説明

自転車モード付きパーソナルナビゲーションデバイス

【課題】PNDにおいて自転車走行に最適な経路探索を行う。
【解決手段】表示部と、GPS衛星から送出されるGPS信号に基づいて現在地を求めるGPS測位手段と、道路の距離及び勾配に関する情報を含むマップ情報を記憶するマップ記憶部と、現在地から目的地までの複数の経路を探索する経路探索部とを備え、経路探索部は、マップ情報を用いて経路の距離及び勾配に基づいてランク付けを行い、ランク付けされた経路はランク順に表示部に表示されることを特徴とするパーソナルナビゲーションデバイスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車にも対応可能なパーソナルナビゲーションデバイス(Personal Navigation Device;PND)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から据え置き型の車載用ナビゲーション装置が実用に供されている。据え置き型の車載用ナビゲーション装置では、GPS(Global Positioning System)衛星から発信されるGPS信号に基づいて取得される位置情報のほか、内蔵するジャイロセンサ又は地磁気センサより得られる方位情報や車両が備える車速計から得られる車速情報を併用することにより、車両の現在位置を高精度に算出する機能を搭載している。
【0003】
そして近年では、PNDと呼ばれる携帯型のナビゲーション装置が提案されている。PNDでは、据え置き型の車載用ナビゲーション装置とは異なり持ち運び自在であり、車載用としてのみならず、車外に持ち出して歩行用のナビゲーション装置として使用したり、PNDを自動車から自動二輪車に付け替えることで、自動車の運転環境に対応したナビゲーションから自動二輪車の運転環境に対応したナビゲーションを行ったりすることができる。
【0004】
PNDでは、GPS信号を受信して現在位置の測位を行う。また、ジャイロセンサ、地磁気センサ、加速度センサ等を内蔵するPNDや、車両とケーブル等により接続して車両の車速計が発する車速パルス信号を受信するためのコネクタを装備しているPNDでは、これらのセンサや信号を測位演算に加味することにより現在位置をより高精度に算出することもできる。
【0005】
このようなPNDとして特許文献1のようなものが提案されている。このPNDでは、現在地から目的地までの経路探索において、VICS(道路交通情報通信システム)又はATIS(交通情報サービス)等の道路情報報知ステーションから得られる各道路の交通情報や駐車場管理センタ等の情報収集センタから得られる各施設の利用状況等を踏まえて、経路の行程が最も短くなる条件、目的地への到達時間が最短となる条件、金銭的費用が最も最小となる条件等を考慮して複数の経路を探索し、ユーザに提供する。さらに、複数の経路が分岐する分岐点においては、最短時間で目的地に到着する、高速道路等の法定速度がより高い道路を利用する、最小の交通費用で目的地に到着する、有料道路を迂回するといったユーザが求める条件を加味して複数の経路を探索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−227294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これら従来のPNDは、主に自動車、自動二輪車、徒歩に用いられることを想定しており、経路探索において各経路における道路の勾配に関しては重視されていない。従って、これらのPNDを自転車に用いる際、例えば現在地から目的地に至る経路中に坂道を上る経路が含まれている場合、自転車走行では坂道を迂回した経路の方が時間短縮になるとしても、道路の勾配を考慮していないため、坂道を通る経路よりも坂道を迂回した経路を優先して経路案内を行うことができない。
【0008】
また、近年では、下り坂を慣性走行しているときやブレーキにより減速しているときに発電を行って電池に充電する回生充電機能付きの電動アシスト自転車が普及している。回生充電機能付きの電動アシスト自転車による走行においては、ユーザが走行中に効率良く充電することができるような経路を希望する場合も想定される。電動アシスト自転車では、一定の速度以上になるとモータの補助機能が作動しなくなるように設定されており、このため回生充電機能も停止するため、電動アシスト自転車において効率良く充電を行いながら走行する場合の経路案内にも対応するには、探索経路に下り坂が含まれる場合、回生充電機能が停止しない速度範囲で走行可能な緩やかな勾配の坂がある経路を優先して選択する必要もある。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、道路の勾配を考慮して自転車走行に最適な経路探索機能を搭載したPNDを提供することである。また、回生充電機能付きの電動アシスト自転車か否かの判断を行い、道路の勾配と回生充電の動作条件を加味した経路探索を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態におけるPNDは、自転車走行時に現在地から目的地までの複数の経路を探索することが可能なパーソナルナビゲーションデバイスであって、パーソナルナビゲーションデバイスは、表示部と、GPS衛星から送出されるGPS信号に基づいて現在地を求めるGPS測位手段と、道路の距離及び勾配に関する情報を含むマップ情報を記憶するマップ記憶部と、現在地から目的地までの複数の経路を探索する経路探索部とを備え、経路探索部は、マップ情報を用いて経路の距離及び勾配に基づいてランク付けを行い、ランク付けされた経路はランク順に表示部に表示される。これにより、本発明のPNDを自転車に装着した際に、道路の勾配を考慮した自転車走行に最適な経路探索を行うことができる。
【0011】
好ましくは、パーソナルナビゲーションデバイスは、さらに、ユーザからの入力を受ける操作部と、操作部からの入力に基づいて、自転車が回生充電機能付き電動アシスト自転車であるか否かを判定する判定部を備え、判定部により、自転車が回生充電機能付き電動アシスト自転車であると判定された場合は、経路探索部は、下り坂に相当する経路の距離及び勾配に対して補正を行い、該補正された距離及び勾配を加味してランク付けを行い、判定部により、自転車が回生充電機能付き電動アシスト自転車でないと判定された場合は、経路探索部は、上り坂に相当する経路の距離及び勾配に対して補正を行い、該補正された距離及び勾配を加味してランク付けを行う。また、経路探索部は、坂の勾配が緩やかであるほどより良好な経路としてランク付けを行う。これにより、電動アシスト自転車、特に回生充電機能付き電動アシスト自転車に本発明のPNDを装着した際に、自転車に回生充電機能が搭載されている場合は下り坂にて回生充電を行うために下り坂の経路に補正を行って経路探索を行い、自転車に回生充電機能が搭載されていない場合はできるだけ急勾配の上り坂は避けて走行するために上り坂の経路に補正を行って経路探索を行う。従って、いずれの自転車を走行する場合でも、快適な自転車走行を行うことが可能な経路を探索することができる。
【0012】
さらに好ましくは、パーソナルナビゲーションデバイスは、さらに、記憶メモリと、目的地への到着予想時刻を算出する時刻推定部と、自転車の走行時に走行距離及び走行時間を計測する計測部とを備え、計測部により、坂ごとに走行距離及び走行時間が計測され、坂ごとの走行距離及び走行時間と操作部から入力されるユーザ識別情報とが関連付けられて記憶メモリに記憶され、時刻推定部は、記憶メモリに記憶された坂ごとの走行距離及び走行時間を用いて各ユーザに対応する到着予想時刻を算出し、到着予想時刻は表示部に表示される。このため、各ユーザの自転車走行を学習して経路探索を行うことができるため、ユーザの脚力を加味したより正確な所要時間と共に経路案内を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のPNDによれば、上記のように、経路中の道路の勾配を考慮した経路検索を行って、自転車走行時にも快適に目的地に到着することができる経路案内を提供することができる。また、回生充電機能付きの自転車の場合は、走行中に効率良く充電することが可能な経路を探索することができる。また、自転車の種類のみならず、走行データからユーザの脚力を学習して各ユーザにより正確な到着予想時刻を計算して、より的確な経路案内を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態におけるPNDの概略の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるPNDの経路探索を示すフローチャートである。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態におけるPNDによって検索される経路の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態におけるPNDについて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態におけるPND100の概略を示すブロック図である。アンテナ1は、GPS衛星からのGPS信号を受信する。アンテナ1により受信されたGPS信号は、GPS測位手段としてのGPSレシーバ2に送られる。GPSレシーバ2は、GPS信号をGPS帯域外のノイズを減衰してダウンコンバートするRF(Radio Frequency)部2aと、ダウンコンバートされた信号のサンプリング、捕捉、追尾、測位演算を行うことにより得られる測位結果を算出するデジタル処理部2bとを備える。デジタル処理部2bでは、複数のGPS衛星からのGPS信号より航法データを得て、コード位相(疑似距離)、キャリア周波数(疑似距離レート)、キャリア位相(デルタ疑似距離)、SN比、GPSレシーバ2におけるGPSタイムラグを求める。そして、複数のGPS衛星からの測定値とデータ、疑似距離等に基づいて、自車の位置、速度、方位、時刻を測位演算する。測位演算により算出されたGPS測位結果はCPU3に送られる。
【0017】
PND100は、ユーザからの入力を受けるための操作部5を備える。操作部5はタッチパネルからなり、ユーザの操作に応じて種々の機能の実行を行うためのメニューやボタン、メッセージ等が表示される。なお、操作部5にはタッチパネルのほか、リモートコントローラやジョグダイヤル等を採用することもできる。便宜上、図1では、タッチパネルの表示部4と操作部5とを別々のブロックとして示している。ユーザは操作部5を操作して、PND100の使用環境(自動車、自動二輪車、自転車、徒歩等)に合わせて経路探索の動作モードを変更したり、経路探索における種々の条件を入力したりする。操作部5におけるユーザからの入力はCPU3に送られる。
【0018】
マップ記憶部6には、現在位置の表示や経路案内に使用される地図等のマップ情報が格納されている。マップ情報には等高線等の道路勾配に関する情報や自転車を除く一方通行の道路に関する情報をはじめとする種々の道路交通情報も含まれている。
【0019】
CPU3は、操作部5におけるユーザの入力に基づいてPND100の種々の処理を実行する。経路探索を行う場合は、ユーザから自動車、自動二輪車、自転車、徒歩等の使用状況に対応するモードの指定を受け付け、各モードに合わせて道路交通情報等の探索条件を変えて処理を行う。ユーザはモードを指定した後に目的地の入力を行う。さらに、ユーザから最短距離や最小費用等の所望の追加条件の入力を受け付ける構成としてもよい。これらのユーザからの入力は操作部5を介してCPU3によって受信される。CPU3の経路探索部3aは、ユーザの指定した条件に基づいて、GPSレシーバ2から得られる現在地のGPS信号やマップ記憶部に格納されている地図情報を用いて複数の経路候補を探索する。なお、ユーザからは目的地に限らず目的地に至るまでの経由地の指定も受け付け、目的地のみならず経由地を考慮した経路探索を実行することもできる。経路探索により演算された経路は表示部4に表示される。ユーザは操作部5を操作して表示部4に表示された複数の経路候補から所望の経路を選択する。CPU3は、選択された経路を経路案内に用いてユーザを目的地へ誘導する。
【0020】
次に、PND100を自転車の経路探索に用いる場合について説明する。ユーザは操作部5から自転車モードの経路探索を指定する。なお自転車モードには、さらに、回生充電機能付きの電動機を備える自転車に対応した経路探索を行う回生充電機能付き電動アシスト自転車モードと、回生充電機能付きの電動機を備えない自転車に対応した経路探索を行う通常自転車モードが用意されている。
【0021】
通常自転車モードでは、自転車には回生充電機能が付いていないため、目的地到着まではできるだけ上り坂を避けつつ迂回しすぎない経路をより適切な候補として探索する。また、回生充電機能を搭載していない電動アシスト自転車にて走行する場合も、通常自転車モードを使用することにより、上り坂を極力避けて走行してバッテリの消費を抑えることができる経路を探索することができる。回生充電機能付き電動アシスト自転車モードでは、下り坂の走行中に回生充電を行うため、目的地までできるだけ距離の短い経路を走行しつつ効率良く充電を行うことができる経路を候補として探索する。ただし、電動アシスト自転車のなかには、例えば時速24km/h等の一定速度以上になるとモータの駆動が停止されて電動機による補助が行われなくなり回生充電が作動しないように構成されているものがある。このため、経路中に下り坂が存在する場合、坂の勾配が大きすぎると、その下り坂を走行した際に速度が上記の一定速度以上になって回生充電が作動しない可能性がある。そこで、このモードでの経路探索においては、下り坂としては勾配が緩やかな道路を優先的に選択する。
【0022】
図2に、自転車モードにおける経路探索のフローチャートを示す。ユーザが操作部5を操作して通常自転車モード又は回生充電機能付き電動アシスト自転車モードを指定すると、CPU3によって図2に示すフローが実行される。まずステップS101において、ユーザからの目的地の入力を待機する。なお、必要に応じてユーザから出発地の入力を受け付けてもよい。出発地の入力を受け付けない場合は、GPSレシーバ2からの測位結果に基づく現在地を出発地とみなすことができる。ユーザからの出発地又は目的地の指定が完了したら、ステップS103に進む。ステップS103では、CPU3は、ステップS101において指定された出発地と目的地に基づき、マップ記憶部6に格納されているマップ情報を用いて経路探索を行う。マップ情報には勾配等の地理情報も含まれており、各経路におけるこれらの地理情報も加味して経路探索が行われる。次にステップS105に進み、出発地から目的地までの距離や経路上の勾配に基づいてランク付けを行う。
【0023】
ここで、経路のランク付けは、経路探索の結果から候補として得られた経路の距離と勾配を用いて以下の式(1)から得られる値に基づいて行う。
【数1】

【0024】
ここで、出発地から目的地までの距離は各経路の全長であり、勾配は各経路の経路全体における最高地点と最低地点の高低差に基づく勾配である。式(1)では、出発地から目的地までの距離と勾配にそれぞれ係数α及びβを乗算して所定の指数を求める。これらの係数により距離と勾配に対して重み付けを行い、例えば経路の勾配がゼロである場合にどれほど長い経路でも良好な経路と判定されることがないようにするための補正等を行うことができる。そして、この指数の値が低いほど、自転車モードにおいて探索した経路としてより良好な結果であるとみなされる。各経路について式(1)により指数を求めてランク付けを行ったら、ステップS107に進む。
【0025】
ステップS107では、CPU3の判定部3bにより、自転車が回生充電機能付きの電動機を備えているか否かが判定される。この判定は、通常自転車モードと回生充電機能付き電動アシスト自転車モードのどちらのモードが選択されているかに基づいて行う。通常自転車モードが選択されている場合は、ステップS107においてNOと判定されてステップS111に進む。また、回生充電機能付き電動アシスト自転車モードが選択されている場合は、ステップS107においてYESと判定されてステップS109に進む。なお、どちらのモードが選択されているかは、モード選択時に選択したモードに対応するフラグが設定されるようにしておくことで、ステップS107においてフラグを参照することにより判定を行うことができる。
【0026】
ステップS109では、回生充電機能付き電動アシスト自転車に対応した経路探索を行っているので、経路中に下り坂が存在する場合に、できるだけ勾配が緩やかな下り坂を走行して回生充電を効率良く行うことができるように、経路中の下り坂の区間に対して補正処理を行う。下り坂の勾配が緩やかであるほど走行中に回生充電する上で良好な経路であるとみなす。そこで、経路中の上り坂の区間ごと及び下り坂の区間ごとに以下の式(2)から得られる値をステップS105の上記式(1)から算出される指数に加える。
【数2】

【0027】
ここで、上り勾配とは、出発地から目的地に向かって経路を走行した場合の上り坂における最高地点と最低地点の高低差に基づく勾配であり、下り勾配とは、同じく下り坂における最高地点と最低地点の高低差に基づく勾配である。また、下り坂の勾配に対して重み付けを行うため、それぞれの下り坂について下り勾配と坂の全長との乗算値にはさらに係数γを乗算している。各経路について、式(2)により算出される値を式(1)に加算した指数を求めてステップS113に進む。
【0028】
ステップS111では、回生充電を行わない自転車に対応した経路探索を行っているので、経路中に上り坂が存在する場合に、できるだけ勾配が緩やかな上り坂を走行することができるように、経路中の上り坂の区間に対して補正処理を行う。上り坂の勾配が緩やかであるほど、電動機を備えていない自転車ではより快適に目的地まで走行することができ、また回生充電機能を有さない電動機を備える自転車ではバッテリの消費を抑えて目的地まで走行することができるため、より良好な経路であるとみなす。そこで、経路中の上り坂の区間ごと及び下り坂の区間ごとに以下の式(3)から得られる値をステップS105の上記式(1)から算出される指数に加える。
【数3】

【0029】
ここで、上り坂の勾配に対して重み付けを行うため、それぞれの上り坂について上り勾配と坂の全長との乗算値にさらに係数δを乗算している。各経路について、式(3)により算出される値を式(1)に加算した指数を求めてステップS113に進む。ステップS113では、ステップS109又はステップS111により得られる指数に基づき、指数の値が低い経路から順により適切な経路として表示部4に表示する。従って、通常自転車モードでは、ステップS111の指数演算結果に基づいて上り坂の勾配が緩やかな経路や上り坂が存在しない経路が優先的に表示され、回生充電機能付き電動アシスト自転車モードでは、ステップS109の指数演算結果に基づいて回生充電を行うのに適した緩やかな勾配の下り坂がある経路が優先的に表示される。これにより、ユーザは、走行する自転車の回生充電機能の有無に合わせてそれぞれ最適な経路探索を行うことができる。
【0030】
図3(a)及び(b)に、出発地(現在地)Aと目的地Bの間に山がある場合の経路探索を示す。上記の経路探索において、図3(a)に示すR1〜R3の経路が候補として算出されたと仮定する。図中、経路R1は、距離が10km、高低差が50mであり、上り坂部分の経路と下り坂部分の経路は、ともに距離が2kmで高低差が50mである。従って、この経路は、3つの経路のうち走行距離が最短で、勾配が最大である。経路R2は、距離が15km、高低差が20mであり、上り坂部分の経路は距離が1kmで高低差が20m、下り坂部分の経路は距離が2kmで高低差が20mである。従って、この経路は、3つの経路のうち走行距離及び勾配ともに中程度である。そして、経路R3は、距離が20km、高低差が0mであり、上り坂部分の経路と下り坂部分の経路は、ともに距離が0kmで高低差が0mである。従って、この経路は、3つの経路のうち走行距離が最長であるが勾配が最小である。
【0031】
経路探索のモードが通常自転車モードである場合は、上記3つの経路のうち走行距離が長くても勾配が小さい経路R3が最適な経路として表示される。従って、ユーザは、経路R3を選択することにより、快適な走行を維持しつつ目的地に到着することができる。また、経路探索のモードが回生充電機能付き電動アシスト自転車モードである場合は、上記3つの経路のうち上り坂があっても下り坂で回生充電を行うことができる経路R2が最適な経路として表示される。なお、経路R1は、経路R2と同様に下り坂を有する経路であるが、下り坂の勾配が大きいため下り坂走行中に上記の一定速度以上になって回生充電が停止する可能性があるため、ステップS109の演算において経路R2に比べて指数の値が高くなり、経路R2よりも優先度の低い経路として表示される。
【0032】
本実施形態のPNDにおいては、経路上の勾配を考慮して目的地への到着予想時刻を計算するように構成してもよい。従って、自転車を運転するユーザの脚力を学習して到着予想時刻の算出に加味することもできる。例えば、経路上に存在する坂を走行したときに、走行するユーザ名、電動アシスト自転車であるか否かの判定、上り坂か下り坂かの判定、坂の勾配、坂の全長、坂を走行する所要時間等の走行データをCPU3内の記憶メモリ3d等に記憶しておく。ユーザ名はユーザ識別情報として用いられるが、他のユーザ固有情報をユーザ識別情報として用いてもよい。なお、坂を走行する際の走行距離や所要時間等は、CPU3内の計測部3eによって計測される。また、坂の走行開始と走行終了については、GPS信号に基づく測位結果から求められる現在位置を追跡することにより把握する。計測された走行距離や所要時間等のデータは、ユーザ名と関連付けられて記憶メモリ3dに記憶される。そして、次回以降の経路探索時に、経路中に当該坂が含まれる場合、時刻推定部3cは、記憶メモリ3d等から走行データを読み出し、読み出した走行データから、例えば、ユーザAは5%の勾配の上り坂の場合は1kmあたり2分30秒かかる等のように目安となる基準値を算出し、この基準値を加味して到着予想時刻を計算する。計算された到着予想時刻は、探索した経路とともに表示部4に表示される。なお、経路中の坂が上り坂になるか下り坂になるかは、出発地から目的地への進行方向と勾配の向きとから判定することができる。
【0033】
以上が本発明の実施形態に関する説明である。本発明においては、ステップS105において経路を距離及び勾配によってランク付けを行った結果を表示部4に表示するように構成することもできる。この構成においても、道路の勾配を考慮して自転車走行に最適な経路探索を行うPNDを提供することができる。
【0034】
なお、上記の経路探索において、回生充電機能付き電動アシスト自転車であるか否かのみを判定しているが、さらに、普通自転車か否か、電動アシスト自転車であるか否か、また変速機付きであるか否か等、自転車の種類をさらに細かく判別して、各種自転車に合わせて最適な経路を探索することもできる。
【符号の説明】
【0035】
3 CPU
3a 経路探索部
3b 判定部
3c 時刻推定部
3d 記憶メモリ
3e 計測部
4 表示部
5 操作部
6 マップ記憶部
100 PND

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車走行時に現在地から目的地までの複数の経路を探索することが可能なパーソナルナビゲーションデバイスであって、
前記パーソナルナビゲーションデバイスは、
表示部と、
GPS衛星から送出されるGPS信号に基づいて前記現在地を求めるGPS測位手段と、
道路の距離及び勾配に関する情報を含むマップ情報を記憶するマップ記憶部と、
現在現在地から前記目的地までの複数の経路を探索する経路探索部と、を備え、
前記経路探索部は、前記マップ情報を用いて経路の距離及び勾配に基づいてランク付けを行い、
前記ランク付けされた経路は、ランク順に前記表示部に表示される、
ことを特徴とするパーソナルナビゲーションデバイス。
【請求項2】
前記パーソナルナビゲーションデバイスは、さらに、
ユーザからの入力を受ける操作部と、
前記操作部からの入力に基づいて、前記自転車が回生充電機能付き電動アシスト自転車であるか否かを判定する判定部を備え、
前記判定部により、前記自転車が回生充電機能付き電動アシスト自転車であると判定された場合は、前記経路探索部は、下り坂に相当する経路の距離及び勾配に対して補正を行い、該補正された距離及び勾配を加味して前記ランク付けを行い、
前記判定部により、前記自転車が回生充電機能付き電動アシスト自転車でないと判定された場合は、前記経路探索部は、上り坂に相当する経路の距離及び勾配に対して補正を行い、該補正された距離及び勾配を加味して前記ランク付けを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のパーソナルナビゲーションデバイス。
【請求項3】
前記経路探索部は、坂の勾配が緩やかであるほどより良好な経路として前記ランク付けを行うことを特徴とする請求項2に記載のパーソナルナビゲーションデバイス。
【請求項4】
前記パーソナルナビゲーションデバイスは、さらに、
記憶メモリと、
目的地への到着予想時刻を算出する時刻推定部と、
前記自転車の走行時に走行距離及び走行時間を計測する計測部と、を備え、
前記計測部により、坂ごとに走行距離及び走行時間が計測され、
前記坂ごとの走行距離及び走行時間と前記操作部から入力されるユーザ識別情報とが関連付けられて前記記憶メモリに記憶され、
前記時刻推定部は、前記記憶メモリに記憶された前記坂ごとの走行距離及び走行時間を用いて各ユーザに対応する到着予想時刻を算出し、
前記到着予想時刻は、前記表示部に表示される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパーソナルナビゲーションデバイス。
【請求項5】
前記経路探索部は、前記現在地の代わりに前記操作部から入力される出発地を用いて経路探索を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパーソナルナビゲーションデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−112479(P2011−112479A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268427(P2009−268427)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】