説明

自律移動装置

【課題】 計測誤差の累積に起因する環境地図の不整合を解消でき、かつ、移動領域の部分的なレイアウト変更に柔軟に対応することが可能な自律移動装置を提供する。
【解決手段】 自律移動装置1は、レーザレンジファインダ20から読み込まれた周囲の物体との距離情報・角度情報に基づいて、移動領域の環境地図を構成する複数の部分地図を作成する電子制御装置30と、複数の部分地図が作成される際に、ユーザからの操作入力に基づいて、部分地図を連結する連結ポイントを設定するジョイスティック21と、設定された連結ポイントの中から、ユーザからの操作入力に基づいて、互いに連結する部分地図それぞれの連結ポイントを選択するタッチスクリーン24とを備えている。また、上記電子制御装置30は、タッチスクリーン24により選択された部分地図の連結ポイント間の連結関係を定める連結部44を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境地図作成機能、経路計画機能、及び自律移動機能を有する自律移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、周囲環境の中を自律して移動する自律移動装置が知られている。自律移動装置が周囲環境の中を自律して移動するためには、移動空間内の物体(以下「障害物」ともいう)が存在する領域と存在しない領域とを表した環境地図が必要となる。このような環境地図の取得方法については種々の方法が考案されているが、近年、移動しつつ、リアルタイムで自己位置の推定と環境地図の作成とを行う技術としてSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)が注目されている。ここで、特許文献1には、SLAMを利用し、レーザレンジファインダ(又はカメラ)による距離計測の結果得られた地形データを用いて地形図(環境地図)を生成する移動ロボットが開示されている。
【特許文献1】特開平7−129238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、SLAMを利用して環境地図を作成する方法では、次のような問題点が指摘されていた。
1.計測誤差が累積することにより作成された環境地図に不整合が生じることがある。特に、環状の環境地図を作成する際に、開始部分と終了部分が一致しなくなることがある(所謂、環状経路問題)。
2.移動領域の一部のレイアウトが変更になったときに、環境地図全体を作り直す必要がある。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、計測誤差の累積に起因する環境地図の不整合を解消でき、かつ、移動領域の部分的なレイアウト変更に柔軟に対応することが可能な自律移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る自律移動装置は、周囲に存在する物体の位置情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された物体の位置情報に基づいて、移動領域の環境地図を構成する複数の部分地図を作成する作成手段と、作成手段により複数の部分地図が作成される際に、複数の部分地図を連結する連結点を設定する設定手段と、設定手段により設定された連結点の中から、互いに連結する部分地図それぞれの連結点を選択する選択手段と、選択手段により選択された部分地図の連結点間の連結関係を定める連結手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る自律移動装置によれば、独立した複数の部分地図が作成されるとともに、部分地図作成時に連結点が設定される。そして、部分地図同士を連結する連結点が選択され、連結点間の連結関係が定められる。よって、移動環境全体の環境地図を独立した部分地図に分割することにより、誤差の累積を抑制できるため、誤差の累積による環境地図の不整合を解消することができる。また、各部分地図には、部分地図に含まれる連結点間の連結関係が定められているため、この連結関係に従って異なる部分地図に移ることができる。さらに、移動環境全体の環境地図が部分地図に分割されて管理されるため、移動領域の部分的なレイアウト変更があった場合に、レイアウトが変更になった部分地図のみを作成し直すとともに、作り直された部分地図のみを入替えることができる。よって、移動領域の部分的なレイアウト変更に柔軟に対応することが可能となる。
【0007】
本発明に係る自律移動装置は、上記作成手段により作成された複数の部分地図それぞれについて、移動可能領域を抽出して細線化する抽出手段と、複数の部分地図毎に、抽出手段により細線化された移動可能領域の分岐点を探索し、該分岐点の連結関係を表すトポロジカルマップを作成するトポロジカルマップ作成手段と、トポロジカルマップ作成手段により作成された部分地図毎のトポロジカルマップを、上記選択手段により選択された連結点で連結し、連結されたトポロジカルマップでの最短経路を探索する探索手段と、探索手段により探索された最短経路を、複数の部分地図毎のトポロジカルマップに分割する分割手段と、分割手段により分割された部分地図毎に、トポロジカルマップに含まれる連結点をつなぐ移動経路を計画する計画手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る自律移動装置によれば、部分地図毎に、細線化された移動可能領域の分岐点の連結関係がトポロジカルマップで表現されるとともに、部分地図毎に作成されたトポロジカルマップが連結されることにより、移動領域全体が1枚のトポロジカルマップで表現される。ここで、トポロジカルマップは、分岐点の連結関係と連結している分岐点間の距離のみを情報として有する(すなわち、座標の情報を持たない)マップであるため、連結したとしても、計測誤差による歪の影響を受けることがない。そして、連結されたトポロジカルマップを用いて最短経路検索が実行された後に、再度、トポロジカルマップが部分地図毎に分割され、検索された最短経路に従って移動経路が計画される。その結果、複数の部分地図をまたぐ最短の移動経路を計画することが可能となる。
【0009】
本発明に係る自律移動装置は、自機を移動させる移動手段と、上記計画手段により複数の部分地図毎に計画された移動経路に沿って自律して移動するように移動手段を制御する制御手段と、移動中の部分地図から、異なる部分地図に移る際に、上記連結手段により定められた部分地図の連結点間の連結関係に基づいて、移動に用いる部分地図を、移行先の部分地図に切替える切替手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る自律移動装置によれば、複数の部分地図にまたがる移動経路に沿って自律移動する場合、移動中の部分地図から異なる部分地図へ移る際に、部分地図間の連結関係に基づいて部分地図が切替えられる。よって、複数の部分地図をまたいで目的地(ゴール地点)まで自律移動することが可能となる。
【0011】
本発明に係る自律移動装置では、切替手段が、異なる部分地図に移る際に、使用する座標系を、移動中の部分地図の座標系から、移行先の部分地図の座標系に切替えることが好ましい。
【0012】
この場合、異なる部分地図に移る際に、移動中の部分地図の座標系から移行先の部分地図の座標系に座標系が切替えられる。よって、移動中の部分地図から移行先の部分地図に移ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、計測誤差の累積に起因する環境地図の不整合を解消でき、かつ、移動領域の部分的なレイアウト変更に柔軟に対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
まず、図1を用いて、第1実施形態に係る自律移動装置1の構成について説明する。図1は、自律移動装置1の構成を示すブロック図である。
【0016】
自律移動装置1は、複数の部分地図からなる環境地図を作成する環境地図作成機能、複数の部分地図にまたがる移動経路を計画する経路計画機能、及び、複数の部分地図をまたいで移動経路に沿って移動する自律移動機能を有する。より詳細には、自律移動装置1は、ユーザの遠隔操作に従って自機が誘導されているときに、SLAMを用いて移動領域の環境地図(障害物が存在する領域と存在しない領域を表したグリッドマップ)を構成する複数の部分地図を作成するとともに、誘導されて部分地図間の連結点(以下「連結ポイント」といい、ユーザが指定する)に到達したときに、そのときの自己位置を部分地図上の連結ポイントの位置座標として登録する機能を有する(本機能を実行するモードを「据付モード」と呼ぶ)。また、自律移動装置1は、作成された複数の部分地図毎に移動可能領域を抽出し、トポロジカルマップを用いて連結し、トポロジカルマップ上で最短経路探索を行った後に再び分割して、部分地図毎の移動経路を計画する機能を有する。さらに、自律移動装置1は、計画された移動経路に沿ってスタート地点からゴール地点まで、複数の部分地図をまたいで自律移動する機能を有する(本機能を実行するモードを「搬送モード」と呼ぶ)。
【0017】
そのため、自律移動装置1は、その下部に電動モータ12及び該電動モータ12により駆動されるオムニホイール13が設けられた本体10と、周囲に存在する物体(例えば壁や障害物等)との距離を計測するレーザレンジファインダ20と、自律移動装置1を誘導するとともに連結ポイントを登録するジョイスティック21とを備えている。また、自律移動装置1は、複数の部分地図(環境地図)の作成、複数の部分地図をまたぐ移動経路の計画、及び、該移動経路に沿った自律移動を統合的に司る電子制御装置30を備えている。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0018】
本体10は、例えば略有底円筒状に形成された金属製のフレームであり、この本体10に、上述したレーザレンジファインダ20、及び電子制御装置30等が取り付けられている。なお、本体10の形状は略有底円筒状に限られない。本体10の下部には、4つの電動モータ12が十字状に配置されて取り付けられている。4つの電動モータ12のそれぞれの駆動軸12Aにはオムニホイール13が装着されている。すなわち、4つのオムニホイール13は、同一円周上に周方向に沿って90°ずつ間隔を空けて取り付けられている。
【0019】
オムニホイール13は、電動モータ12の駆動軸12Aを中心にして回転する2枚のホイール14と、各ホイール14の外周に電動モータ12の駆動軸12Aと直交する軸を中心として回転可能に設けられた6個のフリーローラ15とを有する車輪であり、全方向に移動可能としたものである。なお、2枚のホイール14は位相を30°ずらして取り付けられている。このような構成を有するため、電動モータ12が駆動されてホイール14が回転すると、6個のフリーローラ15はホイール14と一体となって回転する。一方、接地しているフリーローラ15が回転することにより、オムニホイール13は、そのホイール14の回転軸に平行な方向にも移動することができる。そのため、4つの電動モータ12を独立して制御し、4つのオムニホイール13のそれぞれの回転方向及び回転速度を個別に調節することより、自律移動装置1を任意の方向(全方向)に移動させることができる。すなわち、電動モータ12及びオムニホイール13は、特許請求の範囲に記載の移動手段として機能する。
【0020】
4つの電動モータ12それぞれの駆動軸12Aには、該駆動軸12Aの回転角度(すなわち駆動量あるいは回転量)を検出するエンコーダ16が取り付けられている。各エンコーダ16は、電子制御装置30と接続されており、検出した各電動モータ12の回転角度を電子制御装置30に出力する。電子制御装置30は、入力された各電動モータ12の回転角度から、自律移動装置1の移動量を演算する。
【0021】
レーザレンジファインダ20は、自機の正面方向(前方)を向くようにして自律移動装置1の前部に取り付けられている。レーザレンジファインダ20は、レーザ(検出波)を射出するとともに、射出したレーザを回転ミラーで反射させることで、自律移動装置1の周囲を中心角240°の扇状に水平方向に走査する。そして、レーザレンジファインダ20は、例えば壁や障害物等の物体で反射されて戻ってきたレーザを検出し、レーザ(反射波)の検出角度、及びレーザを射出してから物体で反射されて戻ってくるまでの時間(伝播時間)を計測することにより、物体との角度及び距離を検出する。すなわち、レーザレンジファインダ20は、特許請求の範囲に記載の取得手段として機能する。なお、レーザレンジファインダ20は、電子制御装置30と接続されており、検出した周囲の物体との距離情報・角度情報を電子制御装置30に出力する。
【0022】
ジョイスティック21は、ユーザの遠隔操作に従って自立移動装置1を誘導して移動させるための入力装置であり、自律移動装置1を誘導するための方向を指示する棒状のレバー22と、部分地図上の連結ポイントを登録するための設定スイッチ23とを有している。ユーザは、ジョイスティック21のレバー22を操作することにより、自律移動装置1に対して移動方向を指示し、自律移動装置1を誘導することができる。また、ユーザは、自律移動装置1を誘導しつつ、部分地図の連結ポイントに到達したときに、設定スイッチ23を押下ることにより、そのときの自己位置を連結ポイントの位置座標として登録することができる。すなわち、ジョイスティック21を構成する設定スイッチ23は特許請求の範囲に記載の設定手段として機能する。なお、ジョイスティック21は、電子制御装置30と接続されており、誘導制御(方向指示)信号、及び連結ポイント登録信号を電子制御装置30に出力する。
【0023】
タッチスクリーン24は、液晶ディスプレイ(LCD)等からなる表示部25と、表示部25上のユーザのタッチ操作(入力)を検出するタッチパネル等からなる操作入力部26とを有して構成される入力装置である。表示部25は、例えば、連結ポイントを登録するとき、及び、連結ポイントを選択するときに、連結ポイントを含む部分地図及び連結ポイントの座標情報等を表示する。また、表示部25は、連結ポイント及びスタート地点/ゴール地点等を選択するユーザからの操作を受け付けるための各種スイッチ等を表示する。ここで、表示部25に表示される連結ポイントの選択画面の一例を図2に示す。図2に示した画面では、選択された連結ポイントの座標情報、及び連結ポイントの連結関係等が表示されている。
【0024】
操作入力部26は、表示部25の表示画面を覆うように設けられており、その表面には2次元座標(X−Y座標)が仮想的に配置されている。操作入力部26は、ユーザからの選択操作を受け付けるものであり、ユーザによるタッチ操作がなされると、そのタッチ位置に応じた座標情報を出力する。なお、タッチ位置の検出には、例えば、圧力、静電容量、赤外線、及び超音波等が利用される。操作入力部26は、各種スイッチ等の表示位置とユーザのタッチ位置を示す座標情報とに基づいて、ユーザの操作内容を判断する。そして、操作入力部26は、判断された操作内容を電子制御装置30に出力する。ここで、ユーザは、経路計画を行う際に、操作入力部26を操作することにより、部分地図を連結する連結ポイントを選択したり、スタート地点/ゴール地点等を設定することができる。すなわち、操作入力部26は、特許請求の範囲に記載の選択手段として機能する。
【0025】
電子制御装置30は、自律移動装置1の制御を統合的に司るものである。電子制御装置30は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及び、その記憶内容が保持されるバックアップRAM等から構成されている。また、電子制御装置30は、レーザレンジファインダ20、ジョイスティック21、タッチスクリーン24とマイクロプロセッサとを電気的に接続するインターフェイス回路、及び電動モータ12を駆動するドライバ回路等も備えている。
【0026】
電子制御装置30は、据付モードを実行することにより、SLAMを用いて複数の部分地図から構成される移動領域の環境地図を作成するとともに、部分地図上の連結ポイントの位置座標を登録する。また、電子制御装置30は、複数の部分地図にまたがる移動経路を計画する。さらに、電子制御装置30は、搬送モードを実行することにより、計画された移動経路に沿ってスタート地点からゴール地点まで複数の部分地図をまたいで自律移動するように電動モータ12を制御する。そのため、電子制御装置30は、局所地図作成部31、自己位置推定部32、部分地図作成部33、記憶部34、経路計画部35、走行制御部36、センサ情報取得部37、障害物回避制御部38、連結部44、及び切替部45等を備えている。なお、これらの各部は、上述したハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構築される。
【0027】
局所地図作成部31は、レーザレンジファインダ20から読み込まれた周囲の物体との距離情報・角度情報(特許請求の範囲に記載の位置情報に相当)に基づいて、レーザレンジファインダ20を原点にした自機周辺(レーザレンジファインダ20の検知可能範囲内)の局所地図を作成する。
【0028】
自己位置推定部32は、エンコーダ16から読み込まれた各電動モータ12の回転角度に応じて算出された自機の移動量を考慮して、局所地図と部分地図とを照合し、その結果に基づいて自己位置を推定する。また、自己位置推定部32は、ジョイスティック21(設定スイッチ23)から連結ポイント登録信号が入力されたときに、そのときの自己位置を環境地図上の連結ポイントの位置座標として記憶部34に登録する。
【0029】
部分地図作成部33は、誘導移動時(据付モード実行時)に、SLAMを利用して、移動領域の環境地図を構成する複数の部分地図を作成する。すなわち、部分地図作成部33は、特許請求の範囲に記載の作成手段として機能する。より具体的には、まず、部分地図作成部33は、局所地図作成部31から局所地図を取得するとともに、自己位置推定部32から自己位置を取得する。次に、部分地図作成部33は、レーザレンジファインダ20を原点にした局所地図を、レーザレンジファインダ20を原点にした座標系から部分地図の座標系に自己位置に合わせて座標変換することにより、局所地図を部分地図に投影する。そして、部分地図作成部33は、自律移動装置1が誘導されて移動している間中この処理を繰り返して実行し、局所地図を部分地図に順次足し込んで行く(継ぎ足してゆく)ことにより部分地図を作成する。また、部分地図作成部33は、同様にして、移動領域を形成する複数の領域毎に、対応する複数の部分地図を順次作成することにより、移動領域の全範囲をカバーする複数の部分地図を作成する。なお、移動領域の一部分のレイアウトのみが変更になった場合には、そのレイアウトが変更になった領域の部分地図のみを作成するようにしてもよい。
【0030】
連結部44は、ユーザの操作に基づいて、操作入力部26により選択された部分地図の連結ポイント間の連結関係(すなわち、どの連結ポイントとどの連結ポイントが連結されているか)を定める。すなわち、連結部44は、特許請求の範囲に記載の連結手段として機能する。ここで、連結ポイントで連結された部分地図の一例を図3に示す。図3に示された例では、環状の移動領域が4つの部分地図I〜IVから構成されている。また、部分地図Iの一端と部分地図IIの一端、及び部分地図Iの他端と部分地図IVの一端とが連結ポイントで連結されるとともに、部分地図IIの他端と部分地図IIIの一端、及び部分地図IVの他端と部分地図IIIの他端とが連結されている。また、移動領域のレイアウト変更に対応して、上述した部分地図IIIが入替えられた環境地図を図4に示す。図4に示した例では、図3に示された部分地図IIIから部分地図III’に入替えが行われている。このように、移動領域の一部分(ここでは部分地図IIIの領域)のレイアウトが変更になった場合には、そのレイアウトが変更になった領域の部分地図のみを入替えるとともに、連結関係を更新することにより、対応することができる。
【0031】
記憶部34は、例えば、上述したバックアップRAM等で構成されており、部分地図作成部33により作成された複数の部分地図を記憶する。また、記憶部34は、連結ポイントの位置座標、連結ポイントの連結関係を示す連結情報、及び後述する経路計画部35で計画される移動経路情報等を記憶する記憶領域を有しており、これらの情報も記憶する。
【0032】
経路計画部35は、部分地図作成部33で作成された複数の部分地図をまたぐ移動経路を計画する。より具体的には、経路計画部35は、作成された複数の部分地図毎に移動可能領域を抽出して細線化し、トポロジカルマップを用いて連結し、トポロジカルマップ上で最短経路探索を行った後に再び分割して、部分地図毎の移動経路を計画する。そのために、経路計画部35は、移動可能領域抽出部39、トポロジカルマップ作成部40、最短経路探索部41、分割部42、及び、計画部43を有している。
【0033】
移動可能領域抽出部39は、部分地図毎に、部分地図に含まれる障害物領域の輪郭を、Minkowski和を利用して、自機の半径だけ拡張して拡張障害物領域を作成し、該拡張障害物領域を除く領域を、障害物と接触することなく移動することができる移動可能領域として抽出する。次に、移動可能領域抽出部39は、Hilditchの細線化法を利用して、抽出した移動可能領域を細線化する。すなわち、移動可能領域抽出部39は、特許請求の範囲に記載の抽出手段として機能する。
【0034】
トポロジカルマップ作成部40は、複数の部分地図毎に、移動可能領域抽出部39により細線化された移動可能領域の分岐点(ノード)を探索し、分岐点の連結関係を表すトポロジカルマップを作成する。すなわち、トポロジカルマップ作成部40は、特許請求の範囲に記載のトポロジカルマップ作成手段として機能する。ここで、トポロジカルマップは、分岐点の連結関係と連結している分岐点間の距離のみを情報として有する(すなわち、座標の情報を持たない)マップである。
【0035】
最短経路探索部41は、トポロジカルマップ作成部40により作成された部分地図毎のトポロジカルマップを連結ポイントで連結し、連結されたトポロジカルマップ上において、A*アルゴリズム(Aスター・アルゴリズム)を利用して、スタート地点とゴール地点とをつなぐ最短経路を探索する。すなわち、最短経路探索部41は、特許請求の範囲に記載の探索手段として機能する。
【0036】
分割部42は、最短経路探索部41により探索された最短経路を、複数の部分地図毎のトポロジカルマップに分割する。すなわち、分割部42は、特許請求の範囲に記載の分割手段として機能する。また、計画部43は、分割部42により分割された部分地図毎に、トポロジカルマップ上の連結ポイントをつなぐ移動経路を計画する。すなわち、計画部43は、特許請求の範囲に記載の計画手段として機能する。
【0037】
走行制御部36は、据付モード実行時に、ジョイスティック21(レバー22)から入力される誘導制御(方向指示)信号に従って自律移動装置1が移動する(誘導される)ように電動モータ12を駆動する。一方、走行制御部36は、搬送モード実行時に、障害物を回避しながら、複数の部分地図をまたいで計画された移動経路に沿って自機をゴール地点まで自律移動させるように電動モータ12を制御する。すなわち、走行制御部36は、特許請求の範囲に記載の制御手段として機能する。
【0038】
ここで、本実施形態では、搬送モード実行時に、障害物を回避しながら移動経路に沿って自機をゴール地点まで自律移動させる制御方法として仮想ポテンシャル法を採用した。この仮想ポテンシャル法は、ゴール地点に対する仮想的な引力ポテンシャル場と、回避すべき障害物に対する仮想的な斥力ポテンシャル場とを作成して重ね合わせることで、障害物との接触を回避しつつゴール地点へ向かう方法である。より具体的には、走行制御部36は、まず、自己位置に基づいてゴール地点へ向かうための仮想引力を計算する。一方、障害物回避制御部38により、自己位置、移動速度、及び障害物の位置並びに速度に基づいて、障害物を回避するための仮想斥力が算出される。続いて、走行制御部36は、得られた仮想引力と、仮想斥力とをベクトル合成することにより仮想力ベクトルを計算する。そして、走行制御部36は、得られた仮想力ベクトルに応じて電動モータ12(オムニホイール13)を駆動することにより、障害物を回避しつつゴール地点へ移動するように自機の走行をコントロールする。
【0039】
また、移動中の部分地図から異なる部分地図に移る際には、切替部45によって、連結部44により定められた部分地図の連結ポイント間の連結関係に基づいて、移動に用いる部分地図が切替えられる。より具体的には、切替部45は、異なる部分地図に移る際に、使用する座標系を、移動中の部分地図の座標系から、移行先の部分地図の座標系に、図5の式(2)に示される座標変換マトリックスを用いて切替える。すなわち、切替部45は、特許請求の範囲に記載の切替手段として機能する。これにより、自律移動装置1は、複数の部分地図をまたいで自律移動することが可能となる。
【0040】
次に、図6〜図8を用いて自律移動装置1の動作について説明する。図6は、自律移動装置1による部分地図作成処理(据付モード)の処理手順を示すフローチャートである。図7は、自律移動装置1による経路計画処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図8は、自律移動装置1による自律移動処理(搬送モード)の処理手順を示すフローチャートである。図6〜図8に示される各処理は、主として電子制御装置30によって行われるものであり、ユーザからの操作によって起動され、実行される。
【0041】
始めに、図6に示される部分地図作成処理(据付モード)の処理手順について説明する。なお、部分地図作成処理を開始する前に、事前準備として、誘導経路上に置かれた可動物を排除しておくことが好ましい。また、自律移動装置1を誘導しつつ環境地図を作成しているときには、移動体がレーザレンジファインダ20の検知範囲に入らないようにすることが好ましい。
【0042】
ステップS100において、ユーザからの部分地図作成開始指示が受け付けられると、自律移動装置1が誘導されて移動を開始する。続くステップS102では、SLAMを利用して、部分地図が作成される。なお、部分地図の作成方法は上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
続いて、ステップS104では、ジョイスティック21(レバー22)から入力される誘導制御(方向指示)信号(すなわちユーザの操作)に従って自律移動装置1が誘導されて移動する。
【0044】
次に、ステップS106では、ジョイスティック21(設定スイッチ23)から連結ポイント登録信号が入力されたか否かについての判断が行われる。ここで、連結ポイント登録信号が入力された場合には、ステップS108において、その地点の自己位置が部分地図上の連結ポイントの位置座標として登録される。一方、連結ポイント登録信号が入力されていないときには、ステップS110に処理が移行する。
【0045】
ステップS110では、必要とされるすべての部分地図の作成が終了し、ユーザからの部分地図作成終了指示が受け付けられたか否かについての判断が行われる。ここで、部分地図作成終了指示が受け付けられていない場合には、ステップS102に処理が移行し、部分地図作成終了指示が受け付けられるまで、上述したステップS102〜ステップS108の処理が繰り返し実行され、複数の部分地図が作成される。一方、すべての部分地図の作成が終了し、部分地図作成終了指示が受け付けられたときには、部分地図作成処理(据付モード)が終了する。
【0046】
次に、図7に示される経路計画処理の処理手順について説明する。まず、ステップS200では、上述した部分地図作成処理によって作成された部分地図が読み込まれ(図9参照)、部分地図毎に、その部分地図に含まれている障害物領域の輪郭が自機の半径だけ拡張され、拡張障害物領域が生成される。
【0047】
続くステップS202では、部分地図からステップS200で生成された拡張障害物領域を除いた領域が、障害物と接触することなく移動することができる移動可能領域として抽出される。続いて、ステップS204では、抽出された移動可能領域の細線化処理が行われる(図10参照)。
【0048】
次に、ステップS206では、部分地図毎に、細線化された移動可能領域の分岐点(ノード)探索が実行される(図11参照)。続いて、ステップS208では、部分地図毎に、ステップS206で探索された分岐点の連結関係、及び連結している分岐点間の距離を表すトポロジカルマップが作成される(図12参照)。次に、ステップS210では、ステップS208で作成された部分地図毎のトポロジカルマップが選択された連結ポイントで連結される(図13参照)。
【0049】
続くステップS212では、ユーザから与えられたスタート地点とゴール地点を基点として、例えばA*アルゴリズムを用いて、トポロジカルマップ上のどの分岐点を通ると最小コスト(最短経路)になるかが求められる(図14参照)。続いて、ステップS214では、ステップS212で探索された最短経路が、部分地図毎のトポロジカルマップに再度分割される(図15参照)。そして、続くステップS216において、ステップS214で分割された部分地図毎に、トポロジカルマップに含まれる連結ポイントをつなぐ移動経路及びサブゴールが決定され、サブゴール点列(座標列)で表された経路情報が取得される(図16参照)。
【0050】
続いて、図8に示される自律移動処理(搬送モード)の処理手順について説明する。まず、ステップS300では、自己位置推定が行われる。すなわち、エンコーダ16から読み込まれた各電動モータ12の回転角度に応じて算出された自機の移動量を考慮して、局所地図と部分地図とが照合され、その結果に基づいて自己位置が推定される。
【0051】
続いて、ステップS302では、自律移動制御が実行され、障害物を回避しながら、上述した経路計画処理で計画された部分地図毎の移動経路に沿って自機をゴール地点まで部分地図をまたいで自律移動させるように電動モータ12が制御される。上述したように、本実施形態では、障害物を回避しながら移動経路に沿って自機をゴール地点まで移動させる制御方法として仮想ポテンシャル法を採用した。なお、仮想ポテンシャル法については上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0052】
続くステップS304では、部分地図の連結ポイントの近傍、つまり部分地図の切替領域に到達したか否かについての判断が行われる。より詳細には、自機を中心とする所定の半径(例えば、具体的には2mであって、センシングの有効範囲から決定される距離が好ましい)の円と、連結ポイントを中心とする所定の半径(例えば、具体的には2mであって、走行時に出力される最高速度から逆算された十分に地図を切替えることができる距離が好ましい)の円とが重なり合っているか否かにより部分地図の切替領域に到達したか否かが判断される。ここで、部分地図の切替領域に到達していない場合(すなわち円同士が重なり合っていない場合)には、ステップS308に処理が移行する。一方、部分地図の切替領域に到達しているとき(すなわち円同士が重なり合っているとき)には、ステップS306に処理が移行する。
【0053】
ステップS306では、使用される座標系が、移動中の部分地図の座標系から、移行先の部分地図の座標系に、上述した座標変換マトリックス(図5の式(2)参照)により切替えられる処理を伴って、使用される部分地図の切替えが行われる。その後、ステップS308に処理が移行する。なお、滑らかに走行するために、現在位置から先の複数のサブゴールに基づいて逐次的に設定されるターゲットを目標として自律移動装置1の移動制御が行われる場合には、連結ポイント近傍のサブゴール点列を移動中の部分地図と移行先の部分地図の両方で持つ重複区間が設定されるとともに、走行中に連結ポイント近傍で境界線が設定され、その境界線を自機がまたいだときに地図が切替えられる。
【0054】
ステップS308では、複数の部分地図をまたいで自機がゴール地点に到着したか否かについての判断が行われる。ここで、自機がゴール地点に到着していない場合には、ステップS300に処理が移行し、ゴール地点に到着するまで、上述したステップS300〜S306の処理が繰り返し実行される。一方、自機がゴール地点に到着したときには、自律移動処理(搬送モード)が終了する。
【0055】
本実施形態によれば、独立した複数の部分地図が作成されるとともに、部分地図作成時に連結ポイントが設定される。そして、部分地図同士を連結する連結ポイントが選択され、連結ポイント間の連結関係が定められる。よって、移動環境全体の環境地図を独立した部分地図に分割することにより、誤差の累積を抑制できるため、誤差の累積による環境地図の不整合を解消することが可能となる。また、各部分地図には、部分地図に含まれる連結ポイント間の連結関係が定められているため、この連結関係に従って異なる部分地図に移ることができる。
【0056】
さらに、本実施形態によれば、移動環境全体の環境地図が部分地図に分割されて管理されるため、移動領域の部分的なレイアウト変更があった場合に、レイアウトが変更になった部分地図のみを作成し直すとともに、作り直された部分地図のみを入替えることができる。よって、移動領域の部分的なレイアウト変更に柔軟に対応することが可能となる。
【0057】
本実施形態によれば、部分地図毎に、細線化された移動可能領域の分岐点(ノード)の連結関係がトポロジカルマップで表現されるとともに、部分地図毎に作成されたトポロジカルマップが連結されることにより、移動領域全体が1枚のトポロジカルマップで表現される。ここで、トポロジカルマップは、分岐点の連結関係と連結している分岐点間の距離のみを情報として有する(すなわち、座標の情報を持たない)マップであるため、連結したとしても、計測誤差による歪の影響を受けることがない。そして、連結されたトポロジカルマップを用いて最短経路検索が実行された後に、再度、トポロジカルマップが部分地図毎に分割され、検索された最短経路に従って移動経路が計画される。その結果、複数の部分地図をまたぐ最短の移動経路を計画することが可能となる。
【0058】
本実施形態によれば、複数の部分地図にまたがる移動経路に沿って自律移動する際に、移動中の部分地図から、異なる部分地図へ移る際に、部分地図間の連結関係に基づいて、部分地図が切替えられる。よって、複数の部分地図をまたいで目的地(ゴール地点)まで自律移動することが可能となる。
【0059】
本実施形態によれば、異なる部分地図に移る際に、移動中の部分地図の座標系から移行先の部分地図の座標系に座標系が切替えられる。よって、移動中の部分地図から移行先の部分地図に移ることが可能となる。
【0060】
上述した実施形態では、移動経路を計画する際に、ユーザにより設定された連結ポイントをそのまま利用したが、自律移動装置1が設定された連結ポイントの位置を最適化する連結ポイント最適化部(連結ポイント最適化手段)をさらに備える構成としてもよい。この場合、上述したステップS204とステップS206との間で次に説明する連結ポイント最適化処理(ステップS205)が実行される。ここで、図17を参照しつつ、連結ポイントの最適化処理について説明する。なお、図17において、「A」はユーザ入力等で予め準備された連結ポイント、「B」は最適化された連結ポイント、「S」はスタート地点、「G」はゴール地点、「L1」は連結ポイントAを通る仮の移動経路、「L2」は最適移動経路、「R1〜R8」は各マップの領域線、「P1〜P4」は重複領域の領域線を表す。
【0061】
ステップS205では、次の手順に沿って連結ポイントBが求められる。
(1)部分地図2を部分地図1の座標系に変換して、部分地図1+部分地図2のテンポラリマップを準備する。
(2)テンポラリマップ上で連結ポイントAを通る仮の移動経路L1を算出する。
(3)最適化手法(公知の手法、あるいは、例えば特願2008−231519に記載されている直線化手法、平滑化手法)で、最適経路L2を決定する。
(4)最適経路L2上で、部分地図1と部分地図2との重複領域に連結ポイントを置き換え、これを連結ポイントBとする。
【0062】
ここで、連結ポイントBの決定アルゴリズムについてより詳細に説明する。連結ポイントBは、最適経路L2と領域線R6との交点Bsをスタート、最適経路L2と領域線R4との交点Beをエンドとして、交点Bs〜交点Be間で所定ステップ刻みで以下の手順を繰り返すことにより決定される。
(5)n回目のステップとして連結ポイント候補B(n)を通り領域線R1に平行な直線を引き、この直線と各領域線R1〜R8との交点を求め、各交点とB(n)とを結ぶ線分の長さを求め、これらの線分のうち最小の線分の値をホールドする。
(6)領域線R2〜R8に対して、上記(5)の処理を行い、8つの最小値の中から最も小さい値h(n)をホールドする。
(7)n+1回目のステップに移り、次の連結ポイント候補B(n+1)に対して上記(5)(6)の処理を行い、線分の最小値h(n+1)をホールドする。
(8)h(n)とh(n+1)とを比較して、値の大きい方をh(n+1)に書きかえてホールドする。
(9)上記(5)〜(8)処理を、Bs〜Beまで所定ステップ毎に繰り返すことで、重複領域の領域線P1〜P4のそれぞれに対して総じて離れた点B(n)を算出し、これを新たな連結ポイントBとする。以上の処理により、重複領域の各領域線P1〜P4のそれぞれに対して総じて離れている、最適経路L2上の(最適化された)連結ポイントBを求めることができる。なお、連結ポイントが置き換えられた後は、この最適化された連結ポイントを利用して、上述したステップS206以降の処理が実行される。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、自律移動装置1を遠隔操作するための入力装置としてジョイスティック21を用いたが、自律移動装置1を誘導するとともに、連結ポイントを登録することができればよく、他の形式のリモートコントローラ等を利用してもよい。
【0064】
上記実施形態では、ユーザの操作に基づいて、部分地図の作成(連結ポイントの設定、選択)を行ったが、部分地図の作成を自動的に行う構成とすることもできる。例えば、部分地図を作成する際に、例えば自律移動装置の移動距離、部分地図の面積、及び/又はセンサ入力(例えば、連結ポイント付近に設置したマーカをカメラで検出した場合)等をトリガとして自動的に次の新規部分地図を作成するようにしてもよい。ここで、トリガをかけるための自律移動装置の移動距離や部分地図の面積等のしきい値は、自律移動装置のセンサ系が持つ地図作成時の累積誤差の度合いに応じて決定することができる。また、自動的に次の新規部分地図を作成する場合には、既成部分地図における現在の位置姿勢と新規部分地図における原点の位置姿勢を連結ポイントとして設定し、その2点を1組として選択し、地図切替に使用することができる。
【0065】
上記実施形態では、表示部25と操作入力部26が一体となったタッチスクリーン24を用いたが、表示手段として通常のディスプレイを用いるとともに、操作入力手段としてキーボード、マウス等を用いる構成としてもよい。
【0066】
上記実施形態では、レーザレンジファインダ20を用いて障害物との距離を測定したが、レーザレンジファインダに代えて又は加えて、例えばステレオカメラ、超音波センサ等を用いる構成としてもよい。
【0067】
上記実施形態では、車輪として全方位に移動可能なオムニホイール13を採用したが、通常の車輪(操舵輪及び駆動輪)を用いる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態に係る自律移動装置の構成を示すブロック図である。
【図2】連結点の選択画面の一例を示す図である。
【図3】部分地図の一例を示す図である。
【図4】レイアウト変更時における部分地図の入替えについて説明するための図である。
【図5】部分地図の座標変換マトリックスを示す図である。
【図6】実施形態に係る自律移動装置による部分地図作成処理(据付モード)の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る自律移動装置による経路計画処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係る自律移動装置による自律移動処理(搬送モード)の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】部分地図に分割された環境地図の一例を示す図である。
【図10】移動可能領域の細線化が施された部分地図を示す図である。
【図11】ノード(分岐点)探索が行われた部分地図を示す図である。
【図12】分割されたトポロジカルマップを示す図である。
【図13】連結されたトポロジカルマップを示す図である。
【図14】最短経路探索が行われたトポロジカルマップを示す図である。
【図15】再び分割されたトポロジカルマップを示す図である。
【図16】移動経路が計画された部分地図を示す図である。
【図17】接続ポイントの最適化について説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
1 自律移動装置
10 本体
12 電動モータ
13 オムニホイール
14 ホイール
15 フリーローラ
16 エンコーダ
20 レーザレンジファインダ
21 ジョイスティック
22 レバー
23 設定スイッチ
24 タッチスクリーン
25 表示部
26 操作入力部
30 電子制御装置
31 局所地図作成部
32 自己位置推定部
33 部分地図作成部
34 記憶部
35 経路計画部
36 走行制御部
37 センサ情報取得部
38 障害物回避制御部
39 移動可能領域抽出部
40 トポロジカルマップ作成部
41 最短経路探索部
42 分割部
43 計画部
44 連結部
45 切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に存在する物体の位置情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記物体の位置情報に基づいて、移動領域の環境地図を構成する複数の部分地図を作成する作成手段と、
前記作成手段により前記複数の部分地図が作成される際に、前記複数の部分地図を連結する連結点を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された連結点の中から、互いに連結する部分地図それぞれの連結点を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記部分地図の連結点間の連結関係を定める連結手段と、を備える、ことを特徴とする自律移動装置。
【請求項2】
前記作成手段により作成された前記複数の部分地図それぞれについて、移動可能領域を抽出して細線化する抽出手段と、
前記複数の部分地図毎に、前記抽出手段により細線化された移動可能領域の分岐点を探索し、該分岐点の連結関係を表すトポロジカルマップを作成するトポロジカルマップ作成手段と、
前記トポロジカルマップ作成手段により作成された部分地図毎のトポロジカルマップを、前記選択手段により選択された連結点で連結し、連結されたトポロジカルマップでの最短経路を探索する探索手段と、
前記探索手段により探索された最短経路を、前記複数の部分地図毎のトポロジカルマップに分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された部分地図毎に、トポロジカルマップに含まれる連結点をつなぐ移動経路を計画する計画手段と、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の自律移動装置。
【請求項3】
自機を移動させる移動手段と、
前記計画手段により前記複数の部分地図毎に計画された移動経路に沿って自律して移動するように前記移動手段を制御する制御手段と、
移動中の部分地図から、異なる部分地図に移る際に、前記連結手段により定められた部分地図の連結点間の連結関係に基づいて、移動に用いる部分地図を、移行先の部分地図に切替える切替手段と、を備える、ことを特徴とする請求項2に記載の自律移動装置。
【請求項4】
前記切替手段は、異なる部分地図に移る際に、使用する座標系を、移動中の部分地図の座標系から、移行先の部分地図の座標系に切替えることを特徴とする請求項3に記載の自律移動装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−92147(P2010−92147A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259402(P2008−259402)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト、ロボット搬送システム(サービスロボット分野)、全方向移動自律搬送ロボット開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】