自然換気用窓
【課題】障子開操作装置によって所定量だけ強制的に開窓させ、その状態から自然に開窓するようにすることで、障子の可動性を良好とする。
【解決手段】自然換気用窓1は、縦框上部に一端が枢着され他端が低い位置において縦枠に枢着された上部側アーム4と、縦框中間部に一端が枢着され他端が低い位置において縦枠に枢着された下部側アーム5とを有し、障子の閉状態において、上部側アーム4は縦框側枢着点Aが縦枠側枢着点Bよりも室外側に位置するとともに、縦枠側枢着点Bが障子の重心Kよりも室内側に位置し、窓下枠2Bに対して、障子3の下框3Bを外部側に押し出して障子3を開操作する障子開操作装置17を設け、閉窓状態から障子開操作装置17によって障子3を開操作し所定の開度になると自動的に開窓を始め、力の釣り合いが取れた状態で静止状態となる。
【解決手段】自然換気用窓1は、縦框上部に一端が枢着され他端が低い位置において縦枠に枢着された上部側アーム4と、縦框中間部に一端が枢着され他端が低い位置において縦枠に枢着された下部側アーム5とを有し、障子の閉状態において、上部側アーム4は縦框側枢着点Aが縦枠側枢着点Bよりも室外側に位置するとともに、縦枠側枢着点Bが障子の重心Kよりも室内側に位置し、窓下枠2Bに対して、障子3の下框3Bを外部側に押し出して障子3を開操作する障子開操作装置17を設け、閉窓状態から障子開操作装置17によって障子3を開操作し所定の開度になると自動的に開窓を始め、力の釣り合いが取れた状態で静止状態となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風圧によって開度を自動調節しながら、風力換気や重力換気などの自然換気を行うための窓に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シックハウス対策等のために室内換気を頻繁に行うことが推奨されている。換気方法には、自然換気と機械換気に大別される。そして、前者の自然換気は、風力換気と重力換気とに分類される。風力換気は、室内の異なった面の2つの窓を開放し、風上側では正圧、風下側では負圧が生じることを利用して、換気を図るものであり、重力換気は、暖められた空気は軽くなって上昇する原理を利用して換気を図るものである。
【0003】
前記自然換気を行う窓としては、例えば下記特許文献1記載の窓や、下記特許文献2記載の窓が提案されている。具体的に特許文献1では、窓枠と、この窓枠に水平回転軸を介して回動自在に取付けられた平板状の障子部と、前記障子部の上部又は下部の少なくとも一方に設置された重りとを有し、前記水平回転軸が、この回転軸を中心として、前記重りを含んだ障子部の一方の重心に係る回転モーメントと、障子部の他方の重心に係る回転モーメントとが釣り合う位置に設けられており、前記重りの作用により、無風状態又は建築物の風下側に位置する窓では前記障子部を前記窓枠に対して予め定められた角度で開放させる障子部開放手段と、建築物の風上側に位置する窓では外面に受ける風圧により前記障子部を閉塞する障子部閉塞手段とを備えた窓が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、部屋又は建屋の外部に面して取り付けられる窓枠と、窓枠に納まり窓を閉めた状態と窓枠から外部へ向って辷り出して開く障子を有する自然風力換気窓であって、窓枠の両側の堅枠と、障子の竪框間に夫々設けられ竪框上部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において堅枠に枢着された短い長さのメインアームと、竪框中間部に一端が枢着され他端が竪枠下部に枢着されメインアームよりも長い長さのサブアームとを有し、障子を閉めた状態において、各アームは夫々ほぼ垂直方向を向いて、各アームの竪框への枢着位置が各アームの竪枠への枢着位置の上方に位置し、且つ、各アームの竪枠への枢着位置が障子の重心よりも室内側にあって、無風時には障子の重量によって緩やかに開窓し、開窓時には外部側から障子に向って吹く風によって閉窓する自然風力換気窓が提案されている。
【特許文献1】特開平10−18457号公報
【特許文献2】特許第3774741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の自然換気窓の場合は、水平回転軸を境に上側に当たる風圧と、下側に当たる風圧とでは逆方向の回転をせしめることとなり、その面積差が障子を回転させる風圧の有効面積となる。そのため、重りが重くなるとともに、全体の慣性重力が大きくなる。その結果、微風時の開閉動作が緩慢である、大きな力でストッパーに当接し衝撃音が発生するなどの問題があった。また、障子の上側が室内側に突出することとなり、網戸を設けることができないとともに、外観が損なわれるなどの問題もあった。
【0006】
一方、上記特許文献2記載の自然風力換気窓の場合は、部屋又は建屋の外部に面して取り付けられる窓枠から外部へ向って辷り出して開く障子を有する窓構造であり、室内側へ障子が突出しない点で外観が優れ、かつ微風時(風圧小)における障子の開閉動作が敏感に行われるなどの利点を有する。この自然風力換気窓の場合、障子が閉じた状態から自然に開窓が行われるようにしているが、閉窓状態から障子が始動を開始する開窓力は、若干傾斜させて配置したメインアームとサブアームとに発生する回転モーメントによる。しかし、この回転モーメントの力は小さいため、経年によって錆やガタが発生してヒンジ部分の可動性が悪くなると、障子が自然に開窓しない事態が生じ換気が一切できなくなるという問題があった。
【0007】
さらには、横方向に障子を連接した連窓窓とした場合、障子の重量や重りによってバランスを取るようにした窓構造では、個々の障子毎に軸部のガタや摩擦の程度、製作誤差、施工誤差などの要因によって、障子の開き程度に少しづつ差が生じ、障子が綺麗に整列しないなどの問題もあった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、部屋又は建屋の外部に面して取り付けられる窓枠から下框側が外部へ向って辷り出して開く障子を有する窓構造の下で、微風時においても障子の開閉動作が敏感に行われるようにするとともに、障子開操作装置によって所定量だけ強制的に開窓させると、その状態から自然に開窓するようにすることで、障子の可動性を良好とするとともに、強風によって急激に障子が閉められた場合に、その衝撃及び衝撃音を緩和することにある。
【0009】
また、障子の自然開閉動作を阻害することなく、障子静止状態での開き程度を調整する障子開度調整機構を備えることで、連窓窓とした場合でも連設した障子を綺麗に整列可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、部屋又は建物の外壁に取り付けられる窓枠と、この窓枠に収容され下框側が外部へ向って辷り出して開く障子とからなる自然換気用窓において、
前記自然換気用窓は、窓枠の縦枠と障子の縦框との間に夫々、縦框上部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠に枢着された相対的に短い長さの上部側アームと、縦框中間部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠に枢着された相対的に長い長さの下部側アームとを有し、
障子の閉状態において、前記上部側アームは縦框側の枢着位置が縦枠側枢着位置よりも室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着位置が障子の重心よりも室内側に位置し、
かつ前記窓枠の下枠に対して、障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作する障子開操作装置を設け、
閉窓状態から前記障子開操作装置によって障子を開操作し所定の開度になると障子が自重によって自動的に開窓を始め、力の釣り合いが取れた平衡状態で静止状態を保持し、この静止状態から外部側又は内部側からの風圧によって自動的に開度を調整することを特徴とする自然換気用窓が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明においては、特に、障子の閉状態において、前記上部側アームは縦框側の枢着位置が縦枠側枢着位置よりも室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着位置が障子の重心よりも室内側に位置し、前記下部側アームは縦框側の枢着位置が縦枠側枢着位置を通る鉛直線上か僅かに室内側に位置するようにし、かつ前記窓枠の下枠に対して、障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作する障子開操作装置を設けるようにしてある。
【0012】
前記上部側アームにおいては、縦框側枢着点に作用する障子自重によって上部側アームを外側方向に回動させるモーメントM1が発生する。また、前記下部側アームについては、図9に示される例では、鉛直に配向するか、或いは上部側アームとは逆に僅かに縦框側枢着点(上部側)を室内側に傾けた状態で配置しているため、下部側アームにはモーメントは発生しないか、僅かに室内側に回動させる方向のモーメントが発生するだけである。前記上部側アームに発生するモーメントM1は、障子を閉じる方向の力として作用するため、障子単独では、閉窓状態で障子は閉状態を保持するようになっている。従って、障子の始動は、前記障子開操作装置によって、障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作させる。
【0013】
前記障子開操作装置によって障子を開け始めると、下部側アームが外側に傾き、これに伴って下部側アームにも障子を外側方向に回動させるモーメントM2が発生する。このモーメントM2の増加割合は、アーム長が長い分だけ上部側アームよりも大きく、所定の開度になり、概略的にはM2>M1の関係が成立すると、障子を開く方向の力が勝って障子が自重によって自動的に開窓を始める。自動的に開窓し始める状態では、前記障子開操作装置による押出し力は必要がないため、例えば障子と離隔するようにし前記障子開操作装置からの力が及ばない構造とする。その後、力の釣り合いが取れた平衡状態で障子は静止状態を保持するようになる。
【0014】
その静止状態で、障子に掛かる外部側又は内部側からの風圧によって自動的に開度を調整するようになる。すなわち、外側から風圧(正圧)が掛かると、障子が閉じる方向に回動し、障子の開度を狭めることにより流入する風量を低減させる。その後に無風状態になると障子は元の開度まで戻る。また、負圧が増大したり、室内側からの気流が増大すると、障子が開く方向に回動し、障子の開度を拡げることにより流入する風量を増大させる。その後に気流が減少したり負圧が掛からなくなると障子は元の開度まで戻る。
【0015】
上記自然換気用窓の場合は、閉窓状態から障子を始動させる力を、前記障子開操作装置によって与えるようにしているため、経年によって回動部に錆やガタが発生したとしても、障子は良好な可動状態を維持し続けることが可能となる。
【0016】
請求項2に係る本発明として、前記障子開操作装置は、取付け用ベースと、この取付け用ベースに鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、先端に衝合ローラを備えた蹴出し用アームと、この蹴出し用アームを外側回動方向に付勢する付勢手段とから構成される請求項1記載の自然換気用窓が提供される。
【0017】
上記請求項2記載の発明では、前記障子開操作装置の具体的構造例を示したものである。具体的には、取付け用ベースと、この取付け用ベースに鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、先端に衝合ローラを備えた蹴出し用アームと、この蹴出し用アームを外側回動方向に付勢する付勢手段とから構成される。
【0018】
この構造の場合は、前記蹴出しアームがバネ等の付勢力によって障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作させる。また、障子が閉じられるほどの強風となった際には、障子の下框が前記蹴出し用アームの衝合ローラに衝突した後、蹴出し用アームに作用している付勢力によって衝撃を緩衝させながら障子が閉まるため、窓枠への衝撃や衝撃音を緩和させることが可能となる。
【0019】
請求項3に係る本発明として、前記取付け用ベースに、蹴出し用アームの外側回動位置を規制するストッパーを備える請求項2記載の自然換気用窓が提供される。
【0020】
上記請求項3記載の発明では、前記取付け用ベースに、蹴出し用アームの外側回動位置を規制するストッパーを備えるようにすることで、前記蹴出し用アームが必要以上に障子を押し出さないようにしている。
【0021】
請求項4に係る本発明として、前記下部側アームの縦框側枢着位置よりも上部側となる縦枠位置に滑車を設け、一端を前記下部側アームの縦框側枢着点に繋止させ、前記滑車を巻回させた索材の他端にバネ部材の一端を連結し、前記バネ部材の他端を上下方向に位置調整可能とした上下位置調整機構に連結したことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の自然換気用窓が提供される。
【0022】
上記請求項4記載の発明では、前記下部側アームの縦框側枢着位置よりも上部側となる縦枠位置に滑車を設け、一端を前記下部側アームの縦框側枢着点に繋止させ、前記滑車を巻回させた索材の他端にバネ部材の一端を連結し、前記バネ部材の他端を上下方向に位置調整可能とした上下位置調整機構に連結した。従って、前記バネ部材の他端の上下方向位置を調整することで、障子が静止した状態での開度を任意に調整することが可能となり、連窓窓とした場合でも各障子を綺麗に整列させることが可能となる。
【0023】
請求項5に係る本発明として、前記上下位置調整機構は、縦方向に配置された送りネジ部材と、この送りネジ部材に螺合させたナット状部材と、このナット状部材と共に移動するスライド部材とからなる送りネジ機構とされ、前記バネ部材の他端が前記スライド部材に連結されている請求項4記載の自然換気用窓が提供される。
【0024】
上記請求項5記載の発明は、前記上下位置調整機構の具体的構造例を示したものである。送りネジ機構とすれば、障子を開いた状態で簡単かつ精度良く、障子の開度を調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上詳説のとおり本発明によれば、部屋又は建屋の外部に面して取り付けられる窓枠から下框側が外部へ向って辷り出して開く障子を有する窓構造の下で、微風時においても障子の開閉動作が敏感に行われるとともに、障子開操作装置によって所定量だけ強制的に開窓させると、その状態から自然に開窓するようにすることで、障子の可動性を良好とすることが可能となる。また、強風によって急激に障子が閉められた場合には、前記障子開操作装置によって衝撃及び衝撃音を緩和することができる。
【0026】
また、特に請求項4,5に係る発明によれば、障子の自然開閉動作を阻害することなく、障子静止状態での開き程度を調整する障子開度調整機構を備えることで、連窓窓とした場合でも連設した障子を綺麗に整列させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔自然換気用窓1の構造〕
図1は自然換気用窓1の内観図、図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図である。
【0028】
自然換気窓1は、図1〜図3に示されるように、上枠2A、下枠2B及び縦枠2C、2Dを四方組した窓枠2の内部側に、上框3A、下框3B及び縦框3C、3Dを四方組し、内部にガラスGを嵌め込んだ障子3を収容するとともに、障子3の下框3B側が外側に向かって辷り出して開くようにしたものである。
【0029】
前記障子3の支持構造は、窓枠2の縦枠2C、2Dと障子3の縦框3C、3Dとの間に夫々、縦框3C、3Dの上部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠2C、2Dに枢着された相対的に短い長さの上部側アーム4、4と、縦框3C、3Dの中間部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠2C、2Dに枢着された相対的に長い長さの下部側アーム5、5とを有する。
【0030】
以下、更に具体的に詳述する。
【0031】
前記窓枠2は、アルミ合金からなる上枠2A、下枠2B及び縦枠2C、2Dを四方組して枠体と成したものである。前記上枠2A、下枠2B及び縦枠2C、2Dはそれぞれ、室内側寄り位置にシール保持片2a、2b、2c及び2dを備え、先端部に固形シール6を備えている。
【0032】
前記障子3は、同じくアルミ合金からなる上框3A、下框3B及び縦框3C、3Dを四方組し、内部にガラスGを嵌合支持する。障子3を閉めた状態では、前記上框3A、下框3B及び縦框3C、3Dの室内面側が前記固形シール6に当接することにより気水密性が保持されるようになっている。
【0033】
図4に示されるように、縦框3C(3D)の側面に補強台座板7A、7Bを配設するとともに、縦枠2C(2D)の内面側に補強台座板8を配設し、構造的補強を兼ねた枢着台座用部材を設置する。なお、設置に当たっては、窓部材を介した反対側に裏当材を配置して、ビス止めとしている。
【0034】
前記上部側アーム4は、図5に示されるように、縦框3C(3D)側枢着点Aとなる上部端が前記補強台座板7Aに対して枢着され、縦枠2C(2D)側枢着点Bとなる下部端が前記補強台座板8に対して枢着されている。この際、前記上部側アーム4は閉状態において、図9にも示されるように、縦框側枢着点Aが縦枠側枢着点Bよりもシフト量S1だけ室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着点Bが障子の重心Kよりも室内側に位置している。
【0035】
一方、前記下部側アーム5は、図6に示されるように、縦框3C(3D)側枢着点Cとなる上部端が前記補強台座板7A、7Bに対して枢着され、縦枠2C(2D)側枢着点Dとなる下部端が前記補強台座板8に対して枢着されている。この際、前記下部側アーム5は、閉状態において、図9にも示されるように、縦框側枢着点Cが縦枠側枢着点Dを通る鉛直線上か、前記上部側アーム4とは反対に室内側に僅かに偏倚させている。この偏倚量は、1〜10mm、好ましくは1〜5mmとする。図示例では、縦框側枢着点Cが縦枠側枢着点Dよりも1mmだけ室内側に偏倚させている。
【0036】
なお、前記下部側アーム5は、図4に示されるように、サイズの異なる窓に対しても適用可能なように、2つの部材をビスによって連結させて1本のアームを構成するようにしている。合わせ面にはギザ加工を施し、これらが噛合することにより縦ズレしないようになっている。
【0037】
上記自然換気用窓1においては、図7に示されるように、前記下部側アーム5の縦框側枢着点Cよりも上部側となる縦枠位置に滑車9を設け、一端を前記下部側アーム5の縦框側枢着点Cに繋止させ、前記滑車9を巻回させたワイヤー10の他端にバネ部材11の一端を連結し、前記バネ部材11の他端を上下方向に位置調整可能とした上下位置調整機構12に連結している。前記バネ部材11は、引張りバネとして機能し、ワイヤー10を介して下部側アーム5の縦框側枢着点Cに、障子3の開度に応じて、ワイヤー方向に沿って障子3を閉める力となる引込み力Pを作用させる。
【0038】
前記上下位置調整機構12は、縦方向に配置された送りネジ部材13と、この送りネジ部材13に螺合させたナット状部材14と、このナット状部材14と共に移動するスライド部材15とからなる送りネジ機構とされ、前記バネ部材11の他端が前記スライド部材15に連結されている。前記スライド部材15は、送りネジ部材13が縦方向に貫通する通孔を有するとともに、この通孔を横断する横溝内にナット状部材14を回転自在に保持する構造となっており、前記ナット状部材14を手動操作で回転させることにより、ナット状部材14と共に一体的に上下動し、前記引込み力Pを調整できるようになっている。
【0039】
一方、前記窓枠2の下枠2Bに対して、障子3の下框3Bを所定量だけ外部側に押し出して障子3を開操作する障子開操作装置17を設けている。この障子開操作装置17は、図8に示されるように、取付け用ベース18と、この取付け用ベース18に鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、先端に衝合ローラ20を備えた蹴出し用アーム19と、この蹴出し用アーム19を外側回動方向に付勢する付勢手段(ねじりバネ)21とから構成される。好ましくは、前記取付け用ベース18に、蹴出し用アーム19の外側回動位置を規制するストッパー18aを備えるようにする。
【0040】
前記取付け用ベース18は、板状の本体18Aの側部に上側に起立するバネ掛止片18bを有するとともに、上側に起立するストッパー片18aを備える部材であり、回動軸22が設けられ、この回動軸22に前記蹴出し用アーム19が鉛直軸回りに回動自在に取り付けられている。蹴出し用アーム19の先端に設けられる衝合ローラ20は、樹脂製又はゴム製とするのが望ましい。前記回動軸22には、ねじりバネ21が外嵌されており、その一端を前記バネ係止片18bに掛止させ、他端を蹴出し用アーム19のバネ掛止片19aに掛止させることにより、前記蹴出し用アーム19に外側回動方向に付勢する付勢力を与えるようにしている。なお、障子3の下框3Bには、図7に示されるように、前記衝合ローラ20の衝突位置に衝合ブロック23が配設されている。
前記障子開操作装置17は、障子3の重量に抗して下框側を所定量だけ外部側に押し出すのに要する作用力に応じて必要個数だけ設けられる。図示例では、図10に示されるように、左右に2箇所配置している。
【0041】
〔障子3の作動説明〕
(障子3の閉窓状態)
図9及び図10に示される閉窓状態では、前記上部側アーム4には、縦框側枢着点Aに作用する障子自重w(W/4)によって、縦枠側枢着点Bを中心として上部側アーム4を外側方向に回動させるモーメントM1(w・S1)が発生する。また、前記下部側アーム5においては、鉛直に配向するか、或いは上部側アームとは逆に僅かに縦框側枢着点(上部側)を室内側に傾けた状態で配置しているため、下部側アーム5にはモーメントは発生しないか、僅かに室内側に回動させる方向のモーメントが発生するだけである。前記上部側アーム4に発生するモーメントM1は、下部側アームの縦框側枢着点Cを中心として、障子3の下框3B側を閉じる方向の力として作用するため、閉窓状態で障子3単独では閉状態を保持する構造となっているが、前記障子開操作装置17によって自動的に障子3の下框3Bが外側に押し出されるため、障子3を閉状態に保持するには施錠装置(図示せず)によって施錠する必要がある。
【0042】
(障子3の開操作)
図11及び図12に示されるように、施錠装置を解錠すると、前記障子開操作装置17による押出し力によって障子3が開き始める。これに伴って、下部側アーム5が外側に傾き、下部側アーム5にも障子3を外側方向に回動させる開方向モーメントM2(w・S2)が発生する。また、下部側アーム5の縦框側枢着点Cにワイヤ張力Pによって障子3を閉じる方向に作用させる閉方向モーメントM4(P・S4)が発生する。さらに、障子3の重心Kが下部側アーム5の縦框側枢着点Cよりも室外側に移動することによって、障子3を閉じる方向に作用させる閉方向モーメントM3(W・S3)が発生する。
【0043】
前記下部側アーム5のモーメントM2の増加割合は、アーム長が長いため上部側アーム4よりも大きく、所定の開度(L1)になり、M2>M1+M3+M4の関係が成立すると、それ以上は障子3を開く方向の力が閉じる方向の力よりも勝って障子3が自動的に開窓を始めるようになる。この段階で、前記障子開操作装置17の衝合ローラ20は障子3の下框3Bから離れるようになっている。従って、前記障子開操作装置17による障子下框3Bの押出し量は、障子3が自動的に開窓し始める位置に若干の余裕を持たせた量とするのがよい。
【0044】
(障子3の釣合状態)
図13及び図14に示されるように、障子3が自動的に開窓し始め、所定の開度(L2)になると、障子3を閉める方向に作用する閉方向モーメントM1、M3、M4が増大し、障子3を開く方向に作用させる開方向モーメントM2と釣り合う。すなわち、ΣM1〜4=0となって力の釣り合いが取れた平衡状態で静止状態を保持するようになる。
【0045】
その後は、この静止状態で、障子3に掛かる外部側又は内部側からの風圧によって自動的に開度を調整するようになる。すなわち、外側から風圧(正圧)が掛かると、障子3が閉じる方向に回動し、障子3の開度を狭めることにより流入する風量を低減させる。その後に無風状態になると障子3は元の開度まで戻る。また、負圧が増大したり、室内側からの気流が増大すると、障子3が開く方向に回動し、障子3の開度を拡げることにより流入する風量を増大させる。その後に気流が減少したり負圧が掛からなくなると障子3は元の開度まで戻る。
また、強風によって障子3が閉じられた場合でも、前記障子開操作装置17が障子3の下框3Bを外側に押し出すため、障子3は元の開度まで戻る。
【0046】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、単一の窓について説明したが、横方向に障子3,3…を連接した連窓窓に対しても同様に適用することができる。この場合は、前記上下位置調整機構12によって、障子3の開度を調整することにより、各障子3,3…を綺麗に整列させることが可能となる。
(2)上記形態例では、前記下部側アーム5において、図9に示されるように、鉛直に配向するか、或いは上部側アームとは逆に僅かに縦框側枢着点C(上部側)を室内側に傾けた状態で配置することにより、障子単独では、閉窓状態で障子3は閉状態を保持するようにしたが、障子3は閉止状態を保持することなく、上部側アーム4及び下部側アーム5に作用するモーメントM1、M2によって、自然に開窓するようにしてもよい。
【0047】
具体的には、図15に示されるように、障子3の閉状態において、前記下部側アーム5についても、前記上部側アーム4と同様に、縦框側枢着点Cが縦枠側枢着点Dよりもシフト量S2だけ室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着点Dが障子の重心Kよりも室内側に位置させるようにしてもよい。この構造とすることによって、前記上部側アーム4には、縦框側枢着点Aに作用する障子自重wによって上部側アーム4を外側方向に回動させるモーメントM1が発生するとともに、前記下部側アーム5においても、縦框側枢着点Cに作用する障子自重wによって下部側アーム5を外側方向に回動させるモーメントM2が発生するため、障子3は閉止状態から自然に開窓を始める。
【0048】
障子3が自動的に開窓を始める構造に対して、本発明の障子開操作装置17を設けた場合であっても、障子3が閉じられるほどの強風となった際には、障子3の下框3Bが前記蹴出し用アーム19の衝合ローラ20に衝突した後、蹴出し用アーム19に作用している付勢力によって衝撃を緩衝させながら障子3が閉まるため、窓枠2への衝撃や衝撃音を緩和させることが可能となる。
(3)図7に示されるように、上部側アーム4の下部に、ストッパー16を配置して、障子3の最大開度を規制することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】自然換気用窓1の内観図である。
【図2】図1のII−II線矢視図(縦断面図)である。
【図3】図1のIII−III線矢視図(横断面図)である。
【図4】障子3と窓枠2との連結状態を示す片側正面図である。
【図5】図4のV−V線矢視図である。
【図6】図4のVI−VI線矢視図である。
【図7】障子3と窓枠2との連結状態を示す縦断面図である。
【図8】障子開操作装置17を示す、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図9】障子3の作動状態を説明するための閉窓状態図である。
【図10】図9のX-X線矢視図である。
【図11】障子3の作動状態を説明するための開操作状態図である。
【図12】図11のXII-XII線矢視図である。
【図13】障子3の作動状態を説明するための釣合状態図である。
【図14】図13のXIV-XIV線矢視図である。
【図15】下部側アーム5の変形例を示す障子閉状態断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…自然換気用窓、2…窓枠、3…障子、4…上部側アーム、5…下部側アーム、9…滑車、10…ワイヤ、11…バネ部材、12…上下位置調整機構、13…送りネジ部材、14…ナット状部材、15…スライド部材、17…障子開操作装置、18…取付けベース、19…蹴出し用アーム、20…衝合ローラ、21…ねじりバネ
【技術分野】
【0001】
本発明は、風圧によって開度を自動調節しながら、風力換気や重力換気などの自然換気を行うための窓に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シックハウス対策等のために室内換気を頻繁に行うことが推奨されている。換気方法には、自然換気と機械換気に大別される。そして、前者の自然換気は、風力換気と重力換気とに分類される。風力換気は、室内の異なった面の2つの窓を開放し、風上側では正圧、風下側では負圧が生じることを利用して、換気を図るものであり、重力換気は、暖められた空気は軽くなって上昇する原理を利用して換気を図るものである。
【0003】
前記自然換気を行う窓としては、例えば下記特許文献1記載の窓や、下記特許文献2記載の窓が提案されている。具体的に特許文献1では、窓枠と、この窓枠に水平回転軸を介して回動自在に取付けられた平板状の障子部と、前記障子部の上部又は下部の少なくとも一方に設置された重りとを有し、前記水平回転軸が、この回転軸を中心として、前記重りを含んだ障子部の一方の重心に係る回転モーメントと、障子部の他方の重心に係る回転モーメントとが釣り合う位置に設けられており、前記重りの作用により、無風状態又は建築物の風下側に位置する窓では前記障子部を前記窓枠に対して予め定められた角度で開放させる障子部開放手段と、建築物の風上側に位置する窓では外面に受ける風圧により前記障子部を閉塞する障子部閉塞手段とを備えた窓が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、部屋又は建屋の外部に面して取り付けられる窓枠と、窓枠に納まり窓を閉めた状態と窓枠から外部へ向って辷り出して開く障子を有する自然風力換気窓であって、窓枠の両側の堅枠と、障子の竪框間に夫々設けられ竪框上部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において堅枠に枢着された短い長さのメインアームと、竪框中間部に一端が枢着され他端が竪枠下部に枢着されメインアームよりも長い長さのサブアームとを有し、障子を閉めた状態において、各アームは夫々ほぼ垂直方向を向いて、各アームの竪框への枢着位置が各アームの竪枠への枢着位置の上方に位置し、且つ、各アームの竪枠への枢着位置が障子の重心よりも室内側にあって、無風時には障子の重量によって緩やかに開窓し、開窓時には外部側から障子に向って吹く風によって閉窓する自然風力換気窓が提案されている。
【特許文献1】特開平10−18457号公報
【特許文献2】特許第3774741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の自然換気窓の場合は、水平回転軸を境に上側に当たる風圧と、下側に当たる風圧とでは逆方向の回転をせしめることとなり、その面積差が障子を回転させる風圧の有効面積となる。そのため、重りが重くなるとともに、全体の慣性重力が大きくなる。その結果、微風時の開閉動作が緩慢である、大きな力でストッパーに当接し衝撃音が発生するなどの問題があった。また、障子の上側が室内側に突出することとなり、網戸を設けることができないとともに、外観が損なわれるなどの問題もあった。
【0006】
一方、上記特許文献2記載の自然風力換気窓の場合は、部屋又は建屋の外部に面して取り付けられる窓枠から外部へ向って辷り出して開く障子を有する窓構造であり、室内側へ障子が突出しない点で外観が優れ、かつ微風時(風圧小)における障子の開閉動作が敏感に行われるなどの利点を有する。この自然風力換気窓の場合、障子が閉じた状態から自然に開窓が行われるようにしているが、閉窓状態から障子が始動を開始する開窓力は、若干傾斜させて配置したメインアームとサブアームとに発生する回転モーメントによる。しかし、この回転モーメントの力は小さいため、経年によって錆やガタが発生してヒンジ部分の可動性が悪くなると、障子が自然に開窓しない事態が生じ換気が一切できなくなるという問題があった。
【0007】
さらには、横方向に障子を連接した連窓窓とした場合、障子の重量や重りによってバランスを取るようにした窓構造では、個々の障子毎に軸部のガタや摩擦の程度、製作誤差、施工誤差などの要因によって、障子の開き程度に少しづつ差が生じ、障子が綺麗に整列しないなどの問題もあった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、部屋又は建屋の外部に面して取り付けられる窓枠から下框側が外部へ向って辷り出して開く障子を有する窓構造の下で、微風時においても障子の開閉動作が敏感に行われるようにするとともに、障子開操作装置によって所定量だけ強制的に開窓させると、その状態から自然に開窓するようにすることで、障子の可動性を良好とするとともに、強風によって急激に障子が閉められた場合に、その衝撃及び衝撃音を緩和することにある。
【0009】
また、障子の自然開閉動作を阻害することなく、障子静止状態での開き程度を調整する障子開度調整機構を備えることで、連窓窓とした場合でも連設した障子を綺麗に整列可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、部屋又は建物の外壁に取り付けられる窓枠と、この窓枠に収容され下框側が外部へ向って辷り出して開く障子とからなる自然換気用窓において、
前記自然換気用窓は、窓枠の縦枠と障子の縦框との間に夫々、縦框上部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠に枢着された相対的に短い長さの上部側アームと、縦框中間部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠に枢着された相対的に長い長さの下部側アームとを有し、
障子の閉状態において、前記上部側アームは縦框側の枢着位置が縦枠側枢着位置よりも室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着位置が障子の重心よりも室内側に位置し、
かつ前記窓枠の下枠に対して、障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作する障子開操作装置を設け、
閉窓状態から前記障子開操作装置によって障子を開操作し所定の開度になると障子が自重によって自動的に開窓を始め、力の釣り合いが取れた平衡状態で静止状態を保持し、この静止状態から外部側又は内部側からの風圧によって自動的に開度を調整することを特徴とする自然換気用窓が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明においては、特に、障子の閉状態において、前記上部側アームは縦框側の枢着位置が縦枠側枢着位置よりも室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着位置が障子の重心よりも室内側に位置し、前記下部側アームは縦框側の枢着位置が縦枠側枢着位置を通る鉛直線上か僅かに室内側に位置するようにし、かつ前記窓枠の下枠に対して、障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作する障子開操作装置を設けるようにしてある。
【0012】
前記上部側アームにおいては、縦框側枢着点に作用する障子自重によって上部側アームを外側方向に回動させるモーメントM1が発生する。また、前記下部側アームについては、図9に示される例では、鉛直に配向するか、或いは上部側アームとは逆に僅かに縦框側枢着点(上部側)を室内側に傾けた状態で配置しているため、下部側アームにはモーメントは発生しないか、僅かに室内側に回動させる方向のモーメントが発生するだけである。前記上部側アームに発生するモーメントM1は、障子を閉じる方向の力として作用するため、障子単独では、閉窓状態で障子は閉状態を保持するようになっている。従って、障子の始動は、前記障子開操作装置によって、障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作させる。
【0013】
前記障子開操作装置によって障子を開け始めると、下部側アームが外側に傾き、これに伴って下部側アームにも障子を外側方向に回動させるモーメントM2が発生する。このモーメントM2の増加割合は、アーム長が長い分だけ上部側アームよりも大きく、所定の開度になり、概略的にはM2>M1の関係が成立すると、障子を開く方向の力が勝って障子が自重によって自動的に開窓を始める。自動的に開窓し始める状態では、前記障子開操作装置による押出し力は必要がないため、例えば障子と離隔するようにし前記障子開操作装置からの力が及ばない構造とする。その後、力の釣り合いが取れた平衡状態で障子は静止状態を保持するようになる。
【0014】
その静止状態で、障子に掛かる外部側又は内部側からの風圧によって自動的に開度を調整するようになる。すなわち、外側から風圧(正圧)が掛かると、障子が閉じる方向に回動し、障子の開度を狭めることにより流入する風量を低減させる。その後に無風状態になると障子は元の開度まで戻る。また、負圧が増大したり、室内側からの気流が増大すると、障子が開く方向に回動し、障子の開度を拡げることにより流入する風量を増大させる。その後に気流が減少したり負圧が掛からなくなると障子は元の開度まで戻る。
【0015】
上記自然換気用窓の場合は、閉窓状態から障子を始動させる力を、前記障子開操作装置によって与えるようにしているため、経年によって回動部に錆やガタが発生したとしても、障子は良好な可動状態を維持し続けることが可能となる。
【0016】
請求項2に係る本発明として、前記障子開操作装置は、取付け用ベースと、この取付け用ベースに鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、先端に衝合ローラを備えた蹴出し用アームと、この蹴出し用アームを外側回動方向に付勢する付勢手段とから構成される請求項1記載の自然換気用窓が提供される。
【0017】
上記請求項2記載の発明では、前記障子開操作装置の具体的構造例を示したものである。具体的には、取付け用ベースと、この取付け用ベースに鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、先端に衝合ローラを備えた蹴出し用アームと、この蹴出し用アームを外側回動方向に付勢する付勢手段とから構成される。
【0018】
この構造の場合は、前記蹴出しアームがバネ等の付勢力によって障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作させる。また、障子が閉じられるほどの強風となった際には、障子の下框が前記蹴出し用アームの衝合ローラに衝突した後、蹴出し用アームに作用している付勢力によって衝撃を緩衝させながら障子が閉まるため、窓枠への衝撃や衝撃音を緩和させることが可能となる。
【0019】
請求項3に係る本発明として、前記取付け用ベースに、蹴出し用アームの外側回動位置を規制するストッパーを備える請求項2記載の自然換気用窓が提供される。
【0020】
上記請求項3記載の発明では、前記取付け用ベースに、蹴出し用アームの外側回動位置を規制するストッパーを備えるようにすることで、前記蹴出し用アームが必要以上に障子を押し出さないようにしている。
【0021】
請求項4に係る本発明として、前記下部側アームの縦框側枢着位置よりも上部側となる縦枠位置に滑車を設け、一端を前記下部側アームの縦框側枢着点に繋止させ、前記滑車を巻回させた索材の他端にバネ部材の一端を連結し、前記バネ部材の他端を上下方向に位置調整可能とした上下位置調整機構に連結したことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の自然換気用窓が提供される。
【0022】
上記請求項4記載の発明では、前記下部側アームの縦框側枢着位置よりも上部側となる縦枠位置に滑車を設け、一端を前記下部側アームの縦框側枢着点に繋止させ、前記滑車を巻回させた索材の他端にバネ部材の一端を連結し、前記バネ部材の他端を上下方向に位置調整可能とした上下位置調整機構に連結した。従って、前記バネ部材の他端の上下方向位置を調整することで、障子が静止した状態での開度を任意に調整することが可能となり、連窓窓とした場合でも各障子を綺麗に整列させることが可能となる。
【0023】
請求項5に係る本発明として、前記上下位置調整機構は、縦方向に配置された送りネジ部材と、この送りネジ部材に螺合させたナット状部材と、このナット状部材と共に移動するスライド部材とからなる送りネジ機構とされ、前記バネ部材の他端が前記スライド部材に連結されている請求項4記載の自然換気用窓が提供される。
【0024】
上記請求項5記載の発明は、前記上下位置調整機構の具体的構造例を示したものである。送りネジ機構とすれば、障子を開いた状態で簡単かつ精度良く、障子の開度を調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上詳説のとおり本発明によれば、部屋又は建屋の外部に面して取り付けられる窓枠から下框側が外部へ向って辷り出して開く障子を有する窓構造の下で、微風時においても障子の開閉動作が敏感に行われるとともに、障子開操作装置によって所定量だけ強制的に開窓させると、その状態から自然に開窓するようにすることで、障子の可動性を良好とすることが可能となる。また、強風によって急激に障子が閉められた場合には、前記障子開操作装置によって衝撃及び衝撃音を緩和することができる。
【0026】
また、特に請求項4,5に係る発明によれば、障子の自然開閉動作を阻害することなく、障子静止状態での開き程度を調整する障子開度調整機構を備えることで、連窓窓とした場合でも連設した障子を綺麗に整列させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔自然換気用窓1の構造〕
図1は自然換気用窓1の内観図、図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図である。
【0028】
自然換気窓1は、図1〜図3に示されるように、上枠2A、下枠2B及び縦枠2C、2Dを四方組した窓枠2の内部側に、上框3A、下框3B及び縦框3C、3Dを四方組し、内部にガラスGを嵌め込んだ障子3を収容するとともに、障子3の下框3B側が外側に向かって辷り出して開くようにしたものである。
【0029】
前記障子3の支持構造は、窓枠2の縦枠2C、2Dと障子3の縦框3C、3Dとの間に夫々、縦框3C、3Dの上部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠2C、2Dに枢着された相対的に短い長さの上部側アーム4、4と、縦框3C、3Dの中間部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠2C、2Dに枢着された相対的に長い長さの下部側アーム5、5とを有する。
【0030】
以下、更に具体的に詳述する。
【0031】
前記窓枠2は、アルミ合金からなる上枠2A、下枠2B及び縦枠2C、2Dを四方組して枠体と成したものである。前記上枠2A、下枠2B及び縦枠2C、2Dはそれぞれ、室内側寄り位置にシール保持片2a、2b、2c及び2dを備え、先端部に固形シール6を備えている。
【0032】
前記障子3は、同じくアルミ合金からなる上框3A、下框3B及び縦框3C、3Dを四方組し、内部にガラスGを嵌合支持する。障子3を閉めた状態では、前記上框3A、下框3B及び縦框3C、3Dの室内面側が前記固形シール6に当接することにより気水密性が保持されるようになっている。
【0033】
図4に示されるように、縦框3C(3D)の側面に補強台座板7A、7Bを配設するとともに、縦枠2C(2D)の内面側に補強台座板8を配設し、構造的補強を兼ねた枢着台座用部材を設置する。なお、設置に当たっては、窓部材を介した反対側に裏当材を配置して、ビス止めとしている。
【0034】
前記上部側アーム4は、図5に示されるように、縦框3C(3D)側枢着点Aとなる上部端が前記補強台座板7Aに対して枢着され、縦枠2C(2D)側枢着点Bとなる下部端が前記補強台座板8に対して枢着されている。この際、前記上部側アーム4は閉状態において、図9にも示されるように、縦框側枢着点Aが縦枠側枢着点Bよりもシフト量S1だけ室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着点Bが障子の重心Kよりも室内側に位置している。
【0035】
一方、前記下部側アーム5は、図6に示されるように、縦框3C(3D)側枢着点Cとなる上部端が前記補強台座板7A、7Bに対して枢着され、縦枠2C(2D)側枢着点Dとなる下部端が前記補強台座板8に対して枢着されている。この際、前記下部側アーム5は、閉状態において、図9にも示されるように、縦框側枢着点Cが縦枠側枢着点Dを通る鉛直線上か、前記上部側アーム4とは反対に室内側に僅かに偏倚させている。この偏倚量は、1〜10mm、好ましくは1〜5mmとする。図示例では、縦框側枢着点Cが縦枠側枢着点Dよりも1mmだけ室内側に偏倚させている。
【0036】
なお、前記下部側アーム5は、図4に示されるように、サイズの異なる窓に対しても適用可能なように、2つの部材をビスによって連結させて1本のアームを構成するようにしている。合わせ面にはギザ加工を施し、これらが噛合することにより縦ズレしないようになっている。
【0037】
上記自然換気用窓1においては、図7に示されるように、前記下部側アーム5の縦框側枢着点Cよりも上部側となる縦枠位置に滑車9を設け、一端を前記下部側アーム5の縦框側枢着点Cに繋止させ、前記滑車9を巻回させたワイヤー10の他端にバネ部材11の一端を連結し、前記バネ部材11の他端を上下方向に位置調整可能とした上下位置調整機構12に連結している。前記バネ部材11は、引張りバネとして機能し、ワイヤー10を介して下部側アーム5の縦框側枢着点Cに、障子3の開度に応じて、ワイヤー方向に沿って障子3を閉める力となる引込み力Pを作用させる。
【0038】
前記上下位置調整機構12は、縦方向に配置された送りネジ部材13と、この送りネジ部材13に螺合させたナット状部材14と、このナット状部材14と共に移動するスライド部材15とからなる送りネジ機構とされ、前記バネ部材11の他端が前記スライド部材15に連結されている。前記スライド部材15は、送りネジ部材13が縦方向に貫通する通孔を有するとともに、この通孔を横断する横溝内にナット状部材14を回転自在に保持する構造となっており、前記ナット状部材14を手動操作で回転させることにより、ナット状部材14と共に一体的に上下動し、前記引込み力Pを調整できるようになっている。
【0039】
一方、前記窓枠2の下枠2Bに対して、障子3の下框3Bを所定量だけ外部側に押し出して障子3を開操作する障子開操作装置17を設けている。この障子開操作装置17は、図8に示されるように、取付け用ベース18と、この取付け用ベース18に鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、先端に衝合ローラ20を備えた蹴出し用アーム19と、この蹴出し用アーム19を外側回動方向に付勢する付勢手段(ねじりバネ)21とから構成される。好ましくは、前記取付け用ベース18に、蹴出し用アーム19の外側回動位置を規制するストッパー18aを備えるようにする。
【0040】
前記取付け用ベース18は、板状の本体18Aの側部に上側に起立するバネ掛止片18bを有するとともに、上側に起立するストッパー片18aを備える部材であり、回動軸22が設けられ、この回動軸22に前記蹴出し用アーム19が鉛直軸回りに回動自在に取り付けられている。蹴出し用アーム19の先端に設けられる衝合ローラ20は、樹脂製又はゴム製とするのが望ましい。前記回動軸22には、ねじりバネ21が外嵌されており、その一端を前記バネ係止片18bに掛止させ、他端を蹴出し用アーム19のバネ掛止片19aに掛止させることにより、前記蹴出し用アーム19に外側回動方向に付勢する付勢力を与えるようにしている。なお、障子3の下框3Bには、図7に示されるように、前記衝合ローラ20の衝突位置に衝合ブロック23が配設されている。
前記障子開操作装置17は、障子3の重量に抗して下框側を所定量だけ外部側に押し出すのに要する作用力に応じて必要個数だけ設けられる。図示例では、図10に示されるように、左右に2箇所配置している。
【0041】
〔障子3の作動説明〕
(障子3の閉窓状態)
図9及び図10に示される閉窓状態では、前記上部側アーム4には、縦框側枢着点Aに作用する障子自重w(W/4)によって、縦枠側枢着点Bを中心として上部側アーム4を外側方向に回動させるモーメントM1(w・S1)が発生する。また、前記下部側アーム5においては、鉛直に配向するか、或いは上部側アームとは逆に僅かに縦框側枢着点(上部側)を室内側に傾けた状態で配置しているため、下部側アーム5にはモーメントは発生しないか、僅かに室内側に回動させる方向のモーメントが発生するだけである。前記上部側アーム4に発生するモーメントM1は、下部側アームの縦框側枢着点Cを中心として、障子3の下框3B側を閉じる方向の力として作用するため、閉窓状態で障子3単独では閉状態を保持する構造となっているが、前記障子開操作装置17によって自動的に障子3の下框3Bが外側に押し出されるため、障子3を閉状態に保持するには施錠装置(図示せず)によって施錠する必要がある。
【0042】
(障子3の開操作)
図11及び図12に示されるように、施錠装置を解錠すると、前記障子開操作装置17による押出し力によって障子3が開き始める。これに伴って、下部側アーム5が外側に傾き、下部側アーム5にも障子3を外側方向に回動させる開方向モーメントM2(w・S2)が発生する。また、下部側アーム5の縦框側枢着点Cにワイヤ張力Pによって障子3を閉じる方向に作用させる閉方向モーメントM4(P・S4)が発生する。さらに、障子3の重心Kが下部側アーム5の縦框側枢着点Cよりも室外側に移動することによって、障子3を閉じる方向に作用させる閉方向モーメントM3(W・S3)が発生する。
【0043】
前記下部側アーム5のモーメントM2の増加割合は、アーム長が長いため上部側アーム4よりも大きく、所定の開度(L1)になり、M2>M1+M3+M4の関係が成立すると、それ以上は障子3を開く方向の力が閉じる方向の力よりも勝って障子3が自動的に開窓を始めるようになる。この段階で、前記障子開操作装置17の衝合ローラ20は障子3の下框3Bから離れるようになっている。従って、前記障子開操作装置17による障子下框3Bの押出し量は、障子3が自動的に開窓し始める位置に若干の余裕を持たせた量とするのがよい。
【0044】
(障子3の釣合状態)
図13及び図14に示されるように、障子3が自動的に開窓し始め、所定の開度(L2)になると、障子3を閉める方向に作用する閉方向モーメントM1、M3、M4が増大し、障子3を開く方向に作用させる開方向モーメントM2と釣り合う。すなわち、ΣM1〜4=0となって力の釣り合いが取れた平衡状態で静止状態を保持するようになる。
【0045】
その後は、この静止状態で、障子3に掛かる外部側又は内部側からの風圧によって自動的に開度を調整するようになる。すなわち、外側から風圧(正圧)が掛かると、障子3が閉じる方向に回動し、障子3の開度を狭めることにより流入する風量を低減させる。その後に無風状態になると障子3は元の開度まで戻る。また、負圧が増大したり、室内側からの気流が増大すると、障子3が開く方向に回動し、障子3の開度を拡げることにより流入する風量を増大させる。その後に気流が減少したり負圧が掛からなくなると障子3は元の開度まで戻る。
また、強風によって障子3が閉じられた場合でも、前記障子開操作装置17が障子3の下框3Bを外側に押し出すため、障子3は元の開度まで戻る。
【0046】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、単一の窓について説明したが、横方向に障子3,3…を連接した連窓窓に対しても同様に適用することができる。この場合は、前記上下位置調整機構12によって、障子3の開度を調整することにより、各障子3,3…を綺麗に整列させることが可能となる。
(2)上記形態例では、前記下部側アーム5において、図9に示されるように、鉛直に配向するか、或いは上部側アームとは逆に僅かに縦框側枢着点C(上部側)を室内側に傾けた状態で配置することにより、障子単独では、閉窓状態で障子3は閉状態を保持するようにしたが、障子3は閉止状態を保持することなく、上部側アーム4及び下部側アーム5に作用するモーメントM1、M2によって、自然に開窓するようにしてもよい。
【0047】
具体的には、図15に示されるように、障子3の閉状態において、前記下部側アーム5についても、前記上部側アーム4と同様に、縦框側枢着点Cが縦枠側枢着点Dよりもシフト量S2だけ室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着点Dが障子の重心Kよりも室内側に位置させるようにしてもよい。この構造とすることによって、前記上部側アーム4には、縦框側枢着点Aに作用する障子自重wによって上部側アーム4を外側方向に回動させるモーメントM1が発生するとともに、前記下部側アーム5においても、縦框側枢着点Cに作用する障子自重wによって下部側アーム5を外側方向に回動させるモーメントM2が発生するため、障子3は閉止状態から自然に開窓を始める。
【0048】
障子3が自動的に開窓を始める構造に対して、本発明の障子開操作装置17を設けた場合であっても、障子3が閉じられるほどの強風となった際には、障子3の下框3Bが前記蹴出し用アーム19の衝合ローラ20に衝突した後、蹴出し用アーム19に作用している付勢力によって衝撃を緩衝させながら障子3が閉まるため、窓枠2への衝撃や衝撃音を緩和させることが可能となる。
(3)図7に示されるように、上部側アーム4の下部に、ストッパー16を配置して、障子3の最大開度を規制することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】自然換気用窓1の内観図である。
【図2】図1のII−II線矢視図(縦断面図)である。
【図3】図1のIII−III線矢視図(横断面図)である。
【図4】障子3と窓枠2との連結状態を示す片側正面図である。
【図5】図4のV−V線矢視図である。
【図6】図4のVI−VI線矢視図である。
【図7】障子3と窓枠2との連結状態を示す縦断面図である。
【図8】障子開操作装置17を示す、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図9】障子3の作動状態を説明するための閉窓状態図である。
【図10】図9のX-X線矢視図である。
【図11】障子3の作動状態を説明するための開操作状態図である。
【図12】図11のXII-XII線矢視図である。
【図13】障子3の作動状態を説明するための釣合状態図である。
【図14】図13のXIV-XIV線矢視図である。
【図15】下部側アーム5の変形例を示す障子閉状態断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…自然換気用窓、2…窓枠、3…障子、4…上部側アーム、5…下部側アーム、9…滑車、10…ワイヤ、11…バネ部材、12…上下位置調整機構、13…送りネジ部材、14…ナット状部材、15…スライド部材、17…障子開操作装置、18…取付けベース、19…蹴出し用アーム、20…衝合ローラ、21…ねじりバネ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋又は建物の外壁に取り付けられる窓枠と、この窓枠に収容され下框側が外部へ向って辷り出して開く障子とからなる自然換気用窓において、
前記自然換気用窓は、窓枠の縦枠と障子の縦框との間に夫々、縦框上部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠に枢着された相対的に短い長さの上部側アームと、縦框中間部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠に枢着された相対的に長い長さの下部側アームとを有し、
障子の閉状態において、前記上部側アームは縦框側の枢着位置が縦枠側枢着位置よりも室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着位置が障子の重心よりも室内側に位置し、
かつ前記窓枠の下枠に対して、障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作する障子開操作装置を設け、
閉窓状態から前記障子開操作装置によって障子を開操作し所定の開度になると障子が自重によって自動的に開窓を始め、力の釣り合いが取れた平衡状態で静止状態を保持し、この静止状態から外部側又は内部側からの風圧によって自動的に開度を調整することを特徴とする自然換気用窓。
【請求項2】
前記障子開操作装置は、取付け用ベースと、この取付け用ベースに鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、先端に衝合ローラを備えた蹴出し用アームと、この蹴出し用アームを外側回動方向に付勢する付勢手段とから構成される請求項1記載の自然換気用窓。
【請求項3】
前記取付け用ベースに、蹴出し用アームの外側回動位置を規制するストッパーを備える請求項2記載の自然換気用窓。
【請求項4】
前記下部側アームの縦框側枢着位置よりも上部側となる縦枠位置に滑車を設け、一端を前記下部側アームの縦框側枢着点に繋止させ、前記滑車を巻回させた索材の他端にバネ部材の一端を連結し、前記バネ部材の他端を上下方向に位置調整可能とした上下位置調整機構に連結したことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の自然換気用窓。
【請求項5】
前記上下位置調整機構は、縦方向に配置された送りネジ部材と、この送りネジ部材に螺合させたナット状部材と、このナット状部材と共に移動するスライド部材とからなる送りネジ機構とされ、前記バネ部材の他端が前記スライド部材に連結されている請求項4記載の自然換気用窓。
【請求項1】
部屋又は建物の外壁に取り付けられる窓枠と、この窓枠に収容され下框側が外部へ向って辷り出して開く障子とからなる自然換気用窓において、
前記自然換気用窓は、窓枠の縦枠と障子の縦框との間に夫々、縦框上部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠に枢着された相対的に短い長さの上部側アームと、縦框中間部に一端が枢着され他端が前記一端よりも低い位置において縦枠に枢着された相対的に長い長さの下部側アームとを有し、
障子の閉状態において、前記上部側アームは縦框側の枢着位置が縦枠側枢着位置よりも室外側に位置するとともに、前記縦枠側枢着位置が障子の重心よりも室内側に位置し、
かつ前記窓枠の下枠に対して、障子の下框を所定量だけ外部側に押し出して障子を開操作する障子開操作装置を設け、
閉窓状態から前記障子開操作装置によって障子を開操作し所定の開度になると障子が自重によって自動的に開窓を始め、力の釣り合いが取れた平衡状態で静止状態を保持し、この静止状態から外部側又は内部側からの風圧によって自動的に開度を調整することを特徴とする自然換気用窓。
【請求項2】
前記障子開操作装置は、取付け用ベースと、この取付け用ベースに鉛直軸回りに回動自在に支持されるとともに、先端に衝合ローラを備えた蹴出し用アームと、この蹴出し用アームを外側回動方向に付勢する付勢手段とから構成される請求項1記載の自然換気用窓。
【請求項3】
前記取付け用ベースに、蹴出し用アームの外側回動位置を規制するストッパーを備える請求項2記載の自然換気用窓。
【請求項4】
前記下部側アームの縦框側枢着位置よりも上部側となる縦枠位置に滑車を設け、一端を前記下部側アームの縦框側枢着点に繋止させ、前記滑車を巻回させた索材の他端にバネ部材の一端を連結し、前記バネ部材の他端を上下方向に位置調整可能とした上下位置調整機構に連結したことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の自然換気用窓。
【請求項5】
前記上下位置調整機構は、縦方向に配置された送りネジ部材と、この送りネジ部材に螺合させたナット状部材と、このナット状部材と共に移動するスライド部材とからなる送りネジ機構とされ、前記バネ部材の他端が前記スライド部材に連結されている請求項4記載の自然換気用窓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−95895(P2010−95895A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266981(P2008−266981)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
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