(−■−)、58E(−△−)、59C(−□−)、59F(−○−)、60A(−□−)、59G(−◇−)。
【図5】図5は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、76A(−▲−)、76B(−*−)、76C(−■−)、76D(−△−)、75A(−□−)、Endura(−○−)。
【図6】図6は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、75A(−▲−)、75B(−*−)、75C(−■−)、73D(−△−)、73E(−□−)、Edura(−○−)。
【図7】図7は、サンプル処方についての細胞毒性試験の結果を示す。BAK 200ppm(−●−)、73FA(−▲−)、73G(−*−)、73H(−■−)、73I(−△−)、75A(−□−)、Edura(−○−)。
【図8】図8は、1×WSCP/亜塩素酸塩(−◆−)、1/8WSCP/亜塩素酸塩(−■−)、1×CPT−Cベース(−▲−)、および1/8×CPT−Cベース(−●−)における微生物レベルの6時間での対数減少を保存時間の関数として示す。
【図9】図9は、9481×(1×)(−◇−)、1/2(−□−)、1/4(−△−)、1/8(−○−)、0(−*−)および完全C(−○−)における微生物レベルの6時間での対数減少を保存時間の関数として示す。
【図10】図10は、実施例29〜33の処方の2ヶ月の保存後に行なった微生物カウントの対数減少合計をエマルジョン濃度の関数として示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相に分散された1ミクロン未満の平均粒径を有する油球を含み、該油球は、
(a)本質的に1種または2種の界面活性剤からなる界面活性剤成分;および
(b)極性の油状成分;
を含み、
該界面活性剤成分および該油状成分は、機械的均質化なしに混合された場合、自己乳化するように選択される、自己乳化組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤成分が疎水性部分を有し、該疎水性部分が、油球の内部に向かって配向された該界面活性剤成分の疎水性部分の第二部分よりも大きい、水相に対して近位に配向された第一部分を含む、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤成分が本質的に1種の界面活性剤からなり、該界面活性剤の疎水性部分の第一部分が該界面活性剤の疎水性部分の第二部分より多くの原子を含む、請求項2に記載の自己乳化組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤成分が本質的に2種の界面活性剤からなり、該界面活性剤の第一成分が第一の疎水性部分を含み、該界面活性剤の第二成分が第二の疎水性部分を含み、該第一の疎水性部分が該第二の疎水性部分よりも長い鎖を有する、請求項2に記載の自己乳化組成物。
【請求項5】
自己乳化を阻害しないさらなる界面活性剤を含む、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項6】
前記油状成分がヒマシ油または天然油を含む、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項7】
前記油球が0.25ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項8】
前記油球が0.15ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項9】
極性油と本質的に1種または2種の界面活性剤からなる界面活性剤成分とを含む油相を調製する工程であって、該油相中の該極性油および該界面活性剤成分が液体状態である工程;
自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程;および
機械的均質化なしに、油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程;
を含んでなる、請求項1に記載の自己乳化組成物を製造する方法。
【請求項10】
前記油相と前記水相の一部との間でペーストを形成する工程と、該ペーストを該水相の残部と混合してエマルジョンを形成する工程とをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
極性油と本質的に1種または2種の界面活性剤からなる界面活性剤成分とを含む油相を調製する工程であって、該油相中の該極性油および該界面活性剤成分が液体状態である工程;
自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程;および
機械的均質化なしに、該油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程;
により製造できる自己乳化組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤成分が単一の界面活性剤からなる、請求項11に記載の自己乳化組成物。
【請求項13】
前記油相が天然油またはヒマシ油のいずれかを含む、請求項11に記載の自己乳化組成物。
【請求項14】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物であって、前記界面活性剤成分が、少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪アルコール鎖から形成される少なくとも1つのエーテルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖から形成される少なくとも1つのエステルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも1種のビタミンまたはビタミン誘導体から形成される少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミドを有する化合物;並びに2つ以下の界面活性剤からなるそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、自己乳化組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤成分がLumulse GRH-40である1種の界面活性剤からなる、請求項1または11に記載の自己乳化組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤成分がTGPSである1種の界面活性剤からなる、請求項1または11に記載の自己乳化組成物。
【請求項17】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物および治療薬を含む治療組成物。
【請求項18】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物、および眼に投与した場合、治療的である薬物を含む眼科用組成物。
【請求項19】
シクロスポリン、プロスタグランジン、ブリモニジンおよびブリモニジン塩からなる群より選択される治療化合物を含む、請求項17に記載の治療組成物。
【請求項20】
請求項15に記載の自己乳化組成物および治療薬を含む治療組成物。
【請求項21】
請求項15に記載の自己乳化組成物、および眼に投与した場合治療薬となる薬物を含む眼科用組成物。
【請求項22】
シクロスポリン、プロスタグランジン、ブリモニジンおよびブリモニジン塩からなる群より選択される治療化合物を含む、請求項20に記載の治療組成物。
【請求項23】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物、および治療薬を含み、前記極性油がヒマシ油または天然油のいずれかである、治療用組成物。
【請求項24】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物;および
亜塩素酸塩防腐剤成分;
を含む、眼科用溶液。
【請求項25】
ポリ[ジメチルイミノ−w−ブテン−1,4−ジイル]クロリド、α−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム]−ジクロリド(Polyquaternium 1TM)、ポリ(オキシエチル(ジメチルイミノ)エチレンジメチルイミニオ)エチレンジクロリド(WSCPTM)、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)、ハロゲン化ベンザルコニウム、アレキシジンの塩、アレキシジン遊離塩基、クロルヘキシジンの塩、ヘキセチジン、アルキルアミン、アルキルジ−およびトリ−アミン、トロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ヘキサメチレンビグアニドおよびそれらのポリマー、抗菌ポリペプチド、並びにそれらの混合物からなる群より選択される陽イオン性抗菌剤をさらに含む、請求項24に記載の眼科用溶液。
【請求項26】
前記亜塩素酸塩防腐剤成分が、安定化二酸化塩素(SCD)、亜塩素酸金属およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項24に記載の眼科用溶液。
【請求項27】
コンタクトレンズのための多目的溶液である、請求項24に記載の眼科用溶液。
【請求項28】
前記自己乳化組成物がLumulse GRH-40およびヒマシ油を含む、請求項24に記載の眼科用溶液。
【請求項29】
請求項1または11に記載の組成物中にコンタクトレンズを浸漬する工程を包含する、コンタクトレンズを洗浄する方法。
【請求項30】
前記組成物を調製する工程と、該組成物中に前記コンタクトレンズを浸漬する前に少なくともレジメン(処方計画)消毒標準まで該組成物の抗菌活性を増大する工程とをさらに包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物に前記レンズを浸漬する前に少なくとも1ヶ月待機することによって前記抗菌活性が増大される、請求項30に記載の方法。
【請求項1】
水相に分散された1ミクロン未満の平均粒径を有する油球を含み、該油球は、
(a)本質的に1種または2種の界面活性剤からなる界面活性剤成分;および
(b)極性の油状成分;
を含み、
該界面活性剤成分および該油状成分は、機械的均質化なしに混合された場合、自己乳化するように選択される、自己乳化組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤成分が疎水性部分を有し、該疎水性部分が、油球の内部に向かって配向された該界面活性剤成分の疎水性部分の第二部分よりも大きい、水相に対して近位に配向された第一部分を含む、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤成分が本質的に1種の界面活性剤からなり、該界面活性剤の疎水性部分の第一部分が該界面活性剤の疎水性部分の第二部分より多くの原子を含む、請求項2に記載の自己乳化組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤成分が本質的に2種の界面活性剤からなり、該界面活性剤の第一成分が第一の疎水性部分を含み、該界面活性剤の第二成分が第二の疎水性部分を含み、該第一の疎水性部分が該第二の疎水性部分よりも長い鎖を有する、請求項2に記載の自己乳化組成物。
【請求項5】
自己乳化を阻害しないさらなる界面活性剤を含む、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項6】
前記油状成分がヒマシ油または天然油を含む、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項7】
前記油球が0.25ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項8】
前記油球が0.15ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の自己乳化組成物。
【請求項9】
極性油と本質的に1種または2種の界面活性剤からなる界面活性剤成分とを含む油相を調製する工程であって、該油相中の該極性油および該界面活性剤成分が液体状態である工程;
自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程;および
機械的均質化なしに、油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程;
を含んでなる、請求項1に記載の自己乳化組成物を製造する方法。
【請求項10】
前記油相と前記水相の一部との間でペーストを形成する工程と、該ペーストを該水相の残部と混合してエマルジョンを形成する工程とをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
極性油と本質的に1種または2種の界面活性剤からなる界面活性剤成分とを含む油相を調製する工程であって、該油相中の該極性油および該界面活性剤成分が液体状態である工程;
自己乳化を可能にする温度で水相を調製する工程;および
機械的均質化なしに、該油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程;
により製造できる自己乳化組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤成分が単一の界面活性剤からなる、請求項11に記載の自己乳化組成物。
【請求項13】
前記油相が天然油またはヒマシ油のいずれかを含む、請求項11に記載の自己乳化組成物。
【請求項14】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物であって、前記界面活性剤成分が、少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪アルコール鎖から形成される少なくとも1つのエーテルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも約12〜22個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖から形成される少なくとも1つのエステルを有する化合物;少なくとも約1〜100個のエチレンオキシド単位および少なくとも1種のビタミンまたはビタミン誘導体から形成される少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミドを有する化合物;並びに2つ以下の界面活性剤からなるそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、自己乳化組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤成分がLumulse GRH-40である1種の界面活性剤からなる、請求項1または11に記載の自己乳化組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤成分がTGPSである1種の界面活性剤からなる、請求項1または11に記載の自己乳化組成物。
【請求項17】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物および治療薬を含む治療組成物。
【請求項18】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物、および眼に投与した場合、治療的である薬物を含む眼科用組成物。
【請求項19】
シクロスポリン、プロスタグランジン、ブリモニジンおよびブリモニジン塩からなる群より選択される治療化合物を含む、請求項17に記載の治療組成物。
【請求項20】
請求項15に記載の自己乳化組成物および治療薬を含む治療組成物。
【請求項21】
請求項15に記載の自己乳化組成物、および眼に投与した場合治療薬となる薬物を含む眼科用組成物。
【請求項22】
シクロスポリン、プロスタグランジン、ブリモニジンおよびブリモニジン塩からなる群より選択される治療化合物を含む、請求項20に記載の治療組成物。
【請求項23】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物、および治療薬を含み、前記極性油がヒマシ油または天然油のいずれかである、治療用組成物。
【請求項24】
請求項1または11に記載の自己乳化組成物;および
亜塩素酸塩防腐剤成分;
を含む、眼科用溶液。
【請求項25】
ポリ[ジメチルイミノ−w−ブテン−1,4−ジイル]クロリド、α−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム]−ジクロリド(Polyquaternium 1TM)、ポリ(オキシエチル(ジメチルイミノ)エチレンジメチルイミニオ)エチレンジクロリド(WSCPTM)、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)、ハロゲン化ベンザルコニウム、アレキシジンの塩、アレキシジン遊離塩基、クロルヘキシジンの塩、ヘキセチジン、アルキルアミン、アルキルジ−およびトリ−アミン、トロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ヘキサメチレンビグアニドおよびそれらのポリマー、抗菌ポリペプチド、並びにそれらの混合物からなる群より選択される陽イオン性抗菌剤をさらに含む、請求項24に記載の眼科用溶液。
【請求項26】
前記亜塩素酸塩防腐剤成分が、安定化二酸化塩素(SCD)、亜塩素酸金属およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項24に記載の眼科用溶液。
【請求項27】
コンタクトレンズのための多目的溶液である、請求項24に記載の眼科用溶液。
【請求項28】
前記自己乳化組成物がLumulse GRH-40およびヒマシ油を含む、請求項24に記載の眼科用溶液。
【請求項29】
請求項1または11に記載の組成物中にコンタクトレンズを浸漬する工程を包含する、コンタクトレンズを洗浄する方法。
【請求項30】
前記組成物を調製する工程と、該組成物中に前記コンタクトレンズを浸漬する前に少なくともレジメン(処方計画)消毒標準まで該組成物の抗菌活性を増大する工程とをさらに包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物に前記レンズを浸漬する前に少なくとも1ヶ月待機することによって前記抗菌活性が増大される、請求項30に記載の方法。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2006−526579(P2006−526579A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507252(P2006−507252)
【出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/008076
【国際公開番号】WO2004/082625
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(502049837)アドバンスト メディカル オプティクス, インコーポレーテッド (50)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/008076
【国際公開番号】WO2004/082625
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(502049837)アドバンスト メディカル オプティクス, インコーポレーテッド (50)
【Fターム(参考)】
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