説明

自己免疫性及び炎症性疾患を治療するためのブロモドメイン阻害剤

本発明は、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療におけるブロモドメイン阻害剤の使用、このような化合物を含有する医薬組成物、並びにこのような疾患又は病態の治療において用いるための化合物を同定する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療における化合物の使用、このような化合物を含有する医薬組成物、並びにこのような疾患又は病態の治療において用いるための化合物を同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真核生物のゲノムは、細胞の核内で高度に組織化されている。二本鎖DNAの長い鎖は、ヒストンタンパク質(大部分は、2コピーのヒストンH2A、H2B、H3、及びH4を含む)の八量体に巻き付いて、ヌクレオソームを形成する。次いで、この基本単位は、ヌクレオソームの凝集及び折り畳みによって更に圧縮されて、高度に凝縮したクロマチン構造を形成する。様々な異なる状態の凝縮が可能であり、この構造の堅固さは、細胞周期中に変化し、細胞分裂期の間が最もコンパクトである。クロマチン構造は、遺伝子転写の調節において重要な役割を果たしているが、これは、高度に凝縮したクロマチンからは効率的に生じることができない。クロマチン構造は、ヒストンタンパク質、特にヒストンH3及びH4、最も一般的にはコアヌクレオソーム構造を超えて伸びるヒストンテイル内に対する一連の翻訳後修飾によって制御される。これら修飾としては、アセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチニル化、SUMO化が挙げられる。これらエピジェネティックマークは、特定の酵素によって生じたり消えたりし、前記酵素は、ヒストンテイル内の特定の残基にタグを配置して、エピジェネティックコードを形成し、これは、次いで、細胞によって解釈されて、クロマチン構造を遺伝子特異的に調節して、転写させる。
【0003】
ヒストンのアセチル化は、大部分は遺伝子転写の活性化に関連しているが、その理由は、修飾が、静電気を変化させることによりDNAとヒストン八量体との相互作用を弱めるためである。この物理的変化に加えて、エピジェネティックコードを読み取るために、特定のタンパク質がヒストン内のアセチル化リシン残基に結合する。ブロモドメインは、ヒストンの状況において一般的ではあるが排他的ではなくアセチル化リシン残基に結合するタンパク質内の小さな(約110アミノ酸)特徴的ドメインである。ブロモドメインを含有することが知られている約50のタンパク質のファミリーが存在し、それらは、細胞内で様々な機能を有している。
【0004】
ブロモドメイン含有タンパク質のBETファミリーは、近接する2つのアセチル化リシン残基に結合することができるタンデムなブロモドメインを含有する4つのタンパク質(BRD2、BRD3、BRD4、及びBRD−t)を含み、相互作用の特異性を上昇させる。BRD2及びBRD3は、活発に転写されている遺伝子に沿ってヒストンと会合すると報告されており、転写伸長の促進に関与している可能性があるが(Leroyら,Mol.Cell.2008年30(1):51−60)、一方、BRD4は、誘導可能な遺伝子へのpTEF−β複合体の動員に関与していると思われ、その結果、RNAポリメラーゼがリン酸化され、転写生産が増加する(Hargreavesら,Cell,2009年138(1):129−145)。BRD−tは、精巣及び卵巣でのみ発現する。全てのファミリーのメンバーは、細胞周期の制御又は実行の局面において何らかの機能を有していると報告されており、細胞分裂中、染色体との複合体を保持することが示されている。これは、エピジェネティックメモリーの維持における役割を示唆している。更に、一部のウィルスは、ウィルス複製の過程の一部として、これらタンパク質を利用して前記ウィルスのゲノムをホスト細胞のクロマチンに繋ぎ止める(Youら Cell,2004年117(3):349−60)。
【0005】
特開2008−156311号公報には、BRD2ブロモドメイン結合剤であるといわれているベンズイミダゾール誘導体が開示されており、これはウィルス感染/増殖に関して有用性を有する。
【0006】
国際公開第2009/084693号パンフレットには、アセチル化ヒストンとブロモドメイン含有タンパク質との間の結合を阻害するといわれている一連のチエノトリアゾロジアゼピエン誘導体が開示されており、これは、抗癌剤として有用であるといわれている。
【0007】
様々な自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において有用性を有する、ブロモドメインとその同種のアセチル化タンパク質との結合を阻害する化合物が現在見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−156311号公報
【特許文献2】国際公開第2009/084693号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Leroyら,Mol.Cell.2008年30(1):51−60
【非特許文献2】Hargreavesら,Cell,2009年138(1):129−145
【非特許文献3】Youら Cell,2004年117(3):349−60
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様では、治療上有効な量のブロモドメイン阻害剤をそれを必要としている被験体に投与することを含む、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態を治療する方法を提供する。
【0011】
本発明の第2の態様では、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するためのブロモドメイン阻害剤を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様では、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態を治療するための医薬の製造におけるブロモドメイン阻害剤の使用を提供する。
【0013】
第4の態様では、本発明は、ブロモドメイン阻害剤と、少なくとも1つの医薬担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬製剤であって、前記ブロモドメイン阻害剤が、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するのに有効な量で存在する医薬製剤を提供する。
【0014】
第5の態様では、本発明は、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するための化合物を同定する方法であって、前記化合物がブロモドメインとその同種のアセチル化タンパク質との結合を阻害するかどうかを判定する工程を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、治療上有効な量のブロモドメイン阻害剤をそれを必要としている被験体に投与することを含む、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態を治療する方法を提供する。
【0016】
好適には、それを必要としている被験体は、哺乳類、特にヒトである。
【0017】
本発明で使用する用語「有効な量」は、例えば、研究者又は臨床医によって求められている組織、系、動物、又はヒトの生物学的反応又は医学的反応を誘発する薬物又は医薬剤の量を意味する。更に、用語「治療上有効な量」は、このような量を投与されていない対応する被験体と比較したとき、疾患、障害又は副作用の治療、治癒、予防若しくは回復を改善させるか、又は疾患若しくは障害の進行速度を低下させる任意の量を意味する。また、この用語は、正常な生理機能を増強するのに有効な量をその範囲内に含む。
【0018】
本発明で使用する用語「ブロモドメイン阻害剤」は、ブロモドメインとその同種のアセチル化タンパク質との結合を阻害する化合物を意味する。1つの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、ブロモドメインのアセチル化リシン残基への結合を阻害する化合物である。更なる実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、ヒストン、特にヒストンH3及びH4における、ブロモドメインのアセチル化リシン残基への結合を阻害する化合物である。
【0019】
特定の実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、アセチル化リシン残基へのBETファミリーのブロモドメインの結合を阻害する化合物である(以下、「BETファミリーのブロモドメイン阻害剤」と称する場合もある)。1つの実施形態では、BETファミリーのブロモドメインは、BRD2、BRD3、又はBRD4、特にBRD2又はBRD3である。BETファミリーのブロモドメイン阻害剤は、本明細書に記載する結合アッセイのうちの少なくとも1つ以上においてpIC50≧5.0である化合物である。
【0020】
1つの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、小分子、具体的には分子量750未満、より具体的には500未満の化合物である。
【0021】
1つの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、表1に示す実施例1〜6からなる群より選択される化合物である。
【表1−1】

【表1−2】

【0022】

実施例1〜6は、本明細書に記載する方法によって調製することができる。
【0023】
更なる実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、国際公開第2006/032470号パンフレット(SmithKline Beecham Corporation)に一般的に又は具体的に開示されている化合物である。このような化合物は、本明細書に記載する方法によって調製することができる。
【0024】
更なる実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、国際公開第2009/084693号パンフレット(Mitsubishi Tanabe)に一般的に又は具体的に開示されている化合物である。このような化合物は、本明細書に記載する方法によって調製することができる。
【0025】
更なる実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、特開2008−156311号公報に記載されている1−[2−(1H−ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]−1,3−ジヒドロ−3−メチル−2H−ベンズイミダゾール−2−チオンである。
【0026】
本発明において使用されるブロモドメイン阻害剤は、レシピエントに投与したとき本発明のブロモドメイン阻害剤を(直接又は間接的に)提供することができる薬学的に許容しうる塩、溶媒和物(例えば、水和物)、若しくはプロドラッグ、又はこのような化合物の他の誘導体、あるいはその活性代謝産物又は残基の形態であってもよいと認識される。好適な薬学的に許容し得る塩は、酸又は塩基付加塩を含んでもよい。好適な塩に関する概説については、Bergeら,J.Pharm.Sci.,66:1−19,(1977年)を参照されたい。典型的に、薬学的に許容し得る塩は、必要に応じて望ましい酸又は塩基を用いることによって容易に調製することができる。得られる塩は、溶液から沈殿させ、濾過によって収集してもよく、溶媒を蒸発させることによって回収してもよい。好適なプロドラッグは、過度の実験を行うことなく、当業者が認識可能である。しかし、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery,第5版,Vol1:Principles and Practiceの教示を参照する。
【0027】
本発明の第2の態様では、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するためのブロモドメイン阻害剤を提供する。
【0028】
本発明の第3の態様では、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態を治療するための医薬の製造におけるブロモドメイン阻害剤の使用を提供する。
【0029】
本発明で使用する用語「自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態」は、広範囲にわたる慢性の自己免疫性及び炎症性病態、例えば、関節リウマチ、変形性関節症、急性痛風、乾癬、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎)、喘息、慢性閉塞性気道疾患、肺炎、心筋炎、心膜炎、筋炎、湿疹、皮膚炎、脱毛、白斑、水疱性皮膚疾患、腎炎、脈管炎、アテローム性動脈硬化、アルツハイマー病、うつ病、網膜炎、ブドウ膜炎、強膜炎、肝炎、膵臓炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、アジソン病、下垂体炎、甲状腺炎、1型糖尿病及び移植臓器の急性拒絶を意味することを意図する。
【0030】
用語「自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態」は、急性炎症性病態、例えば、急性痛風、巨細胞性動脈炎、狼瘡腎炎を含む腎炎、糸球体腎炎等の臓器障害を伴う脈管炎、巨細胞性動脈炎を含む脈管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、結節性多発性動脈炎、ベーチェット病、川崎病、高安動脈炎、臓器障害を伴う脈管炎、及び移植臓器の急性拒絶を含むことも意図する。
【0031】
用語「自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態」は、細菌、ウィルス、菌類、寄生虫、又はこれらの毒素の感染に対する炎症反応を伴う疾患又は病態、例えば、敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショック、エンドトキシン血症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器機能不全症候群、毒素性ショック症候群、急性肺障害、ARDS(成人型呼吸窮迫症候群)、急性腎不全、劇症肝炎、熱傷、急性膵炎、術後症候群、サルコイドーシス、ヘルクスハイマー反応、脳炎、脊髄炎、脳膜炎、マラリア、インフルエンザ、帯状疱疹、単純疱疹、コロナウイルス等のウィルス感染に関連するSIRSを含むことも意図する。
【0032】
用語「自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態」は、上記疾患状態の各々又は全てを含むことを意図する。
【0033】
1つの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤が指示される疾患又は病態は、敗血症、熱傷、膵臓炎、大外傷、出血及び乏血等の全身性炎症反応症候群に関連する疾患から選択される。この実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、SIRS、ショックの発症、急性の肺障害、ARDS、急性の腎臓、肝臓、心臓、及び胃腸の傷害を含む多臓器機能不全症候群、並びに死亡の発生率を低下させるために診断時点で投与される。別の実施形態では、高リスクの敗血症、出血、広範囲にわたる組織損傷、SIRS又はMODS(多臓器機能障害症候群)に関連する手術又は他の手技の前にブロモドメイン阻害剤を投与する。特定の実施形態では、敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショック又はエンドトキシン血症の治療のためにブロモドメイン阻害剤が指示される。別の実施形態では、急性又は慢性の膵炎を治療するためにブロモドメイン阻害剤が指示される。別の実施形態では、熱傷の治療のためにブロモドメインが指示される。
【0034】
治療に用いるために、ブロモドメイン阻害剤を未加工の化学物質として投与することも可能であるが、活性成分を医薬組成物として提示することが一般的である。
【0035】
第4の態様では、本発明は、ブロモドメイン阻害剤と、少なくとも1つの医薬担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬製剤であって、前記ブロモドメイン阻害剤が、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するのに有効な量で存在する医薬製剤を提供する。
【0036】
担体、希釈剤、又は賦形剤は、組成物の他の成分と適合し、かつそのレシピエントにとって有害ではないという意味で許容可能でなければならない。
【0037】
医薬組成物は、単位用量当たり所定の量の活性成分を含有する単位用量形態で提示してもよい。好ましい単位投薬組成物は、日用量若しくはサブ用量、又はその適切な割合の活性成分を含有しているものである。したがって、このような単位用量は、1日に2回以上投与してもよい。好ましい単位投薬組成物は、本明細書に上記した通り、(1日に2回以上投与するために)日用量若しくはサブ用量、又はその適切な割合の活性成分を含有するものである。
【0038】
医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、経口(頬側又は舌下を含む)、直腸、吸入、鼻腔内、局所(頬側、舌下、又は経皮を含む)、膣、又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、又は皮内)経路による投与に適している場合がある。このような組成物は、薬学分野において公知である任意の方法によって、例えば、活性成分を担体又は賦形剤と会合させることによって調製することができる。
【0039】
1つの実施形態では、医薬組成物は、非経口投与、特に静脈内投与に適している。
【0040】
非経口投与に適している医薬組成物としては、酸化防止剤、バッファ、静菌剤及び組成物を対象レシピエントの血液と等張にする溶質を含有してもよい水性及び非水性の無菌注射液;並びに、懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい水性及び非水性の無菌懸濁剤が挙げられる。組成物は、単位用量又は複数用量用の容器、例えば、密閉されたアンプル及びバイアルで提示されてもよく、使用直前に無菌液体担体、例えば、注射用の水を添加することのみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)した状態で保存してもよい。無菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から即時注射液及び懸濁剤を調製してもよい。
【0041】
経口投与に適している医薬組成物は、カプセル剤又は錠剤等の個々の単位;散剤又は果粒剤;水性又は非水性の液体における液剤又は懸濁剤;食用の発泡体又はホイップ;あるいは水中油型エマルション又は油中水型エマルションとして提示されてもよい。
【0042】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態の経口投与については、活性薬物成分は、エタノール、グリセロール、水等の経口で無毒な薬学的に許容しうる不活性の担体と組み合わせてもよい。錠剤又はカプセル剤に配合するのに好適な粉末は、(例えば、微粉化により)化合物を好適な細かい大きさにし、同様に調製された薬学担体、例えば、例えばデンプン又はマンニトール等の食用炭水化物等と混合することによって調製することができる。また、着香剤、保存剤、分散剤及び着色剤が存在してもよい。
【0043】
カプセル剤は、上記の通り、粉末混合物を調製し、成形されたゼラチンシースに充填することにより作製することができる。充填操作の前に、コロイダルシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は固体ポリエチレングリコール等の流動促進剤及び滑沢剤を粉末混合物に添加してもよい。また、カプセル剤を服用するときの薬剤のアベイラビリティを改善するために、寒天、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウム等の崩壊剤又は可溶化剤を添加してもよい。
【0044】
更に、望ましい場合又は必要な場合、好適な結合剤、流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、崩壊剤及び着色剤を混合物に配合してもよい。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコース又はベータラクトース等の天然糖、コーンシロップ、アラビアゴム、トラガカントゴム、又はアルギン酸ナトリウム等の天然及び合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろう等が挙げられる。これら剤形において使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられるが、これらに限定されない。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化又はスラッギングし、滑沢剤及び崩壊剤を添加し、錠剤に圧縮することによって製剤化される。粉末混合物は、粉砕されていることが好ましい化合物と、上記のような希釈剤又は基剤、及び任意でカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン又はポリビニルピロリドン等の結合剤、パラフィン等の溶解遅延剤、四級塩等の吸収促進剤、及び/又はベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウム等の吸着剤とを混合することによって調製される。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アカディア粘液(acadia mucilage)、又はセルロース若しくは高分子物質の溶液等の結合剤で湿潤させ、篩に通すことによって顆粒化することができる。別の顆粒化法として、粉末混合物を打錠機に通してもよく、その結果、不完全に形成された小塊が顆粒になる。顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又は鉱油を添加することにより、錠剤成形型にくっつくのを防ぐために潤滑してもよい。次いで、潤滑された混合物を錠剤に圧縮する。また、本発明の化合物は、自由流動不活性担体と合わせ、顆粒化工程又はスラッギング工程を経ることなく直接錠剤に圧縮してもよい。セラックのシーラー、糖又は高分子物質のコーティング、及びろうの光沢コーティングからなる透明又は不透明な保護コーティングを提供してもよい。異なる単位投薬量を識別するために、これらのコーティングに染料を添加してもよい。
【0045】
液剤、シロップ剤及びエリキシル剤等の口腔液は、所与の量が所定の量の化合物を含有するように、単位剤形で調製してもよい。シロップ剤は、好適に着香された水溶液に化合物を溶解させることにより調製することができ、一方、エリキシル剤は、非毒性のアルコール性ビヒクルの使用を通して調製される。懸濁剤は、非毒性ビヒクルに化合物を分散させることにより製剤化することができる。エトキシ化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテル等の可溶化剤及び乳化剤、保存剤、ハッカ油等の着香用添加物、あるいは天然甘味料、又はサッカリン、又は他の人工甘味料等を添加してもよい。
【0046】
適切な場合、経口投与用投薬量単位組成物をマイクロカプセル化してもよい。また、製剤は、例えば、ポリマー、ろう等の微粒子物質でコーティングするか又は埋め込むことにより、長時間又は持続して放出するように調製することもできる。
【0047】
また、ブロモドメイン阻害剤は、小さな単層小胞、大きな単層小胞及び多重層小胞等のリポソーム送達系の形で投与してもよい。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリン等の様々なリン脂質から形成することができる。
【0048】
局所投与に適している医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、パスタ剤、ゲル、スプレー、エアゾール剤又は油剤として製剤化してもよい。
【0049】
眼又は他の外部組織、例えば、口及び皮膚の治療の場合、組成物は、局所用の軟膏剤又はクリーム剤として塗布されることが好ましい。軟膏剤に製剤化されるとき、活性成分は、パラフィン又は水のいずれかに混和性である軟膏基剤を使用してもよい。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤を含むクリーム剤に製剤化してもよい。
【0050】
目への局所投与に適している医薬組成物としては、好適な担体、特に水性溶媒に活性成分を溶解又は懸濁させた点眼薬が挙げられる。
【0051】
鼻又は吸入投与のための剤形は、エアゾール剤、液剤、懸濁剤、ゲル剤又は乾燥散剤として便利に製剤化することができる。
【0052】
吸入投与に好適な及び/又は適している組成物については、本発明の化合物が、例えば、微粉化により得られる粒径減少形態であることが好ましい。径減少(例えば、微粉化)化合物又は塩の好ましい粒径は、(例えばレーザー回折を使用して測定したとき)約0.5〜約10ミクロンのD50値によって定義される。
【0053】
例えば、吸入投与するためのエアゾール製剤は、薬学的に許容し得る水性又は非水性溶媒における活性物質の溶液又は微細懸濁液を含んでもよい。エアゾール製剤は、霧吹き装置又は吸入器と共に用いるためのカートリッジ又はリフィルの形態をとってもよい密閉容器内に入れられた無菌形態の単回又は複数回用量で提示されてもよい。あるいは、密閉容器は、容器の内容物が一度排出されたら廃棄することを意図する絞り弁(定量吸入器)を備える単回用量鼻吸入器又はエアゾールディスペンサ等の単一式分配装置であってもよい。
【0054】
剤形がエアゾールディスペンサを含む場合、圧縮空気、二酸化炭素、ヒドロフルオロカーボン(HFC)等の有機噴射剤等の好適な加圧噴射剤を収容することが好ましい。好適なHFC噴射剤としては1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが挙げられる。エアゾール剤形は、ポンプ式霧吹き器の形態をとってもよい。加圧エアゾールは、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有してもよい。これは、懸濁製剤の分散特性及び均質性を改善するために、更なる賦形剤、例えば、共溶媒及び/又は界面活性剤を配合することを必要とする場合がある。溶液製剤は、エタノール等の共溶媒の添加を必要とする場合もある。
【0055】
吸入投与に好適な及び/又は適している医薬組成物では、前記医薬組成物は、乾燥粉末の吸入可能な組成物であってもよい。このような組成物は、ラクトース、グルコース、トレハロース、マンニトール又はデンプン等の粉末基剤、式(I)の化合物又はその塩(好ましくは、粒径減少形態、例えば、微粉化形態)、及び任意でL−ロイシン若しくは別のアミノ酸等の性能変更剤、及び/又はステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム等のステアリン酸の金属塩を含んでもよい。好ましくは、乾燥粉末の吸入可能な組成物は、ラクトース、例えば、ラクトース一水和物と式(I)の化合物又はその塩との乾燥粉末ブレンドを含む。このような組成物は、GlaxoSmithKlineから販売されており、例えば、英国特許出願公開第2242134 A号明細書に記載されているDISKUS(登録商標)装置等の好適な装置を用いて患者に投与することができる。
【0056】
ブロモドメイン阻害剤は、流体ディスペンサ、例えば、流体ディスペンサのポンプ機構にユーザが印加した力が印加されたときに、それを通して定量の流体製剤が分配される分配ノズル又は分配オリフィスを有する流体ディスペンサから送達するための流体製剤として製剤化してもよい。このような流体ディスペンサは、一般的に、複数の一定用量の流体製剤用の容器を備え、前記用量は、順次ポンプを作動させたときに分配可能である。分配ノズル又はオリフィスは、流体製剤を鼻腔に噴霧分配するためにユーザの鼻孔に挿入する構成であってもよい。前述の種類の流体ディスペンサは、国際公開第2005/044354号パンフレットに記載及び図示されている。
【0057】
ブロモドメイン阻害剤の化合物の治療上有効な量は、例えば、動物の年齢及び体重、治療を必要とする正確な症状及びその重篤度、製剤の性質、並びに投与経路を含む多数の要因に依存し、最終的には主治医又は獣医の裁量である。医薬組成物において、経口又は非経口投与用の各投薬量単位は、遊離塩基として計算される本発明の化合物を0.01〜3000mg、より好ましくは0.5〜1000mg含有することが好ましい。鼻又は吸入投与用の各投薬量単位は、遊離塩基として計算される式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を0.001〜50mg、より好ましくは0.01〜5mg含有することが好ましい。
【0058】
本発明で使用するための化合物は、遊離塩基として計算される式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が、例えば、1日当たり0.01mg〜3000mg又は1日当たり0.5〜1000mgの経口又は非経口用量、あるいは1日当たり0.001〜50mg又は1日当たり0.01〜5mgの鼻又は吸入用量の日用量(成人患者の場合)で投与することができる。この量は、合計日用量が同じになるように、1日当たり単回用量、又はより一般的には1日当たり多数(例えば2、3、4、5、又は6)のサブ用量で投与することができる。その塩の有効な量は、式(I)の化合物自体の有効な量の比率として決定することができる。
【0059】
本発明で使用するための化合物は、単独で又は他の治療剤と共に使用することができる。したがって、本発明に係る併用療法は、ブロモドメイン阻害剤の投与、及び少なくとも1つの他の薬学的活性剤の使用を含む。好ましくは、本発明に係る併用療法は、少なくとも1つのブロモドメイン阻害剤、及び少なくとも1つの他の治療活性剤の投与を含む。ブロモドメイン阻害剤及び他の薬学的活性剤は、単一の医薬組成物で共に投与されてもよく、又は別々に投与されてもよく、別々に投与されるとき、同時に投与してもよく、任意の順序で順次投与してもよい。ブロモドメイン阻害剤及び他の薬学的活性剤の量、並びに投与の相対的タイミングは、望ましい組合せ治療効果を得るために選択される。したがって、更なる態様では、ブロモドメイン阻害剤及び少なくとも1つの他の薬学的活性剤を含む組合せを提供する。
【0060】
したがって、1つの態様では、本発明に係る医薬組成物は、例えば、抗生物質、抗ウィルス剤、グルココルチコステロイド、ムスカリン性アンタゴニスト、ベータ−2アゴニスト、NSAID及び抗TNFα剤から選択される1以上の他の治療剤と併用してもよく、又はこれらを含んでもよい。
【0061】
ブロモドメイン阻害剤が、吸入、静脈内、経口、又は鼻内経路によって通常投与される他の治療剤と組合せて投与される場合、得られる医薬組成物も同じ経路で投与できると認識される。あるいは、組成物の個々の成分を異なる経路で投与してもよい。
【0062】
本発明の1つの実施形態は、1つ又は2つの治療剤を含む組合せを包含する。
【0063】
適切な場合、他の治療成分は、治療成分の活性及び/又は安定性及び/又は可溶性等の物理的特性を最適化するために、例えば、アルカリ金属若しくはアミン塩、又は酸付加塩等の塩の形態で、あるいはプロドラッグとして、あるいは例えば低級アルキルエステル等のエステルとして、あるいは例えば水和物等の溶媒和物として用いてもよいことが当業者には明らかである。また、適切な場合、治療成分は、光学的に純粋な形態で用いてもよいことも明らかである。
【0064】
上記組合せは、医薬組成物の形態で用いるために便利に提示されてもよく、したがって、薬学的に許容し得る希釈剤又は担体と共に上に定義される組合せを含む医薬組成物は、本発明の更なる態様を表す。
【0065】
新規ブロモドメイン阻害剤の同定は、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療により有効な薬物をもたらすことができる。したがって、更なる態様では、本発明は、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するための化合物を同定する方法であって、前記化合物がブロモドメインとその同種のアセチル化タンパク質との結合を阻害するかどうかを判定する工程を含む方法を提供する。1つの実施形態では、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するための化合物を同定する方法であって、前記化合物がBETファミリーのブロモドメイン阻害剤であるかどうかを判定する工程を含む方法を提供する。
【0066】
好適なスクリーニング方法は、当業者によく知られており、蛍光(例えば、FRET)及び放射性リガンド結合技術を含む。
【0067】
更に、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するための化合物を同定する方法であって、前記化合物がブロモドメインとその同種のアセチル化タンパク質、及びブロモドメイン阻害剤の蛍光又は放射性リガンド誘導体との結合を阻害するかどうかを判定するための化合物間の競合結合アッセイを含む方法を提供する。1つの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤の蛍光又は放射性リガンド誘導体は、実施例1〜6等の本明細書に記載するブロモドメイン阻害剤の蛍光誘導体である。更なる実施形態では、ブロモドメイン阻害剤の蛍光誘導体は、レファレンス化合物Cである。レファレンス化合物Cは、新規であると考えられる。
【0068】
また、本発明は、上記方法によって同定される、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するための化合物を提供する。
【0069】
本発明で使用するための特定の化合物は、下記方法又は類似の方法によって調製することができる。
【実施例】
【0070】
一般的な実験の詳細
言及される全ての温度は摂氏である。
【0071】
略記
AcClは、塩化アセチルを指す。
【0072】
AcOHは、酢酸を指す。
【0073】
BINAPは、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを指す。
【0074】
CVは、カラム体積を指す。
【0075】
DCMは。ジクロロメタンを指す。
【0076】
1,2−DCEは、1,2−ジクロロエタンを指す。
【0077】
DMEは、ジメトキシエタンを指す。
【0078】
DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドを指す。
【0079】
DMSOは、ジメチルスルホキシドを指す。
【0080】
エーテルは、ジエチルエーテルを指す。
【0081】
EtOは、ジエチルエーテルを指す。
【0082】
EtNは、トリエチルアミンを指す。
【0083】
EtOAcは、酢酸エチルを指す。
【0084】
FMOCは、9−フルオレニルメトキシカルボニルを指す。
【0085】
HPLCは、高速液体クロマトグラフィーを指す。
【0086】
HRMSは、高解像度質量分光法を指す。
【0087】
i−PrOは、ジイソプロピルエーテルを指す。
【0088】
MDAP又は質量自動分取は、分取質量HPLCを指す。
【0089】
MeCNは、アセトニトリルを指す。
【0090】
MeOHは、メタノールを指す。
【0091】
Mpは、融点を指す。
【0092】
Rfは、保持因子を指す。
【0093】
r.t.は、室温を指す。
【0094】
Rtは、保持時間を指す。
【0095】
NaSOは、硫酸ナトリウムを指す。
【0096】
TFAは、トリフルオロ酢酸を指す。
【0097】
THFは、テトラヒドロフランを指す。
【0098】
TLCは、薄層クロマトグラフィーを指す。
【0099】
本明細書に言及されるLC−MS方法A〜Fの実験の詳細は、以下の通りである:
LC/MS(方法A)は、40℃でAcquity UPLC BEH C18カラム(50mm×2.1mm i.d. 1.7μmパッキング直径)にて実施し、1mL/分の流速で、以下の溶出勾配を用いて、アンモニア溶液(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)でpH10に調整された水中10mMの重炭酸アンモニウムで溶出した:0〜1.5分 1〜97%のB、1.5〜1.9分 97%のB、1.9〜2.0分、100%のB。UV検出は、210nm〜350nmの波長からの信号を合計した。質量スペクトルは、Alternate−scan Positive and Negative Electrosprayを用いてWaters ZQ質量分析計にて記録した。イオン化データは、最も近い整数に四捨五入した。
【0100】
LC/MS(方法B)は、40℃でAcquity UPLC BEH C18カラム(50mm×2.1mm i.d. 1.7μmパッキング直径)にて実施し、1mL/分の流速で、以下の溶出勾配を用いて、ギ酸の0.1%v/v水溶液(溶媒A)及びギ酸の0.1%v/vアセトニトリル溶液(溶媒B)で溶出した:0〜1.5分 3〜100%のB、1.5〜1.9分 100%のB、1.9〜2.0分、3%のB。UV検出は、210nm〜350nmの波長からの信号を合計した。質量スペクトルは、Alternate−scan Positive and Negative Electrosprayを用いてWaters ZQ質量分析計にて記録した。イオン化データは、最も近い整数に四捨五入した。
【0101】
LC/MS(方法C)は、40℃でAcquity UPLC BEH C18カラム(50mm×2.1mm i.d. 1.7μmパッキング直径)にて実施し、1mL/分の流速で、以下の溶出勾配を用いて、トリフルオロ酢酸の0.1%v/v水溶液(溶媒A)及びトリフルオロ酢酸の0.1%v/vアセトニトリル溶液(溶媒B)で溶出した:0〜1.5分 3〜100%のB、1.5〜1.9分 100%のB、1.9〜2.0分、3%のB。UV検出は、210nm〜350nmの波長からの信号を合計した。質量スペクトルは、Positive Electrosprayを用いてWaters ZQ質量分析計にて記録した。イオン化データは、最も近い整数に四捨五入した。
【0102】
LC/MS(方法D)は、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3μm、3.3cm×4.6mm ID)にて実施し、3mL/分の流速で、以下の溶出勾配を用いて、水中0.0%のHCOH及び0.01Mの酢酸アンモニウム(溶媒A)と、水中95%のアセトニトリル及び0.05%のHCOH(溶媒B)で溶出した:0〜0.7分 0%のB、0.7〜4.2分 0−100%のB、4.2〜5.3分 100%のB、5.3〜5.5分 100−0%のB。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレー陽イオン化[[M+H]及び[M+NH分子イオンを得るための(ES+ve]又はエレクトロスプレー陰イオン化[M−H]分子イオンを得るための(ES−ve]モードを用いてFisons VG Platform質量分析計にて記録した。この装置の分析データは、以下の形式:[M+H]又は[M−H]で得られる。
【0103】
LC/MS(方法E)は、Chromolith Performance RP 18カラム(100×4.6mm id)にて実施し、5mL/分の流速で、以下の溶出勾配を用いて、水中0.01Mの酢酸アンモニウム(溶媒A)及び100%のアセトニトリル(溶媒B)で溶出した:0〜4分 0−100%のB、4〜5分 100%のB。質量スペクトル(MS)は、大気圧化学陽イオン化[MH分子イオンを得るためのAP+ve]又は大気圧化学陰イオン化[(M−H)分子イオンを得るためのAp−ve]を用いてmicromass Platform−LC質量分析計にて記録した。この装置の分析データは、以下の形式:[M+H]又は[M−H]で得られる。
【0104】
LC/MS(方法F)は、30℃でSunfire C18カラム(30mm×4.6mm i.d.3.5μmパッキング直径)にて実施し、3mL/分の流速で、以下の溶出勾配を用いて、トリフルオロ酢酸の0.1%v/v水溶液(溶媒A)及びトリフルオロ酢酸の0.1%v/vアセトニトリル溶液(溶媒B)で溶出した:0〜0.1分 3%のB、0.1〜4.2分 3−100%のB、4.2〜4.8分、100%のB、4.8〜4.9分 100−3%のB、4.9〜5.0分 3%のB。UV検出は、210nm〜350nmの波長からの信号を平均し、陽性のエレクトロスプレーイオン化を使用して質量分析計に質量スペクトルを記録した。イオン化データは、最も近い整数に四捨五入した。
【0105】
LC/HRMS:分析HPLCは、Uptisphere−hscカラム(3μm 33×3mm id)にて実施し、1.3mL/分の流速で、以下の溶出勾配を用いて、水中0.01Mの酢酸アンモニウム(溶媒A)及び100%のアセトニトリル(溶媒B)で溶出した:0〜0.5分 5%のB、0.5〜3.75分 5→100%のB、3.75〜4.5 100%のB、4.5〜5 100%→5%のB、5〜5.5 5%のB。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレー陽イオン化[MH分子イオンを得るためのES+ve]又はエレクトロスプレー陰イオン化[(M−H)分子イオンを得るためのES−ve]を用いてmicromass LCT質量分析計にて記録した。
【0106】
TLC(薄層クロマトグラフィー)とは、シリカゲル60 F254でコーティングされたMerckによって販売されているTLCプレートの使用を指す。
【0107】
「質量自動分取」/「分取質量HPLC」は、以下のような系で実施した;Waters 600勾配ポンプ、Waters 2767インジェクト/コレクター、Waters Reagentマネージャー、Gilson Aspec−廃棄物収集器、Gilson 115分画後UV検出器、及びコンピュータシステムを含むWaters FractionLynxシステム。用いられるカラムは、典型的に、寸法が内径20mm及び長さ100mmであるSupelco LCABZ++カラムである。固定相の粒径は、5μmである。用いた流速は、適切な溶出勾配を用いて、ギ酸又はトリフルオロ酢酸の0.1%水溶液(溶媒A)及びギ酸又はトリフルオロ酢酸の0.1%アセトニトリル溶液(溶液B)で20mL/分であった。質量スペクトルは、エレクトロスプレーポジティブ及びネガティブモード、交互スキャンを用いてMicromass ZQ質量分析計に記録した。用いたソフトウェアは、MassLynx 4.0であったか、又は等価な別のシステムを用いる。
【0108】
シリカクロマトグラフィー技術は、自動(Flashmaster又はBiotage SP4)技術、又はプレパックドカートリッジ(SPE)若しくは手動でパックされるフラッシュカラムにおける手動クロマトグラフィーのいずれかを含む。
【0109】
マイクロ波化学作用は、典型的に、Biotage Initiator(商標)マイクロ波合成器等の好適なマイクロ波反応器システムを用いて照射する密閉容器内で実施される。
【0110】
商業的供給元の名称が化合物又は試薬の名称の後に記載される場合、例えば、「化合物X(Aldrich)」又は「化合物X/Aldrich」は、化合物Xが、名称が記載されている商業的供給元等の商業的供給元から入手可能であることを意味する。
【0111】
同様に、文献又は特許の参照文献が化合物の名称の後に記載される場合、例えば、化合物Y(欧州特許第0 123 456号明細書)は、名称が記載されている参照文献に化合物の調製について記載されていることを意味する。
【0112】
上述の実施例の名称は、化合物命名プログラム「ACD Name Pro 6.02」を用いて得たものである。
【0113】
中間体1
[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]酢酸
【化1】

【0114】

室温における中間体2(7.4g、18.1mmol)のTHF(130mL)溶液に、1NのNaOH(36.2mL、36.2mmol)を添加した。反応混合物をこの温度で5時間攪拌した後、1NのHCl(36.2mL)でクエンチし、真空内で濃縮した。次いで、水を添加し、水層をDCM(×3)で抽出し、合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、淡黄色の固体として標題化合物(7g、収率98%)を得た。
【0115】
LC/MS(方法D):m/z 397[M+H]
【0116】
中間体2
メチル[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセテート
【化2】

【0117】

粗中間体3(推定9.7g)をTHF(100mL)に懸濁させ、室温でAcOH(60mL)を添加した。反応混合物をこの温度で2日間攪拌した後、減圧下で濃縮した。粗固体をi−PrO中で粉砕し、濾過して、オフホワイトの固体として標題化合物(8.7g、3段階で91%)を得た。
【0118】
2120ClNについて計算されたHRMS(M+H) 411.1229;実測値411.1245。
【0119】
中間体3
メチル[(3S)−2−[(1Z)−2−アセチルヒドラジノ]−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−3H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート
【化3】

【0120】

0℃における中間体4(9.0g、23.2mmol)のTHF(300mL)懸濁液に、ヒドラジン一水和物(3.4mL、69.6mmol)を滴下した。反応混合物を5℃と15℃との間で5時間攪拌した後、0℃で冷却した。次いで、EtN(9.7mL、69.6mmol)をゆっくり添加し、AcCl(7.95mL、69.6mmol)を滴下した。次いで、混合物を16時間かけて室温に加温した後、減圧下で濃縮した。粗生成物をDCMに溶解させ、水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮して、粗標題化合物(9.7g、収率98%)を得、これを更に精製することなく用いた。
【0121】
=0.49(DCM/MeOH:90/10)。
【0122】
中間体4
メチル[(3S)−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート
【化4】

【0123】

室温におけるP10(36.1g、81.1mmol)及びNaCO(8.6g、81.1mmol)の1,2−DCE(700mL)懸濁液を2時間攪拌した後、中間体5(16.8g、45.1mmol)を添加した。反応混合物を70℃で2時間攪拌した後、冷却し、濾過した。固体をDCMで2回洗浄し、濾液を飽和NaHCO及びブラインで洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(DCM/MeOH:99/1)、黄色がかった固体として標題化合物(17.2g、収率98%)を得た。
【0124】
LC/MS(方法D):m/z 389[M(35Cl)+H]、Rt 2.64分。
【0125】
191835ClNSについて計算されたHRMS(M+H) 389.0727;実測値389.0714。
【0126】
中間体5
メチル[(3S)−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート
【化5】

【0127】

粗中間体C12(推定0.2mol)のDCM(500mL)溶液に、EtN(500mL、3.65mol)を添加し、得られた混合物を24時間還流させた後、濃縮した。得られた粗アミンを1,2−DCE(1.5L)に溶解させ、AcOH(104mL、1.8mol)を慎重に添加した。次いで、反応混合物を60℃で2時間攪拌した後、真空内で濃縮し、DCMに溶解させた。有機層を1NのHClで洗浄し、水層をDCM(×3)で抽出した。合わせた有機層を水で2回及びブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗固体をMeCN中で再結晶化させ、淡黄色の固体として標題化合物(51g)を得た。
【0128】
=0.34(DCM/MeOH:95/5)。C191835ClNについて計算されたHRMS(M+H) 373.0955;実測値373.0957。
【0129】
中間体6
メチルN−[2−[(4−クロロフェニル)カルボニル]−4−(メチルオキシ)フェニル]−N−{[(9H−フルオレン−9−イルメチル)オキシ]カルボニル}−L−α−アスパラギネート
【化6】

【0130】

メチルN−{[(9H−フルオレン−9−イルメチル)オキシ]カルボニル}−L−α−アスパルチル塩化物(Int.J.Peptide Protein Res.1992年,40,13−18)(93g、0.24mol)をCHCl(270mL)に溶解させ、中間体7(53g、0.2mol)を添加した。得られた混合物を60℃で1時間攪拌した後、冷却し、体積で60%に濃縮した。エーテルを0℃で添加し、得られた沈殿物を濾過し、廃棄した。濾液を減圧下で濃縮し、更に精製することなく用いた。
【0131】
中間体7
[2−アミノ−5−(メチルオキシ)フェニル](4−クロロフェニル)メタノン
【化7】

【0132】

0℃における中間体8(40.0g、0.21mol)のトルエン/エーテル(2/1)混合物(760mL)溶液に、4−クロロフェニルマグネシウム臭化物(170mL、EtO中1M、0.17mol)の溶液を滴下した。反応混合物を室温に加温し、1時間攪拌した後、1NのHCl(200mL)でクエンチした。水層をEtOAc(3×150mL)で抽出し、合わせた有機物をブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。次いで、粗化合物をEtOH(400mL)に溶解させ、6NのHCl(160mL)を添加した。反応混合物を2時間還流させた後、体積で3分の1に濃縮した。得られた固体を濾過し、エーテルで2回洗浄した後、EtOAcに懸濁させ、1NのNaOHで中和した。水層をEtOAc(3×150mL)で抽出し、合わせた有機物をブライン(150mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。黄色の固体(39g、収率88%)として標題化合物を得た。LC/MS(方法D):m/z 262[M+H]、Rt 2.57分。
【0133】
中間体8
2−メチル−6−(メチルオキシ)−4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン
【化8】

【0134】

5−メトキシアントラニル酸(Lancaster)(41.8g、0.25mol)の溶液を無水酢酸(230mL)中で3.5時間還流させた後、減圧下で濃縮した。次いで、粗化合物をトルエンの存在下で2回濃縮した後、濾過し、エーテルで2回洗浄して、茶色の固体として標題化合物(33.7g、収率71%)を得た。LC/MS(方法D):m/z 192[M+H]、Rt 1.69分
【0135】
中間体9
4−クロロ−7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−6−(メトキシ)−3−キノリンカルボキサミド
【化9】

【0136】

POCl(250mL)中の中間体10(27.7g、0.079mol)と無水DMF10滴との混合物を5時間還流させた。次いで、混合物を濃縮して、真空乾固させた。残渣を100mLのトルエンで2回処理し、蒸発乾固させて、最後の微量POClを除去した。得られた乾燥発泡体を、氷浴で0/5℃に冷却されたアンモニア水溶液(25%、300mL)に少しずつ添加する。添加の最後に、この温度で1時間激しい攪拌を維持した。次いで、茶色の固体物質を濾取し、それぞれ水(3×200mL)、ジイソプロピルエーテル(2×200mL)、及びペンタン(100mL)で洗浄して、乾燥させた後、粗生成物を得た。この物質をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(溶離剤=CHCl/MeOH、95/5)、標題化合物(16.8g、64.7%)を得た。
【0137】
H NMR(300MHz,CDCl,ppm)δ:8.96(s,1H),7.86(s,1H),7.54(s,1H),3.95(s,3H),2.30(s,3H),2.15(s,3H).
【0138】
中間体10
7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−4−ヒドロキシ−6−(メチルオキシ)−3−キノリンカルボン酸
【化10】

【0139】

中間体11(5.6g、16.4mmol)、エタノール(40mL)、及び水酸化ナトリウム(1M溶液、16.4mL)の混合物を丸底フラスコ内で合わせ、16時間かけて100℃に加熱した。更なる水酸化ナトリウム(10mLの濃縮NaOH溶液)及び10mLの水を添加し、反応混合物を100℃で還流し続けた。反応混合物を蒸発乾固させ、水に溶解させた。沈殿物が形成されるまで1MのHClを滴下した。これを濾過し、真空デシケータ内で乾燥させて、ベージュ色の固体として標題化合物(4.6g、80%)を得た。LC/MS(方法E):m/z 315 [M+H]
【0140】
中間体11
エチル7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−4−ヒドロキシ−6−(メチルオキシ)−3−キノリンカルボキシレート
【化11】

【0141】

1Lの3つ口丸底フラスコにジフェニルエーテル(350mL)を添加し、260℃に加熱した。中間体12を一度に添加し(40g)、反応物を30分間窒素下でディーンスターク装置を用いて加熱した。反応混合物を170℃に冷却し、ポンプを用いて溶媒を蒸留した。次いで、反応混合物を80℃に冷却し、1:1のジイソプロピルエーテル/シクロヘキサン(500mL)の溶液に注いだ。固体を濾過し、ジイソプロピルエーテル及びペンタンで洗浄し、50℃で乾燥させて、茶色の固体として標題化合物(28g、79%)を得た。LC/MS(方法E):m/z 343.11 [M+H]
【0142】
中間体12
ジエチル({[3−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−4−(メチルオキシ)フェニル]アミノ}メチリデン)プロパンジオアート
【化12】

【0143】

中間体13(107.8g、0.50mL)、ジエチルエトキシメチレンマロン酸塩(105mL、0.518mol)の混合物を、ディーンスターク装置を用いて130℃で加熱した。45分間後、エタノール(15mL)を除去した。温度を75℃に調整し、ジイソプロピルエーテル(500mL)に注いだ。反応混合物を攪拌し、固体の沈殿物を濾過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄して、茶色の固体として標題化合物(169.5g、88%)を得た。
【0144】
H NMR(400MHz,Chloroform−d,ppm)δ:11.0(1H,s),8.4(1H,d),7.2(1H,dd),7.0(1H,d),6.9(1H,d),4.3(2H,q),4.25(2H,q),3.8(3H,s),2.3(3H,s),2.2(3H,s),1.4(3H,t),1.35(3H,t)
【0145】
中間体13
3−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−4−(メトキシ)アニリン
【化13】

【0146】

中間体14(1.7g、6.85mmol、1当量)のEtOH(170mL)溶液に、Pd/C(10%炭素上、85mg)を添加し、反応物を4時間窒素下で攪拌した。AcOH(1.7mL)を添加し、反応物を20時間水素化した。濾過後、溶媒を真空内で蒸発させた。粗化合物をDCMに溶解させ、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。赤色の油状物として標題化合物(1.38g、88%)を得た。GC/MS m/z:218。
【0147】
中間体14
3,5−ジメチル−4−[2−(メトキシ)−5−ニトロフェニル]イソオキサゾール
【化14】

【0148】

2−ヨード−1−(メトキシ)−4−ニトロベンゼン(2g、7.17mmol、1当量)及び(3,5−ジメチルイソキサゾール)ボロン酸(3.03g、21.5mmol、3当量)のDME(44mL)及び水(7mL)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.415g、0.05当量)及びBa(OH)・8HO(4.52g、14.33mmol、2当量)を添加した。混合物を16時間80℃で加熱した。反応を完了させるために、(3,5−ジメチルイソキサゾール)ボロン酸(1当量)を添加し、混合物を4時間加熱した。冷却した混合物を濾過し、DCMで抽出した。有機相を飽和NaHCO水溶液及び水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。真空内で溶媒を蒸発させて、粗油を得、これをi−PrOを用いて沈殿させて、赤褐色の固体として標題化合物(1.735g、97%)を得た。GC/MS m/z:248
【0149】
中間体15
7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−6−(メトキシ)−N−[(1R)−1−フェニルエチル]−3,4−キノリンジアミン
【化15】

【0150】

CHCN(30mL)中の中間体16(2.5g、7.5mmol)及び(R)―(+)−α−メチルベンジルアミン(2当量、1.82g、Aldrich)の混合物を2時間60℃で加熱した。混合物をDCMで抽出した。有機相を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジエチルエーテルに溶解させた。沈殿物を濾取し、真空内で乾燥させて、7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−6−(メトキシ)−3−ニトロ−N−[(1R)−1−フェニルエチル]−4−キノリンアミン(2.5g)を得、これを次の工程で精製することなく用いた。
【0151】
このニトロ中間体(2.5g、24.82mmol)の、EtOH(20mL)及びHCl(3.8mL)の混合物溶液に、SnCl、2HO(5.6g、24.82mmol)を少しずつ添加した。反応混合物を1時間かけて40℃に加熱し、次いで、NaOH Nで加水分解し、DCMで抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、茶色の粉末として標題化合物(0.5g、17%)を得た。
【0152】
LCM(方法E):m/z:389(M+H)、Rt=2.95分。
【0153】
中間体16
4−クロロ−7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−6−(メトキシ)−3−ニトロキノリン
【化16】

【0154】

中間体17(5g、16mmol)のPOCl(20mL)懸濁液を一晩還流させた。冷却後、混合物を蒸発乾固させた。得られた残渣を飽和NaHCO水溶液に注ぎ、DCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて、薄茶色の粉末として標題化合物(5g、94%)を得た。
【0155】
H NMR(300MHz,DMSO−d6,ppm)δ:9.27(s,1H),8.15(s,1H),7.73(s,1H),4.05(s,3H),2.36(s,3H),2.16(s,3H).
【0156】
中間体17
7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−6−(メトキシ)−3−ニトロ−4−キノリノール
【化17】

【0157】

室温における中間体18(28g、104mmol)のプロパン酸(450mmL)溶液に硝酸(10mL)をゆっくり添加し、次いで、反応混合物を1時間かけて100℃に加熱した。氷浴で冷却した後、沈殿物を濾取し、ペンタンで洗浄して、黄色の粉末として標題化合物(27g、82%)を得た。
【0158】
LCM(方法E):m/z:314(MH)、Rt=2.12分間。H NMR(300MHz,DMSO−d6,ppm)δ:13.06(s,1H),9.26(s,1H),7.84(s,1H),7.67(s,1H),3.98(s,3H),2.39(s,3H),2.19(s,3H).
【0159】
中間体18
7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−4−キノリノール
【化18】

【0160】

3,5−ジメチルイソキサゾール−4−ボロン酸(49.2g、0.349mol)及びBa(OH)・8HO(91.8g、0.291mol、Acros)を、中間体19(35g、0.116mol)の水(180mL)及び1,2−ジメトキシエタン(600mL)混合物溶液に添加した。反応物を15分間窒素下に置き、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加した(4.1g、3.55mmol、Aldrich)。反応混合物を105℃で一晩撹拌した。室温で冷却した後、混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。水層を濃HClでpH7に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。水層をNaOH 5NでpH10に塩基性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥させた。次いで、茶色の粗油をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、DCM/MeOH(9:1)で溶出して、茶色の油状物として標題化合物(31.4g、43.9%)を得た。
【0161】
H NMR(300MHz,DMSO−d6,ppm)δ:11.72(bs,1H),7.88(d,J=7.7Hz,1H),7.61(s,1H),7.42(s,1H),6.03(d,J=7.3Hz,1H),3.86(s,3H),2.31(s,1H),2.11(s,1H).
【0162】
中間体19
6−ヨード−7−(メトキシ)−1−キノリノール
【化19】

【0163】

中間体20(200g、0.496mol)を260℃のジフェニルエーテル(2L)に添加した。反応混合物を10分間260℃で撹拌した。次いで、黒色の溶液を100℃で冷却し、既に0℃に冷却されているジイソプロピルエーテル(8L)に注いだ。沈殿物を濾取し、シクロヘキサン(1L)に注ぎ、次いで、1時間加熱還流させた。固体を濾取し、メタノール(250mL)に注ぎ、45℃で15分間加熱した。次いで、固体を濾取し、ペレットをポンプで乾燥させて、標題化合物(105g、70%)を得た。
【0164】
H NMR(300MHz,DMSO−d6,ppm)δH NMR(300MHz,d 6−DMSO,ppm)δ:8.07(s,1H),7.88(d,J=7.3Hz,1H),7.45(s,1H),6.06(d,J=7.3Hz,1H),3.90(s,3H).
【0165】
中間体20
5−({[3−ヨード−4−(メトキシ)フェニル]アミノ}メチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン
【化20】

【0166】

2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(203g、1.4mol)及びトリメトキシメタン(1.5L)の混合物を1時間加熱還流させ、次いで、3−ヨード−4−メトキシ−アニリン(349.2g、1.402mol)を少しずつ添加した。反応混合物を還流させながら1時間攪拌し、次いで室温に冷却した。得られた沈殿物を濾取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥させて、ベージュ色の粉末として標題化合物(485g、85.9%)を得た。
【0167】
H NMR(300MHz,DMSO−d,ppm)δ:11.2(d,J=14.6Hz,1H),8.50−8.39(m,1H),8.05(d,J=2.7Hz,1H),7.60(dd,J=8.9,2.7Hz,1H),7.05(d,J=8.9Hz,1H),3.84(s,3H),1.67(s,6H).
【0168】
中間体21
メチル4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}ベンゾエート
【化21】

【0169】

トルエン(20mL)中の中間体22(800mg、2.4mmol)を充填したフラスコに、4−クロロブロモベンゼン(501mg、2.6mmol)、Pd(dba)(87mg、0.09mmol)、NaOBu(319mg、3.3mmol)及び2’−(ジシクロヘキシルホスファニル)−N,N−ジメチル−2−ビフェニルアミン(74mg、0.19mmol)を添加した。反応混合物を16時間80℃に加熱し、還流させながら更に3時間加熱した。混合物を水に注ぎ、1NのHClを添加して酸性にした。EtOAc(2×75mL)で抽出し、有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。濾過後、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、C12/EtOAc:80/20で溶出して、白色の固体(350mg)として標題化合物(350mg)を得た。
【0170】
H NMR(300MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 1.2(d,3H)1.35(m,1H)2.25(s,3H)2.7(m,1H)3.95(s,3H),4.25(m,1H)4.95(m,1H)6.6(d,2H)7.15(d,2H)7.25(s,1H)7.55(m,4 H),8.1(d,2H)
LC/MS(方法D):m/z 449[M+H]及び447[M−H] Rt=3.67分。[α]=+326(c=0.98g/cl、EtOH)
標題化合物は、移動相としてヘキサン/エタノール 90/10を用いるCHIRACEL OD(250×4.6mm 10μm)カラムを用いて、第2のピークとしてHPLCによって22.58分で溶出された。1mL/分の流速を適用し、1mLの溶離剤で1mgの標題化合物を希釈することにより調製されたサンプル10μLを注入した。化合物の検出は、210及び254nMのUV波長で実施した。他のエナンチオマーは、15.46分に得られた。
【0171】
中間体22
メチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート
【化22】

【0172】

NaCOの水溶液を添加して、DCM(3L)中の中間体23(121g)の混合物を塩基性化した。得られた遊離アミンをDCM(2L)で抽出し、水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、オフホワイトの固体として標題化合物(79g)を得た。
【0173】
H NMR(300MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 1.15(m,4H)1.7(m,2H)2.15(s,3H)2.6(m,1H)3.8(dd,1H),3.95(s,3H)4.85(m,1H)7.2(d,1H)7.55(d,1H)7.7(d,2 H),7.8(s,1H)8.1(d,2H)
[α]=+333.8(c=0.985g/cl,EtOH).
標題化合物は、移動相としてヘキサン/エタノール80/20を用いるCHIRACEL OD(250×4.6mm 10μm)カラムを用いて、第2のピークとしてHPLCによって18.57分で溶出された。1mL/分の流速を適用し、1mLの溶離剤で1mgの標題化合物を希釈することにより調製されたサンプル10μLを注入した。化合物の検出は、210及び254nMのUV波長で実施した。他のエナンチオマーは、12.8分に得られた。
【0174】
中間体23
(2S,3S)−2,3−ビス[(フェニルカルボニル)オキシ]ブタン二酸−メチル4−(1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル)ベンゾエート(1:2)
【化23】

【0175】

EtOH(600mL)及びL−(+)−乳酸(水中20%、450mL)中のラセミ混合物であるアミン中間体24(185g)を30分間加熱還流させた。減圧下で濃縮した後、ヘキサン(300mL)を残渣に添加し、得られた混合物を10分間加熱還流させた。混合物を定着させ、ヘキサン相を廃棄した。残りのペーストをEtO(300mL)に溶解させ、10分間加熱還流させ、定着させた。EtO相を廃棄し、得られたペーストを再度ヘキサン(200mL)で処理し、加熱還流させ、定着させた。ヘキサン相を廃棄し、残りのペーストにEtOAc(2.3L)を添加した。混合物を加熱還流させ、室温で16時間静置させた。沈殿物を濾過し、EtOAc(200mL)で洗浄した。NaCOを添加して濾液を塩基性化し、得られた遊離アミノをEtOAc(3×1000mL)で抽出し、水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。THF(950mL)溶液中の得られた遊離アミノ(95g)をL(−)−ジベンゾイル酒石酸(50.3g、0.14mol)で処理し、30分間加熱還流させた。得られた沈殿物を16時間室温で静置させ、次いで、濾過し、THF(200mL)で洗浄した。中和したアリコートをHPLCでモニタリングしたところ、95.6%eeの予測アミンエナンチオマーを示した。EtOH(1L)中で酒石酸塩を再結晶化させることにより、単一のジアステレオマー塩として標題化合物(95g)を得た。
【0176】
mp:196℃。
【0177】
H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ ppm 0.95(d,3H)1.15(m,1H)2.05(s,3H)2.55(m,1H)3.85(s,3H)4.0(m,1H)4.55(m,1H)5.7(s,1H,CH tartaric)7.4(m,3H)7.6(m,2H)7.85(m,3H),7.95(m,4H).
【0178】
中間体24
メチル4−(1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル)ベンゾエート
【化24】

【0179】

中間体25(20.0g)のメタノール(400mL)懸濁液を再還流させ、次いでHCl 6N(18mL)で処理した。得られた混合物を2時間還流させた。懸濁液をワットマン紙で濾取し、乾固するまで濾液を濃縮させた。アセトン(70mL)を残渣に添加し、固体を濾取し、乾燥させた。酢酸エチル(300mL)中の得られた塩をNaOH 1N(100mL)で処理した。水層と有機層とを分離した。水層をCHCl/MeOH 9:1(300mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ、乾固するまで濃縮して、白色の固体として標題化合物(13.83g)を得た。LCM(方法E)Rt 2.51 MH+339
【0180】
中間体25
メチル4−[1−アセチル−4−(ホルミルアミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート
【化25】

【0181】

中間体26(1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル)ホルムアミド(62.24g)のDME(600mL)懸濁液に、室温でパラジウムテトラキス(11.56g)を添加した。10分間撹拌した後、{4−[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル}ボロン酸(54g)と、NaCO(300mL)の2N溶液とを添加し、混合物を攪拌し、16時間加熱還流させた。混合物を減圧下で濃縮した。200mLのDCMを残渣に添加した後、生成物が沈殿したら、それを濾過し、水(3×100mL)で洗浄した。残りの水を除去するために、固体をイソプロピルエーテル(100mL)で洗浄し、次いで、固体を温イソプロピルエーテル220mLに添加し、得られた混合物をソニケータ内に放置した。固体を濾取し、乾燥させて、ベージュ色の固体として標題化合物(64.7g)を得た。
【0182】
LCM(方法E)Rt 2.58 MH+367
【0183】
中間体26
[1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]ホルムアミドN−{1−メチル−7−[4−(1−ピペリジニルメチル)フェニル][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]キノリン−4−イル}尿素
【化26】

【0184】

中間体27(71g、0.26mol)のDCM(1L)とピリジン(350mL)との混合物溶液に、0℃の塩化アセチル(21mL、0.29mol)を滴下した。0℃で2時間攪拌した後、混合物を、砕氷(2kg)と濃HCl(450mL)との混合物に注いだ。生成物をDCM(1L)で抽出し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させた。真空下で濃縮させて、オフホワイトの固体として予測生成物(82g、100%)を得た。
【0185】
H NMR(300MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 0.98(d,3H)1.15(m,1H)1.95(s,3H)2.4(m,1H)4.7(m,1H)4.85(m,1H)5.8(br d,1H)6.85(d,1H)7.15(s,1H)7.25(d,1H)8.2(s,1H)
【0186】
中間体27
(6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル)ホルムアミド
【化27】

【0187】

3Lの4つ口フラスコに、窒素雰囲下で、N−ビニルホルムアミド(66.2g、0.946mol)及び無水THF(400mL)を充填した。BFEtO(239mL、1.9mol)を乳状混合物に−5℃で滴下した。15分間後、THF(1L)溶液中の中間体28(150g、0.473mol)を−5℃で添加した。2時間後、混合物をゆっくり且つ慎重にNaHCO溶液(5L)に注いだ。酢酸エチル(2L)を添加し、混合物を別の漏斗に移した。有機層を分離し、1×200mLのHO、1×200mLのブラインで洗浄し、(NaSO)上で乾燥させた。混合物を濾過し、固体を1×50mLの酢酸エチルで洗浄した。沈殿物が生じるまで濾液を徐々に濃縮し、混合物を2時間氷浴中で冷却した。ブーフナー漏斗を通して沈殿物を濾過し、2×100mLのi−PrOで洗浄して、固体として標題化合物(71g、56%)を得た。
【0188】
LC/MS:(方法E)、m/z 269及び271[M+H]、Rt=2.29分;
H NMR(300MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 0.98(d,3H)1.24(q,1H)2.04(ddd,1H)3.33(m,1H)5.17(m,1H)5.45(m,1H)6.15(d,1H)6.88(dd,1H)7.00(d,1H)8.11(s,1H)
【0189】
中間体28
[1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル)エチル](4−ブロモフェニル)アミン
【化28】

【0190】

3Lの4つ口フラスコ内のベンゾトリアゾール(139g、1.16mol)のトルエン(2L)懸濁液に、窒素雰囲下で、4−ブロモアニリン(200g、1.16mol)のトルエン(300mL)溶液を室温で添加した。次いで、滴下漏斗を介して、トルエン(200mL)溶液中のアセトアルデヒド(64.7mL、1.17mol)を滴下した。反応混合物は徐々に均質になり、次いで、沈殿物が生じる。得られた混合物を窒素雰囲下で12時間攪拌し、次いで濾過する。沈殿物をトルエン中で再結晶化させて、白色の固体として標題化合物(304g、82%)を得る。
【0191】
H NMR(300MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 2.1(m,3H)4.9(m,0.66H)5.15(m,0.33H)6.5−6.9(m,3H)7.2−8.2(m,7H)
【0192】
中間体29
フェニル{1−メチル−7−[4−(1−ピペリジニルメチル)フェニル][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]キノリン−4−イル}カルバメート
【化29】

【0193】

中間体30(3.5g、9.43mmol)の無水DCM(70mL)懸濁液に、ピリジン(1.15mL)を添加し、次いで、クロロギ酸フェニル(1.54mL、12.26mmol)のDCM(3.5mL)溶液を滴下し、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム(50mL)の飽和溶液を添加し、有機相を抽出した。水層をDCMで洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾固するまで濃縮した。残渣を70gのシリカカートリッジを備えるフラッシュマスターによって精製し、CHCl/MeOH:95/5で溶出して、黄色の固体として標題化合物(1.49g、32%)を得た。LC/MS(方法D):m/z 492(M+H)、Rt 2.88分。
【0194】
中間体30
1−メチル−7−[4−(1−ピペリジニルメチル)フェニル][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]キノリン−4−アミン
【化30】

【0195】

中間体の31(1.1g、3.97mmol)のトルエン/エタノール(5mL/5mL)混合物溶液に、3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル(1.18g、5.16mmol)、Pd(PPh)4(230mg)及び2NのNaCO(5mL、10mmol)溶液を添加した。混合物をマイクロ波加熱下で攪拌し、次いで、蒸発乾固させ、ジクロロメタンで希釈した。次いで、有機相を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、CHCl/MeOH:95/5で溶出して、白色の固体として標題化合物(930mg、79%)を得た。LC/MS(方法D):m/z 300(M+H)、Rt 2.37分。
【0196】
中間体31
7−ブロモ−1−メチル[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]キノリン−4−アミン
【化31】

【0197】

鉄(16.2g、294mmol)の水(100mL)及び酢酸(1mL)溶液を、室温で15分間攪拌した。次いで、酢酸エチル(150mL)及び酢酸(150mL)を添加し、次いで、中間体32(22.3g、72.6mmol)を少しずつ添加した。添加の最後に、混合物を24時間室温で撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、AcOEt/MeOH(1/1)の混合物に溶解させ、次いで濾過した。濾液を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、CHCl/MeOH:85/15で溶出して、クリーム色の固体として標題化合物(18.78g、93%)を得た。LC/MS(方法D):m/z 279(M+H)、Rt 2.39分。
【0198】
中間体32
7−ブロモ−1−メチル−4−ニトロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]キノリン
【化32】

【0199】

中間体33(111.3g、393mmol)のMeOH(1.1L)懸濁液に、オルソ酢酸メチルエステル(100mL、1.18mol)を添加し、1滴のH2SO4及び混合物を4時間室温で撹拌した。次いで、固体を濾過し、メタノール、ジイソプロピルエーテル(2×300mL)、及びペンタン(2×300mL)で洗浄した。固体を乾燥させて、茶色−黄色の固体として標題化合物(117.3g、97%)を得た。
【0200】
LC/MS(方法D):m/z 308(M+H)、Rt 2.32分。
【0201】
中間体33
(2Z)−6−ブロモ−3−ニトロ−2(1H)−キノリノンヒドラゾン
【化33】

【0202】

中間体34(122.27g、426mmol)のEtOH(1.2L)懸濁液に、ヒドラジン水和物(165mL、3.4mol)を滴下し、混合物を室温で24時間攪拌した。反応が完了しなかったので、ヒドラジン水和物(20.63mL、426mmol)を添加し、混合物を2時間室温で攪拌した。次いで、固体を濾過し、EtOH、ジイソプロピルエーテル(2×300mL)及びペンタン(2×300mL)で洗浄し、乾燥させて、若干ヒドラジンが残っている茶色−黄色の固体を得た。固体を水(600mL)中で15分間攪拌し、濾過した。固体を水(2×300mL)、ジイソプロピルエーテル(2×300mL)及びペンタン(2×300mL)で洗浄し、乾燥させて、オレンジ色の固体として表題化合物(111.8g、93%)を得た。
【0203】
mp:187.4℃。LC/MS(方法D):m/z 283(M+H)、Rt 2.76分。
【0204】
中間体34
6−ブロモ−2−クロロ−3−ニトロキノリン
【化34】

【0205】

中間体35(130g、483mmol)のPOCl(675mL、7.25mol)懸濁液を還流下で3時間攪拌した。次いで、溶液を80℃に冷却し、トルエン(500mL)をゆっくり添加し、混合物を24時間室温で攪拌した。固体をトルエン(500mL)及びペンタン(500mL)で洗浄し、黄色の結晶として標題化合物(80.5g、58%)を得た。
【0206】
mp:202.8℃。LC/MS(方法D):m/z 287(M+H)、Rt 3.36分。
【0207】
中間体35
6−ブロモ−3−ニトロ−2(1H)−キノリノン
【化35】

【0208】

2−アミノ−5−ブロモベンズアルデヒド(140.5g、702.5mmol)のEtOH(1.4L)溶液に、ニトロ酢酸エチル(156mL、1.4mol)及びピペリジン(35mL、351.3mmol)を添加し、混合物を18時間還流下で撹拌した。室温で冷却した後、固体を濾過し、ジイソプロピルエーテル(2×300mL)で洗浄し、乾燥させて、黄色の固体として標題化合物(130.5g、70%)を得た。
【0209】
mp:276.5℃。LC/MS(方法D):m/z 269(M+H)、Rt2.42分。
【0210】
中間体36
(3S)−3−(フェニルアミノ)ブタンニトリル
【化36】

【0211】

(3S)−3−アミノブタンニトリル(8.6g、102mmol、国際公開第2005100321号パンフレットに記載されている通り調製することができる)、ブロモベンゼン(16.16mL、153mmol)及び炭酸セシウム(50.0g、153mmol)をトルエン(100mL)中で合わせ、45分間窒素下で攪拌した。フェニルボロン酸(0.187g、1.534mmol、Aldrich)、パラジウム(II)アセテート(0.188g、0.837mmol、Aldrichから入手可能)及び2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(0.443g、1.125mmol、Aldrichから入手可能)を窒素下でテトラヒドロフラン(THF)(6.67mL)中で合わせ、45分間攪拌した。THF溶液をトルエン溶液に添加し、反応物を一晩かけて80℃に加熱した。反応混合物を冷却し、EtOAc(500mL)と水(300mL)とに分液した。水層をEtOAc(200mL)で再抽出した。合わせた有機層を水及びブライン(各500mL)で洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、オレンジ色の油状物を得た。粗生成物を最小限のDCMに溶解させ、200gのCompanion XLカラムに適用し、1CVのシクロヘキサン中5%の酢酸エチル、次いで、12CV超の5〜30%の酢酸エチルで溶出し、3CVは30%で保持した。UV収集;450mLの画分。生成物をオフホワイトの固体(11.35g)として単離した。
【0212】
LCM(方法B):Rt=0.87、MH+=161
【0213】
中間体37
(3S)−3−[(4−ブロモフェニル)アミノ]ブタンニトリル
【化37】

【0214】

(3S)−3−(フェニルアミノ)ブタンニトリル(調製については、中間体36を参照されたい)(11.3526g、70.9mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(200mL)に窒素下で溶解させ、氷浴で冷却した。NBS(12.61g、70.9mmol)を添加し、反応物を攪拌した。20分後、反応物をEtOAc(1000mL)と水(500mL)とに分液した。有機層を2MのNaOH×2、水、及びブライン(各500mL)で洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、クリーム色の固体として生成物(17.3g)を得た。LCM(方法B):Rt=1.05、MH+=239
【0215】
中間体38
(3S)−3−[(4−ブロモフェニル)アミノ]ブタンアミド
【化38】

【0216】

(3S)−3−[(4−ブロモフェニル)アミノ]ブタンニトリル(調製については中間体37を参照されたい)(17.3g、72.4mmol)をトルエン(500mL)に溶解させ、HSO(19.28mL、362mmol)を添加した。二相混合物を60℃で攪拌した。2時間後、LCMSによってほんの少量のSMが残ったので、反応物を水(500mL)で希釈し、相を分離した。水相を10NのNaOHで塩基性化し、EtOAc(2×750mL)で抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、クリーム色の固体として生成物(17.5g)を得た。
【0217】
LCM(方法B):Rt=0.77、MH+=257
【0218】
中間体39
1−メチルエチル{(3S)−3−[(4−ブロモフェニル)アミノ]ブタノイル}カルバメート
【化39】

【0219】

(3S)−3−[(4−ブロモフェニル)アミノ]ブタンアミド(調製については中間体38を参照されたい、24.9g、97mmol)を酢酸エチル(850mL)に溶解させ、<−9℃(内部)に冷却した。イソプロピルクロロギ酸塩(116mL、116mmol、Aldrich)を添加し、次いで、温度を0℃未満に保ちながら、テトラヒドロフラン(THF)(232mL)中のリチウムtertブトキシド(18.61g、232mmol)をゆっくり添加した。反応物を30分間攪拌し、次いで、LCMSによって確認したところ、完全に反応していることを示した。混合物をEtOAc(1000mL)と2NのHCl(2000mL)とに分液した。有機層をブライン(2000mL)で洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、茶色の油状物として生成物(17.9g)を得た。
【0220】
LCM(方法B):Rt=1.09、MH+=343
代替方法
1−メチルエチル(2E)−2−ブテノイルカルバメート(中間体42、9.38g、54.8mmol)を窒素下でトルエン(281mL)中にて攪拌し、(R−BINAP)ジトリフラートビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(中間体44、3.35g、3.01mmol)を添加した。触媒はゴム状の球を形成し、溶液は不透明な黄色の混合物になり、20分間攪拌した。4−ブロモアニリン(14.14g、82mmol)を添加したところ、溶液は透明な薄茶色になり、ゴム状の触媒は更に溶解した。混合物を一晩撹拌した。
【0221】
同様に、1−メチルエチル(2E)−2−ブテノイルカルバメート(中間体42、8.51g、49.7mmol)の第2のバッチを窒素下でトルエン(255mL)中にて攪拌し、(R−BINAP)ジトリフラートビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(中間体44、3.04g、2.73mmol)を添加した。触媒はゴム状の球を形成し、溶液は不透明な黄色の混合物になり、20分間攪拌した。4−ブロモアニリン(12.83g、74.6mmol)を添加したところ、溶液は透明な薄茶色になり、ゴム状の触媒は更に溶解した。混合物を一晩撹拌した。
【0222】
2つの反応混合物を合わせ、1.5kgのIscoシリカRedisepカラムにロードした。カラムをDCM:MeOH(0%→0.5%、19CV)で溶出した。生成物を含有する透明な画分を蒸発させて、薄茶色の油状物を得た。混合物を40℃で一晩真空オーブン内にて乾燥させて、白色の固体(24.2g、全体として67%)を得た。
【0223】
LCM(方法C):Rt=0.91、MH+=343.ee=92%。
【0224】
中間体40
1−メチルエチル[(2S,4R)−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート
【化40】

【0225】

1−メチルエチル{(3S)−3−[(4−ブロモフェニル)アミノ]ブタノイル}カルバメート(調製については中間体39を参照されたい)(17.9g、52.2mmol)をエタノール(150mL)に溶解させ、CO/アセトン浴中にて−10℃(内部)未満に冷却した。温度を−5℃未満に保ちながら、NaBH(1.381g、36.5mmol)を添加し、次いで、水(25mL)中の塩化マグネシウム六水和物(11.35g、55.8mmol)を添加した。混合物を<0℃で1時間攪拌し、次いで、室温に加温し、1時間攪拌した。得られた濃い懸濁液を、クエン酸(25.05g、130mmol)、HCl(205mL、205mmol)、及びジクロロメタン(DCM)(205mL)の混合物に注いだ。二相混合物を室温で1時間撹拌した。LCMSはSMの残りを示さなかったので、有機層を抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、薄茶色の固体として生成物(14.1g)を得た。
【0226】
LCM(方法B):Rt=1.13、MH+=327
【0227】
中間体41
1−メチルエチル[(2S,4R)−1−アセチル−6−(4−ホルミルフェニル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート
【化41】

【0228】

1−メチルエチル[(2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート(調製については中間体43を参照されたい)(1g、2.71mmol)、(4−ホルミルフェニル)ボロン酸(0.487g、3.25mmol、Aldrichから入手可能)、Pd(PhP)(0.156g、0.135mmol)、及び炭酸カリウム(0.487g、3.52mmol)を無水エタノール(7mL)及び無水トルエン(7.00mL)中で合わせ、反応混合物を10分間脱気した。反応混合物を85℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。粗反応混合物を水(15mL)と酢酸エチル(5mL)とに分液し、室温で30分間攪拌した。薄い灰色の固体が沈殿したので、それを濾取し、水(5mL)で洗浄し、真空オーブン内で乾燥させて、854mgの灰色の固体を得た。LCM(方法B):Rt=1.00、MH+=395
【0229】
中間体42
1−メチルエチル(2E)−2−ブテノイルカルバメート
【化42】

【0230】

カルバミン酸イソプロピル(30g、291mmol、TCIから入手可能)を3LのLara容器に充填し、無水テトラヒドロフラン(THF)(150mL)を添加した。(2E)−2−ブテノイル塩化物(31.2mL、326mmol、Aldrichから入手可能)を窒素下で添加し、ジャケットを−30℃に冷却した。溶液温度が−17℃に達したら、反応温度を−10℃〜−18℃に保ちながら、1Mのリチウムtert−ブトキシド(655mL、655mmol)を2時間かけて蠕動ポンプによって添加した。添加が完了したら、混合物を30分間攪拌し、0℃にした。ジエチルエーテル(450mL)及び1MのHCl(375mL)を添加し、激しく攪拌して混合物を20℃にした。攪拌を停止し、層を分離させ、水層を廃棄した。ブライン(375mL)を添加し、混合物を激しく攪拌した。攪拌を停止し、層を分離させ、水層を廃棄した。有機層を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、蒸発させて、茶色の油状物(60g)を得た。混合物を40+M Biotageシリカカラムにロードし、DCM:酢酸エチル(1:1〜0:1、10CV)で溶出した。生成物を含有する画分を蒸発乾固させ、1500gのRedisep Iscoシリカカラムにロードし、シクロヘキサン中0〜40%酢酸エチルの勾配で溶出した。生成物を含有する透明な画分を蒸発させて、オフホワイトの固体(15.41g)を得た。LCM(方法C):Rt=0.68、MH+=172
【0231】
中間体43
1−メチルエチル[(2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート
【化43】

【0232】

1−メチルエチル[(2S,4R)−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート(調製については中間体40を参照されたい)(14.1g、43.1mmol)を室温で窒素下にてジクロロメタン(DCM)(400mL)に溶解させた。ピリジン(10.46mL、129mmol)、次いで塩化アセチル(4.60mL、64.6mmol)を添加し、反応物を一晩撹拌した。LCMSは完全に反応していることを示したので、それをEtOAc(2000mL)と飽和NaHCO(800mL)とに分液した。有機層を抽出し、水及びブライン(各1500mL)で洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、紫色の固体を得た。粗生成物を最小限のDCMに溶解させ、330gのCompanion XLカラムに適用し、シクロヘキサン中12〜63%の酢酸エチル勾配で溶出した。生成物を含有する画分を、オフホワイトの固体(12.37g)として収集した。
【0233】
LCM(方法B):Rt=1.03、MH+=369
[α]=+281.1025°(T=20.7℃、10mmのセル、c=0.508g/100mL、エタノール)
【0234】
中間体44
(R−BINAP)ジトリフラートビス(アセトニトリル)パラジウム(II)
【化44】

【0235】

R−(+)−BINAP(6.08g、9.76mmol、Avocadoから入手可能)をジクロロメタン(DCM)(626mL)中で攪拌し、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(2.5g、9.64mmol、Aldrichから入手可能)を添加した。混合物を窒素下で30分間攪拌したが、懸濁液は溶液にならなかったので、更にDCM(100mL)を添加した。混合物を更に30分間攪拌し、アセトニトリル(250mL)に溶解しているトリフラート銀(5.00g、19.47mmol、Aldrichから入手可能)を添加した。混合物は、オレンジ色の曇った懸濁液から黄色の懸濁液に変化した。混合物を1時間攪拌し、celiteを通して濾過し、蒸発させて、オレンジ色の固体を得た。残渣を真空下(約14mbar)で室温にて週末の間乾燥させて、望ましい生成物(10.69g)を得た。
【0236】
H NMR(400MHz,MeCN−d3)δ ppm 2.0(s,6 H),6.7(d,2H),6.9(brm,4H),7.1(br t,2H),7.2(t,2H),7.5 ? 7.9(m,22H)
【0237】
実施例1
1−メチルエチル((2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−6−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル)カルバメート
【化45】

【0238】

1−メチルエチル[(2S,4R)−1−アセチル−6−(4−ホルミルフェニル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート(調製については中間体41を参照されたい)(100mg、0.254mmol)をメタノール(3mL)に溶解させ、THF(0.254mL、0.507mmol)中2Mのメチルアミンを添加した。黄色の溶液を135分間室温で窒素下にて攪拌し、その時点で水素化ホウ素ナトリウム(15.35mg、0.406mmol)を添加した。反応物を1時間攪拌し、次いで、一晩静置した。反応物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(1mL)でクエンチし、EtOAc(8mL)を添加した。白色の固体を濾取し(bond elut reservoir)、望ましい生成物であることを見出した(34mg)。濾液を分液し、有機層を乾燥させた。有機層を濃縮させて67mgの無色の残渣を得、これをシリカ12+S Biotageカラムに適用し、精製し、DCM中1〜5%のメタノール性アンモニアの勾配で溶出した。生成物を含有する画分を濃縮して、望ましい生成物(52mg)の別のバッチを得た。
【0239】
LCM(方法C):Rt=0.71、MH+=410
【0240】
実施例2
2−[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]−N−エチルアセトアミド
【化46】

【0241】

室温における中間体1(4.5g、11.4mmol)のTHF溶液に、DIEA(4mL、22.7mmol)を添加し、次いで、HBTU(8.6g、22.7mmol)を添加した。反応混合物をこの温度で3時間攪拌し、エチルアミン(11.3mL、THF中2M、22.7mmol)を滴下した。混合物を一晩攪拌した後、減圧下で濃縮した。粗物質をDCMに溶解させ、水、1NのNaOH、及び1NのHClで順次洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。粗固体をMeCN中で再結晶化させて、白色の固体として標題化合物(4.1g、収率85%)を得た。
【0242】
=0.48(DCM/MeOH:90/10).
Mp 140〜145℃(ゴム状になる)。
【0243】
2223ClNについて計算されたHRMS(M+H) 424.1540;実測値424.1525。キラルHPLC:カラム:chiralpak AD 250×4.6 mm 10μm;移動相:60/40、EtOH/ヘキサン;流速:1.0mL/分;UV波長:210及び254nm。表題化合物は5.76分間で溶出された。[α]=+88.1(c 1.0015/MeOH)。
【0244】
実施例3
7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−8−(メトキシ)−1−[(1R)−1−(2−ピリジニル)エチル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン
【化47】

【0245】

中間体9(6g、18mmol)の混合物をCHCN(100mL)中の(1R)−1−(2−ピリジニル)エタンアミン(2当量、4.43g、36mmol)と反応させ、110℃で4時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮した。残渣を水とDCMとの間で分液した。NaSO上で有機層を乾燥させ、濃縮乾固させて、7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−6−(メトキシ)−4−{[(1R)−1−(2−ピリジニル)エチル]−アミノ}−3−キノリンカルボキサミドを得、精製することなく次の工程で用いた。
【0246】
カルボキサミド中間体(6g)を過剰のCHCN(100mL)中ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(19.35g、45mmol)で処理し、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、得られた残渣をDCMに溶解させ、水で洗浄した。シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH、95:5)によって粗生成物を精製し、得られた化合物をDCMに溶解させ、ジエチルエーテルから沈殿させて、オフホワイトの粉末として標題化合物(2.5g、33%)を得た。
【0247】
2321について計算されたLC−HRMS ESの正確な質量:416.1722(MH)。実測値 416.1736、Rt=2.22分間。
【0248】
LCMS(方法E)m/z 415.97(M+H)、Rt=2.5分。
【0249】
実施例4
7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−8−(メトキシ)−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【化48】

【0250】

0℃における中間体15(0.5g、1.28mmol)のDCM(25mL)溶液に、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボニル塩化物(1.05当量、1.4mmol、0.15g、Apollo Scientific)を添加し、次いで、混合物を0℃で15分間攪拌した。反応混合物を飽和NaHCO水溶液で加水分解し、DCMで抽出した。有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得、精製することなく次の工程で用いた。AcOHを粗生成物に添加し、混合物を100℃で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、NaOH 1Nで加水分解し、DCMで抽出した。有機相をNaSO上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル(DCM/MeOH、95:5)上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、白色の粉末(0.16g、26%)として表題化合物を得た。
【0251】
LCMS(方法E)m/z 483(M+H)、Rt=2.93分、[α]20=−38.7°(c=0.8005g/100mL、CHCl)。
【0252】
H NMR(300MHz,DMSO−d6,ppm)δ:9.13(s,1H),7.90(s,1H),7.51−7.21(m,5H),6.73(bs,1H),6.51(s,1H),4.09−3.85(m,2H),3.69−3.45(m,2H),3.31(s,3H),2.27(s,3H),2.07(d,J= 7Hz,3H),2.06(s,3H),2.04−1.92(m,2H),1.91−1.80(m,2H).
【0253】
実施例5
4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}安息香酸
【化49】

【0254】

中間体21(320mg、0.73mmol)のEtOH(10mL)及び1NのNaOH(1.5mL、1.5mmol)溶液を加熱還流させた。1時間後、tlcモニタリングによって反応が完了したことが示された。粗生成物を蒸発乾固させ、残渣を水(10mL)に溶解させた。1NのHCl溶液を添加することによって混合物をpH=3に酸性化した。有機物質をEtOAc(3×25mL)で抽出し、有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させた。真空内で濃縮した後、残渣をDCM/ヘキサン混合物に溶解させて、濾過後に赤色の固体を得た。化合物をEtOAc中で再結晶化させ、濾過し、i−PrOで洗浄した。得られた白色の粉末をMeOH/HOに可溶化させ、濃縮乾固し、HOに溶解させた。最後に、沈殿物を濾過して、白色の粉末として標題化合物(147mg)を得た、mp:275℃。
【0255】
2523Cl(M−H)について計算されたHRMS 433.1319:433.1299。Rt:2.21分。
【0256】
H NMR(300MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 1.2(d,3H)1.35(m,1H)2.3(s,3H)2.7(m,1H)4.25(dd,1H)4.95(m,1H)6.65(d,2H)7.15(d,2H)7.25(s,1H)7.55(m,4H),8.15(d,2H)
EtOAc再結晶化段階で測定された[α]=+395(c=0.96g/cl、EtOH)。
【0257】
標題化合物は、移動相としてtert−ブチルメチルオキシド(MTBE)+0.1% TFA/エタノール:90/10と共にChiralpak IA(250×4.6mm 5μm)を用いて第1のピークとしてHPLCによって4.51分で溶出された。1mL/分の流速を適用し、1mLの溶離剤で1mgの標題化合物を希釈することにより調製されたサンプル10μLを注入した。化合物の検出は、210及び254nMのUV波長で実施した。他のエナンチオマーは、5.92分に得られた。
【0258】
実施例6
N−{1−メチル−7−[4−(1−ピペリジニルメチル)フェニル][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]キノリン−4−イル}尿素
【化50】

【0259】

中間体29(0.15g、0.31mmol)のエタノール(15mL)懸濁液に、MeOH中7Mのアンモニア溶液(220μL、1.55mmol)を添加し、混合物を48時間室温で攪拌した。得られた沈殿物を濾過し、0.5NのNaOH溶液と共に粉砕し、ジイソプロピルエーテルで洗浄して、白色の固体として標題化合物(52mg、41%)を得た。
【0260】
mp:>260℃。C2428O(M+H)について計算されたHRMS 415.2246:415.2208、Rt:2.04分。
【0261】
レファレンス化合物A:1,1−ジメチルエチル[5−({[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセチル}アミノ)ペンチル]カルバメート
【化51】

【0262】

[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]酢酸(調製については、中間体1を参照されたい)(1.0g、2.5mmol)、HATU(1.9g、5mmol)及びDIPEA(0.88mL、5mmol)の混合物を室温で80分間撹拌し、これに、1,1−ジメチルエチル(4−アミノブチル)カルバメート(1.05mL、5.0mmol、Aldrichから入手可能)を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した後、濃縮した。残渣をジクロロメタンに溶解させ、1NのHClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出した。有機層を1Nの水酸化ナトリウムで洗浄し、次いで、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。ジクロロメタン/メタノール95/5を用いてシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製して、黄色の固体として標題化合物(1.2g)を得た。LC/MS(方法D):RT=3.04分
【0263】
レファレンス化合物B:N−(5−アミノペンチル)−2−[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセトアミドトリフルオロ酢酸
【化52】

【0264】

1,1−ジメチルエチル[5−({[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセチル}アミノ)ペンチル]カルバメート(調製については、レファレンス化合物Aを参照されたい)(0.2g、0.34mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.053mL、0.68mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を0℃から室温に3時間攪拌した。反応混合物を濃縮乾固させて、吸湿性の黄色の固体として標題化合物(200mg)を得た。
【0265】
LC/MS(方法D):rt=2.33分間。
【0266】
2529ClNについて計算されたHRMS(M+H) 481.2119;実測値481.2162。
【0267】
レファレンス化合物C:Alexa Fluor 488−N−(5−アミノペンチル)−2−[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセトアミドの5−及び6−異性体の混合物
【化53】

【0268】

N−(5−アミノペンチル)−2−[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセトアミドトリフルオロアセテート(調製についてはレファレンス化合物Bを参照されたい)(7.65mg、0.013mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(300μL)に溶解させ、エッペンドルフ遠心管内のAlexa Fluor 488のカルボン酸スクシンイミジルエステル(5mg、7.77μmol、5及び6異性体の混合物、Invitrogenから入手可能、製品番号A−20100)に添加した。ヒューニッヒの塩基(7.0μL、0.040mmol)を添加し、混合物を一晩ボルテックスで混合した。18時間後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をDMSO/水(50%、合計<1mL)に再溶解させ、分取Phenomenex Jupiter C18カラムに適用し、150分間かけて10mL/分の流速で95% A:5% B〜100% B(A=水中0.1%のトリフルオロ酢酸、B=0.1%TFA/90%アセトニトリル/10%水)の勾配で溶出した。不純画分を合わせ、同システムを用いて再精製した。画分を合わせ、蒸発させて、示される2つの位置異性体の混合物として標題生成物(2.8mg)を得た。LC/MS(方法F)、MH+=999、rt=1.88分。
【0269】
生物学的試験方法
蛍光異方性結合アッセイ
本発明において使用するための化合物のブロモドメイン阻害剤BRD2、BRD3、及びBRD4に対する結合を、蛍光異方性結合アッセイを用いて評価した。
【0270】
ブロモドメインタンパク質、蛍光リガンド(レファレンス化合物C、上記を参照されたい)、及び様々な濃度の試験化合物を共にインキュベートして、試験化合物の非存在下で蛍光リガンドが著しく(>50%)結合し、十分な濃度の強力な阻害剤の存在下で非結合蛍光リガンドの異方性が測定可能な程度に結合値と異なるような条件下で熱力学的平衡に達した。
【0271】
全てのデータを、各プレートにおける16の高対照及び16の低対照ウェルの平均に対して正規化した。次いで、以下の式の4つのパラメータ曲線適合を適用した:
y=a+((b−a)/(1+(10^×/10^c)^d)
式中、「a」は最小値であり、「b」はヒル勾配であり、「c」はpIC50であり、「d」は最大値である。
【0272】
N末端に6−Hisタグを備える組換えヒトブロモドメイン(BRD2(1〜473)、BRD3(1〜435)、及びBRD4(1〜477))を、大腸菌細胞(pET15bベクター中)で発現させた。Hisタグ付ブロモドメインを、0.1mg/mLのリゾチーム及び超音波処理を用いて大腸菌細胞から抽出した。次いで、HisTRAP HPカラムにおいて親和性クロマトグラフィーによってブロモドメインを精製し、20Cvにわたって線形10〜500mMイミダゾール勾配で溶出した。Superdex 200 prep gradeのサイズ排除カラムによる更なる精製を完了した。精製したタンパク質を20mMのHEPES(pH7.5)及び100mMのNaCl中で−80℃にて保存した。
【0273】
ブロモドメインBRD2についてのプロトコール:全ての成分を、最終濃度がBRD2 75nM、蛍光リガンド 5nMになるように、50mMのHEPES(pH7.4)、150mmのNaCl、及び0.5mMのCHAPSのバッファ組成物に溶解させた。micro multidropを用いて、Greiner 384ウェル黒色低体積マイクロタイタープレート中に100nLの様々な濃度の試験化合物又はDMSOビヒクル(最終1%)を収容しており、室温で暗条件60分間にて平衡化されたウェルにこの反応混合物10μLを添加した。蛍光異方性をEnvision(λex=485nm、λEM=530nm;二色性−505nM)で読み取った。
【0274】
ブロモドメインBRD3についてのプロトコール:全ての成分を、最終濃度がBRD3 75nM、蛍光リガンド 5nMになるように、50mMのHEPES(pH7.4)、150mmのNaCl、及び0.5mMのCHAPSの組成のバッファに溶解させた。micro multidropを用いて、Greiner 384ウェル黒色低体積マイクロタイタープレート中に100nLの様々な濃度の試験化合物又はDMSOビヒクル(最終1%)を収容しており、室温で暗条件60分間にて平衡化されたウェルにこの反応混合物10μLを添加した。蛍光異方性をEnvision(λex=485nm、λEM=530nm;二色性−505nM)で読み取った。
【0275】
ブロモドメインBRD4についてのプロトコール:全ての成分を、最終濃度がBRD4 75nM、蛍光リガンド 5nMになるように、50mMのHEPES(pH7.4)、150mmのNaCl、及び0.5mMのCHAPSの組成のバッファに溶解させた。micro multidropを用いて、Greiner 384ウェル黒色低体積マイクロタイタープレート中に100nLの様々な濃度の試験化合物又はDMSOビヒクル(最終1%)を収容しており、室温で暗条件60分間にて平衡化されたウェルにこの反応混合物10μLを添加した。蛍光異方性をEnvision(λex=485nm、λEM=530nm;二色性−505nM)で読み取った。
【0276】
実施例1〜6を上記アッセイで試験したところ、上記BRD2、BRD2、及びBRD3アッセイのうちの1以上において、pIC50≧6.0を有することが見出された。
【0277】
リポ多糖類(LPS)刺激性全血計量TNFαレベルアッセイ
細菌性脂質多糖体(LPS)等のトール様受容体のアゴニストによる単球細胞の活性化は、TNFαを含む重要な炎症伝達物質を産生させる。このような経路は、様々な自己免疫性及び炎症性疾患の病態生理学の中心となると広く考えられている。
【0278】
試験される化合物を様々な適切な濃度に希釈し、希釈原液1μLを96プレートのウェルに添加した。全血(130μL)を添加した後、プレートを37℃(5% CO)で30分間インキュベートし、その後、2.8μg/mLのリポ多糖類(LPS)10μLを添加し、完全RPMI1640(最終濃度=200ng/mL)で希釈して、1ウェル当たりの合計体積を140μLにした。37℃で24時間更にインキュベートした後、140μLのPBSを各ウェルに添加した。プレートを密閉し、10分間振盪し、次いで、遠心分離した(2500rpm×10分間)。100μLの上清を除去し、直後又は−20℃で保存した後にイムノアッセイ(典型的に、MesoScale Discovery technologyによる)によってTNFαのレベルをアッセイした。各化合物の用量応答曲線をデータから作成し、IC50値を計算した。
【0279】
上記アッセイで試験した実施例1〜6は、pIC50≧6.0を有することが見出された。
【0280】
これらのデータは、上記アッセイで試験したブロモドメイン阻害剤が、重要な炎症伝達物質であるTNFαの産生を阻害したことを示す。
【0281】
インビボにおけるマウスの内毒血症モデル
高用量の内毒素(細菌のリポ多糖類)を動物に投与すると、強い炎症反応、心臓血管機能の調節異常、臓器の機能不全及び最終的には死を含む深刻なショック症候群が生じる。この応答パターンは、重篤な細菌感染に対する体の応答が同様に生命を脅かす場合があるヒトの敗血症及び敗血症性ショックと非常に類似している。
【0282】
本発明で用いられる化合物を試験するために、8群のBalb/cオスマウスに致死用量である15mg/kgのLPSを腹腔内注入により投与した。90分後、動物にビヒクル(非発熱性水中20%シクロデキストリン、1%エタノール)又は化合物(10mg/kg)を静脈内投与した。4日目に動物の生存率をモニタした。
【0283】
4日目に生存している動物数(複数の反復実験の合計)
ビヒクル 4/66(6%)
実施例3の化合物 55/66(83%)
実施例5の化合物 14/24(58%)
実施例2の化合物 24/56(52%)
実施例4の化合物 9/24(38%)
これらのデータは、上記モデルで試験したブロモドメイン阻害剤が、静脈内投与後に有意な動物の生存効果を生じさせたことを示す。
【0284】
本明細書に引用される特許及び特許出願を含むがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が具体的且つ個々に、全文を通して参照することによって組み込まれることを示すかのように、参照することによって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な量のブロモドメイン阻害剤を、それを必要としている被験体に投与することを含む、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態を治療する方法。
【請求項2】
前記ブロモドメイン阻害剤が、アセチル化リシン残基に対するBETファミリーのブロモドメインの結合を阻害する化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BETファミリーのブロモドメインが、BRD2、BRD3又はBRD4である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブロモドメイン阻害剤が、
1−メチルエチル((2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−6−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル)カルバメート、
2−[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]−N−エチルアセトアミド、
7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−8−(メトキシ)−1−[(1R)−1−(2−ピリジニル)エチル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン、
7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−8−(メトキシ)−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン、
4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}安息香酸、及び
N−{1−メチル−7−[4−(1−ピペリジニルメチル)フェニル][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]キノリン−4−イル}尿素
から選択される化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態が、細菌、ウィルス、菌類、寄生虫、又はこれらの毒素の感染に対する炎症反応を伴う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態が、敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショック、エンドトキシン血症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器機能不全症候群、毒素性ショック症候群、急性肺障害、ARDS(成人型呼吸窮迫症候群)、急性腎不全、劇症肝炎、熱傷、急性膵炎、術後症候群、サルコイドーシス、ヘルクスハイマー反応、脳炎、脊髄炎、脳膜炎、マラリア、並びにインフルエンザ、帯状疱疹、単純疱疹、コロナウイルス等のウィルス感染に関連するSIRSからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するためのブロモドメイン阻害剤。
【請求項8】
自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態を治療するための医薬の製造におけるブロモドメイン阻害剤の使用。
【請求項9】
ブロモドメイン阻害剤と、少なくとも1種の医薬担体とを含む医薬製剤であって、前記ブロモドメイン阻害剤が、自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するのに有効な量で存在する医薬製剤。
【請求項10】
自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するための化合物を同定する方法であって、前記化合物が、ブロモドメインとその同種アセチル化タンパク質との結合を阻害するかどうかを判定する工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法によって同定される自己免疫性及び炎症性の疾患又は病態の治療において使用するための化合物。

【公表番号】特表2013−510121(P2013−510121A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537379(P2012−537379)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066695
【国際公開番号】WO2011/054843
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(509329523)グラクソスミスクライン エルエルシー (38)
【Fターム(参考)】