説明

自己分散顔料ならびにその製造方法および使用方法

ポリマーを含むことができる変性顔料。顔料を窒素原子に直接付加させることができる。窒素原子を直接または間接に、-S-Zを含むことができる基に付加させることができる。Sは置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族基または、約300〜約20000の分子量範囲を有するポリマー鎖であることができる。Zは水素、カルボキシル、スルホニル、フェノール、ホスホリル、アンモニウム、トリメチルアンモニウムもしくはトリブチルアンモニウム基であることができる。またポリマーを含むことができる変性顔料。顔料を、N-C=N結合の一部である炭素原子によって有機基に付加させることができる。有機基に共有結合した顔料を含むことができる化粧料処方物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
使用分野
本発明は、自己分散顔料の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、顔料の表面変性に関する。共有結合により表面を変性した顔料は、自己分散顔料として当該産業分野において知られている。表面変性は、水性環境において行うことができ、環境にやさしい。本発明はさらに、限定されないが、コーティング、塗料、紙、接着剤、ラテックス、トナー、布地、繊維、プラスチック、インクおよび化粧料用途を包含する、表面変性顔料を含む最終用途への応用に関する。最終用途の特定の例は、限定されないが、紙、布地、繊維、メタルデコおよびプラスチック用の印刷インク、木材着色剤、筆記具、カラーフィルターおよびマスカラを包含する。本発明はまた、インク、例えばインクジェットインクに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
顔料は、インク、コーティング、塗料、紙、接着剤、ラテックス、トナー、布地、繊維、木材着色剤、カラーフィルター、プラスチックおよび化粧料用途に関わるとき、水溶性染料にまさって幾つかの利点を提供する。顔料は、水溶性染料より大きい耐光性、耐水性、光学密度および縁の鋭さのうちの少なくとも1種を示し得る。あいにく、顔料はまた、貯蔵中沈殿する傾向が多く、かくして当初は、要求のきびしい用途、例えばインクジェットインクにおける使用が制限された。コロイド安定性のために化学添加物と合わせた、顔料粒子をミクロン以下のレベルに粉砕するメディアミルの出現は、インクジェットインク処方物における顔料分散物の使用を推進した。しかしながら、化学添加物は、インクジェットプリントヘッドの小さい穴からインクを噴出させるのが困難になるほど分散物の粘度を上昇させ得る。さらに化学添加物は、先に挙げた材料の製造費を有意に増大させ、したがって、なお経済的に好ましくない。化学添加物もしくは分散剤は、顔料の表面に結合することはなく、したがって、安定化を危うくし得る。現行の染料に基づく系および化学添加物を使用する顔料系と典型的に関連する問題の少なくともいくらかを克服する、改善されたインク組成物、特にインクジェットプリンターにおける使用のための必要性がある。現行の染料に基づく系および化学添加物を使用する顔料系と典型的に関連する問題の少なくともいくらかを克服する、顔料を使用する改善された材料についての必要性がまたある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
1つの態様において、本発明は、ポリマーを含み得る変性顔料を提供することができる。顔料は直接窒素原子に付加され得る。窒素原子は、-S-Zを含み得る基に直接または間接に付加され得る。Sは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族基または、約300〜約20000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり得る。Zは、水素、カルボキシル、スルホニル、フェノール、ホスホリル、アンモニウム、トリメチルアンモニウムもしくはトリブチルアンモニウム基であり得る。
【0004】
別の態様において、本発明は、ポリマーを含み得る変性顔料を提供することができる。顔料は、N-C=N結合の一部である炭素原子によって有機基に付加され得る。
【0005】
なお別の態様において、本発明は、有機基に共有結合した顔料を含み得る化粧料処方物を提供することができる。
【0006】
さらなる態様において、本発明は、置換トリアジンを顔料分散物と反応させることを含み得る、顔料分散物を変性させる方法を提供することができる。
【0007】
別の態様において、本発明は、塩化シアヌルと2級化合物もしくは2級化合物の混合物とを反応させて、少なくとも1個の反応性塩素を置き換えて置換トリアジンを形成させること、ならびに置換トリアジンおよび少なくとも1種のポリマーを顔料の表面に付加させることを含み得る、顔料を変性させる方法を提供することができる。
【0008】
さらなる態様において、本発明は、塩化シアヌルの少なくとも1個の反応性塩素を少なくとも1種のポリマーで置き換えて、置換トリアジンを形成させることを含み得る、顔料を変性させる方法を提供することができる。
【0009】
なお別の態様において、本発明は、少なくとも1種のポリマーを顔料分散物中の顔料に付加させて、変性顔料を形成させることを含み得る、顔料を変性させる方法を提供することができる。変性顔料は、直接窒素原子を付加したものであることができる。窒素原子は、有機基に直接もしくは間接に付加され得る。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、ポリマーおよびN-Sを含み得る少なくとも1種の基を付加した顔料、N-Sを含み得る少なくとも1種の基で置換されたトリアジンならびにそれらの組合せを含み得る、変性顔料を提供することができる。Nは求核基であり、Sは有機基であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、未処理のカーボンブラック試料、Sensijet SDP 1000 carbonおよび実施例25〜31からのカーボンブラック試料についての低分解能X-線光電子分光法(XPS)のスペクトルを示す。
【図2】図2は、未処理のカーボンブラック試料、Sensijet SDP 1000 carbonおよび実施例25〜31からのカーボンブラック試料についての高分解能C1s XPSスペクトルを示す。
【図3】図3は、実施例25〜31からのカーボンブラック試料についての高分解能N1s XPSスペクトルを示す。
【図4】図4は、未処理のカーボンブラック試料、Sensijet SDP 1000 carbonおよび実施例25〜31からのカーボンブラック試料についての高分解能O1s XPSスペクトルを示す。
【図5】図5は、未処理のカーボンブラック試料、Sensijet SDP 1000 carbonおよび実施例25〜31からのカーボンブラック試料についての高分解能S2p XPSスペクトルを示す。
【図6】図6は、Sensijet SDP 1000 carbonおよび実施例25〜31からのカーボンブラック試料についての高分解能Na1s XPSスペクトルを示す。
【図7】図7は、未処理のカーボンブラック試料ならびに実施例3、8、24および32からのカーボンブラック試料についての低分解能X-線光電子分光法(XPS)のスペクトルを示す。
【図8】図8は、未処理のカーボンブラック試料ならびに実施例3、8、24および32からのカーボンブラック試料についての高分解能C1s XPSスペクトルを示す。
【図9】図9は、実施例3、8、24および32からのカーボンブラック試料についての高分解能N1s XPSスペクトルを示す。
【図10】図10は、未処理のカーボンブラック試料ならびに実施例3、8、24および32からのカーボンブラック試料についての高分解能O1s XPSスペクトルを示す。
【図11】図11は、未処理のカーボンブラック試料ならびに実施例3、8、24および32からのカーボンブラック試料についての高分解能S2p XPSスペクトルを示す。
【図12】図12は、実施例3、8、24および32からのカーボンブラック試料についての高分解能Na1s XPSスペクトルを示す。
【図13】図13は、未処理のPigment Blue 15試料ならびに実施例10、14および21からのPigment Blue 15試料についての低分解能XPSスペクトルを示す。
【図14】図14は、未処理のPigment Blue 15試料ならびに実施例10、14および21からのPigment Blue 15試料についての高分解能C1s XPSスペクトルを示す。
【図15】図15は、未処理のPigment Blue 15試料ならびに実施例10、14および21からのPigment Blue 15試料についての高分解能N1s XPSスペクトルを示す。
【図16】図16は、未処理のPigment Blue 15試料ならびに実施例10、14および21からのPigment Blue 15試料についての高分解能O1s XPSスペクトルを示す。
【図17】図17は、未処理のPigment Blue 15試料ならびに実施例10、14および21からのPigment Blue 15試料についての高分解能S2p XPSスペクトルを示す。
【図18】図18は、未処理のPigment Blue 15試料ならびに実施例10および21からのPigment Blue 15試料についての高分解能Na1s XPSスペクトルを示す。
【図19】図19は、未処理のPigment Blue 15試料ならびに実施例10、14および21からのPigment Blue 15試料についての高分解能Cu2p XPSスペクトルを示す。
【図20】図20は、未処理のPigment Red No.122試料、実施例17および22からのPigment Red No.122試料ならびに実施例6および7からのPigment Violet No.19試料についての低分解能XPSスペクトルを示す。
【図21】図21は、未処理のPigment Red No.122試料、実施例17および22からのPigment Red No.122試料ならびに実施例6および7からのPigment Violet No.19試料についての高分解能C1s XPSスペクトルを示す。
【図22】図22は、未処理のPigment Red No.122試料、実施例17および22からのPigment Red No.122試料ならびに実施例6および7からのPigment Violet No.19試料についての高分解能N1s XPSスペクトルを示す。
【図23】図23は、未処理のPigment Red No.122試料、実施例17および22からのPigment Red No.122試料ならびに実施例6および7からのPigment Violet No.19試料についての高分解能O1s XPSスペクトルを示す。
【図24】図24は、実施例22からのPigment Red No.122試料ならびに実施例6および7からのPigment Violet No.19試料についての高分解能S2p XPSスペクトルを示す。
【図25】図25は、実施例17および22からのPigment Red No.122試料ならびに実施例6および7からのPigment Violet No.19試料についての高分解能Na1s XPSスペクトルを示す。
【図26】図26は、未処理のPigment Yellow No.74試料ならびに実施例23および34からのPigment Yellow No.74試料についての低分解能XPSスペクトルを示す。
【図27】図27は、未処理のPigment Yellow No.74試料ならびに実施例23および34からのPigment Yellow No.74試料についての高分解能C1s XPSスペクトルを示す。
【図28】図28は、未処理のPigment Yellow No.74試料ならびに実施例23および34からのPigment Yellow No.74試料についての高分解能N1s XPSスペクトルを示す。
【図29】図29は、未処理のPigment Yellow No.74試料ならびに実施例23および34からのPigment Yellow No.74試料についての高分解能O1s XPSスペクトルを示す。
【図30】図30は、未処理のPigment Yellow No.74試料ならびに実施例23および34からのPigment Yellow No.74試料についての高分解能S2p XPSスペクトルを示す。
【図31】図31は、未処理のPigment Yellow No.74試料ならびに実施例23および34からのPigment Yellow No.74試料についての高分解能Na1s XPSスペクトルを示す。
【図32】図32は、未処理のPigment Yellow No.155試料ならびに実施例11および12からのPigment Yellow No.155試料についての低分解能XPSスペクトルを示す。
【図33】図33は、未処理のPigment Yellow No.155試料ならびに実施例11および12からのPigment Yellow No.155試料についての高分解能C1s XPSスペクトルを示す。
【図34】図34は、未処理のPigment Yellow No.155試料ならびに実施例11および12からのPigment Yellow No.155試料についての高分解能N1s XPSスペクトルを示す。
【図35】図35は、未処理のPigment Yellow No.155試料ならびに実施例11および12からのPigment Yellow No.155試料についての高分解能O1s XPSスペクトルを示す。
【図36】図36は、実施例11および12からのPigment Yellow No.155試料についての高分解能S2p XPSスペクトルを示す。
【図37】図37は、対照のマスカラと比較した、本発明に従って製造されたマスカラのin vivo試験を示す(実施例50参照)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その適用において、構成の詳細および以下の説明に示される成分の配合に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ種々の方法で実施するか、もしくは行うことができる。また、本明細書において使用される表現および用語は、説明の目的のためにあり、限定するとみなされるべきでないことを理解すべきである。「包含する」、「含む」または「有する」および本明細書におけるそれらの変形の使用は、その後に挙げられる細目およびそれらの等価物ならびに追加の細目を包含することを意味する。
【0013】
また、本明細書において述べられる数の範囲は、下方値から上方値までの全ての数値を包含することが理解される。例えば、濃度範囲が1%〜50%と述べられているなら、2%〜40%、10%〜30%、または1%〜3%等のような値が、本明細書において明白に列挙されることが意図される。これらは、詳細に意図されるものの例にすぎず、列挙された最低値と最高値との間の、かつこれらを包含する全ての可能な数値の組合せが、本明細書において明白に述べられていると考えるべきである。
【0014】
1つの態様において、本発明は顔料の変性方法を提供する。この方法は、荷電した末端基(負または正)を有する有機基を、反応性分子の仲介によって付加して、表面安定化された変性顔料を生成することを含み得る。理論によって限定されることはないが、安定化は、反発力によってミクロン以下の大きさの顔料粒子上に共有結合的に付加される、同様に荷電した基の一様な分布によって達成されると考えられる。
【0015】
別の態様において、本発明は、顔料と上記したような適当な有機分子に付加された反応性中間体との反応によって形成された、自己分散顔料を含む分散物を提供する。水性環境で安定な反応性中間体の選択は、本発明の別の態様である。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、顔料1グラム当たり約0.01〜約1.0ミリモルのSおよび約0.01〜約2.0ミリモルの活性水素を含む自己分散顔料ならびに水を含む分散物を提供する。別の態様において、本発明は、顔料1グラム当たり約0.06〜約0.7ミリモルのSおよび約0.07〜約1.6ミリモルの活性水素を含む自己分散顔料ならびに水を含む分散物を提供する。
【0017】
なお別の態様において、本発明は、再分散性を高めながら少なくとも1つの耐久特性、例えばハイライト感、水もしくは摩擦耐性を高める、顔料もしくは変性顔料へのポリマー、ポリマー樹脂、分散剤もしくはバインダー付加物を提供する。これらの特性は、本明細書において論ぜられる特定の用途、例えばインクジェット印刷に関連する。速い印刷速度および小さい噴射体積(2〜5ピコリットル)はまた、特にサーマルインク噴射のために低粘度インク処方物を要求する。ポリマー、ポリマー樹脂、分散剤またはバインダーを付加させることで、量的な必要性を低減する。さらに、ポリマーは顔料と共にとどまり、したがって、低粘度処方物が同等の結果を生じる。
【0018】
表面変性もしくは自己分散顔料を製造する方法
本発明の1つの態様は、安定な自己分散顔料を製造するための方法に関する。
【0019】
本明細書において使用されるように、「顔料」という語は、基体、例えば普通紙もしくはコーティングされた紙、フィルムおよび他のタイプの受容媒体に色を与えるのに使用される、溶媒媒体に不溶性の着色料を意味する。顔料はまた、化粧料処方物に色を与えることができる。顔料は、黒ならびに他の色であり得る。
【0020】
本明細書において使用されるように、「自己分散」顔料という語は、いかなる追加の分散剤も不在下で顔料が安定な水性分散物を形成するように、その表面に共有結合的に付加した安定化基を有する顔料を意味する。
【0021】
本明細書において使用されるように、「安定な」という語は、外界温度で少なくとも約3か月〜6か月から2年間にわたって貯蔵されるとき、時間が経過すると、分散物が、測定される不可欠な特性(例えば平均粒径、粘度、表面張力およびpHのうちの少なくとも1つ)において10%未満しか変化しないことにより証明される、最小の変化を受けることを意味する。加速試験法は、約70℃で少なくとも約1週間の熱安定性試験または約70℃で少なくとも約4週間の熱安定性試験を包含する。
【0022】
本明細書において使用されるように、「再分散可能」という語は、本発明の変性顔料分散物が乾燥されて粉末を形成することができること、およびその粉末を媒体中に再分散することができることを意味する。媒体は、水性もしくは非水性媒体であることができる。本発明において、粉末中に存在する少なくとも約90%の変性顔料は、乾燥粉末として、水中に完全に再分散することができる。「完全に再分散する」は、粒子が最終生成物中で凝集し得ないことを意味する。
【0023】
本明細書において使用されるように、「付加」という語は、直接または間接の付加を包含し得る。
【0024】
1つの実施形態において、本発明は、N-S、N-Sを含む少なくとも1種の基で置換されたX、およびそれらの組合せを含む少なくとも1種の基を付加した顔料を含む表面変性顔料または自己分散顔料を製造する方法を提供する。例えば顔料は、-X-N-S-Z、-N-S-Zおよびそれらの組合せのうちの少なくとも1種を付加したものであり得る。幾つかの実施形態において、Zは、対イオンMを有するイオン性末端基を有することができる。変性された顔料は、媒体中に分散させることができる。変性顔料はさらにポリマーを付加することができる。別の実施形態においては、本発明は、少なくとも1種のポリマーを、媒体中に分散された顔料に付加させることを含む、表面変性顔料または自己分散顔料を製造する方法を提供する。
【0025】
Xは、限定されないが、トリアジニル基を包含し、1,3,5-トリアジンが好ましい。Nは、求核基であることができ、限定されないが、アミン、イミン、ピリジンまたはチオールを包含する。Sは、限定されないが、有機基、例えば置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族基、または約1〜100個超の炭素を有するかもしくは約300〜約20000、適当には約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖を包含し得る。Zは、水素、カルボキシル、スルホニル、フェノール、ホスホリル、アンモニウム、トリメチルアンモニウムもしくはトリブチルアンモニウム基であり得る。Zは、対イオンMを有するイオン性末端基を有することができる。存在するなら、Mは、ハロゲン化物、負に荷電したイオン、アンモニウムまたはカチオンであることができる。負の電荷によって安定化される場合には、ZMは、酸性の末尾基であり、Zは、限定されないが、カルボキシル、スルホニル、フェノールおよびホスホリルであることができ、かつMはアンモニウムまたはカチオンであり得る。正の電荷によって安定化されている場合には、ZMは、正に荷電した4級アンモニウムタイプの末尾基であることができ、ここでZは、限定されないが、アンモニウム、トリメチルアンモニウムおよびトリブチルアンモニウムであることができ、かつMは、ハロゲン化物であるか、または任意の負に荷電したイオンであり得る。2級化合物(N-S-ZM)の例は、限定されないが、単純なジアミノ芳香族または、ポリエチレンイミン、ポリグアニジン、4級アンモニウム化合物等からなるカチオンポリマーを包含する。
【0026】
1つの実施形態において、本方法は、(1) 任意的に顔料を粉砕し、分散させて水性顔料分散物(P)(R)を形成させること〔ここで、水性顔料分散物(P)(R)は、a) 顔料(P)、b) 少なくとも1種のポリマー、ポリマー樹脂、分散剤またはバインダー(R)およびc) 水を含むこと(あるいは、水性顔料分散物(P)(R)は、市販の入手可能な顔料分散物、例えば以下で明らかにされるもの、および例えばポリマー添加物を用いて安定化されるものであることができる)〕;(2) 塩化シアヌルと、約3当量の2級化合物NSZもしくは2級化合物の混合物(NSZ、N1S1Z1およびN2S2Z2)とを反応させて、全ての反応性塩素を置き換えて、置換トリアジンを形成させること;(3) 置換トリアジンと水性顔料分散物(P)(R)とを反応させて、自己分散顔料を形成させること;ならびに(4) 任意的に、自己分散顔料を精製して、付加しなかった分散剤を含む不純物を除去することを含むことができる。得られた自己分散顔料は、少なくとも1種のN-Sを含む基、N-Sを含む少なくとも1種の基で置換されたトリアジンおよびそれらの組合せを付加していることができる。例えば、変性顔料は、使用される2級化合物または2級化合物の混合物に依存して、少なくとも1種の-X-N-S-Z、-X-N1-S1-Z1、-X-N2-S2-Z2、-N-S-Z、-N1-S1-Z1および-N2-S2-Z2を付加していることができる。任意的に、-N-S-Z、-N1-S1-Z1および-N2-S2-Z2が同じまたは異なることができるように、-X-N-S-Z、-X-N1-S1-Z1、-X-N2-S2-Z2は同じまたは異なることができる。さらには、各Xは、同じまたは異なる-N-S-Z基で置換することができ、Xは、(R)(例えばアミン含有(R))で置換することができる。(R)は、顔料に直接付加することができるか、Xを介して顔料に間接的に付加することができるか、またはそれらの組合せであることができる。Xを介して間接的にとは、追加の基が(R)とXとの間に存在するか、または存在しないことができることを意味する。
【0027】
別の実施形態においては、表面変性顔料または自己分散顔料を製造する方法は、(1) 塩化シアヌルと、約3当量の2級化合物NSZもしくは2級化合物の混合物(NSZ、N1S1Z1およびN2S2Z2)とを反応させて、全ての反応性塩素を置き換えて、置換トリアジンを形成させること;(2) 置換トリアジンと、顔料分散物であるかまたはそうでないこと(例えば(R)を有するかまたは有していない分散物)ができる顔料(P)とを反応させて、自己分散した顔料を形成させること;(3) 任意的に、少なくとも1種の(R)と、段階(2)の自己分散した顔料とを混合すること;(4) 任意的に、自己分散した顔料を精製して、適切なら、付加しなかった(R)を包含する不純物を除去することを含むことができる。得られる自己分散した顔料は、少なくとも1種のN-Sを含む基、N-Sを含む少なくとも1種の基で置換されたトリアジン、およびそれらの組合せを付加したものであることができる。例えば変性顔料は、使用される2級化合物または2級化合物の混合物に依存して、少なくとも1種の-X-N-S-Z、-X-N1-S1-Z1、-X-N2-S2-Z2、-N-S-Z、-N1-S1-Z1および-N2-S2-Z2を付加していることができる。任意的に、-N-S-Z、-N1-S1-Z1および-N2-S2-Z2が同じまたは異なることができるように、-X-N-S-Z、-X-N1-S1-Z1、-X-N2-S2-Z2は同じまたは異なることができ、Xは(R)(例えばアミン含有(R))で置換されることができる。さらには、各Xは、同じまたは異なる-N-S-Z基で置換されることができる。(R)は、顔料に直接付加することができるか、Xを介して間接的に顔料に付加することができるか、またはそれらの組合せであることができる。Xを介して間接的にとは、追加の基が(R)とXとの間に存在するか、または存在しないことができることを意味する。あるいは、少なくとも1種の(R)を混合することを、段階(2)の前に段階(1)と一緒に行うことができる。あるいは、置換トリアジンと顔料(P)とを反応させること、および少なくとも1種の(R)を混合することを、同時にまたは実質的に同時に行うことができる。
【0028】
置換の段階中、塩化シアヌルの少なくとも1個の塩素は、2級化合物N-S-Zで置換される。この置換は、顔料の表面に電荷および嵩高さを与えることができる。置換段階は、水性媒体中で行うことができる。塩基性頭部の官能基は、塩化シアヌルの塩素を置換するのに十分な求核性を有していなければならないが、酸性末尾の官能基の選択は、最終用途によって決められる。2級化合物は、ポリマー、アミン、アミノ酸、アルコール、チオールおよびそれらの組合せを含むことができる。2級化合物の例としては、限定されないが、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、スルファニル酸ナトリウム、スルファニル酸、p-アミノ安息香酸ナトリウム、p-アミノフェノール、4-アミノ安息香酸エチル、タウリン、オレイン酸(アミノ)、アミノオレイン酸ナトリウム、4-アミノ安息香酸テトラメチルアンモニウムおよび4-アミノフェノール酸ナトリウムを包含する。さらなる2級化合物は、有機ポリマー基体を包含する。有機ポリマー基体の例としては、限定されないが、ペンタエチレンヘキサミン、300〜3000MWの公知の分子量範囲を有する直鎖状アルキルおよび分岐エトキシおよびプロポキシ鎖ポリマー(商品名"Surfonamine”の下にHuntsman Chemicalsから入手可能)、直鎖状ポリエトキシポリマーアミン、直鎖状プロポキシポリマーアミンならびに、商品名”Epomine”の下に販売されるポリエチレンイミンを包含し得る。有機ポリマー基体の特定の例は、限定されないが、Surfonamine B30, L100, L300, B60およびL207(Huntsman)、ペンタエチレンヘキサミン(Akzo Nobel)ならびにEpomin SP-012(Nippon Shokubai)を包含し得る。
【0029】
先に示したように、Rは、ポリマー、ポリマー樹脂、分散剤またはバインダーであり得る。1つの実施形態において、分散剤は、活性化されてラジカルを形成し、顔料の表面に付加することができる官能基を有するポリマーであり得る。Rは、原料顔料分散物中に既に存在していることができるか;原料顔料に添加することができるか;またはそれらの組合せであることができる。ポリマーの特定の例としては、限定されないが、ポリスチレン-コ-無水マレイン酸樹脂(SMA)、ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸)クメン末端樹脂、PEI、PEHA、スチレン-アクリル(SA)、ペンタエチレンヘキサミン、300〜3000MWの公知の分子量範囲を有する直鎖状アルキルおよび分岐エトキシおよびプロポキシ鎖ポリマー(商品名"Surfonamine”の下にHuntsman Chemicalsから入手可能)、直鎖状ポリエトキシポリマーアミン、直鎖状プロポキシポリマーアミン、商品名”Joncryl”の下にBASFから入手可能なスチレンアクリルコポリマーならびに、商品名”Epomine”の下に販売されるポリエチレンイミン等を包含する。ポリマーの特定の例としては、限定されないが、Joncryl HPD 96, HPD 296, HPD 196(BASF), Surfonamine B30, L100, L300, B60およびL207(Huntsman)、ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸)クメン末端樹脂(分子量1700〜1900)(Aldrich)、ペンタエチレンヘキサミン(Akzo Nobel)ならびにEpomin SP-012(Nippon Shokubai)を包含し得る。Rは顔料に直接付加するか、少なくとも1種のX-N-S-Zを介して顔料に付加するか、またはそれらの組合せであり得る。
【0030】
本発明において使用できる市販の水性顔料分散物(P)(R)の例は、限定されないが、Sensijet(登録商標)Magenta PV19、Sensijet(登録商標)Cyan PB15:3、Sensijet(登録商標)Yellow PY155およびSensijet(登録商標)Black PB 094を包含する。市販の水性顔料分散物(P)(R)のさらなる例は、限定されないが、Sensient Colors Inc.から入手可能なSensijet(登録商標)Black SDP顔料分散物(100、1000および2000)を包含する。Sensient Imaging Technologies-Specialty Inks and Colors(Switzerland)から入手可能な顔料分散物(商品名Lemantexの下に)の例は、限定されないが、Cyan PB15:3、Blue PB 60、Green PG 7、Magenta PR 122、Red PR 254、Orange PY 83およびYellow PY 120を包含する。本発明の方法を用いて変性させることができる顔料分散物のさらなる例は、1986年7月1日に発行された米国特許明細書第4,597,794号、1992年12月15日に発行された米国特許明細書第5,172,133号および1979年5月29日に発行された米国特許明細書第4,156,616号に見出すことができ、そのそれぞれが、引用することにより組み入れられる。
【0031】
本発明を説明するのを助けるために、第1の実施形態の特定の例が以下に提供され、ここで、Pは顔料を表し、Rはポリマー、ポリマー樹脂または分散剤を表す。
【化1】

【0032】
幾つかの実施形態においては、変性顔料はポリマーを含み、顔料を窒素原子に直接付加させることができ、窒素原子を有機基に直接または間接に付加させる。有機基は、-S-Zを含むことができる。窒素原子は、アミノ基の一部であることができる。窒素原子は、芳香族アミノ酸、例えば、限定されないが、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸またはアミノフェノールの一部であることができる。顔料を、アミン窒素によって、アミンおよび4級アンモニウム末端基を有する芳香族基体に共有結合させることができる。他の実施形態においては、変性顔料はポリマーを含むことができ、顔料を、N-C=N結合の一部である炭素原子によって有機基に付加させることができる。N-C=N結合は、トリアジンの一部であり得る。
【0033】
さらに一般的に言えば、表面変性顔料は、原料顔料を細粉(典型的には100nm未満)まで粉砕し、その後、小さい有機分子を安定化基として付加することによって形成させることができる。本明細書において記載されるものを含む表面変性化学をまた、原料顔料、分散剤および水を含む原料顔料分散物に使用することができる。原料顔料は、当技術分野で知られているように、分散剤を使用して分散させて、原料顔料分散物を形成させることができる。(例えば粉末形態の)原料顔料よりむしろ原料顔料分散物を、本明細書に記載される表面変性技術ならびに当技術分野で良く知られている他の表面変性技術において使用することができる。さらに、原料顔料分散物および原料顔料は、本明細書に記載される表面変性技術において出発物質として一緒に使用することができる。原料顔料、原料顔料分散物、表面変性顔料および原料顔料分散物からの表面変性顔料の任意の組合せを、本明細書に記載される表面変性技術において出発物質として使用することができる。この技術と共に使用することができる他の表面変性技術の例は、限定されないが、米国特許明細書第5,085,698, 5,310,778, 5,172,133, 4,156,616, 4,597,794B1,および6,406,143B1号を包含し、そのそれぞれが、引用することにより本明細書に組み入れられる。
【0034】
任意の先の表面変性化学を使用して原料顔料分散物を変性させる場合において、原料顔料分散物中の分散剤ならびに上記した化合物を、表面変性中に原料顔料の表面に付加させることができる。このようにして、ラジカルを形成することができる分散剤および置換された反応性中間体を、顔料の表面に同時に付加させることができる。こうして安定な顔料分散物を形成させることができる。表面変性プロセス中に顔料の表面に付加しない残留分散剤、すなわち顔料によって吸収のみされ、付加しない分散剤はいずれも、精製プロセスによって除去することができる。
【0035】
1つの実施形態において、市販の顔料分散物は、粉砕を必要とせずに、変性させることができる。より小さい粒子が望まれるなら、その後分散物を、付加プロセスの前またはその間の任意の時点で粉砕することができる。例えば、Buhler ミクロメディアミルを使用することができる。さらなる実施形態においては、分散剤を原料顔料に添加し、その後、顔料および分散剤を、付加プロセスの前またはその間の任意の時点で粉砕することができる。なおさらなる実施形態においては、分散剤を原料顔料に添加し、その後、顔料および分散剤を粉砕するか、または原料顔料分散物を粉砕することができ、粉砕の前または粉砕中の任意の時点で、追加のポリマーまたは置換された反応性中間体を添加することができる。粉砕助剤をまた、原料顔料および分散剤と一緒に粉砕することができる。添加される分散剤の量を制御して、顔料の表面に付加する分散剤の最終的な量に影響を及ぼすことができる。化学処理の前に行われる粉砕は、付加プロセス中の再凝集を防ぎながら、一般的なミルの室(chamber)および部品の使用を可能にし得る。
【0036】
顔料
本発明に従って表面変性させることができる顔料は、限定されないが、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、チオインジゴ顔料、トリフェニルメタンレーキ顔料およびオキサジンレーキ顔料を包含し得る。詳細には、黄色を有するものは、例えばC.I.Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 13, 14, 16, 17, 65, 74, 83, 97, 120, 138, 150, 151および155を包含する。赤色を有するものは、例えばC.I.Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 21, 22, 23, 31, 32, 37, 38, 41, 48, 49, 50, 51, 52, 57, 58, 60, 64, 83, 88, 89, 90, 112, 114, 122, 123, 166, 188, 202, 254, C.I.Pigment Violet 19および23を包含する。青色を有するものは、例えばC. I. Pigment Blue 1, 2, 15, 15:3, 15:4, 16, 25, 60および75を包含する。緑色を有するものは、例えばC. I. Pigment Green 7および36を包含する。黒色を有するものは、例えばC. I. Pigment Black 1および7を包含する。市販の入手可能な着色顔料は、例えばLansco Colors, Montvale, NJもしくはBASF Color, Charlotte, NCもしくはClariant Colors, Charlotte, NCもしくはSun Chemical, Cincinnati, OHから入手可能なPigment Red 122およびPigment Violet 19、Pigment Blue 15:3, Pigment 15:4, Pigment Yellow 74およびPigment Yellow 97(BASF Color, Charlotte, NCもしくはClariant Colors, Charlotte, NCもしくはSun Chemical, Cincinnati, OHから入手可能)を包含する。
【0037】
適当な顔料はまたカーボンブラックを包含する。カーボンブラックは、天然ガスおよび炭化水素、例えばコールタールに基づく芳香族油、鉱油、コールタール留出物およびアセチレンの熱分解もしくは不完全燃焼から誘導される炭素粒子の包括名称である。100を超える各等級のカーボンブラックを今日市場で入手でき、それぞれがその特有の一連の特徴および特性を有する。任意の酸性カーボンブラック、中性カーボンブラックおよびアルカリ性カーボンブラックを有益に、本発明に開示された処理に供することができる。これには、チャネルブラック、ガスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックおよびファーネスブラックが包含される。より詳細には、適当なカーボンブラックはチャネルブラックを包含する。使用されるカーボンブラックの質は、分散物の不可欠の特性、例えば平均粒径、不透明度、色合い(color shade)、安定性等に影響力を有する。市販の入手可能なカーボンブラックの例は、限定されないが、Cabotから入手可能なもの(Elftex 8, Black Pearls(登録商標)490, Black Pearls(登録商標)120, Monarch(登録商標)120, Monarch(登録商標)700, Monarch(登録商標)800, Monarch(登録商標)1000, Monarch(登録商標)1100, Monarch(登録商標)1300, Monarch(登録商標)1400, Mogul(登録商標)L, Regal(登録商標)99R, Regal(登録商標)250R, Regal(登録商標)300R, Regal(登録商標)330R, Regal(登録商標)400R, Regal(登録商標)500R, Regal(登録商標)660R)、Degussaから入手可能なもの(NIPex(登録商標)150IQ, NIPex(登録商標)150, Printex(登録商標)55, Printex(登録商標)80, Printex(登録商標)90, Printex(登録商標)A, Printex(登録商標)G, Printex(登録商標)U, Printex(登録商標)V, Printex(登録商標)140U, Printex(登録商標)140V, Purex(登録商標)LS 35, Corax(登録商標)HP 160, Thermal Black N 990, NIPex(登録商標)160IQ, NIPex(登録商標)90, Special black 4, Special black 4A, Special black 5, Special black 6, Special black 100, Special black 250, Color black FW1, Color black FW2, Color black FW2V, Color black FW18, Color black FW200, Color black S150, Color black S160およびColor black S170)、Columbianから入手可能なもの(Raven(登録商標)780, Raven(登録商標)5000 UII, Raven(登録商標)1255, Raven(登録商標)2500U, Raven(登録商標)3600U, Raven(登録商標)3500, Raven(登録商標)7000, Raven(登録商標)1220およびRaven(登録商標)1225)ならびにMitsubishi Kagaku K.K.から入手可能なもの(MA8, MA11, MA77, MA100, MA220, MA230, MA600, MCF88, #10B, #20B, #30, #33, #40, #44, #45, #45L, #50, #55, #95, #260, #900, 970#, #1000, #2200B, #2300, #2350, #2400B, #2650, #2700, #4000BおよびCF9)を包含する。
【0038】
本発明に従い表面変性させることができる他の顔料は、限定されないが、FDA(米国食品医薬品局)で認可された顔料を包含し得る。これらは化粧料用途のために適当であり得る。化粧料において使用できる容認できる顔料は、21 C.F.R. §§70-82において見出すことができ、これは、引用することにより組み入れられる。黒色顔料(カーボンブラック)の特定の例は、限定されないが、石油炉プロセスにより製造される高純度のカーボンブラック、D&C Black No. 2およびUnipure Black LC 902(Sensient Cosmetic Technologiesから入手可能)を包含する。
【0039】
本発明に従い表面変性させることができる他の顔料は、予め酸化されるか、スルホン化されるか、またはそれらの組合せをなされた顔料を包含し得る。酸化剤は、限定されないが、硝酸、オゾン、過酸化水素、過硫酸塩、次亜ハロゲン酸塩またはそれらの組合せを包含する。次亜塩素酸ナトリウムを用いるカーボンブラックの水性酸化は、1948年4月13日に発行された米国特許明細書第2,439,442号および1967年10月17日に発行された米国特許明細書第3,347,632号によって教示され、そのそれぞれが、引用することにより組み入れられる。スルホン酸を含む親水性基は、硫酸、オレウム(発煙硫酸)またはそれらの組合せを用いるスルホン化によって顔料に付加される。顔料の表面への直接的なスルホン酸基の付加はまた、他の公知の化学剤、例えばクロロスルホン酸を用いるスルホン化によって、または顔料に付加した脱離基、例えばハロゲンの、適当な試薬、例えば重亜硫酸ナトリウムでの置換によって、達成することができる。顔料の酸化、スルホン化またはそれらの組合せの後、顔料の表面を、本発明の方法を用いて処理することができる。酸化もしくはスルホン化された顔料は、本発明の方法を用いて処理する前に、分散物中に分散され得る。市販の入手可能な表面変性顔料分散物の例は、限定されないが、Sensijet(登録商標)Black SDP 1000カーボンブラック分散物およびSensijet(登録商標)SDP 2000分散物(Sensient Colors Inc., St. Louis, MOから入手可能)を包含する。Cab-O-Jet自己分散顔料としてCabot Corporationから入手可能な、かつBonjet black分散物としてOrient Chemicalsから入手可能な他の市販の入手可能な顔料分散物をまた同様に変性させることができる。
【0040】
顔料は種々の粒径で入手可能である。一般に、より小さい粒径はより大きい表面積と関連し、より大きい表面積は、親水性の表面基のより高い濃度を提供することができ、これは結局、水性に基づく媒体中の顔料の分散性を高める。したがって、粒径は、表面変性された顔料の分散性に影響を及ぼし得る。例えば、本発明におけるカーボンブラックの平均一次粒径は、約50nm未満、特に約30nm未満、特に約20nm未満、より特には約10nm未満であり得る。カーボンブラック粒子の集塊は、約200nm未満、特に約150nm未満、より特には約100nm未満であり得る。カーボンブラック粒子の表面積は、約100m2/g超、特に約150 m2/g超、より特には約200 m2/g超であり得る。より大きい寸法を有する顔料粒子は、当業者に公知の多数の技術を用いて、表面変性の前または最中に、所望の大きさに粉砕することができる。そのような技術は、限定されないが、ボールミル、アトリター、フロージェットミキサー、インペラーミル、コロイダルミルおよびサンドミル(例えば、商品名’Super Mill’、'Agitator Mill’、’Dyno-mill’または’Beads Mill’の下に市販されているもの)を包含し得る。粉砕手段は、限定されないが、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、プラスチックビーズおよびステンレス鋼ビーズを包含し得る。粉砕手段は、約0.01〜約5mm、適当には約0.1〜約3mmの範囲の大きさの粒子を含み得る。顔料が容易に砕かれるなら、ロータリーホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザーを使用して粒径を減らすことができる。1つの実施形態において、表面変性黒色顔料は、約100 m2/g超の表面積を有し、約30nm未満の一次粒径および約200nm以下の集塊からなる市販等級のカーボンブラック顔料から作られる。
【0041】
幾つかの例においては、自己分散顔料の製造の前に、顔料を湿らせ、ナノ寸法の粒子へと粉砕し、かつ粉砕助剤および/またはポリマー樹脂を用いて分散させることができる。顔料は、粉砕助剤の助けによって粉砕させる前に、粉末であるか、または湿潤ケーキ形態であり得る。粉砕は、置換された反応性中間体または追加のポリマーとの反応の前、反応中の任意の時点、または反応後に行うことができる。付加反応が完了した後、未付加の粉砕助剤/樹脂は、当業者に公知の精製法を用いて除去され、付加基体を有する変性顔料および水を主に含む分散物を形成させることができる。粉砕助剤の例としては、限定されないが、Triton X-100(Ashland Inc., Dublin, OHから入手可能)、Igepal CA-630(Rhodia, Cranbury, NJから入手可能)、Surfynol CT 121, 131, および141(Air Products, Allentown, PAから入手可能)およびLemantex Binder(Sensient Imaging Technologies S.A., Switzerlandから入手可能)を包含する。
【0042】
そのような例においては、ラジカル開始剤、例えばパーサルフェート部分を使用して、付加プロセスに不均化を起こさせ、付加プロセスを促進させる。幾つかの実施形態において、反応は約25〜約90℃の温度で行うことができる。顔料と置換トリアジンとを反応させる前、最中または後に、顔料を約100nm未満に粉砕することができる。発泡を制御するために必要とされるときには、消泡剤を添加することができる。顔料を湿らせるために必要とされるときには、染料溶液および/または界面活性剤を使用することができる。
【0043】
異なる2級化合物を有する2種のスラリーがある実施形態においては、顔料は逐次スラリーと混合される。分散物の温度は、約0〜約15℃の温度に約1〜約2時間維持され得る。反応性化合物(例えば置換トリアジン)分散物と顔料との混合物は次に、約2日間までの期間、高温で加熱される。フリーラジカル開始剤、例えば過硫酸カリウムを添加して、反応を促進することができる。反応温度は、少なくとも約40℃、特に少なくとも約50℃、より特には少なくとも約60℃である。さらには、反応温度は、約90℃以下、特に約80℃以下、より特には約60℃以下であり得る。これは、反応温度が約50〜約60℃、より特には90℃以下である実施形態を包含する。一般に、フリーラジカル開始剤が有効であるために、50℃超の温度が必要とされる。これは、反応時間が約16〜約24時間である実施形態を包含する。反応容器の内容物は、反応中撹拌されて、適当な混合を保証する。変性顔料をろ過して、過剰の反応体および不純物を除去することができる。
【0044】
1つの実施形態において、反応性化合物(例えば塩化シアヌル)を、酸性pH(約2〜約5)範囲で2級化合物と反応させる。酸性pH範囲は反応性化合物の安定性を増し、望ましくない反応、例えば加水分解および自己縮合の程度を減らす。有機基としてアミノフェノールが使用されるときですら、反応性化合物は、優先的に塩基、例えば1級アミンと反応する。反応条件、例えばpH、温度および、当業者によく知られた希釈の適当な選択によって、反応を主としてアミノ末端で進行させることができる。例えば、pHは約2〜約5であることができ、温度は約0〜約5℃であることができる。
【0045】
任意的に、顔料を上記した基(例えばX、X-N-S-Z、N-S-Zおよび/または(R))と反応させながら、ビーズミル中で反応を行うことによって顔料の粒径を減らすことができる。2級化合物の腐食性のために、強酸および塩基に対して構造耐性の適当な物質を選択して、生成物中への金属浸出を防ぐことができる。
【0046】
顔料と、酸誘導体を含む反応性化合物もしくは2級基との反応は、反応混合物のpHを下げることができる酸性表面基を作り得る。pHの低下は、置換中、変性顔料分散物または、反応性化合物および2級化合物のスラリーの不安定化を生じ得る。また粘度の増加を生じ得る。したがって、必要なときには、塩基試薬を用いて、置換前または置換中、pHを調整することができる。置換中の反応混合物のpHは、約7以上、特に約8以上、より特には約9以上であり得る。例えば塩基の添加を包含する当技術分野で公知の方法によって、pHを調整することができる。適当な塩基は、限定されないが、アルカリ水酸化物およびカルシウムを含まないアルカリ水酸化物(例えばNaOH、KOH、LiOH、NH4OH)、アルカリ炭酸塩および重炭酸塩(例えばNaHCO3、KHCO3)ならびに有機塩基(例えばジメチルエタノールアミンおよびトリエタノールアミン)を包含し得る。特に、適当なpH調整剤は、カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを含む。
【0047】
表面変性顔料
上記した反応が完了した後、自己分散顔料を、乾燥粉末として、反応混合物から分離することができる。得られる変性顔料を、当業者に公知の多数の技術を用いて精製して、未反応の原料物質、副生物塩および他の反応不純物を除去することができる。精製技術は、限定されることはないが、ろ過、遠心分離またはその2つの組合せを包含し得る。変性顔料をまた、例えば蒸発によって分離するか、または当業者に公知の技術を用いるろ過および乾燥によって回収することができる。
【0048】
あるいは、自己分散顔料は、濃縮水性顔料分散物として運搬することができる。本発明の自己分散顔料の分散物を精製して、製造プロセスの結果として分散物中に共に存在し得る有機および無機の不純物ならびに他の望ましくない遊離種を除去することができる。精製技術は、限定されないが、水洗、逆浸透および限外ろ過を包含し得る。幾つかの実施形態においては、10%固形分に調整された供給試料の塩化物および硫酸塩含量が約150ppm未満、特に約100ppm未満、より特には約25ppm未満になるまで、溶解した不純物を限外ろ過によって除去することができる。必要なら、分散物のpHを、精製前に調整することができる。十分量の酸または塩基を添加して、分散物のpHを少なくとも約7、特に少なくとも約8、より特には少なくとも約9に調整することができる。これは、分散物のpHが約7〜約9である実施形態を包含する。分散物は、所望なら、いくらかの水を除去することによって濃縮することができる。幾つかの実施形態においては、分散物は、少なくとも約8%固形分、他には少なくとも約14%固形分、なお他には少なくとも約20%固形分まで濃縮される。これは、分散物が約8〜約16%固形分まで濃縮される実施形態を包含する。他の実施形態においては、分散物は、少なくとも約10%固形分、他には少なくとも約18%固形分、なお他には少なくとも約20%固形分まで濃縮される。これは、分散物が約10〜約17%固形分まで濃縮される実施形態を包含する。
【0049】
幾つかの実施形態においては、分散物を乾燥し、かつ少なくとも約40%固形分まで再構成することができる。他の実施形態においては、分散物を乾燥し、かつ約60%〜約70%固形分まで再構成することができる。
【0050】
幾つかの実施形態においては、本発明に従い変性される顔料を、変性されていない顔料と一緒に分散させて、変性顔料および未変性顔料の両方を含む分散物を形成させることができる。
【0051】
殺生物剤をまた分散物に添加して、微生物の増殖を抑制することができる。適当な殺生物剤の例は、限定されないが、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンズイソチアゾリノン、1,2-ジベンゾチアゾリン-3-オン、メチルイソチアゾリノンおよびクロロメチルイソチアゾリノンを包含する。市販の入手可能な殺生物剤は、Proxel(登録商標)CRL、Proxel(登録商標)BDN、Proxel(登録商標)GXL、Proxel(登録商標)XL-2およびProxel(登録商標)TN(Arch Chemicals, Smyrna, GAから入手可能)ならびにXBINX(登録商標)(PMC Specialties Group, Inc., Cincinnati, Ohioから入手可能)を包含する。典型的には、少量、例えば0.05〜5重量%、特に0.1〜1重量%、より特には0.2〜0.4重量%の殺生物剤が分散物中に使用される。これは、0.3重量%の殺生物剤を包含する。
【0052】
分散物の指定された最終用途のために必要とされるときには、ろ過カートリッジを通して分散物をろ過することができる。幾つかの実施形態においては、ろ過カートリッジの公称細孔径は約5ミクロン以下、特に約1ミクロン以下、特に約0.5ミクロン以下、より特には約0.2ミクロン以下である。
【0053】
粉末および分散物の他に、自己分散顔料はまた、水湿潤圧縮ケーキとして単離することができる。圧縮ケーキ形態では、自己分散顔料は乾燥形態であるほどまでは凝集せず、かくして自己分散顔料は例えばインクの製造において使用されるときほどの脱凝集を必要としない。
【0054】
所望なら、付加/置換プロセスの結果として表面変性基と関連する電荷を釣り合わせる対イオンは、適当な塩基もしくは塩形態の使用によって少なくとも一部置換もしくは変化されるか、または中間体等として酸形態へと、公知のイオン交換技術、例えば限外ろ過、逆浸透、転化を用いて、他の適当なカチオンにて交換もしくは置換され得る。対イオンの例は、限定されないが、アルカリ金属イオン(例えばNa+、K+およびLi+)、NR1R2R3H+ならびにそれらの組合せ(ここで、R1、R2およびR3は独立してHまたは、置換もしくは非置換であり得るC1-C5アルキル基(例えばテトラエチルアンモニウムイオン(TEA)、テトラメチルアンモニウムイオン(TMA)、エタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等)であることができる)を包含する。
【0055】
変性顔料の特性
自己分散顔料は、長期間および高温安定性、付加されたスルホン酸もしくはカルボン酸基を有する顔料粒子で予想されるよりも高い水およびハイライト感耐性のうちの少なくとも1種を示すことができ、高速噴射用途における使用のために適当な粒径分布を有することができる。
【0056】
自己分散顔料は以下の特性を有し得る。変性顔料中の固形分の%は約5〜30、適当には約10〜30、適当には約10〜22であり得る。
【0057】
変性顔料分散物のpHは約5〜約12、適当には約5〜約10であり得る。
【0058】
変性顔料分散物の粘度は約1〜約11cps、特に約2〜約8cpsであり得る。
【0059】
変性顔料分散物の表面張力は約30〜約72ダイン/cm、適当には約30〜約60ダイン/cmであり得る。
【0060】
変性顔料分散物中のNaおよびKの量は、新たに付加したアニオン基体(Na/K形態としてのスルファニル酸または4-アミノ安息香酸または4-アミノフェノール)の尺度であり得る。Naの量は約100〜約7500ppmであり、かつKの量は約30〜3000ppm、適当には約300〜約2500ppmであり得る。
【0061】
変性顔料分散物中の硫黄含量の増加は、スルホニル基の導入および/またはスルホン化された基体、例えば、限定されないが、スルファニル酸の付加によるものであり得る。変性顔料中の硫黄の量は、約0〜約3000ppm、適当には約50〜約3000ppmであり得る。1つの実施形態においては、変性顔料中の硫黄の量は、4-アミノ安息香酸および4-アミノフェノールの付加については約50ppmであり得る。別の実施形態においては、変性顔料中の硫黄の量は、スルファニル酸が顔料に付加されるとき、約2000ppmであり得る。
【0062】
本発明に従い変性されるカーボンブラックは、約0.3〜約1.7ミリモル、適当には約0.403〜約1.584ミリモルの、顔料1g当たりの活性水素を含み得る。
【0063】
本発明に従い変性されるシアン顔料は、約0〜約1ミリモル、適当には約0.03〜約0.3ミリモル、適当には約0.050〜約0.112ミリモルの顔料1g当たりの硫黄を含み得る。本発明に従い変性されるシアン顔料は、約0.2〜約0.9ミリモル、適当には約0.395〜約0.732ミリモルの顔料1g当たりの活性水素を含み得る。
【0064】
本発明に従い変性されるマゼンタ顔料は、約0〜約1ミリモル、適当には約0.02〜約0.2ミリモル、適当には約0.034〜約0.140ミリモルの顔料1g当たりの硫黄を含み得る。本発明に従い変性されるマゼンタ顔料は、約0.1〜約1.2ミリモル、適当には約0.196〜約0.911ミリモルの顔料1g当たりの活性水素を含み得る。
【0065】
本発明に従い変性される黄色顔料は、約0〜約1ミリモル、適当には約0.02〜約1.0ミリモル、適当には約0.065〜約0.081ミリモル、適当には約0.034〜約0.075ミリモルの顔料1g当たりの硫黄を含み得る。本発明に従い変性される黄色顔料は、約0.1〜約1.0ミリモル、適当には約0.196〜約0.757ミリモル、適当には約0.148〜約0.442ミリモルの顔料1g当たりの活性水素を含み得る。
【0066】
本発明に従い変性されるバイオレット顔料は、約0〜約1ミリモル、適当には約0.03〜0.3ミリモル、適当には約0.022〜約0.087ミリモルの顔料1g当たりの硫黄を含み得る。本発明に従い変性されるバイオレット顔料は、約0.2〜約0.4ミリモル、適当には約0.283〜約0.347ミリモルの顔料1g当たりの活性水素を含み得る。
【0067】
本発明に従い変性される顔料は、水性もしくは非水性媒体中に再分散可能であり得る。
【0068】
実施例37に開示されるXPSの結果は、開示される表面変性が、約1.4〜5.3原子%でCOONaとしての表面ナトリウムが増加した変性カーボンブラックを生じることを示す。未処理のカーボンブラック、Sensijet SDP 1000 carbonならびに実施例3、8、24、25-31および32からのカーボンブラックについてのXPSの結果は、図1〜12に示される。
【0069】
実施例37に開示されるXPSの結果は、開示される表面変性が、未処理の顔料における0.1原子%の低濃度に比べて有意に高い表面ナトリウム含量(0.8〜4.2原子%)を有する変性Pigment Blue No. 15を生じることを示す。未処理のPigment Blue No. 15ならびに実施例10、14および21からのPigment Blue No. 15についてのXPSの結果は、図13〜19に示される。
【0070】
実施例37に開示されるXPSの結果は、開示される表面変性が、比較すると未処理の顔料は有していないが、0.3〜1.6原子%の範囲の濃度で存在する表面ナトリウムを有する変性Pigment Red No. 122を生じることを示す。未処理のPigment Red No. 122、実施例17および22からのPigment Red No. 122ならびに実施例6および7からのPigment Violet No. 19についてのXPSの結果は、図20〜25に示される。
【0071】
実施例37に開示されるXPSの結果は、開示される表面変性が、COONa/CSO3Naとして存在することが予想される1.0〜1.6%の原子比で表面ナトリウムを有する変性Pigment Yellow No. 74を生じることを示す。それに対して、未処理の顔料においては、表面ナトリウムは約0.3にすぎない。未処理のPigment Yellow No. 74ならびに実施例23および34からのPigment Yellow No. 74についてのXPSの結果は、図26〜31に示される。未処理のPigment Yellow No. 155ならびに実施例11および12からのPigment Yellow No. 155についてのXPSの結果は、図32〜36に示される。
【0072】
Na濃度は、顔料上に存在する荷電基の1つの尺度である。高い濃度のNaは、顔料の表面変性から生じ得る。変性顔料についての先の段落で開示したNaの濃度は、本発明の変性顔料を有する安定な顔料分散物を作る能力を示し得る。変性顔料分散物が安定である程度は、顔料上に存在する荷電基の量に依存し、これは、ナトリウムの濃度によって示すことができる。これらの結果は、本発明に従い製造される顔料分散物が付加のメカニズムの結果として安定であり得ることを示し得る。
【0073】
変性顔料の用途
本発明に従う自己分散顔料は、多数の最終使用用途で使用することができる。これらの用途は、限定されないが、コーティング、塗料、紙、接着剤、ラテックス、トナー、布地、繊維、プラスチックおよびインクを包含する。特定の例は、限定されないが、紙、布地、繊維、メタルデコおよびプラスチックのための印刷インク、木材着色剤、筆記具ならびにカラーフィルターを包含する。本発明の方法により製造される自己分散顔料は特に、印刷用途および木材着色剤における使用のために良く適合される。1つの例においては、本発明の顔料を組み込むインクジェットインクは、インクジェットフォトプリンターでの高画質印刷において有用であり得る。本発明に従う自己分散顔料はまた、化粧料用途、例えば、限定されないが、マスカラ、アイライナー、吹き付け用ヘアマスカラ、水性ネイルポリッシュおよびヘアカラーもしくはヘアダイにおいて使用され得る。
【0074】
本発明の1つの態様は、上記した自己分散顔料を用いるインクジェットインク処方物に関する。そのような顔料を含むインクジェット処方物は、少なくとも1つの以下のことを行うことができる:1) 印刷媒体上に、高い解像度および高い密度を有する均質な、にじみのない画像を提供する;2) ノズルの遠位端でインクの乾燥により典型的に生じるノズルの詰まりを引き起こさない;3) 紙の上で速やかに乾燥する;4) 良好な耐光性および耐水性を示す;5) 良好な長期間貯蔵安定性を証明する;かつ6) 紙の品質に依存しない印刷特性を証明する。
【0075】
本発明のインク組成物は、上記した変性顔料と水性展色剤および任意の適当な添加剤とを合わせることによって製造することができる。インク組成物中の変性顔料の量(重量)は、少なくとも約0.1%、特に少なくとも約10%、より特には少なくとも約20%である。さらには、インク組成物中の変性顔料の量(重量)は、約12%以下、特に約8%以下、より特には約5%以下である。これは、インク組成物中の変性顔料の量(重量)が約2〜約12%の範囲の量で存在する実施形態を包含する。
【0076】
水性展色剤は、水または、1種以上の水溶性有機溶媒と組み合わせた水を含むことができる。水溶性有機溶媒は水と合わされて、水性展色剤を作り上げる。水溶性有機溶媒は、アルコール、多価アルコール(例えばエチレングリコール)、ケトンおよびケトンアルコール(例えばアセトンおよびジアセトンアルコール)、エーテル(例えばテトラヒドロフランおよびジオキサン)、多価アルコールの低級アルキルエーテル(例えばエチレングリコールモノメチル(もしくはモノエチル)エーテル)、窒素含有溶媒(例えばピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン)、硫黄含有溶媒(例えばチオジエタノール)、糖およびその誘導体(例えばグルコース)、グリセリンのオキシエチレン付加物;ならびにジグリセリンのオキシエチレン付加物を包含し得る。水溶性有機溶媒は、単独で、または組み合わせて使用できる。水および水溶性有機溶媒の混合物が使用されるなら、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量)は、少なくとも約5%、特に少なくとも約15%、より特には少なくとも約25%である。さらには、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量)は、約50%以下、特に約30%以下、より特には約15%以下である。これは、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量)が約5〜約30%である実施形態を包含する。インク組成物中の水の量は、少なくとも約40%、特に少なくとも約50%、より特には少なくとも約60%である。さらには、インク組成物中の水の量(重量)は、約90%以下、特に約80%以下、より特には約70%以下である。これは、インク組成物中の水の量(重量)が約40〜約80%である実施形態を包含する。
【0077】
添加剤を水性展色剤中に組み込んで、多数の所望の特性、例えば特定のインクジェットプリンターの要求にインクを適合させるのに必要とされるような特性を与えることができるか、または、光安定性、汚れ耐性、粘度、表面張力、コーティング浸透、光学密度、接着力、ハイライト感耐性もしくは硬皮耐性(crust resistance)のバランスを提供することができる。例えば浸透剤を添加して、にじみを減らし、印刷媒体の湿潤を改善し、さもなければ、印刷画像の全体的な性能を改善することができる。浸透剤の例は、限定されないが、1〜4個の炭素原子を有するアルキルアルコール(例えばエタノール)、グリコールエーテル(例えばエチレングリコールモノメチルエーテル)、ジオール(例えば1,2-アルキルジオール)、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビトールおよびスルホランを包含し得る。浸透剤は、単独で、または組み合わせて使用できる。インク組成物中の浸透剤の量(重量)は、0〜約60%、特に約2〜約40%、より特には約5〜約20%の範囲である。これは、インク組成物中の浸透剤の量(重量)が約10〜約15%の範囲の量で存在する実施形態を包含する。
【0078】
界面活性剤を水性媒体に添加して、インク組成物の表面張力を減らすことができる。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤および/またはカチオン界面活性剤であることができる。適当な界面活性剤は、以下に挙げるものならびに、1992年5月26日に発行された米国特許明細書第5,116,409号、1999年1月19日に発行された米国特許明細書第5,861,447号および2005年2月1日に発行された米国特許明細書第6,849,111号に挙げられるものを包含し得る。そのそれぞれが、引用することにより組み入れられる。
【0079】
界面活性剤は、種々の良く知られた商品名の下に市販されていて入手可能であり、少し例を挙げれば、例えば、PLURONIC(登録商標)シリーズ(BASF Corporation, Parsippany, NJ)、TETRONIC(登録商標)シリーズ(BASF Corporation, Parsippany, NJ)、ARQUAD(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill)、TRITON(登録商標)シリーズ(Union Carbide Corp., Danbury, Conn.)、SURFONIC(登録商標)シリーズ(Texaco Chemical Company, Houston, Tex.)、ETHOQUAD(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill)、ARMEEN(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill)、ICONOL(登録商標)シリーズ(BASF Corporation, Parsippany, NJ)、SURFYNOL(登録商標)シリーズ(Air Products and Chemicals, Inc., Allentown, Pa.)およびETHOMEEN(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill)である。
【0080】
界面活性剤は、単独で、または組み合わせて使用できる。インク組成物中の界面活性剤の量(重量)は、0〜約10%、特に約0.1〜約10%、より特には約0.3〜約5%の範囲であり得る。これは、インク組成物中の界面活性剤の量(重量)が約0.1〜約8%の範囲であり得る実施形態を包含する。
【0081】
1種以上の湿潤剤を水性展色剤に添加して、待ち時間中にインクジェットノズルが乾燥することによって引き起こされる、詰まりを防止することができる。湿潤剤は、高い吸湿性および水溶性を有する物質から選択することができる。湿潤剤の例は、限定されないが、ポリオール(例えばグリセロール)、ラクタム(例えば2-ピロリドン)、尿素化合物(例えば尿素)、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、糖(例えばソルビトール)、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1-メチル-2-ピペリドン、N-エチルアセトアミド、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、炭酸エチレン;ブチロールアセトンおよびLiponic EG-1を包含する。湿潤剤の使用量に特に限定はないが、一般に、インク組成物中の湿潤剤の量(重量)は、0〜約30%、特に約1〜約15%、より特には約5〜約10%の範囲であり得る。
【0082】
ポリマーをインク組成物に添加して、印刷媒体上の画像の耐水性、摩擦およびハイライト感耐性を改善することができる。適当なポリマーは、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン-アクリル酸コポリマー、スチレン-マレイン酸コポリマー、スチレン-マレイン酸-アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン-メタクリル酸コポリマー、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸アルキルコポリマー、スチレン-マレイン酸半エステルコポリマー、ビニルナフタレン-アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン-マレイン酸コポリマーおよびそれらの塩を包含し得る。インク組成物中のポリマーの量(重量)は、0〜約5%、特に約0.1〜約3%、より特には約0.2〜約2.5%の範囲であり得る。これは、インク組成物中のポリマーの量(重量)が約0.1〜約3.0%の範囲であり得る実施形態を包含する。
【0083】
本発明のインク組成物は、多数のpH変更剤を用いて、所望のpHに緩衝化させることができる。適当なpH変更剤は、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩および重炭酸塩、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、硝酸、塩酸および硫酸を包含し得る。pH変更剤は、単独で、または組み合わせて使用できる。インク組成物中のpH変更剤の量(重量)は、0〜約3.0%、特に約0.1〜約2.0%、より特には約0.5〜約1.5%の範囲であり得る。これは、インク組成物中のpH変更剤の量(重量)が約0.2〜約2.5%の範囲である実施形態を包含する。
【0084】
防腐剤、例えば殺生物剤および殺菌剤をまたインク組成物に添加することができる。適当な防腐剤の例は、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンズイソチアゾリノン、1,2-ジベンゾチアゾリン-3-オン、メチルイソチアゾリノンおよびクロロメチルイソチアゾリノンを包含する。市販されていて入手可能な殺生物剤は、UCARCIDE(登録商標)250(Union Carbide Companyから入手可能)、Proxel(登録商標)CRL, Proxel(登録商標)BDN, Proxel(登録商標)GXL, Proxel(登録商標)XL-2, Proxel(登録商標)TN(Arch Chemicals, Smyrna, GAから入手可能)、Dowicide(登録商標)(Dow Chemical, Midland, Mich.)、Nuosept(登録商標)(Huls America, Inc, Piscataway, NJ)、Omidine(登録商標)(Olin Corp., Cheshire, Conn.)、Nopcocide(登録商標)(Henkel Corp., Ambler, Pa)、Troysan(登録商標)(Troy Chemical Corp., Newark, N.J.)およびXBINX(登録商標)(PMC Specialties Group, Inc., Cincinnati, Ohio)を包含する。防腐剤は、単独で、または組み合わせて使用できる。インク組成物中の防腐剤の量(重量)は、0〜約1.5%、特に約0.05〜約1.0%、より特には約0.1〜約0.3%の範囲であり得る。これは、インク組成物中の防腐剤の量(重量)が約0.05〜約0.5%の範囲にあり得る実施形態を包含する。
【0085】
インク組成物は、1種以上の粘度変更剤を含むことができる。粘度変更剤は、ロジン化合物、アルギン酸化合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸の塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムおよびデンプンを包含し得る。インク組成物中の粘度変更剤の量(重量)は、0〜約10%、特に約0.5〜約8%、より特には約1〜約5%の範囲にあり得る。これは、インク組成物中の粘度変更剤の量(重量)が約1〜約7%の範囲であり得る実施形態を包含する。
【0086】
水性展色剤に組み込むことができる他の添加剤はまた、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、電気伝導度調節剤、粘度変更剤、酸素吸収剤、コゲーション(kogation)防止剤、カーリング防止剤、にじみ防止剤、消泡剤および緩衝剤を包含し得る。本発明のインク組成物は、本発明の顔料分散物の他に、1種以上の着色剤を含むことができる。
【0087】
本発明のインク組成物は、インク組成物の液滴が印刷装置から排出され、基体上に堆積されて画像を生じるインクジェット印刷のためのインク組成物として使用するのに特に適当である。適当な印刷装置は、限定されないが、Continuous Ink Jet (CIJ), Drop-on-Demand Valve (DoD Valve), Drop-on-Demand Piezo-Electric (DoD-Piezo)およびThermal Ink Jet (TIJ)を包含する。同様に、任意の適当な基体を使用することができ、これは、普通紙、張り合わされた紙、コーティングされた紙、透明材料、布地材料、プラスチック、ポリマーフィルムおよび無機基体を包含する。しかしながら、当業者は、上記のインク組成物はまた他の用途における使用もできることを認識すべきであり、それには、限定されないが、一般的な筆記用具用途および刻印用途が包含される。
【0088】
本発明のインク組成物は、単独で、もしくは色下張りと共に使用されて黒色画像を生成するか、または他のインク組成物と組み合わせて使用されて、着色画像を生成することができる。幾つかの実施形態においては、本発明のインク組成物は、他のインク組成物、例えばシアンインク、マゼンタインクおよび/またはイエローインクと組み合わせて使用される。他の実施形態においては、シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクが刷り重ねられて、黒色画像を形成し、この印刷は、本発明の黒色インクの印刷と組み合わせて使用される。
【0089】
木材着色剤
本発明の別の態様は、先に記載された自己分散顔料を木材着色剤およびコーティングとして用いる水性処方物に関する。そのような顔料を含む木材着色剤処方物は、少なくとも1種の以下の特性を示すことができる:1) 良好な木材吸収および接着;2) 良好な透明性;ならびに3) 優れた耐水性および耐光性。
【0090】
耐水性は、浸漬された領域中の木材着色剤の測定されたDE*値対対照の差によって測定される。より低いDE*値は、より高い耐水性を示し得る。DE*が小さいなら、分解または損失による色変化が最小から色変化なしまでであることを意味し得る。例えば、より低いDE*値は、カルボキシ変性された顔料分散物を用いる場合にみられるように、高い耐水性を示し得る。本発明の表面変性顔料を含む木材着色剤のDE*値は、約0〜約3、適当には約0〜約1.5であり得る。デルタEは、2色間の差であり、L、aおよびb値は、球形色に基づく測定値である。+L=白、-L=黒、+a=赤、-a=緑、+b=黄、-b=青。Cはクロマ(彩度)であり、H=色相である。読み値は、分光光度計を用いて測定される。デルタE=√(L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)2
【0091】
コーティング
そのような顔料を含むコーティング処方物は、少なくとも1種の以下の特性を示すことができる:1) 基体、例えば金属、紙、ガラス、プラスチックおよび木材への良好な接着;2) 塗装および乾燥の容易さ;3) 良好な耐候性、耐水性および耐光性;4) 良好な光沢保持;ならびに5) 良好な化学品耐性およびフロキュレーション耐性。
【0092】
耐水性と共に、コーティングの強酸および塩基に対する耐性は、しみをつけられた(領域の)DE*値対対照の差として測定される。本発明の表面変性顔料を含むコーティングのDE*値は、約0〜約48、適当には約0〜約5であり得る。
【0093】
カラーフィルター
本発明の別の態様は、カラーフィルターにおいて先に記載された自己分散顔料を使用する水性処方物に関する。カラーフィルターは、ディスプレイ画像表示領域に用途を見出し、限定されないが、デスクトップモニター/ラップトップスクリーン、LCD TVスクリーン、携帯電話ディスプレイパネル、デジタルカメラスクリーンおよびGPSパネルを包含する。本発明の顔料を含むカラーフィルター処方物は、少なくとも1種の以下の特性を示すことができる:1) ガラスおよびプラスチックフィルム基体への良好な接着;2) 良好な透明性;3) 塗装および乾燥の容易さ;ならびに4) 良好な熱および光耐性。
【0094】
特定のカラーフィルターの透過値を測定して、その有用性が決定される。カラーフィルターは、狭い帯域に最大の透過を有すると、最も大きい有用性を提供することができる。
【0095】
1つの実施形態においては、カーボンブラックを含むカラーフィルター処方物は、透過帯域を有していないことができ、マゼンタ顔料分散物を含むカラーフィルター処方物は、約520〜約560nmの範囲に最小の透過を有することができ、黄色顔料分散物を含むカラーフィルター処方物は、約400〜約480nmの範囲に最小の透過を有することができ、かつシアン顔料分散物を含むカラーフィルター処方物は、約600〜約680nmの範囲に最小の透過を有することができる。
【0096】
布地印刷
本発明の別の態様は、布地印刷用途において先に記載された自己分散顔料を使用する水性処方物に関する。本発明の顔料を含む布地印刷処方物は、少なくとも1種の以下の特性を示すことができる:1) 布地織物、例えば綿、ナイロン、ポリエステル、ウール、ポリアクリル、またはそのブレンドへの良好な接着;2) 塗布および乾燥の容易さ;3) 良好な耐水性および耐光性;ならびに4) 良好な洗濯堅牢性。
【0097】
染色された布地の洗濯堅牢および耐水の特性は、対照対処理された織物のDE*値の差によって測定することができる。
【0098】
本発明の表面変性顔料を含む布地印刷組成物のDE*値は、約0〜約12、適当には約0.1〜約8.0であり得る。
【0099】
化粧料用途
本発明の別の態様は、化粧料用途において先に記載された自己分散顔料を使用する処方物に関する。化粧料用途は、限定されないが、顔、目、唇、毛髪、皮膚および爪に関するものを包含し得る。化粧料用途は、限定されないが、マスカラ、アイライナー、吹き付け用ヘアマスカラ、水性ネイルポリッシュ、ブラシで付ける眉毛(brush-on-brow)、アイシャドウ、口紅、頬紅およびルージュ、メーキャップ、ファウンデーションならびに、ヘアカラーもしくはヘアダイを包含し得る。自己分散顔料分散物は、ポリオールおよび防腐剤と容易に混ざるので、化粧料処方物の水相部分に容易に組み入れることができる。シリコーン、エステル(例えば、限定されないが、CCT)、蝋(例えば、限定されないが、カルナウバ蝋)および溶媒(例えば、限定されないが、イソドデカン)とのより良好な相溶性は乳化に役立ち、安定な生成物を生じる。自己分散顔料は、処方剤が、同等の顔料装填量で、グリセリン-水分散物を用いる慣用の顔料分散物を使用するよりも、より高い色強度を有する生成物を作るのを可能にする。生成物の流動性は、より高い顔料装填量についても処方剤を可撓性にし、これは、塗布すると、生成物のペイオフリーディング(pay-off leading)をより小さいストロークへと向上させる。
【0100】
本発明の自己分散顔料を含むマスカラの特性は、マスカラを皮膚に平坦に塗布し、本発明の自己分散顔料を含まないマスカラと並行して比べることによって、目で見て評価することができる。
【実施例】
【0101】
本発明の典型的な実施形態を以下の実施例において提供する。以下の実施例は、本発明を説明し、かつ当業者がそれを製造し、用いるのを手伝うために提供される。実施例は、いかなるやり方でも、本発明の範囲を別な方法で限定することを意図しない。
【0102】
実施例1
顔料分散物(スルファニル酸でのシアヌリルトリス付加物の製造および顔料の表面変性における使用の例)。
【0103】
pH8.5の、DI水(310g)中のスルファニル酸(114g)、カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(32g)および重炭酸ナトリウム(55g)の溶液を、温度をそれぞれ<0℃、<3℃および<10℃に制御している3段階で、塩化シアヌル(40.2g、Lonza Walkersville, Inc., Walkersville, Marylandから入手可能)、氷(570g)およびDI水(480g)の撹拌混合物に添加した。添加後、pHは7.1であり、反応混合物を90℃に4.5時間かけて加熱して、1000gの透明液体を得た。
【0104】
実施例2
顔料分散物(4-アミノ安息香酸でのシアヌリルトリス付加物の製造および顔料の表面変性における使用の例)。
【0105】
pH7.2の、DI水(300g)中の4-アミノ安息香酸(90.1g)、カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(30g)および重炭酸ナトリウム(55g)の溶液を、温度をそれぞれ<0℃、<3℃および<10℃に制御している3段階で、塩化シアヌル(40.2g、Lonza Walkersville, Inc., Walkersville, Marylandから入手可能)、氷(550g)およびDI水(500g)の撹拌混合物に添加した。添加後、pHは7.1であり、反応混合物を92℃に3時間かけて加熱して、901gの透明液体を得た。
【0106】
実施例3
顔料分散物(4-アミノ安息香酸/スルファニル酸でのシアヌリルトリス付加物を用いて、ポリマー安定化分散物を自己分散顔料分散物に転化させる例)
Sensient Imaging Technologies, Inc.から入手可能なPigment Black(カーボンブラック)Sensijet(登録商標)Black PB 094の樹脂安定化された15%分散物300gを、157gの実施例2に記載されるTris 4-ABA試薬および300gのDI水の混合物にゆっくりと添加した。
【0107】
1時間半後、反応混合物を51℃に加熱した。熱い(50℃)DI水(300g)中の16.8gの過硫酸カリウムおよび15gの重炭酸ナトリウムの溶液を、カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを7.5〜9.0に維持しながら、ゆっくりと導入した。過硫酸カリウム溶液の添加後、反応混合物を80℃に加熱した[段階1]。供給試料の塩化物および硫酸塩の含量が50ppm未満になるまで、溶解した不純物を限外ろ過によって除去した。次に生成物を16.7%固形分まで濃縮し、(0.3重量/重量%)Proxel GXL(Arch Chemicals, Smyrna, GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物(300g)を、10,000rpmにて5分間遠心分離した後、0.7ミクロンのGFフィルターを通してろ過した。
【0108】
実施例4〜7
幾つかの例では、実施例1からのTris試薬を使用した(表に示した)こと以外は実施例3について先に示したのと同様のプロセスに従って、実施例4〜7を製造した。
【表1】

【0109】
実施例8
顔料分散物[(<100nm)に粉砕し、4-アミノ安息香酸/スルファニル酸でのシアヌリルトリス付加物を用いてポリマー安定化分散物を自己安定化分散物に転化させる例]
Sensient Imaging Technologies, Inc.から入手可能なPigment Black(カーボンブラック)Sensijet(登録商標)Black PB 094の樹脂安定化された15%分散物5Kgを、0.1mmのYTZセラミック媒体を用いたBuhler Micro Media P1 Perl Millで、43℃にて4時間粉砕した。必要な時には、追加のスチレンアクリルコポリマー分散物Joncryl 678(BASFから入手可能)を添加(358g)して、著しい凝集を防止した。
【0110】
一部(400g)を、80.8gの実施例2に記載したTris 4-ABA試薬および725gのDI水の混合物にゆっくりと添加した。
【0111】
1時間半後、反応混合物を47℃に加熱した。熱い(50℃)DI水(300g)中の20gの過硫酸カリウムおよび18gの重炭酸ナトリウムの溶液を、カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(17g)を添加してpHを7.5〜9.0に維持しながら、ゆっくりと導入した。過硫酸カリウム溶液の添加後、反応混合物を95℃に加熱した[段階1]。供給試料の塩化物および硫酸塩の含量が50ppm未満になるまで、溶解した不純物を限外ろ過によって除去した。次に生成物を16.7%固形分まで濃縮し、(0.3重量/重量%)Proxel GXL(Arch Chemicals, Smyrna, GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物(352g)を、10,000rpmにて5分間遠心分離した後、0.7ミクロンのGFフィルターを通してろ過した。
【0112】
実施例9〜13
実施例12では、実施例1からのTris試薬を使用した(表に示した)こと以外は実施例8について先に示したのと同様のプロセスに従って、実施例9〜13を製造した。
【表2】

【0113】
実施例14〜20
Sensient Imaging Technologies-Specialty Inks and colors, Switzerlandから入手可能なLemantex顔料分散物を用いて、実施例3について先に示したのと同様のプロセスに従って、実施例14〜21を製造した。
【表3】

【0114】
実施例21
実施例2に記載されたTris 4-ABA試薬(10.2%濃度で200g)を使用して、100gのSensijet Direct Blue 199(Sensient Colors Inc., St. Louis, MOから入手可能)と一緒に、Clariant Colors(Charlotte, NC)から入手可能な市販のPigment Blue No.15ウエットケーキ12(100%固形分にて100g)を湿らせる。混合物を50℃に加熱し、カルシウムを含まない水酸化カリウムの25%溶液10g、1gのJoncryl HPD 296樹脂(BASFから入手可能)を含む水性溶液および20gのポリ(スチレン-コ-マレイン酸無水物)クメン末端樹脂MW〜1700(Aldrich chemicalsから入手可能)と共に撹拌して、均質な混合物を得る。次にそれを、0.2mmのYTZセラミック媒体を有するHockmeyer Basket Millにて12時間粉砕する。過硫酸カリウム(20g)および重炭酸ナトリウム(13g)の混合物を添加して、付加を促進する。必要なときには、発泡を制御するために消泡剤、およびpH9-10に保持するためにカルシウムを含まない水酸化ナトリウム溶液を添加する。
【0115】
次に、粉砕した上記生成物をミルから出し、粉砕すすぎ液と合わせ、50〜55℃にて1晩加熱して、反応を完了させる。供給試料の塩化物および硫酸塩の含量が50ppm未満になるまで、溶解した不純物を限外ろ過によって除去する。次に生成物を18%固形分まで濃縮し、(0.3重量/重量%)Proxel GXL(Arch Chemicals, Smyrna, GAから入手可能)と混合する。最後に、生成物を、5,000rpmにて20分間遠心分離した後、0.7ミクロンのGFフィルターを通してろ過する。
【0116】
実施例22〜24
表4に示した異なる着色顔料を用いて、実施例21について先に示したのと同様のプロセスに従って、実施例22〜24を製造した。Sensijet Direct Blue 199を、実施例#22ではSensijet Acid Red 289 Na溶液で、実施例#23では20gのSurfynol CT-131で置き換えた。
【表4】

【0117】
実施例25
酸化された自己分散カーボンへのSurfonamineの付加の例
1Lのビーカー中で、Sensijet Black SDP1000 carbon16分散物(100%で40g)を5%濃度まで希釈し、tris試薬17と混合する。ホットプレート上で50℃に加熱しながら、混合物を通例のオーバーヘッドスタラーで300〜500rpmにて撹拌する。Caを含まない水酸化ナトリウムでpHを8〜9に調整しながら、加熱した顔料混合物に、過硫酸カリウム(6.81g)および重炭酸ナトリウム(2.12g)の溶液を滴下して加える。反応混合物を50℃にて20時間撹拌し、供給試料の塩化物および硫酸塩の含量が50ppm未満になるまで、限外ろ過によって精製する。次に生成物を11.1%固形分まで濃縮し、(0.3重量/重量%)Proxel GXL(Arch Chemicals, Smyrna, GAから入手可能)と混合する。
【0118】
16 Sensient Colors Inc.(St. Louis, MO)から入手可能な、14〜14.5%の、酸化されたCarbon Black自己分散液
実施例26〜31
酸化された自己分散カーボンへのSurfonamineおよびPEHAの付加の例。Sensijet SDP100016酸化されたカーボンブラック顔料ならびに表5に与えられる種々のSurfonamineおよびペンタエチルヘキサミンを含むtris試薬を用いて、実施例26〜31を製造する。
【表5】

【0119】
実施例32
顔料分散物[ポリマー安定剤およびスチレンコ-アクリル酸タイプのポリマーと共に顔料を粉砕し、4-アミノ安息香酸でのシアヌルトリス付加物の使用により、自己安定化分散物へと転化させる例]。
【0120】
実施例2に記載したTris 4-ABA試薬(15%濃度で400g)を使用して、100gのSensijet Direct Blue 199(Sensient Colors Inc., St. Louis, MOから入手可能)と一緒に、100gのDegussa(Akron, OH)から入手可能な市販のガスカーボンブラック(一次粒径20nmおよびB.E.T.表面積160m2/gを有する)を湿らせる。混合物を50℃に加熱し、カルシウムを含まない水酸化カリウムの25%溶液10g、1gのJoncryl HPD 296樹脂(BASFから入手可能)を含む水性溶液および55.6gのJoncryl HPD 196(36%溶液としてBASFから入手可能)と共に撹拌して、均質な混合物を得る。次にそれを、0.4mmのYTZセラミック媒体を有するHockmeyer Basket Millにて14時間粉砕する。過硫酸カリウム(40g) を添加して、付加を促進する。必要なときには、発泡を制御するために消泡剤およびpH9-10に保持するためにカルシウムを含まない水酸化ナトリウム溶液を添加する。
【0121】
次に粉砕した上記生成物をミルから出し、粉砕すすぎ液と合わせ、供給試料の塩化物および硫酸塩の含量が50ppm未満になるまで、限外ろ過によって精製する。次に生成物を15.6%固形分まで濃縮し、(0.3重量/重量%)Proxel GXL(Arch Chemicals, Smyrna, GAから入手可能)と混合する。最後に、生成物を、10,000rpmにて20分間遠心分離した後、0.7ミクロンのGFフィルターを通してろ過する。
【0122】
実施例33
tris試薬を介して、ポリエチレンイミン[PEI]を慣用の分散顔料に付加させる例
Sensijet(登録商標)Magenta PV193の樹脂安定化20%分散物(300g)を、90gの実施例2に記載したTris 4-ABA試薬および250gのDI水の混合物にゆっくりと添加した。
【0123】
実施例#2に記載されたtris4-ABA調製物と同様にして、300gのDI水中のEpomine SP-012(79.5g、1200MW、Nippon Shokubaiから入手可能)の透明溶液を8℃に冷却し、塩化シアヌル(5g、Lonza Walkersville, Inc., Walkersville, Marylandから入手可能)と混合して、690.6gのトリスエポミン試薬を形成させた。トリスエポミン試薬の一部(48g)をDI水(140g)で希釈し、38℃に加熱した後、上記の処理された顔料分散物に添加した。次に反応混合物を51℃に加熱し、カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを10〜10.5に維持しながら、熱い50℃のDI水(300g)中の13gの過硫酸カリウムおよび11gの重炭酸ナトリウムの溶液をゆっくりと導入した。過硫酸カリウム溶液の添加後、反応混合物を80℃に1時間加熱した。反応混合物を55〜58℃に20時間保持した。供給試料の塩化物および硫酸塩の含量が50ppm未満になるまで、溶解した不純物を限外ろ過によって除去した。次に生成物を15.5%固形分まで濃縮し、(0.3重量/重量%)Proxel GXL(Arch Chemicals, Smyrna, GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物(300g)を、10,000rpmにて20分間遠心分離した後、0.7ミクロンのGFフィルターを通してろ過した。
【0124】
実施例34
顔料分散物[粉砕助剤、ポリマー安定剤と共に顔料を粉砕し、4-アミノ安息香酸でのシアヌルトリス付加物の使用により自己安定化分散物へと転化させる例]
300gのDI水で希釈したSurfynol CT-131(Air Products, Allentown, PAから入手可能)(20g)を使用して、市販のPigment Yellow 7414(100g)を湿らせ、かつ粉砕する。次に0.4mmのYTZセラミック媒体を有するHockmeyer Basket Millにて5時間粉砕する。粉砕した顔料を次に、実施例3〜7に記載した手順に従って、実施例2に記載したtris 4-ABA試薬(15.0%濃度にて81.4g)を用いて処理する。最終生成物(579.4g)を10,000rpmにて10分間遠心分離した後、0.7ミクロンのGFフィルターを通してろ過した。
【0125】
実施例35
Surfynol CT-131に代えて粉砕助剤としてTamol SN(Rohm and Haas, Philadelphia, PAから入手可能)および特級24のPY 74を用いて、実施例34を繰り返した。
【0126】
24 Clariant Colors(Charlotte, NC)からのHansa Brilliant Yellow
実施例36
上記実施例からの変性顔料の物性を以下の表に示す。
【表6】

【0127】

【0128】
実施例37
X線光電子分光(XPS)分析
XPSデータを集め、Black試料、Cyan試料、Magenta試料およびYellow試料について分析した(表7)。精製された「Tris」試薬の乾燥試料をまた、顔料表面に付加された基の性質を明らかにするために分析した。表中角括弧の中の数字は、実施例番号を指す。
【表7】

【0129】

【0130】
XPSデータは、集束させた単色のAl Kα放射のプローブ光を用いるEAG Labs(Chanhassen, MN)により得られた。X線は、エネルギー分析され、カウントされて試料表面の原子組成および化学を示す光電子を生じる。光電子の脱出深さは、分析の深さを外部〜50オングストロームに限定する。示されるデータは、低分解能サーベイスキャンを包含し、これは0〜1400eVの結合エネルギー間の全スペクトルを与える。選択される元素からの高分解能スペクトルがまたデータに含まれ、これは化学的な状態の情報を提供する。光電子ピークの下の面積を積算し、経験的感度因子を適用することによって、スペクトルを使用して表面組成が得られる。XPSデータを図1〜36に示す。
【表8】

【0131】
カーボンブラック試料のための表
以下の表は、検出された元素で100%に規格化された。XPSはHまたはHeを検出しない。他の元素について、検出限界は典型的には0.05〜1.0%である。ダッシュ「-」は、元素が検出されなかったことを示す。変性試料についての高いO(10原子%超)およびNa(3原子%超)は、酸化によって導入された表面COONa結合を示すものである。スルフィドとしてのS含量は典型的には、変性条件下で一部酸化されたと思われるカーボンブラックのものである。未反応炭素を除いた全ての試料に存在するN、NaおよびKの濃度は、対応するナトリウムもしくはカリウム塩としての、アミノ安息香酸もしくはマレイン酸またはアクリル酸または表面カルボン酸もしくはスルホン酸基として存在する荷電基の尺度である。
【表9】

【0132】

【0133】

【0134】

【0135】

【0136】

【0137】

【0138】

【0139】

【0140】

【0141】
未処理のカーボン中にスルフィドとして存在するSは、全ての処理試料において、サルフェート/スルホンへと大部分が酸化されて、表面電荷基へ加えられた。
【0142】
PB 15試料についての表
【表10】

【0143】

【0144】

【0145】

【0146】
PR 122/ PV 19試料についての表
【表11】

【0147】

【0148】

【0149】
PY 74試料についての表
【表12】

【0150】

【0151】

【0152】

【0153】
PY 155試料についての表
【表13】

【0154】

【0155】

【0156】
XPSの結果は、開示された表面変性が、約0.3〜2.6原子%でほとんど均一に分布したNH/N-C=N基として表面窒素が増加した変性カーボンブラックを生じることを示す。それは、匹敵する濃度のNHおよびN-C=N基において結合する。1つの試料[8] [Carbon] A-04では、NO3基のより小さい寄与がまた観察される。
【0157】
XPSの結果は、開示された表面変性が、6.5〜15.1%の原子比で表面酸素を有する変性カーボンブラックを生じることを示し、ここで、約43〜72%の酸素がC=O, COONa,もしくはSOx基として存在し、残り部分(約57〜28%)はC-O基として存在する。それに対して、未処理のカーボンブラックにおける表面酸素はたった約2.4原子%であり、C=O, COONa,もしくはSOx基として32%として分布し、残り部分(68%)はC-O基として分布する。XPSの結果は、開示された表面変性が、約1.4〜5.3原子%で、COONaとして表面ナトリウムが増加した変性カーボンブラックを生じることを示す。
【0158】
未処理のカーボンブラックSensijet SDP 1000 carbonならびに実施例3、8、24、25-31および32からのカーボンブラックについてのXPSの結果を、図1〜12に示す。
【0159】
XPSの結果は、開示された表面変性が、未処理の顔料における0.1原子%の低い濃度に比べて、有意に高い表面ナトリウム含量(0.8〜4.2原子%)を有する変性Pigment Blue No.15を生じることを示す。未処理のPigment Blue No.15ならびに実施例10、14および21からのPigment Blue No.15についてのXPSの結果を、図13〜19に示す。
【0160】
XPSの結果は、開示された表面変性が、比べると未処理の顔料は有していないが、0.3〜1.6原子%の範囲の濃度で存在する表面ナトリウムを有する変性Pigment Red No.122を生じることを示す。未処理のPigment Red No.122ならびに実施例17および22からのPigment Red No.122ならびに実施例6および7からのPigment Violet 19についてのXPSの結果を、図20〜25に示す。
【0161】
XPSの結果は、開示された表面変性が、COONa/CSO3Naとして存在することが予想される、1.0〜1.6%の原子比で表面ナトリウムを有する変性Pigment Yellow No.74を生じることを示す。それに対して、未処理の顔料においては、表面ナトリウムはたった約0.3である。未処理のPigment Yellow No.74ならびに実施例23および24からのPigment Yellow No.74についてのXPSの結果を、図26〜31に示す。未処理のPigment Yellow No.155ならびに実施例11および12からのPigment Yellow No.155についてのXPSの結果を、図32〜36に示す。
【0162】
実施例38
【表14】

【0163】

【0164】
元素分析の結果は、開示された表面変性が、顔料1g当たり0.050〜0.112ミリモルのSおよび0.395〜0.732ミリモルの活性水素を有する変性Pigment Blue No.15を生じることを示す。
【0165】
元素分析の結果は、開示された表面変性が、顔料1g当たり0.034〜0.140ミリモルのSおよび0.196〜0.911ミリモルの活性水素を有する変性Pigment Red No.122を生じることを示す。
【0166】
元素分析の結果は、開示された表面変性が、顔料1g当たり0.065〜0.081ミリモルのSおよび0.196〜0.757ミリモルの活性水素を有する変性Pigment Yellow No.74を生じることを示す。
【0167】
元素分析の結果は、開示された表面変性が、顔料1g当たり0.034〜0.075ミリモルのSおよび0.148〜0.442ミリモルの活性水素を有する変性Pigment Yellow No.155を生じることを示す。
【0168】
元素分析の結果は、開示された表面変性が、顔料1g当たり0.022〜0.087ミリモルのSおよび0.283〜0.347ミリモルの活性水素を有する変性Pigment Violet No. 19を生じることを示す。
【0169】
元素分析の結果は、開示された表面変性が、顔料1g当たり0.403〜1.584ミリモルの活性水素を有する変性Carbon Blackを生じることを示す。
【0170】
実施例39
粒径測定
15mlの脱イオン水に対して一滴の試料を希釈し、1cmの使い捨てキュベットに装填し、気泡を消すことによって、8〜15%固形分を含む試料を調製した。次にMalvern Zetasizer Nano シリーズModel ZEN 3600を使用して、試料の平均粒径を測定した。
【表15】

【0171】
実施例40
再分散の研究
以下の分散物(実施例#22〜24)を乾燥させ、以下に示すようにして、粉末としてpH7.5のDI水中に再分散させた。
【0172】
約0.5gの乾燥粉末をDI水(pH=7.5)と混合し、約80.0gにし、5分間超音波処理した。次に分散物の一部を0.7ミクロンのGF/F(Fisher Scientificから入手可能)25mm径の注射器フィルターを通してろ過し、乾燥後、残渣およびろ液の重量を記録した。表16の結果は、>93%の変性顔料が、中性の水の中に有効に再分散されたことを示す。平均粒径(D50, nm)は、これらの極端な条件下ですら、粒子が凝集に耐えることを示す。
【表16】

【0173】
実施例41
以下に記載する手順に従って、以下のインクベースを作り、黒色分散物を有する最終インクを作るのに使用した。
【表17】

【0174】
まず、9.6重量%の水をきれいな容器に入れた。その後、混合装置を容器内に置いて水を撹拌し、他の成分を添加しながら混合した。磁気撹拌装置を使用することによって、混合を行った。次に、10重量%の2-ピロリドン、5重量%の1,5-ペンタンジオール、4重量%のPEG 600および1重量%の1,2-ヘキサンジオールを容器に添加した。これらを溶解させた。その後、0.1重量%のSurfynol 104E溶液および0.3重量%のNipacide BIT 20を添加し、溶解させた。
【0175】
実施例42
実施例#24からの顔料分散物を使用して、以下に記載する手順に従って、以下のインクを作った。
【表18】

【0176】
表18の通りに、顔料分散物に対して計算した重量%のDI水を容器に添加することによって、第2の容器を調製した。その後、磁気撹拌装置を容器内に置いた。次に、インクベース、次いでsurfynol界面活性剤(Air Products & Chemicals, Inc.、Allentown, PA)を、第2の容器中の顔料分散物にゆっくりと添加した。このプロセス中、分散物を混合した。全ての希釈剤が添加された後、インクを約1時間混合するか、または完全に均質になるまで混合した。混合後、1ミクロンのグラスフィルター(Whatman, Kent, Englandから入手可能)を用いてろ過した。
【0177】
実施例43
以下に記載する手順に従って、以下のインクべースを作り、カラー分散物を有する最終インクを作るのに使用した。
【表19】

【0178】
まず、12.3重量%の水をきれいな容器に入れた。その後、混合装置を容器内に置いて水を撹拌し、他の成分を添加しながら混合した。磁気撹拌装置を使用することによって、混合を行った。次に、14重量%のグリセリン、2重量%のPEG 600、3重量%のブチルカルビトール、2重量%のエタノールおよび1重量%のブタノールを容器に添加した。これらを溶解させた。その後、0.1重量%のトリエタノールアミンを添加し、溶解させた。最後に、0.3重量%のCobratec溶液および0.3重量%のXbinx 19Gを添加し、溶解させた。
【0179】
実施例44
以下に記載する手順に従って、以下のインクを作った。
【表20】

【0180】
表20の通りに、顔料分散物に対して計算した重量%のDI水を容器に添加することによって、第2の容器を調製した。その後、磁気撹拌装置を容器中に置いた。次に、インクベース、次いでsurfynol界面活性剤(Air Products & Chemicals, Inc.、Allentown, PA)を、第2の容器中の顔料分散物にゆっくりと添加した。このプロセス中、分散物を混合した。全ての希釈剤が添加された後、インクを約1時間混合するか、または完全に均質になるまで混合した。混合後、1ミクロンのグラスフィルター(Whatman, Kent, Englandから入手可能)を用いてろ過した。
【0181】
実施例45
印刷性能-混合4-ABAおよびSMA付加を有する実施例21〜24からの分散物を用いて作られたインクセットの印刷試験
Epson C88+printer Model B251AおよびHP Photosmart Plus B9180プリンター(顔料系インクセットを用いることが知られている)にて、4種の異なる一般に使用されるコピー用紙を用いて、試験ページを印刷した。インクセットおよび媒体により同定される、印刷したページは、Center for Integrated Manufacturing, Rochester Institute of Technology, Rochester, NYによって分析された。画質は、ImageXpert Full Motion Systemにて測定された。光学密度は、X-rite 939 Spectrodensitometerで測定された。オゾン曝露は、RITカスタムオゾン室を用いて測定され、Sutherland摩擦試験は、Sutherland摩擦定着を用いて行われた。ハイライト感Aは、Sanford Yellow Major Accent(登録商標)であり、ハイライト感Bは、Avery Dennison Fluorescent Yellow Hi-Liter(登録商標)である。オゾン退色は、以下のようにしてRITにより規定される:「色変化は、Delta E 2000 (AE00)を計算し、ASTM D2244-02 「器機で測定された色座標からの色許容差及び色差算出法」に従って報告することによって記載される」。斑点は、以下のようにして決められる;「固体カラーブロックが、関心のある領域(ROI)で壊され、各領域でグレーの色が測定される。全体の固体ブロックについて、平均および標準偏差が計算される。標準偏差が大きければ大きいほど、試料中の斑点が多い。」
Epson C88+プリンターで印刷された、インクA、D、EおよびGを用いるカラーセットの印刷性能特性を、以下に明らかにする。
【表21】

【0182】

【0183】
HP Photosmart Pro B9180プリンターで印刷された、インクA、B、C、D、E、FおよびGを用いるカラーセットの印刷性能特性を、以下に明らかにする。
【表22】

【0184】

【0185】
印刷結果は、対応する実験において記載されるプロセスにより製造された顔料分散物が、高品質の顔料系インクジェットインクを作るのに適当である分散物を生じることを示す。これらの印刷物と、2009年、2月26日に公布された米国特許出願公開第20090050014A1号(引用することにより、組み入れられる)に開示される方法により作られた分散物からの印刷物との並行する比較は、これらの印刷物が、より鮮やかでかつ等しく耐久性があることを示す。
【0186】
実施例46
木材着色剤用途性能
以下の木材着色剤を製造し、18%のJoncryl 95(BASFから入手可能)および残部が脱イオン水からなる樹脂溶液を有する6%乾燥顔料装填物にて試験した。線巻棒(wire wound rod)#7(Paul N. Gardner Company, Pompano Beach, FLから入手可能)を用いる、Leneta Form 3NT-3上のドローダウン(drawdown)の耐水性比較を、1”x4”片を用いて行った。各片の半分を脱イオン水中に1分間浸漬した。外界温度で片を乾燥させた。Datacolor SF600 PLUS-CT色彩計で、色差(DE*)を読んだ。より低いDE*はより良好な耐水性を示す。
【表23】

【0187】
実施例47
コーティング性能
以下のコーティング処方物(Masstone)を製造し、25%アクリル展色剤(Valspar, Wheeling, ILから入手可能)および残部が脱イオン水からなる樹脂溶液を有する6%乾燥顔料装填物にて試験した。チント調製のために、各Masstoneカラーを、ラテックスに基づくチントベース(Sherwin Williams, Cleveland, OHから入手可能)と、1:10の比にて混合した。6.0ミルの線巻棒を用いて、Leneta Form 2A上にドローダウンを調製した。10滴の10%塩酸および10滴の10%水酸化ナトリウム溶液でMasstoneドローダウン上に別々にしみをつけることによって、化学品耐性を測定した。化学品耐性の程度は、しみをつけた領域対対照領域の間のDE*値をとることによって測定される。
【表24】

【表25】

【0188】
実施例48
カラーフィルター用途の性能
以下のカラーフィルター処方物を調製し、脱イオン水で全部で75%に調整した後、30%Valspar アクリル展色剤、30%Joncryl 1972(BASFから入手可能)および40%1-メトキシ-2-プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)からなる展色剤(25%)と混合した、6%乾燥顔料装填物にて試験した。透明なオレフィンポリマー基体上のカラーフィルターコーティングの透過値を、線巻棒#7(Paul N. Gardner Company, Pompano Beach, FL)を用いて、外界温度で乾燥した後に測定した。
【表26】

【0189】
実施例49
布地印刷用途の性能
以下の印刷ペーストを製造し、Delta Ceramcoat Textile Medium(33%)(Deltaから入手可能)、Valspar Acrylic Vehicle(5%)および残部が脱イオン水を有する6%乾燥顔料装填物にて試験した。6.0ミルの線巻棒を用いて、白色綿織地上に印刷ペーストのドローダウンを調製した。外界温度で乾燥後、オーブン中で140℃にて10分間印刷物を加熱固定した。織地を1”x4”片に切断し、各片の半分(1”x2”)を沸騰脱イオン水中に5分間浸した。その後、暴露した片を、冷水道水中で1分間洗浄し、外界温度で乾燥させた。耐洗濯性および耐水性を、対照と処理した織地との間の全色差(DE*)を測定することによって査定した。
【表27】

【0190】
実施例50
化粧料用途の性能
以下に記載される手順に従って、以下のマスカラ(AG8-106Aおよびグリセリン-水対照)を調製し、目で見た色強度として試験した。
【0191】
ワックスベースは、緩和薬、乳化剤および膜形成剤としてそれぞれCaprylyl Methicone(Dow Corning FZ-3196)、Lauryl PEG/PEG-18/18 Methicone(Dow Corning DC 5200)およびC30-45アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン(Dow Corning DC SW-885 C30 樹脂蝋)を含んでいた。
【0192】
試験した顔料分散物は以下を含んでいた:
1. TW 1829元処方(イソドデカン対照)は、イソドデカン中20%Unipure Black LC 902であるIsoblack 902 AT20を有する。(Isoblack 902 AT20およびUnipure Black LC 902は、Sensient Cosmetic Technologiesから入手可能である。)
2. グリセリン-水対照(AG8-112A)は、水/グリセリン中25%>Unipure Black LC 902であるNoir Covarine W9793を有する(Noir Covarine W9793は、Sensient Cosmetic Technologiesから入手可能である)。
【0193】
3. AG8-106Aは、水中15.85%SDP Carbon Black分散物である実施例#28を有する。
【0194】
続く手順は、以下の段階を含んでいた:
(1) プロペラブレードを用いて、85℃にて、表28に示した成分を混合して、均質な混合物を得ることによる、相Aの製造。
【0195】
(2) 混合しながら相Bを添加。
【0196】
(3) 相Cの製造、60℃にて混合して均質な混合物を得る。
【0197】
(4) 相Cをバルク(bulk)に添加し、Turrax ホモジナイザーを用いて2分間乳化。
【0198】
(5) 相Dをバルクに添加し、かつ混合し、脱気する。
【0199】
(6) 60℃にて、適当な容器に注ぐ。
【表28】

【0200】
イソドデカン分散物対照の調製のために、以下の手順を続けた。
【表29】

【0201】
(1) 均質になるまで、75℃に、相A(表28と同様)を製造、加熱、混合。
【0202】
(2) プロペラブレードを用いて混合しながら、相B(表28と同様)をAに添加。
【0203】
(3) 撹拌下で相C(Isoblack 902 AT20、8.0g)をバルクに添加。温度を≦2分間維持。
【0204】
(4) バルクを65℃に冷却し、相D(イソドデカン、20.0g)を添加し、均質になるまで混合。
【0205】
(5) 相E(純水14.0g、プロピレングリコールおよび防腐剤1.0g)をバルクに添加し、Turraxホモジナイザーを用いて2分間乳化。
【0206】
(6) 相F(Covacryl P12、25.0g)をバルクに添加し、混合。
【0207】
(7) 55℃にて、適当な容器中に注入。
【0208】
図37に示されるように、3種のマスカラ(AG8-106A、グリセリン-水対照およびイソドデカン対照(製造に付いては上記参照))をin vivo 色性能について評価した。実施例28で作られたマスカラ(AG8-106A)の色は、他の2つの試料より濃かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを含む変性顔料であって、顔料が窒素原子に直接付加され、窒素原子は直接または間接に-S-Zを含む基に付加され、Sは置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族基または、約300〜約20000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、Zは水素、カルボキシル、スルホニル、フェノール、ホスホリル、アンモニウム、トリメチルアンモニウムもしくはトリブチルアンモニウム基である、前記変性顔料。
【請求項2】
窒素原子がアミノ基の一部である請求項1記載の変性顔料。
【請求項3】
Sが芳香族基である請求項1記載の変性顔料。
【請求項4】
窒素原子が、(a) アミノ安息香酸、(b) アミノベンゼンスルホン酸または(c) アミノフェノールの一部である請求項2記載の変性顔料。
【請求項5】
ポリマーが、約300〜約20000の分子量範囲を有する請求項1記載の変性顔料。
【請求項6】
ポリマーが、アミン含有ポリマーである請求項1記載の変性顔料。
【請求項7】
請求項1記載の変性顔料を含む顔料分散物。
【請求項8】
顔料分散物が水を含む請求項7記載の顔料分散物。
【請求項9】
分散物が、約40重量/重量%より大きい固形分含量を有する請求項7記載の顔料分散物。
【請求項10】
請求項1記載の変性顔料を含むインクジェットインク。
【請求項11】
変性顔料が、水性または非水性媒体中に再分散可能である請求項1記載の変性顔料。
【請求項12】
媒体が非水性媒体である請求項11記載の変性顔料。
【請求項13】
ポリマーを含む変性顔料であって、顔料が、N-C=N結合の一部である炭素原子によって有機基に付加される、前記変性顔料。
【請求項14】
N-C=N結合がトリアジンの一部である請求項13記載の変性顔料。
【請求項15】
トリアジンが-S-Zを含む基で置換され、Sは置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族基または、約300〜約20000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、Zは水素、カルボキシル、スルホニル、フェノール、ホスホリル、アンモニウム、トリメチルアンモニウムもしくはトリブチルアンモニウム基である請求項14記載の変性顔料。
【請求項16】
トリアジンが-S-Zを含む基および-S-Zを含む第2の基で置換され、-S-Zを含む基および-S-Zを含む第2の基が同じまたは異なる基である請求項15記載の変性顔料。
【請求項17】
トリアジンが1,3,5-トリアジンである請求項14記載の変性顔料。
【請求項18】
トリアジンがポリマーで置換される請求項14記載の変性顔料。
【請求項19】
有機基に共有結合した顔料を含む化粧料処方物。
【請求項20】
顔料が、少なくとも1種のN-Sを含む基、少なくとも1種のN-Sを含む基で置換されたトリアジンおよびそれらの組合せを付加したものであり、Nは求核基であり、Sは有機基である請求項19記載の化粧料処方物。
【請求項21】
顔料がポリマーを付加したものである請求項19記載の化粧料処方物。
【請求項22】
化粧料処方物が顔料分散物を含む請求項19記載の化粧料処方物。
【請求項23】
顔料分散物を変性させる方法であって、置換トリアジンを顔料分散物と反応させることを含む、前記方法。
【請求項24】
トリアジンと顔料分散物との反応が、変性顔料を含む変性顔料分散物を生じ、顔料分散物は、トリアジンとの反応の前にポリマーを含み、その結果、その表面にポリマーを有する変性顔料を生じる請求項23記載の方法。
【請求項25】
ポリマーと、トリアジンおよび顔料分散物とを反応させることをさらに含む請求項23記載の方法。
【請求項26】
ポリマーが、顔料の表面に直接付加される請求項25記載の方法。
【請求項27】
トリアジンが、少なくとも1種のポリマーで置換される請求項25記載の方法。
【請求項28】
置換トリアジンが、塩化シアヌルと2級化合物または2級化合物の混合物とを反応させることによって形成されて、少なくとも1個の反応性塩素を置き換えて置換トリアジンを形成させる、請求項23記載の方法。
【請求項29】
約3当量の2級化合物または2級化合物の混合物が塩化シアヌルと反応して、全ての反応性塩素を置き換える請求項28記載の方法。
【請求項30】
トリアジンが少なくとも1種のN-Sを含む基で置換され、Nは求核基であり、Sは有機基である請求項23記載の方法。
【請求項31】
N-Sを含む基がさらにZを含んで、N-S-Zを含む基を形成し、Zは、水素、カルボキシル、スルホニル、フェノール、ホスホリル、アンモニウム、トリメチルアンモニウムもしくはトリブチルアンモニウム基である請求項30記載の方法。
【請求項32】
顔料分散物が水を含む請求項23記載の方法。
【請求項33】
顔料を変性させる方法であって、
塩化シアヌルと2級化合物または2級化合物の混合物とを反応させて、少なくとも1個の反応性塩素を置き換えて置換トリアジンを形成させること;および
置換トリアジンおよび少なくとも1種のポリマーを顔料の表面に付加させること
を含む方法。
【請求項34】
顔料が媒体中に分散される請求項33記載の方法。
【請求項35】
ポリマーが、置換トリアジンによって顔料の表面に付加する請求項33記載の方法。
【請求項36】
ポリマーが直接顔料の表面に付加する請求項33記載の方法。
【請求項37】
顔料を変性させる方法であって、
塩化シアヌルの少なくとも1個の反応性塩素を少なくとも1種のポリマーで置換して、置換トリアジンを形成させること;および
置換トリアジンと媒体中に分散された顔料とを反応させること
を含む方法。
【請求項38】
トリアジンが、少なくとも1種のN-Sを含む基でさらに置換され、Nは求核基であり、Sは有機基である請求項37記載の方法。
【請求項39】
N-Sを含む基がさらにZを含んで、N-S-Zを含む基を形成し、Nはアミン、イミン、ピリジンもしくはチオール基であり;Sは置換もしくは非置換のアルキル、アリールまたは、約300〜約20000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり;Zは水素、カルボキシル、スルホニル、フェノール、ホスホリル、アンモニウム、トリメチルアンモニウムもしくはトリブチルアンモニウム基である請求項38記載の方法。
【請求項40】
顔料を変性させる方法であって、
少なくとも1種のポリマーを、顔料分散物中の顔料に付加させて変性顔料を形成させることを含み、ここで変性顔料は直接窒素原子を付加したものであり、窒素原子は有機基に直接または間接に付加される、前記方法。
【請求項41】
ポリマーが顔料の表面に直接付加する請求項40記載の方法。
【請求項42】
有機基が、少なくとも1種の-S-Zを含む基を含み、Sは置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族基または、約300〜約20000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、Zは水素、カルボキシル、スルホニル、フェノール、ホスホリル、アンモニウム、トリメチルアンモニウムもしくはトリブチルアンモニウム基である請求項40記載の方法。
【請求項43】
窒素原子が、(a) アミノ安息香酸、(b) アミノベンゼンスルホン酸または(c) アミノフェノールの一部である請求項40記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate


【公表番号】特表2012−500866(P2012−500866A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524058(P2011−524058)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/054700
【国際公開番号】WO2010/022377
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(511045626)センシエント カラーズ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】